JP2004232109A - 経畝構造のダブルラッセル編地 - Google Patents
経畝構造のダブルラッセル編地 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004232109A JP2004232109A JP2003019996A JP2003019996A JP2004232109A JP 2004232109 A JP2004232109 A JP 2004232109A JP 2003019996 A JP2003019996 A JP 2003019996A JP 2003019996 A JP2003019996 A JP 2003019996A JP 2004232109 A JP2004232109 A JP 2004232109A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- warp
- knitting
- knitted fabric
- chain
- knitted
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Knitting Of Fabric (AREA)
Abstract
【課題】経畝部の組織がひも状になる事なく、編目列が規則正しく整然と並び、美しい外観を保ち、且つ、縫製時に地糸切れを発生しない経畝構造のダブルラッセル編地を提供する。
【解決手段】表編地と裏編地及びその両編地をつなぐパイル地から成り、表又は裏或いは表裏両面が経畝構造であるダブルラッセル編地で、経畝部の組織は鎖編と挿入編で構成し、且つ、鎖編は少くとも異なる2組の筬から供給する2本の経糸で編成し、隣接する経畝間の所々で鎖編を編成する一方の筬の経糸が右隣りの経畝と、他方の筬の経糸が左隣りの経畝と結接構造を形成した。
【選択図】 図1
【解決手段】表編地と裏編地及びその両編地をつなぐパイル地から成り、表又は裏或いは表裏両面が経畝構造であるダブルラッセル編地で、経畝部の組織は鎖編と挿入編で構成し、且つ、鎖編は少くとも異なる2組の筬から供給する2本の経糸で編成し、隣接する経畝間の所々で鎖編を編成する一方の筬の経糸が右隣りの経畝と、他方の筬の経糸が左隣りの経畝と結接構造を形成した。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表編地と裏編地及びその両編地をつなぐパイル地から成るダブルラッセル編地で、特に表又は裏或いは表裏両面が経畝組織から成り、その経畝部分の編目列がひも状に集束する事を防いだ、表面がフラットな経畝構造のダブルラッセル編地に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ダブルラッセル編地で経畝組織はよく知られた組織である。この種の組織は、経畝を構成する部分の編組織がダブルデンビーやハーフ組織或いは鎖編と挿入編の組合せによる組織で編成するのが一般的である。
【0003】
【発明が解決しょうとする課題】
しかし、これ等公知組織で編成した場合、比較的畝巾の狭い経畝は編成時に経畝部の編目列が集束し、ひも状にまとまってしまい、外観が著しく損われる欠点があった。
【0004】
また、この様な編地は縫製工場でひも状に固まった経畝部に縫針が通る時に、編地を構成する糸を切断してしまい、一般に言われる地糸切れ現象を生じる。さらに、地糸切れ解消策として、縫針を細くしたり、ミシンの回転数を下げるなど、縫製上大きな制約を受ける。
【0005】
以上のように、従来技術では、比較的巾の狭い経畝組織は、外観的にも縫製上においても問題が多く、あまり実用に供されていないのが現状であった。
【0006】
本発明者は、比較的巾の細い経畝構造のダブルラッセル編地の経畝部がひも状に集束する原因と、その原因を解消する為の方策について、様々な角度から検討し、試作を重ねた結果、本発明に致った。
【0007】
すなわち、経畝部の編目列がひも状に集束する原因は、編成時に経糸に働く張力が、編成後においても編地の組織内に残留すること、特に経畝組織はその両側が溝状になっており、畝組織自体は隣接する経畝と表面組織が連結しておらず、独立した構造である為、組織内に残留する力が編地全体に伝播、分散されず、畝部だけに留まる結果、隣り合う編目列を互いに引き寄せる様に作用して、経畝の編目列をひも状にまとめてしまう。
【0008】
この経畝の集束現象を解消する手段として、まず組織内に残留する張力を可能な限り小さくする方策について検討したが、編成時の編張力を極端に低下させる事は編成する事自体が困難となり、この解決策には限度があった。
【0009】
従って、組織内の残留張力を経畝の外に伝播・拡散させる、すなわち隣接する経畝間で残留張力が互いに打ち消し合う様に作用させる組織構造を作れば、経畝のひも状集束が解消し得るとの考え方に着目して、様々な組織・編成法について検討した。
【0010】
その結果、
▲1▼ 隣接する経畝組織間の所々に結接部を設ける事で、組織内の残留張力が拡散する事をつきとめた。
▲2▼ また、経畝部の表面組織は、ダブルデンビーやハーフ組織では効果が少なく不向きであり、鎖編と挿入編の組合せ組織が効果的であり、結接部は少くとも鎖編を編成する糸によって結接する様に組織する事、
▲3▼ 結接は隣接する経畝部の鎖編の糸の一部又は全部が互いに入れ替る様に結接する事、
▲4▼ 一方、経畝の編目列は、その一部或いは全部が複数の経糸で編成し、結接組織を作る時に、一方の経糸は右側の経畝の糸と入れ替り、他方の経糸は左側の経畝の糸と入れ替る様に、しかも好ましくはそれ等が同じタイミングで入れ替わる様な構造体を形成する事、
等の要件を満足させるならば、経畝のひも状集束を解消し得る事をつきとめた。
【0011】
本発明は、かかる実情に鑑んがみなされたもので、経畝部の組織がひも状になる事なく、編目列が規則正しく整然と並び、美しい外観を保ち、且つ、縫製時に地糸切れを発生しない経畝構造のダブルラッセル編地を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、表編地と裏編地及びその両編地をつなぐパイル地から成り、表又は裏或いは表裏両面が経畝構造であるダブルラッセル編地で、経畝部の組織は鎖編と挿入編で構成し、且つ、鎖編は少くとも異なる2組の筬から供給する2本の経糸で編成し、隣接する経畝間の所々で鎖編を編成する一方の筬の経糸が右隣りの経畝と、他方の筬の経糸が左隣りの経畝と結接構造を形成したことを特徴とする経畝構造のダブルラッセル編地を構成した。
【0013】
【作 用】
本発明の編地は公知のダブルラッセル機を用い、経畝部は3枚以上の筬、即ち鎖編に2枚以上の筬、挿入編に1枚以上の筬を用いて編成する。経畝部以外の組織、即ち裏編地・パイル地は公知の組織から選定すれば良い。
【0014】
経畝部の鎖編は一部又は全部が少くとも2本の経糸で、且つその経糸は異なる2組の筬から供給する。しかも編成過程の所々で異なる2組の鎖編用の筬の一方の筬を右へ移動させ、隣接する右隣りの経畝の鎖編を編成し、他方の筬は左へ移動させて、左隣りの経畝の鎖編を編成する様に組織して、経畝間に結接構造を形成する。
【0015】
この場合、筬の右或いは左への移動量は2針以上、好ましくは経畝を構成する鎖編列の数だけ移動させる。即ち、鎖編を構成する一方の経糸が全て右隣りの経畝へ移り、他方の経糸が全て左隣りの経畝へ移る様な組織を用いる。また、左右への筬移動は、同一タイミングで行なう事が更に効果的である。
【0016】
一方、畝と畝との間隙を広く取る為に、経糸を供給しないで一部空き羽にする場合、筬の移動量は〔2針+空き羽数〕以上移動させる。以上の如く、経畝部の鎖編を編成する経糸が、隣接する経畝の経糸と一部又は全部が入れかわる事で、経畝間に結接構造を形成する。
【0017】
本発明で言う「隣接する経畝間の所々で」とは、一つの編目ループを形成する毎に結接構造を作るのではなく、複数ループを編成した所で結接構造を作るものである。結接構造が少ないと経畝がひも状になりやすく、多数存在すると経畝としての外観を損う事になる。所々とは、経畝のひも状集束を防ぎ、且つ経畝としての外観を失わない適当な範囲をさしており、通常、経畝を構成する鎖編の編目列の数の3倍の編コース以内に1ケ所の結接構造を形成する事が良い。即ち、編目列が4針から成る経畝構造であれば、12コース編成するまでの間に1ケ所の結接構造を設ける様に組織する。
【0018】
以上、鎖編を構成する経糸だけで結接構造を作るケースについて述べたが、鎖編を連結する挿入編の経糸で結接構造を併用して形成すると効果は一段と向上する。この場合、鎖編の経糸と同じタイミングで結接構造を作る事が好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面により詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の経畝構造のダブルラッセル編地を模式的に示した斜視図である。1は表編地、2は裏編地、3はパイル地である。表編地1は経畝4と溝5、並びに溝5の所々に左右の経畝4,4を連結する結接構造6から構成されている。
【0021】
図2は、表編地1の経畝4を構成する組織を経糸の編成軌跡を拡大して示した編組織図で、特に結接構造6の部分を拡張して示している。
【0022】
図2において、経畝4は、3列の鎖編4Aと、この鎖編4A,4A,4Aの各列を連結する挿入編4Bから成り、鎖編4Aは2本の経糸41,42から1つの鎖編4A列が編成され、挿入編4Bは挿入糸43によって編まれている。鎖編4Aと挿入編4Bの組織そのものは公知の組織より選定すれば良い。また、経畝4を構成する鎖編4Aの編目列の数、或いは溝5の巾は意匠に応じて適宜選定する事が出来る。
【0023】
結接構造6の構成は、鎖編4Aを編成した経糸41,42から成り、経糸41が図2中において左方向へ移動して左隣りの経畝4を編成する時、他方の経糸42は図2中において右方向へ移動して右隣りの経畝4を編成する。即ち、経糸41,42が互いにクロスする様に移動して、結接構造6を形成する。その後、複数コース編成した後、先程左へ移動した経糸41は右へ、また右へ移動した経糸42は左へ、即ち元の状態に戻る様に移動して、次ぎの結接構造6を形成する。
【0024】
図3は、市松模様の経畝ダブルラッセル編地の事例を図2と同様に示した編組織図である。図3では、鎖編4A列が3列で、挿入編4Bの経糸43も6針振りして、結接構造6を鎖編4Aの経糸と共に形成した事例を示している。
【0025】
市松模様を表現する為には、異なる特性の素材、例えば、レギュラーポリエステル糸41aと、カチオン可染ポリエステル糸41bとを3本交互に配置して、一枚の筬より供給し、他の筬についてもレギュラー糸42aとカチオン可染糸42bを3本交互に配置して編成し、後工程の染色段階で両素材を染分ける事で、異色柄の市松模様を表現する事が出来る。
【0026】
なお、本発明では、使用する糸の種類、糸の配列法は、上記に限定される事なく、意匠効果に応じて適宜選定する事が可能で、多様な市松模様の柄を作り得る。
【0027】
【実施例】
次に本発明の具体的実施例条件を示す。
【0028】
【0029】
以上の条件で編成した経畝ダブルラッセル地を公知の工程で、レギュラー糸,カチオン可染糸を異色染めし、巾150cm コス密度40c.p.iに仕上げた。
【0030】
結果は、鎖編11コースに対し結接構造1の経畝組織で且つ市松模様のダブルラッセル編地が得られ、経畝の編目列はひも状に集束する事なく、美しい外観のインテリア用表皮材(椅子張地、自動車用シート地など)に適した生地を作り得た。また、当生地は縫製工程でも地糸切れを起す事もなかった。
【0031】
【発明の効果】
かくして本発明によれば、経畝ダブルラッセル編地において、経畝部を鎖編と挿入編の組合せ組織を用い、鎖編は少くとも異なる2組の筬から供給する2本の経糸で編成し、隣接する経畝間の所々で、鎖編を編成する一方の筬の経糸が右隣りの経畝と、他方の筬の経糸が左隣りの経畝と結接構造を作る事で、鎖編の編目列が集束する事を防止し、表面がフラットでしかも編目が整然と並んだ外観の美しい経畝構造のダブルラッセル編地を作る事に成功したものである。本発明の経畝ダブルラッセル編地は、縫製工程での地糸切れを生じる事もなく、縫製効率を一段と高め得る効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の経畝ダブルラッセル編地の一例を模式的に示した部分斜視図。
【図2】図1における表編地の経畝を構成する組織を経糸の編成軌跡として拡大して示した編組織図。
【図3】市松模様の経畝ダブルラッセル編地の一例を図2と同様に示した編組織図。
【符号の説明】
1 表編地
2 裏編地
3 パイル地
4 経畝
5 溝
6 結接構造
4A 鎖編
4B 挿入編
41,41a,41b 一方の筬から供給される鎖編様の経糸
42,42a,42b 他方の筬から供給される鎖編様の経糸
【発明の属する技術分野】
本発明は、表編地と裏編地及びその両編地をつなぐパイル地から成るダブルラッセル編地で、特に表又は裏或いは表裏両面が経畝組織から成り、その経畝部分の編目列がひも状に集束する事を防いだ、表面がフラットな経畝構造のダブルラッセル編地に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ダブルラッセル編地で経畝組織はよく知られた組織である。この種の組織は、経畝を構成する部分の編組織がダブルデンビーやハーフ組織或いは鎖編と挿入編の組合せによる組織で編成するのが一般的である。
【0003】
【発明が解決しょうとする課題】
しかし、これ等公知組織で編成した場合、比較的畝巾の狭い経畝は編成時に経畝部の編目列が集束し、ひも状にまとまってしまい、外観が著しく損われる欠点があった。
【0004】
また、この様な編地は縫製工場でひも状に固まった経畝部に縫針が通る時に、編地を構成する糸を切断してしまい、一般に言われる地糸切れ現象を生じる。さらに、地糸切れ解消策として、縫針を細くしたり、ミシンの回転数を下げるなど、縫製上大きな制約を受ける。
【0005】
以上のように、従来技術では、比較的巾の狭い経畝組織は、外観的にも縫製上においても問題が多く、あまり実用に供されていないのが現状であった。
【0006】
本発明者は、比較的巾の細い経畝構造のダブルラッセル編地の経畝部がひも状に集束する原因と、その原因を解消する為の方策について、様々な角度から検討し、試作を重ねた結果、本発明に致った。
【0007】
すなわち、経畝部の編目列がひも状に集束する原因は、編成時に経糸に働く張力が、編成後においても編地の組織内に残留すること、特に経畝組織はその両側が溝状になっており、畝組織自体は隣接する経畝と表面組織が連結しておらず、独立した構造である為、組織内に残留する力が編地全体に伝播、分散されず、畝部だけに留まる結果、隣り合う編目列を互いに引き寄せる様に作用して、経畝の編目列をひも状にまとめてしまう。
【0008】
この経畝の集束現象を解消する手段として、まず組織内に残留する張力を可能な限り小さくする方策について検討したが、編成時の編張力を極端に低下させる事は編成する事自体が困難となり、この解決策には限度があった。
【0009】
従って、組織内の残留張力を経畝の外に伝播・拡散させる、すなわち隣接する経畝間で残留張力が互いに打ち消し合う様に作用させる組織構造を作れば、経畝のひも状集束が解消し得るとの考え方に着目して、様々な組織・編成法について検討した。
【0010】
その結果、
▲1▼ 隣接する経畝組織間の所々に結接部を設ける事で、組織内の残留張力が拡散する事をつきとめた。
▲2▼ また、経畝部の表面組織は、ダブルデンビーやハーフ組織では効果が少なく不向きであり、鎖編と挿入編の組合せ組織が効果的であり、結接部は少くとも鎖編を編成する糸によって結接する様に組織する事、
▲3▼ 結接は隣接する経畝部の鎖編の糸の一部又は全部が互いに入れ替る様に結接する事、
▲4▼ 一方、経畝の編目列は、その一部或いは全部が複数の経糸で編成し、結接組織を作る時に、一方の経糸は右側の経畝の糸と入れ替り、他方の経糸は左側の経畝の糸と入れ替る様に、しかも好ましくはそれ等が同じタイミングで入れ替わる様な構造体を形成する事、
等の要件を満足させるならば、経畝のひも状集束を解消し得る事をつきとめた。
【0011】
本発明は、かかる実情に鑑んがみなされたもので、経畝部の組織がひも状になる事なく、編目列が規則正しく整然と並び、美しい外観を保ち、且つ、縫製時に地糸切れを発生しない経畝構造のダブルラッセル編地を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、表編地と裏編地及びその両編地をつなぐパイル地から成り、表又は裏或いは表裏両面が経畝構造であるダブルラッセル編地で、経畝部の組織は鎖編と挿入編で構成し、且つ、鎖編は少くとも異なる2組の筬から供給する2本の経糸で編成し、隣接する経畝間の所々で鎖編を編成する一方の筬の経糸が右隣りの経畝と、他方の筬の経糸が左隣りの経畝と結接構造を形成したことを特徴とする経畝構造のダブルラッセル編地を構成した。
【0013】
【作 用】
本発明の編地は公知のダブルラッセル機を用い、経畝部は3枚以上の筬、即ち鎖編に2枚以上の筬、挿入編に1枚以上の筬を用いて編成する。経畝部以外の組織、即ち裏編地・パイル地は公知の組織から選定すれば良い。
【0014】
経畝部の鎖編は一部又は全部が少くとも2本の経糸で、且つその経糸は異なる2組の筬から供給する。しかも編成過程の所々で異なる2組の鎖編用の筬の一方の筬を右へ移動させ、隣接する右隣りの経畝の鎖編を編成し、他方の筬は左へ移動させて、左隣りの経畝の鎖編を編成する様に組織して、経畝間に結接構造を形成する。
【0015】
この場合、筬の右或いは左への移動量は2針以上、好ましくは経畝を構成する鎖編列の数だけ移動させる。即ち、鎖編を構成する一方の経糸が全て右隣りの経畝へ移り、他方の経糸が全て左隣りの経畝へ移る様な組織を用いる。また、左右への筬移動は、同一タイミングで行なう事が更に効果的である。
【0016】
一方、畝と畝との間隙を広く取る為に、経糸を供給しないで一部空き羽にする場合、筬の移動量は〔2針+空き羽数〕以上移動させる。以上の如く、経畝部の鎖編を編成する経糸が、隣接する経畝の経糸と一部又は全部が入れかわる事で、経畝間に結接構造を形成する。
【0017】
本発明で言う「隣接する経畝間の所々で」とは、一つの編目ループを形成する毎に結接構造を作るのではなく、複数ループを編成した所で結接構造を作るものである。結接構造が少ないと経畝がひも状になりやすく、多数存在すると経畝としての外観を損う事になる。所々とは、経畝のひも状集束を防ぎ、且つ経畝としての外観を失わない適当な範囲をさしており、通常、経畝を構成する鎖編の編目列の数の3倍の編コース以内に1ケ所の結接構造を形成する事が良い。即ち、編目列が4針から成る経畝構造であれば、12コース編成するまでの間に1ケ所の結接構造を設ける様に組織する。
【0018】
以上、鎖編を構成する経糸だけで結接構造を作るケースについて述べたが、鎖編を連結する挿入編の経糸で結接構造を併用して形成すると効果は一段と向上する。この場合、鎖編の経糸と同じタイミングで結接構造を作る事が好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面により詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の経畝構造のダブルラッセル編地を模式的に示した斜視図である。1は表編地、2は裏編地、3はパイル地である。表編地1は経畝4と溝5、並びに溝5の所々に左右の経畝4,4を連結する結接構造6から構成されている。
【0021】
図2は、表編地1の経畝4を構成する組織を経糸の編成軌跡を拡大して示した編組織図で、特に結接構造6の部分を拡張して示している。
【0022】
図2において、経畝4は、3列の鎖編4Aと、この鎖編4A,4A,4Aの各列を連結する挿入編4Bから成り、鎖編4Aは2本の経糸41,42から1つの鎖編4A列が編成され、挿入編4Bは挿入糸43によって編まれている。鎖編4Aと挿入編4Bの組織そのものは公知の組織より選定すれば良い。また、経畝4を構成する鎖編4Aの編目列の数、或いは溝5の巾は意匠に応じて適宜選定する事が出来る。
【0023】
結接構造6の構成は、鎖編4Aを編成した経糸41,42から成り、経糸41が図2中において左方向へ移動して左隣りの経畝4を編成する時、他方の経糸42は図2中において右方向へ移動して右隣りの経畝4を編成する。即ち、経糸41,42が互いにクロスする様に移動して、結接構造6を形成する。その後、複数コース編成した後、先程左へ移動した経糸41は右へ、また右へ移動した経糸42は左へ、即ち元の状態に戻る様に移動して、次ぎの結接構造6を形成する。
【0024】
図3は、市松模様の経畝ダブルラッセル編地の事例を図2と同様に示した編組織図である。図3では、鎖編4A列が3列で、挿入編4Bの経糸43も6針振りして、結接構造6を鎖編4Aの経糸と共に形成した事例を示している。
【0025】
市松模様を表現する為には、異なる特性の素材、例えば、レギュラーポリエステル糸41aと、カチオン可染ポリエステル糸41bとを3本交互に配置して、一枚の筬より供給し、他の筬についてもレギュラー糸42aとカチオン可染糸42bを3本交互に配置して編成し、後工程の染色段階で両素材を染分ける事で、異色柄の市松模様を表現する事が出来る。
【0026】
なお、本発明では、使用する糸の種類、糸の配列法は、上記に限定される事なく、意匠効果に応じて適宜選定する事が可能で、多様な市松模様の柄を作り得る。
【0027】
【実施例】
次に本発明の具体的実施例条件を示す。
【0028】
【0029】
以上の条件で編成した経畝ダブルラッセル地を公知の工程で、レギュラー糸,カチオン可染糸を異色染めし、巾150cm コス密度40c.p.iに仕上げた。
【0030】
結果は、鎖編11コースに対し結接構造1の経畝組織で且つ市松模様のダブルラッセル編地が得られ、経畝の編目列はひも状に集束する事なく、美しい外観のインテリア用表皮材(椅子張地、自動車用シート地など)に適した生地を作り得た。また、当生地は縫製工程でも地糸切れを起す事もなかった。
【0031】
【発明の効果】
かくして本発明によれば、経畝ダブルラッセル編地において、経畝部を鎖編と挿入編の組合せ組織を用い、鎖編は少くとも異なる2組の筬から供給する2本の経糸で編成し、隣接する経畝間の所々で、鎖編を編成する一方の筬の経糸が右隣りの経畝と、他方の筬の経糸が左隣りの経畝と結接構造を作る事で、鎖編の編目列が集束する事を防止し、表面がフラットでしかも編目が整然と並んだ外観の美しい経畝構造のダブルラッセル編地を作る事に成功したものである。本発明の経畝ダブルラッセル編地は、縫製工程での地糸切れを生じる事もなく、縫製効率を一段と高め得る効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の経畝ダブルラッセル編地の一例を模式的に示した部分斜視図。
【図2】図1における表編地の経畝を構成する組織を経糸の編成軌跡として拡大して示した編組織図。
【図3】市松模様の経畝ダブルラッセル編地の一例を図2と同様に示した編組織図。
【符号の説明】
1 表編地
2 裏編地
3 パイル地
4 経畝
5 溝
6 結接構造
4A 鎖編
4B 挿入編
41,41a,41b 一方の筬から供給される鎖編様の経糸
42,42a,42b 他方の筬から供給される鎖編様の経糸
Claims (3)
- 表編地と裏編地及びその両編地をつなぐパイル地から成り、表又は裏或いは表裏両面が経畝構造であるダブルラッセル編地で、経畝部の組織は鎖編と挿入編で構成し、且つ、鎖編は少くとも異なる2組の筬から供給する2本の経糸で編成し、隣接する経畝間の所々で鎖編を編成する一方の筬の経糸が右隣りの経畝と、他方の筬の経糸が左隣りの経畝と結接構造を形成したことを特徴とする経畝構造のダブルラッセル編地。
- 経畝を構成する鎖編を連結する挿入編についても、鎖編の経糸による隣接経畝間を結ぶ結接構造と同様に挿入編の経糸による結接構造を所々で形成したことを特徴とする請求項1に記載した経畝構造のダブルラッセル編地。
- 鎖編に供する経糸を、少くとも一枚の筬或いは複数の筬について、異なる性質の糸を互いに配置して編成し、市松模様に構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の経畝構造のダブルラッセル編地。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003019996A JP2004232109A (ja) | 2003-01-29 | 2003-01-29 | 経畝構造のダブルラッセル編地 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003019996A JP2004232109A (ja) | 2003-01-29 | 2003-01-29 | 経畝構造のダブルラッセル編地 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004232109A true JP2004232109A (ja) | 2004-08-19 |
Family
ID=32949739
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003019996A Pending JP2004232109A (ja) | 2003-01-29 | 2003-01-29 | 経畝構造のダブルラッセル編地 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004232109A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008255508A (ja) * | 2007-04-02 | 2008-10-23 | Seiren Co Ltd | 畝状ダブルラッセル地およびその製造方法 |
JP2010099106A (ja) * | 2008-10-21 | 2010-05-06 | Itoki Corp | 椅子用背もたれ及び椅子 |
WO2017209140A1 (ja) | 2016-05-31 | 2017-12-07 | 東レ株式会社 | 織編地 |
JP2022029553A (ja) * | 2020-08-05 | 2022-02-18 | ドーコインターナショナル株式会社 | 下半身用衣類 |
WO2022255319A1 (ja) | 2021-06-01 | 2022-12-08 | 旭化成株式会社 | 表皮材 |
WO2022255309A1 (ja) * | 2021-06-01 | 2022-12-08 | 旭化成株式会社 | ダブルラッセル編地及びそれを含む表皮材 |
-
2003
- 2003-01-29 JP JP2003019996A patent/JP2004232109A/ja active Pending
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008255508A (ja) * | 2007-04-02 | 2008-10-23 | Seiren Co Ltd | 畝状ダブルラッセル地およびその製造方法 |
JP2010099106A (ja) * | 2008-10-21 | 2010-05-06 | Itoki Corp | 椅子用背もたれ及び椅子 |
WO2017209140A1 (ja) | 2016-05-31 | 2017-12-07 | 東レ株式会社 | 織編地 |
JP2022029553A (ja) * | 2020-08-05 | 2022-02-18 | ドーコインターナショナル株式会社 | 下半身用衣類 |
WO2022255319A1 (ja) | 2021-06-01 | 2022-12-08 | 旭化成株式会社 | 表皮材 |
WO2022255309A1 (ja) * | 2021-06-01 | 2022-12-08 | 旭化成株式会社 | ダブルラッセル編地及びそれを含む表皮材 |
JP7237260B1 (ja) * | 2021-06-01 | 2023-03-10 | 旭化成株式会社 | ダブルラッセル編地及びそれを含む表皮材 |
CN117043405A (zh) * | 2021-06-01 | 2023-11-10 | 旭化成株式会社 | 双拉舍尔针织物和包含双拉舍尔针织物的表皮材料 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4076525B2 (ja) | 編成面ファスナー | |
JPH04506687A (ja) | 構造的に編成された織物状布帛 | |
JP6921594B2 (ja) | 経編機、経編地の製造方法及び経編地 | |
JP2001123361A (ja) | ダブルラッシェル機による柄入り立体成形物及びその編成方法 | |
GB2047761A (en) | Single bar lock-stitch stitch-bonded fabric | |
JP2004232109A (ja) | 経畝構造のダブルラッセル編地 | |
JP2002212864A (ja) | カットパイル編地とその製造方法 | |
JP3136342B2 (ja) | 二面式経編地の編成方法及びその編構造 | |
JPH0749616B2 (ja) | 立体編物およびその製造方法 | |
JP3359616B2 (ja) | 両端にパワー編地部分を有し縦横に伸縮可能な経編地 | |
GB1584324A (en) | Knitted pile fabric | |
JP3030490U (ja) | 経編レース地におけるふさ部のほつれ止め構造 | |
JP4162346B2 (ja) | 部分的に模様編地部分を有する経編地 | |
JPH01148854A (ja) | ネット及びその製造方法 | |
JP2002173856A (ja) | 多層構造丸編地 | |
JP3068304U (ja) | 部分的に模様編地部分を有する経編地 | |
JPS5812864Y2 (ja) | ダブルニツト組織編地 | |
JPH0121989Y2 (ja) | ||
JPS584106B2 (ja) | 二面式パイル地の編成方法 | |
JP3035485U (ja) | リングパイルとシャーリングパイルが混在した経編地 | |
JPH0159371B2 (ja) | ||
CA1194330A (en) | Single bar lock-stitch lofted fabric construction | |
JP3080686U (ja) | 立毛編地及びその編地を生産するダブルニードルバー経編機 | |
CS211995B1 (cs) | Způsob výroby jednolícní nebo oboulícní osnovní pleteniny se zvlněným smyčkovým krytem | |
JP2001505259A (ja) | 平形横編機によるフロック糸を含む編地の製法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040915 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060601 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Effective date: 20060620 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20061011 |