JP2004253294A - 誘電体薄膜と薄膜コンデンサおよびそれを用いた電子回路部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】低温形成が容易な高誘電性の誘電体薄膜の提供。
【解決手段】常誘電性結晶微粒子を金属アルコキシド、金属錯体および/または金属カルボン酸塩を主原料とする金属酸化物アモルファス前駆体中に分散させた前駆体溶液を基板上に塗布し、乾燥,焼成することにより形成した誘電体薄膜。
【選択図】 なし
【解決手段】常誘電性結晶微粒子を金属アルコキシド、金属錯体および/または金属カルボン酸塩を主原料とする金属酸化物アモルファス前駆体中に分散させた前駆体溶液を基板上に塗布し、乾燥,焼成することにより形成した誘電体薄膜。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗布法による誘電体薄膜に係り、前記誘電体薄膜をキャパシター膜として用いた薄膜コンデンサおよび電子回路部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
薄膜コンデンサに用いられる誘電体薄膜は、さらなる高静電容量化のため薄膜化が進んでいる。しかし、これに伴いリーク電流が増加してしまい、薄膜化には限界がある。
【0003】
そこで、誘電体材料の高誘電率化が検討され、比誘電率の高い各種の強誘電体材料の利用が試みられている。例えば、強誘電体材料であるBaTiO3(BTO)やPbZr1−aTiaO3(但し、0≦a≦1)(PZT)は、高誘電体薄膜としてだけではなく、不揮発性メモリとして有用であるため、薄膜に関して盛んに研究が進められている。
【0004】
しかし、BTOやPZTなどの結晶は比誘電率が高いものの、強誘電性、圧電性、焦電性を有するためコンデンサ材料としては不向きであり、強誘電性よりは、むしろ常誘電性の高誘電率材料の方が適切であると考えられる。
【0005】
このため、コンデンサ材料として、室温で常誘電性を示すチタン酸ストロンチウム(SrTiO3(STO))等の結晶が用いられている。STO等の製造法としては、スパッタリング法、CVD法等のドライプロセスによるもの、ゾル−ゲル法等のウエットプロセスによるものが知られている。
【0006】
電子バイスにとっては高温での熱処理は幾つかの弊害が生じる。例えば、PZT等は成分のPbOがシリコン基板と反応し誘電特性を低下させ、電極および配線に銅を用いた場合、高温焼成下では銅が酸化する恐れがある。また、絶縁層や基板材料に有機材料を用いる場合、高温焼成下に置くことにより有機材料が変質する恐れがある。従って、成膜はできるだけ低い温度で行うことが求められている。
【0007】
ドライプロセスにより誘電体結晶を成膜する場合、使用する装置は非常に高価な上に、元素毎に蒸気圧が異なるため、化学的量論性に優れた大面積の誘電体薄膜を安定して製造することができない。結晶化させるには、600℃以上の高温が必用で、基材にダメージを与えてしまうため、基材の選択に制限がある等の問題を有している。また、生産性が低くコストが高いと云う欠点がある。
【0008】
ゾル−ゲル法やMOD法による溶液塗布法では、例えば、金属アルコキシを用いたゾル−ゲル法は、精密な化学組成の制御、分子レベルの均一性、大面積化、低設備コスト等の面で利点がある。
【0009】
しかし、従来のゾル−ゲル法では、有機金属の前駆体を熱分解(焼成)させて結晶化させるには、600℃以上の高温が必用とされ、基材にダメージを与えてしまうため、基材の選択に制限がある等の問題を有している。
【0010】
一方、金属酸化物アモルファスを誘電体薄膜として用いる場合はドライプロセス、ウエットプロセスいずれにおいても結晶化のための焼成を必要とせず、金属酸化物結晶に比べ、低温で誘電体薄膜を形成することが可能である。また、結晶で強誘電性を示すBTOやPZTにおいても、アモルファスでは室温で常誘電性を示し、コンデンサ材料として利用可能である。しかし、アモルファスでは、得られる誘電率が金属酸化物結晶に比べて低く、コンデンサ材料としては不十分である。
【0011】
また、金属酸化物アモルファス中に、金属酸化物結晶を含有させた金属酸化膜が作製されている。金属酸化物薄膜の作製において、金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液と、該有機溶媒溶液に水を加えた溶液との混合溶液を基板上に塗布し、その後熱処理することにより、アモルファス相または超微粒子相と結晶粒子との混在した構造を有する酸化物薄膜を作製できることが知られている(特許文献1)。
【0012】
しかし、この方法において作製できるのは、金属酸化物アモルファスと金属酸化物微粒子が同じ組成の薄膜であり、異なる組成の金属酸化物アモルファスと金属酸化物微粒子を組み合わせることは困難である。
【0013】
誘電体薄膜においては、媒質となる金属酸化物アモルファスと、金属酸化物結晶の種類と添加量を自由に組み合わせて、比誘電率、誘電損失等の電気特性を制御できることが望ましい。
【0014】
また、金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液と、該有機溶媒溶液に水を加えた溶液を加熱分解,縮合した後、さらに、分解縮合した温度よりも高い温度で焼成を行い、結晶化を進行させなければならない。よって、高温に曝され、基材にダメージを与えてしまうために、基材の選択に制限がある等の問題がある。
【0015】
【特許文献1】
特開平8−245263号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記従来技術の問題の解決にあり、その主な目的は、低温形成が容易な高誘電性の誘電体薄膜、それを用いた薄膜コンデンサ、および、電子回路部品の提供にある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、金属酸化物微粒子の合成方法および誘電体薄膜の作製方法を鋭意検討した結果得られたものである。
【0018】
その特徴は、常誘電性結晶微粒子を金属アルコキシド、金属錯体および/または金属カルボン酸塩を主原料とする金属酸化物アモルファス前駆体中に分散させ、当該前駆体溶液を基板上に塗布し、乾燥,焼成することにより誘電体薄膜を作製することにある。
【0019】
用いる常誘電性結晶微粒子は室温で常誘電性を示し、一般にコンデンサ用誘電体材料として用いられている金属酸化物であればよい。例えば、Ba,Sr,Ca,La,Ti,Ta,Zr,Cu,Fe,W,Co,Mg,Zn,Ni,Nb,Pb,Li,K,Sn,Al,Smの1種以上を含む酸化物を用いることができる。
【0020】
その製造方法は、気相法(化学気相析出法(CVD),物理気相析出法(PVD))、溶液法(金属アルコキシド法,共沈法,逆ミセル法,噴霧法等)等、金属酸化物の微粒子を形成できる方法であればよい。
【0021】
また、薄膜を得るためには、極力、微粒子間の凝集を防ぐ必要がある。金属アルコキシド、金属錯体および/または金属カルボン酸塩等を用いた溶液中での微粒子形成法が、他の方法に比べ望ましい。この場合、(BaXSr1−X)TiO3(但し、0≦X≦1)で示される金属酸化物は、ゾル−ゲル法により直接、結晶微粒子が得られることが知られており、この結晶微粒子を用いることができる。
【0022】
溶液中での前記(BaXSr1−X)TiO3結晶微粒子の合成にはBa,Sr,Tiの金属のアルコキシド,金属錯体または金属カルボン酸塩を用いることができる。
【0023】
金属アルコキシドとしては、例えばOCH3、OC2H5、OC3H7、OC4H9、OC2H4OCH3などのアルコキシル基からなるアルコキシドを用いることができる。
【0024】
金属錯体化合物としては前記金属のアセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、ベンゾイルトリフルオロアセトン、ベンゾイルジフルオロアセトン、ベンゾイルフルオロアセトンの錯体等が挙げられる。また、金属カルボン酸塩としては、例えば、酢酸,シュウ酸等の金属カルボン酸塩を用いることができる。
【0025】
用いる常誘電性結晶微粒子の粒径は、膜厚以下であればよい。バルクで強誘電性を示す誘電体結晶の場合、一般に液相法,気相法により作製した強誘電体結晶微粒子は、粒径が小さくなるに伴い強誘電性ではなく常誘電性を示すことが知られている。
【0026】
例えば、チタン酸バリウムでは、120nm以下の粒径では強誘電性を示す正方晶ではなく、常誘電性の立方晶を示すことが知られている(セラミクス 27(1992)No8 701)。従って、バルクで強誘電性を示す誘電体をコンデンサ材料として用いる場合、室温で強誘電性を示さなくなる粒径まで微粒子化する必用がある。
【0027】
本発明の金属酸化物誘電体アモルファスを形成するための前駆体化合物としては、最終的に金属酸化物アモルファスとなる化合物であれば限定されない。金属アルコキシド、金属錯体および金属カルボン酸塩から選ばれる1種以上が好ましい。
【0028】
特に、一般式Pb(ZryTi1−y)TiO3(但し、0≦y≦1)で示される金属酸化物アモルファスは高誘電率を示し、比誘電率の高い誘電体薄膜を得たい場合、上記の一般式で示される金属酸化物アモルファスに、金属酸化物微粒子を添加することは効果的である。
【0029】
金属アルコキシドとしてはBa,Sr,Ca,La,Ti,Ta,Zr,Cu,Fe,W,Co,Mg,Zn,Ni,Nb,Pb,Li,K,Sn,Al,Smなどのアルコキシドが挙げられる。例えば、OCH3,OC2H5,OC3H7,OC4H9,OC2H4OCH3などのアルコキシル基からなる金属アルコキシド等を用いることができる。
【0030】
金属錯体化合物としては前記金属のアセチルアセトン,ベンゾイルアセトン,ベンゾイルトリフルオロアセトン,ベンゾイルジフルオロアセトン,ベンゾイルフルオロアセトンの錯体等が挙げられる。
【0031】
金属カルボン酸塩としては例えば、酢酸塩などが用いられ、具体的には以下のようなものが挙げられる。酢酸バリウム,酢酸銅(II),酢酸リチウム,酢酸マグネシウム,酢酸鉛,シュウ酸バリウム,シュウ酸カルシウム,シュウ酸銅(II),シュウ酸マグネシウム,シュウ酸スズ(II)等を用いることができる。
【0032】
本発明の誘電体薄膜は、金属酸化物アモルファス中に常誘電性結晶微粒子を任意の割合で含有することにより、非誘電率や誘電損失等の電気特性を変えることができる。
【0033】
常誘電性結晶微粒子と誘電体アモルファス前駆体の割合は、ペースト状態で塗布できる範囲であれば特に制限はないが、誘電特性の上からは、常誘電性結晶微粒子の添加量が、金属酸化物アモルファスと常誘電性結晶微粒子の和に対して20mol%以上でないと微粒子添加の効果が低い。また、誘電体薄膜のリーク電流の面からは80mol%以下であることが好ましい。
【0034】
塗布方法はバーコート,ディップコート,ロールコート,スピンコートなど、金属酸化物前駆体溶液の性質により各種の方法が可能である。
【0035】
形成される膜の厚さは、特に限定されるものではないが、一般的に5nm〜50μmであり、1回の塗布で所望の膜厚が得られない場合には、塗布,乾燥の工程を複数回繰り返し行った後、本焼成を行う。ここで、乾燥は50〜400℃で30秒〜15分、本焼成は200〜400℃で30分〜2時間程度行うことが望ましい。
【0036】
また、本発明の薄膜コンデンサは、上記した誘電体薄膜の両面に、一対の電極を対向し形成したものである。なお、誘電体薄膜と電極とを交互に積層した積層薄膜コンデンサであってもよいことは勿論である。
【0037】
本発明の薄膜コンデンサに用いる電極は、電気抵抗の低い導電性材料が好ましい。具体的には金,銅,ニッケル,アルミニウム,プラチナ,タングステン,モリブデン,鉄,ニオブ,チタン,ニッケル/クロム合金,鉄/ニッケル/クロム合金,窒化タンタル等が挙げられる。特に、銅は電気抵抗が小さく好ましい。
【0038】
本発明のコンデンサにおいては、基板を金属酸化物の結晶化温度付近まで加熱することなく、金属酸化物薄膜を形成することができる。この場合、絶縁層や基板材料に高温で変性し易い有機材料を用いることができる。また、電極および配線には、高温焼成下では反応を生じる酸化インジュウムや銅を用いることができる。
【0039】
本発明における電子回路部品とはインダクタ,コンデンサ,抵抗などの複数の受動素子を組み合わせて特定の機能を持たせたものや、前記受動素子に加えダイオード,トランジスタ,IC,LSIなどの能動素子を組み合わせ特定の機能を持たせた部品である。
【0040】
具体的にローパスフィルタやバンドパスフィルタなどの特定の周波数および周波数帯を選択するための回路や、これらフィルタを組み合わせ2つの周波数領域を分離するためのダイプレクサ、信号の一部をピックアップするためのカプラ、送信と受信の電波を分離するためのデュプレクサやアンテナスイッチ、信号の周波数を制御するための電圧制御発信機、回路と回路のインピーダンスをマッチングするための整合回路などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の誘電体材料作製の実施例を説明する。
【0042】
〔比較例 1〕
SrTiO 3 (STO)アモルファス
窒素下、金属ストロンチウム4.381gと2−メトキシエタノール100mlとを500mlの反応容器に入れ、1時間撹拌してストロンチウムアルコキシドを合成した。
【0043】
ストロンチウムが完全に消失したのを確認した後、テトラエトキシチタン11.4gを加え24時間還流して複合アルコキシドを合成した。合成した複合アルコキシドに2−メトキシエタノールを加え250mlとした。
【0044】
複合アルコキシド溶液をSi基板上にTi/Ptをスパッタした基板上にスピンコートし、ホットプレートにて350℃,10分間焼成した。この薄膜作製操作を10回行った後、350℃,60分間焼成し誘電体薄膜を作製した。さらにマスクを付け、金電極を蒸着し誘電特性測定用試料を作製した。測定された比誘電率は100kHzで12であった。
【0045】
〔実施例 1〕
STOアモルファス薄膜中にBa 0.5 Sr 0.5 TiO 3 (BST)微粒子(気相法により形成)添加(50mol%)
比較例1と同様の条件で複合アルコキシド調製した。CVD法で形成したBST微粒子(平均粒径18nm)1gに、誘電体前駆体の複合アルコキシド溶液24mlを添加した溶液を、超音波照射することにより微粒子を分散させた後、Si基板上にTi/Ptをスパッタした基板上にスピンコートし、焼成炉にて350℃,10分間焼成した。
【0046】
この薄膜作製操作を6回行った後、所定の温度で60分間焼成し誘電体薄膜を作製した。さらにマスクを付け、金電極を蒸着し誘電特性測定用試料を作製した。測定された比誘電率は50、誘電損失は100kHzで0.012であった。
【0047】
〔比較例 2〕
STOアモルファス中にBST微粒子(液相法で形成)添加(10mol%)
窒素下、バリウム0.824g、ストロンチウム0.526gをベンゼン50ml、エタノール50mlを加え、500mlの反応容器に入れて70℃,1時間還流した。次いで、テトラエトキシチタン2.737gを入れ、70℃,24時間還流した。水72gの入ったエタノール28mlを反応溶液に加えた後、70℃,5時間還流しBST微粒子を合成した。
【0048】
遠心分離装置(20000rpm/20m)で分離し、2−メトキシエタノールに溶媒置換した。
【0049】
実施例1と同様の条件で複合アルコキシドを調製した。誘電体微粒子0.5gに誘電体前駆体の複合アルコキシド108mlを添加した溶液を、超音波照射することにより微粒子を分散後、Si基板上にTi/Ptをスパッタした基板上にスピンコートし、焼成炉にて350℃,10分間焼成した。この薄膜作製操作を6回行った後、350℃で60分間焼成し誘電体薄膜を作製した。
【0050】
さらにマスクを付け金電極を蒸着し、誘電特性測定用試料を作製した。測定された比誘電率は100kHzで13であった。
【0051】
〔実施例 2〕
STOアモルファス中にBST微粒子(液相法で形成)添加(20mol%)
実施例1と同様の条件で複合アルコキシドを調製し、比較例2と同様にBST微粒子を調製した。
【0052】
誘電体微粒子0.5gに、誘電体前駆体の複合アルコキシド48mlを添加した溶液を超音波照射することにより、微粒子を分散させた後、Si基板上にTi/Ptをスパッタした基板上にスピンコートし、焼成炉で350℃,10分間焼成した。この薄膜作製操作を6回行った後、350℃で60分間焼成し、誘電体薄膜を作製した。さらにマスクを付け金電極を蒸着し、誘電特性測定用試料を作製した。測定された比誘電率は100kHzで27であった。
【0053】
〔実施例 3〕
STOアモルファス中にBST微粒子(液相法で形成)添加(50mol%)
実施例1と同様の条件で複合アルコキシドを調製し、比較例2と同様にBST微粒子を調製した。
【0054】
誘電体微粒子1gに誘電体前駆体の複合アルコキシド24mlを添加した溶液を、超音波照射することにより微粒子を分散させた後、Si基板上にTi/Ptをスパッタした基板上にスピンコートし、焼成炉で350℃,10分間焼成した。この薄膜作製操作を5回行った後、350℃で60分間焼成し、誘電体薄膜を作製した。さらにマスクを付け金電極を蒸着し誘電特性測定用試料を作製した。測定された比誘電率は100kHzで52、誘電損失は0.01、電気抵抗値は20MΩ以上であった(膜厚550nm)。
【0055】
〔比較例 3〕
STOアモルファス中にBST微粒子(液相法で形成)添加(90mol%)
実施例1と同様の条件で複合アルコキシドを調製し、比較例2と同様にBST微粒子を調製した。
【0056】
誘電体微粒子5.4gに、誘電体前駆体の複合アルコキシド14.4mlを添加した溶液を、超音波照射することにより微粒子を分散させた後、Si基板上にTi/Ptをスパッタした基板上にスピンコートし、焼成炉で350℃,10分間焼成した。この薄膜作製操作を4回行った後、350℃で60分間焼成し誘電体薄膜を作製した。さらにマスクを付け金電極を蒸着し、誘電特性測定用試料を作製した。測定された電気抵抗値は480kΩであり(膜厚535nm)、誘電特性を評価することはできなかった。
【0057】
〔実施例 4〕
PbZr 0.5 Ti 0.5 O 3 (PZT)アモルファス中にBST微粒子添加
比較例2と同様にBST微粒子を作製した。窒素下、酢酸鉛3.252gに2−メトキシエタノール30mlを加え、500mlの反応容器に入れた。
【0058】
次いで、ジルコニウムブトキシド2.256g、チタンテトラ−iso−プロポキシド1.496gを加えた後、30分撹拌してPZT前駆体を合成した。合成した複合アルコキシドに2−メトキシエタノールを加え50mlとした。
【0059】
BST微粒子1gに、PZT前駆体の複合アルコキシド24.0mlを添加した溶液を、超音波照射することにより微粒子を分散させた。これを、Si基板上にTi/Ptをスパッタした基板上にスピンコートし、焼成炉で350℃,10分間焼成した。この薄膜作製操作を5回行った後、350℃で60分間焼成し、誘電体薄膜を作製した。さらに、マスクを付け金電極を蒸着し、誘電特性測定用試料を作製した。測定された比誘電率は100kHzで107であった。
【0060】
〔実施例 5〕
図1は、本発明による薄膜コンデンサの断面模式図で、以下の方法により薄膜コンデンサを作製した。
【0061】
ガラス基板上にスパッタ法でCrを50nm成膜、更に、Cuを500nm成膜し、これを銅メッキ給電用種膜とした。
【0062】
このCu膜上に、ネガ型液状レジストPMER−N−CA1000(東京応化製)をスピン塗布し、ホットプレートでプリベークした後、露光,現像工程を経てレジストマスクを形成した。このレジスト開口部に、電流密度1A/dmで電気銅メッキを10μm行った。
【0063】
次に、レジストマスクを除去し、銅エッチング液コブラエッチ(荏原電産製)で銅種膜を除去した。更に、過マンガン酸系Crエッチング液を用いCr種膜を除去し下部電極を形成した。
【0064】
次に、銅配線パターン上にスパッタ法でCrを成膜した。実施例4に示した金属酸化物前駆体溶液を下部電極上にスピンコートし、100℃,30秒乾燥する操作を5回繰り返した後、350℃,1時間焼成し、金属酸化物前駆体を分解縮合し、厚さ500nmの金属酸化物アモルファス薄膜を形成した。
【0065】
この上にポジ型液状レジストOFPR800、500cpをスピンコートし乾燥した後、露光,現像工程を経て誘電体端部が下部電極端部よりも20μm外側になるようにしたレジストマスクを形成した。
【0066】
次にCF4で上記誘電体をドライエッチングし、下部電極上に誘電体を形成させた後にレジストを剥離した。
【0067】
誘電体および下部電極を含む基板表面に感光性絶縁膜HD6000−8(HDマイクロシステムズ製)をスピンコートし、乾燥,露光,現像,焼成により絶縁膜パターンを形成した。
【0068】
次に、前記金属酸化物アモルファス薄膜を含む基板表面上に、スパッタ法を用いてCrを50nm成膜、更に、Cuを500nm成膜し、これを種膜とした。
【0069】
このCu膜上にネガ型液状レジストPMER−N−CA1000(東京応化製)をスピン塗布し、ホットプレートでプリベークした後、露光,現像工程を経てレジストマスクを形成した。このレジスト開口部に電流密度1A/dmで電気銅メッキを10μm行った。その後、レジストマスクを除去し、銅エッチング液コブラエッチ(荏原電産製)で銅種膜を除去した。更に、過マンガン酸系Crエッチング液を用いてCr種膜を除去し、上部電極を形成した。
【0070】
誘電体上部電極を含む基板表面に、感光性絶縁膜HD6000−8(HDマイクロシステムズ製)をスピンコートし乾燥,露光,現像,焼成により保護絶縁膜パターンを形成した。
【0071】
以上の方法で作製した薄膜コンデンサの比誘電率は、100kHzで103であった。
【0072】
実施例1〜5で作製した誘電体薄膜の誘電特性を表1に示す。
【0073】
【表1】
【0074】
比較例1と実施例1〜4に示すように金属酸化物微粒子を金属酸化物アモルファスに添加することにより、誘電体薄膜の誘電率を上げることができる。
【0075】
実施例2,3に示すように微粒子の添加量を増やすことにより、比誘電率を上げることができる。
【0076】
また、実施例4に示すように、一般式Pb(ZryTi1−y)O3(但し0≦y≦1)で示される金属酸化物アモルファスを用いることにより、STOを金属酸化物アモルファスに用いた場合(実施例3)に比べ高い比誘電率を得ることができる。
【0077】
また、比較例1,2,実施例2に示すように、微粒子の添加量が20mol%以上でないと比誘電率の向上はあまり見られない。
【0078】
さらにまた、比較例3に示すように微粒子の添加量が90mol%であるとリーク電流が大きく、誘電体薄膜としては十分でない。実施例4に示すように金属酸化物微粒子を金属酸化物アモルファスに添加することにより、有機材料やCuを用いたコンデンサを作製することができる。
【0079】
〔実施例 6〕
図2は、本発明による薄膜コンデンサを使用したフィルター回路の断面模式図である。以下の方法によりフィルター回路を作製した。
【0080】
ガラス基板上にスパッタ法でCrを50nm成膜し、更に、Cuを500nm成膜して、銅メッキ給電用種膜とした。
【0081】
このCu膜上にネガ型液状レジストPMER−N−CA1000(東京応化製)をスピン塗布し、ホットプレートでプリベークした後、露光,現像工程を経てレジストマスクを形成した。このレジスト開口部に電流密度1A/dmで電気銅メッキを10μm行った。次にレジストマスクを除去し、銅エッチング液コブラエッチ(荏原電産製)で銅種膜を除去した。更に、過マンガン酸系Crエッチング液を用いCr種膜を除去し下部電極を形成した。
【0082】
次いで、銅配線パターン上にスパッタ法でCrを成膜した。実施例4に示した金属酸化物前駆体溶液を下部電極上にスピンコートし、100℃,30秒乾燥する操作を6回繰り返した後、350℃,1時間焼成し、金属酸化物前駆体を分解縮合し、厚さ500nmの金属酸化物アモルファス薄膜を形成した。
【0083】
この上にポジ型液状レジストOFPR800、500cpをスピンコートし乾燥した後、露光,現像工程を経て誘電体端部が下部電極端部よりも20μm外側になるようにしたレジストマスクを形成した。
【0084】
次にCF4で上記誘電体をドライエッチングし、下部電極上に誘電体を形成させた。最後にレジストを剥離した。
【0085】
誘電体および下部電極を含む基板表面に感光性絶縁膜HD6000−8(HDマイクロシステムズ製)をスピンコートし乾燥,露光,現像,焼成により絶縁膜パターンを形成した。
【0086】
次に、前記絶縁膜パターンを含む基板表面上に、スパッタ法を用いてCrを50nm、Cuを500nm成膜し、これを種膜とした。
【0087】
このCu膜上にネガ型液状レジストPMER−N−CA1000(東京応化製)をスピン塗布し、ホットプレートでプリベークした後、露光,現像工程を経てレジストマスクを形成した。このレジスト開口部に電流密度1A/dmで電気銅メッキを10μm行った。その後、レジストマスクを除去し、銅エッチング液コブラエッチ(荏原電産製)で銅種膜を除去した。更に、過マンガン酸系Crエッチング液を用いCr種膜を除去し、誘電体上部電極およびインダクタパターンを形成した。
【0088】
誘電体上部電極およびインダクタパターンを含む基板表面に、感光性絶縁膜HD6000−8(HDマイクロシステムズ製)をスピンコートし乾燥,露光,現像,焼成により絶縁膜パターンを形成した。
【0089】
次に、絶縁膜パターン表面上にスパッタ法を用いてCrを50nm、Cuを500nm成膜し、これを種膜とした。このCu膜上にネガ型液状レジストPMER−N−CA1000(東京応化製)をスピン塗布し、ホットプレートでプリベークした後、露光,現像工程を経てレジストマスクを形成した。このレジスト開口部に電流密度1A/dmで電気銅メッキを10μm行った。次に、レジストマスクを除去し、銅エッチング液コブラエッチ(荏原電産製)で銅種膜を除去した。更に、過マンガン酸系Crエッチング液を用いCr種膜を除去し、上部電極を形成した。
【0090】
上部電極を含む基板表面に感光性絶縁膜HD6000−8(HDマイクロシステムズ製)をスピンコートし乾燥,露光,現像,焼成により絶縁膜パターンを形成した。
【0091】
以上の方法で作成した薄膜コンデンサの1GHzにおけるQ値をネットワークアナライザで評価した結果、0.9GHzにおける損失は1.2dB、1.8GHzにおける損失は−25dBであった。
【0092】
図3は、本発明による薄膜コンデンサを使用したフィルター回路のフィルター特性を示す図である。
【0093】
【発明の効果】
本発明により低温形成が容易な高誘電体の誘電体薄膜、および、それを用いたコンデンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄膜コンデンサの断面模式図である。
【図2】本発明の薄膜コンデンサを使用したフィルター回路の断面模式図である。
【図3】本発明の薄膜コンデンサを使用したフィルター回路のフィルター特性を示グラフである。
【符号の説明】
1…誘電体膜、2…ガラス基板、3…絶縁膜、4…電極。
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗布法による誘電体薄膜に係り、前記誘電体薄膜をキャパシター膜として用いた薄膜コンデンサおよび電子回路部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
薄膜コンデンサに用いられる誘電体薄膜は、さらなる高静電容量化のため薄膜化が進んでいる。しかし、これに伴いリーク電流が増加してしまい、薄膜化には限界がある。
【0003】
そこで、誘電体材料の高誘電率化が検討され、比誘電率の高い各種の強誘電体材料の利用が試みられている。例えば、強誘電体材料であるBaTiO3(BTO)やPbZr1−aTiaO3(但し、0≦a≦1)(PZT)は、高誘電体薄膜としてだけではなく、不揮発性メモリとして有用であるため、薄膜に関して盛んに研究が進められている。
【0004】
しかし、BTOやPZTなどの結晶は比誘電率が高いものの、強誘電性、圧電性、焦電性を有するためコンデンサ材料としては不向きであり、強誘電性よりは、むしろ常誘電性の高誘電率材料の方が適切であると考えられる。
【0005】
このため、コンデンサ材料として、室温で常誘電性を示すチタン酸ストロンチウム(SrTiO3(STO))等の結晶が用いられている。STO等の製造法としては、スパッタリング法、CVD法等のドライプロセスによるもの、ゾル−ゲル法等のウエットプロセスによるものが知られている。
【0006】
電子バイスにとっては高温での熱処理は幾つかの弊害が生じる。例えば、PZT等は成分のPbOがシリコン基板と反応し誘電特性を低下させ、電極および配線に銅を用いた場合、高温焼成下では銅が酸化する恐れがある。また、絶縁層や基板材料に有機材料を用いる場合、高温焼成下に置くことにより有機材料が変質する恐れがある。従って、成膜はできるだけ低い温度で行うことが求められている。
【0007】
ドライプロセスにより誘電体結晶を成膜する場合、使用する装置は非常に高価な上に、元素毎に蒸気圧が異なるため、化学的量論性に優れた大面積の誘電体薄膜を安定して製造することができない。結晶化させるには、600℃以上の高温が必用で、基材にダメージを与えてしまうため、基材の選択に制限がある等の問題を有している。また、生産性が低くコストが高いと云う欠点がある。
【0008】
ゾル−ゲル法やMOD法による溶液塗布法では、例えば、金属アルコキシを用いたゾル−ゲル法は、精密な化学組成の制御、分子レベルの均一性、大面積化、低設備コスト等の面で利点がある。
【0009】
しかし、従来のゾル−ゲル法では、有機金属の前駆体を熱分解(焼成)させて結晶化させるには、600℃以上の高温が必用とされ、基材にダメージを与えてしまうため、基材の選択に制限がある等の問題を有している。
【0010】
一方、金属酸化物アモルファスを誘電体薄膜として用いる場合はドライプロセス、ウエットプロセスいずれにおいても結晶化のための焼成を必要とせず、金属酸化物結晶に比べ、低温で誘電体薄膜を形成することが可能である。また、結晶で強誘電性を示すBTOやPZTにおいても、アモルファスでは室温で常誘電性を示し、コンデンサ材料として利用可能である。しかし、アモルファスでは、得られる誘電率が金属酸化物結晶に比べて低く、コンデンサ材料としては不十分である。
【0011】
また、金属酸化物アモルファス中に、金属酸化物結晶を含有させた金属酸化膜が作製されている。金属酸化物薄膜の作製において、金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液と、該有機溶媒溶液に水を加えた溶液との混合溶液を基板上に塗布し、その後熱処理することにより、アモルファス相または超微粒子相と結晶粒子との混在した構造を有する酸化物薄膜を作製できることが知られている(特許文献1)。
【0012】
しかし、この方法において作製できるのは、金属酸化物アモルファスと金属酸化物微粒子が同じ組成の薄膜であり、異なる組成の金属酸化物アモルファスと金属酸化物微粒子を組み合わせることは困難である。
【0013】
誘電体薄膜においては、媒質となる金属酸化物アモルファスと、金属酸化物結晶の種類と添加量を自由に組み合わせて、比誘電率、誘電損失等の電気特性を制御できることが望ましい。
【0014】
また、金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液と、該有機溶媒溶液に水を加えた溶液を加熱分解,縮合した後、さらに、分解縮合した温度よりも高い温度で焼成を行い、結晶化を進行させなければならない。よって、高温に曝され、基材にダメージを与えてしまうために、基材の選択に制限がある等の問題がある。
【0015】
【特許文献1】
特開平8−245263号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記従来技術の問題の解決にあり、その主な目的は、低温形成が容易な高誘電性の誘電体薄膜、それを用いた薄膜コンデンサ、および、電子回路部品の提供にある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、金属酸化物微粒子の合成方法および誘電体薄膜の作製方法を鋭意検討した結果得られたものである。
【0018】
その特徴は、常誘電性結晶微粒子を金属アルコキシド、金属錯体および/または金属カルボン酸塩を主原料とする金属酸化物アモルファス前駆体中に分散させ、当該前駆体溶液を基板上に塗布し、乾燥,焼成することにより誘電体薄膜を作製することにある。
【0019】
用いる常誘電性結晶微粒子は室温で常誘電性を示し、一般にコンデンサ用誘電体材料として用いられている金属酸化物であればよい。例えば、Ba,Sr,Ca,La,Ti,Ta,Zr,Cu,Fe,W,Co,Mg,Zn,Ni,Nb,Pb,Li,K,Sn,Al,Smの1種以上を含む酸化物を用いることができる。
【0020】
その製造方法は、気相法(化学気相析出法(CVD),物理気相析出法(PVD))、溶液法(金属アルコキシド法,共沈法,逆ミセル法,噴霧法等)等、金属酸化物の微粒子を形成できる方法であればよい。
【0021】
また、薄膜を得るためには、極力、微粒子間の凝集を防ぐ必要がある。金属アルコキシド、金属錯体および/または金属カルボン酸塩等を用いた溶液中での微粒子形成法が、他の方法に比べ望ましい。この場合、(BaXSr1−X)TiO3(但し、0≦X≦1)で示される金属酸化物は、ゾル−ゲル法により直接、結晶微粒子が得られることが知られており、この結晶微粒子を用いることができる。
【0022】
溶液中での前記(BaXSr1−X)TiO3結晶微粒子の合成にはBa,Sr,Tiの金属のアルコキシド,金属錯体または金属カルボン酸塩を用いることができる。
【0023】
金属アルコキシドとしては、例えばOCH3、OC2H5、OC3H7、OC4H9、OC2H4OCH3などのアルコキシル基からなるアルコキシドを用いることができる。
【0024】
金属錯体化合物としては前記金属のアセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、ベンゾイルトリフルオロアセトン、ベンゾイルジフルオロアセトン、ベンゾイルフルオロアセトンの錯体等が挙げられる。また、金属カルボン酸塩としては、例えば、酢酸,シュウ酸等の金属カルボン酸塩を用いることができる。
【0025】
用いる常誘電性結晶微粒子の粒径は、膜厚以下であればよい。バルクで強誘電性を示す誘電体結晶の場合、一般に液相法,気相法により作製した強誘電体結晶微粒子は、粒径が小さくなるに伴い強誘電性ではなく常誘電性を示すことが知られている。
【0026】
例えば、チタン酸バリウムでは、120nm以下の粒径では強誘電性を示す正方晶ではなく、常誘電性の立方晶を示すことが知られている(セラミクス 27(1992)No8 701)。従って、バルクで強誘電性を示す誘電体をコンデンサ材料として用いる場合、室温で強誘電性を示さなくなる粒径まで微粒子化する必用がある。
【0027】
本発明の金属酸化物誘電体アモルファスを形成するための前駆体化合物としては、最終的に金属酸化物アモルファスとなる化合物であれば限定されない。金属アルコキシド、金属錯体および金属カルボン酸塩から選ばれる1種以上が好ましい。
【0028】
特に、一般式Pb(ZryTi1−y)TiO3(但し、0≦y≦1)で示される金属酸化物アモルファスは高誘電率を示し、比誘電率の高い誘電体薄膜を得たい場合、上記の一般式で示される金属酸化物アモルファスに、金属酸化物微粒子を添加することは効果的である。
【0029】
金属アルコキシドとしてはBa,Sr,Ca,La,Ti,Ta,Zr,Cu,Fe,W,Co,Mg,Zn,Ni,Nb,Pb,Li,K,Sn,Al,Smなどのアルコキシドが挙げられる。例えば、OCH3,OC2H5,OC3H7,OC4H9,OC2H4OCH3などのアルコキシル基からなる金属アルコキシド等を用いることができる。
【0030】
金属錯体化合物としては前記金属のアセチルアセトン,ベンゾイルアセトン,ベンゾイルトリフルオロアセトン,ベンゾイルジフルオロアセトン,ベンゾイルフルオロアセトンの錯体等が挙げられる。
【0031】
金属カルボン酸塩としては例えば、酢酸塩などが用いられ、具体的には以下のようなものが挙げられる。酢酸バリウム,酢酸銅(II),酢酸リチウム,酢酸マグネシウム,酢酸鉛,シュウ酸バリウム,シュウ酸カルシウム,シュウ酸銅(II),シュウ酸マグネシウム,シュウ酸スズ(II)等を用いることができる。
【0032】
本発明の誘電体薄膜は、金属酸化物アモルファス中に常誘電性結晶微粒子を任意の割合で含有することにより、非誘電率や誘電損失等の電気特性を変えることができる。
【0033】
常誘電性結晶微粒子と誘電体アモルファス前駆体の割合は、ペースト状態で塗布できる範囲であれば特に制限はないが、誘電特性の上からは、常誘電性結晶微粒子の添加量が、金属酸化物アモルファスと常誘電性結晶微粒子の和に対して20mol%以上でないと微粒子添加の効果が低い。また、誘電体薄膜のリーク電流の面からは80mol%以下であることが好ましい。
【0034】
塗布方法はバーコート,ディップコート,ロールコート,スピンコートなど、金属酸化物前駆体溶液の性質により各種の方法が可能である。
【0035】
形成される膜の厚さは、特に限定されるものではないが、一般的に5nm〜50μmであり、1回の塗布で所望の膜厚が得られない場合には、塗布,乾燥の工程を複数回繰り返し行った後、本焼成を行う。ここで、乾燥は50〜400℃で30秒〜15分、本焼成は200〜400℃で30分〜2時間程度行うことが望ましい。
【0036】
また、本発明の薄膜コンデンサは、上記した誘電体薄膜の両面に、一対の電極を対向し形成したものである。なお、誘電体薄膜と電極とを交互に積層した積層薄膜コンデンサであってもよいことは勿論である。
【0037】
本発明の薄膜コンデンサに用いる電極は、電気抵抗の低い導電性材料が好ましい。具体的には金,銅,ニッケル,アルミニウム,プラチナ,タングステン,モリブデン,鉄,ニオブ,チタン,ニッケル/クロム合金,鉄/ニッケル/クロム合金,窒化タンタル等が挙げられる。特に、銅は電気抵抗が小さく好ましい。
【0038】
本発明のコンデンサにおいては、基板を金属酸化物の結晶化温度付近まで加熱することなく、金属酸化物薄膜を形成することができる。この場合、絶縁層や基板材料に高温で変性し易い有機材料を用いることができる。また、電極および配線には、高温焼成下では反応を生じる酸化インジュウムや銅を用いることができる。
【0039】
本発明における電子回路部品とはインダクタ,コンデンサ,抵抗などの複数の受動素子を組み合わせて特定の機能を持たせたものや、前記受動素子に加えダイオード,トランジスタ,IC,LSIなどの能動素子を組み合わせ特定の機能を持たせた部品である。
【0040】
具体的にローパスフィルタやバンドパスフィルタなどの特定の周波数および周波数帯を選択するための回路や、これらフィルタを組み合わせ2つの周波数領域を分離するためのダイプレクサ、信号の一部をピックアップするためのカプラ、送信と受信の電波を分離するためのデュプレクサやアンテナスイッチ、信号の周波数を制御するための電圧制御発信機、回路と回路のインピーダンスをマッチングするための整合回路などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の誘電体材料作製の実施例を説明する。
【0042】
〔比較例 1〕
SrTiO 3 (STO)アモルファス
窒素下、金属ストロンチウム4.381gと2−メトキシエタノール100mlとを500mlの反応容器に入れ、1時間撹拌してストロンチウムアルコキシドを合成した。
【0043】
ストロンチウムが完全に消失したのを確認した後、テトラエトキシチタン11.4gを加え24時間還流して複合アルコキシドを合成した。合成した複合アルコキシドに2−メトキシエタノールを加え250mlとした。
【0044】
複合アルコキシド溶液をSi基板上にTi/Ptをスパッタした基板上にスピンコートし、ホットプレートにて350℃,10分間焼成した。この薄膜作製操作を10回行った後、350℃,60分間焼成し誘電体薄膜を作製した。さらにマスクを付け、金電極を蒸着し誘電特性測定用試料を作製した。測定された比誘電率は100kHzで12であった。
【0045】
〔実施例 1〕
STOアモルファス薄膜中にBa 0.5 Sr 0.5 TiO 3 (BST)微粒子(気相法により形成)添加(50mol%)
比較例1と同様の条件で複合アルコキシド調製した。CVD法で形成したBST微粒子(平均粒径18nm)1gに、誘電体前駆体の複合アルコキシド溶液24mlを添加した溶液を、超音波照射することにより微粒子を分散させた後、Si基板上にTi/Ptをスパッタした基板上にスピンコートし、焼成炉にて350℃,10分間焼成した。
【0046】
この薄膜作製操作を6回行った後、所定の温度で60分間焼成し誘電体薄膜を作製した。さらにマスクを付け、金電極を蒸着し誘電特性測定用試料を作製した。測定された比誘電率は50、誘電損失は100kHzで0.012であった。
【0047】
〔比較例 2〕
STOアモルファス中にBST微粒子(液相法で形成)添加(10mol%)
窒素下、バリウム0.824g、ストロンチウム0.526gをベンゼン50ml、エタノール50mlを加え、500mlの反応容器に入れて70℃,1時間還流した。次いで、テトラエトキシチタン2.737gを入れ、70℃,24時間還流した。水72gの入ったエタノール28mlを反応溶液に加えた後、70℃,5時間還流しBST微粒子を合成した。
【0048】
遠心分離装置(20000rpm/20m)で分離し、2−メトキシエタノールに溶媒置換した。
【0049】
実施例1と同様の条件で複合アルコキシドを調製した。誘電体微粒子0.5gに誘電体前駆体の複合アルコキシド108mlを添加した溶液を、超音波照射することにより微粒子を分散後、Si基板上にTi/Ptをスパッタした基板上にスピンコートし、焼成炉にて350℃,10分間焼成した。この薄膜作製操作を6回行った後、350℃で60分間焼成し誘電体薄膜を作製した。
【0050】
さらにマスクを付け金電極を蒸着し、誘電特性測定用試料を作製した。測定された比誘電率は100kHzで13であった。
【0051】
〔実施例 2〕
STOアモルファス中にBST微粒子(液相法で形成)添加(20mol%)
実施例1と同様の条件で複合アルコキシドを調製し、比較例2と同様にBST微粒子を調製した。
【0052】
誘電体微粒子0.5gに、誘電体前駆体の複合アルコキシド48mlを添加した溶液を超音波照射することにより、微粒子を分散させた後、Si基板上にTi/Ptをスパッタした基板上にスピンコートし、焼成炉で350℃,10分間焼成した。この薄膜作製操作を6回行った後、350℃で60分間焼成し、誘電体薄膜を作製した。さらにマスクを付け金電極を蒸着し、誘電特性測定用試料を作製した。測定された比誘電率は100kHzで27であった。
【0053】
〔実施例 3〕
STOアモルファス中にBST微粒子(液相法で形成)添加(50mol%)
実施例1と同様の条件で複合アルコキシドを調製し、比較例2と同様にBST微粒子を調製した。
【0054】
誘電体微粒子1gに誘電体前駆体の複合アルコキシド24mlを添加した溶液を、超音波照射することにより微粒子を分散させた後、Si基板上にTi/Ptをスパッタした基板上にスピンコートし、焼成炉で350℃,10分間焼成した。この薄膜作製操作を5回行った後、350℃で60分間焼成し、誘電体薄膜を作製した。さらにマスクを付け金電極を蒸着し誘電特性測定用試料を作製した。測定された比誘電率は100kHzで52、誘電損失は0.01、電気抵抗値は20MΩ以上であった(膜厚550nm)。
【0055】
〔比較例 3〕
STOアモルファス中にBST微粒子(液相法で形成)添加(90mol%)
実施例1と同様の条件で複合アルコキシドを調製し、比較例2と同様にBST微粒子を調製した。
【0056】
誘電体微粒子5.4gに、誘電体前駆体の複合アルコキシド14.4mlを添加した溶液を、超音波照射することにより微粒子を分散させた後、Si基板上にTi/Ptをスパッタした基板上にスピンコートし、焼成炉で350℃,10分間焼成した。この薄膜作製操作を4回行った後、350℃で60分間焼成し誘電体薄膜を作製した。さらにマスクを付け金電極を蒸着し、誘電特性測定用試料を作製した。測定された電気抵抗値は480kΩであり(膜厚535nm)、誘電特性を評価することはできなかった。
【0057】
〔実施例 4〕
PbZr 0.5 Ti 0.5 O 3 (PZT)アモルファス中にBST微粒子添加
比較例2と同様にBST微粒子を作製した。窒素下、酢酸鉛3.252gに2−メトキシエタノール30mlを加え、500mlの反応容器に入れた。
【0058】
次いで、ジルコニウムブトキシド2.256g、チタンテトラ−iso−プロポキシド1.496gを加えた後、30分撹拌してPZT前駆体を合成した。合成した複合アルコキシドに2−メトキシエタノールを加え50mlとした。
【0059】
BST微粒子1gに、PZT前駆体の複合アルコキシド24.0mlを添加した溶液を、超音波照射することにより微粒子を分散させた。これを、Si基板上にTi/Ptをスパッタした基板上にスピンコートし、焼成炉で350℃,10分間焼成した。この薄膜作製操作を5回行った後、350℃で60分間焼成し、誘電体薄膜を作製した。さらに、マスクを付け金電極を蒸着し、誘電特性測定用試料を作製した。測定された比誘電率は100kHzで107であった。
【0060】
〔実施例 5〕
図1は、本発明による薄膜コンデンサの断面模式図で、以下の方法により薄膜コンデンサを作製した。
【0061】
ガラス基板上にスパッタ法でCrを50nm成膜、更に、Cuを500nm成膜し、これを銅メッキ給電用種膜とした。
【0062】
このCu膜上に、ネガ型液状レジストPMER−N−CA1000(東京応化製)をスピン塗布し、ホットプレートでプリベークした後、露光,現像工程を経てレジストマスクを形成した。このレジスト開口部に、電流密度1A/dmで電気銅メッキを10μm行った。
【0063】
次に、レジストマスクを除去し、銅エッチング液コブラエッチ(荏原電産製)で銅種膜を除去した。更に、過マンガン酸系Crエッチング液を用いCr種膜を除去し下部電極を形成した。
【0064】
次に、銅配線パターン上にスパッタ法でCrを成膜した。実施例4に示した金属酸化物前駆体溶液を下部電極上にスピンコートし、100℃,30秒乾燥する操作を5回繰り返した後、350℃,1時間焼成し、金属酸化物前駆体を分解縮合し、厚さ500nmの金属酸化物アモルファス薄膜を形成した。
【0065】
この上にポジ型液状レジストOFPR800、500cpをスピンコートし乾燥した後、露光,現像工程を経て誘電体端部が下部電極端部よりも20μm外側になるようにしたレジストマスクを形成した。
【0066】
次にCF4で上記誘電体をドライエッチングし、下部電極上に誘電体を形成させた後にレジストを剥離した。
【0067】
誘電体および下部電極を含む基板表面に感光性絶縁膜HD6000−8(HDマイクロシステムズ製)をスピンコートし、乾燥,露光,現像,焼成により絶縁膜パターンを形成した。
【0068】
次に、前記金属酸化物アモルファス薄膜を含む基板表面上に、スパッタ法を用いてCrを50nm成膜、更に、Cuを500nm成膜し、これを種膜とした。
【0069】
このCu膜上にネガ型液状レジストPMER−N−CA1000(東京応化製)をスピン塗布し、ホットプレートでプリベークした後、露光,現像工程を経てレジストマスクを形成した。このレジスト開口部に電流密度1A/dmで電気銅メッキを10μm行った。その後、レジストマスクを除去し、銅エッチング液コブラエッチ(荏原電産製)で銅種膜を除去した。更に、過マンガン酸系Crエッチング液を用いてCr種膜を除去し、上部電極を形成した。
【0070】
誘電体上部電極を含む基板表面に、感光性絶縁膜HD6000−8(HDマイクロシステムズ製)をスピンコートし乾燥,露光,現像,焼成により保護絶縁膜パターンを形成した。
【0071】
以上の方法で作製した薄膜コンデンサの比誘電率は、100kHzで103であった。
【0072】
実施例1〜5で作製した誘電体薄膜の誘電特性を表1に示す。
【0073】
【表1】
【0074】
比較例1と実施例1〜4に示すように金属酸化物微粒子を金属酸化物アモルファスに添加することにより、誘電体薄膜の誘電率を上げることができる。
【0075】
実施例2,3に示すように微粒子の添加量を増やすことにより、比誘電率を上げることができる。
【0076】
また、実施例4に示すように、一般式Pb(ZryTi1−y)O3(但し0≦y≦1)で示される金属酸化物アモルファスを用いることにより、STOを金属酸化物アモルファスに用いた場合(実施例3)に比べ高い比誘電率を得ることができる。
【0077】
また、比較例1,2,実施例2に示すように、微粒子の添加量が20mol%以上でないと比誘電率の向上はあまり見られない。
【0078】
さらにまた、比較例3に示すように微粒子の添加量が90mol%であるとリーク電流が大きく、誘電体薄膜としては十分でない。実施例4に示すように金属酸化物微粒子を金属酸化物アモルファスに添加することにより、有機材料やCuを用いたコンデンサを作製することができる。
【0079】
〔実施例 6〕
図2は、本発明による薄膜コンデンサを使用したフィルター回路の断面模式図である。以下の方法によりフィルター回路を作製した。
【0080】
ガラス基板上にスパッタ法でCrを50nm成膜し、更に、Cuを500nm成膜して、銅メッキ給電用種膜とした。
【0081】
このCu膜上にネガ型液状レジストPMER−N−CA1000(東京応化製)をスピン塗布し、ホットプレートでプリベークした後、露光,現像工程を経てレジストマスクを形成した。このレジスト開口部に電流密度1A/dmで電気銅メッキを10μm行った。次にレジストマスクを除去し、銅エッチング液コブラエッチ(荏原電産製)で銅種膜を除去した。更に、過マンガン酸系Crエッチング液を用いCr種膜を除去し下部電極を形成した。
【0082】
次いで、銅配線パターン上にスパッタ法でCrを成膜した。実施例4に示した金属酸化物前駆体溶液を下部電極上にスピンコートし、100℃,30秒乾燥する操作を6回繰り返した後、350℃,1時間焼成し、金属酸化物前駆体を分解縮合し、厚さ500nmの金属酸化物アモルファス薄膜を形成した。
【0083】
この上にポジ型液状レジストOFPR800、500cpをスピンコートし乾燥した後、露光,現像工程を経て誘電体端部が下部電極端部よりも20μm外側になるようにしたレジストマスクを形成した。
【0084】
次にCF4で上記誘電体をドライエッチングし、下部電極上に誘電体を形成させた。最後にレジストを剥離した。
【0085】
誘電体および下部電極を含む基板表面に感光性絶縁膜HD6000−8(HDマイクロシステムズ製)をスピンコートし乾燥,露光,現像,焼成により絶縁膜パターンを形成した。
【0086】
次に、前記絶縁膜パターンを含む基板表面上に、スパッタ法を用いてCrを50nm、Cuを500nm成膜し、これを種膜とした。
【0087】
このCu膜上にネガ型液状レジストPMER−N−CA1000(東京応化製)をスピン塗布し、ホットプレートでプリベークした後、露光,現像工程を経てレジストマスクを形成した。このレジスト開口部に電流密度1A/dmで電気銅メッキを10μm行った。その後、レジストマスクを除去し、銅エッチング液コブラエッチ(荏原電産製)で銅種膜を除去した。更に、過マンガン酸系Crエッチング液を用いCr種膜を除去し、誘電体上部電極およびインダクタパターンを形成した。
【0088】
誘電体上部電極およびインダクタパターンを含む基板表面に、感光性絶縁膜HD6000−8(HDマイクロシステムズ製)をスピンコートし乾燥,露光,現像,焼成により絶縁膜パターンを形成した。
【0089】
次に、絶縁膜パターン表面上にスパッタ法を用いてCrを50nm、Cuを500nm成膜し、これを種膜とした。このCu膜上にネガ型液状レジストPMER−N−CA1000(東京応化製)をスピン塗布し、ホットプレートでプリベークした後、露光,現像工程を経てレジストマスクを形成した。このレジスト開口部に電流密度1A/dmで電気銅メッキを10μm行った。次に、レジストマスクを除去し、銅エッチング液コブラエッチ(荏原電産製)で銅種膜を除去した。更に、過マンガン酸系Crエッチング液を用いCr種膜を除去し、上部電極を形成した。
【0090】
上部電極を含む基板表面に感光性絶縁膜HD6000−8(HDマイクロシステムズ製)をスピンコートし乾燥,露光,現像,焼成により絶縁膜パターンを形成した。
【0091】
以上の方法で作成した薄膜コンデンサの1GHzにおけるQ値をネットワークアナライザで評価した結果、0.9GHzにおける損失は1.2dB、1.8GHzにおける損失は−25dBであった。
【0092】
図3は、本発明による薄膜コンデンサを使用したフィルター回路のフィルター特性を示す図である。
【0093】
【発明の効果】
本発明により低温形成が容易な高誘電体の誘電体薄膜、および、それを用いたコンデンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄膜コンデンサの断面模式図である。
【図2】本発明の薄膜コンデンサを使用したフィルター回路の断面模式図である。
【図3】本発明の薄膜コンデンサを使用したフィルター回路のフィルター特性を示グラフである。
【符号の説明】
1…誘電体膜、2…ガラス基板、3…絶縁膜、4…電極。
Claims (6)
- 金属アルコキシド、金属錯体および/または金属カルボン酸塩を主原料とする金属酸化物アモルファス中に金属酸化物アモルファスと組成または組成比が異なる金属酸化物結晶微粒子を含有することを特徴とする誘電体薄膜。
- 金属アルコキシド、金属錯体および/または金属カルボン酸塩を主原料として作製した金属酸化物アモルファス中に金属アルコキシド,金属錯体および/または金属カルボン酸塩を主原料として、該金属酸化物アモルファスと組成または組成比が異なり、一般式
〔化1〕
(BaXSr1−X)TiO3
(但し、0≦x≦1)で示される常誘電性結晶微粒子を含有することを特徴とする誘電体薄膜。 - 前記金属酸化物アモルファスと常誘電性結晶微粒子との和に対する常誘電性結晶微粒子の占める割合が20〜80mol%である請求項2に記載の誘電体薄膜。
- 前記金属酸化物アモルファスが一般式
〔化2〕
Pb(ZryTi1−y)O3
(但し、0≦y≦1)で示される金属酸化物である請求項1〜3のいずれかに記載の誘電体薄膜。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の誘電体薄膜を、キャパシター膜として用いたことを特徴とする薄膜コンデンサ。
- 請求項5に記載の薄膜コンデンサを有することを特徴とする電子回路部品。
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JP2003043766A JP2004253294A (ja) | 2003-02-21 | 2003-02-21 | 誘電体薄膜と薄膜コンデンサおよびそれを用いた電子回路部品 |
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JP2004253294A true JP2004253294A (ja) | 2004-09-09 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100638890B1 (ko) | 2005-10-04 | 2006-10-27 | 삼성전기주식회사 | 고유전성 박막용 코팅용액 및 이를 이용한 유전박막의제조방법 |
WO2006118236A1 (ja) * | 2005-04-28 | 2006-11-09 | Mitsui Mining & Smelting Co., Ltd | 酸化物誘電層の形成方法及びその形成方法で得られた酸化物誘電層を備えたキャパシタ層形成材 |
WO2008139634A1 (en) * | 2007-05-14 | 2008-11-20 | Kazufumi Ogawa | Insulant fine particle film, a method of manufacturing the same, and a capacitor made thereof |
JP2015201513A (ja) * | 2014-04-07 | 2015-11-12 | 京セラ株式会社 | 誘電体フィルムおよびフィルムコンデンサ |
-
2003
- 2003-02-21 JP JP2003043766A patent/JP2004253294A/ja active Pending
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