JP2004256655A - エピスルフィド化合物からなる樹脂の製造方法 - Google Patents
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Abstract
(a):紫外線吸収剤を分子内に2個以上のエピスルフィド基を有する化合物及び/または分子内に2個以上のメルカプト基を有する化合物を含有する組成物へ溶解させる工程、
(b): (a)で得られた組成物と分子内に2個以上のエピスルフィド基を有する化合物以外の重合性組成物を構成する化合物に硬化触媒を溶解し得られた組成物を混合するか、または(a)で得られた組成物と硬化触媒とを混合する工程
【効果】本発明の方法により、エピスルフィド化合物への硬化触媒と紫外線吸収剤の溶解方法を工業的に最適化することが可能となり、エピスルフィド化合物から得られる樹脂を製造する上での作業上の安全性と得られる樹脂の歩留まりを大幅に向上させることが可能となった。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチックレンズ、プリズム、光ファイバー、情報記録基盤、フィルター、発光ダイオード等の光学材料に使用される樹脂の製造方法に関するものであり、特に眼鏡用プラスチックレンズの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチックレンズは、無機レンズに比べ軽量で割れ難く、染色が可能なため近年、眼鏡レンズ、カメラレンズ等の光学素子に急速に普及してきている。プラスチックレンズ用樹脂には、さらなる高性能化が要求されてきており、高屈折率化、高アッベ数化、低比重化、高耐熱性化等が求められてきた。これまでにも様々なレンズ用樹脂素材が開発され使用されている。その中でも代表的な例として、ポリチオウレタンに使用されるポリチオールのイオウ含有率を上げる事により、屈折率の高いポリチオウレタン樹脂が開発されている。
【0003】
しかしながら、屈折率とアッベ数に関しては屈折率が上昇するほどアッベ数が低くなると言った相反する物性であるため両方を同時に向上させることは非常に困難である。そこで、アッベ数の低下を抑えながら、高屈折率化を行う検討が盛んに行われている。
【0004】
これらの検討の中で最も代表的な提案は、エピスルフィド化合物を使用する方法である。(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)
このエピスルフィド化合物から得られる樹脂の性能を向上させるために、樹脂添加剤を使用する方法も提案されているが、その中でも近年急速に普及してきている方法は、樹脂添加剤として紫外線吸収剤を大量に添加する方法である。この方法によれば、樹脂の耐光性を改良するばかりでなく、メガネレンズとして使用した場合、人の目を紫外線から保護する働きをも併せ持つことが可能である。(例えば、特許文献4、特許文献5参照)
【0005】
【特許文献1】
WO−89/10575号公報
【特許文献2】
特開平9−110979号公報
【特許文献3】
特開平11−322930号公報
【特許文献4】
特開平11−335560号公報
【特許文献5】
特開2001−091906号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本願発明は従来のエピスルフィド化合物からなる樹脂の製造方法で問題となっていた、仕込み時に起こる重合進行による発熱、粘度上昇の抑制、作業上の安全性、得られる樹脂の歩留まりの向上を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述の課題を解決するために鋭意検討した結果、エピスルフィド化合物への紫外線吸収剤と硬化触媒の溶解方法を工業的に最適化することで、仕込み時に起こる重合進行による発熱や粘度上昇を抑制し、作業上の安全性と得られる樹脂の歩留まりを向上させることができることを見出し、本発明に至った。
【0008】
即ち、本発明は、
[1] 分子内に2個以上のエピスルフィド基を有する化合物と分子内に2個以上のメルカプト基を有する化合物を含有する組成物からなる重合性組成物を硬化させて樹脂を得るに際し、以下の工程を含むことを特徴とする樹脂の製造方法。
(a):紫外線吸収剤を分子内に2個以上のエピスルフィド基を有する化合物及び/または分子内に2個以上のメルカプト基を有する化合物へ溶解させる工程
(b): (a)で得られた溶液と分子内に2個以上のエピスルフィド基を有する化合物以外の重合性組成物を構成する化合物に硬化触媒を溶解し得られた溶液を混合するか、または(a)で得られた溶液と硬化触媒とを混合する工程
[2] 分子内に2個以上のエピスルフィド基を有する化合物が、下記式(1)で示される部分構造を1個以上有する化合物である[1]に記載の樹脂の製造方法。
【0009】
【化3】
(式中、R1は炭素数1〜10の炭化水素基、R2、R3、R4はそれぞれ炭素数1〜10の炭化水素基または水素原子を示す。)
[3] 分子内に2個以上のエピスルフィド基を有する化合物が、下記式(2)で示される構造の化合物である[1]に記載の樹脂の製造方法。
【0010】
【化4】
(式中、R5〜R10はそれぞれ炭素数1〜3の炭化水素基または水素原子を示す。Yは置換または未置換のの直鎖、分岐または環状の炭素数1〜10の炭化水素基、置換または未置換の1,4−ジチアン基、アリーレン基、アラルキレン基を表す。mは0〜2の整数を表し、nは0〜4の整数を表す。)
[4] 分子内に2個以上のエピスルフィド基を有する化合物が、ビス(2,3−エピチオプロピル)スルフィド及び/またはビス(2,3−エピチオプロピル)ジスルフィドである[1]に記載の樹脂の製造方法。
[5] 分子内に2個以上のメルカプト基を有する化合物がスルフィド結合を有する化合物である[1]乃至[4]いずれかに記載の樹脂の製造方法。
[6] 分子内に2個以上のメルカプト基を有する化合物が環状構造を有する化合物である[1]乃至[4]いずれかに記載の樹脂の製造方法。
[7] 硬化触媒が3級アミン類、ホスフィン類、4級アンモニウム塩類、4級ホスホニウム塩類、有機錫化合物類から選ばれる少なくとも1種以上である[1]乃至[6]いずれかに記載の樹脂の製造方法。
[8] 紫外線吸収剤がベンゾトリアゾール型化合物及び/またはジベンゾイルメタン型化合物である[1]乃至[7]いずれかに記載の樹脂の製造方法。
[9] 紫外線吸収剤の使用量が分子内に2個以上のエピスルフィド基を有する化合物と分子内に2個以上のメルカプト基を有する化合物の合計重量に対し0.05〜2重量%である[1]乃至[8]いずれかに記載の樹脂の製造方法。
[10] 注型重合によることを特徴とする[1]乃至[9]いずれかに記載の樹脂の製造方法が樹脂の製造方法。
といった、エピスルフィド化合物から得られる樹脂を工業的に安全に製造し、かつ、歩留まりをも向上させることを可能とする樹脂の製造方法に関するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明は、エピスルフィド化合物を工業的に重合し、樹脂を得るに際し、樹脂を構成する化合物の内、エピスルフィド化合物以外の化合物、例えば、ポリチオールに予め硬化触媒を溶解または分散させておき、その他の樹脂添加剤、特に、紫外線吸収剤については、エピスルフィド化合物やポリチオールに予め溶解させておき、最後に樹脂添加剤を添加したエピスルフィド化合物と硬化触媒を含有したポリチオール化合物などを混合させる方法、または、硬化触媒以外の紫外線吸収剤を含む樹脂添加剤をエピスルフィド化合物やポリチオールに予め溶解させておき、最後に硬化触媒を混合させる方法を含む。この方法により、エピスルフィド化合物と硬化触媒の接触している時間を最少とすることが可能となり、仕込み量の大きい調合段階でエピスルフィド化合物の重合による大きな発熱が発生すること無く、調合が可能である。よって、仕込んだ液が暴走反応を引き起こすような危険を防ぐことが可能であり、しかも、仕込んだ液の粘度上昇により得られる樹脂の光学歪が発生し、歩留まりが低下することをも抑制することが可能となる極めて有用な樹脂の製造方法である。
【0013】
本発明において、分子内に2個以上のエピスルフィド基を有する化合物とは、下記式(3)で示される構造を2個以上有する化合物であり、公知の2官能以上のエピスルフィド化合物全てが対象となる。
また、分子内に2個以上のエピスルフィド基を有する化合物以外の重合性組成物を構成する化合物とは、分子内に2個以上のメルカプト基を有する化合物、その他の樹脂添加剤が挙げられる。
【0014】
【化5】
【0015】
下記式(1)において、
【0016】
【化6】
【0017】
R1は炭素数1〜10の二価の炭化水素基を表し、具体的には、直鎖、分岐または環状の炭素数1〜10のアルキレン基、フェニレン、アルキル置換フェニレン及びナフタレン等の炭素数6〜10のアリーレン基、またはアルキレン及びアリーレンの組み合わせからなる炭素数7〜10のアラルキレン基が挙げられるが、炭素数1〜10のアルキレン基が好ましい。メチレンやエチレンであれば、より好ましい。メチレンであれば、更に好ましい。R2、R3、R4はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10の一価の炭化水素基を表し、炭素数1〜10の一価の炭化水素基としては、直鎖、分岐または環状の炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基が挙げられるが、水素原子または炭素数1〜10のアルキレン基が好ましい。水素原子やメチル基であれば、より好ましい。水素原子であれば、更に好ましい。
【0018】
式(1)で表される構造を1個以上有する化合物としては、主として下記式(7)で表される化合物が好ましい。
【0019】
【化7】
【0020】
(式中、R5〜R10はそれぞれ炭素数1〜10の炭化水素基または水素を表す。Yは置換または未置換の直鎖、分岐または環状の炭化水素数1〜10の二価の脂肪族炭化水素基、置換または未置換の1,4−ジチアン基、アリーレン基、アラルキレン基を表す。mは0〜2の整数を表し、nは0〜4の整数を表す。)
【0021】
ここでR5〜R10はそれぞれ、前記R2〜R4と同様の意味を表し、特に水素原子であることが好ましい。Yは置換または未置換の直鎖、分岐または環状の炭化水素数1〜10の二価の脂肪族炭化水素基、置換または未置換の1,4−ジチアン基、アリーレン基、アラルキレン基を表すが、炭化水素数1〜10の二価の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖、分岐または環状のアルキレン基、特に直鎖アルキレン基が好ましい。アリーレン及びアラルキレン基については、前記R1で挙げたものと同様のものが例示できる。更にYとしては置換基を有していてもよく、該化合物を用いて製造される樹脂の物性(例えば、透明性、均一性、屈折率、耐熱性等)に悪影響を与えないものであれば特に制限されないが、反応性基を有していても良い。特に前記式(1)で表される構造、中でも2,3−エピチオプロピルチオ基を置換基として有する3官能以上の化合物であっても良いが、2官能の化合物の方が好ましい。更に、n=0である化合物が最も好ましい。また、これらの化合物には、これら化合物の2量体、3量体、4量体等のポリエーテルオリゴマー類またはポリスルフィドオリゴマー類を含んでもよい。
【0022】
このような分子内に2個以上のエピスルフィド基を有する化合物の好ましいものの具体例としては、ビス(2,3−エピチオプロピル)スルフィド、ビス(2,3−エピチオプロピル)ジスルフィド、ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)エタン、1,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)プロパン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)プロパン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2−メチルプロパン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ブタン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2−メチルブタン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ブタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ペンタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2−メチルペンタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−3−チアペンタン、1,6−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ヘキサン、1,6−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2−メチルヘキサン、3,8−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−3,6−トリチアオクタン、1,2,3−トリス(2,3−エピチオプロピルチオ)プロパン、2,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)プロパン、2,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−1−(2,3−ーエピチオプロピルチオ)ブタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2−(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1−(2,3−エピチオプロピルチオ)−2,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−4−チアヘキサン、1,5,6−トリス(2,3−エピチオプロピルチオ)−4−(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアヘキサン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−4−(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−4,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−4,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2,4,5−トリス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,1,1−トリス[[2−(2,3−エピチオプロピルチオ)エチル]チオメチル]−2−(2,3−エピチオプロピルチオ)エタン、1,1,2,2−テトラキス[[2−(2,3−エピチオプロピルチオ)エチル]チオメチル]エタン、1,11−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−4,8−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−4,7−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−5,7−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン等の鎖状脂肪族の2,3−エピチオプロピルチオ化合物、及び、
【0023】
1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサン、2,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス[[2−(2,3−エピチオプロピルチオ)エチル]チオメチル]−1,4−ジチアン、2,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−2,5−ジメチル−1,4−ジチアン等の環状脂肪族の2,3−エピチオプロピルチオ化合物、及び、
【0024】
1,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ベンゼン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ベンゼン、1,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン、ビス[4−(2,3−エピチオプロピルチオ)フェニル]メタン、2,2−ビス[4−(2,3−エピチオプロピルチオ)フェニル]プロパン、ビス[4−(2,3−エピチオプロピルチオ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エピチオプロピルチオ)フェニル]スルフォン、4,4’−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ビフェニル等の芳香族2,3−エピチオプロピルチオ化合物等を挙げることができる。
【0025】
また、上記のエピスルフィド化合物のエピチオプロピルチオ基をエピチオプロピルオキシ基に置き変えた化合物もあげることができる。しかしながら、本願発明の好ましい化合物は、エピチオプロピルチオ基を有する化合物であり、また、上記の例示化合物のみに限定されるものではない。また、これらは単独でも、2種類以上を混合して使用しても良い。
【0026】
これら例示化合物の内、より好ましい化合物としては、ビス(2,3−エピチオプロピル)スルフィド、ビス(2,3−エピチオプロピル)ジスルフィド、ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)エタン、1,2,3−トリス(2,3−エピチオプロピルチオ)プロパン、2,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−1,4−ジチアン、ビス[4−(2,3−エピチオプロピルチオ)フェニル]スルフィドからなる化合物群から少なくとも1種選択された化合物である。最も好ましい化合物としては、ビス(2,3−エピチオプロピル)スルフィド、ビス(2,3−エピチオプロピル)ジスルフィドのうち、いずれかまたは混合したものである。
【0027】
本発明における分子内に2個以上のメルカプト基を有する化合物の中でも好ましいものの具体例としては、1,1−メタンジチオール、1,2−エタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、2,2−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,2,3−トリメルカプトプロパン、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、1,2−ジメルカプトシクロヘキサン、ビス(2−メルカプトメチル)スルフィド、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトチオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトチオグリコレート)、トリメチロールプロパントリス3−メルカプトプロピオネート)、1,1,1−トリメチルメルカプトエタン、1,1,1−トリメチルメルカプトプロパン、2,5−ジメルカプトメチルチオファン、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン、2,5−ビス[(2−メルカプトエチル)チオメチル]−1,4−ジチアン、1,3−シクロヘキサンジチオール、1,4−シクロヘキサンジチオール、4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,1,2,2−テトラキス(メルカプトメチルチオ)エタン、3−メルカプトメチル−1,5−ジメルカプト−2,4−ジチアペンタン、トリス(メルカプトメチルチオ)メタン、等の脂肪族チオール、及び、
【0028】
ベンジルメルカプタン、チオフェノール、1,2−ジメルカプトベンゼン、1,3−ジメルカプトベンゼン、1,4−ジメルカプトベンゼン、1,2−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、2,2’−ジメルカプトビフェニル、4,4’−ジメルカプトビフェニル、ビス(4−メルカプトフェニル)メタン、ビス(4−メルカプトフェニル)スルフィド、ビス(4−メルカプトフェニル)スルフォン、2,2−ビス(4−メルカプトフェニル)プロパン、1,2,3−トリメルカプトベンゼン、1,2,4−トリメルカプトベンゼン、1,2,5−トリメルカプトベンゼン等の芳香族チオールが挙げられるが、これらの例示化合物のみに限定されるものではない。また、これらの塩素置換体、臭素置換体等のハロゲン置換体、アルキル置換体、アルコキシ置換体等もその範疇に含まれる。更に、これらは単独でも、2種類以上を混合したものでも良い。
【0029】
これら化合物の内、より好ましいものとしては、1,2−エタンジチオール、1,2,3−トリメルカプトプロパン、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、ビス(2−メルカプトメチル)スルフィド、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン、4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,1,2,2−テトラキス(メルカプトメチルチオ)エタン、1,2−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼンからなる化合物群から少なくとも1種選択された化合物である。
【0030】
また、本発明で使用される紫外線吸収剤としては、公知の樹脂添加剤として使用されているものであればいずれでもよいが、その選定に当たっては、モノマーへの溶解性が高く、また、得られる樹脂の紫外線吸収能がより高く、更には、得られる樹脂の色相を大きく悪化させないものの方が好ましい場合があるが、これら性能のみで決められるものではない。
【0031】
これら紫外線吸収剤の内、好ましいものの具体例としては、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(5−tertブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(5−tertオクチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジtertブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジtertアミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(4−オクチルオキシ−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ビス(ジメチルベンジル)−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−tertブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tertブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3−ドデシル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−ジメチルベンジル−5−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールル等のベンゾトリアゾール系化合物等、及び
【0032】
ジベンゾイルメタン、2−メチルジベンゾイルメタン、4−メチルジベンゾイルメタン、2−エチルジベンゾイルメタン、4−エチルジベンゾイルメタン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、4−tertブチルジベンゾイルメタン、2,4−ジメチルジベンゾイルメタン、2,5−ジメチルジベンゾイルメタン、2,4−ジエチルジベンゾイルメタン、2,5−ジエチルジベンゾイルメタン、4,4‘−ジ−tert−ブチルジベンゾイルメタン、4−tert−ブチル−4’−メトキシベンゾイルメタン等のジベンゾイルメタン化合物を挙げることができるが、これらの例示化合物のみに限定されるものではない。また、これらは単独でも、2種類以上を混合して使用しても良い。
【0033】
これら例示化合物の内、より好ましい化合物としては、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(5−tertブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(5−tertオクチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジtertブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジtertアミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(4−オクチルオキシ−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、ジベンゾイルメタン、4−tert−ブチル−4‘−メトキシジベンゾイルメタンからなる化合物群から少なくとも1種選択された化合物であり、更に好ましくは2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(5−tertブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(5−tertオクチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(4−オクチルオキシ−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、ジベンゾイルメタン、4−tert−ブチル−4‘−メトキシジベンゾイルメタンからなる化合物群から少なくとも1種選択された化合物である。
【0034】
紫外線吸収剤の使用量は、紫外線吸収剤の分子内に2個以上のエピスルフィド基を有する化合物と分子内に2個以上のメルカプト基を有する化合物の合計重量に対する比が500ppm〜2.0重量%の範囲内であり、600ppm〜1.8重量%の範囲内であれば、紫外線吸収能や重合性組成物への溶解性、得られる硬化樹脂の屈折率、耐熱性、樹脂の黄色化更には、樹脂の白濁に関して好ましい。800ppm〜1.5重量%の範囲内であれば、より好ましい。
【0035】
本発明に用いられる硬化触媒とは、硬化触媒の存在下、加熱下あるいは常温放置下あるいは冷却下で重合がなされ、樹脂を製造することができるものを言い、その種類としては、アミン類、ホスフィン類、有機酸およびその塩、エステル、無水物類、無機酸、4級アンモニウム塩類、4級ホスホニウム塩類、3級スルホニウム塩類、2級ヨードニウム塩類、ルイス酸類、ラジカル重合触媒類、カチオン重合触媒類等である。
【0036】
硬化触媒の具体例としては、トリエチルアミン、トリn−ブチルアミン、トリn−ヘキシルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、トリエチレンジアミン、トリフェニルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジエチルベンジルアミン、トリベンジルアミン、N−メチルジベンジルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルブチルアミン、N−メチルジシクロヘキシルアミン、N−メチルモルホリン、N−イソプロピルモルホリン、ピリジン、キノリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、α−、β−、あるいはγ−ピコリン、2,2’−ビピリジル、1,4−ジメチルピペラジン、ジシアンジアミド、テトラメチルエチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセン、2,4,6−トリス(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール等の脂肪族及び芳香族3級アミン類、
【0037】
トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリn−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリn−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジメチルホスフィノ)エタン等のホスフィン類、
【0038】
トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸無水物、トリフルオロ酢酸エチル、トリフルオロ酢酸ソーダ、トリハロゲノ酢酸及びそのエステル、無水物、塩、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、トリフルオロメタンスルホン酸エチル、トリフルオロメタンスルホン酸ソーダ等のトリハロゲノメタンスルホン酸及びそのエステル、無水物、塩、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩、テトラメチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド等の4級ホスホニウム塩、トリメチルスルホニウムブロマイド、トリブチルスルホニウムブロマイド等の3級スルホニウム塩、ジフェニルヨードニウムブロマイド等の2級ヨード二ウム塩、ジメチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、テトラクロロ錫、ジブチル錫オキサイド、ジアセトキシテトラブチルジスタノキサン等の有機錫化合物、塩化亜鉛、アセチルアセトン亜鉛、塩化アルミ、フッ化アルミ、トリフェニルアルミ、アセチルアセトンアルミ、イソプロポキシドアルミ、テトラクロロチタン及びその錯体、テトラヨードチタン、ジクロロチタニウムジイソプロポキシド、チタニウムイソプロポキシド等のチタン系アルコキシド、酢酸カルシウム、三フッ化硼素、三フッ化硼素ジエチルエーテル錯体、三フッ化硼素ピペリジン錯体、三フッ化硼素エチルアミン錯体、三フッ化硼素酢酸錯体、三フッ化硼素リン酸錯体、三フッ化硼素t−ブチルメチルエーテル錯体、三フッ化硼素ジブチルエーテル錯体、三フッ化硼素THF錯体、三フッ化硼素メチルスルフィド錯体、三フッ化硼素フェノール錯体等の三フッ化硼素の各種錯体及び三塩化硼素の各種錯体等のトリハロゲン化硼素化合物及びそのコンプレックスなどのルイス酸、
【0039】
2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、n−ブチル−4,4’−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のラジカル重合触媒、
ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロ燐酸、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロ砒酸、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモン、トリフェニルスルフォニウムテトラフルオロ硼酸、トリフェニルスルフォニウムヘキサフルオロ燐酸、トリフェニルスルフォニウムヘキサフルオロ砒酸等のカチオン重合触媒が挙げられるが、例示化合物のみに限定されるものではない。
上記硬化触媒は単独でも2種以上を混合して用いても良く、これら硬化触媒の内、反応性の異なる2種以上のものを併用すると、モノマーのハンドリング性、得られる樹脂の光学物性、色相、透明性、光学ひずみ(脈離)が向上する場合があるため、好ましい場合がある。
【0040】
これら化合物のうち、好ましいものは、ジメチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、テトラクロロ錫、ジブチル錫オキサイド、ジアセトキシテトラブチルジスタノキサン等の有機錫化合物、トリn−ブチルアミン、トリn−ヘキシルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルブチルアミン等の3級アミン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリn−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリn−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジメチルホスフィノ)エタン等のホスフィン類、
テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩、テトラメチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド等の4級ホスホニウム塩の化合物群から選ばれる1種以上の化合物である。
【0041】
硬化触媒の添加量は、分子内に2個以上のエピスルフィド基を有する化合物と分子内に2個以上のメルカプト基を有する化合物の合計重量に対して0.001〜10重量%の範囲で用いられ、0.005〜5重量%であれば好ましい。0.007〜1重量%の範囲で使用すれば、より好ましい。硬化触媒の添加量がこの範囲内であれば、良好に硬化した樹脂の製造が可能であり、ポットライフが保たれ、また、得られる樹脂の透明性、光学物性が良好なものが得られる場合がある。
【0042】
本発明の分子内に2個以上のエピスルフィド基を有する化合物、分子内に2個以上のメルカプト基を有する化合物からなる組成物の構成について述べると、分子内に2個以上のエピスルフィド基を有する化合物の含有量は、分子内に2個以上のエピスルフィド基を有する化合物と分子内に2個以上のメルカプト基を有する化合物の合計量の50%以上が好ましい。
、該組成物を硬化してなる樹脂の屈折率、アッベ数等の光学物性の調整や、色相、耐光性や耐候性、耐熱性、耐衝撃性、硬度、比重、線膨張係数、重合収縮率、吸水性、吸湿性、耐薬品性、粘弾性等の諸物性を調整、透過率や透明性の調整、重合性組成物の粘度、その他保存や輸送方法の取扱い性を調整するためなど、樹脂の改良や取り扱い性を改良をする目的で、公知の化合物等を安定剤や樹脂改質剤として加えたりすることは良好な樹脂を得る目的で好ましい場合がある。重合安定性などの更なる安定性向上のために加えられるものとしては、重合遅延剤や重合禁止剤、脱酸素剤、酸化防止剤などの化合物が挙げられるが、記載のものに限定されるわけではない。
【0043】
添加を可能とする樹脂改質剤としては、本発明に係る組成物に含まれる以外のエピスルフィド化合物類及びアミン化合物類、チオール化合物、フェノール類、メルカプト有機酸類、有機酸類及び無水物類、アミノ酸及びメルカプトアミン類、(メタ)アクリレート類等を含むオレフィン類が挙げられる。
【0044】
本発明の樹脂(例えば、プラスチックレンズ)を製造する際の代表的な重合方法としては、注型重合が挙げられる。即ち、ガスケットまたはテープ等で保持された成型モールド間に、本発明の重合性組成物を注入する。この際、重合性組成物には必要に応じて樹脂改質剤を混合したり、脱泡操作などの減圧処理や、フィルター濾過等の操作を予め行っておいてもよい。次いで、室温中に放置する方法やオーブン中や水中など加熱可能装置内で加熱することにより硬化させ、樹脂を取り出すことができる。
【0045】
成型モールドに注入された本発明の組成物の加熱重合条件は、本発明の組成物及び紫外線吸収剤の種類、樹脂改質剤の種類、硬化触媒の種類、成型モールドの形状等によって大きく条件が異なるため限定できないが、およそ−50〜200℃の温度で0.1〜100時間かけて行われる。場合によっては、10℃〜150℃の温度範囲で保持するかまたは徐々に昇温し、1〜80時間で重合させれば好ましい結果を与えることがある。
【0046】
更には、本発明の組成物は、電子線や紫外線等のエネルギー線照射により重合時間の短縮を図ることも可能である。この際には、ラジカル重合触媒、カチオン重合触媒等の硬化触媒等を添加しても良い。
【0047】
本発明の樹脂の成形の際には、目的に応じて公知の成形法におけると同様に、安定剤、上記以外の樹脂改質剤、鎖延長剤、架橋剤、HALS系を代表とする光安定剤、上記以外の紫外線吸収剤、ヒンダードフェノール系を代表とする酸化防止剤、着色防止剤、アントラキノン系分散染料を代表とする染料、顔料、充填剤、シリコーン系を代表とする外部離型剤または酸性燐酸エステル、4級アンモニウム塩を代表とする内部離型剤、密着性向上剤などの種々の物質を添加してもよい。
【0048】
上記添加を可能とする各種添加剤の添加量は、それぞれの添加剤の種類、構造、効果により異なり一概に限定することは出来ないが、通常、組成物の総重量に対して0.001〜10重量%の範囲で用いられ、0.01〜5重量%の範囲で使用すれば好ましい。染料については、この範囲ではなく、1ppb〜100ppmの範囲で使用すると好ましい。これらの範囲内であれば、良好に硬化した樹脂の製造が可能であり、得られる樹脂の透明性、光学物性が良好なものが得られる場合がある。また、取り出した硬化樹脂については、必要に応じて、アニール等の処理を行ってもよい。アニール条件としては、硬化する組成物を構成する化合物の構造、得られる樹脂の構造などにより異なり、一概に限定できないが、通常30℃〜200℃で行なわれるが、50℃〜150℃が好ましい。70℃〜130℃であれば、より好ましい。
【0049】
更に、本発明の樹脂は、注型重合時の成型モールドを変えることにより種々の形態の成形体として得ることができ、眼鏡レンズ、カメラレンズ、発光ダイオード(LED)等の高屈折率や透明性の特徴を生かした光学材料、透明樹脂としての各種の用途に使用することができる。特に、眼鏡レンズ、カメラレンズ等の光学材料として好適である。
【0050】
さらに、本発明の光学材料を用いたレンズでは、必要に応じ、反射防止、高硬度付与、耐摩耗性向上、耐薬品性向上、防曇性付与、あるいは、ファッション性付与等の改良を行うため、表面研磨、帯電防止処理、ハードコート処理、無反射コート処理、染色処理等の物理的あるいは化学的処理を施すことができる。
【0051】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
実施例、比較例に使用した分子内に2個以上のエピスルフィド基を有する化合物としてはビス(2,3−エピチオプロピル)ジスルフィド;以下化合物(a)と略す、分子内に2個以上のメルカプト基を有する化合物としては4,8or4,7or5,7−ジメルカプトメチル−1,11−メルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン;以下化合物(b)、紫外線吸収剤としては2−(5−tertオクチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール;以下化合物(d)、 硬化触媒としてはN,N−ジメチルシクロヘキシルアミン;以下化合物(e)、テトラn−ブチルホスホニウムブロマイド;以下化合物(f)それぞれであった。
重合により得られた樹脂は性能試験を行い評価した。性能試験は光学歪のみとし、以下の試験法により評価した。
・光学歪 :高圧水銀灯下目視で観察した。
光学歪の発生率が大きい場合、樹脂製造の歩留まりが低下することを意味する。
【0052】
実施例1
20℃の室温下で化合物(a)10kgに化合物(d)110g混合し透明になるまで撹拌し2時間で溶解させた。これとは別に化合物(b)1.0kgに化合物(e)10gを添加し均一になるまで混合した。それぞれの溶液を減圧下0.5時間脱泡した後に混合し、均一になるまで撹拌した。得られた混合液の内温上昇は観測されなかった。得られた混合液を3μmフィルターにて濾過後ガラスモールドとテープよりなるレンズ用モールド型(−6.0D)に注入した。この調合の際、ハンドリング上の問題はなかった。全混合液を注入後、このモールドを30℃から120℃まで徐々に昇温し、24時間で重合を行った。重合終了後、得られた成形体をモールドから離型した。得られた成形体を120℃にて2時間アニールを行った。アニール後のレンズを評価した結果、光学歪の発生率は、1.6%であり、歩留まりは良好であった。
【0053】
実施例2
20℃の室温下で化合物(a)10kgに化合物(b)700gを混合し均一となったところへ化合物(d)110gを混合し透明になるまで撹拌し2時間で溶解させた。これとは別に化合物(b)300gに化合物(e)10gを添加し均一になるまで混合した。それぞれの溶液を減圧下0.5時間脱泡した後に混合し、均一になるまで撹拌した。得られた混合液の内温上昇は観測されなかった。得られた混合液を3μmフィルターにて濾過後ガラスモールドとテープよりなるレンズ用モールド型(−6.0D)に注入した。この調合の際、ハンドリング上の問題はなかった。全混合液を注入後、このモールドを30℃から120℃まで徐々に昇温し、24時間で重合を行った。重合終了後、得られた成形体をモールドから離型した。得られた成形体を120℃にて2時間アニールを行った。アニール後のレンズを評価した結果、光学歪の発生率は、1.2%であり、歩留まりは良好であった。
【0054】
実施例3
20℃の室温下で化合物(a)10kgに化合物(b)1.0kgと化合物(d)110g混合し透明になるまで撹拌し2時間で溶解させた。この溶液を減圧下0.5時間脱泡した後に混合し、均一になるまで撹拌した。次いで化合物(e)10gを添加し均一になるまで混合した。得られた混合液の内温上昇は観測されなかった。得られた混合液を3μmフィルターにて濾過後ガラスモールドとテープよりなるレンズ用モールド型(−6.0D)に注入した。この調合の際、ハンドリング上の問題はなかった。全混合液を注入後、このモールドを30℃から120℃まで徐々に昇温し、24時間で重合を行った。重合終了後、得られた成形体をモールドから離型した。得られた成形体を120℃にて2時間アニールを行った。アニール後のレンズを評価した結果、光学歪の発生率は、0.8%であり、歩留まりは良好であった。
【0055】
比較例1
20℃の室温下で化合物(a)10kgに化合物(b)1.0kgと化合物(d)110gと化合物(e)10gを混合し透明になるまで撹拌し均一溶解させた。この混合溶液を減圧下0.5時間脱泡したところ、混合液の内温上昇(約20℃)が観測された。得られた混合液を3μmフィルターにて濾過後ガラスモールドとテープよりなるレンズ用モールド型(−6.0D)に注入した。この調合の際に問題はなかったものの、注入最終段階では、混合液の粘度が上昇しており、作業性が著しく低下した。全混合液を注入後、このモールドを30℃から120℃まで徐々に昇温し、24時間で重合を行った。重合終了後、得られた成形体をモールドから離型した。得られた成形体を120℃にて2時間アニールを行った。アニール後のレンズを評価した結果、光学歪の発生率は、20.8%であり、歩留まりが著しく低下した。
【0056】
比較例2
化合物(e)の計量を正確にするために、20℃の室温下で化合物(a)1kgに化合物(e)を100g混合し均一溶解させた(硬化触媒のマスターバッチ液)。次いで、化合物(a)9.9kgに化合物(b)1.0kgと化合物(d)110gを混合し透明になるまで撹拌し均一溶解させた後に、硬化触媒のマスターバッチ液100gを取り出そうとしたところ、液内温が上昇(約60℃上昇)しており、暴走しかけていたため、ドライアイスで冷却した冷媒でマスターバッチ液を冷却した。マスターバッチ液の内温が下がったところで、液内を確認したところ、茶色に変色した硬化樹脂となっていた。以上により、レンズ成形体は作成できなかった。
【0057】
【発明の効果】
本発明の方法により、エピスルフィド化合物への硬化触媒と紫外線吸収剤の溶解方法を工業的に最適化することが可能となり、エピスルフィド化合物から得られる樹脂を製造する上での作業上の安全性と得られる樹脂の歩留まりを大幅に向上させることが可能となった。
Claims (10)
- 分子内に2個以上のエピスルフィド基を有する化合物と分子内に2個以上のメルカプト基を有する化合物を含有する組成物からなる重合性組成物を硬化させて樹脂を得るに際し、以下の工程を含むことを特徴とする樹脂の製造方法。
(a):紫外線吸収剤を分子内に2個以上のエピスルフィド基を有する化合物及び/または分子内に2個以上のメルカプト基を有する化合物へ溶解させる工程、
(b): (a)で得られた溶液と分子内に2個以上のエピスルフィド基を有する化合物以外の重合性組成物を構成する化合物に硬化触媒を溶解し得られた溶液を混合するか、または(a)で得られた溶液と硬化触媒とを混合する工程 - 分子内に2個以上のエピスルフィド基を有する化合物が、ビス(2,3−エピチオプロピル)スルフィド及び/またはビス(2,3−エピチオプロピル)ジスルフィドである請求項3に記載の樹脂の製造方法。
- 分子内に2個以上のメルカプト基を有する化合物がスルフィド結合を有する化合物である請求項1乃至4いずれかに記載の樹脂の製造方法。
- 分子内に2個以上のメルカプト基を有する化合物が環状構造を有する化合物である請求項1乃至4いずれかに記載の樹脂の製造方法。
- 硬化触媒が3級アミン類、ホスフィン類、4級アンモニウム塩類、4級ホスホニウム塩類、有機錫化合物類から選ばれる少なくとも1種以上である請求項1乃至6いずれかに記載の樹脂の製造方法。
- 紫外線吸収剤がベンゾトリアゾール型化合物及び/またはジベンゾイルメタン型化合物である請求項1乃至7いずれかに記載の樹脂の製造方法。
- 紫外線吸収剤の使用量が分子内に2個以上のエピスルフィド基を有する化合物と分子内に2個以上のメルカプト基を有する化合物の合計重量に対し0.05〜2重量%である請求項1乃至8いずれかに記載の樹脂の製造方法。
- 注型重合によることを特徴とする請求項1乃至9いずれかに記載の樹脂の製造方法。
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