JP2004238550A - 光触媒塗料組成物 - Google Patents

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Setsuko Koura
節子 小浦
Atsushi Kajimoto
淳 梶本
Yoshiko Sakamoto
佳子 坂本
Katsumasa Anami
克全 阿波
Kenji Sakado
健二 坂戸
Yasushi Shirai
安 白井
Takashi Ban
崇 伴
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Osaka Organic Chemical Industry Co Ltd
Nippon Steel Nisshin Co Ltd
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Osaka Organic Chemical Industry Co Ltd
Nisshin Steel Co Ltd
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Abstract

【目的】着色顔料の配合によって所定の色調が付与され、耐久性,光触媒活性に優れた塗膜の形成に適した塗料組成物を提供する。
【構成】調色トナー及び無機バインダを混合することにより調合され、pH値が5.0〜8.0の範囲に維持されている。調色トナーは、アナターゼ型チタニア粉末,オルガノアルコキシシラン,水をイソプロパノール/エチレングリコールモノブチルエーテルの混合溶媒に添加した光触媒分散トナーに、着色顔料,体質顔料をイソプロパノール/エチレングリコールモノブチルエーテルの混合溶媒に分散させたトナーを混合することにより得られる。無機バインダは、シリカ:40〜70質量%,オルガノヒドロキシシラン及びオルガノヒドロキシシランの部分縮合物:30〜60質量%の固形分を水/イソプロパノール/エチレングリコールモノブチルエーテルの混合溶液に分散させたpH:3.5〜6.5の懸濁液である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、光触媒反応によるセルフクリーニング作用で清浄表面が長期間にわたり維持され、密着性に優れた塗膜の形成に適した光触媒塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
塗膜に光触媒粒子を分散させると、セルフクリーニング作用が塗膜表面に付与され、長期間にわたって清浄な塗膜表面が維持される。有機物ベースの塗膜は光照射で生成した活性酸素によって分解しチョーキング現象が発生するので、活性酸素による分解のない無機物をベースに光触媒塗膜を形成している。
塗膜に光触媒活性を付与する塗料組成物としては、テトラアルコキシシラン等のアルコキシドを溶解した水/エタノール混合溶媒にTiOの水分散ゾルを分散させた系(WO96/29375),オルガノシリカゾルを有機溶媒に溶解させた溶液にTiO粉末を分散させた系(特開平8−67835号公報),シラン処理したTiO粉末をシリコーン樹脂に分散させた系(特開平9−227831号公報)等が報告されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
光触媒塗膜を設けた塗装金属板を外装建材,外置き式家電機器筐体等に使用する場合、ニーズに応じて多様な色調を付与することが要求される。従来法では、下塗りした着色塗膜によって必要な色調を付け、光触媒層をクリアな1μm程度の薄塗り塗膜としている。
薄塗り塗装では、基材の表面形状や凹凸を反映して膜厚が不均一化しやすく、一定した品質の光触媒塗膜が得られがたい。光触媒活性や耐久性からも、薄塗り塗膜でなく光触媒塗膜の厚膜形成が好ましい。しかし、光触媒塗膜を単に厚膜化したのでは、光触媒である酸化チタンが白色であるため光触媒塗膜の透明度が低下し、下塗りした着色塗膜の色調に濁りが生じ、或いは隠蔽される。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、光触媒塗膜自体を着色することにより、光触媒活性,耐久性向上を狙った厚膜化も可能な光触媒塗料組成物を提供することを目的とする。
本発明の光触媒塗料組成物は、調色トナー及び無機バインダを混合することにより調合され、pH値が5.0〜8.0の範囲に維持されている。
【0005】
アナターゼ型チタニア粉末,オルガノアルコキシシラン,水をイソプロパノール/エチレングリコールモノブチルエーテルの混合溶媒に添加した光触媒分散トナーに、着色顔料,体質顔料をイソプロパノール/エチレングリコールモノブチルエーテルの混合溶媒に分散させたトナーを混合することにより調色トナーが得られる。アナターゼ型チタニア粉末には、粒径5〜200nmの粉末が好ましく、塗料組成物の固形分に占める割合が5〜80質量%で配合される。
【0006】
無機バインダは、シリカ:40〜70質量%,オルガノヒドロキシシラン及びオルガノヒドロキシシランの部分縮合物:30〜60質量%の固形分を水/イソプロパノール/エチレングリコールモノブチルエーテルの混合溶液に分散させ、コロイダルシリカにオルガノヒドロキシシランが重縮合反応で結合した分子集合体になったpH:3.5〜6.5の懸濁液である。
オルガノアルコキシシランには、たとえば一般式RSi(OR〔Rはアルキル基,ビニル基,3,4−エポキシシクロヘキシル基,γ−グリシドキシプロピル基,γ−メルカプトプロピル基又はクロロプロピル基、Rは炭素数1〜4のアルキル基又はアリール基〕で表される化合物が使用される。オルガノヒドロキシシランには、一般式RSi(OH)で表される化合物が使用される。
【0007】
【作用】
有機物を含むバインダを使用すると光照射で励起された光触媒により生成する活性酸素によって有機物が分解し、チョーキング現象が発生するので、活性酸素により分解されない無機バインダが使用される。無機バインダとしては、塗膜形成後に主成分がSiOのシリカ系バインダや主成分がAlのアルミナ系バインダを使用できるが、厚膜の形成にはコロイダルシリカにオルガノアルコキシシランが重縮合反応で結合して分子集合体となっているシリカ系バインダが好適である。
pH:3.5〜6.5の範囲で安定なシリカ系バインダを含む光触媒塗料組成物にアルカリ性の顔料を添加するとシリカ系バインダの脱水縮合反応が生じ、使用顔料のアルカリ度が高くなるほど脱水縮合反応が加速される。
【0008】
酸性域の脱水縮合反応では、プロトンHがOを攻撃するため個々の−ORが緩慢に反応する。このとき、次の加水分解反応,縮合反応,ネット形成反応が生起され、単量体が完全に加水分解する前に重縮合反応が生じる。そのため、一次元的に発達したOHをもつ重合体が生成され、基材との結合点が多くなる。(図1)
加水分解反応:
(RO)≡Si−OR + HO →(RO)≡Si−OH + ROH
縮合反応:
(RO)≡Si−OH + RO−Si≡(RO)→ ≡Si−O−Si≡+ ROH
ネット形成反応:
nSi(OR)+ (3n+1)HO→Sin−1(OH)2n+2 + 4nROH
【0009】
他方、アルカリ域での脱水縮合反応は、OHがSiを攻撃するためSiに結合している全ての−ORが急激に反応する。アルカリ域での加水分解反応,縮合反応,ネット形成反応は下式で表され、単量体が完全に加水分解した後で重縮合反応が生じる。すなわち、アルカリ域では水のアタックにより急激に反応が進行するため、アルコキシド相互の反応が先行し、基板やプライマ塗膜に対する結合が不十分となる。脱水縮合反応は、塗料貯蔵中にも生じ貯蔵安定性を低下させる原因であり、塗料組成物を短期間にゲル化させてしまう。(図2)
【0010】
加水分解反応:
nSi(RO)+ 4nHO→nSi(OH)+ 4nROH
縮合反応:
nSi(OH)→nSiO+ 2nH
ネット形成反応:
nSi(OR)+ 2HO→nSiO+ 4nROH
そこで、望ましくない脱水縮合反応を抑制するため、調色トナー及び塗料組成物のpHを適正管理している。塗料のpHが8.0を超える状態では、前述したシリカ系バインダ全体の急激な脱水縮合反応が先行し、基板やプライマ塗膜に対する結合が不十分になる。
【0011】
【実施の形態】
光触媒分散トナーは、イソプロパノール/エチレングリコールモノブチルエーテルの混合溶媒にアナターゼ型チタニア粉末,オルガノアルコキシシラン,水を添加混合することにより調整される。
アナターゼ型チタニア粉末は、光触媒活性が高く化学的安定性も優れた光触媒であり、好ましくは粒径5〜200nmの粉末がトナー中の30〜60質量%となる割合で配合される。粒径5nm未満の光触媒は製造が困難であり、200nmを超える粉末では十分な光触媒活性を呈さない。また、30質量%に満たない配合量ではチクソ性がなく、粒子の沈降が早く固めのケーキになりやすく、トナー使用時の再分散が困難になる。逆に60質量%を超える配合量ではチクソ性が高くなりすぎ、トナーとしての流動性が損なわれる。
【0012】
オルガノアルコキシシランは、アナターゼ型チタニア粉末表面に付着して、アナターゼ型チタニア粉末の分散性を向上させる。アナターゼ型チタニア粉末表面に対するオルガノアルコキシシランの付着量は光触媒分散トナーの水添加量で制御でき、0.1質量%以上の水添加量で分散性の向上がみられる。水添加量の増加に応じてアナターゼ型チタニア粉末表面に付着するオルガノアルコキシシランが多くなり、アナターゼ型チタニア粉末の分散性が向上する。しかし、10質量%を超える過剰量の水を添加すると、アナターゼ型チタニア粉末表面に付着するアルコキシド基の加水分解生成物が多くなりすぎ、光触媒活性が損なわれる。過剰量の水添加量は、光触媒分散トナーに添加したオルガノアルコキシシラン相互の脱水縮合反応を促進させ、アナターゼ型チタニア粉末表面に付着する加水分解生成物の割合を却って減少させる結果ともなる。
【0013】
オルガノアルコキシシランは、一般式RSi(OR〔Rはアルキル基,ビニル基,3,4−エポキシシクロヘキシル基,γ−グリシドキシプロピル基,γ−メルカプトプロピル基又はクロロプロピル基、Rは炭素数1〜4のアルキル基又はアリール基〕で表される化合物が好ましい。オルガノアルコキシシランは、有機官能基の導入によってシラン相互の反応が抑制され、アナターゼ型チタニア粉末の表面に付着する割合が高くなる。この点、テトラアルコキシシランでは、加水分解が過度に進行してアナターゼ型チタニア粉末の表面に付着するだけでなく、シラン相互が反応する結果としてアナターゼ型チタニア粉末の分散に寄与しない割合が高くなる。
【0014】
オルガノアルコキシシランであっても、有機官能基が2個以上になるとアナターゼ型チタニア粉末の表面に付着する有機物の量が増加する。有機物が過剰に付着したアナターゼ型チタニア粉末の分散トナーから作製された光触媒塗膜を光照射環境に置くと有機物が分解し、塗膜のチョーキングが短時間に進行する。そこで、Siに直接結合する有機官能基を一つだけとし、炭素数1〜3のアルキル基,ビニル基,3,4−エポキシシクロヘキシル基,γ−グリシドキシプロピル基,γ−メルカプトプロピル基又はクロロプロピル基にすることが好適である。
【0015】
光触媒分散トナーの溶媒には、イソプロパノール/エチレングリコールモノブチルエーテルの混合溶媒が使用される。混合比率は、イソプロパノール:40〜60質量%,エチレングリコールモノブチルエーテル:40〜60質量%が好ましい。混合比率の調整によって,アナターゼ型チタニア粉末の分散性が改善されると共に、光触媒分散トナーをバインダと混合した後で塗膜を形成する際に揮発スピードが適度にコントロールされるので、剥離に至るクラックの発生が防止される。
【0016】
着色顔料,体質顔料を分散させたトナーは、個々の顔料をイソプロパノール/エチレングリコールモノブチルエーテルの混合溶媒に分散させることにより調製される。着色顔料,体質顔料の合計配合量を40〜70質量%,顔料全体に占める体質顔料の割合を30〜60質量%の範囲で選定することが好ましい。顔料の合計配合量が40質量%未満では、チクソ性がなく粒子の沈降が早いため固めのケーキになりやすく、トナー使用時の再分散が困難になる。逆に70質量%を超える合計配合量では、チクソ性が高くなりすぎ、トナーとしての流動性が損なわれる。また、体質顔料が30質量%未満では顔料の分散が不均一になりやすく、60質量%を超えると着色顔料の原色が白ボケし、原色トナーとして使用できなくなる。
着色顔料には、SiO,Al又はZrO処理したルチル型チタニア,(Co1/2,Ni,Zn1/2)TiO,CoAlO,Cu(Cr,Mn),TiO−NiO−Sb−Cr,ベンガラ等の無機顔料が使用される。体質顔料には、バライト,硫酸バリウム,炭酸カルシウム,タルク,珪藻土,ベントナイト,亜鉛華,ケイ酸ジルコニウム等の無機顔料が使用される。
【0017】
着色顔料,体質顔料を分散させたトナーを光触媒分散トナーと混合することにより調色トナーが調製される。
無機バインダは、シリカ,オルガノヒドロキシシラン及びオルガノヒドロキシシランの部分縮合物を固形分として水/イソプロパノール/エチレングリコールモノブチルエーテルの混合溶液に分散させることにより調製される。コロイダルシリカには、水系コロイダルシリカ分散液とイソプロパノール系コロイダルシリカ分散液の混合物が好ましい。シリカの平均粒径は150nm以下(更には、30nm)以下が好ましく、無機バインダの保存安定性を確保する上で好ましくは酸性のコロイダルシリカが使用される。
【0018】
オルガノヒドロキシシラン及びオルガノヒドロキシシランの部分縮合物は、オルガノアルコキシシランの加水分解によって得られ、一般式RSi(OH)で表される。代表的なオルガノアルコキシシランには、光触媒分散トナーの一成分と同じ化合物RSi(ORを使用できる。オルガノヒドロキシシランの部分縮合物には、一般式RSi(OH)のオルガノヒドロキシシランを部分縮合することにより得られるオリゴマー等も使用できる。
【0019】
無機バインダの固形分は、コロイダルシリカを核としてオルガノヒドロキシシラン及びオルガノヒドロキシシランの部分縮合物が脱水縮合で結合した分子集合体になっている。無機バインダを光触媒分散トナーと混合すると,オルガノヒドロキシシランの部分縮合物が付着したアナターゼ型チタニア粉末とコロイダルシリカを核として分子集合体が反応・結合するため、強固なネットワークが形成されると共に、アナターゼ型チタニア粉末が塗膜に均一分散される。
コロイダルシリカにオルガノヒドロキシシラン及びオルガノヒドロキシシランの部分縮合物が結合した分子集合体は、重合時の反応時間,反応温度を制御することにより所定の分子量,分子量分布に収められる。分子量が300以上で、分子量300〜500が0〜20%,分子量500〜1000が20〜40%,分子量1000〜10000が40〜70%の分子量分布に調整することにより、形成された塗膜の耐剥離性が向上する。
【0020】
溶媒は、コロイダルシリカ分散液中の水分,オルガノヒドロキシシランの縮合水,オルガノヒドロキシシランの加水分解で生じるアルコール,イソプロパノール,エチレングリコールモノブチルエーテルから構成される。無機バインダの溶媒として少なくとも20質量%のエチレングリコールモノブチルエーテルを配合すると、無機バインダの保存安定性が飛躍的に向上し、塗装作業性,成膜性に優れた塗料組成物が得られる。従来の無機バインダでは20質量%以上の水分を含ませると保存安定性が劣化するが、20質量%以上のエチレングリコールモノブチルエーテルを含む系では、20質量%以上の水分を含んでいても十分な保存安定性が維持される。無機バインダは、保存安定性を向上させるため、アンモニア水,トリエタノールアミン,ジメチルエタノールアミン等の有機アミン類を用いてpH:4〜5に調整することが好ましい。
【0021】
光触媒分散トナーは、オルガノアルコキシシラン,水を添加したイソプロパノール/エチレングリコールモノブチルエーテルの混合溶媒にアナターゼ型チタニア粉末を加え、攪拌機で攪拌した後、充填したビーズが攪拌状態に維持されている横型ミルに流量1リットル/分の速さで注入することにより調製される。必要に応じ、顔料,染料等の着色剤や増粘剤等の添加材を添加することも可能である。
無機バインダは、コロイダルシリカ分散液に添加したオルガノアルコキシシランを加水分解させてオルガノヒドロキシシラン及びオルガノヒドロキシシランの部分縮合物とした後、溶剤で希釈する方法、コロイダルシリカ分散液を溶剤で希釈した後、オルガノアルコキシシランを添加して加水分解させる方法等によって調製される。コロイダルシリカにオルガノアルコキシシランを添加して加水分解させるとき、液温を10〜80℃に保ち、常圧下で1〜24時間攪拌しながら反応させる。非水性コロイダルシリカ分散液の一部を後で添加し、更に加熱・反応させても良い。オルガノアルコキシシランの加水分解に際しては、無機酸,有機酸等の加水分解触媒を少量添加することもできる。
【0022】
十分に攪拌した調色トナーに無機バインダを徐々に加えながら、更に攪拌することにより光触媒塗料組成物が調製される。ここで、pHが5.0〜8.0の範囲であることを確認する。pH測定は、塗料5gを水100gに加え、スターラで拡販した後、静置してpHメータで測定する。塗料組成物の調製に際し、固形分としてTiOが5〜80質量%となる配合比率で調色トナー,無機系バインダを混合する。十分な光触媒活性を得る上で5質量%以上のTiO含有量が必要であるが、80質量%を超える過剰量のTiOが含まれると塗膜の密着性が低下する。
【0023】
調製された塗料組成物は、スプレー法,浸漬法,フローコーティング法,ロールコート法,スクリーン印刷法,静電塗装法等によって、前処理された基材に塗布される。塗布後、80〜130℃で1〜30分加熱することにより、基材に対する密着性に優れた塗膜が形成される。塗膜の厚さは、基材の種類や用途に応じて異なるため一概に定めることはできないが、通常1〜30μmの範囲で調整される。光触媒塗料組成物が塗布される基材には、普通鋼,めっき鋼板,ステンレス鋼板,アルミニウム,銅、真鍮等の金属や、セメント,コンクリート,タイル,スレート板,ガラス,石材等がある。加熱時の温度によっては、プラスチック等の有機材料にも塗装可能である。
【0024】
【実施例】
光触媒分散トナーの調製
イソプロパノール:50質量%,エチレングリコールモノブチルエーテル:50質量%の混合溶媒に3質量%のオルガノアルコキシシラン,0.3質量%の水を添加し、更に粒径20nmのアナターゼ型チタニア粉末を添加した。アナターゼ型チタニア粉末の添加量は,光触媒分散トナー全体の40質量%を占める割合に設定した。ビーズミルを用いた攪拌機で混合物を攪拌混合することにより、光触媒分散トナーを調製した。
【0025】
着色顔料,体質顔料を分散させたトナーの調整
イソプロパノール:50質量%,エチレングリコールモノブチルエーテル:50質量%の混合溶媒に着色顔料,体質顔料を添加した。着色顔料と体質顔料との質量比を1:1とし、着色顔料,体質顔料分散トナー全体の60質量%を占める割合に顔料添加量を設定した。原色トナーとして、ホワイト,イエロー,レモンイエロー,アイアンレッド,ブラック,ブルー,グリーンの7色を用意した。体質顔料には、ケイ酸ジルコニウム,亜鉛華=質量比2:1の混合顔料を使用した。着色顔料,体質顔料を添加した後、ビーズミルを用いた攪拌機で攪拌混合することにより着色顔料,体質顔料分散トナーを調製した。
【0026】
調色トナーの調製
光触媒分散トナーと着色顔料,体質顔料分散トナーを所定量混合し、3種類の調色トナーを用意した。調色後の各トナーの割合を表1に示す。なお、調色トナーの固形分は40質量%とした。
【0027】
Figure 2004238550
【0028】
無機バインダの調製
水系コロイダルシリカ(平均粒径5〜20nm,固形分20質量%,pH3.0):21.2g,イソプロパノール系コロイダルシリカ(平均粒径5〜20nm,固形分20質量%):62.6gを混合した後、メチルトリメトキシシラン:13.9gを加え、80℃で12時間攪拌して加水分解を完了させた。次いで、加水分解物にイソプロパノール:33質量%,エチレングリコールモノブチルエーテル:67質量%の混合溶媒を添加し、更にアンモニア水を添加してpHを4.5に調整した。
【0029】
光触媒塗料組成物の調製
得られた調色トナー,無機バインダを固形分中のアナターゼ型チタニア粉末含有量が30質量%となる割合で混合攪拌し、50μmのメッシュを用いて濾過し塗料化した。
【0030】
塗装
前処理したSUS304ステンレス鋼板に塗料をスプレー塗布し、200℃×20分の加熱で膜厚10μmの塗膜を形成した。比較のため、調色トナー,無機バインダを混合して調製されたpH8.0を超える塗料を用い、同じ条件下でSUS304ステンレス鋼板を塗装した。
【0031】
光触媒塗料組成物の貯蔵安定性,塗膜物性の評価
(1) 光触媒塗料組成物の貯蔵安定性
調色トナー,無機バインダを混合して塗料化した後、1ヶ月経過後に塗料のゲル化状態を調査した。イワタカップ#4を用いて塗料粘度を測定し、粘度上昇が初期値より5秒以内を○,5秒以上であるが流動性が維持されている塗料を△,ゲル化した塗料を×として貯蔵安定性を評価した。
【0032】
表2の調査結果にみられるように、調色トナー,無機バインダを混合した後で5.0〜8.0の範囲にpHがコントロールされた塗料では、無機バインダの分子量分布に拘らず良好な貯蔵安定性が示された。これに対し、pHが8.0を超える塗料では、貯蔵安定性が低下しており、ゲル化によって塗装に使用できないものもあった。
【0033】
Figure 2004238550
【0034】
(2) 塗膜の耐剥離性
63℃のサンシャインウェザー試験で塗膜の耐剥離性を調査し、試験開始から3000時間経過した時点でも剥離しなかった塗膜を○,剥離した塗膜を×として耐剥離性を評価した。
(3) 塗膜の光触媒活性
付着量0.2mg/cmでサラダ油を試験片表面に付着させ、5mW/cmのブラックライトで24時間照射した後,試験片に残存しているサラダ油の重量を測定した。測定重量を照射前の重量と比較し、重量減少率を光触媒活性として評価した。
【0035】
表3の調査結果にみられるように、pHが8.0を超える塗料から作製された塗膜では、膜厚5μmと薄い場合でも塗膜剥離が生じ、光触媒活性も低下していた。これに対し、本発明に従って調製された塗料から成膜された塗膜は、15μmの厚膜でも脱落することなく、光触媒活性にも優れていた。
【0036】
Figure 2004238550
【0037】
【発明の効果】
以上に説明したように、光触媒としてのアナターゼ型チタニア粉末と着色顔料を含む調色トナーを無機バインダと配合した光触媒塗料組成物において、調色トナー及び塗料組成物のpHを適正管理しているのでオルガノアルコキシシランの急激な脱水縮合反応が抑えられ、基材に対する密着性が良好な光触媒塗膜が形成される。しかも、着色顔料の配合によってニーズに応じた色調が付与されるため、紫外線照射や雨水に曝される環境下にあっても長期間にわたる清浄表面が要求される外装建材,外置き式家電機器筐体等の塗膜形成に使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】酸性域でオルガノアルコキシシランの加水分解生成物を介しシリカ系バインダが基材に結合することを説明するモデル図
【図2】アルカリ域でオルガノアルコキシシランの三次元的結合が進行しシリカ系バインダがゲル化することを説明するモデル図

Claims (4)

  1. 調色トナー及び無機バインダを混合した塗料組成物であり、
    調色トナーは、アナターゼ型チタニア粉末,オルガノアルコキシシラン,水をイソプロパノール/エチレングリコールモノブチルエーテルの混合溶媒に添加した光触媒分散トナーに、着色顔料,体質顔料をイソプロパノール/エチレングリコールモノブチルエーテルの混合溶媒に分散させたトナーを混合した懸濁液であり、
    無機バインダは、シリカ:40〜70質量%,オルガノヒドロキシシラン及びオルガノヒドロキシシランの部分縮合物:30〜60質量%の固形分を水/イソプロパノール/エチレングリコールモノブチルエーテルの混合溶液に分散させ、コロイダルシリカにオルガノヒドロキシシランが重縮合反応で結合した分子集合体になったpH:3.5〜6.5の懸濁液であり、
    調色トナー,無機バインダを混合した状態でのpH値が5.0〜8.0の範囲に維持されていることを特徴とする光触媒塗料組成物。
  2. 粒径5〜200nmのアナターゼ型チタニア粉末が固形分として5〜80質量%含まれている請求項1記載の光触媒塗料組成物。
  3. 一般式RSi(OR〔Rはアルキル基,ビニル基,3,4−エポキシシクロヘキシル基,γ−グリシドキシプロピル基,γ−メルカプトプロピル基又はクロロプロピル基、Rは炭素数1〜4のアルキル基又はアリール基〕で表されるオルガノアルコキシシランを使用する請求項1記載の光触媒塗料組成物。
  4. 一般式RSi(OH)〔Rはアルキル基,ビニル基,3,4−エポキシシクロヘキシル基,γ−グリシドキシプロピル基,γ−メルカプトプロピル基又はクロロプロピル基〕で表されるオルガノヒドロキシシランを使用する請求項1記載の光触媒塗料組成物。
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