JP2004268797A - 車両用空調装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ステアリングのリング部における運転者の手の位置を検出して、その手の位置に空調風を吹き出すことにより、運転者の手の不快感を解消可能な車両用空調装置を提供する。
【解決手段】ステアリングのリング部9における手の位置を検出するための検出手段として、赤外線センサ7を備え、赤外線センサ7を用いて検出された手の位置に向かって、空調風を吹き出すように構成する。好ましくは、車両のメータ表示部11に設けられたメータ吹出口2、2から、手の位置に向かって空調風を吹き出すように構成する。
【選択図】 図1
【解決手段】ステアリングのリング部9における手の位置を検出するための検出手段として、赤外線センサ7を備え、赤外線センサ7を用いて検出された手の位置に向かって、空調風を吹き出すように構成する。好ましくは、車両のメータ表示部11に設けられたメータ吹出口2、2から、手の位置に向かって空調風を吹き出すように構成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステアリングホイールのリング部における手の位置に空調風を吹き出し可能な車両用空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
運転者の車両乗り込み時、車室内の様々な機器は、真夏においては日射により相当量の熱を持ち、真冬においては冷気により冷やされている。特に、ステアリングホイールの環状部分であるリング部(リム部)は直接運転者の手が接触する場所であり、運転者は熱い、冷たいといった不快感を手に感じながら運転を行わなければならない。従来、このような手の不快感は、運転者が直接空調風の吹出口に手を当てることによって取り除いたり、自分で手の方向にレジスタを向けて送風させたりしているのが現状である。
【0003】
ここで、運転者の正面に向けて直接送風できるようにメータ表示部に吹出口を設けた車両用空調装置として、下記特許文献1に記載されたものがある。
【0004】
【特許文献1】
実開昭63−89319号公報
【0005】
一方、車室内温度、車室内に入る日射量、乗員の皮膚温度等によって、吹出状態や風向、風量を変えるように構成した車両用空調装置には、下記特許文献2〜5に記載されたものがある。
【0006】
【特許文献2】
特公平7−57565号公報
【特許文献3】
特公昭63−5290号公報
【特許文献4】
特許第2712517号公報
【特許文献5】
特許第2690803号公報
【0007】
なお、自動で方向が可変なスイングルーバを備えた車両用空調装置についての先行技術文献としては、下記特許文献6もある。
【0008】
【特許文献6】
特許第2658290号公報
【0009】
そして、車室内温度や、日射量、乗員の皮膚温度等を検出するためのセンサについての先行技術文献としては、下記特許文献7〜10がある。
【0010】
【特許文献7】
特開2001−191779公報
【特許文献8】
特開2001−150920公報
【特許文献9】
特開平10−230728号公報
【特許文献10】
特開平10−197348号公報
【0011】
また、個々の運転者の運転特性に応じた制御を行うための車両用装置についての先行技術文献としては、下記特許文献11がある。
【0012】
【特許文献11】
特公平7−78953号公報
【0013】
さらに、CCDカメラ等で得られた画像の処理についての先行技術文献としては、下記非特許文献1に記載されたものがある。
【0014】
【非特許文献1】
“画像認識技術”、[online]、[平成15年1月17日検索]、インターネット<URL:http://www.jpo.go.jp/ryutu/map/denki02/1/1−4−5.htm>
【0015】
また、コンピュータの学習についての先行技術文献としては、下記非特許文献2、3に記載されたものがあり、それぞれニューラルネットワークによる学習、遺伝的アルゴリズムによる学習について記載されている。
【0016】
【非特許文献2】
“ニューラルネットワークとは”、[online]、[平成15年1月17日検索]、インターネット<URL:http://sail.i.ishikawa−n ct.ac.jp/pattern/nn/nn.html>
【非特許文献3】
“遺伝的アルゴリズム”、[online]、[平成15年1月17日検索]、インターネット<URL:http://www.kaigisyo.ne.jp/literacy/midic/data/ k2/k240.html>
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の車両用空調装置はいずれも、ステアリングホイールのリング部における運転者の手の位置を検出して、その手の位置に空調風を吹き出すものではないため、やはり、運転者は手に不快感を感じながら運転を行わなければならず、そのような不快感を取り除くためには、自分でレジスタを手の方向に向けて送風するといった煩わしい作業が必要であるという問題があった。
【0018】
この発明は、上述した問題を解決するものであり、ステアリングホイールのリング部における運転者の手の位置を検出して、その手の位置に空調風を吹き出すことにより、運転者の手の不快感を解消可能な車両用空調装置を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の車両用空調装置は、ステアリングホイールのリング部における手の位置を検出するための検出手段を備え、前記検出手段を用いて検出された手の位置に向かって、空調風を吹き出すように構成されたことを特徴とする。
【0020】
これによれば、自動的に運転者の手の位置に向かって空調風が吹き出されるので、運転者が自分でレジスタを手の方向に向けて送風するといった煩わしい作業を行う必要なく、手の不快感が解消される。
【0021】
ここで、前記検出手段は、赤外線センサ、温度センサ、または、CCDカメラのいずれかとすることができる。
【0022】
また、車両のメータ表示部に設けられた吹出口から、前記手の位置に向かって空調風を吹き出すように構成することが好ましい。
【0023】
これによれば、運転者の前方から空調風が吹き出されるので、運転者の手の位置に効果的に空調風を当てることができる。
【0024】
また、車室内温度環境を検出するセンサ(内気温度センサ、日射センサ、赤外線センサ)の少なくとも1つを備え、前記センサにより検出された車室内温度と目標温度との差に応じて、前記手の位置に向かって吹き出される空調風の風量を変えるように構成することが好ましい。
【0025】
これによれば、例えば車室内温度と目標温度との差が大きい乗車当初は風量多く吹き出して、素早く手の位置を冷やしたり暖めたりし、車室内温度と目標温度との差が小さくなるに従って風量を減少させることにより、その後の冷やし過ぎや暖め過ぎを防止する等、周囲の温度に応じた風量の制御ができるので、快適性が向上する。
【0026】
また、本発明の車両用空調装置は、乗員の乗車前に、ステアリングホイールのリング部における手の推定位置に向かって空調風を吹き出すように構成されたことを特徴とする。
【0027】
これによれば、乗車前に予めリング部における手の推定位置の熱や冷えを取り除いておくことができるので、乗車当初から運転者は手に不快感を感じることなく快適に運転することができる。
【0028】
ここで、前記リング部における手の位置を検出するための検出手段と、コンピュータとを備え、前記検出手段を用いて検出された手の位置を前記コンピュータに学習させ、前記コンピュータにより前記推定位置を決めるように構成することが好ましい。
【0029】
これによれば、運転者が実際に握る位置と推定位置とが合致し易くなり、運転者が実際に握る位置が予め冷やされあるいは暖められている場合が多くなって、より快適な車両用空調装置を提供できる。
【0030】
また、前記検出手段は、赤外線センサ、温度センサ、または、CCDカメラのいずれかとすることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、第1実施形態に係る車両用空調装置が搭載された車両の車室内前部の概略図である。第1実施形態の車両用空調装置には、メータ吹出口2、2とセンタ吹出口3、3とサイドフェース吹出口4、4と助手席センタ吹出口5とインパネ吹出口6とが設けられ、これらの吹出口には、ブロア33(図2参照)により送風され、エバポレータ及び必要に応じてヒータコアを経て温度調節された空調風を導くダクトが、それぞれ接続されている。各ダクトには、各吹出口への風量を調節したり、送風を停止したりするためのモードドアが設けられている。
【0032】
メータ吹出口2、2は、インストルメントパネル(以下、インパネとも表記)1前面(乗員に対向する面)の運転席側に設けられたメータ表示部11の左右の側部に配設されており、吹出方向を自動で変更可能なレジスタを備えている。すなわち、メータ吹出口2、2のレジスタは、図2に示すように、ECU8による制御で方向が変更される縦ルーバ21及び横ルーバ22を備えている。
【0033】
センタ吹出口3、3、サイドフェース吹出口4、4、助手席センタ吹出口5は、インストルメントパネル1前面の中央部、両側部、助手席側中央部にそれぞれ設けられ、インパネ吹出口6は、インストルメントパネル1上面に設けられている。
【0034】
また、図1において、9はステアリングホイールにおいて運転者が握る環状部分であるリング部(リム部)であり、第1実施形態の車両用空調装置は、このリング部9における手の位置を検出するための検出手段として、赤外線センサ(以下、IRセンサとも表記)7を備えている。IRセンサ7は、メータ表示部11を覆うメータフード12の上面に配設されている。IRセンサ7はある一定範囲に存在する物体から放射される赤外線を検知可能な周知の赤外線マトリックスセンサであり、リング部9を含む所定範囲の温度分布を検出可能である。
【0035】
図2は、第1実施形態の車両用空調装置の概略構成図である。第1実施形態の車両用空調装置は、上述したIRセンサ7及びECU8の他に、車室内に設けられて車室内温度環境を検出可能なセンサ10を備え、IRセンサ7及びセンサ10からの信号はECU8に設けられたA/D変換器81に入力されてA/D変換され、ECU8に設けられたマイコン82に入力されるように構成されている。
【0036】
また、ECU8にはルーバ駆動回路23が接続され、ルーバ駆動回路23には、アクチュエータとしてモータを備えた縦ルーバ駆動機構24と横ルーバ駆動機構25とが接続されている。そして、縦ルーバ駆動機構24はバー26を介して上述した縦ルーバ21に接続され、横ルーバ駆動機構25はバー27を介して上述した横ルーバ22に接続されている。これらルーバ駆動回路23、縦ルーバ駆動機構24、横ルーバ駆動機構25、バー26、バー27、縦ルーバ21、横ルーバ22は、左右のメータ吹出口2、2に対してそれぞれ設けられており、左右のメータ吹出口2、2は、独立に吹出方向を変更できるように構成されている。
【0037】
また、ECU8にはブロアモータ駆動回路31が接続され、ブロアモータ駆動回路31にはブロアモータ32が接続され、ブロアモータ32にはブロア33が接続されている。
【0038】
また、ECU8にはエアミックスドア駆動回路41が接続され、エアミックスドア駆動回路41には、モータ等からなるエアミックスドア駆動機構42が接続され、エアミックス駆動機構42には、空調風の温度調節を行うためのエアミックスドア(以下、A/Mドアと表記)43が接続されている。
【0039】
さらに、ECU8にはメータ吹出モードドア駆動回路51が接続され、メータ吹出モードドア駆動回路51には、モータ等からなるメータ吹出モードドア駆動機構52が接続され、メータ吹出モードドア駆動機構52には、メータ吹出口22に通じるダクトを開閉するためのメータ吹出モードドア53が接続されている。なお、ECU8にはメータ吹出モードドア駆動回路51以外にも各種のモードドア駆動回路が接続され、各モードドア駆動回路には各モードドア駆動機構が接続され、各モードドア駆動機構には、フットモードドア、フェイスモードドア等の各種のモードドアが接続されている。
【0040】
以上のように構成された車両用空調装置の動作について、図3のフローチャートに基づいて説明する。運転者が車両に乗り込んでイグニッションキーをオンすると(S01)、IRセンサ7が作動を開始し、ステアリングホイールのリング部9を含む所定範囲の物体や人体から放射される赤外線を検知する。図4は、IRセンサ7からの出力に基づいて得られる温度分布マトリックスのイメージ図であり、リング部9の部分は温度が低く、運転者の手の部分は温度が高くなっていることを示している。このようなIRセンサ7からの出力に基づいて得られる温度分布マトリックスに基づき、ECU8は手の位置を検出する(S02)。この検出方法としては、例えば、リング部9の位置は略固定であるので、リング部9の位置に対応するマトリックス要素において、温度が所定の閾値よりも高い(あるいは、低い)部分を手と認識する方法がある。
【0041】
次に、ECU8は、検出した手の位置に空調風が吹き出されるように、縦ルーバ21、横ルーバ22の方向を変えるための制御信号を、ルーバ駆動回路23に出力し、ルーバ駆動回路23は、送られた制御信号に基づいて縦ルーバ駆動機構24、横ルーバ駆動機構25を駆動させ、縦ルーバ21、横ルーバ22の方向を変える(S03)。また、ECU8は、メータ吹出モードドア駆動回路51に制御信号を出力し、メータ吹出モードドア53を開放させる。
【0042】
次に、ECU8は、センサ10から得られた温度データに基づいて、車室内温度(室温)と予め設定されている所定の目標温度とを比較する(S04)。そして、室温と目標温度との差が第1の所定値以上であれば、風量を大と設定して、風量大で送風するための制御信号をブロアモータ駆動回路31に出力する。ブロアモータ駆動回路31は送られた制御信号に基づいてブロアモータ32を駆動し、ブロア33は風量大で送風を行う。したがって、メータ吹出口2からは風量大で、図1の矢印に示すように手の位置に向かって空調風が吹き出される(S05)。
【0043】
一方、室温と目標温度との差が第1の所定値未満であれば、ECU8は、室温と目標温度との差が第2の所定値以上か否かを調べ(S06)、第2の所定値以上であれば、風量を中と設定して、制御信号をブロアモータ駆動回路31に出力し、ブロア33は風量中で送風を行う。したがって、メータ吹出口2からは風量中で手の位置に向かって空調風が吹き出される(S07)。ここで、第2の所定値は第1の所定値よりも小さく設定されている。
【0044】
また、室温と目標温度との差が第2の所定値未満であれば、ECU8は、風量を小と設定して、制御信号をブロアモータ駆動回路31に出力し、ブロア33は風量小で送風を行う。したがって、メータ吹出口2からは風量小で手の位置に向かって空調風が吹き出される(S08)。
【0045】
なお、ブロア33からの送風量の調節以外に、メータ吹出モードドア53の開度調整により、風量を調節してもよい。
【0046】
そして、ECU8は、室温と目標温度との差が第3の所定値未満になったか否かを調べ(S09)、第3の所定値未満になれば、メータ吹出モードドア駆動回路51に制御信号を送ってメータ吹出モードドア53を閉鎖させ、送風を停止する(S10)。ここで、第3の所定値は第2の所定値よりも小さく設定されている。
【0047】
なお、空調風の温度は、室温等に応じて、ECU8がA/Mドア43の開度等を調節して適温に設定する。
【0048】
このように、目標温度との差によって段階的に風量をコントロールしたときの室温と風量の関係を、図5に示す。図5の実線Tは室温を、実線Wは風量を、破線は目標温度を表す。なお、図5の仮想線W1に示すように、連続的に風量を小さくするように構成してもよい。
【0049】
また、手の位置の検出を1回だけ行うのではなく、常時手の位置を監視することとし、メータ吹出口2からの送風中に手の位置が変わったときには、それに応じて縦ルーバ21、横ルーバ22の方向を変更するようにしてもよい。
【0050】
また、IRセンサ7から得られる手の温度を監視し、手の温度が所定温度に達したことを認識すると、手の位置への送風を停止し、運転者全体への送風に切り替えるように構成してもよい。
【0051】
第1実施形態によれば、自動的に運転者の手の位置に向かって空調風が吹き出されるので、運転者が自分でレジスタを手の方向に向けて送風するといった煩わしい作業を行う必要なく、手の不快感が解消される。
【0052】
また、運転者の前方に位置するメータ表示部11に設けられたメータ吹出口2から空調風が吹き出されるので、運転者の手の位置に効果的に空調風を当てることができる。
【0053】
さらに、室温と目標温度との差が大きい乗車当初は風量大で空調風が吹き出され、室温と目標温度との差が小さくなるに従って風量が減少するので、乗車当初は素早く手の位置が冷やされ又は暖められるとともに、ある程度冷やされ又は暖められた後は、冷やし過ぎや暖め過ぎが防止されることとなり、快適性が向上する。
【0054】
次に、第2実施形態について、第1実施形態と異なる部分を説明する。なお、第1実施形態と同様の部分には同一の符号を用いて、その説明を省略する。第2実施形態が第1実施形態と異なるのは、手の位置の検出手段である。
【0055】
第2実施形態の車両用空調装置では、手の位置の検出手段として、メータ表示部11付近(例えば、図1のIRセンサ7と同じ位置)に設置され、ECU8に接続されたCCDカメラを用い、CCDカメラにより得られた画像データから、手の部分を抽出して、手の位置を検出する。図6はそのイメージを表しており、図6(a)のような画像データから図6(b)のような手の部分を抽出する。
【0056】
ここで、画像認識における特徴の抽出には、エッジの抽出や、輝度、色の抽出等がある。エッジの抽出とは、画像の不連続点をエッジとして抽出し、そのエッジを境界線として画像をいくつかの連続領域に分割することである。つまり、濃度の変化点を抽出することにより対象物のエッジが検出できる。
【0057】
第2実施形態の車両用空調装置は、このように特徴抽出した結果と、予め記憶されている標準的な手のパターンとを比較し、手のパターンに類似していれば、手であると認識し、その位置に送風を行う。なお、画像認識における特徴抽出や画像識別の方法については、上記の先行技術文献等にも詳述されているので、ここでは詳述しない。
【0058】
次に、第3実施形態について、第1実施形態と異なる部分を説明する。なお、第1実施形態と同様の部分には同一の符号を用いて、その説明を省略する。第3実施形態が第1実施形態と異なるのは、手の位置の検出手段である。
【0059】
第3実施形態の車両用空調装置では、手の位置の検出手段として、図7に示すように、ステアリングホイールのリング部9の表面または内部に配設され、ECU8に接続された温度センサ91を用いる。すなわち、温度センサ91はリング部9上の温度を検出し、その電気信号をECU8に送る。ECU8は、リング部9上の温度分布から運転者の手の皮膚温度を検出し、その位置に図7の矢印に示すように送風を行う。なお、温度センサ91としては、接触方式の場合、熱電対、サーミスタ、金属側温抵抗体、IC温度センサ等を用いることができ、非接触方式の場合は、赤外線を利用した集電型温度センサ、サーモパイル等を用いることができる。
【0060】
なお、温度センサ91は、図7に示すように、リング部9において運転者が握ると思われる範囲にのみ配設してもよいし、リング部9の全周にわたって配設してもよい。
【0061】
次に、第4実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様の部分には同一の符号を用いて、その説明を省略する。第4実施形態では、図8に示すように、遠隔キーからの信号を受信する受信部13が車室内に配設されており、受信部13はECU8に接続されている。また、第1実施形態と同様に、実際の手の位置を検出するための検出手段として、メータフード12上にIRセンサ7が設置されている。
【0062】
運転者が遠隔キーに設けられた所定のボタンを操作すると、遠隔キーは所定の信号を発信し、受信部13はその信号を受信してECU8に送る。すると、ECU8は、メータ吹出口2からステアリングホイールのリング部9における手の推定位置に、空調風を吹き出す。
【0063】
ここで、手の推定位置は、IRセンサ7で検出された過去の手の位置をマイコン82に学習させることにより決定する。この決定方法としては、例えば、簡単には、検出された手の位置を分別して記憶しておき、過去最も多かった位置を手の推定位置とする方法がある。また、最近検出された手の位置を重要視するように、最近検出された手の位置には大きい重みを掛ける等、適宜重み付けして手の位置を算出し、最近の傾向に迅速に対応できるようにしてもよい。また、高度な学習方法としては、上記先行技術文献に説明されているようなニューラルネットワークを用いた学習方法や遺伝的アルゴリズムを用いた学習方法があり、これらの学習方法を用いて手の推定位置を決定してもよい。
【0064】
このように手の推定位置に空調風を吹き出した後、運転者が乗り込んでエンジンを始動すると、車両用空調装置は第1実施形態と同様の制御に切り替わる。すなわち、車両用空調装置は、IRセンサ7を用いて実際の手の位置の検出を行い、その手の位置に空調風を吹き出し、室温と目標温度との差によって風量を切り替える。なお、第4実施形態は、ハイブリッド車や電気自動車等、エンジン始動とは無関係に利用可能な電源を有する車両に適している。
【0065】
このように、第4実施形態では、乗員の乗車前に予め手の推定位置に空調風を吹き出すことができるので、乗車前に予めリング部9における手の推定位置の熱や冷えを取り除いておくことができる。したがって、乗車当初から運転者は手に不快感を感じることなく快適に運転することができる。
【0066】
また、運転者によってリング部9を握る位置には癖があるが、マイコン82が過去の手の位置を学習することにより推定位置を決めるので、運転者の癖に合わせることができ、運転者が実際に握る位置と推定位置とが合致し易くなる。したがって、運転者が実際に握る位置が予め冷やされあるいは暖められている場合が多くなって、より快適な車両用空調装置を提供できる。
【0067】
なお、手の位置の検出手段としては、IRセンサ7以外に、温度センサ91、CCDカメラ等を用いてもよい。
【0068】
また、マイコン82による学習を行わず、一般の運転者がリング部9を握る位置の傾向を統計的に求めて、最も一般的な位置を推定位置として予めECU8に記憶させておき、その推定位置に空調風を吹き出すように構成してもよい。これによれば、構成容易であり、また、様々な運手者が運転するような車両に適している。
【0069】
また、第1〜第4実施形態においては、いずれもメータ表示部11に設けられたメータ吹出口2から手の位置あるいは推定位置に向かって空調風を吹き出したが、メータ吹出口2を設けず、インパネ1に設けられている従来のサイドフェース吹出口4やセンタ吹出口3から手の位置あるいは推定位置に向かって空調風を吹き出すように構成してもよい。
【0070】
すなわち、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で、本発明は種々の構成を採り得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る車両用空調装置が搭載された車両の車室内前部の概略図
【図2】第1実施形態にかかる車両用空調装置の概略構成図
【図3】第1実施形態の車両用空調装置の動作を示すフローチャート
【図4】IRセンサからの出力に基づいて得られる温度分布マトリックスのイメージ図
【図5】目標温度との差によって段階的に風量をコントロールしたときの室温と風量の関係を示す図
【図6】CCDカメラにより得られた画像データから、手の部分を抽出するときのイメージ図
【図7】第3実施形態に係る車両用空調装置が搭載された車両の車室内前部の概略図
【図8】第4実施形態に係る車両用空調装置が搭載された車両の車室内前部の概略図
【符号の説明】
2…メータ吹出口
7…赤外線センサ(検出手段)
9…リング部
10…センサ
11…メータ表示部
82…マイコン(コンピュータ)
91…温度センサ(検出手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステアリングホイールのリング部における手の位置に空調風を吹き出し可能な車両用空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
運転者の車両乗り込み時、車室内の様々な機器は、真夏においては日射により相当量の熱を持ち、真冬においては冷気により冷やされている。特に、ステアリングホイールの環状部分であるリング部(リム部)は直接運転者の手が接触する場所であり、運転者は熱い、冷たいといった不快感を手に感じながら運転を行わなければならない。従来、このような手の不快感は、運転者が直接空調風の吹出口に手を当てることによって取り除いたり、自分で手の方向にレジスタを向けて送風させたりしているのが現状である。
【0003】
ここで、運転者の正面に向けて直接送風できるようにメータ表示部に吹出口を設けた車両用空調装置として、下記特許文献1に記載されたものがある。
【0004】
【特許文献1】
実開昭63−89319号公報
【0005】
一方、車室内温度、車室内に入る日射量、乗員の皮膚温度等によって、吹出状態や風向、風量を変えるように構成した車両用空調装置には、下記特許文献2〜5に記載されたものがある。
【0006】
【特許文献2】
特公平7−57565号公報
【特許文献3】
特公昭63−5290号公報
【特許文献4】
特許第2712517号公報
【特許文献5】
特許第2690803号公報
【0007】
なお、自動で方向が可変なスイングルーバを備えた車両用空調装置についての先行技術文献としては、下記特許文献6もある。
【0008】
【特許文献6】
特許第2658290号公報
【0009】
そして、車室内温度や、日射量、乗員の皮膚温度等を検出するためのセンサについての先行技術文献としては、下記特許文献7〜10がある。
【0010】
【特許文献7】
特開2001−191779公報
【特許文献8】
特開2001−150920公報
【特許文献9】
特開平10−230728号公報
【特許文献10】
特開平10−197348号公報
【0011】
また、個々の運転者の運転特性に応じた制御を行うための車両用装置についての先行技術文献としては、下記特許文献11がある。
【0012】
【特許文献11】
特公平7−78953号公報
【0013】
さらに、CCDカメラ等で得られた画像の処理についての先行技術文献としては、下記非特許文献1に記載されたものがある。
【0014】
【非特許文献1】
“画像認識技術”、[online]、[平成15年1月17日検索]、インターネット<URL:http://www.jpo.go.jp/ryutu/map/denki02/1/1−4−5.htm>
【0015】
また、コンピュータの学習についての先行技術文献としては、下記非特許文献2、3に記載されたものがあり、それぞれニューラルネットワークによる学習、遺伝的アルゴリズムによる学習について記載されている。
【0016】
【非特許文献2】
“ニューラルネットワークとは”、[online]、[平成15年1月17日検索]、インターネット<URL:http://sail.i.ishikawa−n ct.ac.jp/pattern/nn/nn.html>
【非特許文献3】
“遺伝的アルゴリズム”、[online]、[平成15年1月17日検索]、インターネット<URL:http://www.kaigisyo.ne.jp/literacy/midic/data/ k2/k240.html>
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の車両用空調装置はいずれも、ステアリングホイールのリング部における運転者の手の位置を検出して、その手の位置に空調風を吹き出すものではないため、やはり、運転者は手に不快感を感じながら運転を行わなければならず、そのような不快感を取り除くためには、自分でレジスタを手の方向に向けて送風するといった煩わしい作業が必要であるという問題があった。
【0018】
この発明は、上述した問題を解決するものであり、ステアリングホイールのリング部における運転者の手の位置を検出して、その手の位置に空調風を吹き出すことにより、運転者の手の不快感を解消可能な車両用空調装置を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の車両用空調装置は、ステアリングホイールのリング部における手の位置を検出するための検出手段を備え、前記検出手段を用いて検出された手の位置に向かって、空調風を吹き出すように構成されたことを特徴とする。
【0020】
これによれば、自動的に運転者の手の位置に向かって空調風が吹き出されるので、運転者が自分でレジスタを手の方向に向けて送風するといった煩わしい作業を行う必要なく、手の不快感が解消される。
【0021】
ここで、前記検出手段は、赤外線センサ、温度センサ、または、CCDカメラのいずれかとすることができる。
【0022】
また、車両のメータ表示部に設けられた吹出口から、前記手の位置に向かって空調風を吹き出すように構成することが好ましい。
【0023】
これによれば、運転者の前方から空調風が吹き出されるので、運転者の手の位置に効果的に空調風を当てることができる。
【0024】
また、車室内温度環境を検出するセンサ(内気温度センサ、日射センサ、赤外線センサ)の少なくとも1つを備え、前記センサにより検出された車室内温度と目標温度との差に応じて、前記手の位置に向かって吹き出される空調風の風量を変えるように構成することが好ましい。
【0025】
これによれば、例えば車室内温度と目標温度との差が大きい乗車当初は風量多く吹き出して、素早く手の位置を冷やしたり暖めたりし、車室内温度と目標温度との差が小さくなるに従って風量を減少させることにより、その後の冷やし過ぎや暖め過ぎを防止する等、周囲の温度に応じた風量の制御ができるので、快適性が向上する。
【0026】
また、本発明の車両用空調装置は、乗員の乗車前に、ステアリングホイールのリング部における手の推定位置に向かって空調風を吹き出すように構成されたことを特徴とする。
【0027】
これによれば、乗車前に予めリング部における手の推定位置の熱や冷えを取り除いておくことができるので、乗車当初から運転者は手に不快感を感じることなく快適に運転することができる。
【0028】
ここで、前記リング部における手の位置を検出するための検出手段と、コンピュータとを備え、前記検出手段を用いて検出された手の位置を前記コンピュータに学習させ、前記コンピュータにより前記推定位置を決めるように構成することが好ましい。
【0029】
これによれば、運転者が実際に握る位置と推定位置とが合致し易くなり、運転者が実際に握る位置が予め冷やされあるいは暖められている場合が多くなって、より快適な車両用空調装置を提供できる。
【0030】
また、前記検出手段は、赤外線センサ、温度センサ、または、CCDカメラのいずれかとすることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、第1実施形態に係る車両用空調装置が搭載された車両の車室内前部の概略図である。第1実施形態の車両用空調装置には、メータ吹出口2、2とセンタ吹出口3、3とサイドフェース吹出口4、4と助手席センタ吹出口5とインパネ吹出口6とが設けられ、これらの吹出口には、ブロア33(図2参照)により送風され、エバポレータ及び必要に応じてヒータコアを経て温度調節された空調風を導くダクトが、それぞれ接続されている。各ダクトには、各吹出口への風量を調節したり、送風を停止したりするためのモードドアが設けられている。
【0032】
メータ吹出口2、2は、インストルメントパネル(以下、インパネとも表記)1前面(乗員に対向する面)の運転席側に設けられたメータ表示部11の左右の側部に配設されており、吹出方向を自動で変更可能なレジスタを備えている。すなわち、メータ吹出口2、2のレジスタは、図2に示すように、ECU8による制御で方向が変更される縦ルーバ21及び横ルーバ22を備えている。
【0033】
センタ吹出口3、3、サイドフェース吹出口4、4、助手席センタ吹出口5は、インストルメントパネル1前面の中央部、両側部、助手席側中央部にそれぞれ設けられ、インパネ吹出口6は、インストルメントパネル1上面に設けられている。
【0034】
また、図1において、9はステアリングホイールにおいて運転者が握る環状部分であるリング部(リム部)であり、第1実施形態の車両用空調装置は、このリング部9における手の位置を検出するための検出手段として、赤外線センサ(以下、IRセンサとも表記)7を備えている。IRセンサ7は、メータ表示部11を覆うメータフード12の上面に配設されている。IRセンサ7はある一定範囲に存在する物体から放射される赤外線を検知可能な周知の赤外線マトリックスセンサであり、リング部9を含む所定範囲の温度分布を検出可能である。
【0035】
図2は、第1実施形態の車両用空調装置の概略構成図である。第1実施形態の車両用空調装置は、上述したIRセンサ7及びECU8の他に、車室内に設けられて車室内温度環境を検出可能なセンサ10を備え、IRセンサ7及びセンサ10からの信号はECU8に設けられたA/D変換器81に入力されてA/D変換され、ECU8に設けられたマイコン82に入力されるように構成されている。
【0036】
また、ECU8にはルーバ駆動回路23が接続され、ルーバ駆動回路23には、アクチュエータとしてモータを備えた縦ルーバ駆動機構24と横ルーバ駆動機構25とが接続されている。そして、縦ルーバ駆動機構24はバー26を介して上述した縦ルーバ21に接続され、横ルーバ駆動機構25はバー27を介して上述した横ルーバ22に接続されている。これらルーバ駆動回路23、縦ルーバ駆動機構24、横ルーバ駆動機構25、バー26、バー27、縦ルーバ21、横ルーバ22は、左右のメータ吹出口2、2に対してそれぞれ設けられており、左右のメータ吹出口2、2は、独立に吹出方向を変更できるように構成されている。
【0037】
また、ECU8にはブロアモータ駆動回路31が接続され、ブロアモータ駆動回路31にはブロアモータ32が接続され、ブロアモータ32にはブロア33が接続されている。
【0038】
また、ECU8にはエアミックスドア駆動回路41が接続され、エアミックスドア駆動回路41には、モータ等からなるエアミックスドア駆動機構42が接続され、エアミックス駆動機構42には、空調風の温度調節を行うためのエアミックスドア(以下、A/Mドアと表記)43が接続されている。
【0039】
さらに、ECU8にはメータ吹出モードドア駆動回路51が接続され、メータ吹出モードドア駆動回路51には、モータ等からなるメータ吹出モードドア駆動機構52が接続され、メータ吹出モードドア駆動機構52には、メータ吹出口22に通じるダクトを開閉するためのメータ吹出モードドア53が接続されている。なお、ECU8にはメータ吹出モードドア駆動回路51以外にも各種のモードドア駆動回路が接続され、各モードドア駆動回路には各モードドア駆動機構が接続され、各モードドア駆動機構には、フットモードドア、フェイスモードドア等の各種のモードドアが接続されている。
【0040】
以上のように構成された車両用空調装置の動作について、図3のフローチャートに基づいて説明する。運転者が車両に乗り込んでイグニッションキーをオンすると(S01)、IRセンサ7が作動を開始し、ステアリングホイールのリング部9を含む所定範囲の物体や人体から放射される赤外線を検知する。図4は、IRセンサ7からの出力に基づいて得られる温度分布マトリックスのイメージ図であり、リング部9の部分は温度が低く、運転者の手の部分は温度が高くなっていることを示している。このようなIRセンサ7からの出力に基づいて得られる温度分布マトリックスに基づき、ECU8は手の位置を検出する(S02)。この検出方法としては、例えば、リング部9の位置は略固定であるので、リング部9の位置に対応するマトリックス要素において、温度が所定の閾値よりも高い(あるいは、低い)部分を手と認識する方法がある。
【0041】
次に、ECU8は、検出した手の位置に空調風が吹き出されるように、縦ルーバ21、横ルーバ22の方向を変えるための制御信号を、ルーバ駆動回路23に出力し、ルーバ駆動回路23は、送られた制御信号に基づいて縦ルーバ駆動機構24、横ルーバ駆動機構25を駆動させ、縦ルーバ21、横ルーバ22の方向を変える(S03)。また、ECU8は、メータ吹出モードドア駆動回路51に制御信号を出力し、メータ吹出モードドア53を開放させる。
【0042】
次に、ECU8は、センサ10から得られた温度データに基づいて、車室内温度(室温)と予め設定されている所定の目標温度とを比較する(S04)。そして、室温と目標温度との差が第1の所定値以上であれば、風量を大と設定して、風量大で送風するための制御信号をブロアモータ駆動回路31に出力する。ブロアモータ駆動回路31は送られた制御信号に基づいてブロアモータ32を駆動し、ブロア33は風量大で送風を行う。したがって、メータ吹出口2からは風量大で、図1の矢印に示すように手の位置に向かって空調風が吹き出される(S05)。
【0043】
一方、室温と目標温度との差が第1の所定値未満であれば、ECU8は、室温と目標温度との差が第2の所定値以上か否かを調べ(S06)、第2の所定値以上であれば、風量を中と設定して、制御信号をブロアモータ駆動回路31に出力し、ブロア33は風量中で送風を行う。したがって、メータ吹出口2からは風量中で手の位置に向かって空調風が吹き出される(S07)。ここで、第2の所定値は第1の所定値よりも小さく設定されている。
【0044】
また、室温と目標温度との差が第2の所定値未満であれば、ECU8は、風量を小と設定して、制御信号をブロアモータ駆動回路31に出力し、ブロア33は風量小で送風を行う。したがって、メータ吹出口2からは風量小で手の位置に向かって空調風が吹き出される(S08)。
【0045】
なお、ブロア33からの送風量の調節以外に、メータ吹出モードドア53の開度調整により、風量を調節してもよい。
【0046】
そして、ECU8は、室温と目標温度との差が第3の所定値未満になったか否かを調べ(S09)、第3の所定値未満になれば、メータ吹出モードドア駆動回路51に制御信号を送ってメータ吹出モードドア53を閉鎖させ、送風を停止する(S10)。ここで、第3の所定値は第2の所定値よりも小さく設定されている。
【0047】
なお、空調風の温度は、室温等に応じて、ECU8がA/Mドア43の開度等を調節して適温に設定する。
【0048】
このように、目標温度との差によって段階的に風量をコントロールしたときの室温と風量の関係を、図5に示す。図5の実線Tは室温を、実線Wは風量を、破線は目標温度を表す。なお、図5の仮想線W1に示すように、連続的に風量を小さくするように構成してもよい。
【0049】
また、手の位置の検出を1回だけ行うのではなく、常時手の位置を監視することとし、メータ吹出口2からの送風中に手の位置が変わったときには、それに応じて縦ルーバ21、横ルーバ22の方向を変更するようにしてもよい。
【0050】
また、IRセンサ7から得られる手の温度を監視し、手の温度が所定温度に達したことを認識すると、手の位置への送風を停止し、運転者全体への送風に切り替えるように構成してもよい。
【0051】
第1実施形態によれば、自動的に運転者の手の位置に向かって空調風が吹き出されるので、運転者が自分でレジスタを手の方向に向けて送風するといった煩わしい作業を行う必要なく、手の不快感が解消される。
【0052】
また、運転者の前方に位置するメータ表示部11に設けられたメータ吹出口2から空調風が吹き出されるので、運転者の手の位置に効果的に空調風を当てることができる。
【0053】
さらに、室温と目標温度との差が大きい乗車当初は風量大で空調風が吹き出され、室温と目標温度との差が小さくなるに従って風量が減少するので、乗車当初は素早く手の位置が冷やされ又は暖められるとともに、ある程度冷やされ又は暖められた後は、冷やし過ぎや暖め過ぎが防止されることとなり、快適性が向上する。
【0054】
次に、第2実施形態について、第1実施形態と異なる部分を説明する。なお、第1実施形態と同様の部分には同一の符号を用いて、その説明を省略する。第2実施形態が第1実施形態と異なるのは、手の位置の検出手段である。
【0055】
第2実施形態の車両用空調装置では、手の位置の検出手段として、メータ表示部11付近(例えば、図1のIRセンサ7と同じ位置)に設置され、ECU8に接続されたCCDカメラを用い、CCDカメラにより得られた画像データから、手の部分を抽出して、手の位置を検出する。図6はそのイメージを表しており、図6(a)のような画像データから図6(b)のような手の部分を抽出する。
【0056】
ここで、画像認識における特徴の抽出には、エッジの抽出や、輝度、色の抽出等がある。エッジの抽出とは、画像の不連続点をエッジとして抽出し、そのエッジを境界線として画像をいくつかの連続領域に分割することである。つまり、濃度の変化点を抽出することにより対象物のエッジが検出できる。
【0057】
第2実施形態の車両用空調装置は、このように特徴抽出した結果と、予め記憶されている標準的な手のパターンとを比較し、手のパターンに類似していれば、手であると認識し、その位置に送風を行う。なお、画像認識における特徴抽出や画像識別の方法については、上記の先行技術文献等にも詳述されているので、ここでは詳述しない。
【0058】
次に、第3実施形態について、第1実施形態と異なる部分を説明する。なお、第1実施形態と同様の部分には同一の符号を用いて、その説明を省略する。第3実施形態が第1実施形態と異なるのは、手の位置の検出手段である。
【0059】
第3実施形態の車両用空調装置では、手の位置の検出手段として、図7に示すように、ステアリングホイールのリング部9の表面または内部に配設され、ECU8に接続された温度センサ91を用いる。すなわち、温度センサ91はリング部9上の温度を検出し、その電気信号をECU8に送る。ECU8は、リング部9上の温度分布から運転者の手の皮膚温度を検出し、その位置に図7の矢印に示すように送風を行う。なお、温度センサ91としては、接触方式の場合、熱電対、サーミスタ、金属側温抵抗体、IC温度センサ等を用いることができ、非接触方式の場合は、赤外線を利用した集電型温度センサ、サーモパイル等を用いることができる。
【0060】
なお、温度センサ91は、図7に示すように、リング部9において運転者が握ると思われる範囲にのみ配設してもよいし、リング部9の全周にわたって配設してもよい。
【0061】
次に、第4実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様の部分には同一の符号を用いて、その説明を省略する。第4実施形態では、図8に示すように、遠隔キーからの信号を受信する受信部13が車室内に配設されており、受信部13はECU8に接続されている。また、第1実施形態と同様に、実際の手の位置を検出するための検出手段として、メータフード12上にIRセンサ7が設置されている。
【0062】
運転者が遠隔キーに設けられた所定のボタンを操作すると、遠隔キーは所定の信号を発信し、受信部13はその信号を受信してECU8に送る。すると、ECU8は、メータ吹出口2からステアリングホイールのリング部9における手の推定位置に、空調風を吹き出す。
【0063】
ここで、手の推定位置は、IRセンサ7で検出された過去の手の位置をマイコン82に学習させることにより決定する。この決定方法としては、例えば、簡単には、検出された手の位置を分別して記憶しておき、過去最も多かった位置を手の推定位置とする方法がある。また、最近検出された手の位置を重要視するように、最近検出された手の位置には大きい重みを掛ける等、適宜重み付けして手の位置を算出し、最近の傾向に迅速に対応できるようにしてもよい。また、高度な学習方法としては、上記先行技術文献に説明されているようなニューラルネットワークを用いた学習方法や遺伝的アルゴリズムを用いた学習方法があり、これらの学習方法を用いて手の推定位置を決定してもよい。
【0064】
このように手の推定位置に空調風を吹き出した後、運転者が乗り込んでエンジンを始動すると、車両用空調装置は第1実施形態と同様の制御に切り替わる。すなわち、車両用空調装置は、IRセンサ7を用いて実際の手の位置の検出を行い、その手の位置に空調風を吹き出し、室温と目標温度との差によって風量を切り替える。なお、第4実施形態は、ハイブリッド車や電気自動車等、エンジン始動とは無関係に利用可能な電源を有する車両に適している。
【0065】
このように、第4実施形態では、乗員の乗車前に予め手の推定位置に空調風を吹き出すことができるので、乗車前に予めリング部9における手の推定位置の熱や冷えを取り除いておくことができる。したがって、乗車当初から運転者は手に不快感を感じることなく快適に運転することができる。
【0066】
また、運転者によってリング部9を握る位置には癖があるが、マイコン82が過去の手の位置を学習することにより推定位置を決めるので、運転者の癖に合わせることができ、運転者が実際に握る位置と推定位置とが合致し易くなる。したがって、運転者が実際に握る位置が予め冷やされあるいは暖められている場合が多くなって、より快適な車両用空調装置を提供できる。
【0067】
なお、手の位置の検出手段としては、IRセンサ7以外に、温度センサ91、CCDカメラ等を用いてもよい。
【0068】
また、マイコン82による学習を行わず、一般の運転者がリング部9を握る位置の傾向を統計的に求めて、最も一般的な位置を推定位置として予めECU8に記憶させておき、その推定位置に空調風を吹き出すように構成してもよい。これによれば、構成容易であり、また、様々な運手者が運転するような車両に適している。
【0069】
また、第1〜第4実施形態においては、いずれもメータ表示部11に設けられたメータ吹出口2から手の位置あるいは推定位置に向かって空調風を吹き出したが、メータ吹出口2を設けず、インパネ1に設けられている従来のサイドフェース吹出口4やセンタ吹出口3から手の位置あるいは推定位置に向かって空調風を吹き出すように構成してもよい。
【0070】
すなわち、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で、本発明は種々の構成を採り得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る車両用空調装置が搭載された車両の車室内前部の概略図
【図2】第1実施形態にかかる車両用空調装置の概略構成図
【図3】第1実施形態の車両用空調装置の動作を示すフローチャート
【図4】IRセンサからの出力に基づいて得られる温度分布マトリックスのイメージ図
【図5】目標温度との差によって段階的に風量をコントロールしたときの室温と風量の関係を示す図
【図6】CCDカメラにより得られた画像データから、手の部分を抽出するときのイメージ図
【図7】第3実施形態に係る車両用空調装置が搭載された車両の車室内前部の概略図
【図8】第4実施形態に係る車両用空調装置が搭載された車両の車室内前部の概略図
【符号の説明】
2…メータ吹出口
7…赤外線センサ(検出手段)
9…リング部
10…センサ
11…メータ表示部
82…マイコン(コンピュータ)
91…温度センサ(検出手段)
Claims (7)
- ステアリングホイールのリング部における手の位置を検出するための検出手段を備え、前記検出手段を用いて検出された手の位置に向かって、空調風を吹き出すように構成されたことを特徴とする車両用空調装置。
- 前記検出手段が、赤外線センサ、温度センサ、または、CCDカメラのいずれかであることを特徴とする請求項1記載の車両用空調装置。
- 車両のメータ表示部に設けられた吹出口から、前記手の位置に向かって空調風を吹き出すように構成されたことを特徴とする請求項1または2記載の車両用空調装置。
- 車室内温度環境を検出するセンサとなる内気温度センサ、日射センサ、赤外線センサのうち少なくとも1つを備え、前記センサにより検出された車室内温度と目標温度との差に応じて、前記手の位置に向かって吹き出される空調風の風量を変えるように構成されたことを特徴とする請求項1、2または3記載の車両用空調装置。
- 乗員の乗車前に、ステアリングホイールのリング部における手の推定位置に向かって空調風を吹き出すように構成されたことを特徴とする車両用空調装置。
- 前記リング部における手の位置を検出するための検出手段と、コンピュータとを備え、前記検出手段を用いて検出された手の位置を前記コンピュータに学習させ、前記コンピュータにより前記推定位置を決めるように構成されたことを特徴とする請求項5記載の車両用空調装置。
- 前記検出手段が、赤外線センサ、温度センサ、または、CCDカメラのいずれかであることを特徴とする請求項6記載の車両用空調装置。
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