JP2004257925A - 材料試験機 - Google Patents
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Abstract
【課題】ビデオ式歪み測定手段を用いた材料試験で、試験片が前後方向に変動したときの伸び計測値への影響を取り除く。
【解決手段】試験片に取り付けられた標線21の近傍に所定の基準長を持つ基準スケール22を貼付する。試験片が前後方向に変動するとビデオカメラによって撮影される基準スケールの像の大きさが変化するから、その基準スケール22の像の大きさに基づいて上下2つの標線21の間の距離を補正することで試験片がビデオカメラの方向に近付いたり遠ざかったりする影響を取り除いた標線間距離を得て、正しい伸び量を計測する。
【選択図】 図3
【解決手段】試験片に取り付けられた標線21の近傍に所定の基準長を持つ基準スケール22を貼付する。試験片が前後方向に変動するとビデオカメラによって撮影される基準スケールの像の大きさが変化するから、その基準スケール22の像の大きさに基づいて上下2つの標線21の間の距離を補正することで試験片がビデオカメラの方向に近付いたり遠ざかったりする影響を取り除いた標線間距離を得て、正しい伸び量を計測する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はビデオ式歪み測定手段を有する材料試験機であって、試験機本体によって例えば引っ張り負荷を加えられることによって伸びていく試験片の伸びを、試験片に付けられた標線をビデオカメラによって撮影し、その標線の移動量から試験片の伸び量(歪み量)を測定する材料試験機に関する。また、本明細書でいう材料の歪み測定は、材料に対して負荷を加える方向を逆にして歪みを伸びとは反対のマイナス方向にとるだけで圧縮量の測定も可能なので、圧縮する方向の材料試験および圧縮量の測定をも含むものとする。
【0002】
【従来の技術】
ビデオ式伸び計は試験片を撮像した像に基づいて試験片につけられた標線間の距離を測定するものであるから撮像される倍率によって測定される標線間距離が変化してしまう。撮像倍率は、カメラの種類、使用するレンズおよびカメラと試験片間の距離が決まれば一定の値に確定されるが、カメラと試験片間の距離はさまざまな要因で変化しやすい。さまざまな要因の中でも、わずかでも曲がっていた試験片が力を負荷されるにしたがってまっすぐとなること、あるいは、かかる力の不均一性などにより、試験片がカメラに対して前後に移動することがもっとも大きく影響すると考えられる。
【0003】
図5を用いて試験片がビデオカメラの方向に前後した場合の誤差について説明する。位置Nが試験片の置かれるべき正しい位置であるとして、ここに上下2つの標線32が貼付された試験片31が位置している。試験片31の表面を撮影できる位置に試験片に対向してビデオカメラが配置され、そのカメラレンズ33によって標線32の像がビデオカメラ内のCCD撮像素子上に結像される。2つの標線間距離はLである。位置Nとカメラレンズ33との距離をA、カメラレンズ33とCCD素子34との距離をBとする。この状態で試験片31がビデオカメラから遠ざかる方向に距離dだけ変位して位置Fまで移動した場合について考える。なお、ビデオカメラは試験片が位置Nにあるときに焦点が合うように調整されているが、試験片が位置Fに移動してもビデオカメラの焦点深度の範囲内にあるものと考えて、ここでは像はボケないと考える。
【0004】
試験片31が位置NにあるときのCCD素子上に結ばれる標線間距離をLNとし、試験片31が位置FにあるときのCCD素子上に結ばれる標線間距離をLFとすると、
LN=L×B/A …(1)
LF=L×B/(A+d) …(2)
であるから、LF≠LNである。位置Nが正しい試験片の位置であって、カメラ倍率に相当する係数、すなわち、CCD素子上の長さを位置Nでの長さに変換する係数がGであるとすると、標線間距離Lは次のように求められる。
L=G×LN …(3)
ここで試験片31が位置Fに移動した場合に、この移動の効果を考慮しないで計算すると、式(3)のLNの代わりにLFを使うことになるから
L’=G×LF=L×A/(A+d) …(4)
と計算することになる。これはL’≠Lであって、正しくない値である。
【0005】
試験片の前後の変位による影響を取り除く方法の一例は特許文献1に記載されている。この文献では、カメラと試験片との間の距離変動を測定する変位計をカメラの位置に配置して、試験片の前後の変位量を測定し試験片の位置情報により伸び計測値を補正して標線間の伸びを正確に計測するようにしている。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−226884号公報(図1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の多くのビデオ式伸び計は試験片の前後方向の移動は小さいものと仮定してその誤差を無視して試験片の伸びを計測している。これでは伸び計側の精度が悪く精密な伸び量の計測ができない。
【0008】
また、特許文献1に記載された方法は、材料試験で行う試験片の伸び測定には本来必要のない変位計という別の装置を用いているので構造が複雑でありコストがかさむ。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、簡単な構成で試験片の前後方法の移動に伴う伸び計測値の変動を補正し、精度よく試験片の伸び量を計測できるビデオ式伸び計を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述した課題を解決するために、負荷を加えられる試験片につけられた標線を撮影するビデオカメラを有し、このビデオカメラによって撮影された標線の移動量から試験片の歪みを計測するビデオ式歪み測定手段を備えた材料試験機において、前記ビデオカメラによって撮影される試験片の表面に所定の大きさを有する基準スケールを貼付し、この基準スケールを前記ビデオカメラで撮影した像の大きさに基づいて試験片の歪み計測値を補正することを特徴とする。
【0011】
基準スケールは試験片の表面に貼付されるから試験片の前後方向の移動に追随しているので、この基準スケールの大きさの変化を基準にすれば試験片が前後したことによる標線間距離計測値の変動を補正することができる。ここで試験片の前後方向の移動とは、試験片とビデオカメラを結ぶ線の方向に移動すること、すなわち、試験片がビデオカメラに対して相対的に近付いたり遠ざかったりする移動のことを表している。これには試験片は移動せずビデオカメラが試験片方向に移動する場合も含んでいる。
【0012】
上述の基準スケールはビデオ式歪み測定手段に本来的に備わっている歪み測定のための標線によって兼ねることができる。こうすれば特別に基準スケールを貼付する必要がないので無駄な手間や誤差要因を含むことがない。
【0013】
さらに、上述の基準スケールは標線間距離の校正のために使用することができる。絶対値のわかっている基準スケールの長さを基準として標線間距離の計測値を補正し、より正確な伸び量を求めることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1は、試験片に対して引張負荷を与えて材料試験を行う試験機本体と、これに付属して試験片の伸びを測定するビデオ式伸び計の全体を横から見た概略図で示している。
【0015】
試験機本体1は試験片に引張負荷を加えて試験片を変形させ、そのとき試験片に加えられた試験力を計測する。一方、ビデオ式伸び計14は試験片表面に対向してその全体を撮影できる位置に配置され、試験片の表面に貼付された上下2つの標線を撮影することでそれぞれの位置を計測する。そして試験片に負荷が加えられて伸ばされていくときに撮影された標線の位置から上下2つの標線間の距離を演算し試験片の伸びを計測する。そして試験片に加えられた試験力と伸びとの関係を演算装置がグラフに描くなどするとともに試験片の材料としてのさまざまな特性値を計算し評価を行う。なお、制御器12は試験機本体1およびビデオ式伸び計14を制御したり計測値を取り込む機能を果たし、さらにはデータを記憶したり演算する装置であって、コンピュータおよび各種インターフェースによって構成されている。これらは機能ごとに分けて複数のユニットとして構成してもよい。
【0016】
試験機本体1およびビデオ式伸び計14の構成をさらに説明する。試験機本体1はロの字形に組み合わされて立設されたフレーム2の中に上下に駆動できるクロスヘッド3が渡されている。フレーム2の下部には試験片の一端を把持する下チャック4が上向きに取り付けられ、クロスヘッド3には試験片の他端を把持する上チャック5が試験力を計測するロードセル6を介して下向き取り付けられている。試験に適した形に切り出された試験片7はまっすぐにされた状態で上下のチャック5と4に把持されるようセットされる。試験片7の表面には下標線8と上標線9、および、基準スケール10が貼付される。例えば紙などでできたシート(標線シート)に棒形状または特定の形状をしたマークを描いておき、これを試験片表面に貼り付けることで標線8および9とする。この標線シートには標線の裏側にあたる部分に粘着剤が塗布されており、表側の標線マークが規格で決められた所定の位置になり、そして、上下2つの標線間の距離が規格で決められた距離となるように試験片に貼り付けられる。基準スケールについても、特定の形状をしたマークを描いたシート(基準スケールシート)を貼り付けることで基準スケール10とする。
【0017】
一方、試験片7の標線が貼付された面に対向してビデオカメラ11が試験機本体1のフレームに対して固定されるよう配置されている。ビデオカメラ11は試験片の表面にちょうど焦点が合うように焦点合わせが行われ、ビデオカメラ内部のCCD撮像素子上に上下の標線9と8の像が結ばれる。制御器12に含まれる画像処理機能により、CCD素子上に結ばれた2つの標線の位置が演算され、上下標線の像間の距離にカメラ倍率に相当する所定の係数Gをかけることで実際の試験片に貼られた2つの標線間の距離が計算される。ビデオカメラの視野13は上下の標線9と8を両方とも含み、試験片の伸ばされる方向に余裕を持って設定される。
【0018】
この状態で材料試験が始まると、制御器12からの指令によりクロスヘッド3がモータとねじ棹などの駆動機構によりフレーム2に対して上方(図1の矢印Uの方向)に変位して試験片7を伸ばす方向に引っ張るとともに、ロードセル6からの信号に基づいて試験片7に加えられた試験力が制御器12に刻々と取り込まれ記憶される。同時に、ビデオ式伸び計では、ビデオカメラ11内部のCCD撮像素子上に投影された両標線の位置から下標線8と上標線9との間の距離を演算し、その距離の変化量を試験片の伸びとして刻々と計測し記憶される。そして、試験片の伸び量に対する試験力を表すグラフなどが表示装置に描き出され、各種の演算が行われて試験された材料の評価が行われる。
【0019】
次に、試験片がビデオカメラに対して前後方向に変動した場合に、伸び計測値を補正する方法について説明する。
【0020】
最初に標線シートが貼付された試験片7が試験機本体1に取り付けられ、そのときのビデオカメラ11によって計測された標線間距離が上下2つの標線間距離の規格で決められた値(例えば50mm)であるとして記憶され、撮影された像から実際の距離を算出するための係数Gが計算され記憶される。図3(a)に例示するように試験片7には標線シートの他に基準スケールシートも貼付されている。これらは標線21あるいは基準スケール22を表すマークが描かれたシートであって、紙やその他の薄い材料からなるものである。試験実行の最初の段階で基準スケールも標線と同時に撮影されその像の大きさが基準長(例えば20mm)として記憶される。この基準長が基準となってその後における試験片の前後移動による変動を補正するためのデータとなる。
【0021】
試験片の前後移動効果の補正について図2を用いて説明する。下標線8と上標線9、さらに基準スケール10がビデオカメラによって撮影される。測定の最初の時点で基準スケールの基準長がKと記憶されたとする。図2(a)に補正前の計測値として示すように、試験片の伸びを計測しているある時点での基準長がK’と測定され、そのときの標線間の距離がL’と測定されたとする。これは試験片の前後方向の移動がないとしたときの計算値であるが、試験片が前後した場合に基準スケールの基準長の測定値の変動と標線間距離の測定値の変動は比例するので、図2(b)に示すように、試験片の前後方向の移動効果を補正した真の標線間距離Lは次のように計算される。
L=L’×K/K’ …(5)
ここで求めた真の標線間距離Lの値から試験片の真の伸び量を計算することができる。
【0022】
基準スケールの基準となる長さKはあらかじめ絶対値的に既知の大きさであることが望ましいが、必ずしも絶対値が正確にわかっている必要はない。なぜならば上記したように最初の設定のときに記憶された長さを基準として標線間の距離を補正するようにすればよいからである。
【0023】
また別の考え方として、次のような構成を採用することもできる。上述の説明では、試験を始める最初の設定のときに標線間距離が規格で決まった所定の値となるよう標線シールを試験片に貼付するとしたが、現実的には、例えば規格された所定の間隔となるよう精度よく上下の標線を試験片に貼付することは必ずしも容易ではない。この場合に、基準スケールの基準長を正確にわかっている既知の値とするか、基準長を別の測定器によってあらかじめ正確に測定してその値を記憶しておくかすれば、この基準スケールの基準長に基づいて試験片に貼付された標線間距離の正確な絶対値を計算すること、すなわち校正することも可能である。この値を元にして試験片に負荷した試験力に対する伸び量、または伸びた量の割合をより正確に測定することも可能である。
【0024】
すなわち、基準スケールの基準長が絶対値的に正しくK0であり、CCD撮像素子上で基準スケールの基準長がSと計測され、標線間距離がHと計測されたとすると、標線間距離の絶対値的に真の値L0は次のように計算される。
K0=G×S …(6)
L0=K0×H/S=G×H …(7)
ここでGはCCD撮像素子上で計測された距離を実際の試験片上の距離に換算する係数であって、G=K0/Sで定義される。上記の式(6)はこの定義式を変形した式である。上述の式(5)との関係で言うと、真の標線間距離Lは、式(5)においてKをK0で置き換え、L’=G×H’およびK’=G×S’として計算すればよいことになる。ここでH’はそのとき計測されたCCD素子上の標線間距離値であり、S’はそのとき計測されたCCD素子上の基準長値である。すなわち、試験片の前後方向の移動効果を補正した真の標線間距離Lは次式で表される。
L=L’×K0/K’=K0×H’/S’ …(8)
【0025】
基準スケールの試験片に対する貼り付け方は図3に示すように3つの方式があるが原理的にはどの方法でもよい。図3(a)は基準スケールを標線とは全く別のシートとして貼り付けるものである。標線21は1枚のシートに1つ描かれて上下の標線として2枚のシートを試験片7に貼付する。基準スケール22は標線とは別のシートに描かれて、これを標線21の近くに貼付する。基準スケールの貼付位置は特には限定されないが、どちらかの一方の標線の近くであって上下2つの標線の間ではない位置(チャックに近い位置)が望ましい。こうするとシートの貼付状態が試験片の伸長からはあまり影響されず、また影響を与えないからである。
【0026】
図3(b)は標線21を書いてあるシートにあらかじめ基準スケール22も書いておくもので、標線21と基準スケール22の試験片7への貼り付けを1回で済ますことができる。必然的に基準スケールは標線の近くに配置されるので好都合である。ただしこの場合、基準スケールの位置は上下2つの標線の間にはさまれる位置であってもかまわない。なぜならばこのシートは標線21の裏側の位置にある粘着剤によって試験片に貼られているので、基準スケール22がシートのどの位置に描かれていても試験片の伸びに影響されず、また影響を与えないからである。
【0027】
図3(c)は基準スケール兼標線23を描いたシートを試験片7に貼付し、基準スケールを標線と兼用するものであり、実質的に基準スケールを別体として貼付する必要がなく、また、従来の標線をそのまま基準スケールとして利用することもできるので最も手間が少ない。このとき上下2つの標線のうちどちらを基準スケールとして利用してもかまわない。
【0028】
図3では2つある標線のうち片方の標線の近くに1つの基準スケールを貼付した例を示したが、上下標線のそれぞれの近くに別々に基準スケールを貼付して別々に試験片前後効果の補正をするようにすれば試験片の前後方向の傾きにも対応してより正確な補正を行うことができる。この場合、上下の基準スケールからのデータを用いて補正されて得られた2つの伸び量の平均値を真の試験片伸び量とすることができる。
【0029】
図4に基準スケールの形状の例を示す。図4(a)は基準スケール22を単独のシートに描いたものである。図中の記号Kは基準長を表している。基準スケールの形状は長さの基準となり得るものならばどのような形状でも良いが、CCD素子を用いたビデオカメラで撮影した場合にCCD素子のピッチの間も補間して正確に求められるような形状が望ましい。たとえば基準となる位置が三角形の頂点となるような形状が望ましい。図4(b)は基準スケール22を標線21と同じ1つのシートに描いた例であり、また、基準スケールとして2つの三角形を並べた形を採用した例である。図4(c)と(d)は基準スケールを標線と兼ねるようにした基準スケール兼標線23を1つのシートに描いたものである。図4(c)のように棒状の標線の端から端までを基準長Kとしても良いが、図4(d)のようにひし形マークを複数個並べた形状の標線を基準スケールと兼ねるようにすれば基準長Kも精度よく求まる。基準スケールの形状は上述の例に限られずさまざまな形状が考えられ、例えば、離れた位置に描かれた2つの点や線でもよい。さらに基準長の配置方向は上述の例のように試験片を正面から見て横方向に配置すること限られず、縦方向に配置したり、斜め方向に配置することも可能である。
【0030】
ビデオカメラに内蔵されたCCD撮像素子によって撮影された基準スケールの映像から基準長を精度よく求める演算について説明する。CCD撮像素子は2次元的に所定のピッチで並んだ多数の画素から構成される。画素の並びのピッチは無限小ではない有限の値であるから、精度よく基準長を求めるためには画素間の補間演算が重要である。基準スケールが図3(b)に描かれたような2つの三角形である場合で説明する。基準長を精度よく求めるということは、CCD素子の画素の並びを基準としてXY座標軸をとったとすると、CCD素子上で三角形の頂点を表すXY座標を正確に求めるということと同じことである。
【0031】
基準スケールである三角形の頂点を求めるには例えば次のような画像処理を行う。まず撮影された三角形の濃淡像から輪郭を抽出する。その輪郭の2辺をそれぞれ直線で近似して、その2つの直線が交わる交点を三角形の頂点座標とする。2つの三角形が基準スケールを構成しているとして、各三角形のそれぞれの頂点座標が求まったら、その2点間の直線距離を演算して基準長とする。このような処理によってCCD素子のピッチよりも細かな値まで精度よく基準長を求めることができる。
【0032】
以上のような画像処理によって基準長を求めるためには基準スケールの外形形状が2つ以上の辺を持つ三角形または四角形であることが望ましい。このとき2つの辺の長さ方向とCCD素子の画素の並び方向が平行とならないように配置することが精度よく補間する上で望ましい。図4の(a)(b)(d)に例示したような形状はこの点から見て望ましい形状である。また、基準スケールの辺の長さ方向とCCD画素の並び方向が平行にならないようにするために、ビデオカメラを水平またはそれと直角に構えるのではなく、ビデオカメラ全体を水平から斜めに傾けて撮影することも有効である。
【0033】
上述の実施の形態では、ビデオ式伸び計のカメラは1台であるとして説明したが、上下の標線を別々の2台のビデオカメラを用いて撮像する構成や、さらには合計3台のビデオカメラを用いて、1台のビデオカメラで上下標線を両方とも撮影し、他の2台のカメラで上下の標線を別々に撮影する構成の伸び計でも本発明を適用できることは勿論である。また、引張試験のみならず、試験片の圧縮量を測定する圧縮試験についても本発明を適用できることは言うまでもない。
【0034】
【発明の効果】
本発明の材料試験機によれば、簡単な構成で試験片が前後方向に移動してもそれに対応して正確な試験片の歪み量を計測することができる。従来技術のように特別な試験片の前後方向移動を計測する変位計が不要なのでコストも少なく実現できる。基準スケールを標線と兼用すれば従来の試験手順と比較して手間もほとんどかからないにもかかわらずより正確な歪み計側をすることができる。
【0035】
また、本発明の材料試験機によれば、正確な基準長のわかっている基準スケールを用いて上下2つの標線間の距離を校正することが可能であり、試験片に対する標線の貼り方に多少の誤差があったとしても試験される材料の特性をより正確に計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験機本体とビデオ式伸び計の全体を表す概略図である。
【図2】試験片の前後方向移動による変動を補正することを説明する図である。
【図3】基準スケールの貼付方法を説明する図である。
【図4】基準スケールの例を説明する図である。
【図5】試験片が前後方向に移動したときの計測値の誤差を説明する図である。
【符号の説明】
1…試験機本体 2…フレーム
3…クロスヘッド 4…下チャック
5…上チャック 6…ロードセル
7…試験片 8…下標線
9…上標線 10…基準スケール
11…ビデオカメラ 12…制御器
13…視野 14…ビデオ式伸び計
21…標線 22…基準スケール
23…基準スケール兼標線
【発明の属する技術分野】
本発明はビデオ式歪み測定手段を有する材料試験機であって、試験機本体によって例えば引っ張り負荷を加えられることによって伸びていく試験片の伸びを、試験片に付けられた標線をビデオカメラによって撮影し、その標線の移動量から試験片の伸び量(歪み量)を測定する材料試験機に関する。また、本明細書でいう材料の歪み測定は、材料に対して負荷を加える方向を逆にして歪みを伸びとは反対のマイナス方向にとるだけで圧縮量の測定も可能なので、圧縮する方向の材料試験および圧縮量の測定をも含むものとする。
【0002】
【従来の技術】
ビデオ式伸び計は試験片を撮像した像に基づいて試験片につけられた標線間の距離を測定するものであるから撮像される倍率によって測定される標線間距離が変化してしまう。撮像倍率は、カメラの種類、使用するレンズおよびカメラと試験片間の距離が決まれば一定の値に確定されるが、カメラと試験片間の距離はさまざまな要因で変化しやすい。さまざまな要因の中でも、わずかでも曲がっていた試験片が力を負荷されるにしたがってまっすぐとなること、あるいは、かかる力の不均一性などにより、試験片がカメラに対して前後に移動することがもっとも大きく影響すると考えられる。
【0003】
図5を用いて試験片がビデオカメラの方向に前後した場合の誤差について説明する。位置Nが試験片の置かれるべき正しい位置であるとして、ここに上下2つの標線32が貼付された試験片31が位置している。試験片31の表面を撮影できる位置に試験片に対向してビデオカメラが配置され、そのカメラレンズ33によって標線32の像がビデオカメラ内のCCD撮像素子上に結像される。2つの標線間距離はLである。位置Nとカメラレンズ33との距離をA、カメラレンズ33とCCD素子34との距離をBとする。この状態で試験片31がビデオカメラから遠ざかる方向に距離dだけ変位して位置Fまで移動した場合について考える。なお、ビデオカメラは試験片が位置Nにあるときに焦点が合うように調整されているが、試験片が位置Fに移動してもビデオカメラの焦点深度の範囲内にあるものと考えて、ここでは像はボケないと考える。
【0004】
試験片31が位置NにあるときのCCD素子上に結ばれる標線間距離をLNとし、試験片31が位置FにあるときのCCD素子上に結ばれる標線間距離をLFとすると、
LN=L×B/A …(1)
LF=L×B/(A+d) …(2)
であるから、LF≠LNである。位置Nが正しい試験片の位置であって、カメラ倍率に相当する係数、すなわち、CCD素子上の長さを位置Nでの長さに変換する係数がGであるとすると、標線間距離Lは次のように求められる。
L=G×LN …(3)
ここで試験片31が位置Fに移動した場合に、この移動の効果を考慮しないで計算すると、式(3)のLNの代わりにLFを使うことになるから
L’=G×LF=L×A/(A+d) …(4)
と計算することになる。これはL’≠Lであって、正しくない値である。
【0005】
試験片の前後の変位による影響を取り除く方法の一例は特許文献1に記載されている。この文献では、カメラと試験片との間の距離変動を測定する変位計をカメラの位置に配置して、試験片の前後の変位量を測定し試験片の位置情報により伸び計測値を補正して標線間の伸びを正確に計測するようにしている。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−226884号公報(図1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の多くのビデオ式伸び計は試験片の前後方向の移動は小さいものと仮定してその誤差を無視して試験片の伸びを計測している。これでは伸び計側の精度が悪く精密な伸び量の計測ができない。
【0008】
また、特許文献1に記載された方法は、材料試験で行う試験片の伸び測定には本来必要のない変位計という別の装置を用いているので構造が複雑でありコストがかさむ。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、簡単な構成で試験片の前後方法の移動に伴う伸び計測値の変動を補正し、精度よく試験片の伸び量を計測できるビデオ式伸び計を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述した課題を解決するために、負荷を加えられる試験片につけられた標線を撮影するビデオカメラを有し、このビデオカメラによって撮影された標線の移動量から試験片の歪みを計測するビデオ式歪み測定手段を備えた材料試験機において、前記ビデオカメラによって撮影される試験片の表面に所定の大きさを有する基準スケールを貼付し、この基準スケールを前記ビデオカメラで撮影した像の大きさに基づいて試験片の歪み計測値を補正することを特徴とする。
【0011】
基準スケールは試験片の表面に貼付されるから試験片の前後方向の移動に追随しているので、この基準スケールの大きさの変化を基準にすれば試験片が前後したことによる標線間距離計測値の変動を補正することができる。ここで試験片の前後方向の移動とは、試験片とビデオカメラを結ぶ線の方向に移動すること、すなわち、試験片がビデオカメラに対して相対的に近付いたり遠ざかったりする移動のことを表している。これには試験片は移動せずビデオカメラが試験片方向に移動する場合も含んでいる。
【0012】
上述の基準スケールはビデオ式歪み測定手段に本来的に備わっている歪み測定のための標線によって兼ねることができる。こうすれば特別に基準スケールを貼付する必要がないので無駄な手間や誤差要因を含むことがない。
【0013】
さらに、上述の基準スケールは標線間距離の校正のために使用することができる。絶対値のわかっている基準スケールの長さを基準として標線間距離の計測値を補正し、より正確な伸び量を求めることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1は、試験片に対して引張負荷を与えて材料試験を行う試験機本体と、これに付属して試験片の伸びを測定するビデオ式伸び計の全体を横から見た概略図で示している。
【0015】
試験機本体1は試験片に引張負荷を加えて試験片を変形させ、そのとき試験片に加えられた試験力を計測する。一方、ビデオ式伸び計14は試験片表面に対向してその全体を撮影できる位置に配置され、試験片の表面に貼付された上下2つの標線を撮影することでそれぞれの位置を計測する。そして試験片に負荷が加えられて伸ばされていくときに撮影された標線の位置から上下2つの標線間の距離を演算し試験片の伸びを計測する。そして試験片に加えられた試験力と伸びとの関係を演算装置がグラフに描くなどするとともに試験片の材料としてのさまざまな特性値を計算し評価を行う。なお、制御器12は試験機本体1およびビデオ式伸び計14を制御したり計測値を取り込む機能を果たし、さらにはデータを記憶したり演算する装置であって、コンピュータおよび各種インターフェースによって構成されている。これらは機能ごとに分けて複数のユニットとして構成してもよい。
【0016】
試験機本体1およびビデオ式伸び計14の構成をさらに説明する。試験機本体1はロの字形に組み合わされて立設されたフレーム2の中に上下に駆動できるクロスヘッド3が渡されている。フレーム2の下部には試験片の一端を把持する下チャック4が上向きに取り付けられ、クロスヘッド3には試験片の他端を把持する上チャック5が試験力を計測するロードセル6を介して下向き取り付けられている。試験に適した形に切り出された試験片7はまっすぐにされた状態で上下のチャック5と4に把持されるようセットされる。試験片7の表面には下標線8と上標線9、および、基準スケール10が貼付される。例えば紙などでできたシート(標線シート)に棒形状または特定の形状をしたマークを描いておき、これを試験片表面に貼り付けることで標線8および9とする。この標線シートには標線の裏側にあたる部分に粘着剤が塗布されており、表側の標線マークが規格で決められた所定の位置になり、そして、上下2つの標線間の距離が規格で決められた距離となるように試験片に貼り付けられる。基準スケールについても、特定の形状をしたマークを描いたシート(基準スケールシート)を貼り付けることで基準スケール10とする。
【0017】
一方、試験片7の標線が貼付された面に対向してビデオカメラ11が試験機本体1のフレームに対して固定されるよう配置されている。ビデオカメラ11は試験片の表面にちょうど焦点が合うように焦点合わせが行われ、ビデオカメラ内部のCCD撮像素子上に上下の標線9と8の像が結ばれる。制御器12に含まれる画像処理機能により、CCD素子上に結ばれた2つの標線の位置が演算され、上下標線の像間の距離にカメラ倍率に相当する所定の係数Gをかけることで実際の試験片に貼られた2つの標線間の距離が計算される。ビデオカメラの視野13は上下の標線9と8を両方とも含み、試験片の伸ばされる方向に余裕を持って設定される。
【0018】
この状態で材料試験が始まると、制御器12からの指令によりクロスヘッド3がモータとねじ棹などの駆動機構によりフレーム2に対して上方(図1の矢印Uの方向)に変位して試験片7を伸ばす方向に引っ張るとともに、ロードセル6からの信号に基づいて試験片7に加えられた試験力が制御器12に刻々と取り込まれ記憶される。同時に、ビデオ式伸び計では、ビデオカメラ11内部のCCD撮像素子上に投影された両標線の位置から下標線8と上標線9との間の距離を演算し、その距離の変化量を試験片の伸びとして刻々と計測し記憶される。そして、試験片の伸び量に対する試験力を表すグラフなどが表示装置に描き出され、各種の演算が行われて試験された材料の評価が行われる。
【0019】
次に、試験片がビデオカメラに対して前後方向に変動した場合に、伸び計測値を補正する方法について説明する。
【0020】
最初に標線シートが貼付された試験片7が試験機本体1に取り付けられ、そのときのビデオカメラ11によって計測された標線間距離が上下2つの標線間距離の規格で決められた値(例えば50mm)であるとして記憶され、撮影された像から実際の距離を算出するための係数Gが計算され記憶される。図3(a)に例示するように試験片7には標線シートの他に基準スケールシートも貼付されている。これらは標線21あるいは基準スケール22を表すマークが描かれたシートであって、紙やその他の薄い材料からなるものである。試験実行の最初の段階で基準スケールも標線と同時に撮影されその像の大きさが基準長(例えば20mm)として記憶される。この基準長が基準となってその後における試験片の前後移動による変動を補正するためのデータとなる。
【0021】
試験片の前後移動効果の補正について図2を用いて説明する。下標線8と上標線9、さらに基準スケール10がビデオカメラによって撮影される。測定の最初の時点で基準スケールの基準長がKと記憶されたとする。図2(a)に補正前の計測値として示すように、試験片の伸びを計測しているある時点での基準長がK’と測定され、そのときの標線間の距離がL’と測定されたとする。これは試験片の前後方向の移動がないとしたときの計算値であるが、試験片が前後した場合に基準スケールの基準長の測定値の変動と標線間距離の測定値の変動は比例するので、図2(b)に示すように、試験片の前後方向の移動効果を補正した真の標線間距離Lは次のように計算される。
L=L’×K/K’ …(5)
ここで求めた真の標線間距離Lの値から試験片の真の伸び量を計算することができる。
【0022】
基準スケールの基準となる長さKはあらかじめ絶対値的に既知の大きさであることが望ましいが、必ずしも絶対値が正確にわかっている必要はない。なぜならば上記したように最初の設定のときに記憶された長さを基準として標線間の距離を補正するようにすればよいからである。
【0023】
また別の考え方として、次のような構成を採用することもできる。上述の説明では、試験を始める最初の設定のときに標線間距離が規格で決まった所定の値となるよう標線シールを試験片に貼付するとしたが、現実的には、例えば規格された所定の間隔となるよう精度よく上下の標線を試験片に貼付することは必ずしも容易ではない。この場合に、基準スケールの基準長を正確にわかっている既知の値とするか、基準長を別の測定器によってあらかじめ正確に測定してその値を記憶しておくかすれば、この基準スケールの基準長に基づいて試験片に貼付された標線間距離の正確な絶対値を計算すること、すなわち校正することも可能である。この値を元にして試験片に負荷した試験力に対する伸び量、または伸びた量の割合をより正確に測定することも可能である。
【0024】
すなわち、基準スケールの基準長が絶対値的に正しくK0であり、CCD撮像素子上で基準スケールの基準長がSと計測され、標線間距離がHと計測されたとすると、標線間距離の絶対値的に真の値L0は次のように計算される。
K0=G×S …(6)
L0=K0×H/S=G×H …(7)
ここでGはCCD撮像素子上で計測された距離を実際の試験片上の距離に換算する係数であって、G=K0/Sで定義される。上記の式(6)はこの定義式を変形した式である。上述の式(5)との関係で言うと、真の標線間距離Lは、式(5)においてKをK0で置き換え、L’=G×H’およびK’=G×S’として計算すればよいことになる。ここでH’はそのとき計測されたCCD素子上の標線間距離値であり、S’はそのとき計測されたCCD素子上の基準長値である。すなわち、試験片の前後方向の移動効果を補正した真の標線間距離Lは次式で表される。
L=L’×K0/K’=K0×H’/S’ …(8)
【0025】
基準スケールの試験片に対する貼り付け方は図3に示すように3つの方式があるが原理的にはどの方法でもよい。図3(a)は基準スケールを標線とは全く別のシートとして貼り付けるものである。標線21は1枚のシートに1つ描かれて上下の標線として2枚のシートを試験片7に貼付する。基準スケール22は標線とは別のシートに描かれて、これを標線21の近くに貼付する。基準スケールの貼付位置は特には限定されないが、どちらかの一方の標線の近くであって上下2つの標線の間ではない位置(チャックに近い位置)が望ましい。こうするとシートの貼付状態が試験片の伸長からはあまり影響されず、また影響を与えないからである。
【0026】
図3(b)は標線21を書いてあるシートにあらかじめ基準スケール22も書いておくもので、標線21と基準スケール22の試験片7への貼り付けを1回で済ますことができる。必然的に基準スケールは標線の近くに配置されるので好都合である。ただしこの場合、基準スケールの位置は上下2つの標線の間にはさまれる位置であってもかまわない。なぜならばこのシートは標線21の裏側の位置にある粘着剤によって試験片に貼られているので、基準スケール22がシートのどの位置に描かれていても試験片の伸びに影響されず、また影響を与えないからである。
【0027】
図3(c)は基準スケール兼標線23を描いたシートを試験片7に貼付し、基準スケールを標線と兼用するものであり、実質的に基準スケールを別体として貼付する必要がなく、また、従来の標線をそのまま基準スケールとして利用することもできるので最も手間が少ない。このとき上下2つの標線のうちどちらを基準スケールとして利用してもかまわない。
【0028】
図3では2つある標線のうち片方の標線の近くに1つの基準スケールを貼付した例を示したが、上下標線のそれぞれの近くに別々に基準スケールを貼付して別々に試験片前後効果の補正をするようにすれば試験片の前後方向の傾きにも対応してより正確な補正を行うことができる。この場合、上下の基準スケールからのデータを用いて補正されて得られた2つの伸び量の平均値を真の試験片伸び量とすることができる。
【0029】
図4に基準スケールの形状の例を示す。図4(a)は基準スケール22を単独のシートに描いたものである。図中の記号Kは基準長を表している。基準スケールの形状は長さの基準となり得るものならばどのような形状でも良いが、CCD素子を用いたビデオカメラで撮影した場合にCCD素子のピッチの間も補間して正確に求められるような形状が望ましい。たとえば基準となる位置が三角形の頂点となるような形状が望ましい。図4(b)は基準スケール22を標線21と同じ1つのシートに描いた例であり、また、基準スケールとして2つの三角形を並べた形を採用した例である。図4(c)と(d)は基準スケールを標線と兼ねるようにした基準スケール兼標線23を1つのシートに描いたものである。図4(c)のように棒状の標線の端から端までを基準長Kとしても良いが、図4(d)のようにひし形マークを複数個並べた形状の標線を基準スケールと兼ねるようにすれば基準長Kも精度よく求まる。基準スケールの形状は上述の例に限られずさまざまな形状が考えられ、例えば、離れた位置に描かれた2つの点や線でもよい。さらに基準長の配置方向は上述の例のように試験片を正面から見て横方向に配置すること限られず、縦方向に配置したり、斜め方向に配置することも可能である。
【0030】
ビデオカメラに内蔵されたCCD撮像素子によって撮影された基準スケールの映像から基準長を精度よく求める演算について説明する。CCD撮像素子は2次元的に所定のピッチで並んだ多数の画素から構成される。画素の並びのピッチは無限小ではない有限の値であるから、精度よく基準長を求めるためには画素間の補間演算が重要である。基準スケールが図3(b)に描かれたような2つの三角形である場合で説明する。基準長を精度よく求めるということは、CCD素子の画素の並びを基準としてXY座標軸をとったとすると、CCD素子上で三角形の頂点を表すXY座標を正確に求めるということと同じことである。
【0031】
基準スケールである三角形の頂点を求めるには例えば次のような画像処理を行う。まず撮影された三角形の濃淡像から輪郭を抽出する。その輪郭の2辺をそれぞれ直線で近似して、その2つの直線が交わる交点を三角形の頂点座標とする。2つの三角形が基準スケールを構成しているとして、各三角形のそれぞれの頂点座標が求まったら、その2点間の直線距離を演算して基準長とする。このような処理によってCCD素子のピッチよりも細かな値まで精度よく基準長を求めることができる。
【0032】
以上のような画像処理によって基準長を求めるためには基準スケールの外形形状が2つ以上の辺を持つ三角形または四角形であることが望ましい。このとき2つの辺の長さ方向とCCD素子の画素の並び方向が平行とならないように配置することが精度よく補間する上で望ましい。図4の(a)(b)(d)に例示したような形状はこの点から見て望ましい形状である。また、基準スケールの辺の長さ方向とCCD画素の並び方向が平行にならないようにするために、ビデオカメラを水平またはそれと直角に構えるのではなく、ビデオカメラ全体を水平から斜めに傾けて撮影することも有効である。
【0033】
上述の実施の形態では、ビデオ式伸び計のカメラは1台であるとして説明したが、上下の標線を別々の2台のビデオカメラを用いて撮像する構成や、さらには合計3台のビデオカメラを用いて、1台のビデオカメラで上下標線を両方とも撮影し、他の2台のカメラで上下の標線を別々に撮影する構成の伸び計でも本発明を適用できることは勿論である。また、引張試験のみならず、試験片の圧縮量を測定する圧縮試験についても本発明を適用できることは言うまでもない。
【0034】
【発明の効果】
本発明の材料試験機によれば、簡単な構成で試験片が前後方向に移動してもそれに対応して正確な試験片の歪み量を計測することができる。従来技術のように特別な試験片の前後方向移動を計測する変位計が不要なのでコストも少なく実現できる。基準スケールを標線と兼用すれば従来の試験手順と比較して手間もほとんどかからないにもかかわらずより正確な歪み計側をすることができる。
【0035】
また、本発明の材料試験機によれば、正確な基準長のわかっている基準スケールを用いて上下2つの標線間の距離を校正することが可能であり、試験片に対する標線の貼り方に多少の誤差があったとしても試験される材料の特性をより正確に計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験機本体とビデオ式伸び計の全体を表す概略図である。
【図2】試験片の前後方向移動による変動を補正することを説明する図である。
【図3】基準スケールの貼付方法を説明する図である。
【図4】基準スケールの例を説明する図である。
【図5】試験片が前後方向に移動したときの計測値の誤差を説明する図である。
【符号の説明】
1…試験機本体 2…フレーム
3…クロスヘッド 4…下チャック
5…上チャック 6…ロードセル
7…試験片 8…下標線
9…上標線 10…基準スケール
11…ビデオカメラ 12…制御器
13…視野 14…ビデオ式伸び計
21…標線 22…基準スケール
23…基準スケール兼標線
Claims (3)
- 負荷を加えられる試験片につけられた標線を撮影するビデオカメラを有し、このビデオカメラによって撮影された標線の移動量から試験片の歪みを計測するビデオ式歪み測定手段を備えた材料試験機において、前記ビデオカメラによって撮影される試験片の表面に所定の大きさを有する基準スケールを貼付し、この基準スケールを前記ビデオカメラで撮影した像の大きさに基づいて試験片の歪み計測値を補正することを特徴とする材料試験機。
- 前記基準スケールは前記標線によって兼ねることを特徴とする請求項1記載の材料試験機。
- 前記基準スケールの絶対値に基づいて前記標線の移動量の計測値を補正することを特徴とする請求項1または2記載の材料試験機。
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