JP2004259670A - 燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料電池スタックに供給する各種流体の圧力を検出または推定する手段を二重化することなく、最小の構成で圧力検出系の故障を検出する。
【解決手段】コンプレッサ3を駆動するモータ4の消費電力とコンプレッサの回転速度に基づいて、制御用コンピュータ2の空気圧力推定部は、燃料電池スタック1に供給する空気の圧力Paを推定する。圧力センサ10は、燃料電池スタック1に供給する水素の圧力Pbを検出し、差圧センサ12は、空気圧力Paと水素圧力Pbとの圧力差DPabを検出する。制御用コンピュータ2は、PaとDPabの和と、Pbとの差αを計算し、αが所定範囲内ならば圧力検出系は正常と判定し、αが所定範囲外ならば、空気圧力推定部、圧力センサ10,差圧センサ12のいずれかが故障と判定する。
【選択図】 図1
【解決手段】コンプレッサ3を駆動するモータ4の消費電力とコンプレッサの回転速度に基づいて、制御用コンピュータ2の空気圧力推定部は、燃料電池スタック1に供給する空気の圧力Paを推定する。圧力センサ10は、燃料電池スタック1に供給する水素の圧力Pbを検出し、差圧センサ12は、空気圧力Paと水素圧力Pbとの圧力差DPabを検出する。制御用コンピュータ2は、PaとDPabの和と、Pbとの差αを計算し、αが所定範囲内ならば圧力検出系は正常と判定し、αが所定範囲外ならば、空気圧力推定部、圧力センサ10,差圧センサ12のいずれかが故障と判定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池システムに係り、特に、燃料ガス、酸化剤ガス、冷却媒体、加湿用純水等の燃料電池スタックに供給される流体の圧力検出手段の故障検出を改善した燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、水素ガスなどの燃料ガスと酸素を有する酸化ガスとを電解質を介して電気化学的に反応させ、電解質両面に設けた電極間から電気エネルギを直接取り出すものである。特に固体高分子電解質を用いた固体高分子型燃料電池は、動作温度が低く、取り扱いが容易なことから電動車両用の電源として注目されている。すなわち、燃料電池車両は、高圧水素タンク、液体水素タンク、水素吸蔵合金タンクなどの水素貯蔵装置を車両に搭載し、そこから供給される水素と、酸素を含む空気とを燃料電池に送り込んで反応させ、燃料電池から取り出した電気エネルギで駆動輪につながるモータを駆動するものであり、排出物質は水だけであるという究極のクリーン車両である。
【0003】
車両用等の負荷が変動する燃料電池の用途において、運転状態に応じて燃料電池に供給する燃料ガス及び酸化剤ガスの圧力流量を最適に制御すると、酸化剤ガスを供給するポンプやコンプレッサ等の消費電力を削減し、燃料電池の燃費性能を向上させることができる。
【0004】
このため、一般に燃料ガスや酸化剤ガスの圧力を検出する圧力センサをガス供給系に設け、これらセンサ類の検出値が目標値となるように制御している。このような圧力センサ類の故障診断に関する従来技術としては、例えば特許文献1記載の技術が知られている。
【0005】
特許文献1によると、燃料電池システムの供給流体のバルブ気密性等を検出するために圧力センサと複数のバルブを用いて行なうことが示されている。バルブを複数使うことにより所望の圧力に変動する部屋を作り、この圧力変動を圧力センサで検出することで初期診断を行なってから、その次に各バルブの漏れ状態の有無等の診断を行なっている。この方法では通常運転中の圧力センサの故障診断ができなく、また圧力変動を作り出すために診断用のバルブを増やす必要があった。
【0006】
ところで燃料電池システムに供給する流体の圧力制御には、燃料電池スタックの故障を回避するために高精度の圧力制御が要求されている。今までの方法は、通常運転時に圧力センサの故障を検出するために、一つの圧力測定ポイントに複数の圧力センサを設置する冗長構成とし、各圧力センサで検出された圧力値の差が規定範囲を逸脱すると圧力センサの故障と判断するしていた。
【0007】
ところがこの方法では、制御で使用する圧力センサの他に故障検出用の圧力センサを別途設置する必要があり、これらの故障検出用圧力センサのために配線を増やしたり制御用コンピュータを大型化したりする等多くの対応が必要になることから、結果的に燃料電池システムのコストを引き上げていた。
【0008】
特許文献1を含めて今迄の方法では、故障検出または診断用として、通常の圧力制御用以外の部品を多数設けなければならず、部品点数が増加することによって故障要因を増加させてしまう懸念もあった。
【0009】
【特許文献1】
特開平9−22711号公報(第4頁、図1)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術においては、圧力値制御用のためのバルブや制御用の圧力センサ以外に、診断用のバルブや故障検出用又は診断用の圧力センサ等、多くの部品が必要になっていた。
【0011】
これらは、すなわち診断用のシステムを流体の圧力流量制御用とは別に用意しなければならないことであり、部品点数や構成要素の数が増大して、故に故障要因が増えることで故障率が増加するという問題点があった。
【0012】
また、診断用圧力センサ等の診断専用のシステムを付帯しなければならないことで、燃料電池システム全体のコストを引き上げるという問題点もあった。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記問題点を解決するため、燃料ガス、酸化剤ガス、冷却媒体及び加湿用純水の内から少なくとも2種類の流体を燃料電池スタックに供給する経路を有する燃料電池システムにおいて、前記複数種類の流体の内の第1の流体の圧力値を検出または推定して出力する第1圧力検出手段と、前記複数種類の流体の内の第2の流体の圧力値を検出または推定して出力する第2圧力検出手段と、第1の流体の圧力に対する第2の流体の圧力である圧力差を検出する圧力差検出手段とを備えて成り、前記第1圧力検出手段の出力値に前記圧力差検出手段の検出値を加算した値と、前記第2圧力検出手段の出力値との比較結果に基づいて、第1圧力検出手段及び第2圧力検出手段及び前記圧力差検出手段の故障検出を行うことを要旨とする。
【0014】
【発明の効果】
本発明によれば、第1圧力検出手段の出力値に圧力差検出手段の検出値を加算した値と、第2圧力検出手段の出力値とを比較し、両者の差が所定範囲を超えた場合、第1圧力検出手段または第2圧力検出手段または圧力差検出手段の何れかが故障したと判断できるので、各圧力検出手段を二重化することなく圧力検出手段の故障を検出することができるという効果がある。
【0015】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態〕
次に、図1乃至図7を参照して、本発明に係る燃料電池システムの第1実施形態を詳細に説明する。
【0016】
図1は、第1実施形態の燃料電池システムを説明するシステム構成図、図2は、第1実施形態における圧力の相関図、図3は、比較対照としての従来の燃料電池システムのシステム構成図、図4は、従来例における圧力の相関図、図5は、本実施形態における供給経路aの過給圧と消費電流の特性図、図6は、大気圧力を推定するために用いる供給経路aにおけるコンプレッサ一定回転速度での消費電流と大気圧との特性図、図7は、本実施形態における通常の診断手順を表したフローチャートである。
【0017】
図1のシステム構成図において、燃料電池システムは、発電を行なう燃料電池スタック1と、圧力センサ及び圧力推定手段の故障検出及び診断を含めたシステム全体の制御を行なう制御用コンピュータ2と、流体aである空気を加圧して燃料電池スタック1に供給する流体機械であるコンプレッサ3と、コンプレッサ3を駆動するモータ4と、流体aをコンプレッサ3に導く供給経路5と、同排出する経路6と、流体bである水素の供給経路7と、同排出経路8と、燃料電池スタック1からの電力取り出し回路9と、流体bの圧力検出手段としての圧力センサ10と、流体aの圧力推定値11と、流体aと流体bとの圧力差(差圧値)を検出する差圧センサ12と、制御用ハーネス13と、燃料電池スタック1へ供給する流体aの圧力を調整する圧力調整バルブ14と、を備えて構成されている。
【0018】
尚、図示しないが水素の供給経路7には、例えば、高圧水素タンクと圧力調整弁が接続され、制御用コンピュータ2から圧力調整弁を制御することにより、所望の圧力の水素ガスを供給経路7に供給することができるようになっている。
【0019】
第1実施形態においては、燃料電池スタック1に供給する流体の内から、第1流体として流体a(空気)、第2流体として流体b(水素)を例示している。
【0020】
そして、燃料電池システム1は、第1の流体である流体a(空気)の圧力を推定する第1圧力検出手段として制御用コンピュータ2、第2の流体である流体b(水素)の圧力を検出する第2圧力検出手段として圧力センサ10、第1の流体の圧力に対する第2の流体の圧力である差圧を検出する圧力差検出手段として差圧センサ12を備え、第1圧力検出手段の出力値に圧力差検出手段の検出値を加算した値と、第2圧力検出手段の出力値とを比較して、こられの故障検出を行うものである。
【0021】
尚、以下の説明では、第1圧力検出手段としての制御用コンピュータ2と、第2圧力検出手段としての圧力センサ10と、圧力差検出手段としての差圧センサ12を圧力検出系とも呼ぶ。
【0022】
次に、第1実施形態における圧力検出系の故障検出方法を、相関図である図2と、コンプレッサの過給特性を示す図5と、大気圧を推定するための特性を示す図6及び診断用の制御フローを示す図7を用いて説明する。比較対照として従来の燃料電池システムにおける圧力センサの故障検出方法を、図3と図4を用いて説明し、第1実施形態との違いを比較する。
【0023】
第1実施形態の場合、供給流体bである水素は、通常圧縮された状態で保存されている場合が多く、コンプレッサ等の流体機械による加圧の必要性がなく、レギュレータ等で減圧して使用することが殆どである。このため、この供給経路においては、流体機械の負荷等の基づいて圧力値を推定することが困難であり、真空からの圧力値(Pb[kPa]) を直接圧力センサ10にて検出している。
【0024】
本実施形態においては、モータによりコンプレッサやポンプ等の流体機械を運転して空気や冷却液を供給しているので、モータの消費電力値や電圧一定下での電流値を検出することでコンプレッサ等のエネルギ消費量を検出することができ、またコンプレッサ等の供給流体の流量制御で使用しているインバータの回転指令値のデータを検出することで、モータの回転速度を知ることができる。
【0025】
モータの回転速度が分かれば、モータとコンプレッサ等の間にある伝達装置の仕様により、コンプレッサ等の回転速度が分かるため、コンプレッサ等の流体の吐出量を知ることができる。燃料電池へ供給される流体の吐出量とエネルギ変換量が分かると、実験等から任意の回転速度における圧力と消費電流の関係式や、気体の状態方程式等の演算により、間接的に燃料電池スタックに供給される流体の圧力値を推定することができる。
【0026】
供給流体aである空気の経路は、コンプレッサとモータを用いて過給することを前提にしている。コンプレッサの駆動に消費される電気エネルギとコンプレッサの回転速度、コンプレッサのエネルギ変換効率から、コンプレッサが出力する推定圧力値(Pa‘[kPa]) が得られる。この過給圧力と、コンプレッサ駆動用モータの供給電圧一定における消費電流値には図5に示すような関係がある。この特性の関係式から消費される電流値によって過給される圧力値の推定ができる。
【0027】
実際には、モータの回転速度によって、消費電流と過給圧力が異なるので、図6に示すような回転速度と消費電流とに基づいて過給圧力を求めるマップを予め記憶しておき、これを検索して過給圧を求める。これにより、空気供給経路に圧力センサを設けることなく、燃料電池スタックに供給される空気の圧力を推定することができる。
【0028】
しかし、過給圧が同じであっても、過給される前の大気圧によってコンプレッサが出力する過給圧が異なるので、車両用等、高地へ移動可能な燃料電池システムでは、大気圧を知る必要がある。
【0029】
ところで減圧する時の状況すなわち圧力損失が分かれば、その反対に過給される時の状況が分かるので、この方法により圧力値の推定ができる。
【0030】
そこで流体aである空気の圧力損失要因である燃料電池スタック1の圧力損失を、圧力調整バルブ14を全開にすることで圧力損失を一定にし、更にアイドリング等で燃料電池スタック1の発電状態を一定の状態にすることで、空気の供給経路全体の圧力損失を一定の状態にできる。
【0031】
燃料電池の起動から停止までの一連の運転状態において、起動直後、停止直前及びアイドリングストップ直前等においては発電の必要性が少なく、供給経路のバルブ開度状態を任意に設定できる。このためバルブ開度を制御して圧力損失を一定の状態にすることが可能になり、正確に大気圧の推定ができるようになる。
【0032】
即ち、圧力損失を一定の状態にしてコンプレッサ3を一定回転で運転にすることによって、大気圧に応じたコンプレッサの消費電流を検出し、消費電流と大気圧との関係から大気圧の推定ができる。Pa’に、この大気圧の推定から得られた所定の係数を掛けて相対圧力Pa’ を絶対圧力Paに変換する。
【0033】
こうして、圧力推定値または圧力検出値に、大気圧に対する相対圧力と絶対圧力とが混在していても、PaとPbとの基準圧を揃えることで相互の圧力値の比較による故障検出や診断が可能になる。
【0034】
尚、通常制御における燃料電池スタックに供給される流体の圧力制御はこのPaとPbを使用することにより、それぞれの流体の供給経路における圧力管理を実現している。
【0035】
第1実施形態においては、真空からの絶対圧を基準にして各圧力値を考慮している。流体aの圧力検出値または圧力推定値と、流体bの圧力検出値または圧力推定値と、流体aと流体bの圧力差を測る差圧センサからの差圧値との三者の関係を示すと以下の(1)式となり、(1)式から(2)式が導かれる。
【0036】
【数1】
Pa+DPab=Pb+α …(1)
α=Pa+DPab−Pb …(2)
ここで、Pa[kPa] :流体aの圧力検出値または圧力推定値
Pb[kPa] :流体bの圧力検出値または圧力推定値
DPab[kPa]:流体aの圧力に対する流体bの圧力(差圧値)
α[kPa] :誤差
(1)式の関係を表したのが図2であり、PaとDPabを加算したものがPbに相当することが示されている。
【0037】
また、(1)、(2)式中の誤差αが所定範囲内であれば、システム全体で整合が取れて、圧力検出系には故障が無く通常運転可能と判断できる。一方、誤差αが所定範囲を逸脱している時は、PaまたはPbまたはDPabのいずれかの圧力値に誤りがあり、その圧力値を検出または推定している圧力検出手段又は差圧センサが故障していると判断できる。
【0038】
この誤差αが正常か異常かを判定するための所定範囲は、各圧力センサの特性または圧力推定方法の入力誤差及び推定方法の特性に基づいて、流体aの圧力値Pa[kPa]の許容誤差(公差)と、流体bの圧力値Pb[kPa]の許容誤差と、差圧値DPab[kPa]の許容誤差とから予め算出して決定されているものとする。
【0039】
ところで、従来の圧力センサを二重化したシステム構成における圧力センサの故障検出を行なう場合には、図3の様に制御用圧力センサと同じ場所に診断用圧力センサを設けている。そして、流体b圧力センサ10の検出値と同診断用圧力センサ11の検出値、流体a圧力センサ12の検出値と同診断用圧力センサ13の検出値、をそれぞれ直接比較して故障診断を行っており、この状態を示したのが図4の相関図になる。
【0040】
従来の方法では制御用の圧力センサの他に診断専用の圧力センサを追加することになり、診断専用の部品点数が増えることで故障要因も増え、そのことでシステム全体を複雑に高価にしていた。
【0041】
次に、図7のフローチャートを参照して、本実施形態における通常運転時の故障検出のための診断動作について説明する。
【0042】
まず、通常運転時の診断が開始されると、ステップS12において、コンプレッサで消費される電力とコンプレッサの回転速度とコンプレッサのエネルギ変換効率から流体a(空気)の圧力Pa’(相対圧力)を推定する。次いで、ステップS14で大気圧の推定と、推定した大気圧によって、圧力Pa’(相対圧力)を補正して圧力Pa(絶対圧力)を求める。この大気圧の推定には、車両のアイドリング時等、燃料電池スタックの発電状態を一定にすることにより、空気の供給経路全体の圧力損失を一定の状態にして、コンプレッサを一定回転速度で回転させ、そのときのコンプレッサの消費電力から大気圧を推定する。車両の状態がアイドリング時でなければ、予め記憶した前回の大気圧推定値を用いる。
【0043】
次いでステップS16で、流体b(水素)の圧力センサによりPb(絶対圧力)を検出し、ステップS18で流体a.b 間の差圧センサにより差圧値DPabを検出する。
【0044】
次いで、ステップS20で、Pa、Pb、DPabに基づいて、(2)式により誤差αを算出し、ステップS22で誤差αが所定範囲内か否かを判定する。ステップS22の判定で、誤差αが所定範囲内(許容内)であれば、ステップS24へ移り圧力検出系は正常であるとして終了する。ステップS22の判定で、誤差αが所定範囲外であれば、ステップS26へ移り、圧力検出系は故障状態であるとして終了する。
【0045】
以上説明した本実施形態によれば、燃料電池スタックに供給される第1、第2流体の圧力検出をそれぞれ二重化することなく、各流体の圧力を検出または推定する圧力検出手段の故障を検出することができるという効果がある。
【0046】
〔第2実施形態〕
第2実施形態の構成は、図1に示した第1実施形態と同じである。第2実施形態では、特に流体の供給経路毎の圧力値を診断して、各流体の圧力値を検出または推定する圧力検出手段や圧力差検出手段の何れが故障しているかの特定を行なう診断機能を有することが第2実施形態の特徴である。
【0047】
本実施形態では、燃料電池起動直後の発電要求のないタイミングに各流体の供給経路毎に圧力値の異常を検出することにより、燃料電池システムの圧力検出系の故障箇所の特定ができるようになる。
【0048】
その際に、供給経路bの水素の診断は最後に実施して圧力を大気に開放する等で減圧することなく、そのまま通常の運転制御や、通常の故障診断に移行できるようにしている。これにより燃料である水素を無駄に捨てることなく、燃料電池の起動時診断が可能となり、燃料電池の燃費性能を向上させることができる。
【0049】
第2実施形態の場合、起動直後に最初に水素の経路はそのまま低圧の状態で一定の状態にしておき、最初に空気の経路だけを圧力調整バルブ14を所定の開度に閉じることで空気を加圧することによって、空気の圧力値変化分と水素と空気の差圧値の変化分とを比較し、先ずはこの段階で空気の供給経路の故障診断を実施し良否判定を行なう。
【0050】
この後判定の結果に関わらず判定結果だけ記録し、燃料電池スタックとコンプレッサ等空気の供給経路の運転状態を一定にしたまま、空気の圧力を保持する。次に水素の供給回路の加圧を行い、水素の圧力値変化分と水素と空気の差圧値の変化分とを比較し、空気の経路同様に水素の経路でも同様に故障診断を行なうことで良否判定を行なう。
【0051】
二回の良否判定で、双方の診断とも問題なければ故障の無い状態であり、このまま通常運転及び、通常圧力診断に移行する。空気経路だけの失陥状態であると判定された時は空気経路の圧力を推定する手段の故障状態であり、水素経路だけの失陥であると判定された時は水素経路の圧力検出手段の故障状態である。
【0052】
双方の診断にも問題がある場合には、差圧値を検出する圧力差検出手段か、制御コンピュータの異常等と判定する。故障状態によりシステムに与える重要度合いが異なるので、それぞれの故障状態に応じて判定以後のフェールセーフ制御を多様化することが可能になる。
【0053】
図8は、第2実施形態における圧力検出系の故障箇所の特定を行なう初期診断の動作フローチャートである。
【0054】
まず、初期診断が開始されると、ステップS32において、コンプレッサ3により、流体aである空気の供給経路を加圧する。次いで、ステップS34において、コンプレッサで消費される電力とコンプレッサの回転速度とコンプレッサのエネルギ変換効率から流体a(空気)の圧力Pa’(相対圧力)を推定し、流体bの圧力センサが検出する大気の圧力値によって、圧力Pa’(相対圧力)を補正して圧力Pa(絶対圧力)を求める。ここで、流体bとしての水素は、未だ供給を開始されていないので、水素供給通路の圧力は、大気圧となっている。
【0055】
次いでステップS36で、流体a.b 間の差圧センサにより差圧値DPabを検出する。次いで、ステップS38で、Pa、Pb、DPabに基づいて、(2)式により誤差αを算出し、ステップS40で誤差αが所定範囲内か否かを判定する。
【0056】
ステップS40の判定がNo、即ち誤差αが所定範囲外であれば、ステップS42へ移り、流体aを供給する空気供給経路の圧力を推定する圧力検出手段は故障状態であることを記憶して、ステップS44へ移る。
【0057】
ステップS40の判定がYes、即ち誤差αが所定範囲内(許容内)であれば、ステップS44へ移り、空気供給経路の圧力を保持する。
【0058】
次いで、ステップS46で、水素圧力調整弁を開いて水素ガスを流体b供給経路7を加圧し、ステップS48で流体b(水素)圧力センサ10の圧力値を読み込む。ステップS50で、再度、流体a.b 間の差圧センサにより差圧値DPabを検出する。ステップS52で、Pa、Pb、DPabに基づいて、(2)式により誤差αを算出し、ステップS54で誤差αが所定範囲内か否かを判定する。
【0059】
ステップS54の判定で、誤差αが所定範囲内(許容内)であれば、ステップS56へ移り流体bの供給経路の圧力検出系は正常であるとして終了する。ステップS54の判定で、誤差αが所定範囲外であれば、ステップS58へ移り、流体bの供給経路の圧力検出系は故障状態であるとして終了する。
【0060】
尚、本実施形態においては、停止時も起動時の場合と同様に、供給径路を一つずつ減圧しながら圧力値の変化分を比較することで故障判定ができる。不整合となる圧力値が1箇所であれば、その流体の供給経路圧力値に誤りがある状態であり、不整合となる供給経路の圧力値が2箇所ある場合においては、これら流体の供給経路の差圧値に誤りがある状態である。それぞれの流体の供給経路ごとに上記診断方法を行なうことで、圧力値の相関が保てず不整合となる組み合わせを分析することにより故障箇所を特定することができる。
【0061】
以上説明した本実施形態によれば、燃料電池システムの起動直後や停止直前の発電を行わない時に、各流体の供給経路を順番に加圧することで、各流体の供給経路の圧力を検出または推定する圧力検出手段または流体供給経路間の圧力差を検出する圧力差検出手段のいずれが故障しているかを診断し、故障箇所の特定が可能になる。
【0062】
〔第3実施形態〕
図9は、本発明に係る燃料電池システムの第3実施形態を説明したシステム構成図、図10は第3実施形態における圧力の相関図である。
【0063】
図9において、燃料電池スタック1に供給する流体a(空気)と流体b(水素)と流体c(冷却水)における圧力検出系の診断方法の構成を示しており、第3実施形態の燃料電池システムにおける圧力センサの診断方法を図10と合わせて説明する。
【0064】
第3実施形態の場合、供給流体aである空気の圧力は第1実施形態と同様にコンプレッサで消費される電力から推定する。供給流体cである冷却水においても、供給流体aのコンプレッサの代わりに供給流体cではポンプを使用する点だけが異なり、図5及び図6に示すような特性の係数が異なるだけで同じように供給圧力値を推定でき、Pa、Pcを求めることができる。
【0065】
更に流体aとbの圧力差DPabと、流体bとcの圧力差DPbcを得ることで、以下の(3)式における誤差βを評価することで故障検出することができる。
【0066】
【数2】
Pa+DPab+DPbc=Pc+β …(3)
ここで、Pa[kPa] :流体aの圧力検出値または圧力推定値
Pc[kPa] :流体cの圧力検出値または圧力推定値
DPab[kPa]:流体aとbの圧力差検出値(差圧値)
DPbc[kPa]:流体bとcの圧力差検出値(差圧値)
β[kPa] :誤差
全ての圧力値(検出値、及び推定値)に問題がなければ、誤差βが所定範囲内となる。何れかの圧力値が誤っていれば、誤差βが所定範囲外となり、どこか一箇所の圧力センサまたは圧力推定手段が故障状態であることを判断できる。誤差βが正常か異常かを判定する所定範囲は、第1実施形態と同様に、各圧力センサの特性または圧力推定方法の入力誤差及び推定方法の特性に基づいて、流体aの圧力値Pa[kPa] の許容誤差(公差)と、流体cの圧力値Pc[kPa] の許容誤差と、差圧値DPab[kPa] の許容誤差と、差圧値DPac[kPa] の許容誤差と、から予め算出して決定されているものとする。
【0067】
ところで第3実施形態では、流体bの圧力Pb[kPa] を求めるのに、次の(4)、(5)式を使うことを特徴にしており、通常制御においてはこのPbの値により圧力制御を行なっている。
【0068】
【数3】
Pb=Pa+DPab …(4)
Pb=Pc−DPbc …(5)
故障検出の方法は第1実施形態と同様であり、上記(3)式のβが所定範囲を逸脱した場合に故障と判断する。また故障箇所を特定する診断方法についても、第2実施形態と同様に、燃料電池システムの起動直後の発電を行わない時に、各流体の供給経路を順番に加圧することで、各流体の供給経路の圧力を検出または推定する圧力検出手段または流体供給経路間の圧力差を検出する圧力差検出手段のいずれが故障しているか故障箇所の特定が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る燃料電池システムの第1実施形態を説明するシステム構成図である。
【図2】第1実施形態における圧力の相関図である。
【図3】従来の燃料電池システムのシステム構成図である。
【図4】従来の構成における圧力の相関図である。
【図5】供給経路aの過給圧と消費電流の特性図である。
【図6】大気圧力を推定するために用いる供給経路aにおけるコンプレッサ一定回転速度での消費電流と大気圧との特性図である。
【図7】第1実施形態における通常運転時の検査手順を説明するフローチャートである。
【図8】第2実施形態における故障箇所を特定する初期診断の手順を説明するフローチャートである。
【図9】本発明に係る燃料電池システムの第3実施形態を説明するシステム構成図である。
【図10】第3実施形態における圧力の相関図である。
【符号の説明】
1…燃料電池スタック
2…制御用コンピュータ
3…コンプレッサ
4…モータ
5…流体a(空気)供給経路
6…流体a排出経路
7…流体b(水素)供給経路
8…流体b排出経路
9…電力出力回路
10…流体b圧力センサ
11…流体a推定圧力
12…流体a−b間差圧センサ
13…制御用ハーネス
14…流体a圧力調整バルブ
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池システムに係り、特に、燃料ガス、酸化剤ガス、冷却媒体、加湿用純水等の燃料電池スタックに供給される流体の圧力検出手段の故障検出を改善した燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、水素ガスなどの燃料ガスと酸素を有する酸化ガスとを電解質を介して電気化学的に反応させ、電解質両面に設けた電極間から電気エネルギを直接取り出すものである。特に固体高分子電解質を用いた固体高分子型燃料電池は、動作温度が低く、取り扱いが容易なことから電動車両用の電源として注目されている。すなわち、燃料電池車両は、高圧水素タンク、液体水素タンク、水素吸蔵合金タンクなどの水素貯蔵装置を車両に搭載し、そこから供給される水素と、酸素を含む空気とを燃料電池に送り込んで反応させ、燃料電池から取り出した電気エネルギで駆動輪につながるモータを駆動するものであり、排出物質は水だけであるという究極のクリーン車両である。
【0003】
車両用等の負荷が変動する燃料電池の用途において、運転状態に応じて燃料電池に供給する燃料ガス及び酸化剤ガスの圧力流量を最適に制御すると、酸化剤ガスを供給するポンプやコンプレッサ等の消費電力を削減し、燃料電池の燃費性能を向上させることができる。
【0004】
このため、一般に燃料ガスや酸化剤ガスの圧力を検出する圧力センサをガス供給系に設け、これらセンサ類の検出値が目標値となるように制御している。このような圧力センサ類の故障診断に関する従来技術としては、例えば特許文献1記載の技術が知られている。
【0005】
特許文献1によると、燃料電池システムの供給流体のバルブ気密性等を検出するために圧力センサと複数のバルブを用いて行なうことが示されている。バルブを複数使うことにより所望の圧力に変動する部屋を作り、この圧力変動を圧力センサで検出することで初期診断を行なってから、その次に各バルブの漏れ状態の有無等の診断を行なっている。この方法では通常運転中の圧力センサの故障診断ができなく、また圧力変動を作り出すために診断用のバルブを増やす必要があった。
【0006】
ところで燃料電池システムに供給する流体の圧力制御には、燃料電池スタックの故障を回避するために高精度の圧力制御が要求されている。今までの方法は、通常運転時に圧力センサの故障を検出するために、一つの圧力測定ポイントに複数の圧力センサを設置する冗長構成とし、各圧力センサで検出された圧力値の差が規定範囲を逸脱すると圧力センサの故障と判断するしていた。
【0007】
ところがこの方法では、制御で使用する圧力センサの他に故障検出用の圧力センサを別途設置する必要があり、これらの故障検出用圧力センサのために配線を増やしたり制御用コンピュータを大型化したりする等多くの対応が必要になることから、結果的に燃料電池システムのコストを引き上げていた。
【0008】
特許文献1を含めて今迄の方法では、故障検出または診断用として、通常の圧力制御用以外の部品を多数設けなければならず、部品点数が増加することによって故障要因を増加させてしまう懸念もあった。
【0009】
【特許文献1】
特開平9−22711号公報(第4頁、図1)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術においては、圧力値制御用のためのバルブや制御用の圧力センサ以外に、診断用のバルブや故障検出用又は診断用の圧力センサ等、多くの部品が必要になっていた。
【0011】
これらは、すなわち診断用のシステムを流体の圧力流量制御用とは別に用意しなければならないことであり、部品点数や構成要素の数が増大して、故に故障要因が増えることで故障率が増加するという問題点があった。
【0012】
また、診断用圧力センサ等の診断専用のシステムを付帯しなければならないことで、燃料電池システム全体のコストを引き上げるという問題点もあった。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記問題点を解決するため、燃料ガス、酸化剤ガス、冷却媒体及び加湿用純水の内から少なくとも2種類の流体を燃料電池スタックに供給する経路を有する燃料電池システムにおいて、前記複数種類の流体の内の第1の流体の圧力値を検出または推定して出力する第1圧力検出手段と、前記複数種類の流体の内の第2の流体の圧力値を検出または推定して出力する第2圧力検出手段と、第1の流体の圧力に対する第2の流体の圧力である圧力差を検出する圧力差検出手段とを備えて成り、前記第1圧力検出手段の出力値に前記圧力差検出手段の検出値を加算した値と、前記第2圧力検出手段の出力値との比較結果に基づいて、第1圧力検出手段及び第2圧力検出手段及び前記圧力差検出手段の故障検出を行うことを要旨とする。
【0014】
【発明の効果】
本発明によれば、第1圧力検出手段の出力値に圧力差検出手段の検出値を加算した値と、第2圧力検出手段の出力値とを比較し、両者の差が所定範囲を超えた場合、第1圧力検出手段または第2圧力検出手段または圧力差検出手段の何れかが故障したと判断できるので、各圧力検出手段を二重化することなく圧力検出手段の故障を検出することができるという効果がある。
【0015】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態〕
次に、図1乃至図7を参照して、本発明に係る燃料電池システムの第1実施形態を詳細に説明する。
【0016】
図1は、第1実施形態の燃料電池システムを説明するシステム構成図、図2は、第1実施形態における圧力の相関図、図3は、比較対照としての従来の燃料電池システムのシステム構成図、図4は、従来例における圧力の相関図、図5は、本実施形態における供給経路aの過給圧と消費電流の特性図、図6は、大気圧力を推定するために用いる供給経路aにおけるコンプレッサ一定回転速度での消費電流と大気圧との特性図、図7は、本実施形態における通常の診断手順を表したフローチャートである。
【0017】
図1のシステム構成図において、燃料電池システムは、発電を行なう燃料電池スタック1と、圧力センサ及び圧力推定手段の故障検出及び診断を含めたシステム全体の制御を行なう制御用コンピュータ2と、流体aである空気を加圧して燃料電池スタック1に供給する流体機械であるコンプレッサ3と、コンプレッサ3を駆動するモータ4と、流体aをコンプレッサ3に導く供給経路5と、同排出する経路6と、流体bである水素の供給経路7と、同排出経路8と、燃料電池スタック1からの電力取り出し回路9と、流体bの圧力検出手段としての圧力センサ10と、流体aの圧力推定値11と、流体aと流体bとの圧力差(差圧値)を検出する差圧センサ12と、制御用ハーネス13と、燃料電池スタック1へ供給する流体aの圧力を調整する圧力調整バルブ14と、を備えて構成されている。
【0018】
尚、図示しないが水素の供給経路7には、例えば、高圧水素タンクと圧力調整弁が接続され、制御用コンピュータ2から圧力調整弁を制御することにより、所望の圧力の水素ガスを供給経路7に供給することができるようになっている。
【0019】
第1実施形態においては、燃料電池スタック1に供給する流体の内から、第1流体として流体a(空気)、第2流体として流体b(水素)を例示している。
【0020】
そして、燃料電池システム1は、第1の流体である流体a(空気)の圧力を推定する第1圧力検出手段として制御用コンピュータ2、第2の流体である流体b(水素)の圧力を検出する第2圧力検出手段として圧力センサ10、第1の流体の圧力に対する第2の流体の圧力である差圧を検出する圧力差検出手段として差圧センサ12を備え、第1圧力検出手段の出力値に圧力差検出手段の検出値を加算した値と、第2圧力検出手段の出力値とを比較して、こられの故障検出を行うものである。
【0021】
尚、以下の説明では、第1圧力検出手段としての制御用コンピュータ2と、第2圧力検出手段としての圧力センサ10と、圧力差検出手段としての差圧センサ12を圧力検出系とも呼ぶ。
【0022】
次に、第1実施形態における圧力検出系の故障検出方法を、相関図である図2と、コンプレッサの過給特性を示す図5と、大気圧を推定するための特性を示す図6及び診断用の制御フローを示す図7を用いて説明する。比較対照として従来の燃料電池システムにおける圧力センサの故障検出方法を、図3と図4を用いて説明し、第1実施形態との違いを比較する。
【0023】
第1実施形態の場合、供給流体bである水素は、通常圧縮された状態で保存されている場合が多く、コンプレッサ等の流体機械による加圧の必要性がなく、レギュレータ等で減圧して使用することが殆どである。このため、この供給経路においては、流体機械の負荷等の基づいて圧力値を推定することが困難であり、真空からの圧力値(Pb[kPa]) を直接圧力センサ10にて検出している。
【0024】
本実施形態においては、モータによりコンプレッサやポンプ等の流体機械を運転して空気や冷却液を供給しているので、モータの消費電力値や電圧一定下での電流値を検出することでコンプレッサ等のエネルギ消費量を検出することができ、またコンプレッサ等の供給流体の流量制御で使用しているインバータの回転指令値のデータを検出することで、モータの回転速度を知ることができる。
【0025】
モータの回転速度が分かれば、モータとコンプレッサ等の間にある伝達装置の仕様により、コンプレッサ等の回転速度が分かるため、コンプレッサ等の流体の吐出量を知ることができる。燃料電池へ供給される流体の吐出量とエネルギ変換量が分かると、実験等から任意の回転速度における圧力と消費電流の関係式や、気体の状態方程式等の演算により、間接的に燃料電池スタックに供給される流体の圧力値を推定することができる。
【0026】
供給流体aである空気の経路は、コンプレッサとモータを用いて過給することを前提にしている。コンプレッサの駆動に消費される電気エネルギとコンプレッサの回転速度、コンプレッサのエネルギ変換効率から、コンプレッサが出力する推定圧力値(Pa‘[kPa]) が得られる。この過給圧力と、コンプレッサ駆動用モータの供給電圧一定における消費電流値には図5に示すような関係がある。この特性の関係式から消費される電流値によって過給される圧力値の推定ができる。
【0027】
実際には、モータの回転速度によって、消費電流と過給圧力が異なるので、図6に示すような回転速度と消費電流とに基づいて過給圧力を求めるマップを予め記憶しておき、これを検索して過給圧を求める。これにより、空気供給経路に圧力センサを設けることなく、燃料電池スタックに供給される空気の圧力を推定することができる。
【0028】
しかし、過給圧が同じであっても、過給される前の大気圧によってコンプレッサが出力する過給圧が異なるので、車両用等、高地へ移動可能な燃料電池システムでは、大気圧を知る必要がある。
【0029】
ところで減圧する時の状況すなわち圧力損失が分かれば、その反対に過給される時の状況が分かるので、この方法により圧力値の推定ができる。
【0030】
そこで流体aである空気の圧力損失要因である燃料電池スタック1の圧力損失を、圧力調整バルブ14を全開にすることで圧力損失を一定にし、更にアイドリング等で燃料電池スタック1の発電状態を一定の状態にすることで、空気の供給経路全体の圧力損失を一定の状態にできる。
【0031】
燃料電池の起動から停止までの一連の運転状態において、起動直後、停止直前及びアイドリングストップ直前等においては発電の必要性が少なく、供給経路のバルブ開度状態を任意に設定できる。このためバルブ開度を制御して圧力損失を一定の状態にすることが可能になり、正確に大気圧の推定ができるようになる。
【0032】
即ち、圧力損失を一定の状態にしてコンプレッサ3を一定回転で運転にすることによって、大気圧に応じたコンプレッサの消費電流を検出し、消費電流と大気圧との関係から大気圧の推定ができる。Pa’に、この大気圧の推定から得られた所定の係数を掛けて相対圧力Pa’ を絶対圧力Paに変換する。
【0033】
こうして、圧力推定値または圧力検出値に、大気圧に対する相対圧力と絶対圧力とが混在していても、PaとPbとの基準圧を揃えることで相互の圧力値の比較による故障検出や診断が可能になる。
【0034】
尚、通常制御における燃料電池スタックに供給される流体の圧力制御はこのPaとPbを使用することにより、それぞれの流体の供給経路における圧力管理を実現している。
【0035】
第1実施形態においては、真空からの絶対圧を基準にして各圧力値を考慮している。流体aの圧力検出値または圧力推定値と、流体bの圧力検出値または圧力推定値と、流体aと流体bの圧力差を測る差圧センサからの差圧値との三者の関係を示すと以下の(1)式となり、(1)式から(2)式が導かれる。
【0036】
【数1】
Pa+DPab=Pb+α …(1)
α=Pa+DPab−Pb …(2)
ここで、Pa[kPa] :流体aの圧力検出値または圧力推定値
Pb[kPa] :流体bの圧力検出値または圧力推定値
DPab[kPa]:流体aの圧力に対する流体bの圧力(差圧値)
α[kPa] :誤差
(1)式の関係を表したのが図2であり、PaとDPabを加算したものがPbに相当することが示されている。
【0037】
また、(1)、(2)式中の誤差αが所定範囲内であれば、システム全体で整合が取れて、圧力検出系には故障が無く通常運転可能と判断できる。一方、誤差αが所定範囲を逸脱している時は、PaまたはPbまたはDPabのいずれかの圧力値に誤りがあり、その圧力値を検出または推定している圧力検出手段又は差圧センサが故障していると判断できる。
【0038】
この誤差αが正常か異常かを判定するための所定範囲は、各圧力センサの特性または圧力推定方法の入力誤差及び推定方法の特性に基づいて、流体aの圧力値Pa[kPa]の許容誤差(公差)と、流体bの圧力値Pb[kPa]の許容誤差と、差圧値DPab[kPa]の許容誤差とから予め算出して決定されているものとする。
【0039】
ところで、従来の圧力センサを二重化したシステム構成における圧力センサの故障検出を行なう場合には、図3の様に制御用圧力センサと同じ場所に診断用圧力センサを設けている。そして、流体b圧力センサ10の検出値と同診断用圧力センサ11の検出値、流体a圧力センサ12の検出値と同診断用圧力センサ13の検出値、をそれぞれ直接比較して故障診断を行っており、この状態を示したのが図4の相関図になる。
【0040】
従来の方法では制御用の圧力センサの他に診断専用の圧力センサを追加することになり、診断専用の部品点数が増えることで故障要因も増え、そのことでシステム全体を複雑に高価にしていた。
【0041】
次に、図7のフローチャートを参照して、本実施形態における通常運転時の故障検出のための診断動作について説明する。
【0042】
まず、通常運転時の診断が開始されると、ステップS12において、コンプレッサで消費される電力とコンプレッサの回転速度とコンプレッサのエネルギ変換効率から流体a(空気)の圧力Pa’(相対圧力)を推定する。次いで、ステップS14で大気圧の推定と、推定した大気圧によって、圧力Pa’(相対圧力)を補正して圧力Pa(絶対圧力)を求める。この大気圧の推定には、車両のアイドリング時等、燃料電池スタックの発電状態を一定にすることにより、空気の供給経路全体の圧力損失を一定の状態にして、コンプレッサを一定回転速度で回転させ、そのときのコンプレッサの消費電力から大気圧を推定する。車両の状態がアイドリング時でなければ、予め記憶した前回の大気圧推定値を用いる。
【0043】
次いでステップS16で、流体b(水素)の圧力センサによりPb(絶対圧力)を検出し、ステップS18で流体a.b 間の差圧センサにより差圧値DPabを検出する。
【0044】
次いで、ステップS20で、Pa、Pb、DPabに基づいて、(2)式により誤差αを算出し、ステップS22で誤差αが所定範囲内か否かを判定する。ステップS22の判定で、誤差αが所定範囲内(許容内)であれば、ステップS24へ移り圧力検出系は正常であるとして終了する。ステップS22の判定で、誤差αが所定範囲外であれば、ステップS26へ移り、圧力検出系は故障状態であるとして終了する。
【0045】
以上説明した本実施形態によれば、燃料電池スタックに供給される第1、第2流体の圧力検出をそれぞれ二重化することなく、各流体の圧力を検出または推定する圧力検出手段の故障を検出することができるという効果がある。
【0046】
〔第2実施形態〕
第2実施形態の構成は、図1に示した第1実施形態と同じである。第2実施形態では、特に流体の供給経路毎の圧力値を診断して、各流体の圧力値を検出または推定する圧力検出手段や圧力差検出手段の何れが故障しているかの特定を行なう診断機能を有することが第2実施形態の特徴である。
【0047】
本実施形態では、燃料電池起動直後の発電要求のないタイミングに各流体の供給経路毎に圧力値の異常を検出することにより、燃料電池システムの圧力検出系の故障箇所の特定ができるようになる。
【0048】
その際に、供給経路bの水素の診断は最後に実施して圧力を大気に開放する等で減圧することなく、そのまま通常の運転制御や、通常の故障診断に移行できるようにしている。これにより燃料である水素を無駄に捨てることなく、燃料電池の起動時診断が可能となり、燃料電池の燃費性能を向上させることができる。
【0049】
第2実施形態の場合、起動直後に最初に水素の経路はそのまま低圧の状態で一定の状態にしておき、最初に空気の経路だけを圧力調整バルブ14を所定の開度に閉じることで空気を加圧することによって、空気の圧力値変化分と水素と空気の差圧値の変化分とを比較し、先ずはこの段階で空気の供給経路の故障診断を実施し良否判定を行なう。
【0050】
この後判定の結果に関わらず判定結果だけ記録し、燃料電池スタックとコンプレッサ等空気の供給経路の運転状態を一定にしたまま、空気の圧力を保持する。次に水素の供給回路の加圧を行い、水素の圧力値変化分と水素と空気の差圧値の変化分とを比較し、空気の経路同様に水素の経路でも同様に故障診断を行なうことで良否判定を行なう。
【0051】
二回の良否判定で、双方の診断とも問題なければ故障の無い状態であり、このまま通常運転及び、通常圧力診断に移行する。空気経路だけの失陥状態であると判定された時は空気経路の圧力を推定する手段の故障状態であり、水素経路だけの失陥であると判定された時は水素経路の圧力検出手段の故障状態である。
【0052】
双方の診断にも問題がある場合には、差圧値を検出する圧力差検出手段か、制御コンピュータの異常等と判定する。故障状態によりシステムに与える重要度合いが異なるので、それぞれの故障状態に応じて判定以後のフェールセーフ制御を多様化することが可能になる。
【0053】
図8は、第2実施形態における圧力検出系の故障箇所の特定を行なう初期診断の動作フローチャートである。
【0054】
まず、初期診断が開始されると、ステップS32において、コンプレッサ3により、流体aである空気の供給経路を加圧する。次いで、ステップS34において、コンプレッサで消費される電力とコンプレッサの回転速度とコンプレッサのエネルギ変換効率から流体a(空気)の圧力Pa’(相対圧力)を推定し、流体bの圧力センサが検出する大気の圧力値によって、圧力Pa’(相対圧力)を補正して圧力Pa(絶対圧力)を求める。ここで、流体bとしての水素は、未だ供給を開始されていないので、水素供給通路の圧力は、大気圧となっている。
【0055】
次いでステップS36で、流体a.b 間の差圧センサにより差圧値DPabを検出する。次いで、ステップS38で、Pa、Pb、DPabに基づいて、(2)式により誤差αを算出し、ステップS40で誤差αが所定範囲内か否かを判定する。
【0056】
ステップS40の判定がNo、即ち誤差αが所定範囲外であれば、ステップS42へ移り、流体aを供給する空気供給経路の圧力を推定する圧力検出手段は故障状態であることを記憶して、ステップS44へ移る。
【0057】
ステップS40の判定がYes、即ち誤差αが所定範囲内(許容内)であれば、ステップS44へ移り、空気供給経路の圧力を保持する。
【0058】
次いで、ステップS46で、水素圧力調整弁を開いて水素ガスを流体b供給経路7を加圧し、ステップS48で流体b(水素)圧力センサ10の圧力値を読み込む。ステップS50で、再度、流体a.b 間の差圧センサにより差圧値DPabを検出する。ステップS52で、Pa、Pb、DPabに基づいて、(2)式により誤差αを算出し、ステップS54で誤差αが所定範囲内か否かを判定する。
【0059】
ステップS54の判定で、誤差αが所定範囲内(許容内)であれば、ステップS56へ移り流体bの供給経路の圧力検出系は正常であるとして終了する。ステップS54の判定で、誤差αが所定範囲外であれば、ステップS58へ移り、流体bの供給経路の圧力検出系は故障状態であるとして終了する。
【0060】
尚、本実施形態においては、停止時も起動時の場合と同様に、供給径路を一つずつ減圧しながら圧力値の変化分を比較することで故障判定ができる。不整合となる圧力値が1箇所であれば、その流体の供給経路圧力値に誤りがある状態であり、不整合となる供給経路の圧力値が2箇所ある場合においては、これら流体の供給経路の差圧値に誤りがある状態である。それぞれの流体の供給経路ごとに上記診断方法を行なうことで、圧力値の相関が保てず不整合となる組み合わせを分析することにより故障箇所を特定することができる。
【0061】
以上説明した本実施形態によれば、燃料電池システムの起動直後や停止直前の発電を行わない時に、各流体の供給経路を順番に加圧することで、各流体の供給経路の圧力を検出または推定する圧力検出手段または流体供給経路間の圧力差を検出する圧力差検出手段のいずれが故障しているかを診断し、故障箇所の特定が可能になる。
【0062】
〔第3実施形態〕
図9は、本発明に係る燃料電池システムの第3実施形態を説明したシステム構成図、図10は第3実施形態における圧力の相関図である。
【0063】
図9において、燃料電池スタック1に供給する流体a(空気)と流体b(水素)と流体c(冷却水)における圧力検出系の診断方法の構成を示しており、第3実施形態の燃料電池システムにおける圧力センサの診断方法を図10と合わせて説明する。
【0064】
第3実施形態の場合、供給流体aである空気の圧力は第1実施形態と同様にコンプレッサで消費される電力から推定する。供給流体cである冷却水においても、供給流体aのコンプレッサの代わりに供給流体cではポンプを使用する点だけが異なり、図5及び図6に示すような特性の係数が異なるだけで同じように供給圧力値を推定でき、Pa、Pcを求めることができる。
【0065】
更に流体aとbの圧力差DPabと、流体bとcの圧力差DPbcを得ることで、以下の(3)式における誤差βを評価することで故障検出することができる。
【0066】
【数2】
Pa+DPab+DPbc=Pc+β …(3)
ここで、Pa[kPa] :流体aの圧力検出値または圧力推定値
Pc[kPa] :流体cの圧力検出値または圧力推定値
DPab[kPa]:流体aとbの圧力差検出値(差圧値)
DPbc[kPa]:流体bとcの圧力差検出値(差圧値)
β[kPa] :誤差
全ての圧力値(検出値、及び推定値)に問題がなければ、誤差βが所定範囲内となる。何れかの圧力値が誤っていれば、誤差βが所定範囲外となり、どこか一箇所の圧力センサまたは圧力推定手段が故障状態であることを判断できる。誤差βが正常か異常かを判定する所定範囲は、第1実施形態と同様に、各圧力センサの特性または圧力推定方法の入力誤差及び推定方法の特性に基づいて、流体aの圧力値Pa[kPa] の許容誤差(公差)と、流体cの圧力値Pc[kPa] の許容誤差と、差圧値DPab[kPa] の許容誤差と、差圧値DPac[kPa] の許容誤差と、から予め算出して決定されているものとする。
【0067】
ところで第3実施形態では、流体bの圧力Pb[kPa] を求めるのに、次の(4)、(5)式を使うことを特徴にしており、通常制御においてはこのPbの値により圧力制御を行なっている。
【0068】
【数3】
Pb=Pa+DPab …(4)
Pb=Pc−DPbc …(5)
故障検出の方法は第1実施形態と同様であり、上記(3)式のβが所定範囲を逸脱した場合に故障と判断する。また故障箇所を特定する診断方法についても、第2実施形態と同様に、燃料電池システムの起動直後の発電を行わない時に、各流体の供給経路を順番に加圧することで、各流体の供給経路の圧力を検出または推定する圧力検出手段または流体供給経路間の圧力差を検出する圧力差検出手段のいずれが故障しているか故障箇所の特定が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る燃料電池システムの第1実施形態を説明するシステム構成図である。
【図2】第1実施形態における圧力の相関図である。
【図3】従来の燃料電池システムのシステム構成図である。
【図4】従来の構成における圧力の相関図である。
【図5】供給経路aの過給圧と消費電流の特性図である。
【図6】大気圧力を推定するために用いる供給経路aにおけるコンプレッサ一定回転速度での消費電流と大気圧との特性図である。
【図7】第1実施形態における通常運転時の検査手順を説明するフローチャートである。
【図8】第2実施形態における故障箇所を特定する初期診断の手順を説明するフローチャートである。
【図9】本発明に係る燃料電池システムの第3実施形態を説明するシステム構成図である。
【図10】第3実施形態における圧力の相関図である。
【符号の説明】
1…燃料電池スタック
2…制御用コンピュータ
3…コンプレッサ
4…モータ
5…流体a(空気)供給経路
6…流体a排出経路
7…流体b(水素)供給経路
8…流体b排出経路
9…電力出力回路
10…流体b圧力センサ
11…流体a推定圧力
12…流体a−b間差圧センサ
13…制御用ハーネス
14…流体a圧力調整バルブ
Claims (7)
- 燃料ガス、酸化剤ガス、冷却媒体及び加湿用純水の内から少なくとも2種類の流体を燃料電池スタックに供給する経路を有する燃料電池システムにおいて、
前記複数種類の流体の内の第1の流体の圧力値を検出または推定して出力する第1圧力検出手段と、
前記複数種類の流体の内の第2の流体の圧力値を検出または推定して出力する第2圧力検出手段と、
第1の流体の圧力に対する第2の流体の圧力である圧力差を検出する圧力差検出手段とを備えて成り、
前記第1圧力検出手段の出力値に前記圧力差検出手段の検出値を加算した値と、前記第2圧力検出手段の出力値との比較結果に基づいて、第1圧力検出手段及び第2圧力検出手段及び前記圧力差検出手段の故障検出を行うことを特徴とする燃料電池システム。 - 前記複数種類の流体の内の第3の流体の圧力値を検出または推定して出力する第3圧力検出手段と、
第1の流体の圧力に対する第3の流体の圧力である圧力差を検出する第2圧力差検出手段とを更に備え、
前記第1圧力検出手段の出力値に前記第2圧力差検出手段の検出値を加算した値と、前記第3圧力検出手段の出力値との比較結果に基づいて、第1圧力検出手段及び第3圧力検出手段及び前記第2圧力差検出手段の故障検出を行うことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。 - 前記第1または第2圧力検出手段は、
第1または第2の流体を燃料電池スタックに供給する流体機械を駆動するモータの消費電力または消費電流と、前記流体機械の回転速度と、流体機械系のエネルギ変換効率特性とに基づいて、前記圧力値を推定することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。 - 燃料電池スタックの圧力損失を一定な状態として、燃料電池スタックへ流体を供給する流体機械を運転し、該流体機械を駆動するモータの消費電力または消費電流と流体機械の回転速度とに基づいて大気圧を推定する大気圧推定手段を備えるとともに、
前記第1または第2圧力検出手段として、大気圧に対する圧力を検出または推定して出力する相対圧力検出手段と、絶対圧力を検出または推定して出力する絶対圧力検出手段とを混在して備え、
前記大気圧推定手段の推定値を用いて、相対圧力値と絶対圧力値との換算を行うことを特徴とする請求項1または請求項3に記載の燃料電池システム。 - 前記大気圧推定手段は、
燃料電池スタックの起動直後かまたは停止直前の発電を行なわない状態において、流体の供給経路の制御用各種バルブを所定の状態に固定し、流体の経路の圧力損失を一定にすることで大気圧の推定を行なうことを特徴とする請求項4に記載の燃料電池システム。 - 前記複数種類の流体の一つずつを、起動直後においては順番に加圧しながら、停止直前においては順番に減圧しながら、前記第1圧力検出手段の検出値の変化分と、前記圧力差検出手段の検出値の変化分と、前記第2圧力検出手段の検出値の変化分との比較結果に基づいて、前記第1圧力検出手段または前記第2圧力検出手段または前記圧力差検出手段の何れが故障しているかを診断することを特徴とする請求項5に記載の燃料電池システム。
- 起動直後に燃料ガスを燃料電池スタックに供給する経路を加圧した場合には、加圧後に減圧せずに、故障診断における基準圧として加圧状態を維持して診断を続けるか、または燃料ガスを最後に加圧して診断を行って、減圧のために燃料ガスを該供給経路から放出しないことを特徴とする請求項6に記載の燃料電池システム。
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