JP2004238699A - 表面調整方法,非クロム系塗装原板及び非クロム系塗装鋼板の製造方法 - Google Patents

表面調整方法,非クロム系塗装原板及び非クロム系塗装鋼板の製造方法 Download PDF

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史城 公文
Yasusuke Tanaka
庸介 田中
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Abstract

【目的】Ni,Mgイオンを含む表面調整液を使用することにより、化成処理皮膜,塗膜共に環境負荷の大きなCrを含まず、塗膜密着性,折曲げ加工部耐食性に優れた非クロム系塗装鋼板を提供する。
【構成】Ni,Mgイオンを含む表面調整液を用いて溶融めっき鋼板を表面調整した後、塗布型非クロメート処理を施し、樹脂塗装する。表面調整されためっき層表面には、Mg換算付着量:0.1〜100mg/mのMg化合物が置換析出しており、非クロム系化成処理皮膜の密着性を向上させ、めっき層のAl含有に由来するエッジクリープ等の欠陥発生が抑制される。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、環境にとって有害なCrを全く含まない非クロム系塗装鋼板の製造に適した表面調整方法,塗装原板及び製造方法に関する。
【0002】
【従来技術及び問題点】
溶融Znめっき鋼板,溶融Zn−Alめっき鋼板,溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板等の溶融めっき鋼板を樹脂塗装する場合、塗布型クロメート処理が塗装前処理に従来から採用されている。しかし、環境負荷の軽減が重視される最近の傾向から、Cr系処理液を用いない化成処理剤や非クロム系下塗り塗料を用いた塗装原板の要求が強く、塗布型非クロメート処理も一部で実施されるようになってきた。塗布型の化成処理では、溶融めっき鋼板に直接、或いは脱脂処理しただけの溶融めっき鋼板に処理液を塗布しても均一な化成処理皮膜が形成しがたく、皮膜密着性も劣り、化成処理皮膜を介した塗膜が剥離する原因になる。そのため、化成処理液の塗布に先立って塗装原板を表面調整する工程が採用されている。たとえば、Niイオンを含む水溶液で塗装原板を処理し、めっき層表面に金属Niを置換析出させる方法が代表的な表面調整法である(特開昭53−115624号公報,特開平5−59565号公報)。
号公報)。
【0003】
Niイオンを含む表面調整液は、エッチング作用をもつpH2.5〜5.6の酸性水溶液である。そのため、溶融めっき鋼板に表面調整液を塗布すると、溶融Znめっき鋼板や溶融Zn−Alめっき鋼板ではめっき層の極表層に濃化したAl系酸化物が除去され、溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板ではめっき層の極表層に濃化したMg系,Al系酸化物が除去される。耐食性に有効なMg系,Al系酸化物のエッチング除去は、塗装原板のめっき層表面/下塗り塗膜との界面腐食を誘起させる原因になる。また、得られた塗装鋼板を折曲げ加工するとめっき層,塗膜に割れが発生しやすく、無数の割れが発生した個所では、他の平坦部や塗膜疵付き部等に比較して耐食性が大きく低下する。
【0004】
ところで、大気汚染が深刻化する現状では、硫黄酸化物,窒素酸化物等による大気や雨水の酸性化が進行しており、塗装鋼板の折曲げ加工部,切断端面,塗膜疵付き部等のめっき層が塗膜下腐食しやすい環境にある。そのため、外装建材等に使用される塗装鋼板に要求される耐久性基準が一層厳しくなっており、特に折曲げ加工部の耐食性向上が望まれている。
【0005】
溶融Zn−Alめっき鋼板では、めっき層のAl含有量を増加させると折曲げ加工部,平坦部,塗膜疵付き部の耐食性が向上する(特開昭59−14942号公報)。しかし、切断端面部は、Al含有量を増加させても必ずしも耐食性が向上しない。たとえば、塗装溶融Zn−55%Alめっき鋼板の切断端面部では、めっき層のZnリッチ相が選択的に腐食され、腐食生成物で塗膜が持ち上げられると、エッジクリープと称される塗膜フクレや塗膜剥離が生じる。塗膜との組合せによっては、耐食性が却って低下する場合もある。換言すれば、Al含有量の増加は、平坦部,折曲げ加工部,塗膜疵付き部,切断端面部全ての耐食性向上につながるものではなく、加工性に及ぼす影響を考慮するとバランスの採れた塗装鋼板を得る上での有効な解決法とはいえない。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、Niイオンの他にMgイオンを含む表面調整液を使用することにより、化成処理直前のめっき層表面にMg化合物を置換析出させ,塗装後の塗膜密着性は勿論、折曲げ加工部,切断端面部においても優れた耐食性を呈し、環境への悪影響を軽減した非クロム系塗装鋼板を得ることを目的とする。
【0007】
本発明は、その目的を達成するため、溶融めっき鋼板,溶融Zn−Alめっき鋼板又は溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板を、1000〜10000ppmのNiイオン,10〜10000ppmのMgイオンを含む酸性水溶液で表面調整することを特徴とする。表面調整は、Mg換算付着量:0.1〜100mg/mのMg化合物がめっき層表面に置換析出する条件に設定される。
表面調整された溶融めっき鋼板は、塗布型非クロメート処理液を塗布して化成処理皮膜が形成された後、樹脂塗装される。
【0008】
【作用】
従来の酸性水溶液で溶融めっき鋼板を表面調整すると、耐食性改善に有効なAl系,Mg系酸化物がめっき層表面から溶出除去される。これに対し、予めMgイオンを含ませた表面調整液を使用すると、Al系,Mg系酸化物の溶出が抑制される。表面調整液中のMgイオンがAl系,Mg系酸化物の溶出抑制に及ぼす影響は、めっき層表面に置換析出した金属Mg,Mg(OH),MgAl,MgF等(以下、「Mg化合物」と総称する)がAl系,Mg系酸化物の溶出抑制に有効なインヒビターとして機能することによるものと推察される。
【0009】
Al系,Mg系酸化物の溶出が抑制されるため、本来の優れた防食作用が維持され、めっき層,下塗り塗膜に微細割れが生じた非クロム系塗装鋼板の折曲げ加工部においてもめっき層の腐食が抑制される。置換析出したMg化合物は、めっき層/下塗り塗膜界面近傍の腐食抑制にも有効であり、塗膜フクレ,ひいてはめっき層自体の塗膜下腐食も抑制される。
Mg化合物が置換析出しためっき層表面に塗布型非クロメート処理液を塗布すると、めっき層表面にあるMg化合物が非クロメート処理液の酸成分によってイオン化し溶出する。溶出したMgイオンは、非クロメート処理液に含まれている水酸基を持ったフェノール樹脂等の有機樹脂と反応し、反応生成物が非クロメート皮膜となってめっき層表面に形成される。
【0010】
非クロメート皮膜に取り込まれたMgは、腐食環境下で溶出し、めっき層/下塗り塗膜の界面腐食を抑制するインヒビターとして働き、めっき層に対する非クロメート皮膜の付着性及び耐湿性をも向上させる。また、腐食生成物が外部から侵入してくる腐食性イオンに対するバリアとして働き、めっき層の塗膜下腐食が抑制される。溶出Mgが緻密で難溶性のZnの腐食生成物に取り込まれ微細なめっき層,塗膜割れ部に蓄積されることも、折曲げ加工部の耐食性が向上する一因と推察される。
【0011】
【実施の形態】
溶融Znめっき鋼板,溶融Zn−Alめっき鋼板,溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板等が塗装原板として使用される。溶融Zn−Alめっき鋼板にはZn−5%Al,Zn−55%Alの合金めっき層を形成しためっき鋼板、溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板にはZn−4〜22%Al−1〜4Mg,Zn−4〜22%Al−1〜4Mg−Ti−B−Siの合金めっき層を形成しためっき鋼板がある。
塗装原板は、表面調整,化成処理後に、樹脂塗装される。
【0012】
表面調整では、Niイオン:1000〜10000ppmの水溶液にMgイオンを10〜10000ppm添加した表面調整液が使用される。Mgイオン源は、特に本発明を制約するものではないが、硫酸塩系のNiイオン含有水溶液ではMgO・7HOが好ましい。必要とするMg化合物の置換析出量を確保する上で、表面調整液のMgイオン濃度を10ppm以上に調整する。しかし、10000ppmを超える高濃度のMgイオンでは、表面調整液がコスト高になるばかりか、表面調整液の安定性も低下しやすい。Niイオンに関しても、ニッケル化合物の析出量を確保する上で、表面調整液のNiイオン濃度を1000ppm以上に調整する。しかし、10000ppmを超える高濃度のNiイオンでは、コスト高になるばかりでなく,表面調整液の安定性も損なわれる。好ましくは、Mgイオン,Niイオンをそれぞれ2000〜6000ppm,3000〜6000ppmの範囲に調整する。
【0013】
表面調整液に塗装原板を浸漬し、或いは表面調整液を塗装原板に塗布し、表面調整液に塗装原板を数秒間接触させた後、水洗・乾燥するとMg化合物が置換析出しためっき層表面が得られる。Mg化合物の置換析出量は、使用する表面調整液のMgイオン濃度,温度,時間等の処理条件によって変わるが、Mg換算付着量:0.1〜100mg/mの範囲に調整することが重要である。Mg化合物の置換析出による耐食性改善効果は0.1mg/mm以上のMg換算付着量でみられるが、置換析出量が100mg/mを超えても増量に見合った耐食性改善効果が得られないばかりでなく、過剰に置換析出したMg化合物を起点とする欠陥が発生しやすくなる。好ましいMg化合物の置換析出量は、Mg換算付着量で10〜50mg/mの範囲にある。
【0014】
表面調整された塗装原板に非クロメート処理液を塗布し、水洗を経ない乾燥によって耐食性に優れた非クロメート皮膜が形成される。非クロメート処理液としては、本出願人が開発したエッチング作用のあるチタン化合物,フッ化物,有機樹脂を含む処理液(特開2002−38280号公報),同様にエッチング作用のあるチタン化合物,フッ化物を含む処理液(特開2002−30458号公報)等が挙げられる。たとえば、ヘキサフルオロチタン酸,ヘキサフルオロジルコニウム酸等の金属酸素酸塩及びHTiF,HZrF等のフッ化物をプロポキシプロパノール(有機樹脂)に溶解したアミノメチル置換ポリビニルフェノールの水溶液を使用できる。
【0015】
チタン化合物,フッ化物,フェノール樹脂を含む有機−無機複合皮膜を非クロメート皮膜として形成する場合、チタン化合物をTi換算付着量で1〜100mg/m,フッ化物をF換算付着量で1〜200mg/mの範囲に調整することが好ましい。有機−無機複合皮膜には、下地金属との密着性及び下地金属に対する保護機能(耐食性,環境遮断機能)を改善するため、Zr換算付着量で0.1〜30mg/mのジルコニウム化合物を含ませることもできる。
非クロメート皮膜は、チタン系化成処理皮膜に限ったものではなく、ケイ酸,リン酸,Mo,W,Co,Ni,Sn等の化合物を単独で或いは複合して含む処理液を用いて下地金属の表面に形成できる。この場合にも、Ni,Mg含有表面調整液が同様な作用・効果を呈する。
【0016】
次いで、非クロメート皮膜を介し下塗り塗膜が形成される。下塗り用の塗料組成物は、エポキシ,エポキシ・ウレタン,ポリエステル,アクリル,エポキシ変性ポリエステル,フェノキシ等をベース樹脂とし、1種又は2種以上の非クロム系防錆顔料が配合される。非クロム系防錆顔料には、変性シリカ,トリポリリン酸二水素アルミニウム,リン酸亜鉛,燐酸カルシウム,炭酸カルシウム等が挙げられる。非クロム系防錆顔料の他に、酸化チタン等の着色顔料,炭酸カルシウム,硫酸バリウム等の体質顔料,有機ビーズ,有機樹脂粉末,無機骨材等の各種添加材が必要に応じて配合される。ベース樹脂の分子量,ガラス転位温度,顔料,骨材の添加量等は、塗装鋼板の用途に応じて適宜調整される。
【0017】
下塗り塗膜は、下地を隠蔽するため3μm以上の膜厚で形成することが好ましい。しかし、10μmを超える厚膜の下塗り塗膜では、塗料の消費量が多くなることは勿論、塗装鋼板を加工する際に塗膜剥離が生じやすくなる。
下塗り塗膜の上に、好ましくは膜厚10〜300μmの上塗り塗膜が必要に応じて設けられる。上塗り用の塗料組成物は、ポリエステル,ウレタン,アクリル,シリコーン変性ポリエステル,シリコーンアクリル,ポリ塩化ビニル,ポリフッ化ビニリデン−アクリル等の熱硬化性又は熱可塑性樹脂をベース樹脂とし、必要に応じ着色顔料,体質顔料,有機系骨材,無機系骨材,メタリック粉末,潤滑剤,汚れ防止剤,防かび剤,紫外線吸収剤,光安定剤(酸化防止剤),光触媒粒子,艶消し剤等の各種添加材が配合される。
【0018】
【実施例】
〔塗装原板〕
表1に示すめっき層が形成された板厚0.6mmの各種溶融めっき鋼板をゼンジミア方式の連続溶融めっきラインで製造した。
【0019】
Figure 2004238699
【0020】
〔表面調整〕
各溶融めっき鋼板に酸性水溶液をスプレーして5秒間接触させた後、水洗・乾燥させた。酸性水溶液は、Niイオンを4000ppm含有する酸性表面調整液(NPコンディショナー710:日本ペイント株式会社製)にMgイオン濃度:2000ppmの割合でMgSO・7HOを添加し、pH2.5〜3.5,液温65℃に調整することにより用意した。表面調整されためっき層表面を分析したところ、Mg換算付着量:20mg/mでMg化合物が析出していた。
【0021】
〔非クロメート処理〕
次いで、ヘキサフルオロチタン酸:55g/l,ヘキサフルオロジルコニウム酸:10g/l,アミノメチル置換ポリビニルフェノールを含む温度20℃の塗布型非クロメート処理液を表面調整後のめっき層表面に塗布し、水洗することなく100℃で乾燥した。乾燥後のめっき層表面を分析すると、Ti換算付着量:10mg/mのチタン化合物,Zr換算付着量:2.5mg/mのジルコニウム化合物,ポリビニルフェノール換算付着量:40mg/mの有機成分を含む有機−無機複合皮膜が形成されていた。比較のため、塗布型クロメート処理液(サーフコートNRC300NS:日本ペイント株式会社製)をロールコーターで塗布して、水洗を経ずに100℃で乾燥させ、全Cr換算付着量が40mg/mのクロメート皮膜を形成した。
【0022】
〔樹脂塗装〕
エポキシ樹脂をベースとし、酸化チタン(着色顔料),硫酸バリウム(体質顔料),シリカ粉末(体質顔料)と共に塗料不揮発分に対し25質量%の変性シリカを配合した塗料組成物を化成処理後の塗装原板に塗布し、215℃で焼付け乾燥することにより乾燥膜厚5μmの下塗り塗膜を形成した。更に、下塗り塗膜の上に、ポリエステル樹脂をベースとする上塗り塗料を塗布し、215℃の乾燥・焼付けにより乾燥膜厚15μmの上塗り塗膜を形成した。
【0023】
〔塗装鋼板の性能試験〕
作製された各塗装鋼板から試験片を切り出し、塗膜密着性試験,屋外曝露腐食試験に供した。
塗膜密着性試験では、評価対象の塗膜面を外側に設定し、20℃に調整された室内で2tの180度の折り曲げ加工を施し、折曲げ加工部に対する粘着テープを貼付け・引き剥がしにより塗膜の剥離状況を観察した。剥離しなかった塗膜を◎,剥離が発生した塗膜を×として塗膜密着性を評価した。
【0024】
屋外曝露腐食試験では、塗装鋼板の上部塗膜面を外側に保持して2t折り曲げ加工した後に、左部,右部,下部の切断端面及び裏面を塗料で補修した試験片を用意した。千葉県市川市の東京湾岸から約800m内陸にある曝露試験場で1年間屋外曝露試験した後、2t折曲げ加工部を観察して白錆発生の有無を調査すると共に、めっき層の塗膜下腐食率を測定した。
【0025】
折曲げ加工部に白錆のない試験片を○,白錆が発生した折曲げ加工部に白錆が発生した試験片を×として、折曲げ加工部の耐食性を評価した。
塗膜下腐食率は、折曲げ加工部に発生しためっき層の塗膜下腐食を光学顕微鏡で観察し、試験対象部のめっき層断面に対する比率(%)として求めた。折曲げ加工部のめっき層が腐食していない試験片を◎,塗膜下腐食率が3%以下を○,3〜5%を△,5%以上を×として塗膜下耐食性を評価した。
【0026】
表2の調査結果にみられるように、Mgイオンを含む表面調整液で表面調整した溶融めっき鋼板を塗装原板に使用すると、製品が実際に使用される環境を想定した屋外曝露試験で折曲げ加工部にあるめっき層の塗膜下腐食が抑えられ、従来のクロメート処理鋼板を塗装原板に使用した比較例に匹敵する加工部耐食性が得られた。これに対し、Mgイオン無添加の表面調整液で表面調整した塗装原板では、めっき層の塗膜下腐食率が高く、加工部耐食性に劣っていた。
以上の例では、Ti系の化成処理皮膜を介して樹脂塗装した場合を説明したが、Mg化合物を置換析出させる表面調整の作用は、Ti系化成処理皮膜に限ったものではなく、他のケイ酸,リン酸,Mo,W,Co,Ni,Sn等の化合物を含む化成処理皮膜等、非クロム系化成処理皮膜でも同様に発現した。
【0027】
Figure 2004238699
【0028】
【発明の効果】
以上に説明したように、Ni,Mgイオンを含む表面調整液で表面調整した溶融めっき鋼板は、非クロメート皮膜を介して設けられる塗膜の密着性が高く、折曲げ加工部にあるめっき層の塗膜下腐食が抑えられる。また、めっき層のAl含有量増加に応じて生じがちなエッジクリープも少なく、Al含有に由来する高耐食性が維持される。しかも、化成処理皮膜,塗膜めっき層の塗膜下腐食に対しても強い抵抗力を発揮する。得られた塗装鋼板は、化成処理皮膜,塗膜共にCrを含まないため環境に悪影響を及ぼさない素材として、外装建材,内装建材,家電製品,自動販売機,事務機器,自動車用鋼板,外置き式家電機器等、広範な分野で使用される。

Claims (3)

  1. 溶融Znめっき鋼板,溶融Zn−Alめっき鋼板又は溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板を、1000〜10000ppmのNiイオン,10〜10000ppmのMgイオンを含む酸性水溶液で表面調整することを特徴とする非クロム系塗装原板の表面調整方法。
  2. 溶融Znめっき鋼板,溶融Zn−Alめっき鋼板又は溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板を基材とし、Niイオン,Mgイオンを含む酸性水溶液を用いた置換処理により、Mg換算付着量:0.1〜100mg/mのMg化合物がめっき層表面に置換析出していることを特徴とする非クロム系塗装原板。
  3. 1000〜10000ppmのNiイオン,10〜10000ppmのMgイオンを含む酸性水溶液で溶融Znめっき鋼板,溶融Zn−Alめっき鋼板又は溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板を表面調整してMg換算付着量0.1〜100mg/mのMg化合物をめっき層表面に置換析出させた後、塗布型非クロメート処理液を塗布して化成処理皮膜を形成し、次いで樹脂塗装することを特徴とする非クロム系塗装鋼板の製造方法。
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