JP2004233157A - レーダ環境判定方法、物体判定方法及びレーダ環境判定システム - Google Patents

レーダ環境判定方法、物体判定方法及びレーダ環境判定システム Download PDF

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Koichi Kinoshita
航一 木下
Keisuke Saito
啓介 齋藤
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Abstract

【課題】誤検知や環境の変化に基づくレーダの誤動作を防止することが可能なレーダ環境判定方法、物体判定方法及びレーダ環境判定システムを提供する。
【解決手段】変動監視部302が、受信した信号に基づいて、長期にわたる回帰反射のレベルの一定値以上の変動である長期変動、短期の回帰反射のレベルの一定以上の変動である短期変動、回帰反射のレベルと直接反射のレベルとの相関の変動である相関変動を監視し、これらの監視結果に基づいて、総合判定部404が環境に変化が発生したのか否かを判定し、この判定に基づいて警報発生部303が警報を発生する。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば検知エリア内に電波等の波動を照射し、これの反射物からの反射波を検出することによって、検知エリア内への物体の存在を検出する物体判定方法、さらに、このような物体の存在を検出するためのレーダの環境を判定するレーダ環境判定方法およびレーダ環境判定システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、種々の防犯センサが利用されている。そして、人体などを検知する防犯センサとしては、種々の方式のセンサ、例えば赤外線センサ、超音波センサ、および電波センサなどが提案されている。
【0003】
上記の防犯センサの中でも、電波センサは、屋外使用時などにおいて、雨、雪、風などの自然環境変動要因に対する依存性が極めて低いので、検知エリア内の人体を高い精度で検出することが可能となっている。
【0004】
上記電波センサは、種々の方式のものがあるが、例えば特開2000−3478号公報(特許文献1)には、次のような構成の電波センサが開示されている。該電波センサは、まず、警戒範囲に対して、周波数を変調させた電波を照射する。そして、照射した電波の反射波を受信し、もとの電波と反射波とを混合させてビート波を生成する。このビート波をスペクトル解析し、ピークが存在する周波数および強度を調べることによって、人体の検出およびその距離の検出が行われる。
【0005】
このように、電波センサは、自然環境変動要因による外乱の影響を受けずに、かつ、検出した人体の位置までも把握することができるので、防犯センサとして優れた性能を有している。
【0006】
一方、赤外線センサとして、例えば実用新案登録第2566878号公報(特許文献2)には、回帰反射方式によって物体の進入を検知する回帰反射形光電センサが開示されている。
【0007】
回帰反射方式とは、赤外線センサの場合には、検出領域内に予め反射板などを設置しておき、この反射板に対して赤外線を照射し、反射板からの反射光を検出することによって、検出領域内への人体などの物体の進入を検知するものである。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−3478号公報
【特許文献2】
実用新案登録第2566878号公報
【特許文献3】
特開平4−330600号公報
【特許文献4】
特開平11−109030号公報
【特許文献5】
特開2001−166035号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
レーダの設置された環境によっては、回帰・直接反射に対して、本来の電波伝搬経路以外にも、反射、回折等の影響により複数の経路が存在することがある。これをマルチパスという。
【0010】
このような環境では、侵入者がレーダ−反射物間に入った場合でも回帰反射レベルが十分に落ち込まず、誤検知を起こしやすい。
【0011】
またこのようにマルチパスが発生すると、複数の電波伝搬経路の電波が、少しの位相差により強めあったり弱めあったりするといった現象が発生しやすい。このような現象をフェージングという。フェージングが発生すると、通常反射波のスペクトル強度が本来よりも減少したり、激しいノイズを生じるなどの現象を発生することがある。
【0012】
以上のようなマルチパス及びフェージングが発生している状況では、人が侵入した場合でも回帰反射レベルが十分に変化しないために侵入を検知できない、または何も物体がないのに受信波に大きな変動を観測することより侵入者と判断する、などの誤動作をおこす可能性が高い。なお、本明細書では、本来の検知対象ではないものに基づいて検知動作を行う誤検知をも含めて誤動作という場合がある。
【0013】
例えば、特開平4−330600号公報(特許文献3)に記載の、レーダ式車両感知器は、車両検知の基準となる閾値を気象、路面等の環境状況に応じて自動的に設定することを目的としたものである。
【0014】
しかし、この技術は、主にドップラーレーダを対象として、検知対象が何も存在しない空間のノイズレベルを観測しているのみであり、より高精度な信号処理を可能にすることはできない。
【0015】
また、特開平11−109030号公報(特許文献4)に記載の、車載用レーダ装置は、雨滴センサ、温度センサ等の他のセンサからの入力を参考として、内部閾値の補正を行うことを目的とした車載用レーダ装置に関するものである。
【0016】
しかし、この従来技術では、レーダ以外の検知手段を必要としないで、受信波形の信号処理だけにより環境異常の検知、閾値補正を行うことはできない。
【0017】
また、特開2001−166035号公報(特許文献5)に記載の、レーダ装置及びノイズレベル閾値変更方法は、FMCWレーダ(frequency modulated continuous wave レーダ)において、検知対象がない位置のノイズレベルを常時測定し閾値の補正を行うことにより、高精度なレーダ装置を実現することを目的としたものである。
【0018】
しかし、この従来技術は、反射物が存在する位置を常に監視しその反射波強度を監視することができない。
【0019】
すなわち、この従来技術は、何もない空間のノイズレベルを監視する。したがって、観測値に対するノイズ変動を相対的に小さくし、より高精度な閾値補正を行うことはできない。
【0020】
ここで、レーダ誤動作の原因となりやすい項目を整理すると、次のようになる。
【0021】
[レーダ誤作動の原因となる項目]
A.マルチパス
マルチパスは、障害物・反射物の存在により、電波伝搬経路が複数発生することにより生じる。
【0022】
B.フェージング
フェージングは、マルチパス間の干渉、または妨害電波との干渉により激しいノイズを生じる。
【0023】
C.天候変化(雨滴、降雪)
天候変化により、レーダ表面へ水滴が付着し、または空気中に雨滴が存在し、電波減衰が生じる。
また、降雪といった天候変化により、地面、周囲からのマルチパスが発生する。
【0024】
D.周囲環境(障害物、反射物)
障害物、反射物の存在という周囲環境によりマルチパスが発生する。
妨害電波による干渉が発生する。
【0025】
E.経年変化(汚れ等)
・レーダ表面への汚れの付着による電波減衰が発生する。
【0026】
以上のような自然現象等に伴う環境の変化が発生した場合、侵入者認識レーダは誤動作を起こす危険性が高かった。
【0027】
具体的な誤動作の例としては、次のような例が挙げられる。
1.人の侵入があった場合に、これを検知できない。
2.侵入物が何もない場合に、侵入者ありと検知する。
3.小物体が侵入した際に、誤って人と認識する(誤検知)。
【0028】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、その目的は、誤検知や環境の変化に基づくレーダの誤動作を防止することが可能なレーダ環境判定方法、物体判定方法及びレーダ環境判定システムを提供することにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明に係るレーダ環境判定方法は、波動を検知対象領域に対して照射し、反射手段により反射された波動及び前記検知対象領域に入った物体から反射された波動を受信することにより、物体の検出を行うレーダのレーダ環境判定方法であって、前記反射手段からの波動の強度を所定のタイミングで記憶し、該記憶された波動の強度の平均値が所定の基準値を超えているか否かを判定し、該判定結果を監視結果として出力する長期変動監視工程と、出力された前記監視結果に基づいて所定の出力を行うか否かの判定を行う判定工程とを備えることを特徴とする。
【0030】
また、本発明に係るレーダ環境判定方法は、波動を検知対象領域に対して照射し、反射手段により反射された波動及び前記検知対象領域に入った物体から反射された波動を受信することにより、物体の検出を行うレーダのレーダ環境判定方法であって、所定のタイミングにおいて所定の期間内における前記反射手段からの波動の強度を記憶し、該記憶された前記反射手段からの波動の強度の分散又は標準偏差を計算して記憶し、該記憶された分散又は標準偏差の平均が所定の値を超えているか否かを判定し、該判定結果を監視結果として出力する短期変動監視工程と、出力された前記監視結果に基づいて所定の出力を行うか否かの判定を行う判定工程とを備えることを特徴とする。
【0031】
また、本発明に係るレーダ環境判定方法は、波動を検知対象領域に対して照射し、反射手段により反射された波動及び前記検知対象領域に入った物体から反射された波動を受信することにより、物体の検出を行うレーダのレーダ環境判定方法であって、所定のタイミングにおいて所定の期間内における前記反射手段からの波動の強度を記憶し、該記憶された前記反射手段からの波動の強度が連続してある値を超えた回数を記憶し、該記憶された回数が所定の値を超えているか否かを判定し、該判定結果を監視結果として出力する短期変動監視工程と、出力された前記監視結果に基づいて所定の出力を行うか否かの判定を行う判定工程とを備えることを特徴とする。
【0032】
また、本発明に係るレーダ環境判定方法は、波動を検知対象領域に対して照射し、反射手段により反射された波動及び前記検知対象領域に入った物体から反射された波動を受信することにより、物体の検出を行うレーダのレーダ環境判定方法であって、前記検知対象領域に入った物体から反射された波動の強度が、該物体の存在する位置に対応した、予め格納されている閾値を超えているか否かを判定し、該閾値を超えている場合には、前記反射手段により反射された波動の強度の落ち込みが、前記物体の存在する位置に対応した、予め格納されている前記反射手段により反射された波動の強度の落ち込みを上回っているか否かを判定し、該判定結果を監視結果として出力する相関監視工程と、出力された前記監視結果に基づいて所定の出力を行うか否かの判定を行う判定工程とを備えることを特徴とする。
【0033】
また、本発明に係る物体判定方法は、波動を検知対象領域に対して照射し、反射手段により反射された波動及び前記検知対象領域に入った物体から反射された波動を受信することにより、物体の検出を行うレーダに適用される物体判定方法であって、前記検知対象領域に入った物体から反射された波動の強度が、該物体の存在する位置に対応した、予め格納されている閾値を超えているか否かを判定し、該閾値を超えている場合には、前記反射手段により反射された波動の強度の落ち込みが、前記物体の存在する位置に対応した、予め格納されている前記反射手段により反射された波動の強度の落ち込みを上回っているか否かを判定し、該判定結果が上回っていると判断された場合に物体を検出したと判定することを特徴とする。
【0034】
さらに、本発明に係るレーダ環境判定方法は、波動を検知対象領域に対して照射し、反射手段により反射された波動及び前記検知対象領域に入った物体から反射された波動を受信することにより、物体の検出を行うレーダのレーダ環境判定方法であって、前記反射手段からの波動の強度を所定のタイミングで記憶し、該記憶された波動の強度の平均値が所定の基準値を超えているか否かを判定し、該判定結果を監視結果として出力する長期変動監視工程と、所定のタイミングにおいて所定の期間内における前記反射手段からの波動の強度を記憶し、該記憶された前記反射手段からの波動の強度の分散又は標準偏差を計算して記憶し、該記憶された分散又は標準偏差の平均が所定の値を超えているか否かを判定し、該判定結果を監視結果として出力する短期変動監視工程と、前記検知対象領域に入った物体から反射された波動の強度が、該物体の存在する位置に対応した、予め格納されている閾値を超えているか否かを判定し、該閾値を超えている場合には、前記反射手段により反射された波動の強度の落ち込みが、前記物体の存在する位置に対応した、予め格納されている前記反射手段により反射された波動の強度の落ち込みを上回っているか否かを判定し、該判定結果を監視結果として出力する相関監視工程と、前記長期変動監視工程、前記短期変動監視工程及び前記相関監視工程のそれぞれから出力された少なくとも一つの前記監視結果に基づいて所定の出力を行うか否かの判定を行う判定工程とを備えることを特徴とする。
【0035】
また、本発明に係るレーダ環境判定方法は、波動を検知対象領域に対して照射し、反射手段により反射された波動及び前記検知対象領域に入った物体から反射された波動を受信することにより、物体の検出を行うレーダのレーダ環境判定方法であって、前記反射手段からの波動の強度を所定のタイミングで記憶し、該記憶された波動の強度の平均値が所定の基準値を超えているか否かを判定し、該判定結果を監視結果として出力する長期変動監視工程と、所定のタイミングにおいて所定の期間内における前記反射手段からの波動の強度を記憶し、該記憶された前記反射手段からの波動の強度が連続してある値を超えた回数を記憶し、該記憶された回数が所定の値を超えているか否かを判定し、該判定結果を監視結果として出力する短期変動監視工程と、前記検知対象領域に入った物体から反射された波動の強度が、該物体の存在する位置に対応した、予め格納されている閾値を超えているか否かを判定し、該閾値を超えている場合には、前記反射手段により反射された波動の強度の落ち込みが、前記物体の存在する位置に対応した、予め格納されている前記反射手段により反射された波動の強度の落ち込みを上回っているか否かを判定し、該判定結果を監視結果として出力する相関監視工程と、前記長期変動監視工程、前記短期変動監視工程及び前記相関監視工程のそれぞれから出力された少なくとも一つの前記監視結果に基づいて所定の出力を行うか否かの判定を行う判定工程とを備えることを特徴とする。
【0036】
また、本発明に係るレーダ環境判定方法は、前記判定工程は、前記長期変動監視工程からの監視結果に基づく値をA1、前記短期変動監視工程からの監視結果に基づく値をA2、前記相関監視工程からの監視結果に基づく値をA3とし、W1、W2、W3を所定の重み付けの値とした場合に、S=A1・W1+A2・W2+A3・W3により与えられる値Sが所定の閾値を超えている場合に、前記監視結果に基づく出力を行うと判定することを特徴とする。
【0037】
また、本発明に係るレーダ環境判定方法は、前記反射手段からの波動の強度を所定のタイミングで記憶し、該記憶された波動の強度が前記所定の基準値を超えているか否かを判定し、超えている場合は、前記所定の基準値に所定の値を加算して新たな前記所定の基準値とし、超えていない場合は、前記所定の基準値から所定の値を減算して新たな前記所定の基準値とする補正工程を備えることを特徴とする。
【0038】
また、本発明に係るレーダ環境判定方法は、前記反射手段からの波動の強度を複数の所定のタイミングでそれぞれ記憶し、該記憶された複数個の波動の強度の平均値を新たな前記所定の基準値とする補正工程を備えることを特徴とする。
【0039】
さらに、本発明に係るレーダ環境判定システムは、波動を検知対象領域に対して照射する照射手段と、前記照射された波動を反射する反射手段と、前記反射手段により反射された波動及び前記検知対象領域に入った物体から反射された波動を受信する受信手段と、前記受信手段において受信した波動の強度を監視する監視手段と、前記監視手段の監視結果に基づく所定の出力を行うか否かを判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果に基づいて前記所定の出力を行う出力手段とを備え、前記監視手段は、前記反射手段により反射された波動の強度の長期変動を監視する長期変動監視手段と、前記反射手段により反射された波動の強度の短期変動を監視する短期変動監視手段と、前記反射手段からの波動の強度と前記検知対象領域に入った物体から反射された波動の強度との相関を監視する相関監視手段とを備え、前記長期変動監視手段は、前記反射手段からの波動の強度を所定のタイミングで記憶し、該記憶された波動の強度の平均値が所定の基準値を超えているか否かを判定し、該判定結果を前記監視結果として出力し、前記短期変動監視手段は、所定のタイミングにおいて所定の期間内における前記反射手段からの波動の強度を記憶し、該記憶された前記反射手段からの波動の強度の分散又は標準偏差を計算して記憶し、該記憶された分散又は標準偏差の平均が所定の値を超えているか否かを判定し、該判定結果を前記監視結果として出力し、前記相関監視手段は、前記検知対象領域に入った物体から反射された波動の強度が、該物体の存在する位置に対応した、予め格納されている閾値を超えているか否かを判定し、該閾値を超えている場合には、前記反射手段により反射された波動の強度の落ち込みが、前記物体の存在する位置に対応した、予め格納されている前記反射手段により反射された波動の強度の落ち込みを上回っているか否かを判定し、該判定結果を前記監視結果として出力し、前記判定手段は、前記長期変動監視手段、前記短期変動監視手段及び前記相関監視手段のそれぞれから出力された少なくとも一つの監視結果に基づいて判定を行うことを特徴とする。
【0040】
また、本発明に係るレーダ環境判定システムは、波動を検知対象領域に対して照射する照射手段と、前記照射された波動を反射する反射手段と、前記反射手段により反射された波動及び前記検知対象領域に入った物体から反射された波動を受信する受信手段と、前記受信手段において受信した波動の強度を監視する監視手段と、前記監視手段の監視結果に基づく所定の出力を行うか否かを判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果に基づいて前記所定の出力を行う出力手段とを備え、前記監視手段は、前記反射手段により反射された波動の強度の長期変動を監視する長期変動監視手段と、前記反射手段により反射された波動の強度の短期変動を監視する短期変動監視手段と、前記反射手段からの波動の強度と前記検知対象領域に入った物体から反射された波動の強度との相関を監視する相関監視手段とを備え、前記長期変動監視手段は、前記反射手段からの波動の強度を所定のタイミングで記憶し、該記憶された波動の強度の平均値が所定の基準値を超えているか否かを判定し、該判定結果を前記監視結果として出力し、前記短期変動監視手段は、所定のタイミングにおいて所定の期間内における前記反射手段からの波動の強度を記憶し、該記憶された前記反射手段からの波動の強度が連続してある値を超えた回数を記憶し、該記憶された回数が所定の値を超えているか否かを判定し、該判定結果を前記監視結果として出力し、前記相関監視手段は、前記検知対象領域に入った物体から反射された波動の強度が、該物体の存在する位置に対応した、予め格納されている閾値を超えているか否かを判定し、該閾値を超えている場合には、前記反射手段により反射された波動の強度の落ち込みが、前記物体の存在する位置に対応した、予め格納されている前記反射手段により反射された波動の強度の落ち込みを上回っているか否かを判定し、該判定結果を前記監視結果として出力し、前記判定手段は、前記長期変動監視手段、前記短期変動監視手段及び前記相関監視手段のそれぞれから出力された少なくとも一つの監視結果に基づいて判定を行うことを特徴とする。
【0041】
また、本発明に係るレーダ環境判定システムは、前記判定手段は、前記長期変動監視手段からの監視結果に基づく値をA1、前記短期変動監視手段からの監視結果に基づく値をA2、前記相関監視手段からの監視結果に基づく値をA3とし、W1、W2、W3を所定の重み付けの値とした場合に、S=A1・W1+A2・W2+A3・W3により与えられる値Sが所定の閾値を超えている場合に、前記監視結果に基づく出力を行うと判定することを特徴とする。
【0042】
また、本発明に係るレーダ環境判定システムは、前記長期変動監視手段は、前記反射手段からの波動の強度を所定のタイミングで記憶し、該記憶された波動の強度が前記所定の基準値を超えているか否かを判定し、超えている場合は、前記所定の基準値に所定の値を加算して新たな前記所定の基準値とし、超えていない場合は、前記所定の基準値から所定の値を減算して新たな前記所定の基準値とすることを特徴とする。
【0043】
また、本発明に係るレーダ環境判定システムは、前記長期変動監視手段は、前記反射手段からの波動の強度を複数の所定のタイミングでそれぞれ記憶し、該記憶された複数個の波動の強度の平均値を新たな前記所定の基準値とすることを特徴とする。
【0044】
ここで、上記の波動とは、例えば電磁波や音波であるがこれらに限定されるものではない。
【0045】
また、本発明に係るレーダ環境判定方法及びレーダ環境判定システムにおいて検出される物体としては、車、バイク、動物などの物に限定されるものではなく、人(侵入者)も含まれる。
【0046】
また、出力手段が行う出力としては、例えば、警報、画面表示、ランプの点灯、音声の発声、物の移動などを挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、監視結果を管理者などに伝達できるものであれば良い。
【0047】
判定手段は、A1、A2、A3などの監視結果を用いるが、これは、例えば、長期変動監視手段、短期変動監視手段及び相関監視手段の判定結果に基づいて1又は0の値をとるとして良い。
【0048】
さらに、判定手段は、W1、W2、W3などの重み付けの値を用いるが、これらは、本発明に係るレーダ環境判定方法及びレーダ環境判定システムの使用環境に応じて適宜変更することができる。例えば、長期変動監視手段の判定結果が重要であれば、W1の値を大きくするなどである。これにより、本発明に係るレーダ環境判定方法及びレーダ環境判定システムの使用環境に応じて適切な検出を行うことができる。
【0049】
また、上記長期変動とは、長期間にわたる平常状態の、反射手段により反射された波動のスペクトル強度の変動のことをいう。
【0050】
また、上記短期変動とは、ノイズなどの、短期間での反射手段により反射された波動のスペクトル強度の変動のことをいう。
【0051】
また、上記相関とは、反射手段により反射された波動のスペクトル強度と検知対象領域に入った物体から反射された波動のスペクトル強度との間の関係をいう。
【0052】
また、おおよその目安として短期変動は、数秒程度の間での信号強度の変動を、長期変動は数分から数時間での信号強度の変動をとらえることを目的としている。
【0053】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るレーダ環境判定システムの各実施形態について説明する。以下の説明において、既述の図面の部材と同様の部材には同じ番号を付す。また、以下に説明する本発明に係るレーダ環境判定システムの各実施形態の説明は、本発明に係るレーダ環境判定方法の各実施形態の説明を兼ねる。
【0054】
[レーダ環境判定システムの第1の実施形態]
以下、図面を参照して、本発明に係るレーダ環境判定システムの第1の実施形態について説明する。
【0055】
(本実施形態のレーダ環境判定システムの動作原理)
まず、本発明に係るレーダ環境判定システムの第1の実施形態の動作原理について、図1及び図2を参照して説明する。図1及び図2は、本発明に係るレーダ環境判定システムの第1の実施形態の動作原理図である。
【0056】
本実施形態のレーダ環境判定システムは、図1(a)に示されるように、FMCWレーダ101と、このFMCWレーダと101と対向させて設置した1つ以上の反射物102とからなる。ただし、図1に示される例では、反射物は1つの場合を示している。
【0057】
そして、図1(b)に示されるように、FMCWレーダ101は、周波数を変調させた電波を放射し、受信波と元の信号波を混合することによりビート波を生成する。このビート波をスペクトル解析し、ピークが存在する周波数および強度を調べることによって、対象物の検出および距離の検出を行う。
【0058】
次に、図1に示されるレーダ環境判定システムにおける侵入者の検出方法について図2を用いて説明する。
【0059】
図2(a)に示されるように、侵入者のない状態(平常時)では、FMCWレーダ101は反射物102からの反射を受けている。
【0060】
この反射物102からの反射を回帰反射とよぶ。この状態では、受信波のビート波スペクトルには、反射物の場所に対応した周波数にピークAが見られる(図2(b))。
【0061】
しかし、図2(c)に示されるように、レーダ−反射物間に、例えば侵入者等の物体201がある場合(侵入物体発生時)、図2(d)に示されるように、この物体201が反射物102を隠すことによりピークAは消滅、あるいは減少する。
【0062】
したがって、この回帰反射に対応するスペクトル値を監視することによって、レーダ−反射物間に物体201があるかどうかを検出することができる。
【0063】
一方、レーダ−反射物間に物体201がある場合、この物体201が電波を反射することによってビート波スペクトルには新たなピークBが発生する。これを直接反射とよぶ。ピークBの周波数を調べることにより、レーダから侵入物までの距離を得ることができる。
【0064】
本実施形態のレーダ環境判定システムでは、これら回帰反射、直接反射を観測することにより、遠距離までの確実な検知性能と、正確な距離測定能力を両立させることができる。
【0065】
(レーダ環境判定システムの詳細な構成)
次に、図1に示されるレーダ環境判定システムの詳細な構成について、図3を参照して説明する。図3は、図1に示されるレーダ環境判定システムの詳細な構成を示すブロック図である。
【0066】
図3に示されるように、本実施形態のレーダ環境判定システムは、FMCWレーダ101と、このFMCWレーダ101からの電波を反射する反射物102とを備える。
【0067】
なお、図3に示される例では、反射物102の数は1つであるが、本実施形態の反射物の数としては1つに限定されるものではない。
【0068】
FMCWレーダ101は、レーダ部301、変動監視部302、警報発生部303とから構成される。
【0069】
レーダ部301は、入力した信号のアナログ−デジタル変換を行うA/D変換部304と、レーダを送信するレーダ送信部305と、レーダを受信するレーダ受信部306と、反射物102との間で電波のやりとりを行うアンテナ307とを備える。
【0070】
変動監視部302は、スペクトル強度の短期変動、長期変動及び相関変動を監視する部材であり、詳細な動作説明は後述する。
【0071】
警報発生部303は、変動監視部302の監視結果に基づいて警報を発生する。この警報は、音声、画面表示、ランプの点滅その他の適宜な警報であるとして良い。また、警報発生部303が上位の防犯システムに接続され、警報として、警報発生部303からの信号がこの上位の防犯システムに送信されるとしても良い。
【0072】
次に、図3に示される変動監視部302の構成について図4を参照して説明する。図4は、図3に示される変動監視部302の構成を示すブロック図である。
【0073】
図4に示されるように、変動監視部302は、レーダ部301からの受信信号を受信する。
【0074】
また、図4に示されるように、変動監視部302は、長期変動監視部401と、短期変動監視部402と、相関監視部403と、総合判定部404とを備える。
【0075】
長期変動監視部401は、回帰反射のスペクトル強度の長期にわたる変動を監視する。
【0076】
短期変動監視部402は、ノイズのような短期間でのスペクトル強度の変動を監視する。
【0077】
相関監視部403は、回帰反射のスペクトル強度と直接反射のスペクトル強度との相関関係を監視する。
【0078】
総合判定部404は、長期変動監視部401、短期変動監視部402及び相関監視部403から出力された監視結果に基づいて、警報発生部303に出力すべき判定結果を出力する。
【0079】
ここで、上述の長期変動、短期変動、相関監視の意義、及び、これらとレーダの誤動作の原因となる項目との関係を説明する。
【0080】
本実施形態のレーダ環境判定システムにおいて、変動監視部302が監視対象とする現象は以下の3点である。
【0081】
(1)長期変動
長期変動とは、長期間にわたる平常状態の回帰反射のスペクトル強度の変動のことをいう。
【0082】
マルチパスがある環境では、電波の干渉により平常状態の回帰反射のスペクトル強度が本来のレベルから大幅に増減してしまうという現象が発生することがある。そのため、図4に示される長期変動監視部401は、回帰反射のスペクトル強度の長期変動が一定範囲を超えたか否かを検知する。
【0083】
また環境変化、経年変化等による回帰反射のスペクトル強度のレベルの変動もこの長期変動を監視することにより検知する。
【0084】
(2)短期変動
短期変動とは、ノイズなどの短期間での回帰反射のスペクトル強度の変動のことをいう。
【0085】
フェージングのある環境では、回帰反射のスペクトル強度のレベルが短期間に大きな変動を示し、大きなノイズが存在するような波形を示すことがある。そのため、図4に示される短期変動監視部402は、回帰反射のスペクトル強度のレベルの変動が一定範囲を超えたか否かを検知する。
【0086】
なお、本実施形態において、おおよその目安として短期変動は、数秒程度の間での信号強度の変動を、長期変動は数分から数時間での信号強度の変動をとらえることを目的としている。
【0087】
したがって、短期変動は、およそ10秒以下における変動を意味し、長期変動は、およそ60秒以上における変動を意味するとして良いが、本発明はこのような場合に限定されるものではない。
【0088】
(3)相関変動
相関変動とは、回帰反射のスペクトル強度と直接反射のスペクトル強度との相関関係の変動のことをいう。
【0089】
正常な環境では、ある距離に侵入者があった場合の直接反射のスペクトル強度の増加量と、回帰反射のスペクトル強度の減少量の間には一定の関連がある。具体的には、直接反射のスペクトル強度がある一定レベルを超えて増加したとき、これに対応して、回帰反射のスペクトル強度はあるレベルまで落ち込むことが観測される。しかし、マルチパス等が発生した異常な環境ではこの関係がくずれ、直接反射のスペクトル強度が増加しても回帰反射のスペクトル強度が大きく変動しないという現象が発生することがある。
【0090】
そこで直接反射のスペクトル強度の変動と回帰反射のスペクトル強度の変動の両者を監視することにより、両者の相関が正常な関係を満たしているかを判定する。
【0091】
ここで、この相関関係の監視について、図5を参照してさらに詳細に説明する。図5は、図1に示されるレーダ環境判定システムにおいて、直接反射のスペクトル強度と回帰反射のスペクトル強度との間の関係を示す概念図である。
【0092】
図5(a)に示されるように、レーダと反射物との間に侵入者が入っていたとする。
【0093】
そして正常時であれば、図5(b)に示されるように、直接反射のスペクトル強度が一定量増加するのに伴って、回帰反射のスペクトル強度も一定量減少する。
【0094】
しかし、環境などの要因によって異常状態が発生している場合は、図5(c)に示されるように、直接反射のスペクトル強度が増加しても、回帰反射のスペクトル強度があまり減少しないという状態が起こる。
【0095】
本実施形態の相関監視では、このような直接反射のスペクトル強度と回帰反射のスペクトル強度との相関関係の変動を監視する。
【0096】
次に、レーダ誤作動の原因となる項目と、長期変動、短期変動及び相関変動との関係を図6を参照して説明する。図6は、図1に示されるレーダ環境判定システムにおいて、レーダ誤作動の原因となる項目と、長期変動、短期変動及び相関変動との関係の関連を示した概念図である。なお、図6に示されるAマルチパスからE経年変化までの各項目は、前述の発明が解決しようとする課題の欄で説明したそれぞれの項目と同様である。
【0097】
(1)長期変動
Aマルチパス、C天候変化、D周囲環境及びE経年劣化を原因として発生する。
【0098】
(2)短期変動
Aマルチパス、Bフェージング、C天候変化、D周囲環境を原因として発生する。
【0099】
(3)相関変動
Aマルチパス、C天候変化、D周囲環境を原因として発生する。
【0100】
したがって、これら(1)、(2)、(3)の現象を監視することによって、レーダ誤動作の原因となる項目A〜Eの発生を監視することができる。
【0101】
(長期変動監視部の構成及び動作)
次に、図7を参照して、図4に示される長期変動監視部401の構成及び動作について説明する。図7は、図4に示される長期変動監視部401の構成を示すブロック図である。
【0102】
図7に示される長期変動監視部は、タイマ701、初期設定部702、基準値記憶メモリ703、バッファ704及び判定部705とからなる。
【0103】
タイマ701は、所定のタイミングでタイミング信号を発生し、このタイミング信号をバッファ704及び判定部705に出力する。
【0104】
初期設定部702は、レーダ設置時に回帰反射の初期レベルを設定するために使用する。初期設定部702は、起動時orボタン押などのタイミングで起動され、レーダから回帰反射のスペクトル強度を数回分バッファにとりこみ、これらの平均値を内部基準値として基準値記憶メモリ703に保存する。ここで平均値を計算するのは、フェージングの影響やノイズによるバラツキを軽減するためである。
【0105】
基準値記憶メモリ703は、初期設定部702により決定された内部基準値を記憶する。
【0106】
バッファ704は、受信した回帰反射のスペクトル強度を記憶する。
【0107】
判定部705は、バッファ704に記憶された回帰反射のスペクトル強度の平均値と基準値記憶メモリ703に記憶された内部基準値とに基づいて、長期変動の有無を判定し、判定結果を出力する。
【0108】
判定部705がバッファ704から取り込む回帰反射のスペクトル強度の期間は、長期変動を監視するために必要な期間である。すなわち、長期変動は数分から数時間での信号強度の変動をとらえるものであるため、その期間はおよそ60秒以上、数時間以下であるということができるが、長期変動の期間としてこのような期間に限定するものではない。また、この期間は、例えばタイマ701からのタイミング信号によって算定される。
【0109】
また、判定部705が、バッファ704から回帰反射のスペクトル強度を取り込む個数は、タイマ701が発生するタイミングと、バッファ704から回帰反射のスペクトル強度取り込む期間とによって決定される。
【0110】
また、判定部705による判定の方法は、例えば、基準値記憶メモリ703に格納されている内部基準値と、バッファ704から取り込んだ回帰反射のスペクトル強度の平均値との差分が所定の値以上であるという条件に基づいて行われる方法であるとしても良いし、その他の適宜な方法であって良い。
【0111】
次に、図7に示される長期変動監視部の動作についてさらに説明する。バッファ704は、タイマ701が生成するタイミングでレーダから回帰反射のスペクトル強度を記憶する。
【0112】
そして、判定部705は、バッファ704内に記憶された値の平均値を求め、これと基準値記憶メモリ703に格納されている内部基準値との差が所定の値を超えていないかを判断する。
【0113】
この判定部705により出力された判定結果は、図4に示される総合判定部404に出力され、総合判定に使用される。
【0114】
(短期変動監視部の構成及び動作)
次に、図8を参照して、図4に示される短期変動監視部402の構成及び動作について説明する。図8は、図4に示される短期変動監視部402の構成を示すブロック図である。
【0115】
図8に示されるように、短期変動監視部は、第1のタイマ801と、第2のタイマ802と、第1のバッファ803と、第2のバッファ804と、判定部805とを備える。
【0116】
第1のタイマ801は、所定のタイミングでタイミング信号を発生し、第1のバッファ803及び判定部805にそのタイミング信号を出力する。
【0117】
第2のタイマ802は、所定のタイミングでタイミング信号を発生し、第1のバッファ803にそのタイミング信号を出力する。
【0118】
第1のバッファ803は、第1のタイマ801で生成されるタイミング信号のタイミングごとに、第2のタイマ802でカウントされる期間において回帰反射のスペクトル強度を記憶する。
【0119】
ここで、第2のタイマ802でカウントされる期間は、短期変動を監視するために必要な期間であり、短期変動は、数秒程度の間での信号強度の変動を意味することから、この期間はおよそ10秒以下とすることができるが、このような期間に限定するものではない。
【0120】
第2のバッファ804は、判定部805により計算された、第1のバッファ803内のデータの分散(または標準偏差)を記憶する。
【0121】
判定部805は、第1のバッファ803内のデータの分散(または標準偏差)を計算し、第2のバッファ804に記憶させる。また、判定部805は、第2のバッファ804内のデータの平均値を計算し、これが所定の値を超えているか否かを判定する。この所定の値は、例えば判定部805内部の格納部に格納されているとして良い。なお、判定部805が、第1のバッファ803内のデータの分散(または標準偏差)、又は、第2のバッファ804内のデータの平均値を計算するための基礎となるデータは、例えば第1のタイマ801からのタイミング信号により算出される所定期間内におけるデータであるとしても良いが、このような場合に限定されるものではない。
【0122】
ここで平均値を計算するのは、フェージングにより激しいノイズが常に生じているという状況を正しく検知し、たまたまノイズ等の影響で大きな分散を示す時刻があっても、それに影響を受けないようにするためである。
【0123】
判定部805の判定結果は、図4に示される総合判定部404に出力され、総合判定に使用される。
【0124】
なお、上記の例では、判定部805は、第2のバッファ804内のデータの平均値を計算し、これがある一定の値を超えていないかを判断するとしたが、第2のバッファ804の代わりにメモリを持ち、判定部805は、第1のバッファ803に格納された値が連続してある値を越えた回数を判定し、その回数を第2のバッファ804に格納させ、この回数に基づいて、短期変動が発生したのか否かを判定するという構成も考えられる。
【0125】
(相関監視部の構成及び動作)
次に、図4に示される相関監視部403の構成及び動作について図9及び図10を参照して説明する。図9は、図4に示される相関監視部403の構成を示すブロック図であり、図10は、図9に示される相関監視部403の動作を示すフローチャートである。
【0126】
図9に示されるように、相関監視部は、バッファ901と、判定部902と、判定テーブル格納メモリ903とを備える。
【0127】
バッファ901は、直接反射のスペクトル強度の値、及び回帰反射のスペクトル強度の値を格納する。
【0128】
判定部902は、バッファ901に取り込まれた直接反射のスペクトル強度の値及び回帰反射のスペクトル強度の値及び判定テーブル格納メモリ903に格納された判定テーブルとに基づいて、相関関係の判定結果を出力する。
【0129】
判定テーブル格納メモリ903は、所定の距離における直接反射のスペクトル強度の閾値を格納した第1の判定テーブル904と、所定の距離における回帰反射のスペクトル強度の落ち込みの基準値を格納した第2の判定テーブル905とを格納する。
【0130】
次に、この相関監視部の動作について説明する。まず、相関監視部は、レーダ受信波のスペクトル強度(直接反射のスペクトル強度と回帰反射のスペクトル強度)を入力として受ける。ここで、直接反射の各距離におけるスペクトル強度をCxとする。また、ある時刻tにおける直接反射のスペクトル強度をCx(t)、ある時刻tにおける回帰反射のスペクトル強度をCr(t)とする。
【0131】
すなわち、Cxはx[m]における直接反射のスペクトル強度、Dxはx[m]における直接反射閾値、Rxはx[m]にDxの直接反射が得られる場合に想定される回帰反射の落ち込み量を意味している。またr[m]はリフレクタまでの距離を示しており、したがってCrはリフレクタ位置の反射強度、すなわち回帰反射のスペクトル強度を意味している。
【0132】
第1の判定テーブル904には距離xごとに、相関判定を開始するための直接反射閾値Dxをあらかじめ記憶させておく。
【0133】
第2の判定テーブル905には距離xごとに、第1の判定テーブル904での各閾値を超える直接反射が観測された場合に想定される回帰反射の落ち込み基準値Rxを記憶させておく。
【0134】
この落ち込みの基準値Rxは、例えば検知対象たる成人の場合の値であるとして良いが、検知対象によって異なるものとしても良い。
【0135】
判定部902は、ある時刻tの処理サイクル毎に、各距離(x[m])の直接反射のスペクトル強度Cx(t)について、第1の判定テーブル904の値Dxを超えてるものがないかどうかを検索する。
【0136】
判定部902は、Dxを超えている直接反射が見つかった場合、同時刻付近の一定時間内での回帰反射の最低落ち込みが、第2の判定テーブル905の同距離に対する値Rxを下回っているかどうかを確認する。
【0137】
判定部902は、距離xの直接反射のスペクトル強度Cx(t)がDxを上回っているにもかかわらず、距離xの同時刻付近での回帰反射のスペクトル強度Cr(t±ΔT)がRxを下回っていない場合、相関判定異常の通知を行う。ここで、距離xの同時刻付近での回帰反射のスペクトル強度Cr(t±ΔT)を判断の対象としているのは、回帰反射にノイズが含まれることが多いため、正確な判定を行うために、回帰反射のスペクトル強度の値として時間的な幅を持たせたものである。
【0138】
次に、上述の相関監視部の動作について、図10に示されるフローチャートに従ってさらに詳細に説明する。
【0139】
まず、バッファ901は、S1001において、直接反射のスペクトル強度の値及び回帰反射のスペクトル強度の値を記憶する。
【0140】
次に、S1002において、判定部902は、N単位時間過去の1〜30[m]の直接反射のスペクトル強度C1〜C30の中に、第1の判定テーブル904の値D1〜D30を超えるものがあるか否かを判断する(N:定数)。
【0141】
そして、判定部902は、第1の判定テーブル904の値D1〜D30を超えるものがあると判断した場合(Yes)は、S1003に移行し、ないと判断した場合(No)は、判断せずに動作を終了する。
【0142】
次に、S1003において、判定部902は、C1〜C30で最大値をとる距離を記憶し、X[m]とする。
【0143】
次に、S1004において、判定部902は、バッファ901に記憶されている、S1001において記憶された時刻t±Δtにおける回帰反射のスペクトル強度Crの中に、第2の判定テーブルの、S1003において記憶された距離X[m]におけるRxを下回るものがあるかを判断する。
【0144】
そして、判定部902は、バッファ901に記憶されている時刻t±Δtにおける回帰反射のスペクトル強度Crの中に、S1003において記憶された距離X[m]に対応する第2の判定テーブル905のRxを下回るものがあれば(Yes)、異常なしとして判断を終了する。
【0145】
一方、判定部902は、バッファ901に記憶されている時刻t±Δtにおける回帰反射のスペクトル強度Crの中に、S1003において記憶された距離X[m]に対応する第2の判定テーブル905のRxを下回るものがなければ(No)、異常有りとして、判断を終了する。
【0146】
この判定部902により出力された判定結果は、図4に示される総合判定部404に出力され、総合判定に使用される。
【0147】
(総合判定部の動作)
次に、図4に示される総合判定部404の動作について説明する。総合判定部404は、判定結果の外部への通知を行うが、最終的な外部への通知は、上記の判定を重み付けにより総合判断して行う。
【0148】
具体的には、総合判定部404は、長期変動監視部401、短期変動監視部402、相関監視部403のそれぞれの判定結果をA1、A2、A3とし、正常時はAn=0、異常時はAn=1(n=0〜3)とする。
【0149】
そして、これに重みWn(n=1−3)をそれぞれ乗じた総和S、S=W1・A1+W2・A2+W3・A3が、所定の閾値Hを超えるかどうかで警報発生の判断を行う。
【0150】
ここで、各重みWnは、本実施形態のレーダ環境判定システムを使用する環境に合わせて適宜変更することができる。また、各重みWnは0を含む場合があるとしても良い。この場合、重みWnが0とされた判定結果は総合判定において無視される値となる。
【0151】
以上から、本発明に係るレーダ環境判定システムの第1の実施形態によれば、一つのレーダの受信信号から、長期変動監視、短期変動監視及び相関監視という複数の監視処理を行い、これら複数の処理結果を総合して異常判断を行うことによって、異常判断の正確性を向上させることができる。
【0152】
また、本実施形態では、短期変動を監視しているため、長期変動だけではなく、短期的なノイズの大きさを検出してフェージング環境を検出でき、より高精度な環境の監視を行うことができる。
【0153】
また、本実施形態では、直接反射と回帰反射を同時に観測してその変動の相関を見ることにより、より信頼性の高い環境異常判定を行うことができる。
【0154】
なお、本実施形態では図4に示されるように、短期変動、長期変動、相関関係の変動の3つを監視して、これら3つの監視結果の総合判定に基づいて警報を発生するとしているが、本発明に係るレーダ環境判定方法及びレーダ環境判定システムはこのような場合に限定されるものではなく、例えば短期変動、長期変動、相関変動の3つのうちの少なくともいずれか1つを監視し、その監視結果に基づいて警報を発生するとしても良い。
【0155】
この場合のレーダ環境判定システムの構成では、例えば図4に示される構成において、監視を行う対象以外の対象を監視する監視部は不要となる。
【0156】
(反射物の例)
ここで、上記本発明に係るレーダ環境判定システムの第1の実施形態において使用される反射物としては、以下に示されるような反射物を使用することができる。
【0157】
反射物としては、基本的には電波の反射率が比較的高いものであればどのようなものを用いてもよいが、好適なものとしては、金属からなる物体が挙げられる。
【0158】
また、反射物を新たに検知エリア内に設置する場合には、1つ1つのサイズが小さいものである方が好ましい。これは、サイズが小さいことによって設置が容易となるとともに、外見的にも目立たなくなるからである。さらに、これらの反射物を、電波を透過する素材からなる壁や地面の内部に埋め込んだ状態で設置すれば、外見的には反射物を見えなくすることができる。
【0159】
電波の反射率が高いものとしては、コーナ反射物という金属性の反射体がある。このコーナ反射物は、正四面体の形状をしており、例えば球型、円柱型、平板型、などの反射物と比較して、反射率が高いものとなっており、本実施形態で用いる場合に最適である。しかしながら、設置場所などの条件に応じて、適宜最適な形状の反射物を用いればよい。
【0160】
次に、FMCWレーダ101および反射物102の設置例について以下に説明する。第1の設置例では、反射物を地面の中に埋設した配置とする。
【0161】
FMCWレーダ101から照射されるミリ波などの電波は、物体を透過する性質があるので、反射物102を構成する素材、および埋め込む深さを調節することによって、これら反射物102からの反射をFMCWレーダ101が検知することが可能となる。
【0162】
このように、第1の設置例によれば、反射物102が地面の中に埋設されているので、外見からは、反射物が設置されていることがわからない状態となる。よって、美観を損ねることなくレーダ環境判定システムを構築することができる。
【0163】
第2の設置例では、反射物102を壁面の中に埋設した配置とする。上記したように、FMCWレーダ101から照射されるミリ波などの電波は、物体を透過する性質があるので、反射物102を構成する素材、および埋め込む深さを調節することによって、これら反射物102からの反射をFMCWレーダ101が検知することが可能となる。
【0164】
このように、第2の設置例によれば、反射物102が壁面の中に埋設されているので、外見からは、反射物が設置されていることがわからない状態となる。よって、環境の美観を損ねることなくレーダ環境判定システムを構築することができる。
【0165】
第3の設置例では、路面上に予め設置してある滑り止めの突起物群(又は1つの突起物。以下第3の設置例では1つの反射物の場合も含めて単に突起物群という。)を、反射物として使用する。この滑り止めの突起物群が、金属からなるものであれば、反射物として十分に機能することになる。
【0166】
なお、上記では、路面上の滑り止めの突起物群を反射物として使用しているが、これに限定されるものではなく、路面上あるいは路面の表面近くの内部に予め設置してある任意の物体、とくに、電波の反射率が比較的高い物体であれば、どのようなものを反射物102として使用してもよい。このような物体の例としては、例えば、溝の蓋、マンホールの蓋、地中浅くに埋め込まれた配管などが挙げられる。
【0167】
第4の設置例では、ビルなどの壁面において、該壁面に予め存在している金属物、例えば、窓のサッシ、扉のサッシ、扉の取っ手、電灯、装飾物などを、反射物102として使用する。
【0168】
第5の設置例では、塀の中に設けられている金属からなる塀の骨組みの列(又は1つの骨組み)を、反射物102として使用する。
【0169】
第6の設置例では、金属からなる街灯の支柱の列(又は1本の支柱)を、反射物102として使用する。
【0170】
第7の設置例では、廊下の壁面において、該壁面に予め存在している金属物、例えば扉のサッシや扉の取っ手などを、反射物102として使用する。
【0171】
第8の設置例では、オフィス、学校、公共機関などの会議室や教室など、金属からなるデスクが並んで配置されているような環境において、並んで配置されている複数又は単数のデスクを、反射物102として使用する。
【0172】
第9の設置例では、会議室、スタジアム、コンサートホール、教会など、金属からなる椅子が並んで配置されているような環境において、並んで配置されている複数又は単数の椅子を、反射物102として使用する。
【0173】
以上の第3〜第9の設置例のように、レーダ環境判定システムを設置する以前から環境に設けられている反射物を使用する場合には、初期設定処理として、定常状態におけるデータを取得することによって、該反射物を、侵入物の検出および距離の推定を行うための反射物として機能させることが可能となる。
【0174】
このように、第3〜第9の設置例によれば、反射物を新たに設けることなく、以前から存在する物体を反射物として使用するので、環境の美観を損ねることがなくレーダ環境判定システムを構築することができるとともに、レーダ環境判定システムの構築にかかる費用を低減することができる。
【0175】
また、反射物をレーダからの距離を異ならせて複数配置するとしても良い。この場合、ある反射物からの回帰反射のスペクトル強度のピークが検出でき、その後の反射物からの回帰反射のスペクトル強度のピークが検出できない場合、侵入した物体がこれら2つの反射物の間に存在していることを検知することができる。
【0176】
[レーダ環境判定システムの第2の実施形態]
次に、本発明に係るレーダ環境判定システムの第2の実施形態について図面を参照して説明する。
【0177】
本実施形態は、レーダ環境判定システムにおいて検知しようとする検知対象物を精度良く検知し、検知対象以外の非検知対象物による誤検知を防止しようとするレーダ環境判定システムである。なお、以下に説明する、本発明に係るレーダ環境判定システムの第2の実施形態において適用される物体判定方法は、本発明に係る物体判定方法の一実施形態の説明を兼ねる。
【0178】
なお、侵入物検知装置で検知すべき検知対象物としては人間(特に成人)を、検知対象から除外すべき非検知対象物としては、鳥や犬などの小動物およびボールなどの飛来物を想定している。もちろん、本実施形態では、人間以外の対象を検知対象物としても良い。
【0179】
(本実施形態のレーダ環境判定システムの構成)
本実施形態におけるレーダ環境判定システムの構成については、長期変動監視部の構成以外は、前述の図1、図3及び図4を参照して説明した第1の実施形態の場合と同様であるため、詳細な説明を省略する。すなわち、本実施形態のレーダ環境判定システムの構成は、長期変動監視部以外は、前述の図1、図3及び図4を参照して説明した、本発明に係るレーダ環境判定システムの第1の実施形態の構成と同じである。
【0180】
そして、以下に説明するように、本実施形態では、変動監視部302において監視する変動としては長期変動だけで良いため、図4に示される長期変動監視部401、短期変動監視部402及び相関監視部403のうち、少なくとも長期変動監視部401を備えた構成であれば良い。
【0181】
また、本実施形態を構成する各部材の動作は、長期変動監視部の動作以外は、前述の本発明に係るレーダ環境判定システムの第1の実施形態の各部材の動作と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
【0182】
(本実施形態のレーダ環境判定システムの動作の概略)
まず、図11を参照して、本発明に係るレーダ環境判定システムの第2の実施形態の動作の概略について説明する。図11は、本発明に係るレーダ環境判定システムの第2の実施形態の動作の概略を示す概略図である。
【0183】
本実施形態の動作について、人と鳥との判別を例に挙げて説明する。本実施形態のレーダ環境判定システムは、侵入者が人か鳥などの小さな飛翔物かを判定する機能を有するものである。
【0184】
具体的にはレーダ起動時等に直接反射、回帰反射それぞれの平常状態のスペクトル強度のレベルを測定しておき(内部基準値)、測定時の直接反射のスペクトル強度のレベルが基準値+XdBを超えるかどうか、または回帰反射のスペクトル強度のレベルが基準値−YdBを下回るかどうかを判定し、それらの総合判断で物体が人かそれ以外かを判定している。
【0185】
例えば図11(a)に示されるように、人が侵入した場合は、図11(b)に示されるように、直接反射のスペクトル強度は、直接反射基準AにXdBを加えた値以上となり、回帰反射のスペクトル強度は、回帰反射基準Bから所定の基準値からYdB下がった値以下となる。
【0186】
一方、図11(c)に示されるように、鳥(小物体)が侵入した場合は、図11(d)に示されるように、直接反射のスペクトル強度は、直接反射基準AにXdBを加えた値未満となり、回帰反射のスペクトル強度は、回帰反射基準Bから所定の基準値からYdB下がった値より大きくなる。
【0187】
したがって、本実施形態のレーダ環境判定システムは、直接反射のスペクトル強度及び回帰反射のスペクトル強度の基準値からの測定値の変動を監視することにより、侵入したのがシステムが検知しようとしている検知対象であるのか、非検知対象であるのかを判定を行っている。
【0188】
すなわち、本実施形態では、検知対象領域に入った物体から反射された波動の強度が、この物体の存在する位置に対応した、予め格納されている閾値を超えているか否かを判定し、閾値を超えている場合には、反射物により反射された波動の強度の落ち込みが、物体の存在する位置に対応した、予め格納されている反射物により反射された波動の強度の落ち込みを上回っているか否かを判定し、この判定結果が上回っていると判断された場合に物体を検出したと判定する。
【0189】
上記判定を行うため、本実施形態にあっては、レーダ近傍の送信波および反射物近傍の反射波のビーム断面積を、検知対象から除外すべき所定の非検知対象物が遮蔽し得るビーム断面積よりも大きくする。
【0190】
そのため、本実施形態によれば、レーダ近傍あるいは反射物近傍の検知領域内を非検知対象物が通過した場合であっても、当該非検知対象物がビームを全て遮ることがない。
【0191】
それゆえ、検知対象物がビームを遮った場合と非検知対象物がビームを遮った場合とで、レーダによって受信されるスペクトル強度に明確な差異が生じ、両対象物を容易に識別できるようになる。
【0192】
しかし、レーザの設置環境に変動が発生し、長期変動が発生した場合、マルチパスを生じていない環境であっても、天候変化やレーダの汚れ等の経年変化により、平常状態でのスペクトル強度が下がり、誤検知を起こしやすい状態となることがある。
【0193】
このように平常状態でのスペクトル強度が変動した状態では、侵入者を判定する基準値として変動が発生する以前の状態の基準値を使用した場合、この以前の状態の基準値と観測した値との差が、本来観測すべき、平常状態の基準値と観測した値との差と異なるものとなるため、鳥や小さな飛散物を人と誤検知してしまうといった問題が発生することがある。
【0194】
環境発生の要因としては、主に以下の3つを例に挙げることができる。C.天候変化(雨滴、降雪)、D.周囲環境(障害物、反射物)、E.経年変化(汚れ等)。
【0195】
そして、要因C天候変化(雨滴、降雪)によって生じ、人と小物体との判別を困難にする現象は、以下のようなものが挙げられる。
・レーダまたは反射物表面に水滴が付着することによる電波の減衰
・レーダ−反射物間に存在する水滴によって生じる電波の減衰
【0196】
また、要因D周囲環境(障害物、反射物)によって生じ、人と小物体との判別を困難にする現象は、以下のようなものが挙げられる。
・レーダ−反射物間に樹木等の障害物が生長することによって生じる電波の減衰
【0197】
また、要因E経年変化(汚れ等)によって生じ、人と小物体との判別を困難にする現象は、以下のようなものが挙げられる。
・レーダまたは反射物表面に汚れが付着することによる電波の減衰
・レーダ内部の電子部品の経年変化による受信レベルの変化
【0198】
そこで、本実施形態は、このような環境の変動においても、検知対象と非検知対象との区別を明確に行い、誤検知が発生するのを防止する実施形態である。
【0199】
また、本実施形態では、長期変動が発生した場合、スペクトル強度の変動が比較的小さな範囲にある間は、レーダ内部の基準値を変動させることにより、人と小物体との識別能力を保つ実施形態である。
【0200】
なお、以下に説明する実施形態では、補正する基準値として、回帰反射の基準値(図11の(d)に示される回帰反射基準B)を例に挙げて説明する。したがって、以下の、単なる基準値という記載は、回帰反射のスペクトル強度の基準となる回帰反射基準Bである。なお、長期変動の発生した原因がC天候変化、D周囲環境、E経年変化である場合、測定される回帰反射スペクトル強度の変動と直接反射スペクトル強度の変動には相関があることが予想される。したがって、回帰反射基準の補正に合わせて、直接反射判定基準の補正を行うといった処理も考えられる。
【0201】
そして、本実施形態には、以下に示されるような内部基準値補正機能を使用する。
・内部基準値補正機能
ある周期ごとに反射物からの回帰反射のスペクトル強度を測定し(これを瞬時値とよぶ)、これをシステム内部の基準値と比較する。瞬時値が基準値よりも大きければ基準値を大きい値に補正し、瞬時値が基準値よりも小さければ基準値を小さな値に補正する。
【0202】
または、瞬時値を過去数回分内部バッファに記憶し、この平均値を新たな基準値として使用しても良い。
【0203】
(本実施形態の長期変動監視部の構成及び動作)
次に、図12を参照して、本発明に係るレーダ環境判定システムの第2の実施形態が備える長期変動監視部の構成及び動作について説明する。図12は、本発明に係るレーダ環境判定システムの第2の実施形態が備える長期変動監視部の構成を示すブロック図である。
【0204】
図12に示される長期変動監視部は、タイマ1201、初期設定部1202、基準値記憶メモリ1203、内部基準値補正部1204、バッファ1205及び判定部1206とからなる。
【0205】
タイマ1201は、所定のタイミングでタイミング信号を発生し、このタイミング信号をバッファ1205及び判定部1206に出力する。
【0206】
初期設定部1202は、レーダ設置時に回帰反射の初期のスペクトル強度のレベルを設定するために使用する。
【0207】
初期設定部1202は、起動時orボタン押などのタイミングで起動され、レーダから回帰反射のスペクトル強度を数回分バッファにとりこみ、これらの平均値を回帰反射基準Bとして基準値記憶メモリ1203に保存する。ここで平均値を計算するのは、フェージングの影響やノイズによるバラツキを軽減するためである。
【0208】
基準値記憶メモリ1203は、初期設定部1202により決定された回帰反射基準Bを記憶する。
【0209】
内部基準値補正部1204は、基準値記憶メモリ1203に格納された回帰反射基準Bを補正する。この補正動作については後述する。
【0210】
バッファ1205は、受信した回帰反射のスペクトル強度を記憶する。
【0211】
判定部1206は、バッファ1205に記憶された回帰反射のスペクトル強度の平均値と基準値記憶メモリ1203に記憶された回帰反射基準Bとに基づいて、長期変動の有無を判定し、判定結果を出力する。
【0212】
この判定の方法は、例えば、基準値記憶メモリ1203に格納されている回帰反射基準Bと、バッファ1205に格納されている回帰反射のスペクトル強度の平均値との差分が所定の値以上であるという条件に基づいて行われる方法であるとしても良いし、その他の適宜な方法であって良い。
【0213】
したがって、基準値記憶メモリ1203に記憶された回帰反射基準Bの値は、長期変動が発生したのか否かを判定するための基準としての第1の機能を有する。なお、回帰反射基準Bは、前述のように、検知対象物か非検知対象物かを区別するための基準となるという第2の機能を果たす。
【0214】
次に、図12に示される長期変動監視部の動作について説明する。バッファ1205は、タイマ1201が生成するタイミングでレーダから回帰反射のスペクトル強度を記憶する。
【0215】
そして、判定部1206は、バッファ1205内の値の平均値を求め、これと基準値記憶メモリ1203に格納されている回帰反射基準Bとの差が所定の値を超えていないかを判断する。
【0216】
この判定部1206により出力された判定結果は、図4に示される総合判定部404に出力され、総合判定に使用される。
【0217】
次に、図12に示される内部基準値補正部1204の動作について図12及び図13を参照して説明する。図13は、図12に示される内部基準値補正部1204の動作のフローチャートである。
【0218】
まず、バッファ1205は、回帰反射のスペクトル強度の反射物位置の瞬時値を測定し、この測定値を記憶する(S1301)。
【0219】
次に、内部基準値補正部1204は、バッファ1205に取り込まれた瞬時値と、基準値記憶メモリ1203に格納されている回帰反射基準とを比較し、瞬時値>内部基準値であるか否かを確認する(S1302)。
【0220】
S1302の判定において、瞬時値>内部基準値であれば(Yes)、内部基準値補正部1204は、回帰反射基準Bに所定の値dを加えた値を新たに回帰反射基準Bとし、これを基準値記憶メモリ1203に格納し、動作を終える。
【0221】
一方、S1302の判定において、瞬時値>内部基準値でなければ(No)、内部基準値補正部1204は、回帰反射基準Bから所定の値dを引いた値を新たに回帰反射基準Bとし、これを基準値記憶メモリ1203に格納し、動作を終える。
【0222】
なお、前述のように、瞬時値を過去数回分内部バッファに記憶し、この平均値を新たな回帰反射基準Bとして使用するとしても良い。
【0223】
このように、本実施形態のレーダ環境判定システムでは、前述の第1の実施形態と同様の効果を得ることができると共に、回帰反射基準Bを長期変動が発生した場合に補正しているため、環境の変動に伴うレーダの誤動作を防止することができる。
【0224】
なお、本実施形態で用いる電波センサによるレーダでは、レーダのビームは数十cmの幅(検出対象が人ならば、人により遮断される幅)があり、この幅があることにより、この幅を部分的に遮る変動でも吸収し、また環境判定で警報を出すこともできる効果がある。
【0225】
例えば、本実施形態のレーダ環境判定システムでは、レーダのビームにより形成される警戒線上に茂る草や樹木の葉を長期変動の要因の一つとして挙げられるが、ビームに幅があるためこの幅を部分的に遮るこれらの変動でも吸収し、また環境判定で警報を出すこともできる効果がある。
【0226】
(反射物の変形例)
上記本発明に係るレーダ環境判定システムの第1の実施形態及び第2の実施形態において使用される反射物としては、以下に示されるような構成の反射物を使用することができる。
【0227】
上記第1の実施形態および第2の実施形態では、FMCWレーダ101からビームが直線状に照射した場合について説明しているが、図14に示すように、FMCWレーダ101と反射物102との間にビームの進路を屈曲させる反射物1401を配置することにより、ビームの進路を曲げて、同図(a)に示すように、検知対象領域をくの字状に構成したり、同図(b)に示すように、検知対象領域をロの字状に構成したりすることもできる。図14は、本発明に係るレーダ環境判定システムの第1の実施形態及び第2の実施形態に適用される反射物の構成の変形例を示す概略図である。
【0228】
このような反射物1401としては鏡などの反射板を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0229】
もちろん、図14に示される検知対象領域は例示であり、ビームの進路を屈曲させる反射物1401の配置の仕方により、任意の検知対象領域の構造に変更することができる。
【0230】
この場合、検知対象領域を非直線状に構成することができるので、例えば、建物の全周囲や見通しの悪い曲がりくねった場所などであっても、検知対象領域とすることができる。すなわち、単一のシステムで、様々な形状の領域に対応することができるので、例えば、直線状の検知領域ごとに複数のシステムを設置する場合と比較して、コストの低減やシステムの規模の低減を図ることができる。
【0231】
なお、ミリ波を利用する場合には、反射物102と同様に、反射物1401も建物に埋設してもよい。
【0232】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、レーダが誤動作を起こしやすい状況として考えられる、以下A〜Eの要因が発生したのか否かを、(1)、(2)、(3)の現象を観測することにより検知することができる。
【0233】
[要因]
A.マルチパス
B.フェージング
C.天候変化(雨滴、降雪)
D.周囲環境(障害物、反射物)
E.経年変化(汚れ等)
【0234】
[現象]
(1)長期間にわたる回帰反射のスペクトル強度の平常レベルの一定の値を超える増減
(2)短期間での回帰反射のスペクトル強度の平常レベルの一定範囲を超える増減
(3)回帰反射のスペクトル強度と直接反射のスペクトル強度との間の増減相関の変動
【0235】
現象(1)を監視することにより要因A、C、D、Eの発生を検知し、現象(2)を監視することにより要因A、B、C、Dの発生を検知し、現象(3)を監視することにより要因A、C、Dの発生を検知できる。
【0236】
したがって、現象(1)、(2)、(3)を監視することにより、レーダの誤動作を起こしやすい環境異常の発生を総合的に検知することができる。
【0237】
そして、これらの環境異常を警報等により外部に通知することによって、レーダの誤動作する危険性を低減できる。
【0238】
さらに、本発明によれば、回帰反射のスペクトル強度の平常レベルの変化を監視し、これに合わせて回帰反射基準を補正することにより、以下のような要因により環境が変動した場合でも、検知対象物(例えば人)と非検知対象物(例えば小物体)との判別機能について、安定した性能を得ることが可能となる。
【0239】
[要因]
C.天候変化(雨滴、降雪)
D.周囲環境(障害物、反射物)
E.経年変化(汚れ等)
【0240】
検知対象物と非検知対象物との判別能力は、要因C、要因D、要因Eの発生に伴う長期変動の発生によって低下するが、本機能によって回帰反射基準を補正することにより、この性能低下を軽減することができる。
【0241】
また、本発明では、物体から反射された波動の強度が所定の閾値を超えていると判定された場合に、反射手段から反射された波動の強度の落ち込みが所定の落ち込みを上回っているか否かを判断して物体の検出を行っているため、検知対象の検知を正確に行い、誤検知を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るレーダ環境判定システムの第1の実施形態の動作原理図である。
【図2】本発明に係るレーダ環境判定システムの第1の実施形態の動作原理図である。
【図3】図1に示されるレーダ環境判定システムの詳細な構成を示すブロック図である。
【図4】図3に示される変動監視部302の構成を示すブロック図である。
【図5】図1に示されるレーダ環境判定システムにおいて、直接反射のスペクトル強度と回帰反射のスペクトル強度との間の関係を示す概念図である。
【図6】図1に示されるレーダ環境判定システムにおいて、レーダ誤作動の原因となる項目と、長期変動、短期変動及び相関変動との関係の関連を示した概念図である。
【図7】図4に示される長期変動監視部401の構成を示すブロック図である。
【図8】図4に示される短期変動監視部402の構成を示すブロック図である。
【図9】図4に示される相関監視部403の構成を示すブロック図である。
【図10】図9に示される相関監視部403の動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明に係るレーダ環境判定システムの第2の実施形態の動作の概略を示す概略図である。
【図12】本発明に係るレーダ環境判定システムの第2の実施形態が備える長期変動監視部の構成を示すブロック図である。
【図13】図12に示される内部基準値補正部1204の動作のフローチャートである。
【図14】本発明に係るレーダ環境判定システムの第1の実施形態及び第2の実施形態に適用される反射物の構成の変形例を示す概略図である。
【符号の説明】
101 FMCWレーダ
102 反射物(反射手段)
201 物体
301 レーダ部
302 変動監視部(監視手段)
303 警報発生部(出力手段)
304 変換部
305 レーダ送信部
306 レーダ受信部
307 アンテナ(照射手段,受信手段)
401 長期変動監視部(長期変動監視手段)
402 短期変動監視部(短期変動監視手段)
403 相関監視部(相関監視手段)
404 総合判定部(判定手段)
701 タイマ
702 初期設定部
703 基準値記憶メモリ
704 バッファ
705 判定部
801 第1のタイマ
802 第2のタイマ
803 第1のバッファ
804 第2のバッファ
805 判定部
901 バッファ
902 判定部
903 判定テーブル格納メモリ
904 第1の判定テーブル
905 第2の判定テーブル
1201 タイマ
1202 初期設定部
1203 基準値記憶メモリ
1204 内部基準値補正部
1205 バッファ
1206 判定部
1401 反射物

Claims (15)

  1. 波動を検知対象領域に対して照射し、反射手段により反射された波動及び前記検知対象領域に入った物体から反射された波動を受信することにより、物体の検出を行うレーダのレーダ環境判定方法であって、
    前記反射手段からの波動の強度を所定のタイミングで記憶し、該記憶された波動の強度の平均値が所定の基準値を超えているか否かを判定し、該判定結果を監視結果として出力する長期変動監視工程と、
    出力された前記監視結果に基づいて所定の出力を行うか否かの判定を行う判定工程とを備えることを特徴とするレーダ環境判定方法。
  2. 波動を検知対象領域に対して照射し、反射手段により反射された波動及び前記検知対象領域に入った物体から反射された波動を受信することにより、物体の検出を行うレーダのレーダ環境判定方法であって、
    所定のタイミングにおいて所定の期間内における前記反射手段からの波動の強度を記憶し、該記憶された前記反射手段からの波動の強度の分散又は標準偏差を計算して記憶し、該記憶された分散又は標準偏差の平均が所定の値を超えているか否かを判定し、該判定結果を監視結果として出力する短期変動監視工程と、
    出力された前記監視結果に基づいて所定の出力を行うか否かの判定を行う判定工程とを備えることを特徴とするレーダ環境判定方法。
  3. 波動を検知対象領域に対して照射し、反射手段により反射された波動及び前記検知対象領域に入った物体から反射された波動を受信することにより、物体の検出を行うレーダのレーダ環境判定方法であって、
    所定のタイミングにおいて所定の期間内における前記反射手段からの波動の強度を記憶し、該記憶された前記反射手段からの波動の強度が連続してある値を超えた回数を記憶し、該記憶された回数が所定の値を超えているか否かを判定し、該判定結果を監視結果として出力する短期変動監視工程と、
    出力された前記監視結果に基づいて所定の出力を行うか否かの判定を行う判定工程とを備えることを特徴とするレーダ環境判定方法。
  4. 波動を検知対象領域に対して照射し、反射手段により反射された波動及び前記検知対象領域に入った物体から反射された波動を受信することにより、物体の検出を行うレーダのレーダ環境判定方法であって、
    前記検知対象領域に入った物体から反射された波動の強度が、該物体の存在する位置に対応した、予め格納されている閾値を超えているか否かを判定し、該閾値を超えている場合には、前記反射手段により反射された波動の強度の落ち込みが、前記物体の存在する位置に対応した、予め格納されている前記反射手段により反射された波動の強度の落ち込みを上回っているか否かを判定し、該判定結果を監視結果として出力する相関監視工程と、
    出力された前記監視結果に基づいて所定の出力を行うか否かの判定を行う判定工程とを備えることを特徴とするレーダ環境判定方法。
  5. 波動を検知対象領域に対して照射し、反射手段により反射された波動及び前記検知対象領域に入った物体から反射された波動を受信することにより、物体の検出を行うレーダに適用される物体判定方法であって、
    前記検知対象領域に入った物体から反射された波動の強度が、該物体の存在する位置に対応した、予め格納されている閾値を超えているか否かを判定し、該閾値を超えている場合には、前記反射手段により反射された波動の強度の落ち込みが、前記物体の存在する位置に対応した、予め格納されている前記反射手段により反射された波動の強度の落ち込みを上回っているか否かを判定し、該判定結果が上回っていると判断された場合に物体を検出したと判定することを特徴とする物体判定方法。
  6. 波動を検知対象領域に対して照射し、反射手段により反射された波動及び前記検知対象領域に入った物体から反射された波動を受信することにより、物体の検出を行うレーダのレーダ環境判定方法であって、
    前記反射手段からの波動の強度を所定のタイミングで記憶し、該記憶された波動の強度の平均値が所定の基準値を超えているか否かを判定し、該判定結果を監視結果として出力する長期変動監視工程と、
    所定のタイミングにおいて所定の期間内における前記反射手段からの波動の強度を記憶し、該記憶された前記反射手段からの波動の強度の分散又は標準偏差を計算して記憶し、該記憶された分散又は標準偏差の平均が所定の値を超えているか否かを判定し、該判定結果を監視結果として出力する短期変動監視工程と、
    前記検知対象領域に入った物体から反射された波動の強度が、該物体の存在する位置に対応した、予め格納されている閾値を超えているか否かを判定し、該閾値を超えている場合には、前記反射手段により反射された波動の強度の落ち込みが、前記物体の存在する位置に対応した、予め格納されている前記反射手段により反射された波動の強度の落ち込みを上回っているか否かを判定し、該判定結果を監視結果として出力する相関監視工程と、
    前記長期変動監視工程、前記短期変動監視工程及び前記相関監視工程のそれぞれから出力された少なくとも一つの前記監視結果に基づいて所定の出力を行うか否かの判定を行う判定工程とを備えることを特徴とするレーダ環境判定方法。
  7. 波動を検知対象領域に対して照射し、反射手段により反射された波動及び前記検知対象領域に入った物体から反射された波動を受信することにより、物体の検出を行うレーダのレーダ環境判定方法であって、
    前記反射手段からの波動の強度を所定のタイミングで記憶し、該記憶された波動の強度の平均値が所定の基準値を超えているか否かを判定し、該判定結果を監視結果として出力する長期変動監視工程と、
    所定のタイミングにおいて所定の期間内における前記反射手段からの波動の強度を記憶し、該記憶された前記反射手段からの波動の強度が連続してある値を超えた回数を記憶し、該記憶された回数が所定の値を超えているか否かを判定し、該判定結果を監視結果として出力する短期変動監視工程と、
    前記検知対象領域に入った物体から反射された波動の強度が、該物体の存在する位置に対応した、予め格納されている閾値を超えているか否かを判定し、該閾値を超えている場合には、前記反射手段により反射された波動の強度の落ち込みが、前記物体の存在する位置に対応した、予め格納されている前記反射手段により反射された波動の強度の落ち込みを上回っているか否かを判定し、該判定結果を監視結果として出力する相関監視工程と、
    前記長期変動監視工程、前記短期変動監視工程及び前記相関監視工程のそれぞれから出力された少なくとも一つの前記監視結果に基づいて所定の出力を行うか否かの判定を行う判定工程とを備えることを特徴とするレーダ環境判定方法。
  8. 前記判定工程は、
    前記長期変動監視工程からの監視結果に基づく値をA1、前記短期変動監視工程からの監視結果に基づく値をA2、前記相関監視工程からの監視結果に基づく値をA3とし、
    W1、W2、W3を所定の重み付けの値とした場合に、
    S=A1・W1+A2・W2+A3・W3
    により与えられる値Sが所定の閾値を超えている場合に、前記監視結果に基づく出力を行うと判定することを特徴とする請求項6又は7に記載のレーダ環境判定方法。
  9. 前記反射手段からの波動の強度を所定のタイミングで記憶し、該記憶された波動の強度が前記所定の基準値を超えているか否かを判定し、
    超えている場合は、前記所定の基準値に所定の値を加算して新たな前記所定の基準値とし、
    超えていない場合は、前記所定の基準値から所定の値を減算して新たな前記所定の基準値とする補正工程を備えることを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載のレーダ環境判定方法。
  10. 前記反射手段からの波動の強度を複数の所定のタイミングでそれぞれ記憶し、該記憶された複数個の波動の強度の平均値を新たな前記所定の基準値とする補正工程を備えることを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載のレーダ環境判定方法。
  11. 波動を検知対象領域に対して照射する照射手段と、
    前記照射された波動を反射する反射手段と、
    前記反射手段により反射された波動及び前記検知対象領域に入った物体から反射された波動を受信する受信手段と、
    前記受信手段において受信した波動の強度を監視する監視手段と、
    前記監視手段の監視結果に基づく所定の出力を行うか否かを判定する判定手段と、
    前記判定手段の判定結果に基づいて前記所定の出力を行う出力手段とを備え、
    前記監視手段は、
    前記反射手段により反射された波動の強度の長期変動を監視する長期変動監視手段と、
    前記反射手段により反射された波動の強度の短期変動を監視する短期変動監視手段と、
    前記反射手段からの波動の強度と前記検知対象領域に入った物体から反射された波動の強度との相関を監視する相関監視手段とを備え、
    前記長期変動監視手段は、前記反射手段からの波動の強度を所定のタイミングで記憶し、該記憶された波動の強度の平均値が所定の基準値を超えているか否かを判定し、該判定結果を前記監視結果として出力し、
    前記短期変動監視手段は、所定のタイミングにおいて所定の期間内における前記反射手段からの波動の強度を記憶し、該記憶された前記反射手段からの波動の強度の分散又は標準偏差を計算して記憶し、該記憶された分散又は標準偏差の平均が所定の値を超えているか否かを判定し、該判定結果を前記監視結果として出力し、
    前記相関監視手段は、前記検知対象領域に入った物体から反射された波動の強度が、該物体の存在する位置に対応した、予め格納されている閾値を超えているか否かを判定し、該閾値を超えている場合には、前記反射手段により反射された波動の強度の落ち込みが、前記物体の存在する位置に対応した、予め格納されている前記反射手段により反射された波動の強度の落ち込みを上回っているか否かを判定し、該判定結果を前記監視結果として出力し、
    前記判定手段は、前記長期変動監視手段、前記短期変動監視手段及び前記相関監視手段のそれぞれから出力された少なくとも一つの監視結果に基づいて判定を行うことを特徴とするレーダ環境判定システム。
  12. 波動を検知対象領域に対して照射する照射手段と、
    前記照射された波動を反射する反射手段と、
    前記反射手段により反射された波動及び前記検知対象領域に入った物体から反射された波動を受信する受信手段と、
    前記受信手段において受信した波動の強度を監視する監視手段と、
    前記監視手段の監視結果に基づく所定の出力を行うか否かを判定する判定手段と、
    前記判定手段の判定結果に基づいて前記所定の出力を行う出力手段とを備え、
    前記監視手段は、
    前記反射手段により反射された波動の強度の長期変動を監視する長期変動監視手段と、
    前記反射手段により反射された波動の強度の短期変動を監視する短期変動監視手段と、
    前記反射手段からの波動の強度と前記検知対象領域に入った物体から反射された波動の強度との相関を監視する相関監視手段とを備え、
    前記長期変動監視手段は、前記反射手段からの波動の強度を所定のタイミングで記憶し、該記憶された波動の強度の平均値が所定の基準値を超えているか否かを判定し、該判定結果を前記監視結果として出力し、
    前記短期変動監視手段は、所定のタイミングにおいて所定の期間内における前記反射手段からの波動の強度を記憶し、該記憶された前記反射手段からの波動の強度が連続してある値を超えた回数を記憶し、該記憶された回数が所定の値を超えているか否かを判定し、該判定結果を前記監視結果として出力し、
    前記相関監視手段は、前記検知対象領域に入った物体から反射された波動の強度が、該物体の存在する位置に対応した、予め格納されている閾値を超えているか否かを判定し、該閾値を超えている場合には、前記反射手段により反射された波動の強度の落ち込みが、前記物体の存在する位置に対応した、予め格納されている前記反射手段により反射された波動の強度の落ち込みを上回っているか否かを判定し、該判定結果を前記監視結果として出力し、
    前記判定手段は、前記長期変動監視手段、前記短期変動監視手段及び前記相関監視手段のそれぞれから出力された少なくとも一つの監視結果に基づいて判定を行うことを特徴とするレーダ環境判定システム。
  13. 前記判定手段は、
    前記長期変動監視手段からの監視結果に基づく値をA1、前記短期変動監視手段からの監視結果に基づく値をA2、前記相関監視手段からの監視結果に基づく値をA3とし、
    W1、W2、W3を所定の重み付けの値とした場合に、
    S=A1・W1+A2・W2+A3・W3
    により与えられる値Sが所定の閾値を超えている場合に、前記監視結果に基づく出力を行うと判定することを特徴とする請求項11又は12に記載のレーダ環境判定システム。
  14. 前記長期変動監視手段は、
    前記反射手段からの波動の強度を所定のタイミングで記憶し、該記憶された波動の強度が前記所定の基準値を超えているか否かを判定し、
    超えている場合は、前記所定の基準値に所定の値を加算して新たな前記所定の基準値とし、
    超えていない場合は、前記所定の基準値から所定の値を減算して新たな前記所定の基準値とすることを特徴とする請求項11から13のいずれか1項に記載のレーダ環境判定システム。
  15. 前記長期変動監視手段は、
    前記反射手段からの波動の強度を複数の所定のタイミングでそれぞれ記憶し、該記憶された複数個の波動の強度の平均値を新たな前記所定の基準値とすることを特徴とする請求項11から13のいずれか1項に記載のレーダ環境判定システム。
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