JP2004250263A - 高品質ウェーハおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アニール処理により表面層の欠陥密度が低減し、BMDが面内に均一かつ十分に形成されるシリコンウェーハとその製造方法の提供。
【解決手段】
酸素濃度が24ppma以上で、全体が空洞欠陥(COP)発生領域にあり、COPの大きさは平均0.1μm以下で0.15μmを超えず、内部に形成される酸素析出物(BMD)の存在密度が2.5×10個/cm以上、かつ径方向での密度分布が最大値/最小値比にて4以下であるウェーハ、またはこのウェーハをアニール処理したウェーハ、および引き上げ速度をV、引き上げ軸方向の温度勾配を中心部がG、外周部がGとするとき、融点から1000℃まではGが3.0以上、融点から1300℃まではG/Gの比が1.0以上、かつV/Gが0.17〜0.25(mm/[℃・min])とするウェーハの製造方法、および、非酸化非窒化雰囲気中にて1100〜1250℃の温度で0.5〜6時間加熱するウェーハの製造方法。
【選択図】なし。

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、半導体材料として使用されるシリコンウェーハ、とくに高温加熱処理(アニール処理)することによって、そのウェーハの表面に無欠陥層を形成させたシリコンウェーハとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体材料のシリコンウェーハはシリコン単結晶から切り出されるが、このシリコン単結晶の製造に最も広く採用されているのは、チョクラルスキー法(CZ法)による単結晶の引き上げ育成方法である。
【0003】
CZ法は、石英るつぼ内の溶融したシリコンに種結晶を浸けて引き上げ、単結晶を成長させるものであるが、このシリコン単結晶の引き上げ育成技術の進歩により、欠陥の少ない、無転位の大型単結晶が製造されるようになってきている。しかし、デバイスの回路の高密度化微細化が進むにつれ、従来問題とならなかった欠陥がデバイスの性能に大きく影響するようになり、結晶育成時に形成される微細欠陥、すなわちGrown−in欠陥も、できるだけ低減排除するよう種々の検討がおこなわれている。
【0004】
Grown−in欠陥の代表的なものの分布は、たとえば図1のように観察される。これは、成長直後の単結晶からウェーハを切り出し、硝酸銅水溶液に浸けてCuを付着させ、熱処理後、X線トポグラフ法により微小欠陥分布の観察をおこなった結果を模式的に示した図である。この図は、リング状に分布したOSF(Oxidation induced Stacking Fault:酸化誘起積層欠陥)が、ウェーハ径の1/2近傍に現れたウェーハの例を示すが、OSFリングの外側部分には、転位クラスターと呼ばれる大きさが10μm程度の欠陥が10〜10個/cm程度存在する領域があり、内側部分には、大きさが0.2μm程度以下の赤外線散乱体、あるいはCOP(Crystal Originated Particle)などと呼ばれる欠陥が10〜10個/cm程度検出される。
【0005】
OSFは、酸化熱処理時に生じる格子間原子による積層欠陥であり、デバイスの活性領域であるウェーハ表面に生成、成長した場合には、リーク電流の原因となり、デバイス特性を劣化させる。転位クラスターは、その存在部分に形成されたデバイスが動作不良品となり、またCOPが存在すると初期の酸化膜耐圧特性を低下させる。
【0006】
単結晶育成時の引き上げ速度を遅くすると、リング状OSFが小さくなり、やがては転位クラスターの発生しやすい領域のみとなってしまい、引き上げ速度を速くすると、リング状OSFはウェーハの外周位置に移動して中央部のCOPが発生しやすい領域が拡大してくる。従来は、転位クラスターによる不良発生の影響が大きいことや生産性の点から、健全な単結晶の得られる範囲で引き上げ速度を速くした、リング状OSFを外周近傍に位置させたウェーハが多く用いられてきた。
【0007】
しかしながら、よりGrown−in欠陥の少ないウェーハに対する要望の増大から、種々の対処法の検討がなされている。図1に示されるウェーハを詳細に観察すると、リング状OSFに接してすぐ外側には、酸素析出の起こりやすい酸素析出促進領域があり、その外側にはほとんど無欠陥の領域があって、それから転位クラスター欠陥発生領域となっている。また、リング状OSF発生領域の内側にもCOPの発生密度が極めて小さい領域がある。これらリング状OSF発生領域およびその近傍の各領域は、引き上げ直後の単結晶内温度分布や引き上げ速度によりその分布状態が変化する。
【0008】
そこで、これらのGrown−in欠陥の発生が極めて少ない部分が全面に拡大された、無欠陥のウェーハを得ようとする単結晶育成技術や処理方法が種々開発されてきた。
【0009】
たとえば、特許文献1に開示された発明は、単結晶育成時の引き上げ速度をV(mm/min)、融点から1300℃までの温度範囲における引き上げ軸方向の結晶内温度勾配をG(℃/mm)とするとき、結晶中心部より外周から30mmまでの内部位置ではV/Gを0.20〜0.22(mm/[℃・min])とし、結晶外周に向かってはこれを漸次増加させるよう、引き上げる単結晶周囲に置かれた構成物すなわちホットゾーンの改善により温度勾配を制御する。ホットゾーンをこのようにして引き上げ速度を調整し育成をおこなうと、OSFおよび転位クラスターを生成させることなく、リング状OSFの外側部分の酸素析出促進領域や、酸素析出抑制領域の無欠陥領域のみが、ウェーハ全面に拡大する。
【0010】
特許文献2や特許文献3に開示の発明は、酸素濃度を24ppma(old ASTM)未満としてリング状OSFが顕在化しないようにし、その上でV/Gを0.112〜0.142(mm/[℃・min])に制御して、リング状OSFの外側部分ばかりでなく、内側部分のCOPの発生のない部分まで含めた領域からなるウェーハを製造しようとしている。
【0011】
さらに、無欠陥領域をより安定して拡大するため、育成する単結晶の引き上げ軸方向の結晶内温度勾配Gについて、外周表面部より中心部の方が大きくなるようにしたホットゾ−ン構造を有する装置の発明が、特許文献4に開示されている。この装置は、引き上げ中の単結晶の周囲を取り囲んで、その内周面が引き上げ軸と同軸である冷却用部材と、この冷却用部材の外面の外側および下端面の下側とに熱遮蔽材とを設けたものである。上記冷却部材と熱遮蔽材とを組み合わせた構成物の、単結晶表面からの距離および融液面からの距離を制御することにより、単結晶下方の凝固直後の融点に近い温度の単結晶表面は、融液面やるつぼ内面からの輻射で保温され、より上方の冷却部材に面する部分は強制的に冷却されて、上述の温度勾配あるいは温度分布を実現させる。
【0012】
このような単結晶育成時に生じる無欠陥領域を、凝固直後の単結晶内温度分布と引き上げ速度の制御により、ウェーハ全面に拡大しようとする方法は、単結晶の引き上げ速度増加に限定を受け、その上、径の大きいウェーハには安定した実施が困難で、量産への適用は容易ではない。
【0013】
ウェーハとしては、集積回路が形成される表面層の部分には、できるだけ欠陥が少ないことが必須であるが、その集積回路形成部の下の基板部分は、製造プロセスにおいて避けがたい重金属などの汚染に対し、ゲッタリング効果を有していることも重要である。この内部ゲッタリング効果は、ウェーハ中のBMD(Bulk Micro Defect)と呼ばれる欠陥が作用しており、COP発生領域に生じる酸素析出物もその一つとされている。
【0014】
上述のウェーハは、集積回路形成に有害な欠陥は低減できるが、内部の欠陥も減少したり、不均一な分布となり、有効なBMDが十分に、あるいは均一に形成されないおそれがある。
【0015】
これに対し、単結晶をCOP発生領域の条件で作製し、得られたウェーハをアニールして、集積回路を形成させる表面層の欠陥を低減させる方法が提案されている。この場合、ウェーハのアニールは別途必要であるが、引き上げ速度の速い条件で単結晶の育成が可能であり、ウェーハ内部には、COPのもととなる空孔が作用してBMDが形成されるという利点がある。
【0016】
たとえば、特許文献5には、酸素濃度を4×1017原子/cm以上とし、単結晶引き上げ時の1100〜850℃間の温度領域の通過時間を80分未満の急冷とすることにより、COP欠陥のサイズを小さくして分布させ、1000℃以上かつ1時間以上のアニール処理により欠陥を低減させる、ウェーハの製造方法の発明が開示されている。COP欠陥のサイズを小さくすると、アニールによりウェーハ表面近傍の欠陥を容易に低減できるからである。また、この1100℃から850℃間の急冷の代わりに1×1014原子/cmの窒素をドーピングしても同様な効果が得られるとしている。
【0017】
さらに、特許文献6には、窒素濃度を1013原子/cm以上とし、1200℃から1000℃までの冷却時間を200分以下として、リング状OSFが単結晶の外径の0.8以下の径になるように引き上げをおこない、得られた単結晶から採取したウェーハを、水素あるいはアルゴンを含む雰囲気中にて1000〜1350℃でアニールする、基板用ウェーハ製造方法の発明が提示されている。
また、特許文献7に開示された発明は、酸素濃度を25ppma以上とし、引き上げる単結晶の垂直方向の温度勾配が中心部ではG、表面部ではGとするとき、融点から1370℃までの温度領域で、Gが2.8℃/mm以上かつG/Gの比を1以上として、ウェーハ面全面がCOP発生領域になるようにして引き上げる。このようにして、COP欠陥の平均の大きさが0.1μm以下で0.1μmを超える欠陥の密度が10個/cm以下である単結晶を得るが、この単結晶から得られたウェーハは、アニール処理により容易に表面の無欠陥層が形成され、またBMDも生成されるとしている。
【0018】
以上のように、集積回路の形成される表面層の部分は欠陥がきわめて少なく、かつ内部においては効果的なゲッタリング効果を有するBMDが存在するウェーハを得るための、様々な検討もなされている。しかしながら、表面層の無欠陥状態を容易に実現させることができ、そして内部ではBMDが十分かつ全面均一に存在させることのできるウェーハが得られているとは言い難い。
【0019】
【特許文献1】
特開平8−330316号公報
【特許文献2】
特開平11−147786号公報
【特許文献3】
特開平11−157996号公報
【特許文献4】
特開2001−220289号公報
【特許文献5】
特開平10−98047号公報
【特許文献6】
特開2001−240490号公報
【特許文献7】
特開2002−187794号公報
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、不活性ガスや水素などの非酸化非窒化性のガス中でアニールすることにより、表面層の欠陥密度がきわめて低くなり、そしてBMDが面内に均一かつ十分に形成されたウェーハと、その製造方法の提供にある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
集積回路を形成させるシリコンウェーハには、表面近傍の回路形成部分には欠陥が極めて少なく、かつゲッタリング効果を得るため内部には欠陥の存在が必要、という表面と内部とで相矛盾する状態を要求される。本発明者らは、このような特性を有するウェーハ製造の一つの手段として、比較的簡単な熱処理により表面部分の欠陥を消滅させ、それとともに内部にはゲッタリング効果のあるBMDを形成させる方法が望ましいと考え、それに適したウェーハまたはそのウェーハを得る単結晶の製造方法を検討した。
【0022】
表面の回路形成部分の欠陥を低減する熱処理法として、水素あるいはアルゴンなど非酸化非窒化性雰囲気中で1000℃以上にて1時間以上加熱するアニール法がある。この方法では、転位クラスターは消滅させることができないので、図1に示したリング状OSFが外周近くにあり、COP欠陥発生領域が大部分を占めるウェーハが用いられる。
【0023】
このアニールをおこなうとき、COP欠陥はそのサイズが微細なほど、容易に消滅させることができる。COP欠陥のサイズを小さく分散させるために、窒素をドープする方法がある。しかしながら検討の結果、窒素ドープはCOP欠陥を小さく分散させることはできても、実用上種々問題のあることがわかってきた。たとえば、窒素によって生じた酸素析出物欠陥が、アニールにをおこなったとき容易には消滅せず表面層に欠陥となって残るおそれがあること、引き上げ軸方向に窒素の偏析が大きく、それに起因すると考えられるBMDの不均質な分布が生じやすいこと、さらには径方向でも、リング状OSFの広がりによりBMDの面内分布が不均一になることなどである。
【0024】
そこで、窒素ドープなしにCOP欠陥を微細にかつ均一に分散させることの可能性について、単結晶引き上げ時の結晶内温度分布や引き上げ速度の影響を検討することにした。ここで、COP欠陥の検出はOPP装置(バイオラッド社製、Oxgen Precipitate Profiler)を用い、研磨したウェーハ表面にて、欠陥の大きさおよび分布密度を調べた。
【0025】
集積回路の形成には、ウェーハ表面に厚さ10ミクロンまたはそれ以上の無欠陥層が必要である。窒素ドープをしない単結晶によるウェーハにて、生じているCOP欠陥と、高純度アルゴンガス中アニールによる表面部分の無欠陥層の形成状況との関係について調べてみると、育成のまま(as grown)の単結晶ウェーハにて検出できる欠陥の大きさは、平均径が小さく、かつ特定の大きさを超えるもののないことが、アニールによる無欠陥層の形成を容易にし、そしてその層の残存欠陥を無くすために重要であることが確認された。
【0026】
アニールによる表面の無欠陥層形成に対し、好ましいCOP欠陥の分散状態を有するウェーハを実現するための、単結晶引き上げ条件について種々調査していくと、凝固後の単結晶内の引き上げ軸方向の温度勾配Gを大きくし、それとともに引き上げ速度Vを制御してV/Gをある範囲内とする必要のあることがわかってきた。
【0027】
この温度勾配Gを大きくすることにより、COP欠陥の分布やBMDの分布が改善される理由は、次のように考えられる。まず大きな温度勾配Gは、融点から1300℃近傍の温度範囲では、凝固時に取り込まれる空孔の濃度を低減してCOP欠陥を減少させ、1300℃から1150℃前後までの温度域の冷却では、空孔の結晶表面への拡散消滅を抑制して、ウェーハ内の空孔分布を均一化させる効果がある。次いで、略1150℃から1000℃の温度範囲では、空孔が凝集合体してCOP欠陥を形成していくが、ここでもGを大きくすれば、急冷されることによってCOP欠陥の成長が抑制されて、微細なものにすることができる。そして、このようなCOP欠陥の微細化は、同時にBMDのウェーハ内分布均一化に効果があると推測される。
【0028】
さらに略1000℃から800℃の温度域でも、Gを大きくして冷却すれば、より微細なBMDの均一分散に有効であった。これは、外周近傍に生成するリング状OSFの核となるBMDの生成を抑止し、それによるBMDの不均一を抑制すると考えられた。
【0029】
このようにGを大きくする場合、それに応じて引き上げ速度Vを大きくしなければ、ウェーハの大部分がCOP欠陥発生領域なる状態にすることができない。しかし、多結晶化の抑止など健全な単結晶を得るためにVは限定され、したがってV/Gは特定範囲に制御する必要がある。またV/Gは、大きくしすぎると径の大きなCOP欠陥が発生する傾向にある。
【0030】
しかしながら、Gを大きくし、V/Gを特定範囲に制御する引き上げ条件だけでは、ウェーハ面のCOP欠陥の密度分布改善には限界があることがわかってきた。COP欠陥の径を小さくし表面の無欠陥層の発達を容易にすることができても、内部に生じるCOP欠陥のもとになる空孔に起因すると推測されるBMDの密度が、ウェーハの面方向にて均一にならず、基板用としては必ずしも十分なウェーハが得られないのである。
【0031】
BMDは主として酸素析出物と考えられるが、酸素析出物は、育成のままではほとんど認められず、ウェーハの集積回路形成の過程における熱処理により形成されるものである。この酸素析出物を形成する熱処理は、ウェーハ上の集積回路により種々異なるが、ここでは典型的な酸素析出熱処理として、大気中にて900℃、4時間加熱後、1000℃にて16時間加熱する条件を適用することとした。この場合、熱処理後ウェーハ断面にて厚さ2μmのライトエッチングをおこない、検出された析出物の面積密度から体積密度を求め、そのウェーハの径方向の分布変化を調査し、これをBMDの密度および分布とした。
【0032】
COP欠陥は、凝固したシリコン結晶中の空孔が合体して形成されると考えられるが、この空孔は単結晶中に固溶する酸素の析出核に作用し、これが酸素析出物に成長してBMDになると推定される。したがって、育成のままの単結晶によるウェーハ面内で、空孔あるいはCOP欠陥がより均一に分布しているものほど、BMDの分布も均一になると考えられる。
【0033】
そこで、ウェーハ径方向の酸素析出物密度の、最大値/最小値の比が小さくなるよう、COP欠陥をウェーハ面内にてできるだけ均一に分布させる単結晶の製造条件をさらに検討した。その結果、凝固直後の単結晶内部の温度分布として、単結晶の引き上げ軸方向の中心部における温度勾配をG、外周部における温度勾配をGとするとき、G/Gの比を1.0超として引き上げをおこなうのがよいことがわかった。
【0034】
このG/Gの比を1.0超とする条件は、従来、ウェーハ全面をリング状OSF近傍の無欠陥領域とするための単結晶引き上げ方法として検討され、たとえば特許文献4に示されるように、ホットゾーンの構造を工夫した装置が公表されている。これに対し、同様なホットゾーンを有する装置を用い、COP欠陥発生領域がほぼウェーハ面全面となるようにして単結晶を製造すれば、COP欠陥の分布を均一にし、それによってBMDをウェーハ面全面に均一に発生させることができることを見出したのである。
【0035】
/Gの比が1.0を超える状態は、単結晶中の空孔や格子間Siが活発に移動する、凝固直後から1300℃までの温度範囲で実現されればよい。このように、G/G比を1.0超とすることがCOP欠陥の均一分布に効果がある理由は、次のように考えられる。
【0036】
単結晶の育成において、液相の凝固の過程で、空孔や格子間シリコン原子が固相の単結晶中に多量に取り込まれる。取り込まれる量は、凝固直後では空孔の方が格子間シリコン原子よりも多いが、固液界面から結晶中への、温度勾配に基づく引き上げ軸方向の拡散も同時に生じている。この拡散により流入する量は、空孔より格子間シリコン原子の方が大きく、引き上げ速度が小さくなるほどその差は大きくなる。凝固してから間もない高温の単結晶中を拡散する空孔と格子間シリコンは、衝突すれば対になって消滅する場合が多く、その数は急速に減少していくが、引き上げ速度が遅いときは格子間シリコン原子の残存に基づく転位クラスターのような欠陥が現れ、引き上げ速度が速いときは空孔の残存に基づくCOP欠陥や酸素析出物が多く存在する結果となる。
【0037】
通常の単結晶育成条件では、中心部よりも外周部の方が温度が低く、引き上げ軸方向の温度勾配は、中心部よりも外周部の方が大きくなる。格子間シリコン原子の拡散による移動量は、引き上げ速度が同じであれば、温度勾配に比例する傾向があり、この場合、外周部の方が格子間シリコン原子の流入量が多くなる。一方、空孔は、固液界面からはどの位置であってもほぼ同量取り込まれ、凝固直後では単結晶の径方向に大略同等に存在するが、外周面では消滅するので、次第に外周側の濃度が低下してくる。このような状態で、空孔と格子間シリコンの合体消滅が進行するので、空孔は、径方向に不均一な分布となり、その結果、BMDの分布が不均一なウェーハとなる。
【0038】
これに対し、単結晶の中心部よりも外周の表面部の方が温度が高いという状態を現出させれば、G/Gの比は1.0超となる。そうすると、引き上げ軸方向の温度勾配は、中心部の方が外周部より大きいので、中心部の方が格子間シリコン原子の流入量は増してくる。空孔の量は、外周方向への拡散によって中心部の方が外周部よりも多くなる傾向があるが、流入する格子間シリコンの量が増せば、消滅するものが多くなり、その結果として空孔濃度の面内分布は均一化される。冷却するにしたがい、空孔は合体してCOP欠陥が形成されたり、BMDの析出核となっていくので、空孔の均一分布がおこなわれれば、これらは均一分布化する結果になる。
【0039】
上記のように、引き上げ時に凝固した単結晶部分において、Gを大きくして、かつG/Gの比を1.0超とし、その上でCOP欠陥発生領域がほぼウェーハ面全面となるように引き上げ速度を大きくすると、OSFがウェーハ上に現れなくなる。しかしながらその場合、酸素量を低く抑えるとBMDの量が不足する傾向になるので、酸素はBMDが十分生成される程度にまで多く含有させる必要がある。
【0040】
以上のような検討結果に基づき、表面に無欠陥層を形成させるための非酸化非窒化性雰囲気中アニールをおこなって、基板用としてすぐれたウェーハの得られる単結晶およびその製造方法の限界をあきらかにして本発明を完成させた。本発明の要旨は次のとおりである。
【0041】
(1) 酸素濃度が24ppma(old ASTM)以上で、表面で観察されるCOP欠陥の大きさが平均0.1μm以下、かつ0.15μmを超えるものがなく、酸素析出評価熱処理を施したときにウェーハ内部で形成される酸素析出物の密度が2.5×10個/cm以上、かつウェーハの径方向の酸素析出物の密度分布が最大値/最小値比にて4以下であることを特徴とするシリコンウェーハ。
【0042】
(2) 酸素濃度が24ppma(old ASTM)以上で、表面で観察されるCOP欠陥が0.5個/cm以下である無欠陥層が、深さ5μm以上存在することを特徴とする上記(1)のシリコンウェーハより作製されたアニールウェーハ。
【0043】
(3) チョクラルスキー法(CZ法)により引き上げ育成するシリコン単結晶の製造において、単結晶引き上げ速度をV(mm/min)、単結晶の引き上げ軸方向の中心部における温度勾配をG(℃/mm)、外周部における温度勾配をG(℃/mm)とするとき、中心部が融点から1000℃までの温度範囲ではGが3.0以上であり、融点から1300℃まではG/Gの比が1.0を超えかつV/Gが0.17〜0.25(mm/[℃・min])として引き上げた単結晶より採取することを特徴とする上記(1)のシリコンウェーハの製造方法。
【0044】
(4) 上記(3)のシリコン単結晶製造方法において、さらに中心部が1000℃を超え800℃までの温度範囲では、Gが2.5以上として引き上げることを特徴とするシリコンウェーハの製造方法。
【0045】
(5) 上記(1)のシリコンウェーハ用い、水素ガス、アルゴンガス、またはこれらのガスの混合ガス雰囲気中にて、1100〜1250℃の温度で0.5〜6時間加熱することを特徴とする請求項2に記載のアニールウェーハの製造方法。
【0046】
【発明の実施の形態】
本発明のシリコンウェーハは、素材となる単結晶育成においては窒素ドープはおこなわず、酸素濃度は24ppma(old ASTM)以上とする。窒素ドープは、COP欠陥の径を小さくすることができるが、偏析が著しく、結晶の引き上げ軸方向に濃度の不均一を生じることや、アニール温度を高くしなければ、窒素ドープにより促進された酸素に起因する欠陥が、表面で低減されにくいなど好ましくない影響が残るからである。
【0047】
酸素濃度を24ppma以上とするのは、24ppma未満の場合、ウェーハ内部に形成されるBMDの量が不十分になり、ゲッタリング効果が十分得られなくなることがあるからである。しかし、多すぎると表面の集積回路形成部分にまで、OSFが発生したり酸素析出物が生じることがあるので、多くても34ppma以下であることが好ましい。
【0048】
単結晶のシリコンウェーハを切り出す胴の部分は、空洞欠陥(COP)発生領域であることとする。これは、図1に示した単結晶の引き上げ軸に垂直に切断した断面において、これより相対的に引き上げ速度が大きい場合に得られる、リング状OSFが外周部近傍に位置するものである。そして、この切り出されたウェーハにおいて検出されるCOP欠陥の大きさは、その平均の径が0.1μm以下で、かつ0.15μmを超えるものがないこととする。
【0049】
COP欠陥の平均の径を0.1μm以下とするのは、これより大きい場合、1200℃以下のアニール処理では、COP欠陥の極めて少ない表面無欠陥層が形成できなくなるからである。より望ましくは平均の径を0.07μm以下とすることである。
【0050】
また0.15μmを超えるCOP欠陥は、アニールをおこなっても表面層から消失せず、形成した集積回路の動作不良の原因となる。これもより望ましくは0.12μmを超えないようにするのがよい。
【0051】
ウェーハ内部(表面の無欠陥層を除く部分)で形成される酸素析出物の密度が2.5×10個/cm以上であり、かつウェーハの径方向のその密度分布が最大値/最小値比にて4以下であることとする。この酸素析出物は、単結晶から切り出されたままの状態のウェーハでは、ほとんど検出されないが、集積回路形成の過程における熱処理により形成され、効果的なゲッタリング作用を有するBMDとなるものである。
【0052】
酸素析出物の形成は、熱履歴により多少変動するが、ここでは、一般的な処理条件での形成をシミュレートできる条件として、900℃、4時間加熱後、1000℃、16時間の熱処理を施したときに、ウェーハ内部で形成される酸素析出物で評価する。この評価熱処理条件は、とくに限定するものではなく、ウェーハの有する処理工程におけるBMD形成能力が評価できる条件であればよい。アニール処理をおこなったウェーハでは、1000℃、16時間の熱処理で、酸素析出物の評価が可能である。
【0053】
酸素析出物の密度が2.5×10個/cm未満の場合、内部ゲッタリング効果が不十分になるおそれがある。ただし多すぎるとアニール後の表面無欠陥層に酸素析出物が残存したり、ウェーハのそりや割れの原因となるので、多くても5×1010個/cmまでであることが望ましい。このようなBMDは、ゲッタリング作用によりウェーハ表層の活性領域の重金属汚染を抑止し、集積回路デバイス製造時の不良品発生を低減するので、できるだけウェーハの全面にわたって均一に分布していることが重要である。このため、酸素析出物の面積密度の分布は、ウェーハ径方向にて最大値/最小値の比が4以下であることとする。より望ましいのは、この最大値/最小値の比が2以下であることである。
【0054】
上記のようなウェーハ、すなわちCOP欠陥が微細に分布しており、非酸化非窒化性雰囲気中アニールにより容易に表面に無欠陥層が形成され、しかも内部に十分な量のBMDを均一に分布させることのできるウェーハの製造は、以下のようにしておこなう。
【0055】
CZ法によるシリコン単結晶の引き上げ育成において、引き上げ速度をV(mm/min)、単結晶の引き上げ軸方向の、中心部における温度勾配をG(℃/mm)、外周部における温度勾配をG(℃/mm)とするとき、中心部が融点から1000℃までの温度範囲ではGが3.0以上とし、融点から1300℃まではG/Gが1.0以上で、かつV/Gが0.17〜0.25(mm/[℃・min])として引き上げる。なお、ここで温度勾配は、対象とする温度範囲の最高温度と最低温度との差をその二点間の距離で除した、平均の値を用いればよい。
【0056】
融点から1000℃までの中心部における温度勾配Gを3.0(℃/mm)以上とするのは、3.0を下回ってしまうと、COP欠陥の平均径が0.1μm以下でかつ0.15μmを超えるものがないウェーハが得られなくなること、所要のBMD密度を実現するための引き上げ速度が限定され、引き上げ速度によるその密度変動が大きくなること、そしてウェーハの径方向でのBMD密度変動が大きくなり最大値/最小値の比が4を超えてしまうこと、などの問題が生じてくるためである。
【0057】
さらに1000℃から800℃までの温度範囲においても、温度勾配Gを2.5(℃/mm)以上とすれば、BMDの分布がより一層均一になる。この温度領域では、OSF発生の核となるBMDが形成されるが、この欠陥は上記引き上げ条件では結晶の外周近傍で生成されやすく、BMDの密度分布を不均一させる。この温度範囲において温度勾配Gを2.5(℃/mm)以上とすれば、このような欠陥の生成を抑制することができ、ウェーハ径方向BMD密度分布の最大値/最小値の比を2以下にまで低下させることが可能になる。
【0058】
これら融点から1000℃まで、および1000℃から800℃までの温度範囲の、Gの上限はとくには定めないが、非接触による冷却方法には限度があり、無転位結晶育成が急冷により困難になることや結晶の割れ発生のおそれもあるので、大きくても6.0(℃/mm)までとするのが好ましい。
【0059】
融点から1300℃までは、G/Gの値を1.0超とするのは、上記の単結晶内温度勾配と組み合わせることにより、COP欠陥およびBMDの分布をウェーハの目標値とするために必要である。この温度域でG/Gの値が1.0を超えるということは、単結晶のウェーハ面方向の温度分布は、中心部より外周部の方が高い状態になっていることを意味し、これはCOPやBMD生成の元となる空孔の、固液界面での結晶面内取り込み量を均一にし、かつ冷却時の空孔の分布を均一にする効果がある。
【0060】
次に、単結晶中心部の融点から1300℃までの温度範囲で、V/Gを0.17〜0.25(mm/[℃・min])とするのは、0.17を下回る場合、リング状OSFの発生位置がウェーハ内部に移行し、BMDの面積密度の変動が大きくなるからであり、0.25を超えると0.15μm以上のCOP欠陥が発生しやすくなるからである。
【0061】
本発明の単結晶を得るために用いる製造装置において、ホットゾーンすなわち引き上げ中の単結晶の冷却部分周辺の構造は、たとえば特許文献4に示されるような、水冷による冷却部材と熱遮蔽材とを組み合わせた構成物とするのが望ましい。このホットゾーンを有する引き上げ装置断面の模式図を図2に示すが、ここで、るつぼ1の中の溶融シリコン2から、シリコン単結晶4が上方に引き上げ育成されるものとする。ホットゾ−ンは、引き上げ中の単結晶4の周囲を取り囲んで、その内周面が引き上げ軸と同軸である内部水冷等による冷却用部材6と、この冷却用部材の外面の外側および下端面の下側とに熱遮蔽材5とを設けたものである。
【0062】
引き上げ中単結晶4の表面の、凝固直後から熱遮蔽材5の下端部までの間は、ヒータ3により加熱されたるつぼ1の壁および溶融シリコン2の液面からの熱輻射により保温された状態にある。一方、それより上の部分の表面は、冷却用部材6に面していて相対的に強く冷却される。この冷却部材6および熱遮蔽材5からなる構成物の位置を調整することにより、凝固直後の単結晶の中心部においては、上の部分の表面に対する冷却の熱伝導により温度が低下し、融点から約1300℃までの温度範囲では、引き上げ軸方向における表面部の温度勾配Gよりも中心部の温度勾配Gの方が大きい結果となる。すなわち、G/Gの比が1.0を超える状態が実現される。
【0063】
この冷却部材6の設置は、融点から1000℃までのGを3.0(℃/mm)以上とするのに効果があり、さらに1000℃から800℃の温度範囲でGを2.5(℃/mm)以上とするためにも有効である。
【0064】
本発明の単結晶から採取したウェーハを用い、表面にCOPの無欠陥層を形成させるには、水素、アルゴン、あるいはこれらの混合ガス雰囲気中にて1100〜1250℃の温度で0.5〜6時間加熱するのがよい。このような非酸化非窒化性雰囲気中アニールにより、表面から深さ10μm以上のBMDが存在しない無欠陥層が形成される。
【0065】
【実施例】
電気抵抗が10ΩcmとなるようドーパントのBを添加したシリコン原料120kgをるつぼ内に充填し、目標直径210mm、ボディ長1000mm、酸素濃度13×1017原子/cm(26ppma)の単結晶の育成実験をおこなった。育成条件は、装置内をアルゴンの減圧雰囲気として、ヒーター加熱によりるつぼ内で原料を溶融し、結晶方位は引き上げ軸が<100>として種結晶を融液に馴染ませた後、るつぼと引き上げ治具とを回転させつつシード絞りをおこない、ショルダー部を形成させ、ボディ長さが200mmに達した時点で所定引き上げ速度となるようにし、その後は一定速度でボディ長さ1000mmまで育成し、それからテイルにして終了する。
【0066】
図2に示したホットゾーンを有する装置にて、融液面と熱遮蔽材下端との間隔を70mmとし、ボディ長さが200mmに達したときの引き上げ速度Vを0.80mm/minとして、単結晶育成をおこなった。そのときの融点から1000℃までおよび1000℃から800℃までの単結晶中心部における平均温度勾配G、融点から1300℃までの温度範囲でのV/G、同じく表面部における温度勾配Gに対するGの比G/G等は、表1の試験材番号1に示すとおりであった。上記のホットゾーンにて、融液面と熱遮蔽材下端との間隔を90mmとして、温度勾配Gを小さくした場合を試験材番号2に、そしてさらに融液面と熱遮蔽材下端との間隔を60mmとした場合を試験材番号3として示す。
【0067】
また比較例として、黒鉛製熱遮蔽材を用いて、G/Gが1以上になるようにして、COP欠陥発生領域がウェーハ面全面を占める引き上げ速度にした場合を試験材番号4、このような特別な対策をおこなわないG/Gが1以下である従来型のホットゾーンによるもので、COP欠陥発生領域がウェーハ面全面を占める引き上げ速度にした場合を試験材番号5、その従来型ホットゾーンで、COP欠陥発生領域がウェーハ面の70%である引き上げ速度にした場合を試験材番号6にそれぞれ示す。
【0068】
各試料単結晶の中央部から切り出し表面を研磨したウェーハにて、OPP装置を用い、COP欠陥の密度、平均径および最大の欠陥の径を調べた。酸素析出物については、900℃にて4時間加熱後、1000℃にて16時間加熱し、ウェーハの半径方向の5カ所以上の種々の位置にて破面で2μmのライトエッチングをおこなって析出物の密度を測定し、その最小値および最大値を求めた。これらの結果も合わせて表1に示す。また、試験材番号1、2、4および5のウェーハについては、観察されたCOP欠陥の大きさとその欠陥の密度との関係を図3に、ウェーハの半径方向の位置による酸素析出物(BMD)の密度変化を図4にそれぞれ示す。
【0069】
【表1】
Figure 2004250263
【0070】
次に、表1に示した6種の試験材それぞれから得たウェーハにて、育成のまま、高純度アルゴン中にて1200℃、1時間加熱のアニール処理、および同じく1150℃、1時間のアニール処理の3種のウェーハを作製した。
【0071】
得られた各ウェーハにて、光散乱による表層部欠陥測定装置(三井金属工業社製MO601)を用いて、表面における大きさが0.1μmを超えるCOP欠陥の密度を測定した。さらに、それぞれの条件ごとに5枚ずつウェーハを用意し、その酸化膜耐圧特性を以下の条件で測定した。
(a)酸化膜厚:25nm
(b)電極面積:8mm
(c)測定電極:リンドープ・ポリシリコン
(d)判定電流:1 mA/cm
(e)良品判定:絶縁破壊電界が11 MV/cm以上
また、アニール処理後のウェーハ内部BMDの状況を見るため、上記の1200℃アニール処理後のウェーハにて、1000℃、16時間の加熱処理をおこなった後、破面にて2μmのライトエッチングを施してその密度を測定した。これらの結果を表2に示す。さらに、試験材番号2のウェーハについて、1150℃のアニール処理および1000℃、16時間のBMD発生加熱処理をおこなったときの、径方向における表面無欠陥層の深さ分布および内部のBMD密度の分布を調べた結果を図5に示す。
【0072】
【表2】
Figure 2004250263
【0073】
表1、図3および図4の、試験材番号1および2、あるいは3の結果からわかるように、本発明のウェーハは、as grown の状態においてCOP欠陥の大きさは小さいが、その密度が高く、そして発生する酸素析出物は、その密度が高く、かつウェーハ面内で均一に分布している。そして、このようなウェーハは、素材となる単結晶育成時に、冷却の温度勾配を大きくし、凝固直後では単結晶表面部よりも内部の方の温度勾配を大きくして、V/Gを特定範囲に制御し育成することにより製造できる。
【0074】
表2に示された結果から、試験材1、2および3の本発明のウェーハは、 as grown の状態においては酸化膜耐圧特性の良品率はよくないが、アニール処理を施すことにより良品率が100%近いウェーハとなることが明らかである。それに加えて、ウェーハ内部におけるBMD発生量が多く、位置によるばらつきも小さい。
【0075】
これに対し、従来の方法で製造された試験材4、5および6のウェーハは、As grownの状態では、酸化膜耐圧特性が本発明のウェーハより良好であるが、アニール処理をおこなっても大きくは改善されない。その上、BMDの発生量が少なく、ばらつきが大きい。
【0076】
さらに図5からわかるように、本発明のウェーハは、1150℃という低いアニール処理温度であるにもかかわらず、ウェーハ表面のCOP欠陥のほとんどない無欠陥層の厚さは15μm以上形成されており、内部のBMDの発生密度は少ない部位でも35×10個/cm以上ある。しかも多い位置でも65×10個/cm以下であり、密度分布は最大値/最小値比において2以下のすぐれた分布を示している。
【0077】
【発明の効果】
本発明のシリコンウェーハは、非酸化非窒化雰囲気中での高温加熱によるアニールを施すことにより、表面層にCOP欠陥の極めて少ない無欠陥層を形成させることとができ、しかも内部にはゲッタリング作用のあるBMDを十分多く、ウェーハ面内で均一に分布させることができる。このウェーハはその上に形成される集積回路の良品歩留まりを大きく向上させ、集積回路すなわちICの製造コスト低減に大きく寄与する。
【0078】
【図面の簡単な説明】
【図1】シリコンウェーハで観察される、典型的な欠陥分布の例を模式的に示した図である。
【図2】実施例に用いたシリコン単結晶の製造装置の断面を模式的に示した図である。
【図3】各ウェーハにおけるCOP欠陥の大きさとその存在密度を示した図である。
【図4】各ウェーハ内部に発生したBMDの密度のウェーハ面内での分布を示す図である。
【図5】1150℃のアニール後、酸素析出処理をおこなったウェーハの面方向における、表面のBMD無欠陥層の厚さ分布、および内部のBMDの密度分布を示す図である。
【符号の説明】
1. るつぼ
2. シリコン溶融液
3. ヒーター
4. 単結晶
5. 熱遮蔽材
6. 冷却材

Claims (5)

  1. 酸素濃度が24ppma(old ASTM)以上で、表面で観察されるCOP欠陥の大きさが平均0.1μm以下、かつ0.15μmを超えるものがなく、酸素析出評価熱処理を施したときにウェーハ内部で形成される酸素析出物の密度が2.5×10個/cm以上、かつウェーハの径方向の酸素析出物の密度分布が最大値/最小値比にて4以下であることを特徴とするシリコンウェーハ。
  2. 酸素濃度が24ppma(old ASTM)以上で、表面で観察されるCOP欠陥が0.5個/cm以下である無欠陥層が、深さ5μm以上存在することを特徴とする請求項1に記載のシリコンウェーハより作製されたアニールウェーハ。
  3. チョクラルスキー法(CZ法)により引き上げ育成するシリコン単結晶の製造において、単結晶引き上げ速度をV(mm/min)、単結晶の引き上げ軸方向の中心部における温度勾配をG(℃/mm)、外周部における温度勾配をG(℃/mm)とするとき、中心部が融点から1000℃までの温度範囲ではGが3.0以上であり、融点から1300℃まではG/Gの比が1.0を超えかつV/Gが0.17〜0.25(mm/[℃・min])として引き上げた単結晶より採取することを特徴とする請求項1に記載のシリコンウェーハの製造方法。
  4. 請求項3に記載のシリコン単結晶製造方法において、さらに中心部が1000℃を超え800℃までの温度範囲では、Gが2.5以上として引き上げることを特徴とするシリコンウェーハの製造方法。
  5. 請求項1に記載のシリコンウェーハを用い、水素ガス、アルゴンガス、またはこれらのガスの混合ガス雰囲気中にて、1100〜1250℃の温度で0.5〜6時間加熱することを特徴とする請求項2に記載のアニールウェーハの製造方法。
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