JP2004222442A - ハイブリッド車両用走行速度制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】パラレル走行時における入力軸トルクの不足を回避し、駆動トルクを正確に制御して走行速度指令値への追従性を高める。
【解決手段】シリーズ走行中に、発電用モータ回転数が一定となる過渡応答特性検出用発電用モータ回転数指令値cNIM−TEST 及びステップ的に増大する過渡応答特性検出用エンジントルク指令値cTE−TESTを出力し、その時の発電用モータ電機子電流値iM から推定エンジントルクTE−OBS を算出し、この推定エンジントルクTE−OBS と前記エンジントルク指令値cTE−TESTとからえんじんトルクの指令値に対する無駄時間Le及び時定数Teを算出し、パラレル走行時には、この無駄時間Le及び時定数Teを用いてエンジントルク推定値TE−EST を算出し、エンジントルクの応答遅れを補償するように駆動用モータトルク指令値cTDMを設定する。
【選択図】 図2
【解決手段】シリーズ走行中に、発電用モータ回転数が一定となる過渡応答特性検出用発電用モータ回転数指令値cNIM−TEST 及びステップ的に増大する過渡応答特性検出用エンジントルク指令値cTE−TESTを出力し、その時の発電用モータ電機子電流値iM から推定エンジントルクTE−OBS を算出し、この推定エンジントルクTE−OBS と前記エンジントルク指令値cTE−TESTとからえんじんトルクの指令値に対する無駄時間Le及び時定数Teを算出し、パラレル走行時には、この無駄時間Le及び時定数Teを用いてエンジントルク推定値TE−EST を算出し、エンジントルクの応答遅れを補償するように駆動用モータトルク指令値cTDMを設定する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、例えばモータとエンジンとを併載したハイブリッド車両の走行速度を制御するハイブリッド車両用走行速度制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
このようなハイブリッド車両用走行速度制御装置としては、例えば二つの遊星歯車機構を備え、モータ電流値から得られるモータトルクに基づいてエンジントルクを推定し、これらから変速機の入力軸トルク、つまり駆動トルクを制御するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−310131公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来のハイブリッド車両用走行速度制御装置は、二つの遊星歯車機構を備えた、所謂シリーズハイブリッド車両であり、エンジントルクとモータトルクとを同時に変速機に入力できるようにしたパラレルハイブリッド車両では、単にモータ電流値だけからエンジントルクを正確に推定することができず、従って変速機の入力軸トルク、つまり駆動トルクを正確に制御することができないという問題がある。
本発明はこれらの諸問題に鑑みて開発されたものであり、パラレルハイブリッド車両でも、変速機の入力軸トルク、即ち駆動トルクを正確に制御可能なハイブリッド車両用走行速度制御装置を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するため、本発明のハイブリッド車両用走行速度制御装置は、発電用モータの電機子電流値とエンジントルク指令値とからシリーズ走行時のエンジントルクの過渡応答特性を求め、パラレル走行時には、このエンジントルク過渡応答特性を用いてエンジントルクを算出し、その算出されたエンジントルクを用いながら入力軸トルク指令値をエンジントルク指令値及び駆動用モータトルク指令値に配分することを特徴とするものである。
【0006】
【発明の効果】
而して、本発明のハイブリッド車両用走行速度制御装置によれば、発電用モータの電機子電流値とエンジントルク指令値とからシリーズ走行時のエンジントルクの過渡応答特性を求め、パラレル走行時には、このエンジントルク過渡応答特性を用いてエンジントルクを算出し、その算出されたエンジントルクを用いながら入力軸トルク指令値をエンジントルク指令値及び駆動モータトルク指令値に配分する構成としたため、前記エンジントルクの過渡応答特性を加味して駆動用モータトルク指令値を設定することにより、変速機入力軸トルク、即ち駆動トルクを正確に制御することが可能となる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のハイブリッド車両用走行速度制御装置の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は本発明のハイブリッド車両用走行速度制御装置の一実施形態を示す概略構成図である。図中、符号1は一つ目の駆動源としてのモータ、符号2は二つ目の駆動源としてのエンジンであり、両者はクラッチ3によって断続可能となっている。前記モータ(以下、駆動用モータとも記す)1は、駆動輪32に減速機構を介して連結された交流同期モータであり、駆動トルク制御の対象となると共に、回生ブレーキ制御により車両運動エネルギをバッテリ8に回収するものである。また、前記エンジン2は、希薄燃焼可能な、所謂リーンバーンエンジンであり、例えばスロットルアクチュエータ2aによる吸入空気量、インジェクタによる燃料噴射量、点火プラグによる点火時期の制御により、エンジントルクを指令値に一致するように制御することができる。また、前記クラッチ3は電磁クラッチであり、エンジン出力軸と無段変速機5の入力軸とを連結して所謂パラレル走行を行ったり、両者を切り離して所謂シリーズ走行を行ったりするためのものである。
【0008】
また、図中の符号4は、発電用モータであり、前記シリーズ走行モードでバッテリ8の充電状態に応じてエンジン出力トルクを電気エネルギに変換し、バッテリ8に充電すると共に、エンジン2の始動用としても使用される。前記バッテリ8は高電圧バッテリであり、前記駆動用モータ1からの回生エネルギや発電用モータ4で発電された電気エネルギを蓄積する。このバッテリ8と駆動用モータ1及び発電用モータ4との間には直流ー交流変換を行うインバータ7が介装されている。このインバータ7は高電圧インバータである。また、前記無段変速機5は、所謂ベルト式無段変速機であり、プライマリプーリ(入力側プーリ)5aとセカンダリプーリ(出力側プーリ)5bの夫々のベルト接触半径を制御することにより変速比を指令値に一致するように制御することができる。前記無段変速機5のセカンダリプーリ5bは、最終減速機31を介して駆動輪32に連結されている。
【0009】
前記無段変速機5は変速機コントローラ12によって制御され、前記クラッチ3はクラッチコントローラ13によって制御され、前記エンジン2はエンジンコントローラ14によって制御され、前記駆動用モータ1並びに発電用モータ4はインバータ7を介してモータコントローラ15によって制御され、前記バッテリ8はバッテリコントローラ16によって制御されるように構成され、それらのコントローラの上位に統合コントローラ10と走行速度コントローラ11とが位置する。
【0010】
前記統合コントローラ10は、前記バッテリコントローラ16でモニタされたバッテリの充電状態及び走行速度センサ6で検出された自車両の走行速度及びアクセルセンサ9で検出されたアクセルペダルの踏込み量或いは踏み込み速度、つまり運転者の加速意思に応じて、通常のアクセルペダル踏込み時の制御を司るものであり、具体的にはモータ1及びエンジン2のトルク指令値及び無段変速機5の変速比指令値を算出し、それらを制御する各コントローラに出力する。一方の前記走行速度コントローラ11は、メインスイッチ(図ではSW、運転者の手動操作による自動走行速度制御要求スイッチ)17の状態、セットスイッチ(運転者の手動操作による自動走行速度制御の目標走行速度設定スイッチ)18の状態、アクセルスイッチ(運転者の手動操作による加速要求スイッチ)19の状態、コーストスイッチ(運転者の手動操作による減速要求スイッチ)20の状態、キャンセルスイッチ(運転者の手動操作による自動走行速度制御停止スイッチ)21の状態、ブレーキペダルの踏込みをモニタするブレーキスイッチ22の状態、エンジンコントローラ14でモニタされたエンジン2の作動状態、モータコントローラ15でモニタされたモータ1の作動状態、並びにクラッチコントローラ13でモニタされたクラッチ3の締結、開放状態に基づき、図2の演算処理に従って、アクセルペダルが踏込まれていないときの自車両の自動走行速度制御を司るものである。
【0011】
前記各コントローラはマイクロコンピュータ等の演算処理装置を備えて構成されるが、前記走行速度コントローラ11も、マイクロコンピュータ等の演算処理装置を備えている。前記図2はブロック図の形態をとっているが、図中の各ブロックは演算処理によって構成されている。この走行速度コントローラ11は、走行速度指令値設定部111、走行速度制御部112、入力軸トルク指令値設定部113、トルク配分部114、シリーズ走行時エンジン過渡応答特性検出用指令値設定部118、シリーズ走行時エンジン過渡応答特性算出部115、パラレル走行時エンジントルク算出部116、変速比指令値設定部117を備えている。
【0012】
前記走行速度指令値設定部111は、後述する図3の演算処理に従って、前記各スイッチ17〜22の状態並びに前記走行速度センサ6で検出された走行速度VSPに基づいて走行速度指令値cVSP及び走行速度制御実行フラグFVSP を設定する。前記走行速度制御部112は、後述する図4の演算処理に従って、前記走行速度指令値設定部111で設定された走行速度指令値cVSPが達成される駆動トルク指令値cTDRを算出設定する。前記入力軸トルク指令値設定部113は、前記走行速度制御部112で設定された駆動トルク指令値cTDRを前記変速機コントローラ12から読込んだ変速比GCVT 及び最終減速比GF で除して入力軸トルク指令値cTINを算出設定する。
【0013】
前記トルク配分部114は、前記パラレル走行時エンジントルク算出部116で算出されるエンジントルク推定値TE−EST を用いながら、走行モードに応じて前記入力軸トルク指令値cTINを前記エンジン2に対するエンジントルク指令値cTE と前記駆動用モータ1に対する駆動用モータトルク指令値cTDMとに配分する。具体的には、例えば前記クラッチ3が開放されているシリーズ走行モードの場合には、前記入力軸トルク指令値cTINがそのまま駆動用モータトルク指令値cTDMとなり、エンジントルク指令値cTE は、バッテリの充電状態などに応じて決まる値となる。つまり、シリーズ走行モードとは、駆動用モータ1のみによって駆動トルクを発生し、エンジン2は専ら前記発電用モータ4の駆動(バッテリの充電)のみを行う。これに対して、例えば前記クラッチ3が締結されているパラレル走行モードの場合には、前記入力軸トルク指令値cTINをそのままエンジントルク指令値cTE とし、当該入力軸トルク指令値cTINから前記エンジントルク推定値TE−EST を減じた値を駆動用モータトルク指令値cTDMとする。なお、エンジントルク指令値cTEは、前記エンジンコントローラ14に向けて直接出力され、駆動用モータトルク指令値cTDMは、前記モータコントローラ15に向けて直接出力される。
【0014】
前記変速比指令値設定部117は、図5に示すエンジン特性マップに従って、前記走行速度制御部112で設定された駆動トルク指令値cTDRを達成し且つ燃費が最低となる運転点となるように前記無段変速機5のプライマリプーリ回転数を算出設定し、そのプライマリプーリ回転数と前記走行速度センサ6で検出された走行速度、即ちセカンダリプーリ回転数との比を変速比指令値cGCVT に設定する。前記図5に示すエンジン特性マップは、エンジン運転拘束マップとも呼ばれ、例えば、図のように横軸にエンジン回転数NE (=変速機入力軸回転速度NIN)をとり、縦軸にエンジントルクTE (=変速機入力軸トルクTIN)をとると、同等のエンジンパワー(出力)を結んだ等出力線(図では破線)や、最適燃費点を中心とする等燃料消費線(図では一点鎖線)が描ける。等出力線上の最適燃費点を連続した曲線が最適燃費運転線となる。一般に、昨今のエンジンでは、アクセルオフの状態で燃料を噴射しないので、最適燃費点や等燃費線はエンジントルクTE が正の領域にのみ存在する。従って、最適燃費運転線もエンジントルクTE が正の領域にしか存在しない。逆に、エンジントルクTE が負の領域では、エンジンブレーキトルクとエンジン回転速度との関係を示すエンジンブレーキ特性線が表れる。前述のように、エンジントルクTE が負の領域では燃料を噴射しないので、エンジンブレーキトルクを制御するためにはエンジン回転速度を制御する必要がある。本実施形態では、変速機に無段変速機を用いているので、任意の走行速度で所望するエンジンブレーキトルクを得るためには、無段変速機の変速比を制御すればよい。これらの曲線の関係を、燃費を考慮してマップ化したものがエンジン運転拘束マップである。
【0015】
そして、前記変速機コントローラ12は、前記走行速度指令値設定部111で設定された走行速度制御実行フラグFVSP が“1”のセット状態のときに、前記変速比指令値設定部117で設定された変速比指令値cGCVT が達成されるように前記無段変速機5を制御する。また、前記モータコントローラ15は、前記走行速度指令値設定部111で設定された走行速度制御実行フラグFVSP が“1”のセット状態のときに、前記トルク配分部114で設定された駆動用モータトルク指令値cTDMが達成されるように前記駆動用モータ1を制御する。また、前記エンジンコントローラ14は、前記走行速度指令値設定部111で設定された走行速度制御実行フラグFVSP が“1”のセット状態のときに、前記トルク配分部114で設定されたエンジントルク指令値cTE が達成されるようにエンジン2を制御する。
【0016】
前記シリーズ走行時エンジン過渡応答特性検出用指令値設定部118は、前記エンジンコントローラ14でモニタされているエンジン回転数NE 及びスロットル開度THを読込むと共に前記統合コントローラ10の走行モード情報に基づき、後述する図6の演算処理に従って、前述したシリーズ走行時に、エンジン過渡応答特性検出実行フラグFTEST及び過渡応答特性検出用エンジントルク指令値cTE−TEST及び過渡応答特性検出用モータ回転数指令値cNIM−TEST を設定する。前記シリーズ走行時エンジン過渡応答特性算出部115は、後述する図9の演算処理に従って、前記モータコントローラ15でモニタされている発電用モータ電機子電流値iM から推定エンジントルクTE−OBS を算出し、この推定エンジントルクTE−OBS 及び前記エンジン過渡応答特性検出用指令値設定部118で設定された過渡応答特性検出用エンジントルク指令値cTE−TESTから、エンジントルク立上りまでの無駄時間Le及び所定値に達する時定数Teを、当該エンジントルクの過渡応答特性として算出する。前記パラレル走行時エンジントルク算出部116は、前述したパラレル走行時に、前記シリーズ走行時エンジン過渡応答特性算出部115で算出されたエンジントルク過渡応答特性である無駄時間Le及び時定数Teを用い、下記1式に従って前記エンジントルク推定値TE−EST を算出する。
【0017】
【数1】
【0018】
次に、前記走行速度指令値設定部111で行われる図3の演算処理について説明する。この演算処理は、例えば10msec. 程度に設定された所定サンプリング時間ΔT毎に実行される。なお、この演算処理では、特に通信のためのステップを設けていないが、必要な情報は随時他のコントローラ或いは記憶装置と授受されるし、演算処理で得られた情報は随時他のコントローラ或いは記憶装置と授受される。
【0019】
この演算処理では、まずステップS1で前記メインスイッチ17がオン状態であるか否かを判定し、当該メインスイッチ17がオン状態である場合にはステップS2に移行し、そうでない場合にはステップS3に移行する。
前記ステップS2では、前記ブレーキスイッチ22がオフ状態であるか否かを判定し、当該ブレーキスイッチ22がオフ状態である場合にはステップS4に移行し、そうでない場合には前記ステップS3に移行する。
【0020】
前記ステップS4では、前記キャンセルスイッチ21がオフ状態であるか否かを判定し、当該キャンセルスイッチ21がオフ状態である場合にはステップS5に移行し、そうでない場合には前記ステップS3に移行する。
前記ステップS5では、前記セットスイッチ18がオン状態であるか否かを判定し、当該セットスイッチ18がオン状態である場合にはステップS6に移行し、そうでない場合にはステップS7に移行する。
【0021】
前記ステップS6では、一定制御モード処理として、例えば前記セットスイッチ18がオンされたときの走行速度VSP−SET を走行速度指令値cVSPに設定してからステップS8に移行する。
前記ステップS8では、前記走行速度制御実行フラグFVSP を“1”にセットしてからメインプログラムに復帰する。
【0022】
前記ステップS7では、前記走行速度制御実行フラグFVSP が“1”のセット状態であるか否かを判定し、当該走行速度制御実行フラグFVSP がセット状態である場合にはステップS9に移行し、そうでない場合には前記ステップS3に移行する。
前記ステップS9では、前記アクセルスイッチ19がオン状態であるか否かを判定し、当該アクセルスイッチ19がオン状態である場合にはステップS10に移行し、そうでない場合にはステップS11に移行する。
【0023】
前記ステップS11では、前記コーストスイッチ20がオン状態であるか否かを判定し、当該コーストスイッチ20がオン状態である場合にはステップS12に移行し、そうでない場合にはメインプログラムに復帰する。
前記ステップS10では、加速制御モード処理として、前回演算時の走行速度指令値cVSPに予め設定された走行速度変更量ΔVSP0 を加えた値を新たな走行速度指令値cVSPとして設定してからメインプログラムに復帰する。
【0024】
前記ステップS12では、減速制御モード処理として、前回演算時の走行速度指令値cVSPから予め設定された走行速度変更量ΔVSP0 を減じた値を新たな走行速度指令値cVSPとして設定してからメインプログラムに復帰する。
前記ステップS3では、前記走行速度制御実行フラグFVSP を“0”にリセットすると共に、前記走行速度指令値cVSPを“0”としてからメインプログラムに復帰する。
【0025】
この演算処理によれば、前記メインスイッチ17がオン、ブレーキスイッチ22がオフ、キャンセルスイッチ21がオフの状態で、セットスイッチ18がオンされると一定速度制御モードとして、そのときの走行速度VSPが走行速度指令値cVSPに設定されると共に走行速度制御実行フラグFVSP がセットされる。このように走行速度制御実行フラグFVSP がセットされると、前記アクセルスイッチ19やコーストスイッチ20がオンされない限り、前記セットスイッチ18がオンされたときの走行速度VSPを走行速度指令値cVSPに設定し続ける。また、前記走行速度制御実行フラグFVSP がセットされている間は、前記アクセルスイッチ19やコーストスイッチ20がオンされても、それらがオフ状態となった後は前記セットスイッチ18がオンされたときの走行速度VSPを走行速度指令値cVSPに設定し続ける。一方、前記アクセルスイッチ19がオンされると、加速制御モードとして走行速度指令値cVSPを前記走行速度変更量ΔVSP0 ずつ大きく設定する。逆に、前記コーストスイッチ20がオンされると、減速制御モードとして走行速度指令値cVSPを前記走行速度変更量ΔVSP0 ずつ小さく設定する。また、このような走行速度制御中に、前記メインスイッチ17がオフとなるか、ブレーキスイッチ22がオンとなるか、キャンセルスイッチ21がオンとなると、前記走行速度制御実行フラグFVSP がリセットされると共に走行速度指令値cVSPが“0”に設定される。
【0026】
次に、前記走行速度制御部112で行われる図4の演算処理について説明する。この図4もブロック図の形態をとっているが、図中の各ブロックは演算処理によって構成されている。図中のプラントモデル34は自車両である。自車両の応答特性をGV (s) で表す。自車両の出力が、走行速度VSPである。この走行速度制御部112は、前記走行速度指令値cVSPから基準駆動トルク指令値cTDM0 を算出出力するモデルマッチング補償器部35と、駆動トルク指令値cTDMと前記自車両で達成された走行速度VSPとの差を外乱として補償するロバスト補償器部36とを備えている。前記モデルマッチング補償器部35は、前記走行速度指令値cVSPに対し、時定数T2 の一次遅れの規範モデルR2(s)処理を施すフィードフォワード補償器37と、このフィードフォワード補償器37の出力値、即ち基準駆動トルク指令値フィードフォワード成分cTDM−FF から前記走行速度VSPを減じる加減算器38と、この加減算器38の出力に対し、時定数T1 の一次遅れのローパスフィルタR1(s)処理を施して前記基準駆動トルク指令値cTDM0 を出力するフィードバック補償器39とを備えている。なお、フィードフォワード補償器37の分母R1(s)は、前記フィードバック補償器39に対する基準駆動トルク指令値フォードフォワード成分cTDM−FF の位相合わせのためであり、同様にフィードバック補償器39の分母GV (s) は、プラントモデル34、即ち自車両に対する基準駆動トルク指令値cTDM0 の位相合わせのためである。一方、前記ロバスト補償器部36は、前記駆動トルク指令値cTDMに対し、ロバスト補償、即ち外乱補償のための時定数TC の一次遅れのローパスフィルタH(s) 処理を施す一次ローパスフィルタ40と、前記走行速度VSPに対し、同じく外乱補償のための一次遅れのローパスフィルタH(s) 処理を施すと共に、前記一次ローパスフィルタ40に対して走行速度VSPの位相を合わせるローパスフィルタ41と、前記一次ローパスフィルタ40の出力値から前記ローパスフィルタ41の出力値を減じる加減算器42とを備えている。なお、前記駆動トルク指令値cTDMは、加算器43で、前記基準駆動トルク指令値cTDM0 と前記加減算器42の出力値、即ち外乱推定値dV とを加算して表れる。また、プラントモデルである自車両の応答特性GV (s) は、積分特性の線形近似モデルとして下記2式で表れるので、前述した基準駆動トルク指令値cTDM0 、駆動トルク指令値cTDM及び外乱推定値dV は、夫々下記3式〜5式で表れる。
【0027】
【数2】
【0028】
但し、MV は車両質量、Rはタイヤ転がり動半径である。
次に、前記シリーズ走行時エンジン過渡応答特性検出用指令値設定部118で行われる図6の演算処理について説明する。この演算処理も、例えば10msec. 程度に設定された所定サンプリング時間ΔT毎に実行される。なお、この演算処理でも、特に通信のためのステップを設けていないが、必要な情報は随時他のコントローラ或いは記憶装置と授受されるし、演算処理で得られた情報は随時他のコントローラ或いは記憶装置と授受される。
【0029】
この演算処理では、まずステップS21で、現在、シリーズ走行モードであるか否かを判定し、シリーズ走行モードである場合にはステップS22に移行し、そうでない場合にはステップS23に移行する。
前記ステップS22では、過渡応答特性検出用指令値出力完了フラグFFNS が“1”のセット状態であるか否かを判定し、当該過渡応答特性検出用指令値出力完了フラグFFNS がセット状態である場合にはメインプログラムに復帰し、そうでない場合にはステップS24に移行する。
【0030】
前記ステップS24では、エンジン過渡応答特性検出指令値出力カウンタCNTTESTがカウントアップ所定値CNTTEST0 以下であるか否かを判定し、当該エンジン過渡応答特性検出指令値出力カウンタCNTTESTがカウントアップ所定値CNTTEST0 以下である場合にはステップS25に移行し、そうでない場合にはステップS26に移行する。
【0031】
前記ステップS25では、過渡応答特性検出用エンジントルク指令値cTE−TESTを算出設定してからステップS27に移行する。
前記ステップS27では、過渡応答特性検出用モータ回転数指令値cTIM−TEST を算出してからステップS28に移行する。この過渡応答特性検出用モータ回転数指令値cTIM−TEST 及び前記過渡応答特性検出用エンジントルク指令値cTE−TESTは以下のようにして算出設定する。即ち、後述するように、前記過渡応答特性検出用エンジントルク指令値cTE−TESTは、前記発電用モータ電機子電流値iM から推定エンジントルクTE−OBS を算出し、指令値と実際値との関係からエンジントルクTE の過渡応答特性を検出するためのものである。そのため、発電用モータ4の回転数を予め設定された所定回転数とする、即ちエンジン2の回転数を所定回転数とすることにより、エンジン2や発電用モータ4の慣性モーメントを無視して、発電用モータ電機子電流値iM から推定エンジントルクTE−OBS を算出することができる。発電用モータ4の回転数とエンジン2の回転数とは両者を連結するベルトのプーリ比で決まる。そこで、前記発電用モータ4が所定回転数(=過渡応答特性検出用モータ回転数指令値)cNIM−TEST のときのエンジン2の回転数が所定回転数NE−TESTであるとして、図7に示すようにスロットル開度THを小開度の所定スロットル開度TH−1から大開度の所定スロットル開度TH−2まで開いたときに、エンジントルクTE が小トルクの所定エンジントルクTE−1 から大トルクの所定エンジントルクTE−2 までステップ的に増大するように過渡応答特性検出用エンジントルク指令値cTE−TESTを設定する。二つの所定エンジントルク差ΔTE は予め設定しておく。具体的には、図8に示すように、前記エンジン過渡応答特性検出指令値出力カウンタ(図でカウンタ値)CNTTESTが“0”、つまりカウントアップ開始から所定値CNTSTEPまでの間は、過渡応答特性検出用エンジントルク指令値cTE−TESTを前記小トルクの所定エンジントルクTE−1 とし、前記エンジン過渡応答特性検出指令値出力カウンタCNTTESTが前記所定値CNTSTEPから前記カウントアップ所定値CNTTEST0 までの間は、過渡応答特性検出用エンジントルク指令値cTE−TESTを前記大トルクの所定エンジントルクTE−2 とし、当該エンジン過渡応答特性検出指令値出力カウンタCNTTESTが前記所定値CNTSTEPとなったときに、過渡応答特性検出用エンジントルク指令値cTE−TESTが前記所定エンジントルク差ΔTE だけステップ的に増大するようにする。なお、後述するように、前記エンジン過渡応答特性検出実行フラグFTESTが“1”のセット状態にあるときには、前記エンジンコントローラ14は前記過渡応答特性検出用エンジントルク指令値cTE−TESTが達成されるようにエンジン2を制御し、合わせて前記モータコントローラ15は前記過渡応答特性検出用モータ回転数指令値cNIM−TEST が達成されるように発電用モータ4を制御する。
【0032】
前記ステップS28では、前記エンジン過渡応答特性検出実行フラグFTESTを“1”のセット状態としてからステップS29に移行する。
前記ステップS29では、前記エンジン過渡応答特性検出指令値出力カウンタCNTTESTをインクリメントしてからメインプログラムに復帰する。
一方、前記ステップS26では、前記エンジン過渡応答特性検出実行フラグFTESTを“0”のリセット状態としてからステップS30に移行する。
【0033】
前記ステップS30では、前記過渡応答特性検出用指令値出力完了フラグFFNS を“1”のセット状態としてからメインプログラムに復帰する。
また、前記ステップS23では、前記エンジン過渡応答特性検出実行フラグFTESTを“0”のリセット状態としてからステップS31に移行する。
前記ステップS31では、前記過渡応答特性検出用指令値出力完了フラグFFNS を“0”のリセット状態としてからステップS32に移行する。
【0034】
前記ステップS32では、前記エンジン過渡応答特性検出指令値出力カウンタCNTTESTをクリアしてからメインプログラムに復帰する。
次に、前記シリーズ走行時エンジン過渡応答特性算出部115で行われる図9の演算処理について説明する。この演算処理も、例えば10msec. 程度に設定された所定サンプリング時間ΔT毎に実行される。なお、この演算処理でも、特に通信のためのステップを設けていないが、必要な情報は随時他のコントローラ或いは記憶装置と授受されるし、演算処理で得られた情報は随時他のコントローラ或いは記憶装置と授受される。
【0035】
この演算処理では、まずステップS41で、前記エンジン過渡応答特性検出実行フラグFTESTが“1”のセット状態であるか否かを判定し、当該エンジン過渡応答特性検出実行フラグFTESTがセット状態である場合にはステップS42に移行し、そうでない場合にはステップS43に移行する。
前記ステップS42では、エンジン過渡応答特性算出カウンタCNTRSP をインクリメントしてからステップS44に移行する。ちなみに、このエンジン過渡応答特性算出カウンタCNTRSP は、実質的に前記エンジン過渡応答特性検出指令値出力カウンタCNTTESTと同じものである。
【0036】
前記ステップS44では、前記モータコントローラ15でモニタされている発電用モータ電機子電流値iM から推定エンジントルクTE−OBS を算出してからステップS45に移行する。ちなみに、発電機用モータトルクTIMは下記6式によって算出されるので、推定エンジントルクTE−OBS は、この発電機用モータトルクTIMに前記ベルトープーリ比αを乗じて求められる。
【0037】
【数3】
【0038】
但し、Pn:モータ対極数
φ:モータ内永久磁石の電機子鎖交磁束
Id:電機子電流値IM のd軸成分
Iq:電機子電流値IM のq軸成分
Ld:電機子巻線のd軸のインダクタンス
Lq:電機子巻線のq軸のインダクタンス
である。
【0039】
また、発電用モータ4の回転数を所定回転数に維持することによって、発電用モータ4やエンジン2の慣性モーメントを無視して、前記発電用モータ電機子電流値iM から推定エンジントルクTE−OBS を算出できることは、以下のようにして証明できる。即ち、エンジン2と発電用モータ4の運動方程式は下記7式のように表れる。
【0040】
【数4】
【0041】
但し、J:発電用モータ出力軸の慣性モーメント(JIM+JE )
TL :発電用モータ負荷トルク(=TE−OBS /α)
JL :負荷の慣性モーメント(=エンジンの慣性モーメント
JIM:発電用モータの慣性モーメント
ωIM:発電用モータ回転角速度
である。従って、発電用モータ4の回転数を一定回転数に保持するように制御すれば、前記7式の左辺の慣性モーメントを無視することができるので、これを前記推定エンジントルクTE−OBS について整理すると、TE−OBS =α×TIMが成り立つ。
【0042】
前記ステップS45では、前記エンジン過渡応答特性算出カウンタCNTRSP が前記所定値CNTSTEP以上となり、前記過渡応答特性検出用エンジントルク指令値cTE−TESTがステップ的に増大されたか否かを判定し、当該過渡応答特性検出用エンジントルク指令値cTE−TESTがステップ的に増大された場合にはステップS46に移行し、そうでない場合にはメインプログラムに復帰する。
【0043】
前記ステップS46では、無駄時間算出完了フラグFLeが“1”のセット状態であるか否かを判定し、当該無駄時間算出完了フラグFLeがセット状態である場合にはステップS47に移行し、そうでない場合にはステップS48に移行する。
前記ステップS48では、前記ステップS44で算出された推定エンジントルクTE−OBS が前記所定エンジントルクTE−1 より大きいか否かを判定し、当該推定エンジントルクTE−OBS が所定エンジントルクTE−1 より大きい場合にはステップS49に移行し、そうでない場合にはメインプログラムに復帰する。
【0044】
前記ステップS49では、前記推定エンジントルクTE−OBS が所定エンジントルクTE−1 より大きくなったときの前記エンジン過渡応答特性算出カウンタCNTRSP の値から無駄時間Leを算出してからステップS50に移行する。
前記ステップS50では、前記無駄時間算出完了フラグFLeを“1”のセット状態としてからメインプログラムに復帰する。
【0045】
一方、前記ステップS47では、一次遅れ時定数算出完了フラグFTeが“1”のセット状態であるか否かを判定し、当該一次遅れ時定数算出完了フラグFTeがセット状態である場合にはメインプログラムに復帰し、そうでない場合にはステップS51に移行する。
前記ステップS51では、一次遅れ系の時定数を設定するためにステップ変化量の0.623倍の時定数算出所定値に到達したか否か、即ち前記ステップS44で算出された推定エンジントルクTE−OBS が、前記所定エンジントルクTE−1 に前記所定エンジントルク差ΔTE の0.623倍値を和した時定数算出所定値以上であるか否かを判定し、当該推定エンジントルクTE−OBS が時定数算出所定値以上である場合にはステップS52に移行し、そうでない場合にはメインプログラムに復帰する。
【0046】
前記ステップS52では、前記推定エンジントルクTE−OBS が時定数算出所定値以上となったときの前記エンジン過渡応答特性算出カウンタCNTRSP の値から一次遅れ時定数Teを算出してからステップS53に移行する。
前記ステップS53では、前記一次遅れ時定数算出完了フラグFTeを“1”のセット状態としてからメインプログラムに復帰する。
【0047】
また、前記ステップS43では、前記エンジン過渡応答特性算出カウンタCNTRSP をクリアしてからステップS54に移行する。
前記ステップS54では、前記一次遅れ時定数算出完了フラグFTeを“0”のリセット状態としてからステップS55に移行する。
前記ステップS55では、前記無駄時間算出完了フラグFLeを“0”のリセット状態としてからメインプログラムに復帰する。
【0048】
これらの演算処理の作用を図10に従って説明する。なお、前述したように前記エンジン過渡応答特性検出指令値出力カウンタCNTTESTとエンジン過渡応答特性算出カウンタCNTRSP とは実質的に同じものであるので、図ではカウンタCNTとのみ示した。これらの演算処理によれば、例えば図10に示すように、時刻t01でエンジン過渡応答特性検出実行フラグFTESTがセットされるのと同時に発電用モータ回転数指令値cNIM(実質的に前記過渡応答特性検出用モータ回転数指令値cNIM−TEST と同じ)が例えば所定値cNIM1 に設定され、エンジントルク指令値cTE (実質的に前記過渡応答特性検出用エンジントルク指令値cTE−TESTと同じ)が前記所定エンジントルクTE−1 に設定され、この時刻t01から前記カウンタCNTがインクリメントされる。
【0049】
やがて、前記時刻t02で前記カウンタCNTが前記所定値CNTSTEPになると、前記エンジントルク指令値cTE は前記所定エンジントルク差ΔTE 分だけステップ的に増大する所定エンジントルクTE−2 に設定される。その結果、前記発電用モータ電機子電流値iM から算出される推定エンジントルクTE−OBS も、この指令値に遅れて増大する。例えば図10の場合には、これから遅れて時刻t03で前記推定エンジントルクTE−OBS が前記小エンジントルク所定値であるTE−1 より大きくなったとすると、前記時刻t02から時刻t03までのカウンタCNTの値から無駄時間Leを算出することができる。そして、このように無駄時間Leが算出されると、前記無駄時間算出完了フラグFLeがセットされる。そして、その後、時刻t04で前記推定エンジントルクTE−OBS が前記時定数算出所定値以上になると、前記時刻t03から時刻t04までのカウンタCNTの値から一次遅れ時定数Teを算出することができる。このようにエンジントルクTE のエンジントルク指令値cTE に対する無駄時間Le及び一次遅れ時定数Teが分かると、前記1式からパラレル走行時のエンジントルク推定値TE−EST を算出することが可能となる。
【0050】
図11には、前記シリーズ走行時エンジン過渡応答特性検出用指令値設定部118及びシリーズ走行時エンジン過渡応答特性算出部115によって、例えば指令値に対するエンジントルクの過渡応答特性を無駄時間Le及び一次遅れ時定数Teで検出しておき、この無駄時間Le及び一次遅れ時定数Teを用いて、パラレル走行時エンジントルク算出部116でパラレル走行時におけるエンジントルク推定値TE−EST を算出し、前述したようにこのエンジントルク推定値TE−EST を用いてエンジントルクTE 及び駆動用モータトルクTDMを制御した一例を示す。このシミュレーションでは、走行速度制御がオフの状態で、時刻t11までスロットル開度TH一定で走行し、当該時刻t11でアクセルペダルを解放し、スロットル開度THが“0”となった後の時刻t12で走行速度指令値cVSPを設定してパラレル走行モードに夜走行速度制御が開始された。
【0051】
本実施形態では、前述のようにパラレル走行時には、前記入力軸トルク指令値cTINをそのままエンジントルク指令値cTE とするが、実際にはエンジントルクTE の過渡応答特性によって必要なエンジントルクが得られていないことが多い。そこで、本実施形態では、前記入力軸トルク指令値cTINから前記エンジントルク推定値TE−EST を減じた値を駆動用モータトルク指令値cTDMとする。従って、駆動用モータトルクTDM及びエンジントルクTE との和は前記入力軸トルク指令値cTINに一致又は略一致し、エンジントルクの応答遅れを駆動用モータトルクで補償することができ、走行速度指令値cVSPに対する実際の走行速度VSPのアンダシュートやオーバシュートを回避して、速やかで滑らかな追従性能を得ることができる。
【0052】
これに対し、図12には、前記駆動用モータトルクTDM及びエンジントルクTE の定常的な応答特性のみを考慮し、パラレル走行モードにおける走行速度制御の開始時には、駆動用モータトルク指令値cTDMを大きめに設定し、入力軸トルク指令値cTINから駆動用モータトルク指令値cTDMを減じた値をエンジントルク指令値cTE に設定した場合のシミュレーションである。このシミュレーションでは、エンジントルクTE の過渡応答特性、つまり応答遅れが考慮されていないため、駆動用モータトルクTDMとエンジントルクTE との和は入力軸トルク指令値cTINを下回ってしまい、走行速度指令値cVSPに対する実際の走行速度VSPがアンダシュートしたりオーバシュートしたりしており、速やかな追従や滑らかな追従ができない。
【0053】
このように本実施形態ののハイブリッド車両用走行速度制御装置によれば、発電用モータ電機子電流値iM と過渡応答特性検出用エンジントルク指令値cTE−TESTとからシリーズ走行時のエンジントルクTE の過渡応答特性を求め、パラレル走行時には、このエンジントルク過渡応答特性を用いてエンジントルク推定値TE−EST を算出し、その算出されたエンジントルク推定値TE−EST を用いながら入力軸トルク指令値cTINをエンジントルク指令値cTE 及び駆動モータトルク指令値cTDMに配分するようにしたため、変速機入力軸トルク、即ち駆動トルクを正確に制御することができる。
【0054】
また、エンジントルクの過渡応答特性を検出するための過渡応答特性検出用エンジントルク指令値cTE−TESTを個別に設定し、この設定された過渡応答特性検出用エンジントルク指令値cTE−TEST及び発電用モータ電機子電流値iM から算出される推定エンジントルクTE−OBS に基づいてエンジントルクTE の過渡応答特性を算出するようにしたため、より一層エンジントルクTE の過渡応答特性を正確に検出することが可能となる。
【0055】
また、ステップ的に増大する過渡応答特性検出用エンジントルク指令値cTE−TESTを設定し、このステップ的に増大する過渡応答特性検出用エンジントルク指令値cTE−TESTに対し、前記発電用モータ電機子電流値iM から算出される推定エンジントルクTE−OBS の無駄時間Le及び一次遅れ時定数TeをエンジントルクのTE 過渡応答特性として算出するようにしたため、パラレル走行時のエンジントルク推定値TE−EST をより一層正確に得ることが可能となる。
【0056】
なお、前期実施形態では、前記入力軸トルク指令値cTINをそのままパラレル走行時のエンジントルク指令値cTE とし、当該エンジントルク指令値cTE に対して求められるエンジントルク推定値TE−EST を入力軸トルク指令値cTINから減じた値を駆動用モータトルク指令値cTDMとしたが、例えばバッテリの充電状態などに応じて配分係数を設定し、これを前記入力軸トルク指令値cTINに乗じてエンジントルク指令値cTE とし、このエンジントルク指令値cTE に対してエンジントルク推定値TE−EST を求め、このエンジントルク推定値TE−EST を入力軸トルク指令値cTINから減じた値を駆動用モータトルク指令値cTDMとするようにしてもよい。
また、前記実施形態では各コントローラとしてマイクロコンピュータを適用した場合について説明したが、これに代えてカウンタ、比較器等の電子回路を組み合わせて構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のハイブリッド車両用走行速度制御装置の一実施形態を示す車両概略構成図である。
【図2】図1の走行速度コントローラ内で行われる演算処理の一実施形態を示すブロック図である。
【図3】図2の演算処理の一部を示すフローチャートである。
【図4】図2の演算処理の一部を示すブロック図である。
【図5】図2の演算処理で用いられる制御マップである。
【図6】図2の演算処理の一部を示すフローチャートである。
【図7】図6の演算処理で用いられる制御マップである。
【図8】図6の演算処理で設定される過渡応答特性検出用エンジントルク指令値の説明図である。
【図9】図2の演算処理の一部を示すフローチャートである。
【図10】図6及び図9の演算処理の作用の説明図である。
【図11】図2の演算処理による入力軸トルクと走行速度の経時変化を示すタイミングチャートである。
【図12】従来のハイブリッド車両用走行速度制御装置による入力軸トルクと走行速度の経時変化を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
1は駆動用モータ
2はエンジン
3はクラッチ
4は発電用モータ
5は無段変速機
6は走行速度センサ
7はインバータ
8はバッテリ
9はアクセルセンサ
10は統合コントローラ
11は走行速度コントローラ
12は変速機コントローラ
13はクラッチコントローラ
14はエンジンコントローラ
15はモータコントローラ
16はバッテリコントローラ
111は走行速度指令値設定部
112は走行速度制御部
113は入力軸トルク指令値設定部
114はトルク配分部
115はシリーズ走行時エンジントルク過渡応答特性算出部
116はパラレル走行時エンジントルク算出部
117は変速比指令値設定部
118はシリーズ走行時エンジントルク過渡応答特性検出用指令値設定部
【産業上の利用分野】
本発明は、例えばモータとエンジンとを併載したハイブリッド車両の走行速度を制御するハイブリッド車両用走行速度制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
このようなハイブリッド車両用走行速度制御装置としては、例えば二つの遊星歯車機構を備え、モータ電流値から得られるモータトルクに基づいてエンジントルクを推定し、これらから変速機の入力軸トルク、つまり駆動トルクを制御するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−310131公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来のハイブリッド車両用走行速度制御装置は、二つの遊星歯車機構を備えた、所謂シリーズハイブリッド車両であり、エンジントルクとモータトルクとを同時に変速機に入力できるようにしたパラレルハイブリッド車両では、単にモータ電流値だけからエンジントルクを正確に推定することができず、従って変速機の入力軸トルク、つまり駆動トルクを正確に制御することができないという問題がある。
本発明はこれらの諸問題に鑑みて開発されたものであり、パラレルハイブリッド車両でも、変速機の入力軸トルク、即ち駆動トルクを正確に制御可能なハイブリッド車両用走行速度制御装置を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するため、本発明のハイブリッド車両用走行速度制御装置は、発電用モータの電機子電流値とエンジントルク指令値とからシリーズ走行時のエンジントルクの過渡応答特性を求め、パラレル走行時には、このエンジントルク過渡応答特性を用いてエンジントルクを算出し、その算出されたエンジントルクを用いながら入力軸トルク指令値をエンジントルク指令値及び駆動用モータトルク指令値に配分することを特徴とするものである。
【0006】
【発明の効果】
而して、本発明のハイブリッド車両用走行速度制御装置によれば、発電用モータの電機子電流値とエンジントルク指令値とからシリーズ走行時のエンジントルクの過渡応答特性を求め、パラレル走行時には、このエンジントルク過渡応答特性を用いてエンジントルクを算出し、その算出されたエンジントルクを用いながら入力軸トルク指令値をエンジントルク指令値及び駆動モータトルク指令値に配分する構成としたため、前記エンジントルクの過渡応答特性を加味して駆動用モータトルク指令値を設定することにより、変速機入力軸トルク、即ち駆動トルクを正確に制御することが可能となる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のハイブリッド車両用走行速度制御装置の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は本発明のハイブリッド車両用走行速度制御装置の一実施形態を示す概略構成図である。図中、符号1は一つ目の駆動源としてのモータ、符号2は二つ目の駆動源としてのエンジンであり、両者はクラッチ3によって断続可能となっている。前記モータ(以下、駆動用モータとも記す)1は、駆動輪32に減速機構を介して連結された交流同期モータであり、駆動トルク制御の対象となると共に、回生ブレーキ制御により車両運動エネルギをバッテリ8に回収するものである。また、前記エンジン2は、希薄燃焼可能な、所謂リーンバーンエンジンであり、例えばスロットルアクチュエータ2aによる吸入空気量、インジェクタによる燃料噴射量、点火プラグによる点火時期の制御により、エンジントルクを指令値に一致するように制御することができる。また、前記クラッチ3は電磁クラッチであり、エンジン出力軸と無段変速機5の入力軸とを連結して所謂パラレル走行を行ったり、両者を切り離して所謂シリーズ走行を行ったりするためのものである。
【0008】
また、図中の符号4は、発電用モータであり、前記シリーズ走行モードでバッテリ8の充電状態に応じてエンジン出力トルクを電気エネルギに変換し、バッテリ8に充電すると共に、エンジン2の始動用としても使用される。前記バッテリ8は高電圧バッテリであり、前記駆動用モータ1からの回生エネルギや発電用モータ4で発電された電気エネルギを蓄積する。このバッテリ8と駆動用モータ1及び発電用モータ4との間には直流ー交流変換を行うインバータ7が介装されている。このインバータ7は高電圧インバータである。また、前記無段変速機5は、所謂ベルト式無段変速機であり、プライマリプーリ(入力側プーリ)5aとセカンダリプーリ(出力側プーリ)5bの夫々のベルト接触半径を制御することにより変速比を指令値に一致するように制御することができる。前記無段変速機5のセカンダリプーリ5bは、最終減速機31を介して駆動輪32に連結されている。
【0009】
前記無段変速機5は変速機コントローラ12によって制御され、前記クラッチ3はクラッチコントローラ13によって制御され、前記エンジン2はエンジンコントローラ14によって制御され、前記駆動用モータ1並びに発電用モータ4はインバータ7を介してモータコントローラ15によって制御され、前記バッテリ8はバッテリコントローラ16によって制御されるように構成され、それらのコントローラの上位に統合コントローラ10と走行速度コントローラ11とが位置する。
【0010】
前記統合コントローラ10は、前記バッテリコントローラ16でモニタされたバッテリの充電状態及び走行速度センサ6で検出された自車両の走行速度及びアクセルセンサ9で検出されたアクセルペダルの踏込み量或いは踏み込み速度、つまり運転者の加速意思に応じて、通常のアクセルペダル踏込み時の制御を司るものであり、具体的にはモータ1及びエンジン2のトルク指令値及び無段変速機5の変速比指令値を算出し、それらを制御する各コントローラに出力する。一方の前記走行速度コントローラ11は、メインスイッチ(図ではSW、運転者の手動操作による自動走行速度制御要求スイッチ)17の状態、セットスイッチ(運転者の手動操作による自動走行速度制御の目標走行速度設定スイッチ)18の状態、アクセルスイッチ(運転者の手動操作による加速要求スイッチ)19の状態、コーストスイッチ(運転者の手動操作による減速要求スイッチ)20の状態、キャンセルスイッチ(運転者の手動操作による自動走行速度制御停止スイッチ)21の状態、ブレーキペダルの踏込みをモニタするブレーキスイッチ22の状態、エンジンコントローラ14でモニタされたエンジン2の作動状態、モータコントローラ15でモニタされたモータ1の作動状態、並びにクラッチコントローラ13でモニタされたクラッチ3の締結、開放状態に基づき、図2の演算処理に従って、アクセルペダルが踏込まれていないときの自車両の自動走行速度制御を司るものである。
【0011】
前記各コントローラはマイクロコンピュータ等の演算処理装置を備えて構成されるが、前記走行速度コントローラ11も、マイクロコンピュータ等の演算処理装置を備えている。前記図2はブロック図の形態をとっているが、図中の各ブロックは演算処理によって構成されている。この走行速度コントローラ11は、走行速度指令値設定部111、走行速度制御部112、入力軸トルク指令値設定部113、トルク配分部114、シリーズ走行時エンジン過渡応答特性検出用指令値設定部118、シリーズ走行時エンジン過渡応答特性算出部115、パラレル走行時エンジントルク算出部116、変速比指令値設定部117を備えている。
【0012】
前記走行速度指令値設定部111は、後述する図3の演算処理に従って、前記各スイッチ17〜22の状態並びに前記走行速度センサ6で検出された走行速度VSPに基づいて走行速度指令値cVSP及び走行速度制御実行フラグFVSP を設定する。前記走行速度制御部112は、後述する図4の演算処理に従って、前記走行速度指令値設定部111で設定された走行速度指令値cVSPが達成される駆動トルク指令値cTDRを算出設定する。前記入力軸トルク指令値設定部113は、前記走行速度制御部112で設定された駆動トルク指令値cTDRを前記変速機コントローラ12から読込んだ変速比GCVT 及び最終減速比GF で除して入力軸トルク指令値cTINを算出設定する。
【0013】
前記トルク配分部114は、前記パラレル走行時エンジントルク算出部116で算出されるエンジントルク推定値TE−EST を用いながら、走行モードに応じて前記入力軸トルク指令値cTINを前記エンジン2に対するエンジントルク指令値cTE と前記駆動用モータ1に対する駆動用モータトルク指令値cTDMとに配分する。具体的には、例えば前記クラッチ3が開放されているシリーズ走行モードの場合には、前記入力軸トルク指令値cTINがそのまま駆動用モータトルク指令値cTDMとなり、エンジントルク指令値cTE は、バッテリの充電状態などに応じて決まる値となる。つまり、シリーズ走行モードとは、駆動用モータ1のみによって駆動トルクを発生し、エンジン2は専ら前記発電用モータ4の駆動(バッテリの充電)のみを行う。これに対して、例えば前記クラッチ3が締結されているパラレル走行モードの場合には、前記入力軸トルク指令値cTINをそのままエンジントルク指令値cTE とし、当該入力軸トルク指令値cTINから前記エンジントルク推定値TE−EST を減じた値を駆動用モータトルク指令値cTDMとする。なお、エンジントルク指令値cTEは、前記エンジンコントローラ14に向けて直接出力され、駆動用モータトルク指令値cTDMは、前記モータコントローラ15に向けて直接出力される。
【0014】
前記変速比指令値設定部117は、図5に示すエンジン特性マップに従って、前記走行速度制御部112で設定された駆動トルク指令値cTDRを達成し且つ燃費が最低となる運転点となるように前記無段変速機5のプライマリプーリ回転数を算出設定し、そのプライマリプーリ回転数と前記走行速度センサ6で検出された走行速度、即ちセカンダリプーリ回転数との比を変速比指令値cGCVT に設定する。前記図5に示すエンジン特性マップは、エンジン運転拘束マップとも呼ばれ、例えば、図のように横軸にエンジン回転数NE (=変速機入力軸回転速度NIN)をとり、縦軸にエンジントルクTE (=変速機入力軸トルクTIN)をとると、同等のエンジンパワー(出力)を結んだ等出力線(図では破線)や、最適燃費点を中心とする等燃料消費線(図では一点鎖線)が描ける。等出力線上の最適燃費点を連続した曲線が最適燃費運転線となる。一般に、昨今のエンジンでは、アクセルオフの状態で燃料を噴射しないので、最適燃費点や等燃費線はエンジントルクTE が正の領域にのみ存在する。従って、最適燃費運転線もエンジントルクTE が正の領域にしか存在しない。逆に、エンジントルクTE が負の領域では、エンジンブレーキトルクとエンジン回転速度との関係を示すエンジンブレーキ特性線が表れる。前述のように、エンジントルクTE が負の領域では燃料を噴射しないので、エンジンブレーキトルクを制御するためにはエンジン回転速度を制御する必要がある。本実施形態では、変速機に無段変速機を用いているので、任意の走行速度で所望するエンジンブレーキトルクを得るためには、無段変速機の変速比を制御すればよい。これらの曲線の関係を、燃費を考慮してマップ化したものがエンジン運転拘束マップである。
【0015】
そして、前記変速機コントローラ12は、前記走行速度指令値設定部111で設定された走行速度制御実行フラグFVSP が“1”のセット状態のときに、前記変速比指令値設定部117で設定された変速比指令値cGCVT が達成されるように前記無段変速機5を制御する。また、前記モータコントローラ15は、前記走行速度指令値設定部111で設定された走行速度制御実行フラグFVSP が“1”のセット状態のときに、前記トルク配分部114で設定された駆動用モータトルク指令値cTDMが達成されるように前記駆動用モータ1を制御する。また、前記エンジンコントローラ14は、前記走行速度指令値設定部111で設定された走行速度制御実行フラグFVSP が“1”のセット状態のときに、前記トルク配分部114で設定されたエンジントルク指令値cTE が達成されるようにエンジン2を制御する。
【0016】
前記シリーズ走行時エンジン過渡応答特性検出用指令値設定部118は、前記エンジンコントローラ14でモニタされているエンジン回転数NE 及びスロットル開度THを読込むと共に前記統合コントローラ10の走行モード情報に基づき、後述する図6の演算処理に従って、前述したシリーズ走行時に、エンジン過渡応答特性検出実行フラグFTEST及び過渡応答特性検出用エンジントルク指令値cTE−TEST及び過渡応答特性検出用モータ回転数指令値cNIM−TEST を設定する。前記シリーズ走行時エンジン過渡応答特性算出部115は、後述する図9の演算処理に従って、前記モータコントローラ15でモニタされている発電用モータ電機子電流値iM から推定エンジントルクTE−OBS を算出し、この推定エンジントルクTE−OBS 及び前記エンジン過渡応答特性検出用指令値設定部118で設定された過渡応答特性検出用エンジントルク指令値cTE−TESTから、エンジントルク立上りまでの無駄時間Le及び所定値に達する時定数Teを、当該エンジントルクの過渡応答特性として算出する。前記パラレル走行時エンジントルク算出部116は、前述したパラレル走行時に、前記シリーズ走行時エンジン過渡応答特性算出部115で算出されたエンジントルク過渡応答特性である無駄時間Le及び時定数Teを用い、下記1式に従って前記エンジントルク推定値TE−EST を算出する。
【0017】
【数1】
【0018】
次に、前記走行速度指令値設定部111で行われる図3の演算処理について説明する。この演算処理は、例えば10msec. 程度に設定された所定サンプリング時間ΔT毎に実行される。なお、この演算処理では、特に通信のためのステップを設けていないが、必要な情報は随時他のコントローラ或いは記憶装置と授受されるし、演算処理で得られた情報は随時他のコントローラ或いは記憶装置と授受される。
【0019】
この演算処理では、まずステップS1で前記メインスイッチ17がオン状態であるか否かを判定し、当該メインスイッチ17がオン状態である場合にはステップS2に移行し、そうでない場合にはステップS3に移行する。
前記ステップS2では、前記ブレーキスイッチ22がオフ状態であるか否かを判定し、当該ブレーキスイッチ22がオフ状態である場合にはステップS4に移行し、そうでない場合には前記ステップS3に移行する。
【0020】
前記ステップS4では、前記キャンセルスイッチ21がオフ状態であるか否かを判定し、当該キャンセルスイッチ21がオフ状態である場合にはステップS5に移行し、そうでない場合には前記ステップS3に移行する。
前記ステップS5では、前記セットスイッチ18がオン状態であるか否かを判定し、当該セットスイッチ18がオン状態である場合にはステップS6に移行し、そうでない場合にはステップS7に移行する。
【0021】
前記ステップS6では、一定制御モード処理として、例えば前記セットスイッチ18がオンされたときの走行速度VSP−SET を走行速度指令値cVSPに設定してからステップS8に移行する。
前記ステップS8では、前記走行速度制御実行フラグFVSP を“1”にセットしてからメインプログラムに復帰する。
【0022】
前記ステップS7では、前記走行速度制御実行フラグFVSP が“1”のセット状態であるか否かを判定し、当該走行速度制御実行フラグFVSP がセット状態である場合にはステップS9に移行し、そうでない場合には前記ステップS3に移行する。
前記ステップS9では、前記アクセルスイッチ19がオン状態であるか否かを判定し、当該アクセルスイッチ19がオン状態である場合にはステップS10に移行し、そうでない場合にはステップS11に移行する。
【0023】
前記ステップS11では、前記コーストスイッチ20がオン状態であるか否かを判定し、当該コーストスイッチ20がオン状態である場合にはステップS12に移行し、そうでない場合にはメインプログラムに復帰する。
前記ステップS10では、加速制御モード処理として、前回演算時の走行速度指令値cVSPに予め設定された走行速度変更量ΔVSP0 を加えた値を新たな走行速度指令値cVSPとして設定してからメインプログラムに復帰する。
【0024】
前記ステップS12では、減速制御モード処理として、前回演算時の走行速度指令値cVSPから予め設定された走行速度変更量ΔVSP0 を減じた値を新たな走行速度指令値cVSPとして設定してからメインプログラムに復帰する。
前記ステップS3では、前記走行速度制御実行フラグFVSP を“0”にリセットすると共に、前記走行速度指令値cVSPを“0”としてからメインプログラムに復帰する。
【0025】
この演算処理によれば、前記メインスイッチ17がオン、ブレーキスイッチ22がオフ、キャンセルスイッチ21がオフの状態で、セットスイッチ18がオンされると一定速度制御モードとして、そのときの走行速度VSPが走行速度指令値cVSPに設定されると共に走行速度制御実行フラグFVSP がセットされる。このように走行速度制御実行フラグFVSP がセットされると、前記アクセルスイッチ19やコーストスイッチ20がオンされない限り、前記セットスイッチ18がオンされたときの走行速度VSPを走行速度指令値cVSPに設定し続ける。また、前記走行速度制御実行フラグFVSP がセットされている間は、前記アクセルスイッチ19やコーストスイッチ20がオンされても、それらがオフ状態となった後は前記セットスイッチ18がオンされたときの走行速度VSPを走行速度指令値cVSPに設定し続ける。一方、前記アクセルスイッチ19がオンされると、加速制御モードとして走行速度指令値cVSPを前記走行速度変更量ΔVSP0 ずつ大きく設定する。逆に、前記コーストスイッチ20がオンされると、減速制御モードとして走行速度指令値cVSPを前記走行速度変更量ΔVSP0 ずつ小さく設定する。また、このような走行速度制御中に、前記メインスイッチ17がオフとなるか、ブレーキスイッチ22がオンとなるか、キャンセルスイッチ21がオンとなると、前記走行速度制御実行フラグFVSP がリセットされると共に走行速度指令値cVSPが“0”に設定される。
【0026】
次に、前記走行速度制御部112で行われる図4の演算処理について説明する。この図4もブロック図の形態をとっているが、図中の各ブロックは演算処理によって構成されている。図中のプラントモデル34は自車両である。自車両の応答特性をGV (s) で表す。自車両の出力が、走行速度VSPである。この走行速度制御部112は、前記走行速度指令値cVSPから基準駆動トルク指令値cTDM0 を算出出力するモデルマッチング補償器部35と、駆動トルク指令値cTDMと前記自車両で達成された走行速度VSPとの差を外乱として補償するロバスト補償器部36とを備えている。前記モデルマッチング補償器部35は、前記走行速度指令値cVSPに対し、時定数T2 の一次遅れの規範モデルR2(s)処理を施すフィードフォワード補償器37と、このフィードフォワード補償器37の出力値、即ち基準駆動トルク指令値フィードフォワード成分cTDM−FF から前記走行速度VSPを減じる加減算器38と、この加減算器38の出力に対し、時定数T1 の一次遅れのローパスフィルタR1(s)処理を施して前記基準駆動トルク指令値cTDM0 を出力するフィードバック補償器39とを備えている。なお、フィードフォワード補償器37の分母R1(s)は、前記フィードバック補償器39に対する基準駆動トルク指令値フォードフォワード成分cTDM−FF の位相合わせのためであり、同様にフィードバック補償器39の分母GV (s) は、プラントモデル34、即ち自車両に対する基準駆動トルク指令値cTDM0 の位相合わせのためである。一方、前記ロバスト補償器部36は、前記駆動トルク指令値cTDMに対し、ロバスト補償、即ち外乱補償のための時定数TC の一次遅れのローパスフィルタH(s) 処理を施す一次ローパスフィルタ40と、前記走行速度VSPに対し、同じく外乱補償のための一次遅れのローパスフィルタH(s) 処理を施すと共に、前記一次ローパスフィルタ40に対して走行速度VSPの位相を合わせるローパスフィルタ41と、前記一次ローパスフィルタ40の出力値から前記ローパスフィルタ41の出力値を減じる加減算器42とを備えている。なお、前記駆動トルク指令値cTDMは、加算器43で、前記基準駆動トルク指令値cTDM0 と前記加減算器42の出力値、即ち外乱推定値dV とを加算して表れる。また、プラントモデルである自車両の応答特性GV (s) は、積分特性の線形近似モデルとして下記2式で表れるので、前述した基準駆動トルク指令値cTDM0 、駆動トルク指令値cTDM及び外乱推定値dV は、夫々下記3式〜5式で表れる。
【0027】
【数2】
【0028】
但し、MV は車両質量、Rはタイヤ転がり動半径である。
次に、前記シリーズ走行時エンジン過渡応答特性検出用指令値設定部118で行われる図6の演算処理について説明する。この演算処理も、例えば10msec. 程度に設定された所定サンプリング時間ΔT毎に実行される。なお、この演算処理でも、特に通信のためのステップを設けていないが、必要な情報は随時他のコントローラ或いは記憶装置と授受されるし、演算処理で得られた情報は随時他のコントローラ或いは記憶装置と授受される。
【0029】
この演算処理では、まずステップS21で、現在、シリーズ走行モードであるか否かを判定し、シリーズ走行モードである場合にはステップS22に移行し、そうでない場合にはステップS23に移行する。
前記ステップS22では、過渡応答特性検出用指令値出力完了フラグFFNS が“1”のセット状態であるか否かを判定し、当該過渡応答特性検出用指令値出力完了フラグFFNS がセット状態である場合にはメインプログラムに復帰し、そうでない場合にはステップS24に移行する。
【0030】
前記ステップS24では、エンジン過渡応答特性検出指令値出力カウンタCNTTESTがカウントアップ所定値CNTTEST0 以下であるか否かを判定し、当該エンジン過渡応答特性検出指令値出力カウンタCNTTESTがカウントアップ所定値CNTTEST0 以下である場合にはステップS25に移行し、そうでない場合にはステップS26に移行する。
【0031】
前記ステップS25では、過渡応答特性検出用エンジントルク指令値cTE−TESTを算出設定してからステップS27に移行する。
前記ステップS27では、過渡応答特性検出用モータ回転数指令値cTIM−TEST を算出してからステップS28に移行する。この過渡応答特性検出用モータ回転数指令値cTIM−TEST 及び前記過渡応答特性検出用エンジントルク指令値cTE−TESTは以下のようにして算出設定する。即ち、後述するように、前記過渡応答特性検出用エンジントルク指令値cTE−TESTは、前記発電用モータ電機子電流値iM から推定エンジントルクTE−OBS を算出し、指令値と実際値との関係からエンジントルクTE の過渡応答特性を検出するためのものである。そのため、発電用モータ4の回転数を予め設定された所定回転数とする、即ちエンジン2の回転数を所定回転数とすることにより、エンジン2や発電用モータ4の慣性モーメントを無視して、発電用モータ電機子電流値iM から推定エンジントルクTE−OBS を算出することができる。発電用モータ4の回転数とエンジン2の回転数とは両者を連結するベルトのプーリ比で決まる。そこで、前記発電用モータ4が所定回転数(=過渡応答特性検出用モータ回転数指令値)cNIM−TEST のときのエンジン2の回転数が所定回転数NE−TESTであるとして、図7に示すようにスロットル開度THを小開度の所定スロットル開度TH−1から大開度の所定スロットル開度TH−2まで開いたときに、エンジントルクTE が小トルクの所定エンジントルクTE−1 から大トルクの所定エンジントルクTE−2 までステップ的に増大するように過渡応答特性検出用エンジントルク指令値cTE−TESTを設定する。二つの所定エンジントルク差ΔTE は予め設定しておく。具体的には、図8に示すように、前記エンジン過渡応答特性検出指令値出力カウンタ(図でカウンタ値)CNTTESTが“0”、つまりカウントアップ開始から所定値CNTSTEPまでの間は、過渡応答特性検出用エンジントルク指令値cTE−TESTを前記小トルクの所定エンジントルクTE−1 とし、前記エンジン過渡応答特性検出指令値出力カウンタCNTTESTが前記所定値CNTSTEPから前記カウントアップ所定値CNTTEST0 までの間は、過渡応答特性検出用エンジントルク指令値cTE−TESTを前記大トルクの所定エンジントルクTE−2 とし、当該エンジン過渡応答特性検出指令値出力カウンタCNTTESTが前記所定値CNTSTEPとなったときに、過渡応答特性検出用エンジントルク指令値cTE−TESTが前記所定エンジントルク差ΔTE だけステップ的に増大するようにする。なお、後述するように、前記エンジン過渡応答特性検出実行フラグFTESTが“1”のセット状態にあるときには、前記エンジンコントローラ14は前記過渡応答特性検出用エンジントルク指令値cTE−TESTが達成されるようにエンジン2を制御し、合わせて前記モータコントローラ15は前記過渡応答特性検出用モータ回転数指令値cNIM−TEST が達成されるように発電用モータ4を制御する。
【0032】
前記ステップS28では、前記エンジン過渡応答特性検出実行フラグFTESTを“1”のセット状態としてからステップS29に移行する。
前記ステップS29では、前記エンジン過渡応答特性検出指令値出力カウンタCNTTESTをインクリメントしてからメインプログラムに復帰する。
一方、前記ステップS26では、前記エンジン過渡応答特性検出実行フラグFTESTを“0”のリセット状態としてからステップS30に移行する。
【0033】
前記ステップS30では、前記過渡応答特性検出用指令値出力完了フラグFFNS を“1”のセット状態としてからメインプログラムに復帰する。
また、前記ステップS23では、前記エンジン過渡応答特性検出実行フラグFTESTを“0”のリセット状態としてからステップS31に移行する。
前記ステップS31では、前記過渡応答特性検出用指令値出力完了フラグFFNS を“0”のリセット状態としてからステップS32に移行する。
【0034】
前記ステップS32では、前記エンジン過渡応答特性検出指令値出力カウンタCNTTESTをクリアしてからメインプログラムに復帰する。
次に、前記シリーズ走行時エンジン過渡応答特性算出部115で行われる図9の演算処理について説明する。この演算処理も、例えば10msec. 程度に設定された所定サンプリング時間ΔT毎に実行される。なお、この演算処理でも、特に通信のためのステップを設けていないが、必要な情報は随時他のコントローラ或いは記憶装置と授受されるし、演算処理で得られた情報は随時他のコントローラ或いは記憶装置と授受される。
【0035】
この演算処理では、まずステップS41で、前記エンジン過渡応答特性検出実行フラグFTESTが“1”のセット状態であるか否かを判定し、当該エンジン過渡応答特性検出実行フラグFTESTがセット状態である場合にはステップS42に移行し、そうでない場合にはステップS43に移行する。
前記ステップS42では、エンジン過渡応答特性算出カウンタCNTRSP をインクリメントしてからステップS44に移行する。ちなみに、このエンジン過渡応答特性算出カウンタCNTRSP は、実質的に前記エンジン過渡応答特性検出指令値出力カウンタCNTTESTと同じものである。
【0036】
前記ステップS44では、前記モータコントローラ15でモニタされている発電用モータ電機子電流値iM から推定エンジントルクTE−OBS を算出してからステップS45に移行する。ちなみに、発電機用モータトルクTIMは下記6式によって算出されるので、推定エンジントルクTE−OBS は、この発電機用モータトルクTIMに前記ベルトープーリ比αを乗じて求められる。
【0037】
【数3】
【0038】
但し、Pn:モータ対極数
φ:モータ内永久磁石の電機子鎖交磁束
Id:電機子電流値IM のd軸成分
Iq:電機子電流値IM のq軸成分
Ld:電機子巻線のd軸のインダクタンス
Lq:電機子巻線のq軸のインダクタンス
である。
【0039】
また、発電用モータ4の回転数を所定回転数に維持することによって、発電用モータ4やエンジン2の慣性モーメントを無視して、前記発電用モータ電機子電流値iM から推定エンジントルクTE−OBS を算出できることは、以下のようにして証明できる。即ち、エンジン2と発電用モータ4の運動方程式は下記7式のように表れる。
【0040】
【数4】
【0041】
但し、J:発電用モータ出力軸の慣性モーメント(JIM+JE )
TL :発電用モータ負荷トルク(=TE−OBS /α)
JL :負荷の慣性モーメント(=エンジンの慣性モーメント
JIM:発電用モータの慣性モーメント
ωIM:発電用モータ回転角速度
である。従って、発電用モータ4の回転数を一定回転数に保持するように制御すれば、前記7式の左辺の慣性モーメントを無視することができるので、これを前記推定エンジントルクTE−OBS について整理すると、TE−OBS =α×TIMが成り立つ。
【0042】
前記ステップS45では、前記エンジン過渡応答特性算出カウンタCNTRSP が前記所定値CNTSTEP以上となり、前記過渡応答特性検出用エンジントルク指令値cTE−TESTがステップ的に増大されたか否かを判定し、当該過渡応答特性検出用エンジントルク指令値cTE−TESTがステップ的に増大された場合にはステップS46に移行し、そうでない場合にはメインプログラムに復帰する。
【0043】
前記ステップS46では、無駄時間算出完了フラグFLeが“1”のセット状態であるか否かを判定し、当該無駄時間算出完了フラグFLeがセット状態である場合にはステップS47に移行し、そうでない場合にはステップS48に移行する。
前記ステップS48では、前記ステップS44で算出された推定エンジントルクTE−OBS が前記所定エンジントルクTE−1 より大きいか否かを判定し、当該推定エンジントルクTE−OBS が所定エンジントルクTE−1 より大きい場合にはステップS49に移行し、そうでない場合にはメインプログラムに復帰する。
【0044】
前記ステップS49では、前記推定エンジントルクTE−OBS が所定エンジントルクTE−1 より大きくなったときの前記エンジン過渡応答特性算出カウンタCNTRSP の値から無駄時間Leを算出してからステップS50に移行する。
前記ステップS50では、前記無駄時間算出完了フラグFLeを“1”のセット状態としてからメインプログラムに復帰する。
【0045】
一方、前記ステップS47では、一次遅れ時定数算出完了フラグFTeが“1”のセット状態であるか否かを判定し、当該一次遅れ時定数算出完了フラグFTeがセット状態である場合にはメインプログラムに復帰し、そうでない場合にはステップS51に移行する。
前記ステップS51では、一次遅れ系の時定数を設定するためにステップ変化量の0.623倍の時定数算出所定値に到達したか否か、即ち前記ステップS44で算出された推定エンジントルクTE−OBS が、前記所定エンジントルクTE−1 に前記所定エンジントルク差ΔTE の0.623倍値を和した時定数算出所定値以上であるか否かを判定し、当該推定エンジントルクTE−OBS が時定数算出所定値以上である場合にはステップS52に移行し、そうでない場合にはメインプログラムに復帰する。
【0046】
前記ステップS52では、前記推定エンジントルクTE−OBS が時定数算出所定値以上となったときの前記エンジン過渡応答特性算出カウンタCNTRSP の値から一次遅れ時定数Teを算出してからステップS53に移行する。
前記ステップS53では、前記一次遅れ時定数算出完了フラグFTeを“1”のセット状態としてからメインプログラムに復帰する。
【0047】
また、前記ステップS43では、前記エンジン過渡応答特性算出カウンタCNTRSP をクリアしてからステップS54に移行する。
前記ステップS54では、前記一次遅れ時定数算出完了フラグFTeを“0”のリセット状態としてからステップS55に移行する。
前記ステップS55では、前記無駄時間算出完了フラグFLeを“0”のリセット状態としてからメインプログラムに復帰する。
【0048】
これらの演算処理の作用を図10に従って説明する。なお、前述したように前記エンジン過渡応答特性検出指令値出力カウンタCNTTESTとエンジン過渡応答特性算出カウンタCNTRSP とは実質的に同じものであるので、図ではカウンタCNTとのみ示した。これらの演算処理によれば、例えば図10に示すように、時刻t01でエンジン過渡応答特性検出実行フラグFTESTがセットされるのと同時に発電用モータ回転数指令値cNIM(実質的に前記過渡応答特性検出用モータ回転数指令値cNIM−TEST と同じ)が例えば所定値cNIM1 に設定され、エンジントルク指令値cTE (実質的に前記過渡応答特性検出用エンジントルク指令値cTE−TESTと同じ)が前記所定エンジントルクTE−1 に設定され、この時刻t01から前記カウンタCNTがインクリメントされる。
【0049】
やがて、前記時刻t02で前記カウンタCNTが前記所定値CNTSTEPになると、前記エンジントルク指令値cTE は前記所定エンジントルク差ΔTE 分だけステップ的に増大する所定エンジントルクTE−2 に設定される。その結果、前記発電用モータ電機子電流値iM から算出される推定エンジントルクTE−OBS も、この指令値に遅れて増大する。例えば図10の場合には、これから遅れて時刻t03で前記推定エンジントルクTE−OBS が前記小エンジントルク所定値であるTE−1 より大きくなったとすると、前記時刻t02から時刻t03までのカウンタCNTの値から無駄時間Leを算出することができる。そして、このように無駄時間Leが算出されると、前記無駄時間算出完了フラグFLeがセットされる。そして、その後、時刻t04で前記推定エンジントルクTE−OBS が前記時定数算出所定値以上になると、前記時刻t03から時刻t04までのカウンタCNTの値から一次遅れ時定数Teを算出することができる。このようにエンジントルクTE のエンジントルク指令値cTE に対する無駄時間Le及び一次遅れ時定数Teが分かると、前記1式からパラレル走行時のエンジントルク推定値TE−EST を算出することが可能となる。
【0050】
図11には、前記シリーズ走行時エンジン過渡応答特性検出用指令値設定部118及びシリーズ走行時エンジン過渡応答特性算出部115によって、例えば指令値に対するエンジントルクの過渡応答特性を無駄時間Le及び一次遅れ時定数Teで検出しておき、この無駄時間Le及び一次遅れ時定数Teを用いて、パラレル走行時エンジントルク算出部116でパラレル走行時におけるエンジントルク推定値TE−EST を算出し、前述したようにこのエンジントルク推定値TE−EST を用いてエンジントルクTE 及び駆動用モータトルクTDMを制御した一例を示す。このシミュレーションでは、走行速度制御がオフの状態で、時刻t11までスロットル開度TH一定で走行し、当該時刻t11でアクセルペダルを解放し、スロットル開度THが“0”となった後の時刻t12で走行速度指令値cVSPを設定してパラレル走行モードに夜走行速度制御が開始された。
【0051】
本実施形態では、前述のようにパラレル走行時には、前記入力軸トルク指令値cTINをそのままエンジントルク指令値cTE とするが、実際にはエンジントルクTE の過渡応答特性によって必要なエンジントルクが得られていないことが多い。そこで、本実施形態では、前記入力軸トルク指令値cTINから前記エンジントルク推定値TE−EST を減じた値を駆動用モータトルク指令値cTDMとする。従って、駆動用モータトルクTDM及びエンジントルクTE との和は前記入力軸トルク指令値cTINに一致又は略一致し、エンジントルクの応答遅れを駆動用モータトルクで補償することができ、走行速度指令値cVSPに対する実際の走行速度VSPのアンダシュートやオーバシュートを回避して、速やかで滑らかな追従性能を得ることができる。
【0052】
これに対し、図12には、前記駆動用モータトルクTDM及びエンジントルクTE の定常的な応答特性のみを考慮し、パラレル走行モードにおける走行速度制御の開始時には、駆動用モータトルク指令値cTDMを大きめに設定し、入力軸トルク指令値cTINから駆動用モータトルク指令値cTDMを減じた値をエンジントルク指令値cTE に設定した場合のシミュレーションである。このシミュレーションでは、エンジントルクTE の過渡応答特性、つまり応答遅れが考慮されていないため、駆動用モータトルクTDMとエンジントルクTE との和は入力軸トルク指令値cTINを下回ってしまい、走行速度指令値cVSPに対する実際の走行速度VSPがアンダシュートしたりオーバシュートしたりしており、速やかな追従や滑らかな追従ができない。
【0053】
このように本実施形態ののハイブリッド車両用走行速度制御装置によれば、発電用モータ電機子電流値iM と過渡応答特性検出用エンジントルク指令値cTE−TESTとからシリーズ走行時のエンジントルクTE の過渡応答特性を求め、パラレル走行時には、このエンジントルク過渡応答特性を用いてエンジントルク推定値TE−EST を算出し、その算出されたエンジントルク推定値TE−EST を用いながら入力軸トルク指令値cTINをエンジントルク指令値cTE 及び駆動モータトルク指令値cTDMに配分するようにしたため、変速機入力軸トルク、即ち駆動トルクを正確に制御することができる。
【0054】
また、エンジントルクの過渡応答特性を検出するための過渡応答特性検出用エンジントルク指令値cTE−TESTを個別に設定し、この設定された過渡応答特性検出用エンジントルク指令値cTE−TEST及び発電用モータ電機子電流値iM から算出される推定エンジントルクTE−OBS に基づいてエンジントルクTE の過渡応答特性を算出するようにしたため、より一層エンジントルクTE の過渡応答特性を正確に検出することが可能となる。
【0055】
また、ステップ的に増大する過渡応答特性検出用エンジントルク指令値cTE−TESTを設定し、このステップ的に増大する過渡応答特性検出用エンジントルク指令値cTE−TESTに対し、前記発電用モータ電機子電流値iM から算出される推定エンジントルクTE−OBS の無駄時間Le及び一次遅れ時定数TeをエンジントルクのTE 過渡応答特性として算出するようにしたため、パラレル走行時のエンジントルク推定値TE−EST をより一層正確に得ることが可能となる。
【0056】
なお、前期実施形態では、前記入力軸トルク指令値cTINをそのままパラレル走行時のエンジントルク指令値cTE とし、当該エンジントルク指令値cTE に対して求められるエンジントルク推定値TE−EST を入力軸トルク指令値cTINから減じた値を駆動用モータトルク指令値cTDMとしたが、例えばバッテリの充電状態などに応じて配分係数を設定し、これを前記入力軸トルク指令値cTINに乗じてエンジントルク指令値cTE とし、このエンジントルク指令値cTE に対してエンジントルク推定値TE−EST を求め、このエンジントルク推定値TE−EST を入力軸トルク指令値cTINから減じた値を駆動用モータトルク指令値cTDMとするようにしてもよい。
また、前記実施形態では各コントローラとしてマイクロコンピュータを適用した場合について説明したが、これに代えてカウンタ、比較器等の電子回路を組み合わせて構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のハイブリッド車両用走行速度制御装置の一実施形態を示す車両概略構成図である。
【図2】図1の走行速度コントローラ内で行われる演算処理の一実施形態を示すブロック図である。
【図3】図2の演算処理の一部を示すフローチャートである。
【図4】図2の演算処理の一部を示すブロック図である。
【図5】図2の演算処理で用いられる制御マップである。
【図6】図2の演算処理の一部を示すフローチャートである。
【図7】図6の演算処理で用いられる制御マップである。
【図8】図6の演算処理で設定される過渡応答特性検出用エンジントルク指令値の説明図である。
【図9】図2の演算処理の一部を示すフローチャートである。
【図10】図6及び図9の演算処理の作用の説明図である。
【図11】図2の演算処理による入力軸トルクと走行速度の経時変化を示すタイミングチャートである。
【図12】従来のハイブリッド車両用走行速度制御装置による入力軸トルクと走行速度の経時変化を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
1は駆動用モータ
2はエンジン
3はクラッチ
4は発電用モータ
5は無段変速機
6は走行速度センサ
7はインバータ
8はバッテリ
9はアクセルセンサ
10は統合コントローラ
11は走行速度コントローラ
12は変速機コントローラ
13はクラッチコントローラ
14はエンジンコントローラ
15はモータコントローラ
16はバッテリコントローラ
111は走行速度指令値設定部
112は走行速度制御部
113は入力軸トルク指令値設定部
114はトルク配分部
115はシリーズ走行時エンジントルク過渡応答特性算出部
116はパラレル走行時エンジントルク算出部
117は変速比指令値設定部
118はシリーズ走行時エンジントルク過渡応答特性検出用指令値設定部
Claims (3)
- エンジン及び駆動用モータ及び発電用モータを備えたハイブリッド車両用走行速度制御装置において、自車両の走行速度を検出する走行速度検出手段と、自車両の走行速度の指令値を設定する走行速度指令値設定手段と、前記走行速度検出手段で検出された走行速度が前記走行速度指令値設定手段で設定された走行速度指令値になるための駆動トルク指令値を設定する走行速度制御手段と、前記走行速度制御手段で設定された駆動トルク指令値及び前記走行速度検出手段で検出された走行速度から変速機の変速比指令値を設定する変速比指令値設定手段と、前記走行速度制御手段で設定された駆動トルク指令値から変速機の入力軸トルク指令値を設定する入力軸トルク指令値設定手段と、シリーズ走行時に発電用モータの電機子電流値からエンジントルク過渡応答特性を検出するエンジン過渡応答特性検出手段と、パラレル走行時に前記エンジン過渡応答特性検出手段で検出されたエンジントルク過渡応答特性に基づいてエンジントルクを算出するエンジントルク算出手段と、少なくともパラレル走行時には前記エンジントルク算出手段で算出されたエンジントルクに基づいて、前記入力軸トルク指令値設定手段で設定された入力軸トルク指令値を走行モードに応じたエンジントルク指令値及び駆動用モータトルク指令値に配分するトルク配分手段とを備えたことを特徴とするハイブリッド車両用走行速度制御装置。
- 前記エンジン過渡応答特性検出手段は、エンジントルクの過渡応答特性を検出するためのエンジントルク指令値を設定するエンジン過渡応答特性検出用指令値設定手段と、前記エンジン過渡応答特性検出用指令値設定手段で設定されたエンジントルク指令値及び発電用モータの電機子電流値から算出されるエンジントルクに基づいてエンジントルクの過渡応答特性を算出するエンジン過渡応答特性算出手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両用走行速度制御装置。
- 前記エンジン過渡応答特性指令値設定手段は、ステップ的に増大するエンジントルク指令値を設定し、前記エンジン過渡応答特性算出手段は、前記ステップ的に増大するエンジントルク指令値に対し、前記発電用モータの電機子電流値から算出されるエンジントルクの無駄時間及び時定数をエンジントルクの過渡応答特性として算出することを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド車両用走行速度制御装置。
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