JP2004251348A - 農機用トランスミッションのクラッチ装置 - Google Patents

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Masashi Kamoto
政司 嘉本
Kenichi Adachi
憲一 足立
Keiichi Omoto
啓一 大本
Akihiro Kishi
明広 岸
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Abstract

【課題】爪クラッチを切断する際の戻り不良を防止すると共に、スプラインクラッチの噛合い時の衝撃音を抑制する。
【解決手段】スプラインクラッチ80は、端部フランジ86の外周部に形成された外周スプライン80aと、クラッチ保持部材82の内周部に形成され外周スプライン80aに噛合する内周スプライン80bとを有し、該外周スプライン80aと内周スプライン80bの噛合い時には、スプライン係合により衝撃音が抑制される。また、爪クラッチ84は、クラッチ保持部材82に形成された歯車状の凹凸の係合部材84bと、ギヤ58に形成され該歯車状の凹凸の係合部材84bに係合する歯車状の凸凹の係合部材84aとを有し、これら凹凸の係合部材84b及び凸凹の係合部材84aは、係脱容易に夫々の係合面が係脱方向に沿いテ−パ部84b’に形成されている。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、静油圧式無段変速装置を備えた農機用トランスミッションのクラッチ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
左右一対のクローラ式走行装置を備えたコンバインでは、走行機体を支持する左右の走行装置に対応して左右の静油圧式無段変速装置(以下、「HST」という)を備えたものがあり、これら左右のHSTにより、走行機体の直進走行及び旋回走行を行うようにしたものがある。
【0003】
そして、例えば、特許文献1には、コンバイン等におけるトランスミッションの連結クラッチ機構が開示されていて、この従来技術によれば、機体直進走行時には、クラッチ軸上に対向配置された一対のクラッチ爪が噛合して左右一対の走行装置の動力伝動経路が連結され、これにより左右一対の走行装置が略々同速度で同期回転し、また、機体旋回走行時には、前記一対のクラッチ爪の噛合が解除されて左右一対の走行装置の動力伝動経路が分離され、これにより旋回側の走行装置のみが減速駆動されて機体が旋回する制御が行われる。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−178774号公報(第3頁〜第4頁、図6)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した特許文献1によると、一対のクラッチ爪は、機体直進時には噛合し、旋回時には噛合が解除されるが、特にクラッチ爪の噛合を解除するときに、該クラッチ爪にはトルクが加わっているため、その摺動抵抗が大きく、これによって爪の戻り不良が起こると共に、噛合時に大きな衝撃音を伴うという課題があった。
【0006】
本発明は、斯かる課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、爪クラッチを切断する際の戻り不良を防止すると共に、スプラインクラッチの噛合い時の衝撃音を抑制することができる農機用トランスミッションのクラッチ装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、走行機体(14)を支持する左右一対の走行装置(12R,12L)を駆動して前記走行機体の直進走行及び旋回走行を行う第1と第2の静油圧式無段変速装置(36,38)と、
前記第1の静油圧式無段変速装置(36)の動力を、クラッチ軸(81)に固定された第1の入力ギヤ(62)を介して入力し、該クラッチ軸(81)に対し回動不能かつ軸方向移動自在に被嵌されたクラッチ保持部材(82)の軸方向の一側に取付けられたスプラインクラッチ(80)又は多板クラッチを介して左右いずれか他方の走行装置(12L)に伝動する伝動系と、
前記第2の静油圧式無段変速装置(38)の動力を、前記クラッチ軸(81)に遊嵌された第2の入力ギヤ(58)を介して入力し、前記クラッチ保持部材(82)の軸方向の他側に取付けられた爪クラッチ(84)を介して左右いずれか他方の走行装置(12L)に伝動する伝動系と、を備え、
前記走行機体(14)の直進走行時には前記スプラインクラッチ(80)又は多板クラッチが接続されて、前記第1の静油圧式無段変速装置(36)の動力を、前記第1の入力ギヤ(62)を介して左右いずれか一方の走行装置(12R)に伝動すると共に、前記スプラインクラッチ(80)又は多板クラッチを介して左右いずれか他方の走行装置(12L)にも伝動し、
前記走行機体(14)の旋回走行時には前記爪クラッチ(84)が接続されて、前記第1の静油圧式無段変速装置(36)の動力を、前記第1の入力ギヤ(62)を介して左右いずれか一方の走行装置(12R)に伝動すると共に、前記第2の静油圧式無段変速装置(38)の動力を、前記爪クラッチ(84)を介して左右いずれか他方の走行装置(12L)に伝動する農機用トランスミッション(34)のクラッチ装置(78)において、
前記スプラインクラッチ(80)は、前記クラッチ軸(81)に固定された端部フランジ(86)の外周部に形成された外周スプライン(80a)と、前記クラッチ保持部材(82)の内周部に形成され前記外周スプライン(80a)に噛合する内周スプライン(80b)とを有し、
前記爪クラッチ(84)は、前記クラッチ保持部材(82)の外周端部に形成された歯車状の凹凸の係合部材(84b)と、前記第2の入力ギヤ(58)の外周端部に形成されて前記歯車状の凹凸の係合部材に係合する歯車状の凸凹の係合部材とを有し、これら歯車状の凹凸の係合部材(84b)及び歯車状の凸凹の係合部材(84a)は、係脱容易となるように夫々の係合面が係脱方向に沿ってテ−パ状(84b’)に形成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明によれば、請求項1記載の農機用トランスミッションのクラッチ装置において、前記クラッチ保持部材(82)は、前記クラッチ軸(81)を回動自在に被嵌しかつ外周面にスプライン係合部が形成されたスリーブ部材(83)の外周側を、前記スプライン係合部を介して該スリーブ部材(83)に対し回動不能かつ軸方向移動自在に被嵌すると共に、
前記スプライン係合部は、前記スリーブ部材(83)の表面に軸方向に沿って形成されたスプライン溝(83a)と、該スプライン溝(83a)に対向するように前記クラッチ保持部材(82)の内周面に形成された凹溝(82a)とを有し、これらスプライン溝(83a)と凹溝(82a)との間には多数のボール(90)が介在されていることを特徴とする。
【0009】
[作用]
本発明によれば、スプラインクラッチ(80)は、端部フランジ(86)の外周部に形成された外周スプライン(80a)と、クラッチ保持部材(82)の内周部に形成され前記外周スプライン(80a)に噛合する内周スプライン(80b)とを有していて、これら外周スプライン(80a)と内周スプライン(80b)との噛合い時には、スプライン係合によって衝撃音が抑制される。
【0010】
また、爪クラッチ(84)は、前記クラッチ保持部材(82)に形成された歯車状の凹凸の係合部材(84b)と、第2の入力ギヤ(58)に形成されて前記歯車状の凹凸の係合部材(84b)に係合する歯車状の凸凹の係合部材(84a)とを有し、これら歯車状の凹凸の係合部材(84b)及び歯車状の凸凹の係合部材(84a)は、係脱容易となるように夫々の係合面が係脱方向に沿ってテ−パ状(84b’)に形成されているので、係脱時の摺動抵抗が小さくなり、よって爪クラッチ(84)を切断する際の戻り不良が防止される。
【0011】
なお、括弧内の符号は図面を参照するためのもので、本発明を何ら限定するものではない。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基き本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
図1は、本発明が適用されたコンバインの外観斜視図であり、コンバイン10は、左右のクローラ走行装置12L,12Rに支持された走行機体14を有しており、該走行機体14の左右一側には、運転席16と、その後方において穀粒を一時的に貯留する穀粒タンク18が配置されている。また、走行機体14の左右他側には、脱穀部(図示せず)が配置され、更に、走行機体14の前方には、穀稈の刈取りを行う前処理部20が昇降自在に配設されている。
【0014】
前処理部20は、穀稈を分草するデバイダ22、ナローガイド24、及び搬送部26等を有しており、該前処理部20にて刈取られた穀稈は、フィードチエン(図示せず)に引継がれて脱穀部に供給され、該脱穀部にて脱穀・選別され、穀粒は穀粒タンク18に一時的に貯留される。貯留された穀粒は、穀粒タンク18の後部から略々垂直に立設され、かつ旋回自在な長筒を有する排出オーガ28によって機外に搬出される。なお、運転席16の後部反面側には、エンジンを収容したエンジンルームが画成されていて、該エンジンルームの外側方はエンジンカバー30で覆われている。
【0015】
運転席16の前方には、サイドクラッチ操作と前処理部20の昇降操作とを行うマルチステアリングレバー31と、その左側方には、コンバイン10の前後進の切換え操作と、走行速度を無段に変速操作可能な主変速レバー32が立設されている。
【0016】
図2に示すように、トランスミッション34はミッションケース35を有し、該ミッションケース35の側壁には、第1の静油圧式無段変速装置(以下、「右HST」という)36と第2の静油圧式無段変速装置(以下、「左HST」という)38とが取付けられている。これら左右HST36,38は、走行ベルト40と入力プーリ41、及びメインクラッチ39を介して入力されるエンジン33の動力に基づいて駆動される。該駆動力は、左右HST36,38から左右車軸51L,51Rを介して左右のクローラ走行装置12L,12Rの左右のスプロケット52L,52Rに伝達される。
【0017】
左右HST36,38は、一組の油圧ポンプ42及び油圧モータ43、並びに一組の油圧ポンプ44及び油圧モータ45を備えており、エンジン33からの入力回転を油圧ポンプ42,44にて油圧に変換し、油圧モータ43,45を回転駆動して出力が得られる。
【0018】
ミッションケース35には、メインクラッチ39と入力プーリ41を介してエンジン33の動力が伝達される主軸46が回転自在に支持されている。この主軸46には伝動ギヤ48が固定されており、該伝動ギヤ48は、右HST36の入力軸36aに固定された入力ギヤ54と、左HST38の入力軸38aに固定された入力ギヤ56の双方に噛合している。
【0019】
また、右HST36の出力軸36bには、出力ギヤ55が固定されており、該出力ギヤ55はギヤ62を介して副変速機構64側の入力ギヤ63に連結されている。また、左HST38の出力軸38bには、出力ギヤ57が固定されており、該出力ギヤ57はギヤ58,59を介して副変速機構66側の入力ギヤ67に連結可能とされている。
【0020】
副変速機構64では、出力ギヤ65の回転が、大径ギヤ68及び該大径ギヤ68と同軸状に配置されたギヤ69を介して、右車軸51Rに固定された大径ギヤ70Rに伝達される。また、副変速機構66では、出力ギヤ72の回転が、大径ギヤ73及び該大径ギヤ73と同軸状に配置されたギヤ74を介して、左車軸51Lに固定された大径ギヤ70Lに伝達される。
【0021】
そして、前記ギヤ58,59,62は、油圧シリンダ76の作動に基づくクラッチ装置78の断接によって、右HST36のみの出力回転を左右車軸51L,51Rの双方に伝達するように、また、左右HST36,38の各出力回転を左右車軸51L,51Rに個々に伝達するように連結される。
【0022】
すなわち、油圧シリンダ76が収縮作動すると、クラッチ装置78のスプラインクラッチ80が接続されると共に、爪クラッチ84が切断される。そして、スプラインクラッチ80が接続されることで、ギヤ62が固定されたクラッチ軸81とクラッチ保持部材82とが連結され、かつギヤ59が固定されたスリーブ軸83と前記クラッチ保持部材82とが連結されて、ギヤ62とギヤ59とが連動連結される。また、爪クラッチ84が切断されることで、ギヤ58はこれらギヤ62,59から分離される。この状態では、右HST36のみの出力回転に基づいて左右のクローラ走行装置12L,12Rが同時に駆動される状態が得られる。
【0023】
一方、油圧シリンダ76が伸長作動すると、クラッチ装置78のスプラインクラッチ80が切断されると共に、爪クラッチ84が接続される。そして、爪クラッチ84が接続されることで、ギヤ58とクラッチ保持部材82とが連結され、かつギヤ59が固定されたスリーブ軸83と前記クラッチ保持部材82とが連結されて、ギヤ58とギヤ59とが連動連結される。また、スプラインクラッチ80が切断されることで、クラッチ軸81とクラッチ保持部材82とが分離される。この状態では、左右HST36,38の各出力回転に基づいて左右のクローラ走行装置12L,12Rが個々に駆動される状態が得られる。
【0024】
すなわち、前記クラッチ装置78が、右HST36と左のクローラ走行装置12Lの駆動系を断接自在に連結する機能を有し、油圧シリンダ76の収縮状態では、右HST36が左右のクローラ走行装置12L,12Rを同時に駆動し、コンバイン10を直進走行させることができる。また、油圧シリンダ76の伸長状態では、左右のHST36,38が夫々左右のクローラ走行装置12L,12Rを独立して駆動し、これによりコンバイン10を旋回走行させることができる。
【0025】
図3は、上述したクラッチ装置78の詳細を示す図であり、同図の上半分は、スプラインクラッチ80が切断されて爪クラッチ84が接続された状態を示し、同図の下半分は、スプラインクラッチ80が接続されて爪クラッチ84が切断された状態を示している。以下、このクラッチ装置78の構造を説明する。なお、符号は、図2に示した部材と対応している。
【0026】
右HST36の動力は、クラッチ軸81に固定されたギヤ(第1の入力ギヤ)62を介して右のクローラ走行装置12Rに伝動されると共に、前記クラッチ装置78の断接作動により、右HST36又は左HST38から、左のクローラ走行装置12Lに至る2つの伝動系が構成される。
【0027】
1つの伝動系は、右HST36の動力を、クラッチ軸81に固定されたギヤ62とスプラインクラッチ80を介して左のクローラ走行装置12Lに伝動する伝動系であり、もう1つの伝動系は、左HST38の動力を、前記クラッチ軸81に遊嵌されたギヤ(第2の入力ギヤ)58と爪クラッチ84を介して左のクローラ走行装置12Lに伝動する伝動系である。
【0028】
前記クラッチ装置78は、ミッションケース35に回動自在に軸装されたクラッチ軸81と、該クラッチ軸81の一端(図の右端)に固定されたギヤ62と、他端(図の左端)に固定された端部フランジ86と、該ギヤ62及び端部フランジ86の軸方向の中間にてニードル軸受85を介しクラッチ軸81を回動自在に被嵌するスリーブ軸83とを有している。このスリーブ軸83の右端には、該スリーブ軸83と一体にギヤ59が固定されている一方、該スリーブ軸83の左端側には、外周面に軸方向に沿ってボールスプライン溝83aが形成されている。また、前記スリーブ軸83の軸方向の中間の外周側には、軸方向に突出した突出軸58aを有するギヤ58が、内径側と外形側を夫々ニードル軸受87及び軸受88により回動自在に支持されていて、該ギヤ58はスリーブ軸83を回動自在に被嵌している。
【0029】
更に、スリーブ軸83に形成された前記ボールスプライン溝83aの外周側には、内周面に該ボールスプライン溝83aに対向する凹溝82aが形成された段付き筒状のクラッチ保持部材82が被嵌されている。このクラッチ保持部材82は、ボールスプライン溝83aと凹溝82a、及びこれらの間に介在する多数のボール90とにより、スリーブ軸83に対し回動不能かつ軸方向移動自在に配置されている。また、このクラッチ保持部材82は、その外周側の段部と前記軸受88との間に装着されたスプリング(圧縮)91の付勢圧により、常時軸方向の一側(爪クラッチ84を切る側)に向けて付勢されている。
【0030】
前記スプラインクラッチ80は、クラッチ軸81の左端に固定された端部フランジ86の外周部に形成されたスプライン歯を有する外周スプライン80aと、前記クラッチ保持部材82の内周部に形成され、前記外周スプライン80aに噛合する円弧状のスプライン溝を有する内周スプライン80bとを有している。なお、このスプラインクラッチ80の代りに、多数の板状部材を接離させてクラッチを断接する形式の多板クラッチを用いても良い。
【0031】
また、前記爪クラッチ84は、クラッチ保持部材82の外周端部に形成された歯車状の凹凸の係合部材84bと、前記ギヤ58の外周端部に形成されて前記歯車状の凹凸の係合部材84bに係合する歯車状の凸凹の係合部材84aとを有している。そして、これら歯車状の凹凸の係合部材84b及び歯車状の凸凹の係合部材84aは、係脱容易となるように夫々の係合面が係脱方向に沿ってテ−パ状に形成されている。
【0032】
図4は、クラッチ保持部材82の詳細を示す図である。
【0033】
このクラッチ保持部材82は、上述したように、外観が段付きの筒状をなし、前記スリーブ軸83の外周側に形成されたボールスプライン溝83aを被嵌する内周面には、該ボールスプライン溝83aに対向するように凹溝82aが形成されている。また、これらボールスプライン溝83aと凹溝82aとの間には、多数のボール90が介在されていて、これらボールスプライン溝83aと凹溝82a、及びボール90でスプライン係合部が形成されている。このスプライン係合部により、クラッチ保持部材82は、スリーブ軸83に対し回動不能かつ軸方向移動自在に被嵌されている。
【0034】
また、クラッチ保持部材82の内周側には、前記凹溝82aに隣接して、エンドミル加工により多数(11個)の円弧状溝からなる内周スプライン80bが形成されている。一方、図5には、端部フランジ86の詳細が示されており、この端部フランジ86は、内周側に前記クラッチ軸81に係合するスプライン溝86aが形成され、外周部には、前記内周スプライン80bに噛合う多数(11個)の外周スプライン80aが形成されている。この外周スプライン80aは、A矢視図(図5(c)参照)に示すように、歯面取り加工がしてあり、面取りした頂点が内周スプライン80bに向けて突出していて、これにより外周スプライン80aが内周スプライン80bに噛合い易くしている。
【0035】
更に、図4において、前記クラッチ保持部材82の軸方向右側の端部には、歯車状の凹凸の係合部材84bが形成されており、一方、前記ギヤ58から軸方向に突設された突出軸58aの一側端部には、前記凹凸の係合部材84bに係合する歯車状の凸凹の係合部材84aが形成されている。そして、これら歯車状の凹凸の係合部材84b及び歯車状の凸凹の係合部材84aは、係脱容易となるように夫々の係合面が係脱方向に沿ってテ−パ部84a’,84b’が形成されている。
【0036】
次に、図6に基づき、本実施の形態の作用を簡単に説明する。
【0037】
走行機体14の直進走行時である油圧シリンダ76の収縮時には(図2参照)、クラッチ保持部材82が軸方向に沿い図6の左方向に操作され、スプラインクラッチ80が接続され、爪クラッチ84の連結が解除される。この状態では、破線で示される伝動経路のように、右HST36の動力は、その出力軸36bに固定された出力ギヤ55と、クラッチ軸81に固定されたギヤ62を介して右のクローラ走行装置12Rに伝動される。これと同時に、右HST36の動力は、前記ギヤ62を介してクラッチ軸81に入力され、このクラッチ軸81から、端部フランジ86、スプラインクラッチ80、クラッチ保持部材82、スプライン係合部(82a,90,83a)、スリーブ軸83、更にギヤ59を介して左のクローラ走行装置12Lに伝動される。
【0038】
すなわち、走行機体14の直進走行時には、スプラインクラッチ80が接続され、右HST36の動力は、ギヤ62を介して右のクローラ走行装置12Rに伝動されると共に、前記スプラインクラッチ80を介して左のクローラ走行装置12Lにも伝動される。
【0039】
一方、走行機体14の旋回走行時である油圧シリンダ76の伸長時には(図2参照)、クラッチ保持部材82が軸方向に沿い図6の右方向に操作され、爪クラッチ84が接続されてスプラインクラッチ80の連結が解除される。この状態では、一点鎖線で示される伝動経路のように、右HST36の動力は、その出力軸36bに固定された出力ギヤ55と、クラッチ軸81に固定されたギヤ62を介して右のクローラ走行装置12Rに伝動される。これと同時に、左HST38の動力は、その出力軸38bに固定された出力ギヤ57と、クラッチ軸81に遊嵌されたギヤ58を介して入力され、このギヤ58から、爪クラッチ84、クラッチ保持部材82、スプライン係合部(82a,90,83a)、スリーブ軸83、更にギヤ59を介して左のクローラ走行装置12Lに伝動される。
【0040】
すなわち、走行機体14の旋回走行時には、爪クラッチ84が接続され、右HST36の動力は、ギヤ62を介して右のクローラ走行装置12Rに伝動されると共に、左HST38の動力は、前記爪クラッチ84を介して左のクローラ走行装置12Lに伝動される。
【0041】
以上において、前記爪クラッチ84を構成している歯車状の凹凸の係合部材84b及び歯車状の凸凹の係合部材84aは、係脱容易となるように夫々の係合面が係脱方向に沿ってテ−パ状に形成されているので、爪クラッチ84を切断する際の戻り不良を防止することができる。
【0042】
また、クラッチ保持部材82の軸方向の一側に取付けられたスプラインクラッチ80は、外周スプライン80aと該外周スプライン80aに噛合する内周スプライン80bとを有するので、該スプラインクラッチ80の噛合い時の衝撃音を抑制することができる。更に、スプラインクラッチの代りに多板クラッチを用いた場合は、噛合い時の衝撃音を更に抑制することができる。
【0043】
【発明の効果】
以上説明した通り、請求項1に係る発明によれば、クラッチ保持部材の軸方向の他側に取付けられた爪クラッチは、歯車状の凹凸の係合部材と該凹凸の係合部材に係合する歯車状の凸凹の係合部材とを有し、これら歯車状の凹凸の係合部材及び歯車状の凸凹の係合部材は、係脱容易となるように夫々の係合面が係脱方向に沿ってテ−パ状に形成されているので、爪クラッチを切断する際の戻り不良を防止することができる。
【0044】
また、クラッチ保持部材の軸方向の一側に取付けられたスプラインクラッチは、外周スプラインと該外周スプラインに噛合する内周スプラインとを有するので、該スプラインクラッチの噛合い時の衝撃音を抑制することができる。
【0045】
更に、例えばスプラインクラッチの代りに多板クラッチを用いた場合は、噛合い時の衝撃音を更に抑制することができる。
【0046】
請求項2に係る発明によれば、スプライン係合部は、スプライン溝と該スプライン溝に対向するように形成された凹溝とを有し、これらスプライン溝と凹溝との間に多数のボールを介在させてボールスプラインを構成したので、特に爪クラッチの戻り不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されたコンバインの外観斜視図である。
【図2】コンバインにおけるトランスミッションの構成を示す伝動線図である。
【図3】同上のトランスミッションのクラッチ装置の詳細を示す断面図である。
【図4】(a)はクラッチ保持部材の断正面図であり、(b)はその左側面図であり、(c)はその右側面図である。
【図5】(a)は端部フランジの断正面図であり、(b)はその右側面図であり、(c)は外周スプラインのA方向矢視図である。
【図6】クラッチ装置における力の伝動系を示す断面図である。
【符号の説明】
10 コンバイン
12R,12L クローラ走行装置
14 走行機体
34 トランスミッション
35 ミッションケース
36 右HST(第1のHST)
38 左HST(第2のHST)
58 ギヤ
62 ギヤ
78 クラッチ装置
80 スプラインクラッチ
80a 外周スプライン
80b 内周スプライン
81 クラッチ軸
82 クラッチ保持部材
82a 凹溝
83 スリーブ軸
83a スプライン溝
84 爪クラッチ
84a 凸凹の係合部材
84b 凹凸の係合部材
84b’ テ−パ部
86 端部フランジ
86a スプライン溝
90 ボール

Claims (2)

  1. 走行機体を支持する左右一対の走行装置を駆動して前記走行機体の直進走行及び旋回走行を行う第1と第2の静油圧式無段変速装置と、
    前記第1の静油圧式無段変速装置の動力を、クラッチ軸に固定された第1の入力ギヤを介して入力し、該クラッチ軸に対し回動不能かつ軸方向移動自在に被嵌されたクラッチ保持部材の軸方向の一側に取付けられたスプラインクラッチ又は多板クラッチを介して左右いずれか他方の走行装置に伝動する伝動系と、
    前記第2の静油圧式無段変速装置の動力を、前記クラッチ軸に遊嵌された第2の入力ギヤを介して入力し、前記クラッチ保持部材の軸方向の他側に取付けられた爪クラッチを介して左右いずれか他方の走行装置に伝動する伝動系と、を備え、
    前記走行機体の直進走行時には前記スプラインクラッチ又は多板クラッチが接続されて、前記第1の静油圧式無段変速装置の動力を、前記第1の入力ギヤを介して左右いずれか一方の走行装置に伝動すると共に、前記スプラインクラッチ又は多板クラッチを介して左右いずれか他方の走行装置にも伝動し、
    前記走行機体の旋回走行時には前記爪クラッチが接続されて、前記第1の静油圧式無段変速装置の動力を、前記第1の入力ギヤを介して左右いずれか一方の走行装置に伝動すると共に、前記第2の静油圧式無段変速装置の動力を、前記爪クラッチを介して左右いずれか他方の走行装置に伝動する農機用トランスミッションのクラッチ装置において、
    前記スプラインクラッチは、前記クラッチ軸に固定された端部フランジの外周部に形成された外周スプラインと、前記クラッチ保持部材の内周部に形成され前記外周スプラインに噛合する内周スプラインとを有し、
    前記爪クラッチは、前記クラッチ保持部材の外周端部に形成された歯車状の凹凸の係合部材と、前記第2の入力ギヤの外周端部に形成されて前記歯車状の凹凸の係合部材に係合する歯車状の凸凹の係合部材とを有し、これら歯車状の凹凸の係合部材及び歯車状の凸凹の係合部材は、係脱容易となるように夫々の係合面が係脱方向に沿ってテ−パ状に形成されている、
    ことを特徴とする農機用トランスミッションのクラッチ装置。
  2. 前記クラッチ保持部材は、前記クラッチ軸を回動自在に被嵌しかつ外周面にスプライン係合部が形成されたスリーブ部材の外周側を、前記スプライン係合部を介して該スリーブ部材に対し回動不能かつ軸方向移動自在に被嵌すると共に、
    前記スプライン係合部は、前記スリーブ部材の表面に軸方向に沿って形成されたスプライン溝と、該スプライン溝に対向するように前記クラッチ保持部材の内周面に形成された凹溝とを有し、これらスプライン溝と凹溝との間には多数のボールが介在されている、
    ことを特徴とする請求項1記載の農機用トランスミッションのクラッチ装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009126482A (ja) * 2007-11-28 2009-06-11 Toyota Motor Corp 車両の駆動装置
JP2012002322A (ja) * 2010-06-18 2012-01-05 Yanmar Co Ltd クラッチ

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