JP2004244722A - 薄膜形成装置及び薄膜形成方法並びに光学素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 複数の材料から形成される混合膜や多層膜を最適な条件にて、被成膜対象物上に成膜するのに好適な薄膜形成装置、及びこの装置による薄膜形成方法、並びにこの薄膜形成方法によって成膜された光学素子を提供すること。
【解決手段】 チャンバ12内に配設された光学ガラス平板からなる基板(被成膜対象物)14と、この基板14に対向して配設されたSiターゲット16,Nbターゲット18と、リング状に配設され各ターゲットに電力を印加する電源22,24と、基板14に高周波電力を印加する高周波電源(高周波供給機構)28とを備えている。また、基板14と各ターゲット16,18との中間位置には、一対の遮蔽板30A,30Bと、シャッター45とが配設されている構成とした。
【選択図】 図2

Description

本発明は、反射防止膜や干渉フィルタ等の光学薄膜を成膜する薄膜形成装置、及びこの薄膜形成装置による薄膜形成方法、並びにこの薄膜形成方法によって作製される光学素子に関する。
カメラ、顕微鏡等の光学機器には、反射防止膜や干渉フィルタ等の光学薄膜が多数用いられている。これらの光学薄膜は、単層から100層以上のものまで様々であるが、所望の光学特性を得るためには、各層の膜厚を正確に制御することが重要となる。
レンズ等に設けられる反射防止膜は、例えば、レンズへの入射光の波長がλ=520nmの場合、膜厚λ/4を有する中間屈折率の層、膜厚λ/2を有する高屈折率の層、膜厚λ/4を有する低屈折率の層を基板側から順に積層することで、420nmから650nmの範囲において1%以下の分光反射率特性を得ることができる。
上記の光学特性を低屈折率材料と高屈折率材料の2種類の材料で実現する場合、上記の中間屈折率を低屈折率材料+高屈折率材料+低屈折率材料の3層として全5層の構成とすると同様の特性を得ることができる。しかし、一般的に積層数が増えるにつれて膜厚制御の難易度が高くなる。
そこで、薄膜の設計を容易にするとともに高性能化を図るため、一つの光学薄膜に用いる材料の種類を増やした混合膜を検討するメーカが近年増えてきている。
この場合の成膜技術としては大きく分けて真空蒸着法とスパッタリング法があげられる。真空蒸着法は大量生産に適しており、大面積基板への成膜や真空装置内における雰囲気及び成膜速度の安定性を重視する場合にはスパッタリング法が適している。こうした背景から、混合膜の成膜にあたってはスパッタリング法を採用する傾向がある。
このスパッタリング法を用いて上記光学薄膜を成膜する薄膜形成装置としては、基板と複数のターゲットとを、混合膜を作製するのに最適な距離となるように配設し、各ターゲットへの印加電力を制御することによって基板上に所望の混合膜を成膜するものがある(例えば、特許文献1参照。)。
また、異なる材料からなる複数のターゲットをそれぞれ隔離して配設し、各ターゲットに基板を順に対向させて通過させる際に各ターゲットへの印加電力を制御することによって混合膜を成膜するものがある(例えば、特許文献2参照。)。
これらの成膜装置において均一で安定した吸収の少ない反射防止膜等の光学薄膜を形成するためには、チャンバ内への導入ガスの種類と導入圧力、印加電力との相互作用によって安定したプラズマを成膜材料上に起こす必要がある。
特開2002−266071号公報 特開平11−279757号公報
しかしながら、上記従来の薄膜形成装置においては、例えば、特許文献1に記載の成膜方法は印加電力によって成膜速度を制御しているので、印加電力が高い場合と低い場合とで薄膜内の各材料の成膜分布が異なってしまうなど、膜の混合比の制御性が悪化する問題があった。また、2つの異なる材料を同じ基板位置で成膜することから、ターゲット間における成膜圧力に差をつけるのが困難なため、導入ガス成膜条件が限られ、2つの材料どちらかの成膜条件に引っ張られてしまい、成膜速度、吸収を考慮した各材料に最適な条件で成膜できない問題もあった。そのため、得られた混合膜の屈折率が不安定となっていた。
特許文献2に記載の成膜方法も同様に印加電力による成膜速度を制御しているので、基板及びターゲット周囲のガス雰囲気によってはこの印加電力が必ずしも最適なものとはならず、上記の相互作用によっては各材料の成膜分布が異なってしまい、膜の混合比および屈折率安定性が不安定となっていた。
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、複数の材料から形成される混合膜や多層膜を最適な条件にて、被成膜対象物上に成膜するのに好適な薄膜形成装置、及びこの装置による薄膜形成方法、並びにこの薄膜形成方法によって成膜された光学素子を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明に係る薄膜形成装置は、チャンバ内に配設された被成膜対象物と、該被成膜対象物に対向して配設された少なくとも二つ以上の同一材料、及び、少なくとも二つ以上の異なる材料のうち少なくとも一方を含む複数のターゲットとを備え、これらのターゲットの少なくとも一つをスパッタリングして前記被成膜対象物上に薄膜を形成する薄膜形成装置であって、前記被成膜対象物と前記ターゲットとの中間位置に前記ターゲット毎に配設され前記スパッタリングにより放出された前記ターゲット材料が通過可能な開口部を有する仕切部材と、前記開口部を前記ターゲット毎に個別の開口面積に設定可能な開口部調整機構とを備えていることを特徴とする。
この薄膜形成装置によれば、開口部を有する仕切部材が被成膜対象物と各ターゲットとの中間位置に配設され、ターゲット毎に仕切部材の開口面積を設定可能な開口部調整機構が備えられているので、各ターゲットから基板に供給される材料の量を、開口部の開口面積に応じてターゲット毎に任意に調整可能であり、混合比を変えることにより任意の屈折率を有する膜を被成膜対象物に成膜することができる。
この際、ターゲットを同一の材料とすることで、単一のターゲットの場合よりも多くの膜厚を被成膜対象物に形成することができる。また、例えば、同一の2以上の材料ターゲットと異なる1材料ターゲットで同時に成膜する場合であっても、同一材料ターゲット側の開口部の開口面積をそれぞれ所望の面積に調整することにより、微細比での混合膜を被成膜対象物上に形成させることができる。
本発明に係る薄膜形成装置は、前記薄膜形成装置であって、前記開口部の開口面積が可変であることを特徴とする。
この薄膜形成装置によれば、開口面積が可変であるので、被成膜対象物への成膜作業途中であっても、ターゲット材料の成膜量や混合比を任意に調整することができる。
本発明に係る薄膜形成装置は、前記薄膜形成装置であって、前記被成膜対象物と前記ターゲットとの間に前記仕切部材とは別に配設され前記ターゲット材料の前記被成膜対象物への到達を阻止するシャッターを備えていることを特徴とする。
この薄膜形成装置によれば、シャッターが備えられているので、シャッターの開閉操作によって、成膜の必要の有無に応じて所定のターゲット材料からの材料放出のON/OFFを仕切部材による制御とは別に制御することができる。
本発明に係る薄膜形成装置は、前記薄膜形成装置であって、前記ターゲット間に配設されて前記ターゲットが配設される領域を互いに分離して仕切る防着板を備えていることを特徴とする。
また、本発明は、前記薄膜形成装置であって、前記防着板が、前記ターゲット間に配設されて前記ターゲットが配設される領域を互いに分離して仕切るとともに、前記ターゲットから前記被成膜対象物に向けて前記ターゲット材料が飛散する最大領域を規定する防着部材を備えていることを特徴とする。
この薄膜形成装置によれば、防着板が備えられているので、各材料の成膜圧力等のスパッタリング条件が最適なものに設定可能になるとともに、隣接するターゲット同士の材料が混入されてしまうことが抑制でき、所定の混合比及び厚さを有する薄膜を形成することができる。
本発明に係る薄膜形成装置は、前記薄膜形成装置であって、前記開口部が前記ターゲットに対向する位置に配設され、前記被成膜対象物を各ターゲットの対向する位置で交互に移動させる対象物移動機構を備えていることを特徴とする。
この薄膜形成装置によれば、対象物移動機構を備えているので、どのターゲットに対しても、スパッタリングに最適な位置を実現することができ、安定した被成膜対象物の膜厚分布や混合比を得ることができる。
本発明に係る薄膜形成装置は、前記薄膜形成装置であって、前記ターゲットが円周上に配設され、前記対象物移動機構が、前記被成膜対象物を前記円周に沿って回転移動させる対象物回転機構であることを特徴とする。
この薄膜形成装置によれば、ターゲットが円周上に配設され、被成膜対象物がこの円周に沿って回転移動されるので、簡易な構成で各ターゲットと対向する位置、例えば、直上に均等に被成膜対象物を移動させることができる。また、少ないスペースに効率よく配設することができる。
本発明に係る薄膜形成装置は、前記薄膜形成装置であって、前記仕切部材が、互いの間に前記開口部を有する一対の遮蔽板であり、前記開口部調整機構が、前記一対の遮蔽板を互いに近接又は離間可能に相対移動させる駆動機構を有していることを特徴とする。
この薄膜形成装置によれば、仕切部材が一対の遮蔽板であって互いに近接又は離間可能に相対移動させる駆動機構を備えているので、該駆動機構によって一対の遮蔽板の開閉を行い、開口部の開口面積を自在に調整することができる。
本発明に係る薄膜形成装置は、前記薄膜形成装置であって、複数の前記ターゲットの数に比して、一ターゲットにつき、導入されるガスが少なくともアルゴンガス一系統以上、酸素ガス一系統以上を備えていることを特徴とする。
この薄膜形成装置によれば、ターゲット近傍におけるアルゴンガスによるプラズマ発生と、被成膜対象物近傍における酸素ガスによる形成膜の酸化促進とを同時に、且つ、ターゲット別に行うことができる。
本発明に係る薄膜形成装置は、前記薄膜形成装置であって、複数の前記ターゲットの間に、前記被成膜対象物に形成する薄膜の光学特性値を計測可能な光学式測定機構を少なくとも一つ以上備えていることを特徴とする。
また、本発明に係る薄膜形成装置は、前記薄膜形成装置であって、前記光学式測定機構は、前記被成膜対象物に透過率又は反射率の測定用光を集光する投光側光学系と、該投光側光学系に光を送る光源と、該光源からの光を前記投光側光学系に導く投光側伝達部材と、前記投光側光学系を保持する投光側光学部材と、前記被成膜対象物からの光を集光する受光側光学系と、該受光側光学系を保持する受光側光学部材と、光を伝達する受光側伝達部材と、伝達された受光量を演算する演算機と、該演算機から前記シャッターへ信号を送る信号系とを備えていることが好ましい。
また、本発明に係る薄膜形成装置は、前記薄膜形成装置であって、前記光学式測定機構が、前記薄膜形成中に一波長以上の波長で前記被成膜対象物の反射率、或いは、前記被成膜対象物の透過率の変化量を測光することで、前記被成膜対象物上に形成された薄膜の光学膜厚を判定する機構であることが好ましい。
上記薄膜形成装置によれば、被成膜対象物、及び、該対象物上に形成される複数の異なる材料の薄膜の個別の光学特性値を計測し、その後に形成する薄膜の膜厚制御にフィードバックして所望の分光特性を得ることができる。
本発明に係る薄膜形成装置は、前記薄膜形成装置であって、前記光学式測定機構が、二層以上の薄膜形成に際し層間において一波長以上の波長で反射率、或いは、透過率の分光特性を測定し、形成された層までの分光特性と比較し、分光特性の差分からその層以降の成膜条件にフィードバックする機構であることが好ましい。
この薄膜形成装置によれば、安定して各材料の膜を形成すること、及び、混合膜を形成することができる。
また、本発明に係る薄膜形成装置は、前記薄膜形成装置であって、前記ターゲットに対向して前記被成膜対象物と前記シャッターとの間に配され、前記被成膜対象物上に形成される膜厚を前記対象物移動機構内で均一とする、或いは、徐々に変化させる補正手段が設けられていることを特徴とする。
この薄膜形成装置によれば、開口部調整機構との調整によって、前記対象物移動機構内でより膜厚を均一とすることができ、或いは、より所望の度合いで徐々に変化させることができる。
また、本発明に係る薄膜形成装置は、前記薄膜形成装置であって、前記補正手段が、前記開口部を遮蔽可能な大きさに形成された膜厚補正板と、該膜厚補正板の外周面に接続され、前記開口部の開口幅に同期して前記膜厚補正板を回動可能とされた回動軸とを備えていることが好ましい。
この薄膜形成装置によれば、膜厚補正板の回動軸回りの傾きを調整することによって、被成膜対象物上に形成される膜厚を被成膜対象物内でより均一にすることができ、同じ分光特性を得ることができる。或いは、被成膜対象物の回転方向に対して垂直の向きに(すなわち、回転中心から外周側に向けて)徐々に変化した分光特性を持たせることができる。
また、本発明に係る薄膜形成装置は、前記薄膜形成装置であって、前記被成膜対象物への薄膜形成時に、前記ターゲット上に生ずるプラズマを一波長以上の波長で測定し、前記ターゲットの材料が持つ発光強度の変動量から前記ターゲットに印可する電力、電流、及び電流のうち少なくとも一つを調整可能なフィードバック機構を備えていることを特徴とする。
この薄膜形成装置によれば、各ターゲット上に材料およびガス種に準じて生じるプラズマの発光強度を一波長以上の波長で測定し、相対的あるいは比率に換算して時間軸に対して監視することによって、発光強度の変動量から各ターゲットに印可する電力、電圧、電流等のパラメータにフィードバックでき、各材料の膜が安定的に形成された混合膜等を得ることができる。
本発明に係る薄膜形成装置は、前記薄膜形成装置であって、前記チャンバ内に導入されたガスをイオン化して前記被成膜対象物に照射するイオン照射機構を備えていることを特徴とする。
この薄膜形成装置によれば、イオン照射機構を備えているので、被成膜対象物に成膜した膜中にイオンエネルギーが付加されて、2つ以上の材料が混合して成膜された膜を緻密にするとともに、成膜内のアンカー効果が高められて密着力の大きい安定した成膜を得ることができる。
本発明に係る薄膜形成装置は、前記薄膜形成装置であって、前記被成膜対象物に高周波電力を印加する高周波供給機構を備えていることを特徴とする。
この成膜形成装置によれば、高周波供給機構によって被成膜対象物とチャンバとの間にプラズマが発生するので、このプラズマ中をターゲットから供給される成膜材料を通過させることによってイオンエネルギーが材料に供給され、成膜された膜をさらに緻密化するとともに、構成材料同士のアンカー効果を付与することができる。
本発明に係る薄膜形成方法は、本発明に係る薄膜形成装置により前記被成膜対象物に成膜することを特徴とする。
この薄膜形成方法によれば、複数の異なる材料のターゲットの混合比を変えることにより、膜厚方向に任意の屈折率分布を有する多層膜を形成することができ、所望する分光特性の被成膜対象物を得ることができる。
本発明に係る薄膜形成方法は、前記薄膜形成方法であって、前記被成膜対象物上に複数の薄膜を成膜する薄膜積層工程を有し、該薄膜積層工程では、前記薄膜毎に各前記ターゲットに対応する前記開口部の開口面積を設定することを特徴とする。
この薄膜形成方法によれば、被成膜対象物上に複数の薄膜を成膜する場合、薄膜に必要な材料のターゲットが配設され、薄膜積層工程において積層される膜厚に応じた開口面積がターゲット毎に設定されることによって、各層の混合比や膜厚を高精度に得ることができ所望の積層構造を有する被成膜対象物を作製することができる。
本発明に係る薄膜形成方法は、前記薄膜形成方法であって、前記被成膜対象物上に前記開口部の開口面積を漸次変化させながら前記薄膜を形成する工程を有することを特徴とする。
この薄膜形成方法によれば、開口部の開口面積を漸次変化させながら被成膜対象物上に薄膜が形成されるので、複数の材料を混合させながら成膜することができるとともに、それぞれの材料の含有量が膜厚方向に漸次変化した構成となる被成膜対象物を得ることができる。
本発明に係る光学素子は、本発明に係る薄膜形成方法により前記薄膜が形成されていることを特徴とする。
この光学素子によれば、高性能の分光特性及び品質を有する反射防止膜や干渉フィルタ等を備えたレンズ等を提供することができる。
以上説明した本発明においては以下の効果を奏する。
本発明の薄膜形成装置によれば、複数のターゲット材料をターゲット毎に最適なスパッタリング条件で基板上に成膜できるので、任意の屈折率膜を容易かつ安定的に得ることができる。
また本発明の薄膜形成方法によれば、複数の異なる材料のターゲットによって膜構成が行われるので、所望する材料構成の被成膜対象物を連続した工程から得ることができる。
また、本発明の薄膜形成方法によれば、チャンバー空間内のすべてを高真空に排気しながら、防着板とチャンバー壁とによって仕切られたしきり空間内にスパッタリング用のガス、或いは、反応用のガス、又は、これらの混合ガスを導入し、ターゲットに直流電圧印加あるいは高周波印加してプラズマを発生させることができる。そして、プラズマが安定した後、被成膜対象物を保持する対象物移動機構を移動して、被成膜対象物とターゲットとの間を遮っていたシャッターを開けることによって被成膜対象物上に薄膜を形成することができる。この際、各シャッターを同時に開けることによって、混合膜を成膜することができる。
さらに本発明の光学素子によれば、ターゲット材料として異なる光学特性を有する材料を使用することによって、これらの材料から構成される薄膜が積層された、又は混合された薄膜が成膜されたものが得られるので、設計段階での高性能化及び生産する上での制御性の向上が図られ、その結果高品質のレンズ等を得ることができる。
次に、本発明の第1の実施形態について、図1から図4を参照して説明する。
薄膜形成装置10は、図1及び図2に示すようにチャンバ12内に配設された光学ガラス平板からなる基板(被成膜対象物)14と、この基板14に対向する同一平面上の同一円周上位置にそれぞれ配設されたSiターゲット16,Nbターゲット18,Alターゲット20とを備えており、これらのターゲットをそれぞれスパッタリングして基板14上に薄膜を形成する装置である。この薄膜形成装置10は、各ターゲット16,18及び20に電力を印加する電源22,24及び26(26は不図示)と、基板14に高周波電力を印加する高周波電源(高周波供給機構)28とを備えている。
ここで、Siは低屈折率を有する材料として、Nbは高屈折率を有する材料として、及びAlは、両者の中間の屈折率を有する材料として使用する。
基板14と各ターゲット16,18,20との中間位置には、図3に示すように、ターゲット毎に配設されスパッタリングによって放出された各ターゲット材料が通過可能な開口部30aを備える一対の遮蔽板(仕切部材)30A,30Bと、この開口部30aをターゲット16,18,20毎に個別の開口面積に可変に設定可能な開口部調整機構32とを備えている。
この一対の遮蔽板30A,30Bは、互いに対向する長方形状の平板から形成されており、開口部30aは、一対の遮蔽板30A,30Bが互いに離間して形成される。
この一対の遮蔽板30A、30Bの長手方向、すなわち、開口部30aの長手方向が、チャンバ12の中心に対する放射方向(径方向)と平行とされている。
開口部調整機構32は、一対の遮蔽板30A,30Bを互いに近接または離間可能に相対移動させる駆動機構34を有している。
駆動機構34は、図3に示すように一対の遮蔽板30A,30Bの一端部を取り付けてそれぞれ直線運動可能にするボールネジ36A,36Bと、この直線方向に一対の遮蔽板30A,30Bをガイドするガイド部材38A,38Bと、ボールネジ36A,36Bを所定の速度で回転駆動させるサーボモータ40A,40Bとを備えている。
また、駆動機構34は、一対の遮蔽板30A,30Bの閉口位置を確認する位置センサ42を備えている。これらの位置センサ42は、一対の遮蔽板30A,30Bの一端部に設けられた突起44と閉口状態の際に接触して各遮蔽板30A、30Bの当該位置を原点位置として電気的に検出するものである。
基板14と各ターゲット16,18,20との間には、一対の遮蔽板30A,30Bとは別に、スパッタリングによって放出されたターゲット材料の基板14への到達を阻止するシャッター45がそれぞれ配設されている。
さらに、チャンバ12内には、各ターゲット16,18,20間に配設されてこれらが配設される領域を互いに分離して仕切る防着板46が設けられている。この防着板46は、図4に示すように、排気を妨げない高さで配された下部防着板46Aと、下部防着板46A上に垂直に支持された上部防着板46Bとを備えており、上部防着板46Bは、図2に示すように、基板14およびヤトイ50を保持する回転板56の不要な部分への成膜を防着するとともに、ターゲット16,18,20より飛散した材料が基板14に到達するように開口した開放部150,151,152を備え、防着部材として機能している。
各ターゲットが配される領域は、下部防着板46Aと、上部防着板46Bと、チャンバ12の側壁及びチャンバ12の底面とによって仕切られている。
回転板56と防着板46との距離は近いほど(下部防着板46Aの高さで決定される)防着板としての効果が高く、5mm〜30mmが好ましい。5mm未満の距離だと成膜開始のできる排気到達まで時間がかかるが、回転板56と防着板46とがきっちり水平出しがしてあれば問題ない。30mmより大きい場合、他のターゲットへの導入ガス流入の可能性があるが、防着板46に設けられた開放部150,151,152の大きさを基板14の径より小さくならない程度に小さくする方向で調整することで本実施例の作用を妨げることなく50mmまで距離をとることができ、プラズマ放電(放電を発生させる投入パワーに依存する)を遮ることがなければさらに距離をとることも可能である。
各ターゲット16,18,20は、それぞれ電源22,24,26に接続され、リング状に配設されたマグネトロンカソード48上に載置されて水冷されるようになっており、開口部30aの中心位置がターゲット16,18,20に対向したそれぞれの直上となる位置に配設されている。
基板14はヤトイ50内に配設されており、さらにヤトイ50は各ターゲット16,18,20が配設されている同一円周上に基板14を回転移動させる基板回転機構(対象物回転機構)52に配設されている。
この基板回転機構52は、チャンバ12の上部から内部に貫通された回転軸54を有する回転モータMと、回転軸54の下端に固定され水平状態に配設された回転板56とを備えている。ヤトイ50は、回転板56に備えられており、回転モータMによって、基板14は毎分10回転以上の速度で各ターゲット上を回転通過する。
チャンバ12には、各ターゲット16,18,20が配設されている各領域内にArガスを導入するガス導入口60と、Oガスを導入するガス導入口62と、領域内の真空度を計測する真空計64とがそれぞれ備えられている。
チャンバ12の外部には、図1に示すようにチャンバ12内を低圧にするための粗引きポンプ66と高真空ポンプ68とが設けられている。
次に、以上の構成からなる本実施形態の薄膜形成装置10によって、SiOとNbとを混合した酸化物膜からなる薄膜を形成する薄膜形成方法について説明する。
まず、所定の屈折率(例えば1.52)を有する基板14、Siターゲット16及びNbターゲット18等をセットし、所定の圧力(例えば7×10−5Pa)までチャンバ12内を粗引きポンプ66及び高真空ポンプ68で排気する。このとき、各シャッター45は閉じた状態とする。
なお、Alターゲット20はセットしても本実施形態で形成する薄膜には混合しないものとする。
また、回転モータMを駆動して、基板14とともに回転板56を毎分50回転させる。
なお、50回転以上で回転させることによって、複数の材料を層として堆積させることなく混合して基板14上に堆積させることができる。
その後、Siターゲット16による成膜準備のために、ArガスをSiターゲット16用のガス導入口60から真空計64において圧力が4×10−1Paとなるまで導入し、その後引き続きOガスをガス導入口62から圧力が5×10−1Paとなるまで導入する。
続いて、電源22から300wの直流電力を印加し、Siターゲット16のSi上にプラズマを発生させる。すると、3分間後にSiO膜の成膜準備が完了する。
Siターゲット16による成膜準備と同時にNbの成膜準備も以下の手順で行う。
ArガスをNbターゲット18用のガス導入口60から真空計64において圧力が7×10−1Paとなるまで、引き続きOガスをガス導入口62から圧力が1.0Paとなるまで導入する。
続いて、電源24から300wの直流電力を印加し、Nbターゲット18のNb上にプラズマを発生させる。すると、3分間後にNb膜の成膜準備が完了する。
そして、Siターゲット16及びNbターゲット18の直上に位置する開口部30aの幅がそれぞれ所定の幅となるように、サーボモータ40A、40Bをそれぞれ駆動してボールネジ36A,36Bを回転させて、ガイド部材38A,38Bに沿って一対の遮蔽板30A,30Bをそれぞれ直進運動させる。
このとき、開口面積の確認は、上記原点位置に対して駆動した各サーボモータ40A、40Bの駆動量により図示しないエンコーダで位置認識をしながら行う。
上記の状態を維持しつつ、Siターゲット16及びNbターゲット18直上の各シャッター45を同時に開く。すると、生成されたプラズマによってSiターゲット16から弾き飛ばされたSiが、直上の開口部30aを通過して回転中の基板14表面に到達する。同様に、Nbターゲット18から弾き飛ばされたNbが、直上の開口部30aを通過して回転中の基板14表面に到達する。
こうして、基板14の表面にSiOとNbとがそれぞれの開口部30aの開口面積に応じて所定の膜厚及び所定の混合率にて混合された薄膜が形成される。
所定の時間経過後、各シャッター45を同時に閉じることによって成膜が終了し、光学素子14aが得られる。
この薄膜形成装置10によれば、防着板46によって、各ターゲット16,18,20にとって最適なスパッタリング条件を維持した状態で、かつ、各ターゲット16、18、20上で発生するプラズマの互いの干渉が抑制された状態で2つ以上の材料を同時に成膜することができ、基板14上に混合膜を作製できる。このとき、各材料が基板14に到達する量を各一対の遮蔽板30A,30Bの開口部30a幅で規定することで混合比を変えることができるため、個々の材料が有する屈折率の範囲内で任意の屈折率を安定して得ることができる。
なお、第1の実施形態に用いた薄膜形成装置は上記に限らず、例えば、ターゲット16、18、20を薄膜形成装置10の上部において下向きに設置し、基板回転機構52を薄膜形成装置10の下部に設置したものでも構わない。
また、図13及び図14に示すように、円筒型の対象物移動機構252を有した薄膜形成装置254としても、同様にSi、Nbをターゲット材料としてSiO、Nb、およびこれらの混合膜を基板14上に形成することができる。
この場合、図13に示すように、対象物移動機構252は、複数の基板(例えば、外周が円形状のレンズ)14を円周方向に保持可能にする円筒形状の筒部252aと、この筒部252aの一端側に取り付けられた回転軸252bと、この回転軸252bに連結される回転モータMとを備えている。Siターゲット250及びNbターゲット251は、筒部252aの回転軸252bに対して対称の位置に配されている。筒部252aは、基板14を複数保持するようになっており、回転モータMにより回転し、ターゲット250、251に対向する位置を交互に通過する。
すなわち、対象物移動機構252は、薄膜形成装置254の外部に取り付けられた回転モータMにより、横(図13において水平方向)に位置させた回転軸252bを介して筒部252aを回転して、回転軸252bの回転中心と直交する方向(図13において縦方向)に各基板14を移動することによってSiターゲット250及びNbターゲット251に順次対向させるようにされている。
この薄膜形成装置254は、各ターゲット250、251と対象物移動機構252の筒部252aに保持される基板14との間に、ターゲット側から順にシャッター256と、遮蔽板30A、30Bとが配されている。また、各ターゲット250、251とシャッター256とを遮蔽板30A、30Bとともに内包するように、防着板257が配設されている。
この防着板257は、薄膜形成装置254の隅部に一端が取り付けられ、他端が筒部252aの中心側に延びた形状とされた防着板257a、257bと、防着板257a、257bの長手方向に各ターゲットを内包する防着板257cとを備えており、基板14側に開口部を形成して配されている。
この開口部の大きさによって、各ターゲットから飛散する材料の飛散最大領域を規定する。
したがって、各ターゲット250、251と遮蔽板30A、30B、及び、防着板257a、257b、257cとで仕切られた空間は、対象物移動機構252を配置する空間(領域)とは別の空間雰囲気を形成することができるようになっている。
なお、薄膜形成装置254は、図14に示すように、第1の実施形態と同様に粗引きポンプ66及び高真空ポンプ68が配設され、また、各仕切られた空間に開口してArガス導入口60及びOガス導入口62が配設されているので、各仕切られた空間を排気するとともに各ガスを導入可能とされている。
この薄膜形成装置254において、粗引きポンプ66及び高真空ポンプ68にて高真空に排気した後、Arガス導入口60及びOガス導入口62からArガス及びOガスをそれぞれ各仕切られた空間に所定の圧力まで導入する。各ターゲット250、251は不図示の電源に接続されており、各ターゲットに電力を印加してターゲット材料を飛散させる。
このとき、遮蔽板30A、30Bの開口幅に応じた量が回転モータMにより移動中の基板14上に交互に堆積されて単一膜を積層した多層膜又は混合膜を形成する。成膜の開始及び終了は不図示の駆動機構を有するシャッター256の開閉によって行われる。
なお、図13には、円筒型の対象物移動機構252の回転軸252bが横方向に位置し、基板14が縦方向に回転可能とされているが、これに限らず回転軸252bが縦方向に位置し、基板14が横方向に回転するとしても同様の効果を得ることができる。また、ターゲット形状は、円形でも正方形、長方形であっても構わない。
次に、本発明に係る第2の実施形態について、図5及び図6を参照して説明する。なお、以下の説明において、上記実施形態において説明した構成要素には同一符号を付し、その説明は省略する。
上記第1の実施形態の薄膜形成装置10では、Siや、Al,Ta,Ti,Hf,Nb,ITO、或いは、その合金や混合物からなる通電可能な導電性金属ターゲットから酸化物膜を成膜する場合として、ターゲットへ電力を供給する電源22,24を直流電源とした。これに対して、第2の実施形態の薄膜形成装置90では、Alや、SiO,Ta,TiO,HfO,Nb,MgF、或いは、その化合物や混合物からなる導電性ターゲットや金属の酸化物、フッ化物等の絶縁性ターゲットから酸化物膜及びフッ化物膜を成膜するため、各ターゲット材に高周波電力を供給する高周波電源92を備えるものとした。
本実施形態の薄膜形成装置90によって薄膜を形成する薄膜形成方法について説明する。
ターゲットとして、Nbターゲット19と、Alターゲット20等とをそれぞれセットし、所定の圧力までチャンバ12内を粗引きポンプ66及び高真空ポンプ68で排気する。このとき、各シャッター45は閉じた状態とする。なお、ターゲット16はセットしても形成する薄膜には混合しないものとする。
まず、第1の実施形態と同様に所定の屈折率(例えば1.52)を有する基板14が配設されている基板回転機構52を駆動して、基板14を毎分50回転させる。
その後、Al膜の成膜準備のために、ArガスをAlターゲット20用のガス導入口60から真空計64において圧力が3.5×10−1Paとなるまで、引き続きOガスをガス導入口62から圧力が4×10−1Paとなるまで導入する。
続いて、図示しないマッチングボックスを介して電源92から13.56MHzの400w電力を印加し、Alターゲット20のAl上にプラズマを発生させる。すると、7分間後にAl膜の成膜準備が完了する。
上記Al膜の成膜準備と同時にNbの成膜準備も以下の手順で行う。
ArガスをNbターゲット19用のガス導入口60から真空計64において圧力が7×10−1Paとなるまで、引き続きOガスをガス導入口62から圧力が8×10−1Paとなるまで導入する。
続いて、図示しないマッチングボックスを介して電源92から13.56MHzの550w電力を印可し、Nbターゲット19のNb上にプラズマを発生させる。すると、7分間後にNb膜の成膜準備が完了する。
そして、Nbターゲット19及びAlターゲット20の直上に位置する開口部30aの幅がそれぞれ所定の幅となるようにそれぞれ調整する。
上記の状態を維持しつつ、Nbターゲット19及びAlターゲット20の直上の各シャッター45を同時に開く。すると、生成されたプラズマによってAlターゲット20から弾き飛ばされたAlが、直上の開口部30aを通過して回転中の基板14表面に到達する。同様に、Nbターゲット19から弾き飛ばされたNbが、直上の開口部30aを通過して回転中の基板14表面に到達する。
こうして、基板14の表面にAlとNbとが所定の膜厚及び所定の混合率にて混合された薄膜が形成される。
所定の時間経過後、各シャッター45を同時に閉じることによって成膜が終了し、光学素子14bが得られる。
この薄膜形成装置90によれば、ターゲット材としてAlのような酸化物等から酸化物膜を成膜する場合においても、上記第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
次に、本発明に係る第3の実施形態について、図7を参照して説明する。なお、以下の説明において、上記実施形態において説明した構成要素には同一符号を付し、その説明は省略する。
第3の実施形態と上記第1の実施形態との異なる点は、第3の実施形態の薄膜形成装置100では基板14の回転軌道上の直下にイオン照射機構102を備えているとした点である。
このイオン照射機構102は、図4及び図7に示すように、ターゲット16とターゲット20とを仕切る略Y字形の下部防着板46Aと、該下部防着板46Aの上方に配された上部防着板46Bとで形成された空間内に配されているとともに、上部防着板46Bに形成された開口(図4には不図示の開口を、図7では、イオン照射機構102のイオン照射部の大きさと該開口の大きさとが略一致したものとして示している。)から、回転中の基板14に対してイオン照射できるようになっている。
このイオン照射機構102が配される空間は、各ターゲット16,18及び20が配された空間よりも高真空となるように、高真空ポンプ68と連結された不図示の排気口に接続されている。そして、この空間内でイオン照射機構102は、電源104から供給される電力によって駆動される。
また、イオン照射機構102による異常放電を防止するため、イオン照射機構102が配された空間内のイオン照射機構102の近傍には、マイナスイオンをチャンバ12内のイオン照射機構102が配された空間内に供給するニュートラライザー106が、操作用電源108によって駆動されるように配設されている。
次に、以上の構成からなる本実施形態の薄膜形成装置100による薄膜形成方法について説明する。
上記第1の実施形態と同様の方法にてSiターゲット16のSi上、及びNbターゲット18のNb上にプラズマをそれぞれ発生させる。
そして、ニュートラライザー106にArガスを10sccm(標準状態に換算して毎分10cm)導入し、150Aの電流を印加して電子線を引き出してイオン照射機構102周辺に電子を供給する。同時に、イオン照射機構102の内部にOガスを15sccm(標準状態に換算して毎分15cm)導入し、イオン照射機構102に500wの電力を印加してOをイオン化した後、回転している基板14に向けてこれを照射する。
その後は、再び第1の実施形態と同様に成膜を開始する。
すると、基板14の表面にSiOとNbとが所定の膜厚及び所定の混合率にて混合された薄膜が形成される。
所定の時間経過後、各シャッター45を同時に閉じることによって成膜が終了して光学素子14cが得られる。
この成膜形成装置100によれば、基板に成膜した膜中にイオンエネルギーを付加するので、2つ以上のターゲットより成膜された膜を緻密にするとともに材料同士のアンカー効果を付与することができ、密着力の大きい安定した成膜を得ることができる。
また、イオン照射機構102を用いずに、高周波電源28により基板14に高周波を印加した場合でも、基板14とチャンバ12との間にプラズマが発生し、このプラズマ中を各ターゲットから弾き出された成膜材料が通過することによってイオンエネルギーが付与されることになり、本実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。
次に、本発明に係る第4の実施形態について、図15を参照して説明する。なお、以下の説明において、上記実施形態において説明した構成要素には同一符号を付し、その説明は省略する。
第4の実施形態と上記他の実施形態との異なる点は、第4の実施形態の薄膜形成装置200が、第1の実施形態に係る薄膜形成装置10からターゲット16と、ターゲット16に関連するマグネトロンカソード48と、電源22とを取り外し、代わりに基板14の光学特性値を計測可能な光学式測定機構210を備えているとした点である。
この光学式測定機構210は、基板14に透過率又は反射率の測定用光を集光する投光側光学系204Aと、投光側光学系204Aに光を送る光源201と、光源201からの光を投光側光学系204Aに導く光ファイバ等の投光側伝達部材206と、投光側光学系204Aを保持する投光側光学系保持部材204と、基板14からの光を集光する受光側光学系205Aと、受光側光学系205Aを保持する受光側光学系保持部材205と、光を伝達する光ファイバ等の受光側伝達部材206と、任意の波長のみを透過するモノクロメータ203と、伝達された受光量を演算する演算機202と、演算機202からシャッター45へ信号を送る不図示の信号系とを備えている。
光源201より発した光は、投光側伝達部材206を通り投光側光学系保持部材204から基板14でφ10mmの径で透過するように投光される。
モノクロメータ203により任意の波長のみ透過された光は、不図示の受光素子により電気信号に変換され、演算機コンピュータ202にて蓄積される。
基板14の回転に同期してデータの取り込みを行うことにより、演算機202には基板14上に形成される混合膜の成膜時間に対する透過率変化が蓄積される。
二層以上の薄膜形成に際しては、層間において一波長以上の波長で透過率の分光特性を測定し、形成された層までの分光特性と比較して、分光特性の差分からその層以降の成膜条件にフィードバックする。
すなわち、所定の膜厚より算出された透過率に達した際、演算機202にて透過率変化から基板14上に形成された薄膜の屈折率と薄膜の膜厚とを算出し、演算機202よりシャッター閉信号をシャッター45に伝達し、成膜を完了する。
本実施形態に係る薄膜形成装置200にて、例えば、3層を成膜する場合、2層目と3層目との間で基板14を投光側光学系204Aと受光側光学系205Aとの光路上に配し、モノクロメータ203の波長を400nmから600nmまで1nmおきに変化させて分光特性を測定する。そして、成膜前に同位置にて取り込んだ分光特性データと比することで、これまで成膜した層数の400nmから600nmの分光透過率を得ることができる。
こうして、これまで成膜した層の所望の特性と比較した結果、例えば、SiO側が光学膜厚で0.9%薄くなっていた場合、3層目の初期形成予定膜厚を0.9%厚くなるようにフィードバックして成膜条件を調整することができ、多層膜における所望の特性を基板14上に形成することができる。
この薄膜形成装置200によれば、複数の異なる材料の個別の光量変化、及び、分光特性のうち少なくとも一方を計測し、膜厚の制御、及び、その後の形成膜厚のうち少なくとも一方にフィードバックして所望の分光特性を得ることができるので、安定して各材料の膜を形成すること、及び、混合膜を形成することができる。
なお、本実施例に用いた光学式測定機構を基板保持機構の回転方向に対して垂直の方向に混合膜を構成する材料と同数配置し、回転方向に対して垂直の方向(回転板56の径方向)に基板14と同様の基板を配し、個々の材料のみ形成することで、各材料のみの膜厚を算出することができる。
次に、本発明に係る第5の実施形態について、図16を参照して説明する。なお、以下の説明において、上記実施形態において説明した構成要素には同一符号を付し、その説明は省略する。
第5の実施形態と上記他の実施形態との異なる点は、第5の実施形態に係る薄膜形成装置212が、ターゲット16、18、20に対向して基板14とシャッター45との間に配され、基板14上に形成される膜厚をヤトイ50内で均一とする補正手段215が設けられているとした点である。
補正手段215は、開口部30aを遮蔽可能な大きさに形成された膜厚補正板220と、膜厚補正板220の外周面に接続され、開口部30aの開口幅に同期して膜厚補正板220を回動可能とされた補正板固定軸(回動軸)220aと、チャンバ12の外部に配されて補正板固定軸220aを回転駆動する駆動モータ220bとを備えている。
この補正手段215は、駆動モータ220bを回転して膜厚補正板220を補正板固定軸220aに対して回転することによって、一対の遮蔽板30A、30Bに対して平行方向から垂直方向まで傾きが変化する。
本実施形態に係る薄膜形成装置212によって膜厚を均一にする場合、一対の遮蔽板30A、30Bの開口幅が最大位置のときに、膜厚補正板220が一対の遮蔽板30A、30Bに対して水平方向となるようにし、一対の遮蔽板30A、30Bの開口幅が最小位置のときに、膜厚補正板220が一対の遮蔽板30A、30Bに対して垂直方向となるように調整する。
この薄膜形成装置212によれば、ヤトイ50内に保持された基板14のすべてにおいて分光特性を均一にすることができる。この際、膜厚補正板の形状をターゲット毎に変えて分光特性を保持された基板14間で異なる値とすることもできる。
また、補正板固定軸220aによる膜厚補正板220の回転角度を変えることによって、基板14間のみならず、同じ基板14内で徐々に変化させることも可能である。
次に、本発明に係る第6の実施形態について、図17を参照して説明する。なお、以下の説明において、上記実施形態において説明した構成要素には同一符号を付し、その説明は省略する。
第6の実施形態と上記他の実施形態との異なる点は、第6の実施形態に係る薄膜形成装置230は、基板14への薄膜形成時に、ターゲット16、18上に生ずるプラズマを一波長以上の波長で測定し、各ターゲットの材料が持つ発光強度の変動量から各ターゲットに印可する電力、電流、及び電流のうち少なくとも一つを調整可能なフィードバック機構235、236を備えているとした点である。
フィードバック機構235は、チャンバ12の外壁に、ターゲット16上に生ずるガス種に応じて生ずるプラズマ222と略同じ高さに配されたプラズマモニタ221と,プラズマモニタ221から光ファイバケーブル223を介して取り込まれた発光のうち任意の波長のみを選択するモノクロメータ224と、モノクロメータ224によって選択された光量から各波長における光の強度分布を演算する演算機225とを備えている。
フィードバック機構236は、ターゲット18上に生ずるプラズマ227と略同じ高さに配されたプラズマモニタ226と、プラズマモニタ226から光ファイバケーブル228を介して取り込まれた発光のうち任意の波長のみを選択するモノクロメータ229と、モノクロメータ229によって選択された光量から各波長における光の強度分布を演算する演算機230とを備えている。
プラズマモニタ221、226は、不図示の分光計と受光素子とを備えており、1秒間に受光素子で受光する所定の波長におけるプラズマ発光強度をカウント値として数値で表すものとされている。
発光強度は、プラズマモニタ221,226の配設位置や向きによって異なるが、固定して取り付けられた状態で、膜の形成速度に応じた発光波長と強度が決定される。ここで、選択する波長については一波長とは限らず、数波長にピークが見られるのが一般的である。演算機225、230では、例えば、発光強度の高い/低いといった変動量に伴い、各ターゲットへ電力を供給する電源22,24にそれぞれフィードバックして電力、電流、及び電流のうち少なくとも一つを調整することとされている。
この薄膜形成装置230によれば、ターゲット16、18上に材料およびガス種に準じて生じるプラズマ222、227の発光強度を一波長以上の波長で測定し、相対的あるいは比率に換算して時間軸に対して監視することによって、発光強度の変動量からターゲットに印可するパラメータにフィードバックでき、各材料の膜を安定的に形成すること、及び混合膜を形成することができる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
上記の各実施形態では、薄膜形成装置が有する一対の遮蔽板による開口部を予め固定して、一定の開口面積とした状態で実施しているものであるが、成膜工程において、上記開口部を漸次変化させて薄膜を成膜することもできる。
この場合、成膜途中で各駆動機構34をそれぞれ所定のタイミングによって操作して、各一対の遮蔽板30A,30Bを初期に設定した位置から漸次近接又は離間し開口部30aの開口面積を増減する。
これによって、各ターゲット材の混合比率をさらに自由に変化させることができる。
上記の各実施形態において、薄膜形成装置の仕切部材である一対の遮蔽板を平板としているが、網目の粗さが可変の網目状の遮蔽板であっても構わない。この場合、開口部は各網目によって形成され、開口面積は網目の面積から決まる。また、仕切部材の形状は長方形でも円形でも構わず、例えば、カメラのシャッターに用いられる開閉機構と同様のものであってもよい。
また、薄膜形成装置が有するマグネトロンカソードをリング状に配設しているが、各ターゲットが同一円周上に位置するように配設されていれば長方形状のものでも構わない。
さらに、上記実施形態では、3つのターゲットを配設しているが、ターゲット数が2つであっても4つ以上であっても仕切部材や防着板を増減することによって、同様の作用・効果が得られる。
上記第1の実施形態に基づいて実際に基板14上に光学薄膜を形成した結果を以下に示す。
各開口部30aの種々の幅に対して形成された光学素子14aの薄膜中におけるNbの占める割合と波長500nmにおける光学素子14aの屈折率(光学素子14aに形成された光学薄膜の屈折率のことをいう。)との関係を表1及び図8、及び表2及び図9に示す。
Figure 2004244722
Figure 2004244722
図8及び図9に示すように、1.46〜2.37の範囲内の屈折率が任意に得ることができる。
また、同じ条件で繰り返し再現性については、ばらつきが各屈折率±0.05の範囲内と安定した屈折率を得ることができる。
上記第1の実施形態に対し、基板14を外径φ28mmで片面が平面、もう片面が曲率半径50mmを有する屈折率1.735のカメラ用レンズとし、平面側を成膜面としたSiターゲット16と、Nbターゲット18とによる成膜した結果を表3及び図10に示す。
Figure 2004244722
表3に示すように、曲率を有する基板上に3層の構成で図10に示すような反射率特性を有する反射防止膜を付加することができる。
また、同じ条件で繰り返し再現性については、ばらつきが各屈折率±0.05の範囲内の安定した屈折率を得ることができる。
上記第2の実施形態に基づいて実際に基板14上に光学薄膜を形成した結果を以下に示す。
各開口部30aの種々の幅に対して形成された光学素子14bの薄膜中におけるNbの占める割合と波長500nmにおける光学素子14bの屈折率との関係を表4及び図11に示す。
Figure 2004244722
図11に示すように、1.68〜2.37の範囲内の屈折率が任意に得ることができる。
また、同じ条件で繰り返し再現性については、ばらつきが各屈折率±0.05の範囲内の安定した屈折率を得ることができる。
上記第3の実施形態に基づいて実際に基板14上に光学薄膜を形成した結果を以下に示す。
各開口部30aの種々の幅に対して形成された光学素子14cの薄膜中におけるNbの占める割合と波長500nmにおける光学素子14cの屈折率との関係を表5及び図12に示す。
Figure 2004244722
図12に示すように、1.47〜2.47の範囲内の屈折率が任意に得ることができる。
また、同じ条件で繰り返し再現性については、ばらつきが各屈折率±0.03の範囲内とさらに安定した屈折率を得ることができる。
本発明に係る防着板46(46A、46B)による効果を確認するため、上記第1の実施形態において、防着板46を取り外すとともに一対の遮蔽板30A,30Bを全開した。それ以外の条件は同一として基板14上に薄膜を形成した。
まず、Siターゲット16により基板14上にSiO膜を成膜し、次にNbターゲット18により異なる基板上にNb膜を成膜して、各膜の屈折率を調べた。
その結果、成膜速度0.5nm/secにて波長500nmでの屈折率が1.46のSiO膜が得られた。
また、成膜速度0.45nm/secと第1の実施形態による実施例に比べて0.15nm/sec増加した速度にて、波長500nmでの屈折率が2.39のNb膜が得られた。ただし、光学的膜厚130nmのNb膜に対して、波長500nmで0.5%の吸収率を有するものであった。
なお、Siターゲット16とNbターゲット18とによる混合膜形成用の成膜準備完了時には、2つのターゲット上で生じる放電は一つの大きな放電のようになって見えた。
次に、Nbターゲット18にプラズマを発生して成膜準備状態としたままSiターゲット16上に位置するシャッター45のみ開とし、SiO膜を回転中の基板14上に成膜した。その結果、薄膜の屈折率は1.48と高めになり,成膜速度は0.35nm/secと低下した。
SiO膜の成膜後、光学素子14aとSiターゲット16を取り外してそれぞれ膜分析を行ったところ、Siターゲット上のエロージョンの範囲の周辺にNbが観測された。これは、Siターゲット16上とNbターゲット18上とに発生した2つの放電が干渉しあうことによって膜条件が変化するとともに、Siターゲットの汚染が生じたことを裏付けるものであった。したがって、混合膜を形成しなくても防着板46(46A、46B)の効果が確認できた。
次に、上記第5の実施形態に基づいて、実際に基板14として、屈折率1.735のレンズ(光学素子)14J、14K、14Lを使用し、レンズ14J、14K、14Lに3層の反射防止膜を形成した結果を以下に示す。
この際、回転板56の回転方向に対して垂直の方向に形成される反射防止膜の膜厚が回転板56内で均一になるように決定した膜厚補正板220を、ターゲット16,18に対向する位置で、かつ、レンズ14J、14K、14Lとシャッター45との間に設置した。
まず、膜厚補正板220の効果を確認するために、比較例として、膜厚補正板220を設けないで反射防止膜を形成させた際の反射率特性を図18に示す。
波長500nm付近のピーク波長は、レンズ14J、14K、14Lの順に、496nm,493.5nm、491.5nmと493.7±2.3nmとなった。
次に、3層の各形成時に、遮蔽板30A,30Bの開口幅に同期して、膜厚補正板220を次のように動かした。
すなわち、遮蔽板30A,30Bによる開口幅が70mmの場合には、遮蔽板30A,30Bに対して水平方向、遮蔽板30A,30Bによる開口幅が0mmの場合には、遮蔽板30A,30Bに対して垂直方向とし、その間、所定の角度間隔で位置出しを行った。
こうして、レンズ14J、14K、14Lに3層の反射防止膜を設けた際の反射率特性を図19に示す。
波長500nm付近のピーク波長は、レンズ14J、14K、14Lの順に、492.5nm,493.0nm、492.0nmとなり、何れも492.5±0.5nm内となった。
次に、上記の第1の実施形態に係る実施例に対し、ターゲット20を、ターゲット18と同一のNbターゲットに変更したものである。2つのNbターゲット18,20共、同じ導入ガス圧、開口幅、投入電力の成膜条件とした。
その結果、Nb膜を2倍の厚さで基板14に形成することができた。
すなわち、本実施例では、基板14に混合膜を形成するうち、Nbの占める割合の高い高屈折率混合膜については、第1の実施形態に比べて短い成膜時間で形成が可能となった。表6にその結果を示す。
表2の場合と比べて、同じ屈折率を得るのにSiの開口幅も広くなり、屈折率2.37と2.02を得るのに1/2倍の成膜時間で形成することができた。
Figure 2004244722
次に、上記第6の実施形態に基づいて実際に基板14上に光学薄膜を形成した結果を以下に示す。
本実施例では、第1の実施形態と同条件で遮蔽板30A,30Bの開口幅を共に70mmとし、回転板56における回転中心からの径がそれぞれ異なる位置に、レンズ14J、14K、14Lを配置し、成膜後にこれらを取り出して新たなレンズ14J、14K、14Lを再び配置して成膜するという操作を5回反復して5回の成膜を行い、それぞれの発光強度から制御性を確認した。
まず、比較例として、フィードバック制御を行わないで成膜した。
Siターゲット16上のプラズマモニタ221における対象波長を428nmとし、Nbターゲット18上のプラズマモニタ226における対象波長を422nmとして電源22に300w印加した場合、Siターゲット16上に生ずるプラズマの発光強度は、強度1320カウントから徐々に減少し、5回目には初期に比べ45カウント減少を示した。一方、Nbターゲット18上に生ずるプラズマは電源24に300w印可した場合、強度1457カウントから50カウント減少した。
結果として得られた膜は、混合比は同じとなり、その結果屈折率は安定していたが、レートの減少が見られた。
次に、プラズマモニタ221のカウントをSiターゲット16上では1320カウント、プラズマモニタ226のカウントをNbターゲット18上では1457カウントとなるように投入電力にフィードバックをしたところ、得られた混合膜は屈折率1.8±0.05、光学膜厚が130nm±1nmと、きわめて安定した混合膜を得ることができた。
本発明の第1の実施形態における薄膜形成装置のターゲット配置を示す平面図である。 図1のX−X線矢視における第1の実施形態の薄膜形成装置を示す断面図である。 本発明の第1の実施形態における薄膜形成装置においてSiターゲットとNbターゲットに対応する駆動機構を示す平面図である。 本発明の第1の実施形態における薄膜形成装置において防着板を示す斜視図である。 本発明の第2の実施形態における薄膜形成装置のターゲット配置を示す平面図である。 図5のY−Y線矢視における第2の実施形態の薄膜形成装置を示す断面図である。 本発明の第3の実施形態における薄膜形成装置のターゲット配置を示す平面図である。 本発明における実施例において表1に対応する薄膜構成材料と屈折率との関係を示すグラフである。 本発明における実施例において表2に対応する薄膜構成材料と屈折率との関係を示すグラフである。 本発明における実施例において表3の膜厚で得られる分光反射率特性を示すグラフである。 本発明における実施例において表4に対応する薄膜構成材料と屈折率との関係を示すグラフである。 本発明における実施例において表5に対応する薄膜構成材料と屈折率との関係を示すグラフである。 本発明の第1の実施形態における薄膜形成装置の他の例を示す側面図である。 図13のP方向矢視における第4の実施形態の薄膜形成装置を示す断面図である。 本発明の第4の実施形態における薄膜形成装置を示す断面図である。 本発明の第5の実施形態における薄膜形成装置を示す断面図である。 本発明の第6の実施形態における薄膜形成装置を示す断面図である。 本発明における第5の実施形態に係る実施例の比較例として得られる分光反射特性を示すグラフである。 本発明における第5の実施形態に係る実施例において得られる分光反射特性を示すグラフである。
符号の説明
10,90,100、200、212、230 薄膜形成装置
14 基板(被成膜対象物)
14a,14b,14c 光学素子
14J、14K、14L レンズ(光学素子)
16、250 Siターゲット(ターゲット)
18、251 Nbターゲット(ターゲット)
19 Nbターゲット(ターゲット)
20 Alターゲット(ターゲット)
28 高周波電源(高周波供給機構)
30A,30B 一対の遮蔽板(仕切部材)
30a 開口部
32 開口部調整機構
34 駆動機構
45 シャッター
46 防着板
52 基板回転機構(対象物移動機構、対象物回転機構)
102 イオン照射機構
210 光学式測定機構
215 補正手段
220 膜厚補正板
220a 補正板固定軸(回転軸)
235、236 フィードバック機構

Claims (22)

  1. チャンバ内に配設された被成膜対象物と、該被成膜対象物に対向して配設された少なくとも二つ以上の同一材料、及び、少なくとも二つ以上の異なる材料のうち少なくとも一方を含む複数のターゲットとを備え、これらのターゲットの少なくとも一つをスパッタリングして前記被成膜対象物上に薄膜を形成する薄膜形成装置であって、
    前記被成膜対象物と前記ターゲットとの中間位置に前記ターゲット毎に配設され前記スパッタリングにより放出された前記ターゲット材料が通過可能な開口部を有する仕切部材と、前記開口部を前記ターゲット毎に個別の開口面積に設定可能な開口部調整機構とを備えていることを特徴とする薄膜形成装置。
  2. 前記開口部の開口面積が可変であることを特徴とする請求項1に記載の薄膜形成装置。
  3. 前記被成膜対象物と前記ターゲットとの間に前記仕切部材とは別に配設され前記ターゲット材料の前記被成膜対象物への到達を阻止するシャッターを備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の薄膜形成装置。
  4. 前記ターゲット間に配設されて前記ターゲットが配設される領域を互いに分離して仕切る防着板を備えていることを特徴とする請求項1から3の何れか記載の薄膜形成装置。
  5. 前記防着板が、前記ターゲット間に配設されて前記ターゲットが配設される領域を互いに分離して仕切るとともに、前記ターゲットから前記被成膜対象物に向けて前記ターゲット材料が飛散する最大領域を規定する防着部材を備えていることを特徴とする請求項4に記載の薄膜形成装置。
  6. 前記開口部が前記ターゲットに対向する位置に配設され、
    前記被成膜対象物を各ターゲットの対向する位置で交互に移動させる対象物移動機構を備えていることを特徴とする請求項1から5の何れか記載の薄膜形成装置。
  7. 前記ターゲットが円周上に配設され、
    前記対象物移動機構が、前記被成膜対象物を前記円周に沿って回転移動させる対象物回転機構であることを特徴とする請求項6記載の薄膜形成装置。
  8. 前記仕切部材が、互いの間に前記開口部を有する一対の遮蔽板であり、
    前記開口部調整機構が、前記一対の遮蔽板を互いに近接又は離間可能に相対移動させる駆動機構を有していることを特徴とする請求項1から7の何れか記載の薄膜形成装置。
  9. 複数の前記ターゲットの数に比して、一ターゲットにつき、導入されるガスが少なくともアルゴンガス一系統以上、酸素ガス一系統以上を備えていることを特徴とする請求項1から8の何れか一つに記載の薄膜形成装置。
  10. 複数の前記ターゲットの間に、前記被成膜対象物に形成する薄膜の光学特性値を計測可能な光学式測定機構を少なくとも一つ以上備えていることを特徴とする請求項1から9の何れか一つに記載の薄膜形成装置。
  11. 前記光学式測定機構は、前記被成膜対象物に透過率又は反射率の測定用光を集光する投光側光学系と、
    該投光側光学系に光を送る光源と、
    該光源からの光を前記投光側光学系に導く投光側伝達部材と、
    前記投光側光学系を保持する投光側光学部材と、
    前記被成膜対象物からの光を集光する受光側光学系と、
    該受光側光学系を保持する受光側光学部材と、
    光を伝達する受光側伝達部材と、
    伝達された受光量を演算する演算機と、
    該演算機から前記シャッターへ信号を送る信号系とを備えていることを特徴とする請求項10に記載の薄膜形成装置。
  12. 前記光学式測定機構が、前記薄膜形成中に一波長以上の波長で前記被成膜対象物の反射率、或いは、前記被成膜対象物の透過率の変化量を測光し、前記薄膜の光学膜厚を判定する機構であることを特徴とする請求項10又は11に記載の薄膜形成装置。
  13. 前記光学式測定機構が、二層以上の薄膜形成に際し層間において一波長以上の波長で反射率、或いは、透過率の分光特性を測定し、形成された層までの分光特性と比較し、分光特性の差分からその層以降の成膜条件にフィードバックする機構であることを特徴とする請求項12に記載の薄膜形成装置。
  14. 前記ターゲットに対向して前記被成膜対象物と前記シャッターとの間に配され、前記被成膜対象物上に形成される膜厚を前記対象物移動機構内で均一とする、或いは、徐々に変化させる補正手段が設けられていることを特徴とする請求項6から13の何れか記載の薄膜形成装置。
  15. 前記補正手段が、前記開口部を遮蔽可能な大きさに形成された膜厚補正板と、
    該膜厚補正板の外周面に接続され、前記開口部の開口幅に同期して前記膜厚補正板を回動可能とされた回動軸とを備えていることを特徴とする請求項14に記載の薄膜形成装置。
  16. 前記被成膜対象物への薄膜形成時に、前記ターゲット上に生ずるプラズマを一波長以上の波長で測定し、前記ターゲットの材料が持つ発光強度の変動量から前記ターゲットに印可する電力、電流、及び電流のうち少なくとも一つを調整可能なフィードバック機構を備えていることを特徴とする請求項1から15の何れか一つに記載の薄膜形成装置。
  17. 前記チャンバ内に導入されたガスをイオン化して前記被成膜対象物に照射するイオン照射機構を備えていることを特徴とする請求項1から16の何れか記載の薄膜形成装置。
  18. 前記被成膜対象物に高周波電力を印加する高周波供給機構を備えていることを特徴とする請求項1から17の何れか記載の薄膜形成装置。
  19. 請求項1から18の何れか一つに記載の薄膜形成装置により前記被成膜対象物に成膜することを特徴とする薄膜形成方法。
  20. 前記被成膜対象物上に複数の薄膜を成膜する薄膜積層工程を有し、該薄膜積層工程では、前記薄膜毎に各前記ターゲットに対応する前記開口部の開口面積を設定することを特徴とする請求項19に記載の薄膜形成方法。
  21. 前記被成膜対象物上に前記開口部の開口面積を漸次変化させながら前記薄膜を形成する工程を有することを特徴とする請求項19に記載の薄膜形成方法。
  22. 請求項19から21の何れか一つに記載の薄膜形成方法により前記薄膜が形成されていることを特徴とする光学素子。
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