JP2004264699A - ズーム光学装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】占有スペ−スが少なく、小型化が可能であって、ズームレンズのガタが適切に除去できるズームファインダを提供する。
【解決手段】このズームファインダは、第1,2ズームレンズ枠18,19を進退駆動するための接合カム部材として第1カム14と第2カム15を有しており、第1,2カムは、互いに結合した状態で駆動軸11に回転自在に支持されている。上記第1,2ズームレンズ枠は、ガイド軸20に摺動自在に支持されており、第1,2カム14,15により進退駆動される。上記第1,2ズームレンズ枠の間には、レンズ付勢バネ21が取り付けられており、そのフック部21a,21bは、バネ自由状態で外側に傾斜して形成されている。該フック部が懸架された第1,2ズームレンズ枠は、外側に上記ガイド軸との隙間分だけ傾斜して支持されるのでガイド軸に対してガタのない状態で摺動可能となる。
【選択図】 図2
【解決手段】このズームファインダは、第1,2ズームレンズ枠18,19を進退駆動するための接合カム部材として第1カム14と第2カム15を有しており、第1,2カムは、互いに結合した状態で駆動軸11に回転自在に支持されている。上記第1,2ズームレンズ枠は、ガイド軸20に摺動自在に支持されており、第1,2カム14,15により進退駆動される。上記第1,2ズームレンズ枠の間には、レンズ付勢バネ21が取り付けられており、そのフック部21a,21bは、バネ自由状態で外側に傾斜して形成されている。該フック部が懸架された第1,2ズームレンズ枠は、外側に上記ガイド軸との隙間分だけ傾斜して支持されるのでガイド軸に対してガタのない状態で摺動可能となる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ズーム光学装置の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のカメラのズーム光学装置の1つとして、例えば、ズームファインダは、撮影レンズのズーム比に連動してファインダ内のズームレンズが所定の位置に移動するよう構成されている。すなわち、上記ファインダーのズームレンズは、通常2枚以上あり、複数枚のレンズ群が撮影レンズのズーム位置に対応した各ズーム位置にレンズガイド部に沿って移動する。ズームファインダ内には、上記ズームレンズの一部に当接し、該レンズを移動させるための移動位置変換カムが設けられる。そして、上記変換カムに当接する上記ズームレンズの移動方向(光軸方向)のガタを取り除くために対となる上記ズームレンズにはレンズガイド部近傍に上記ズームレンズを移動方向に付勢するレンズ付勢バネが懸架されている。なお、上記ズームレンズには、上記レンズガイド部回りの回転を規制する回転止めが設けられる。
【0003】
上記ファインダのズームレンズのガタとして上記光軸方向のガタの他に3方向のガタが存在する。いま、光軸方向(レンズガイド方向)をZ軸、上下方向の軸をY軸、左右方向の軸をX軸とすると、Z軸まわりのガタによって生じるレンズのずれを偏心と称し、Y軸回りの回転ガタをヨーあおり(水平あおり)と称し、X軸回りの回転ガタをピッチあおり(倒れあおり)と称する。上記偏心や各ガタは、ファインダ画質、特にズーム作動中のファインダ画質を確保するために、除去しなければならない。
上記ピッチあおりと、ヨーあおりとは、主にレンズの軸受け部(嵌合部)とレンズガイドに所定の隙間が存在することによって発生する。上記軸受け部(嵌合部)とレンズガイドの隙間は、温度変化を考慮すると所定の隙間は確保しなければならない。また、コンパクト化の点からは、上記軸受け部をより短くする必要があるが、短くすることで上記あおり量は増大する。また、上記偏心は、上記回転止めの精度に応じて発生する。これらを効率よく除去するための提案として、特許文献1に開示されたファインダ調整機構は、上記レンズ付勢バネを光軸方向に斜めになるようにかけて、ピッチあおりも除去する構造を適用するものである。また、特許文献2に開示されたカメラのファインダ機構は、上記レンズ付勢バネの両端を腕部として、レンズをガイド部まわりに付勢し、レンズのガタによる偏心を抑える構造を有する。
【0004】
【特許文献1】
特許文献1は、特許公開公報2002−62562号である。
【0005】
【特許文献2】
特許文献2は、特許公開公報平6−250263号である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した特許文献1によるファインダ調整機構では、偏心とヨーあおりを除去できない。また、レンズのガタ取りのためにバネをレンズに対して斜めに懸架する構造を用いており、占有スペ−スが大きく、ファインダ機構のコンパクト化に問題がある。
【0007】
一方、特許文献2のファインダ機構では、レンズの偏心を抑えられるが、ヨーあおりとピッチあおりを除去することができない。また、レンズ同士を光軸方向に離反させるためのコイルバネのねじり方向の回転力によってレンズ偏心を除去する力を発生させるようになっており、レンズ同士を光軸方向に離反する力と上記レンズ偏心を除去する力とを独立した力で設定できない。したがって、適正な力量設定が困難であるという問題もある。
【0008】
本発明は、上述した問題に鑑みなされたもので、占有スペ−スが少なく、小型化が可能であって、ズームレンズのガタが適切に除去できるズーム光学装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載のズーム光学装置は、カム部により光軸方向の定められた位置を移動する1組のズームレンズと、上記ズームレンズの光軸方向の移動自在に支持するガイド軸と、上記1組のズームレンズに設けられ、上記ガイド軸が嵌合する嵌合穴が具えられたた嵌合部と、上記嵌合穴の間の挟まれ、かつ、上記ガイド軸に巻回されように具えたれ、上記1組のズームレンズを互いに光軸方向に接近、または、離反するように付勢するコイルバネとを備えており、上記コイルバネの両端には、上記嵌合部にそれぞれ係合する係合部が形成され、上記係合部が上記係合部に対してそれぞれ光軸方向に直交する軸回りの互いに逆方向のモーメントを与えるように、バネ自由状態でコイルバネ端面からコイル軸心方向に変位した位置に形成されている。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態のズーム光学装置としてのズームファインダの概略の配置を示す図であって、ズームファインダを底面側から見た模式的斜視図である。
【0011】
本実施形態のズームファインダ1は、図1に示すようにファインダ本体2内に収納され、対物レンズ3と、対物レンズ3で取り込まれた被写体光をファインダレンズ部側に反射して出射するプリズム4と、後述するファインダ光学系部6を撮影レンズ系側に連動させて進退させるためのファインダ駆動機構部5と、進退可能な上記ズームファインダ光学系部6と、接眼レンズ8とを有してなる。
【0012】
本実施形態のズームファインダ1を構成する上記ファインダ駆動機構部5および進退可能なファインダ光学系部6について、図2〜13を用いて詳細に説明する。
【0013】
図2は、上記ズームファインダの要部を図1のカメラ底面側のPB から見たときの分解斜視図である。図3は、上記ズームファインダを構成するファインダ駆動機構部とファインダ光学系部を図1のカメラ底面側のPA から見た下面図である。図4は、上記ファインダ光学系部を図1のカメラ底面側のPA から見た斜視図である。図5は、ファインダ駆動機構部における第1カムの一部の展開図であり、図6は、カム結合部まわりを示す図である図5のB−B断面図である。図7は、ファインダ駆動機構部の第2カムの一部の展開図であり、図8は、カム結合部まわりを示す図である図7のC−C断面図である。図9は、上記カム結合部断面図である。図10は、上記第1カムと駆動板との各回転状態を示す図である図3のA−A断面図であって、図10(A)がテレ回動位置にあるとき、図10(B)がワイド回動位置にあるとき、図10(C)は、第1カムがワイド回動位置に止まり、駆動板が沈胴対応位置まで回転した状態を示す。図11は、上記ファインダ光学系部におけるレンズ付勢バネの自由状態を示す図である。図12は、上記レンズ付勢バネを装着した状態を示す図である。図13は、上記レンズ付勢バネにおける力の作用状態を示す図である。
【0014】
なお、以下の説明において、ズームファインダ光学系の光軸をOfとし、光軸Ofと平行である後述する駆動軸11の軸心をZ軸、その方向をZ方向とし、後述するガイド軸20の軸心をZ′軸、その方向をZ′方向とする。そして、Z軸,Z′軸と垂直な上下方向をY、または、Y′方向とし、Z軸,Z′軸と垂直な左右方向をX方向、または、X′方向とする。但し、上下、または、左右は、図2上の方向で示すものとする。また、光軸Ofの対物側を前方とし、接眼側を後方とし、回転方向は、前方より見たときの回転方向で示す。
【0015】
本実施形態のズームファインダ1を構成するファインダ駆動機構部5は、カメラ側撮影レンズ系のズーム駆動に連動してファインダ光学系部6を進退駆動し、さらに、上記撮影レンズ系の沈胴駆動領域では、ファインダズーム光学系部6の進退駆動を停止させた状態を維持することができるファインダ駆動機構部である。さらに、ファインダ駆動機構部5に適用されるカム部は、カム圧力角をより小さく設定するために広範囲の回動角度が回動可能な結合カム構造を採用するものである。
【0016】
上記ファインダ駆動機構部5は、図2,3に示すようにファインダ本体2に軸支される回転軸としての駆動軸11と、上記駆動軸11の両端に固定支持される駆動ギヤ12および駆動板13と、カム付勢バネ17と、駆動軸11に対して相対回転可能に嵌入、支持され、円筒状カム部材を構成するカム部品としての第1カム14および第2カム15とを有してなる。
【0017】
上記駆動軸11は、両端部にD型軸端部11a,11bと,Eリング溝11c,11dと、段部11eとを有し、ファインダ本体2に対して光軸Ofと平行なZ軸に沿った状態で回転自在に支持されている。
【0018】
上記駆動ギヤ12は、駆動軸11の先端に嵌合可能なD型軸穴12aを有しており、図示しないギヤ列を介して撮影レンズ系の沈胴駆動を含むズーム駆動に連動して回転駆動される。
【0019】
上記駆動板13は、D型軸穴13aと第1カム14側に突出する駆動突起13bを有している。
【0020】
上記カム付勢バネ17は、両端にフック部17a,17bを有するコイル状トーションバネであって、軸方向にも圧縮可能である。
【0021】
上記第1カム14は、樹脂等の射出成型による部材であり、駆動軸11に回転自在に嵌入する軸穴14aと、軸穴14aを軸心とする光軸に対する傾斜面を有する円筒カム面であるカム面14bと、第2カム15との接合面を形成するカム接合面14cと、第2カム15と結合する部分であって、第2カム15との相対的な回転を規制するための規制面を形成する結合凹部14dと、駆動板13側に突出し、駆動板13の駆動突起13bに当接,離間可能で、かつ、ファインダ本体側ストッパ2aにも当接可能な突起14eとを有している。
【0022】
上記第1カム14の展開形状は、図5に示されるが、この第1カム14を成型時にはカム面14bのリード方向Sに沿って型抜きがなされる。したがって、上記結合凹部14dの少なくとも一辺は、上記リード方向Sに沿った傾斜面を有し、上記型抜きを可能にしている。なお、上記カム面14bは、後述する第1ファインダレンズ枠18のカムフォロア部18cが摺接するカム面であって、該カム面上に成型時のパーティングラインは存在しない。
【0023】
上記第2カム15は、樹脂等の射出成型による部材であり、駆動軸11に回転自在に嵌入する軸穴15aと、軸穴15aを軸心とする光軸に対する傾斜面を有する円筒カム面であるカム面15bと、第1カム14との接合面を形成するカム接合面15cと、第1カム14と結合する部分であって、第1カム14との相対的な回転を規制するための規制面を形成する結合凸部15dとを有している。
【0024】
図6に上記第1カム14の結合凹部14dの断面形状が示され、一方、図8に上記第2カム15の結合凸部15dの断面形状が示されている。上記結合凹部14dと上記結合凸部15dとは、図9の断面図に示すように嵌合し、結合される。
【0025】
上記第2カム15の展開形状は、図7に示されるが、この第2カム15を成型時にはカム面15bのリード方向Sに沿って型抜きがなされる。したがって、上記結合凸部15dの少なくとも一辺は、上記リード方向Sに沿った傾斜面を有しており、上記型抜きを可能にしている。なお、カム面15bは、後述する第2ファインダレンズ枠19のカムフォロア部19cが摺接するカム面であって、該カム面上に成型時のパーティングラインは存在しない。
【0026】
上記ファインダ駆動機構部5において、上記駆動ギヤ12は、ファインダ本体2に回転自在に軸支される駆動軸11の後端部のD型軸端部11aに嵌入し、端部をE型止め輪で固定した状態で固定される。その前方側に段部11eに当接する第2カム15が回転自在に嵌入され、さらに、その前方に第1カム14が回転自在に嵌入される。駆動軸11に嵌入した第2カム15と第1カム14とは、結合凸部15dを結合凹部14dに嵌合させ、かつ、双方のカム接合面15cと14cとを当接、接合させて、両者の相対回転が規制された状態で一体化される。この接合状態で相対するカム面14bとカム面15bを有する1つの結合ファインダカムが形成される。
【0027】
上記第1カム14の前方側には、駆動軸11のD型軸端部11aに嵌合し、端部をE型止め輪で規制され、固定された駆動板13が挿入されている。この駆動板13と第1カム14の間には、カム付勢バネ17が軸方向に圧縮チャージされ、かつ、駆動軸11まわりに捻られたチャージされた状態で介在し、装着される。
【0028】
上記カム付勢バネ17の装着状態では、カム付勢バネ17のフック部17bは、第1カム14の突起14eに当接し、カム付勢バネ17のフック部17aは、駆動板13の駆動突起13bに当接している。カム付勢バネ17には、捻りトルクがチャージされているので第1,2カムによるズーム駆動中、駆動突起13bと突起14eとは、ズーム駆動中、上記チャージされた捻りトルク(捻りチャージモーメントm0 )で互いに当接した状態に保持される。上記捻りチャージモーメントm0 は、ズーム駆動時には第1,2カム14,15がカム面14b,15bを介して受ける負荷トルクよりも大きく設定されているので、駆動突起13bと突起14eとが離れることがない。したがって、ズーム駆動中、駆動板13の回動位置と第1,2カム14,15の回動位置との位相ずれが生じることがなく、常に撮影レンズ系のズームに対応したファインダのズーミングが行われる。但し、撮影レンズ系が沈胴領域を進退している駆動区間では、第1カム14がファインダ本体によって回動が規制されるので後述するように駆動板13のみが回動し、上記カム付勢バネ17が捻り変形することにより第1,2カム14,15は上記回動規制された停止位置(ワイド位置)に保持される。
【0029】
なお、上記第1,2カム14,15がカム面14b,15bを介して受ける負荷(回転)トルクは、後述する第1,2ズームレンズ枠18,19のカムフォロア部18c,19cを介して受ける負荷によるトルクあって、その負荷は、カム面14b,15bの傾斜による負荷や後述するレンズ付勢バネ21の付勢力による負荷や第1,2ズームレンズ枠18,19の摺動抵抗による負荷等を加え合わせたものである。
【0030】
また、カム付勢バネ17の圧縮チャージ力f0 によって駆動板13に対して第1カム14が第2カム15側に常時付勢され、第2カム15は、駆動軸11の段部11eにより後方への移動が規制されていることから、第1カム14が第2カム15とは、軸方向と回転方向にガタのない状態で保持される。
【0031】
上記カム付勢バネ17の圧縮チャージ力f0 、すなわち、カム結合方向への押圧力量は、後述する第1,2ズームレンズ枠18,19のカムフォロア部18c,19cがカム面14b,15bの傾斜面に当接し、係合することによって生じ、第1,2カム14,15を離間させる軸方向の力と、第1,2カム14,15の回転力によってカム傾斜面で発生するカムを離間させる軸方向の分力とを加えた力量より大きく設定されている。したがって、第1,2カム14,15により第1,2ズームレンズ枠18,19を進退駆動する場合、第1,2カム14,15間の接合部が離れる状態が生じない。
【0032】
一方、上記ファインダ光学系部6は、光軸Ofと平行なZ′軸に沿ってファインダ本体2に固定支持されるガイド軸20と、ガイド軸20にそれ進退可能に支持される第1ズームレンズ枠18および第2ズームレンズ枠19と、ズームレンズを付勢するレンズ付勢バネ21とを有してなる。
【0033】
上記第1ズームレンズ枠18は、嵌合部であるボス部18fと、該ボス部18fに設けられ、ガイド軸20に摺動自在に嵌入する嵌合穴である軸穴18aと、上記ボス部18f右側端にて外方に突出するバネ係止部18dと、軸穴18aの下方に偏倚して配置されるズームレンズ部18bと、ズームレンズ部18bの斜め右下部に突出する突起18eと、軸穴18aの左方に突出して配置されるカムフォロア部18cとを有している。上記カムフォロア部18cは、ファインダ組み付け状態にて第1カム14のカム面14bに常時当接し、摺動可能であり、カム面14bによりZ′方向に駆動される。
【0034】
上記第2ズームレンズ枠19は、嵌合部であるボス部19fと、該ボス部19fに設けられ、ガイド軸20に摺動自在に嵌入する嵌合穴である軸穴19aと、上記ボス部19f右側端にて外方に突出するバネ係止部19dと、軸穴19aの下方に偏倚して配置されるズームレンズ部19bと、ズームレンズ部19bの斜め右下部に突出する突起19eと、軸穴19aの左方に突出して配置されるカムフォロア部19cとを有している。上記カムフォロア部19cは、ファインダ組み付け状態にて第2カム15のカム面15bに常時当接し、摺動可能であり、カム面15bによりZ′方向に駆動される。
【0035】
上記レンズ付勢バネ21は、図11のバネ自由状態図に示すような捻り可能な圧縮コイルバネであって、両端のフック部21a,21bがコイル芯(軸心)と直交するコイル端面に対して両外側に所定角度θだけ傾斜して設けられる。このレンズ付勢バネは、第1,2ズームレンズ枠18,19のボス部18f,19f間に挿入され、フック部21a,21bをバネ係止部18d,19dに懸架して装着される。その装着状態でレンズ付勢バネ21には、軸方向の圧縮チャージ力、および、回転方向の捻りチャージトルクもチャージされ、さらに、フック部21a,21bの変形による偏倚力も作用する。
【0036】
上記レンズ付勢バネ21の装着状態におけるバネ付勢力の作用状態を図13を用いて説明すると、まず、レンズ付勢バネ21のZ′方向の圧縮チャージ力F1 が第1,2ズームレンズ枠18,19のボス部18f,19f間に作用する。このチャージ力F1 により第1,2ズームレンズ枠18,19は、互いに離間する方向に付勢され、カムフォロア部18c,19cは、上記カム面14b,15bに常時当接する状態になる。したがって、第1,2ズームレンズ枠18,19は、Z′方向のガタのない状態で上記カム面14b,15bに従動してZ′方向に進退移動する。
【0037】
また、レンズ付勢バネ21のZ′軸まわりの捻りチャージトルク(捻りチャージモーメントM1 )がフック部21a,21bを介して図13に示すように第1,2ズームレンズ枠18,19の間に作用し、第2ズームレンズ枠19に対して第1ズームレンズ枠18をそれぞれ図4のC1 ,C2 方向に回動付勢する。したがって、第1,2ズームレンズ枠18,19の突起18e,19eがそれぞれファインダ本体側のストッパ2b,2cに常時所定の当接力で当接し、第1,2ズームレンズ枠18,19の軸穴18a,19aまわりの回動ガタのない状態が得られる。なお、上記捻り方向のチャージによって生じるバネ係止部18d,19dのY′方向の力をF2 とし、コイル芯からバネ係止部18d,19dまでのX′方向の距離L1 とすると上記モーメントM1 の値は、F2 ×L1 である。
【0038】
さらに、レンズ付勢バネ21のフック部21a,21bが図11に示すように、非装備時、外側に所定角度θだけ傾斜しており、該フック部をバネ係止部18d,19dに懸架することにより上記角度分だけフック部21a,21bが撓んで、図13に示すようにZ′軸と直交するフック位置21a′,21b′に移動する。上記撓みによってZ′方向のバネ外側に向く付勢力F3 が生じる。コイル芯から上記フック位置21a′,21b′までのX′方向の距離をL1 、Y′方向の距離をL2 とすると、上記付勢力F3 によって、第1,2ズームレンズ枠18,19の軸穴18a,19aの中心を通るX′軸およびY′軸まわりのモーメント成分として、F3 ×L2 のモーメント成分M2 (ピッチあおり)、および、F3 ×L1 のモーメント成分M3 (ヨーあおり)が作用する。
【0039】
上述した付勢力F3 によるモーメントによって図12に示すように第1,2ズームレンズ枠18,19は、軸穴18a,19aとガイド軸20との隙間分だけ僅かに倒れた状態で支持されることになる。この僅かな倒れによって軸穴18a,19aとガイド軸20との間のガタが取り除かれ、第1,2ズームレンズ枠18,19がガタなくZ′方向に移動することになる。
【0040】
次に、上述した構成を有する本実施形態のズームファインダ1におけるズーミング動作について説明する。
いま、撮影レンズ系がテレ位置にあるとすると、それに連動してズームファインダ1も上記撮影レンズ系のテレ位置に対応してファインダテレ状態にある。そのファインダテレ状態では、図10(A)に示すように駆動板13が時計回り(D1 )に終端位置まで回動し、駆動突起13bが第1カム14の突起14eを押圧してファインダ本体ストッパ2aに当接した状態となっている。この状態では、第1,2ズームレンズ枠18,19のカムフォロア部18c,19cは、それぞれ第1,2カム14,15のカム面14b,15bのテレ対応位置に当接し、ズームレンズ部18b,19bは、テレ位置にある。
【0041】
続いて、撮影レンズ系との連動ギヤ列を介して駆動ギヤ12がワイド位置に向けて回動駆動され、駆動板13が反時計回り(D2 )に回動すると、第1,2カム14,15も一体で回動し、第1,2ズームレンズ枠18,19は、カム面14b,15bに沿ってそれぞれのワイド位置に向けて移動する。このテレ,ワイド回動範囲のズーム駆動領域、図10(A)から(B)の間では、カム付勢バネ17による捻りチャージモーメントm0 により上記突起14eと駆動突起13bとが離間することがなく、駆動板13と第1,2カム14,15との位相ずれが生じない。
【0042】
撮影レンズ系がワイド位置に到達したとき、第1,2ズームレンズ枠18,19も同時にワイド位置に到達し、図10(B)に示すように第1カム14の突起14eがファインダ本体ストッパ2aに当接する。その後、撮影レンズ系が沈胴位置にむけて繰り込まれると、突起14eがファインダ本体ストッパ2aに当接したまま、すなわち、第1,2カム14,15がワイド対応位置に停止したまま、駆動板13は、カム付勢バネ17の付勢モメントに抗してさらに反時計回り(D2 )に沈胴対応位置の終端に向けて回動駆動される。すなわち、第1カム14が停止した状態のままの状態でカム付勢バネ17が捻り変形することにより駆動板13の沈胴対応位置までの回動駆動を許容している。駆動板13が沈胴対応位置の終端に到達した状態が図10(C)に示される。
【0043】
駆動板13が上述とは逆に上記沈胴対応位置からワイド対応位置、さらに、テレ対応位置に回動駆動される場合は、上述の動作と逆の動作が実行される。すなわち、撮影レンズ系が沈胴位置から撮影可能なワイド位置まで繰り出されると、その繰り出しに連動して駆動板13は、図10(C)の位置から図10(B)の回動位置まで時計回り(反D2 )に回動駆動され、駆動突起13bが第1カム14の突起14eに当接する。この当接時まで第1,2カム14,15は、ワイド対応位置に停止している。さらに、撮影レンズ系がテレ位置に向けて繰り出された場合、駆動板13が時計回り(D1 )に回動駆動され、駆動突起13bにより突起14eが同方向に押圧され、以後、一体的に時計回り(D1 )に回動駆動される。したがって、第1,2カム14,15は、ワイド対応位置からテレ対応位置に向けて回動され、第1,2ズームレンズ枠18,19がワイド位置からテレ位置に移動する。そして、駆動板13,第1カム14は、図10(A)に示す回動位置まで回動する。
【0044】
上記図10(A)から図10(B)の間のテレ,ワイド間のファインダズーム駆動中には、カム付勢バネ17による圧縮チャージ力f0 によって第1,2カム14,15の接合部が離れることがない。さらに、第1,2ズームレンズ枠18,19間には、レンズ付勢バネ21の捻りチャージモーメントM1 および圧縮チャージ力F1 が作用しているので、上記ズーム駆動中における第1,2ズームレンズ枠18,19のファインダ本体2に対する回転ガタ(ズームレンズの偏芯ガタに対応)が取り除かれ、同時にカム面14b,15bからの第1,2ズームレンズ枠18,19のカムフォロア離れが防止される。また、レンズ付勢バネ21の傾斜したフック部21a,21bが第1,2ズームレンズ枠18,19のバネ係止部18d,19dに懸架されていることから第1,2ズームレンズ枠18,19の軸穴18a,19aとガイド軸20とのガタ(ズームレンズのあおりガタに対応)も取り除かれる。したがって、上記ズーム駆動中の第1,2ズームレンズ枠18,19の光軸Of方向の各ズーム位置からのずれや偏芯が生じにくく、精度のよいズーム駆動がなされる。
【0045】
上述したように本実施形態のズームファインダ1によれば、上記撮影レンズ系の沈胴動作期間には、第1,2カム14,15は、ファインダ本体ストッパ2aによってその回動が規制され、駆動板13のみを回動させるので、その規制された回動角分だけ第1,2カム14,15のカム面14b,15bの無駄になる回動角が不要になり、カムフォロアを進退させる実効カム面部分を広ろげてカムリード角を減らすことが可能となり、また、該カム面の成型も容易になる。同時に該カム面にパーティングラインを設ける必要がなくなり、カムの駆動精度が向上する。
【0046】
また、第1ズームレンズ枠18,19の間にガイド軸20に巻回したレンズ付勢バネ21を捻りチャージモーメントおよび圧縮チャージ力を与えた状態で挿入することにより第1ズームレンズ枠18,19の間のガイド軸20中心にした回転ずれ(ズームレンズの偏芯ガタに対応)や第1ズームレンズ枠18,19のカムフォロア部18c,19cとカム面14b,15bとの離れ(ジャンプ)等の発生が防止できる。
【0047】
さらに、上記レンズ付勢バネ21のフック部21a,21bを外側に傾斜させることによって、該フック部が懸架される第1ズームレンズ枠18,19のバネ係止部18d,19dがそれぞれ外方に押圧され、第1ズームレンズ枠18,19の軸穴がガイド軸20との隙間分僅かに傾くので、第1ズームレンズ枠18,19をガイド軸20とガタ(ズームレンズのあおりガタに対応)のない状態で摺動させることができる。
【0048】
前述したように軸穴(嵌合部)とガイド軸の隙間は、温度上昇を考慮すると所定の隙間は確保しなければならない。また、コンパクト化の点から上記軸受け部をより短くする必要があるが、その結果、上記軸穴(嵌合部)とガイド軸の隙間によってズームレンズ部18b,19bのあおり量は増大し、ファインダの像揺れが生じことになる。しかし、上述のようにレンズ付勢バネ21のフック部21a,21bの付勢力によって上記軸穴(嵌合部)とガイド軸の隙間を詰めることによりファインダの像揺れのない、精度のよい第1ズームレンズ枠18,19の進退移動が可能となる。また、上述のようにレンズ付勢バネにガタ取りとカムフォロアの付勢等複数の機能を持たせることにより他の付勢バネを付加する必要がなく、構成部品点数の少ないコンパクト化が可能なズームファインダを提供できる。
【0049】
次に、上記実施形態のズームレンズ1に適用したレンズ付勢バネ21の変形例について図14,15を用いて説明する。
図14は、上記変形例のレンズ付勢バネの自由状態を示す図であり、図15は、上記変形例のレンズ付勢バネをズームレンズ枠間に取り付けた状態を示す図である。
【0050】
図14に示すように本変形例のレンズ付勢バネ31は圧縮コイルバネであって、両端のフック部31a,31bがコイル芯(軸心)と直交するコイル端面に対して両内側に所定角度θだけ傾斜している。このレンズ付勢バネ31は、上記レンズ付勢バネ21と同様に第1,2ズームレンズ枠18,19のボス部18f,19f間に挿入され、フック部31a,31bをバネ係止部18d,19dに懸架して装着される。その装着状態でレンズ付勢バネ31には、軸方向の圧縮チャージ力、および、回転方向の捻りチャージトルクもチャージされ、さらに、フック部31a,31bの変形による偏倚力も作用した状態にある。
【0051】
上記レンズ付勢バネ31の軸方向の圧縮チャージ力により、レンズ付勢バネ21の場合と同様に第1,2ズームレンズ枠18,19は、Z′方向のガタのない状態で上記カム面14b,15bに従動してZ′方向に進退移動する。また、回転方向の捻りチャージトルクにより、レンズ付勢バネ21の場合と同様に第1,2ズームレンズ枠18,19の突起18e,19eがそれぞれファインダ本体側のストッパ2b,2cに常時所定の当接力で当接し、第1,2ズームレンズ枠18,19の軸穴18a,19aまわりの回動ガタ(ズームレンズの偏芯ガタに対応)のない状態が得られる。
【0052】
さらに、レンズ付勢バネ31のフック部31a,31bが図14に示すように内側に所定角度θだけ傾斜しており、該フック部をバネ係止部18d,19dに懸架することにより上記角度分だけフック部31a,31bが撓む。上記撓みによってZ′方向のバネ内側に向く付勢力F3 ′が生じる。上記付勢力F3 によるモーメントによって図15に示すように第1,2ズームレンズ枠18,19は、軸穴18a,19aとガイド軸20との隙間分だけ上記フック部が内側に倒れた状態で支持されることになる。この倒れによって軸穴18a,19aとガイド軸20との間のガタ(ズームレンズのあおりガタに対応)が取り除かれた状態で第1,2ズームレンズ枠18,19が移動することになる。
【0053】
本変形例のレンズ付勢バネ31を適用したズームファインダによると、上記一実施形態のズームファインダ1と同様の効果を奏することができる。
【0054】
なお、上述した実施形態のズームファインダ1におけるカム部材である第1,2カム14,15の全回動角としては、360°に近い角度を有するカムであるが、この全回動角を360°以上にする必要がある場合、第1カム14の突起14eとファインダ本体ストッパ2a間に介在し、突起14eと所定角度相対回転可能な回動板部材を設けることにより上記全回動角を360°以上とすることができる。
【0055】
また、上記実施形態は、ズームファインダに適用した例を示したが、これに限らず、ズーム式撮影レンズ光学装置にも同様の構成を適用することができる。
【0056】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、コイルバネのみで、ズームレンズの偏芯およびあおりがたの発生が防止されるので、ガタ取りのための専用バネ等の部品を追加する必要がなく、小型化を維持したまま、安定した像を観察することが可能であり、必要な配置スペ−スも少ないコンパクト化が可能なズーム光学装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のズーム光学装置としてのズームファインダの概略の配置を示す図であって、ズームファインダを底面側から見た模式的斜視図である。
【図2】上記図1のズームファインダの要部をカメラ底面側から見たときの分解斜視図である。
【図3】上記図2のズームファインダを構成するファインダ駆動機構部とファインダ光学系部をカメラ底面側から見た下面図である。
【図4】上記図3のファインダ光学系部をカメラ底面側から見た斜視図である。
【図5】上記図3のファインダ駆動機構部における第1カムの一部の展開図である。
【図6】上記図5のB−B断面図である。
【図7】上記図3のファインダ駆動機構部における第2カムの一部の展開図である。
【図8】上記図7のC−C断面図である。
【図9】上記図3のファインダ駆動機構部における第1,2カムのカム結合部の断面図である。
【図10】上記ファインダ光学系部における第1カムと駆動板の各回転状態を示す図である図3のA−A断面図であって、図10(A)は、テレ回動位置にあるとき、図10(B)は、ワイド回動位置にあるとき、図10(C)は、第1カムがワイド回動位置に止まり、駆動板が沈胴対応位置まで回動した状態を示す。
【図11】上記図3のファインダ光学系部におけるレンズ付勢バネの自由状態を示す図である。
【図12】上記図11のレンズ付勢バネを装着した状態を示す図である。
【図13】上記図11のレンズ付勢バネにおける力の作用状態を示す図である。
【図14】上記図3のファインダ光学系部におけるレンズ付勢バネの変形例であるレンズ付勢バネの自由状態を示す図である。
【図15】上記図14の変形例のレンズ付勢バネを装着した状態を示す図である。
【符号の説明】
14b,15b
…カム面(カム部)
18a,19a
…軸穴(嵌合穴)
18b,19b
…ズームレンズ部(ズームレンズ)
18f,19f
…ボス部(嵌合部)
20 …ガイド軸
21,31
…レンズ付勢バネ(コイルバネ)
21a,21b,31a,31b
…フック部
【発明の属する技術分野】
本発明は、ズーム光学装置の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のカメラのズーム光学装置の1つとして、例えば、ズームファインダは、撮影レンズのズーム比に連動してファインダ内のズームレンズが所定の位置に移動するよう構成されている。すなわち、上記ファインダーのズームレンズは、通常2枚以上あり、複数枚のレンズ群が撮影レンズのズーム位置に対応した各ズーム位置にレンズガイド部に沿って移動する。ズームファインダ内には、上記ズームレンズの一部に当接し、該レンズを移動させるための移動位置変換カムが設けられる。そして、上記変換カムに当接する上記ズームレンズの移動方向(光軸方向)のガタを取り除くために対となる上記ズームレンズにはレンズガイド部近傍に上記ズームレンズを移動方向に付勢するレンズ付勢バネが懸架されている。なお、上記ズームレンズには、上記レンズガイド部回りの回転を規制する回転止めが設けられる。
【0003】
上記ファインダのズームレンズのガタとして上記光軸方向のガタの他に3方向のガタが存在する。いま、光軸方向(レンズガイド方向)をZ軸、上下方向の軸をY軸、左右方向の軸をX軸とすると、Z軸まわりのガタによって生じるレンズのずれを偏心と称し、Y軸回りの回転ガタをヨーあおり(水平あおり)と称し、X軸回りの回転ガタをピッチあおり(倒れあおり)と称する。上記偏心や各ガタは、ファインダ画質、特にズーム作動中のファインダ画質を確保するために、除去しなければならない。
上記ピッチあおりと、ヨーあおりとは、主にレンズの軸受け部(嵌合部)とレンズガイドに所定の隙間が存在することによって発生する。上記軸受け部(嵌合部)とレンズガイドの隙間は、温度変化を考慮すると所定の隙間は確保しなければならない。また、コンパクト化の点からは、上記軸受け部をより短くする必要があるが、短くすることで上記あおり量は増大する。また、上記偏心は、上記回転止めの精度に応じて発生する。これらを効率よく除去するための提案として、特許文献1に開示されたファインダ調整機構は、上記レンズ付勢バネを光軸方向に斜めになるようにかけて、ピッチあおりも除去する構造を適用するものである。また、特許文献2に開示されたカメラのファインダ機構は、上記レンズ付勢バネの両端を腕部として、レンズをガイド部まわりに付勢し、レンズのガタによる偏心を抑える構造を有する。
【0004】
【特許文献1】
特許文献1は、特許公開公報2002−62562号である。
【0005】
【特許文献2】
特許文献2は、特許公開公報平6−250263号である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した特許文献1によるファインダ調整機構では、偏心とヨーあおりを除去できない。また、レンズのガタ取りのためにバネをレンズに対して斜めに懸架する構造を用いており、占有スペ−スが大きく、ファインダ機構のコンパクト化に問題がある。
【0007】
一方、特許文献2のファインダ機構では、レンズの偏心を抑えられるが、ヨーあおりとピッチあおりを除去することができない。また、レンズ同士を光軸方向に離反させるためのコイルバネのねじり方向の回転力によってレンズ偏心を除去する力を発生させるようになっており、レンズ同士を光軸方向に離反する力と上記レンズ偏心を除去する力とを独立した力で設定できない。したがって、適正な力量設定が困難であるという問題もある。
【0008】
本発明は、上述した問題に鑑みなされたもので、占有スペ−スが少なく、小型化が可能であって、ズームレンズのガタが適切に除去できるズーム光学装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載のズーム光学装置は、カム部により光軸方向の定められた位置を移動する1組のズームレンズと、上記ズームレンズの光軸方向の移動自在に支持するガイド軸と、上記1組のズームレンズに設けられ、上記ガイド軸が嵌合する嵌合穴が具えられたた嵌合部と、上記嵌合穴の間の挟まれ、かつ、上記ガイド軸に巻回されように具えたれ、上記1組のズームレンズを互いに光軸方向に接近、または、離反するように付勢するコイルバネとを備えており、上記コイルバネの両端には、上記嵌合部にそれぞれ係合する係合部が形成され、上記係合部が上記係合部に対してそれぞれ光軸方向に直交する軸回りの互いに逆方向のモーメントを与えるように、バネ自由状態でコイルバネ端面からコイル軸心方向に変位した位置に形成されている。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態のズーム光学装置としてのズームファインダの概略の配置を示す図であって、ズームファインダを底面側から見た模式的斜視図である。
【0011】
本実施形態のズームファインダ1は、図1に示すようにファインダ本体2内に収納され、対物レンズ3と、対物レンズ3で取り込まれた被写体光をファインダレンズ部側に反射して出射するプリズム4と、後述するファインダ光学系部6を撮影レンズ系側に連動させて進退させるためのファインダ駆動機構部5と、進退可能な上記ズームファインダ光学系部6と、接眼レンズ8とを有してなる。
【0012】
本実施形態のズームファインダ1を構成する上記ファインダ駆動機構部5および進退可能なファインダ光学系部6について、図2〜13を用いて詳細に説明する。
【0013】
図2は、上記ズームファインダの要部を図1のカメラ底面側のPB から見たときの分解斜視図である。図3は、上記ズームファインダを構成するファインダ駆動機構部とファインダ光学系部を図1のカメラ底面側のPA から見た下面図である。図4は、上記ファインダ光学系部を図1のカメラ底面側のPA から見た斜視図である。図5は、ファインダ駆動機構部における第1カムの一部の展開図であり、図6は、カム結合部まわりを示す図である図5のB−B断面図である。図7は、ファインダ駆動機構部の第2カムの一部の展開図であり、図8は、カム結合部まわりを示す図である図7のC−C断面図である。図9は、上記カム結合部断面図である。図10は、上記第1カムと駆動板との各回転状態を示す図である図3のA−A断面図であって、図10(A)がテレ回動位置にあるとき、図10(B)がワイド回動位置にあるとき、図10(C)は、第1カムがワイド回動位置に止まり、駆動板が沈胴対応位置まで回転した状態を示す。図11は、上記ファインダ光学系部におけるレンズ付勢バネの自由状態を示す図である。図12は、上記レンズ付勢バネを装着した状態を示す図である。図13は、上記レンズ付勢バネにおける力の作用状態を示す図である。
【0014】
なお、以下の説明において、ズームファインダ光学系の光軸をOfとし、光軸Ofと平行である後述する駆動軸11の軸心をZ軸、その方向をZ方向とし、後述するガイド軸20の軸心をZ′軸、その方向をZ′方向とする。そして、Z軸,Z′軸と垂直な上下方向をY、または、Y′方向とし、Z軸,Z′軸と垂直な左右方向をX方向、または、X′方向とする。但し、上下、または、左右は、図2上の方向で示すものとする。また、光軸Ofの対物側を前方とし、接眼側を後方とし、回転方向は、前方より見たときの回転方向で示す。
【0015】
本実施形態のズームファインダ1を構成するファインダ駆動機構部5は、カメラ側撮影レンズ系のズーム駆動に連動してファインダ光学系部6を進退駆動し、さらに、上記撮影レンズ系の沈胴駆動領域では、ファインダズーム光学系部6の進退駆動を停止させた状態を維持することができるファインダ駆動機構部である。さらに、ファインダ駆動機構部5に適用されるカム部は、カム圧力角をより小さく設定するために広範囲の回動角度が回動可能な結合カム構造を採用するものである。
【0016】
上記ファインダ駆動機構部5は、図2,3に示すようにファインダ本体2に軸支される回転軸としての駆動軸11と、上記駆動軸11の両端に固定支持される駆動ギヤ12および駆動板13と、カム付勢バネ17と、駆動軸11に対して相対回転可能に嵌入、支持され、円筒状カム部材を構成するカム部品としての第1カム14および第2カム15とを有してなる。
【0017】
上記駆動軸11は、両端部にD型軸端部11a,11bと,Eリング溝11c,11dと、段部11eとを有し、ファインダ本体2に対して光軸Ofと平行なZ軸に沿った状態で回転自在に支持されている。
【0018】
上記駆動ギヤ12は、駆動軸11の先端に嵌合可能なD型軸穴12aを有しており、図示しないギヤ列を介して撮影レンズ系の沈胴駆動を含むズーム駆動に連動して回転駆動される。
【0019】
上記駆動板13は、D型軸穴13aと第1カム14側に突出する駆動突起13bを有している。
【0020】
上記カム付勢バネ17は、両端にフック部17a,17bを有するコイル状トーションバネであって、軸方向にも圧縮可能である。
【0021】
上記第1カム14は、樹脂等の射出成型による部材であり、駆動軸11に回転自在に嵌入する軸穴14aと、軸穴14aを軸心とする光軸に対する傾斜面を有する円筒カム面であるカム面14bと、第2カム15との接合面を形成するカム接合面14cと、第2カム15と結合する部分であって、第2カム15との相対的な回転を規制するための規制面を形成する結合凹部14dと、駆動板13側に突出し、駆動板13の駆動突起13bに当接,離間可能で、かつ、ファインダ本体側ストッパ2aにも当接可能な突起14eとを有している。
【0022】
上記第1カム14の展開形状は、図5に示されるが、この第1カム14を成型時にはカム面14bのリード方向Sに沿って型抜きがなされる。したがって、上記結合凹部14dの少なくとも一辺は、上記リード方向Sに沿った傾斜面を有し、上記型抜きを可能にしている。なお、上記カム面14bは、後述する第1ファインダレンズ枠18のカムフォロア部18cが摺接するカム面であって、該カム面上に成型時のパーティングラインは存在しない。
【0023】
上記第2カム15は、樹脂等の射出成型による部材であり、駆動軸11に回転自在に嵌入する軸穴15aと、軸穴15aを軸心とする光軸に対する傾斜面を有する円筒カム面であるカム面15bと、第1カム14との接合面を形成するカム接合面15cと、第1カム14と結合する部分であって、第1カム14との相対的な回転を規制するための規制面を形成する結合凸部15dとを有している。
【0024】
図6に上記第1カム14の結合凹部14dの断面形状が示され、一方、図8に上記第2カム15の結合凸部15dの断面形状が示されている。上記結合凹部14dと上記結合凸部15dとは、図9の断面図に示すように嵌合し、結合される。
【0025】
上記第2カム15の展開形状は、図7に示されるが、この第2カム15を成型時にはカム面15bのリード方向Sに沿って型抜きがなされる。したがって、上記結合凸部15dの少なくとも一辺は、上記リード方向Sに沿った傾斜面を有しており、上記型抜きを可能にしている。なお、カム面15bは、後述する第2ファインダレンズ枠19のカムフォロア部19cが摺接するカム面であって、該カム面上に成型時のパーティングラインは存在しない。
【0026】
上記ファインダ駆動機構部5において、上記駆動ギヤ12は、ファインダ本体2に回転自在に軸支される駆動軸11の後端部のD型軸端部11aに嵌入し、端部をE型止め輪で固定した状態で固定される。その前方側に段部11eに当接する第2カム15が回転自在に嵌入され、さらに、その前方に第1カム14が回転自在に嵌入される。駆動軸11に嵌入した第2カム15と第1カム14とは、結合凸部15dを結合凹部14dに嵌合させ、かつ、双方のカム接合面15cと14cとを当接、接合させて、両者の相対回転が規制された状態で一体化される。この接合状態で相対するカム面14bとカム面15bを有する1つの結合ファインダカムが形成される。
【0027】
上記第1カム14の前方側には、駆動軸11のD型軸端部11aに嵌合し、端部をE型止め輪で規制され、固定された駆動板13が挿入されている。この駆動板13と第1カム14の間には、カム付勢バネ17が軸方向に圧縮チャージされ、かつ、駆動軸11まわりに捻られたチャージされた状態で介在し、装着される。
【0028】
上記カム付勢バネ17の装着状態では、カム付勢バネ17のフック部17bは、第1カム14の突起14eに当接し、カム付勢バネ17のフック部17aは、駆動板13の駆動突起13bに当接している。カム付勢バネ17には、捻りトルクがチャージされているので第1,2カムによるズーム駆動中、駆動突起13bと突起14eとは、ズーム駆動中、上記チャージされた捻りトルク(捻りチャージモーメントm0 )で互いに当接した状態に保持される。上記捻りチャージモーメントm0 は、ズーム駆動時には第1,2カム14,15がカム面14b,15bを介して受ける負荷トルクよりも大きく設定されているので、駆動突起13bと突起14eとが離れることがない。したがって、ズーム駆動中、駆動板13の回動位置と第1,2カム14,15の回動位置との位相ずれが生じることがなく、常に撮影レンズ系のズームに対応したファインダのズーミングが行われる。但し、撮影レンズ系が沈胴領域を進退している駆動区間では、第1カム14がファインダ本体によって回動が規制されるので後述するように駆動板13のみが回動し、上記カム付勢バネ17が捻り変形することにより第1,2カム14,15は上記回動規制された停止位置(ワイド位置)に保持される。
【0029】
なお、上記第1,2カム14,15がカム面14b,15bを介して受ける負荷(回転)トルクは、後述する第1,2ズームレンズ枠18,19のカムフォロア部18c,19cを介して受ける負荷によるトルクあって、その負荷は、カム面14b,15bの傾斜による負荷や後述するレンズ付勢バネ21の付勢力による負荷や第1,2ズームレンズ枠18,19の摺動抵抗による負荷等を加え合わせたものである。
【0030】
また、カム付勢バネ17の圧縮チャージ力f0 によって駆動板13に対して第1カム14が第2カム15側に常時付勢され、第2カム15は、駆動軸11の段部11eにより後方への移動が規制されていることから、第1カム14が第2カム15とは、軸方向と回転方向にガタのない状態で保持される。
【0031】
上記カム付勢バネ17の圧縮チャージ力f0 、すなわち、カム結合方向への押圧力量は、後述する第1,2ズームレンズ枠18,19のカムフォロア部18c,19cがカム面14b,15bの傾斜面に当接し、係合することによって生じ、第1,2カム14,15を離間させる軸方向の力と、第1,2カム14,15の回転力によってカム傾斜面で発生するカムを離間させる軸方向の分力とを加えた力量より大きく設定されている。したがって、第1,2カム14,15により第1,2ズームレンズ枠18,19を進退駆動する場合、第1,2カム14,15間の接合部が離れる状態が生じない。
【0032】
一方、上記ファインダ光学系部6は、光軸Ofと平行なZ′軸に沿ってファインダ本体2に固定支持されるガイド軸20と、ガイド軸20にそれ進退可能に支持される第1ズームレンズ枠18および第2ズームレンズ枠19と、ズームレンズを付勢するレンズ付勢バネ21とを有してなる。
【0033】
上記第1ズームレンズ枠18は、嵌合部であるボス部18fと、該ボス部18fに設けられ、ガイド軸20に摺動自在に嵌入する嵌合穴である軸穴18aと、上記ボス部18f右側端にて外方に突出するバネ係止部18dと、軸穴18aの下方に偏倚して配置されるズームレンズ部18bと、ズームレンズ部18bの斜め右下部に突出する突起18eと、軸穴18aの左方に突出して配置されるカムフォロア部18cとを有している。上記カムフォロア部18cは、ファインダ組み付け状態にて第1カム14のカム面14bに常時当接し、摺動可能であり、カム面14bによりZ′方向に駆動される。
【0034】
上記第2ズームレンズ枠19は、嵌合部であるボス部19fと、該ボス部19fに設けられ、ガイド軸20に摺動自在に嵌入する嵌合穴である軸穴19aと、上記ボス部19f右側端にて外方に突出するバネ係止部19dと、軸穴19aの下方に偏倚して配置されるズームレンズ部19bと、ズームレンズ部19bの斜め右下部に突出する突起19eと、軸穴19aの左方に突出して配置されるカムフォロア部19cとを有している。上記カムフォロア部19cは、ファインダ組み付け状態にて第2カム15のカム面15bに常時当接し、摺動可能であり、カム面15bによりZ′方向に駆動される。
【0035】
上記レンズ付勢バネ21は、図11のバネ自由状態図に示すような捻り可能な圧縮コイルバネであって、両端のフック部21a,21bがコイル芯(軸心)と直交するコイル端面に対して両外側に所定角度θだけ傾斜して設けられる。このレンズ付勢バネは、第1,2ズームレンズ枠18,19のボス部18f,19f間に挿入され、フック部21a,21bをバネ係止部18d,19dに懸架して装着される。その装着状態でレンズ付勢バネ21には、軸方向の圧縮チャージ力、および、回転方向の捻りチャージトルクもチャージされ、さらに、フック部21a,21bの変形による偏倚力も作用する。
【0036】
上記レンズ付勢バネ21の装着状態におけるバネ付勢力の作用状態を図13を用いて説明すると、まず、レンズ付勢バネ21のZ′方向の圧縮チャージ力F1 が第1,2ズームレンズ枠18,19のボス部18f,19f間に作用する。このチャージ力F1 により第1,2ズームレンズ枠18,19は、互いに離間する方向に付勢され、カムフォロア部18c,19cは、上記カム面14b,15bに常時当接する状態になる。したがって、第1,2ズームレンズ枠18,19は、Z′方向のガタのない状態で上記カム面14b,15bに従動してZ′方向に進退移動する。
【0037】
また、レンズ付勢バネ21のZ′軸まわりの捻りチャージトルク(捻りチャージモーメントM1 )がフック部21a,21bを介して図13に示すように第1,2ズームレンズ枠18,19の間に作用し、第2ズームレンズ枠19に対して第1ズームレンズ枠18をそれぞれ図4のC1 ,C2 方向に回動付勢する。したがって、第1,2ズームレンズ枠18,19の突起18e,19eがそれぞれファインダ本体側のストッパ2b,2cに常時所定の当接力で当接し、第1,2ズームレンズ枠18,19の軸穴18a,19aまわりの回動ガタのない状態が得られる。なお、上記捻り方向のチャージによって生じるバネ係止部18d,19dのY′方向の力をF2 とし、コイル芯からバネ係止部18d,19dまでのX′方向の距離L1 とすると上記モーメントM1 の値は、F2 ×L1 である。
【0038】
さらに、レンズ付勢バネ21のフック部21a,21bが図11に示すように、非装備時、外側に所定角度θだけ傾斜しており、該フック部をバネ係止部18d,19dに懸架することにより上記角度分だけフック部21a,21bが撓んで、図13に示すようにZ′軸と直交するフック位置21a′,21b′に移動する。上記撓みによってZ′方向のバネ外側に向く付勢力F3 が生じる。コイル芯から上記フック位置21a′,21b′までのX′方向の距離をL1 、Y′方向の距離をL2 とすると、上記付勢力F3 によって、第1,2ズームレンズ枠18,19の軸穴18a,19aの中心を通るX′軸およびY′軸まわりのモーメント成分として、F3 ×L2 のモーメント成分M2 (ピッチあおり)、および、F3 ×L1 のモーメント成分M3 (ヨーあおり)が作用する。
【0039】
上述した付勢力F3 によるモーメントによって図12に示すように第1,2ズームレンズ枠18,19は、軸穴18a,19aとガイド軸20との隙間分だけ僅かに倒れた状態で支持されることになる。この僅かな倒れによって軸穴18a,19aとガイド軸20との間のガタが取り除かれ、第1,2ズームレンズ枠18,19がガタなくZ′方向に移動することになる。
【0040】
次に、上述した構成を有する本実施形態のズームファインダ1におけるズーミング動作について説明する。
いま、撮影レンズ系がテレ位置にあるとすると、それに連動してズームファインダ1も上記撮影レンズ系のテレ位置に対応してファインダテレ状態にある。そのファインダテレ状態では、図10(A)に示すように駆動板13が時計回り(D1 )に終端位置まで回動し、駆動突起13bが第1カム14の突起14eを押圧してファインダ本体ストッパ2aに当接した状態となっている。この状態では、第1,2ズームレンズ枠18,19のカムフォロア部18c,19cは、それぞれ第1,2カム14,15のカム面14b,15bのテレ対応位置に当接し、ズームレンズ部18b,19bは、テレ位置にある。
【0041】
続いて、撮影レンズ系との連動ギヤ列を介して駆動ギヤ12がワイド位置に向けて回動駆動され、駆動板13が反時計回り(D2 )に回動すると、第1,2カム14,15も一体で回動し、第1,2ズームレンズ枠18,19は、カム面14b,15bに沿ってそれぞれのワイド位置に向けて移動する。このテレ,ワイド回動範囲のズーム駆動領域、図10(A)から(B)の間では、カム付勢バネ17による捻りチャージモーメントm0 により上記突起14eと駆動突起13bとが離間することがなく、駆動板13と第1,2カム14,15との位相ずれが生じない。
【0042】
撮影レンズ系がワイド位置に到達したとき、第1,2ズームレンズ枠18,19も同時にワイド位置に到達し、図10(B)に示すように第1カム14の突起14eがファインダ本体ストッパ2aに当接する。その後、撮影レンズ系が沈胴位置にむけて繰り込まれると、突起14eがファインダ本体ストッパ2aに当接したまま、すなわち、第1,2カム14,15がワイド対応位置に停止したまま、駆動板13は、カム付勢バネ17の付勢モメントに抗してさらに反時計回り(D2 )に沈胴対応位置の終端に向けて回動駆動される。すなわち、第1カム14が停止した状態のままの状態でカム付勢バネ17が捻り変形することにより駆動板13の沈胴対応位置までの回動駆動を許容している。駆動板13が沈胴対応位置の終端に到達した状態が図10(C)に示される。
【0043】
駆動板13が上述とは逆に上記沈胴対応位置からワイド対応位置、さらに、テレ対応位置に回動駆動される場合は、上述の動作と逆の動作が実行される。すなわち、撮影レンズ系が沈胴位置から撮影可能なワイド位置まで繰り出されると、その繰り出しに連動して駆動板13は、図10(C)の位置から図10(B)の回動位置まで時計回り(反D2 )に回動駆動され、駆動突起13bが第1カム14の突起14eに当接する。この当接時まで第1,2カム14,15は、ワイド対応位置に停止している。さらに、撮影レンズ系がテレ位置に向けて繰り出された場合、駆動板13が時計回り(D1 )に回動駆動され、駆動突起13bにより突起14eが同方向に押圧され、以後、一体的に時計回り(D1 )に回動駆動される。したがって、第1,2カム14,15は、ワイド対応位置からテレ対応位置に向けて回動され、第1,2ズームレンズ枠18,19がワイド位置からテレ位置に移動する。そして、駆動板13,第1カム14は、図10(A)に示す回動位置まで回動する。
【0044】
上記図10(A)から図10(B)の間のテレ,ワイド間のファインダズーム駆動中には、カム付勢バネ17による圧縮チャージ力f0 によって第1,2カム14,15の接合部が離れることがない。さらに、第1,2ズームレンズ枠18,19間には、レンズ付勢バネ21の捻りチャージモーメントM1 および圧縮チャージ力F1 が作用しているので、上記ズーム駆動中における第1,2ズームレンズ枠18,19のファインダ本体2に対する回転ガタ(ズームレンズの偏芯ガタに対応)が取り除かれ、同時にカム面14b,15bからの第1,2ズームレンズ枠18,19のカムフォロア離れが防止される。また、レンズ付勢バネ21の傾斜したフック部21a,21bが第1,2ズームレンズ枠18,19のバネ係止部18d,19dに懸架されていることから第1,2ズームレンズ枠18,19の軸穴18a,19aとガイド軸20とのガタ(ズームレンズのあおりガタに対応)も取り除かれる。したがって、上記ズーム駆動中の第1,2ズームレンズ枠18,19の光軸Of方向の各ズーム位置からのずれや偏芯が生じにくく、精度のよいズーム駆動がなされる。
【0045】
上述したように本実施形態のズームファインダ1によれば、上記撮影レンズ系の沈胴動作期間には、第1,2カム14,15は、ファインダ本体ストッパ2aによってその回動が規制され、駆動板13のみを回動させるので、その規制された回動角分だけ第1,2カム14,15のカム面14b,15bの無駄になる回動角が不要になり、カムフォロアを進退させる実効カム面部分を広ろげてカムリード角を減らすことが可能となり、また、該カム面の成型も容易になる。同時に該カム面にパーティングラインを設ける必要がなくなり、カムの駆動精度が向上する。
【0046】
また、第1ズームレンズ枠18,19の間にガイド軸20に巻回したレンズ付勢バネ21を捻りチャージモーメントおよび圧縮チャージ力を与えた状態で挿入することにより第1ズームレンズ枠18,19の間のガイド軸20中心にした回転ずれ(ズームレンズの偏芯ガタに対応)や第1ズームレンズ枠18,19のカムフォロア部18c,19cとカム面14b,15bとの離れ(ジャンプ)等の発生が防止できる。
【0047】
さらに、上記レンズ付勢バネ21のフック部21a,21bを外側に傾斜させることによって、該フック部が懸架される第1ズームレンズ枠18,19のバネ係止部18d,19dがそれぞれ外方に押圧され、第1ズームレンズ枠18,19の軸穴がガイド軸20との隙間分僅かに傾くので、第1ズームレンズ枠18,19をガイド軸20とガタ(ズームレンズのあおりガタに対応)のない状態で摺動させることができる。
【0048】
前述したように軸穴(嵌合部)とガイド軸の隙間は、温度上昇を考慮すると所定の隙間は確保しなければならない。また、コンパクト化の点から上記軸受け部をより短くする必要があるが、その結果、上記軸穴(嵌合部)とガイド軸の隙間によってズームレンズ部18b,19bのあおり量は増大し、ファインダの像揺れが生じことになる。しかし、上述のようにレンズ付勢バネ21のフック部21a,21bの付勢力によって上記軸穴(嵌合部)とガイド軸の隙間を詰めることによりファインダの像揺れのない、精度のよい第1ズームレンズ枠18,19の進退移動が可能となる。また、上述のようにレンズ付勢バネにガタ取りとカムフォロアの付勢等複数の機能を持たせることにより他の付勢バネを付加する必要がなく、構成部品点数の少ないコンパクト化が可能なズームファインダを提供できる。
【0049】
次に、上記実施形態のズームレンズ1に適用したレンズ付勢バネ21の変形例について図14,15を用いて説明する。
図14は、上記変形例のレンズ付勢バネの自由状態を示す図であり、図15は、上記変形例のレンズ付勢バネをズームレンズ枠間に取り付けた状態を示す図である。
【0050】
図14に示すように本変形例のレンズ付勢バネ31は圧縮コイルバネであって、両端のフック部31a,31bがコイル芯(軸心)と直交するコイル端面に対して両内側に所定角度θだけ傾斜している。このレンズ付勢バネ31は、上記レンズ付勢バネ21と同様に第1,2ズームレンズ枠18,19のボス部18f,19f間に挿入され、フック部31a,31bをバネ係止部18d,19dに懸架して装着される。その装着状態でレンズ付勢バネ31には、軸方向の圧縮チャージ力、および、回転方向の捻りチャージトルクもチャージされ、さらに、フック部31a,31bの変形による偏倚力も作用した状態にある。
【0051】
上記レンズ付勢バネ31の軸方向の圧縮チャージ力により、レンズ付勢バネ21の場合と同様に第1,2ズームレンズ枠18,19は、Z′方向のガタのない状態で上記カム面14b,15bに従動してZ′方向に進退移動する。また、回転方向の捻りチャージトルクにより、レンズ付勢バネ21の場合と同様に第1,2ズームレンズ枠18,19の突起18e,19eがそれぞれファインダ本体側のストッパ2b,2cに常時所定の当接力で当接し、第1,2ズームレンズ枠18,19の軸穴18a,19aまわりの回動ガタ(ズームレンズの偏芯ガタに対応)のない状態が得られる。
【0052】
さらに、レンズ付勢バネ31のフック部31a,31bが図14に示すように内側に所定角度θだけ傾斜しており、該フック部をバネ係止部18d,19dに懸架することにより上記角度分だけフック部31a,31bが撓む。上記撓みによってZ′方向のバネ内側に向く付勢力F3 ′が生じる。上記付勢力F3 によるモーメントによって図15に示すように第1,2ズームレンズ枠18,19は、軸穴18a,19aとガイド軸20との隙間分だけ上記フック部が内側に倒れた状態で支持されることになる。この倒れによって軸穴18a,19aとガイド軸20との間のガタ(ズームレンズのあおりガタに対応)が取り除かれた状態で第1,2ズームレンズ枠18,19が移動することになる。
【0053】
本変形例のレンズ付勢バネ31を適用したズームファインダによると、上記一実施形態のズームファインダ1と同様の効果を奏することができる。
【0054】
なお、上述した実施形態のズームファインダ1におけるカム部材である第1,2カム14,15の全回動角としては、360°に近い角度を有するカムであるが、この全回動角を360°以上にする必要がある場合、第1カム14の突起14eとファインダ本体ストッパ2a間に介在し、突起14eと所定角度相対回転可能な回動板部材を設けることにより上記全回動角を360°以上とすることができる。
【0055】
また、上記実施形態は、ズームファインダに適用した例を示したが、これに限らず、ズーム式撮影レンズ光学装置にも同様の構成を適用することができる。
【0056】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、コイルバネのみで、ズームレンズの偏芯およびあおりがたの発生が防止されるので、ガタ取りのための専用バネ等の部品を追加する必要がなく、小型化を維持したまま、安定した像を観察することが可能であり、必要な配置スペ−スも少ないコンパクト化が可能なズーム光学装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のズーム光学装置としてのズームファインダの概略の配置を示す図であって、ズームファインダを底面側から見た模式的斜視図である。
【図2】上記図1のズームファインダの要部をカメラ底面側から見たときの分解斜視図である。
【図3】上記図2のズームファインダを構成するファインダ駆動機構部とファインダ光学系部をカメラ底面側から見た下面図である。
【図4】上記図3のファインダ光学系部をカメラ底面側から見た斜視図である。
【図5】上記図3のファインダ駆動機構部における第1カムの一部の展開図である。
【図6】上記図5のB−B断面図である。
【図7】上記図3のファインダ駆動機構部における第2カムの一部の展開図である。
【図8】上記図7のC−C断面図である。
【図9】上記図3のファインダ駆動機構部における第1,2カムのカム結合部の断面図である。
【図10】上記ファインダ光学系部における第1カムと駆動板の各回転状態を示す図である図3のA−A断面図であって、図10(A)は、テレ回動位置にあるとき、図10(B)は、ワイド回動位置にあるとき、図10(C)は、第1カムがワイド回動位置に止まり、駆動板が沈胴対応位置まで回動した状態を示す。
【図11】上記図3のファインダ光学系部におけるレンズ付勢バネの自由状態を示す図である。
【図12】上記図11のレンズ付勢バネを装着した状態を示す図である。
【図13】上記図11のレンズ付勢バネにおける力の作用状態を示す図である。
【図14】上記図3のファインダ光学系部におけるレンズ付勢バネの変形例であるレンズ付勢バネの自由状態を示す図である。
【図15】上記図14の変形例のレンズ付勢バネを装着した状態を示す図である。
【符号の説明】
14b,15b
…カム面(カム部)
18a,19a
…軸穴(嵌合穴)
18b,19b
…ズームレンズ部(ズームレンズ)
18f,19f
…ボス部(嵌合部)
20 …ガイド軸
21,31
…レンズ付勢バネ(コイルバネ)
21a,21b,31a,31b
…フック部
Claims (1)
- カム部により光軸方向の定められた位置を移動する1組のズームレンズと、
上記ズームレンズの光軸方向の移動自在に支持するガイド軸と、
上記1組のズームレンズに設けられ、上記ガイド軸が嵌合する嵌合穴が具えられたた嵌合部と、
上記嵌合穴の間の挟まれ、かつ、上記ガイド軸に巻回されように具えたれ、上記1組のズームレンズを互いに光軸方向に接近、または、離反するように付勢するコイルバネと、
を備え、上記コイルバネの両端には、上記嵌合部にそれぞれ係合する係合部が形成され、上記係合部が上記係合部に対してそれぞれ光軸方向に直交する軸回りの互いに逆方向のモーメントを与えるように、バネ自由状態でコイルバネ端面からコイル軸心方向に変位した位置に形成されていることを特徴とするズーム光学装置。
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