JP2004223912A - インクジェットヘッドのインク吸引方法および吸引装置、並びにインクジェットプリンタ - Google Patents

インクジェットヘッドのインク吸引方法および吸引装置、並びにインクジェットプリンタ Download PDF

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Abstract

【課題】省スペース化、省コスト化を図りつつ、効率的にインク吸引を行い得るインクジェットヘッドのインク吸引方法および吸引装置、並びにインクジェットプリンタを提供することを目的とする。
【解決手段】複数のインクジェットヘッド10をキャリッジ41に搭載したヘッドユニット42に臨み、インクジェットヘッド毎にインク吸引可能なインク吸引手段72を用いて行うインクジェットヘッドのインク吸引方法であって、複数のインクジェットヘッドのうち、インク吸引を行う少なくとも1以上のインクジェットヘッドが指定されると共に、インク吸引量が指定され、これらの指定に従ってインクジェットヘッド毎にインク吸引を行うものである。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のインクジェットヘッドをキャリッジに搭載したヘッドユニットに臨み、インクジェットヘッド毎にインク吸引を行うインクジェットヘッドのインク吸引方法および吸引装置、並びにインクジェットプリンタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、インクジェットプリンタでは、ノズルの目詰まり防止のため、印刷開始時(電源ON時)、および定期的に、インクジェットヘッドに配列されたノズルからインクをポンプ吸引する吸引装置を備えている。そして、この種の吸引装置は、カラー印刷可能なインクジェットプリンタに適用される場合、ヘッドユニットに組み込まれた複数色(例えば、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)およびBK(ブラック)の4色)に対応する複数のインクジェットヘッドを封止可能な大型の吸引キャップを使用し、当該吸引キャップで全色に対応するインクジェットヘッドを一括吸引することで、インク吸引に要する時間の短縮を図っている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−127435号公報(第3−5頁、第1,4図等)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような従来のインクジェットプリンタでは、インクチューブの交換の際などインクチューブにインクの充填を行う場合や、インクジェットヘッドまたはインクチューブに気泡が混入した際、その気泡を排出するためにインク吸引を行う場合など、上記の吸引キャップを用いてインクの吸引を行っている。ところが、インクチューブを1本だけ交換したい場合でも、全色を一括吸引するため、正常に吐出されているインクの吸引により無駄なインクを消費してしまったり、クリーニング誘発(正常であったノズルがインク吸引により吐出不良を起こすこと)を発生してしまったりなどの不具合が生じていた。また、近年の高速印刷、高解像度印刷およびカラー印刷の需要に伴い、インクジェットヘッド数およびこれに配列されるノズル数が増加の傾向にあるため、インク吸引を行う場合は、更に大型の吸引キャップが必要となってしまう。このため、装置が大型化してしまいコスト高になるといった問題があった。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑み、省スペース化、省コスト化を図りつつ、効率的にインク吸引を行い得るインクジェットヘッドのインク吸引方法および吸引装置、並びにインクジェットプリンタを提供することをその課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のインクジェットヘッドのインク吸引方法は、複数のインクジェットヘッドをキャリッジに搭載したヘッドユニットに臨み、インクジェットヘッド毎にインク吸引可能なインク吸引手段を用いて行うインクジェットヘッドのインク吸引方法であって、複数のインクジェットヘッドのうち、インク吸引を行う少なくとも1以上のインクジェットヘッドが指定されると共に、インク吸引量が指定され、これらの指定に従ってインクジェットヘッド毎にインク吸引を行うことを特徴とする。
【0007】
また、本発明のインクジェットヘッドの吸引装置は、複数のインクジェットヘッドをキャリッジに搭載したヘッドユニットに臨み、インクジェットヘッド毎に吸引キャップを介してインクを吸引することにより吸引処理を行うインクジェットヘッドの吸引装置であって、複数のインクジェットヘッドのうち、吸引処理の対象となる少なくとも1以上のインクジェットヘッドを指定する吸引処理対象指定手段と、吸引処理におけるインク吸引量を指定するインク吸引量指定手段と、指定した少なくとも1以上のインクジェットヘッドに対し、指定したインク吸引量でインク吸引を行う吸引手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
これらの構成によれば、吸引処理の対象となるインクジェットヘッド、並びにインク吸引量を指定することができるため、必要なインクジェットヘッドのみを適切な量で効率的に吸引することができる。したがって、全てのインクジェットヘッドに対して一定量の吸引を行う場合と比べて、インク吸引量を最小限に止めることができるため経済的であり、且つ吸引時間の短縮を図ることができる。また、インクジェットヘッド毎にインクを吸引するため、少なくとも1つのインクジェットヘッドを封止可能な大きさの吸引キャップを用いてインク吸引を行うことができる。すなわち、ヘッドユニット全体を封止する大型の吸引キャップを用いる必要がないため、省スペース化を図ることができる。
【0009】
この場合、インク吸引量指定手段は、指定した少なくとも1以上のインクジェットヘッドに対し、インクジェットヘッド毎にインク吸引量を指定することが好ましい。
【0010】
この構成によれば、インクジェットヘッド毎にインク吸引量を指定することができるため、更に効率的且つ経済的にインク吸引を行わせることができる。
【0011】
これらの場合、吸引手段によるインク吸引は、当該吸引手段の間欠駆動により所定量ずつ行われ、インク吸引量は、間欠駆動による駆動回数により指定されることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、吸引手段の間欠駆動により所定量ずつインク吸引を行うことができるため、インクジェットヘッド内、またはこれにインクを供給するための供給チューブ内に混入した気泡を確実に吸引することができる。つまり、気泡吸引において、微小気泡よりある程度大きい気泡の方が抜けやすい。また、インク流動に変化(流動・停止)を与えた方が抜けやすい傾向があるので間欠吸引により、インク流動に変化を与え、間欠吸引間の待機時間で微小気泡の集結成長を助長させてインク吸引を行うことによりインクジェットヘッドにインクを供給するための供給チューブ内に混入した空気を確実に吸引することができる。また、インク吸引を行うための駆動源がモータである場合、その連続駆動による異常加熱を防止することができる。更に、間欠駆動による駆動回数によってインク吸引量を指定することができるため、容易にインク吸引量を指定することができる。
【0013】
これらの場合、キャリッジには、インク色別の複数のインクジェットヘッドが搭載されており、吸引処理対象指定手段は、複数のインクジェットヘッドを色別に指定可能な色別対象指定手段を有していることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、吸引処理対象となるインクジェットヘッドを色別に指定することができるため、例えば、ユーザが目視により特定の色が吐出不良を生じていることを発見した場合、その特定の色を吐出するインクジェットヘッドのみを吸引対象とするなど、より効率的にインク吸引を行わせることができる。
【0015】
これらの場合、ヘッドユニットは、複数のインクジェットヘッドを複数の部位に分割して搭載しており、複数のインクジェットヘッドを部位別に指定可能な部位別対象指定手段を有していることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、大型のインクジェットプリンタなど、多数のインクジェットヘッドを搭載したヘッドユニットを用いる場合でも、複数のインクジェットヘッドを分割した部位別に指定することができるため、迅速に吸引処理対象を指定することができる。
【0017】
これらの場合、吸引手段によるインク吸引後において、インクジェットヘッド毎に機能回復処理を行う機能回復手段を更に備え、機能回復手段は、吸引処理対象指定手段により指定されたインクジェットヘッドに対し、機能回復処理を行うことが好ましい。
【0018】
また、この場合、機能回復手段は、インクジェットヘッド毎に少量のインクを吸引する機能回復吸引手段と、インクジェットヘッドのノズル面を拭き取る機能回復拭き取り手段とから成ると共に、当該機能回復吸引手段におけるインクの吸引量および/または当該機能回復拭き取り手段における拭き取り処理の違いによって複数の機能回復処理シーケンスを有しており、複数の機能回復処理シーケンスの中から1の機能回復処理シーケンスを指定する機能回復処理指定手段を更に備えたことが好ましい。
【0019】
これらの構成によれば、機能回復吸引手段によりヘッド内の気泡を排出することができ、機能回復拭き取り手段によりノズル面に付着したインクを拭き取るため吐出不良が起き難く、印刷対象物を汚すことがなく良好な印刷ができる。また、複数の機能回復処理シーケンスの中から1の機能回復処理シーケンスを指定することができるため、使用目的および状況に応じて、最適なシーケンスで機能回復処理を行わせることができる。
【0020】
この場合、機能回復拭き取り手段は、ゴムまたは樹脂製のワイピング部材および繊維製のラビング部材を有し、ワイピング部材で拭き取り処理を行う単独第1拭き取り処理と、ラビング部材で拭き取り処理を行う単独第2拭き取り処理と、ワイピング部材およびラビング部材で拭き取り処理を行う複合拭き取り処理とのいずれかを指定する拭き取り処理指定手段を更に備えたことが好ましい。
【0021】
この構成によれば、ユーザは、(ワイピング部材で拭き取り処理を行う)単独第1拭き取り処理と、(ラビング部材で拭き取り処理を行う)単独第2拭き取り処理と、(ワイピング部材およびラビング部材で拭き取り処理を行う)複合拭き取り処理とのいずれかを、使用目的等に応じて指定することができる。
【0022】
この場合、ワイピング部材およびラビング部材は、いずれも板状に構成され、且つ可撓性を有すると共に、互いに表裏一体となって拭き取り方向に配設されており、単独第1拭き取り処理は、インクジェットヘッドをワイピング部材の手前側から往動させて当該ワイピング部材に接触させることにより行われ、単独第2拭き取り処理は、インクジェットヘッドをラビング部材の奥側から復動させて当該ラビング部材に接触させることにより行われ、複合拭き取り処理は、インクジェットヘッドをワイピング部材の手前側から往動させると共に、ラビング部材の奥側から復動させて、ワイピング部材およびラビング部材の両方に接触させることにより行われることが好ましい。
【0023】
この構成によれば、ワイピング部材およびラビング部材を別個に構成する必要がないため、省スペース化を図ることができる。また、複合拭き取り処理の場合であっても、インクジェットヘッドの往復動で行うことができるため、同じ移動領域で拭き取りを行うことができ、更に省スペース化を図ることができる。
【0024】
本発明のインクジェットプリンタは、上記に記載のインクジェットヘッドの吸引装置を備え、ホストコンピュータから送信された印刷データに基づいて印刷を行うことを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、省スペース化、省コスト化を図りつつ、効率的にインク吸引を行い得るインクジェットプリンタを提供することができる。
【0026】
この場合、吸引処理対象指定手段、インク吸引量指定手段、機能回復処理指定手段および拭き取り処理指定手段は、ホストコンピュータによって実現されることが好ましい。
【0027】
この構成によれば、ホストコンピュータから、吸引処理対象となるインクジェットヘッド、インク吸引量、機能回復処理および拭き取り処理を指定することができるため、インクジェットプリンタを直接操作する必要がない。
【0028】
この場合、吸引処理対象指定手段、インク吸引量指定手段、機能回復処理指定手段および拭き取り処理指定手段は、ホストコンピュータに組み込まれたプリンタドライバによって実現され、プリンタドライバは、吸引処理対象となるインクジェットヘッド、インク吸引量、機能回復処理および拭き取り処理を指定するためのユーザインターフェースとなる設定画面を起動するユーティリティプログラムを有していることが好ましい。
【0029】
この構成によれば、ユーザは、ユーティリティプログラムを起動させて、設定画面内に必要事項を入力するだけで、容易に吸引処理対象となるインクジェットヘッド、インク吸引量、機能回復処理および拭き取り処理を指定することができる。また、これらの指定を行うためのプログラムが、プリンタドライバによって提供されるため、一般のパーソナルコンピュータ等をホストコンピュータとして利用することができる。
【0030】
この場合、吸引処理対象指定手段、インク吸引量指定手段、機能回復処理指定手段および拭き取り処理指定手段は、インクジェットプリンタ本体の装置ケース上に備えられていることが好ましい。
【0031】
この構成によれば、ホストコンピュータから、吸引処理対象となるインクジェットヘッド、インク吸引量、機能回復処理および拭き取り処理を、インクジェットプリンタ本体の装置ケース上に備えられた指定手段(例えば、ディップスイッチ、液晶パネルなど)により指定することができるため、ユーザは、より簡単に指定を行うことができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。実施形態のインクジェットプリンタは、パーソナルコンピュータなどの外部装置に接続された業務用の大型カラープリンタであり、ホストコンピュータ等で作成した印刷データに基づいて、インクジェット方式により所望の画像を印刷するものである。具体的には、このインクジェットプリンタは、連続紙である印刷テープ(剥離紙付き粘着テープ)に、後に切り抜いてラベルとして用いる多数の単位画像を連続して印刷するものであり、例えば生鮮食品のラップフィルム上に貼着されるラベルを、小ロットで印刷することを可能にするものである。
【0033】
また、実施形態のインクジェットプリンタは、複数のインクジェットヘッドをキャリッジに搭載したヘッドユニットを備えており、吸引手段(吸引キャップ)を用いて、指定されたインクジェットヘッド毎に、且つ指定されたインク吸引量でインクを吸引することにより吸引処理を行うものである。そして、この構成により、省スペース化、省コスト化を図りつつ、効率的にインク吸引を行うことができる。
【0034】
そこで、4つのサブキャリッジ43を介して、計12個のインクジェットヘッド10を搭載したヘッドユニット34(図5参照)に臨み、6個の吸引用キャップ82を3個ずつに振り分けて搭載した2個の部分ユニット81a,81bから成る吸引ユニット72(図7参照)を用いてインク吸引を行うインクジェットプリンタ1を例に挙げて説明する。
【0035】
図1は、インクジェットプリンタの正面側からの外観斜視図であり、図2はその背面側からの外観斜視図である。両図に示すように、このインクジェットプリンタ1は、幅広の印刷テープTに印刷を行う装置本体2と、印刷テープTを装置本体2に供給するテープ繰出し装置3と、装置本体2で印刷が行われた印刷テープTをロール状に巻き取るテープ巻取り装置4と、を備えている。テープ繰出し装置3は、ブラケット5を介して装置本体2の右部に取り付けられ、テープ巻取り装置4は、連結バー6を介して装置本体2の左部に連結されている。
【0036】
装置本体2は、キャビネット形式の機台11と、機台11上に広く載置したプリント手段12と、プリント手段12に臨むように印刷テープTを送るテープ送り手段13と、プリント手段12にインクを供給するインク供給手段14と、機台11上に分散配置したインクジェットヘッド10のメンテナンス手段15とを備えると共に、これら各主要な構成手段を個別に且つ関連させて統括制御するコントローラ17(CPU110:図11参照)を備えている。なお、図示では省略したが、機台11上には、上記の各手段を一体として覆う安全カバーが設けられている。
【0037】
機台11は、アングル材21を直方体形状に組み、その上部には台板22を、下部には底板23をそれぞれ固定して構成されている。また、台板22と底板23との間のキャビネット部分は、3つの収納部に区画されており、正面から見て左側となる左収納部25の奥側にはインク供給手段14の6個のメインタンク61が収納され、中間収納部26には後述する廃インクタンク17が収納され、さらに右収納部27には上記のコントローラ17等が収納されている。
【0038】
一方、テープ繰出し装置3とテープ巻取り装置4とを結ぶ機台11上の手前側部位は、機台11を縦断するテープ送り経路29となっており、このテープ送り経路29に沿ってテープ送り手段13が配設されている。また、上記の左収納部25の手前側には、プリント手段12を潜るようにテープ送り経路29の迂回経路29aが構成されている。
【0039】
プリント手段12は、いわゆるガントリータイプのX・YテーブルであるX・Y移動機構31と、X・Y移動機構31のX軸テーブル32に移動自在に搭載したヘッドユニット34と、X・Y移動機構31のY軸テーブル33に平行に配設され、Y軸テーブル33と共にX軸テーブル32を移動自在に支持するY軸ガイド35とで構成されている。ヘッドユニット34には、複数(12個)のインクジェットヘッド10が搭載されており、この複数のインクジェットヘッド10は、X軸テーブル32により主走査方向(X軸方向)に移動されると共に、Y軸テーブル33によりY軸ガイド35を介して副走査方向(Y軸方向)に移動される。
【0040】
X軸テーブル32は、モータ駆動のX軸スライダを有し、このX軸スライダにヘッドユニット34が取り付けられている。同様に、Y軸テーブル33は、モータ駆動のY軸スライダを有し、このY軸スライダにX軸テーブル32が取り付けられている。また、ヘッドユニット34の下側に位置してX軸スライダには、インクジェットヘッド10の全吐出ノズルからのインク吐出(捨て吐出:フラッシング)を受けるフラッシングボックス37が取り付けられている。
【0041】
このプリント手段12は、図1および図3に示すように、吸着テーブル51上の印刷エリアAにおいて、印刷テープTに対し、例えば左上を印刷開始位置P1として印刷を開始する場合、この位置からヘッドユニット34を右方向(主走査における往動方向)に所定距離移動させることにより1ラインの印刷(主走査)が行われ、右端においてヘッドユニット34を手前に移動させることにより、ヘッドユニット34を第2ラインに移動(副走査)させ、ここから更にヘッドユニット34を左方向(主走査における復動方向)に移動させることにより第2ラインの印刷(主走査)が行われる。このように動作を繰り返して全ラインの印刷を行う(図3(a)参照)。
【0042】
また、例えば右下の位置で印刷を終了した場合、次のテープ送り後の印刷は、この印刷終了位置P2から上記の印刷開始位置P1に向かって、上記と逆の動作でヘッドユニット34を移動させて全ラインの印刷を行うようにしている(図3(b)参照)。これにより、ヘッドユニット34の移動ロスを少なくしている。なお、1往復(2ラインの印刷)の間に、左端において上記フラッシングボックス37に対しインクジェットヘッド10のフラッシングが行われる。
【0043】
ヘッドユニット34は、箱状に形成され、支持ブラケット41を介してX軸テーブル32のX軸スライダに取り付けられている。支持ブラケット41の下部には、キャリッジ42が水平に取り付けられており(図4参照)、キャリッジ42には、4つのサブキャリッジ43を介して、計12個のインクジェットヘッド10が搭載されている。すなわち、キャリッジ42には、4つのサブキャリッジ43を着脱可能に装着しており、この各サブキャリッジ43に、それぞれ横並びに3個のインクジェットヘッド10が取り付けられている。
【0044】
図5に模式的に表すように、1ラインの基準色を構成する6色のインクノズル列群45は4分割されており、分割された6色の分割インクノズル列群45aが、3個のインクジェットヘッド10に組み込まれて、各サブキャリッジ43に搭載されている。具体的には、各サブキャリッジ43に搭載される3個のインクジェットヘッド10のうちの第1ヘッド10−1には、イエロー(Y)およびマゼンタ(M)の2つの分割インクノズル列45aが組み込まれ、第2ヘッド10−2には、ライトマゼンタ(LM)およびライトシアン(LC)の2つの分割インクノズル列45aが組み込まれ、第3ヘッド10−3にはシアン(C)およびブラック(BK)の2つの分割インクノズル列45aが組み込まれている。
【0045】
そして、これら分割インクノズル列群45aは、一部(のインクノズル)を重複させるようにして千鳥状に配設され、全体としてほぼ4インチ(1ライン)の各色のインクノズル列群45を構成している。言い換えれば、3個のインクジェットヘッド10により6色の分割インクノズル列45aを構成した4組のヘッド群47(第1・第2ヘッド群47−1,47−2および第3・第4ヘッド群47−3,47−4)が、千鳥状に配設されている。
【0046】
また、4組のヘッド群47は、第1・第2ヘッド群47−1,47−2(ヘッド群A)と、第3・第4ヘッド群47−3,47−4(ヘッド群B)とに分割して、上下2つの部位が構成され、これら部位別に吸引処理(インクの吸引および拭き取り処理)の指定を行うことができるようになっている。また、各サブキャリッジ43には、上記の通り6色に対応した分割インクノズル列45aを配列したインクジェットヘッド10が組み込まれているが、これらインク色別(インクジェットヘッド別)に吸引処理の指定を行うことも可能である。なお、詳細については、後述する。
【0047】
図1および図2に示すように、テープ送り手段13は、機台11上のテープ送り経路29の略中央に配設した吸着テーブル51と、吸着テーブル51を挟んでテープ送り方向の前後に分散配置したテープ送り機構52とを備えている。吸着テーブル51は、多数の吸引孔53により印刷テープTを水平に且つ平坦になるように吸着して、テープ送り方向に略30インチの長さで延在する印刷エリアAを構成している。すなわち、吸着テーブル51の上面に吸着された印刷テープTの部位は、1タクト分の印刷エリアAを構成し、これにインク吐出のためのペーパーギャップを存してインクジェットヘッド10が平行に対峙するようになっている。
【0048】
テープ送り機構52は、吸着テーブル51のテープ送り方向の前後に併設した一対の導入ローラ55,55と、テープ送り経路29の迂回経路29aを経て吸着テーブル51の下流側に配設した駆動ローラであるテープ送りローラ56と、印刷テープTをテープ巻取り装置4に送り込む送出ローラ57とを備えると共に、吸着テーブル51の上流側直近に配設した案内ローラ58と、案内ローラ58の送り方向上流側に配設した複数のローラを有する幅ガイド機構59と、を備えている。
【0049】
テープ繰出し装置3から繰り出された印刷テープTは、幅ガイド機構59により幅方向が精度良く位置決めされ、案内ローラ58を介して一対の導入ローラ55,55により、吸着テーブル51上に導かれる。また、上記したように吸着テーブル51上で印刷が行われると、印刷テープTは迂回経路29aに導かれ、ここで次の印刷時間分の乾燥を待って、テープ送りローラ56および送出ローラ57を経て、テープ巻取り装置4に巻き取られる。すなわち、印刷テープTの送りは、上記の印刷エリアA分の送りを1タクトとし、これを単位とした間欠送りとなる。
【0050】
インク供給手段14は、機台11の左収納部25に配設した6個(6色)のメインタンク61と、機台11上の奥側に配設した12個のサブタンク62と、これらメインタンク61、サブタンク62およびインクジェットヘッド10を接続するインクチューブ63とを備えている。インク供給手段14により供給されるインクは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(BK)に、ライトシアン(LC)およびライトマゼンタ(LM)を加えた、計6色であり、各インク色のインクを貯留した各メインタンク61から、2分岐して計12個のサブタンク62にインクが供給される。さらに、各サブタンク62内のインクは、対応するインクジェットヘッド10のポンプ作用(インク吐出)によりこれに供給される。
【0051】
図1および図2に示すように、メンテナンス手段15は、フラッシングインクを受ける上記のフラッシングボックス37の他、非駆動時においてインクジェットヘッド10を保管するキャップユニット71と、主にインクチューブ63を交換した際のインクの充填を行うためにインクジェットヘッド10をポンプ吸引する吸引ユニット72と、インクジェットヘッド10を拭き取る拭き取りユニット73とを有している。そして、フラッシングボックス37を除くこれら各ユニット71,72,73は、吸着テーブル51の背面側近傍の機台11上において、左側からキャップユニット71、吸引ユニット72および拭き取りユニット73の順で配設されている。
【0052】
また、本発明の吸引装置80は、上記のメンテナンス手段15を構成する4つの構成要素のうち、吸引ユニット72および拭き取りユニット73によって構成されている。この吸引装置80による吸引処理は、上記のとおり、インクチューブ63を交換した際のインクの充填を目的とする他、インクジェットヘッド10やインクチューブ63内に混入した気泡(空気)の除去を目的として行われるものであり、1〔cc〕〜70〔cc〕程度のインクを吸引する。また、ユーザは、吸引処理の対象となるインクジェットヘッド10(ヘッド群)、各インクジェットヘッド10(各ヘッド群)に対するインクの吸引量(吸引回数)、並びに吸引ユニット72および拭き取りユニット73による機能回復処理シーケンス等を、使用目的に応じて指定することが可能となっている。
【0053】
キャップユニット71は、図1および図6に示すように、12個のインクジェットヘッド10に対応する12個の保管用キャップ111と、12個の保管用キャップ111をそれぞれ3個ずつに振り分けて保持する4個のキャップホルダ112と、4個のキャップホルダ112を介して計12個の保管用キャップ111をヘッドユニット34に向かって離接させるキャップ移動機構113と、4個のキャップホルダ112をそれぞれ上下方向にスライド自在に支持する保管用ベース114と、を備えている。すなわち、ヘッドユニット(キャリッジ42)34の4つのヘッド群47に対応して、3個ずつの保管用キャップ111から成る4つのキャップ群が構成されている。
【0054】
各保管用キャップ111は、キャップ本体116と、キャップ本体116の底部に敷設した乾燥防止材117と、キャップ本体116の上端に装着した略方形のシール部材118とで構成されている。乾燥防止材117は、インクの溶剤等を含浸し高湿度状態に維持して、インクジェットヘッド10(吐出ノズル)の乾燥を有効に防止する。シール部材118は、インクジェットヘッド10のノズル面に密着して、これを封止する。
【0055】
4個のキャップホルダ112は、これに搭載した横並び3個の保管用キャップ111が、ヘッドユニット34のヘッドユニット48に対応するように、千鳥状に配設されている。また、キャップ移動機構113は、キャップホルダ112を介して保管用キャップ111を、インクジェットヘッド10を封止する封止位置とインクジェットヘッド10から離間する待機位置との間で移動させる。すなわち、12個の保管用キャップ111が12個のインクジェットヘッド10に同時に密着するようになっている。
【0056】
保管のためにヘッドユニット34がキャップユニット71の直上部に臨むと、キャップ移動機構113が駆動し、4個のキャップホルダ112を介して、全保管用キャップ111を同時に上昇させて、これらをヘッドユニット34の全インクジェットヘッド10に密着させる。これにより、保管時、すなわち印刷非駆動時において、各インクジェットヘッド10のノズル面を乾燥等から保護できるようになっている。
【0057】
一方、吸引ユニット72は、図1、図7および図8に示すように、6個の吸引用キャップ82を3個ずつに振り分けて搭載した2個の部分ユニット81a,81bを有し、各部分ユニット81a,81bは、機台11上に固定した吸引用ベース83に一体に支持固定されている。また、2個の部分ユニット81a,81bは、千鳥状に配設されたヘッドユニット34のヘッド群47に倣って、相互にY軸方向に位置ずれして配設されている。
【0058】
各部分ユニット81a,81bは、それぞれ3個の吸引用キャップ82を搭載した吸引用キャップ支持体84と、吸引用キャップ支持体84を上下方向にスライド自在に収容する吸引用側板フレーム85と、吸引用キャップ支持体84を介して3個の吸引用キャップ82をヘッドユニット34に向かって離接させる吸引用キャップ移動機構86(移動モータ95)と、各吸引用キャップ82を介してインクを吸引する3個のインクポンプ87と、を備えている。
【0059】
各吸引用キャップ82は、キャップ本体89と、キャップ本体89の底部に敷設したインク吸収材90と、キャップ本体89の上端に装着したシール部材91とで構成され、各インクジェットヘッド10のノズル面(ノズル形成面)に密着して、これを封止する。また、各吸引用キャップ移動機構86は、各吸引用キャップ支持体84を介して、吸引用キャップ82を、インクジェットヘッド10を封止する封止位置とインクジェットヘッド10から離間する待機位置との間で、昇降させる。
【0060】
各吸引用キャップ支持体84には、サブキャリッジ43に搭載した横並び3個のインクジェットヘッド10(各ヘッド群47)に対応するように、横並びに3個の吸引用キャップ82が搭載されている。すなわち、図示左側の吸引用キャップ群には、キャリッジ42の第1ヘッド群47−1および第3ヘッド群47−3が対応し、図示右側の吸引用キャップ群には、キャリッジ42の第2ヘッド群47−2および第4ヘッド群47−4が対応している。
【0061】
例えば、ヘッド群Aが吸引処理指定されている場合、第1ヘッド群47−1および第2ヘッド群47−2が吸引ユニット72に臨むと、吸引用キャップ移動機構86(移動モータ95)が駆動し、一対の吸引用キャップ支持体84,84を介して全吸引用キャップ82を上昇させ、第1・第2両ヘッド群47−1,47−2のインクジェットヘッド10に密着させる。続いて、吸引処理が指定されたインクジェットヘッド10に対応するインクポンプ87が駆動し、第1ヘッド群47−1および第2ヘッド群47−2における吸引対象インクジェットヘッドのノズル47からインクを吸引する。
【0062】
また、ヘッド群Aだけでなく、ヘッド群Bが吸引処理指定されている場合は、上記の動作に続いて、吸引用キャップ移動機構86(移動モータ95)が駆動して全吸引用キャップ82を下降させると共に、X・Y移動機構31が駆動して、第3ヘッド群47−3および第4ヘッド群47−4が、吸引ユニット72に臨むようにヘッドユニット34をY軸方向に移動させる。ここで、吸引用キャップ82の上昇と吸引処理対象となる吸引用キャップ82のポンプ吸引とが行われ、第3ヘッド群47−3および第4ヘッド群47−4のインクジェットヘッド10におけるインク吸引が行われる。なお、各インクポンプ87で吸引したインクは、チューブ(図示省略)を介して廃インクタンク17に送り込まれる。
【0063】
なお、上記の例では、吸引ユニット72の部分ユニット81a,81b毎に、昇降するものとしたが、吸引キャップ82毎に吸引用キャップ移動機構86(移動モータ95)を設け、吸引キャップ82毎に昇降できるようにしても良い。また、吸引キャップ82別にインクポンプ87を設けるものとしたが、1つのインクポンプと3つの吸引キャップ82を接続し、吸引対象となるインクジェットヘッド10に対応する吸引キャップのみを吸引できるように、電磁弁などで切り替えを行うようにしても良い。
【0064】
また、ここで説明した吸引ユニット72は、図12に示すとおり、上記のインクを吸引する処理の他、インク吸引(Sa)の後に、当該インク吸引の対象となったインクジェットヘッド10に対して行われる機能回復処理(以下、「クリーニング処理」という:Sb)においても使用されるが、クリーニング処理によるインクの吸引量は、上記の吸引処理による吸引量に対してごく僅かな量である。そこで、上記のインク吸引と区別するため、クリーニング処理における吸引処理を「機能回復吸引処理:Sb−1」として説明する。クリーニング処理とは主にヘッド内の気泡排除を目的としており、長期間印刷装置1を使用しなかった場合や、吐出不良が発見された場合などに実施されるものであるが、本実施形態では、上記の吸引処理内における処理の一つとして説明する。
【0065】
一方、拭き取りユニット73は、上記のクリーニング処理において使用される装置である。図1、図7および図9に示すように、拭き取りユニット73は、吸引ユニット72の右隣りに配設されており、6個のワイパーブレード102を3個ずつに振り分けて搭載した2個の部分ユニット101a,101bを有し、各部分ユニット101a,101bは、機台11上に固定されたワイピング用ベース103に一体に支持固定されている。この場合も、2個の部分ユニット101a,101bは、千鳥状に配設されたヘッドユニット34のヘッド群47に倣って、相互にY軸方向に位置ずれして配設されている。
【0066】
各部分ユニット101a,101bは、ワイパーブレード102を有するワイピングアッセンブリ104と、ワイピングアッセンブリ104を介してワイパーブレード102を上昇させるソレノイド105と、ワイピングアッセンブリ104およびソレノイド105を支持するワイピング用側板フレーム106と、をそれぞれ横並びに3個ずつ備えている。そして、吸引ユニット72と同様に、図示左側の部分ユニット(ワイパーブレード群)101aには、キャリッジ42の第1ヘッド群47−1および第3ヘッド群47−3が対応し、図示右側の部分ユニット(ワイパーブレード群)101bには、キャリッジ42の第2ヘッド群47−2および第4ヘッド群47−4が対応している。
【0067】
ワイパーブレード102は、ゴムや軟質樹脂等で構成された第1ブレード(ワイピング部材)102aと、布やフェルト等の繊維で構成された第2ブレード(ラビング部材)102bとが、それぞれ板状に構成されると共に表裏一体となって接着されており、ワイピングアッセンブリ104の先端部に上方に突出するように組み込まれている。ヘッドユニット34が拭き取りユニット73の直上部に臨んだ状態で、ソレノイド105が励磁すると、ワイパーブレード102が押し上げられ、対応するインクジェットヘッド10のノズル面(の端部)に接触する。この状態でX・Y移動機構31を駆動し、ヘッドユニット34をY軸方向に往復動させることで、ノズル面45bに対する相対的な拭き取り動作が行われる。
【0068】
詳細については後述するが、ユーザはクリーニング処理における拭き取り処理(機能回復拭き取り処理:図12Sb−2参照)として、第1ブレード102aのみをノズル面45bに接触させる単独第1拭き取り処理と、第2ブレード102bのみをノズル面45bに接触させる単独第2拭き取り処理と、第1ブレード102aおよび第2ブレード102bの両面をノズル面45bに接触させる複合拭き取り処理のうち、いずれかの処理を指定することができる(図14(e)参照)。
【0069】
また、図10に示すとおり、これら第1ブレード102aおよび第2ブレード102bは、いずれも可撓性を有しており、ノズル面45bとの接触によって湾曲するため、ヘッドユニット34の移動方向に応じていずれかのブレードをノズル面45bに接触させることができるようになっている。すなわち、単独第1拭き取り処理が指定された場合は、ヘッドユニット34を第1ブレード102aの手前側からY軸方向に移動させて、ノズル面45bを第1ブレード102aに接触させることで拭き取りを行う(図10(a)参照:ワイピング処理)。
【0070】
また、単独第2拭き取り処理が指定された場合は、ヘッドユニット34を第2ブレード102bの奥側からY軸方向に移動させて、ノズル面45bを第2ブレード102bに接触させることで拭き取りを行う(図10(b)参照:ラビング処理)。さらに、複合拭き取り処理が指定された場合は、ヘッドユニット34を第2ブレード102bの奥側からY軸方向に移動させ、その後ヘッドユニット34を第1ブレード102aの手前側からY軸方向に移動させて、両方のブレードに接触させることで2重の拭き取りを行う(図10(a)および(b)参照)。
【0071】
拭き取り処理は、吸引処理対象(クリーニング対象)となるインクジェットヘッド10に対して行われるが、例えば、全てのインクジェットヘッド10(ヘッド群Aおよびヘッド群B)が吸引処理対象として指定された場合は、吸引動作と同様に、最初に第1ヘッド群47−1および第2ヘッド群47−2に対して拭き取り処理を行う。その後、ソレノイド105を消磁してワイパーブレード102を下降させ、ヘッドユニット34の第3ヘッド群47−3および第4ヘッド群47−4を、拭き取りユニット73の直上部に臨ませて、拭き取り処理を行う。これにより、吸引動作等でノズル面に付着したインクが除去され、ノズル面にインク滴が付着して吐出不良の原因となったり、印刷対象物を汚してしまったりなどの問題を解消することができる。
【0072】
次に、インクジェットプリンタ1の制御構成について、図11の制御ブロック図を参照して説明する。同図に示すように、本発明のインクジェットプリンタ1は、プリンタインターフェース21を有し、ホストコンピュータ5から送信された各種指令や印刷データを入力すると共に、インクジェットプリンタ1内部における処理状況等に関するデータをホストコンピュータ5に対して出力するデータ入出力部20と、複数のインクジェットヘッド31を有し、記録紙(印刷対象物)15に対して印刷を行う印刷部30と、キャリッジモータ41および記録紙モータ42を有し、主走査方向および副走査方向への相対移動、並びに記録紙15の搬送を行う搬送部40と、吸引ユニット72および拭き取りユニット73を有し、インクジェットヘッド10に対する吸引処理を行う吸引処理部50と、ヘッドドライバ61、キャリッジモータドライバ62、記録紙モータドライバ63、吸引ユニットドライバ64(吸引ユニット72における移動モータ95やインクポンプ87等を駆動するためのドライバ)および拭き取りユニットドライバ65(拭き取りユニット73におけるソレノイド105等を駆動するためのドライバ)を有し、各部を駆動する駆動部60と、電源ユニット79を有し、各部に電源を供給する電源部70と、各部と接続され、インクジェットプリンタ1全体を制御する制御部100とによって構成されている。
【0073】
制御部100は、CPU110、ROM120、キャラクタジェネレータROM(CG−ROM)130、RAM140および入出力制御装置(IOC:Input Output Controller)150を備え、互いに内部バス160により接続されている。ROM120は、CPU110で処理する制御プログラムを記憶する制御プログラムブロック121の他、ホストコンピュータ5から送信される制御コマンドに対応する制御データ等を記憶する制御データブロック122を有している。また、CG−ROM130は、文字等のフォントデータを記憶しており、文字等を特定するコードデータが与えられたときに対応するフォントデータを出力する。
【0074】
RAM140は、フラグ等として使用される各種ワークエリアブロック141の他、ホストコンピュータ5から送信された印刷データを記憶する印刷データブロック142と、ホストコンピュータ5により指定(設定)された吸引処理に関する吸引処理データを記憶する吸引処理データブロック143とを有し、制御処理のための作業領域として使用される。また、RAM140は電源が切断されても記憶したデータを保持しておくように常にバックアップされている。
【0075】
入出力装置(IOC)150には、CPU110の機能を補うと共に各種周辺回路とのインターフェース信号を取り扱うための論理回路が、ゲートアレイやカスタムLSIなどにより構成されて組み込まれている。これにより、IOC150は、ホストコンピュータ5からの各種指令や印刷データなどをそのまま或いは加工して内部バス160に取り込むと共に、CPU110と連動して、CPU110から内部バス160に出力されたデータや制御信号を、そのまま或いは加工して駆動部60に出力する。
【0076】
そして、CPU110は、上記の構成により、ROM120内の制御プログラムに従って、IOC150を介してインクジェットプリンタ1内の各部から各種信号・データを入力し、CG−ROM130からのフォントデータ、RAM内の各種データを処理し、IOC150を介してインクジェットプリンタ1内の各部に、各種信号・データを出力することにより、ホストコンピュータ5から送信された制御コマンドに従って、指定されたインクジェットヘッド10の吸引処理を行うなどの制御を行う。
【0077】
一方、ホストコンピュータ5は、各種指令や印刷データを出力すると共に、インクジェットプリンタ1から送信されたインクジェットプリンタ1内部における処理状況等に関するデータを入力するホストインターフェース501と、CPU、ROMおよびRAM等のメモリを有し、ホストコンピュータ5全体を制御する中央制御部502と、ウィンドウズ(登録商標)等のOS503と、インクジェットプリンタ1を制御するためのプリンタドライバ504と、ユーザからのデータ入力に応じた作業内容やホストコンピュータ5内の処理状況を表示する表示画面510との他、図示しないキーボードおよびマウス等の周辺機器を備えている。
【0078】
また、プリンタドライバ504は、吸引処理に関する設定を行うための設定画面を実行する設定プログラム(ユーティリティ実行プログラム)505を有し、ユーザにより、この設定画面において吸引処理対象等の指定が行われることにより、吸引処理に関する制御コマンド(吸引処理データ)を生成する。なお、ユーザによって特に設定が無い場合は、予め設定された所定のタイミング(例えば、印刷開始時(電源ON時)、および一定時間毎定期的に実行する)で、ヘッドユニット42に搭載された全てのインクジェットヘッド10に対して吸引処理を行うように構成されている。
【0079】
ここで、吸引処理における最終処理であるクリーニング処理(図12Sb)について、図13を参照して説明する。なお、吸引処理では、インクの吸引(図12Sa)のみを行い、クリーニング処理(図12Sb)を省略することも可能であるが(図14等参照)、これら吸引処理に関する種々の条件の指定方法については、後述する。上記の通り、クリーニング処理には、吸引ユニット72によるインク吸引(機能回復吸引処理:図12Sb−1)、並びに拭き取りユニット73によるワイピングおよびラビング(機能回復拭き取り処理:図12Sb−2)が含まれる。また、クリーニング処理として、通常クリーニングと、強力クリーニング(通常クリーニングで回復しない吐出不良の場合に実行される)とのいずれかが、指定可能である。そこで、以下、処理手順に従い、フローチャートを参照し、機能回復処理シーケンスについて説明する。
【0080】
まず、指定された回数分(量)のインクの吸引を終了すると、クリーニング処理を開始し、強力クリーニングが指定されているか否かを判別する(S1)。強力クリーニングが指定されている場合(S1:Yes)は、ラビング処理を行う(S2)。ラビング処理は、上記の通り、ヘッドユニット34を第2ブレード102bの奥側からY軸方向に復動させることによって行われるものであり(図10(b)参照)、ワイピング処理よりもノズル面の汚れの除去能力が高い。またそれ故に、ラビング処理はノズル面を痛めやすいため、強力クリーニングの場合だけ実行し、通常クリーニングの場合(S1:No)は、実行しない。
【0081】
続いて、吸引対象となったインクジェットヘッド10に対応する吸引用キャップ82を上げてインクジェットヘッド10を封止し(キャッピングし)(S3)、インクポンプ87を駆動してインクの吸引を行う(機能回復吸引処理)。ここでの吸引量は1〜3〔cc〕程度であり、クリーニング処理前のインク吸引処理で吸引される吸引量と比較して僅かな量である。また、クリーニング処理におけるインク吸引は、ここでの「▲1▼本吸引」(S4)の他、「▲2▼微量吸引」(S6)によっても行われる。これは、「▲1▼本吸引」だけで一気に吸引を行うと、インクジェットヘッド10内に気泡が多量に発生してしまうためである。したがって、「▲2▼微量吸引」では、「▲1▼本吸引」に対して更に少量の、0.1〜0.2〔cc〕程度の吸引を、複数回に分けて行う。なお、強力クリーニングの場合は、通常クリーニングの場合と比べて、「▲1▼本吸引」および「▲2▼微量吸引」におけるインク吸引量が多く設定されている。
【0082】
「▲1▼本吸引」を終了してインクポンプ87を停止すると、インク流路内(インクジェットヘッド10およびダンパ部)が負圧状態となっているため、インクポンプ87を停止させたまま数秒間待機する(S5)。これにより、インク流路内にインクが行き渡るため負圧が解除される。また、強力クリーニングの場合は、通常クリーニングの場合と比べて、インク吸引量が多いため、待機時間が長く設定されている。
【0083】
次に、「▲2▼微量吸引」として、上記の通り複数回に分けて微量のインクを吸引する(S6)。ここでは、間欠駆動により3回の微量吸引を行うが(S7〜S9)、強力クリーニングの場合は更に回数を増やして微量吸引を行うようにしても良い。なお、複数回の微量吸引間における待機時間(S8)についても、強力クリーニングの場合は、長く設定するようにしても良い。
【0084】
「▲2▼微量吸引」を終了すると、キャッピングしたまま大気開放弁を開き数秒間待機する(S10)。その後、吸引用キャップ82を下げてキャッピングを解除し(S11)、インクジェットヘッド10のノズル面を拭き取るため、ワイピング処理を行う(S12)。ワイピング処理は、上記の通り、ヘッドユニット34を第1ブレード102aの手前側からY軸方向に移動させることによって行われる(図10(a)参照)。
【0085】
そして、最後に空吸引を行って(S13)、吸引用キャップ82内に残ったインクを排出し、クリーニング処理を終了する。このように、吸引処理の最終処理として、機能回復処理シーケンスを行うことにより、インク吸引によって発生した気泡がヘッド内に滞留して吐出不良の原因となったりすることがない。なお、ここに示した機能回復処理シーケンスは一例であり、キャップの開閉処理(S1,S12)や空吸引(S13)の回数など、適宜変更可能である。
【0086】
次に、図14ないし図16を参照し、吸引処理に関する種々の条件の指定方法、並びに吸引処理に関する制御コマンド(吸引処理データ)の生成処理について説明する。図14(a)に示すとおり、吸引処理の対象となるインクジェットヘッド10は、ヘッド群毎に指定することができる。すなわち、図5に示すとおり、12個のインクジェットヘッド10を上下2つの部位に分割したヘッド群A(第1・第2ヘッド群47−1,47−2:指定番号1)と、ヘッド群B(第3・第4ヘッド群47−3,47−4:指定番号2)と、その両方のヘッド群(指定番号3)の中から指定することができる。このように、インクジェットヘッド10毎ではなく、ヘッド群Aおよび/またはヘッド群Bとして部位毎に分割されたものを指定することができるため、本実施形態のように多数のインクジェットヘッド10を搭載したヘッドユニット42を用いる場合でも、より効率的且つ迅速に吸引処理対象を指定することができる。
【0087】
また、図14(b)に示すとおり、吸引処理対象を、吸引キャップ別(色別)に指定することも可能である。すなわち、Y,M(第1ヘッド10−1:指定番号1)、LM,LC(第2ヘッド10−2:指定番号2)、Y,M,LM,LC(第1・第2ヘッド10−1,10−2:指定番号3)、C,BK(第3ヘッド10−3:指定番号4)、Y,M,C,BK(第1・第3ヘッド10−1,10−3:指定番号5)、LM,LC,C,BK(第2・第3ヘッド10−2,10−3:指定番号6)、および全色(第1ないし第3ヘッド10−1,10−2,10−3:指定番号7)の中から指定することができる。
【0088】
この場合、例えば、Y,M(第1ヘッド10−1:指定番号1)が指定された場合は、第1ヘッド群47−1ないし第4ヘッド群47−4における、4つの第1ヘッド10−1が吸引処理対象となる。このように、インクジェットヘッド10毎ではなく色別に指定することができるため、例えば、ユーザが目視により特定の色が吐出不良を生じていることを発見した場合、その特定の色を吐出するインクジェットヘッド10のみを吸引対象とするなど、より効率的にインク吸引を行わせることができる。
【0089】
また、図14(c)に示すとおり、インクの吸引処理における吸引回数を指定することも可能である。この場合、吸引回数を1回(指定番号1)ないし7回(指定番号7)の中から指定可能であり、回数が多くなる毎に、より強力且つ確実なインク吸引を行わせることができる。
【0090】
なお、インクの吸引回数の指定は、実質的にインク吸引量の指定を行うものであるが、ここで吸引回数を指定することとしたのは、インクポンプ87(吸引手段)の間欠駆動によりインク吸引が所定量ずつ行われるためである。例えば、インクポンプ87の吸引能力が1〔cc〕/秒の場合、50〔cc〕のインクを吸引するためには、10秒間駆動させる処理を5回繰り返すことになる。気泡排出において、微小気泡よりある程度大きい気泡の方が抜けやすい。また、インク流動に変化(流動・停止)を与えた方が抜けやすい傾向があるので間欠吸引により、インク流動に変化を与え、間欠吸引間の待機時間で微小気泡の集結成長を助長させてインク吸引を行うことによりインクジェットヘッド10にインクを供給するためのインクチューブ63内に混入した空気を確実に吸引することができる。また、インクポンプ87の駆動源がモータである場合、その連続駆動による異常加熱を防止することができる。更に、間欠駆動による駆動回数によりインク吸引量を指定することができるため、容易にインク吸引量を指定することができる。なお、この場合、インク吸引回数に代えて、インク吸引時間やインク吸引量そのものによってインクの吸引量を指定するようにしても良い。
【0091】
また、図14(d)に示すとおり、クリーニングの種類を指定することも可能である。例えば、クリーニングなし(指定番号0)が指定された場合は、指定された吸引回数の後、クリーニング処理(図13参照)を行わない。また、通常クリーニング(指定番号1)が指定された場合は、ラビング処理(図13S2参照)を省略したクリーニングを行い、強力クリーニング(指定番号2)が指定された場合は、ラビング処理を含み、且つインク吸引量および負圧解除時間の長いクリーニングを行う。
【0092】
また、図14(e)に示すとおり、クリーニング処理内における拭き取り処理の方法(ワイパーブレード102の種類)を指定することも可能である。上記のとおり、クリーニング処理では、通常クリーニングが指定された場合、ワイピング処理のみを行い(図13S12参照)、強力クリーニングが指定された場合、ラビング処理およびワイピング処理を行うが、例えば、通常クリーニングを指定したがラビング処理も行いたい場合など、拭き取り処理を独立して指定することができる。したがって、ラビング処理およびワイピング処理については、拭き取り処理が指定された場合、上記のクリーニング種類指定で指定された処理(通常クリーニングまたは強力クリーニングにおける処理)よりも拭き取り処理指定された内容が優先されることになる。
【0093】
ここで、例えば、拭き取り処理なし(指定番号0)が指定された場合は、ラビングおよびワイピングのいずれの処理も行わない。また、第1ブレード102a(指定番号1)が指定された場合は、ヘッドユニット34を第1ブレード102aの手前側からY軸方向に移動させて、第1ブレード102aに接触させる(図10(a)参照:ワイピング処理=単独第1拭き取り処理)。また、第2ブレード102b(指定番号2)が指定された場合は、ヘッドユニット34を第2ブレード102bの奥側からY軸方向に移動させて、第2ブレード102bに接触させる(図10(b)参照:ラビング処理=単独第2拭き取り処理)。更に、第1ブレード102aおよび第2ブレード102b(指定番号3)が指定された場合は、ヘッドユニット34を第2ブレード102bの奥側からY軸方向に移動させ、第2ブレード102bに接触させることでラビング処理を行い、ヘッドユニット34を第1ブレード102aの手前側からY軸方向に移動させ、第1ブレード102aに接触させることでワイピング処理を行う(図10(a)および(b)参照:複合拭き取り処理)。
【0094】
このように、複合拭き取り処理の場合であっても、ワイピング部材(第1ブレード102a)およびラビング部材(第2ブレード102b)を別個に構成する必要がないため、省スペース化を図ることができる。また、複合拭き取り処理の場合であっても、インクジェットヘッド10の往復動で行うことができるため、同じ移動領域で拭き取りを行うことができ、更に省スペース化を図ることができる。
【0095】
以上、図14を参照して説明したとおり、本実施形態では、吸引処理に関する種々の条件を指定可能であるが、このような指定が為された場合、図15に示すようなパラメータを用いて制御コマンドを生成することができる。例えば、ヘッド群A(第1・第2ヘッド群47−1,47−2)の、Y,M(第1ヘッド10−1)を吸引処理対象とする場合は、制御コマンドのパラメータ部を(1,1,n,m,l)とすれば良い(n=吸引回数、m=クリーニング種類番号、l=拭き取り処理番号)。したがってこの場合、例えば、インク吸引回数が3回で、通常クリーニング、単独第1拭き取り処理(ラビングなし)を指定する場合は、制御コマンドのパラメータ部を(1,1,3,1,1)とすれば良い。このように、本実施形態では、5つのパラメータから成る制御コマンドをホストコンピュータ5から送信することにより、容易に吸引処理に関する種々の条件を指定し、吸引処理を制御することができる。
【0096】
次に、図16および図17を参照して、プリンタドライバ504に格納された設定プログラム505を起動した際に表示画面510に表示される設定画面について説明する。両図に示すとおり、設定画面は、設定内容を確認する確認画面D1と、種々の条件を入力していく入力画面D2とにより構成されている。確認画面D1は、インクジェットヘッド10の配列に応じた模式図が示されており(図5参照)、吸引処理対象となったインクジェットヘッド10を、他のヘッドの表示色と異なる態様(表示色を異ならせたり、点滅表示させるなど)で表示する(図面上は、ハッチングにより図示する)。また、入力画面D2は、「(a)ヘッド群&キャップ(色)指定」、「(b)ヘッド群指定」、および「(c)キャップ(色)指定」の中から、いずれかの指定が可能となっており、指定内容や使用目的に応じて指定方法を選択することができるようになっている。
【0097】
例えば、「(a)ヘッド群&キャップ(色)指定」により、ヘッド群A(第1・第2ヘッド群47−1,47−2)の、Y,M(第1ヘッド10−1)を吸引処理対象とする場合は、対応するセルα内に、吸引回数(n)、クリーニング種類番号(m)および拭き取り処理番号(l)を入力すれば良い(ここでは、n=3、m=0、l=0と指定されたものとする)。このように指定された場合、3回のインク吸引を行った後、クリーニング処理を行わない。したがって、拭き取り処理も行わない(l=0)。
【0098】
また、数値が入力されると、対応するインクジェットヘッド10を、他のヘッドの表示色と異なる態様で表示する(確認画面D1:図16参照)。さらに、同様に、セルβ内に、数値が入力されると(ここでは、n=3、m=2、l=1と指定されたものとする)、ヘッド群BにおけるLM,LC(第2ヘッド10−2)を他のヘッドの表示色と異なる態様で表示する(確認画面D1:図16参照)。このように指定された場合、3回のインク吸引を行った後、強力クリーニングを行うが、ラビング処理は行わない(l=1)。このような設定とすると、吐出不良を解消することができると共に、インクジェットヘッド10のラビング処理による傷みを抑えることができる。なお、これらの場合、拭き取り回数に応じて表示濃度を変化させたり、拭き取り処理の違いによって、更に異なる表示色で表示したりするなど、確認画面D1の表示形態を変化させても良い。
【0099】
また、ヘッド群Aおよび/またはヘッド群B内の全て(全色)のインクジェットヘッド10を吸引処理対象とする場合は、「(b)ヘッド群指定」により指定を行い、特定の色のインクジェットヘッド10を吸引処理対象とする場合は、「(c)キャップ(色)指定」により指定を行うなど、ユーザの好みに応じて指定方法が決定される。更に、指定方法は、確認画面D1において、いずれかのインクジェットヘッド10がマウスで指定されることで吸引処理対象を指定し、さらにそのクリック回数で吸引回数を指定するなど、その他の方法も適用可能である。
【0100】
以上の通り、本発明のインク吸引方法および吸引装置、並びにインクジェットプリンタによれば、吸引処理の対象となるインクジェットヘッド、並びにインク吸引量を指定することができるため、必要なインクジェットヘッドのみを適切な量で効率的に吸引することができる。したがって、全てのインクジェットヘッドに対して一定量の吸引を行う場合と比べて、インク吸引量を最小限に止めることができるため経済的であり、且つ吸引時間の短縮を図ることができる。また、インクジェットヘッド10毎にインクを吸引するため、ヘッドユニット42全体を封止する大型の吸引キャップを用いる必要がなく、省スペース化を図ることができる。
【0101】
また、吸引手段の間欠駆動により所定量ずつインク吸引を行うことができるため、インクジェットヘッド10内、またはこれにインクを供給するためのインクチューブ63内に混入した空気を確実に吸引することができると共に、インク吸引を行うための駆動源がモータである場合、その連続駆動による異常加熱を防止することができる。更に、間欠駆動による駆動回数によりインク吸引量を指定することができるため、容易にインク吸引量を指定することができる。
【0102】
また、インク吸引後において、インクジェットヘッドのノズル面を拭き取る拭き取りユニット73を備えているため、ノズル面45bにインク滴が付着して吐出不良の原因となったり、印刷対象物を汚してしまったりすることがない。また、この場合、ワイピングおよびラビングを、1つのワイパーブレード102によって行うことができるため、省スペース化を図ることができる。また、複合拭き取り処理の場合であっても、インクジェットヘッド10の往復動で行うことができるため、同じ移動領域で拭き取りを行うことができ、更に省スペース化を図ることができる。
【0103】
なお、上記の例では、ホストコンピュータ5に組み込まれたプリンタドライバ504のユーティリティ実行プログラムによって吸引処理に関する種々の条件を設定する設定画面が実行されるものとしたが、ホストコンピュータ5を専用機としてこれらのプログラムを格納したものを利用しても良い。また、インクジェットプリンタ1本体の装置ケース上に、吸引処理に関する種々の条件を指定するための指定手段(例えば、ディップスイッチ、液晶パネルなど)を備えても良い。この構成によれば、ユーザは、より簡単に吸引処理に関する種々の条件を指定することができる。
【0104】
また、上記の例では、インクジェットヘッド10毎に、吸引処理対象を指定することができるものとしたが、ノズル列45a毎、ノズル列45aを更に細かく分割したノズル群毎、若しくは個々のノズル毎に吸引処理対象を指定できるように構成しても良い。この構成によれば、より省スペース化、省コスト化を図りつつ、効率的に吸引処理を行うことができる。
【0105】
また、上記の例では、4組のヘッド群(47−1ないし47−4)、すなわち12個のインクジェットヘッド10に対し、2組の吸引ユニット72(6つの吸引キャップ82)でインクの吸引を行うものとしたが、1組の吸引ユニット72(3つの吸引キャップ82)で全てのヘッドのインク吸引を行うようにしても良い。この構成によれば、更に省スペース化を図ることができる。
【0106】
また、上記の例では、吸引回数を指定してインクの吸引を行わせるものとしたが(図14(c)参照)、図18「(c′)吸引種類指定」に示すように、吸引種類によって吸引箇所を指定することができるようにしても良い。例えば、インクチューブ63の先端位置(インクジェットヘッド10近傍)に気泡が混入していた場合は、インクチューブ先端(指定番号1)を指定することで、インクチューブ63の先端付近にある気泡を除去可能な量(吸引回数2回)のインク吸引を行う。また、インクチューブ63の中間位置あたりに気泡が混入していた場合は指定番号2、更にサブタンク62付近に気泡が混入していた場合は指定番号3を指定することで、それぞれにおいて気泡を除去可能な適切な量のインク吸引を行う。この構成によれば、インクチューブ63内に気泡が混入した場合、その混入位置に応じて適切な吸引種類を指定することができる。なお、更に吸引箇所を細分化して指定できるように構成しても良い。またこの場合、吸引回数(量)は、無駄なインク吸引を防止するため、また吸引量が多すぎることによってインクジェットヘッド10内に気泡が混入してしまうのを避けるため、各混入位置における気泡を排出可能な最低限の回数(量)に設定されていることが好ましい。
【0107】
また、上記の例では、インク吸引の後、クリーニング処理を1回行うものとしたが、1回に限らず、複数回繰り返して行うものとしても良い。また、この場合、その繰り返し数を指定可能に構成しても良い。更に、この場合、クリーニング処理毎に拭き取り処理を指定可能に構成しても良い。この構成によれば、より確実にインクジェットヘッド10の機能を回復することができると共に、ユーザの要望および使用目的に見合ったクリーニング処理を行わせることができる。
【0108】
また、クリーニング処理における本吸引回数(図13S4参照)を指定可能に構成しても良く、この場合は、その本吸引の指定回数に応じた(適した)微量吸引回数(同図S6〜S9参照)や負圧解除のための待機時間(同図S5,S10参照)が自動的に設定されることが好ましい。
【0109】
その他、インクジェットプリンタのヘッド構成や吸引処理に関する種々の条件の指定方法など、本発明を逸脱しない範囲で適宜変更も可能である。
【0110】
【発明の効果】
上記の通り、本発明のインクジェットヘッドのインク吸引方法および吸引装置、並びにインクジェットプリンタによれば、省スペース化、省コスト化を図りつつ、効率的にインク吸引を行うことができるなどの作用・効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタの正面側から見た外観斜視図である。
【図2】実施形態に係るインクジェットプリンタの背面側から見た外観斜視図である。
【図3】ヘッドユニットの移動動作(印刷動作)を示す説明図である。
【図4】ヘッドユニットのキャリッジ廻りの外観斜視図である。
【図5】模式的に表したヘッドユニットの構造図である。
【図6】キャップユニットを表した(a)斜視図および(b)平面図である。
【図7】吸引ユニットおよび拭き取りユニットを表した(a)斜視図および(b)平面図である。
【図8】吸引キャップ廻りの構造図である。
【図9】ワイパーブレード廻りの構造図である。
【図10】拭き取り処理を示す説明図である。
【図11】実施形態に係るインクジェットプリンタの制御構成を示す制御ブロック図である。
【図12】吸引処理を示すフローチャートである。
【図13】クリーニング処理を示すフローチャートである。
【図14】吸引処理に関する種々の条件を示す説明図である。
【図15】吸引処理に関する種々の条件に基づく制御コマンドのパラメータを示す説明図である。
【図16】吸引処理に関する種々の条件を指定するための設定画面を示す説明図である。
【図17】図16に続く、吸引処理に関する種々の条件を指定するための設定画面を示す説明図である。
【図18】吸引処理に関する吸引種類の選択肢を示す説明図である。
【符号の説明】
1 インクジェットプリンタ
2 装置本体
10 インクジェットヘッド
11 機台
12 プリント手段
15 メンテナンス手段
34 ヘッドユニット
61 メインタンク
62 サブタンク
63 インクチューブ
72 吸引ユニット
73 拭き取りユニット
81 部分ユニット
82 吸引用キャップ
86 吸引用キャップ移動機構
87 インクポンプ
95 移動モータ
101 部分ユニット
102 ワイパーブレード
105 ソレノイド

Claims (14)

  1. 複数のインクジェットヘッドをキャリッジに搭載したヘッドユニットに臨み、前記インクジェットヘッド毎にインク吸引可能なインク吸引手段を用いて行うインクジェットヘッドのインク吸引方法であって、前記複数のインクジェットヘッドのうち、インク吸引を行う少なくとも1以上のインクジェットヘッドが指定されると共に、インク吸引量が指定され、これらの指定に従って前記インクジェットヘッド毎にインク吸引を行うことを特徴とするインクジェットヘッドのインク吸引方法。
  2. 複数のインクジェットヘッドをキャリッジに搭載したヘッドユニットに臨み、前記インクジェットヘッド毎に吸引キャップを介してインクを吸引することにより吸引処理を行うインクジェットヘッドの吸引装置であって、
    前記複数のインクジェットヘッドのうち、前記吸引処理の対象となる少なくとも1以上のインクジェットヘッドを指定する吸引処理対象指定手段と、
    前記吸引処理におけるインク吸引量を指定するインク吸引量指定手段と、
    指定した前記少なくとも1以上のインクジェットヘッドに対し、指定した前記インク吸引量でインク吸引を行う吸引手段と、を備えたことを特徴とするインクジェットヘッドの吸引装置。
  3. 前記インク吸引量指定手段は、指定した前記少なくとも1以上のインクジェットヘッドに対し、インクジェットヘッド毎にインク吸引量を指定することを特徴とする請求項2に記載のインクジェットヘッドの吸引装置。
  4. 前記吸引手段によるインク吸引は、当該吸引手段の間欠駆動により所定量ずつ行われ、
    前記インク吸引量は、前記間欠駆動による駆動回数により指定されることを特徴とする請求項2または3に記載のインクジェットヘッドの吸引装置。
  5. 前記キャリッジには、インク色別の複数のインクジェットヘッドが搭載されており、
    前記吸引処理対象指定手段は、前記複数のインクジェットヘッドを色別に指定可能な色別対象指定手段を有していることを特徴とする請求項2、3または4に記載のインクジェットヘッドの吸引装置。
  6. 前記ヘッドユニットは、前記複数のインクジェットヘッドを複数の部位に分割して搭載しており、
    前記複数のインクジェットヘッドを部位別に指定可能な部位別対象指定手段を有していることを特徴とする請求項2ないし5のいずれか1に記載のインクジェットヘッドの吸引装置。
  7. 前記吸引手段によるインク吸引後において、前記インクジェットヘッド毎に機能回復処理を行う機能回復手段を更に備え、
    前記機能回復手段は、前記吸引処理対象指定手段により指定されたインクジェットヘッドに対し、前記機能回復処理を行うことを特徴とする請求項2ないし6のいずれか1に記載のインクジェットヘッドの吸引装置。
  8. 前記機能回復手段は、前記インクジェットヘッド毎に少量のインクを吸引する機能回復吸引手段と、前記インクジェットヘッドのノズル面を拭き取る機能回復拭き取り手段とから成ると共に、当該機能回復吸引手段におけるインクの吸引量および/または当該機能回復拭き取り手段における拭き取り処理の違いによって複数の機能回復処理シーケンスを有しており、
    前記複数の機能回復処理シーケンスの中から1の機能回復処理シーケンスを指定する機能回復処理指定手段を更に備えたことを特徴とする請求項7に記載のインクジェットヘッドの吸引装置。
  9. 前記機能回復拭き取り手段は、ゴムまたは樹脂製のワイピング部材および繊維製のラビング部材を有し、
    前記ワイピング部材で拭き取り処理を行う単独第1拭き取り処理と、前記ラビング部材で拭き取り処理を行う単独第2拭き取り処理と、前記ワイピング部材および前記ラビング部材で拭き取り処理を行う複合拭き取り処理とのいずれかを指定する拭き取り処理指定手段を更に備えたことを特徴とする請求項8に記載のインクジェットヘッドの吸引装置。
  10. 前記ワイピング部材および前記ラビング部材は、いずれも板状に構成され、且つ可撓性を有すると共に、互いに表裏一体となって拭き取り方向に配設されており、
    前記単独第1拭き取り処理は、前記インクジェットヘッドを前記ワイピング部材の手前側から往動させて当該ワイピング部材に接触させることにより行われ、
    前記単独第2拭き取り処理は、前記インクジェットヘッドを前記ラビング部材の奥側から復動させて当該ラビング部材に接触させることにより行われ、
    前記複合拭き取り処理は、前記インクジェットヘッドを前記ワイピング部材の手前側から往動させると共に、前記ラビング部材の奥側から復動させて、前記ワイピング部材および前記ラビング部材の両方に接触させることにより行われることを特徴とする請求項9に記載のインクジェットヘッドの吸引装置。
  11. 請求項9または10に記載のインクジェットヘッドの吸引装置を備え、ホストコンピュータから送信された印刷データに基づいて印刷を行うことを特徴とするインクジェットプリンタ。
  12. 前記吸引処理対象指定手段、前記インク吸引量指定手段、前記機能回復処理指定手段および前記拭き取り処理指定手段は、前記ホストコンピュータによって実現されることを特徴とする請求項11に記載のインクジェットプリンタ。
  13. 前記吸引処理対象指定手段、前記インク吸引量指定手段、前記機能回復処理指定手段および前記拭き取り処理指定手段は、前記ホストコンピュータに組み込まれたプリンタドライバによって実現され、
    前記プリンタドライバは、前記吸引処理対象となるインクジェットヘッド、前記インク吸引量、前記機能回復処理および前記拭き取り処理を指定するためのユーザインターフェースとなる設定画面を起動するユーティリティプログラムを有していることを特徴とする請求項12に記載のインクジェットプリンタ。
  14. 前記吸引処理対象指定手段、前記インク吸引量指定手段、前記機能回復処理指定手段および前記拭き取り処理指定手段は、前記インクジェットプリンタ本体の装置ケース上に備えられていることを特徴とする請求項11に記載のインクジェットプリンタ。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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