JP2004233284A - 転がり軸受ユニットの診断装置及び診断方法 - Google Patents

転がり軸受ユニットの診断装置及び診断方法 Download PDF

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Yasuyuki Muto
泰之 武藤
Takanori Miyasaka
孝範 宮坂
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Abstract

【課題】分解するのに多くの手間がかかるような機械装置の分解を行なうことなく、回転させながら定期的に検査試験を行う場合、その機械装置の回転部品の欠陥を見落とすことなく高精度な検出が可能な転がり軸受ユニットの診断装置を提供する。
【解決手段】本発明の転がり軸受ユニットの診断装置10は、ラジアル荷重が負荷される転がり軸受11,11の異常を診断するものであって、回転試験台上に設置した転がり軸受11,11に対し任意に可変されたスラスト力を付与するスラスト力付与機構18を有し、スラスト力付与機構18により転がり軸受11,11にスラスト力を負荷しながら回転試験を行う。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば鉄道車両用の車軸やギアボックス或いは発電用風車等の機械装置に用いられる複数の回転部品を支持する転がり軸受ユニットや軸受箱の異常を診断する転がり軸受ユニットの診断装置及び診断方法に関し、特に機械装置を分解することなく回転部品の異常診断を行なう転がり軸受ユニットの診断装置及び診断方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、鉄道車両や発電用風車等の回転部品を支持する転がり軸受ユニットや軸受箱を有する機械装置は、一定期間使用した後に、軸受やその他の部分について損傷や摩耗等の欠陥の有無が検査される。この検査は、機械装置全体を定期的に分解することにより行なわれ、回転部品にできた損傷や摩耗は、検査担当者が目視により発見するようにしている。このような検査で発見される主な欠陥としては、軸受の場合、異物の噛み込み等によって生ずる圧痕、転がり疲れによる剥離、その他の摩耗等がある。また、歯車の場合、歯部の欠損や摩耗等があり、車輪の場合、フラット等の摩耗があり、新品にはない凹凸や摩耗等があれば、新品に交換し再度装置に組み付けられる。
【0003】
また、従来の転がり軸受ユニットの診断装置として、図8に示す診断装置50は、一対の転がり軸受51,51を支持する支持台52,52と、継手53,駆動プーリ54、駆動ベルト55,駆動モータ56からなる駆動装置57と、が用いられる。一対の車輪2が固定された車軸1の端部を転がり軸受51,51によって支持し、転がり軸受51,51の外周上部に振動センサ58,58を配置している。また、車軸1に結合されたギアボックス59に、継手53を介して駆動プーリ54が連結され、駆動プーリ54に駆動ベルト55を介して駆動モータ56が連結される。ギアボックス59の出力部にも振動センサ60が配置される。
【0004】
このような診断装置50では、振動センサ58,58が発生する振動データ信号により転がり軸受51,51の異常の有無を検出し、振動センサ60が発生する振動データ信号によりギアボックス59に内蔵された歯車の異常の有無を検出する。
【0005】
また、転がり軸受ユニットの診断装置の他の構成例として、図9に示す診断装置70は、一対の転がり軸受71,71を支持する支持台72,72と、車輪2に当接することによって車軸1を回転させる回転駆動ローラ73,73と、が用いられる。一対の車輪2が固定された車軸1の端部を転がり軸受71,71によって支持し、転がり軸受71,71の外周上部に振動センサ74,74を配置している。
【0006】
このような診断装置70では、振動センサ74,74が発生する振動データ信号により転がり軸受71,71の異常の有無を検出する。
【0007】
また、転がり軸受ユニットの診断装置の他の構成として、図10に示す診断装置80は、車軸1を定位置に固定する位置決め機構81と、位置決めされた車軸1の軸方向両側に設置され、車軸両端に嵌着された転がり軸受82,82の外輪83,83に回転体84,84を圧着させて、外輪83,83に回転を付与する外輪回転機構85とを有する。回転体84,84は、ベルト86,86を介して連結された動力87,87により回転駆動される。車軸1の両端に振動ピックアップ88,88が取付けられている。
【0008】
このような診断装置80では、車軸に嵌着されたピニオンギアや車輪等からの余分な振動が全く発生せずに、転がり軸受82,82に有するころから発生する損傷振動のみを振動ピックアップ88,88により検出する(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
また、転がり軸受ユニットの診断装置の他の構成例として、図11に示すセンサモジュールを有する転がり軸受ユニットの診断装置100は、転がり軸受101の外輪102の外周上面にモジュール穴103が形成され、外輪102の外周上面のモジュール穴103に速度センサ、温度センサ、加速度センサを内装したモジュール104が挿入固定されている。そして、モジュール104内の各センサが発生した検出信号は、通信チャネルを通じて、転がり軸受101が設置される貨車や客車を牽引する機関車内の遠隔処理ユニットに送信される。
【0010】
そして、このような診断装置100において、速度については、回転する車輪によって生じたパルスに基づくジャーナルの瞬間的な速度を検出することにより、その速度と、同様の条件で動作する他の軸受の速度との比較を行い、軸受組立体によって経験された全周期履歴の保存記録を行なう。また、温度については、単純なレベル検出により、同様の条件で動作する他の軸受の温度との比較を行なう。そして、振動については、所定の時間間隔に亘るエネルギーレベルの単純なRMS測定を行い、そのエネルギーレベルと、処理ユニットに記憶された過去のエネルギーレベルとを比較し、同様の条件で動作する他の軸受のエネルギーレベルとの比較を行なう(例えば、特許文献2参照)。
【0011】
また、転がり軸受ユニットの診断装置の他の構成例として、図12に示す診断装置110は、複列円すいころ軸受111の外輪112の下端部に、センサ取付孔113が形成され、センサ取付孔113に、回転速度センサ114と、温度センサ115と、加速度センサ116と、を有するセンサユニット117が挿入支持されている(例えば、特許文献3参照)。
【0012】
更に、転がり軸受ユニットの診断装置の他の構成例として、図13に示す診断装置120は、複列円すいころ軸受121の外輪122の下端部に、センサ取付孔123が形成され、センサ取付孔123に、回転速度センサ124と、温度センサ125と、を有するセンサユニット126が挿入支持されている(例えば、特許文献4参照)。
【0013】
また、転がり軸受ユニットの診断装置の他の構成例として、図14に示す軸受の異常検知装置130は、軸受131の機械的振動を電気的振動に変換して出力するピックアップ132と、ピックアップ132の出力を増幅する自動利得制御増幅器133と、増幅器133の出力から駆動系や他の機械系から生ずるノイズを除去する1〜15kHzのバンドパスフィルタ134と、バンドパスフィルタ134の出力の実効値を演算し自動利得制御増幅器133の利得制御端子に供給する実効値演算器135と、バンドパスフィルタ134の出力を入力する包絡線回路136と、包絡線回路136の出力を入力する実効値演算器137と、実効値演算器137の出力を入力しその値が所定値を超えたときにランプや接点出力で警報を出す警報回路138と、を備えた構成を有する(例えば、特許文献5参照)。
【0014】
また、転がり軸受ユニットの診断装置の他の構成例として、図15に示す転がり軸受の異常診断装置140は、転がり軸受141の近傍に配されるマイクロホン142と、増幅器143と、電子機器144と、スピーカ145と、モニタ146と、を備えた構成を有する。電子機器144は、演算処理装置であり、変換部としてのトランスジューサ147と、記録部としてのHDD148と、演算処理部としての異常診断分149と、アナログ変換出力部150を備える(例えば、特許文献6参照)。
【0015】
また、転がり軸受ユニットの診断装置の他の構成例として、図16に示す軸受の異常診断方法及び異常診断装置160は、センサ161が出力した電気的な信号波形が、アナログ・デジタル変換器162によってデジタルファイル化され、波形処理部163に送られ、波形処理部163で、エンベロープ処理が行われてエンベロープスペクトルが得られる。また、波形処理部163では、抽出工程において、軸受構成部品の特定の周波数成分である、内輪傷成分、外輪傷成分、転動体成分が、所定の式を用いてエンベロープスペクトルより抽出される。演算部164では、演算工程が行なわれ、判別部165では、比較工程が行なわれ、判定結果が出力回路166から出力され、スピーカ167やモニタ168により検査員に報知される(例えば、特許文献7参照)。
【0016】
【特許文献1】
特開2001−296213号公報(第2−3頁、第1図)
【特許文献2】
特表2001−500597号公報(第10−16頁、第1図)
【特許文献3】
特開2002−295464号公報(第4−5頁、第1図)
【特許文献4】
特開2002−292928号公報(第4−5頁、第1図)
【特許文献5】
特開平2−205727号公報(第2−3頁、第1図)
【特許文献6】
特開2000−146762号公報(第4−6頁、第1図)
【特許文献7】
特開2001−021453号公報(第5−6頁、第1図)
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記機械装置全体を分解して、担当者が目視で検査する方法では、限られた時間内で多数の部品を目視で検査するため、欠陥を見落とすおそれがあるという欠点がある。また、欠陥の程度の判断にも個人差があり、実質的に欠陥がなくても部品交換が行なわれることもあるため、無駄なコストがかかることにもなり得る。さらに、組み立て直しを行なうときに、検査前には無かった打痕を回転部品につけてしまう等、検査自体が部品の欠陥の新たな原因を生むおそれもある。
【0018】
また、上記図8〜図16に記載された転がり軸受ユニットの診断装置では、転がり軸受に車軸の自重分のラジアル荷重が常時負荷されているが、実際の車両に取付けられた場合での軸受の負荷圏とは異なることがある。例えば、図8において、軸受の負荷圏は図8中の下方であるが、実際の車両における軸受の負荷圏は上方である。そのため、実際の車両における負荷圏領域での軸受損傷を見落とすおそれがある。これは、非負荷圏の場合、軸受の転動体と転動面との接触が不安定であり、振動検出が安定しないという問題点による。そこで、回転試験の回転速度を高くして、遠心力を大きくすることにより安定した振動検出を行なおうとした方法も提案されている。しかし、高速回転で試験を行うためには、回転試験設備が大型化し、試験中の振動や騒音も高くなるため、他の試験へ影響を及ぼすおそれがあるとともに、設備費が高騰するおそれがある。
【0019】
ラジアル荷重が負荷された状態で軸受が使用されると、軸受内部に負荷圏と非負荷圏とが存在する。図17(a)に示すように、軸受170を低速で回転させると、転動体171の遠心力よりも転動体171の自重の方が大きいため、非負荷圏で転動体171が内輪172または保持器173と衝突する転動体落ち音が発生する。これに対して、図17(b)に示すように、軸受170を高速で回転させると、転動体171の遠心力の方が転動体171の自重よりも大きくなるため、転動体171は内輪172または保持器173に衝突しない。このような場合の周波数成分は、外輪174の損傷に起因した周波数成分と一致するため、分離することは極めて難しい。
【0020】
また、回転部品の状態を温度で監視する場合、温度異常が発生したとしても、どの部品に異常が生じたかまではわからないことが多く、回転部品に異常が発生しても、例えば、軸受の軌道輪に傷が生じた場合、振動値は上昇するが、温度上昇はほとんどないため、異常の種類によっては検出することができないこともある。
【0021】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、分解するのに多くの手間がかかるような機械装置の分解を行なうことなく、回転させながら定期的に検査試験を行う場合、その機械装置の回転部品の欠陥を見落とすことなく高精度な検出が可能な転がり軸受ユニットの診断装置を提供し、装置の分解や組み立て直しにかかる手間を軽減すること、及び分解や組み立てに伴う部品の新たな損傷防止を図ることにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載の転がり軸受ユニットの診断装置は、回転試験台を用いてラジアル荷重が負荷される転がり軸受ユニットまたは転がり軸受ユニットを内装した軸受箱の異常を診断する転がり軸受ユニットの診断装置であって、
前記回転試験台上に設置した前記転がり軸受ユニットまたは前記軸受箱に対し任意に可変されたスラスト力を付与するスラスト力付与機構を有し、前記スラスト力付与機構により該転がり軸受ユニットまたは該軸受箱にスラスト力を負荷しながら回転試験を行うとともに、該転がり軸受ユニットまたは該軸受箱に、振動センサ,温度センサ,AEセンサまたは超音波センサのうちから選択される少なくとも1個の異常検出用センサを同一の筐体内に収納固定したことを特徴とする。
【0023】
請求項2記載の転がり軸受ユニットの診断装置は、前記異常検出用センサの筐体は、検出した信号を外部に送出するための信号搬出手段を有し、前記信号搬送手段を介して送出された信号に基づき異常の有無を判定し出力する判定結果出力部を有することを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受ユニットの診断装置である。
【0024】
請求項3記載の転がり軸受ユニットの診断装置は、前記振動センサ,前記AEセンサまたは前記超音波センサから得られた検出波形から不要な周波数帯域を除去するフィルタ部と、前記フィルタ部から転送されたフィルタ後の波形の絶対値を検波するエンベロープ処理部と、前記エンベロープ処理部から転送された波形の周波数を分析する周波数分析部と、回転速度に基づき算出した損傷に起因した周波数と実測データに基づく周波数とを比較する比較照合部と、前記比較照合部での比較結果に基づき、異常の有無、異常部位の特定をする結果出力部を備えていることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の転がり軸受ユニットの診断装置である。
【0025】
請求項4記載の転がり軸受ユニットの診断装置は、前記振動センサから得られた検出波形にウェーブレット処理を施すウェーブレット解析部と、回転速度に基づき算出した損傷に起因した時間間隔と実測データに基づく時間間隔とを比較する比較照合部と、前記比較照合部での比較結果に基づき、異常の有無、異常部位の特定をする結果出力部を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の転がり軸受ユニットの診断装置である。
【0026】
請求項5記載の転がり軸受ユニットの診断装置は、前記振動センサから得られた検出信号の実効値またはピーク値または波高率に基づき、異常の有無、異常部位の特定をする結果出力部を備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の転がり軸受ユニットの診断装置である。
【0027】
請求項6記載の転がり軸受ユニットの診断方法は、請求項1乃至5のいずれかに記載の軸受ユニットの診断装置を用いて前記転がり軸受ユニットまたは前記軸受箱の異常を診断することを特徴とする。
【0028】
上述した本発明の軸受ユニットの診断装置及び診断方法によれば、スラスト力付与機構により、転がり軸受ユニットまたは軸受箱にスラスト力を負荷しながら回転試験が行われる。また、転がり軸受ユニットまたは軸受箱に、振動センサ,温度センサ,AEセンサまたは超音波センサのうちから選択される少なくとも1個の異常検出用センサが同一の筐体内に収納固定されている。
したがって、転がり軸受ユニットまたは軸受箱にスラスト荷重を負荷することにより、転がり軸受の負荷圏及び非負荷圏の存在をなくして転がり軸受の全周を負荷圏とし、転がり軸受の転動体と転動面との接触を安定させることにより、軸受転動面全体の損傷を検出することができる。また、スラスト力付与機構は、スラスト力を軸方向に任意に可変するため、例えば、複列軸受の場合等に、スラスト力の方向を変更することにより片列毎に異常の有無を検査することができる。
【0029】
さらに、スラスト力を負荷することにより、非負荷圏が存在しなくなるため、転がり軸受を低速で回転させた際に非負荷圏で発生する転動体落ち音を低減して、外輪損傷の有無を精度良く診断することができる。また、回転部品の回転状態に伴う振動情報または温度情報が同時に検出されるので、回転部品が組み込まれている機械装置を分解することなく回転部品の回転中に複数の部品の欠陥を同時に検査することができる。そして、転がり軸受ユニットまたは軸受箱に、振動センサ,温度センサ,AEセンサまたは超音波センサのうちから選択される少なくとも1個の異常検出用センサを同一の筐体内に収納固定することにより、異常の有無を検出することができる。これにより、転がり軸受や歯車の異常診断における検出精度を飛躍的に向上させることができ、機械装置の安全性及び信頼性の向上を図ることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の転がり軸受ユニットの診断装置及び診断方法の実施形態を図1乃至図7に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の第1実施形態の転がり軸受ユニットの診断装置の一部破断正面図、図2は図1に示す転がり軸受ユニットの診断装置の異常検出用センサにおける信号処理系統図、図3は図2とは異なる方法の信号処理系統図、図4は図2とはさらに異なる方法の信号処理系統図、図5は図2とはさらに異なる方法の信号処理系統図である。図6は本発明の第2実施形態の転がり軸受ユニットの診断装置の一部破断正面図、図7は本発明の第3実施形態の転がり軸受ユニットの診断装置の一部破断正面図である。なお、第2実施形態以下の各実施形態において、既に説明した部材等と同様な構成・作用を有する部材等については、図中に同一符号または相当符号を付することにより、説明を簡略化或いは省略する。
【0031】
図1に示すように、本発明の第1実施形態の転がり軸受ユニットの診断装置10は、一対の転がり軸受11,11を支持する支持台12,12と、駆動モータ14,駆動ベルト15,駆動プーリ16,継手17を有する駆動装置13と、基部19,19,加圧ロッド20,20,調心機構21,21,加圧板22,22を有するスラスト力付与機構18と、5個の異常検出用センサ23,24,25,26,27と、から構成されており、ギアボックス28を介して車軸1に回転力を与える方式の鉄道車両用輪軸回転試験機(回転試験台)に適用される。
【0032】
転がり軸受11,11は、一対の車輪2が固定された車軸1の端部が内輪(図示しない)に内嵌されている。転がり軸受11,11は、外輪11a,11aが架台29,29上において支持台12,12上に配されている。
【0033】
駆動装置13は、通電により回転力を発生する駆動モータ14が駆動ベルト15を介して駆動プーリ16に連結されており、駆動プーリ16が継手17を介して車軸1に結合されたギアボックス28に連結されている。ギアボックス28は、継手17から与えられた回転を減速または増速したうえで車軸1を回転させる。
【0034】
スラスト力付与機構18を構成する基部19,19は、架台29,29上において転がり軸受11,11の両外側に配置されている。そして、基部19,19の上端部寄りに、加圧ロッド20,20が配されている。
【0035】
スラスト力付与機構18を構成する加圧ロッド20,20は、基部19,19に内蔵されたロードセル等の圧力発生手段により、予め定められた圧力を車軸1の両端部から軸方向に向けて発生する。加圧ロッド20,20のスラスト力は、調心機構21,21に与えられる。加圧ロッド20,20によるスラスト力は、圧力発生手段により任意に変更されるとともに、方向も任意に可変される。
【0036】
スラスト力付与機構18を構成する調心機構21,21は、調心用の球体であり、加圧ロッド20,20から与えられたスラスト力を調心して加圧板22に付与する。
【0037】
スラスト力付与機構18を構成する加圧板22,22は、円筒部22a,22aと、円板部22b,22bと、を備えている。円筒部22aは、転がり軸受11,11の外輪11a,11aの軸方向両端面に当接している。そして、円板部22b,22bの中心部に調心機構21,21が当接している。
【0038】
スラスト力付与機構18は、転がり軸受11,11における外輪11a,11aの端面に対し、車軸1の軸方向に沿った図中の矢印a,a方向のスラスト力を与える。これにより、転がり軸受11,11に負荷圏及び非負荷圏が存在しなくなり、全周を負荷圏とする。また、スラスト力付与機構18は、加圧ロッド20,20によるスラスト力を任意に可変することができるため、図1に示す転がり軸受11,11が複列軸受である場合には、内側列にスラスト力を負荷することとなる。そして、複列軸受の場合に、スラスト力の方向を変更することにより、片列毎にスラスト力をかけることによって、各列毎にスラスト力をかけて診断を行なうことができる。なお、スラスト力は、両転がり軸受11,11に同時に負荷しても良いし、片側ずつ負荷しても良い。片側ずつ負荷する場合には、車軸1の他端にスラスト力の反力支持部を設けるのが好ましい。
【0039】
5個の異常検出用センサ23,24,25,26,27は、振動センサや温度センサまたはAE(アコースティック・エミッション)センサや超音波センサを一体のケース23a,24a,25a,26a,27a内に収納固定した複合型センサである。ケース23a,24a,25a,26a,27aは樹脂モールドにより成形されている。また、5個の異常検出用センサ23,24,25,26,27は、各ケース23a,24a,25a,26a,27aに信号搬送手段30(図2に示す)を内蔵している。信号搬送手段30は、異常検出用センサ23,24,25,26,27が発生したデータ信号(電圧信号)を外部の制御部に転送する機能を有する。信号搬送手段としては、リード線や送信機が用いられる。そして、異常検出用センサ23,24,25,26,27は、加速度或いは速度または変位型等、振動またはAEまたは超音波を電気信号化できるものであれば良く、ノイズが多いような機械装置に取付ける際には、絶縁型を使用する方がノイズの影響を受けることがないので好ましい。
【0040】
温度センサは、サーミスタ温度測定素子や白金測温抵抗体や熱電対等の非接触タイプの温度測定素子である。温度センサとしては、雰囲気温度が規定値を超えると、バイメタルの接点が離れたり、接点が溶断したりすることで導通しなくなる温度フューズを用いても良い。その場合、装置の温度が規定値を超えたとき、温度フューズの導通が遮断されることによって温度異常が検出される。振動センサは、圧電素子等の振動測定素子である。AEセンサは、亀裂の発生や進展、材料内の変態や変形、剥離や割れ、機械的な摩耗や摩擦等に起因する弾性波が固体中を伝わり、それが外表面に振動として現れた時に観察される現象を、固体表面において微小な高周波振動でもって感度よく検出するセンサである。AEセンサでは、圧電変換により機械振動を電気信号に変換して用いる。
【0041】
異常検出用センサ23は、図1中の左方側に配置された一方の転がり軸受11における外輪11aの上部に配されている。異常検出用センサ24は、図1中の右方側に配置された他方の転がり軸受11における外輪11aの上部に配されている。異常検出用センサ25は、図1中の左方側に配置された加圧板22の円板部22bにおける下部に配されている。異常検出用センサ26は、図1中の右方側に配置された加圧板22の円板部22bにおける上部に配されている。異常検出用センサ27は、ギアボックス28の出力端部に配されている。
【0042】
異常検出用センサ23,24は、転がり軸受11,11の温度を検出して温度データ信号(電圧信号)を発生し、信号搬送手段30を通じて温度データ信号を外部の制御部に転送することにより、転がり軸受11,11の焼付き異常を検出するのに用いる。また、異常検出用センサ23,24は、転がり軸受11,11の振動を検出して振動データ信号(電圧信号)を発生し、信号搬送手段30を通じて振動データ信号を外部の制御部に転送することにより、転がり軸受11,11の内外輪軌道面の剥離を検出するのに用いる。
【0043】
異常検出用センサ25,26は、加圧板22,22を介して転がり軸受11,11の温度を検出して温度データ信号(電圧信号)を発生し、信号搬送手段30を通じて温度データ信号を外部の制御部に転送することにより、転がり軸受11,11の焼付き異常を検出するのに用いる。また、異常検出用センサ25,26は、加圧板22,22を介して転がり軸受11,11の振動を検出して振動データ信号(電圧信号)を発生し、信号搬送手段30を通じて振動データ信号を外部の制御部に転送することにより、転がり軸受11,11の内外輪軌道面の剥離を検出するのに用いる。
【0044】
異常検出用センサ27は、ギアボックス28の温度を検出して温度データ信号(電圧信号)を発生し、信号搬送手段30を通じて温度データ信号を外部の制御部に転送するとともに、ギアボックス28の振動を検出して振動データ信号(電圧信号)を発生し、信号搬送手段30を通じて振動データ信号を外部の制御部に転送することにより、ギアボックス28の歯車の欠損を検出するのに用いる。
【0045】
図2に示すように、異常検出用センサ23,24,25,26,27における信号処理の第1の方法において、温度センサが発生した温度データ信号及び振動センサが発生した振動データ信号は、信号搬送手段30を介してコンパレータ201に入力される。コンパレータ201では、温度センサから与えられた温度データ信号値と閾値設定部202に保存されている予め設定された温度閾値とが比較される。同時に振動センサから与えられた振動データ信号値と閾値設定部202に保存されている振動閾値とが比較される。つまり、温度センサ及び振動センサのうちから選択される少なくとも1個の異常が異常検出用センサ23,24,25,26,27により検出される。このとき、温度データ信号値が温度閾値を超えた場合、異常判定部203において温度異常判定信号が出力され、判定結果出力部204において温度異常のアラームが出力される。また、振動データ信号値が振動閾値を超えた場合、異常判定部203で振動異常判定信号が出力され、判定結果出力部204で振動異常のアラームが出力される。アラームは有線や無線で転送されて作動する。このとき、閾値設定部202に保存される温度閾値及び振動閾値、異常判定部203で出力される温度・振動異常判定信号は、任意の時間内における実効値やピーク値を用いても良い。
【0046】
図3に示すように、異常検出用センサ23,24,25,26,27における信号処理の第2の方法において、振動センサが発生した振動データ信号は、信号搬送手段30を介して転送され、増幅後にフィルタ部211で任意の周波数帯域のみを抽出することにより不要な周波数帯域を除去されてエンベロープ処理部212に入力される。エンベロープ処理部212では、波形の絶対値を検波する絶対値検波処理が行われ、その後に周波数分析部213で周波数の分析処理が行なわれ、実測値データが比較照合部214へ転送される。一方、回転速度情報215に基づき理論周波数計算部216において、軸受,歯車,車輪の偏摩耗等の異常に起因したものとして設定された周波数成分の計算値データが比較照合部214に転送される。そして、比較照合部214で実測値データと計算値データとが比較照合されることにより、振動異常の有無、異常部位の特定が行なわれ、結果出力部217で振動異常の有無、特定部位の出力が行なわれる。結果出力部217への情報転送は、有線や無線で行なわれる。
【0047】
信号処理の第2の方法では、例えば電動機等から検出した回転速度情報と回転要素部品の設計諸元に基づけば、周波数成分の計算と比較照合を容易に行うことができる。また、増幅後の振動データ信号の処理は、各種データ処理と演算と行なうもので、例えば、コンピュータ或いは専用マイクロチップ等によっても構成が可能である。さらに、検出したデータ信号をメモリ等の保存手段に格納後に、演算処理を行なうようにしても良い。
【0048】
また、機械によっては軸受の交換に手間を要するため、機械を直ちに停止させることができないことがある。この場合、損傷の程度により軸受の交換を行なうこともある。その場合の判定基準として、予め定めておいた基準値に対して、例えば、振動の実効値、最大値、波高率を用いても良い。
【0049】
図4に示すように、異常検出用センサ23,24,25,26,27における信号処理の第3の方法において、振動センサが発生した振動データ信号は、信号搬送手段30を介して転送され、増幅後にウェーブレット解析部221で、局所的プロセス、マルチスケールプロセス、非定常プロセスを検知するため、信号の解析、符号化、圧縮、再構成等を行って得られた実測値データが比較照合部222へ転送される。一方、回転速度情報223に基づき理論時間周期計算部224において、回転速度に基づき算出した損傷に起因した時間間隔の計算値データが比較照合部222へ転送される。そして、比較照合部222で実測値データと計算値データとが比較照合されることにより、振動異常の有無、異常部位の特定が行なわれ、結果出力部225で、振動異常の有無、特定部位の出力が行なわれる。結果出力部225への情報転送は、有線や無線で行なわれる。
【0050】
信号処理の第3の方法では、例えば、駆動モータ等から検出した回転速度情報と回転要素部品の設計諸元に基づけば、時間間隔の計算と比較照合を容易に行うことができる。
【0051】
図5に示すように、異常検出用センサ23,24,25,26,27における信号処理の第4の方法において、振動センサが発生した振動データ信号は、信号搬送手段30を介して転送された基本統計量演算部231で、振動データ信号の基本統計量が演算処理され、コンパレータ232に入力される。コンパレータ232では、基本統計量演算部231において演算処理された振動データ信号の基本統計量値と、閾値設定部233に保存されている予め設定された振動閾値とが比較される。そして、振動データ信号値の基本統計量値が振動閾値を超えた場合、異常判定部234で振動異常判定信号が出力され、判定結果出力部235で振動異常のアラームが出力される。アラームは有線や無線で転送されて作動する。このとき、閾値設定部234に保存される振動閾値、異常判定部235で出力される振動異常判定信号は、任意の時間内における実効値やピーク値を用いても良い。
【0052】
また、温度センサ及び振動センサを用いて得られた温度情報及び振動情報を基にした異常診断の処理方法として以下に示す方法を用いても良い。
【0053】
(1)エンベロープデータの実効値を基準値として用いる方法
本方法では、先ず予め設定した式を用いて異常時に発生する周波数成分を求める。そして、エンベロープデータの実効値を算出し、この実効値から比較用の基準値を求める。そして、基準値以上の周波数を算出し、異常時に発生する周波数成分との比較を行なう。異常周波数成分としては、内輪傷成分、外輪傷成分、転動体成分、保持器成分が、レベル毎に抽出される。
【0054】
(2)スペクトルのピークを求め、ピーク周波数と異常周波数とを比較する方法
本方法では、先ず異常時に発生する周波数成分を求める。そして、振動分析部で求めた周波数スペクトルの中で所定数または基準値以上のピークについて、異常が発生する周波数成分に該当するかどうかを照合する。この場合も、異常周波数成分としては、内輪傷成分、外輪傷成分、転動体成分、保持器成分が、レベル毎に抽出される。
【0055】
(3)基本周波数と特定の高調波を用いる方法
本方法では、異常周波数成分の基本周波数である1次の値、基本周波数の倍の周波数をもつ2次の値、基本周波数の4倍をもつ4次の値について、ピークの周波数と異常時に発生する周波数が一致しているかどうかを比較し、少なくとも2つの周波数において、異常有りと判断された場合には、最終的に異常有りと判断し、異常有りと判断された周波数が1つ以下である場合には、異常なしと判断する。
【0056】
(4)異常診断と共に損傷の大きさを推定する方法
本方法では、エンベロープ処理後の周波数スペクトルを用い、大きなピークの周波数において、外輪に損傷が発生していることを確認し、この周波数におけるピークの値と周波数スペクトル全体の平均値である基準レベルとを比較することにより、異常を起こしている外輪における損傷の大きさを推定する。
【0057】
(5)基本周波数の自然数倍の高調波成分とのレベル差を基準値とする方法
本方法では、異常周波数成分の基本周波数である1次のレベルに対して、基本周波数の2,3,4,・・・n倍の周波数をもつ2,3,4,・・・n次のレベルが基準値以上となっている個数をカウントし、所定個数以上基準値を超えている場合に、異常が発生していると判断する。具体的には、1次のレベルに対し、n次の値が{(1次のレベル)−(n−1)・a}(dB)以上である場合に、カウントを行なう。ここでaは、任意の値である。
【0058】
(6)周波数帯域毎の実効値を用いる方法
本方法では、異常に起因する周波数のピークレベルそのものの値ではなく、異常に起因する周波数を含む周波数帯の実効値を用いて、異常診断を行なう。具体的には、異常に起因する周波数を含む周波数帯の実効値とは、周波数帯のレベルの自乗平均またはパーシャルオーバオールである。ここで、自乗平均及びパーシャルオーバオールは、予め定められた式により得られる。オーバオールは、特定の指定区間の総和を意味する。
【0059】
上述したように、第1実施形態の転がり軸受ユニットの診断装置10及び診断方法によれば、スラスト力付与機構18により、転がり軸受11,11にスラスト力を負荷しながら回転試験が行われる。また、転がり軸受11,11の外周部に、振動センサや温度センサまたはAEセンサや超音波センサを内蔵した異常検出用センサ23,24が同一のケース23a,24a内に収納固定されている。
したがって、転がり軸受11,11にスラスト荷重を負荷することにより、転がり軸受11,11の負荷圏及び非負荷圏の存在をなくして転がり軸受の全周を負荷圏とし、転がり軸受11,11の転動体と転動面との接触を安定させることにより、軸受転動面全体の損傷を検出することができる。また、スラスト力付与機構18は、スラスト力を軸方向に任意に可変するため、例えば、複列軸受の場合等に、スラスト力の方向を変更することにより片列毎に異常の有無を検査することができる。
【0060】
さらに、スラスト力を負荷することにより、非負荷圏が存在しなくなるため、転がり軸受11,11を低速で回転させた際に非負荷圏で発生する転動体落ち音を低減して、外輪損傷の有無を精度良く診断することができる。また、回転部品の回転状態に伴う振動情報または温度情報が同時に検出されるので、回転部品が組み込まれている機械装置を分解することなく回転部品の回転中に複数の部品の欠陥を同時に検査することができる。そして、転がり軸受11,11の外周面に、振動センサや温度センサまたはAEセンサや超音波センサを内蔵した異常検出用センサ23,24を同一のケース23a,24a内に収納固定することにより、異常の有無を検出することができる。これにより、転がり軸受11,11や歯車の異常診断における検出精度を飛躍的に向上させることができ、機械装置の安全性及び信頼性の向上を図ることができる。
異常の検出の有無は、少なくとも振動センサ,温度センサ,AEセンサ,超音波センサから選択される少なくとも1つがあれば可能であるが、少なくとも振動センサ,AEセンサ,超音波センサから選択される少なくとも1つを用いる方がより望ましい。さらに、図2〜図5のような解析を用いて異常判定を行うには、過去の異常データベースを利用できる点で振動センサを用いるのが望ましい。ただし、微小クラッチ発生の初期段階で異常を検出したい場合や、内部欠陥を検出するには、振動センサの代わりにAEセンサや超音波センサを用いる方が適切である。温度センサは、前記3種類のセンサと組み合わせて異常判定に用いる方が単独で異常検出する場合より効果が大きい。
【0061】
次に、図6を用いて本発明に係る第2実施形態を説明する。
図6に示すように、第2実施形態の転がり軸受ユニットの診断装置40は、第1実施形態においての支持台12,12に代えて、転がり軸受11,11を内嵌した軸受箱41,41を備え、さらに、円板形状の加圧板42,42を用い、軸受箱41,41の上部に異常検出用センサ23,24を配している。
【0062】
この場合の転がり軸受ユニットの診断装置40では、図6中左方側に配置された一方の加圧ロッド20により、加圧板42を介して図6中左方側に配置された一方の軸受箱41を図6中右方向に向く矢印a方向にスラスト力として押圧している。そのため、転がり軸受11,11の内側列にスラスト力を負荷して診断を行うことができる。この場合、図6中右方側に配置された他方の加圧ロッド20を、他方の加圧板42に与えられているスラスト力を受けるように、矢印b方向に引張するようにすれば、転がり軸受11,11の外側列にスラスト力を負荷して診断を行うことができる。この場合、加圧板42,42として、転がり軸受11,11の端面の全周に負荷する形状であっても良く、或いは円周等配3点位置において負荷する形状であっても良い。また、この場合、転がり軸受11,11にモーメント荷重が負荷されると、転がり軸受11,11の隙間が円周方向で不均一になって好ましくないため、負荷部材としてばね等の弾性部材による調心機構を配するのが好ましい。第2実施形態の転がり軸受ユニットの診断装置40においても、第1実施形態と同様の信号処理が行われる。
【0063】
次に、図7を用いて本発明に係る第3実施形態を説明する。
図7に示すように、第3実施形態の転がり軸受ユニットの診断装置45は、第2実施形態における軸受箱41,41を、架台29,29上に配された直動案内46,46上に固定している。
【0064】
この場合の転がり軸受ユニットの診断装置45では、軸受箱41,41が、直動案内46,46により、軸方向に移動可能な自由度を有しているため、転がり軸受11,11における外輪11a,11aの端面及び軸受箱41,41の端面にスラスト力を負荷することとなり、軸受箱41,41の鍔部と転がり軸受11,11の端面とが接触することにより、転がり軸受11,11にスラスト力が負荷される。この場合、軸受箱41,41は二つ割れに形成する方が取付けを容易に行うことができる。第3実施形態の転がり軸受ユニットの診断装置45においても、第1実施形態と同様の信号処理が行われる。
【0065】
なお、本発明に係る転がり軸受ユニットの診断装置は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜な変形、改良等が可能である。例えば、転がり軸受ユニットの診断装置に用いられる転がり軸受として、円筒ころ軸受と単列ラジアル玉軸受との組合せや円筒ころ軸受或いは円すいころ軸受又は自動調心ころ軸受を用いるのが好ましい。
また、上記実施形態では異常検出用センサを作業性を考慮して軸受ユニットまたは軸受箱の外周部に固定してあるが、転がり軸受の外輪や軸受箱に埋設してもよく、センサ取付位置はセンシングの精度や速度が最適な条件になるように選定することが望ましい。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の転がり軸受ユニットの診断装置及び診断方法によれば、スラスト力付与機構により、転がり軸受ユニットまたは軸受箱にスラスト力を負荷しながら回転試験が行われる。また、転がり軸受ユニットまたは軸受箱に、振動センサ,温度センサ,AEセンサまたは超音波センサのうちから選択される少なくとも1個の異常検出用センサが同一の筐体内に収納固定されている。
したがって、転がり軸受や歯車の異常診断における検出精度を飛躍的に向上させることができ、機械装置の安全性及び信頼性の向上を図ることができる。その結果、分解するのに多くの手間がかかるような機械装置の分解を行なうことなく、回転させながら定期的に検査試験を行う場合、その機械装置の回転部品の欠陥を見落とすことなく高精度な検出が可能な転がり軸受ユニットの診断装置を提供し、装置の分解や組み立て直しにかかる手間を軽減すること、及び分解や組み立てに伴う部品の新たな損傷防止を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の転がり軸受ユニットの診断装置の一部破断正面図である。
【図2】図1に示した転がり軸受ユニットの診断装置の異常検出手段における信号処理系統図である。
【図3】図2とは異なる方法の信号処理系統図である。
【図4】図2とはさらに異なる方法の信号処理系統図である。
【図5】図2とはさらに異なる方法の信号処理系統図である。
【図6】本発明の第2実施形態の転がり軸受ユニットの診断装置の一部破断正面図である。
【図7】本発明の第3実施形態の転がり軸受ユニットの診断装置の一部破断正面図である。
【図8】従来の転がり軸受ユニットの診断装置の正面図である。
【図9】従来の他の転がり軸受ユニットの診断装置の正面図である。
【図10】従来の更に他の転がり軸受ユニットの診断装置の正面図である。
【図11】従来の更に他の転がり軸受ユニットの診断装置の断面図である。
【図12】従来の更に他の転がり軸受ユニットの診断装置の断面図である。
【図13】従来の更に他の転がり軸受ユニットの診断装置の断面図である。
【図14】従来の更に他の構成例のブロック図である。
【図15】従来の更に他の構成例のブロック図である。
【図16】従来の更に他の構成例のブロック図である。
【図17】(a)は低速回転時におけるころの動きの説明図、(b)は高速回転時におけるころの動きの説明図である。
【符号の説明】
10,40,45 転がり軸受ユニットの診断装置
11 転がり軸受
18 スラスト力付与機構
23,24,25,26,27 異常検出用センサ
23a,24a,25a,26a,27a ケース(筐体)
30 信号搬出手段
41 軸受箱
204,235 判定結果出力部
211 フィルタ部
212 エンベロープ処理部
213 周波数分析部
214 比較照合部
217 結果出力部
221 ウェーブレット解析部
222 比較照合部
225 結果出力部

Claims (6)

  1. 回転試験台を用いてラジアル荷重が負荷される転がり軸受ユニットまたは転がり軸受ユニットを内装した軸受箱の異常を診断する転がり軸受ユニットの診断装置であって、
    前記回転試験台上に設置した前記転がり軸受ユニットまたは前記軸受箱に対し任意に可変されたスラスト力を付与するスラスト力付与機構を有し、前記スラスト力付与機構により該転がり軸受ユニットまたは該軸受箱にスラスト力を負荷しながら回転試験を行うとともに、該転がり軸受ユニットまたは該軸受箱に、振動センサ,温度センサ,AEセンサまたは超音波センサのうちから選択される少なくとも1個の異常検出用センサを同一の筐体内に収納固定したことを特徴とする転がり軸受ユニットの診断装置。
  2. 前記異常検出用センサの筐体は、検出した信号を外部に送出するための信号搬出手段を有し、前記信号搬送手段を介して送出された信号に基づき異常の有無を判定し出力する判定結果出力部を有することを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受ユニットの診断装置。
  3. 前記振動センサ,AEセンサまたは超音波センサから得られた検出波形から不要な周波数帯域を除去するフィルタ部と、前記フィルタ部から転送されたフィルタ後の波形の絶対値を検波するエンベロープ処理部と、前記エンベロープ処理部から転送された波形の周波数を分析する周波数分析部と、回転速度に基づき算出した損傷に起因した周波数と実測データに基づく周波数とを比較する比較照合部と、前記比較照合部での比較結果に基づき、異常の有無、異常部位の特定をする結果出力部を備えていることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の転がり軸受ユニットの診断装置。
  4. 前記振動センサから得られた検出波形にウェーブレット処理を施すウェーブレット解析部と、回転速度に基づき算出した損傷に起因した時間間隔と実測データに基づく時間間隔とを比較する比較照合部と、前記比較照合部での比較結果に基づき、異常の有無、異常部位の特定をする結果出力部を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の転がり軸受ユニットの診断装置。
  5. 前記振動センサから得られた検出信号の実効値またはピーク値または波高率に基づき、異常の有無、異常部位の特定をする結果出力部を備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の転がり軸受ユニットの診断装置。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の軸受ユニットの診断装置を用いて前記転がり軸受ユニットまたは前記軸受箱の異常を診断することを特徴とする転がり軸受ユニットの診断方法。
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