JP2004237461A - 金型内塗装射出成形品の製造方法および成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】通常の射出成形機を用い熱可塑性樹脂を原料樹脂とする射出成形品に対して、接着性および外観性に優れたコーティング層を成形金型内で効率よく形成させ、外観良好な射出成形品を効率よく製造することができる金型内塗装射出成形品の製造方法および成形品を提供すること。
【解決手段】金型内塗装射出成形品の製造方法は、可動型と固定型とからなり、加熱装置と冷却装置とを備える一組の金型から形成されるキャビティ内面の少なくとも一部に熱硬化性塗料を塗布し、塗料を加熱硬化させる加熱硬化工程と、
加熱溶融した原料樹脂をキャビティ内に射出した後、金型を冷却して成形体表面の少なくとも一部に塗膜を有する成形品を得る成形工程とを含む。
【選択図】 図1
【解決手段】金型内塗装射出成形品の製造方法は、可動型と固定型とからなり、加熱装置と冷却装置とを備える一組の金型から形成されるキャビティ内面の少なくとも一部に熱硬化性塗料を塗布し、塗料を加熱硬化させる加熱硬化工程と、
加熱溶融した原料樹脂をキャビティ内に射出した後、金型を冷却して成形体表面の少なくとも一部に塗膜を有する成形品を得る成形工程とを含む。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱可塑性樹脂と熱硬化性塗料を原料とする金型内塗装射出成形品の製造方法およびこの方法により得られる成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂は工業的に広く利用されている。特に熱可塑性樹脂は塩素を含んでおらず、焼却しても有害なガスは発生せず、またリサイクルも可能であるため、環境に優しい材料として自動車や建築材料用途を中心に使用されている。
自動車用途に用いられる熱可塑性樹脂組成物からなる部品は、外観が重要視されるため一般に塗装したもの、または表皮材を張り合わせた積層体などが使用されている。しかし、近年環境問題から溶剤を大量に使用する塗装工程を省略することができる成形品、または表皮材の貼り合せを省略することができ、しかも外観が良好な成形品が要求されている。
【0003】
最近そのような環境問題に対応できる技術の一つとして、ポリアミド樹脂等の合成樹脂部品に対して、樹脂の成形と同時に、成形金型内で樹脂成形品にコーティングする方法が提案されている(特許文献1、2参照)。
しかし、従来の金型内塗装法は成形品を成形した後に金型を開いて塗料を塗布するため、特殊な成形機を必要としていた。そのため、コストが期待されたほど低くならなかったという問題点がある。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−038737号公報
【特許文献2】
特開2001−96573号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、金型内塗装射出成形品を成形する製造方法において、通常の射出成形機を用い、熱可塑性樹脂を原料樹脂とする射出成形品に対して接着性および外観性に優れたコーティング層を成形金型内で効率よく形成させ、外観良好な射出成形品を効率よく製造することができる金型内塗装射出成形品の製造方法および成形品を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、次の金型内塗装射出成形品の製造方法成形品である。
(1) 可動型と固定型とからなり、加熱装置と冷却装置とを備える一組の金型から形成されるキャビティ内面の少なくとも一部に熱硬化性塗料を塗布し、塗料を加熱硬化させる加熱硬化工程と、
加熱溶融した原料樹脂をキャビティ内に射出して金型を冷却した後、成形体表面の少なくとも一部に塗膜を有する成形品を得る成形工程と、
を含む金型内塗装射出成形品の製造方法。
【0007】
(2) 上記加熱硬化工程において、キャビティ内面に第1層目としてクリヤー塗料を塗布し、次いで第2層目として所定の色に着色した熱硬化性塗料を塗布することを特徴とする(1)に記載の金型内塗装射出成形品の製造方法。
(3) 上記原料樹脂が、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリブチレンテレフタレートおよびポリカーボネートから選ばれる熱可塑性樹脂、またはこれらの熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物である(1)または(2)記載の金型内塗装射出成形品の製造方法。
【0008】
(4) 上記原料樹脂が、水酸基またはアミノ基で修飾されたポリプロピレン樹脂を含むポリプロピレン樹脂組成物である(1)または(3)のいずれかに記載の金型内塗装射出成形品の製造方法。
(5) 上記加熱硬化工程において、加熱装置により金型を加熱して金型温度を熱硬化性塗料の硬化温度に保持し、上記成形工程では冷却装置により金型温度を原料樹脂の融点または軟化温度以下の温度に冷却する(1)ないし(4)のいずれかに記載の金型内塗装射出成形品の製造方法。
【0009】
(6) (1)ないし(5)のいずれかに記載の方法により得られる金型内塗装射出成形品。
【0010】
【発明の実施形態】
以下、本発明に係る金型内塗装射出成形品の製造方法および成形品について具体的に説明する。
本発明においては、成形品の原料として使用する原料樹脂として、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物を用いる。
【0011】
本発明で用いる熱可塑性樹脂としては、射出成形が可能な公知の熱可塑性樹脂が制限なく使用可能である。
例えば、ポリオレフィン樹脂;例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブテン−1、ポリメチルペンテン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、エチレン・メタクリル酸エステル共重合体、アイオノマー共重合体等、
ポリアミド樹脂;例えばナイロン6、ナイロン66、ナイロン9、ナイロン10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6・10、ナイロン6・11、ナイロン6・12、半芳香族ポリアミド6T6、6T66、9T、
ポリエステル樹脂;例えばポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、
ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、変性ポリフェニレンエーテル樹脂(変性PPE)、ポリフェニレンスルフィド樹脂等が挙げられる。
【0012】
これらの熱可塑性樹脂の中では、コストパフォーマンス、機械的強度、成形性の観点からポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂(ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等)、エチレン・酢酸ビニル共重合体、変性PPE、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネートなどが好ましく、ポリプロピレン樹脂が特に好ましい。
【0013】
熱可塑性樹脂としてポリプロピレン樹脂を用いる場合には、ポリプロピレン樹脂と塗料の界面強度を高めるためにポリプロピレン樹脂のすべてまたは一部分を水酸基またはアミノ基で修飾しておくことが特に好ましい。
また熱可塑性樹脂組成物としては、前記熱可塑性樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂組成物を使用することができる。
【0014】
本発明で使用する熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて前記熱可塑性樹脂以外にゴム状重合体や各種添加剤を配合することもできる。添加剤としては、核剤、酸化防止剤、塩酸吸収剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、分散剤、銅害防止剤、中和剤、発泡剤、可塑剤、気泡防止剤、架橋剤、過酸化物などの流れ性改良剤、ウェルド強度改良剤、天然油、合成油、ワックスなどの公知の添加剤があげられる。
【0015】
添加剤として配合することのできるゴム状重合体としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・ジエン3元ランダム共重合体等のオレフィン系エラストマー、またはこれらのオレフィン系エラストマーの不飽和カルボン酸もしくはその誘導体の変性物、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエン・スチレントリブロック共重合体ゴムおよびその水素化物、ポリエチレングリコールテレフタレート、ポリプロピレングリコールテレフタレート等のポリエステル系エラストマー、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体やアイオノマーなどを挙げることができる。これらのゴム状重合体は1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。
【0016】
本発明で使用する熱硬化性塗料は、公知の熱硬化性塗料が使用でき、特に制限されない。例えば、多官能アクリレート樹脂、多官能メタクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシアクリレートオリゴマー、ウレタンアクリレートオリゴマーなどの過酸化物架橋剤によって硬化が可能なバインダー成分を主体とする一液型コーティング材や、エポキシ樹脂/ポリアミン硬化系、ポリオール樹脂/ポリイソシアネート硬化系などの、金型注入直前に主剤/硬化剤を混合する二液型コーティング材等が挙げられる。
【0017】
多官能アクリレート樹脂、多官能メタクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシアクリレートオリゴマー、ウレタンアクリレートオリゴマーなどの過酸化物架橋剤によって硬化が可能なバインダー成分を主体とする熱硬化性塗料の硬化温度は、添加される過酸化物架橋剤の種類を選ぶ事で調整することが可能であり、ポリプロピレン樹脂用であれば100℃におけるゲル化時間が20〜180秒の範囲にあることが好ましい。また、塗料の加熱硬化とは、金型温度における塗料のゲル化時間の0.7倍以上、好ましくは0.8倍以上の時間を経て三次元的な網目構造を形成した状態を指す。この塗料の粘度は塗布される金型内面温度において0.01〜100Pa・sであることが好ましい。この範囲より低いと金型内で垂れ下がり膜厚みが均一にならないし、溶融樹脂の圧力で皮膜が破壊される。この範囲より高いと硬化時間内に十分なレベリングが起こらない。
【0018】
熱硬化性塗料として、アクリルポリオール、ポリエステルポリオールを主成分とした主剤と、分子末端に複数のイソシアネート基を有するイソシアネートプレポリマーを硬化剤とした、2液ウレタン塗料も有用である。さらに、2液ウレタン塗料では、硬化触媒である3級アミンをあらかじめ加熱・蒸気化したものをスプレーエア中に混入し、金型の熱とで短時間に塗膜形成させる方法が特に有用である。
【0019】
熱硬化性塗料の塗布方法は一般に知られている技術が適用できる。例えば空気圧で微細な粒子にするエアスプレイが最も簡単である。塗布する面は固定型、可動型のいずれでも良く、両方でもかまわない。また、一部をマスキングして特定の部分のみを塗装するようにしても良い。
本発明に係る金型内塗装射出成形品の製造方法は、一組の金型から形成されるキャビティ内面の少なくとも一部に熱硬化性塗料を塗布し、塗料を加熱硬化させる加熱硬化工程と、
加熱溶融した原料樹脂をキャビティ内に射出した後、金型を冷却して成形体表面の少なくとも一部に塗膜を有する成形品を得る成形工程とを含んでいる。
【0020】
本発明で用いられる金型は、可動型と固定型とからなり下記の性能を具備している。
(1)金型を加熱できる装置および/または回路を備えている。
(2)金型を冷却できる装置および/または回路を備えている。
加熱硬化工程では、金型キャビティ内面の少なくとも一部に熱硬化性塗料を塗布する。この熱硬化性塗料の塗布は一般に知られている塗装方法が適用できる。熱硬化性塗料の塗布は、可動型および固定型のキャビティ内面の全部に塗布してもよく、可動型または固定型の一方に塗布してもよい。また、熱可塑性塗料を2色以上塗布してもよい。さらに金型キャビティ内面に熱硬化性塗料を塗布するに先だって、第1層目としてクリヤー塗料を塗布し、次いで第2層目として所定の色に着色した熱硬化性塗料を塗布してもよい。
【0021】
加熱硬化工程では加熱装置により金型を加熱し、好ましくは金型温度を塗料の硬化温度に保持し、さらに好ましくは金型内面温度を硬化温度に保持し、塗布した塗料を硬化させ、塗膜を形成する。塗膜の厚さは0.001〜3mm、好ましくは0.01〜0.1mmであるのが望ましい。
次に、金型を閉じて加熱溶融した原料樹脂をキャビティ内に射出する。原料樹脂のキャビティ内への射出は、金型内面に塗布した塗料がほぼ硬化した後に通常の方法で射出すれば良い。また、射出成形の代わりに射出スタンピング成形であっても良い。
【0022】
金型の冷却は、冷却装置により金型を原料樹脂の融点または軟化温度以下、好ましくは金型温度を50℃以下に冷却して成形品を冷却する。
本発明では、加熱硬化工程において、使用する塗料の種類に応じて適切な温度で塗膜を形成させることができるので、熱可塑性樹脂を原料樹脂とする射出成形品に対して、接着性および外観性に優れた塗膜を射出成形と同時に成形金型内で効率よく形成することができる。
【0023】
このようにして得られる金型内塗装射出成形品は、塗膜と基材である熱可塑性樹脂層とは接着性が優れており、冷熱サイクル試験でも剥離しにくい。しかも外観良好な塗膜が形成されるとともに、金型外塗装に比べて、金型内面がコーティング層に良好に転写されるので、鏡面やシボ面が良好な塗膜が形成され、外観に優れた成形品が得られる。
【0024】
本発明の金型内塗装射出成形品は、前記金型内塗装射出成形品の製造方法により得られる成形品である。
本発明の金型内塗装射出成形品はドアトリム、インストルメントパネル等の自動車内装部品;サイドプロテクトモール、バンパー、フェンダー、ソフトフェイシャ、マッドガード等の自動車外装部品;家電用ハウジング、事務用品、日用雑貨、台所用品、建材用品、スポーツ用品など、種々の分野において利用することができる。
【0025】
【発明の効果】
本発明の金型内塗装射出成形品の製造方法は、金型内で熱硬化性塗料の加熱硬化および冷却をしているので、熱可塑性樹脂を原料樹脂とする射出成形品に対して、接着性および外観性に優れた塗膜を射出成形と同時に成形金型内で形成させ、外観良好な塗装射出成形品を効率よく製造することができる。
【0026】
本発明の金型内塗装射出成形品は、上記製造方法から得られる金型内塗装射出成形品であるので、外観が良好であり、しかも塗膜は剥離しにくい。
【0027】
【実施例】
次に図面を参照して、本発明に係わる金型内塗装射出成形品の製造方法についてその一例を説明する。図1〜5、射出成形用金型等の動きを示しながら、射出成形工程を概略的に説明するための模式図である。ここで用いる射出成形機は、特別な構造である必要はなく、通常の射出成形に使用される射出成形機であればいずれをも使用することができる。
【0028】
図1は、原料樹脂の射出成形に先立ち、熱硬化性塗料を金型内面に塗布するための準備工程を示している。成形金型1を構成する雌型2および雄型3は、互いに離合可能に設置されており、その移動は自動制御になっている。この図では、両方の型が互いに離れ、成形金型が開いた状態を示している。
また、雌型2および雄型3は、通常冷却手段を備えており、水または冷却水を供給する方法が一般に採用されている。本発明では、その雌型2および/または雄型3は、さらに加熱手段を備えていることが望ましい。この場合、熱硬化性塗料の塗布が、どちらの金型内面に行われるかによって変わってくるが、少なくとも塗料が塗布される側の金型に加熱手段が備えられている。加熱手段としては高周波加熱、電熱ヒーター、発光ヒーターであってもよいし、または加熱媒体が供給される手段が採用されてもよい。
【0029】
冷却媒体及び加熱媒体を用いて金型の温度制御を行う場合には、金型中に両媒体が別々に通る2系統の流路を設けてもよいし、媒体切替手段を介して1系統の流路を設けてもよい。この図では、加熱媒体としてのスチーム、冷却媒体としての水が切替手段を経由して送られてくる供給排出口5が各金型に設けられている。この塗布開始前の工程では、金型を熱硬化性塗料の硬化温度以上に調整しておくと塗布された塗料が金型内面上で造膜した塗膜を形成しやすくなる。
【0030】
図2は、熱硬化性塗料を金型内面の希望する方向に向けてスプレー塗布する工程を示している。塗布は、スプレーガン21を塗料が噴射される金型の手前、即ち雌型2および雄型3の中間に設置し、そのスプレーガン21から金型内面に向かって行われるが、その際金型内面のすべての方向に向かって行われてもよいし、製品の一部表面層を形成する方向に向かって行われてもよい。この図では、雌型2の特定の内面6に向けて塗料を噴射している。この塗料の塗布によって、金型内面の特定部分に塗膜が形成される。
【0031】
図3は所定量の塗料を噴射し終わった後、射出成形を開始するための準備工程を示している。スプレーガン21を雌型2と雄型3との間から外部へと移動させ、そして雌型2および雄型3を合体させ、成形金型1を閉ざす。この図では、雌型2および雄型3で囲まれた空間が原料樹脂を射出するためのキャビティ9として形成されると共に、雌型2の内面に塗料が塗布、硬化されて形成した塗膜10を形成している。
【0032】
図4は、溶融樹脂が射出される工程を示している。溶融樹脂は、雄型3に設けられたゲート4を通して成形金型1内のキャビティ9へと射出充填される。その際、先に形成された塗膜10は、溶融樹脂の持つ熱量で全面に濡れ、反応が起こり、原料樹脂と接着される。その後、成形金型を原料樹脂の融点あるいは軟化温度以下、好ましくは50℃以下に冷却し、キャビティ9を充填した溶融樹脂は冷却されて成形品11の形状になる。なお、射出する樹脂は、発泡剤を含んだ発泡性樹脂であってもよく、その場合には発泡成形品11になる。なお、この射出成形には射出スタンピング成形に代表される低圧成形も含まれる。
【0033】
図5は、冷却した製品12を取り出す工程を示している。雌型2と雄型3とを互いに離間させて成形金型を開くと、熱硬化性塗料から形成された塗膜10と原料樹脂から形成された成形品層11とが一体化した製品12が取り出される。塗膜10は、製品12の表面の一部を形成し、2層構造体になっている。
これまでは2層成形品の製造方法について説明したが、塗料を2色以上使用するときは、塗料の塗布を2段階以上に分けて塗布を行えばよい。
【0034】
【発明の効果】
本発明に係る金型内塗装射出成形品の製造方法によると、一般的な射出成形機を用いた射出成形工程の前に、塗装の塗膜を形成させる工程を付加することによって、希望する面積と厚さとを持った塗膜と製品本体部分になる射出成形品とが強固に接着した塗装成形品を効率よく製造することができる。また、成形品表面には目立ったウェルドマーク、フローマークが殆ど生じないので、得られた製品の外観は良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】樹脂粉末を溶射するための準備工程を示す概略図である。
【図2】樹脂粉末を溶射する工程を示す概略図である。
【図3】射出成形を開始するための準備工程を示す概略図である。
【図4】溶融樹脂の射出工程を示す概略図である。
【図5】製品を取り出す工程を示す概略図である。
【符号の説明】
1 成形金型
2 雌型
3 雄型
5 加熱冷却媒体の供給排出口
6 金型内面
7 開口部
8 遮蔽膜
9 キャビティ
10 樹脂層
11 成形品
12 製品
【発明の属する技術分野】
本発明は熱可塑性樹脂と熱硬化性塗料を原料とする金型内塗装射出成形品の製造方法およびこの方法により得られる成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂は工業的に広く利用されている。特に熱可塑性樹脂は塩素を含んでおらず、焼却しても有害なガスは発生せず、またリサイクルも可能であるため、環境に優しい材料として自動車や建築材料用途を中心に使用されている。
自動車用途に用いられる熱可塑性樹脂組成物からなる部品は、外観が重要視されるため一般に塗装したもの、または表皮材を張り合わせた積層体などが使用されている。しかし、近年環境問題から溶剤を大量に使用する塗装工程を省略することができる成形品、または表皮材の貼り合せを省略することができ、しかも外観が良好な成形品が要求されている。
【0003】
最近そのような環境問題に対応できる技術の一つとして、ポリアミド樹脂等の合成樹脂部品に対して、樹脂の成形と同時に、成形金型内で樹脂成形品にコーティングする方法が提案されている(特許文献1、2参照)。
しかし、従来の金型内塗装法は成形品を成形した後に金型を開いて塗料を塗布するため、特殊な成形機を必要としていた。そのため、コストが期待されたほど低くならなかったという問題点がある。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−038737号公報
【特許文献2】
特開2001−96573号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、金型内塗装射出成形品を成形する製造方法において、通常の射出成形機を用い、熱可塑性樹脂を原料樹脂とする射出成形品に対して接着性および外観性に優れたコーティング層を成形金型内で効率よく形成させ、外観良好な射出成形品を効率よく製造することができる金型内塗装射出成形品の製造方法および成形品を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、次の金型内塗装射出成形品の製造方法成形品である。
(1) 可動型と固定型とからなり、加熱装置と冷却装置とを備える一組の金型から形成されるキャビティ内面の少なくとも一部に熱硬化性塗料を塗布し、塗料を加熱硬化させる加熱硬化工程と、
加熱溶融した原料樹脂をキャビティ内に射出して金型を冷却した後、成形体表面の少なくとも一部に塗膜を有する成形品を得る成形工程と、
を含む金型内塗装射出成形品の製造方法。
【0007】
(2) 上記加熱硬化工程において、キャビティ内面に第1層目としてクリヤー塗料を塗布し、次いで第2層目として所定の色に着色した熱硬化性塗料を塗布することを特徴とする(1)に記載の金型内塗装射出成形品の製造方法。
(3) 上記原料樹脂が、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリブチレンテレフタレートおよびポリカーボネートから選ばれる熱可塑性樹脂、またはこれらの熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物である(1)または(2)記載の金型内塗装射出成形品の製造方法。
【0008】
(4) 上記原料樹脂が、水酸基またはアミノ基で修飾されたポリプロピレン樹脂を含むポリプロピレン樹脂組成物である(1)または(3)のいずれかに記載の金型内塗装射出成形品の製造方法。
(5) 上記加熱硬化工程において、加熱装置により金型を加熱して金型温度を熱硬化性塗料の硬化温度に保持し、上記成形工程では冷却装置により金型温度を原料樹脂の融点または軟化温度以下の温度に冷却する(1)ないし(4)のいずれかに記載の金型内塗装射出成形品の製造方法。
【0009】
(6) (1)ないし(5)のいずれかに記載の方法により得られる金型内塗装射出成形品。
【0010】
【発明の実施形態】
以下、本発明に係る金型内塗装射出成形品の製造方法および成形品について具体的に説明する。
本発明においては、成形品の原料として使用する原料樹脂として、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物を用いる。
【0011】
本発明で用いる熱可塑性樹脂としては、射出成形が可能な公知の熱可塑性樹脂が制限なく使用可能である。
例えば、ポリオレフィン樹脂;例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブテン−1、ポリメチルペンテン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、エチレン・メタクリル酸エステル共重合体、アイオノマー共重合体等、
ポリアミド樹脂;例えばナイロン6、ナイロン66、ナイロン9、ナイロン10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6・10、ナイロン6・11、ナイロン6・12、半芳香族ポリアミド6T6、6T66、9T、
ポリエステル樹脂;例えばポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、
ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、変性ポリフェニレンエーテル樹脂(変性PPE)、ポリフェニレンスルフィド樹脂等が挙げられる。
【0012】
これらの熱可塑性樹脂の中では、コストパフォーマンス、機械的強度、成形性の観点からポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂(ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等)、エチレン・酢酸ビニル共重合体、変性PPE、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネートなどが好ましく、ポリプロピレン樹脂が特に好ましい。
【0013】
熱可塑性樹脂としてポリプロピレン樹脂を用いる場合には、ポリプロピレン樹脂と塗料の界面強度を高めるためにポリプロピレン樹脂のすべてまたは一部分を水酸基またはアミノ基で修飾しておくことが特に好ましい。
また熱可塑性樹脂組成物としては、前記熱可塑性樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂組成物を使用することができる。
【0014】
本発明で使用する熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて前記熱可塑性樹脂以外にゴム状重合体や各種添加剤を配合することもできる。添加剤としては、核剤、酸化防止剤、塩酸吸収剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、分散剤、銅害防止剤、中和剤、発泡剤、可塑剤、気泡防止剤、架橋剤、過酸化物などの流れ性改良剤、ウェルド強度改良剤、天然油、合成油、ワックスなどの公知の添加剤があげられる。
【0015】
添加剤として配合することのできるゴム状重合体としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・ジエン3元ランダム共重合体等のオレフィン系エラストマー、またはこれらのオレフィン系エラストマーの不飽和カルボン酸もしくはその誘導体の変性物、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエン・スチレントリブロック共重合体ゴムおよびその水素化物、ポリエチレングリコールテレフタレート、ポリプロピレングリコールテレフタレート等のポリエステル系エラストマー、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体やアイオノマーなどを挙げることができる。これらのゴム状重合体は1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。
【0016】
本発明で使用する熱硬化性塗料は、公知の熱硬化性塗料が使用でき、特に制限されない。例えば、多官能アクリレート樹脂、多官能メタクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシアクリレートオリゴマー、ウレタンアクリレートオリゴマーなどの過酸化物架橋剤によって硬化が可能なバインダー成分を主体とする一液型コーティング材や、エポキシ樹脂/ポリアミン硬化系、ポリオール樹脂/ポリイソシアネート硬化系などの、金型注入直前に主剤/硬化剤を混合する二液型コーティング材等が挙げられる。
【0017】
多官能アクリレート樹脂、多官能メタクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシアクリレートオリゴマー、ウレタンアクリレートオリゴマーなどの過酸化物架橋剤によって硬化が可能なバインダー成分を主体とする熱硬化性塗料の硬化温度は、添加される過酸化物架橋剤の種類を選ぶ事で調整することが可能であり、ポリプロピレン樹脂用であれば100℃におけるゲル化時間が20〜180秒の範囲にあることが好ましい。また、塗料の加熱硬化とは、金型温度における塗料のゲル化時間の0.7倍以上、好ましくは0.8倍以上の時間を経て三次元的な網目構造を形成した状態を指す。この塗料の粘度は塗布される金型内面温度において0.01〜100Pa・sであることが好ましい。この範囲より低いと金型内で垂れ下がり膜厚みが均一にならないし、溶融樹脂の圧力で皮膜が破壊される。この範囲より高いと硬化時間内に十分なレベリングが起こらない。
【0018】
熱硬化性塗料として、アクリルポリオール、ポリエステルポリオールを主成分とした主剤と、分子末端に複数のイソシアネート基を有するイソシアネートプレポリマーを硬化剤とした、2液ウレタン塗料も有用である。さらに、2液ウレタン塗料では、硬化触媒である3級アミンをあらかじめ加熱・蒸気化したものをスプレーエア中に混入し、金型の熱とで短時間に塗膜形成させる方法が特に有用である。
【0019】
熱硬化性塗料の塗布方法は一般に知られている技術が適用できる。例えば空気圧で微細な粒子にするエアスプレイが最も簡単である。塗布する面は固定型、可動型のいずれでも良く、両方でもかまわない。また、一部をマスキングして特定の部分のみを塗装するようにしても良い。
本発明に係る金型内塗装射出成形品の製造方法は、一組の金型から形成されるキャビティ内面の少なくとも一部に熱硬化性塗料を塗布し、塗料を加熱硬化させる加熱硬化工程と、
加熱溶融した原料樹脂をキャビティ内に射出した後、金型を冷却して成形体表面の少なくとも一部に塗膜を有する成形品を得る成形工程とを含んでいる。
【0020】
本発明で用いられる金型は、可動型と固定型とからなり下記の性能を具備している。
(1)金型を加熱できる装置および/または回路を備えている。
(2)金型を冷却できる装置および/または回路を備えている。
加熱硬化工程では、金型キャビティ内面の少なくとも一部に熱硬化性塗料を塗布する。この熱硬化性塗料の塗布は一般に知られている塗装方法が適用できる。熱硬化性塗料の塗布は、可動型および固定型のキャビティ内面の全部に塗布してもよく、可動型または固定型の一方に塗布してもよい。また、熱可塑性塗料を2色以上塗布してもよい。さらに金型キャビティ内面に熱硬化性塗料を塗布するに先だって、第1層目としてクリヤー塗料を塗布し、次いで第2層目として所定の色に着色した熱硬化性塗料を塗布してもよい。
【0021】
加熱硬化工程では加熱装置により金型を加熱し、好ましくは金型温度を塗料の硬化温度に保持し、さらに好ましくは金型内面温度を硬化温度に保持し、塗布した塗料を硬化させ、塗膜を形成する。塗膜の厚さは0.001〜3mm、好ましくは0.01〜0.1mmであるのが望ましい。
次に、金型を閉じて加熱溶融した原料樹脂をキャビティ内に射出する。原料樹脂のキャビティ内への射出は、金型内面に塗布した塗料がほぼ硬化した後に通常の方法で射出すれば良い。また、射出成形の代わりに射出スタンピング成形であっても良い。
【0022】
金型の冷却は、冷却装置により金型を原料樹脂の融点または軟化温度以下、好ましくは金型温度を50℃以下に冷却して成形品を冷却する。
本発明では、加熱硬化工程において、使用する塗料の種類に応じて適切な温度で塗膜を形成させることができるので、熱可塑性樹脂を原料樹脂とする射出成形品に対して、接着性および外観性に優れた塗膜を射出成形と同時に成形金型内で効率よく形成することができる。
【0023】
このようにして得られる金型内塗装射出成形品は、塗膜と基材である熱可塑性樹脂層とは接着性が優れており、冷熱サイクル試験でも剥離しにくい。しかも外観良好な塗膜が形成されるとともに、金型外塗装に比べて、金型内面がコーティング層に良好に転写されるので、鏡面やシボ面が良好な塗膜が形成され、外観に優れた成形品が得られる。
【0024】
本発明の金型内塗装射出成形品は、前記金型内塗装射出成形品の製造方法により得られる成形品である。
本発明の金型内塗装射出成形品はドアトリム、インストルメントパネル等の自動車内装部品;サイドプロテクトモール、バンパー、フェンダー、ソフトフェイシャ、マッドガード等の自動車外装部品;家電用ハウジング、事務用品、日用雑貨、台所用品、建材用品、スポーツ用品など、種々の分野において利用することができる。
【0025】
【発明の効果】
本発明の金型内塗装射出成形品の製造方法は、金型内で熱硬化性塗料の加熱硬化および冷却をしているので、熱可塑性樹脂を原料樹脂とする射出成形品に対して、接着性および外観性に優れた塗膜を射出成形と同時に成形金型内で形成させ、外観良好な塗装射出成形品を効率よく製造することができる。
【0026】
本発明の金型内塗装射出成形品は、上記製造方法から得られる金型内塗装射出成形品であるので、外観が良好であり、しかも塗膜は剥離しにくい。
【0027】
【実施例】
次に図面を参照して、本発明に係わる金型内塗装射出成形品の製造方法についてその一例を説明する。図1〜5、射出成形用金型等の動きを示しながら、射出成形工程を概略的に説明するための模式図である。ここで用いる射出成形機は、特別な構造である必要はなく、通常の射出成形に使用される射出成形機であればいずれをも使用することができる。
【0028】
図1は、原料樹脂の射出成形に先立ち、熱硬化性塗料を金型内面に塗布するための準備工程を示している。成形金型1を構成する雌型2および雄型3は、互いに離合可能に設置されており、その移動は自動制御になっている。この図では、両方の型が互いに離れ、成形金型が開いた状態を示している。
また、雌型2および雄型3は、通常冷却手段を備えており、水または冷却水を供給する方法が一般に採用されている。本発明では、その雌型2および/または雄型3は、さらに加熱手段を備えていることが望ましい。この場合、熱硬化性塗料の塗布が、どちらの金型内面に行われるかによって変わってくるが、少なくとも塗料が塗布される側の金型に加熱手段が備えられている。加熱手段としては高周波加熱、電熱ヒーター、発光ヒーターであってもよいし、または加熱媒体が供給される手段が採用されてもよい。
【0029】
冷却媒体及び加熱媒体を用いて金型の温度制御を行う場合には、金型中に両媒体が別々に通る2系統の流路を設けてもよいし、媒体切替手段を介して1系統の流路を設けてもよい。この図では、加熱媒体としてのスチーム、冷却媒体としての水が切替手段を経由して送られてくる供給排出口5が各金型に設けられている。この塗布開始前の工程では、金型を熱硬化性塗料の硬化温度以上に調整しておくと塗布された塗料が金型内面上で造膜した塗膜を形成しやすくなる。
【0030】
図2は、熱硬化性塗料を金型内面の希望する方向に向けてスプレー塗布する工程を示している。塗布は、スプレーガン21を塗料が噴射される金型の手前、即ち雌型2および雄型3の中間に設置し、そのスプレーガン21から金型内面に向かって行われるが、その際金型内面のすべての方向に向かって行われてもよいし、製品の一部表面層を形成する方向に向かって行われてもよい。この図では、雌型2の特定の内面6に向けて塗料を噴射している。この塗料の塗布によって、金型内面の特定部分に塗膜が形成される。
【0031】
図3は所定量の塗料を噴射し終わった後、射出成形を開始するための準備工程を示している。スプレーガン21を雌型2と雄型3との間から外部へと移動させ、そして雌型2および雄型3を合体させ、成形金型1を閉ざす。この図では、雌型2および雄型3で囲まれた空間が原料樹脂を射出するためのキャビティ9として形成されると共に、雌型2の内面に塗料が塗布、硬化されて形成した塗膜10を形成している。
【0032】
図4は、溶融樹脂が射出される工程を示している。溶融樹脂は、雄型3に設けられたゲート4を通して成形金型1内のキャビティ9へと射出充填される。その際、先に形成された塗膜10は、溶融樹脂の持つ熱量で全面に濡れ、反応が起こり、原料樹脂と接着される。その後、成形金型を原料樹脂の融点あるいは軟化温度以下、好ましくは50℃以下に冷却し、キャビティ9を充填した溶融樹脂は冷却されて成形品11の形状になる。なお、射出する樹脂は、発泡剤を含んだ発泡性樹脂であってもよく、その場合には発泡成形品11になる。なお、この射出成形には射出スタンピング成形に代表される低圧成形も含まれる。
【0033】
図5は、冷却した製品12を取り出す工程を示している。雌型2と雄型3とを互いに離間させて成形金型を開くと、熱硬化性塗料から形成された塗膜10と原料樹脂から形成された成形品層11とが一体化した製品12が取り出される。塗膜10は、製品12の表面の一部を形成し、2層構造体になっている。
これまでは2層成形品の製造方法について説明したが、塗料を2色以上使用するときは、塗料の塗布を2段階以上に分けて塗布を行えばよい。
【0034】
【発明の効果】
本発明に係る金型内塗装射出成形品の製造方法によると、一般的な射出成形機を用いた射出成形工程の前に、塗装の塗膜を形成させる工程を付加することによって、希望する面積と厚さとを持った塗膜と製品本体部分になる射出成形品とが強固に接着した塗装成形品を効率よく製造することができる。また、成形品表面には目立ったウェルドマーク、フローマークが殆ど生じないので、得られた製品の外観は良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】樹脂粉末を溶射するための準備工程を示す概略図である。
【図2】樹脂粉末を溶射する工程を示す概略図である。
【図3】射出成形を開始するための準備工程を示す概略図である。
【図4】溶融樹脂の射出工程を示す概略図である。
【図5】製品を取り出す工程を示す概略図である。
【符号の説明】
1 成形金型
2 雌型
3 雄型
5 加熱冷却媒体の供給排出口
6 金型内面
7 開口部
8 遮蔽膜
9 キャビティ
10 樹脂層
11 成形品
12 製品
Claims (6)
- 可動型と固定型とからなり、加熱装置と冷却装置とを備える一組の金型から形成されるキャビティ内面の少なくとも一部に熱硬化性塗料を塗布し、塗料を加熱硬化させる加熱硬化工程と、
加熱溶融した原料樹脂をキャビティ内に射出した後、金型を冷却して成形体表面の少なくとも一部に塗膜を有する成形品を得る成形工程と
を含む金型内塗装射出成形品の製造方法。 - 上記加熱硬化工程において、キャビティ内面に第1層目としてクリヤー塗料を塗布し、次いで第2層目として所定の色に着色した熱硬化性塗料を塗布することを特徴とする請求項1に記載の金型内塗装射出成形品の製造方法。
- 上記原料樹脂が、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリブチレンテレフタレートおよびポリカーボネートから選ばれる熱可塑性樹脂、またはこれらの熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物である請求項1または2記載の金型内塗装射出成形品の製造方法。
- 上記原料樹脂が、水酸基またはアミノ基で修飾されたポリプロピレン樹脂を含むポリプロピレン樹脂組成物である請求項1ないし3のいずれかに記載の金型内塗装射出成形品の製造方法。
- 上記加熱硬化工程において、加熱装置により金型を加熱して金型温度を熱硬化性塗料の硬化温度に保持し、上記成形工程では冷却装置により金型温度を原料樹脂の融点または軟化温度以下の温度に冷却する請求項1ないし4のいずれかに記載の金型内塗装射出成形品の製造方法。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載の方法により得られる金型内塗装射出成形品。
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JP2003026168A JP2004237461A (ja) | 2003-02-03 | 2003-02-03 | 金型内塗装射出成形品の製造方法および成形品 |
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