JP2004255454A

JP2004255454A - 精密加工プレス用金型及びそれを用いた加工方法

Info

Publication number: JP2004255454A
Application number: JP2003052049A
Authority: JP
Inventors: Yoshiharu Sakurada; 喜春櫻田; Jinko Matsui; 甚幸松井; Susumu Kaira; 進解良
Original assignee: TODO KOGYO KK; TOHO GIKEN KK
Current assignee: TODO KOGYO KK; TOHO GIKEN KK
Priority date: 2003-02-27
Filing date: 2003-02-27
Publication date: 2004-09-16

Abstract

【課題】打抜き加工により成形する製品の端面形状及び端面表面がきれいで、平面度もよく、金型寿命も長い精密加工プレス用金型及びそれを用いた加工方法を提供する。
【解決手段】ダイに対して、ダイの穴径より少し大きい外径の押出パンチと、ダイの穴径より僅かに小さい外径の打抜パンチを、当該ダイに対向する位置にＮＣ位置制御可能に備えた金型を用いて、サーボ機構プレス上プレートに連結したスライダを介して、押出パンチをダイ上端直前まで降下させ、材料をダイの穴に押出し、製品と端材部分を薄皮状のブリッジ部でつながった状態に加工し、押出パンチを退避させ、次にスライダを横方向に移送して当該スライダに取り付けられた打抜パンチに切り換え、当該ブリッジ部で打抜きせん断又は破断する加工方法とした。
【選択図】図１

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、サーボ機構プレスを用いた材料の精密プレス加工に用いる金型及びそれを用いたプレス加工方法に関し、特にパンチの位置決めとしてＮＣスライダを用いた押出パンチと打抜パンチの切り換えと、サーボプレスの下降位置制御の組み合わせにより、製品端面品質に優れ、金型寿命が長いプレス加工方法に係る。
【０００２】
【従来の技術】
メカ式プレス機械を用いる打抜き加工において、バリ、ダレのない良好なせん断面を得る方法として、ファインブランキングがある。
しかしながら、ファインブランキングは材料に対し、高い静水圧力をかけるために高い剛性を持った専用のプレス機や油圧制御装置やパンチに対向し材料に逆押え力を加えるエジェクタ等が必要であるため、装置が高価な専用機となり導入することは容易でなく、またそれにより製品がコスト高になっている。
そこで、安価で、良好な破断面が得られるプレス金型及びプレス加工方法が要求されていた。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記技術的課題に鑑みて、打抜き加工により成形した製品の端面形状及び端面表面がきれいで、平面度もよく、金型寿命も長い精密加工プレス用金型及びそれを用いた加工方法を提供することを目的とする。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
請求項１記載の発明の技術的要旨は、ダイに対して、ダイの穴径より少し大きい外径の押出パンチと、ダイの穴径より僅かに小さい外径の打抜パンチを、当該ダイに対向する位置にＮＣ位置制御可能に備えた金型とした点である。
このように、押出パンチと打抜パンチをＮＣ位置制御可能に配置したことにより、ダイの位置を固定しつつ、パンチを精度高く容易に切り替えることができる。
【０００５】
請求項２記載の発明の技術的要旨は、ダイに対して、ダイの穴径より少し大きい外径の押出パンチと、ダイの穴径より僅かに小さい外径の打抜パンチを、当該ダイに対向する位置にＮＣ位置制御可能に備えた金型を用いて、サーボ機構プレス上プレートに連結したスライダを介して、押出パンチをダイ上端直前まで降下させ、材料をダイの穴に押出し、製品と端材部分を薄皮状のブリッジ部でつながった状態に加工し、押出パンチを退避させ、次にスライダを横方向に移送して当該スライダに取り付けられた打抜パンチに切り換え、当該ブリッジ部で打抜きせん断又は破断するプレス加工方法である。
【０００６】
このように製品の押出し加工の次に打抜き加工を行うことで、薄肉になった部分のみを打抜けば良く、端面形状及び端面表面がきれいで平面度がよい製品の加工を行うことが出来る。
また、打抜きは極く薄く、しかも加工硬化により硬くなった部分のみとなるので、軽く打つようにするだけでせん断又は破断する。
従って、打抜パンチとダイとの間のクリアランスが従来のファインブランキングよりもラフでよくなり、金型寿命も飛躍的に延びる。
【０００７】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を以下図面に基づいて説明する。
図１は本発明に係るプレス加工用金型を適用したプレス加工装置の模式的な要部図で、汎用のサーボ機構プレス機に金型が装着された状態を示している。
なお、分かりやすくするためにパンチとダイとダイクッションの嵌合部及び材料は断面端面を描いてある。
また、材料を押える板押えなどは図示省略してある。
プレス装置はサーボ機構プレスを使用しているため、プレスプレートの上下方向の位置制御は容易に行える。
プレス装置は上プレート３０及び下プレート３１以外は図示省略し、金型構造を模式的に図示してある。
【０００８】
材料１は穴の開いたダイ１２上に置かれているが、その穴１３上部はダイクッション勘合部２０の頭頂面２０ａで塞がれ、材料１はダイクッション２０の頭頂面２０ａとダイ上面で形成される平板上に置かれた状態となっている。
材料上方には２つのパンチが並設され、サーボ機構プレスの上プレート３０にはスライダ取り付けプレート１５ａが設けられ、スライダ１５が連結されスライダ１５にはパンチホルダー１４がシリンダー２４のピストンロッド２４ａにより左右に移動可能に設けられ、ＮＣ位置制御により２つのパンチを入れ替えて材料を加工することが可能となっている。
２つのパンチは、ダイ１２の穴径Ｄ_１よりもパンチの外径Ｄ_２が少し大きい押出パンチ１０及びダイの穴径Ｄ_１よりもパンチの外径Ｄ_３が僅かに小さい打抜パンチ１１である。
実際にはパンチの外形Ｄ_２は、ダイの穴径Ｄ_１よりも少し大きいだけだが図には分かりやすくするために差を大きく表現している。
これらのパンチは、シリンダー２４のピストンロッド２４ａがＮＣ制御により伸縮し、パンチホルダー１４が左右に移動することでダイ１２に対向する位置に移動制御される。
ダイ１２はその中央の刃先１２ａ間に材料１が押出される穴１３が設けられ、その穴１３にダイクッション２０が嵌った状態で下プレート３１に下板１６を介して取り付けられている。
ダイ１２に設けられている穴１３は、その中腹部は径が一段大きくなる凸状形であり、その凸状形に適合する形状にてダイクッション２０が設けられ、ダイクッション２０は上方に向かい所定の圧力で押し上げられているが、穴１３の凸状形により係止されている。
下プレート３１には下板１６及び台２６を介してシリンダー２３が取り付けられ、そのピストンロッド２３ａ先端にはダイクッション固定ピン２５が取り付けられている。
ダイクッション固定ピン２５はダイ１２中腹に設けられたピン孔２２に挿し込まれている。
ピン孔２２はダイの凸状形の穴１３まで到達している。
ダイクッション固定ピン２５の先端は穴１３の手前に位置している。
このダイクッション固定ピン２５は、ダイクッション２０が下方に下がった位置でシリンダー２３が動作し、穴１３内部に挿入されることでダイクッション２０が上方に移動出来ないように固定する。
これにより、パンチを切り換える間にダイクッション２０が上方に移動して材料を持ち上げてしまうことを防止することとなる。
【０００９】
図２は材料の加工状態を示した図である。
図２（イ）において、材料１は押出パンチ１０が材料１の上方からプレス機の上プレート３０が下降することで材料１を押圧し、材料１をダイ１２に設けられた穴１３へ押出している。
材料１はダイクッション２０の頭頂面２０ａにより上方向に対向した圧力を受け、高精度に押出し加工された面は撓みを生じることなく、平面に保たれている。
材料部分を拡大した図を図４（イ）に示す。
この時、材料１は静水圧応力状態となり、ダイ１２による分断面５はせん断破断面ではなく押出し面であり良好な状態となる。
なお、わかりやすくするために、ダイとダイクッション間等の隙間は大きく描いてある。
そして、押出しパンチ１０は図４（ロ）に示すように、ダイ１２上端直前の材料１の押出し面５上端部分を厚さｔ１の薄皮状に残す位置まで下降し、停止する。
これにより材料１には、押出パンチ１０とダイ１２との間に製品２と端材１ａをつなぐ薄皮状のブリッジ部３が形成される。
この薄皮状のブリッジ部の厚みは、製品形状や材質により任意に選定されるが、一般に元の材料厚の１／５以下にするのが良い。
この時、図２（ロ）に示すように圧力を受けてダイクッションは下方に移動し、この位置を固定する為にシリンダー２３のピストンロッド２３ａが伸びてダイクッション固定ピン２５の先端がダイ１２の凸形状の穴１３に入り、ダイクッション２０が上方に移動出来ないように固定している。
この、ダイクッション２０の位置を固定した状態で押出パンチ１０は上昇して材料の加工位置から退避し、図２（ハ）の状態となる。
ダイクッション２０は固定されているために、上方に移動して材料を押し上げることはない。
また、押出パンチ１０は材料１を打抜かないため、ブレークスルー荷重は発生せず、騒音の発生が抑えられている。
【００１０】
図３（イ）において材料１上方には、ピストンロッド２４ａが駆動することにより、スライダ１５が横方向に移送し、押出パンチ１０と切り替わり打抜パンチ１１が位置している。
材料部分を拡大した図を図４（ハ）に示す。
製品を打ち抜いた状態は図３（ロ）に示すように、打抜パンチ１１が下降し材料１の薄皮状のブリッジ部３を打抜きせん断又は破断する。
材料部分を拡大した図を図４（ニ）に示す。
材料１の製品２と端材１ａの間のブリッジ部３が打抜かれ、製品２が材料１から分離している。
この時発生するブレークスルー荷重は小さなものであり、騒音の発生は抑えられている。
また、材料の薄皮状のブリッジ部を打抜くことにより、断面の大部分は押出し面で、せん断面又は破断面は薄皮状のブリッジ部分に限定され、端面形状及び端面表面がきれいな製品を得ることが可能となっている。
打抜き工程について、図５に基づいて詳細に説明する。
打抜パンチ１１とダイの穴径とのクリアランスｄが小さい程、打抜パンチによる打抜きせん断面になる。
ここで本発明において特徴的なのは、材料の元厚ｔ０が押出しによりｔ１にまで薄くなっているので、加工硬化により硬くなっている。
よって、上記クリアランスｄが比較的大きくてもパンチ圧で破断する。
このように破断する際に製品の肉が極く僅かに欠けるように破断するので、製品から突出するバリが発生することはない。
従って従来のファインブランキングに比較して、クリアランスｄを大きくとることが出来るので金型カジリ等の不具合も発生しにくい。
【００１１】
打抜パンチ１１が上昇して加工位置から退避すると、材料１から打抜かれた製品２は図３（ハ）に示すように、ダイクッション２０が上昇することでダイ１２の穴１３内から排出される。
製品の生産は、この後製品の払い出し等が行われ、再び材料がダイ上に置かれた後、上記の工程をくり返すことで行われる。
【００１２】
【発明の効果】
本発明に係る精密加工プレス用金型及びそれを用いた加工方法においては、材料のプレス加工は、製品の押出し工程と打抜き工程の二工程で行われ、薄皮状のブリッジ部を形成するまで押出し加工が行われるため、製品の側面の大部分はせん断又は破断面ではなく押出しにより形成される。
従って、インボリュート歯車等の複雑な形状の製品に対しても精度良く加工出来る。
【００１３】
また、サーボプレスと専用のパンチを組み合わせて使用し、それぞれの加工に適した速度でプレス加工を行うことが出来るために、端面形状及び端面表面がきれいで、平面度がよく高精度な加工を行うことが出来る。
薄皮状のブリッジ部を打抜くために騒音の発生を防止出来る。
また、薄皮状になっているので打抜き時に発生しやすいバリや製品のソリ不良の防止も図れる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る打抜き用プレス機の模式的な要部図を示す。
【図２】（イ）押出パンチが下降している状態を示す。
（ロ）押出パンチが下降端に達した状態を示す。
（ハ）押出パンチが上昇した状態を示す。
【図３】（イ）押出パンチと打抜パンチが切り換えられた状態を示す。
（ロ）打抜パンチにて材料を打抜いた状態を示す。
（ハ）打抜パンチが上昇し、ダイクッションにより製品が上昇した状態を示す。
【図４】本発明に係るプレス加工順に対応した断面拡大図を示す。
【図５】打抜パンチ径Ｄ_３とダイの穴径Ｄ_１との関係を表した断面拡大図を示す。
【符号の説明】
１材料
１ａ端材
２製品
３ブリッジ部
５分断面（押出し面）
１０押出パンチ
１１打抜パンチ
１２ダイ
１２ａ刃先
１３穴
１４パンチホルダー
１５スライダ
１５ａスライダ取り付けプレート
１６下板
２０ダイクッション嵌合部
２０ａダイクッション頭頂面
２２ピン孔
２３、２４シリンダー
２３ａ、２４ｂピストンロッド
２５ダイクッション固定ピン
２６台
３０上プレート
３１下プレート

Claims

ダイに対して、ダイの穴径より少し大きい外径の押出パンチと、ダイの穴径より僅かに小さい外径の打抜パンチを、当該ダイに対向する位置にＮＣ位置制御可能に備えたことを特徴とするプレス加工用金型。
ダイに対して、ダイの穴径より少し大きい外径の押出パンチと、ダイの穴径より僅かに小さい外径の打抜パンチを、当該ダイに対向する位置にＮＣ位置制御可能に備えた金型を用いて、サーボ機構プレス上プレートに連結したスライダを介して、押出パンチをダイ上端直前まで降下させ、材料をダイの穴に押出し、製品と端材部分を薄皮状のブリッジ部でつながった状態に加工し、押出パンチを退避させ、次にスライダを横方向に移送して当該スライダに取り付けられた打抜パンチに切り換え、当該ブリッジ部で打抜きせん断又は破断することを特徴とする精密プレス加工方法。