JP2004223714A - 白色積層ポリエステルフィルム - Google Patents

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Katsufumi Kumano
勝文 熊野
Chikao Morishige
地加男 森重
Eiji Kumagai
栄二 熊谷
Toshiyuki Shimizu
敏之 清水
Yasushi Sasaki
靖 佐々木
Mutsuo Nishi
睦夫 西
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Abstract

【課題】白色性、滑り性、インキ密着性、耐水密着性、帯電防止性、耐擦り傷性、に優れる白色積層ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】ポリエステル樹脂層(B層)の少なくとも片面に、白色顔料及び無機粒子を含有するポリエステル樹脂層(A層)が積層された白色二軸延伸ポリエステルフィルムからなる基材と、該基材の少なくとも片面に設けられた被覆層(C層)からなる白色積層ポリエステルフィルムであって、前記A層における無機粒子は平均粒子径が5.0μm以下で、かつ白色顔料の平均粒子径よりも大きく、さらに前記C層は前記A層の直上に設けられ、変性樹脂、及びスルホン酸塩基または燐酸塩基を少なくとも1種有する高分子系帯電防止剤を含有し、破断強度が10〜100MPaであり、かつ表面固有抵抗値が1×10〜1×1013Ω/□であることを特徴とする白色積層ポリエステルフィルム。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2層以上の積層構造からなる白色二軸延伸ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、被覆層を設けた白色積層ポリエステルフィルムに関する。より詳しくは、白色性、滑り性、インキ密着性、耐水密着性、帯電防止性、耐擦り傷性、に優れた情報記録材料や印刷材料、特にICカード用基材として好適な白色積層ポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
二軸延伸ポリエステルフィルムは、機械的性質、電気的性質、寸法安定性等の優れた特性を有することから、磁気記録材料、包装材料、電気絶縁材料、感光材料、製図材料、写真材料等多くの分野の基材フィルムとして使用されている。
【0003】
しかしながら、二軸延伸ポリエステルフィルムの表面は高度に結晶配向されているため、各種塗料、接着剤、インキ等との接着性が乏しい等の欠点を有している。特に、白色性を付与するために白色顔料を含有する二軸延伸ポリエステルフィルムを使用するラベル用途や磁気カードやICカードなどのカード用途等では、その最終製品の使用状態や保管状態が各個人によって大きく異なり、例えば保管中にラベルやカードが一時的にではあるが、折れ曲がる状態を経ることがある。この時、基材フィルムと被覆物(印刷インキ層や磁気記録層等)との接着性が乏しいと、界面で剥離し製品外観を損なう、あるいはカードとしての機能を失うことになる。そのため、従来からポリエステルフィルム表面に種々の方法により接着性を付与する検討がなされてきた。
【0004】
フィルム表面に接着性を付与する方法としては、基材のポリエステルフィルム表面にコロナ放電処理する方法、紫外線を照射する方法、プラズマ処理を行う方法等による表面活性化法、酸、アルカリ、アミン水溶液等による表面エッチング法、フィルム表面にアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂等の各種樹脂を塗布層として設ける方法が知られている(例えば、特許文献1、2、3参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開昭55−15825号公報
【特許文献2】
特開昭58−78761号公報
【特許文献3】
特開昭60−248232号公報
【0006】
特に、塗布法によって被覆層を設け、結晶配向が完了する前のポリエステルフィルムに上記樹脂成分を含有する塗布液を塗布し、乾燥後、少なくとも一方向に延伸し、熱処理を施して結晶配向を完了させる方法(インラインコート法)が一般的に行われている。
【0007】
ポリエステル樹脂を含む水性塗剤を二軸延伸ポリエステルフィルムに塗布する方法に関しても多数知られている(例えば、特許文献4、5参照)。
【0008】
【特許文献4】
特開昭50−39375号公報
【特許文献5】
特開昭60−11358号公報
【0009】
しかしながら、従来のポリエステル樹脂の水性塗剤より形成された被覆層は、基材のポリエステルフィルムとの接着性は優れるが、印刷インキ等の被覆物との密着性、さらには折り曲げた際の接着性に乏しいという欠点があった。
【0010】
従来の各種インキ密着性タイプのポリエステル系被覆フィルムにおいても、基材ポリエステルフィルムの表面に、特定の樹脂からなる被覆層を設けた方法が多く見られる。前記被覆層の構成樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、及びアクリル系樹脂等を、単一あるいは2種以上混合したもの、また前記樹脂と特定の架橋剤(メラミン、イソシアネート等)とを混合したものなどが挙げられる。
【0011】
しかしながら、前記被覆層の多くは、酸化重合型インキとの密着性は良好であるが、紫外線硬化型インキ(以下、UV硬化インキと略す場合がある)との密着性に劣ったり、逆にUV硬化インキとの密着性は良好であるが、酸化重合型インキとの密着性に劣ったりなど、いずれのインキに対しても密着性に優れた被覆層は得られていないのが現状である。
【0012】
また、インキとの密着性に優れた被覆層は、インキとの親和性を高めるために被覆層のガラス転移温度を室温以下としたものが多い。そのため、一般には被覆層表面に傷などが入りやすくなるなどの問題がある。さらに、白色ポリエステルフィルムの場合には、フィルム中に白色顔料等を含有しており、通常の透明フィルムと比較すると、最終的に得られるフィルム表面が硬く脆くなる傾向があり、柔らかい、または、脆い通常の被覆層では特に表面に傷が付きやすくなるという問題があった。
【0013】
さらに、ラベルやカード基材として用いる場合には、どのような流通時の保存環境や使用環境下においても、インキ密着性ができるだけ変化しないことが要求される用途もある。その用途で使用する場合、易接着層には高温高湿下でのインキ密着性にも優れていることも要求されるが、インキの種類に関わらずインキ密着性に優れ、且つ高温高湿下でのインキ密着性にも優れるという積層ポリエステルフィルムは従来の易接着ポリエステルフィルムでは得られていなかった。
【0014】
また、基材のポリエステルフィルム、及び接着性改良のために被覆層を設けた易接着ポリエステルフィルムは、いずれも帯電しやすく、製膜工程でのトラブルのみならず、加工工程における静電気障害を引き起こし易いという欠点もあった。
【0015】
これらの静電気による問題を改善するために、アルキルベンゼンスルホン酸塩基やアルキルリン酸塩基などの低分子量化合物や界面活性剤タイプ等の帯電防止剤を基材フィルム中に含有させたり、塗剤中に帯電防止剤を配合して基材フィルムに塗布させたりすることが一般に行われている。しかしながら、上記の低分子量化合物は、その含有量が少ないと帯電防止性に劣り、また良好な帯電防止性を得るために含有量を多くすると、逆に低分子量化合物がフィルム表面や界面にブリードアウトして接着性が悪化するという問題があった。
【0016】
一方、白色積層ポリエステルフィルムには、被覆層表面に印刷層や磁気記録層などを積層する二次加工工程において、印刷時の位置決め精度や搬送性に優れ、ロール状に巻き取ったフィルムを巻き出す際の帯電圧が小さいことが要望される。また、情報記録材料や印刷材料用途、特にICカード用基材においては、白色性、帯電防止性、インキ密着性に優れることが必要であるが、それ以外に加工工程やいかなる使用環境下でもカードとしての機能が維持できるような耐久性が要望されている。具体的には、印刷層などを積層する加工工程における耐擦り傷性や高温・高湿下で放置後のインキ密着性に優れていることが要望されているが、現状ではすべての品質を満足するものが得られていないのが実状である。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術の欠点を解消し、白色性、滑り性、インキ密着性、耐水密着性、帯電防止性、耐擦り傷性、に優れる情報記録材料や印刷材料、特にICカード用基材として好適な白色積層ポリエステルフィルムを提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記のような状況に鑑みなされたものであって、上記の課題を解決することができた白色積層ポリエステルフィルムとは、以下の通りである。
【0019】
すなわち、本発明は、ポリエステル樹脂層(B層)の少なくとも片面に、白色顔料及び無機粒子を含有するポリエステル樹脂層(A層)が積層された白色二軸延伸ポリエステルフィルムからなる基材と、該基材の少なくとも片面に設けられた被覆層(C層)からなる白色積層ポリエステルフィルムであって、前記A層における無機粒子は平均粒子径が5.0μm以下で、かつ白色顔料の平均粒子径よりも大きく、さらに前記C層は前記A層の直上に設けられ、変性樹脂、及びスルホン酸塩基または燐酸塩基を少なくとも1種有する高分子系帯電防止剤を含有し、破断強度が10〜100MPaであり、かつ25℃で65%RHにおける表面固有抵抗値が1×10〜1×1013Ω/□であることを特徴とする白色積層ポリエステルフィルムである。
【0020】
【発明の実施の形態】
[基材]
本発明の基材に用いるポリエステルとは、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸のごとき芳香族ジカルボン酸又はそのエステルとエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールのごときグリコールとを重縮合させて製造されるポリエステルである。これらのポリエステルは、(1)芳香族ジカルボン酸とグリコールとを直接反応させ、次いで重縮合反応を行う方法(直重法)のほか、(2)芳香族ジカルボン酸のアルキルエステルとグリコールとをエステル交換反応させ、次いで重縮合反応を行う方法(エステル交換法)、あるいは(3)芳香族ジカルボン酸のジグリコールエステルを重縮合させるなどの方法、などの公知の方法によって製造することができる。
【0021】
かかるポリエステルの代表例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、あるいはポリエチレン−2,6−ナフタレートなどが挙げられる。これらのポリエステルはホモポリマーであってもよく、第三成分を共重合したものであっても良い。いずれにしても本発明においては、エチレンテレフタレート単位、ブチレンテレフタレート単位、プロピレンテレフタレート単位、あるいはエチレン−2,6−ナフタレート単位が70モル%以上、好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上であるポリエステルが好ましい。なかでも、ポリエチレンテレフタレートがコストパフォーマンスの点から特に好適である。
【0022】
基材のポリエステルフィルムに白色性や隠ぺい性を付与し、印刷鮮明性を改善する点から、基材のA層には白色顔料を含有させる。本発明に用いる白色顔料としては、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸カルシウムなどを用いることができる。また、前記白色顔料には、分散性向上等の目的のため各種有機、無機表面処理を施すことができる。特に、白色顔料の中でも酸化チタンは、高い屈折率を有し、少量で高い白色性及び隠ぺい性を発現させることが可能であるため好ましい。さらに、蛍光増白剤を併用するとさらに白色性を高めることができ好ましい。
【0023】
基材のA層における白色顔料の含有量は、隠蔽性の点から、下限が10質量%であることが好ましく、特に好ましくは15質量%である。また、前記白色顔料の含有量は、製膜安定性の点から、上限が45質量%であることが好ましく、さらに好ましくは35質量%であり、特に好ましくは25質量%である。
【0024】
また、白色度をさらに高めるために、基材のA層中に白色顔料以外に蛍光増白剤を併用する場合、白色顔料が45質量%を超えると、白色顔料の紫外線吸収量が増えるため、蛍光増白剤が効果を発揮するに必要な紫外線が減少し、蛍光増白効果を著しく阻害し、白色度が低下するため好ましくない。
【0025】
また、フィルムの隠蔽性をさらに向上させるために、前記の白色顔料以外に、カーボンブラックなどの着色顔料を少量含有させてもよい。さらに、他の機能を付与するために、A層中に、白色顔料よりも平均粒子径の小さい無機粒子、耐熱性有機粒子、酸化防止剤、架橋剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを必要に応じて含有させることができる。
【0026】
また、基材のA層中には白色顔料と該白色顔料より平均粒子径が大きい少なくとも1種の無機粒子を含有させることが重要である。無機粒子としては、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸カルシウムなどの白色顔料でもよいし、シリカなどのようなポリエステルとの屈折率の差が小さい無機粒子でもかまわない。また、2種類の平均粒径の異なる白色顔料を用いる場合、該白色顔料は同種でも良いし、異種でもかまわない。要するに、平均粒子径の異なる2種類の無機粒子を用い、平均粒子径の小さい無機粒子が白色顔料であることが、隠ぺい性とハンドリング性の点から必要である。平均粒子径の大きな無機粒子としては、コストや取り扱い性の点からシリカが好ましい。
【0027】
基材のA層中に含有させる無機粒子の平均粒子径の上限値は、後加工で印刷層などを設ける際の印刷品位の点から、5.0μmであることが重要であり、好ましくは3.0μm、特に好ましくは2.0μmである。また、前記A層中に含有させる無機粒子の平均粒子径の下限値は、フィルム製造工程及び後加工工程での滑り性の点から、0.5μmであることが好ましく、特に好ましくは0.7μmである。
【0028】
また、印刷品位と滑り性の点から、A層中における無機粒子の含有量を平均粒子径の小さな白色顔料の含有量よりも少なくすることが好ましい。さらに印刷品位を向上させる点から、A層中の無機粒子の含有量は、上限値が4000ppmであることが好ましく、特に好ましくは2000ppmである。また、さらに滑り性を向上させる点から、A層中の無機粒子の含有量は、下限値が50ppmであることが好ましく、特に好ましくは100ppmである。
【0029】
また、積層フィルムにおける主層のB層には、隠蔽性をさらに向上させるために、A層と同様に白色顔料、無機粒子や耐熱性有機粒子などを含有させてもよい。さらに、白色性をさらに向上させるために、本発明の効果を阻害しない範囲で、蛍光増白剤を含有させてもよい。
【0030】
さらに好適な実施形態は、B層にフィルム製造時に屑となったフィルム片を回収し、フィルム原料として再利用することである。このような再利用は工業的に生産する上でコスト削減の点から極めて意義がある。しかしながら、回収したフィルム片を再溶融して使用することから、フィルム原料や被覆層の熱劣化による着色、ゲルなどの異物の析出により、後加工工程での印刷時に画像や文字などの鮮明度が低下しやすくなる。そのため、本発明においては、再利用したフィルム原料は印刷などを行う被覆層(C層)に隣接するポリエステル樹脂層(A層)に含有させずに、主層であるポリエステル樹脂層(B層)に含有させることが好ましい。
【0031】
さらに、本発明の白色積層ポリエステルフィルムの基材は、見かけ密度が1.3g/cm以上であることが好ましい。1.3g/cm未満の場合はフィルムのスティッフネス(腰)が弱くなり、情報記録材料、印刷材料として用いた場合に剛性が不足し好ましくない。前記の基材フィルムの見掛け密度は、結晶配向後のポリエステルの種類(密度)、白色顔料や無機粒子の種類(密度)及び含有量などによって制御することができる。
【0032】
本発明の白色積層ポリエステルフィルムは、C/A/B/A、C/A/B/A/C、C/A/B、などの層構成を選択することができる。また、本発明の効果を阻害しない範囲で、A層及びB層以外の組成のポリエステル樹脂層を組合せても良い。
【0033】
また、積層フィルムの全厚みは用途によって適宜調整すればよいが、一般には25〜250μmである。また、ICカードや磁気カードなどのカード基材に用いる場合は、通常100〜250μmである。
【0034】
基材のA層には白色顔料と無機粒子を含有されているため、製膜性を維持する点から、A層の全厚みの上限は、積層フィルムの全厚みに対して50%とすることが好ましい。また、A層は全厚みの下限は、白色性及び隠蔽性の点から、10%とすることが好ましい。A/B/Aからなる2種3層の積層構成の場合、基材のA層の厚みは両最外層で同じでもよいし、カール防止の点から異なっていてもよい。また、基材の積層フィルムの固有粘度は0.50〜0.70dl/gであることが好ましい。
【0035】
[被覆層]
本発明の白色積層ポリエステルフィルムにおいて、基材の表面層であるA層上の少なくとも片面には、ウレタン、カーボネート、アクリル、ビニルの少なくとも1種の官能基を有する化合物で変性された樹脂、及びスルホン酸塩基または燐酸塩基を少なくとも1種有する高分子系帯電防止剤を含有する被覆層Cが形成されている。
【0036】
本発明の被覆層Cの構成成分である、変性樹脂は、密着性、耐水密着性、帯電防止性、耐擦り傷性を改善することを主目的とする。また、他の構成成分である、スルホン酸塩基または燐酸塩基を少なくとも1種有する高分子系帯電防止剤は、帯電防止性を改善することを主目的とする。以下、変性樹脂と高分子系帯電防止性について、詳しく説明する。
【0037】
(変性樹脂)
本発明において、各種特性の評価の過程で、白色フィルムを用いた場合に特に剥離や傷が起こりやすいという問題が、被覆層中の樹脂の破断強度を高めることにより、改善されることを見出した。
【0038】
すなわち、本発明の被覆層Cにおいて、一種または二種以上の改質方法によりベースとなる樹脂を変性し、ベースとなる樹脂の破断強度を高め、基材の白色積層二軸延伸ポリエステルの表面層Aと被覆層との破断強度の差を小さくすることができる。その結果、フィルムの加工工程における耐擦り傷性を向上させ、また、各種貼り合わせ物、特にICカードなどのカード用基材として用いたときに傷つきによる印刷品位の低下や剥離の抑制などが可能となる。なお、この効果は、表面層および表面層付近に白色顔料を有するため表面層が脆くなっている白色フィルムにおいて顕著な効果が見られる。
【0039】
ポリエステル樹脂を変性する具体的な方法としては、ウレタン変性、カーボネート変性、アクリル変性、ビニル変性などにより、ベースのポリエステル樹脂にブロック化やグラフト化を行う。また、ベース樹脂に架橋剤との反応性官能基を導入し、架橋反応させることにより、さら破断強度を高めることも有効である。
【0040】
変性されるベース樹脂としては各種の樹脂を用いることが可能であり、特に限定されるものではないが、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。変性にあたっては、溶剤に溶解した状態で行うことが望ましいことから、ベース樹脂としては溶剤に可溶であることが望ましい。これらのなかで、基材であるポリエステルフィルムとの密着性や被覆層上の印刷層、磁気記録層や接着剤層との接着性の面で、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂やこれらの混合物が好ましい。
【0041】
(変性方法)
変性方法としては、ベース樹脂の破断強度を高めることができれば、前述の方法以外にも公知の手法を用いることが可能である。ベース樹脂の破断強度を高める方法としては、(1)硬い骨格を有するセグメントをベース樹脂中に導入する方法(ブロック化)、(2)ベース樹脂の分子鎖を動きにくくする方法が挙げられる。(1)の方法としては、ウレタン化やエステル化によるブロック化が挙げられ、(2)の方法としては、グラフト化や架橋剤と反応性を有する官能基の導入が挙げられる。
【0042】
前記(1)の方法におけるウレタン化については、ベース樹脂中のヒドロキシル基、アミノ基などの官能基を多官能イソシアネート化合物または多官能イソシアネート化合物と鎖延長剤により分子中にウレタン結合を導入するものであり、用いる多官能イソシアネート化合物や鎖延長剤の種類や量により破断強度を高めることができる。
【0043】
前記の多官能イソシアネート化合物としては、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が好適である。また、鎖延長剤としては、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメチロール、シクロヘキサンジオール、トリシクロデカンジメチロール、1,2−プロピレングリコール、ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物等の多価ヒドロキシ化合物や、ネオペンチルジアミン、エチレンジアミン等の多価アミン化合物等を用いることができる。
【0044】
前記(1)の方法におけるエステル化については、ベース樹脂中のカルボキシル基やヒドロキシル基をエポキシ化合物やカーボネート化合物によりエステル化するものであり、各種の化合物を用いることができる。
【0045】
前記(2)の方法におけるグラフト化については、ベース樹脂に側鎖を(またはベース樹脂を側鎖として)化学的に結合させることを指し、公知の方法を用いることが可能である。また、反応性官能基の導入については共重合を含めて各種の方法が利用可能である。
【0046】
これらの方法の中で、ポリエステルフィルムとの密着性、各種インキ、磁気塗料や接着剤との密着性、耐水密着性、耐熱性、耐ブロッキング性の点から、グラフト変性ポリエステル樹脂が特に好ましい。
【0047】
(グラフト変性ポリエステル樹脂)
グラフト変性ポリエステル樹脂は、一般には、疎水性共重合ポリエステル樹脂を有機溶剤中に溶解させた状態において、ラジカル開始剤およびラジカル重合性単量体混合物を反応せしめることにより製造することができる。グラフト化反応終了後の反応生成物は、疎水性共重合ポリエステルとラジカル重合性単量体とのグラフト重合体以外に、グラフト変性されなかった疎水性共重合ポリエステル及び疎水性共重合ポリエステルに、グラフト変性しなかったラジカル重合体をも含有している。本発明の被覆層における主たる構成成分の1つであるグラフト共重合体とは、これらすべてが含まれる。
【0048】
なお、前記の「グラフト変性」とは、幹ポリマーを主鎖とした際に、主鎖とは異なる重合体からなる枝ポリマーを側鎖に導入することを意味する。
【0049】
本発明において、被覆層には印刷層などの後加工処理が施される。そのため、被覆層と後加工処理層との接着性の点から、疎水性共重合ポリエステル樹脂にラジカル重合性単量体をグラフト重合させた反応物の酸価は600eq/10g以上であることが好ましい。より好ましくは、反応物の酸価は1200eq/10g以上である。
【0050】
疎水性共重合ポリエステル樹脂(a)とラジカル重合性単量体(b)との質量比率(a/b)は、接着性の点から40/60以上であることが好ましく、さらに好ましくは55/45以上であり、特に好ましくは60/40以上である。また、前記質量比(a/b)は、ブロッキング性の点から、95/5以下であることが好ましく、さらに好ましくは93/7以下であり、特に好ましくは90/10の範囲である。
【0051】
前記グラフト変性ポリエステル樹脂は、有機溶媒の溶液または分散液、あるいは、水系溶媒の溶液または分散液の形態になる。特に、水系溶媒の分散液つまり、水分散性樹脂の形態が、作業環境、塗布性の点で好ましい。このような水分散性樹脂を得るには、通常、有機溶媒中で、前記疎水性共重合ポリエステル樹脂に、親水性ラジカル重合性単量体を含むラジカル重合性単量体をグラフト重合し、次いで、水添加、有機溶媒留去により達成される。
【0052】
前記水分散性樹脂は、水系溶媒中で微粒子状に分散し、レーザー光散乱法により測定される平均粒子径は500nm以下であり、半透明ないし乳白色の外観を呈する。重合方法の調整により、多様な平均粒子径の水分散性樹脂が得られるが、平均粒子径は10〜500nmの範囲が好適である。また、分散安定性の点で400nm以下が好ましく、より好ましくは300nm以下である。平均粒子径が500nmを越えると被覆層表面の光沢が低下し、被覆フィルムの透明性が低下しやすくなる。一方、平均粒子径が10nm未満では、接着性や耐水密着性が低下しやすくなり好ましくない。
【0053】
前記水分散性樹脂の重合に使用する親水性ラジカル重合性単量体とは、親水基を有するか、後で親水基に変化することができる基を指す。親水基を有するラジカル重合性単量体としては、カルボキシル基、水酸基、リン酸基、亜リン酸基、スルホン酸基、アミド基、第4級アンモニウム塩基等を含むラジカル重合性単量体などが例示できる。
【0054】
一方、親水基に変化することができるラジカル重合性単量体としては、酸無水物基、グリシジル基、クロル基などの官能基を有するラジカル重合性単量体が例示できる。これらの中で、水分散性の点から、カルボキシル基を有するラジカル重合性単量体が好ましい。すなわち、カルボキシル基を有するか、カルボキシル基を発生することができる官能基を有するラジカル重合性単量体が好ましい。
【0055】
また、前記グラフト変性ポリエステル樹脂を含む変性樹脂は、傷の入りにくさの点から、破断強度の高いものが好ましい。具体的には、変性樹脂、スルホン酸塩基含有帯電防止剤、架橋剤などの他の成分を配合した樹脂組成物をフィルム化した際の破断強度が10MPa以上であることが必要である。そのためには、変性樹脂単独でフィルム化した際の破断強度が10MPa以上であることが好ましい。破断強度は各種の測定方法により求めることができる。しかしながら、破断強度が高すぎる場合には、基材フィルムの被覆層側表面近傍で劈開が起こりやすくなるため、破断強度の上限は100MPaとする。
【0056】
一方、変性を行うベース樹脂は、他の被対象物との接着性の点から、ガラス転移温度が低いことが望ましく、高温高湿環境下でのインキ密着性の面から、ベース樹脂のガラス転移温度は10〜100℃の範囲にあることが好ましい。さらに、ベース樹脂のガラス転移温度の上限値は、80℃であることが好ましい。これらの樹脂を変性し破断強度を高めることで、接着性、インキ密着性、耐擦り傷性、耐ブロッキング性のすべての特性を満足させることが可能となる。
【0057】
(ポリエステル樹脂)
グラフト変性ポリエステル樹脂において、疎水性共重合ポリエステル樹脂とは、本来それ自身で水に分散または溶解しない本質的に水不溶性である必要がある。水に分散するか、あるいは水に溶解するポリエステル樹脂を、グラフト重合の際の幹ポリマーとして使用すると、接着性や耐水密着性が悪化し好ましくない。
【0058】
疎水性共重合ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分として、芳香族ジカルボン酸が60〜99.5モル%、脂肪族ジカルボン酸および/または脂環族ジカルボン酸が0〜39.5モル%、重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸が0.5〜10モル%であることが好ましい。より好ましくは、芳香族ジカルボン酸が68〜98モル%、脂肪族ジカルボン酸および/または脂環族ジカルボン酸が0〜30モル%、重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸が2〜7モル%である。
【0059】
前記芳香族ジカルボン酸が60モル%未満である場合、あるいは前記脂肪族ジカルボン酸および/または脂環族ジカルボン酸が40モル%を越える場合には、接着強度が低下する傾向にある。また、重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸が0.5モル%未満の場合には、ポリエステル樹脂に対するラジカル重合性単量体の効率的なグラフト化が行われにくくなり、逆に10モル%を越える場合には、グラフト化反応の後期に粘度が顕著に上昇し、均一な反応の進行を妨げられるので好ましくない。
【0060】
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸等を例示することができる。なお、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の親水基含有ジカルボン酸は、耐水密着性が低下するため、使用しない方が好ましい。
【0061】
脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸等を例示することができる。また、脂環族ジカルボン酸としては、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸とその酸無水物等を例示することができる。
【0062】
重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸としては、(1)フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、などのα,β−不飽和ジカルボン酸、(2)2,5−ノルボルネンジカルボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸などの不飽和二重結合を含有する脂環族ジカルボン酸、などを例示することができる。これらの重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸のうち、重合性の点から、フマル酸、マレイン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸が好ましい。
【0063】
一方、グリコール成分としては、炭素数2〜10の脂肪族グリコール、炭素数6〜12の脂環族グリコール、エーテル基含有グリコール、などが例示できる。これらのグリコール成分は、2種以上併用してもかまわない。
【0064】
炭素数2〜10の脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール等が挙げられる。また、炭素数6〜12の脂環族グリコールとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
【0065】
エーテル基含有グリコールとしては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、さらにビスフェノール類の二つのフェノール性水酸基に、エチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドを付加して得られるグリコール類、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンなどを挙げることができる。ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールも必要により使用することができる。
【0066】
また、これらのグリコールの中でも、破断強度を高くするために好適なグリコールとして、1,2−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、シクロヘキサンジメチロール、トリシクロデカンジメチロール、シクロヘキサンジオールを含むことが好ましい。これらのグリコールは、全グリコール成分に対して、5〜80モル%共重合させることが好ましい。共重合組成比は、NMRなどにより分析可能である。前記グリコールは、全グリコール成分に対して5モル%未満では、導入の効果が小さい。一方、80モル%を越えると、重合中の溶融粘度が高くなりやすい。そのため、高分子量化が困難になり、逆に樹脂が脆くなる場合がある。
【0067】
前記疎水性共重合ポリエステル樹脂中には、0〜5モル%の3官能以上のポリカルボン酸および/またはポリオールを共重合することができる。
【0068】
3官能以上のポリカルボン酸としては、(無水)トリメリット酸、(無水)ピロメリット酸、(無水)ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)等が使用される。
【0069】
また、3官能以上のポリオールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が使用される。
【0070】
3官能以上のポリカルボン酸および/またはポリオールは、全酸成分あるいは全グリコール成分に対し0〜5モル%、好ましくは0〜3モル%の範囲で共重合される。しかしながら、5モル%を越えると重合時のゲル化が起こりやすく、好ましくない。
【0071】
また、疎水性共重合ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、接着強度の点から下限が5,000であることが好ましい。また、重合時のゲル化などの点で、上限は50,000であることが好ましい。
【0072】
(重合性不飽和単量体含有ポリマー)
重合性不飽和単量体としては、各種のものが使用できる。例えば、各種(メタ)アクリル酸エステル、ビニルエステル、ビニルエーテル、スチレンおよびスチレン誘導体、マレイン酸およびその無水物やエステル、フマル酸およびそのエステル、イタコン酸およびその無水物やエステルなどが挙げられる。
【0073】
これらの中でも、グラフト変性ポリエステル樹脂の破断強度を高める点から、(1)フマル酸、フマル酸モノエチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチルなどのフマル酸のモノエステルまたはジエステルマレイン酸とその無水物、(2)マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチルなどのマレイン酸のモノエステルまたはジエステル、(3)イタコン酸とその無水物、イタコン酸のモノエステルまたはジエステル、(4)フェニルマレイミド等のマレイミド、(5)スチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロロメチルスチレンなどのスチレン誘導体、(6)ビニルトルエン、(7)ジビニルベンゼンなどが好ましい。
【0074】
また、上記の成分に対して、各種(メタ)アクリル酸エステルも使用することができる。例えば、(1)アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基等)、(2)2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートのヒドロキシ含有アクリル単量体、(3)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミドのアミド基含有アクリル単量体、(4)N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートのアミノ基含有アクリル単量体、(5)グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートのエポキシ基含有アクリル単量体、(6)アクリル酸、メタクリル酸及びそれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩)等のカルボキシル基またはその塩を含有するアクリル単量体、などが挙げられる。
【0075】
これらの重合性不飽和単量体のなかで、マレイン酸無水物またはそのエステルは、グラフト変性ポリエステルの破断強度を高める点で好ましい。上記単量体は1種もしくは2種以上を用いて共重合させることができる。
【0076】
(重合開始剤及びその他添加剤)
グラフト重合開始剤としては、当業者には公知の有機過酸化物類や有機アゾ化合物類を用いることができる。
【0077】
有機過酸化物としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、有機アゾ化合物として、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルパレロニトリル)などを挙げられる。グラフト重合を行うための重合開始剤の使用量は、重合性単量体に対して、少なくとも0.2質量%以上、好ましくは0.5質量%以上である。
【0078】
重合開始剤の他に、枝ポリマーの鎖長を調節するための連鎖移動剤、例えばオクチルメルカプタン、メルカプトエタノール、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソールなどを必要に応じて用いることができる。この場合、重合性単量体に対して0〜5質量%の範囲で添加することが好ましい。
【0079】
(反応溶媒)
グラフト化反応溶媒は、沸点が50〜250℃の水性有機溶媒から主として構成することが好ましい。ここで、水性有機溶媒とは20℃における水に対する溶解性が少なくとも10g/L以上、好ましくは20g/L以上であるものをいう。沸点が250℃を越えるものは、余りに蒸発速度がおそく、塗膜を加熱処理しても充分に除去することができないので好ましくない。一方、沸点が50℃未満では、それを溶媒としてグラフト化反応を実施する際に、50℃未満の温度でラジカルに解裂する開始剤を用いなければならず、取扱い上の危険が増大するため好ましくない。
【0080】
前記水性有機溶媒としては、疎水性共重合ポリエステル樹脂をよく溶解でき、かつカルボキシル基含有重合性単量体を含む重合性単量体混合物およびその重合体を比較的良く溶解できる、下記の第一群の水性有機溶媒が挙げられる。
【0081】
第一群の水性有機溶媒としては、(1)酢酸エチルなどのエステル類、(2)メチルエチルケトンなどのケトン類、(3)メチルイソブチルケトン、(4)シクロヘキサノン、(5)テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3−ジオキソランなどの環状エ−テル類、(6)エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコ−ルメチルエ−テル、プロピレングリコ−ルプロピルエ−テル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコ−ルブチルエ−テルなどのグリコ−ルエ−テル類、(7)メチルカルビト−ル、エチルカルビト−ル、ブチルカルビト−ルなどのカルビトール類、(8)エチレングリコ−ルジアセテ−ト、エチレングリコールエチルエーテルアセテートなどのグリコ−ル類あるいはグリコ−ルエ−テルの低級エステル類、(9)ダイアセトンアルコールなどのケトンアルコール類、(10)ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのN−置換アミド類、などを例示することができる。
【0082】
また、前記水性有機溶媒として、共重合ポリエステル樹脂をほとんど溶解しないが、カルボキシル基含有重合性単量体を含む重合性単量体混合物およびその重合体を比較的よく溶解することができる、第二群の水性有機溶媒を用いることもできる。
【0083】
第二群の水性有機溶媒としては、水、低級アルコール類、低級カルボン酸類、低級アミン類などを挙げることができるが、これらの中でも炭素数1〜4のアルコール類およびグリコール類が特に好ましい。
【0084】
グラフト化反応を単一溶媒で行う場合は、第一群の水性有機溶媒からただ一種を選んで行うことができる。混合溶媒で行う場合は、第一群の水性有機溶媒からのみ複数種選ぶ場合、あるいは第一群の水性有機溶媒から少なくとも一種を選びそれに第二群の水性有機溶媒から少なくとも一種を加える場合がある。
【0085】
グラフト重合反応溶媒を第一群の水性有機溶媒からの単一溶媒とした場合と、第一群および第二群の水性有機溶媒のそれぞれ一種からなる混合溶媒とした場合のいずれにおいてもグラフト重合反応を行うことができる。しかし、前者の場合、グラフト化反応の進行挙動、グラフト化反応生成物およびそれから導かれる水分散体の外観、性状などに差異がみられるため、後者の第一群および第二群の水性有機溶媒におけるそれぞれ一種からなる混合溶媒を使用する方が好ましい。
【0086】
溶液中の共重合ポリエステルの粘度測定から、第一群の溶媒中では、共重合ポリエステルの分子鎖は広がりの大きい鎖が伸びた状態にあり、第一群/第二群の混合溶媒中では、広がりの小さい糸まり状に絡まった状態にあることが、確認された。
【0087】
共重合ポリエステルの溶解状態を調節し分子間架橋を起こりにくくすることがゲル化防止に有効である。効率の高いグラフト化とゲル化抑制の両立は後者の混合溶媒系において達成される。
【0088】
第1群/第2群の混合溶媒の混合比(質量比)は、95/5〜10/90の範囲が好ましく、さらに好ましくは90/10〜20/80の範囲、特に好ましくは85/15〜30/70の範囲である。最適の混合比は、使用するポリエステルの溶解性などに応じて決定される。
【0089】
(水分散化)
グラフト化反応生成物は、塩基性化合物で中和することが好ましく、中和することによって容易に水分散化することができる。塩基性化合物としては、塗膜形成時、あるいは硬化剤配合による熱硬化時に揮散する化合物が望ましく、アンモニア、有機アミン類などが好適である。
【0090】
好ましい化合物としては、トリエチルアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノ−ルアミン、アミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどを挙げられる。
【0091】
塩基性化合物は、グラフト化反応生成物中に含まれるカルボキシル基含有量に応じて、少なくとも部分中和、あるいは完全中和によって水分散体のPH値を5.0〜9.0の範囲となるように調整することが好ましい。
【0092】
沸点が100℃以下の塩基性化合物を使用した場合であれば、乾燥後の塗膜中の残留塩基性化合物も少なく、金属や無機蒸着膜の接着性や他材料と積層した時の耐水密着性や耐熱水密着性が優れる。
【0093】
また、100℃以上の塩基性化合物を使用する、あるいは乾燥条件を制御し、乾燥後の塗膜中に塩基性化合物を500ppm以上残留させることにより、印刷インクの転移性を向上させることができる。
【0094】
水系分散体では、ラジカル重合性単量体の重合物の重量平均分子量は、500〜50,000であることが好ましい。前記重量平均分子量を500未満にコントロールすることは一般に困難であり、グラフト効率が低下し、共重合ポリエステルへの親水性基の付与が十分に行なわれない傾向がある。
【0095】
また、ラジカル重合性単量体のグラフト重合物は分散粒子の水和層を形成する。そのため、十分な厚みの水和層をもたせ、安定な分散体を得るためには、ラジカル重合性単量体のグラフト重合物は、重量平均分子量が500以上であることが好ましい。また、前記重量平均分子量の上限は、溶液重合における重合性の点で、50,000が好ましい。この範囲内での分子量のコントロールは開始剤量、モノマー滴下時間、重合時間、反応溶媒、モノマー組成、あるいは必要に応じて連鎖移動剤や重合禁止剤を適宜組合せることにより制御することができる。
【0096】
上記のように変性して得られたグラフト変性ポリエステル樹脂は、分子内のカルボキシル基や低級アルコールのエステルを有するが、これらの官能基は加熱により容易に主鎖であるポリエステル樹脂とエステル交換反応を起こすため、自己架橋性を発現し、高度な耐溶剤性を発揮する。マレイン酸やイタコン酸等の分子内に複数のカルボキシル基を有する不飽和単量体やこれらのハーフエステルを側鎖に有する場合には、加熱により脱水や脱アルコール反応を起こし無水物化し、主鎖であるポリエステルとの反応により、自己架橋の効率が更に高くなり、好ましい。
【0097】
被覆層の架橋性については、様々の方法で評価できるが、例えば、疎水性共重合ポリエステル樹脂およびラジカル重合体の両方を溶解するクロロホルム溶媒での不溶分率で調べることができる。80℃以下で乾燥し、120℃で5分間熱処理して得られる塗膜の不溶分率は、接着性、耐水密着性、ブロッキング性の点から、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上である。
【0098】
(高分子系帯電防止剤)
本発明において、被覆層Cの他の構成成分として、スルホン酸塩基または燐酸塩基を分子内に少なくとも1種有する高分子系帯電防止剤を用いる。この高分子型帯電防止剤の特徴は、親水性の高いスルホン酸成分や燐酸成分を多数有する構造にある。これらの高分子系帯電防止剤は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもかまわない。
【0099】
分子内にスルホン酸塩基成分を含有する樹脂としては、ポリスチレンスルホン酸のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩などのホモポリマー、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルなどのアクリル系単量体とスチレンスルホン酸単量体との共重合物、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸と不飽和単量体の共重合体などが挙げられる。本発明において、スルホン酸塩は金属塩とアミン塩の混合物でも可能である。
【0100】
分子内に燐酸塩基を含有する樹脂としては、燐酸基を含有する不飽和単量体である各種のホスマー(ユニケミカル製)を重合または共重合した樹脂を挙げることができる。
【0101】
前記帯電防止剤の重量平均分子量は、1千〜100万の範囲であることが好ましく、より好ましくは5千〜100万である。重量平均分子量が1千未満では塗膜の光沢に優れるものの、塗膜の耐水密着性が得られにくくなる。一方、100万を超えると耐水密着性は高くなるものの、変性樹脂との均一混合が困難になり、塗膜光沢が低下しやすくなる。
【0102】
本発明の白色積層ポリエステルフィルムは、印刷時の鮮明性をさらに良好なものとするために、被覆層側から測定した色調b値を−5.0〜2.0とすることが好ましい。さらに、b値の上限値は1.5とすることが好ましく、特に好ましくは0.0である。一方、基材に青味が好まれない用途では、被覆層側から測定した色調b値は、下限値を−2.0とすることが好ましい。色調b値は黄色みの程度を表わす尺度であり、b値が大きいほど黄色みが強くなり、b値が負に大きくなるほど青味が強くなることを意味する。
【0103】
被覆層側から測定した色調b値を2.0以下とするためには、上記ポリスチレンスルホン酸塩を主成分とする高分子化合物の塩基成分として、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩を用いることが好ましい。色調b値が2.0を越えると、被覆層の見かけの白さが不足し、黄色みが目立ちやすくなる。
【0104】
さらに、本発明の白色積層ポリエステルフィルムは、製膜工程及び加工工程における帯電防止性の点から、25℃で65%RHにおける被覆層表面の表面固有抵抗値が1×10〜1×1013Ω/□であることが必要である。表面固有抵抗値が低いことで、フィルムロールを巻き出し、印刷層を設ける際に、静電気による異物の付着が防止できるため、印刷抜けなどの欠点を無くすことができる。
【0105】
25℃で65%RHにおける被覆層表面の表面固有抵抗値が1×1013Ω/□以下とするためには、前記スルホン酸塩基含有帯電防止剤の含有量を被覆層の樹脂組成物に対して5質量%以上とすることが好ましい。しかしながら、前記含有量が60質量%を超えると、基材フィルムへの密着力や膜強度、耐溶剤性の性能が不十分になる場合がある。さらに、オフセット印刷時に湿し水適性(水負け性)が悪化し、かすれ、にじみのトラブルを生じやすくなる。また、被覆層表面の表面固有抵抗値を1×10Ω/□未満にしても、実用上効果に差異が見られない。
【0106】
また、本発明の白色積層ポリエステルフィルムは、被覆層表面の水との接触角は、耐水密着性の点から60〜80度とすることが好ましい。水との接触角が60度未満では、オフセット印刷時に湿し水適性(水負け性)が悪化し、かすれやにじみのトラブルが生じる場合がある。一方、水との接触角が80度を越えるようにしても、実用上、効果に差異が見られない。
【0107】
本発明において、耐水密着性をさらに向上させるために、被覆層を構成する樹脂組成物に、さらに各種の架橋剤を併用することができる。架橋剤としては、メラミン系、エポキシ系、イソシアネート系、アミン系、アミド系、アジリジン系等を挙げられる。架橋剤の種類及び配合量は、変性樹脂とスルホン酸塩基含有帯電防止剤の混合比やそれらの官能基の種類及び含有量に応じて適宜決定すればよい。例えば、メラミン系架橋剤やイソシアネート系架橋剤を用いる場合、通常、上記樹脂成分100質量部に対し、2〜30質量部が好適である。
【0108】
なお、イソシアネート化合物を架橋剤として用いる場合に、ブロック型イソシアネート化合物を用いることも可能である。白色積層ポリエステルフィルムの製造方法として、被覆層を基材フィルム面に設けた後少なくとも一方向に延伸し、次いで熱固定処理を行う、いわゆるインラインコート法を採用する場合には、ブロック型イソシアネート化合物として、次の条件を満足するブロック剤を有するブロック型イソシアネート化合物を選定することが好ましい。
【0109】
すなわち、イソシアネート化合物の末端のブロック剤が、熱エネルギーにより脱離する脱ブロック化温度は、上限が熱固定温度以下であることが必須であり、下限は延伸温度の後期から熱固定温度までの間であることが好ましい。このようなイソシアネートのブロック剤として、重亜硫酸塩類が好ましい。
【0110】
前記水系塗布液を基材フィルム表面に塗布する際には、該フィルムへの濡れ性を上げ、塗布液を均一にコートするために、公知のアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤の少なくとも1種を必要量添加することが好ましい。
【0111】
被覆層の厚みは特に限定はないが、接着性と耐ブロッキング性の点から、本発明においては二軸延伸後の乾燥塗布厚みで0.05〜1.0μmが好ましく、より好ましくは0.07〜0.5μm、特に好ましくは0.09〜0.3μmである。
【0112】
二軸延伸後の被覆層の厚みは、例えば、白色積層ポリエステルフィルムをエポキシ樹脂により埋設させ、フィルム断面をフィルム面に対し直角にミクロトームで切断し、透過型電子顕微鏡(TEM)により写真撮影することで求めることができる。TEM観察は場所を変えて10点写真撮影し、スケールから読み取った被覆層厚みの平均値をもって、白色積層ポリエステルフィルムの被覆層厚みとする。
【0113】
また、被覆層中を形成するための塗布液中には、隠蔽性をさらに向上させるために、白色顔料を含有させてもよい。さらに、本発明の効果を阻害しない範囲で、公知の添加剤、例えば界面活性剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機潤滑剤、顔料、染料、無機粒子、耐熱性有機粒子、核剤、抗菌剤等を添加しても良い。
【0114】
[製造方法]
本発明の白色積層ポリエステルフィルムの製造方法は任意であり、特に制限されるものではないが、例えば以下のようにして製造することが出来る。
【0115】
A層及びB層に用いるフィルム原料を十分に真空乾燥した後、押出し機で溶融し、T−ダイより回転冷却金属ロールに静電気を印加しながらシート状に押出し、未延伸フィルムを得る。
【0116】
この際、白色顔料やその他添加剤は押出し機に粉末添加して混練りするのではなく、予めポリエステル樹脂中に白色顔料などをそれぞれ別々に高濃度で含有させたマスターバッチポリマーを作成し、それらをポリエステル樹脂でブレンド希釈する方法が均一混合の点から好ましい。押出し機は各種フィルム原料をさらに十分に均一混合するために、二軸押出し機を用いることが好ましい。また、静電密着性改良のためにポリエステルを重合する際に、アルカリ土類金属塩及び/またはアルカリ金属塩とリン酸またはその塩を添加しておくことが好ましい。また、リン酸またはその塩の添加は色調改善(特に、b値)できるという効果もある。
【0117】
基材を構成するA層とB層との積層は、A層と他層の樹脂を別々の押出し機に供給した後、溶融状態で積層して同一のダイから押出す共押出し法を採用することが最も好ましい。
【0118】
前記の未延伸フィルムは、さらに速度差をもったロール間での延伸(ロール延伸)やクリップに把持して拡げていくことによる延伸(テンター延伸)や空気圧によって拡げることによる延伸(インフレーション延伸)などによって2軸配向処理を行う。
【0119】
未延伸フィルムを延伸・配向処理する条件は、フィルムの物性と密接に関係する。二軸延伸方法としては、逐次二軸延伸法(縦−横、横−縦、縦縦−横、縦−横−縦など)および同時二軸延伸法(リニアモーター駆動による方法)が良く知られているが、以下では、最も一般的な逐次二軸延伸法、特に未延伸シートを長手方向次いで幅方向に延伸する方法を例にとり、延伸・配向条件を説明する。
【0120】
まず、第一段の縦延伸工程では、周速が異なる2本あるいは多数本のロール間で、ポリエステルの(ガラス転移温度(Tg)−10℃)以上昇温結晶化温度(Tc1)未満の温度で2.5〜5倍に延伸する。このときの加熱手段としては、加熱ロールを用いる方法でも非接触の加熱方法を用いる方法でもよく、それらを併用してもよい。
【0121】
次いで、縦一軸延伸フィルムの端部をクリップで把持しながらテンターに導き、予熱後、幅方向にポリエステルのガラス転移温度(Tg)以上昇温結晶化温度(Tc1)未満の温度で2.5〜5倍に延伸する。
【0122】
このようにして得られた二軸延伸フィルムに対し、寸法安定性を向上させるために、熱処理を施す。熱処理はテンター中で行うのが好ましく、ポリエステルの融点Tm−50℃〜Tmの範囲で行うことが好ましい。さらに、用途に応じて、さらに寸法安定性を改善するために、幅方向及び/または長手方向に1〜10%の弛緩処理を行っても良い。弛緩処理する際の温度は、本発明のフィルムを使用する用途で、後加工処理する際の熱処理温度に応じて適宜設定する。
【0123】
被覆層を設ける段階としては、フィルムの延伸前に塗布する方法、縦延伸後に塗布する方法、二軸配向処理の終了したフィルム表面に塗布する方法などのいずれの方法も可能である。これらの中でも、基材ポリエステルフィルムの結晶配向が完了する前に塗布し、その後、少なくとも1方向に延伸した後、ポリエステルフィルムの結晶配向を完了させる、インラインコート法が本発明の効果をより顕著に発現させることができるので好ましい方法である。被覆層は用途に応じてフィルムの片面だけに設けても良いし、両面に設けても良い。
【0124】
前記の変性樹脂と高分子系帯電防止剤とは、親水性の差が大きく層分離し易いため、特別な塗布条件を採用することが好ましい。塗布液は塗布直前に1000(1/秒)以上のせん断速度をかけた直後から2秒以内に基材フィルムに塗布し、塗布後2秒以内に70℃以下、風速10〜20m/秒で1〜3秒間の予備乾燥を行った後、90℃以上で乾燥する。これにより変性樹脂と高分子系帯電防止剤およびその他の成分が均一に分散し、良好な表面抵抗値が得られる。
【0125】
塗布、乾燥後の熱処理条件は特に規制は無いが、グラフト共重合体のもつ自己架橋性を発現するためには、熱劣化が起こらない範囲内で、熱量を多くする条件が好ましい。具体的には90℃〜250℃、さらに好ましくは150℃〜220℃である。ただし、乾燥時間を長くすることにより、比較的低い温度でも、十分な自己架橋性を発現するため、上記の条件に必ずしも限る必要はない。しかしながら、乾燥時間を長くするためには、フィルム送り速度を遅くするか、あるいは乾燥ゾーンの長さを長くする必要がある。前者は生産性が劣り、後者は設備的な制約もあり、工業的に実施するためには好適な方法とはいえない。
【0126】
被覆層を設ける方法としては、グラビアコート方式、キスコート方式、ディップ方式、スプレイコート方式、カーテンコート方式、エアナイフコート方式、ブレードコート方式、リバースロールコート方式など通常用いられている方法が適用できる。
【0127】
さらに、得られた白色積層ポリエステルフィルム上の所定の面に、磁気記録層を設け、印刷や打ち抜き等の工程を経て、磁気カードを作成する。また、ICチップ及びアンテナを接着剤に包埋させ、所定のサイズに打抜いた2枚以上の印刷インキ層等を設けた前記白色積層ポリエステルフィルムで挟み込んでICカードを作成する。
【0128】
上記の磁気カードやICカードなどのカード作成工程で、フィルムは擦られたりすることで傷が入りやすい状況にある。フィルムの被覆層に傷がつくと、インキの高速転写時や接着剤の高速塗工時における気泡の巻き込み等によるインキや接着剤と白色ポリエステルフィルムとの界面での微小な空隙が発生し、これにより印刷物としての特性や品位の低下が起こる。しかしながら、変性樹脂等からなる被覆層の破断強度を大きくして表面に傷が入りにくくすることにより、上記の問題を解消することができる。また、溶剤浸漬後や湿熱雰囲気処理後のインキや接着剤の耐久性等も改善される。
【0129】
前記の傷とは、顕微鏡により観察される長軸方向の長さが500μm以上で、幅が10μm以上のものをいう。長軸方向の長さが500μm以上の傷が、1cmあたりに10本を越える場合には、インキや接着剤の剥離の原因となる場合がある。顕微鏡により観察される長軸方向の長さが500μm以上で、幅が10μm以上の傷は1cmあたりに10本以下であることが好ましく、さらに好ましくは前記の長軸方向における長さ300μm以下の傷が1cmあたり10個以下、特に好ましくは長軸方向における長さ200μm以下の傷が1cmあたり10本以下である。
【0130】
前記接着剤としては、エポキシ系接着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリエステル系ホットメルト接着剤、オレフィン系ホットメルト接着剤等が挙げられる。接着剤層の厚みは、10〜500μmの範囲が好ましいが、本発明の白色積層ポリエステルフィルムの厚みを勘案して適宜調整することが好ましい。
【0131】
ホットメルト系接着剤を用いる場合には、ラミネート温度を200℃以下とすることが好ましい。ラミネート温度が200℃以上では、白色積層ポリエステルフィルムに収縮によるシワや歪が起こりやすい。さらに、貼り合わせた状態でカールなども起こりやすくなる。そのため、射出成型法などの方法を用いて、1分以下の短時間で成型することが好ましい。
【0132】
本発明の白色積層ポリエステルフィルムの被覆層表面に印刷層を設ける場合、被覆層表面に塗布される印刷インキは特に限定されないが、紫外線硬化型インキ、酸化重合型インキ、一般乾燥型インキ等を使用することができる。例えば、紫外線硬化型インキの場合、樹脂成分としてポリエステル、ウレタン、アクリル樹脂およびそれらの変性物、架橋成分としてエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリオールとアクリル酸とのエステル化物等の不飽和結合を複数有する化合物、及び顔料成分としてカーボンブラック、水酸化アルミニウムあるいはアルミニウム粉を主たる構成成分とし、これらにジエチルアミノベンソフェノン等の重合開始剤が添加されたものを挙げることができる。これらの印刷層を設ける方法は特に限定されず、活版、平版、凸版、スクリーン、平台、輪転、転写等の方法で行うことができる。
【0133】
印刷インキの具体例として、ベストキュア161、VP、VNL、STP(T&K TOKA製)、FD−O、FD−O−G、FD−O−ニューKR2(東洋インキ製)などのオフセットインキなどのほか、一般に知られているものであれば使用可能である。さらに、印刷層の耐久性の面で、OPニスの使用が望ましい。望ましいOPニスとしては、ビデオOPニスY(T&K TOKA製)等が使用可能である。
【0134】
また、本発明の白色積層ポリエステルフィルムの被覆層表面に磁気記録層を設け、磁気カードを作成する場合、磁気記録層の構成成分は特に限定されないが、例えば、以下のものが磁気記録層の構成成分として挙げられる。すなわち、磁性粉としては、γ−Fe、CrO、Co−γ−Fe、メタル粉を、又、バインダーとしては酢酸ビニル、PVC等のビニル樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体などのゴム系樹脂、アセチルセルロース、ニトロセルロース等の繊維素、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、単量体のイソシアネート、変性イソシアネートウレタンプレポリマ、ブロックイソシアネート等の形態で用いられるポリウレタン系樹脂、及び必要に応じて添加される分散剤、滑剤、カーボン等の帯電防止剤、安定剤、可塑剤を調合したものを挙げることができる。これらの磁気記録層を設ける方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
【0135】
【実施例】
次に、本発明を実施例および比較例を用いて説明するが、本発明は実施例に記載された方法に限定はされない。まず、本発明の白色積層ポリエステルフィルムの特性の評価方法を以下に示す。
【0136】
(1)平均粒子径
白色積層ポリエステルフィルムに設けられた被覆層を、有機溶剤を含浸させたベンコットンまたはガーゼでこすり落とす。試料を真空乾燥機にて終夜乾燥させて有機溶剤を除去した。乾燥後の試料にイオンプラズマエッチング処理を行い、基材のA層中に含有されている白色顔料及び無機粒子を露出させた。次いで、走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、粒子の大きさにあわせて適宜倍率を変え写真撮影を行った。少なくとも100点以上の粒子の円相当径を画像処理装置にて求め、粒子の個数で除して個数基準の平均粒子径(μm)を求めた。写真撮影された粒子のコントラストが弱い場合には、OHPフィルムに粒子の輪郭を極細マジックペンでトレースし、該トレース像を画像処理装置にて粒子の円相当径を求めても良い。
【0137】
また、ポリエステルに粒子を添加する前の紛体状態の粒子は、SEM試料台に両面テープを張り、その上に紛体を薄くのせ、カーボン蒸着後、走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、粒子の大きさにあわせて適宜倍率を変え写真撮影を行った。少なくとも100点以上の粒子の円相当径を画像処理装置にて求め、粒子の個数で除して個数基準の平均粒子径(μm)を求めた。
【0138】
(2)ポリエステル樹脂の固有粘度
フェノール60質量%と1,1,2,2−テトラクロロエタン40質量%の混合溶媒にポリエステル原料を溶解し、固形分をガラスフィルターで濾過した後、30℃にて測定した。
【0139】
(3)被覆層樹脂の組成分析
試料を重水素化クロロホルム/トリフルオロ酢酸=90/10(容積比)の混合溶媒に溶解し、NMR分光器(バリアン社製、Unity−500)を用いて行った。
【0140】
(4)ガラス転移温度及び融点
示差走査型熱量計(島津製作所(株)社製、DSC−50)、試料10mgをアルミ製のパンに充填し、窒素雰囲気下20℃/分の昇温速度で290℃まで昇温し、同温度で3分間保持した後、アルミパンを液体窒素中に投じ急冷した。急冷したアルミパンを再度示差走査型熱量計にセットし、20℃/分の昇温速度で昇温した時のチャートより、ガラス転移温度及び融点(吸熱ピークのピーク温度)を求めた。
【0141】
(5)破断強度
各実施例および比較例の被覆層に対応する樹脂組成物または樹脂を二軸延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡績(株)製、P2161、厚み50μm)上に、乾燥後の塗膜の膜厚が80μmになるように塗布し、120℃、2時間乾燥させた。次いで、前記塗膜を二軸延伸ポリプロピレンフィルムから剥離し、フィルムサンプルとした。このサンプルを幅1cmに片刃カミソリで切り出し、試料原長4cm、クロスヘッドスピード100mm/minで引っ張り試験機により評価した。
【0142】
(6)フィルムの見かけ密度
フィルムを5.00cm角の正方形に4枚切り出して試料とした。これを4枚重ねにして、その厚みをマイクロメーターにより場所を変え任意の10箇所を有効数字4桁で測定し、重ね厚みの平均値を求めた。この平均値を4で除して有効数字3桁に丸め、一枚あたりの平均厚み(t:μm)とした。同試料4枚の質量(w:g)を有効数字4桁で自動上皿天秤を用いて測定し、次式より見かけ密度を求めた。なお、見かけ密度は有効数字3桁に丸めた。
見かけ密度(g/cm)=(w×10)/(5.00×5.00×t)
【0143】
(7)色調b値
色差計(日本電色工業社製、Z−1001DP)を用いて、被覆フィルムの被覆層側から測定した際の色調b値を用いた。
【0144】
(8)接触角
サンプルを23℃、65%RHの雰囲気下で24時間放置後、その雰囲気下で接触角計(協和界面科学社製、CA−X)を用い、同様の条件下に保管しておいた蒸留水を用いて、サンプルの被覆層表面と水との接触角を測定した。測定は10点行い、それらの平均値を接触角のデータとした。
【0145】
(9)酸化重合型インキとの密着性
酸化重合型インキ(十条化工株式会社製、黒)を希釈溶剤(十条加工株式会社製、テトロン)をインキ:希釈溶剤=4:1(体積比)で希釈し、フィルム表面(被覆層が設けられている場合は、被覆層表面)にテトロン・スクリーン(#250メッシュ)によって印刷した後、24時間放置した。
【0146】
次いで、印刷面上にカッターナイフにより2mm角で100マスのクロスカット面を入れ、その上に粘着テープ(ニチバン株式会社製、セロテープCT−24)を気泡が入らないように貼り付け、さらにその上をこすって十分に密着させる。その後、上記インキ面の粘着テープが密着されていない前後の両端部を手で押さえ、90°方向にクロスカット面を急速に剥離した。
【0147】
剥離後のインキ面を観察し、100個のマス目におけるインキ残留率(マス目の一部分でも剥がれたものも剥がれた個数として扱う)を以下の4段階の基準で接着性を評価し、◎及び○を合格とした。
◎:残留率100%(全く剥離しない)
○:残留率90%以上100%未満(実用上問題なく使用できる)
△:残留率70%以上90%未満(接着性が若干弱く、実用上問題が発生する可能性有り)
×:残留率70%未満(接着性に問題有り)
【0148】
(10)紫外線(UV)硬化型インキとの密着性
UV硬化型インキ(株式会社セイコーアドバンス製、UVA710 ブラック)をフィルム表面(被覆層が設けられている場合は、被覆層表面)にテトロン・スクリーン(#300メッシュ)によって印刷した後に、500mJ/cmでUV露光した。
【0149】
硬化したインキ層に対し、カッターナイフにより2mm角で100マスのクロスカット面を入れ、その上に粘着テープ(ニチバン株式会社製、セロテープCT−24)を気泡が入らないように貼りつけ、さらにその上をこすって気泡が残らないように十分に密着させる。その後、上記インキ面の粘着テープが密着されていない前後の両端部を手で押さえ、90°方向に急速に剥離した。
【0150】
剥離後のインキ面を観察し、100個のマス目におけるインキ残留率(マス目の一部分でも剥がれたものも剥がれた個数として扱う)を以下の4段階の基準で接着性を評価し、◎及び○を合格とした。
◎:残留率100%(全く剥離しない)
○:残留率90%以上100%未満(実用上問題なく使用できる)
△:残留率70%以上90%未満(接着性が若干弱く、実用上問題が発生する可能性有り)
×:残留率70%未満(接着性不良)
【0151】
(11)耐水密着性
UV硬化型インキ(株式会社セイコーアドバンス製、UVA710 ブラック)をフィルム表面(被覆層が設けられている場合は、被覆層表面)にテトロン・スクリーン(#300メッシュ)によって印刷した後に、500mJ/cmでUV露光した。
【0152】
上記フィルムを100℃の沸騰水中で2時間煮沸処理し、水分をふき取ってからオーブンで40℃、30分間乾燥させた。
【0153】
硬化したインキ層に対し、カッターナイフにより2mm角で100マスのクロスカット面を入れ、その上に粘着テープ(ニチバン株式会社製、セロテープCT−24)を気泡が入らないように貼りつけ、さらにその上をこすって気泡が残らないように十分に密着させる。その後、上記インキ面の粘着テープが密着されていない前後の両端部を手で押さえ、90°方向に急速に剥離した。
【0154】
剥離後のインキ面を観察し、100個のマス目におけるインキ残留率(マス目の一部分でも剥がれたものも剥がれた個数として扱う)を以下の4段階の基準で接着性を評価し、◎及び○を合格とした。
◎:残留率100%(全く剥離しない)
○:残留率90%以上100%未満(実用上問題なく使用できる)
△:残留率70%以上90%未満(接着性が若干弱く、実用上問題が発生する可能性有り)
×:残留率70%未満(接着性不良)
【0155】
(12)表面固有抵抗値
フィルムを23℃、65%RHの雰囲気下で24時間放置後、その雰囲気下で表面抵抗値測定装置(三菱油化株式会社製、ハイレスタ−IP)を用い、印加電圧500Vにてフィルム表面(被覆層が設けられている場合は、被覆層表面)の表面固有抵抗値(Ω/□)を測定した。表面固有抵抗値が1×1012Ω/□未満の場合を良好とした。
【0156】
(13)滑り性
JIS−K7125に準拠し、フィルムの被覆層表面の動摩擦係数μdを測定した。なお、被覆層を有しない場合は基材表面に対し測定を行った。μdが0.1〜0.5の範囲のものを○(合格)とし、0.5を越えるものを×とした。
【0157】
(14)印刷適性
通常のスクリーン印刷で絵柄を印刷し、仕上がり性を3段階で目視評価し、○を合格とした。
○:印刷性良好
△:わずかに印刷抜け有り
×:印刷抜け多い
【0158】
実施例1
[フィルム原料]
フィルム原料として、常法により得られた、白色顔料及び無機粒子を含有しない固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂(c)49.9質量%に平均粒子径0.3μmのアナターゼ型二酸化チタン粒子(富士チタン株式会社製、TA−300)50.0質量%、蛍光増白剤(イーストマン・ケミカル社製、OB1)0.1質量%を混合したものをベント式二軸押し出し機に供給して予備混練りした。次いで、この溶融樹脂を連続的にベント式単軸混練り機に供給、混練りして押出し、得られたストランドを冷却、切断して二酸化チタン含有マスターペレット(a)を製造した。
【0159】
次に、常法の重合時添加法により添加した平均粒子径1.8μmのシリカ粒子0.7wt%を含有した固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂ペレット(b)を製造した。
【0160】
白色顔料及び無機粒子を含有しない固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂(c)75質量%、及び上記の二酸化チタン粒子(白色顔料)含有マスターペレット(a)25質量%をペレット混合し、140℃で8時間の真空乾燥を行い、フィルム原料(I)とした。また、二酸化チタン含有マスターペレット(a)30質量%、及びシリカ粒子(無機粒子)含有ペレット(b)70質量%をペレット混合し、140℃で8時間の真空乾燥を行い、フィルム原料(II)とした。
【0161】
[水系塗布剤の調整]
(共重合ポリエステルの調製)
撹拌機、温度計、および質量部分還流式冷却器を具備したステンレススチール製オートクレーブに、テレフタル酸を747質量部、イソフタル酸を664質量部、セバシン酸を202質量部,フマル酸を58質量部,エチレングリコールを744質量部、ネオペンチルグリコールを720質量部仕込み、160℃から220℃まで昇温しながら、3時間かけてエステル化反応を行った。次いで、テトラ−N−ブチルチタネートを0.7質量部加え、200℃から220℃まで1時間かけて昇温し、エステル化反応を行った。次いで、255℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧した後、0.22mmHgの減圧下で1時間30分反応させ、共重合ポリエステルを得た。得られた共重合ポリエステルは淡黄色透明で、ガラス転移温度が40℃、重量平均分子量が20,000であった。
【0162】
(グラフト変性ポリエステル樹脂)
撹拌機、温度計、還流装置と定量滴下装置を備えた反応器に、上記共重合ポリエステル樹脂を75質量部、メチルエチルケトンを56質量部、及びイソプロピルアルコールを19質量部入れ、65℃で加熱下撹拌し、樹脂を溶解した。樹脂が完全に溶解した後、無水マレイン酸15質量部をポリエステル溶液に添加した。次いで、スチレン10質量部、およびアゾビスジメチルバレロニトリル1.5質量部を12質量部のメチルエチルケトンに溶解した溶液を0.1ml/分でポリエステル溶液中に滴下し、さらに2時間撹拌を続けた。反応溶液から分析用のサンプリングを行った後、メタノール5質量部を添加した。次いで、イオン交換水300質量部とトリエチルアミン15質量部を反応溶液に加え、1時間撹拌した。その後、反応器の内温を100℃に上げ、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、過剰のトリエチルアミンを蒸留により留去し、水分散グラフト変性ポリエステル樹脂を得た。該水分散グラフト変性ポリエステル樹脂は淡黄色透明で、ガラス転移温度が40℃、破断強度が30MPaであった。
【0163】
(塗布液)
上記で得られたグラフト変性ポリエステル樹脂及びポリスチレンスルホン酸アンモニウム塩(日本NSC株式会社製、分子量70,000)を固形分質量比で70/30で混合し、全樹脂固形濃度が5質量%、溶媒が水/イソプロピルアルコール=60/40質量比となるよう調整し水系塗布液とした。なお、この被覆層用塗布液の樹脂組成物を、前記の「(5)破断強度」に記載の方法で作成したフィルムの破断強度は30MPaであった。
【0164】
[積層フィルムの製造]
前記フィルム原料をそれぞれ別の押出し機に供給し、フィードブロックを用いて原料(I)からなる層(B層)と原料(II)からなる層(A層)をA層/B層/A層の順に溶融状態で積層した。この溶融樹脂を25℃に調温した回転冷却金属ロール上にTダイより共押出した。各層の厚み比が10対80対10になるように各押出機の吐出量を調整し、厚み920μmの未延伸フィルムを作成した。
【0165】
得られた未延伸フィルムを、加熱ロールを用いて66℃に均一加熱し、周速が異なる二対のニップロール(低速ロール:2m/分、高速ロール:6.2m/分)間で3.1倍に延伸した。このとき、フィルムの補助加熱装置として、ニップロール中間部に金反射膜を備えた赤外線加熱ヒータ(定格出力:74W/cm)をフィルムの両面に対向してフィルム面から1cmの位置に設置し、定格の30%で加熱した。このようにして得られた一軸延伸フィルムの両面にコロナ放電処理を施し、その両方の処理面に上記に示す水系塗剤をリバース、コート法で塗布した。
【0166】
なお、塗布液をフィルム両面に塗工する際には、次のような方法で行った。ロールギャップ間で1000(1/秒)以上のせん断速度をかけ、2秒以内に基材に塗布後、温度65℃、風速15m/秒の雰囲気下で2秒間乾燥後、温度130℃、風速20m/秒の雰囲気下で3秒間乾燥して水分を除去した。
【0167】
その後、連続的にフィルム端部をクリップで把持しながらテンターに導き、120℃に加熱して3.7倍に横延伸し、幅方向を固定して230℃で5秒間の熱処理を施し、さらに200℃で幅方向に4%緩和させることにより、両面に0.20g/mの被覆層を有する厚さ100μmの白色積層ポリエステルフィルムを得た。なお、基材のA層中における粒子の平均粒径は、白色顔料である酸化チタン粒子が0.32μmであり、無機粒子であるシリカ粒子が1.9μmであった。
【0168】
実施例2
実施例1において、塗布液のポリスチレンスルホン酸アンモニウム塩(日本NSC株式会社製、分子量70,000)をポリスチレンスルホン酸リチウム塩(日本NSC株式会社製、分子量10,000)、に変更した以外は実施例1と同様にして、両面に0.20g/mの被覆層を有する厚さ100μmの白色積層ポリエステルフィルムを得た。なお、被覆層用塗布液の樹脂組成物を、前記の「(5)破断強度」に記載の方法で作成したフィルムの破断強度は30MPaであった。
【0169】
実施例3
実施例1において、塗布直後の乾燥条件を温度90℃、風速15m/秒、2秒間にしたこと以外は実施例1と同様の方法にして、両面に0.20g/mの被覆層を有する厚さ100μmの白色積層ポリエステルフィルムを得た。なお、被覆層用塗布液の樹脂組成物を、前記の「(5)破断強度」に記載の方法で作成したフィルムの破断強度は30MPaであった。
【0170】
比較例1
実施例1において、フィルム原料(I)として、ポリエチレンテレフタレート樹脂(c)と二酸化チタン含有マスターペレット(a)の混合比を70質量%と30質量%に変更し、かつフィルム原料(II)として、白色顔料及び無機粒子を含有しないポリエチレンテレフタレート樹脂(c)70質量%と二酸化チタン含有マスターペレット(a)30質量%をペレット混合したものに変更した以外は実施例1と同様にし、両面に0.20g/mの被覆層を有する厚さ100μmの白色積層ポリエステルフィルムを得た。なお、基材のA層中における粒子の平均粒径は、白色顔料である二酸化チタン粒子が0.32μmであり、無機粒子であるシリカ粒子が1.9μmであった。また、被覆層用塗布液の樹脂組成物を、前記の「(5)破断強度」に記載の方法で作成したフィルムの破断強度は30MPaであった。
【0171】
本比較例1で得られた白色積層ポリエステルフィルムは、基材のA層中に粒子として白色顔料しか含有されておらず、本発明の請求項1で規定した「白色顔料及び無機粒子を含有するポリエステル樹脂層(A層)」および「前記A層における無機粒子は平均粒子径が5.0μm以下で、かつ白色顔料の平均粒子径よりも大きく」を満足しない例である。
【0172】
比較例2
実施例1において、被覆層を設けなかった以外は実施例1と同様にして厚さ100μmの白色積層ポリエステルフィルムを得た。本比較例2で得られた白色積層ポリエステルフィルムは、本発明の請求項1で規定した「該基材の少なくとも片面に設けられた被覆層(C層)」を満足しない例である。
【0173】
比較例3
実施例1において、上記グラフト変性ポリエステル樹脂の代わりに、共重合ポリエステル樹脂(東洋紡績株式会社製、バイロナールMD−1200)を使用したこと以外は実施例1と同様の方法にして、両面に0.20g/mの被覆層を有する厚さ100μmの白色積層ポリエステルフィルムを得た。なお、被覆層用塗布液の樹脂組成物を、前記の「(5)破断強度」に記載の方法で作成したフィルムの破断強度は5MPaであった。
【0174】
本比較例3で得られた白色積層ポリエステルフィルムは、被覆層(C層)を構成する樹脂として変成樹脂を用いておらず、本発明の請求項1で規定した「前記C層は…、変性樹脂…を含有し、破断強度が10〜100MPaであり、」を満足しない例である。
【0175】
比較例4
実施例1において、フィルム原料(II)として、真空乾燥を施した、無機粒子を含まない固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂70質量%と、常法の重合時添加法により添加した平均粒子径が7μmのシリカ粒子(富士シリシア社製、サイリシア)を0.1質量%含有する固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂30質量%をペレット混合したものを用いる以外は実施例1と同様にして、両面に0.20g/mの被覆層を有する厚さ100μmの白色積層ポリエステルフィルムを得た。なお、被覆層用塗布液の樹脂組成物を、前記の「(5)破断強度」に記載の方法で作成したフィルムの破断強度は30MPaであった。
【0176】
本比較例4で得られた白色積層ポリエステルフィルムは、基材のA層中に含有するシリカ粒子の平均粒子径が7μmであり、本発明の請求項1で規定した「前記A層における無機粒子は平均粒子径が5.0μm以下で、」を満足しない例である。
【0177】
実施例4
実施例1で得られた白色積層ポリエステルフィルムの表面に傷がないことを顕微鏡で確認した後、片面にUV硬化型インキ(株式会社セイコーアドバンス製、UVA710 ブラック)をフィルム表面(被覆層が設けられている場合は、被覆層表面)にテトロン・スクリーン(#300メッシュ)によって印刷した後に、500mJ/cmでUV露光した。これをJIS−X6311記載の大きさ及び形状に切り出しカード状サンプルとした。このサンプルをJIS−X6311記載の方法に従い、酢酸水溶液に25℃で24時間浸漬した後、サンプルを取り出して、25℃で1時間放置した。放置後、印刷面を爪でこすり、剥離の有無を確認したが印刷層の剥離は観察されず、良好なカードが得られた。
【0178】
比較例5
比較例3で得られた、被覆層を設けていない白色積層ポリエステルフィルムを用いて、実施例4と同様の操作によりカード状サンプルを作製した。このサンプルをJIS−X6311記載の方法に従い、酢酸水溶液に25℃で24時間浸漬した後、サンプルを取り出して、25℃で1時間放置した。放置後、印刷面を爪で擦ったところ、印刷層が剥離し、カードとしては不適であった。
【0179】
比較例6
実施例1で得られた白色積層ポリエステルフィルムに対し、UVインキ印刷前の状態で金属ブラシによりあらかじめ500μm以上の長さの傷を10個以上いれたものを用い、実施例1と同様の方法によりカード状サンプルを得た。この場合には爪での擦りにより傷をつけた付近からインキ層の剥離が観察され、カードとしては不適であった。
【0180】
上記の実施例及び比較例で得られた白色積層ポリエステルフィルムについて、物性を測定した結果を表1に示す。
【0181】
【表1】
Figure 2004223714
【0182】
【発明の効果】
本発明の白色積層ポリエステルフィルムは、白色顔料と該白色顔料よりも平均粒子径が大きい無機粒子を表面層に含有する積層フィルム基材に、変成樹脂と高分子系帯電防止剤からなる被覆層を設けているため、白色性、滑り性、インキ密着性、耐水密着性、帯電防止性、耐擦り傷性に優れている。また、フィルム製造時に屑となったフィルム片をフィルム原料として再利用することもできるため、コスト低減の点からも工業的価値は大きい。そのため、本発明の高品位な印刷性を有する白色積層ポリエステルフィルムは、各種の情報記録材料や印刷材料、特にICカード用基材として特に好適である。

Claims (7)

  1. ポリエステル樹脂層(B層)の少なくとも片面に、白色顔料及び無機粒子を含有するポリエステル樹脂層(A層)が積層された白色二軸延伸ポリエステルフィルムからなる基材と、該基材の少なくとも片面に設けられた被覆層(C層)からなる白色積層ポリエステルフィルムであって、前記A層における無機粒子は平均粒子径が5.0μm以下で、かつ白色顔料の平均粒子径よりも大きく、さらに前記C層は前記A層の直上に設けられ、変性樹脂、及びスルホン酸塩基または燐酸塩基を少なくとも1種有する高分子系帯電防止剤を含有し、破断強度が10〜100MPaであり、かつ25℃で65%RHにおける表面固有抵抗値が1×10〜1×1013Ω/□であることを特徴とする白色積層ポリエステルフィルム。
  2. 前記変性樹脂が10〜100℃のガラス転移温度を有することを特徴とする請求項1記載の白色積層ポリエステルフィルム。
  3. 前記変性樹脂が変性ポリエステル樹脂、変性アクリル樹脂、変性ポリウレタン樹脂の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2記載の白色積層ポリエステルフィルム。
  4. 前記変性樹脂がグラフト変性樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の白色積層ポリエステルフィルム。
  5. 前記グラフト変性樹脂が、疎水性ポリエステル系樹脂に二重結合を有する酸無水物を含有するモノマーを少なくとも1種含有する重合性不飽和単量体がグラフトされた自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体であることを特徴とする請求項4記載の白色積層ポリエステルフィルム。
  6. 前記C層側から測定した色調b値が−5.0〜2.0であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の白色積層ポリエステルフィルム。
  7. ICカード用基材として用いることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の白色積層ポリエステルフィルム。
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