JP2004263596A - ダイヤフラムポンプにおける駆動軸の軸受構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】モータ軸4が固着されたクランク台8には、モータ軸4の軸心から偏心した位置に駆動軸9が傾斜した状態で固定されている。この駆動軸9が軸孔11に挿入されることにより、駆動体10は駆動軸9に回転自在に支持される。駆動体10の各駆動子15にはダイヤフラム25の各ダイヤフラム部26が取り付けられている。クランク台8が回転すると、駆動軸9および駆動体10を介して各ダイヤフラム部26が順次上下動してポンプ作用をする。軸孔11の内周面には開口端まで延設された油溜め用の溝12が設けられ、ボス13には軸孔11の開口を密閉するシール部材17が取り付けられている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、血圧計等において圧縮空気を供給するために使用されるダイヤフラムポンプにおける駆動軸の軸受構造関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のダイヤフラムポンプにおける駆動軸の軸受構造は、ダイヤフラムの各ダイヤフラム部を順次上下動させる駆動体の軸孔に、出力軸の周りを傾斜方向を変えるようにして偏心回転する駆動軸が回転自在となるように挿入されている。(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
なお、本出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に密接に関連する先行技術文献を出願時までに発見するには至らなかった。
【0004】
【特許文献1】
実公平3−35905号公報(2欄5行〜4欄8行、第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のダイヤフラムポンプにおける駆動軸の軸受構造においては、駆動体の軸孔と駆動軸との間に潤滑油を供給して使用するが、軸孔の内周面と駆動軸の外周面との間には、僅かなクリアランスが設けられているだけであるために、充分な量の潤滑油を供給することができない。また、軸孔の開口端がシール材等によって閉塞された構造を有していないため、長時間使用すると潤滑油が不足するといった、いわゆる油切れを起こし焼付を起こしてしまうおそれがあり耐久性において問題があった。
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、ダイヤフラムポンプの耐久性を向上させることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、請求項1に係る発明は、モータの出力軸が固着された回転体と、この回転体の前記出力軸から偏心した部位に傾斜した状態で突設した駆動軸と、この駆動軸に回転自在に支持され駆動体と、この駆動体にポンプ室を形成する各ダイヤフラム部が取り付けられたダイヤフラムとを備え、前記回転体の回転に追従して前記駆動軸および前記駆動体を介して前記ダイヤフラムの各ダイヤフラム部を昇降させ前記ポンプ室を拡縮することによりポンプ作用をするダイヤフラムポンプにおける駆動軸の軸受構造において、前記駆動体に前記駆動軸が挿入される軸孔を設け、この軸孔の内周部に軸線方向に軸孔の開口まで延在する油溜め用の溝を設け、前記軸孔の開口を密閉するシール部材を備えたものである。
したがって、油溜め用の溝に供給された潤滑油はシール部材によって軸孔から漏洩するのが規制される。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、モータの出力軸が固着された回転体と、この回転体の前記出力軸から偏心した部位に傾斜した状態で突設した駆動軸と、この駆動軸に回転自在に支持され駆動体と、この駆動体にポンプ室を形成する各ダイヤフラム部が取り付けられたダイヤフラムとを備え、前記回転体の回転に追従して前記駆動軸および前記駆動体を介して前記ダイヤフラムの各ダイヤフラム部を昇降させ前記ポンプ室を拡縮することによりポンプ作用をするダイヤフラムポンプにおける駆動軸の軸受構造において、前記駆動体に前記駆動軸が嵌合する軸孔を設け、前記駆動軸の外周部の前記軸孔内に位置する部位に軸線方向に延在する油溜め用の細径部を形成したものである。
したがって、細径部に充分な潤滑油が保持される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係るダイヤフラムポンプの断面図、図2は同じく駆動体を拡大して示し、同図(a)は底面図、同図(b)は同図(a)におけるII(b)−II(b) 線断面図、図3は同じくシール部材を拡大して示し、同図(a)は平面図、同図(b)は同図(a)における III(b)−III(b)線断面図である。
【0009】
図1に示すように、全体を符号1で示すダイヤフラムポンプは、駆動源であるモータ2を備えており、このモータ2は、上方が開口した有底円筒状に形成されたケース3の底部5に、出力軸4がケース3の底部5に形成した穴6からケース3内に臨むように、ねじ7によって固定されている。同図に符号8で示す回転体としてのクランク台は、略小円柱状に形成され、中央には出力軸4が固着されており、この出力軸4の軸線から偏心した位置には、駆動軸9が傾斜した状態で固着されている。
【0010】
同図に符号10で示す駆動体は、図2に拡大して示すように、軸孔11が設けられたボス13と、このボス13の上端に一体に形成された本体14とによって形成されており、軸孔11の内周部には軸線方向に開口11aまで延在する油溜め用の溝12が凹設されている。また、ボス13の外周部の下端13a側には、側面視において下端13aと平行な円環状の係合溝13bが凹設されている。本体14は、同図(a)に示すように、平面視において円周方向に等角度おいて中心から放射状に延設された3つの駆動子15によって一体に形成され、これら3つの駆動子15は、同図(b)に示すように、中心から先端に向かっていずれも同じ角度だけ下方に傾斜している。各駆動子15の先端側には、後述するダイヤフラム25の各ダイヤフラム部26を取り付けるための取付孔16が設けられている。
【0011】
図1に符号17で示すシール部材は、図3に拡大して示すように、ゴム等の弾性材によって貫通孔17aが設けられ略円筒状に形成されており、貫通孔17aの下端縁には、逆すり鉢状に形成されたシール部17bが貫通孔17a内に位置付けられるように上方に一体に突設されている。このシール部17bの上端の開口17cの径は、上記した駆動軸9の直径よりも僅かに小さく形成されている。このシール部材17の上面側の外周端には、平面視円環状に形成された係合片18が一体に立設されており、この係合片18の内径D2は、上記した駆動体10のボス13の外径と略同一に形成されている。この係合片18の先端部の内側には、ボス13の係合溝13bに係合する円環状に形成された係合凸部18aが一体に突設されている。
【0012】
図1に符号20で示すダイヤフラムホルダーは、略キャップ状に形成され、天井部21には、3つのダイヤフラム部保持孔22が円周方向に等角度おいて設けられており、このダイヤフラムホルダー20は、上記したケース3上に載置されている。
【0013】
同図に符号25で示すダイヤフラムは、ゴム等の柔軟性を有する材料によって、平面視において円周方向に等角度おいて設けられ上方が開口した3つのダイヤフラム部26と、これら3つのダイヤフラム部26の上端部を連設する略円板状に形成されたフランジ27とによって一体に形成されている。各ダイヤフラム部26の下面には、断面が略円錐台状のピストン28が一体に形成されており、このピストン28の下部には、細径の首部29を介して係止用の凸部30が一体に形成されている。また、フランジ27の中央部には円筒状に形成された第2の弁体31が一体に立設されている。
【0014】
このダイヤフラム25は、各ダイヤフラム部26の凸部30を弾性変形させながら、駆動体10の各駆動子15のダイヤフラム部取付孔16に挿入することにより、首部29がダイヤフラム部取付孔16に取り付けられる。また、シール部材17の係合片18を弾性変形させながら、係合凸条18aを駆動体10のボス13の係合溝13bに係合させることにより、駆動体10の軸孔11の開口11aとシール部材17のシール部17bの開口17cとが対向するようにして、シール部材17が駆動体10に取り付けられる。
【0015】
また、ダイヤフラム25の各ダイヤフラム部26が、図1に示すように、ダイヤフラムホルダー20のダイヤフラム部保持孔22に挿入され、駆動軸9がシール部材17の貫通孔17aを貫通し駆動体10の軸孔11に挿入されて、ダイヤフラムホルダー20がダイヤフラムホルダー20の天井部21上に載置されている。このとき、シール部材17のシール部17bの開口17cが駆動軸9の直径よりも僅かに小さく形成されているために、シール部17bの上端部が駆動軸9に密着し、シール部17bによって駆動体10の軸孔11の開口11aが密閉された状態になる。また、係合片18の内径D2が駆動体10のボス13の外径と略同一に形成されているため、係合片18の内周面がボス13の外周面に密着し、かつ係合凸部18aが係合溝13bにボス13の全周にわたって係合している。
【0016】
同図に符号35で示すバルブホルダーは、略円板状に形成されており、このバルブホルダー35の中央部には大径の筒体37が一体に立設され、この筒体37に囲まれた部位に円筒状の弁室38が形成されている。この筒体37の内周面39には、弁室38に臨む上記した第2の弁体31が密着し、この筒体37の内周面39には、後述する各ポンプ室49と連通する溝状に形成された3つの排気通路40が円周方向に等角度おいて凹設されている。
【0017】
第2の弁体31は、弁室38と排気通路40との間を閉塞するように筒体37の内周面39に密着する。したがって、これら第2の弁体31と筒体37の内周面39とが、後述する吐出口43から吸気通路40を通ってポンプ室49に流体が流れるのを規制する逆止め弁を構成する。
【0018】
大径の筒体37の上側には、弁室38と連通する中空部42を有する小径の筒体41が一体に立設されており、この筒体41の上端開口は吐出口43を形成している。また、大径の筒体37の周りには、3つの第1の弁体取付孔44が円周方向に等角度おいて穿孔されており、これら第1の弁体取付孔44の周りには多数の吸気通路45が穿孔されている。
【0019】
同図に符号47で示す第1の弁体は、ゴム等の柔軟性を有する材料によって傘形に形成されており、第1の弁体取付孔44に取り付けられることにより、吸気通路45とポンプ室49との間を閉塞するようにバルブホルダー35の下面に密着する。したがって、この第1の弁体47とバルブホルダー35の下面とが、ポンプ室49から吸気通路45へ流体が流れるのを規制する逆止め弁を構成する。
【0020】
このバルブホルダー35は、上記したダイヤフラム25をダイヤフラムホルダー20とともに挟持するように、ダイヤフラムホルダー20上に載置されており、ダイヤフラム25の各ダイヤフラム部26とともに3つのポンプ室49を形成している。また、このバルブホルダー35の3つの排気通路40と3組の吸気通路45のそれぞれは、各ポンプ室49に対応するように位置付けられている。また、ダイヤフラム25の第2の弁体31が、バルブホルダー35の弁室38に臨み、大径の筒体37の内周面39に密着する。上記したケース3、ダイヤフラムホルダー20およびバルブホルダー35が、図示を省略した棒状(線状)ばねまたは板ばねあるいは通しねじによって一体化されることによりダイヤフラムポンプ1が形成される。
【0021】
次に、このように構成されたダイヤフラムポンプ1の動作を説明する。
予め、シール部材17が取り付けられた駆動体10の油溜め用の溝12に潤滑油を供給しておく。このような状態としてから、モータ2が駆動し出力軸4が回転すると、クランク台8も一体的に回転し、このクランク台8に出力軸4の軸線から偏心した位置に傾斜した状態で固着された駆動軸9が、出力軸4の周りを傾斜方向を変えるようにして偏心回転する。したがって、この駆動軸9に回動自在に支持された駆動体10の各駆動子15が順次上下に揺動し、ダイヤフラム25の各ダイヤフラム部26も順次昇降するので、各ポンプ室49は順次拡縮しポンプ作用を行う。
【0022】
すなわち、図1に示すように、ダイヤフラム25の3つのダイヤフラム部26のうちの一つが下降すると、そのポンプ室49は拡張するので、ポンプ室49が負圧状態になる。このとき、第2の弁体31は、流体が弁室38から排気通路40を通ってポンプ室49へ流れるのを規制する逆止弁として機能するから、この第2の弁体31によって排気通路40が閉じられる。一方、第1の弁体47は吸気通路45とポンプ室49との間を開放するので、吸気通路45からポンプ室49内に流入する。
【0023】
モータ2の出力軸4がさらに回転して、拡張したポンプ室49のダイヤフラム部26が上昇するとポンプ室49は収縮するため、ポンプ室49内の流体の圧力が上昇する。このとき、第1の弁体47は、流体がポンプ室49から吸気通路45へ流れるのを阻止する逆止弁として機能するから、この第1の弁体47によってポンプ室49と吸気通路45との間が閉塞される。一方、第2の弁体31は排気通路40と弁室38との間を開放するために、ポンプ室49内の流体は排気通路40を通って弁室38に流入し中空部42を介して吐出口43から吐出される。このポンプ室49の拡縮動作は、各ポンプ室49において順次連続して行われるので、各排気通路40から弁室38に排出された流体は、弁室38によって集められて1つの吐出口43から連続して吐出される。
【0024】
このようなポンプ作用をしている間、シール部材17のシール部17bが駆動軸9に密着しているために、油溜め用の溝12内に供給された潤滑油が軸孔11の開口11aから漏洩するのが規制されるとともに、溝12を設けたことにより駆動軸9の外周面と軸孔11の内周面との間に、充分な量の潤滑油を供給することができる。また、係合片18の内周面がボス13の外周面に密着し、かつ係合凸部18aが係合溝13bにボス13の全周にわたって係合しているために、ボス13の外周面と係合凸部18aとの間から潤滑油の漏洩が規制される。したがって、駆動軸9の外周面と駆動体10の軸孔の内周面との間には、長期間の使用に対しても潤滑油が補給された状態が保持されるため、潤滑油が不足することに起因する油切れが起きず焼付を起こすことがないからダイヤフラムポンプ1の耐久性が向上する。
【0025】
図4は本発明の第2の実施の形態を示すダイヤフラムポンプ101の断面図である。同図において、上述した図1に示す第1の実施の形態において説明した同一または同等の部材については同一の符号を付し詳細な説明は省略する。
【0026】
この第2の実施の形態が、上述した第1の実施の形態と異なる点は、駆動体10の軸孔11に溝12を設けることなく、かつシール部材17も備えることなく、駆動軸9に油溜め用の細径部9aを設けた点にある。この細径部9aの下端9bは、駆動軸9が軸孔11に挿入され、駆動体10を回転自在に支持した図4の状態において、ボス13の下端13aよりも上方に位置するように形成されている。すなわち、細径部9aは、軸孔11内に位置付けられるようにして形成されている。
【0027】
このように形成されていることにより、細径部9aに充分多い潤滑油を供給できるので、長期間にわたって駆動軸9の外周面と軸孔11の内周面との間に潤滑油が補給された状態が保持される。したがって、潤滑油が不足することに起因する油切れが起きず焼付を起こすことがないからダイヤフラムポンプ101の耐久性が向上する。また、駆動軸9に細径部9aを設けるだけでよいから、部品点数を削減することができる。
【0028】
なお、本実施の形態においては、駆動軸9とクランク台8を別部材としたが、駆動軸9をクランク台8に一体に形成してもよい。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ダイヤフラムポンプの耐久性が向上する。
【0030】
また、請求項2に係る発明によれば、部品点数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るダイヤフラムポンプの断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るダイヤフラムポンプの駆動体を拡大して示し、同図(a)は底面図、同図(b)は同図(a)におけるII(b)−II(b) 線断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るダイヤフラムポンプのシール部材を拡大して示し、同図(a)は平面図、同図(b)は同図(a)における III(b)−III(b)線断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るダイヤフラムポンプの断面図である。
【符号の説明】
1…ダイヤフラムポンプ、2…モータ、9…駆動軸、9a…細径部、10…駆動体、12…溝、13…ボス、13b…係合溝、15…駆動子、17…シール部材、17a…貫通孔、17b…シール部、18a…係合凸部、20…ダイヤフラムホルダー、25…ダイヤフラム、26…ダイヤフラム部、31…第2の弁体、35…バルブホルダー、38…弁室、40…排気通路、45…吸気通路、47…第1の弁体。
Claims (2)
- モータの出力軸が固着された回転体と、この回転体の前記出力軸から偏心した部位に傾斜した状態で突設した駆動軸と、この駆動軸に回転自在に支持され駆動体と、この駆動体にポンプ室を形成する各ダイヤフラム部が取り付けられたダイヤフラムとを備え、前記回転体の回転に追従して前記駆動軸および前記駆動体を介して前記ダイヤフラムの各ダイヤフラム部を昇降させ前記ポンプ室を拡縮することによりポンプ作用をするダイヤフラムポンプにおける駆動軸の軸受構造において、前記駆動体に前記駆動軸が挿入される軸孔を設け、この軸孔の内周部に軸線方向に軸孔の開口まで延在する油溜め用の溝を設け、前記軸孔の開口を密閉するシール部材を備えたことを特徴とするダイヤフラムポンプにおける駆動軸の軸受構造。
- モータの出力軸が固着された回転体と、この回転体の前記出力軸から偏心した部位に傾斜した状態で突設した駆動軸と、この駆動軸に回転自在に支持され駆動体と、この駆動体にポンプ室を形成する各ダイヤフラム部が取り付けられたダイヤフラムとを備え、前記回転体の回転に追従して前記駆動軸および前記駆動体を介して前記ダイヤフラムの各ダイヤフラム部を昇降させ前記ポンプ室を拡縮することによりポンプ作用をするダイヤフラムポンプにおける駆動軸の軸受構造において、前記駆動体に前記駆動軸が嵌合する軸孔を設け、前記駆動軸の外周部の前記軸孔内に位置する部位に軸線方向に延在する油溜め用の細径部を形成したことを特徴とするダイヤフラムポンプにおける駆動軸の軸受構造。
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