JP2004264545A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】シート記録材の搬送ジャムが発生した時に、シート記録材のサイズの如何にかかわらず、ジャム処理作業を容易に行うことができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】搬送異常によるシート記録材搬送動作の停止後の復帰作業の後に、シート記録材の搬送動作を再開する直前または再開した直後に、搬送途中のシート記録材の存在が確認された場合もしくは予想される場合には、ジャム処理制御手段は、シート記録材を搬送して、少なくともその一部が、シート記録材搬送方向における定着装置12のエリアと転写担持体7が位置するエリアとにまたがる位置にて、シート記録材を停止させると共に、シート記録材の搬送過程における搬送量(L′)を、シート記録材のサイズに応じて制御する。
【選択図】 図4
【解決手段】搬送異常によるシート記録材搬送動作の停止後の復帰作業の後に、シート記録材の搬送動作を再開する直前または再開した直後に、搬送途中のシート記録材の存在が確認された場合もしくは予想される場合には、ジャム処理制御手段は、シート記録材を搬送して、少なくともその一部が、シート記録材搬送方向における定着装置12のエリアと転写担持体7が位置するエリアとにまたがる位置にて、シート記録材を停止させると共に、シート記録材の搬送過程における搬送量(L′)を、シート記録材のサイズに応じて制御する。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シート記録材に各種画像の形成を行う複写機,プリンタ,FAX等の画像形成装置に係り、特に、シート記録材の搬送異常時におけるジャム処理技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、像担持体に形成されたトナー画像を、転写担持体によって、シート記録材に静電吸着させて転写した後、そのトナー画像を定着装置でシート記録材上に定着させるようにして画像形成を行う画像形成装置がある。このような画像形成装置のうち、特に像担持体とその周囲に各プロセス手段を配置した画像形成ステーションを複数配列したタンデム型の画像形成装置では、全ての画像形成ステーションの像担持体にわたって単一の転写担持体が対向して形成されるためにその転写担持体が長く形成されることになる。
【0003】
そのため、逐次連続して搬送されるシート記録材の何れかが搬送中にジャム等の搬送異常を起こし画像形成装置が緊急停止した場合には、像担持体と転写担持体との間にシート記録材が停止していることが多い。特に、定着部で搬送ジャムが発生した場合には緊急に動作を停止しなければならない。このような場合には、像担持体と転写担持体との間に後続のシート記録材が停止している可能性が高い。
【0004】
像担持体と転写担持体との間にシート記録材が停止している場合は、シート記録材は転写担持体に静電吸着していることと、像担持体と転写担持体が当接状態となっていることとにより、停止して残っているシート記録材を指でつかんで引き出すことが困難である。そのため、例えば、ジャムが発生した場合には、転写担持体を複写時の移動方向とは逆の方向に逆転させてシート記録材を容易に取り出せる位置に戻してジャム処理を行なうようにした用紙搬送装置や剥離不良紙処理装置が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0005】
また、シート記録材のジャムが発生した場合に,定着部のみを停止させ他の部分は一定時間駆動させ定着部の手前までシート記録材を搬送してジャム処理を容易にした画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
さらに、ジャムが発生した場合にシート記録材を定着部の手前に搬送するときに転写担持体に印加される転写バイアスを断つことで、シート記録材と転写担持体との吸着力をある程度軽減させジャム処理を容易にしようとした画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開昭62−264144号公報
【特許文献2】
特開平7−281534号公報
【特許文献3】
特開平5−53405号公報(段落「0013」「0016」)
【特許文献4】
特開平11−119490号公報(段落「0055」「0066」)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、転写担持体と像担持体との間に存在するシート記録材を目視で見つけ出すことは困難であり、また、通常、転写担持体上に存在するシート記録材を検出する手段を具備していない画像形成装置がほとんどであり、搬送ジャム時にシート記録材が転写担持体に吸着したままの状態にあるかどうかを画像形成装置自体や使用者が判断することは難しい。
【0009】
そのため、特許文献1,2に記載のように、シート記録材が転写担持体上に存在していないかも知れないのにジャム発生時に常に転写担持体を逆回転させると、無駄な時間を消費しなければならない場合が発生し、不経済になるという問題がある。また、転写担持体上に存在するシート記録材を検出する検出器を設ける場合には、画像形成部のサイズが大きくなったり、製造コストや組み立てコストなどが増加したりするという問題がある。
【0010】
また、特許文献3には、シート記録材のジャムが発生した場合に、定着部のみを停止させ他の部分は一定時間駆動させ定着部の手前までシート記録材を搬送してジャム処理を容易にしている。さらに、特許文献4には、ジャムが発生した場合にシート記録材を定着部の手前に搬送するときに転写担持体に印加される転写バイアスを断つことで、シート記録材と転写担持体との吸着力をある程度軽減させジャム処理を容易にした内容が開示されている。
【0011】
しかしながら、転写担持体とシート記録材との吸着力は時間と共に変化し、転写バイアスを断ってしまうと転写担持体に対するシート記録材の吸着力が低下し定着部までシート記録材を搬送できなくなるという問題が発生する。また、定着部でのシート記録材の搬送を停止した状態で定着部に向かってシート記録材の搬送量を常に同じように制御すると、シート記録材の搬送方向の長さが長い場合と短い場合で、転写担持体に吸着されている面積が異なりシート記録材を転写担持体から引き剥がす時の力が変わり、シート記録材の搬送方向が長い場合は剥がしにくいという問題もある。
【0012】
本発明は、このような実情に鑑みてなされ、シート記録材の搬送ジャムが発生した時に、シート記録材のサイズの如何にかかわらず、ジャム処理作業を容易に行うことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。
【0014】
(1)像担持体上に形成されたトナー像を転写担持体上に吸着搬送されるシート記録材に転写し、定着装置で前記シート記録材にトナーを定着させると共に、ジャム処理制御手段により、前記シート記録材の搬送異常を判断し、かつ、その搬送異常時にはその搬送動作を停止させるようにした画像形成装置において、
前記搬送異常によるシート記録材搬送動作の停止後の復帰作業の後に、前記シート記録材の搬送動作を再開する直前または再開した直後に、搬送途中のシート記録材の存在が確認された場合もしくは予想される場合には、前記ジャム処理制御手段は、前記シート記録材を搬送して、少なくともその一部が、シート記録材搬送方向における前記定着装置のエリアと転写担持体が位置するエリアとにまたがる位置にて、前記シート記録材を停止させると共に、前記シート記録材の搬送過程における搬送量を、前記シート記録材のサイズに応じて制御することを特徴とする。
【0015】
この構成においては、例えば定着部での搬送ジャムなどにより異常停止(緊急停止)をした後に画像形成装置内に残っているシート記録材を取り出す等の復帰作業を行った場合に、見過ごしやすい像担持体と転写担持体との間に残されたシート記録材が取り出されずに残っている場合や、シート記録材が取り出しにくくわざと残した場合等に、画像形成装置を再度動作させようとしたときに、シート記録材がまだ画像形成装置内に残っていることが検出されたり、予想されたりすることがある。
【0016】
このようなとき、シート記録材を取り出しやすい位置に搬送することでシートを掴み易くし容易にジャム処理ができるようになる。さらに、シート記録材のサイズに応じて転写担持体の搬送量を制御するので、シート記録材のサイズにより転写担持体からのシート記録材を剥がす時に必要となる力の差を少なくし、ジャム処理時にシート記録材をサイズの如何にかかわらず、容易に取り除くことができる。
【0017】
(2)像担持体上に形成されたトナー像を転写担持体上に吸着搬送されるシート記録材に転写し、定着装置で前記シート記録材にトナーを定着させると共に、ジャム処理制御手段により、前記シート記録材の搬送異常を判断し、かつ、その搬送異常時には画像形成動作を停止させるようにした画像形成装置において、
像担持体上に形成されたトナー像を転写担持体上に吸着搬送されるシート記録材に転写し、定着装置で前記シート記録材にトナーを定着させると共に、ジャム処理制御手段により、前記シート記録材の搬送異常を判断し、かつ、その搬送異常時には画像形成動作を停止させるようにした画像形成装置において、
前記ジャム処理制御手段は、
前記搬送異常時には、シート記録材搬送動作を継続させ、前記転写担持体を含む上流側のシート記録材搬送手段に存在する前記シート記録材の少なくともその一部が、シート記録材搬送方向における前記定着装置のエリアと前記転写担持体が位置するエリアとにまたがる位置にて前記シート記録材を停止させると共に、前記シート記録材の搬送過程における搬送量を、前記シート記録材のサイズに応じて制御することを特徴とする。
【0018】
この構成においては、搬送ジャム等の搬送異常が発生した際には、1回のジャム処理作業を行うことで画像形成装置を復帰させることができると共に、シート記録材のサイズに応じて転写担持体の搬送量を制御するので、シート記録材のサイズの差に起因する転写担持体からのシート記録材の引き剥がし力の差を少なくし、常に、ジャム処理時にシート記録材を容易に取り除くことができる。
【0019】
(3)前記ジャム処理制御手段は、前記シート記録材の搬送量を、前記シート記録材のサイズが大きい場合の方が小さい場合よりも多くなるように制御することを特徴とする。
【0020】
シート記録材のサイズが小さい場合に比べ大きい場合には、転写担持体に吸着している面積が大きいため、シート記録材を転写担持体から引き剥がす時に大きな力が必要となるが、この構成においては、サイズの大きいシート記録材の搬送量を多くすることにより、転写担持体に吸着している面積を減じることができ、サイズの小さなシート記録材との差を小さくでき、ジャム処理時のシート記録材の取り出しを容易に行うことができる。
【0021】
(4)前記シート記録材のサイズは、その搬送方向を基準とすることを特徴とすることを特徴とする。
【0022】
シート記録材の搬送方向のサイズは搬送量による吸着面積の変化に大きく関係するため、この構成のように、搬送方向のサイズに応じて搬送量を制御するのが適切である。
【0023】
(5)前記ジャム処理制御手段は、前記搬送異常のシート記録材の先端が前記定着装置のローラ部材に噛み込む手前の位置まで、前記搬送異常のシート記録材を搬送することを特徴とする。
【0024】
この構成においては、ジャム処理時に(定着装置を画像形成装置より引き出すと)、シート記録材の先端が転写担持体より飛び出した状態となるため、転写担持体に静電吸着されているシート記録材の先端をつかんで容易に取り出すことができる。
【0025】
(6)前記ジャム処理制御手段は、前記搬送異常のシート記録材の先端が前記定着装置のローラ部材に噛み込まれる位置まで、前記搬送異常のシート記録材を搬送することを特徴とする。
【0026】
この構成においては、搬送ジャム等の搬送異常が発生したシート記録材は、当該記録材の先端が定着装置のローラ部材に噛み込まれた位置まで搬送される。すなわち、搬送異常のシート記録材は、定着装置のローラ部材に挟み込まれる。したがって、定着装置を画像形成装置から引き出して開放すると、定着装置のローラ部材に挟み込まれたシート記録材が一緒に引き出される。その結果、転写担持体にシート記録材が静電吸着していても容易にシート記録材を取り出すことができる。
【0027】
(7)前記シート記録材を停止させる位置を、前記シート記録材の搬送方向の長さに応じて異ならせ、前記シート記録材が短い場合は、前記定着装置のローラ部材に噛み込まれる手前の位置とし、前記シート記録材が長い場合は、前記定着装置のローラ部材に噛み込まれた位置とすることを特徴とする。
【0028】
この構成においては、シート記録材の搬送方向の長さに応じて定着装置のローラ部材にシート記録材が噛み込まれる手前の位置か噛み込まれる位置かを切換えることにより、シート記録材が転写担持体に吸着している面積を、シート記録材のサイズの如何にかかわらず、小さな面積で一定にすることができるので、容易にシート記録材を転写担持体から引き剥がすことができる。
【0029】
(8)前記像担持体が、前記転写担持体に沿ってシート記録材の搬送方向に複数配置され、かつ、前記転写担持体を前記像担持体に対して離接動作させる離接手段を備え、前記ジャム処理制御手段は、前記搬送異常時に、前記転写担持体によるシート記録材搬送動作が停止する以前に、前記離接手段による前記転写担持体支持手段の離間を開始させ、前記転写担持体を少なくとも一部の像担持体から離間させることを特徴とする。
【0030】
この構成においては、シート記録材の異常搬送が検出された場合に、転写担持体を特定の像担持体を除く像担持体より離間させ、像担持体とシート記録材の接触状態を一部解除しシートを定着部のエリアに向かって搬送する場合に、ジャム発生前に像担持体に形成されたトナー像のシート記録材への転写を少なくすると共に、像担持体と対を成す転写ローラによる転写担持体に対するシート記録材への必要以上の吸着力の追加を断つことができるため、転写担持体からのシート記録材を剥がしやすくでき、ジャム処理時の装置内部へのトナー汚れやシート記録材を掴む手へのトナー汚れ等を減じることができ容易なジャム処理を行える。さらに、離間されなかった像担持体と対を成す転写ローラによりシート記録材を転写担持体に吸着させる電荷を供給できるため、シート記録材を定着装置のエリアに確実に搬送させることができる。
【0031】
また、搬送方向下流側を離間させることでシート記録材が停止している定着ローラに当って搬送が阻止された後に、シート記録材が撓む領域を広げることができ、かつ、シート記録材と転写担持体との間でスリップをさせることができ未定着トナーにより画像形成装置の内部がトナーで著しく汚れないようにすることができる。
【0032】
(9)前記ジャム処理制御手段は、前記搬送異常時に、前記転写担持体による前記搬送異常のシート記録材の搬送が停止する以前に、前記離接手段による転写担持体支持手段の離間動作を開始させると共に、前記複数の像担持体の中、前記転写担持体から離間した像担持体の回転動作を停止させ、かつ、前記転写担持体の搬送停止に合わせて前記転写担持体に接触している像担持体の回転を停止させることを特徴とする。
【0033】
この構成においては、前記シート記録部材の搬送異常が検出された場合に、転写担持体を像担持体より離間させ像担持体とシート記録材の接触状態を解除しシートを定着部のエリアに搬送した後にシート記録材の搬送を停止させる。この間に、シート記録材(または転写担持体)と非接触となった像担持体の回転を停止させることにより、非接触となった像担持体の不必要な回転を防止して像担持体の寿命の延長を図ることができる。
【0034】
(10)全ての前記像担持体を使用して画像を形成する多色モードと、前記像担持体の中の特定の像担持体を使用して画像を形成する単色モードと、を選択可能に構成され、前記ジャム処理制御手段は、前記多色モード時に前記シート記録材の異常搬送が検出された場合には、前記像担持体と前記転写担持体の接触状態を単色モード時の状態に設定することを特徴とする。
【0035】
この構成においては、シート記録材に異常搬送が検出された以後は、転写担持体(シート記録材)と像担持体との接触状態を単色モードとすることで、転写担持体が多くの像担持体から離間されるため、シート記録材を取り出しやすくなり、ジャム処理作業が容易となる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態に係る画像形成装置について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0037】
《画像形成装置》
図1は、画像形成装置の構成を示し、この画像形成装置は、外部から伝達された画像データに応じて、所定のシート記録材(記録用紙等、以下、シートという)に対して多色または単色の画像を形成するものであり、露光ユニット1、現像器2、感光体ドラム(像担持体)3、帯電器5、クリーナユニット4、転写搬送ベルトユニット8、定着ユニット12、用紙搬送路S、給紙トレイ10および排紙トレイ15等を具備している。
【0038】
この画像形成装置において取り扱われる画像データは、ブラック(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。従って、露光ユニット1(1a,1b,1c,1d)、現像器2(2a,2b,2c,2d)、感光体ドラム3(3a,3b,3c,3d)、帯電器5(5a,5b,5c,5d)、クリーナユニット4(4a,4b,4c,4d)は各色に応じた4種類の潜像を形成するように、それぞれ4つの画像ステーションPa(ブラック)、Pb(シアン)、Pc(マゼンタ)、Pd(イエロー)が設定されている。
【0039】
感光体ドラム3は、画像形成装置のほぼ中心部に配設されており、帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であり、接触型のローラ型やブラシ型の帯電器のほか図に示すようにチャージャー型の帯電器が用いられる。
【0040】
露光ユニット1は、発光素子をアレイ状に並べた例えばLED書込みヘッドや、図面に記載したレーザ照射部および反射ミラーを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)を用いている。そして、帯電器5によって帯電された感光体ドラム3は、露光ユニット1によって、画像データに応じて露光されることにより、その表面に画像データに応じた静電潜像が形成される。
【0041】
現像器2は、それぞれの感光体ドラム3上に形成された静電潜像を(K,C,M,Y)のトナーにより顕像化する。クリーナユニット4は、現像・画像転写後における感光体ドラム上の表面に残留したトナーを除去・回収する。
【0042】
感光体ドラム3の下方に配置されている転写搬送ユニット8は、転写ベルト7、転写ベルト駆動ローラ71、転写ベルトテンションローラ73、複数の転写ベルト従動ローラ72,73、転写ローラ6(6a,6b,6c,6d)および転写ベルトクリーニングユニット9を備えている。転写ベルト駆動ローラ71、転写ベルト従動ローラ72,74および転写ベルトテンションローラ73は、転写ベルト7を張架し、その転写ベルト7を矢印B方向に回転駆動させる。
【0043】
転写ローラ6は、転写搬送ユニット8の内側のハウジング(図示せず)に回転可能に軸支されており、転写ベルト駆動ローラ71,転写ベルト従動ローラ72,74および転写ベルトテンションローラ73とともに、転写ベルト7を張架している。この転写ローラ6は、感光体ドラム3のトナー像を、転写ベルト7上に吸着されて搬送されるシートに転写する。
【0044】
転写ベルト7は、厚さ100〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されており、それぞれの感光体ドラム3に対して離接可能に設けられている。この転写ベルト7は、感光体ドラム3の全てに接触して画像形成を行う多色モード時には(図9参照)、感光体ドラム3に形成された各色のトナー像をシートに順次的に重ねて転写することによって、カラーのトナー像(多色トナー像)を形成する機能を有している。
【0045】
また、転写ベルト7を感光体ドラム3aのみと接触させ、他の感光体ドラム3b,3c,3dと離間させて画像形成を行う単色モード時には(図10参照)、ブラック(黒)のトナー像(単色トナー像)をシートに転写することによって白黒の画像を形成する機能を有している。
【0046】
この両モード間の転写ベルト7の切換動作は、図9及び図10に示すように、切換手段38によって行われる。すなわち、切換手段38は、図示しないステッピングモータ等の駆動源により回転させるカム43を、転写搬送ユニット8の支持片50に摺接させ、転写搬送ユニット8のハウジングに備えられている転写ローラ6aの軸の軸心を延長した位置に設けられた支点軸を回転中心にして、その転写搬送ユニット8を上下に回動させるように構成されている。
【0047】
感光体ドラム3からシートへのトナー像の転写は、転写ベルト7の裏側に接触している転写ローラ6(6a,6b,6c,6d)によって行われる。各転写ローラ6には、トナー像を転写するために転写部の高圧電源60a〜60dによって高電圧(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)または、シートの搬送ジャム発生時の状況に応じて転写ベルト7を除電するためのACの高圧電圧が印加される。
【0048】
転写ローラ6は、直径8〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面が導電性の弾性材(例えばEPDM,発泡ウレタン等)により覆われているローラである。この導電性の弾性材により、シートに対して均一に高電圧を印加することができる。
【0049】
また、感光体ドラム3から転写ベルト7に付着したトナーは、シートの裏面を汚す原因になるために、転写ベルトクリーニングユニット9によって除去・回収されるようになっている。
【0050】
給紙トレイ10は、印刷に使用するシート(記録用紙)を蓄積しておくためのトレイであり、画像形成装置の画像形成部の下側に設けられている。また、画像形成装置の上部に設けられている排紙トレイ15は、印刷済みのシートをフェイスダウンで載置するためのトレイである。画像形成装置の側部に設けられている排紙トレイ33は、印刷済みのシートをフェイスアップで載置するためのトレイである。
【0051】
また、画像形成装置には、給紙トレイ10のシートを転写搬送ユニット8や定着ユニット12を経由させて排紙トレイ15に送るための、Sの字形状の用紙搬送路Sが設けられている。さらに、給紙トレイ10から排紙トレイ15および排紙トレイ33までの用紙搬送路Sの近傍には、ピックアップローラ16、レジストローラ14、定着ユニット(定着部)12、搬送方向切換えゲート34、搬送ローラ25等が配設されている。
【0052】
搬送ローラ25は、シートの搬送を促進・補助するための小型のローラであり、用紙搬送路Sに沿って複数設けられている。ピックアップローラ16は、給紙トレイ10の端部に備えられ、給紙トレイ10からシートを1枚毎に用紙搬送路Sに供給する呼び込みローラである。
【0053】
搬送方向切換えゲート34は、側面カバー35に回転可能に設けられており、実線で示す位置状態から破線で示す位置状態に切り換えることにより用紙搬送路Sの途中からシートを分離し排紙トレイ33に排出する。
【0054】
一方、実線で示す位置状態の場合には、シートは定着ユニット12と側面カバー35,搬送切換えガイド34の間に形成される搬送部S’ (用紙搬送路Sの一部)を通り上部の排紙トレイ15に排出される。
【0055】
また、転写ベルト7の最上流側に配設されるレジストローラ14は、用紙搬送路Sを搬送されているシートを一旦保持するものである。そして、感光体ドラム3上のトナー像をシートに良好に多重転写できるように、感光体ドラム3の回転にあわせて、シートをタイミングよく搬送する機能を有している。
【0056】
すなわち、レジストローラ14は、シート検出器Aの出力した検知信号に基づいて、各感光体ドラム3上のトナー像の先端をシートにおける印刷範囲の先端に合わせるように、シートを搬送する。シート検出器Aは、シートの搬送タイミングを監視している。このシート検出器Aの信号を基準にシートのジャム検出などが行われる。
【0057】
定着ユニット12は、ヒートローラ31,加圧ローラ32等を備えており、ヒートローラ31および加圧ローラ32は、シートを挟んで回転するようになっている。また、ヒートローラ31は、図示しない温度検出器の出力値に基づいて制御部によって図示しないヒータランプのON,OFFを制御し所定の定着温度となるようにされており、加圧ローラ32とともにシートを熱圧着することにより、シートに転写された単色トナー像または多色トナー像を溶融・混合・圧接し、シートに対して熱定着させる。
【0058】
定着ユニット12でトナー像を定着された後のシートは、搬送ローラ25…によって排紙トレイ33または15に選択的に排紙される。このとき、シート検出器B,シート検出器Cおよび図示しないシート検出器等により定着後のシートの搬送状態が監視される。
【0059】
ここでは、カラー画像形成装置について説明しているが、単一の画像形成ステーションを備えた構成のもの(モノクロ画像形成装置)であってもよい。また、本実施の形態では、画像形成装置本体を、3段の給紙トレイを備えた給紙デスク装置上に載置しているが、これに限定されることなく、使用者により各種形式の給紙装置が選択されてよい。
【0060】
《ジャム処理のための構成》
以上のように構成される画像形成装置にあって、本実施の形態では、シートの搬送中に紙詰まり(搬送ジャム)が発生した場合のジャム処理を能率よく、容易かつ確実に行うために、シートのサイズに応じてシートの搬送量を制御するジャム処理制御手段を有する制御部を具備し、以下のような構成を採用している。
【0061】
まず、図2に示すように、画像形成装置本体の前後両側に横設したスライド部材36により、排紙トレイ33を具備した側面カバー35とユニット化された定着ユニット12が、転写搬送ベルトユニット8の搬送方向下流側に向けて(シートの搬送方向)に引き出し可能となっている(図11参照)。
【0062】
そして、ジャム処理時には、側面カバー35と共にその定着ユニット12を画像形成装置本体より引き出す動作と連動して、全ての感光体ドラム3に対して転写ベルト7を離間させることができ、かつ、定着ユニット12の収納動作に連動して元の状態に復帰させることができるように構成している。
【0063】
すなわち、本実施の形態では、転写ベルトユニット(転写担持体装置)8に支持された転写ベルト7を全ての感光体ドラム3(3a〜3d)に対して離接動作させるための離接機構(離接手段)Rを有し、その離接機構Rは、定着ユニット12と一体のスライド部材36のスライド動作(図11参照)に連係させて、スライド部材36に備えた図示しないカム機構を転写搬送ユニット8と切換手段38に係合させることで全ての感光体ドラム3に対して転写ベルト7を離間させることができ、かつ、定着ユニット12の収納動作に連動して元の状態に復帰させることができるように構成している。
【0064】
上述のスライド部材36は、例えば、精度の高いアキュライド等のスライドベアリングを用い、比較的重量のある定着ユニット12を高精度に支持しスムーズな移動を行えるようにするのが好ましいが、その定着ユニット12を画像形成装置本体の所定の位置に戻した時に、高精度な位置決めが可能であれば、その他のスライド手段を用いてもよい。
【0065】
また、本実施の形態では、転写ベルト7を含む転写搬送ユニット8は、前述したように、上流側の転写ローラ6aの軸を延長した所に位置する転写搬送ユニット8のハウジング部に設けられた不図示の支点軸を回転中心として、その下流側が画像形成装置本体に対して回転可能に支持されており、切換手段38を用いて転写搬送ベルトユニット8が略水平に全感光体ドラム3に対して接触する図9に示す多色モードの状態と、下流部が下降し感光体ドラム3aのみが転写ベルト7に接触する図10で示す単色モードの状態とに切換えられるようになっている。なお、搬送中のシートの位置を検出するための検出手段は、上述のシート検出器A、シート検出器B、シート検出器Cの他に、同様なシート検出器が搬送路Sに複数備えられている。
【0066】
この定着ユニット12の上流側に配設されるシート検出器Aの検出タイミングを基準としたジャム処理制御手段による制御については、図13〜図16のフローチャートで説明しているが、定着ユニット12の下流側に配設したシート検出器Bやシート検出器Cは、排紙トレイ33や排紙トレイ15へのシートの排出状態を検出しており、シート検出器Aに加えてシート検出器B、シート検出器Cを用いて同様の制御を行うこともできる。
【0067】
ジャム処理制御手段は、画像形成装置の制御系統ブロック図を表す図12に示すように、CPU,ROM,RAMからなる制御部内にジャム処理制御部100aとして設けられ、その入力側にはシート検出器A,B,Cが接続されている。また、出力側には、転写ベルト7を駆動させるための駆動源や、転写ベルト7の上流側のシート搬送手段としてのレジストローラ14のクラッチ等を具備した搬送機構部や、転写ベルトユニット8を感光体ドラム3(3a〜3d)に対して離接動作させるための離接機構部(離接機構Rと切換手段38を含む)が接続され、また、転写ローラ6への電源を供給するための高圧電源60a〜60d(転写部,本発明の転写部材)も接続されている。なお、本発明は、転写ベルト7の上流側のシート搬送手段を、レジストローラ14に限定するものではなく、後述するように、その他に、転写ベルト7の上流側の搬送路Sに設けられているシート搬送用の搬送ローラが上記シート搬送手段に含められてもよい。
【0068】
また、図1に示すように、環境検出器Eは、画像形成装置内の比較的温度や湿度が急激に変化しやすい例えば定着ユニット12の近傍等を避け、画像形成プロセス部に近い所に設置され湿度,温度の両方を検出する。なお、ここではカラー画像形成装置について説明しているが、単一の画像形成ステーションを備えた構成のもの(モノクロ画像形成装置)であってもよい。
【0069】
搬送ジャムが発生した場合、装置内に滞留しているシート(搬送異常のシート)を取り出す処理方法としては、(1)搬送異常のシートを定着ユニット12のヒートローラ31および加圧ローラ32からなるローラ対に噛み込まれない状態のところまで搬送した後、定着ユニット12を引き出して搬送されたシートを取り出す処理方法と、(2)搬送異常のシートをローラ対31,32に噛み込まれるまで搬送した後、シートを定着ユニット12と共に引き出して、取り出す処理方法とがある。
【0070】
具体的には、例えば、図3に示すように、定着ユニット12を画像形成装置から引き出していない状態にて、搬送ジャムにより、転写搬送ユニット8にシートが残っている場合、好ましくは転写搬送ユニット8を実線で示すように感光体ドラム3a以外の感光体ドラム(3b〜3d)から離間させる。これにより、3a以外の感光体ドラム3b,3c,3dと6a以外の転写ローラ6b,6c,6dからは電荷は与えられないので、その分だけ吸着力を(適度に)低減できる。
【0071】
続いて、上記(1)の処理ではシートを定着ユニット12の手前(噛み込まれない状態)まで搬送する。その後、図5に示すように、定着ユニット12を画像形成装置の側面左方向(図5の矢印方向)に引き出すと、シートが転写搬送ユニット8側に残った状態となる。
【0072】
このとき、シートのサイズが大きい場合には、搬送されたシートの先端がローラ部材31,32に当接するため、実線で示すように折れ曲がり転写ベルト7に吸着されている部分がなるべく少なくなるようになっている。一方、シートのサイズが小さいときには、図中破線で示す搬送されたシートにおいては、転写ベルト7に吸着される部分が多くなる。なお、図5では、側面カバー35を開放し(図11参照)、定着ユニット12が引き出される動作に連動して前述した図示しないカム機構により、すべての感光体ドラム3が転写搬送ユニット8から離間されているので、シートを転写ベルト7から引き剥がしやすい状態になっている。
【0073】
なお、ローラ部材31,32に噛み込まれない状態でシートを搬送した場合には、撓みの大きさにより、シートの表面に転写されている未定着の現像剤によって、画像形成装置の内部(定着ユニット12の周辺)を汚してしまうので、搬送量を多く設定するのは好ましくない。
【0074】
一方、上記(2)の処理では、図4に示すように、緊急停止したシート(搬送異常のシート)が、定着ユニット12のローラ部材31,32に噛み込まれるまで該シートを搬送する。その後、図7に示すように、側面カバー35と共に定着ユニット12を画像形成装置の側面左方向(図7の矢印方向)に引き出すと、シートが定着ユニット12と共に、転写ベルト7から引き剥がされた状態で引き出される。なお、図4の一点鎖線は、回転させておいたローラ部材31,32に噛み込ませたシートの搬送量(L′)を示しており、ローラ部材31,32を停止させた場合には、図4の実線または破線となるように制御される。また、Lは最下流側の転写ベルト駆動ローラとローラ対31,32の間の距離を示す。
【0075】
図6は、ローラ部材31,32を回転させておいた場合の例を示し、この場合には、シートの搬送量を多く設定しており、図4の実線と同じ搬送量となるが、シートに撓みは発生しない。したがって、未定着トナーによる画像形成装置内部の汚れを防止できる。なお、図3〜図6で説明したジャム処理は、搬送ジャムなどによりシートを停止した直後のジャム処理(最初のジャム処理)であってもよいし、最初のジャム処理を行ってもまだ転写搬送ユニット8に残っているシートを取り出す2回目以降のジャム処理であってもよい。
【0076】
本実施の形態では、このようなジャム処理の方法を勘案して、そのときのシートのサイズに応じて、常に、ジャム処理に適切に対処できるように、ジャム発生後のシートの搬送量を設定している。その搬送量の設定は、実状を想定したジャム処理実験の結果に基づいて行った。
【0077】
その実験では、実際に、搬送方向を基準としてサイズの異なる3種の用紙、すなわち、A3サイズ(297mm×420mm,縦送り)、A4横サイズ(297mm×210mm,横送り)、A4縦サイズ(210mm×297mm,縦送り)について、それぞれ、搬送量(L′)を変化させて、吸着された用紙の剥ぎ取りやすさと、装置内の汚れについて調べた。その結果を表1に示す。
【0078】
【表1】
【0079】
表1から明らかなように、A3サイズの場合、搬送量L′=100mmに設定すると、「周辺部の汚れ」は少ないが、剥ぎ取りにくくなる。L′=200mmにすると、「剥ぎ取り易さ」、「周辺部の汚れ」は中程度となる。L′=250mmにすると、剥ぎ取り易くなるが、「周辺部の汚れ」が甚だしくなる。
【0080】
A4(横)では、L′=100,150mmのいずれの場合も、「剥ぎ取り易さ」「周辺部の汚れ」共に、良好な結果を得ることができた。また、A4(縦)では、L′=100,150mmのいずれの場合も、「剥ぎ取り易さ」、「周辺部の汚れ」共に、良好な結果を得ることができたが、L′=200mmの場合には、「剥ぎ取り易さ」については良好な結果が得られたが、「周辺部の汚れ」は中程度の結果となった。
【0081】
従って、上述の実験結果に準じて、シートの搬送量(L′)を設定することで、作業性よくジャム処理を行うことができ、装置内の汚れを抑えることができる。なお、(一般的に)ジャム発生時のシートの搬送量(L′)は、シートのサイズが大きい場合には、サイズが小さい場合よりも多くするのが好ましいと言える。
【0082】
図13〜図16は、本画像形成装置に関わる動作(例えば、露光ユニット1による感光体ドラム3への書込み動作、感光体ドラム3の回転動作、帯電器5による帯電動作、現像器2による現像動作、転写ローラ6による転写バイアスの印加動作、シート記録材の搬送動作、定着ユニット12の定着動作等)についての制御フローを示したものである。
【0083】
但し、反転現像方式を用いる場合に、この動作の中、感光体ドラム3が回転するときに画像形成に関わらずに必要となる動作がある。その動作は、帯電器5の帯電動作であり、感光体ドラム3が回転した場合に感光体ドラム3が帯電されないと現像剤が付着してしまう。そのため、図13のステップs9及び図14のステップs9´では感光体ドラム3aに対する帯電器5aの帯電動作を行っている。
【0084】
以下、制御フローについて順に説明すると、まず、図13に示すフローチャートに示すように、画像形成動作の開始後、搬送ジャムが発生すると、画像形成に関わる(すべての)動作(例えば、露光ユニット1による感光体ドラム3への書込み動作、感光体ドラム3の回転動作、帯電器5による帯電動作、現像器2による現像動作、転写ローラ6による転写バイアスの印加動作、シート記録部材の搬送動作、定着ユニット12の定着動作等)を緊急停止させる(s1〜s3)と共に、切換手段38を動作させて、転写ベルト7を感光体ドラム3aを除く感光体ドラム3b,3c,3dから離間させる(s4)。これは、シートを転写ベルト7に吸着させるためにも働く感光体ドラム3b,3c,3dからの電荷の供給を断ち、後に行うシートを転写ベルト7から剥ぎ取るときの力をなるべく小さくするためである。
【0085】
ステップs4にて、転写ベルト7を感光体ドラム3aを除く感光体ドラム3b,3c,3dから離間させた場合について説明したが、離間させなくとも、転写ローラ6b,6c,6dの転写バイアスをOFFするか、適切な値に設定することで、同様な効果を得ることができる。
【0086】
上述のステップs4で、転写ベルト7を感光体ドラム3aを除く感光体ドラム3b,3c,3dから離間させた後、操作部にジャム発生の表示がなされ操作者がジャム処理(復帰作業)を行う(s5)。その復帰作業は、定着ユニット12を画像形成装置本体から引き出して、その動作により転写搬送ベルトユニット8が再び移動させられ感光体ドラム3aと転写ベルト7とを、(離接機構Rにより)完全に離間させて行われる。この復帰作業により、例えば、図3に示すように、ヒートローラ31に巻き付いたシートを取り除くことができる。なお、完全な離間状態は、図5、図6(b)、図7(b)、図8(b)に示されている。
【0087】
このジャム処理は、例えば定着装置の下流に位置している検出器(例えばシート検出器B)にシートが到達しない場合で定着ユニット12でのジャムと判断された場合に行う制御として実施される。このジャム処理が終了した後は、定着ユニット12を画像形成装置本体に挿入して転写搬送ベルトユニット8を定着ユニット12を引き出す前の状態に復帰させる。なお、ステップs3にて、安全のため、定着ユニット12のヒータへの通電はOFFされる。
【0088】
次に、先のジャム発生時にシート検出器Aの状態を監視していたときの情報を基に、他にシート検出器Aを通過したシートが転写ベルト上に存在するか否かが判断される(s6)。また、シート検出器Aにてレジストローラ14に挟持されているシートが存在するか否かが判断される(s7)。ステップs6またはs7でシートが存在すると判断された場合には、シートのサイズに応じて、シートの搬送量を設定する(s8)。
【0089】
次いで、定着ユニット12を停止させたままシートの搬送動作を開始し(s9)、ステップs8にて設定したシートの搬送量だけシートを搬送する。このとき、転写ベルト7の感光体ドラム3からの離間状態を維持し、シートを転写ベルト7に吸着させるためにも働く感光体ドラム3b,3c,3dからの電荷の供給を断つ。これは、後に行うシートを転写ベルト7から剥ぎ取るときの力をなるべく小さくするためである。
【0090】
次に、シート記録材を所定の搬送量だけ搬送した後停止し(s11)、操作者が定着ユニット12を開放し再度ジャム処理(復帰作業)を行う(s12)。このとき、定着ユニット12の開放動作に連動する離接機構Rにより、転写ベルトユニット8が全ての感光体ドラム3から離間する位置に移動しているため、図5に示すように、残っていたシートの先端が掴みやすくなり、容易にジャム処理を行える。
【0091】
また、ジャム発生後すぐに転写ローラ6への転写バイアスの印加を停止し、転写ベルト7を感光体ドラム3b,3c,3dから離間させているので、転写ベルト7に吸着しているシートの吸着力が低下しているためにシートを転写ベルト7から剥ぎ取りやすい状態になっていることも、ジャム処理の容易化に大きく寄与している。
【0092】
ジャム処理をした後に定着ユニット12をもとに戻すとステップs7に戻り再びシート検出器Aでシートの滞留が再度検出され、シートの滞留が無ければステップs12に進み切換手段38を動作させ転写ベルト7を感光体ドラム3全てに接触させる。その後、ステップs13にてプロセス部の予備動作である前回転動作(感光体ドラム3や転写ベルト7のクリーニング等の準備作業)を開始し、ステップs14にて前回転動作が修了すればステップs15にて操作部のレディーランプを点灯させ画像形成可能な状態で待機状態となる。
【0093】
一方、ステップs6で転写ベルト上に滞留するシートが無いと判断され、ステップs7にて、シート検出器Aでシートが検出されない場合は、ジャム処理が完全に終了していると判断し、ステップs12に進み、転写ベルト7を感光体ドラム3の全てに接触させる。その後、ステップs13,s14に進み前記した前回転動作の終了を待って、画像形成準備の完了したことを示すレディーランプを点灯させる(s6〜s15)。本実施の形態では、レディーランプを点灯させて動作の再開を促しているが、自動的に画像形成動作を再開させてもよい。
【0094】
このように、定着ユニット12を画像形成装置本体から引き出して、一旦、ジャム処理を行った後、画像形成装置の上流側に残っている後続のシートがあれば、これを下流側の取り出し易い位置に搬送して、再度、ジャム処理を行うことで、シートを取り残すことなく、確実に復帰作業を完了することができる。その取り出し易い位置は、例えば、シートの少なくとも一部が定着ユニット12のエリアと転写ベルト7のエリアにまたがる位置であればよい。
【0095】
なお、搬送ジャムと判断された場合には上流側のシート搬送手段の内レジストローラ14を含む上流のシート搬送手段の駆動は停止される。ただし、レジストローラ14に噛み込んで転写ベルト7の領域に入り込んだシートがある場合には、転写ベルト7よりその先端が定着ユニット12のローラ部材31,32に噛み込まれるまで、または、噛み込まれる手前まで搬送される。この時、レジストローラ14の駆動側のローラには図示しない駆動系との間に設けた図示しない一方向クラッチにより、レジストローラ14が従動回転するようになっている。また、レジストローラ14を含む上流側のシートを挟持しているローラを駆動しても良い。
【0096】
また、上述した2回目のジャム処理の際に、緊急停止時に上流側に滞留している後続のシートをより確実に搬出するために、例えば、図14の制御フローに示すように、シートのサイズに応じてシートの搬送量を設定した(s8′)後、シート搬送動作を開始するときに定着ユニット12の回転動作も開始させシートの搬送動作を停止させる前に、所定の搬送量だけ、例えば、図6(a)に示すように、シートを定着ローラ(ローラ部材)31,32に噛み込ませるまでに要する時間だけ、転写ベルト7を転動させた(s9′)後、シートの搬送動作を停止(s10′)させて、ジャム処理を行うようにしてもよい。
【0097】
この場合、定着ユニット12を画像形成装置本体から引き出すと、図6(b)に実線で示すように、定着ローラ31,32に噛み込まれたシートを容易に画像形成装置内より引き抜くことができ、転写ベルト7からシートを剥ぎ取る操作を容易に行うことができる。このように、ステップs9′〜s10′のシート搬送過程を設定することで、特に、小サイズのシートをも画像形成の内部に落下させることなく定着ユニット12のローラ31,32に噛み込ませた状態で取り出し易い位置に確実に搬出することができる。
【0098】
上記の複数回に分けて行うジャム処理は、特に、定着ユニット12でジャムが発生した場合に有効で、シートが異常発熱して焦げたり煙を発生し、そのまま放置すると大きなトラブルに発展する可能性があるため、画像形成装置を緊急に停止させすぐに定着ユニットを引き出しジャム処理をする場合についての動作として説明したが、定着ユニット12以外の部分でジャム処理を行ってもよい。
【0099】
次の例は、ジャムの発生が検出された場合に定着ユニット12の上流側のシート搬送手段の回転動作を即停止させない場合である。例えば、図15に示すように、画像形成動作の開始後にジャムが発生した場合(s21〜s22)、画像形成動作(露光ユニット1による感光体ドラムへ3の書込み動作、現像器2による現像動作等)と定着ユニットの動作(ヒータによる加熱動作、ローラ類31,32の回転動作)を停止させる(s23)。
【0100】
次いで、シートのサイズに応じて、シートの搬送量を設定する(s24)。なお、ステップs23(及びs43)での画像形成動作とは、露光ユニット1による露光動作、現像器2による現像動作を指し、現像器2の現像動作の停止は、現像バイアスの印加オフ制御あるいは現像器2の感光体ドラム3からの離間制御にて行う。
【0101】
さらに、切換手段38を動作させ転写搬送ユニット8を回転移動させ、転写ベルト7を感光体ドラム3b,3c,3dから離間させる(s25)。これは、前述した通り、シートの転写ベルト7への吸着力をできるだけ減じて転写ベルト7からシートを剥がしやすくするためであり、かつ、すでに感光体ドラム3b、3c、3dに形成されてしまっている画像がシートに転写されるのを防止するためでもある。
【0102】
そして、同時に、転写ローラ6b,6c,6dへの転写バイアスの印加も停止させる(s26)。これは、シートの転写ベルト7への吸着力を減じるためである。また、このとき、シートの転写ベルト7への吸着力が減少しにくい場合には前述した転写ローラ6b,6c,6dへの高電圧印加をACの高電圧出力に切換え積極的に吸着力を減少させてもよい。
【0103】
次いで、転写ベルト7上に吸着され担持されているシートを感光体ドラム3b,3c,3dと非接触の状態で、ステップs24で設定した搬送量に達するまで搬送し続ける(s28〜s29)。これは、転写ベルト7上に2枚のシートが搬送されている状態のときに、転写部12のローラ部材31,32の手前に先頭のシートと後続のシートとを集め、同時に(一度に)ジャム処理をするためである。
【0104】
このとき、後続のシートが下流に位置する搬送手段であるレジストローラ14等に挟持されている場合は、そのローラ部材を駆動させることによりシートがスムーズに搬送されるようにする。つまり、ジャム発生後すぐに画像形成動作および定着ユニット12の回転動作を停止させてから、所定時間経過後に、図7(a)に示すような状態になったときにシートの搬送動作を完全に停止させる。そして、ステップs30にて、復帰作業が実施される。すなわち、操作者によって、まず、図7(b)に示すように定着ユニット12を画像形成装置本体から引き出す操作により、連動する離接機構によって、転写搬送ユニット8がさらに移動させられ転写ベルト7が全ての感光体ドラム3から離間される。
【0105】
そして、操作者が前述したように2枚のシートを取り出す復帰作業(ジャム処理)を実施する。ジャム処理が終了した後は、定着ユニット12を画像形成装置本体に挿入して転写搬送ユニット8を元の状態(感光体ドラム3aのみが転写ベルト7に接触している状態)に復帰させる。
【0106】
次いで、ステップs31にて、シート検出器Aによりレジストローラ14にシートが滞留していないかを確認し、シートの滞留が認められたら、s36〜s37で前述したと同様に滞留しているシートの先端が定着ユニット12のエリアに侵入あるいは充分に浸入するまでシートの搬送を行い、ステップs38にて再度、操作者が復帰作業を行う。
【0107】
復帰作業後は、再度ステップs31に戻り、シートの滞留状態が確認される。ステップs31でシートの滞留が認められなかった場合は、復帰作業(ジャム処理)が完了したと判断し、ステップs32に進み転写ベルト7を全ての感光体ドラム3に接触させる。
【0108】
その後、ステップs33にてプロセス部の予備動作である前回転動作(感光体ドラム3や転写ベルト7のクリーニング等の準備作業)を開始し、ステップs34にて前回転動作が修了すれば、ステップs35にて操作部のレディーランプを点灯させ画像形成可能な待機状態となる。
【0109】
また、ステップs31からステップs36〜s38,s31に戻るフローは念のために行われる動作であり、先に説明したステップs8〜s10,s7に戻る動作と同一の動作であるので説明を省略する。
【0110】
次に、図16に示す例では、さらに効率よく容易かつ確実にジャム処理を行えるようにするために、ジャムが発生した時に、転写ベルト7上に複数枚のシートが存在している場合で、先頭のシートを定着ユニット12のローラ31,32で狭持した状態で定着ユニット12から下流側に搬送されないように搬送を停止させ、後続のシートを定着ユニット12のローラ31,32の手前に集めてジャム処理を行うようにしている。
【0111】
その制御フローについて説明すると、画像形成動作の開始後に、ジャムの発生が検出された場合に(s41,s42)、ステップs42にて、まず、画像形成動作(露光ユニット1による感光体ドラムへ3の書込み動作,現像器2による現像動作等)を停止させる。このとき定着ユニット12の動作はヒータによる加熱動作は停止しても良いが、ローラ31,32の回転動作は継続させてシートの搬送を続行させる(s43)。そして、シートのサイズに応じてシートの搬送量を設定する(s44)。なお、ステップs43にて、シートの搬送動作の継続中には、画像形成動作が停止されているため、ジャム処理時に画像形成装置内の汚れを少なくすることができる。
【0112】
次いで、切換手段38を動作させ転写搬送ユニット8を回転移動させ、転写ベルト7を感光体ドラム3b,3c,3dから離間させる(s45)。これは、前述した通りシートの転写ベルト7への吸着力をできるだけ減じて転写ベルト7からシートを剥がしやすくするためと、すでに感光体ドラム3b、3c、3dに形成されてしまっている画像がシートに転写されることをも防止するためである。同時に、ステップs45にて転写ローラ6b,6c,6dへの転写バイアスの印加も停止させる(s46)。
【0113】
また、このとき、積極的に吸着力が減少するように転写ローラ6b,6c,6dにACの高電圧を印加してもよい。これは、シートの転写ベルト7への吸着力が高すぎる場合等にその吸着力を減じるためである。
【0114】
そして、離間させた感光体ドラム3b,3c,3dの回転を停止させ(s47)、シートを、ステップs44で設定した搬送量だけ搬送した後(s48)、転写ベルト7等によるシートの搬送を停止させる(s49)。次いで、先に述べたと同様に復帰作業を行う(s50)。
【0115】
この場合、シートは図8(a)に示す状態で停止されており、図8(b)に示すように定着ユニット12を引き出すことで復帰作業が容易に行える。この時の、それぞれのシートの搬送の停止は、シート検出器Aを基準にタイマにてコントロールされるが、シートの上流に位置するシート検出器Bやシート検出器Cにより検出しても良い。
【0116】
すなわち、まず、画像形成動作のみを停止(定着ローラは駆動)させた後、シート検出器Aによる検出タイミングを基準として、またはシート検出器B、シート検出器Cでシートが検出された後、つまり所定時間が経過するのを待って、定着ユニット12の動作を停止させ、さらに、所定時間経過するのを待って、シートの搬送動作を完全に停止させ、しかる後に、定着ユニット12を画像形成装置本体から引き出して離接機構を連動させ、転写搬送ユニット8を全ての感光体ドラム3から離間する位置に移動させて、復帰作業(ジャム処理)を行う(s43〜s50)。
【0117】
上述のステップs42でジャムの発生を検出したときに画像形成動作を停止してから、ステップs48で、シートを所定量搬送してから定着ユニット12の動作を停止させるのは、図8(a)に示すように先頭のシートを定着ユニット12のローラ部材(31,32)に噛み込ませるためである。この時、後続のシート(破線参照)はローラ部材(31,32)に噛み込まれる手前の位置にあり、これをさらに搬送することにより定着ユニット12のローラ部材(31,32)に突き当たる所に搬送させることができる。
【0118】
このように、先頭のシートをローラ部材(31,32)に噛み込ませておき、後続のシートを定着ユニット12の所まで搬送させることにより、定着ユニット12を引き出した時に先頭および後続のシートを同時に取り出すことができ、1度でジャム処理を完了させることができる。
【0119】
また、ステップs51以降のステップs51〜s58は、前述した方法のところで説明したステップs7〜s14、s30〜s37に記載した内容と同一であり説明を省略する。さらに、ステップs52〜s55も前述の方法と同一であり説明を省略する。
【0120】
以上説明したように、本発明では、ジャム処理の際に、シートを取り出し易い位置まで搬送する際に、その搬送量をシートのサイズに応じて制御することで、ジャム処理を容易かつ確実に行うことができ、また、装置内を汚さないようにすることができる。
【0121】
なお、本発明は、以上説明した実施の形態に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、必要に応じて、適宜、設計変更や改良等は自由である。また、画像形成装置は、図1,図2に示す構成に限定されることなく、像担持体上に形成されたトナー像を転写担持体上に吸着搬送されるシート記録材に転写し定着装置で前記シート記録材上に前記トナー像を定着させると共に、ジャム処理制御手段により、前記シート記録材の搬送異常を判断し、かつ、搬送異常時にはその搬送動作を停止させるようにした画像形成装置であれば、構成や形式の如何を問わない。
【0122】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、以下の効果を奏する。
【0123】
(1)搬送ジャム等の搬送異常によるシート記録材搬送動作の停止後の復帰作業の後に、シート記録材の搬送動作を再開する直前または再開した直後に、搬送途中のシート記録材の存在が確認された場合もしくは予想される場合には、シート記録材の少なくともその一部が、シート記録材搬送方向における前記定着装置のエリアと転写担持体が位置するエリアとにまたがる位置に到達するまで搬送すると共に、前記シート記録材の搬送過程における搬送量を、前記シート記録材のサイズに応じて制御するので、シート記録材が取り出しやすい位置に搬送されるため、シート記録材を掴み易くし容易にジャム処理ができるようになる。さらに、シート記録材のサイズに応じて転写担持体の搬送量を制御するので、シート記録材のサイズにより転写担持体からのシート記録材を剥がす時に必要となる力の差を少なくし、ジャム処理時にシート記録材をサイズの如何にかかわらず、容易に取り除くことができる。
【0124】
(2)搬送ジャム等の搬送異常時には、シート記録材搬送動作を継続させ、転写担持体を含む上流側のシート記録材搬送手段に存在する前記シート記録材の少なくともその一部がシート記録材搬送方向における定着装置のエリアと転写担持体が位置するエリアとにまたがる位置にて前記シート記録材を停止させると共に、シート記録材の搬送過程における搬送量を、シート記録材のサイズに応じて制御するので、シート記録材のサイズの差に起因する転写担持体からのシート記録材の引き剥がし力の差を少なくし、常に、ジャム処理時にシート記録材を容易に取り除くことができる。
【0125】
(3)サイズの大きいシート記録材の搬送量を多くするので、転写担持体に吸着している面積を減じることができ、サイズの小さなシート記録材との差を小さくでき、ジャム処理時のシート記録材の取り出しを容易に行うことができる。
【0126】
(4)シート記録材の搬送方向のサイズに応じて搬送量を制御するので、シート記録材のサイズの相違に起因する転写担持体への吸着面積の変化に適切に対処することができる。
【0127】
(5)搬送ジャム等の搬送異常時には、シート記録材の先端が定着装置のローラ部材に噛み込む手前の位置までシート記録材を搬送するので、定着装置を画像形成装置より引き出したときに、シート記録材の先端が転写担持体より飛び出した状態となり、転写担持体に静電吸着されているシート記録材の先端を掴んで容易に取り出すことができる。
【0128】
(6)搬送ジャム等の搬送異常時には、シート記録材の先端が前記定着装置のローラ部材に噛み込まれる位置までシート記録材を搬送するので、定着装置を画像形成装置から引き出して開放すると、定着装置のローラ部材に挟み込まれたシート記録材が一緒に引き出されるため、転写担持体にシート記録材が静電吸着していても容易にシート記録材を取り出すことができる。
【0129】
(7)シート記録材の搬送方向の長さに応じて定着装置のローラ部材にシート記録材が噛み込まれる手前の位置か噛み込まれる位置かを切換えるので、シート記録材が転写担持体に吸着している面積を、シート記録材のサイズの如何にかかわらず、小さな面積で一定にすることができるので、容易にシート記録材を転写担持体から引き剥がすことができる。
【0130】
(8)搬送ジャム等の搬送異常時には、転写担持体によるシート記録材搬送動作が停止する以前に、離接手段による転写担持体支持手段の離間を開始させ、転写担持体を少なくとも一部の像担持体から離間させるので、ジャム発生前に像担持体に形成されたトナー像のシート記録材への転写を少なくすることができると共に、像担持体と対を成す転写ローラによる転写担持体に対するシート記録材への必要以上の吸着力の追加を断つことができるため、転写担持体からのシート記録材を剥がしやすくでき、ジャム処理時の装置内部へのトナー汚れやシート記録材を掴む手へのトナー汚れ等を減じることができ容易なジャム処理を行える。さらに、離間されなかった像担持体と対を成す転写ローラによりシート記録材を転写担持体に吸着させる電荷を供給できるため、シート記録材を定着装置のエリアに確実に搬送することができる。
【0131】
また、搬送方向下流側を離間させることでシート記録材が停止している定着ローラに当って搬送が阻止された後に、シート記録材が撓む領域を広げる効果と、シート記録材と転写担持体との間でスリップをさせることができ未定着トナーにより画像形成装置の内部がトナーで著しく汚れないようにすることもできる。
【0132】
(9)搬送ジャム等の搬送異常時には、転写担持体による前記搬送異常のシート記録材の搬送が停止する以前に、離接手段による転写担持体支持手段の離間動作を開始させると共に、複数の像担持体の中、前記転写担持体から離間した像担持体の回転動作を停止させ、かつ、前記転写担持体の搬送停止に合わせて前記転写担持体に接触している像担持体の回転を停止させるので、非接触となった像担持体の不必要な回転を防止して像担持体の寿命の延長を図ることができる。
【0133】
(10)シート記録材に異常搬送が検出された以後は、転写担持体と像担持体との接触状態を単色モードとするので、転写担持体が多くの像担持体から離間されるため、シート記録材を取り出しやすくなり、ジャム処理作業が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の要部構成図である。
【図2】同定着部を引き出した状態の要部構成図である。
【図3】同転写担持体が緊急停止した状態の説明図である。
【図4】同シート記録材が転写担持体上に残っている状態の説明図である。
【図5】同定着部を引き出してジャム処理を行う時の説明図である。
【図6】同他の例の説明図である。
【図7】同転写担持体上にシート記録材が2枚残った場合のジャム処理を行う時の説明図である。
【図8】同他の例の説明図である。
【図9】同多色モードにおける転写担持体の状態を示す説明図である。
【図10】同単色モードにおける転写担持体の状態を示す説明図である。
【図11】同定着部を引き出している状態の説明図である。
【図12】同ジャム処理制御手段の制御系統ブロック図である。
【図13】同ジャム処理制御の一例を示すフローチャートである。
【図14】同他の例を示すフローチャートである。
【図15】同異なる例を示すフローチャートである。
【図16】同さらに異なる例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
3−像担持体
7−転写担持体
8−転写担持体支持手段
12−定着装置(定着部)
31,32−ローラ部材
60a〜60d−転写部材(高圧電源)
100a−ジャム処理制御手段
R−離接手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、シート記録材に各種画像の形成を行う複写機,プリンタ,FAX等の画像形成装置に係り、特に、シート記録材の搬送異常時におけるジャム処理技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、像担持体に形成されたトナー画像を、転写担持体によって、シート記録材に静電吸着させて転写した後、そのトナー画像を定着装置でシート記録材上に定着させるようにして画像形成を行う画像形成装置がある。このような画像形成装置のうち、特に像担持体とその周囲に各プロセス手段を配置した画像形成ステーションを複数配列したタンデム型の画像形成装置では、全ての画像形成ステーションの像担持体にわたって単一の転写担持体が対向して形成されるためにその転写担持体が長く形成されることになる。
【0003】
そのため、逐次連続して搬送されるシート記録材の何れかが搬送中にジャム等の搬送異常を起こし画像形成装置が緊急停止した場合には、像担持体と転写担持体との間にシート記録材が停止していることが多い。特に、定着部で搬送ジャムが発生した場合には緊急に動作を停止しなければならない。このような場合には、像担持体と転写担持体との間に後続のシート記録材が停止している可能性が高い。
【0004】
像担持体と転写担持体との間にシート記録材が停止している場合は、シート記録材は転写担持体に静電吸着していることと、像担持体と転写担持体が当接状態となっていることとにより、停止して残っているシート記録材を指でつかんで引き出すことが困難である。そのため、例えば、ジャムが発生した場合には、転写担持体を複写時の移動方向とは逆の方向に逆転させてシート記録材を容易に取り出せる位置に戻してジャム処理を行なうようにした用紙搬送装置や剥離不良紙処理装置が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0005】
また、シート記録材のジャムが発生した場合に,定着部のみを停止させ他の部分は一定時間駆動させ定着部の手前までシート記録材を搬送してジャム処理を容易にした画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
さらに、ジャムが発生した場合にシート記録材を定着部の手前に搬送するときに転写担持体に印加される転写バイアスを断つことで、シート記録材と転写担持体との吸着力をある程度軽減させジャム処理を容易にしようとした画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開昭62−264144号公報
【特許文献2】
特開平7−281534号公報
【特許文献3】
特開平5−53405号公報(段落「0013」「0016」)
【特許文献4】
特開平11−119490号公報(段落「0055」「0066」)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、転写担持体と像担持体との間に存在するシート記録材を目視で見つけ出すことは困難であり、また、通常、転写担持体上に存在するシート記録材を検出する手段を具備していない画像形成装置がほとんどであり、搬送ジャム時にシート記録材が転写担持体に吸着したままの状態にあるかどうかを画像形成装置自体や使用者が判断することは難しい。
【0009】
そのため、特許文献1,2に記載のように、シート記録材が転写担持体上に存在していないかも知れないのにジャム発生時に常に転写担持体を逆回転させると、無駄な時間を消費しなければならない場合が発生し、不経済になるという問題がある。また、転写担持体上に存在するシート記録材を検出する検出器を設ける場合には、画像形成部のサイズが大きくなったり、製造コストや組み立てコストなどが増加したりするという問題がある。
【0010】
また、特許文献3には、シート記録材のジャムが発生した場合に、定着部のみを停止させ他の部分は一定時間駆動させ定着部の手前までシート記録材を搬送してジャム処理を容易にしている。さらに、特許文献4には、ジャムが発生した場合にシート記録材を定着部の手前に搬送するときに転写担持体に印加される転写バイアスを断つことで、シート記録材と転写担持体との吸着力をある程度軽減させジャム処理を容易にした内容が開示されている。
【0011】
しかしながら、転写担持体とシート記録材との吸着力は時間と共に変化し、転写バイアスを断ってしまうと転写担持体に対するシート記録材の吸着力が低下し定着部までシート記録材を搬送できなくなるという問題が発生する。また、定着部でのシート記録材の搬送を停止した状態で定着部に向かってシート記録材の搬送量を常に同じように制御すると、シート記録材の搬送方向の長さが長い場合と短い場合で、転写担持体に吸着されている面積が異なりシート記録材を転写担持体から引き剥がす時の力が変わり、シート記録材の搬送方向が長い場合は剥がしにくいという問題もある。
【0012】
本発明は、このような実情に鑑みてなされ、シート記録材の搬送ジャムが発生した時に、シート記録材のサイズの如何にかかわらず、ジャム処理作業を容易に行うことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。
【0014】
(1)像担持体上に形成されたトナー像を転写担持体上に吸着搬送されるシート記録材に転写し、定着装置で前記シート記録材にトナーを定着させると共に、ジャム処理制御手段により、前記シート記録材の搬送異常を判断し、かつ、その搬送異常時にはその搬送動作を停止させるようにした画像形成装置において、
前記搬送異常によるシート記録材搬送動作の停止後の復帰作業の後に、前記シート記録材の搬送動作を再開する直前または再開した直後に、搬送途中のシート記録材の存在が確認された場合もしくは予想される場合には、前記ジャム処理制御手段は、前記シート記録材を搬送して、少なくともその一部が、シート記録材搬送方向における前記定着装置のエリアと転写担持体が位置するエリアとにまたがる位置にて、前記シート記録材を停止させると共に、前記シート記録材の搬送過程における搬送量を、前記シート記録材のサイズに応じて制御することを特徴とする。
【0015】
この構成においては、例えば定着部での搬送ジャムなどにより異常停止(緊急停止)をした後に画像形成装置内に残っているシート記録材を取り出す等の復帰作業を行った場合に、見過ごしやすい像担持体と転写担持体との間に残されたシート記録材が取り出されずに残っている場合や、シート記録材が取り出しにくくわざと残した場合等に、画像形成装置を再度動作させようとしたときに、シート記録材がまだ画像形成装置内に残っていることが検出されたり、予想されたりすることがある。
【0016】
このようなとき、シート記録材を取り出しやすい位置に搬送することでシートを掴み易くし容易にジャム処理ができるようになる。さらに、シート記録材のサイズに応じて転写担持体の搬送量を制御するので、シート記録材のサイズにより転写担持体からのシート記録材を剥がす時に必要となる力の差を少なくし、ジャム処理時にシート記録材をサイズの如何にかかわらず、容易に取り除くことができる。
【0017】
(2)像担持体上に形成されたトナー像を転写担持体上に吸着搬送されるシート記録材に転写し、定着装置で前記シート記録材にトナーを定着させると共に、ジャム処理制御手段により、前記シート記録材の搬送異常を判断し、かつ、その搬送異常時には画像形成動作を停止させるようにした画像形成装置において、
像担持体上に形成されたトナー像を転写担持体上に吸着搬送されるシート記録材に転写し、定着装置で前記シート記録材にトナーを定着させると共に、ジャム処理制御手段により、前記シート記録材の搬送異常を判断し、かつ、その搬送異常時には画像形成動作を停止させるようにした画像形成装置において、
前記ジャム処理制御手段は、
前記搬送異常時には、シート記録材搬送動作を継続させ、前記転写担持体を含む上流側のシート記録材搬送手段に存在する前記シート記録材の少なくともその一部が、シート記録材搬送方向における前記定着装置のエリアと前記転写担持体が位置するエリアとにまたがる位置にて前記シート記録材を停止させると共に、前記シート記録材の搬送過程における搬送量を、前記シート記録材のサイズに応じて制御することを特徴とする。
【0018】
この構成においては、搬送ジャム等の搬送異常が発生した際には、1回のジャム処理作業を行うことで画像形成装置を復帰させることができると共に、シート記録材のサイズに応じて転写担持体の搬送量を制御するので、シート記録材のサイズの差に起因する転写担持体からのシート記録材の引き剥がし力の差を少なくし、常に、ジャム処理時にシート記録材を容易に取り除くことができる。
【0019】
(3)前記ジャム処理制御手段は、前記シート記録材の搬送量を、前記シート記録材のサイズが大きい場合の方が小さい場合よりも多くなるように制御することを特徴とする。
【0020】
シート記録材のサイズが小さい場合に比べ大きい場合には、転写担持体に吸着している面積が大きいため、シート記録材を転写担持体から引き剥がす時に大きな力が必要となるが、この構成においては、サイズの大きいシート記録材の搬送量を多くすることにより、転写担持体に吸着している面積を減じることができ、サイズの小さなシート記録材との差を小さくでき、ジャム処理時のシート記録材の取り出しを容易に行うことができる。
【0021】
(4)前記シート記録材のサイズは、その搬送方向を基準とすることを特徴とすることを特徴とする。
【0022】
シート記録材の搬送方向のサイズは搬送量による吸着面積の変化に大きく関係するため、この構成のように、搬送方向のサイズに応じて搬送量を制御するのが適切である。
【0023】
(5)前記ジャム処理制御手段は、前記搬送異常のシート記録材の先端が前記定着装置のローラ部材に噛み込む手前の位置まで、前記搬送異常のシート記録材を搬送することを特徴とする。
【0024】
この構成においては、ジャム処理時に(定着装置を画像形成装置より引き出すと)、シート記録材の先端が転写担持体より飛び出した状態となるため、転写担持体に静電吸着されているシート記録材の先端をつかんで容易に取り出すことができる。
【0025】
(6)前記ジャム処理制御手段は、前記搬送異常のシート記録材の先端が前記定着装置のローラ部材に噛み込まれる位置まで、前記搬送異常のシート記録材を搬送することを特徴とする。
【0026】
この構成においては、搬送ジャム等の搬送異常が発生したシート記録材は、当該記録材の先端が定着装置のローラ部材に噛み込まれた位置まで搬送される。すなわち、搬送異常のシート記録材は、定着装置のローラ部材に挟み込まれる。したがって、定着装置を画像形成装置から引き出して開放すると、定着装置のローラ部材に挟み込まれたシート記録材が一緒に引き出される。その結果、転写担持体にシート記録材が静電吸着していても容易にシート記録材を取り出すことができる。
【0027】
(7)前記シート記録材を停止させる位置を、前記シート記録材の搬送方向の長さに応じて異ならせ、前記シート記録材が短い場合は、前記定着装置のローラ部材に噛み込まれる手前の位置とし、前記シート記録材が長い場合は、前記定着装置のローラ部材に噛み込まれた位置とすることを特徴とする。
【0028】
この構成においては、シート記録材の搬送方向の長さに応じて定着装置のローラ部材にシート記録材が噛み込まれる手前の位置か噛み込まれる位置かを切換えることにより、シート記録材が転写担持体に吸着している面積を、シート記録材のサイズの如何にかかわらず、小さな面積で一定にすることができるので、容易にシート記録材を転写担持体から引き剥がすことができる。
【0029】
(8)前記像担持体が、前記転写担持体に沿ってシート記録材の搬送方向に複数配置され、かつ、前記転写担持体を前記像担持体に対して離接動作させる離接手段を備え、前記ジャム処理制御手段は、前記搬送異常時に、前記転写担持体によるシート記録材搬送動作が停止する以前に、前記離接手段による前記転写担持体支持手段の離間を開始させ、前記転写担持体を少なくとも一部の像担持体から離間させることを特徴とする。
【0030】
この構成においては、シート記録材の異常搬送が検出された場合に、転写担持体を特定の像担持体を除く像担持体より離間させ、像担持体とシート記録材の接触状態を一部解除しシートを定着部のエリアに向かって搬送する場合に、ジャム発生前に像担持体に形成されたトナー像のシート記録材への転写を少なくすると共に、像担持体と対を成す転写ローラによる転写担持体に対するシート記録材への必要以上の吸着力の追加を断つことができるため、転写担持体からのシート記録材を剥がしやすくでき、ジャム処理時の装置内部へのトナー汚れやシート記録材を掴む手へのトナー汚れ等を減じることができ容易なジャム処理を行える。さらに、離間されなかった像担持体と対を成す転写ローラによりシート記録材を転写担持体に吸着させる電荷を供給できるため、シート記録材を定着装置のエリアに確実に搬送させることができる。
【0031】
また、搬送方向下流側を離間させることでシート記録材が停止している定着ローラに当って搬送が阻止された後に、シート記録材が撓む領域を広げることができ、かつ、シート記録材と転写担持体との間でスリップをさせることができ未定着トナーにより画像形成装置の内部がトナーで著しく汚れないようにすることができる。
【0032】
(9)前記ジャム処理制御手段は、前記搬送異常時に、前記転写担持体による前記搬送異常のシート記録材の搬送が停止する以前に、前記離接手段による転写担持体支持手段の離間動作を開始させると共に、前記複数の像担持体の中、前記転写担持体から離間した像担持体の回転動作を停止させ、かつ、前記転写担持体の搬送停止に合わせて前記転写担持体に接触している像担持体の回転を停止させることを特徴とする。
【0033】
この構成においては、前記シート記録部材の搬送異常が検出された場合に、転写担持体を像担持体より離間させ像担持体とシート記録材の接触状態を解除しシートを定着部のエリアに搬送した後にシート記録材の搬送を停止させる。この間に、シート記録材(または転写担持体)と非接触となった像担持体の回転を停止させることにより、非接触となった像担持体の不必要な回転を防止して像担持体の寿命の延長を図ることができる。
【0034】
(10)全ての前記像担持体を使用して画像を形成する多色モードと、前記像担持体の中の特定の像担持体を使用して画像を形成する単色モードと、を選択可能に構成され、前記ジャム処理制御手段は、前記多色モード時に前記シート記録材の異常搬送が検出された場合には、前記像担持体と前記転写担持体の接触状態を単色モード時の状態に設定することを特徴とする。
【0035】
この構成においては、シート記録材に異常搬送が検出された以後は、転写担持体(シート記録材)と像担持体との接触状態を単色モードとすることで、転写担持体が多くの像担持体から離間されるため、シート記録材を取り出しやすくなり、ジャム処理作業が容易となる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態に係る画像形成装置について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0037】
《画像形成装置》
図1は、画像形成装置の構成を示し、この画像形成装置は、外部から伝達された画像データに応じて、所定のシート記録材(記録用紙等、以下、シートという)に対して多色または単色の画像を形成するものであり、露光ユニット1、現像器2、感光体ドラム(像担持体)3、帯電器5、クリーナユニット4、転写搬送ベルトユニット8、定着ユニット12、用紙搬送路S、給紙トレイ10および排紙トレイ15等を具備している。
【0038】
この画像形成装置において取り扱われる画像データは、ブラック(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。従って、露光ユニット1(1a,1b,1c,1d)、現像器2(2a,2b,2c,2d)、感光体ドラム3(3a,3b,3c,3d)、帯電器5(5a,5b,5c,5d)、クリーナユニット4(4a,4b,4c,4d)は各色に応じた4種類の潜像を形成するように、それぞれ4つの画像ステーションPa(ブラック)、Pb(シアン)、Pc(マゼンタ)、Pd(イエロー)が設定されている。
【0039】
感光体ドラム3は、画像形成装置のほぼ中心部に配設されており、帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であり、接触型のローラ型やブラシ型の帯電器のほか図に示すようにチャージャー型の帯電器が用いられる。
【0040】
露光ユニット1は、発光素子をアレイ状に並べた例えばLED書込みヘッドや、図面に記載したレーザ照射部および反射ミラーを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)を用いている。そして、帯電器5によって帯電された感光体ドラム3は、露光ユニット1によって、画像データに応じて露光されることにより、その表面に画像データに応じた静電潜像が形成される。
【0041】
現像器2は、それぞれの感光体ドラム3上に形成された静電潜像を(K,C,M,Y)のトナーにより顕像化する。クリーナユニット4は、現像・画像転写後における感光体ドラム上の表面に残留したトナーを除去・回収する。
【0042】
感光体ドラム3の下方に配置されている転写搬送ユニット8は、転写ベルト7、転写ベルト駆動ローラ71、転写ベルトテンションローラ73、複数の転写ベルト従動ローラ72,73、転写ローラ6(6a,6b,6c,6d)および転写ベルトクリーニングユニット9を備えている。転写ベルト駆動ローラ71、転写ベルト従動ローラ72,74および転写ベルトテンションローラ73は、転写ベルト7を張架し、その転写ベルト7を矢印B方向に回転駆動させる。
【0043】
転写ローラ6は、転写搬送ユニット8の内側のハウジング(図示せず)に回転可能に軸支されており、転写ベルト駆動ローラ71,転写ベルト従動ローラ72,74および転写ベルトテンションローラ73とともに、転写ベルト7を張架している。この転写ローラ6は、感光体ドラム3のトナー像を、転写ベルト7上に吸着されて搬送されるシートに転写する。
【0044】
転写ベルト7は、厚さ100〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されており、それぞれの感光体ドラム3に対して離接可能に設けられている。この転写ベルト7は、感光体ドラム3の全てに接触して画像形成を行う多色モード時には(図9参照)、感光体ドラム3に形成された各色のトナー像をシートに順次的に重ねて転写することによって、カラーのトナー像(多色トナー像)を形成する機能を有している。
【0045】
また、転写ベルト7を感光体ドラム3aのみと接触させ、他の感光体ドラム3b,3c,3dと離間させて画像形成を行う単色モード時には(図10参照)、ブラック(黒)のトナー像(単色トナー像)をシートに転写することによって白黒の画像を形成する機能を有している。
【0046】
この両モード間の転写ベルト7の切換動作は、図9及び図10に示すように、切換手段38によって行われる。すなわち、切換手段38は、図示しないステッピングモータ等の駆動源により回転させるカム43を、転写搬送ユニット8の支持片50に摺接させ、転写搬送ユニット8のハウジングに備えられている転写ローラ6aの軸の軸心を延長した位置に設けられた支点軸を回転中心にして、その転写搬送ユニット8を上下に回動させるように構成されている。
【0047】
感光体ドラム3からシートへのトナー像の転写は、転写ベルト7の裏側に接触している転写ローラ6(6a,6b,6c,6d)によって行われる。各転写ローラ6には、トナー像を転写するために転写部の高圧電源60a〜60dによって高電圧(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)または、シートの搬送ジャム発生時の状況に応じて転写ベルト7を除電するためのACの高圧電圧が印加される。
【0048】
転写ローラ6は、直径8〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面が導電性の弾性材(例えばEPDM,発泡ウレタン等)により覆われているローラである。この導電性の弾性材により、シートに対して均一に高電圧を印加することができる。
【0049】
また、感光体ドラム3から転写ベルト7に付着したトナーは、シートの裏面を汚す原因になるために、転写ベルトクリーニングユニット9によって除去・回収されるようになっている。
【0050】
給紙トレイ10は、印刷に使用するシート(記録用紙)を蓄積しておくためのトレイであり、画像形成装置の画像形成部の下側に設けられている。また、画像形成装置の上部に設けられている排紙トレイ15は、印刷済みのシートをフェイスダウンで載置するためのトレイである。画像形成装置の側部に設けられている排紙トレイ33は、印刷済みのシートをフェイスアップで載置するためのトレイである。
【0051】
また、画像形成装置には、給紙トレイ10のシートを転写搬送ユニット8や定着ユニット12を経由させて排紙トレイ15に送るための、Sの字形状の用紙搬送路Sが設けられている。さらに、給紙トレイ10から排紙トレイ15および排紙トレイ33までの用紙搬送路Sの近傍には、ピックアップローラ16、レジストローラ14、定着ユニット(定着部)12、搬送方向切換えゲート34、搬送ローラ25等が配設されている。
【0052】
搬送ローラ25は、シートの搬送を促進・補助するための小型のローラであり、用紙搬送路Sに沿って複数設けられている。ピックアップローラ16は、給紙トレイ10の端部に備えられ、給紙トレイ10からシートを1枚毎に用紙搬送路Sに供給する呼び込みローラである。
【0053】
搬送方向切換えゲート34は、側面カバー35に回転可能に設けられており、実線で示す位置状態から破線で示す位置状態に切り換えることにより用紙搬送路Sの途中からシートを分離し排紙トレイ33に排出する。
【0054】
一方、実線で示す位置状態の場合には、シートは定着ユニット12と側面カバー35,搬送切換えガイド34の間に形成される搬送部S’ (用紙搬送路Sの一部)を通り上部の排紙トレイ15に排出される。
【0055】
また、転写ベルト7の最上流側に配設されるレジストローラ14は、用紙搬送路Sを搬送されているシートを一旦保持するものである。そして、感光体ドラム3上のトナー像をシートに良好に多重転写できるように、感光体ドラム3の回転にあわせて、シートをタイミングよく搬送する機能を有している。
【0056】
すなわち、レジストローラ14は、シート検出器Aの出力した検知信号に基づいて、各感光体ドラム3上のトナー像の先端をシートにおける印刷範囲の先端に合わせるように、シートを搬送する。シート検出器Aは、シートの搬送タイミングを監視している。このシート検出器Aの信号を基準にシートのジャム検出などが行われる。
【0057】
定着ユニット12は、ヒートローラ31,加圧ローラ32等を備えており、ヒートローラ31および加圧ローラ32は、シートを挟んで回転するようになっている。また、ヒートローラ31は、図示しない温度検出器の出力値に基づいて制御部によって図示しないヒータランプのON,OFFを制御し所定の定着温度となるようにされており、加圧ローラ32とともにシートを熱圧着することにより、シートに転写された単色トナー像または多色トナー像を溶融・混合・圧接し、シートに対して熱定着させる。
【0058】
定着ユニット12でトナー像を定着された後のシートは、搬送ローラ25…によって排紙トレイ33または15に選択的に排紙される。このとき、シート検出器B,シート検出器Cおよび図示しないシート検出器等により定着後のシートの搬送状態が監視される。
【0059】
ここでは、カラー画像形成装置について説明しているが、単一の画像形成ステーションを備えた構成のもの(モノクロ画像形成装置)であってもよい。また、本実施の形態では、画像形成装置本体を、3段の給紙トレイを備えた給紙デスク装置上に載置しているが、これに限定されることなく、使用者により各種形式の給紙装置が選択されてよい。
【0060】
《ジャム処理のための構成》
以上のように構成される画像形成装置にあって、本実施の形態では、シートの搬送中に紙詰まり(搬送ジャム)が発生した場合のジャム処理を能率よく、容易かつ確実に行うために、シートのサイズに応じてシートの搬送量を制御するジャム処理制御手段を有する制御部を具備し、以下のような構成を採用している。
【0061】
まず、図2に示すように、画像形成装置本体の前後両側に横設したスライド部材36により、排紙トレイ33を具備した側面カバー35とユニット化された定着ユニット12が、転写搬送ベルトユニット8の搬送方向下流側に向けて(シートの搬送方向)に引き出し可能となっている(図11参照)。
【0062】
そして、ジャム処理時には、側面カバー35と共にその定着ユニット12を画像形成装置本体より引き出す動作と連動して、全ての感光体ドラム3に対して転写ベルト7を離間させることができ、かつ、定着ユニット12の収納動作に連動して元の状態に復帰させることができるように構成している。
【0063】
すなわち、本実施の形態では、転写ベルトユニット(転写担持体装置)8に支持された転写ベルト7を全ての感光体ドラム3(3a〜3d)に対して離接動作させるための離接機構(離接手段)Rを有し、その離接機構Rは、定着ユニット12と一体のスライド部材36のスライド動作(図11参照)に連係させて、スライド部材36に備えた図示しないカム機構を転写搬送ユニット8と切換手段38に係合させることで全ての感光体ドラム3に対して転写ベルト7を離間させることができ、かつ、定着ユニット12の収納動作に連動して元の状態に復帰させることができるように構成している。
【0064】
上述のスライド部材36は、例えば、精度の高いアキュライド等のスライドベアリングを用い、比較的重量のある定着ユニット12を高精度に支持しスムーズな移動を行えるようにするのが好ましいが、その定着ユニット12を画像形成装置本体の所定の位置に戻した時に、高精度な位置決めが可能であれば、その他のスライド手段を用いてもよい。
【0065】
また、本実施の形態では、転写ベルト7を含む転写搬送ユニット8は、前述したように、上流側の転写ローラ6aの軸を延長した所に位置する転写搬送ユニット8のハウジング部に設けられた不図示の支点軸を回転中心として、その下流側が画像形成装置本体に対して回転可能に支持されており、切換手段38を用いて転写搬送ベルトユニット8が略水平に全感光体ドラム3に対して接触する図9に示す多色モードの状態と、下流部が下降し感光体ドラム3aのみが転写ベルト7に接触する図10で示す単色モードの状態とに切換えられるようになっている。なお、搬送中のシートの位置を検出するための検出手段は、上述のシート検出器A、シート検出器B、シート検出器Cの他に、同様なシート検出器が搬送路Sに複数備えられている。
【0066】
この定着ユニット12の上流側に配設されるシート検出器Aの検出タイミングを基準としたジャム処理制御手段による制御については、図13〜図16のフローチャートで説明しているが、定着ユニット12の下流側に配設したシート検出器Bやシート検出器Cは、排紙トレイ33や排紙トレイ15へのシートの排出状態を検出しており、シート検出器Aに加えてシート検出器B、シート検出器Cを用いて同様の制御を行うこともできる。
【0067】
ジャム処理制御手段は、画像形成装置の制御系統ブロック図を表す図12に示すように、CPU,ROM,RAMからなる制御部内にジャム処理制御部100aとして設けられ、その入力側にはシート検出器A,B,Cが接続されている。また、出力側には、転写ベルト7を駆動させるための駆動源や、転写ベルト7の上流側のシート搬送手段としてのレジストローラ14のクラッチ等を具備した搬送機構部や、転写ベルトユニット8を感光体ドラム3(3a〜3d)に対して離接動作させるための離接機構部(離接機構Rと切換手段38を含む)が接続され、また、転写ローラ6への電源を供給するための高圧電源60a〜60d(転写部,本発明の転写部材)も接続されている。なお、本発明は、転写ベルト7の上流側のシート搬送手段を、レジストローラ14に限定するものではなく、後述するように、その他に、転写ベルト7の上流側の搬送路Sに設けられているシート搬送用の搬送ローラが上記シート搬送手段に含められてもよい。
【0068】
また、図1に示すように、環境検出器Eは、画像形成装置内の比較的温度や湿度が急激に変化しやすい例えば定着ユニット12の近傍等を避け、画像形成プロセス部に近い所に設置され湿度,温度の両方を検出する。なお、ここではカラー画像形成装置について説明しているが、単一の画像形成ステーションを備えた構成のもの(モノクロ画像形成装置)であってもよい。
【0069】
搬送ジャムが発生した場合、装置内に滞留しているシート(搬送異常のシート)を取り出す処理方法としては、(1)搬送異常のシートを定着ユニット12のヒートローラ31および加圧ローラ32からなるローラ対に噛み込まれない状態のところまで搬送した後、定着ユニット12を引き出して搬送されたシートを取り出す処理方法と、(2)搬送異常のシートをローラ対31,32に噛み込まれるまで搬送した後、シートを定着ユニット12と共に引き出して、取り出す処理方法とがある。
【0070】
具体的には、例えば、図3に示すように、定着ユニット12を画像形成装置から引き出していない状態にて、搬送ジャムにより、転写搬送ユニット8にシートが残っている場合、好ましくは転写搬送ユニット8を実線で示すように感光体ドラム3a以外の感光体ドラム(3b〜3d)から離間させる。これにより、3a以外の感光体ドラム3b,3c,3dと6a以外の転写ローラ6b,6c,6dからは電荷は与えられないので、その分だけ吸着力を(適度に)低減できる。
【0071】
続いて、上記(1)の処理ではシートを定着ユニット12の手前(噛み込まれない状態)まで搬送する。その後、図5に示すように、定着ユニット12を画像形成装置の側面左方向(図5の矢印方向)に引き出すと、シートが転写搬送ユニット8側に残った状態となる。
【0072】
このとき、シートのサイズが大きい場合には、搬送されたシートの先端がローラ部材31,32に当接するため、実線で示すように折れ曲がり転写ベルト7に吸着されている部分がなるべく少なくなるようになっている。一方、シートのサイズが小さいときには、図中破線で示す搬送されたシートにおいては、転写ベルト7に吸着される部分が多くなる。なお、図5では、側面カバー35を開放し(図11参照)、定着ユニット12が引き出される動作に連動して前述した図示しないカム機構により、すべての感光体ドラム3が転写搬送ユニット8から離間されているので、シートを転写ベルト7から引き剥がしやすい状態になっている。
【0073】
なお、ローラ部材31,32に噛み込まれない状態でシートを搬送した場合には、撓みの大きさにより、シートの表面に転写されている未定着の現像剤によって、画像形成装置の内部(定着ユニット12の周辺)を汚してしまうので、搬送量を多く設定するのは好ましくない。
【0074】
一方、上記(2)の処理では、図4に示すように、緊急停止したシート(搬送異常のシート)が、定着ユニット12のローラ部材31,32に噛み込まれるまで該シートを搬送する。その後、図7に示すように、側面カバー35と共に定着ユニット12を画像形成装置の側面左方向(図7の矢印方向)に引き出すと、シートが定着ユニット12と共に、転写ベルト7から引き剥がされた状態で引き出される。なお、図4の一点鎖線は、回転させておいたローラ部材31,32に噛み込ませたシートの搬送量(L′)を示しており、ローラ部材31,32を停止させた場合には、図4の実線または破線となるように制御される。また、Lは最下流側の転写ベルト駆動ローラとローラ対31,32の間の距離を示す。
【0075】
図6は、ローラ部材31,32を回転させておいた場合の例を示し、この場合には、シートの搬送量を多く設定しており、図4の実線と同じ搬送量となるが、シートに撓みは発生しない。したがって、未定着トナーによる画像形成装置内部の汚れを防止できる。なお、図3〜図6で説明したジャム処理は、搬送ジャムなどによりシートを停止した直後のジャム処理(最初のジャム処理)であってもよいし、最初のジャム処理を行ってもまだ転写搬送ユニット8に残っているシートを取り出す2回目以降のジャム処理であってもよい。
【0076】
本実施の形態では、このようなジャム処理の方法を勘案して、そのときのシートのサイズに応じて、常に、ジャム処理に適切に対処できるように、ジャム発生後のシートの搬送量を設定している。その搬送量の設定は、実状を想定したジャム処理実験の結果に基づいて行った。
【0077】
その実験では、実際に、搬送方向を基準としてサイズの異なる3種の用紙、すなわち、A3サイズ(297mm×420mm,縦送り)、A4横サイズ(297mm×210mm,横送り)、A4縦サイズ(210mm×297mm,縦送り)について、それぞれ、搬送量(L′)を変化させて、吸着された用紙の剥ぎ取りやすさと、装置内の汚れについて調べた。その結果を表1に示す。
【0078】
【表1】
【0079】
表1から明らかなように、A3サイズの場合、搬送量L′=100mmに設定すると、「周辺部の汚れ」は少ないが、剥ぎ取りにくくなる。L′=200mmにすると、「剥ぎ取り易さ」、「周辺部の汚れ」は中程度となる。L′=250mmにすると、剥ぎ取り易くなるが、「周辺部の汚れ」が甚だしくなる。
【0080】
A4(横)では、L′=100,150mmのいずれの場合も、「剥ぎ取り易さ」「周辺部の汚れ」共に、良好な結果を得ることができた。また、A4(縦)では、L′=100,150mmのいずれの場合も、「剥ぎ取り易さ」、「周辺部の汚れ」共に、良好な結果を得ることができたが、L′=200mmの場合には、「剥ぎ取り易さ」については良好な結果が得られたが、「周辺部の汚れ」は中程度の結果となった。
【0081】
従って、上述の実験結果に準じて、シートの搬送量(L′)を設定することで、作業性よくジャム処理を行うことができ、装置内の汚れを抑えることができる。なお、(一般的に)ジャム発生時のシートの搬送量(L′)は、シートのサイズが大きい場合には、サイズが小さい場合よりも多くするのが好ましいと言える。
【0082】
図13〜図16は、本画像形成装置に関わる動作(例えば、露光ユニット1による感光体ドラム3への書込み動作、感光体ドラム3の回転動作、帯電器5による帯電動作、現像器2による現像動作、転写ローラ6による転写バイアスの印加動作、シート記録材の搬送動作、定着ユニット12の定着動作等)についての制御フローを示したものである。
【0083】
但し、反転現像方式を用いる場合に、この動作の中、感光体ドラム3が回転するときに画像形成に関わらずに必要となる動作がある。その動作は、帯電器5の帯電動作であり、感光体ドラム3が回転した場合に感光体ドラム3が帯電されないと現像剤が付着してしまう。そのため、図13のステップs9及び図14のステップs9´では感光体ドラム3aに対する帯電器5aの帯電動作を行っている。
【0084】
以下、制御フローについて順に説明すると、まず、図13に示すフローチャートに示すように、画像形成動作の開始後、搬送ジャムが発生すると、画像形成に関わる(すべての)動作(例えば、露光ユニット1による感光体ドラム3への書込み動作、感光体ドラム3の回転動作、帯電器5による帯電動作、現像器2による現像動作、転写ローラ6による転写バイアスの印加動作、シート記録部材の搬送動作、定着ユニット12の定着動作等)を緊急停止させる(s1〜s3)と共に、切換手段38を動作させて、転写ベルト7を感光体ドラム3aを除く感光体ドラム3b,3c,3dから離間させる(s4)。これは、シートを転写ベルト7に吸着させるためにも働く感光体ドラム3b,3c,3dからの電荷の供給を断ち、後に行うシートを転写ベルト7から剥ぎ取るときの力をなるべく小さくするためである。
【0085】
ステップs4にて、転写ベルト7を感光体ドラム3aを除く感光体ドラム3b,3c,3dから離間させた場合について説明したが、離間させなくとも、転写ローラ6b,6c,6dの転写バイアスをOFFするか、適切な値に設定することで、同様な効果を得ることができる。
【0086】
上述のステップs4で、転写ベルト7を感光体ドラム3aを除く感光体ドラム3b,3c,3dから離間させた後、操作部にジャム発生の表示がなされ操作者がジャム処理(復帰作業)を行う(s5)。その復帰作業は、定着ユニット12を画像形成装置本体から引き出して、その動作により転写搬送ベルトユニット8が再び移動させられ感光体ドラム3aと転写ベルト7とを、(離接機構Rにより)完全に離間させて行われる。この復帰作業により、例えば、図3に示すように、ヒートローラ31に巻き付いたシートを取り除くことができる。なお、完全な離間状態は、図5、図6(b)、図7(b)、図8(b)に示されている。
【0087】
このジャム処理は、例えば定着装置の下流に位置している検出器(例えばシート検出器B)にシートが到達しない場合で定着ユニット12でのジャムと判断された場合に行う制御として実施される。このジャム処理が終了した後は、定着ユニット12を画像形成装置本体に挿入して転写搬送ベルトユニット8を定着ユニット12を引き出す前の状態に復帰させる。なお、ステップs3にて、安全のため、定着ユニット12のヒータへの通電はOFFされる。
【0088】
次に、先のジャム発生時にシート検出器Aの状態を監視していたときの情報を基に、他にシート検出器Aを通過したシートが転写ベルト上に存在するか否かが判断される(s6)。また、シート検出器Aにてレジストローラ14に挟持されているシートが存在するか否かが判断される(s7)。ステップs6またはs7でシートが存在すると判断された場合には、シートのサイズに応じて、シートの搬送量を設定する(s8)。
【0089】
次いで、定着ユニット12を停止させたままシートの搬送動作を開始し(s9)、ステップs8にて設定したシートの搬送量だけシートを搬送する。このとき、転写ベルト7の感光体ドラム3からの離間状態を維持し、シートを転写ベルト7に吸着させるためにも働く感光体ドラム3b,3c,3dからの電荷の供給を断つ。これは、後に行うシートを転写ベルト7から剥ぎ取るときの力をなるべく小さくするためである。
【0090】
次に、シート記録材を所定の搬送量だけ搬送した後停止し(s11)、操作者が定着ユニット12を開放し再度ジャム処理(復帰作業)を行う(s12)。このとき、定着ユニット12の開放動作に連動する離接機構Rにより、転写ベルトユニット8が全ての感光体ドラム3から離間する位置に移動しているため、図5に示すように、残っていたシートの先端が掴みやすくなり、容易にジャム処理を行える。
【0091】
また、ジャム発生後すぐに転写ローラ6への転写バイアスの印加を停止し、転写ベルト7を感光体ドラム3b,3c,3dから離間させているので、転写ベルト7に吸着しているシートの吸着力が低下しているためにシートを転写ベルト7から剥ぎ取りやすい状態になっていることも、ジャム処理の容易化に大きく寄与している。
【0092】
ジャム処理をした後に定着ユニット12をもとに戻すとステップs7に戻り再びシート検出器Aでシートの滞留が再度検出され、シートの滞留が無ければステップs12に進み切換手段38を動作させ転写ベルト7を感光体ドラム3全てに接触させる。その後、ステップs13にてプロセス部の予備動作である前回転動作(感光体ドラム3や転写ベルト7のクリーニング等の準備作業)を開始し、ステップs14にて前回転動作が修了すればステップs15にて操作部のレディーランプを点灯させ画像形成可能な状態で待機状態となる。
【0093】
一方、ステップs6で転写ベルト上に滞留するシートが無いと判断され、ステップs7にて、シート検出器Aでシートが検出されない場合は、ジャム処理が完全に終了していると判断し、ステップs12に進み、転写ベルト7を感光体ドラム3の全てに接触させる。その後、ステップs13,s14に進み前記した前回転動作の終了を待って、画像形成準備の完了したことを示すレディーランプを点灯させる(s6〜s15)。本実施の形態では、レディーランプを点灯させて動作の再開を促しているが、自動的に画像形成動作を再開させてもよい。
【0094】
このように、定着ユニット12を画像形成装置本体から引き出して、一旦、ジャム処理を行った後、画像形成装置の上流側に残っている後続のシートがあれば、これを下流側の取り出し易い位置に搬送して、再度、ジャム処理を行うことで、シートを取り残すことなく、確実に復帰作業を完了することができる。その取り出し易い位置は、例えば、シートの少なくとも一部が定着ユニット12のエリアと転写ベルト7のエリアにまたがる位置であればよい。
【0095】
なお、搬送ジャムと判断された場合には上流側のシート搬送手段の内レジストローラ14を含む上流のシート搬送手段の駆動は停止される。ただし、レジストローラ14に噛み込んで転写ベルト7の領域に入り込んだシートがある場合には、転写ベルト7よりその先端が定着ユニット12のローラ部材31,32に噛み込まれるまで、または、噛み込まれる手前まで搬送される。この時、レジストローラ14の駆動側のローラには図示しない駆動系との間に設けた図示しない一方向クラッチにより、レジストローラ14が従動回転するようになっている。また、レジストローラ14を含む上流側のシートを挟持しているローラを駆動しても良い。
【0096】
また、上述した2回目のジャム処理の際に、緊急停止時に上流側に滞留している後続のシートをより確実に搬出するために、例えば、図14の制御フローに示すように、シートのサイズに応じてシートの搬送量を設定した(s8′)後、シート搬送動作を開始するときに定着ユニット12の回転動作も開始させシートの搬送動作を停止させる前に、所定の搬送量だけ、例えば、図6(a)に示すように、シートを定着ローラ(ローラ部材)31,32に噛み込ませるまでに要する時間だけ、転写ベルト7を転動させた(s9′)後、シートの搬送動作を停止(s10′)させて、ジャム処理を行うようにしてもよい。
【0097】
この場合、定着ユニット12を画像形成装置本体から引き出すと、図6(b)に実線で示すように、定着ローラ31,32に噛み込まれたシートを容易に画像形成装置内より引き抜くことができ、転写ベルト7からシートを剥ぎ取る操作を容易に行うことができる。このように、ステップs9′〜s10′のシート搬送過程を設定することで、特に、小サイズのシートをも画像形成の内部に落下させることなく定着ユニット12のローラ31,32に噛み込ませた状態で取り出し易い位置に確実に搬出することができる。
【0098】
上記の複数回に分けて行うジャム処理は、特に、定着ユニット12でジャムが発生した場合に有効で、シートが異常発熱して焦げたり煙を発生し、そのまま放置すると大きなトラブルに発展する可能性があるため、画像形成装置を緊急に停止させすぐに定着ユニットを引き出しジャム処理をする場合についての動作として説明したが、定着ユニット12以外の部分でジャム処理を行ってもよい。
【0099】
次の例は、ジャムの発生が検出された場合に定着ユニット12の上流側のシート搬送手段の回転動作を即停止させない場合である。例えば、図15に示すように、画像形成動作の開始後にジャムが発生した場合(s21〜s22)、画像形成動作(露光ユニット1による感光体ドラムへ3の書込み動作、現像器2による現像動作等)と定着ユニットの動作(ヒータによる加熱動作、ローラ類31,32の回転動作)を停止させる(s23)。
【0100】
次いで、シートのサイズに応じて、シートの搬送量を設定する(s24)。なお、ステップs23(及びs43)での画像形成動作とは、露光ユニット1による露光動作、現像器2による現像動作を指し、現像器2の現像動作の停止は、現像バイアスの印加オフ制御あるいは現像器2の感光体ドラム3からの離間制御にて行う。
【0101】
さらに、切換手段38を動作させ転写搬送ユニット8を回転移動させ、転写ベルト7を感光体ドラム3b,3c,3dから離間させる(s25)。これは、前述した通り、シートの転写ベルト7への吸着力をできるだけ減じて転写ベルト7からシートを剥がしやすくするためであり、かつ、すでに感光体ドラム3b、3c、3dに形成されてしまっている画像がシートに転写されるのを防止するためでもある。
【0102】
そして、同時に、転写ローラ6b,6c,6dへの転写バイアスの印加も停止させる(s26)。これは、シートの転写ベルト7への吸着力を減じるためである。また、このとき、シートの転写ベルト7への吸着力が減少しにくい場合には前述した転写ローラ6b,6c,6dへの高電圧印加をACの高電圧出力に切換え積極的に吸着力を減少させてもよい。
【0103】
次いで、転写ベルト7上に吸着され担持されているシートを感光体ドラム3b,3c,3dと非接触の状態で、ステップs24で設定した搬送量に達するまで搬送し続ける(s28〜s29)。これは、転写ベルト7上に2枚のシートが搬送されている状態のときに、転写部12のローラ部材31,32の手前に先頭のシートと後続のシートとを集め、同時に(一度に)ジャム処理をするためである。
【0104】
このとき、後続のシートが下流に位置する搬送手段であるレジストローラ14等に挟持されている場合は、そのローラ部材を駆動させることによりシートがスムーズに搬送されるようにする。つまり、ジャム発生後すぐに画像形成動作および定着ユニット12の回転動作を停止させてから、所定時間経過後に、図7(a)に示すような状態になったときにシートの搬送動作を完全に停止させる。そして、ステップs30にて、復帰作業が実施される。すなわち、操作者によって、まず、図7(b)に示すように定着ユニット12を画像形成装置本体から引き出す操作により、連動する離接機構によって、転写搬送ユニット8がさらに移動させられ転写ベルト7が全ての感光体ドラム3から離間される。
【0105】
そして、操作者が前述したように2枚のシートを取り出す復帰作業(ジャム処理)を実施する。ジャム処理が終了した後は、定着ユニット12を画像形成装置本体に挿入して転写搬送ユニット8を元の状態(感光体ドラム3aのみが転写ベルト7に接触している状態)に復帰させる。
【0106】
次いで、ステップs31にて、シート検出器Aによりレジストローラ14にシートが滞留していないかを確認し、シートの滞留が認められたら、s36〜s37で前述したと同様に滞留しているシートの先端が定着ユニット12のエリアに侵入あるいは充分に浸入するまでシートの搬送を行い、ステップs38にて再度、操作者が復帰作業を行う。
【0107】
復帰作業後は、再度ステップs31に戻り、シートの滞留状態が確認される。ステップs31でシートの滞留が認められなかった場合は、復帰作業(ジャム処理)が完了したと判断し、ステップs32に進み転写ベルト7を全ての感光体ドラム3に接触させる。
【0108】
その後、ステップs33にてプロセス部の予備動作である前回転動作(感光体ドラム3や転写ベルト7のクリーニング等の準備作業)を開始し、ステップs34にて前回転動作が修了すれば、ステップs35にて操作部のレディーランプを点灯させ画像形成可能な待機状態となる。
【0109】
また、ステップs31からステップs36〜s38,s31に戻るフローは念のために行われる動作であり、先に説明したステップs8〜s10,s7に戻る動作と同一の動作であるので説明を省略する。
【0110】
次に、図16に示す例では、さらに効率よく容易かつ確実にジャム処理を行えるようにするために、ジャムが発生した時に、転写ベルト7上に複数枚のシートが存在している場合で、先頭のシートを定着ユニット12のローラ31,32で狭持した状態で定着ユニット12から下流側に搬送されないように搬送を停止させ、後続のシートを定着ユニット12のローラ31,32の手前に集めてジャム処理を行うようにしている。
【0111】
その制御フローについて説明すると、画像形成動作の開始後に、ジャムの発生が検出された場合に(s41,s42)、ステップs42にて、まず、画像形成動作(露光ユニット1による感光体ドラムへ3の書込み動作,現像器2による現像動作等)を停止させる。このとき定着ユニット12の動作はヒータによる加熱動作は停止しても良いが、ローラ31,32の回転動作は継続させてシートの搬送を続行させる(s43)。そして、シートのサイズに応じてシートの搬送量を設定する(s44)。なお、ステップs43にて、シートの搬送動作の継続中には、画像形成動作が停止されているため、ジャム処理時に画像形成装置内の汚れを少なくすることができる。
【0112】
次いで、切換手段38を動作させ転写搬送ユニット8を回転移動させ、転写ベルト7を感光体ドラム3b,3c,3dから離間させる(s45)。これは、前述した通りシートの転写ベルト7への吸着力をできるだけ減じて転写ベルト7からシートを剥がしやすくするためと、すでに感光体ドラム3b、3c、3dに形成されてしまっている画像がシートに転写されることをも防止するためである。同時に、ステップs45にて転写ローラ6b,6c,6dへの転写バイアスの印加も停止させる(s46)。
【0113】
また、このとき、積極的に吸着力が減少するように転写ローラ6b,6c,6dにACの高電圧を印加してもよい。これは、シートの転写ベルト7への吸着力が高すぎる場合等にその吸着力を減じるためである。
【0114】
そして、離間させた感光体ドラム3b,3c,3dの回転を停止させ(s47)、シートを、ステップs44で設定した搬送量だけ搬送した後(s48)、転写ベルト7等によるシートの搬送を停止させる(s49)。次いで、先に述べたと同様に復帰作業を行う(s50)。
【0115】
この場合、シートは図8(a)に示す状態で停止されており、図8(b)に示すように定着ユニット12を引き出すことで復帰作業が容易に行える。この時の、それぞれのシートの搬送の停止は、シート検出器Aを基準にタイマにてコントロールされるが、シートの上流に位置するシート検出器Bやシート検出器Cにより検出しても良い。
【0116】
すなわち、まず、画像形成動作のみを停止(定着ローラは駆動)させた後、シート検出器Aによる検出タイミングを基準として、またはシート検出器B、シート検出器Cでシートが検出された後、つまり所定時間が経過するのを待って、定着ユニット12の動作を停止させ、さらに、所定時間経過するのを待って、シートの搬送動作を完全に停止させ、しかる後に、定着ユニット12を画像形成装置本体から引き出して離接機構を連動させ、転写搬送ユニット8を全ての感光体ドラム3から離間する位置に移動させて、復帰作業(ジャム処理)を行う(s43〜s50)。
【0117】
上述のステップs42でジャムの発生を検出したときに画像形成動作を停止してから、ステップs48で、シートを所定量搬送してから定着ユニット12の動作を停止させるのは、図8(a)に示すように先頭のシートを定着ユニット12のローラ部材(31,32)に噛み込ませるためである。この時、後続のシート(破線参照)はローラ部材(31,32)に噛み込まれる手前の位置にあり、これをさらに搬送することにより定着ユニット12のローラ部材(31,32)に突き当たる所に搬送させることができる。
【0118】
このように、先頭のシートをローラ部材(31,32)に噛み込ませておき、後続のシートを定着ユニット12の所まで搬送させることにより、定着ユニット12を引き出した時に先頭および後続のシートを同時に取り出すことができ、1度でジャム処理を完了させることができる。
【0119】
また、ステップs51以降のステップs51〜s58は、前述した方法のところで説明したステップs7〜s14、s30〜s37に記載した内容と同一であり説明を省略する。さらに、ステップs52〜s55も前述の方法と同一であり説明を省略する。
【0120】
以上説明したように、本発明では、ジャム処理の際に、シートを取り出し易い位置まで搬送する際に、その搬送量をシートのサイズに応じて制御することで、ジャム処理を容易かつ確実に行うことができ、また、装置内を汚さないようにすることができる。
【0121】
なお、本発明は、以上説明した実施の形態に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、必要に応じて、適宜、設計変更や改良等は自由である。また、画像形成装置は、図1,図2に示す構成に限定されることなく、像担持体上に形成されたトナー像を転写担持体上に吸着搬送されるシート記録材に転写し定着装置で前記シート記録材上に前記トナー像を定着させると共に、ジャム処理制御手段により、前記シート記録材の搬送異常を判断し、かつ、搬送異常時にはその搬送動作を停止させるようにした画像形成装置であれば、構成や形式の如何を問わない。
【0122】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、以下の効果を奏する。
【0123】
(1)搬送ジャム等の搬送異常によるシート記録材搬送動作の停止後の復帰作業の後に、シート記録材の搬送動作を再開する直前または再開した直後に、搬送途中のシート記録材の存在が確認された場合もしくは予想される場合には、シート記録材の少なくともその一部が、シート記録材搬送方向における前記定着装置のエリアと転写担持体が位置するエリアとにまたがる位置に到達するまで搬送すると共に、前記シート記録材の搬送過程における搬送量を、前記シート記録材のサイズに応じて制御するので、シート記録材が取り出しやすい位置に搬送されるため、シート記録材を掴み易くし容易にジャム処理ができるようになる。さらに、シート記録材のサイズに応じて転写担持体の搬送量を制御するので、シート記録材のサイズにより転写担持体からのシート記録材を剥がす時に必要となる力の差を少なくし、ジャム処理時にシート記録材をサイズの如何にかかわらず、容易に取り除くことができる。
【0124】
(2)搬送ジャム等の搬送異常時には、シート記録材搬送動作を継続させ、転写担持体を含む上流側のシート記録材搬送手段に存在する前記シート記録材の少なくともその一部がシート記録材搬送方向における定着装置のエリアと転写担持体が位置するエリアとにまたがる位置にて前記シート記録材を停止させると共に、シート記録材の搬送過程における搬送量を、シート記録材のサイズに応じて制御するので、シート記録材のサイズの差に起因する転写担持体からのシート記録材の引き剥がし力の差を少なくし、常に、ジャム処理時にシート記録材を容易に取り除くことができる。
【0125】
(3)サイズの大きいシート記録材の搬送量を多くするので、転写担持体に吸着している面積を減じることができ、サイズの小さなシート記録材との差を小さくでき、ジャム処理時のシート記録材の取り出しを容易に行うことができる。
【0126】
(4)シート記録材の搬送方向のサイズに応じて搬送量を制御するので、シート記録材のサイズの相違に起因する転写担持体への吸着面積の変化に適切に対処することができる。
【0127】
(5)搬送ジャム等の搬送異常時には、シート記録材の先端が定着装置のローラ部材に噛み込む手前の位置までシート記録材を搬送するので、定着装置を画像形成装置より引き出したときに、シート記録材の先端が転写担持体より飛び出した状態となり、転写担持体に静電吸着されているシート記録材の先端を掴んで容易に取り出すことができる。
【0128】
(6)搬送ジャム等の搬送異常時には、シート記録材の先端が前記定着装置のローラ部材に噛み込まれる位置までシート記録材を搬送するので、定着装置を画像形成装置から引き出して開放すると、定着装置のローラ部材に挟み込まれたシート記録材が一緒に引き出されるため、転写担持体にシート記録材が静電吸着していても容易にシート記録材を取り出すことができる。
【0129】
(7)シート記録材の搬送方向の長さに応じて定着装置のローラ部材にシート記録材が噛み込まれる手前の位置か噛み込まれる位置かを切換えるので、シート記録材が転写担持体に吸着している面積を、シート記録材のサイズの如何にかかわらず、小さな面積で一定にすることができるので、容易にシート記録材を転写担持体から引き剥がすことができる。
【0130】
(8)搬送ジャム等の搬送異常時には、転写担持体によるシート記録材搬送動作が停止する以前に、離接手段による転写担持体支持手段の離間を開始させ、転写担持体を少なくとも一部の像担持体から離間させるので、ジャム発生前に像担持体に形成されたトナー像のシート記録材への転写を少なくすることができると共に、像担持体と対を成す転写ローラによる転写担持体に対するシート記録材への必要以上の吸着力の追加を断つことができるため、転写担持体からのシート記録材を剥がしやすくでき、ジャム処理時の装置内部へのトナー汚れやシート記録材を掴む手へのトナー汚れ等を減じることができ容易なジャム処理を行える。さらに、離間されなかった像担持体と対を成す転写ローラによりシート記録材を転写担持体に吸着させる電荷を供給できるため、シート記録材を定着装置のエリアに確実に搬送することができる。
【0131】
また、搬送方向下流側を離間させることでシート記録材が停止している定着ローラに当って搬送が阻止された後に、シート記録材が撓む領域を広げる効果と、シート記録材と転写担持体との間でスリップをさせることができ未定着トナーにより画像形成装置の内部がトナーで著しく汚れないようにすることもできる。
【0132】
(9)搬送ジャム等の搬送異常時には、転写担持体による前記搬送異常のシート記録材の搬送が停止する以前に、離接手段による転写担持体支持手段の離間動作を開始させると共に、複数の像担持体の中、前記転写担持体から離間した像担持体の回転動作を停止させ、かつ、前記転写担持体の搬送停止に合わせて前記転写担持体に接触している像担持体の回転を停止させるので、非接触となった像担持体の不必要な回転を防止して像担持体の寿命の延長を図ることができる。
【0133】
(10)シート記録材に異常搬送が検出された以後は、転写担持体と像担持体との接触状態を単色モードとするので、転写担持体が多くの像担持体から離間されるため、シート記録材を取り出しやすくなり、ジャム処理作業が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の要部構成図である。
【図2】同定着部を引き出した状態の要部構成図である。
【図3】同転写担持体が緊急停止した状態の説明図である。
【図4】同シート記録材が転写担持体上に残っている状態の説明図である。
【図5】同定着部を引き出してジャム処理を行う時の説明図である。
【図6】同他の例の説明図である。
【図7】同転写担持体上にシート記録材が2枚残った場合のジャム処理を行う時の説明図である。
【図8】同他の例の説明図である。
【図9】同多色モードにおける転写担持体の状態を示す説明図である。
【図10】同単色モードにおける転写担持体の状態を示す説明図である。
【図11】同定着部を引き出している状態の説明図である。
【図12】同ジャム処理制御手段の制御系統ブロック図である。
【図13】同ジャム処理制御の一例を示すフローチャートである。
【図14】同他の例を示すフローチャートである。
【図15】同異なる例を示すフローチャートである。
【図16】同さらに異なる例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
3−像担持体
7−転写担持体
8−転写担持体支持手段
12−定着装置(定着部)
31,32−ローラ部材
60a〜60d−転写部材(高圧電源)
100a−ジャム処理制御手段
R−離接手段
Claims (10)
- 像担持体上に形成されたトナー像を転写担持体上に吸着搬送されるシート記録材に転写し、定着装置で前記シート記録材にトナーを定着させると共に、ジャム処理制御手段により、前記シート記録材の搬送異常を判断し、かつ、その搬送異常時にはその搬送動作を停止させるようにした画像形成装置において、
前記搬送異常によるシート記録材搬送動作の停止後の復帰作業の後に、前記シート記録材の搬送動作を再開する直前または再開した直後に、搬送途中のシート記録材の存在が確認された場合もしくは予想される場合には、
前記ジャム処理制御手段は、
前記シート記録材を搬送して、少なくともその一部が、シート記録材搬送方向における前記定着装置のエリアと転写担持体が位置するエリアとにまたがる位置にて、前記シート記録材を停止させると共に、前記シート記録材の搬送過程における搬送量を、前記シート記録材のサイズに応じて制御することを特徴とする画像形成装置。 - 像担持体上に形成されたトナー像を転写担持体上に吸着搬送されるシート記録材に転写し、定着装置で前記シート記録材にトナーを定着させると共に、ジャム処理制御手段により、前記シート記録材の搬送異常を判断し、かつ、その搬送異常時には画像形成動作を停止させるようにした画像形成装置において、
前記ジャム処理制御手段は、
前記搬送異常時には、シート記録材搬送動作を継続させ、前記転写担持体を含む上流側のシート記録材搬送手段に存在する前記シート記録材の少なくともその一部がシート記録材搬送方向における前記定着装置のエリアと前記転写担持体が位置するエリアとにまたがる位置にて前記シート記録材を停止させると共に、前記シート記録材の搬送過程における搬送量を、前記シート記録材のサイズに応じて制御することを特徴とする画像形成装置。 - 前記ジャム処理制御手段は、前記シート記録材の搬送量を、前記シート記録材のサイズが大きい場合の方が小さい場合よりも多くなるように制御することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
- 前記シート記録材のサイズは、その搬送方向を基準とすることを特徴とすることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
- 前記ジャム処理制御手段は、前記搬送異常のシート記録材の先端が前記定着装置のローラ部材に噛み込む手前の位置まで、前記搬送異常のシート記録材を搬送することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記ジャム処理制御手段は、前記搬送異常のシート記録材の先端が前記定着装置のローラ部材に噛み込まれる位置まで、前記搬送異常のシート記録材を搬送することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記シート記録材を停止させる位置を、前記シート記録材の搬送方向の長さに応じて異ならせ、前記シート記録材が短い場合は、前記定着装置のローラ部材に噛み込まれる手前の位置とし、前記シート記録材が長い場合は、前記定着装置のローラ部材に噛み込まれた位置とすることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記像担持体が、前記転写担持体に沿ってシート記録材の搬送方向に複数配置され、かつ、前記転写担持体を前記像担持体に対して離接動作させる離接手段を備え、
前記ジャム処理制御手段は、
前記搬送異常時に、前記転写担持体によるシート記録材搬送動作が停止する以前に、前記離接手段による前記転写担持体支持手段の離間を開始させ、前記転写担持体を少なくとも一部の像担持体から離間させることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の画像形成装置。 - 前記ジャム処理制御手段は、
前記搬送異常時に、前記転写担持体による前記搬送異常のシート記録材の搬送が停止する以前に、前記離接手段による転写担持体支持手段の離間動作を開始させると共に、前記複数の像担持体の中、前記転写担持体から離間した像担持体の回転動作を停止させ、かつ、前記転写担持体の搬送停止に合わせて前記転写担持体に接触している像担持体の回転を停止させることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。 - 全ての前記像担持体を使用して画像を形成する多色モードと、前記像担持体の中の特定の像担持体を使用して画像を形成する単色モードと、を選択可能に構成され、
前記ジャム処理制御手段は、
前記多色モード時に前記シート記録材の異常搬送が検出された場合には、前記像担持体と前記転写担持体の接触状態を単色モード時の状態に設定することを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の画像形成装置。
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- 2003-02-28 JP JP2003054337A patent/JP2004264545A/ja active Pending
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