JP2004223471A - 液体塗布方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】格別な液溜まりの除去手段を用いることなく、ノズルへの液体の付着を防止でき、塗布精度に優れたる液体塗布方法を提供する。
【解決手段】対象物Wから離れた位置で、吐出ノズル2の先端に所定量の液体Lを吐出して液溜まりを形成し、この吐出ノズル2を対象物Wに向かって降下させ、吐出ノズル2から吐出された液体Lが対象物Wに付着し、かつ液体Lと吐出ノズル2の外周面との接触角θが90°以上となる位置Zで吐出ノズル2を停止させる。その後、吐出ノズル2を引き上げることで、液体Lは吐出ノズル2から滑り落ち、ノズル2の周囲に液体Lを残留させずに液体Lを対象物Wに塗布できる。
【選択図】 図3
【解決手段】対象物Wから離れた位置で、吐出ノズル2の先端に所定量の液体Lを吐出して液溜まりを形成し、この吐出ノズル2を対象物Wに向かって降下させ、吐出ノズル2から吐出された液体Lが対象物Wに付着し、かつ液体Lと吐出ノズル2の外周面との接触角θが90°以上となる位置Zで吐出ノズル2を停止させる。その後、吐出ノズル2を引き上げることで、液体Lは吐出ノズル2から滑り落ち、ノズル2の周囲に液体Lを残留させずに液体Lを対象物Wに塗布できる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は樹脂、接着剤、シリコーンオイルなどの粘性のある液体(またはペースト)を対象物に対して微少量ずつ塗布するのに適した液体塗布方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開平5−329422公報
【特許文献2】特開平6−254464公報
従来、電子部品などの表面に、液状樹脂や接着剤などの液体を所定量正確に塗布する装置として、ディスペンサーと呼ばれる液体塗布装置が知られている。
一般に、ディスペンサは、液体容器の下端部に吐出ノズルを備え、液体容器内に溜められた液体を押し出すことにより、吐出ノズルから定量ずつ対象物の表面に液体を塗布するものである。ところが、液体塗布装置の課題は、連続塗布を行った場合に、ノズルの外周部に液溜まりが残留、増加し、塗布精度を悪化させることである。そのため、定期的にノズルから液溜まりを除去するためのメンテナンスが必要であり、作業効率を低下させるという欠点があった。
【0003】
このような課題を解消するため、特許文献1,2に記載のような液体塗布装置が提案されている。
特許文献1は自動接着剤塗布装置に関するものであり、ノズルの下方に、回転する一対のローラを配置し、先端に接着剤が付着したノズルを下方へ駆動し、ノズルの先端をローラの隙間に挿入した後、ノズルを引き抜くことにより、ノズルに付着した接着剤を拭き取るものである。
特許文献2の液体塗布装置は、ニードルおよびパイプからなるノズル部の外周にノズル受けを取り付け、ノズル受けから斜め方向のエアー通路を介してニードルとパイプとの間にエアーを供給し、パイプの内周面とニードルの外周面との隙間から下方に向かってエアーを吹き出すことにより、ノズル部の先端に残留した液体を吹き飛ばすようにしたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特許文献1の塗布装置では、回転する一対のローラによって接着剤を拭き取るため、拭き取りむらが発生することがある。また、塗布作業の途中でローラの間にノズルを挿入する動作を追加する必要があるため、作業効率はさほど向上しない。
また、特許文献2の塗布装置では、吐出ノズルの先端に付着している液溜まりを一定方向からのエアーによって吹き飛ばすため、引きちぎれた液体の一部が吐出ノズルの先端に残り、液溜まりを完全に除去できない。そのため、塗布精度の悪化を防止できないだけでなく、液溜まりをエアーで吹き飛ばすため、液体が周囲に飛散し、対象物などに付着するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、格別な液溜まりの除去手段を用いることなく、ノズルへの液体の付着を防止でき、塗布精度に優れたる液体塗布方法および装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、吐出ノズルから吐出された液体を対象物に塗布する液体塗布方法であって、吐出ノズルの外周面の単位面積当たりの表面自由エネルギーEが液体の表面張力γより大きいものにおいて、上記対象物から離れた位置で、吐出ノズルの先端に所定量の液体を吐出して液溜まりを形成する工程と、先端に液溜まりを形成した上記吐出ノズルを対象物に向かって降下させ、吐出ノズルから吐出された液体が対象物に付着し、かつ液体と吐出ノズルの外周面との接触角θが90°以上となる位置で上記吐出ノズルを停止させる工程と、上記吐出ノズルを引き上げることで、液体を対象物に塗布する工程と、を備えたことを特徴とする液体塗布方法を提供する。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、吐出ノズルから吐出された液体を対象物に塗布する液体塗布方法であって、吐出ノズルの外周面の単位面積当たりの表面自由エネルギーEが液体の表面張力γより大きいものにおいて、上記吐出ノズルを対象物に対して所定距離だけ離れた位置で停止させる工程であって、上記吐出ノズルから所定量の液体を吐出した場合に、吐出された液体が対象物に付着し、かつ液体と吐出ノズルの外周面との接触角θが90°以上となる位置で停止させる工程と、上記所定量だけ吐出ノズルから液体を吐出する工程と、上記吐出ノズルを引き上げることで、液体を対象物に塗布する工程と、を備えたことを特徴とする液体塗布方法を提供する。
【0008】
さらに、請求項3に記載の発明は、吐出ノズルから吐出された液体を対象物に塗布する液体塗布装置であって、吐出ノズルの外周面の単位面積当たりの表面自由エネルギーEが液体の表面張力γより大きいものにおいて、上記吐出ノズルを上下方向に駆動させる吐出ノズル駆動手段と、上記吐出ノズルから所定量の液体を吐出する液体吐出手段と、上記吐出ノズルから吐出された液体が対象物に付着し、かつ液体と吐出ノズルの外周面との接触角θが90°以上となるように、対象物と吐出ノズルの先端との間隔を制御する塗布位置制御手段と、を備えたことを特徴とする液体塗布装置を提供する。
【0009】
本発明が対象とする吐出ノズルと液体との間には、吐出ノズルの外周面の単位面積当たりの表面自由エネルギーEが液体の表面張力γより大きいという関係がある。すなわち、E>γである。接着剤や樹脂、シリコーンオイルなどの粘性を持つ液体では、その表面張力γが数十(mN/m)であるのに対し、吐出ノズル(金属の表面に処理済み)の単位面積当たりの表面自由エネルギーEは数百(mN/m)程度であるから、粘性を持つ液体材料ではE>γの関係が成立する。
液体が水のような場合、表面張力が大きいので、E<γの関係が成立する場合がある。この場合には、液体が吐出ノズルに対して自然にはじかれるので、吐出ノズルの外周面と液体との接触角θは常に90°より大きくなる。そのため、吐出ノズルの挿入深さ(塗布位置)を制御しなくても、外周面に液体が残留することなく吐出ノズルを引き上げることができる。
これに対し、E>γの場合には、液体が吐出ノズルの表面に対して濡れるので、吐出ノズルをそのまま引き上げると、ノズル周面に液体が残留する。本発明者は、E>γであっても、吐出ノズルの位置を制御することにより、接触角θが90°以上となる位置が存在することを発見した。その結果、本来であれば吐出ノズルの表面に液体が残留する場合であっても、液体が残留することなく吐出ノズルを引き上げることが可能になった。
【0010】
図1は液溜まりを形成した吐出ノズルNを対象物Wに向かって降下させ、液体Lを対象物Wに塗布するときの動きを示す。
(a)のように液溜まりを形成した吐出ノズルNを対象物Wに向かって降下させると、(b)のように液体Lが対象物Wに接触し、液体Lは表面張力のために広がることなく丸みをもって膨らむ。さらに吐出ノズルNを降下させると、(c)のように吐出ノズルNの一部は液体Lの中に挿入される。吐出ノズルNの外周面と液体との接触角θは挿入深さに伴って大きくなり、(d)の位置で接触角θは90°より大きくなる。さらに吐出ノズルNを挿入すると、(e)のように接触角θは90°より小さくなり、液体Lが吐出ノズルNの周囲に濡れ広がる。
(d)のように、接触角θが90°より大きくなった時点で吐出ノズルNを停止させ、この位置Z0 から吐出ノズルNを引き上げると、外周面に液体が残留することなく、吐出ノズルNを引き上げることができる。一方、(c)や(e)のような接触角θが90°より小さい位置Z1 ,Z2 から吐出ノズルNを引き上げると、吐出ノズルNの外周面に液体が残留してしまう。
【0011】
上記のように接触角θが90°より大きくなった位置Z0 から吐出ノズルを引き上げることにより、外周面に液体が残留することなく吐出ノズルを引き上げることができる。そのため、次に塗布する際に吐出ノズルの周囲には液溜まりがなく、高い塗布精度を維持することができる。
また、吐出ノズルから液溜まりを除去するための装置やメンテナンスを必要としないので、低コストの塗布方法を実現できる。
【0012】
請求項2にかかる発明は、請求項1のように、吐出ノズルの先端に液溜まりを形成した後で、吐出ノズルを対象物に近づけるのではなく、吐出ノズルを対象物に近づけた後で、吐出ノズルから液体を吐出するものである。
この場合には、吐出ノズルを対象物に対して所定距離だけ離れた位置で停止させる。この停止位置は、吐出ノズルから1回の塗布量に相当する液体を吐出した場合に、吐出された液体が対象物に付着し、かつ液体と吐出ノズルの外周面との接触角θが90°以上となる位置である。上記位置で停止させた後、1回の塗布量分だけ吐出ノズルから液体を吐出すると、液体は対象物に対して付着すると同時に一部は吐出ノズルを包み込む形となり、その際、液体と吐出ノズルの外周面との接触角θが90°以上となる。この状態から吐出ノズルを引き上げると、外周面に液体が残留することなく、吐出ノズルを引き上げることができる。
【0013】
請求項3にかかる液体塗布装置では、吐出ノズル駆動手段と液体吐出手段と塗布位置制御手段とによって、請求項1または2にかかる塗布方法を実現することができる。
吐出ノズル駆動手段としては、電動モータとボールネジとの組み合わせ、流体圧シリンダ、ボイスコイルモータなどの直進駆動装置を用いることができる。塗布位置制御手段は、吐出ノズルの先端と対象物との距離(変位)を検出し、そのデータに基づいて吐出ノズル駆動手段をフィードバック制御するものがよい。
上記液体塗布装置において、請求項4のように、吐出ノズルの先端部を先細なテーパ形状とすれば、円筒形状の場合に比べて、吐出ノズルの位置を厳密に制御しなくても液体と吐出ノズルの外周面との接触角θを90°以上とするのが容易になる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図2は本発明にかかる液体塗布装置の一例であり、対象物Wに粘性液体Lを塗布する例を示す。
この液体塗布装置は、液体Lを貯留するシリンジと呼ばれる液体容器1を備えており、その下端に吐出ノズル2が接続されている。液体容器1内にはピストン3が進退自在に挿入されている。液体容器1はホルダ4によって保持されており、このホルダ4はロボットなどのアーム部5に吐出ノズル駆動手段6を介して取り付けられている。この実施例の吐出ノズル駆動手段6は、ホルダ4をアーム部5に対して上下動自在に案内するガイド7と、アーム部5に固定されたサーボモータ8と、サーボモータ8によって回転駆動されるボールネジ9とを備えており、ホルダ4の一部4aがボールネジ9に螺合している。そのため、サーボモータ8を駆動すると、ボールネジ9およびガイド7の作用によって、ホルダ4は上下方向に円滑に移動することができる。つまり、吐出ノズル2の位置(塗布位置)を高精度に制御できる。
【0015】
上記吐出ノズル2は、表面自由エネルギーEをできるだけ低くするため、表面に撥水性コーディング処理が施されている。また、液体Lは、例えばシリコーンオイルなどのように、その表面張力γが比較的小さな材料よりなる。吐出ノズル2の表面エネルギーEと液体の表面張力γとの間には次の関係が成り立つ。
E>γ
【0016】
上記ピストン3は、ピストン駆動手段10によって一定量ずつ駆動される。この実施例のピストン駆動手段10は、ホルダ4の上端部に固定されたステッピングモータ11と、ステッピングモータ11によって回転駆動されるボールネジ12と、ピストン3の上端部に固定されたナット部材13と、ナット部材13を上下方向に案内するガイド14とを備えており、ナット部材13はボールネジ12に螺合している。そのため、ステッピングモータ11を駆動すると、ピストン3が垂直駆動され、液体Lを一定量ずつ吐出することができる。
【0017】
吐出ノズル2の塗布位置を、吐出ノズル2から吐出された液体Lが対象物Wに付着し、かつ液体Lと吐出ノズル2の外周面との接触角θが90°以上となる位置に制御するための塗布位置制御手段15が設けられている。ここでは、塗布位置制御手段15が、リテーナ16を介してアーム部5に固定され、吐出ノズル2の先端位置を検出するレーザ変位計などの変位計17と、この変位計17の検出データを吐出ノズル駆動手段6にフィードバックするためのコントローラ18とで構成されている。コントローラ18は、ピストン駆動手段10も制御している。なお、塗布位置制御手段15は、吐出ノズル2の先端部の画像を撮像するカメラと、その撮像データから画像処理によって吐出ノズル2の塗布位置を制御する画像処理回路とで構成することもできる。なお、吐出ノズル2の位置は、サーボモータ8の回転量で検出することも可能であるから、吐出ノズル2の先端位置を検出する変位計17を省略することもできる。
【0018】
ここで、上記液体塗布装置を用いて対象物Wに対して一定量の液体Lを塗布する動作を図3に従って説明する。
まず、ロボットをX,Y方向に操作し、吐出ノズル2を対象物Wの直上に位置させる。ここで、ピストン駆動手段10によってピストン3を作動させ、1回の塗布量に応じた液体Lを吐出ノズル2の先端に吐出し、液溜まりを発生させる(図3の(a)参照)。
次に、吐出ノズル駆動手段6を駆動し、吐出ノズル2を塗布位置Zまで降下させる(図3の(b)参照)。ここで、塗布位置Zは、吐出ノズル2から吐出された液体Lが対象物Wに付着し、かつ液体Lと吐出ノズル2の外周面との接触角θが90°以上となる位置である。
その後、吐出ノズル駆動手段6によって吐出ノズル2を引き上げる。吐出ノズル2の外周面と液体Lとの接触角θが90°以上の状態から吐出ノズル2を引き上げるので、液体Lは吐出ノズル2の周面に沿って滑り落ち、吐出ノズル2の周面には液体Lが残留することがない。また、吐出ノズル2の引上げ速度に関係なく、液体Lの残留を無くすことができる。
【0019】
本発明者は次のような条件下で液体Lを対象物Wに塗布した。
吐出ノズル:表面にフッ素コーティング処理を施した、ノズル径:φ0.3mm、材質:SUS304のノズル
液体:シリコンオイル(粘度:10Pa・s、表面張力:20mN/m)
対象物:上面にフッ素コート済み
吐出ノズル2の先端からシリコンオイルを10μg吐出後、吐出ノズル2と対象物Wとの間隔Zが50μmとなる位置に吐出ノズル2を位置決めした。この時、接触角θを90°以上(θ≒110°)とすることができた。ここで、一定時間(50ms)だけ待機させた後、吐出ノズル2を上昇させると、吐出ノズル2の周面に液溜まりを発生させずに、所定量の液体Lを対象物Wに正確に塗布することができた。
【0020】
図4は本発明の第2実施例を示す。
第1実施例では、吐出ノズル2の先端に液溜まりを形成した後で、吐出ノズル2を対象物Wに近づけたが、第2実施例では吐出ノズル2を対象物Wに近づけた後で、吐出ノズル2から液体Lを吐出するものである。この場合も、吐出ノズル2の表面エネルギーEと液体の表面張力γとの間には、E>γの関係が成り立つ。
【0021】
図4の(a)は、液体Lを吐出しないで吐出ノズル2を降下させ、吐出ノズル2を対象物Wに対して所定距離Zだけ離れた位置で停止させた状態を示す。この位置は、吐出ノズル2から所定量の液体Lを吐出したとき、吐出された液体が対象物Wに付着すると同時に、液体と吐出ノズル2の外周面との接触角θが90°以上となる位置である。
次に、図4の(b)のように、吐出ノズル2と対象物Wとの距離Zを維持した状態で、所定量だけ吐出ノズル2から液体Lを吐出する。この時、液体Lは対象物Wに付着すると同時に、液体Lの一部が吐出ノズル2の外周側へ回り込み、液体Lと吐出ノズル2の外周面との接触角θが90°以上となる。
次に、吐出ノズル2を引き上げると、図4の(c)のように液体Lは吐出ノズル2の外周面から滑り落ち、吐出ノズル2の周面に液溜まりを発生させずに、液体Lを対象物Wに塗布することができる。
この実施例の場合には、図3の(a)のように塗布前の吐出ノズル2の先端に液溜まりを形成しておく必要がないので、塗布量が多い場合に、液体Lが対象物Wの上に誤って落下するのを防止できるという特徴がある。
【0022】
図5は吐出ノズル2の他の実施例を示す。
この実施例は、吐出ノズル2の先端部2aを先細なテーパ形状としたものである。この場合には、吐出ノズル2の外周面が下方に向かって傾斜しているので、液体Lと吐出ノズル2の外周面との接触角θを90°以上とするのが容易になる。そのため、円筒形状のノズルに比べて、塗布位置Zのばらつきを吸収でき、塗布位置制御が容易になる。
【0023】
上記実施例では、吐出ノズルを対象物に対して上下に駆動する例について説明したが、吐出ノズルを一定位置に保持し、対象物を吐出ノズルに対して上下に駆動しても同様の作用効果を有する。
本発明で用いられる液体としては、シリコーンオイル、導電ペースト、封止用樹脂、クリームはんだ、セラミックスラリーのような常温で液状のものに限らず、常温では固体であるが、加熱によって液状となるもの(例えばワックスなど)でもよい。
【0024】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、請求項1に係る発明によれば、吐出ノズルの先端に所定量の液体を吐出して液溜まりを形成した後、吐出ノズルから吐出された液体が対象物に付着し、かつ液体と吐出ノズルの外周面との接触角θが90°より大きくなる位置まで吐出ノズルを降下させ、その後で吐出ノズルを引き上げるようにしたので、吐出ノズルの引上げに伴って液体はノズルから滑り落ち、吐出ノズルの外周面に液体が残留するのを防止できる。そのため、液体塗布装置の一般的な課題である連続塗布での液溜まりの増加による塗布精度の悪化を防止でき、高い塗布精度を維持することができる。
また、吐出ノズルの拭き取りやエアー吹き出しといった液溜まりを除去するために行う吐出ノズルのメンテナンスを必要としない。
さらに、本発明ではノズルの周囲に液体が付着しないので、液溜まり除去時の液体の周囲への飛び散りも防止できる。
【0025】
請求項2に係る発明によれば、吐出ノズルから所定量の液体を吐出した場合に、吐出された液体が対象物に付着し、かつ液体と吐出ノズルの外周面との接触角θが90°以上となる位置で吐出ノズルを停止させ、ここで所定量だけ吐出ノズルから液体を吐出した後、吐出ノズルを引き上げるようにしたので、請求項1と同様に、吐出ノズルの外周面に液体が残留するのを防止でき、高い塗布精度を維持できるとともに、液溜まり除去装置やメンテナンスを必要としないという利点がある。
【0026】
請求項3に係る発明によれば、吐出ノズル駆動手段と液体吐出手段と塗布位置制御手段とによって、請求項1または2にかかる塗布方法を容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】吐出ノズルによって液体を対象物に塗布する動作を示す図である。
【図2】本発明にかかる液体塗布装置の一例の構成図である。
【図3】本発明にかかる液体塗布方法の第1実施例の動作図である。
【図4】本発明にかかる液体塗布方法の第2実施例の動作図である。
【図5】本発明における吐出ノズルの他の実施例の図である。
【符号の説明】
1 液体容器
2 吐出ノズル
3 ピストン
6 吐出ノズル駆動手段
10 ピストン駆動手段
15 塗布位置制御手段
18 コントローラ
L 液体
W 対象物
【発明の属する技術分野】
本発明は樹脂、接着剤、シリコーンオイルなどの粘性のある液体(またはペースト)を対象物に対して微少量ずつ塗布するのに適した液体塗布方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開平5−329422公報
【特許文献2】特開平6−254464公報
従来、電子部品などの表面に、液状樹脂や接着剤などの液体を所定量正確に塗布する装置として、ディスペンサーと呼ばれる液体塗布装置が知られている。
一般に、ディスペンサは、液体容器の下端部に吐出ノズルを備え、液体容器内に溜められた液体を押し出すことにより、吐出ノズルから定量ずつ対象物の表面に液体を塗布するものである。ところが、液体塗布装置の課題は、連続塗布を行った場合に、ノズルの外周部に液溜まりが残留、増加し、塗布精度を悪化させることである。そのため、定期的にノズルから液溜まりを除去するためのメンテナンスが必要であり、作業効率を低下させるという欠点があった。
【0003】
このような課題を解消するため、特許文献1,2に記載のような液体塗布装置が提案されている。
特許文献1は自動接着剤塗布装置に関するものであり、ノズルの下方に、回転する一対のローラを配置し、先端に接着剤が付着したノズルを下方へ駆動し、ノズルの先端をローラの隙間に挿入した後、ノズルを引き抜くことにより、ノズルに付着した接着剤を拭き取るものである。
特許文献2の液体塗布装置は、ニードルおよびパイプからなるノズル部の外周にノズル受けを取り付け、ノズル受けから斜め方向のエアー通路を介してニードルとパイプとの間にエアーを供給し、パイプの内周面とニードルの外周面との隙間から下方に向かってエアーを吹き出すことにより、ノズル部の先端に残留した液体を吹き飛ばすようにしたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特許文献1の塗布装置では、回転する一対のローラによって接着剤を拭き取るため、拭き取りむらが発生することがある。また、塗布作業の途中でローラの間にノズルを挿入する動作を追加する必要があるため、作業効率はさほど向上しない。
また、特許文献2の塗布装置では、吐出ノズルの先端に付着している液溜まりを一定方向からのエアーによって吹き飛ばすため、引きちぎれた液体の一部が吐出ノズルの先端に残り、液溜まりを完全に除去できない。そのため、塗布精度の悪化を防止できないだけでなく、液溜まりをエアーで吹き飛ばすため、液体が周囲に飛散し、対象物などに付着するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、格別な液溜まりの除去手段を用いることなく、ノズルへの液体の付着を防止でき、塗布精度に優れたる液体塗布方法および装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、吐出ノズルから吐出された液体を対象物に塗布する液体塗布方法であって、吐出ノズルの外周面の単位面積当たりの表面自由エネルギーEが液体の表面張力γより大きいものにおいて、上記対象物から離れた位置で、吐出ノズルの先端に所定量の液体を吐出して液溜まりを形成する工程と、先端に液溜まりを形成した上記吐出ノズルを対象物に向かって降下させ、吐出ノズルから吐出された液体が対象物に付着し、かつ液体と吐出ノズルの外周面との接触角θが90°以上となる位置で上記吐出ノズルを停止させる工程と、上記吐出ノズルを引き上げることで、液体を対象物に塗布する工程と、を備えたことを特徴とする液体塗布方法を提供する。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、吐出ノズルから吐出された液体を対象物に塗布する液体塗布方法であって、吐出ノズルの外周面の単位面積当たりの表面自由エネルギーEが液体の表面張力γより大きいものにおいて、上記吐出ノズルを対象物に対して所定距離だけ離れた位置で停止させる工程であって、上記吐出ノズルから所定量の液体を吐出した場合に、吐出された液体が対象物に付着し、かつ液体と吐出ノズルの外周面との接触角θが90°以上となる位置で停止させる工程と、上記所定量だけ吐出ノズルから液体を吐出する工程と、上記吐出ノズルを引き上げることで、液体を対象物に塗布する工程と、を備えたことを特徴とする液体塗布方法を提供する。
【0008】
さらに、請求項3に記載の発明は、吐出ノズルから吐出された液体を対象物に塗布する液体塗布装置であって、吐出ノズルの外周面の単位面積当たりの表面自由エネルギーEが液体の表面張力γより大きいものにおいて、上記吐出ノズルを上下方向に駆動させる吐出ノズル駆動手段と、上記吐出ノズルから所定量の液体を吐出する液体吐出手段と、上記吐出ノズルから吐出された液体が対象物に付着し、かつ液体と吐出ノズルの外周面との接触角θが90°以上となるように、対象物と吐出ノズルの先端との間隔を制御する塗布位置制御手段と、を備えたことを特徴とする液体塗布装置を提供する。
【0009】
本発明が対象とする吐出ノズルと液体との間には、吐出ノズルの外周面の単位面積当たりの表面自由エネルギーEが液体の表面張力γより大きいという関係がある。すなわち、E>γである。接着剤や樹脂、シリコーンオイルなどの粘性を持つ液体では、その表面張力γが数十(mN/m)であるのに対し、吐出ノズル(金属の表面に処理済み)の単位面積当たりの表面自由エネルギーEは数百(mN/m)程度であるから、粘性を持つ液体材料ではE>γの関係が成立する。
液体が水のような場合、表面張力が大きいので、E<γの関係が成立する場合がある。この場合には、液体が吐出ノズルに対して自然にはじかれるので、吐出ノズルの外周面と液体との接触角θは常に90°より大きくなる。そのため、吐出ノズルの挿入深さ(塗布位置)を制御しなくても、外周面に液体が残留することなく吐出ノズルを引き上げることができる。
これに対し、E>γの場合には、液体が吐出ノズルの表面に対して濡れるので、吐出ノズルをそのまま引き上げると、ノズル周面に液体が残留する。本発明者は、E>γであっても、吐出ノズルの位置を制御することにより、接触角θが90°以上となる位置が存在することを発見した。その結果、本来であれば吐出ノズルの表面に液体が残留する場合であっても、液体が残留することなく吐出ノズルを引き上げることが可能になった。
【0010】
図1は液溜まりを形成した吐出ノズルNを対象物Wに向かって降下させ、液体Lを対象物Wに塗布するときの動きを示す。
(a)のように液溜まりを形成した吐出ノズルNを対象物Wに向かって降下させると、(b)のように液体Lが対象物Wに接触し、液体Lは表面張力のために広がることなく丸みをもって膨らむ。さらに吐出ノズルNを降下させると、(c)のように吐出ノズルNの一部は液体Lの中に挿入される。吐出ノズルNの外周面と液体との接触角θは挿入深さに伴って大きくなり、(d)の位置で接触角θは90°より大きくなる。さらに吐出ノズルNを挿入すると、(e)のように接触角θは90°より小さくなり、液体Lが吐出ノズルNの周囲に濡れ広がる。
(d)のように、接触角θが90°より大きくなった時点で吐出ノズルNを停止させ、この位置Z0 から吐出ノズルNを引き上げると、外周面に液体が残留することなく、吐出ノズルNを引き上げることができる。一方、(c)や(e)のような接触角θが90°より小さい位置Z1 ,Z2 から吐出ノズルNを引き上げると、吐出ノズルNの外周面に液体が残留してしまう。
【0011】
上記のように接触角θが90°より大きくなった位置Z0 から吐出ノズルを引き上げることにより、外周面に液体が残留することなく吐出ノズルを引き上げることができる。そのため、次に塗布する際に吐出ノズルの周囲には液溜まりがなく、高い塗布精度を維持することができる。
また、吐出ノズルから液溜まりを除去するための装置やメンテナンスを必要としないので、低コストの塗布方法を実現できる。
【0012】
請求項2にかかる発明は、請求項1のように、吐出ノズルの先端に液溜まりを形成した後で、吐出ノズルを対象物に近づけるのではなく、吐出ノズルを対象物に近づけた後で、吐出ノズルから液体を吐出するものである。
この場合には、吐出ノズルを対象物に対して所定距離だけ離れた位置で停止させる。この停止位置は、吐出ノズルから1回の塗布量に相当する液体を吐出した場合に、吐出された液体が対象物に付着し、かつ液体と吐出ノズルの外周面との接触角θが90°以上となる位置である。上記位置で停止させた後、1回の塗布量分だけ吐出ノズルから液体を吐出すると、液体は対象物に対して付着すると同時に一部は吐出ノズルを包み込む形となり、その際、液体と吐出ノズルの外周面との接触角θが90°以上となる。この状態から吐出ノズルを引き上げると、外周面に液体が残留することなく、吐出ノズルを引き上げることができる。
【0013】
請求項3にかかる液体塗布装置では、吐出ノズル駆動手段と液体吐出手段と塗布位置制御手段とによって、請求項1または2にかかる塗布方法を実現することができる。
吐出ノズル駆動手段としては、電動モータとボールネジとの組み合わせ、流体圧シリンダ、ボイスコイルモータなどの直進駆動装置を用いることができる。塗布位置制御手段は、吐出ノズルの先端と対象物との距離(変位)を検出し、そのデータに基づいて吐出ノズル駆動手段をフィードバック制御するものがよい。
上記液体塗布装置において、請求項4のように、吐出ノズルの先端部を先細なテーパ形状とすれば、円筒形状の場合に比べて、吐出ノズルの位置を厳密に制御しなくても液体と吐出ノズルの外周面との接触角θを90°以上とするのが容易になる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図2は本発明にかかる液体塗布装置の一例であり、対象物Wに粘性液体Lを塗布する例を示す。
この液体塗布装置は、液体Lを貯留するシリンジと呼ばれる液体容器1を備えており、その下端に吐出ノズル2が接続されている。液体容器1内にはピストン3が進退自在に挿入されている。液体容器1はホルダ4によって保持されており、このホルダ4はロボットなどのアーム部5に吐出ノズル駆動手段6を介して取り付けられている。この実施例の吐出ノズル駆動手段6は、ホルダ4をアーム部5に対して上下動自在に案内するガイド7と、アーム部5に固定されたサーボモータ8と、サーボモータ8によって回転駆動されるボールネジ9とを備えており、ホルダ4の一部4aがボールネジ9に螺合している。そのため、サーボモータ8を駆動すると、ボールネジ9およびガイド7の作用によって、ホルダ4は上下方向に円滑に移動することができる。つまり、吐出ノズル2の位置(塗布位置)を高精度に制御できる。
【0015】
上記吐出ノズル2は、表面自由エネルギーEをできるだけ低くするため、表面に撥水性コーディング処理が施されている。また、液体Lは、例えばシリコーンオイルなどのように、その表面張力γが比較的小さな材料よりなる。吐出ノズル2の表面エネルギーEと液体の表面張力γとの間には次の関係が成り立つ。
E>γ
【0016】
上記ピストン3は、ピストン駆動手段10によって一定量ずつ駆動される。この実施例のピストン駆動手段10は、ホルダ4の上端部に固定されたステッピングモータ11と、ステッピングモータ11によって回転駆動されるボールネジ12と、ピストン3の上端部に固定されたナット部材13と、ナット部材13を上下方向に案内するガイド14とを備えており、ナット部材13はボールネジ12に螺合している。そのため、ステッピングモータ11を駆動すると、ピストン3が垂直駆動され、液体Lを一定量ずつ吐出することができる。
【0017】
吐出ノズル2の塗布位置を、吐出ノズル2から吐出された液体Lが対象物Wに付着し、かつ液体Lと吐出ノズル2の外周面との接触角θが90°以上となる位置に制御するための塗布位置制御手段15が設けられている。ここでは、塗布位置制御手段15が、リテーナ16を介してアーム部5に固定され、吐出ノズル2の先端位置を検出するレーザ変位計などの変位計17と、この変位計17の検出データを吐出ノズル駆動手段6にフィードバックするためのコントローラ18とで構成されている。コントローラ18は、ピストン駆動手段10も制御している。なお、塗布位置制御手段15は、吐出ノズル2の先端部の画像を撮像するカメラと、その撮像データから画像処理によって吐出ノズル2の塗布位置を制御する画像処理回路とで構成することもできる。なお、吐出ノズル2の位置は、サーボモータ8の回転量で検出することも可能であるから、吐出ノズル2の先端位置を検出する変位計17を省略することもできる。
【0018】
ここで、上記液体塗布装置を用いて対象物Wに対して一定量の液体Lを塗布する動作を図3に従って説明する。
まず、ロボットをX,Y方向に操作し、吐出ノズル2を対象物Wの直上に位置させる。ここで、ピストン駆動手段10によってピストン3を作動させ、1回の塗布量に応じた液体Lを吐出ノズル2の先端に吐出し、液溜まりを発生させる(図3の(a)参照)。
次に、吐出ノズル駆動手段6を駆動し、吐出ノズル2を塗布位置Zまで降下させる(図3の(b)参照)。ここで、塗布位置Zは、吐出ノズル2から吐出された液体Lが対象物Wに付着し、かつ液体Lと吐出ノズル2の外周面との接触角θが90°以上となる位置である。
その後、吐出ノズル駆動手段6によって吐出ノズル2を引き上げる。吐出ノズル2の外周面と液体Lとの接触角θが90°以上の状態から吐出ノズル2を引き上げるので、液体Lは吐出ノズル2の周面に沿って滑り落ち、吐出ノズル2の周面には液体Lが残留することがない。また、吐出ノズル2の引上げ速度に関係なく、液体Lの残留を無くすことができる。
【0019】
本発明者は次のような条件下で液体Lを対象物Wに塗布した。
吐出ノズル:表面にフッ素コーティング処理を施した、ノズル径:φ0.3mm、材質:SUS304のノズル
液体:シリコンオイル(粘度:10Pa・s、表面張力:20mN/m)
対象物:上面にフッ素コート済み
吐出ノズル2の先端からシリコンオイルを10μg吐出後、吐出ノズル2と対象物Wとの間隔Zが50μmとなる位置に吐出ノズル2を位置決めした。この時、接触角θを90°以上(θ≒110°)とすることができた。ここで、一定時間(50ms)だけ待機させた後、吐出ノズル2を上昇させると、吐出ノズル2の周面に液溜まりを発生させずに、所定量の液体Lを対象物Wに正確に塗布することができた。
【0020】
図4は本発明の第2実施例を示す。
第1実施例では、吐出ノズル2の先端に液溜まりを形成した後で、吐出ノズル2を対象物Wに近づけたが、第2実施例では吐出ノズル2を対象物Wに近づけた後で、吐出ノズル2から液体Lを吐出するものである。この場合も、吐出ノズル2の表面エネルギーEと液体の表面張力γとの間には、E>γの関係が成り立つ。
【0021】
図4の(a)は、液体Lを吐出しないで吐出ノズル2を降下させ、吐出ノズル2を対象物Wに対して所定距離Zだけ離れた位置で停止させた状態を示す。この位置は、吐出ノズル2から所定量の液体Lを吐出したとき、吐出された液体が対象物Wに付着すると同時に、液体と吐出ノズル2の外周面との接触角θが90°以上となる位置である。
次に、図4の(b)のように、吐出ノズル2と対象物Wとの距離Zを維持した状態で、所定量だけ吐出ノズル2から液体Lを吐出する。この時、液体Lは対象物Wに付着すると同時に、液体Lの一部が吐出ノズル2の外周側へ回り込み、液体Lと吐出ノズル2の外周面との接触角θが90°以上となる。
次に、吐出ノズル2を引き上げると、図4の(c)のように液体Lは吐出ノズル2の外周面から滑り落ち、吐出ノズル2の周面に液溜まりを発生させずに、液体Lを対象物Wに塗布することができる。
この実施例の場合には、図3の(a)のように塗布前の吐出ノズル2の先端に液溜まりを形成しておく必要がないので、塗布量が多い場合に、液体Lが対象物Wの上に誤って落下するのを防止できるという特徴がある。
【0022】
図5は吐出ノズル2の他の実施例を示す。
この実施例は、吐出ノズル2の先端部2aを先細なテーパ形状としたものである。この場合には、吐出ノズル2の外周面が下方に向かって傾斜しているので、液体Lと吐出ノズル2の外周面との接触角θを90°以上とするのが容易になる。そのため、円筒形状のノズルに比べて、塗布位置Zのばらつきを吸収でき、塗布位置制御が容易になる。
【0023】
上記実施例では、吐出ノズルを対象物に対して上下に駆動する例について説明したが、吐出ノズルを一定位置に保持し、対象物を吐出ノズルに対して上下に駆動しても同様の作用効果を有する。
本発明で用いられる液体としては、シリコーンオイル、導電ペースト、封止用樹脂、クリームはんだ、セラミックスラリーのような常温で液状のものに限らず、常温では固体であるが、加熱によって液状となるもの(例えばワックスなど)でもよい。
【0024】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、請求項1に係る発明によれば、吐出ノズルの先端に所定量の液体を吐出して液溜まりを形成した後、吐出ノズルから吐出された液体が対象物に付着し、かつ液体と吐出ノズルの外周面との接触角θが90°より大きくなる位置まで吐出ノズルを降下させ、その後で吐出ノズルを引き上げるようにしたので、吐出ノズルの引上げに伴って液体はノズルから滑り落ち、吐出ノズルの外周面に液体が残留するのを防止できる。そのため、液体塗布装置の一般的な課題である連続塗布での液溜まりの増加による塗布精度の悪化を防止でき、高い塗布精度を維持することができる。
また、吐出ノズルの拭き取りやエアー吹き出しといった液溜まりを除去するために行う吐出ノズルのメンテナンスを必要としない。
さらに、本発明ではノズルの周囲に液体が付着しないので、液溜まり除去時の液体の周囲への飛び散りも防止できる。
【0025】
請求項2に係る発明によれば、吐出ノズルから所定量の液体を吐出した場合に、吐出された液体が対象物に付着し、かつ液体と吐出ノズルの外周面との接触角θが90°以上となる位置で吐出ノズルを停止させ、ここで所定量だけ吐出ノズルから液体を吐出した後、吐出ノズルを引き上げるようにしたので、請求項1と同様に、吐出ノズルの外周面に液体が残留するのを防止でき、高い塗布精度を維持できるとともに、液溜まり除去装置やメンテナンスを必要としないという利点がある。
【0026】
請求項3に係る発明によれば、吐出ノズル駆動手段と液体吐出手段と塗布位置制御手段とによって、請求項1または2にかかる塗布方法を容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】吐出ノズルによって液体を対象物に塗布する動作を示す図である。
【図2】本発明にかかる液体塗布装置の一例の構成図である。
【図3】本発明にかかる液体塗布方法の第1実施例の動作図である。
【図4】本発明にかかる液体塗布方法の第2実施例の動作図である。
【図5】本発明における吐出ノズルの他の実施例の図である。
【符号の説明】
1 液体容器
2 吐出ノズル
3 ピストン
6 吐出ノズル駆動手段
10 ピストン駆動手段
15 塗布位置制御手段
18 コントローラ
L 液体
W 対象物
Claims (4)
- 吐出ノズルから吐出された液体を対象物に塗布する液体塗布方法であって、吐出ノズルの外周面の単位面積当たりの表面自由エネルギーEが液体の表面張力γより大きいものにおいて、
上記対象物から離れた位置で、吐出ノズルの先端に所定量の液体を吐出して液溜まりを形成する工程と、
先端に液溜まりを形成した上記吐出ノズルを対象物に向かって降下させ、吐出ノズルから吐出された液体が対象物に付着し、かつ液体と吐出ノズルの外周面との接触角θが90°以上となる位置で上記吐出ノズルを停止させる工程と、
上記吐出ノズルを引き上げることで、液体を対象物に塗布する工程と、を備えたことを特徴とする液体塗布方法。 - 吐出ノズルから吐出された液体を対象物に塗布する液体塗布方法であって、吐出ノズルの外周面の単位面積当たりの表面自由エネルギーEが液体の表面張力γより大きいものにおいて、
上記吐出ノズルを対象物に対して所定距離だけ離れた位置で停止させる工程であって、上記吐出ノズルから所定量の液体を吐出した場合に、吐出された液体が対象物に付着し、かつ液体と吐出ノズルの外周面との接触角θが90°以上となる位置で停止させる工程と、
上記所定量だけ吐出ノズルから液体を吐出する工程と、
上記吐出ノズルを引き上げることで、液体を対象物に塗布する工程と、を備えたことを特徴とする液体塗布方法。 - 吐出ノズルから吐出された液体を対象物に塗布する液体塗布装置であって、吐出ノズルの外周面の単位面積当たりの表面自由エネルギーEが液体の表面張力γより大きいものにおいて、
上記吐出ノズルを上下方向に駆動させる吐出ノズル駆動手段と、
上記吐出ノズルから所定量の液体を吐出する液体吐出手段と、
上記吐出ノズルから吐出された液体が対象物に付着し、かつ液体と吐出ノズルの外周面との接触角θが90°以上となるように、対象物と吐出ノズルの先端との間隔を制御する塗布位置制御手段と、を備えたことを特徴とする液体塗布装置。 - 上記吐出ノズルの先端部を先細なテーパ形状としたことを特徴とする請求項3に記載の液体塗布装置。
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-
2003
- 2003-01-27 JP JP2003016935A patent/JP2004223471A/ja active Pending
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