JP2004269799A - インクジェット記録用インク - Google Patents

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JP2004269799A
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pigment
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Mariko Suzuki
真理子 鈴木
Shoji Koike
祥司 小池
Kinu Shirota
衣 城田
Atsushi Aoki
淳 青木
Toshiaki Kaneko
敏明 金子
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Abstract

【課題】インクジェット記録に用いた場合に、周波数応答性、印字耐久性に優れ、且つインクの保存によっても、それらの特性の劣化が起こりにくいインクジェット記録用インク、更には、かかるインクを利用した記録装置等の提供。
【解決手段】水性媒体、水不溶性色材、該色材を該水性媒体に分散させるための樹脂分散剤を少なくとも含有し、樹脂分散剤が、親水部と疎水部を有するブロック共重合体であり、その親水部の割合が樹脂全体に対してモル比で20%以上で、該親水部の親水基は、カルボキシル基と塩基との塩の形で水溶性を有しており、更にインク中における該塩基の含有量が、カルボキシル基の全てを中和するのに必要な理論量の80%以上に調整されており、且つインク中におけるカルボキシル基の有効可溶化指数が70%以上であるインクジェット記録用インク。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録方法、とりわけサーマル方式のインクジェット記録方法に適し、記録ヘッドに吐出安定性(周波応答性)、及び高いヘッド耐久性を与え、且つ保存安定性にも優れた水不溶性色材を用いたインクジェット記録用インクに関し、更には、該インクを使用したインクカートリッジ、及び記録ユニット、インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方法は、インクに対してエネルギーを付与してインクの小滴をノズルから飛翔させ、紙等の記録媒体にインクを付着させて記録画像の形成を行う方法である。近年、銀塩写真と同程度の、極めて高品位なインクジェット記録画像に対する要求に対応するために、単一のノズルから吐出させるインクの液滴のサイズが小さくなってきており、現在では、インクの液滴量が約10pl(ピコリットル)以下のインクジェットプリンタが市販されている。又、記録速度に関しても、より一層の高速化を求められてきており、それに伴って、より高い駆動周波数への対応が急務である。ところで、最近では、インクジェット記録画像に対しては、その高精細さばかりでなく、より優れた堅牢性(耐光性等)が求められてきており、そのために、色材として水不溶性の色材、例えば顔料の採用が進みつつあり、顔料インクのインクジェット記録特性の改善のために様々な提案がなされている。例えば、特許文献1には、顔料を含むインクジェット用インクにおいて、該顔料を安定に液媒体に分散させることのできる分散剤に関する発明が記載されている。しかしながら、水不溶性色材を含むインクジェット記録用インクにおいて、上記した高い駆動周波数への対応は、未だ十分になされていないのが現状である。
【0003】
【特許文献1】
米国特許第5,085,698号明細書
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、記録ヘッドの駆動周波数の増大によっても当該記録ヘッドから安定して吐出させることのできるインクジェット記録用のインクを提供することにある。即ち、本発明の目的は、インクジェット記録に用いた場合に、周波数応答性、印字耐久性に優れ、且つ、インクの保存によっても、それらの特性の劣化が起こりにくいインクジェット記録用インク、更には、かかる優れたインクを有効に利用したインクカートリッジ、記録ユニット、インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、[1]水性媒体、水不溶性色材、該水不溶性色材を該水性媒体に分散させるための樹脂分散剤を少なくとも含有し、該樹脂分散剤が、親水部と疎水部を有するブロック共重合体であり、且つ、その親水部の割合が樹脂全体に対してモル比で20%以上で、該親水部の親水基は、カルボキシル基と塩基との塩の形で水溶性を有しており、更に、インク中における該塩基の含有量が、上記カルボキシル基の全てを中和するのに必要な理論量の80%以上に調整されており、且つ、インク中におけるカルボキシル基の有効可溶化指数が70%以上であることを特徴とするインクジェット記録用インクである。
【0006】
上記のインクジェット記録用インクの好ましい形態としては、下記の[2]〜[4]が挙げられる。[2]前記塩基が、水酸化カリウムである上記[1]に記載のインクジェット記録用インク。[3]水不溶性色材が、フタロシアニン骨格を有する顔料である上記[1]に記載のインクジェット記録用インク。[4]水不溶性色材が、C.Iピグメントブルー15:3、或いは15:4である上記[1]に記載のインクジェット記録用インク。
【0007】
本発明の別の実施形態は、[5]インクを収容したインク収容部を備えたインクカートリッジにおいて、上記インクが、上記[1]〜[4]の何れかに記載のインクであることを特徴とするインクカートリッジである。
【0008】
本発明の別の実施形態は、[6]インクを収容したインク収容部、及び該インクを吐出させるためのヘッド部を同時に備えた記録ユニットであって、上記インクが上記[1]〜[4]の何れかに記載のインクであることを特徴とする記録ユニットである。該記録ユニットの好ましい形態としては、[7]インクに熱エネルギーを印加することによってオリフィスから該インクを吐出させる方式の記録ヘッドを備えている上記[6]に記載の記録ユニットが挙げられる。
【0009】
本発明の別の実施形態は、[8]上記[1]〜[4]の何れかに記載のインクジェット記録用インクを用いたことを特徴とするインクジェット記録方法である。
【0010】
上記のインクジェット記録方法の好ましい形態としては、下記の[9]及び[10]が挙げられる。[9]印加するエネルギーが熱エネルギーである上記[8]に記載のインクジェット記録方法。[10]前記インクジェット記録方法に使用するインクジェットヘッドの吐出量が0.1〜20plである上記[8]に記載のインクジェット記録方法。
【0011】
更に、本発明の別の実施形態は、[11]上記[6]又は[7]に記載の記録ユニットを備えていることを特徴とするインクジェット記録装置である。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。前記した技術状況にある顔料等の水不溶性色材を含むインクジェット記録用水性インク(以下顔料インクという)の開発下、本発明者らは、水不溶性色材として顔料を用い、該顔料を樹脂分散剤を用いて水性媒体に分散させたインクを、熱エネルギーをインクに印加して記録ヘッドからインクを吐出させる方式のサーマルインクジェット記録に適用したときの、高精細なインクジェット画像の高速記録の可能性について検討を重ねてきている。
【0013】
その過程で、サーマルインクジェットヘッドの駆動周波数の上昇に顔料インクが追随できず、吐出が不安定になる場合があるとの知見を得た。このような知見について、更に検討を重ねたところ、サーマルインクジェットヘッドのヒータによって顔料インクが加熱されたときに、顔料と、該顔料に物理吸着している樹脂分散剤とが分離し、一時的に分散安定性が破壊されてしまっているのではないかと推察された。即ち、駆動周波数が低い場合には、一時的な分散破壊が生じたとしても、顔料への樹脂分散剤の再吸着等によって分散安定性が回復するのに対し、駆動周波数が高くなると、分散安定性の回復が不十分となり、その結果として顔料インクの吐出安定性が低下するものと考えられる。
【0014】
又、分散破壊にまでは至らぬとも、顔料と樹脂の結合物がヒーター面で析出し、その析出物が再溶解しにくい場合等は、同様の問題が生ずるものと考えられる。本発明者らは、前記した今後の技術トレンドを背景とした課題に対し、インクジェット記録用のインクとしての基本特性、具体的には、例えば、保存安定性やインクジェット吐出安定性を高いレベルで維持しつつ、高精細な画像のより高速な記録に対応し得るインクジェット記録用プリンタ、特にはサーマルインクジェット記録用の顔料インクについての精力的な検討を行い、本発明にかかる構成の顔料インクが、上記目的を極めて高いレベルで達成できることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
【0015】
本発明にかかるインクジェット記録用インクは、水性媒体、水不溶性色材、該水不溶性色材を該水性媒体に分散させるための樹脂分散剤を少なくとも含有するインクであって、該樹脂分散剤が、親水部と疎水部を有する特有のブロック共重合体であることを特徴とする。即ち、該ブロック共重合体は、その親水部の割合が樹脂全体に対してモル比で20%以上であって、且つ、該親水部の親水基は、カルボキシル基と塩基との塩の形で水溶性を有しており、更に、インク中における該塩基の含有量が、上記したカルボキシル基の全てを中和するのに必要な塩基の理論量の80%以上であり、且つ、インク中におけるカルボキシル基の有効可溶化指数が70%以上であることを特徴とする。
【0016】
従来より行なわれている水性媒体中に顔料を分散させる方法としては、簡易に且つ安価に製造できることから、樹脂分散剤を用いた樹脂分散が一般的である。しかしながら、樹脂分散の顔料インクは、インクジェット記録に用いた場合の吐出性、とりわけ、サーマルジェット方式に適用した場合の吐出性が、水性染料インクに比べて一般的に悪いことが知られている。一方、樹脂分散剤には、樹脂の構造による分類として、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体等があるが、サーマル方式のインクジェット記録における吐出性の観点からは、これらの中でもブロック共重合体を用いることが好ましい場合が多い。
【0017】
しかし、本発明者らが、カルボキシル基を水溶性基とする親水ブロックを有するブロック共重合体を、樹脂分散剤として用いた顔料インクの検討を重ねてきたところ、同じ樹脂を用いて、同じ量の塩基を添加して樹脂を可溶化(中和)したにもかかわらず、吐出特性、特に周波数応答性や、高駆動周波数での印字耐久性に大きな差が生じる場合があることがわかった。
【0018】
本発明者らは、上記した現象について更に検討を進めた結果、吐出特性には、顔料に対してインク中に存在するカルボキシル基の量は同じであっても、樹脂の可溶化に寄与しているカルボキシル基の量(有効可溶化指数)が影響することを知見し、本発明に至った。
【0019】
まず、本発明を特徴づける、インク中におけるカルボキシル基の有効可溶化指数について説明する。本発明においては、水不溶性色材を水性媒体中に分散するための樹脂分散剤に、親水部と疎水部を有し、該親水部が、モル比で樹脂全体の20%以上を占め、且つ、親水部が官能基としてカルボキシル基を有するブロック共重合体を用いる。従って、この樹脂を水性媒体中に可溶化(中和)するためには、塩基の添加が必須であり、本発明で使用するブロック共重合体の親水部の親水基は、カルボキシル基と塩基との塩の形で水溶性を有する。この際、塩基としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミンメチルプロパノール、アンモニア等の有機アミン、或は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等の無機塩基を用いることができるが、これらの中で特に好ましいのは、水酸化カリウムである。
【0020】
ここで、有効可溶化指数とは、インク中に存在するカルボキシル基の総数に対する、有効に可溶化しているカルボキシル基の割合のことであり、下式によって、求まるものである。
Figure 2004269799
【0021】
従って、上記有効可溶化指数が100%であれば、インク中のすべてのカルボキシル基が、有効に可溶化に寄与していることを表し、例えば、有効可溶化指数が50%なら、存在している数の半分のカルボキシル基しか可溶化に寄与していないことを表す。
【0022】
インク中における、実際に可溶化に寄与しているカルボキシル基を測定する方法に関しては、酸析後に滴定する方法等が一般的であるが、より簡単に測る方法としては、例えば、下記の透析方法がある。まず、水や低分子物質は通過する孔径の透析膜中にインクを入れ、イオン交換水で透析を繰り返して、イオン化している塩基(塩基として水酸化カリウムを用いるならば、カリウムイオン)を取り除く。カルボキシル基がすべて顔料と樹脂の結合物の外側(水系媒体側)に配向している場合は、上記操作により取り除かれた塩基量を誘導プラズマ発光分析装置や、クロマトグラフィー等で定量すればよい。一方、カルボキシル基が塩の形で結合物の内側(不溶性色材側)に含有されている場合は、透析膜の内側に残ったインク中の塩基量を同様に定量すれば、塩のままで存在している非解離のカルボキシル基の量を求めることができるので、解離している(可溶化に寄与している)カルボキシル基の量が換算可能である。
【0023】
樹脂の中和に必要な理論量の塩基を添加するという条件の下、従来公知の方法で作った各種の樹脂分散剤で顔料を分散したインク中におけるカルボキシル基の有効可溶化指数を、実際に上記した方法で測定してみると、ランダム共重合体の有効可溶化指数は、ほぼ100%に近いのに対し、ブロック共重合体では、50〜60%前後のものしかできなかった。この違いは、樹脂のインク媒体中でのコンフォーメーションに起因しているものと考えられ、ブロック共重合体では、親水ブロックと疎水ブロックが分離しているため、より顔料に近い部分にあるカルボキシル基は塩基と対をなしてはいるものの、可溶化には寄与せず、水性媒体により近い部分のカルボキシル基しか、可溶化に寄与していないという状況が生じているためであると考えている。
【0024】
本発明にかかるインクに含有させる樹脂分散剤は、ブロック共重合体の親水部の親水基が、カルボキシル基と塩基との塩の形で水溶性を有しており、且つインク中におけるカルボキシル基の有効可溶化指数が70%以上であることを特徴とする。この場合に、実際に上記有効可溶化指数を70%以上にするためには、インクの作成方法が重要となる。以下、好ましいインクの作成方法について説明する。
【0025】
一般に、カルボキシル基を親水基として有するブロックを持つブロック共重合体を製造するには、リビングラジカル重合法が有効である。それによってでき上がった樹脂を用いて、水性顔料分散体を作る方法としては、第一分散工程で、非水性媒体系において、ロールミル等で顔料を分散させ、その後、第二分散工程で、水性媒体中で塩基を用いて中和、希釈分散する方法や、又、中和して水溶液にした樹脂と顔料を合わせて、水性媒体系において、マイクロフリュイタイザー等で分散する方法等がある。
【0026】
インク中におけるカルボキシル基の有効可溶化係数を70%以上となるようにするには、例えば、下記に挙げる方法によってインクを作成することが有効である。上記のロールミル等を用いて非水系で分散する方法においては、まず、第一分散工程の非水系における分散を十分に行い、疎水ブロックの顔料表面への吸着を十分に行うこと、次に、第二分散工程の中和、希釈工程においては、中和剤(塩基)を逐次投入でなく、一括投入すること、又、希釈分散工程は、短時間で強力に行うことが有効である。上記の、マイクロフリュイタイザー等を用いて水系で分散する方法においては、顔料と樹脂を合わせる前に、ポリマーをよく中和しておくことが重要で、十分な塩基の量の添加や温度をかけての混合等が有効である。
【0027】
以上、本発明の課題を解決するためには、樹脂の可溶化に寄与しているカルボキシル基の量が多いことが重要であると述べてきた。その考えからいくと、樹脂設計の段階で親水部の多いものにすれば、インク中におけるカルボキシル基の有効可溶化指数が低くても問題はないのではないかということも考えられる。しかし、本発明者らが検討したところ、可溶化に寄与すると考えられるカルボキシル基の絶対量はほぼ同じであったとしても、上記した有効可溶化指数の高いもの(効率よく可溶化しているもの)の吐出特性は良いのに対して、有効可溶化指数の低いもの(可溶化の効率が悪いもの)の場合は、吐出特性に問題がある場合が多いことを知見した。
【0028】
これは、樹脂中のカルボキシル基の絶対数を増やすと、親水/疎水の構成比が親水側にシフトし、疎水ブロックが十分に顔料の周りを覆えないために、分散が不安定になるからだと考えられる。
【0029】
以下、本発明にかかる顔料インクの主要な構成成分である樹脂分散剤の構造等について説明する。本発明においては、水不溶性色材を水性媒体中に分散する樹脂分散剤として、ブロック共重合体を用いる。ブロック共重合体は、AB型、BAB型、及びABC型等で示される構造からなるブロック共重合体のことである。ここで、ABCは、ある限定された長さの特定の単量体の連鎖を表す。疎水性のブロックと親水性のブロックとを有し、又、分散安定性に貢献する均衡のとれたブロックサイズを有するブロック共重合体は、本発明を実施する上で特に有利である。
【0030】
更に、上記したようなブロック共重合体が含有された本発明にかかるインクは、熱エネルギーを利用したインクジェット記録方式、特に小液滴である、例えば、0.1〜20pl、より好ましくは、0.1〜15pl、更に好ましくは、0.1〜10plに対応するインクジェット記録ヘッドを用いるものに使用した場合に、そのレオロジー適性から、より好ましいものである。インク中に含有させるブロック共重合体の量は、該重合体の構造、分子量、及び他の特性、更にインク組成物の他の成分に依存する。本発明を実施する上で選択される重合体の重量平均分子量は、30,000未満、好ましくは20,000未満、より好ましくは2,000〜10,000の範囲内である。
【0031】
本発明にかかる顔料インクでは、樹脂分散剤として用いるブロック共重合体に必要な要件として、親水部(親水性ブロック)の割合が樹脂全体に対してモル比で20%以上であることを要求する。より具体的には、親水性ブロックが樹脂全体に占める割合(構成比)は、モル比で20〜70%が好ましく、より好ましくは、30〜65%、更に好ましくは、35〜60%である。親水性ブロックのモル比が20%未満のものであると、前述したインク中におけるカルボキシル基の有効可溶化指数が70%であったとしても、可溶化しているカルボキシル基の絶対数が少な過ぎることとなるので、本発明の効果が得られない。
【0032】
本発明において更に重要な点は、カルボキシル基の可溶化(中和)のために、必要となる塩基の量を、カルボキシル基の量から計算できる理論量の80%以上となるように調整してインク中に含有させたことにある。これよりも少ない場合は、インク中におけるカルボキシル基の有効可溶化指数を70%以上にすることが難しい場合が多い。
【0033】
本発明で使用できる上記した要件を満足するブロック共重合体は、J.MACROMOL.SCI.−CHEM.,A24(11),pp.1315−1332(1987)、J.MACROMOL.SCI.−CHEM.,A21(8&9),pp.961−977(1984)、Makromol.Chem.187,2187−2199(1988)或いは、特開平06−136311号公報、特開平07−053841号公報等に記載されている方法によって製造できる。
【0034】
ブロック共重合体に用いることができる代表的な疎水性モノマーとしては、次のモノマーがあるがこれらに限定されるものではない:ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、メチルメタクリレート(MMA)、エチルメタクリレート(EMA)、プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート(BMA又はNBMA)、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)、オクチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート(LMA)、ステアリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート(HEMA)、ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、メタクリロニトリル、2−トリメチルシロキシエチルアクリレート、グリシジルメタクリレート(GMA)、p−トリルメタクリレート、ソルビルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、フェニルアクリレート、2−フェニルエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、アクリロニトリル、2−トリメチルシロキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、p−トリルアクリレート及びソルビルアクリレート等である。
【0035】
上記した中でも好ましい疎水性モノマーとしては、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、2−フェニルエチルメタクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートであり、これらから製造されたホモポリマー及びコポリマー、例えば、メチルメタクリレートとブチルメタクリレートとのコポリマーを用いてブロック共重合体を製造することが好ましい。
【0036】
又、ブロック共重合体を製造する場合に用いることができる代表的な親水性モノマーとしては、次のモノマーがあるが、これらに限定されるものではない。例えば、メタクリル酸(MAA)、アクリル酸、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)、ジエチルアミノエチルメタクリレート、第3−ブチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、メタクリルアミド、アクリルアミド及びジメチルアクリルアミド等が挙げられる。特に、メタクリル酸、アクリル酸又はジメチルアミノエチルメタアクリレートのホモポリマー又はコポリマーを用いてブロック共重合体を製造することが好ましい。
【0037】
上記で説明した樹脂分散剤として用いるブロック共重合体の好ましいインク中の含有量は、0.5〜10質量%、好ましくは0.8〜8質量%、より好ましくは、1〜6質量%の範囲である。もし、樹脂分散剤の含有量がこの範囲よりも多い場合は、インクジェット記録用インクとして所望するインク粘度を維持するのが困難となる。
【0038】
本発明で使用する水不溶性色材としては、顔料が好ましく、その例としては、下記のものが挙げられる。黒色インクに使用される顔料としては、カーボンブラックが好適である。具体的には、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック顔料であり、例えば、レイヴァン(Raven)7000、レイヴァン5750、レイヴァン5250、レイヴァン5000ULTRA、レイヴァン3500、レイヴァン2000、レイヴァン1500、レイヴァン1250、レイヴァン1200、レイヴァン1190ULTRA−II、レイヴァン1170、レイヴァン1255(以上コロンビア社製)、ブラックパールズ(Black Pearls)L、リーガル(Regal)400R、リーガル330R、リーガル660R、モウグル(Mogul)L、モナク(Monarch)700、モナク800、モナク880、モナク900、モナク1000、モナク1100、モナク1300、モナク1400、ヴァルカン(Valcan)XC−72R(以上キャボット社製)、カラーブラック(Color Black)FW1、カラーブラックFW2、カラーブラックFW2V、カラーブラックFW18、カラーブラックFW200、カラーブラックS150、カラーブラックS160、カラーブラックS170、プリンテックス(Printex)35、プリンテックスU、プリンテックスV、プリンテックス140U、プリンテックス140V、スペシャルブラック(Special Black)6、スペシャルブラック5、スペシャルブラック4A、スペシャルブラック4(以上デグッサ社製)、No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上三菱化学社製)等の市販品が挙げられる。更に、別途新たに調製されたものも使用することができる。
【0039】
又、上記に挙げたようなカーボンブラックは、その一次粒子径が15〜40nm、BET法による比表面積が50〜300m/g、DBP吸油量が40〜150ml/100g、揮発分が0.5〜10%の、各特性を持つものを好ましく用いることができる。
【0040】
本発明にかかるインクをカラーインクとする場合には、水不溶性色材として有機顔料を好適に使用することができる。具体的には、トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザエロー、ベンジジンエロー、ピラゾロンレッド等の不溶性アゾ顔料、リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2B等の溶性アゾ顔料、アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーン等の建染染料からの誘導体、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系顔料、キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ等のキナクリドン系顔料、ペリレンレッド、ペリレンスカーレット等のペリレン系顔料、イソインドリノンエロー、イソインドリノンオレンジ等のイソインドリノン系顔料、ベンズイミダゾロンエロー、ベンズイミダゾロンオレンジ、ベンズイミダゾロンレッド等のイミダゾロン系顔料、ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジ等のピランスロン系顔料、インジゴ系顔料、縮合アゾ系顔料、チオインジゴ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、フラバンスロンエロー、アシルアミドエロー、キノフタロンエロー、ニッケルアゾエロー、銅アゾメチンエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレット等の顔料が例示できる。
【0041】
又、有機顔料を、カラーインデックス(C.I.)ナンバーにて示すと、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、17、20、24、55、74、83、86、93、97、98、109、110、117、120、125、128、137、138、139、147、148、150、151、153、154、155、166、168、180、185、C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、71、C.I.ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、175、176、177、180、192、202、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、254、255、272、C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、60、64、C.I.ピグメントグリーン7、36、C.I.ピグメントブラウン23、25、26等が例示できる。
【0042】
上記のような顔料以外でも使用することができるが、これらの顔料の中でも、C.I.ピグメントイエロー13、17、55、74、93、97、98、110、128、139、147、150、151、154、155、180、185、C.I.ピグメントレッド122、202、209、C.I.ピグメントブルー15:3、15:4が好ましい。
【0043】
本発明者らの検討によれば、これらの顔料の中でも、特にフタロシアニン骨格を有する顔料を使用した場合に本発明の効果が得られ易く、特にC.I.ピグメントブルー15:3、或いは15:4が特に好ましいことが知見された。これらの顔料は、他の顔料に比べ、その構造から親水性が高いため、本来ならば、顔料と結合しにくいはずの親水部が、分散時に加えられるエネルギーによって、顔料の近傍に塩基と対をなした形で存在し易いためであると考えており、そのようなカルボキシル基は、可溶化には寄与できない。
【0044】
上記に列挙したような顔料のインク中への添加量は、特に限定されるものではないが、0.1〜10質量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.2〜8質量%、更に好ましくは、0.3〜6質量%である。
【0045】
上記に挙げたような水不溶性色材を分散させるための分散機は、一般に使用される分散機なら如何なるものでもよいが、例えば、マイクロフリュイタイザー、ロールミル、ボールミル、サンドミル等が挙げられる。これらの分散機を用いて分散し、必要があれば、ろ過や分級をして、顔料分散体の平均粒子径が150nm以下になるようなものを用いることが、本発明の効果を得る上では好ましい。
【0046】
本発明にかかるインクに使用される水性媒体としては、水と併用して下記に挙げる水溶性化合物を用いることが好ましい。具体的には、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ペンタノール等の炭素数1〜5のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシエチレン又はオキシプロピレン共重合体;エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;グリセリン;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の低級アルキルエーテル類;トリエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテル、テトラエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級ジアルキルエーテル類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類;スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、尿素、エチレン尿素、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
【0047】
これらの中でも、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、2−ピロリドン、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、エチレン尿素、トリメチロールプロパンを用いることが好ましい。本発明にかかる顔料インク中の水溶性化合物の含有量は特に限定されないが、インク全質量に対して、3質量%以上であることが好ましく、又、50質量%以下であることが好ましい。又、本発明にかかるインク中の水の含有量は、インク全質量に対して、50質量%以上であることが好ましく、又、95質量%以下であることが好ましい。
【0048】
又、熱エネルギーを用いたヘッドの場合、より周波数特性や吐出耐久性が得られるので、本発明のインクにノニオン系の界面活性剤を添加することも好ましい態様である。ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物等が好ましい。HLBは10以上、特に12以上、更には15以上のものが好ましい。
【0049】
これら界面活性剤の使用量は、吐出持続性の効果を顕著に得られるので、インク中0.3質量%以上、特に0.5質量%以上、更には0.8質量%以上であることが好ましく、又、多すぎるとインク粘度が高くなりすぎ、吐出に悪影響がでることがあるため、インク中3質量%以下、特に2.5質量%以下、更には2.0質量%以下であることが好ましい。又、界面活性剤の選択はインクの表面張力が25mN/m以上、好ましくは30mN/m以上になるようにすることが好ましい。
【0050】
又、本発明の顔料インクは、所望の物性値を有するインクとするために、上記した成分の他に必要に応じて、添加剤として、例えば、粘度調整剤、消泡剤、防腐剤、防カビ剤、酸化防止剤等を添加してもよい。
【0051】
次に、上記した構成を有する本発明にかかるインクジェット記録用インクを用いることが好適なインクジェット記録装置につき、インクジェットプリンタを具体例として説明する。図1は、吐出時に気泡を大気と連通する吐出方式の液体吐出ヘッドとしての液体吐出ヘッド及びこのヘッドを用いる液体吐出装置としてのインクジェットプリンタの一例の要部を示す概略斜視図である。
【0052】
図1においては、インクジェットプリンタは、ケーシング1008内に長手方向に沿って設けられる記録媒体としての用紙1028を図中に示す矢印Pで示す方向に間欠的に搬送する搬送装置1030と、搬送装置1030による用紙1028の搬送方向Pに略直交する矢印S方向に、ガイド軸1014に沿って略平行に往復運動せしめられる記録部1010と、記録部1010を往復運動させる駆動手段としての移動駆動部1006とを含んで構成されている。
【0053】
上記搬送装置1030は、互いに略平行に対向配置されている一対のローラユニット1022a及び1022bと、一対のローラユニット1024a及び1024bと、これらの各ローラユニットを駆動させるための駆動部1020とを備えている。かかる構成により、搬送装置1030の駆動部1020が作動状態とされると、用紙1028が、それぞれのローラユニット1022a及び1022bと、ローラユニット1024a及び1024bにより狭持されて、矢印P方向に間欠送りで搬送されることとなる。移動駆動部1006は、所定の間隔をもって対向配置される回転軸に配されるプーリ1026a、及び、プーリ1026bに巻きかけられるベルト1016、ローラユニット1022a、及び、ローラユニット1022bに略平行に配置され記録部1010のキャリッジ部材1010aに連結されるベルト1016を順方向及び逆方向に駆動させるモータ1018とを含んで構成されている。
【0054】
モータ1018が作動状態とされてベルト1016が矢印R方向に回転したとき、記録部1010のキャリッジ部材1010aは矢印S方向に所定の移動量だけ移動される。又、モータ1018が作動状態とされてベルト1016が図中に示した矢印R方向とは逆方向に回転したとき、記録部1010のキャリッジ部材1010aは矢印S方向とは反対の方向に所定の移動量だけ移動されることとなる。更に、移動駆動部1006の一端部には、キャリッジ部材1010aのホームポジションとなる位置に、記録部1010の吐出回復処理を行うための回復ユニット1026が記録部1010のインク吐出口配列に対向して設けられている。
【0055】
記録部1010は、インクジェットカートリッジ(以下、単にカートリッジと記述する場合がある)1012Y、1012M、1012C及び1012Bが各色、例えばイエロー、マゼンタ、シアン及びブラック毎にそれぞれ、キャリッジ部材1010aに対して着脱自在に備えられる。
【0056】
図2は上述のインクジェット記録装置に搭載可能なインクジェットカートリッジの一例を示す。本例におけるカートリッジ1012は、シリアルタイプのものであり、インクジェット記録ヘッド100と、インク等の液体を収容する液体タンク1001とで主要部が構成されている。
【0057】
インクジェット記録ヘッド100は液体を吐出するための多数の吐出口832が形成されており、インク等の液体は、液体タンク1001から図示しない液体供給通路を介してインクジェット記録ヘッド100の共通液室(不図示)へと導かれるようになっている。図2に示したカートリッジ1012は、インクジェット記録ヘッド100と液体タンク1001とを一体的に形成し、必要に応じて液体タンク1001内に液体を補給できるようにしたものであるが、このインクジェット記録ヘッド100に対し、液体タンク1001を交換可能に連結した構造を採用するようにしてもよい。尚、このインクジェット記録ヘッドを備えたインクジェットカートリッジが記録ユニットである。
【0058】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。尚、文中「部」又は「%」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
(実施例1)
<顔料分散液1の作製>
まず、ベンジルメタクリレートとメタクリル酸を原料として、常法により、モル比で、ベンジルメタクリレート50%、メタクリル酸50%、数平均分子量3,000のAB型ブロックポリマーを作成した。次に、上記の乾固物10部と2−ピロリドン10部、テトラヒドロフラン10部を混合し、十分に膨潤させ、これにC.I.ピグメントブルー15:3を15部加え、攪拌後、2本ロールミル(井上製作所製、型式MR−3(1/2)×8)を使用し、この混合物を、1時間かけて分散した。
【0059】
次いで、水酸化カリウムを水溶液の形で、上記で使用したメタクリル酸の中和に必要な理論量(理論値の100%)を上記分散物に一括して加えて中和し、更に、これを高速攪拌機(ハイドルフ社製、RZR2021)を用いて、2,000rpmで1時間かけて、希釈分散した。その後、遠心分離処理(10,000rpm、30分間)することによって、粗大粒子を含む非分散物を除去して最終的に純水を加えることで、顔料濃度が15%、樹脂濃度が10%、2−ピロリドン濃度が10%、残部が水(65%)である顔料分散液1を得た。
【0060】
〔インク1の作製〕
インクの作製は、上記顔料分散液1を使用し、これに以下の成分を加えて所定の顔料濃度にし、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム社製)にて加圧濾過し、インク1を調製した。
・上記顔料分散液1 20部
・グリセリン 5部
・エチレン尿素 10部
・アセチレングリコールEO付加物(商品名:アセチ
ノールE100、川研ファインケミカル製)0.5部
・イオン交換水 64.5部
【0061】
(実施例2)
実施例1における顔料分散液1の作製中、高速攪拌機による攪拌を2,000rpmから1,200rpmにする以外は、実施例1と同様な操作を行い、実施例2のインク2を調製した。
【0062】
(実施例3)
<顔料分散液2の作製>
まず、ベンジルメタクリレート、メタクリル酸及びエトキシエチレングリコールメタクリレートを原料として、常法により、モル比で、ベンジルメタクリレート35%、メタクリル酸30%、エトキシエチレングリコールメタクリレート35%、数平均分子量5,000のABC型ブロックポリマーを作り、次いで、上記メタクリル酸の中和に必要な理論量の80%の水酸化カリウムを20%水溶液の状態で加え、更に、イオン交換水で希釈し、45℃に温度調整しながら、十分に攪拌して、均質な30%ABC型ブロックポリマー水溶液を作成した。
【0063】
上記で得た30%ポリマー溶液(常温に冷やしたもの)を100g、C.I.ピグメントブルー15:4を100g、及びイオン交換水を300g混合し、その後、機械的に0.5時間撹拌した。次いで、マイクロフリュイダイザーを使用し、この混合物を、液体圧力約10,000psi(約70Mpa)下で相互作用チャンバ内に5回通すことによって処理した。更に、上記で得た顔料分散液を遠心分離処理(10,000rpm、30分間)することによって、粗大粒子を除去して顔料分散液2とした。得られた顔料分散液2は、その顔料濃度が10%、樹脂濃度が4%であった。
【0064】
〔インク3の作製〕
インクの作製は、上記で得た顔料分散液2を使用し、これに以下の成分を加えて所定の顔料濃度にし、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過し、インク3を調製した。
Figure 2004269799
【0065】
(実施例4)
実施例1における顔料分散液1の作製中、顔料を、C.I.ピグメントブルー15:3からC.I.ピグメントレッド122にする以外は、実施例1と同様の操作を行って、実施例4のインク4を調製した。
【0066】
(実施例5)
実施例3における顔料分散液2の作製中、顔料を、C.I.ピグメントブルー15:4に変えてカーボンブラックにする以外は、実施例3と同様な操作を行って、実施例5のインク5を調製した。
【0067】
次に、本発明の比較例にかかるインクを下記の方法で作製した。
(比較例1)
実施例1における顔料分散液1の作製中、高速攪拌機による攪拌を2,000rpmから400rpmに変更した以外は、実施例1と同様な操作を行って、比較例1のインク6を調製した。
【0068】
(比較例2)
実施例1における顔料分散液1の作製中、ポリマーの中和のための水酸化カリウムの投入を、当初半分だけ行い、残り半分を希釈分散の最終段階で分割投入した以外は、実施例1と同様な操作を行って、比較例2のインク7を調製した。
【0069】
(比較例3)
実施例3における顔料分散液2の作製中、ポリマー中和の温度設定を45℃から20℃に変更した以外は、実施例3と同様な操作を行って、比較例3のインク8を調製した。
【0070】
(比較例4)
実施例1における顔料分散液1の作製中、ポリマーの中和のための水酸化カリウムの量を、中和に必要な塩基の量を、理論値の100%から60%に変更する以外は、実施例1と同様な操作を行って、比較例4のインク9を調製した。
【0071】
[評価]
上記で調製した実施例1〜5及び比較例1〜4にかかる各インクについて、下記の測定、及び画像形成をした場合の評価を行った。表1に、結果をまとめて示した。
【0072】
(1)有効可溶化指数
透析法によってカルボキシル基とカリウムイオンを分離し、透析膜内部に残っているカリウム量を測定することで定量した。塩のままで存在している非解離のカルボキシル基量を求め、投入総カルボキシル基からの差を有効可溶化分とした。測定には、透析膜にセルロースチューブ(穴径24Å、三光純薬(株)製)を使用した。透析条件は、インクを200g入れ、イオン交換水で透析を繰り返し、カリウムイオンがイオン交換水中に検出できなくなるまで続けた。そして、透析後、膜内に残ったカリウム量を誘導プラズマ発光分析装置で定量した。
【0073】
(2)周波数応答性
実施例1〜5及び比較例1〜4にかかる各インクを、記録信号に応じた熱エネルギーを付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型記録ヘッドを複数個有するインクジェットカラー記録装置であるプリンタのインクタンクに充填後、プリンタに搭載し、下記の条件で印字を行なって評価した。プリンタには、カラーバブルジェット(登録商標)大判プリンタ(商品名:BJ−W9000、キヤノン製)を用いた。
【0074】
印字面積2cm×8cm、印字密度100%のベタパッチを、駆動周波数を100Hz、1kHz、5kHz、10kHzと変化させた各条件で、それぞれ印字し、不吐の様子や、得られたベタパッチの濃度やムラの様子を目視で観察し、評価した。評価は、下記の基準で行なった。
【0075】
〇:10kHzまで不吐がなく、又、100Hzの印字で得られたベタパッチと比べ、濃度やムラが同程度である。
△:10kHzまで不吐はないが、100Hzの印字で得られたベタパッチと比べ、濃度やムラの様子が劣る。
×:不吐を発生する。
【0076】
(3)印字耐久性
(2)の評価で用いたプリンタで、連続する50ノズルについて、駆動周波数10kHzで2×10パルス連続吐出させ、その後、未耐久ノズルと、この耐久後ノズルでベタパッチを印字し、その濃度の差を目視で観察して印字耐久性を評価した。評価は、下記の基準で行なった。
【0077】
〇:未耐久ノズルと耐久ノズルとで、得られたベタパッチの画像濃度に差が見られない。
△:未耐久ノズルと耐久ノズルとで、得られたベタパッチの画像濃度の差が若干見られる。
×:未耐久ノズルと耐久ノズルとで、得られたベタパッチの画像濃度の差が明らかに見られる。
【0078】
Figure 2004269799
【0079】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、インクジェット記録に用いた場合に、周波数応答性が良好で、印字耐久性に優れ、且つ、インクの保存によっても特性の劣化が起こりにくいインクジェット記録用インク、更には、かかる優れたインクを有効に利用したインクカートリッジ、記録ユニット、インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】液体吐出ヘッドを搭載可能なインクジェットプリンタの一例の要部を示す概略斜視図である。
【図2】液体吐出ヘッドを備えたインクジェットカートリッジの一例を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
100:インクジェット記録ヘッド
832:吐出口
1001:液体タンク
1006:移動駆動部
1008:ケーシング
1010:記録部
1010a:キャリッジ部材
1012:カートリッジ
1012Y、M、C、B:インクジェットカートリッジ
1014:ガイド軸
1016:ベルト
1018:モータ
1020:駆動部
1022a、1022b:ローラユニット
1024a、1024b:ローラユニット
1026:回復ユニット
1026a、1026b:プーリ
1028:用紙
1030:搬送装置
P:用紙の搬送方向
R:ベルトの回転方向
S:用紙の搬送方向と略直交する方向

Claims (1)

  1. 水性媒体、水不溶性色材、該水不溶性色材を該水性媒体に分散させるための樹脂分散剤を少なくとも含有し、該樹脂分散剤が、親水部と疎水部を有するブロック共重合体であり、且つ、その親水部の割合が樹脂全体に対してモル比で20%以上で、該親水部の親水基は、カルボキシル基と塩基との塩の形で水溶性を有しており、更に、インク中における該塩基の含有量が、上記カルボキシル基の全てを中和するのに必要な理論量の80%以上に調整されており、且つ、インク中におけるカルボキシル基の有効可溶化指数が70%以上であることを特徴とするインクジェット記録用インク。
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