JP2004228600A - 電解コンデンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】低密度であると共に大幅に向上した引張強度を有し、しかも繊維間空隙が遮蔽されることがない新規な電解紙を用いることによって、インピーダンス特性に悪影響を与えることなくショート不良率を改善するとともに、生産性を向上させた電解コンデンサを提供することを目的とする。
【解決手段】陽極箔と陰極箔との間に電解紙を介在してなる電解コンデンサにおいて、CSFの値が500ml以上の天然植物繊維を原料として電解紙を抄紙するとともに、抄紙後の電解紙に紙力増強剤の精製溶液を含浸塗布することにより、該紙力増強剤の精製溶液を繊維内部に浸透させて、繊維間空隙を維持した状態で繊維間の結合強度を増大させた電解コンデンサを提供する。
【選択図】なし
【解決手段】陽極箔と陰極箔との間に電解紙を介在してなる電解コンデンサにおいて、CSFの値が500ml以上の天然植物繊維を原料として電解紙を抄紙するとともに、抄紙後の電解紙に紙力増強剤の精製溶液を含浸塗布することにより、該紙力増強剤の精製溶液を繊維内部に浸透させて、繊維間空隙を維持した状態で繊維間の結合強度を増大させた電解コンデンサを提供する。
【選択図】なし
Description
本発明は陽極箔と陰極箔との間に電解紙を介在させて構成した電解コンデンサに係り、特には低密度であると共に大幅に向上した引張強度を有し、しかも繊維間空隙が遮蔽されることがない新規な電解紙を用いることによって、インピーダンス特性に悪影響を与えることなくショート不良率を改善するとともに、生産性を向上させるものである。
一般に電解コンデンサ,特にアルミ電解コンデンサは、陽極アルミ箔と陰極アルミ箔との間に電解紙を介在させて巻付け形成してコンデンサ素子を作成し、このコンデンサ素子を液状の電解液中に浸漬して電解質を含浸させ、封口して製作している。電解液としては通常エチレングリコール(EG),ジメチルホルムアミド(DMF)又はγ−ブチロラクトン(GBL)等を溶媒とし、これらの溶媒に硼酸やアジピン酸アンモニウム,マレイン酸水素アンモニウム等の有機酸塩を溶解したものを用いてコンデンサ素子の両端から浸透させて製作している。
これら従来のアルミ電解コンデンサは電解紙中に電解液を含浸させているため、コンデンサとしてのインピーダンス特性、特に等価直列抵抗(以下ESRと略する)が高くなり易く、そのためインピーダンス特性を良くするために電解液の抵抗を下げたり、電解紙を薄くするか密度を低くする手段の外、電解紙の原料を通常の木材クラフトパルプから針葉樹木材パルプ,マニラ麻パルプ,エスパルトパルプ等に変更する手段が用いられている。しかしながら、電解液の抵抗値を下げると、アルミ箔に対して腐蝕性を与える原因となり、一方、電解紙を薄くしたり密度を低くすると必然的に引張強度が低下してショート不良率が増大し、仮にショートしなかった場合でも製品化されて市場に出された後のショート不良率が高くなる難点がある。
そこでショート不良率を下げるためには電解紙の厚さを厚くしたり、密度を高くしたり、同密度の場合にはその原料であるパルプの叩解の程度を示すJIS P 8121によるCSF(Canadian Standard Freeness)の数値を小さくすればパルプの繊維がフィブリル化して細かくなり、得られる電解紙が緻密となり、引張強度が増大してショート不良率が改善されることが知られている。また、これらの項目のESRに与える影響は電解紙を厚くすると一次式的にESRが悪化し、密度を高めると二次式的にESRが悪化することが判明している。即ちESRを改善するには、ショート不良率の改善とは逆に電解紙を薄く、その密度を低くする必要がある。
そのため、ショート不良率の改善とESRの改善という双方の目的を達成するために、前記したように電解紙の原料を通常の木材クラフトパルプから針葉樹木材パルプ,マニラ麻パルプ,エスパルトパルプ等の繊維径のより小さなパルプへ変更することによって、薄く、かつ、低密度で緻密な電解紙を製造する試みがなされている。現在電解紙として最も多く採用されている混抄品は、マニラ麻パルプとエスパルトパルプの混抄品であって、繊維径が細く剛性の高いエスパルトパルプをマニラ麻パルプへ混合することによって、マニラ麻の外観の粗さを解消し密度が低くても緻密性を有する電解紙を得ることができる(特許文献1参照)。
更に、電解紙の原料として原料を叩解してCSFの数値を小さくしても抄造された紙の密度が高くなり難いサイザルパルプを使用することにより、CSFの小さい原料で密度の低い電解紙を得ることが提供されている(特許文献2参照)。
また、ショート不良率を改善するには電解紙の箔バリに対する耐性を向上させることであり、厚さ,密度,緻密性,ピンホールと共に引張強度を向上させることも重要な課題である。そのため、前記したようにCSFの数値を小さくする他、原料中にビニロンバインダー繊維,ポリエチレン繊維等低融点の熱融着繊維を混合し、乾燥工程での温度にて溶融させ、繊維間に接着強度を持たせ引張強度を増大させる手段や、ポリプロピレン繊維,ナイロン繊維等の熱可塑性繊維を混抄した紙を二次加工にて熱処理を施し融着させ引張強度を増大させる手段が知られている。これらの手段では前記した天然植物繊維の他にビスコースレーヨン繊維,ポリプロピレン繊維,ポリイミド繊維,アラミド繊維等の合成繊維の他、ガラス繊維,アルミナシリカ繊維等の無機繊維も配合し低密度、かつ、空隙率の高い紙で、実用レベルの引張強度を有する紙を得ることが可能である。
また、紙の一般的な引張強度の増大として製造工程中の原料懸濁液に澱粉,植物性ガム,半合成高分子及び合成高分子等を添加し、繊維表層に定着させ繊維相互の結合強度を増大させる手段が知られている。
特公昭61−45379号公報
特開昭62−126622号公報
しかしながら、前記マニラ麻パルプとエスパルトパルプを混抄した特許文献1においては、エスパルトパルプが非常に剛性であるため、マニラ麻パルプとの相性が悪く、エスパルトパルプを混合することによって極度に引張強度が減少してしまう。そのためにマニラ麻パルプのCSFの数値を小さくし、フィブリルを無数に発生させて繊維間に働く水素結合を増大させて電解紙の強度を高めて引張強度を維持する必要がある。ところが、近時この引張強度を高めるためのマニラ麻パルプのフィブリルによって、繊維間隙は埋められてしまうため、剛直なエスパルトパルプの存在下では低密度の紙は作成できても、返ってESRに悪影響のあることが判明してきた。
一方、サイザルパルプを原料とする特許文献2によれば、サイザルパルプは繊維径がマニラ麻パルプと略同径で、かつ、マニラ麻パルプより剛性が高いため、薄い紙が抄き難いという問題点があり、しかも外観上の粗さがあるため、引張強度が低く、素子巻取り工程上での断紙やショート不良率が増加することが判明してきた。
また、CSFの数値を小さくすることなく引張強度を増大させることのできる熱融着繊維を混抄して乾燥工程にて溶融させ繊維相互の結合を増大させる手段、或は熱可塑性繊維を混抄し二次加工の熱処理で融着させ引張強度を増大させる手段では、バインダー繊維及び熱可塑性繊維が溶融し膜状(フィルム状)となり繊維間隙を遮蔽して電解液のイオン電導を阻害するため、低密度紙で引張強度が強くてもESRは悪化する結果となることが判明している。
更に、紙の一般的な引張強度の増大手段である製造工程中の原料懸濁液に澱粉,植物性ガム,半合成高分子及び合成高分子等を添加し、繊維表層に定着させ繊維相互の結合強度を増大させる手段によれば、CSFの数値を小さくしミクロフィブリルを発生させ繊維表面積を増大させることのできる高密度用原料に対しては、ある程度は有効ではある。しかしながら、近年特に電解紙に要求される低ESR化に対しては必ずしも有効ではない。即ち、電解紙の低ESR化に対してはより低密度に製造することが重要であり、そのために未叩解原料か僅かに叩解を施した程度の原料を前提として製造する必要がある。これは原料繊維の叩解処理を施しCSFの数値を小さくすれば必然的に密度が上昇するためである。従って、低ESR化を目的とする電解紙においては未叩解原料か僅かに叩解を施した程度の原料を使用するため繊維表面積は増大しない。そのため、製造工程中の原料懸濁液に前記紙力増強剤を内添したとしても定着歩留りが極めて悪く、大幅な引張強度の増大は期待できず、低ESR化を目的とする電解紙としては引張強度が充分でない。
また、前記の各種天然植物繊維を100%使用する限り、電解紙の下限密度は0.27g/cm3であり、これ以下に密度を低くすると、電解紙製造の巻取り段階で紙切れが発生し、仮に製作できたとしてもコンデンサの素子巻取り工程において紙切れが多発するため実用に致っていないのが現状である。
一方、コンデンサの製造過程においてはコンデンサ素子に巻取る際の電解紙切れの問題があり、特に近年の低ESR化による低密度紙への移行と共に電解紙切れの増大によって、その生産性を著しく阻害する要因ともなっており、その改善が求められている。
そこで本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、低密度であると共に大幅に向上した引張強度を有し、しかも繊維間空隙が遮蔽されることがない新規な電解紙を用いることによって、インピーダンス特性に悪影響を与えることなくショート不良率を改善するとともに、コンデンサの素子巻取り工程での断紙を無くし生産性を向上させる電解コンデンサを提供することを目的とするものである。
本発明は上記の目的を達成するために、陽極箔と陰極箔との間に電解紙を介在してなる電解コンデンサにおいて、CSFの値が500ml以上の天然植物繊維を原料として電解紙を抄紙するとともに、抄紙後の電解紙に紙力増強剤の精製溶液を含浸塗布した構成、CSFの値が500ml以上の天然植物繊維を原料として電解紙を抄紙するとともに、抄紙後の電解紙に紙力増強剤の精製溶液を紙層中の繊維相互の接触点に定着するように含浸塗布させた構成、CSFの値が500ml以上の天然植物繊維を原料として電解紙を抄紙するとともに、抄紙後の電解紙に紙力増強剤の精製溶液を含浸塗布することにより、該紙力増強剤の精製溶液を繊維内部に浸透させて、繊維間空隙を維持した状態で繊維間の結合強度を増大させた構成を提供する。
また、紙力増強剤は澱粉,植物性ガム,半合成高分子又は合成高分子から選択された1種又は複数のものである構成、紙力増強剤を電解紙に対して0.05重量%〜5.0重量%又は0.1重量%〜3.0重量%含浸塗布した構成、電解紙の不純物を化成性で評価した場合300〜650V又は500〜650Vである構成、電解紙を構成する天然植物繊維がマニラ麻パルプ,サイザル麻パルプ,エスパルトパルプから選択された1種又は複数のものである構成、電解紙の密度が0.20〜0.70g/cm3であり、厚さが20〜70μm又は密度が0.20〜0.35g/cm3であり、厚さが40〜60μmである構成、電解紙の引張強度が1.1kg/15mm以上である構成を提供する。
上記手段による本発明によれば、電解紙に紙力増強剤の精製溶液を含浸塗布することにより、天然植物繊維に僅かな叩解を施した程度の原料もしくは従来よりも叩解の程度を浅くしたCSFの値が500ml以上というCSFの数値の大きい原料を使用しても、紙層中の繊維相互の接触点に紙力増強剤が効果的に定着し、繊維間の結合強度が増大すると共に、繊維内部まで浸透するため、単繊維自体の強度をも増大させることができる。従って、電解紙は繊維間空隙を維持した状態で繊維の結合強度が高まるため、ESRに悪影響を及ぼすことなく引張強度を格段に改善でき、結果としてコンデンサ素子製作時の断紙をなくすることができる。即ち、本発明にかかる電解紙によれば、繊維の結合強度を高めても、従来のように叩解原料におけるミクロフィブリルや熱融着繊維等による薄膜形成による繊維間空隙の遮蔽がないのである。そのため、紙力増強剤の精製溶液を含浸塗布した電解紙を用いて製作した電解コンデンサは、薄く低密度であることにより低ESRを実現できると同時に、繊維の結合強度の増加による引張強度の向上によりショート不良率を著しく減少させることができ、更に生産性をも向上させることができる。また、紙力増強剤の不純物を精製低減しているため、アルミ箔を腐食又は変質させることがない。
以下に本発明にかかる電解コンデンサの最良の実施形態を説明する。本発明は抄紙後の電解紙に紙力増強剤の精製溶液を含浸塗布したことに特徴を有する。電解紙に塗布する紙力増強剤としてはグァーガム,ローカストビーンガム,トラガカントガム等の植物性ガム類,コーンスターチ,ポテト澱粉,小麦澱粉,タピオカ澱粉等の澱粉類,ジアルデヒドデンプン,カチオンデンプン,メチルセルロース,カルボキシメチルセルロース等の半合成高分子,ポリアクリルアミド樹脂,ポリエチレンイミン樹脂,尿素樹脂等の合成高分子が使用される。その中でも入手性,経済性,強度増強効果,作業性等からしてジアルデヒドデンプン,ポリアクリルアミド樹脂,ポリエチレンイミン樹脂が特に好ましい。
本発明では前記紙力増強剤の精製溶液を使用する。本発明で精製溶液とは希釈水溶液としてアルミ箔を腐食又は変質させないレベルまで不純物をイオン交換樹脂等により除去したものであり、電解紙の不純物を化成性で評価した場合に一般用途のものでは300V〜650Vの範囲にあるもので使用可能であり、更に高温度長寿命用等の対応のものとしては500V〜650Vの範囲とすることにより信頼性が増すこととなる。なお、紙力増強剤そのものは水溶液として精製されたものであれば前記したものに限定されるものではなく、適宜のものを使用可能である。また、紙力増強剤は上記条件に適合する精製溶液であればよく、その精製処理の方法はイオン交換樹脂の他、電気透析法,限外濾過法,逆浸透法等のどのような方法であってもよい。
紙力増強剤は電解紙に対して0.05重量%〜5.0重量%、好ましくは0.1重量%〜3.0重量%を含浸塗布する。この範囲において目的とする低密度であると共に大幅に向上した引張強度を有し、しかも繊維間空隙が遮蔽されることがない新規な電解紙を得ることができた。
この含浸塗布された紙力増強剤の精製溶液によって、紙層中の繊維相互の接触点に紙力増強剤が効果的に定着し、繊維間の結合強度が増大すると共に、繊維内部まで浸透するため、単繊維自体の強度をも増大させることができる。従って、電解紙は繊維間空隙を維持した状態で繊維の結合強度が高まる。しかも、従来のように過度に叩解してミクロフィブリルを発生したり、熱融着繊維等の造膜による繊維間隙の遮蔽がなく、低密度で薄く、しかも大きな引張強度を有することができる。
紙力増強剤の精製溶液を含浸塗布する被塗布紙としては、1つの円網バット部を有した円網抄紙機(円網一重紙),あるいは2つ以上複数の円網バット部を有した円網多層コンビネーションマシン(円網多重紙)等の適宜の抄紙機にて抄造された乾紙状態の電解紙を使用する。
この抄紙後の乾紙状態の電解紙に目標強度に応じて希釈した紙力増強剤の精製溶液を含浸塗布する。塗布方式としてはダイレクトロールコータ,ディップコータ,スプレーコータ,キッスロールコータ等の塗布方式で浸漬され、プレスロールにて脱液調整と厚さ調整を行った後、熱風乾燥やシリンダードライ方式等によって乾燥させて、所定の厚さ、密度の電解紙を製作する。この方式が二次加工であっても良いが、抄紙後にこれらの設備を設置したオンライン方式とすると生産性を阻害することなく量産することが可能となる。この方式によれば、例えば従来の原料懸濁液へのアニオン紙力増強剤の内部添加の如く、硫酸バンドやポリ塩化アルミ等の不純物の多い定着助剤を必要とせず、アニオン,ノニオン,カチオンの何れの紙力増強剤でも使用することができる。なお、紙力増強剤の精製溶液を含浸塗布する電解紙としては抄紙後の乾紙状態の電解紙が効率が良く適当である。湿紙状態の電解紙に噴霧塗布することも可能であるが、湿紙の水分率が高いため、吸引脱水やプレス脱水にて紙力増強剤が流出することとなり、効率が悪く、又抄紙フェルやドライヤーシリンダーを汚染するため、従来の電解紙の抄紙に支障を来すので、乾紙状態の電解紙に含浸塗布することが適当である。
また、含浸塗布,プレス加重,乾燥の方法及びこれらの条件によっては抄紙後の電解紙の厚さ,密度を調整することも可能であり、従来、天然植物繊維では未叩解原料でも不可能とされていた超低密度電解紙を製作することが可能となる。更に引張強度の増大により素子巻取り工程での断紙を防止すると共に電解紙中の微細繊維をも強固に固着するため電解紙の表面強度が増大し、電解紙の裁断時やコンデンサ素子巻取り工程での繊維脱落による紙粉の発生をも防止することができ、ラインの清掃頻度を減少させ工程の作業を円滑にすることも可能となる。
得られる電解紙の密度は0.20〜0.70g/cm3,厚さ20〜70μm、好ましくは密度0.20〜0.35g/cm3,厚さ40〜60μmとすることが適当である。また、電解紙の不純物を化成性で評価した場合300〜650V、好ましくは500〜650Vとし、引張強度1.1kg/15mm以上とすることが適当である。電解紙の高信頼性を維持するため、電解紙の不純物を化成性によって評価し、該化成性の評価基準を満たしていることが本発明の特徴の一つである。
このようにして得られた電解紙を陽極アルミ箔と陰極アルミ箔との間に介在させて巻きつけ形成した後、液状の電解質を含浸させ、封口して電解コンデンサを製作する。
以下に本発明にかかる具体的な各種実施例と比較例及び従来例を示す。なお、電解コンデンサは、タブ付けした陽極箔と陰極箔の間に両極が接触しないように電解紙を介在させ、巻取りして電解コンデンサ素子を形成した後、所定の電解液を含浸させてケースに封入し、エージングを行って、50WV,220μFのアルミ乾式コンデンサを得た。
マニラ麻パルプ100重量%使用してCSF720mlに叩解し、厚さ49.9μm,密度0.275g/cm3,引張強度0.6kg/15mmの円網二重紙を抄紙した後、ダイレクトロールコータにてイオン交換樹脂で精製したジアルデヒドデンプンの希釈溶液を浸漬し、プレスロールでジアルデヒドデンプンが紙に対し2.8重量%になるよう脱液調整後熱風乾燥によって厚さ59.8μm,密度0.236g/cm3,引張強度1.2kg/15mmの電解紙を得た。ついでこの電解紙で50WV,220μFの電解コンデンサを製作した。
マニラ麻パルプ70重量%とサイザル麻パルプ30重量%の混合原料をCSF710mlに叩解し、厚さ47.6μm,密度0.286g/cm3,引張強度0.6kg/15mmの円網二重紙で抄紙した後、ダイレクトロールコータにてイオン交換樹脂で精製したポリアクリルアミド樹脂の希釈溶液を浸漬しプレスロールでポリアクリルアミドが紙に対し1.2重量%になるよう脱液調整後シリンダードライヤーで乾燥し厚さ50.0μm,密度0.275g/cm3,引張強度1.4kg/15mmの電解紙を得た。ついでこの電解紙で50WV,220μFの電解コンデンサを製作した。
エスパルトパルプ60重量%とマニラ麻40重量%の混合原料を使用しCSF650mlに叩解し、厚さ39.6μm,密度0.348g/cm3,引張強度0.8kg/15mmの円網二重紙を抄紙した後、ダイレクトロールコータにてイオン交換樹脂で精製したポリアクリルアミド樹脂の希釈溶液を浸漬し、プレスロールでポリアクリルアミドが紙に対し0.8重量%になるよう脱液調整後シリンダードライヤーで乾燥し厚さ40.2μm,密度0.346g/cm3,引張強度1.8kg/15mmの電解紙を得た。ついでこの電解紙で50WV,220μFの電解コンデンサを製作した。
エスパルトパルプ50重量%とマニラ麻50重量%の混合原料を使用しCSF600mlに叩解し、厚さ41.9μm,密度0.482g/cm3,引張強度3.0kg/15mmの円網二重紙を抄紙した後、ダイレクトロールコータにてイオン交換樹脂で精製したポリアクリルアミド樹脂の希釈溶液を浸漬し、プレスロールでポリアクリルアミドが紙に対し0.5重量%になるよう脱液調整後シリンダードライヤーで乾燥し厚さ40.0μm,密度0.506g/cm3,引張強度4.4kg/15mmの電解紙を得た。ついでこの電解紙で50WV,220μFの電解コンデンサを製作した。
エスパルトパルプ40重量%とマニラ麻60重量%の混合原料を使用しCSF500mlに叩解し、厚さ30.6μm,密度0.592g/cm3,引張強度3.3kg/15mmの円網一重紙を抄紙した後、ダイレクトロールコータにてイオン交換樹脂で精製したポリアクリルアミド樹脂の希釈溶液を浸漬し、プレスロールでポリアクリルアミドが紙に対し0.3重量%になるよう脱液調整後シリンダードライヤーで乾燥し厚さ30.3μm,密度0.603g/cm3,引張強度4.7kg/15mmの電解紙を得た。ついでこの電解紙で50WV,220μFの電解コンデンサを製作した。
〔比較例1〕→実施例1に対応
マニラ麻パルプをCSF720mlに叩解した原料100重量%を使用して、厚さ50.2μm,密度0.277g/cm3,引張強度0.6kg/15mmの円網二重紙を抄紙した後、ダイレクトロールコータにて市販のエポキシ樹脂(ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂)の希釈溶液を浸漬し、プレスロールでエポキシ樹脂が紙に対し2.5重量%になるよう脱液調整後熱風乾燥によって厚さ59.0μm,密度0.237g/cm3,引張強度1.1kg/15mmの電解紙を得た。ついでこの電解紙で50WV,220μFの電解コンデンサを製作した。
マニラ麻パルプをCSF720mlに叩解した原料100重量%を使用して、厚さ50.2μm,密度0.277g/cm3,引張強度0.6kg/15mmの円網二重紙を抄紙した後、ダイレクトロールコータにて市販のエポキシ樹脂(ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂)の希釈溶液を浸漬し、プレスロールでエポキシ樹脂が紙に対し2.5重量%になるよう脱液調整後熱風乾燥によって厚さ59.0μm,密度0.237g/cm3,引張強度1.1kg/15mmの電解紙を得た。ついでこの電解紙で50WV,220μFの電解コンデンサを製作した。
〔従来例1〕→実施例1に対応
サイザル麻パルプをCSF450mlまで叩解した原料30重量%とチョップドガラス繊維50重量%及びビニロンバインダー繊維20重量%の混合原料を使用して、抄紙機のシリンダードライヤー上でビニロンバインダー繊維を熱融着させ、厚さ60.5μm,密度0.235,引張強度0.8kg/15mmの紙を抄造した。ついでこの電解紙で50WV,220μFの電解コンデンサを製作した。
サイザル麻パルプをCSF450mlまで叩解した原料30重量%とチョップドガラス繊維50重量%及びビニロンバインダー繊維20重量%の混合原料を使用して、抄紙機のシリンダードライヤー上でビニロンバインダー繊維を熱融着させ、厚さ60.5μm,密度0.235,引張強度0.8kg/15mmの紙を抄造した。ついでこの電解紙で50WV,220μFの電解コンデンサを製作した。
〔従来例2〕→実施例1に対応
マニラ麻パルプをCSF350mlに叩解した原料70重量%とポリプロピレン繊維30重量%の混合原料を使用して、厚さ62.3μm,密度0.230g/cm3,引張強度0.6kg/15mmの紙を抄造した後、ポリプロピレン繊維を熱融着させ厚さ60.1μm,密度0.238g/cm3,引張強度1.0kg/15mmの紙を製造した。ついでこの電解紙で50WV,220μFの電解コンデンサを製作した。
マニラ麻パルプをCSF350mlに叩解した原料70重量%とポリプロピレン繊維30重量%の混合原料を使用して、厚さ62.3μm,密度0.230g/cm3,引張強度0.6kg/15mmの紙を抄造した後、ポリプロピレン繊維を熱融着させ厚さ60.1μm,密度0.238g/cm3,引張強度1.0kg/15mmの紙を製造した。ついでこの電解紙で50WV,220μFの電解コンデンサを製作した。
〔従来例3〕→実施例2に対応
マニラ麻パルプ70重量%とサイザル麻パルプ30重量%の混合原料をCSF680mlに叩解し、厚さ50.2μm,密度0.278g/cm3,引張強度0.7kg/15mmの円網二重紙を抄紙した。ついでこの電解紙で50WV,220μFの電解コンデンサを製作した。
マニラ麻パルプ70重量%とサイザル麻パルプ30重量%の混合原料をCSF680mlに叩解し、厚さ50.2μm,密度0.278g/cm3,引張強度0.7kg/15mmの円網二重紙を抄紙した。ついでこの電解紙で50WV,220μFの電解コンデンサを製作した。
〔従来例4〕→実施例3に対応
エスパルトパルプ60重量%とマニラ麻40重量%の混合原料を使用しCSF610mlに叩解し、厚さ39.9μm,密度0.347g/cm3,引張強度1.0kg/15mmの円網二重紙を抄紙した。ついでこの電解紙で50WV,220μFの電解コンデンサを製作した。
エスパルトパルプ60重量%とマニラ麻40重量%の混合原料を使用しCSF610mlに叩解し、厚さ39.9μm,密度0.347g/cm3,引張強度1.0kg/15mmの円網二重紙を抄紙した。ついでこの電解紙で50WV,220μFの電解コンデンサを製作した。
〔従来例5〕→実施例4に対応
エスパルトパルプ50重量%とマニラ麻50重量%の混合原料を使用しCSF560mlに叩解し、厚さ40.0μm,密度0.503g/cm3,引張強度3.2kg/15mmの円網二重紙を抄紙した。ついでこの電解紙で50WV,220μFの電解コンデンサを製作した。
エスパルトパルプ50重量%とマニラ麻50重量%の混合原料を使用しCSF560mlに叩解し、厚さ40.0μm,密度0.503g/cm3,引張強度3.2kg/15mmの円網二重紙を抄紙した。ついでこの電解紙で50WV,220μFの電解コンデンサを製作した。
〔従来例6〕→実施例5に対応
エスパルトパルプ40重量%とマニラ麻60重量%の混合原料を使用しCSF440mlに叩解し、厚さ30.4μm,密度0.596g/cm3,引張強度3.8kg/15mmの円網二重紙を抄紙した。ついでこの電解紙で50WV,220μFの電解コンデンサを製作した。
エスパルトパルプ40重量%とマニラ麻60重量%の混合原料を使用しCSF440mlに叩解し、厚さ30.4μm,密度0.596g/cm3,引張強度3.8kg/15mmの円網二重紙を抄紙した。ついでこの電解紙で50WV,220μFの電解コンデンサを製作した。
上記の実施例1〜5と比較例1及び従来例1〜6によって得られた電解紙及び電解コンデンサに関し、厚さ(μm)、密度(g/cm3)、引張強度(kg/15mm)、気密度(秒/100cc)、化成性(V)、紙粉発生量(mg/1000m)、ショート不良率(%)、ESR(Ω/1kHz)を測定した。なお、測定方法及びその装置は次の通りである。
(1)電解紙の厚さ、密度、引張強度
JIS C2301(電解コンデンサ紙)に規定された方法で測定した。
JIS C2301(電解コンデンサ紙)に規定された方法で測定した。
(2)気密度
JIS C2111(電気絶縁紙試験方法)に規定する“12.1気密度”の項に従い、B型試験器(ガーレーデンソメータ)によって測定した。但し穴の部分が6mmψであるアダプターを使用した。また、気密度1秒以下の電解紙については5枚重ねで測定し1枚に換算した。
JIS C2111(電気絶縁紙試験方法)に規定する“12.1気密度”の項に従い、B型試験器(ガーレーデンソメータ)によって測定した。但し穴の部分が6mmψであるアダプターを使用した。また、気密度1秒以下の電解紙については5枚重ねで測定し1枚に換算した。
(3)化成性
電解紙50g±1gを1000mlのイオン交換水で1時間煮沸し、抽出液を100mlまで濃縮して冷却した後、0.35gのアジピン酸を溶解した試料液に、清浄な99.99%のプレーンアルミ箔を両電極として60mA定電流で10分後の電圧を測定し化成性とした。このときブランク試験としてはイオン交換水1000mlを濃縮し100mlとし0.35gのアジピン酸を溶解して前記操作で測定した10分後の値が600V〜650Vの範囲内であることを確認しておいた。
電解紙50g±1gを1000mlのイオン交換水で1時間煮沸し、抽出液を100mlまで濃縮して冷却した後、0.35gのアジピン酸を溶解した試料液に、清浄な99.99%のプレーンアルミ箔を両電極として60mA定電流で10分後の電圧を測定し化成性とした。このときブランク試験としてはイオン交換水1000mlを濃縮し100mlとし0.35gのアジピン酸を溶解して前記操作で測定した10分後の値が600V〜650Vの範囲内であることを確認しておいた。
(4)紙粉発生量
巻出しと巻取りを設けた試験器の中央にカッター刃を5cm間隔で2枚固定する。18mm幅でレコード巻に裁断した電解紙を巻出し側にセットし、0.5kgの張力で引出し、カッター刃上を擦らせながら10m/分の速度で1000m巻取り側に移動させこの間に脱落した紙粉の量を測定した。4回の平均値を表示した。
巻出しと巻取りを設けた試験器の中央にカッター刃を5cm間隔で2枚固定する。18mm幅でレコード巻に裁断した電解紙を巻出し側にセットし、0.5kgの張力で引出し、カッター刃上を擦らせながら10m/分の速度で1000m巻取り側に移動させこの間に脱落した紙粉の量を測定した。4回の平均値を表示した。
(5)ショート不良率
電解紙を陽極箔及び陰極箔とともに巻取りして電解コンデンサ素子を形成した後、電解液を含浸しないままで両極間のショートによる導通をテスターで確認した。ショート不良率は略1000個の素子について検査し、ショート素子の全素子数に対する割合をショート不良率とした。
電解紙を陽極箔及び陰極箔とともに巻取りして電解コンデンサ素子を形成した後、電解液を含浸しないままで両極間のショートによる導通をテスターで確認した。ショート不良率は略1000個の素子について検査し、ショート素子の全素子数に対する割合をショート不良率とした。
(6)ESR(等価直列抵抗)
電解コンデンサのESRは20℃ 1000HZの周波数でLCRメータによって測定した。
電解コンデンサのESRは20℃ 1000HZの周波数でLCRメータによって測定した。
以上のようにして得た実施例1〜5の電解紙及び電解コンデンサの評価結果を表1に、比較例1及び従来例1〜6の電解紙及び電解コンデンサの評価結果を表2に示す。
表1の結果に示した通り、紙力増強剤の精製溶液を含浸塗布してなる電解紙を使用した本発明は、化成性,ESRを悪化させることなくショート不良率が格段に改善されている。例えば実施例1はマニラ麻パルプ100重量%の原料を使用して抄造した厚さ49.9μm,密度0.275g/cm3,引張強度0.6kg/15mmの円網二重紙にジアルデヒドデンプンの精製希釈溶液を含浸塗布し、湿紙の膨潤状態のまま熱風乾燥し厚さを増大させて更に低密度化した厚さ59.8μm,密度0.236g/cm3,引張強度1.2kg/15mmとした電解紙を用いたものであり、比較例1は同一条件にて抄造した円網二重紙に精製されていない市販のエポキシ樹脂を含浸塗布して製作した略同一厚さ,同一密度の電解紙を用いたものである。ショート不良率,ESRは共に実施例1とほぼ同等の数値を示しているが、化成性が実施例1の625Vに対し、30Vと極端に低くなっている。これはエポキシ樹脂組成内に含有する塩素分によるものであり、電解紙としての実用レベルではないことを示している。そのため、本発明の課題を解決するためには使用する紙力増強剤が精製されたものであることが必要である。
また、従来例1はCSF450mlのサイザルパルプ30重量%とチョップドガラス繊維50重量%及びビニロンバインダー繊維20重量%の混合原料を用いたものであり、抄紙機のシリンダードライヤー上でバインダー繊維を熱融着させ、実施例1と略同一厚さ,同一密度に抄造したものである。略同一厚さ,同一密度であるにもかかわらず、ESRは従来例1が0.1175Ω/1kHzに対し実施例1では0.0919Ω/1kHzと改善されている。従来例1ではバインダー繊維が溶融し膜状(フィルム状)となり繊維間隙を遮蔽して電解液のイオン電導を阻害しているため、同一密度であってもESRが実施例1より悪化しているのである。これに対し、実施例1では紙力増強剤の精製溶液を含浸塗布しても繊維間空隙を維持しているため、ESRを改善することができるのである。また、引張強度も従来例1がCSF450mlと叩解の程度を進めたものであり、実施例1はCSF720mlであるにもかかわらず、引張強度は従来例1が0.8kg/15mmに対し、実施例1は1.2kg/15mmと大幅に上昇している。その結果ショート不良率は従来例1が17.5%に対して、実施例1は7.2%となっている。このことから精製した紙力増強剤を含浸塗布した低密度電解紙は、紙の引張強度を大幅に上昇させ箔バリに対する抵抗性を向上させるが、バインダー繊維のように造膜作用がないためESRも良好となっていることが判る。
従来例2はCSF350mlまで叩解したマニラ麻パルプ70重量%とポリプロピレン繊維30重量%の混抄紙を後加工にて加熱処理を施しポリプロピレンを溶融し製造したものであるが、抄造段階で巻取り可能な強度を保持させる必要があるため、過度にマニラ麻パルプを叩解しており、マニラ麻パルプの紙玉等の地合不良が発生し、ショート不良率は15.2%と高く、溶融したポリプロピレンの造膜作用によりESRが悪化して0.1305Ω/1kHzとなっている。
実施例2はマニラ麻パルプ70重量%とサイザル麻パルプ30重量%の混合原料をCSF710mlとして抄造した円網二重紙に精製したポリアクリルアミドの希釈溶液を含浸塗布した電解紙で厚さ50.0μm,密度0.275g/cm3,引張強度1.4kg/15mm,ショート不良率8.4%,ESR0.1059Ω/1kHzである。これに対し従来例3は実施例2と同一の混合原料をCSF680mlとして抄造した略同一厚さ同一密度の電解紙である。従来例3は0.278g/cm3と低密度とすることによって、0.1092Ω/1kHzと低ESR化を実現しているが、引張強度は0.7kg/15mmとなり、ショート不良率30.4%と大幅に上昇している。これに対し実施例2では紙力増強剤の精製溶液を含浸塗布することにより引張強度1.4kg/15mmと増大し、ショート不良率8.4%と格段に低減すると共に、電解紙は繊維間空隙を維持した状態であるため、ESRも0.1059Ω/1kHzと良好な数値を示している。また、コンデンサの素子巻取り工程において従来例3では電解紙切れが頻繁に発生し、生産性を著しく阻害するが、実施例2では電解紙切れが発生することがない。
実施例4はエスパルトパルプ50重量%とマニラ麻パルプ50重量%の混合原料をCSF600mlとして抄造した円網二重紙に精製したポリアクリルアミドの希釈溶液を含浸塗布した電解紙で厚さ40.0μm,密度0.506g/cm3,引張強度4.4kg/15mm,紙粉発生量16mg/1000m,ショート不良率0.6%,ESR0.1510Ω/1kHzである。これに対し従来例5は現在、低ESR用として最も多く使用されている電解紙であり、同一混合原料をCSF560mlまで叩解して略同一厚さ,同一密度に抄造した電解紙を用いたものであり、引張強度3.2kg/15mm,紙粉発生量68mg/1000m,ショート不良率2.5%,ESR0.1541Ω/1kHzであった。データから判るように叩解を過度に進めることなく、紙力増強剤の精製溶液を含浸塗布して引張強度を大幅に向上させた実施例4はESRを悪化させることなくショート不良率を著しく減少させている。また、素子巻取り工程では紙粉の発生が大幅に減少し、脱落紙粉による紙詰り,芯抜け不良,電解液の汚染等を減少させることもできる。
以上詳細に説明した如く、本発明に係る電解コンデンサは、アルミ箔を腐食又は変色させないレベルまで不純物を低減させた植物性ガム,澱粉,半合成高分子,合成高分子等の紙力増強剤の精製溶液を電解紙に含浸塗布したことを特徴としており以下における作用効果が得られる。即ち、紙力増強剤の精製溶液の含浸塗布による引張強度の増大は天然植物繊維を過度に叩解を進めたり、熱融着繊維を使用したりして引張強度を向上させた電解紙と異なり、造膜作用がないため電解紙は繊維間空隙を維持した状態で繊維の結合強度が高まり、ESRを悪化させることなく、引張強度の大幅な増大によってショート不良率を著しく低減させることができる。また、天然植物繊維に僅かな叩解を施した程度の原料もしくは従来よりも叩解の程度を浅くしたCSFの大きい数値の原料を使用しても、紙層中の繊維相互の接触点に紙力増強剤が効果的に定着し、繊維間の結合強度が増大すると共に、繊維内部まで浸透するため、単繊維自体の強度をも増大させることができる。そのため、従来では実用上強度的に使用困難とされていた超低密度領域の電解紙の製作が可能となり、更に従来電解紙に比しては素子巻取り工程の断紙をなくし、脱落紙粉を大幅に減少させることによって紙粉トラブルを減少させ、電解コンデンサ製作過程での生産性をも格段に向上させることが可能となる。更に、CSFの数値の大きい天然植物繊維を原料として使用できるため、叩解動力を削減することができる。
Claims (12)
- 陽極箔と陰極箔との間に電解紙を介在してなる電解コンデンサにおいて、CSFの値が500ml以上の天然植物繊維を原料として電解紙を抄紙するとともに、抄紙後の電解紙に紙力増強剤の精製溶液を含浸塗布したことを特徴とする電解コンデンサ。
- 陽極箔と陰極箔との間に電解紙を介在してなる電解コンデンサにおいて、CSFの値が500ml以上の天然植物繊維を原料として電解紙を抄紙するとともに、抄紙後の電解紙に紙力増強剤の精製溶液を紙層中の繊維相互の接触点に定着するように含浸塗布させたことを特徴とする電解コンデンサ。
- 陽極箔と陰極箔との間に電解紙を介在してなる電解コンデンサにおいて、CSFの値が500ml以上の天然植物繊維を原料として電解紙を抄紙するとともに、抄紙後の電解紙に紙力増強剤の精製溶液を含浸塗布することにより、該紙力増強剤の精製溶液を繊維内部に浸透させて、繊維間空隙を維持した状態で繊維間の結合強度を増大させたことを特徴とする電解コンデンサ。
- 紙力増強剤は澱粉,植物性ガム,半合成高分子又は合成高分子から選択された1種又は複数のものである請求項1,2又は3記載の電解コンデンサ。
- 紙力増強剤を電解紙に対して0.05重量%〜5.0重量%含浸塗布した請求項1,2,3又は4記載の電解コンデンサ。
- 紙力増強剤を電解紙に対して0.1重量%〜3.0重量%含浸塗布した請求項1,2,3又は4記載の電解コンデンサ。
- 電解紙の不純物を化成性で評価した場合300〜650Vである請求項1,2,3,4,5又は6記載の電解コンデンサ。
- 電解紙の不純物を化成性で評価した場合500〜650Vである請求項1,2,3,4,5又は6記載の電解コンデンサ。
- 電解紙を構成する天然植物繊維がマニラ麻パルプ,サイザル麻パルプ,エスパルトパルプから選択された1種又は複数のものである請求項1,2,3,4,5,6,7又は8記載の電解コンデンサ。
- 電解紙の密度が0.20〜0.70g/cm3であり、厚さが20〜70μmである請求項1,2,3,4,5,6,7,8又は9記載の電解コンデンサ。
- 電解紙の密度が0.20〜0.35g/cm3であり、厚さが40〜60μmである請求項1,2,3,4,5,6,7,8又は9記載の電解コンデンサ。
- 電解紙の引張強度が1.1kg/15mm以上である請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10又は11記載の電解コンデンサ。
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