JP2004255173A - 胸骨挙上器、開胸挙上器 - Google Patents
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Abstract
【課題】 胸骨の挙上中も胸骨の形状に追従して面接触状態を維持でき、胸骨を傷めてしまう恐れがなく、胸骨の開創に手間が掛かる煩わしさのない胸骨挙上器を提供する。
【解決手段】 固定腕5と可動腕7とを有する開胸器21の前記可動腕7に取り付けられる挙上器本体11に、正中切開した胸骨に固定腕5側から係合する鉤部4が、回転軸として機能する螺子12によって回転自在に支持されている構成の胸骨挙上器1、並びに、この胸骨挙上器を開胸器に取り付けた構成の開胸挙上器1Aを提供する。胸骨挙上器は、固定腕側に取り付けることも可能である。
【選択図】 図1
【解決手段】 固定腕5と可動腕7とを有する開胸器21の前記可動腕7に取り付けられる挙上器本体11に、正中切開した胸骨に固定腕5側から係合する鉤部4が、回転軸として機能する螺子12によって回転自在に支持されている構成の胸骨挙上器1、並びに、この胸骨挙上器を開胸器に取り付けた構成の開胸挙上器1Aを提供する。胸骨挙上器は、固定腕側に取り付けることも可能である。
【選択図】 図1
Description
本発明は、医療の分野において開創するために用いる医療器具に係り、詳しくは、胸部の手術に際し、開胸器に取り付けることによって正中切開された胸骨を開きながら一方の胸骨を挙上して開創する、いわゆる「胸骨挙上器」と称される医療器具の改良、並びに、この胸骨挙上器を開胸器に取り付けて構成される開胸挙上器に関するものである。
胸骨挙上器は、胸部の手術における術者の作業スペースの増大と視野の向上の
ために、胸骨を開いて開創する開胸器に取り付けて用いられるものであり、例え
ば、以下の特許文献1に記載のものなどが知られている。
特開2002−541901号公報
ために、胸骨を開いて開創する開胸器に取り付けて用いられるものであり、例え
ば、以下の特許文献1に記載のものなどが知られている。
例えば、胸部の手術である心拍動下冠動脈バイパス術(いわゆるOff-pump CABG)、特に心臓の後面にある冠動脈に吻合操作を加える際には、心臓の心尖部を挙上して、これを右側に脱転する必要があり、しかも、このような作業は、血行動態を変化させることなく行わなければならないため、挙上した心臓の心尖部を脱転するためのスペースを、その右側近傍に確保しなければならない。そこで、胸骨挙上器を取り付けた開胸器を用いて正中切開した胸骨を開きながら右側(術者から見て右側。患者にとって左胸の側。以下も同じ)の胸骨を挙上して開創し、挙上した右側の胸骨(もしくは、肋骨)の下にトンネル状の空間を形成することで、心臓の心尖部を脱転するためのスペースを確保するとともに、心臓の後面にある冠動脈に吻合操作を行うに十分な作業スペースと視野を確保するのである。
この際用いられる従来例の開胸器及び胸骨挙上器を図6に示す。図6において、開胸器2は、固定腕5とこの固定腕5に対して離れたり近づいたり自在に可動する可動腕7とを有して構成されている。可動腕7の基端部7aは、固定腕5の基端部5aから略直角方向に伸びる拡張ギア6に取り付けられている。拡張ギア6には櫛歯状の切り欠き6aが形成され、可動腕7の基端部7aに設けられ先端部分が露出するピニオン9と係合している。ピニオン9の先端部分には該ピニオン9の回転操作用のレバー8が取り付けられており、ピニオン9の回転による可動腕7の移動を可能としている。
一方、胸骨挙上器31は、板材をU字状に湾曲成形した挙上器本体32の一方の壁部に、前記開胸器2の可動腕7に取り付けられる取り付け部32aを有する。また、この取り付け部32aとは反対側(すなわち、固定腕5側)となる挙上器本体32の他方の壁部には、前記開胸器2の固定腕5側へ向って伸びる二本の鉤部33,33が突設されている。これら鉤部33,33は、切開された胸骨Rに係止されるものであり、通常、挙上器本体32から突出された細長板状部分をコ字状に屈曲成形したものであり、「コ」字の内側には胸骨Rとの当接面となる平坦面が形成されている。
以上のように構成された開胸器及び胸骨挙上器は、開胸器2の固定腕5に取り付けた係止具10が正中切開された胸骨Rの一方(左側)に可動腕7側から係合され、可動腕7に取り付けた胸骨挙上器31の鉤部33が正中切開された胸骨Rの他方(右側)に固定腕5側から係合された状態で開胸に使用されるようになっており、レバー8を回転操作して固定腕5から可動腕7を引き離すことで、切開された胸骨R間を拡張、開創することができる。なお、この際、胸骨R間の拡張に伴う右側肋骨及び右側胸骨の次第に起きあがるような移動、変位に、胸骨挙上器31が可動腕7に対する回転によって追従していくことで、右側胸骨の挙上が実現される。
しかしながら、前記胸骨挙上器では、開胸の際に、胸骨Rが鉤部33の角部に当たるケースがあるため、応力集中によって胸骨Rに骨折等が生じないよう注意深く作業を進める必要があり、作業性の面で不満があった。つまり、前述のような胸骨挙上器を取り付けた開胸器を用いて開胸していくと、図7に示すように、分離された一方又は両方の胸骨Rが湾曲して、係止具10の係合位置付近と鉤部33の係合位置付近との間が最も広くなるように開胸されてしまう。このように、両側に分離された胸骨Rが湾曲(特に、左胸(図7右側)側の胸骨Rの湾曲)してしまうと、鉤部33の角部に胸骨Rが接触しやすくなり、骨折の危険が高くなる。これに鑑みて、係止具10や鉤部33を湾曲形状としても、胸骨Rが湾曲すれば、これら係止具10や鉤部33に対する胸骨Rの当接面積が非常に狭くなることには変わり無く、応力集中によって胸骨を傷めやすい状況であり、根本的な問題解決に至らない。
本発明は、前記の事情に基づきなされたものであり、その目的とするところは、
(A)胸骨に対して面接触されるようセットした鉤部が、挙上中においても湾曲する胸骨の形状に追従して胸骨との面接触状態を維持でき、局所的な応力集中による胸骨の骨折等を効果的に防止できる胸骨挙上器、
(B)挙上中においても、胸骨に係合させた胸骨挙上器が、湾曲する胸骨の形状に追従して胸骨との面接触状態を維持でき、局所的な応力集中による胸骨の骨折等を効果的に防止できる開胸挙上器
を提供することにある。
(A)胸骨に対して面接触されるようセットした鉤部が、挙上中においても湾曲する胸骨の形状に追従して胸骨との面接触状態を維持でき、局所的な応力集中による胸骨の骨折等を効果的に防止できる胸骨挙上器、
(B)挙上中においても、胸骨に係合させた胸骨挙上器が、湾曲する胸骨の形状に追従して胸骨との面接触状態を維持でき、局所的な応力集中による胸骨の骨折等を効果的に防止できる開胸挙上器
を提供することにある。
上述の目的を達成するため、本発明は、固定腕とこの固定腕に対して離間距離可変に設けられた可動腕とを有する開胸器の前記固定腕又は前記可動腕に取り付けられて、正中切開された胸骨の挙上に用いられる胸骨挙上器であって、前記固定腕又は前記可動腕に取り付けられる挙上器本体に、正中切開された胸骨に係合される鉤部が揺動自在に支持されていることを特徴とする胸骨挙上器を提供する。
本発明に係る胸骨挙上器によれば、切開した胸骨に係合される鉤部は、挙上器本体に揺動自在に支持されていることから、一度胸骨に対して面接触されるよう適切にセットしてしまえば、胸骨の揺動や湾曲変形等に対しても円滑に追従して、常に胸骨を広い面で捉える面接触状態に維持されることとなる。これにより、小さい当接面積での当接によって、胸骨に局所的な骨折が生じてしまうといった不都合をより効果的に防止できる。
本発明に係る胸骨挙上器によれば、切開した胸骨に係合される鉤部は、挙上器本体に揺動自在に支持されていることから、一度胸骨に対して面接触されるよう適切にセットしてしまえば、胸骨の揺動や湾曲変形等に対しても円滑に追従して、常に胸骨を広い面で捉える面接触状態に維持されることとなる。これにより、小さい当接面積での当接によって、胸骨に局所的な骨折が生じてしまうといった不都合をより効果的に防止できる。
また、本発明は、固定腕とこの固定腕に対して離間距離可変に設けられた可動腕とを有する開胸器と、この開胸器の前記固定腕又は前記可動腕に取り付けられて、正中切開された胸骨の片側に係合される胸骨挙上器とを有し、前記胸骨挙上器は、前記固定腕又は前記可動腕から突設されている鉤部が係合される取り付け部を有するとともに、前記取り付け部と前記鉤部との係合部分を中心として回転できることを特徴とする開胸挙上器を提供する。
この開胸挙上器によれば、胸骨挙上器が前記取り付け部と前記鉤部との係合部分を中心として回転することで、挙上に伴う胸壁の変形に胸骨挙上器が円滑に追従して、胸骨挙上器が常に胸骨を広い面で捉える面接触状態の維持を容易に実現できる。これにより、小さい当接面積での当接によって、胸骨に局所的な骨折が生じてしまうといった不都合をより効果的に防止できる。さらに、胸骨挙上器が請求項1又は2記載の胸骨挙上器であれば、該胸骨挙上器に揺動自在に支持されている鉤部が、挙上に伴う胸骨の揺動や湾曲変形等に対して円滑に追従することで、3次元的な追従が可能になり、胸骨に対する鉤部の面接触状態の維持、局所的な骨折の防止を、より確実に実現できる。
この開胸挙上器によれば、胸骨挙上器が前記取り付け部と前記鉤部との係合部分を中心として回転することで、挙上に伴う胸壁の変形に胸骨挙上器が円滑に追従して、胸骨挙上器が常に胸骨を広い面で捉える面接触状態の維持を容易に実現できる。これにより、小さい当接面積での当接によって、胸骨に局所的な骨折が生じてしまうといった不都合をより効果的に防止できる。さらに、胸骨挙上器が請求項1又は2記載の胸骨挙上器であれば、該胸骨挙上器に揺動自在に支持されている鉤部が、挙上に伴う胸骨の揺動や湾曲変形等に対して円滑に追従することで、3次元的な追従が可能になり、胸骨に対する鉤部の面接触状態の維持、局所的な骨折の防止を、より確実に実現できる。
本発明によれば、胸部の手術における術者の作業スペースの増大と視野の向上が図れるものとなる。また、胸骨の挙上中も胸骨の揺動等に追従して胸骨挙上器の鉤部が面接触状態を維持できるので、開胸時に胸骨にかかる力が分散し、骨折等、骨を傷めてしまう恐れがない。しかも、胸骨の挙上中に爪部の接触状態に注意を払わなければならないという煩わしさも無い。
また、本発明の胸骨挙上器は、市販の開胸器に取り付けて用いることが出来、操作が非常に簡便なものである。しかも、構造が非常に単純であるので、洗浄や消毒等が十分適切に行うことが出来る。
また、本発明の胸骨挙上器は、市販の開胸器に取り付けて用いることが出来、操作が非常に簡便なものである。しかも、構造が非常に単純であるので、洗浄や消毒等が十分適切に行うことが出来る。
以下、本発明の実施の形態について図面に基づき説明する。
図1は、本実施の形態に係る胸骨挙上器を開胸器に取り付けて開胸挙上器を組み立てた状態を示す斜視図である。なお、本実施の形態に係る開胸挙上器1Aは、従来の技術にて説明した図6の開胸器の可動腕7に、図6に例示した胸骨挙上器31に代えて、本発明に係る胸骨挙上器1が取り付けられるようになっている。また、ここで採用した開胸器21は、図6に例示した固定腕5とは別体の係止具10に代えて、固定腕5に突出形成され固定腕5と一体の鉤部5bを有する開胸器を採用している。開胸器21は、胸骨挙上器の変更、及び、鉤部5bの採用以外については、従来の技術で述べた開胸器と同じ構成である。したがって、本発明の理解を容易にするため、図中、従来技術と同じ構成部分については、図6で用いた符号と同じ符号を用いて説明することとする。
図1は、本実施の形態に係る胸骨挙上器を開胸器に取り付けて開胸挙上器を組み立てた状態を示す斜視図である。なお、本実施の形態に係る開胸挙上器1Aは、従来の技術にて説明した図6の開胸器の可動腕7に、図6に例示した胸骨挙上器31に代えて、本発明に係る胸骨挙上器1が取り付けられるようになっている。また、ここで採用した開胸器21は、図6に例示した固定腕5とは別体の係止具10に代えて、固定腕5に突出形成され固定腕5と一体の鉤部5bを有する開胸器を採用している。開胸器21は、胸骨挙上器の変更、及び、鉤部5bの採用以外については、従来の技術で述べた開胸器と同じ構成である。したがって、本発明の理解を容易にするため、図中、従来技術と同じ構成部分については、図6で用いた符号と同じ符号を用いて説明することとする。
本実施の形態の胸骨挙上器1は、全体的に剛性を有する材料(金属や合成樹脂)によって構成されている。図1に示すように、胸骨挙上器1は、断面略L字形をした挙上器本体11の一方の壁部11a(断面「L」字の屈曲部から延びる一方のフランジ)が、前記開胸器21の可動腕7に取り付けられる取り付け部として機能する(以下、この壁部を「取り付け部」と称する場合がある)。この胸骨挙上器1は、可動腕7から突設されている鉤部7bを、取り付け部11aに開口されている窓11bに挿入して取り付け部11aに係合させることで、可動腕7に対して連結状態に取り付けられる。
また、挙上器本体11の他方の壁部11c(断面「L」字の他方のフランジ)は、図3(a)に示すように、正中切開された胸骨Rの一方(右側の胸骨)に該胸骨挙上器1の鉤部4(後述)を係合した際に、右側胸骨から延びる肋骨上に押し当てるようにして配置される当接部として機能する。以下、この壁部11cを「当接部」と称する場合がある。
また、挙上器本体11の他方の壁部11c(断面「L」字の他方のフランジ)は、図3(a)に示すように、正中切開された胸骨Rの一方(右側の胸骨)に該胸骨挙上器1の鉤部4(後述)を係合した際に、右側胸骨から延びる肋骨上に押し当てるようにして配置される当接部として機能する。以下、この壁部11cを「当接部」と称する場合がある。
また、図1〜図3において、この胸骨挙上器1には、断面L字状の挙上器本体11の「L」字の屈曲部11d(両壁部11a、11cの連結部分)から、前記取り付け部11aに対して逆側へ伸びる係止指3(突部)が、間隔を有して並行に二本設けられており、各係止指3先端には、鉤部4が螺子12を軸として回転自在に軸支されている。鉤部4は、細長板状材をコ字状に屈曲成形したものであり、「コ」字の内側には胸骨Rとの当接面となる平坦面が形成されている。
前記螺子12は、胸骨挙上器1をセット(胸骨を挙上可能な状態)したとき、つまり、正中切開した胸骨Rの一方に鉤部4を係合したときに、鉤部4を係合した胸骨Rに対してほぼ直交する向きに配置される。
前記螺子12は、胸骨挙上器1をセット(胸骨を挙上可能な状態)したとき、つまり、正中切開した胸骨Rの一方に鉤部4を係合したときに、鉤部4を係合した胸骨Rに対してほぼ直交する向きに配置される。
以上のように構成された胸骨挙上器1を取り付けた開胸器21を用い、例えば、心臓を露出させるように開胸する場合は、仰臥位で行い、胸骨柄直上より剣状突起下にいたる前胸部正中皮膚を切開し、さらに、皮下組織、胸骨骨膜を、例えば、電気メスを用いて切開する。次いで、正中胸骨Rを、例えば、振動式の電動鋸にて縦切開し、骨膜縁からの出血を電気メスで焼灼し、骨髄からの出血を骨蝋によって止血した後に、開胸器21を用いて胸骨を開く。
開胸挙上器1Aを用いた開胸作業を具体的に説明すると、まず、正中切開された胸骨Rの一方(図1〜図3左側)に固定腕5側の鉤部5bを係合するとともに、切開された胸骨Rの他方(図1〜図3右側。患者にとって左胸の側)に、胸骨挙上器1の鉤部4を固定腕5側から係合する。このとき、挙上器本体11の当接部11cを右側胸骨Rから延びる肋骨上に押し当てるように配置する。当接部11cは、具体的には、屈曲部11dからの突出先端11eを右側胸骨Rから延びる肋骨上に押し当てるようにする。
この胸骨挙上器1は、当接部11cの屈曲部11dからの突出寸法h(図3(a)参照)と、屈曲部11dから鉤部4先端(詳細には鉤部4先端の胸骨Rを収容する部分内面)までの距離tとが、h/t≧0.7の関係にあるため、屈曲部11dからの鉤部4の距離との関係によって、挙上器本体11は、取り付け部11a側が鉤部4に対して上方に浮き上がるよう、斜めに設置される。hの寸法の上限は、胸骨の捲り上げ(後述)の作業に支障無い範囲で自由に設定可能であり、例えばtと同じに設定することも可能である。なお、従来例の挙上器31は、前記寸法h、tに対応する図6中の寸法h1、t1の関係が、h1/t1≦0.4であり、胸骨Rに沿わせるようにしてセットするようになっている点で、本発明に係る胸骨挙上器と異なる。また、従来例の胸骨挙上器には、本発明の胸骨挙上器が梃子のように働いて胸壁を捲り挙げる機能(後述)は存在しない。
そして、レバー8を操作することにより開胸器2を駆動して、固定腕5から可動腕7を引き離すことで、固定腕5と胸骨挙上器1との間を離間させて、正中切開された胸骨R間を拡張する。
そして、レバー8を操作することにより開胸器2を駆動して、固定腕5から可動腕7を引き離すことで、固定腕5と胸骨挙上器1との間を離間させて、正中切開された胸骨R間を拡張する。
この開胸挙上器1Aを用いた開胸作業の当初は、開胸器21は開胸開始の姿勢を維持したまま、固定腕5と可動腕7との間の距離が広がっていくが、ある程度、開胸が進行し、右側胸壁(図3右側の胸壁)の変形が限界に近づくと、右側胸壁が捲れ上がるような変形を開始するため(図3(b)参照)、これに伴い、可動腕7に取り付けられた胸骨挙上器1も、取り付け部11aと可動腕7の鉤部7bとの係合部分を中心とする回転によって、右側胸壁の変形にしたがって円滑に追従していく。また、右側胸骨Rに係合されている鉤部4と当接部11cの右側胸壁に対する位置との関係によって、胸骨挙上器1が当接部11cの突出先端11eを中心として回転(鉤部4側が持ち上がるような回転)する結果、胸骨挙上器1が当接部11c先端を支点とする梃子状に機能して、右側胸骨Rに係合されている鉤部4によって右側胸壁を捲り上げるようになるため、胸壁の挙上作業性を向上できる。結局、これにより右側胸骨Rを円滑に挙上できる。つまり、鉤部4が、当接部11cの突出先端11eを支点として持ち上がるようになり、右側胸骨R(及び該右側胸骨Rに連なる胸壁)を捲り上げる。
図4(a)、(b)に示すように、右側胸骨Rにセットされた鉤部4は回転自在であるので、図2に示すように、開胸に伴う胸骨Rの湾曲変形にも軸(螺子12)を中心とする回転によって良く追従して、挙上作業中も常に胸骨を広い面で捉える面接触状態が維持されることとなる。このため、胸骨挙上器1の回転と、鉤部4の回転とによって、結局、鉤部4が、挙上に伴う胸骨の変形に対して3次元的に追従することとなり、挙上作業中も常に胸骨を広い面で捉える面接触状態が維持され、開胸作業中に右側胸骨Rを傷める心配が無い。
心拍動下冠動脈バイパス術(いわゆるOPCAB[OPCAB:Off Pump Coronary Artery Bypass])の場合、開胸挙上器1Aを用いて前述のような開胸作業を行った後、縦隔を左右に剥離し、胸腺組織を左右に分離し、上行大動脈の心膜飜転部より横隔膜に至るまで心膜を縦切開するとともに、心膜切開下端で横切開することにより、心臓の露出が良好となる。特に、右側胸壁を挙上したまま、手術台を右側に傾けて胸壁切開創が水平になるようにし、右側心膜を切開すると、心尖部の挙上、並びに、右側(術者側)への心臓の脱転を、血行動態を大きく変化させることなく効率良く行える。手術台を傾けたときに胸壁が揺動しても、前述のような胸骨挙上器であれば、鉤部4が胸骨に良く追従して面接触状態を維持するため、手術台の傾動等の作業性を向上できる。
なお、本発明の胸骨挙上器は、上述した実施の形態に限定されること無く、請求の範囲を逸脱しない範囲で種々変更することができる。例えば、図5は、係止指3先端に貫通させた挿通穴15に、コ字状に形成された鉤部14の一端に形成されたピン状のピン状係止部16を遊挿した構成になっている。但し、ピン状係止部16は、この構成では、鉤部14は、ピン状係止部16から延びる先端に、固定腕側から胸骨に係合されるコ字状に屈曲された部分を有している。そして、この鉤部14は、ピン状係止部16を中心とする回転の他、挿通穴15内のピン状係止部16の浮動によって自在に揺動(挿通穴15付近を中心とする旋回など)することができ、胸骨に対する追従性が一層向上する。しかも、螺子を用いず構造及び形状が非常に簡素であるので、洗浄や消毒等も高率良く適切に行うことが出来ることとなる。
また、本発明の胸骨挙上器(並びにこれを用いた開胸器)は、心拍動下冠動脈バイパス術(いわゆるOff-pump CABG)に限定されず、例えば、(OPCAB等における)内胸動脈採取、収縮性心膜炎に対する心膜切除の際のOff−pump、大血管の弓部大動脈瘤置換術を正中からする場合の遠位弓部の縫合(本発明の適用により縫合作業性を向上できる)等にも適用できる。
また、本発明の胸骨挙上器(並びにこれを用いた開胸器)は、心拍動下冠動脈バイパス術(いわゆるOff-pump CABG)に限定されず、例えば、(OPCAB等における)内胸動脈採取、収縮性心膜炎に対する心膜切除の際のOff−pump、大血管の弓部大動脈瘤置換術を正中からする場合の遠位弓部の縫合(本発明の適用により縫合作業性を向上できる)等にも適用できる。
開胸器の具体的構成は適宜変更可能であり、様々な構成のものを採用できる。
また、上述の例では、胸骨挙上器を開胸器の可動腕に取り付ける構成の開胸挙上器を例示したが、開胸挙上器としては、開胸器の固定腕側に胸骨挙上器を取り付ける構成も採用できる。固定腕側に胸骨挙上器を取り付ける構成では、固定腕の鉤部5bを、胸骨挙上器の取り付けに利用できる。
また、胸骨挙上器1を固定腕又は可動腕に係合させる鉤部としては、胸骨を捲り上げるような胸骨挙上器の挙動(傾動)が可能なように、胸骨挙上器との係合により、細長形状の固定腕又は可動腕の長手方向に沿った軸線回りの回転を許容する形状が採用されるが、この鉤部の形状は適宜変更可能であり、鉤部の形状を変更することで、鉤部との係合部分を中心とする回転によって、胸骨を捲り上げるような回転(傾動)以外の方向にも胸骨挙上器の向きを可変とすることも可能である。
また、上述の例では、胸骨挙上器を開胸器の可動腕に取り付ける構成の開胸挙上器を例示したが、開胸挙上器としては、開胸器の固定腕側に胸骨挙上器を取り付ける構成も採用できる。固定腕側に胸骨挙上器を取り付ける構成では、固定腕の鉤部5bを、胸骨挙上器の取り付けに利用できる。
また、胸骨挙上器1を固定腕又は可動腕に係合させる鉤部としては、胸骨を捲り上げるような胸骨挙上器の挙動(傾動)が可能なように、胸骨挙上器との係合により、細長形状の固定腕又は可動腕の長手方向に沿った軸線回りの回転を許容する形状が採用されるが、この鉤部の形状は適宜変更可能であり、鉤部の形状を変更することで、鉤部との係合部分を中心とする回転によって、胸骨を捲り上げるような回転(傾動)以外の方向にも胸骨挙上器の向きを可変とすることも可能である。
R…胸骨、1…胸骨挙上器、1A…開胸挙上器、21…開胸器、3,13…係止指、3a…(係止指)基部、4,14…鉤部、5…固定腕、5a…(固定腕)基端部、5b…鉤部、6…拡張ギア、6a…切り欠き、7…可動腕、7a…(可動腕)基端部、8…レバー、9…ピニオン、11…挙上器本体、11a…取り付け部、12…螺子(回転軸)、15…挿通穴、16…ピン状係止部。
Claims (4)
- 固定腕とこの固定腕に対して離間距離可変に設けられた可動腕とを有する開胸器の前記固定腕又は前記可動腕に取り付けられて、正中切開された胸骨の挙上に用いられる胸骨挙上器であって、
前記固定腕又は前記可動腕に取り付けられる挙上器本体に、正中切開された胸骨に係合される鉤部が揺動自在に支持されていることを特徴とする胸骨挙上器。 - 前記鉤部が、前記開胸器によって挙上される胸骨に対してほぼ直交する向きに配置される軸を以て前記挙上器本体に回転自在に軸支されていることを特徴とする請求項1記載の胸骨挙上器。
- 固定腕とこの固定腕に対して離間距離可変に設けられた可動腕とを有する開胸器と、この開胸器の前記固定腕又は前記可動腕に取り付けられて、正中切開された胸骨の片側に係合される胸骨挙上器とを有し、
前記胸骨挙上器は、前記可動腕から突設されている鉤部が係合される取り付け部を有するとともに、前記取り付け部と前記鉤部との係合部分を中心として回転できることを特徴とする開胸挙上器。 - 前記胸骨挙上器が請求項1又は2記載の胸骨挙上器であることを特徴とする請求項3記載の開胸挙上器。
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