JP2004221020A - 標準水蒸気発生装置、燃料電池用加湿器、及び燃料電池用ガス・水管理システム - Google Patents
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Abstract
【課題】高精度に水蒸気濃度を調整できる標準水蒸気発生器、及び車載動力源あるいは定置型の小型発電器等に用いられる燃料電池に供給される加湿反応ガスの水蒸気量を高精度に加湿するための加湿装置を提供する。
【解決手段】水を入れた容器4と、所望量の水を気化器に送液するマイクロ送液ポンプ5からなる送液系と、搬送ガス圧力を調整する第1の調圧器6と、送ガス量を調整し所望量の搬送ガスを気化器に送ガスするマスフローコントローラ8からなる送ガス系を有する標準水蒸気発生装置。加湿水タンク14と、第1の加湿水マイクロ送液ポンプ15と、水素ガスを送ガスする水素ガスマスフローコントローラ16と、該加湿水で該水素ガスを所望量に加湿するアノード気化器17からなるアノード加湿系と、該加湿水タンク14と、第2の加湿水マイクロ送液ポンプ21と、空気を送ガスする空気マスフローコントローラ22と、該加湿水で該空気を所望量に加湿するカソード気化器23からなるカソード加湿系を有する燃料電池用加湿装置。
【選択図】 図1
【解決手段】水を入れた容器4と、所望量の水を気化器に送液するマイクロ送液ポンプ5からなる送液系と、搬送ガス圧力を調整する第1の調圧器6と、送ガス量を調整し所望量の搬送ガスを気化器に送ガスするマスフローコントローラ8からなる送ガス系を有する標準水蒸気発生装置。加湿水タンク14と、第1の加湿水マイクロ送液ポンプ15と、水素ガスを送ガスする水素ガスマスフローコントローラ16と、該加湿水で該水素ガスを所望量に加湿するアノード気化器17からなるアノード加湿系と、該加湿水タンク14と、第2の加湿水マイクロ送液ポンプ21と、空気を送ガスする空気マスフローコントローラ22と、該加湿水で該空気を所望量に加湿するカソード気化器23からなるカソード加湿系を有する燃料電池用加湿装置。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、標準水蒸気発生器、燃料電池用加湿装置、及び燃料電池のガス・水管理システムに関する。さらに詳しくは、高精度に水蒸気濃度を調整できる標準水蒸気発生器に関するとともに、車載動力源あるいは定置型の小型発電器等に用いられる燃料電池に供給される加湿反応ガスの水蒸気量を高精度に加湿するための加湿装置、及び燃料電池における高精度のガス・水管理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
気体の濃度を正確に測定したい時、例えば、窒素や酸素等の場合の校正には、正確な濃度比がわかっている標準ガスボンベを使用するが、水蒸気は室温で当然液化するため標準のボンベなどというものはない。そこで、気体の湿度を正確に測定したい時、水蒸気量測定器の校正のために測定器に正確な量の水蒸気を供給する装置が求められる。
【0003】
従来は、水蒸気量の校正にバブラーを用いていた。バブラー法では原則的に、配管や、バブラーの内面の温度やガス温度、水温が常に均一に同じ温度でなければ理論濃度の水蒸気量を含んだガスは得られない。
【0004】
一方、燃料電池は、燃料の供給と反応生成物の排出とを連続的に行い、燃料の持つ化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する電池であり、発電効率が高いこと、大気汚染物質の放出量が少ないこと、騒音が少ないこと、規模を自由に選べること、等の特徴を有している。燃料電池は、使用する電解質の種類により、固体高分子型、リン酸型、アルカリ型、溶融炭酸塩型、固体酸化物型等に分類される。
【0005】
これらの燃料電池の中で、固体高分子型燃料電池、リン酸型燃料電池、及びアルカリ型燃料電池は、プロトンが燃料極から空気極に、又は水酸化物イオンが空気極から燃料極に移動することにより起電力を発生するものであり、電解質を正常に機能させるためには、電解質の含水状態の管理が必須である点で共通する。
【0006】
例えば、固体高分子型燃料電池は、電解質としてプロトン伝導性を有する固体高分子電解質膜が用いられる。具体的には、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)の商品名で知られるパーフルオロスルホン酸膜に代表されるフッ素系の電解質膜が一般に用いられる。
【0007】
フッ素系の電解質膜は、耐酸化性に優れ、湿潤状態で良好なプロトン伝導性を示すが、含水率が低下すると電気抵抗が高くなり、電解質として機能しなくなるという性質を有している。そのため、フッ素系の電解質膜は、通常、飽和含水状態で使用されている。
【0008】
しかし、固体高分子型燃料電池の作動温度は、80℃前後であるので、燃料電池が作動中に電解質膜から水分が蒸発し、電解質膜の含水率が徐々に低下する。また、プロトンが燃料極側から空気極側に移動する際、水分子も同時に移動するため、燃料極側は、特に乾燥しやすくなっている。これを放置すると電解質膜の電気抵抗が増大して発熱し、電池出力が低下したり、故障の原因となる。
【0009】
そのため、固体高分子型燃料電池においては、電解質膜の含水状態を適切に管理し、電解質を正常に機能させるために、ガス拡散電極に供給される反応ガスを加湿することが一般に行われている。
【0010】
また、リン酸型燃料電池は、SiCマトリックス中に濃厚なリン酸水溶液を含水させたものを電解質として用いる燃料電池であり、動作温度は、200℃前後である。さらに、アルカリ型燃料電池は、マトリックス型と自由電解液型があり、マトリックス型は、アスベストに濃度30〜45%の水酸化カリウム水溶液を含浸させたものを電解質として用いる燃料電池であり、動作温度は、100℃前後である。
【0011】
リン酸型燃料電池及びアルカリ型燃料電池においても同様に、電解質を正常に機能させるためには、電解質の含水状態を適切に管理する必要があり、出力電圧が低下したり、燃料電池の温度上昇が生じた場合には、反応ガスを加湿することが行われている。
【0012】
このように、特に固体高分子型燃料電池など、反応に水が関与してくるものでは、反応ガスのウォーターマネジメントが極めて重要であることは周知である。燃料電池の電解質膜にスルホン酸系のポリマーを用いたものは一般に、膜中に十分な量の水を補給することが必要であり、多くの実用燃料電池では両極に供給する反応ガスを加湿することにより膜に水を供給する手法を用いている。
【0013】
ガスの加湿方法は、最もメジャーなものがバブラーを用いたもの(バブラー法とする)で、温水タンクの中にガスをバブリングさせ、ガスを飽和水蒸気状態とするものである。また、水をスプレー状に噴霧したり(下記特許文献1)、超音波振動子やインジェクタといった機械的振動を与えることによる水の霧化(下記特許文献2、下記特許文献3)といった方式(微粒化(ミスト)法とする)にてセルスタックに水を供給するものもある。
【0014】
バブラー法では、温水中をガスがくぐる必要があるため、相当量の温水を常に沸かして保温しつつ貯めておかなければならず、非効率である。また、加湿水蒸気量を急に変動させたい要求があっても、温水の温度を急に変えることはできず、燃料電池の負荷変動に対して本質的に追従しにくいシステムとなっている。
【0015】
また、微粒化法は、必要量の水を必要なだけ霧化することができるが、燃料電池車に搭載されるような大きな負荷変動があるような系(0〜数100L/MINの範囲で変動供給される反応ガスを0〜100%RH範囲で湿度制御する系)では、追従性に難がある。具体的には、下記特許文献3では水を霧化する能力は霧化器1台では能力が限られており複数台数設置することによりこれを補う旨の記述がある。また、下記特許文献1では、水のノズル径が固定されており、大量の水をエアスプレーによって微粒化する際と、少量の場合とでは微粒化の促進度合いが異なるのは明らかで、均一な混合ガスが形成されるとは考えにくい。さらに先の微粒化法では、湿度管理・精度が不十分で、加湿ガスの結露や不均一を起こすことがある。具体的には、霧化器とセルスタックを接続するカス配管の結露防止について何ら対策されておらず、均一な加湿ガスが安定供給されるとは言い難い。
【0016】
このように、水蒸気により反応ガスを加湿する加湿装置は、▲1▼特に高湿度を付与する場合、供給途中で結露等が発生し、高精度で所望の湿度を付与することが不可能であった。即ち、加湿を行うに際し、供給対象物(燃料電池の場合はスタック)温度、配管に関係なく水蒸気を供給する必要があった。
【0017】
また、▲2▼水蒸気を発生させるための消費エネルギーが大きく、燃料電池の発電効率を低下させる原因となっている。しかも、燃料電池の作動中は、水源を高温に維持し、常に水蒸気を発生させておく必要があるので、未消費の水分量に対しても加熱が必要となり、エネルギーロスがさらに大きくなるという問題がある。
【0018】
また、▲3▼常に水蒸気を発生させるために、容量の大きな加湿タンクが必要となるが、大容量の加湿タンクは、熱容量が大きくなるので、温度変更に対する時定数が大きくなる。そのため、加湿タンクの温度を所定の温度まで昇温させるのに長時間を要し、始動性に問題がある。
【0019】
さらに、▲4▼温度変更に対する時定数が大きいために、応答性が悪く、過渡制御が困難である。すなわち、負荷が急激に変動して大量の反応ガスが必要になり、これに伴い大量の水蒸気が必要となった場合には、加湿量を急激に増加させることができないので、電解質中の水分量が不足し、出力が低下する。また逆に、電極に過剰の水蒸気が送られた場合には、ガス流路が液体水で閉塞する、いわゆるフラッディングが生じて出力が低下し、燃料電池の作動状態が不安定になるという問題がある。特に、空気極側は、電極反応により水が生成するので、フラッディングが生じやすくなっている。
【0020】
これに対し、微粒化法により反応ガスを加湿する加湿装置によれば、噴霧ノズルあるいは超音波振動子で消費される電力は僅かであり、効率的である。また、水の微粒化は、水温の上昇を待つ必要がないので、始動性に問題はない。さらに、加湿量の増減は、水温によらず制御可能であるので、高応答性である。
【0021】
しかしながら、▲1▼噴霧ノズルあるいは超音波振動子を用いたミスト加湿器の場合であっても、燃料電池を安定して作動させるためには、反応ガスへのミスト添加量を負荷変動に対応して連続的に変化させる必要があるが、負荷変動に応じてミスト添加量を連続的に変化させることが困難である。
【0022】
また、▲2▼噴霧ノズルあるいは超音波振動子は、ミストを供給する能力の制御範囲が小さく、ミスト添加量を大幅に変更することはできない。例えば、噴霧ノズルを用いてミスト化する方法の場合、反応ガスへのミスト添加量は、一次空気流量により制御することができる。しかし、一次空気流量には最小流量が存在し、一次空気流量が低すぎると、ミストの粒子径が大きくなりすぎて電極を濡らしたり、あるいはノズル先端から水が流れ落ち、ミスト化が困難になる。
【0023】
また、▲3▼超音波振動子を用いてミスト化する方法の場合、ミスト放出のための最小電圧がフル電圧の80%に近いため、超音波振動子への入力電圧を制御するだけでは、連続的に変化する負荷に対応して、ミスト供給量を大幅に変化させるには限界がある。
【0024】
さらに、▲4▼燃料ガスとしてメタノール改質ガスを用いる場合には、通常は、電極触媒の触媒毒となる一酸化炭素を低減するために、S/C比(投入水蒸気モル数/投入燃料中の炭素モル数)の高い条件下で改質反応が行われており、その結果として、改質ガス中には多量の水蒸気が含まれている。しかしながら、出力を増加させるために燃料供給量を急激に増加したい時などには、意図的にS/C比を下げる場合があり、その場合には、改質ガス中に含まれる水蒸気量は減少する。そのため、出力電力に比例して燃料極側への加湿量を決定するだけでは、燃料極側の加湿量が不足したり、あるいは過剰となり、電解質の水管理が十分に行えない場合がある。
【0025】
【特許文献1】
特開平8−222254号公報
【特許文献2】
特開平7−263010号公報
【特許文献3】
特開2000−82480号公報
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、気体の湿度を正確に測定したい時、水蒸気量測定器の校正のために測定器に正確な量の水蒸気を供給する加湿装置を提供することにある。
【0027】
又、本発明が解決しようとする他の課題は、電解質の含水状態の高精度な管理が必要な燃料電池に用いられ、エネルギー効率、応答性及び始動性の低下を伴うことなく、負荷変動に対応して反応ガスを過不足なく加湿することができ、これにより燃料電池の作動安定性を飛躍的に向上させることが可能な燃料電池用加湿装置を提供することにある。
【0028】
更に、本発明が解決しようとする他の課題は、過不足なく燃料ガスへの加湿を行うことができ、これにより燃料電池の作動安定性を飛躍的に向上させることが可能な燃料電池システムのガス・水管理システムを提供することにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、特定の送液機構と送ガス機構と気化器を採用することによって、バブラーやミスト加湿器を用いずに上記課題を解決することを見出し、本発明に到達した。
【0030】
即ち、第1に、本発明は、水を入れた容器と、所望量の水を気化器に送液するマイクロ送液ポンプからなる送液系と、搬送ガス圧力を調整する第1の調圧器と、送ガス量を調整し所望量の搬送ガスを気化器に送ガスするマスフローコントローラからなる送ガス系を有する標準水蒸気発生装置である。
【0031】
ここで、水を入れた容器は、ガラス製などの瓶や、ステンレス製などの金属容器が好ましく用いられ、容器には純水などの高純度の水が入れられる。マイクロ送液ポンプとは、正確な容量の水、好ましくは純水を送液出来る小型液体ポンプである。マイクロ送液ポンプ自体は公知であり、市販のものを用いることが出来る。マスフローコントローラとは、正確な容量の搬送ガスを送ガス出来る小型ガスポンプである。マスフローコントローラ自体は公知であり、市販のものを用いることが出来る。
【0032】
本発明の標準水蒸気発生装置の気化器は、加熱蒸発部、混合部、及び調温部とから構成されることが好ましい。加熱蒸発部において、送液系から送液されて来た正確な容量の水が気化されて水蒸気となる。気化された水蒸気と、送ガス系から送ガスされて来た正確な容量の搬送ガスは、混合部において均一に混合され、計算通りの湿度を有する混合ガスとなる。該混合ガスは、調温部で正確に温度調節・温度保持され、標準湿度の水蒸気として、各種用途に導かれる。この際、温度を維持するため、ヒートホースなどを用いると良い。また、加熱蒸発部、混合部、及び調温部とから構成される気化器の全体は、恒温槽などの温度保持手段で外包されることが効果的である。
【0033】
用いられる搬送ガスとしては制限されず、目的とする湿度のガスによって、ガスの種類も選択される。この中で、標準水蒸気発生装置としては、ヘリウム、アルゴン、窒素ガスなどの不活性ガスが好ましく、安価ということで特に窒素が好ましい。また、本発明の標準水蒸気発生装置を燃料電池の加湿器の各種条件を検討するのに用いるのであれば、水素ガス、酸素ガス、又は空気を用いることが出来る。
【0034】
本発明では、送液系は、純水中に溶存する不純ガスを十分に脱気することが好ましい。このため、送液系は、バブリングのための搬送ガス圧力を調整する第2の調圧器を有するとともに、容器がパージ弁を有することが好ましい。
【0035】
本発明の標準水蒸気発生装置は、十分に脱気した純水を、脈流が極めて少ないマイクロ送液ポンプで正確な量の水を気化器に送り込み、全量を気化させ、搬送ガスと水蒸気を混合器で均一なガスとして加熱配管を通して分析器に送り込むもの。水蒸気量を液体の状態で正確に定量し、それを気化器に送り込むため、水蒸気の量が正確に計算できる。搬送ガスの流量と送り込む水の量からガスの水分濃度を算出することが出来る。
【0036】
第2に、本発明は、加湿水タンクと、第1の加湿水マイクロ送液ポンプと、水素ガスを送ガスする水素ガスマスフローコントローラと、該加湿水で該水素ガスを所望量に加湿するアノード気化器からなるアノード加湿系と、該加湿水タンクと、第2の加湿水マイクロ送液ポンプと、空気を送ガスする空気マスフローコントローラと、該加湿水で該空気を所望量に加湿するカソード気化器からなるカソード加湿系を有する燃料電池用加湿装置である。
【0037】
ここで、加湿水タンクは、水、好ましくは純水を溜めた一定容量のタンクであり、第1の加湿水マイクロ送液ポンプと第2の加湿水マイクロ送液ポンプにより、正確な容量の水をアノード気化器及びカソード気化器に送液する。燃料電池では、アノード排気及びカソード排気より水蒸気が回収されるので、燃料電池より回収された水蒸気を該加湿水タンクに導いて、消費量を補っても良い。加湿水中には、例えば凍結防止用の不凍液成分などの加湿以外の目的で添加される成分を含ませることも可能である。加湿水タンクの材料は特に制限されないが、高純度の水を保つものであることから、ガラス、セラミック、ステンレスなどが好ましい。
【0038】
第1及び第2の加湿水マイクロ送液ポンプとは、正確な容量の水、好ましくは純水を送液出来る小型液体ポンプである。マイクロ送液ポンプ自体は公知であり、市販のものを用いることが出来る。マスフローコントローラとは、正確な容量の搬送ガスを送ガス出来る小型ガスポンプである。水素ガスマスフローコントローラ、空気マスフローコントローラとは、正確な容量の水素ガス、空気を送ガス出来る小型ガスポンプである。マスフローコントローラ自体は公知であり、市販のものを用いることが出来る。
【0039】
アノード加湿系では、第1の加湿水マイクロ送液ポンプから送液された正確な容量の水と、水素ガスマスフローコントローラから送ガスされた正確な容量の水素ガスとを、アノード気化器で、気化、混合、調温して、所望量に加湿された水素ガスを燃料電池のセルスタックに供給する。
【0040】
同様に、カソード加湿系では、第2の加湿水マイクロ送液ポンプから送液された正確な容量の水と、空気マスフローコントローラから送ガスされた正確な容量の空気とを、カソード気化器で、気化、混合、調温して、所望量に加湿された空気を燃料電池のセルスタックに供給する。
【0041】
本発明の燃料電池用加湿装置のアノード気化器は、加熱蒸発部、混合部、及び調温部とから構成されることが好ましい。加熱蒸発部において、第1の加湿水マイクロ送液ポンプから送液されて来た正確な容量の水が気化されて水蒸気となる。気化された水蒸気と、水素ガスマスフローコントローラから送ガスされて来た正確な容量の水素ガスは、混合部において均一に混合され、計算通りの湿度を有する加湿水素ガスとなる。該加湿水素ガスは、調温部で正確に温度調節・温度保持され、セルスタックのアノードに導かれる。この際、温度を維持するため、アノード気化器はセルスタックと直結するか、これらの間をヒートホースなどを用いて保温すると良い。
【0042】
同様に、本発明の燃料電池用加湿装置のカソード気化器は、加熱蒸発部、混合部、及び調温部とから構成されることが好ましい。加熱蒸発部において、第2の加湿水マイクロ送液ポンプから送液されて来た正確な容量の水が気化されて水蒸気となる。気化された水蒸気と、空気マスフローコントローラから送ガスされて来た正確な容量の空気又は酸素ガスは、混合部において均一に混合され、計算通りの湿度を有する加湿空気又は酸素ガスとなる。該加湿空気又は酸素ガスは、調温部で正確に温度調節・温度保持され、セルスタックのカソードに導かれる。この際、温度を維持するため、カソード気化器はセルスタックと直結するか、これらの間をヒートホースなどを用いて保温すると良い。
【0043】
アノード気化器やカソード気化器の形状は限定されないが、加熱器を有する管状体であることが、構造の単純さ、性能、操作性などの点で好ましい。
【0044】
また、アノード気化器及び/又はカソード気化器の混合部が、内部にフィン又はスクリューを備えた管状体であると、混合性能が更に向上して好ましい。
【0045】
第3に、本発明は、セルスタックと、上記のアノード加湿系と、カソード加湿系とからなる加湿器からなる燃料電池である。ここで、燃料電池としては、水分の補給を必要とするものであり、固体高分子型燃料電池、リン酸型燃料電池、又はアルカリ型燃料電池が例示される。
【0046】
第4に、本発明は、セルスタックと、上記のアノード加湿系と、カソード加湿系とからなる燃料電池と、これらを制御する制御ユニットからなる燃料電池のガス・水管理システムである。
【0047】
ここで、制御ユニットは、セルスタックの負荷状況と温度に応じ、必要な水素ガス、空気又は酸素ガス、及び水の量を算出し、該アノード加湿系と、カソード加湿系を制御するものであることが出来る。制御ユニットにより一連の制御がなされ、セル温度・負荷状況に応じて必要なガス量、加湿水蒸気量、各加熱配管の温度の最適化がはかられる。
【0048】
本発明の燃料電池のガス・水管理システムでは、まず制御ユニットにて、セルスタックの負荷状況(電流−電圧値)、セル抵抗、排気ガス湿度、排水量などから、加湿量、と反応ガス流量、各加熱配管の温度を決定する。その加湿量とガス流量からアノード気化器の加熱蒸発部及びカソード気化器の加熱蒸発部における加熱度合いを算出する(水を水蒸気にするに必要十分な加熱度合い算出)。制御ユニットから、加熱蒸発部等の各ヒーター、第1及び第2の加湿水マイクロ送液ポンプ、水素ガスマスフローコントローラ、空気マスフローコントローラ等に信号が送られる。算出値通りの水蒸気と反応ガスが加熱蒸発部から混合部へ送り込まれ、十分に混合された後、調温部でガス温度が調整されてセルスタックヘと送り込まれる。
【0049】
ここで、ヒーターは、セルスタック部と加熱配管部にて独立温調し、加熱配管内部でも3部で独立温調されている。
【0050】
加熱蒸発部では、熱容量の大きな金属が構造材に使用され、温度センサーとヒーターが仕込まれている。投入された加湿水(液体)はここで加熱により全量水蒸気化される。混合部は、金属配管内がスクリュー状に切られており、混合ガスが配管内を通過する際に十分ミキシングされる構造となっている。調温部では加湿ガスの温度をセル温度近くまで調整する部分であり、概ねセルスタック温度プラス0〜10℃程度に加湿ガス温度を調整する。反応ガス供給はマスフローコントローラにより、精密な流量制御を行う。加湿水ポンプは、精密な液体マスフローあるいはプランジャー/ダイアフラムポンプにより、精密な送液を行う。
【0051】
本発明の燃料電池のガス・水管理システムにより、負荷変動等により、燃料電池の作動状況が変化した場合であっても、反応ガスを過不足なく加湿することができ、燃料電池の作動安定性を飛躍的に向上させることができる。
【0052】
また、反応ガスへの加湿は、正確に加湿されたアノード気化器やカソード気化器を用いて行われるので、エネルギーロスが少なく、始動性、応答性が向上する。さらに、アノード気化器やカソード気化器の低消費動力化も図られる。
【0053】
本発明の燃料電池のガス・水管理システムは、以上のような構成により、その時必要な量の加湿水を加熱蒸発部にて全量水蒸気とし、混合部及び調温部における、結露の発生や混合気体の不均一といった不具合は解消され、計算値どおりの加湿ガスがセルスタックへ送り込まれ。また、水から水蒸気へのエネルギー消費は、最小限である。さらに、高精度送液ポンプにより、精密な水量の水蒸気を発生させることができ、結露など湿度変動要因はなく、ガス湿度を高精度に制御可能である。さらに、大きな負荷変動へ対応でき、加湿水の送液ポンプ流量と加熱蒸発部ヒーター出力の制御をするのみで、至ってシンプルな系となる。しかも、加湿ゼロから大流量フル加湿まで瞬時に追従できる。全体的にも、システム的に簡便で精度にも優れるものである。
【0054】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0055】
図1に、第1の本発明である標準水蒸気発生装置の一例を示す。図1に示されるように、標準水蒸気発生装置は、大きく、第2の調圧器1、圧力計2、パージ弁3を備えた水容器4、マイクロ送液ポンプ5から構成される送液系と、第1の調圧器6、圧力計7、マスフローコントローラ8から構成される送ガス系と、気化器9とからなる。
【0056】
送液系は、基本的には、純水を入れた水容器4と、水容器4から、所望量の水を気化器9に送液するマイクロ送液ポンプ5からなるが、図1では、水容器4中の純水中に溶存する各種不純ガスを除去するために、搬送ガス、この場合は、不活性ガスであるヘリウムを用いてパージする。導入されるヘリウムガスの圧力を第2の調圧器1で圧力調整し、その圧力を圧力計2で計測し、水容器4に注入して、パージ弁3より外気へ放出する。こうして、水容器4中の純水中に溶存する各種不純ガスを除去した後、水容器4中の純水をマイクロ送液ポンプ5を用いて、正確な容量の純水を気化器9へ送液する。
【0057】
送ガス系は、搬送ガスであるヘリウムガスの圧力を調整する第1の調圧器6と、送ガス量を調整し所望量の搬送ガスを気化器9に送ガスするマスフローコントローラ8からなる。
【0058】
気化器9は、加熱蒸発部10、混合部11、及び調温部12とから構成されている。加熱蒸発部10において、送液系から送液されて来た正確な容量の水が気化されて水蒸気となる。気化された水蒸気と、送ガス系から送ガスされて来た正確な容量の搬送ガスは、混合部11において均一に混合され、計算通りの湿度を有する混合ガスとなる。該混合ガスは、調温部12で正確に温度調節・温度保持され、標準湿度の水蒸気となる。また、加熱蒸発部10、混合部11、及び調温部12とから構成される気化器の全体は、恒温槽13などの温度保持手段で外包されることが効果的である。さらに、生成された標準水蒸気の温度を維持するため、図示されないヒートホースなどを用い標準水蒸気発生装置外へ導くのが好ましい。
【0059】
本実施の形態では、搬送ガスとしてヘリウムガスを用いたが、これに制限されるものではなく、目的に応じて他の搬送ガスも用いられる。
【0060】
表1に、送液される純水量と送ガスされるヘリウムガス量、及び水分濃度(絶対湿度)をまとめた。
【表1】
【0061】
以下、本発明の標準水蒸気発生装置の構成において重要な要素を列記する。
▲1▼キャリアとなる搬送ガスは、マスフローコントローラにて正確に流量を計測すること。
▲2▼水のタンク(容器)は、例えば、耐圧ガラス製とし、水の残量が目視で確認できる構成とすると作業性が向上する。
▲3▼運転前に、不活性ガスにてバブリングし、空気など溶存するガス種を十分に追い出す。この作業では、図1のパージ弁を開にして不活性ガスをフローさせる。バブリングは、水に対する溶解性が最も低いHeガスにて行うのが望ましい。水のパージを行わないと、溶存したガスが気化した際に誤差の原因になる他、溶存したガスの微小な気泡が、少しずつ貯まり気泡が成長し、これらがある時送液ポンプに吸い込まれ、一時的に水の送液が滞ることがあり、精度上の問題となる。
▲4▼純水が入れられている容器は、パージ直後、不活性ガス(Heが望ましい)にて1.1〜3気圧程度の正圧を保ってパージ弁を閉じること。運転開始後に容器から純水が吸い上げられていくと、減った容積の分だけ圧力が下がっていく。容器内が負圧になると、送液に支障をきたすことがある。
▲5▼気化器は、概略、加熱した配管状であり、温度は200℃程度が好ましい。送り込まれた純水を完全に水蒸気にできるよう十分な熱容量を持ったもので、錆などが発生しない特殊鋼であることが望ましい。また、発生した水蒸気が全量確実に混合器へ流れるように、配管温度と同じ温度に加熱された搬送ガスの流れの中で水蒸気が発生するような構成とすることが好ましい。
▲6▼混合部では、搬送ガスと水蒸気が十分に均一に混合されるよう配慮しなければならない。一般的には、配管内をスクリュー状に溝を切ったりフィンを入れたりすることで、ガスは攪拌され均一に混ざる。搬送ガスの流量や種類も重要で、流量が少なすぎては精度に問題が出てくる。流量は500mL/分以上で、水蒸気量以下であることが望ましい。ガス種は、水に対する溶存が少ないという意味ではHeが望ましいが、キャリアガスでは必ずしもHeである必要はなく、He以外にAr、Ne、N2等も使える。ガスの混合という意味では、水の分子量(18)と近いほど混ざりやすいので、厳密な試験をする場合は特にそういったガスを使用することもできる。また、例えば燃料電池ガスの湿度評価などで厳密に条件を揃えたい場合は、キャリアガスとして水素や酸素を用いるといったことも可能である。
▲7▼送液ポンプは脈流が少なく、連続送液できるマイクロポンプを使用する。特にダブルプランジャータイプのものが推奨される。必要な水蒸気濃度に併せて送液ポンプを選択すれば良いが、流量正確さの問題もあるので、現在の技術では1μL/分以上の設定をすることが推奨される。
【0062】
図2に、第2および第3の本発明である燃料電池用加湿装置及び燃料電池のガス・水管理システムの一例を示す。
【0063】
図2に示されるように、アノード加湿系は、加湿水タンク14から導かれる第1の加湿水マイクロ送液ポンプ15と、水素ガスを送ガスする水素ガスマスフローコントローラ16と、該加湿水で該水素ガスを所望量に加湿するアノード気化器17からなる。また、アノード気化器17は、加熱蒸発部18、混合部19及び調熱部20からなる。アノード気化器17は、加熱蒸発部18において、第1の加湿水マイクロ送液ポンプ15から送液されて来た正確な容量の水が気化されて水蒸気となる。なお、加湿水タンク14中の水は高純度のものが好ましく、純水であればなお好ましい。また、加湿水タンク14中の水に不純物ガスが溶存していると、送液中に気化して、送液される水の体積を変動させるので、予め、不活性気体でパージしておくことが好ましい。これにより、第1の加湿水マイクロ送液ポンプ15の機能が十分達成される。気化された水蒸気と、水素ガスマスフローコントローラ16から送ガスされて来た正確な容量の水素ガスは、混合部19において均一に混合され、計算通りの湿度を有する加湿水素ガスとなる。該加湿水素ガスは、調温部20で正確に温度調節・温度保持され、セルスタック27のアノードに導かれる。
【0064】
カソード加湿系は、加湿水タンク14から導かれる第2の加湿水マイクロ送液ポンプ21と、空気又は酸素ガスを送ガスする空気マスフローコントローラ22と、該加湿水で該空気を所望量に加湿するカソード気化器23からなる。また、カソード気化器23は、加熱蒸発部24、混合部25及び調熱部26からなる。カソード気化器23は、加熱蒸発部24において、第2の加湿水マイクロ送液ポンプ21から送液されて来た正確な容量の水が気化されて水蒸気となる。気化された水蒸気と、空気マスフローコントローラ22から送ガスされて来た正確な容量の空気は、混合部25において均一に混合され、計算通りの湿度を有する加湿空気となる。該加湿空気は、調温部26で正確に温度調節・温度保持され、セルスタック27のカソードに導かれる。
【0065】
本発明の燃料電池のガス・水管理システムを具体的に説明する。アノード(燃料極)側とカソード(空気極)側では、加湿の目的が異なることから、アノード側の加湿量とカソード側の加湿量とは、個別に制御される。
【0066】
初めに、アノード側の加湿制御方法について説明する。燃料電池が作動中は、プロトンがアノード側からカソード側に移動する際、水分子も同時にカソード側に移動するので、アノード側は、特に水分量が不足する傾向にある。アノード側への加湿は、このプロトン移動により不足する水分量の供給を目的とするものである。水分子の移動量は、プロトン移動量、すなわち電流量に比例するので、加湿量を一定にしたまま燃料電池を高電流密度領域で作動させると、アノード側への供給水分量が相対的に不足する。アノード側への供給水分量が不足すると、電解質膜中の水分量不足を招き、電解質膜の抵抗増加及び電圧低下を引き起こす。さらに、水分量が不足した場合には、電池故障の原因となる。
【0067】
従って、アノード側は、燃料電池の作動状態、特に電流量に応じて加湿量を加減し、水蒸気を過不足なく供給することが重要である。
【0068】
次に、カソード側の加湿制御方法について説明する。カソード側への加湿は、始動時、乾燥状態にある電解質膜を速やかに加湿し、プロトンのスムーズな移動を補助することを目的とする。これは、燃料電池が停止している場合には、通常、電解質膜は乾燥状態にあるが、電解質膜が乾燥していると、燃料電池は、安定して始動しないためである。
【0069】
また、安定作動時は、カソード側では電極反応により水が生成するため、加湿は不要である。むしろ、高電流密度状態や供給ガス不足状態において、カソード側を加湿すると、生成水と供給加湿水及びガスの排出能力とのバランスによりフラッディングが発生する場合がある。フラッディングは、流路に発生した液体水によりガス閉塞を起こす現象であるが、ガス閉塞は、積層スタックの一部に発生するため、局所的に電池出力を低下させる原因となる。一方、高電流密度状態や供給ガス不足状態では、内部発熱(発電ロス)によりカソード側が乾燥傾向を示すことがある。この場合に適切な処置を行わないと、抵抗増加や電圧低下を引き起こし、さらに進むと電池故障の原因となる。
【0070】
従って、カソード側は、始動時には大量の加湿水分を供給し、電解質膜の湿潤を短時間で確保することが重要である。また、フラッディングを抑制するためには、安定作動時にはカソード側の加湿を行わず、カソード側に存在する水の気化除去を促進することが重要である。さらに、電極乾燥時には、カソード側に適切な加湿補給を行うことが重要となる。
【0071】
カソード側の加湿量を決定するパラメータとしては、電解質膜中の含水率を用いるとよい。含水率は、電池セル抵抗、作動温度、電流条件等を用いて算出する。
【0072】
以上のように、アノード側の加湿量とカソード側の加湿量を分離制御すれば、燃料電池の始動性、作動安定性の向上を図ることができる。
【0073】
なお、本発明は、電解質の含水状態の管理が必要なあらゆる燃料電池が対象となる。また、用途は、車載動力源、定置型の小型発電器等が具体例として挙げられるが、これらに限定されるものではない。以下に、車載動力源用の固体高分子型燃料電池に本発明を適用した例について説明する。
【0074】
【実施例】
これら加湿水タンク、アノード加湿系、カソード加湿系、セルスタック燃料電池セルから構成される燃料電池システムを組み、加湿した水素ガスをセルに供給した。供給したガスが理論値通りの水蒸気量かどうかを評価するため、加熱配管出口直後へ露点計センサーを入れ、温度・湿度を測定した。測定は水素側とし、加熱配管部の温度は加熱蒸発部18,24が200℃、混合部19,25が100℃、調温部20,26が80℃とした。水素マスフロー及び加湿水ポンプ(精密プランジャーポンプ)にて水素ガス・水を流した。流量は1L/min、20L/minの2条件とした。測定の結果、両条件ともに出ガスの温度は80℃で結露はみられなかった。また、図3及び図4に示した通り、投入した水量に対して良い直線性があり、さらに投入した水は全て水蒸気となって狙い通りの湿度のガスが得られた。
【0075】
【発明の効果】
本発明の標準水蒸気発生装置により、正確な容量の水が気化された水蒸気と、正確な容量の搬送ガスが、均一に混合され、計算通りの湿度を有する混合ガスとなる。該混合ガスは、標準湿度の水蒸気として、各種用途に導かれる。
【0076】
また、本発明の燃料電池用加湿装置は、バブラーを用いることなく、燃料電池に備えられる電解質に供給される反応ガスに正確に水蒸気を加えることが出来、エネルギーロスが少なく、応答性に優れ、始動性も向上するという効果がある。また、燃料電池の作動状況に応じて水蒸気を加えるので、大幅な負荷変動が生じた場合であっても、反応ガスを過不足なく加湿することができるという効果がある。
【0077】
さらに、本発明の燃料電池システム用ガス・水管理システムは、燃料電池の作動状態に応じて、添加される水蒸気の量が制御されるので、エネルギー効率、始動性、応答性を損なうことなく、燃料電池システムの作動安定性を飛躍的に向上させることが可能となるので、これを例えば車載動力源用の燃料電池システムに応用すれば、自動車の操作性や燃費の向上等に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の標準水蒸気発生装置の一例を示す構成図。
【図2】本発明の燃料電池用加湿器と燃料電池用ガス・水管理システムの一例を示す構成図。
【図3】実施例において、燃料電池への水投入量と加湿ガスの相対湿度の関係を示すグラフ。
【図4】実施例において、燃料電池への水投入量と加湿ガスの相対湿度の関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1:第2の調圧器、2:圧力計、3:パージ弁3、4:水容器、5:マイクロ送液ポンプ、6:第1の調圧器、7:圧力計、8:マスフローコントローラー、9:気化器、10:加熱蒸発部、11:混合部、12:調温部、13:恒温槽、14:加湿水タンク、15:第1の加湿水マイクロ送液ポンプ、16:水素ガスマスフローコントローラ、17:アノード気化器、18:加熱蒸発部、19:混合部、20:調熱部、21:第2の加湿水マイクロ送液ポンプ、22:空気マスフローコントローラ、23:カソード気化器、24:加熱蒸発部、25:混合部、26:調熱部、27:セルスタック、28:負荷。
【発明の属する技術分野】
本発明は、標準水蒸気発生器、燃料電池用加湿装置、及び燃料電池のガス・水管理システムに関する。さらに詳しくは、高精度に水蒸気濃度を調整できる標準水蒸気発生器に関するとともに、車載動力源あるいは定置型の小型発電器等に用いられる燃料電池に供給される加湿反応ガスの水蒸気量を高精度に加湿するための加湿装置、及び燃料電池における高精度のガス・水管理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
気体の濃度を正確に測定したい時、例えば、窒素や酸素等の場合の校正には、正確な濃度比がわかっている標準ガスボンベを使用するが、水蒸気は室温で当然液化するため標準のボンベなどというものはない。そこで、気体の湿度を正確に測定したい時、水蒸気量測定器の校正のために測定器に正確な量の水蒸気を供給する装置が求められる。
【0003】
従来は、水蒸気量の校正にバブラーを用いていた。バブラー法では原則的に、配管や、バブラーの内面の温度やガス温度、水温が常に均一に同じ温度でなければ理論濃度の水蒸気量を含んだガスは得られない。
【0004】
一方、燃料電池は、燃料の供給と反応生成物の排出とを連続的に行い、燃料の持つ化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する電池であり、発電効率が高いこと、大気汚染物質の放出量が少ないこと、騒音が少ないこと、規模を自由に選べること、等の特徴を有している。燃料電池は、使用する電解質の種類により、固体高分子型、リン酸型、アルカリ型、溶融炭酸塩型、固体酸化物型等に分類される。
【0005】
これらの燃料電池の中で、固体高分子型燃料電池、リン酸型燃料電池、及びアルカリ型燃料電池は、プロトンが燃料極から空気極に、又は水酸化物イオンが空気極から燃料極に移動することにより起電力を発生するものであり、電解質を正常に機能させるためには、電解質の含水状態の管理が必須である点で共通する。
【0006】
例えば、固体高分子型燃料電池は、電解質としてプロトン伝導性を有する固体高分子電解質膜が用いられる。具体的には、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)の商品名で知られるパーフルオロスルホン酸膜に代表されるフッ素系の電解質膜が一般に用いられる。
【0007】
フッ素系の電解質膜は、耐酸化性に優れ、湿潤状態で良好なプロトン伝導性を示すが、含水率が低下すると電気抵抗が高くなり、電解質として機能しなくなるという性質を有している。そのため、フッ素系の電解質膜は、通常、飽和含水状態で使用されている。
【0008】
しかし、固体高分子型燃料電池の作動温度は、80℃前後であるので、燃料電池が作動中に電解質膜から水分が蒸発し、電解質膜の含水率が徐々に低下する。また、プロトンが燃料極側から空気極側に移動する際、水分子も同時に移動するため、燃料極側は、特に乾燥しやすくなっている。これを放置すると電解質膜の電気抵抗が増大して発熱し、電池出力が低下したり、故障の原因となる。
【0009】
そのため、固体高分子型燃料電池においては、電解質膜の含水状態を適切に管理し、電解質を正常に機能させるために、ガス拡散電極に供給される反応ガスを加湿することが一般に行われている。
【0010】
また、リン酸型燃料電池は、SiCマトリックス中に濃厚なリン酸水溶液を含水させたものを電解質として用いる燃料電池であり、動作温度は、200℃前後である。さらに、アルカリ型燃料電池は、マトリックス型と自由電解液型があり、マトリックス型は、アスベストに濃度30〜45%の水酸化カリウム水溶液を含浸させたものを電解質として用いる燃料電池であり、動作温度は、100℃前後である。
【0011】
リン酸型燃料電池及びアルカリ型燃料電池においても同様に、電解質を正常に機能させるためには、電解質の含水状態を適切に管理する必要があり、出力電圧が低下したり、燃料電池の温度上昇が生じた場合には、反応ガスを加湿することが行われている。
【0012】
このように、特に固体高分子型燃料電池など、反応に水が関与してくるものでは、反応ガスのウォーターマネジメントが極めて重要であることは周知である。燃料電池の電解質膜にスルホン酸系のポリマーを用いたものは一般に、膜中に十分な量の水を補給することが必要であり、多くの実用燃料電池では両極に供給する反応ガスを加湿することにより膜に水を供給する手法を用いている。
【0013】
ガスの加湿方法は、最もメジャーなものがバブラーを用いたもの(バブラー法とする)で、温水タンクの中にガスをバブリングさせ、ガスを飽和水蒸気状態とするものである。また、水をスプレー状に噴霧したり(下記特許文献1)、超音波振動子やインジェクタといった機械的振動を与えることによる水の霧化(下記特許文献2、下記特許文献3)といった方式(微粒化(ミスト)法とする)にてセルスタックに水を供給するものもある。
【0014】
バブラー法では、温水中をガスがくぐる必要があるため、相当量の温水を常に沸かして保温しつつ貯めておかなければならず、非効率である。また、加湿水蒸気量を急に変動させたい要求があっても、温水の温度を急に変えることはできず、燃料電池の負荷変動に対して本質的に追従しにくいシステムとなっている。
【0015】
また、微粒化法は、必要量の水を必要なだけ霧化することができるが、燃料電池車に搭載されるような大きな負荷変動があるような系(0〜数100L/MINの範囲で変動供給される反応ガスを0〜100%RH範囲で湿度制御する系)では、追従性に難がある。具体的には、下記特許文献3では水を霧化する能力は霧化器1台では能力が限られており複数台数設置することによりこれを補う旨の記述がある。また、下記特許文献1では、水のノズル径が固定されており、大量の水をエアスプレーによって微粒化する際と、少量の場合とでは微粒化の促進度合いが異なるのは明らかで、均一な混合ガスが形成されるとは考えにくい。さらに先の微粒化法では、湿度管理・精度が不十分で、加湿ガスの結露や不均一を起こすことがある。具体的には、霧化器とセルスタックを接続するカス配管の結露防止について何ら対策されておらず、均一な加湿ガスが安定供給されるとは言い難い。
【0016】
このように、水蒸気により反応ガスを加湿する加湿装置は、▲1▼特に高湿度を付与する場合、供給途中で結露等が発生し、高精度で所望の湿度を付与することが不可能であった。即ち、加湿を行うに際し、供給対象物(燃料電池の場合はスタック)温度、配管に関係なく水蒸気を供給する必要があった。
【0017】
また、▲2▼水蒸気を発生させるための消費エネルギーが大きく、燃料電池の発電効率を低下させる原因となっている。しかも、燃料電池の作動中は、水源を高温に維持し、常に水蒸気を発生させておく必要があるので、未消費の水分量に対しても加熱が必要となり、エネルギーロスがさらに大きくなるという問題がある。
【0018】
また、▲3▼常に水蒸気を発生させるために、容量の大きな加湿タンクが必要となるが、大容量の加湿タンクは、熱容量が大きくなるので、温度変更に対する時定数が大きくなる。そのため、加湿タンクの温度を所定の温度まで昇温させるのに長時間を要し、始動性に問題がある。
【0019】
さらに、▲4▼温度変更に対する時定数が大きいために、応答性が悪く、過渡制御が困難である。すなわち、負荷が急激に変動して大量の反応ガスが必要になり、これに伴い大量の水蒸気が必要となった場合には、加湿量を急激に増加させることができないので、電解質中の水分量が不足し、出力が低下する。また逆に、電極に過剰の水蒸気が送られた場合には、ガス流路が液体水で閉塞する、いわゆるフラッディングが生じて出力が低下し、燃料電池の作動状態が不安定になるという問題がある。特に、空気極側は、電極反応により水が生成するので、フラッディングが生じやすくなっている。
【0020】
これに対し、微粒化法により反応ガスを加湿する加湿装置によれば、噴霧ノズルあるいは超音波振動子で消費される電力は僅かであり、効率的である。また、水の微粒化は、水温の上昇を待つ必要がないので、始動性に問題はない。さらに、加湿量の増減は、水温によらず制御可能であるので、高応答性である。
【0021】
しかしながら、▲1▼噴霧ノズルあるいは超音波振動子を用いたミスト加湿器の場合であっても、燃料電池を安定して作動させるためには、反応ガスへのミスト添加量を負荷変動に対応して連続的に変化させる必要があるが、負荷変動に応じてミスト添加量を連続的に変化させることが困難である。
【0022】
また、▲2▼噴霧ノズルあるいは超音波振動子は、ミストを供給する能力の制御範囲が小さく、ミスト添加量を大幅に変更することはできない。例えば、噴霧ノズルを用いてミスト化する方法の場合、反応ガスへのミスト添加量は、一次空気流量により制御することができる。しかし、一次空気流量には最小流量が存在し、一次空気流量が低すぎると、ミストの粒子径が大きくなりすぎて電極を濡らしたり、あるいはノズル先端から水が流れ落ち、ミスト化が困難になる。
【0023】
また、▲3▼超音波振動子を用いてミスト化する方法の場合、ミスト放出のための最小電圧がフル電圧の80%に近いため、超音波振動子への入力電圧を制御するだけでは、連続的に変化する負荷に対応して、ミスト供給量を大幅に変化させるには限界がある。
【0024】
さらに、▲4▼燃料ガスとしてメタノール改質ガスを用いる場合には、通常は、電極触媒の触媒毒となる一酸化炭素を低減するために、S/C比(投入水蒸気モル数/投入燃料中の炭素モル数)の高い条件下で改質反応が行われており、その結果として、改質ガス中には多量の水蒸気が含まれている。しかしながら、出力を増加させるために燃料供給量を急激に増加したい時などには、意図的にS/C比を下げる場合があり、その場合には、改質ガス中に含まれる水蒸気量は減少する。そのため、出力電力に比例して燃料極側への加湿量を決定するだけでは、燃料極側の加湿量が不足したり、あるいは過剰となり、電解質の水管理が十分に行えない場合がある。
【0025】
【特許文献1】
特開平8−222254号公報
【特許文献2】
特開平7−263010号公報
【特許文献3】
特開2000−82480号公報
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、気体の湿度を正確に測定したい時、水蒸気量測定器の校正のために測定器に正確な量の水蒸気を供給する加湿装置を提供することにある。
【0027】
又、本発明が解決しようとする他の課題は、電解質の含水状態の高精度な管理が必要な燃料電池に用いられ、エネルギー効率、応答性及び始動性の低下を伴うことなく、負荷変動に対応して反応ガスを過不足なく加湿することができ、これにより燃料電池の作動安定性を飛躍的に向上させることが可能な燃料電池用加湿装置を提供することにある。
【0028】
更に、本発明が解決しようとする他の課題は、過不足なく燃料ガスへの加湿を行うことができ、これにより燃料電池の作動安定性を飛躍的に向上させることが可能な燃料電池システムのガス・水管理システムを提供することにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、特定の送液機構と送ガス機構と気化器を採用することによって、バブラーやミスト加湿器を用いずに上記課題を解決することを見出し、本発明に到達した。
【0030】
即ち、第1に、本発明は、水を入れた容器と、所望量の水を気化器に送液するマイクロ送液ポンプからなる送液系と、搬送ガス圧力を調整する第1の調圧器と、送ガス量を調整し所望量の搬送ガスを気化器に送ガスするマスフローコントローラからなる送ガス系を有する標準水蒸気発生装置である。
【0031】
ここで、水を入れた容器は、ガラス製などの瓶や、ステンレス製などの金属容器が好ましく用いられ、容器には純水などの高純度の水が入れられる。マイクロ送液ポンプとは、正確な容量の水、好ましくは純水を送液出来る小型液体ポンプである。マイクロ送液ポンプ自体は公知であり、市販のものを用いることが出来る。マスフローコントローラとは、正確な容量の搬送ガスを送ガス出来る小型ガスポンプである。マスフローコントローラ自体は公知であり、市販のものを用いることが出来る。
【0032】
本発明の標準水蒸気発生装置の気化器は、加熱蒸発部、混合部、及び調温部とから構成されることが好ましい。加熱蒸発部において、送液系から送液されて来た正確な容量の水が気化されて水蒸気となる。気化された水蒸気と、送ガス系から送ガスされて来た正確な容量の搬送ガスは、混合部において均一に混合され、計算通りの湿度を有する混合ガスとなる。該混合ガスは、調温部で正確に温度調節・温度保持され、標準湿度の水蒸気として、各種用途に導かれる。この際、温度を維持するため、ヒートホースなどを用いると良い。また、加熱蒸発部、混合部、及び調温部とから構成される気化器の全体は、恒温槽などの温度保持手段で外包されることが効果的である。
【0033】
用いられる搬送ガスとしては制限されず、目的とする湿度のガスによって、ガスの種類も選択される。この中で、標準水蒸気発生装置としては、ヘリウム、アルゴン、窒素ガスなどの不活性ガスが好ましく、安価ということで特に窒素が好ましい。また、本発明の標準水蒸気発生装置を燃料電池の加湿器の各種条件を検討するのに用いるのであれば、水素ガス、酸素ガス、又は空気を用いることが出来る。
【0034】
本発明では、送液系は、純水中に溶存する不純ガスを十分に脱気することが好ましい。このため、送液系は、バブリングのための搬送ガス圧力を調整する第2の調圧器を有するとともに、容器がパージ弁を有することが好ましい。
【0035】
本発明の標準水蒸気発生装置は、十分に脱気した純水を、脈流が極めて少ないマイクロ送液ポンプで正確な量の水を気化器に送り込み、全量を気化させ、搬送ガスと水蒸気を混合器で均一なガスとして加熱配管を通して分析器に送り込むもの。水蒸気量を液体の状態で正確に定量し、それを気化器に送り込むため、水蒸気の量が正確に計算できる。搬送ガスの流量と送り込む水の量からガスの水分濃度を算出することが出来る。
【0036】
第2に、本発明は、加湿水タンクと、第1の加湿水マイクロ送液ポンプと、水素ガスを送ガスする水素ガスマスフローコントローラと、該加湿水で該水素ガスを所望量に加湿するアノード気化器からなるアノード加湿系と、該加湿水タンクと、第2の加湿水マイクロ送液ポンプと、空気を送ガスする空気マスフローコントローラと、該加湿水で該空気を所望量に加湿するカソード気化器からなるカソード加湿系を有する燃料電池用加湿装置である。
【0037】
ここで、加湿水タンクは、水、好ましくは純水を溜めた一定容量のタンクであり、第1の加湿水マイクロ送液ポンプと第2の加湿水マイクロ送液ポンプにより、正確な容量の水をアノード気化器及びカソード気化器に送液する。燃料電池では、アノード排気及びカソード排気より水蒸気が回収されるので、燃料電池より回収された水蒸気を該加湿水タンクに導いて、消費量を補っても良い。加湿水中には、例えば凍結防止用の不凍液成分などの加湿以外の目的で添加される成分を含ませることも可能である。加湿水タンクの材料は特に制限されないが、高純度の水を保つものであることから、ガラス、セラミック、ステンレスなどが好ましい。
【0038】
第1及び第2の加湿水マイクロ送液ポンプとは、正確な容量の水、好ましくは純水を送液出来る小型液体ポンプである。マイクロ送液ポンプ自体は公知であり、市販のものを用いることが出来る。マスフローコントローラとは、正確な容量の搬送ガスを送ガス出来る小型ガスポンプである。水素ガスマスフローコントローラ、空気マスフローコントローラとは、正確な容量の水素ガス、空気を送ガス出来る小型ガスポンプである。マスフローコントローラ自体は公知であり、市販のものを用いることが出来る。
【0039】
アノード加湿系では、第1の加湿水マイクロ送液ポンプから送液された正確な容量の水と、水素ガスマスフローコントローラから送ガスされた正確な容量の水素ガスとを、アノード気化器で、気化、混合、調温して、所望量に加湿された水素ガスを燃料電池のセルスタックに供給する。
【0040】
同様に、カソード加湿系では、第2の加湿水マイクロ送液ポンプから送液された正確な容量の水と、空気マスフローコントローラから送ガスされた正確な容量の空気とを、カソード気化器で、気化、混合、調温して、所望量に加湿された空気を燃料電池のセルスタックに供給する。
【0041】
本発明の燃料電池用加湿装置のアノード気化器は、加熱蒸発部、混合部、及び調温部とから構成されることが好ましい。加熱蒸発部において、第1の加湿水マイクロ送液ポンプから送液されて来た正確な容量の水が気化されて水蒸気となる。気化された水蒸気と、水素ガスマスフローコントローラから送ガスされて来た正確な容量の水素ガスは、混合部において均一に混合され、計算通りの湿度を有する加湿水素ガスとなる。該加湿水素ガスは、調温部で正確に温度調節・温度保持され、セルスタックのアノードに導かれる。この際、温度を維持するため、アノード気化器はセルスタックと直結するか、これらの間をヒートホースなどを用いて保温すると良い。
【0042】
同様に、本発明の燃料電池用加湿装置のカソード気化器は、加熱蒸発部、混合部、及び調温部とから構成されることが好ましい。加熱蒸発部において、第2の加湿水マイクロ送液ポンプから送液されて来た正確な容量の水が気化されて水蒸気となる。気化された水蒸気と、空気マスフローコントローラから送ガスされて来た正確な容量の空気又は酸素ガスは、混合部において均一に混合され、計算通りの湿度を有する加湿空気又は酸素ガスとなる。該加湿空気又は酸素ガスは、調温部で正確に温度調節・温度保持され、セルスタックのカソードに導かれる。この際、温度を維持するため、カソード気化器はセルスタックと直結するか、これらの間をヒートホースなどを用いて保温すると良い。
【0043】
アノード気化器やカソード気化器の形状は限定されないが、加熱器を有する管状体であることが、構造の単純さ、性能、操作性などの点で好ましい。
【0044】
また、アノード気化器及び/又はカソード気化器の混合部が、内部にフィン又はスクリューを備えた管状体であると、混合性能が更に向上して好ましい。
【0045】
第3に、本発明は、セルスタックと、上記のアノード加湿系と、カソード加湿系とからなる加湿器からなる燃料電池である。ここで、燃料電池としては、水分の補給を必要とするものであり、固体高分子型燃料電池、リン酸型燃料電池、又はアルカリ型燃料電池が例示される。
【0046】
第4に、本発明は、セルスタックと、上記のアノード加湿系と、カソード加湿系とからなる燃料電池と、これらを制御する制御ユニットからなる燃料電池のガス・水管理システムである。
【0047】
ここで、制御ユニットは、セルスタックの負荷状況と温度に応じ、必要な水素ガス、空気又は酸素ガス、及び水の量を算出し、該アノード加湿系と、カソード加湿系を制御するものであることが出来る。制御ユニットにより一連の制御がなされ、セル温度・負荷状況に応じて必要なガス量、加湿水蒸気量、各加熱配管の温度の最適化がはかられる。
【0048】
本発明の燃料電池のガス・水管理システムでは、まず制御ユニットにて、セルスタックの負荷状況(電流−電圧値)、セル抵抗、排気ガス湿度、排水量などから、加湿量、と反応ガス流量、各加熱配管の温度を決定する。その加湿量とガス流量からアノード気化器の加熱蒸発部及びカソード気化器の加熱蒸発部における加熱度合いを算出する(水を水蒸気にするに必要十分な加熱度合い算出)。制御ユニットから、加熱蒸発部等の各ヒーター、第1及び第2の加湿水マイクロ送液ポンプ、水素ガスマスフローコントローラ、空気マスフローコントローラ等に信号が送られる。算出値通りの水蒸気と反応ガスが加熱蒸発部から混合部へ送り込まれ、十分に混合された後、調温部でガス温度が調整されてセルスタックヘと送り込まれる。
【0049】
ここで、ヒーターは、セルスタック部と加熱配管部にて独立温調し、加熱配管内部でも3部で独立温調されている。
【0050】
加熱蒸発部では、熱容量の大きな金属が構造材に使用され、温度センサーとヒーターが仕込まれている。投入された加湿水(液体)はここで加熱により全量水蒸気化される。混合部は、金属配管内がスクリュー状に切られており、混合ガスが配管内を通過する際に十分ミキシングされる構造となっている。調温部では加湿ガスの温度をセル温度近くまで調整する部分であり、概ねセルスタック温度プラス0〜10℃程度に加湿ガス温度を調整する。反応ガス供給はマスフローコントローラにより、精密な流量制御を行う。加湿水ポンプは、精密な液体マスフローあるいはプランジャー/ダイアフラムポンプにより、精密な送液を行う。
【0051】
本発明の燃料電池のガス・水管理システムにより、負荷変動等により、燃料電池の作動状況が変化した場合であっても、反応ガスを過不足なく加湿することができ、燃料電池の作動安定性を飛躍的に向上させることができる。
【0052】
また、反応ガスへの加湿は、正確に加湿されたアノード気化器やカソード気化器を用いて行われるので、エネルギーロスが少なく、始動性、応答性が向上する。さらに、アノード気化器やカソード気化器の低消費動力化も図られる。
【0053】
本発明の燃料電池のガス・水管理システムは、以上のような構成により、その時必要な量の加湿水を加熱蒸発部にて全量水蒸気とし、混合部及び調温部における、結露の発生や混合気体の不均一といった不具合は解消され、計算値どおりの加湿ガスがセルスタックへ送り込まれ。また、水から水蒸気へのエネルギー消費は、最小限である。さらに、高精度送液ポンプにより、精密な水量の水蒸気を発生させることができ、結露など湿度変動要因はなく、ガス湿度を高精度に制御可能である。さらに、大きな負荷変動へ対応でき、加湿水の送液ポンプ流量と加熱蒸発部ヒーター出力の制御をするのみで、至ってシンプルな系となる。しかも、加湿ゼロから大流量フル加湿まで瞬時に追従できる。全体的にも、システム的に簡便で精度にも優れるものである。
【0054】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0055】
図1に、第1の本発明である標準水蒸気発生装置の一例を示す。図1に示されるように、標準水蒸気発生装置は、大きく、第2の調圧器1、圧力計2、パージ弁3を備えた水容器4、マイクロ送液ポンプ5から構成される送液系と、第1の調圧器6、圧力計7、マスフローコントローラ8から構成される送ガス系と、気化器9とからなる。
【0056】
送液系は、基本的には、純水を入れた水容器4と、水容器4から、所望量の水を気化器9に送液するマイクロ送液ポンプ5からなるが、図1では、水容器4中の純水中に溶存する各種不純ガスを除去するために、搬送ガス、この場合は、不活性ガスであるヘリウムを用いてパージする。導入されるヘリウムガスの圧力を第2の調圧器1で圧力調整し、その圧力を圧力計2で計測し、水容器4に注入して、パージ弁3より外気へ放出する。こうして、水容器4中の純水中に溶存する各種不純ガスを除去した後、水容器4中の純水をマイクロ送液ポンプ5を用いて、正確な容量の純水を気化器9へ送液する。
【0057】
送ガス系は、搬送ガスであるヘリウムガスの圧力を調整する第1の調圧器6と、送ガス量を調整し所望量の搬送ガスを気化器9に送ガスするマスフローコントローラ8からなる。
【0058】
気化器9は、加熱蒸発部10、混合部11、及び調温部12とから構成されている。加熱蒸発部10において、送液系から送液されて来た正確な容量の水が気化されて水蒸気となる。気化された水蒸気と、送ガス系から送ガスされて来た正確な容量の搬送ガスは、混合部11において均一に混合され、計算通りの湿度を有する混合ガスとなる。該混合ガスは、調温部12で正確に温度調節・温度保持され、標準湿度の水蒸気となる。また、加熱蒸発部10、混合部11、及び調温部12とから構成される気化器の全体は、恒温槽13などの温度保持手段で外包されることが効果的である。さらに、生成された標準水蒸気の温度を維持するため、図示されないヒートホースなどを用い標準水蒸気発生装置外へ導くのが好ましい。
【0059】
本実施の形態では、搬送ガスとしてヘリウムガスを用いたが、これに制限されるものではなく、目的に応じて他の搬送ガスも用いられる。
【0060】
表1に、送液される純水量と送ガスされるヘリウムガス量、及び水分濃度(絶対湿度)をまとめた。
【表1】
【0061】
以下、本発明の標準水蒸気発生装置の構成において重要な要素を列記する。
▲1▼キャリアとなる搬送ガスは、マスフローコントローラにて正確に流量を計測すること。
▲2▼水のタンク(容器)は、例えば、耐圧ガラス製とし、水の残量が目視で確認できる構成とすると作業性が向上する。
▲3▼運転前に、不活性ガスにてバブリングし、空気など溶存するガス種を十分に追い出す。この作業では、図1のパージ弁を開にして不活性ガスをフローさせる。バブリングは、水に対する溶解性が最も低いHeガスにて行うのが望ましい。水のパージを行わないと、溶存したガスが気化した際に誤差の原因になる他、溶存したガスの微小な気泡が、少しずつ貯まり気泡が成長し、これらがある時送液ポンプに吸い込まれ、一時的に水の送液が滞ることがあり、精度上の問題となる。
▲4▼純水が入れられている容器は、パージ直後、不活性ガス(Heが望ましい)にて1.1〜3気圧程度の正圧を保ってパージ弁を閉じること。運転開始後に容器から純水が吸い上げられていくと、減った容積の分だけ圧力が下がっていく。容器内が負圧になると、送液に支障をきたすことがある。
▲5▼気化器は、概略、加熱した配管状であり、温度は200℃程度が好ましい。送り込まれた純水を完全に水蒸気にできるよう十分な熱容量を持ったもので、錆などが発生しない特殊鋼であることが望ましい。また、発生した水蒸気が全量確実に混合器へ流れるように、配管温度と同じ温度に加熱された搬送ガスの流れの中で水蒸気が発生するような構成とすることが好ましい。
▲6▼混合部では、搬送ガスと水蒸気が十分に均一に混合されるよう配慮しなければならない。一般的には、配管内をスクリュー状に溝を切ったりフィンを入れたりすることで、ガスは攪拌され均一に混ざる。搬送ガスの流量や種類も重要で、流量が少なすぎては精度に問題が出てくる。流量は500mL/分以上で、水蒸気量以下であることが望ましい。ガス種は、水に対する溶存が少ないという意味ではHeが望ましいが、キャリアガスでは必ずしもHeである必要はなく、He以外にAr、Ne、N2等も使える。ガスの混合という意味では、水の分子量(18)と近いほど混ざりやすいので、厳密な試験をする場合は特にそういったガスを使用することもできる。また、例えば燃料電池ガスの湿度評価などで厳密に条件を揃えたい場合は、キャリアガスとして水素や酸素を用いるといったことも可能である。
▲7▼送液ポンプは脈流が少なく、連続送液できるマイクロポンプを使用する。特にダブルプランジャータイプのものが推奨される。必要な水蒸気濃度に併せて送液ポンプを選択すれば良いが、流量正確さの問題もあるので、現在の技術では1μL/分以上の設定をすることが推奨される。
【0062】
図2に、第2および第3の本発明である燃料電池用加湿装置及び燃料電池のガス・水管理システムの一例を示す。
【0063】
図2に示されるように、アノード加湿系は、加湿水タンク14から導かれる第1の加湿水マイクロ送液ポンプ15と、水素ガスを送ガスする水素ガスマスフローコントローラ16と、該加湿水で該水素ガスを所望量に加湿するアノード気化器17からなる。また、アノード気化器17は、加熱蒸発部18、混合部19及び調熱部20からなる。アノード気化器17は、加熱蒸発部18において、第1の加湿水マイクロ送液ポンプ15から送液されて来た正確な容量の水が気化されて水蒸気となる。なお、加湿水タンク14中の水は高純度のものが好ましく、純水であればなお好ましい。また、加湿水タンク14中の水に不純物ガスが溶存していると、送液中に気化して、送液される水の体積を変動させるので、予め、不活性気体でパージしておくことが好ましい。これにより、第1の加湿水マイクロ送液ポンプ15の機能が十分達成される。気化された水蒸気と、水素ガスマスフローコントローラ16から送ガスされて来た正確な容量の水素ガスは、混合部19において均一に混合され、計算通りの湿度を有する加湿水素ガスとなる。該加湿水素ガスは、調温部20で正確に温度調節・温度保持され、セルスタック27のアノードに導かれる。
【0064】
カソード加湿系は、加湿水タンク14から導かれる第2の加湿水マイクロ送液ポンプ21と、空気又は酸素ガスを送ガスする空気マスフローコントローラ22と、該加湿水で該空気を所望量に加湿するカソード気化器23からなる。また、カソード気化器23は、加熱蒸発部24、混合部25及び調熱部26からなる。カソード気化器23は、加熱蒸発部24において、第2の加湿水マイクロ送液ポンプ21から送液されて来た正確な容量の水が気化されて水蒸気となる。気化された水蒸気と、空気マスフローコントローラ22から送ガスされて来た正確な容量の空気は、混合部25において均一に混合され、計算通りの湿度を有する加湿空気となる。該加湿空気は、調温部26で正確に温度調節・温度保持され、セルスタック27のカソードに導かれる。
【0065】
本発明の燃料電池のガス・水管理システムを具体的に説明する。アノード(燃料極)側とカソード(空気極)側では、加湿の目的が異なることから、アノード側の加湿量とカソード側の加湿量とは、個別に制御される。
【0066】
初めに、アノード側の加湿制御方法について説明する。燃料電池が作動中は、プロトンがアノード側からカソード側に移動する際、水分子も同時にカソード側に移動するので、アノード側は、特に水分量が不足する傾向にある。アノード側への加湿は、このプロトン移動により不足する水分量の供給を目的とするものである。水分子の移動量は、プロトン移動量、すなわち電流量に比例するので、加湿量を一定にしたまま燃料電池を高電流密度領域で作動させると、アノード側への供給水分量が相対的に不足する。アノード側への供給水分量が不足すると、電解質膜中の水分量不足を招き、電解質膜の抵抗増加及び電圧低下を引き起こす。さらに、水分量が不足した場合には、電池故障の原因となる。
【0067】
従って、アノード側は、燃料電池の作動状態、特に電流量に応じて加湿量を加減し、水蒸気を過不足なく供給することが重要である。
【0068】
次に、カソード側の加湿制御方法について説明する。カソード側への加湿は、始動時、乾燥状態にある電解質膜を速やかに加湿し、プロトンのスムーズな移動を補助することを目的とする。これは、燃料電池が停止している場合には、通常、電解質膜は乾燥状態にあるが、電解質膜が乾燥していると、燃料電池は、安定して始動しないためである。
【0069】
また、安定作動時は、カソード側では電極反応により水が生成するため、加湿は不要である。むしろ、高電流密度状態や供給ガス不足状態において、カソード側を加湿すると、生成水と供給加湿水及びガスの排出能力とのバランスによりフラッディングが発生する場合がある。フラッディングは、流路に発生した液体水によりガス閉塞を起こす現象であるが、ガス閉塞は、積層スタックの一部に発生するため、局所的に電池出力を低下させる原因となる。一方、高電流密度状態や供給ガス不足状態では、内部発熱(発電ロス)によりカソード側が乾燥傾向を示すことがある。この場合に適切な処置を行わないと、抵抗増加や電圧低下を引き起こし、さらに進むと電池故障の原因となる。
【0070】
従って、カソード側は、始動時には大量の加湿水分を供給し、電解質膜の湿潤を短時間で確保することが重要である。また、フラッディングを抑制するためには、安定作動時にはカソード側の加湿を行わず、カソード側に存在する水の気化除去を促進することが重要である。さらに、電極乾燥時には、カソード側に適切な加湿補給を行うことが重要となる。
【0071】
カソード側の加湿量を決定するパラメータとしては、電解質膜中の含水率を用いるとよい。含水率は、電池セル抵抗、作動温度、電流条件等を用いて算出する。
【0072】
以上のように、アノード側の加湿量とカソード側の加湿量を分離制御すれば、燃料電池の始動性、作動安定性の向上を図ることができる。
【0073】
なお、本発明は、電解質の含水状態の管理が必要なあらゆる燃料電池が対象となる。また、用途は、車載動力源、定置型の小型発電器等が具体例として挙げられるが、これらに限定されるものではない。以下に、車載動力源用の固体高分子型燃料電池に本発明を適用した例について説明する。
【0074】
【実施例】
これら加湿水タンク、アノード加湿系、カソード加湿系、セルスタック燃料電池セルから構成される燃料電池システムを組み、加湿した水素ガスをセルに供給した。供給したガスが理論値通りの水蒸気量かどうかを評価するため、加熱配管出口直後へ露点計センサーを入れ、温度・湿度を測定した。測定は水素側とし、加熱配管部の温度は加熱蒸発部18,24が200℃、混合部19,25が100℃、調温部20,26が80℃とした。水素マスフロー及び加湿水ポンプ(精密プランジャーポンプ)にて水素ガス・水を流した。流量は1L/min、20L/minの2条件とした。測定の結果、両条件ともに出ガスの温度は80℃で結露はみられなかった。また、図3及び図4に示した通り、投入した水量に対して良い直線性があり、さらに投入した水は全て水蒸気となって狙い通りの湿度のガスが得られた。
【0075】
【発明の効果】
本発明の標準水蒸気発生装置により、正確な容量の水が気化された水蒸気と、正確な容量の搬送ガスが、均一に混合され、計算通りの湿度を有する混合ガスとなる。該混合ガスは、標準湿度の水蒸気として、各種用途に導かれる。
【0076】
また、本発明の燃料電池用加湿装置は、バブラーを用いることなく、燃料電池に備えられる電解質に供給される反応ガスに正確に水蒸気を加えることが出来、エネルギーロスが少なく、応答性に優れ、始動性も向上するという効果がある。また、燃料電池の作動状況に応じて水蒸気を加えるので、大幅な負荷変動が生じた場合であっても、反応ガスを過不足なく加湿することができるという効果がある。
【0077】
さらに、本発明の燃料電池システム用ガス・水管理システムは、燃料電池の作動状態に応じて、添加される水蒸気の量が制御されるので、エネルギー効率、始動性、応答性を損なうことなく、燃料電池システムの作動安定性を飛躍的に向上させることが可能となるので、これを例えば車載動力源用の燃料電池システムに応用すれば、自動車の操作性や燃費の向上等に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の標準水蒸気発生装置の一例を示す構成図。
【図2】本発明の燃料電池用加湿器と燃料電池用ガス・水管理システムの一例を示す構成図。
【図3】実施例において、燃料電池への水投入量と加湿ガスの相対湿度の関係を示すグラフ。
【図4】実施例において、燃料電池への水投入量と加湿ガスの相対湿度の関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1:第2の調圧器、2:圧力計、3:パージ弁3、4:水容器、5:マイクロ送液ポンプ、6:第1の調圧器、7:圧力計、8:マスフローコントローラー、9:気化器、10:加熱蒸発部、11:混合部、12:調温部、13:恒温槽、14:加湿水タンク、15:第1の加湿水マイクロ送液ポンプ、16:水素ガスマスフローコントローラ、17:アノード気化器、18:加熱蒸発部、19:混合部、20:調熱部、21:第2の加湿水マイクロ送液ポンプ、22:空気マスフローコントローラ、23:カソード気化器、24:加熱蒸発部、25:混合部、26:調熱部、27:セルスタック、28:負荷。
Claims (13)
- 水を入れた容器と、所望量の水を気化器に送液するマイクロ送液ポンプからなる送液系と、搬送ガス圧力を調整する第1の調圧器と、送ガス量を調整し所望量の搬送ガスを気化器に送ガスするマスフローコントローラからなる送ガス系を有する標準水蒸気発生装置。
- 気化器は、加熱蒸発部、混合部、及び調温部とからなることを特徴とする請求項1に記載の標準水蒸気発生装置。
- 搬送ガスが、不活性ガス、水素ガス、酸素ガス、又は空気であることを特徴とする請求項1又は2に記載の標準水蒸気発生装置。
- 送液系は、バブリングのための搬送ガス圧力を調整する第2の調圧器を有し、容器がパージ弁を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の標準水蒸気発生装置。
- 加湿水タンクと、第1の加湿水マイクロ送液ポンプと、水素ガスを送ガスする水素ガスマスフローコントローラと、該加湿水で該水素ガスを所望量に加湿するアノード気化器からなるアノード加湿系と、該加湿水タンクと、第2の加湿水マイクロ送液ポンプと、空気を送ガスする空気マスフローコントローラと、該加湿水で該空気を所望量に加湿するカソード気化器からなるカソード加湿系を有する燃料電池用加湿装置。
- アノード気化器が、加熱蒸発部、混合部、及び調温部とからなることを特徴とする請求項5に記載の燃料電池用加湿装置。
- カソード気化器が、加熱蒸発部、混合部、及び調温部とからなることを特徴とする請求項5又は6に記載の燃料電池用加湿装置。
- アノード気化器及び/又はカソード気化器が、加熱器を有する管状体であることを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の燃料電池用加湿装置。
- アノード気化器及び/又はカソード気化器の混合部が、内部にフィン又はスクリューを備えた管状体であることを特徴とする請求項5乃至8のいずれかに記載の燃料電池用加湿装置。
- セルスタックと、請求項5乃至9のいずれかに記載のアノード加湿系と、カソード加湿系とからなる燃料電池。
- 燃料電池は、固体高分子型燃料電池、リン酸型燃料電池、又はアルカリ型燃料電池であることを特徴とする請求項10に記載の燃料電池。
- セルスタックと、請求項5乃至9のいずれかに記載のアノード加湿系と、カソード加湿系とからなる燃料電池と、これらを制御する制御ユニットからなる燃料電池のガス・水管理システム。
- 制御ユニットは、セルスタックの負荷状況と温度に応じ、必要な水素ガス、空気又は酸素ガス、及び水の量を算出し、該アノード加湿系と、カソード加湿系を制御するものであることを特徴とする請求項12に記載の燃料電池のガス・水管理システム。
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