JP2004243529A - 記録ヘッド、記録装置およびアーマチュアの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】記録ヘッドが備えるアーマチュアに誘起される渦電流の電流値を抑え、効率を高め、記録ワイヤの突出を高速化する。
【解決手段】コイルが巻き回されたコア53に発生する磁気力によりワイヤレバー47に設けられたアーマチュア70を吸引して、当該ワイヤレバー47の先端に設けられた記録ワイヤ35を突出させる記録ヘッドにおいて、前記アーマチュア70は、磁性を有した複数枚の板材を積層してなる積層板材を冷間プレスにより打ち抜いて形成される。
【選択図】 図4
【解決手段】コイルが巻き回されたコア53に発生する磁気力によりワイヤレバー47に設けられたアーマチュア70を吸引して、当該ワイヤレバー47の先端に設けられた記録ワイヤ35を突出させる記録ヘッドにおいて、前記アーマチュア70は、磁性を有した複数枚の板材を積層してなる積層板材を冷間プレスにより打ち抜いて形成される。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コイルが巻かれた複数のコアをフレームの周方向に間隔をあけて備え、各コアに対向するアーマチュアを有し、先端に記録ワイヤが連結された複数のレバーを備えた記録ヘッド、この記録ヘッドを備えた記録装置、および、アーマチュアの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
記録装置には、コイルが巻かれた複数のコアをフレームの周方向に間隔をあけて備え、各コアに対向するアーマチュアを有し、先端に記録ワイヤが連結された複数のワイヤレバーを備えた記録ヘッドを有するドットインパクトプリンタが知られている。
【0003】
この種の記録装置においては、コイルへの通電によってコアとアーマチュアとの間に電磁吸引力が発生することにより、アーマチュアがコアに吸引されてワイヤレバーを回動し、ワイヤレバーの先端に連結された記録ワイヤを突出して、記録ヘッドとプラテンとの間に配置された記録用紙に画像を記録する(例えば、特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−219586号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記アーマチュアには、コアに発生する磁界(磁束)によって渦電流が誘起され、これにより電流損失が生じるため、効率が悪くなると共に、電磁吸引力が弱くなり、記録ワイヤの突出を高速化できないという問題があった。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、アーマチュアに誘起される渦電流の電流値を抑え、効率を高め、記録ワイヤの突出を高速化することができる記録ヘッドおよび記録装置を提供すると共に、当該記録ヘッドおよび記録装置のアーマチュアを簡易かつ低コストに製造するための製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、コイルが巻き回されたコアに発生する磁気力によりワイヤレバーに設けられたアーマチュアを吸引もしくは引き離して、当該ワイヤレバーの先端に設けられた記録ワイヤを突出させる記録ヘッドにおいて、前記アーマチュアは、磁性を有した複数枚の板材を積層してなる積層板材、あるいは、当該板材を幅方向に連ねてなる連接板材を冷間プレスにより打ち抜いて形成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の記録ヘッドにおいて、前記積層板材の各積層間および前記連接板材の各接続部には、絶縁性材料が介在することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、複数の記録ワイヤを備えた記録ヘッドから任意の記録ワイヤを突出させて、記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されたシートに画像を記録する記録装置において、前記記録ヘッドは、記録ワイヤが先端に設けられたワイヤレバーと、ワイヤレバーに設けられたアーマチュアと、コイルが巻き回されたコアであり磁気力により前記アーマチュアを吸引もしくは引き離して記録ワイヤを突出させるコアとを備え、前記アーマチュアは、磁性を有した複数枚の板材を積層してなる積層板材、あるいは、当該板材を幅方向に連ねてなる連接板材を冷間プレスにより打ち抜いて形成されていることを特徴とする記録装置。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の記録装置において、前記積層板材の各積層間および前記連接板材の各接続部には、絶縁性材料が介在することを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、記録ヘッドが備えるワイヤレバーに設けられるアーマチュアであり、コイルが巻き回されたコアに発生する磁気力により吸引もしくは引き離され、前記ワイヤレバーの先端に設けられた記録ワイヤを突出させるアーマチュアの製造方法において、磁性を有した複数枚の板材を積層して積層板材、あるいは、当該板材を幅方向に連ねてなる連接板材を作成した後に、当該積層板材あるいは当該連接板材を冷間プレスにより打ち抜いて前記アーマチュアを形成することを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のアーマチュアの製造方法において、前記積層板材の各積層間および前記連接板材の各接続部には、絶縁性材料が介在することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。本発明の理解を容易とするために、まず、本実施形態にかかる記録ヘッドが適用される記録装置について説明し、次いで、この記録ヘッドについて詳述する。なお、記録装置としては、一般的なドットインパクトプリンタを例示する。
【0014】
図1は、ドットインパクトプリンタ10のプリンタ本体11を主に示す斜視図であり、図2は、図1のプリンタ本体11を主に示す側断面図である。図1においては、説明の便宜上、プリンタ本体11を覆うカバーを外した状態を示し、かつ、インクリボンカートリッジ38及びインクリボン31を二点鎖線で示している。
【0015】
ドットインパクトプリンタ10は、記録ヘッド18が備える多数の記録ワイヤを、インクリボン31を介して記録用紙に打ち付けてドットを記録することにより、文字を含む画像を印刷するものである。このドットインパクトプリンタ10にて用いられ得る記録用紙(シート)には、単票紙や連続紙などの普通紙の他に、通帳、葉書、封筒などがある。なお、単票紙(カットシート)は、単票複写紙であってもよく、連続紙(連続シート)は、連続複写紙であってもよい。
【0016】
ドットインパクトプリンタ10は、記録装置本体としてのプリンタ本体11と、プリンタ本体11に着脱自在に装着されたプッシュトラクタユニット12及び排出ユニット13と、同じくプリンタ本体11に着脱自在に装着された給紙装置34(図2に簡略的に示す)とを有している。
【0017】
プリンタ本体11は、本体フレームとしてのベースフレーム14と、シート案内フレーム15(図2)と、左サイドフレーム16及び右サイドフレーム17と、記録ヘッド18及びキャリッジ19を備える印刷機構部20と、プラテン21、シート案内22及びピンチローラ25(図2)を備えたシート搬送機構部23とを有している。
【0018】
図2に示すように、ベースフレーム14とシート案内フレーム15とは平行に配置され、ベースフレーム14及びシート案内フレーム15の両端に左サイドフレーム16及び右サイドフレーム17がそれぞれ立設して固定される。この左サイドフレーム16と右サイドフレーム17の間には、キャリッジガイド軸24及びプラテン21が回転可能に架け渡されている。シート案内22は、左サイドフレーム16と右サイドフレーム17の間に配設されて、シート案内フレーム15に嵌合して固定されている。
【0019】
さらに、左サイドフレーム16と右サイドフレーム17との間には、インクリボンカートリッジ38(図1に二点鎖線で示している)がベースフレーム14に対向して着脱自在に装着されている。このインクリボンカートリッジ38のインクリボン31は、記録ヘッド18とプラテン21との間に引き回される。これによって、記録ヘッド18からの記録ワイヤ35(図3)の突出によりインクリボン31のインクをプラテン21に搬送された記録用紙(図2中、符号Sにて示す)に転写することができる。
【0020】
また、左サイドフレーム16及び右サイドフレーム17の後方部、上方部には、プッシュトラクタユニット12及び排出ユニット13を装着するためのトラクタユニット装着部及び排出ユニット装着部が設けられている。
【0021】
プッシュトラクタユニット12は、記録用紙としての連続紙をシート搬送機構部23へ送り出すものである。また、給紙装置34は、記録用紙としての単票紙を1枚ずつシート搬送機構部23へ供給するものである。また、排出ユニット13は、連続紙または単票紙をシート搬送機構部23からプリンタ10の外へ引き出すものである。
【0022】
つまり、連続紙は、プッシュトラクタユニット12のトラクタベルト26の回転によりこのトラクタベルト26のピン27の作用で、シート搬送機構部23のシート案内22に案内され、このシート案内22とプラテン21との間のシート搬送経路28を経てプラテン21の前方へ向かって、矢印α方向に給送される。一方、単票紙は、給紙装置34から1枚ずつ(または1綴りずつ)シート案内22に案内され、シート搬送経路28を経てプラテン21の前方へ供給される。これら連続紙または単票紙は、記録ヘッド18によって文字が記録された後、排出ユニット13の排出ローラ29の回転により、矢印β方向に引き出される。
【0023】
一方、キャリッジ19は、キャリッジガイド軸24に摺動自在に挿通されると共に、記録ヘッド18が載置される。キャリッジガイド軸24がプラテン21と平行に配置されることから、キャリッジ19は、プラテン21及びキャリッジガイド軸24の軸方向と一致する主走査方向に往復走行可能に設けられている。具体的には、キャリッジ19は、キャリッジ駆動モータ(不図示)の正転または逆転により、タイミングベルト30(図2)を介しキャリッジガイド軸24に案内されて主走査方向における図1の矢印A方向または矢印B方向に走行される。
【0024】
次いで、本実施形態にかかる記録ヘッド18について詳述する。図3は、記録ヘッド18の側断面図である。この記録ヘッド18は、ドットインパクト方式の記録ヘッドであり、ヘッド本体40にノーズ41が連接されると共に、ヘッド本体40の外側に放熱器66が配置されている。ヘッド本体40は、ほぼ円板形状のフレーム43の一方側(ノーズ41の反対側)に、ほぼリング形状の第1ヨーク44、第2ヨーク45及びレバーホルダ46が順次積層して配設され、板バネ42によってこれら部材がノーズ41側に押さえつけられて一体化されている。フレーム43は、同心円上に間隔を空けて複数のコア53が放射状に一体に突設される。これらの各コア53にコイル54がボビンを介して組み付けられ、このコア53及びコイル54により電磁石59が構成される。
【0025】
また、第1ヨーク44及び第2ヨーク45には、周方向に複数形成されたそれぞれの凹部に各1本のワイヤレバー47が収容され、また、これらのワイヤレバー47の基部が回動支点軸51を基準に回動可能に支持される。さらに、各ワイヤレバー47は、先端に記録ワイヤ35が1本づつ装着され、また、スプリングホルダ49に内蔵された復帰スプリング58によってノーズ41と反対の方向へ常時付勢される。
【0026】
ノーズ41は、ワイヤレバー47が回動した時の記録ワイヤ35の進退動作を案内するものである。つまり、記録ワイヤ35の進退動作は、ノーズ41内に形成された複数の中間ガイド64及び先端ガイド65により案内される。また、ノーズ41には、板バネ42の端部が引っ掛けられる突起80が形成される。また、放熱器66は、電磁石59のコイル54への通電によってこのコイル54が発熱した際の熱を放散させてヘッド本体40を冷却するためのものである。
【0027】
各ワイヤレバー47は、各コア53に対向する位置にアーマチュア70が設けられる。アーマチュア70は、電磁石59のコイル54に通電がなされて、この電磁石59の周囲に磁気回路63(図3)が形成されたとき、コア53が励磁されて発生した電磁吸引力によってコア53に吸引される。詳述すると、コイル54に電流を流すことによって、電磁誘導により磁束がコア53からアーマチュア70のコア53と対向する部分を通り、アーマチュア70の回動支点軸51近傍を介してフレーム43の外周壁43Aを通り再びコア53に流れるように磁路が形成され、コア53とアーマチュア70との間に電磁吸引力が発生する。これにより、アーマチュア70がコア53に吸引されてワイヤレバー47が回動支点軸51を基準にノーズ41側に回動し、記録ワイヤ35をノーズ41の外に打ち出すことができる。
【0028】
図4は、1本のワイヤレバー47をフレーム43と共に示す斜視図であり、図5は、1本のワイヤレバー47をフレーム43と共に示す上面図である。図4乃至5に示すように、アーマチュア70は、軟磁性材料(例えば鉄コバルト合金など)から形成された複数枚の板状部材71が回動支点軸51の軸方向に積層された構造となっている。より具体的には、図6(a)、(b)に示すように、複数枚(図示例では3枚)の板状部材71が絶縁性材料(例えばガラスなど)を介して積層されて、アーマチュア片70’が形成され、図4乃至5に示すように、積層構造を有する2つのアーマチュア片70’が板形状のワイヤレバー47を挟むように配置されてアーマチュア70が構成される。
【0029】
このアーマチュア片70’(すなわち、アーマチュア70)の製造は、冷間プレス加工などの打ち抜き加工によって行われる。詳述すると、図7(a)、(b)に示すように、上述の板状部材71の元となる複数枚の扁平な板材100(図示例では3枚)を、ガラス材などの絶縁材料を含有する接着剤などで互いに接着して厚さ約0.6mm程度の積層板材101を作成する。そして、この積層板材101の扁平面(図7(a)に示す面)を冷間プレス加工により打ち抜くことで、図6(a)、(b)に示すように、回動支点軸51が挿通される回動支点軸孔51a、および、アーマチュア軸(ピン)73が挿通されるアーマチュア軸孔73aの各々が穿たれたアーマチュア片70’を一体成形する。
【0030】
ここで、アーマチュア片70’を積層板材101のプレス加工により一体成形するのは、次の理由による。すなわち、アーマチュア70の寸法(形状)精度は、印字品質に大きな影響を与える。具体的には、上述したように、アーマチュア70は、2つのアーマチュア片70’によりワイヤレバー47を挟む構造となっている。この構造において、互いのアーマチュア片70’の寸法あるいは重量が異なっていると、アーマチュア70が回動支点軸51を中心に回動した場合、アーマチュア70自身の慣性モーメントが偏るため、記録ワイヤ35が記録用紙の紙面に対して垂直に打ち出されなくなり、印字品質が低下してしまう。また、1枚ずつプレス成形されてなる板状部材71を、1枚ずつ張り合わせてアーマチュア70を成形すると、個々の板状部材71を高精度に位置決めしなければ、アーマチュア70の面のうち、コア53と当接する当接面に凹凸が生じて、この当接面の面精度が低下したり、あるいは、上述した慣性モーメントの偏りが生じてしまう。これにより、記録ワイヤ35のストロークが変わったり、あるいは、記録ワイヤ35が記録用紙の紙面に対して垂直に打ち出されなくなり、印字品質が低下してしまう。さらにまた、個々の板状部材71を高精度に位置決めすることは、アーマチュア70の寸法が非常に小さいため、技術的およびコスト的に困難である。
【0031】
そこで、本実施形態にあっては、簡易かつ低コストに、略同一寸法かつ面精度の高いアーマチュア片70’を作成するために、軟磁性材料からなる板材100が予め積層されてなる積層板材101を冷間プレス加工により打ち抜いてアーマチュア片70’を一体成形しているのである。また、本実施形態において、プレス加工として、熱間プレス加工ではなく、冷間プレス加工を用いるのは、熱間プレス加工ではプレス加工中に熱を加えるため、熱変形が生じ、アーマチュア片70’の寸法精度が悪くなってしまうからである。
【0032】
さて、上述のようにして作成された2つのアーマチュア片70’によりアーマチュア70およびレバーセットを形成する場合には、各々のアーマチュア片70’をワイヤレバー47の両脇に配置し、回動支点軸孔51aとアーマチュア軸孔73aとを用いて、各々のアーマチュア片70’の位置合わせを行う。そして、アーマチュア軸孔73aにアーマチュア軸(ピン)73を挿通し、このアーマチュア軸(ピン)73を溶着して各々のアーマチュア片70’をワイヤレバー47に固定することで、アーマチュア70およびレバーセットが形成される。
【0033】
ところで、図4および図5に示すように、コア53の上面、すなわち、アーマチュア70が配置される側の面には、当接部53aが設けられている。この当接部53aは、その上面形状がアーマチュア70の底面すなわちコア53と当接する面と略同一(寸法)形状に形成されている。すなわち、本実施形態では、アーマチュア70およびコア53の各々の当接面形状が互いに近似する構成となっている。これにより、コア53の当接部53a(コア53側の当接面)に発生した磁束の略全てがアーマチュア70の底面(アーマチュア70側の当接面)に向かうこととなり、アーマチュア70を電磁吸引する力が強くなるため、記録ワイヤ35を高速で打ち出すことができるのである。
【0034】
また、上述したように、積層構造を有するアーマチュア片70’は、各積層間に絶縁性材料が介在し板状部材71間が電気的に絶縁された構成となっている。この構成によれば、コア53からアーマチュア70に向かう磁界(磁束)変化によってアーマチュア片70’に誘起される渦電流の電流路における電気抵抗値が大となるため、渦電流値を小さく抑え、この渦電流による電流損失を抑制することができる。さらに、この電流損失が抑制され分、電磁吸引力を強くすることができ、記録ワイヤ35を高速で打ち出すことが可能となる。なお、板状部材71の扁平面上に形成された酸化皮膜により、充分な絶縁性が得られる場合には、接着剤に絶縁材料を含有させる必要はない。
【0035】
以上説明したように、本実施形態によれば、複数枚の板状部材71が積層されてなるアーマチュア70(アーマチュア片70’)の作成において、板状部材71の元となる板材100が複数枚積層されてなる積層板材101を冷間プレス加工により打ち抜いてアーマチュア70(アーマチュア片70’)を作成するようにしたため、簡易かつ低コストに、略同一寸法であり、なおかつ、コア53との当接面の面精度の高いアーマチュア片70(アーマチュア片70’)を作成することができる。さらに、積層構造を有するアーマチュア70の各積層間に絶縁材料を介在させたため、渦電流による電流損失を抑制でき、こにより、電磁吸引力を高め、記録ワイヤ35の打ち出し速度を高速化することが可能となる。
【0036】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形可能である。例えば、上述した実施形態にあっては、複数枚の板状部材71が回動支点軸51の軸方向に積層されてなるアーマチュア70について例示したが、板状部材71の積層方向は、これに限らず、図8および図9(a)、(b)に示すように、複数枚の板状部材71が回動支点軸51の軸方向に垂直な方向に積層された構成であっても良い。この構成のアーマチュア70、すなわち、アーマチュア片70’の作成は、次のようにして行われる。図10に示すように、複数の板材100を、各々の幅方向に連ねて板状の連接板材102を作成し、この連接板材102を冷間プレス加工により打ち抜くことにより、図9(a)、(b)に示すようなアーマチュア片70’を作成する。なお、アーマチュア片70’を構成する板状部材71、すなわち、板材100の各々は互いに異なる厚さであっても良く、また、積層あるいは連接される数も任意である。また、板状部材71を形成する板材100の形状は、当該板材100を組み合わせることにより、板状部材71を形成することができれば、任意の形状を用いることが可能である。
【0037】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、アーマチュアに誘起される渦電流の電流値を抑え、効率を高め、記録ワイヤの突出を高速化することができる記録ヘッドおよび記録装置を提供すると共に、当該記録ヘッドおよび記録装置のアーマチュアを簡易かつ低コストに製造するための製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】ドットインパクトプリンタのプリンタ本体を主に示す斜視図である。
【図2】同プリンタ本体を主に示す側断面図である。
【図3】同プリンタ本体の記録ヘッドの側断面図である。
【図4】本発明の実施形態にかかる記録ヘッドのワイヤレバーをフレームと共に示す斜視図である。
【図5】同記録ヘッドのワイヤレバーをフレームと共に示す上面図である。
【図6】同実施形態にかかるアーマチュアの構成部材であるアーマチュア片の構成を示す図であり、(a)はその側面図、(b)は下面図である。
【図7】同アーマチュアの製造を説明するための図であり、(a)は、積層板材の上面図、(b)は側面図である。
【図8】本発明の変形例にかかる記録ヘッドのワイヤレバーをフレームと共に示す斜視図である。
【図9】同変形例にかかるアーマチュアの構成部材であるアーマチュア片の構成を示す図であり、(a)はその側面図、(b)は下面図である。
【図10】同アーマチュアの製造を説明するための図であり、(a)は、積層板材の上面図、(b)は側面図である。
【符号の説明】
10 ドットインパクトプリンタ
18 記録ヘッド
35 記録ワイヤ
43 フレーム
47 ワイヤレバー
51 回動支点軸
53 コア
54 コイル
70 アーマチュア
70’ アーマチュア片
71 板状部材
100 板材
101 積層板材
102 連接板材
【発明の属する技術分野】
本発明は、コイルが巻かれた複数のコアをフレームの周方向に間隔をあけて備え、各コアに対向するアーマチュアを有し、先端に記録ワイヤが連結された複数のレバーを備えた記録ヘッド、この記録ヘッドを備えた記録装置、および、アーマチュアの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
記録装置には、コイルが巻かれた複数のコアをフレームの周方向に間隔をあけて備え、各コアに対向するアーマチュアを有し、先端に記録ワイヤが連結された複数のワイヤレバーを備えた記録ヘッドを有するドットインパクトプリンタが知られている。
【0003】
この種の記録装置においては、コイルへの通電によってコアとアーマチュアとの間に電磁吸引力が発生することにより、アーマチュアがコアに吸引されてワイヤレバーを回動し、ワイヤレバーの先端に連結された記録ワイヤを突出して、記録ヘッドとプラテンとの間に配置された記録用紙に画像を記録する(例えば、特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−219586号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記アーマチュアには、コアに発生する磁界(磁束)によって渦電流が誘起され、これにより電流損失が生じるため、効率が悪くなると共に、電磁吸引力が弱くなり、記録ワイヤの突出を高速化できないという問題があった。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、アーマチュアに誘起される渦電流の電流値を抑え、効率を高め、記録ワイヤの突出を高速化することができる記録ヘッドおよび記録装置を提供すると共に、当該記録ヘッドおよび記録装置のアーマチュアを簡易かつ低コストに製造するための製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、コイルが巻き回されたコアに発生する磁気力によりワイヤレバーに設けられたアーマチュアを吸引もしくは引き離して、当該ワイヤレバーの先端に設けられた記録ワイヤを突出させる記録ヘッドにおいて、前記アーマチュアは、磁性を有した複数枚の板材を積層してなる積層板材、あるいは、当該板材を幅方向に連ねてなる連接板材を冷間プレスにより打ち抜いて形成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の記録ヘッドにおいて、前記積層板材の各積層間および前記連接板材の各接続部には、絶縁性材料が介在することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、複数の記録ワイヤを備えた記録ヘッドから任意の記録ワイヤを突出させて、記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されたシートに画像を記録する記録装置において、前記記録ヘッドは、記録ワイヤが先端に設けられたワイヤレバーと、ワイヤレバーに設けられたアーマチュアと、コイルが巻き回されたコアであり磁気力により前記アーマチュアを吸引もしくは引き離して記録ワイヤを突出させるコアとを備え、前記アーマチュアは、磁性を有した複数枚の板材を積層してなる積層板材、あるいは、当該板材を幅方向に連ねてなる連接板材を冷間プレスにより打ち抜いて形成されていることを特徴とする記録装置。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の記録装置において、前記積層板材の各積層間および前記連接板材の各接続部には、絶縁性材料が介在することを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、記録ヘッドが備えるワイヤレバーに設けられるアーマチュアであり、コイルが巻き回されたコアに発生する磁気力により吸引もしくは引き離され、前記ワイヤレバーの先端に設けられた記録ワイヤを突出させるアーマチュアの製造方法において、磁性を有した複数枚の板材を積層して積層板材、あるいは、当該板材を幅方向に連ねてなる連接板材を作成した後に、当該積層板材あるいは当該連接板材を冷間プレスにより打ち抜いて前記アーマチュアを形成することを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のアーマチュアの製造方法において、前記積層板材の各積層間および前記連接板材の各接続部には、絶縁性材料が介在することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。本発明の理解を容易とするために、まず、本実施形態にかかる記録ヘッドが適用される記録装置について説明し、次いで、この記録ヘッドについて詳述する。なお、記録装置としては、一般的なドットインパクトプリンタを例示する。
【0014】
図1は、ドットインパクトプリンタ10のプリンタ本体11を主に示す斜視図であり、図2は、図1のプリンタ本体11を主に示す側断面図である。図1においては、説明の便宜上、プリンタ本体11を覆うカバーを外した状態を示し、かつ、インクリボンカートリッジ38及びインクリボン31を二点鎖線で示している。
【0015】
ドットインパクトプリンタ10は、記録ヘッド18が備える多数の記録ワイヤを、インクリボン31を介して記録用紙に打ち付けてドットを記録することにより、文字を含む画像を印刷するものである。このドットインパクトプリンタ10にて用いられ得る記録用紙(シート)には、単票紙や連続紙などの普通紙の他に、通帳、葉書、封筒などがある。なお、単票紙(カットシート)は、単票複写紙であってもよく、連続紙(連続シート)は、連続複写紙であってもよい。
【0016】
ドットインパクトプリンタ10は、記録装置本体としてのプリンタ本体11と、プリンタ本体11に着脱自在に装着されたプッシュトラクタユニット12及び排出ユニット13と、同じくプリンタ本体11に着脱自在に装着された給紙装置34(図2に簡略的に示す)とを有している。
【0017】
プリンタ本体11は、本体フレームとしてのベースフレーム14と、シート案内フレーム15(図2)と、左サイドフレーム16及び右サイドフレーム17と、記録ヘッド18及びキャリッジ19を備える印刷機構部20と、プラテン21、シート案内22及びピンチローラ25(図2)を備えたシート搬送機構部23とを有している。
【0018】
図2に示すように、ベースフレーム14とシート案内フレーム15とは平行に配置され、ベースフレーム14及びシート案内フレーム15の両端に左サイドフレーム16及び右サイドフレーム17がそれぞれ立設して固定される。この左サイドフレーム16と右サイドフレーム17の間には、キャリッジガイド軸24及びプラテン21が回転可能に架け渡されている。シート案内22は、左サイドフレーム16と右サイドフレーム17の間に配設されて、シート案内フレーム15に嵌合して固定されている。
【0019】
さらに、左サイドフレーム16と右サイドフレーム17との間には、インクリボンカートリッジ38(図1に二点鎖線で示している)がベースフレーム14に対向して着脱自在に装着されている。このインクリボンカートリッジ38のインクリボン31は、記録ヘッド18とプラテン21との間に引き回される。これによって、記録ヘッド18からの記録ワイヤ35(図3)の突出によりインクリボン31のインクをプラテン21に搬送された記録用紙(図2中、符号Sにて示す)に転写することができる。
【0020】
また、左サイドフレーム16及び右サイドフレーム17の後方部、上方部には、プッシュトラクタユニット12及び排出ユニット13を装着するためのトラクタユニット装着部及び排出ユニット装着部が設けられている。
【0021】
プッシュトラクタユニット12は、記録用紙としての連続紙をシート搬送機構部23へ送り出すものである。また、給紙装置34は、記録用紙としての単票紙を1枚ずつシート搬送機構部23へ供給するものである。また、排出ユニット13は、連続紙または単票紙をシート搬送機構部23からプリンタ10の外へ引き出すものである。
【0022】
つまり、連続紙は、プッシュトラクタユニット12のトラクタベルト26の回転によりこのトラクタベルト26のピン27の作用で、シート搬送機構部23のシート案内22に案内され、このシート案内22とプラテン21との間のシート搬送経路28を経てプラテン21の前方へ向かって、矢印α方向に給送される。一方、単票紙は、給紙装置34から1枚ずつ(または1綴りずつ)シート案内22に案内され、シート搬送経路28を経てプラテン21の前方へ供給される。これら連続紙または単票紙は、記録ヘッド18によって文字が記録された後、排出ユニット13の排出ローラ29の回転により、矢印β方向に引き出される。
【0023】
一方、キャリッジ19は、キャリッジガイド軸24に摺動自在に挿通されると共に、記録ヘッド18が載置される。キャリッジガイド軸24がプラテン21と平行に配置されることから、キャリッジ19は、プラテン21及びキャリッジガイド軸24の軸方向と一致する主走査方向に往復走行可能に設けられている。具体的には、キャリッジ19は、キャリッジ駆動モータ(不図示)の正転または逆転により、タイミングベルト30(図2)を介しキャリッジガイド軸24に案内されて主走査方向における図1の矢印A方向または矢印B方向に走行される。
【0024】
次いで、本実施形態にかかる記録ヘッド18について詳述する。図3は、記録ヘッド18の側断面図である。この記録ヘッド18は、ドットインパクト方式の記録ヘッドであり、ヘッド本体40にノーズ41が連接されると共に、ヘッド本体40の外側に放熱器66が配置されている。ヘッド本体40は、ほぼ円板形状のフレーム43の一方側(ノーズ41の反対側)に、ほぼリング形状の第1ヨーク44、第2ヨーク45及びレバーホルダ46が順次積層して配設され、板バネ42によってこれら部材がノーズ41側に押さえつけられて一体化されている。フレーム43は、同心円上に間隔を空けて複数のコア53が放射状に一体に突設される。これらの各コア53にコイル54がボビンを介して組み付けられ、このコア53及びコイル54により電磁石59が構成される。
【0025】
また、第1ヨーク44及び第2ヨーク45には、周方向に複数形成されたそれぞれの凹部に各1本のワイヤレバー47が収容され、また、これらのワイヤレバー47の基部が回動支点軸51を基準に回動可能に支持される。さらに、各ワイヤレバー47は、先端に記録ワイヤ35が1本づつ装着され、また、スプリングホルダ49に内蔵された復帰スプリング58によってノーズ41と反対の方向へ常時付勢される。
【0026】
ノーズ41は、ワイヤレバー47が回動した時の記録ワイヤ35の進退動作を案内するものである。つまり、記録ワイヤ35の進退動作は、ノーズ41内に形成された複数の中間ガイド64及び先端ガイド65により案内される。また、ノーズ41には、板バネ42の端部が引っ掛けられる突起80が形成される。また、放熱器66は、電磁石59のコイル54への通電によってこのコイル54が発熱した際の熱を放散させてヘッド本体40を冷却するためのものである。
【0027】
各ワイヤレバー47は、各コア53に対向する位置にアーマチュア70が設けられる。アーマチュア70は、電磁石59のコイル54に通電がなされて、この電磁石59の周囲に磁気回路63(図3)が形成されたとき、コア53が励磁されて発生した電磁吸引力によってコア53に吸引される。詳述すると、コイル54に電流を流すことによって、電磁誘導により磁束がコア53からアーマチュア70のコア53と対向する部分を通り、アーマチュア70の回動支点軸51近傍を介してフレーム43の外周壁43Aを通り再びコア53に流れるように磁路が形成され、コア53とアーマチュア70との間に電磁吸引力が発生する。これにより、アーマチュア70がコア53に吸引されてワイヤレバー47が回動支点軸51を基準にノーズ41側に回動し、記録ワイヤ35をノーズ41の外に打ち出すことができる。
【0028】
図4は、1本のワイヤレバー47をフレーム43と共に示す斜視図であり、図5は、1本のワイヤレバー47をフレーム43と共に示す上面図である。図4乃至5に示すように、アーマチュア70は、軟磁性材料(例えば鉄コバルト合金など)から形成された複数枚の板状部材71が回動支点軸51の軸方向に積層された構造となっている。より具体的には、図6(a)、(b)に示すように、複数枚(図示例では3枚)の板状部材71が絶縁性材料(例えばガラスなど)を介して積層されて、アーマチュア片70’が形成され、図4乃至5に示すように、積層構造を有する2つのアーマチュア片70’が板形状のワイヤレバー47を挟むように配置されてアーマチュア70が構成される。
【0029】
このアーマチュア片70’(すなわち、アーマチュア70)の製造は、冷間プレス加工などの打ち抜き加工によって行われる。詳述すると、図7(a)、(b)に示すように、上述の板状部材71の元となる複数枚の扁平な板材100(図示例では3枚)を、ガラス材などの絶縁材料を含有する接着剤などで互いに接着して厚さ約0.6mm程度の積層板材101を作成する。そして、この積層板材101の扁平面(図7(a)に示す面)を冷間プレス加工により打ち抜くことで、図6(a)、(b)に示すように、回動支点軸51が挿通される回動支点軸孔51a、および、アーマチュア軸(ピン)73が挿通されるアーマチュア軸孔73aの各々が穿たれたアーマチュア片70’を一体成形する。
【0030】
ここで、アーマチュア片70’を積層板材101のプレス加工により一体成形するのは、次の理由による。すなわち、アーマチュア70の寸法(形状)精度は、印字品質に大きな影響を与える。具体的には、上述したように、アーマチュア70は、2つのアーマチュア片70’によりワイヤレバー47を挟む構造となっている。この構造において、互いのアーマチュア片70’の寸法あるいは重量が異なっていると、アーマチュア70が回動支点軸51を中心に回動した場合、アーマチュア70自身の慣性モーメントが偏るため、記録ワイヤ35が記録用紙の紙面に対して垂直に打ち出されなくなり、印字品質が低下してしまう。また、1枚ずつプレス成形されてなる板状部材71を、1枚ずつ張り合わせてアーマチュア70を成形すると、個々の板状部材71を高精度に位置決めしなければ、アーマチュア70の面のうち、コア53と当接する当接面に凹凸が生じて、この当接面の面精度が低下したり、あるいは、上述した慣性モーメントの偏りが生じてしまう。これにより、記録ワイヤ35のストロークが変わったり、あるいは、記録ワイヤ35が記録用紙の紙面に対して垂直に打ち出されなくなり、印字品質が低下してしまう。さらにまた、個々の板状部材71を高精度に位置決めすることは、アーマチュア70の寸法が非常に小さいため、技術的およびコスト的に困難である。
【0031】
そこで、本実施形態にあっては、簡易かつ低コストに、略同一寸法かつ面精度の高いアーマチュア片70’を作成するために、軟磁性材料からなる板材100が予め積層されてなる積層板材101を冷間プレス加工により打ち抜いてアーマチュア片70’を一体成形しているのである。また、本実施形態において、プレス加工として、熱間プレス加工ではなく、冷間プレス加工を用いるのは、熱間プレス加工ではプレス加工中に熱を加えるため、熱変形が生じ、アーマチュア片70’の寸法精度が悪くなってしまうからである。
【0032】
さて、上述のようにして作成された2つのアーマチュア片70’によりアーマチュア70およびレバーセットを形成する場合には、各々のアーマチュア片70’をワイヤレバー47の両脇に配置し、回動支点軸孔51aとアーマチュア軸孔73aとを用いて、各々のアーマチュア片70’の位置合わせを行う。そして、アーマチュア軸孔73aにアーマチュア軸(ピン)73を挿通し、このアーマチュア軸(ピン)73を溶着して各々のアーマチュア片70’をワイヤレバー47に固定することで、アーマチュア70およびレバーセットが形成される。
【0033】
ところで、図4および図5に示すように、コア53の上面、すなわち、アーマチュア70が配置される側の面には、当接部53aが設けられている。この当接部53aは、その上面形状がアーマチュア70の底面すなわちコア53と当接する面と略同一(寸法)形状に形成されている。すなわち、本実施形態では、アーマチュア70およびコア53の各々の当接面形状が互いに近似する構成となっている。これにより、コア53の当接部53a(コア53側の当接面)に発生した磁束の略全てがアーマチュア70の底面(アーマチュア70側の当接面)に向かうこととなり、アーマチュア70を電磁吸引する力が強くなるため、記録ワイヤ35を高速で打ち出すことができるのである。
【0034】
また、上述したように、積層構造を有するアーマチュア片70’は、各積層間に絶縁性材料が介在し板状部材71間が電気的に絶縁された構成となっている。この構成によれば、コア53からアーマチュア70に向かう磁界(磁束)変化によってアーマチュア片70’に誘起される渦電流の電流路における電気抵抗値が大となるため、渦電流値を小さく抑え、この渦電流による電流損失を抑制することができる。さらに、この電流損失が抑制され分、電磁吸引力を強くすることができ、記録ワイヤ35を高速で打ち出すことが可能となる。なお、板状部材71の扁平面上に形成された酸化皮膜により、充分な絶縁性が得られる場合には、接着剤に絶縁材料を含有させる必要はない。
【0035】
以上説明したように、本実施形態によれば、複数枚の板状部材71が積層されてなるアーマチュア70(アーマチュア片70’)の作成において、板状部材71の元となる板材100が複数枚積層されてなる積層板材101を冷間プレス加工により打ち抜いてアーマチュア70(アーマチュア片70’)を作成するようにしたため、簡易かつ低コストに、略同一寸法であり、なおかつ、コア53との当接面の面精度の高いアーマチュア片70(アーマチュア片70’)を作成することができる。さらに、積層構造を有するアーマチュア70の各積層間に絶縁材料を介在させたため、渦電流による電流損失を抑制でき、こにより、電磁吸引力を高め、記録ワイヤ35の打ち出し速度を高速化することが可能となる。
【0036】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形可能である。例えば、上述した実施形態にあっては、複数枚の板状部材71が回動支点軸51の軸方向に積層されてなるアーマチュア70について例示したが、板状部材71の積層方向は、これに限らず、図8および図9(a)、(b)に示すように、複数枚の板状部材71が回動支点軸51の軸方向に垂直な方向に積層された構成であっても良い。この構成のアーマチュア70、すなわち、アーマチュア片70’の作成は、次のようにして行われる。図10に示すように、複数の板材100を、各々の幅方向に連ねて板状の連接板材102を作成し、この連接板材102を冷間プレス加工により打ち抜くことにより、図9(a)、(b)に示すようなアーマチュア片70’を作成する。なお、アーマチュア片70’を構成する板状部材71、すなわち、板材100の各々は互いに異なる厚さであっても良く、また、積層あるいは連接される数も任意である。また、板状部材71を形成する板材100の形状は、当該板材100を組み合わせることにより、板状部材71を形成することができれば、任意の形状を用いることが可能である。
【0037】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、アーマチュアに誘起される渦電流の電流値を抑え、効率を高め、記録ワイヤの突出を高速化することができる記録ヘッドおよび記録装置を提供すると共に、当該記録ヘッドおよび記録装置のアーマチュアを簡易かつ低コストに製造するための製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】ドットインパクトプリンタのプリンタ本体を主に示す斜視図である。
【図2】同プリンタ本体を主に示す側断面図である。
【図3】同プリンタ本体の記録ヘッドの側断面図である。
【図4】本発明の実施形態にかかる記録ヘッドのワイヤレバーをフレームと共に示す斜視図である。
【図5】同記録ヘッドのワイヤレバーをフレームと共に示す上面図である。
【図6】同実施形態にかかるアーマチュアの構成部材であるアーマチュア片の構成を示す図であり、(a)はその側面図、(b)は下面図である。
【図7】同アーマチュアの製造を説明するための図であり、(a)は、積層板材の上面図、(b)は側面図である。
【図8】本発明の変形例にかかる記録ヘッドのワイヤレバーをフレームと共に示す斜視図である。
【図9】同変形例にかかるアーマチュアの構成部材であるアーマチュア片の構成を示す図であり、(a)はその側面図、(b)は下面図である。
【図10】同アーマチュアの製造を説明するための図であり、(a)は、積層板材の上面図、(b)は側面図である。
【符号の説明】
10 ドットインパクトプリンタ
18 記録ヘッド
35 記録ワイヤ
43 フレーム
47 ワイヤレバー
51 回動支点軸
53 コア
54 コイル
70 アーマチュア
70’ アーマチュア片
71 板状部材
100 板材
101 積層板材
102 連接板材
Claims (6)
- コイルが巻き回されたコアに発生する磁気力によりワイヤレバーに設けられたアーマチュアを吸引もしくは引き離して、当該ワイヤレバーの先端に設けられた記録ワイヤを突出させる記録ヘッドにおいて、
前記アーマチュアは、磁性を有した複数枚の板材を積層してなる積層板材、あるいは、当該板材を幅方向に連ねてなる連接板材を冷間プレスにより打ち抜いて形成されている
ことを特徴とする記録ヘッド。 - 前記積層板材の各積層間および前記連接板材の各接続部には、絶縁性材料が介在する
ことを特徴とする請求項1に記載の記録ヘッド。 - 複数の記録ワイヤを備えた記録ヘッドから任意の記録ワイヤを突出させて、記録ヘッドとプラテンとの間に搬送されたシートに画像を記録する記録装置において、
前記記録ヘッドは、記録ワイヤが先端に設けられたワイヤレバーと、ワイヤレバーに設けられたアーマチュアと、コイルが巻き回されたコアであり磁気力により前記アーマチュアを吸引もしくは引き離して記録ワイヤを突出させるコアとを備え、
前記アーマチュアは、磁性を有した複数枚の板材を積層してなる積層板材、あるいは、当該板材を幅方向に連ねてなる連接板材を冷間プレスにより打ち抜いて形成されている
ことを特徴とする記録装置。 - 前記積層板材の各積層間および前記連接板材の各接続部には、絶縁性材料が介在する
ことを特徴とする請求項3に記載の記録装置。 - 記録ヘッドが備えるワイヤレバーに設けられるアーマチュアであり、コイルが巻き回されたコアに発生する磁気力により吸引もしくは引き離され、前記ワイヤレバーの先端に設けられた記録ワイヤを突出させるアーマチュアの製造方法において、
磁性を有した複数枚の板材を積層して積層板材、あるいは、当該板材を幅方向に連ねてなる連接板材を作成した後に、当該積層板材あるいは当該連接板材を冷間プレスにより打ち抜いて前記アーマチュアを形成する
ことを特徴とするアーマチュアの製造方法。 - 前記積層板材の各積層間および前記連接板材の各接続部には、絶縁性材料が介在する
ことを特徴とする請求項5に記載のアーマチュアの製造方法。
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2003
- 2003-02-10 JP JP2003032489A patent/JP2004243529A/ja active Pending
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