JP2004251484A - ローラーハース炉、その搬送用ローラー、及び搬送用ローラーの製造方法 - Google Patents

ローラーハース炉、その搬送用ローラー、及び搬送用ローラーの製造方法 Download PDF

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道郎 青木
Toshiharu Kinoshita
寿治 木下
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Abstract

【課題】ローラーハース炉10において、セッター21への損傷発生を防止しつつPDPなどの大型被処理基材22を効率的に搬送し、熱処理する。
【解決手段】金属Siを含浸させたSiC焼結体から成るローラー本体31と、ローラー本体31表面を被覆する二酸化ケイ素を主成分とするガラス質被膜30とから、ローラーハース炉10において用いる被処理基材22を搬送するための搬送用ローラー20を構成した。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ローラーコンベア型の連続炉、すなわちローラーハース炉で用いられる被処理基材搬送用の搬送ローラー、そのローラーハース炉、及び搬送用ローラーの製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は、プラズマディスプレイのパネル部材(以下PDPと称す)の製造時焼成工程において使用される焼成炉における搬送ローラー、ローラーハース炉、及び搬送用ローラーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、プラズマディスプレイの開発が急速に進み、35インチから50インチ、業務用のもので60インチなど、大面積ガラス基板の高クリーン度、高均一温度など、高度に制御された雰囲気下での熱処理工程の要求が急速に高まっている。
【0003】
従来、ガラス基板など板状部材の熱処理には、炉内で被処理基材の搬送を行いながら炉内行程に従って昇温、冷却など温度制御が行えるよう、炉内にローラー状の回転物を複数設置し、ローラー回転による駆動力を利用して、例えば短いもので30メートル、通常40〜50メートルの距離、ローラー上に載置された被処理基材の炉内搬送を行うことが広く行われてきた。
【0004】
このようなローラー材料として従来から使用されてきたものにムライト(3Al・2SiO)がある。このムライト製ローラーは、焼成製造後の表面平滑度も良好で、搬送する基材に対して傷等機械的損傷を与える危険も少なく、これまで好んで用いられてきた。しかし近年では、特に被処理基材の大型化に伴って、強度、クリープの点でより有利な炭化珪素SiC焼結体からなるローラーが盛んに用いられてきている。炭化珪素製ローラーは、さらに金属Siを接触させた状態で1600℃くらいに昇温すると、この金属Siが焼結体の結晶粒界に自ら含浸し、焼結体結晶粒間において結合剤として機能するようになる。このため、このように製造されたSi含浸SiCによれば、耐酸化性や機械的強度の点で優れたローラー部材を作ることができる。従って、折損、たわみの懸念等なく、大面積PDPの焼成工程における炉内搬送に好適に用いられている。
【0005】
【特許文献】
特開2000−130951号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
PDPの焼成工程では、現在少なくとも600℃くらいまでの焼成温度が必要とされる。しかし、500〜600℃或いはこれ以上の高温下で、ソーダライムガラスなど通常のガラス素材から成るパネル部材を炉内搬送するとなると、搬送時、大面積板状ガラス素材の高温雰囲気による軟化が起こる。またパネル自体の歪み、形状寸法異常、そしてパネル自体に微細傷が発生し、プラズマディスプレイとして使用できなくなるといった課題を有していた。
【0007】
このため、板状の耐熱性ガラス、典型的には結晶化ガラス製のトレイ(通常セッターと称している)を用い、この上にPDPなど被処理基材を載置し、一体となった被処理基材/セッターを搬送用ローラー上で水平方向に移動、高温下で炉内搬送することが提案されている(特許文献)。
【0008】
このような搬送方法によって被処理基材の効率的な処理が期待できるのであるが、このような構成をとる焼成システムは、さらなる改善の余地を有している。すなわち、Si含浸SiCを焼結によって製造すると、結晶粒の平均的な粒径は通常100μm前後であり、焼結体の表面に結晶粒による30〜50μm程度の微細な凹凸が生じる。このため、搬送用ローラーと直接接する、セッターとして用いられる結晶化ガラス基板に、その使用中、傷等機械的な損傷を与える事態を招いている。SiCセラミックと結晶化ガラスとの組み合わせでは強度の差は歴然としており、さらにローラー回転時には相互表面間に生じる静的摩擦力で両者噛み見合い、せん断力も著しく生じる。後者に与えられた初期損傷が起点となってセッター寿命を急速に短縮するばかりか、熱応力の発生,ひずみ、温度の不均一分布、また使用法次第で被処理基材自体に機械的損傷が発生する。また、耐熱用に製造された結晶化ガラス等の耐熱性ガラスは汎用ガラス素材でないだけに、機械的損傷に伴うその頻繁な交換は、近年のPDPパネル大量生産に大きな製造コスト上の課題を提起する。
【0009】
炭化珪素製ローラーの製造においては、Si含浸後、通常その表面をブラスト処理するが、このブラスト処理によって除去できるのは脆く硬度の低い金属Siのみである。ブラスト処理においても、SiC粒は実質的にローラー表面に取り残されたままの状態である。一般に焼結体中のSiC粒子はその粒径が100μm程度であり、従ってローラー表面は粒径の約半分、50μm前後の部分が突出した、凹凸を有する表面状態になる。ブラスト時の投射材の粒径、投射圧力を変化させる事によって、ある程度の改善はみられるものの、十分効果がない。
【0010】
上述する従来の課題に鑑み、本発明の目的は、セッターへの機械的損傷の発生を防止しつつ、高重量、大面積化したPDPなどの被処理基材を、精度よく、効率的に搬送、熱処理するローラーハース炉を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ローラーハース炉において用いる、被処理基材を搬送するための搬送用ローラーであって、SiCを主成分とする焼結体から成るローラー本体と、ローラー本体表面を被覆するガラス質被膜とを有する搬送用ローラーである。焼結体は、金属Siを含浸させた焼結体であることが望ましい。ガラス質被膜は、二酸化ケイ素を主成分とするものであることが望ましい。
【0012】
本発明はまた、金属Siを含浸させたSiC焼結体から成るローラー本体及びローラー本体の表面を被覆する二酸化ケイ素を主成分とするガラス質被膜を有する搬送用ローラーと、搬送用ローラーの上に載置されローラーの回転によって移動する結晶化ガラスから成る搬送用トレイとを有するローラーハース炉である。
【0013】
被処理基材は、結晶化ガラスから成る搬送用セッターの上に載置され、搬送用セッターがガラス質被膜と直接接触しつつ搬送用ローラー上を移動することによって搬送されることができる。ローラーハース炉は、典型的には、PDPのパネル部材の焼成処理を行う焼成炉である。ガラス質被膜は、望ましくは、50〜150μmの膜厚を有する。ガラス質被膜は、焼結体を1200℃以上に昇温することによって形成された酸化膜であることが望ましい。このようなローラーハース炉は、典型的には、600℃以下の温度で焼成を行う焼成炉である。
【0014】
本発明はまた、金属Siを含浸したSiC焼結体を熱酸化することによって、その表面層の少なくとも一部を二酸化ケイ素を主成分とするガラス質に改質する工程から成る、ローラーハース炉において用いるSi含浸SiC製搬送用ローラーの製造方法である。熱酸化は、好ましくは、金属Siを含浸したSiC焼結体を1200℃以上に昇温して、ガラス質の層が50〜150μmの膜厚で形成されるまで行われる。ガラス質に改質する工程を実行する前に、焼結体表面に対してブラスト処理を行ってもよい。
【0015】
SiC焼結体は、そのままではその表面粗度は著しく大きい。また、セラミック質の焼結材料であるSiCでは、その硬度もセッターに用いている結晶化ガラスに比較して著しく大きい。
【0016】
搬送用ローラーと搬送用トレイすなわちセッターは、それぞれの使用目的のためには適切に使用材料が選択され、一般に用いられている炉内部材である。しかし、本発明者らは、被処理基材を載せたセッターが搬送用ローラーと組み合わせて使用、相互に接触しつつ、炉内搬送され、ローラーハース炉内において大面積PDP基板などの焼成処理の連続処理に使用された場合、新たな課題を提起していることを見出した。それぞれの材料選択の本来の趣旨は可能な限り担保したまま、新たに生じている課題に対処するため、種々検討を重ねた結果、完成されたのが本発明である。
【0017】
以下でも詳述するように、本発明によれば、搬送用ローラーの表面をガラス質被膜とすることによって、その表面平滑度は著しく低減され、また結晶化ガラスからなるセッターとの硬度差も著しく低減される。このため、セッターに被処理基板を載せて炉内搬送を行い、被処理基板の連続処理を行う際、ローラーとセッターとが相互接触して多大な法線方向荷重及び垂直方向のせん断力が働いても、セッターへの機械的損傷の発生が効果的に防止される。
【0018】
また、被膜の化学的な見地からも、二酸化ケイ素は充分安定であって、高クリーン度(PDP焼成炉の場合一般に1000程度とされる)が要求される炉内において、汚染など、さらなる副次的な問題も心配されなく使用できる。
【0019】
さらに、本発明の製造方法により搬送用ローラーを製造すれば、ガラス質被膜とローラー本体とは、Si原子の三次元結合網を通じて分子レベルで結合し、一体化した搬送用ローラーが製造できる。このため、50μm〜150μm程度の薄膜ながら、搬送用ローラーの上にセッター及び大面積PDPを載せて、その回転力によって運動、搬送させても、剥離せず、使用時発生するせん断応力に抗することができる。また、焼結体の一部を酸化させてガラス被膜を形成する方法であるため、搬送用ローラーの製造に実質的な設計変更を要せず、容易に実行できる製造方法である。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
本発明の実施の形態に係る搬送用ローラーは、典型的には、連続タイプの焼成炉に使用される。図1は、このようなローラーハース式焼成炉の一例を示す概略断面図である。
【0022】
焼成炉10は主に、鋼鈑で作られた炉缶体11と、その内側に設置される断熱層12と、断熱層12のさらに内側であって炉内空間に面する部位に配置される内張り材13とから構成される。さらに加熱用電気ヒーター14が炉の上部と下部とに配置される。また加熱用電気ヒーター14の発熱量を制御する温度計15が、先端の温度を関知する部位が内張り材13と接触するように設置される。次に炉缶体11の外部には、被加熱物を回送するリターンコンベア16が炉缶体11の下部に、制御盤17と配線配管が炉缶体11の側部に配置される。さらに、化粧板19がこれら全体を覆っている。これらの構成が、焼成炉の一般形態である。
【0023】
被加熱物であるセッター21およびセッター21に載置される被処理基材22は、炉内搬送面に沿って複数配列された搬送用ローラー20の回転で炉内を移動し、前記加熱用ヒーター14により焼成処理が施される。また、炉缶体12の外部には、前記搬送用ローラー20の荷重を受けつつ自在に回転を保持する可動受け部23が設置される。また、その片端には、荷重を受けつつローラーに回転力を与える駆動部24が配置される(詳細構造図示せず)。
【0024】
図2は、搬送用ローラー20を拡大して示した図である。
【0025】
図2(a)に示された搬送用ローラー20は、長さ2400mm、外径38mmの中空状、円筒形であって、およそ5mmの円筒厚みを有し、金属Siを含浸させたSiC焼結体から形成されている。但しA点の拡大図(b)にみられるように、焼結体表面は通常30〜50μm程度の凹凸を有し、円筒表面にはさらにこれを覆い隠すように、二酸化ケイ素を主成分とするガラス質被膜が形成されている。ガラス質被膜は、搬送用ローラー20が焼成炉10において使用されたとき、セッター20の裏面と直接当接し、セッター20に傷等が生じることを防止する。なお、ガラス質被膜は少なくともセッター20と当接する円筒外径表面に形成されていればよいが、以下で詳述する製造方法によって製造されたならば、円筒外径表面のみでなく全ての露出面に形成されている。
【0026】
搬送用ローラー20本体を形作るSi含浸SiC焼結体31は、例えば、次のような方法で製造する。
【0027】
まず、所定量のSiC粉末、C粉末、バインダ、水又は有機溶媒を混練し、成形して所定形状の成形体を得る。次いで、この成形体を、金属Si粉を接触させた状態で不活性ガス雰囲気又は真空中状態で高温に加熱し、溶融した金属Siを成形体中に浸透、含浸させる。或いは、グラファイトシートやカーボンシートを金属Siを充填したルツボ等の中に配置、加熱して金属Siを溶融させ、キャピラリ効果を利用して、シートを構成する炭素とSiとを反応させてSiCを生成するとともに過剰のSiを残存させる方法も可能である。
【0028】
製造されたSi含浸SiC焼結体31は、その表面において微細な突起(素材粒子径100μm前後のため30〜50μmの高さ)が残る状態である。このため、ガラス質被膜30はこれら突起を覆うだけの膜厚を有することが望まれる。しかし膜厚は厚すぎれば、ローラー使用中にガラス層剥離など不都合が生じる恐れがあり、好ましくない。ガラス質被膜30は、50μm〜150μmの膜厚を有することが望ましく、70μm〜120μmの膜厚を有することがさらに望ましい。
【0029】
ガラス質被膜30は、例えば、以下のようにして形成する。製造したSi含浸SiC焼結体31から成るローラー表面に平滑加工を施した後、酸化雰囲気で1200〜1350℃に昇温し、この温度領域でローラーを1時間以上保持する。こうすることによって、焼結体31表面近傍に存在するSi原子は雰囲気の酸素と結合し、焼結体31表面が二酸化ケイ素を主成分とするガラス質に転化する。従ってローラー20表面に所望のガラス質被膜30を形成することができる。
【0030】
或いは、ガラス形成酸化物である二酸化ケイ素と配合してガラス化し、ガラスに適当な性質を付与することができる他の酸化物の金属陽原子を、その塩の形態で分散させた溶液またはゾルを、ローラー焼結体表面に塗布し、熱処理する。このような方法で、ローラー焼結体31表面に、本発明の実施の形態に係る二酸化ケイ素を主成分とするガラス質被膜30を形成することも可能である。この場合、そのような金属元素としては、典型的にはCa、Na等、或いはまたAl、Zr,Ti、Fe等である。塩としては、硝酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、リン酸アルミニウムなどのアルミニウム塩、或いは塩化カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸カルシウムなどのカルシウム塩が一例として挙げられる。溶液としては、水にこれらアルミニウム塩及びカルシウム塩を含んだ溶液が一例としてあげられる。ゾルとしては、水とアルミナゾルとの混合物がその一例として挙げられる。
【0031】
このような方法によれば、添加する陽原子の種類及びその量など適切に選択することによって、基本となる二酸化ケイ素によるガラス質被膜からその性質をさらに改変させ、目的に応じたより有利な性質を有するローラー材料設計を行うことも可能であろう。
【0032】
いずれにしても、これらの方法では、成形したSiC焼結体31自身を酸化雰囲気におき、自身を酸化させることによって表面にガラス質被膜30を有する本発明の構造を達成している。このような方法によれば、外部から酸化膜などガラス質被膜31を堆積させるのと異なり、製造方法が非常に簡便であり、形成された酸化物質も化学的に非常に安定、しかも下地のSiCと強固に結合したガラス質被膜30を形成できる。このため、特に好ましい製造方法であり、極めて実用的である。しかし、これらはあくまでも好適に用いられる製造方法の一例である。本発明に係る搬送用ローラー及び焼成炉はそれ自身で新規かつ有用な構成を有し、その製造方法はこれを限定するものではない。
【0033】
焼成炉10は、被処理基材22をPDP基板とし、PDPの厚膜製造のために好適に用いることができる。本発明の実施の形態に係る焼成炉10を用いて、PDP基板の焼成工程を効率的に行うことができる。
【0034】
焼成炉10では、PDP基板22をセッター21に載せて炉内搬送を行う。図3は、そのような搬送時の、セッター21の上に50インチPDP基板22を2枚同時に載せた様子を示した図である。図示した例では、セッター21は、縦1.3メートル、横1.8メートルの結晶化ガラス製の耐熱ガラス板である。セッター21には、均一かつ清浄度の高い焼成処理のため、素材の耐熱性及び強度に加え、全面にわたって均一性、平面性、傷等損傷の無いこと等が要求される。
【0035】
一般にPDPの製造は、ガラス基板上への隔壁、誘電体、リード、電極、抵抗体形成など、主としてフォトリソグラフィによる厚膜パターン形成及びその後の焼成処理によって行われる。例えば、隔壁を形成するには、ペースト状の隔壁材料を基板全面に塗布、乾燥、フォトレジストを用いたリソグラフィ技術によって隔壁パターンのマスクを形成、サンドブラストし隔壁材料を選択的に除去、その後焼成する。また、パネル上に陰電極を形成するには、金属粉末にガラス粉末とバインダ、及び溶剤を加えてペースト状にした上で、印刷、乾燥、焼成する。厚膜であるため通常自然乾燥とはならず、前工程として乾燥工程が必要である。
【0036】
パネル構造及び形成部材に応じて、印刷,乾燥、焼成の処理プロセスを複数回繰り返してPDP製造がなされる。乾燥は乾燥炉で通常80〜120℃の温度で行われる。焼成は、連続炉、或いはバッチ式の焼成炉内で、600℃くらいまでの温度で行われる。
【0037】
厚膜プロセスにおいては、ペーストは高温焼成されることが好ましいが、600℃を超えるような高温になるとガラスの変形が許容限度を超え好ましくない。焼成は大気雰囲気で行われる場合と窒素など特別な雰囲気で行われる場合とがある。焼成の際、厚膜ペースト材料の酸化反応或いは還元反応が適切に制御されるよう、炉内雰囲気が選択される。
【0038】
図4は、炉内においてPDP基板22を搬送させながら温度を変化させつつ実際に焼成工程を行っていく様子を示した参考図である。
【0039】
横軸は搬送時の経過時間、縦軸はPDP基板の表面温度を示す。焼成炉10内の各所に設置されたヒーター15によって、基板搬送に従い、室温から徐々に昇温し、350℃から400℃にて一定温度に維持、さらに昇温を開始、ピーク温度550〜600℃で再び10分、温度維持する。その後徐冷し、室温にまで冷却する。なお、降温時は、350℃以下においては、面内温度分布など精密な温度制御は必ずしも必要でなく、室温まで急速冷却が可能である。
【0040】
【実施例】
平均粒径100μmのSiC粒子45重量%、平均粒径1μmのSiC粒子45重量%、平均粒径10μmの黒鉛5重量%、及び有機バインダー(メチルセルロース等)5重量%を混合した粉末に、イオン交換水を添加し、ニーダーにて1時間混合し、押出し用素地を得た。
【0041】
本素地を押出し成形機に投入し、所定ローラー形状に押出し成形した。押出し成形したローラー成形体を40℃の乾燥機中で1晩乾燥した後、ローラー成形体と金属Siインゴットとが接触できるように配置した上、減圧Ar雰囲気中1800℃で1時間焼成してローラーを得た。
【0042】
さらに、ローラーを大気雰囲気中1350℃で加熱処理時間を、2時間、6時間、18時間と変えて、ローラー表面に酸化膜を形成し、Si含浸SiC焼結体本体とその本体表面を被覆する二酸化ケイ素を主成分とするガラス質薄膜とから成る、外径38mm、円筒厚み5mm、長さ2400mmの搬送用ローラーを製造した。
【0043】
このようにして製造したローラー表面の平滑度を従来品のそれと比較した。以下にその比較結果を示す。
【0044】
【表1】
Figure 2004251484
また硬度については、一般文献値で、SiCの場合、ヌープ硬度は2100〜2800kgf/cm 程度と報告されている(例えば、ファインセラミック事典編集委員会編著、ファインセラミック事典 技報堂出版)。他方、二酸化ケイ素などに代表されるガラス質材料では、その硬度は、セラミック材料に比較し著しく小さく、一般にヌープ硬度で500kgf/cm 前後である。他方、セッターに用いられる結晶化ガラスは、ヌープ硬度が600〜800kgf/cm 程度である(森田太郎他編、ガラス工学ハンドブック)。
【0045】
このように、本発明の実施の形態に係る搬送用ローラーの表面は、そのSiC焼結体本体に対して1200℃以上の高温加熱処理が施されたことによって、二酸化ケイ素からなるガラス質被膜を有する。被膜は形成膜厚に応じて低減された平滑度を示す。また、硬度については、製造されたローラー表面の二酸化ケイ素酸化膜は熱酸化によって通常得られる二酸化ケイ素酸化膜と実質的に異ならず、文献値に示される二酸化ケイ素薄膜の硬度と同等の硬度を有すると考えてよい。
【0046】
従って、本発明の実施の形態によれば、ローラー表面の平滑度が低減され、また硬度も著しく低減される。このため、詳述したような焼成炉内での過酷な使用状況下においても、搬送用ローラーによるセッターへの機械的損傷の発生が効果的に抑制され、当該焼成炉によってPDP基板が効率的に生産される。
【0047】
以上、本発明について実施の形態に沿って説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の改良や置換が可能であることは当業者には明らかである。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、SiC焼結体ローラー表面が平滑化されると同時に、セッターとの硬度の相違が緩和されている。このため、ローラーコンベア型連続炉において、セッターへの機械的損傷の発生を防止しつつ、高重量,大面積化したプラズマディスプレイパネルなどの被処理基材を、精度よく、効率的に搬送、熱処理していくことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るローラーハース炉を示した断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る搬送用ローラーを拡大して示した概略図である。
【図3】セッターの上に焼成処理するPDP基板を載せた様子を示した図である。
【図4】PDP用焼成炉内でのパネル焼成工程の一例を示した図である。
【符号の説明】
10 焼成炉
11 炉缶体
12 断熱層
13 内張り材
14 加熱用電気ヒーター
15 温度計
16 リターンコンベア
17 制御盤
19 化粧板
20 搬送用ローラー
21 セッター
22 被処理基材
23 可動受け部
24 駆動部
30 ガラス質被膜
31 SiC焼結体

Claims (14)

  1. ローラーハース炉において用いる、被処理基材を搬送するための搬送用ローラーであって、SiCを主成分とする焼結体からなるローラー本体と、前記ローラー本体の表面を被覆するガラス質被膜とを有する搬送用ローラー。
  2. 前記焼結体は、金属Siを含浸させた焼結体である、請求項1に記載の搬送用ローラー。
  3. 前記ガラス質被膜は、二酸化ケイ素を主成分とする、請求項1又は2に記載の搬送用ローラー。
  4. 前記被処理基材は、結晶化ガラスから成る搬送用セッターの上に載置され、前記搬送用セッターが前記ガラス質被膜と直接接触しつつ搬送用ローラー上を移動することによって搬送される、請求項1乃至3いずれかに記載の搬送用ローラー。
  5. 前記ローラーハース炉は、プラズマディスプレイのパネル部材の焼成処理を行うものである、請求項1乃至4いずれかに記載の搬送用ローラー。
  6. 前記ガラス質被膜は50〜150μmの膜厚を有する、請求項1乃至5いずれかに記載の搬送用ローラー。
  7. 前記ガラス質被膜は、前記焼結体を1200℃以上に昇温することによって形成された酸化膜である、請求項1乃至6いずれかに記載の搬送用ローラー。
  8. 金属Siを含浸させたSiC焼結体から成るローラー本体及び前記ローラー本体の表面を被覆する二酸化ケイ素を主成分とするガラス質被膜を有する搬送用ローラーと、前記搬送用ローラーの上に載置され該ローラーの回転によって移動する結晶化ガラスから成る搬送用トレイとを有するローラーハース炉。
  9. プラズマディスプレイのパネル部材の焼成処理を行うものである、請求項8に記載のローラーハース炉。
  10. 前記ガラス質被膜は50〜150μmの膜厚を有する、請求項8又は9に記載のローラーハース炉。
  11. 前記ガラス質被膜は、前記金属Siを含浸させたSiC焼結体を1200℃以上に昇温することによって形成された酸化膜である、請求項8乃至10いずれかに記載のローラーハース炉。
  12. 金属Siを含浸したSiC焼結体を熱酸化することによって、その表面層の少なくとも一部を二酸化ケイ素を主成分とするガラス質に改質する工程から成る、ローラーハース炉において用いるSi含浸SiC製搬送用ローラーの製造方法。
  13. 前記熱酸化が、前記金属Siを含浸したSiC焼結体を1200℃以上に昇温して、前記ガラス質の層が50〜150μmの膜厚で形成されるまで行われる、請求項12に記載のSi含浸SiC製搬送用ローラーの製造方法。
  14. 前記ガラス質に改質する工程の前に、前記金属Siを含浸したSiC焼結体の表面をブラスト処理する工程をさらに有する、請求項12又は13に記載のSi含浸SiC製搬送用ローラーの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007071510A (ja) * 2005-09-09 2007-03-22 Koyo Thermo System Kk ローラハース式熱処理炉における防塵装置
CN101256051B (zh) * 2007-03-01 2010-06-02 松下电器产业株式会社 热处理装置
KR101230719B1 (ko) * 2005-09-22 2013-02-07 고요 써모시스템 주식회사 롤러 허스식 열처리 노에 있어서의 방진 장치

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