JP2004219853A - 定着ベルト - Google Patents
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Abstract
【課題】電子写真方式の複写機、プリンタ等の画像形成装置に使用する定着ベルトであって、耐久性、耐熱性、トナー離型性、微細なトナーに対応可能な平滑性に優れる定着ベルトを提供する。
【解決手段】単一層からなる定着ベルトを、式(1)で表される構成単位を有するポリシロキサン成分、及び式(2)で表されるポリアミック酸成分、または該ポリアミック酸を加熱して脱水閉環して得られるポリイミド樹脂成分を含有しているポリイミドシリコーン樹脂前駆体組成物から得られるポリイミドシリコーン樹脂を使用して製造する。
〔式中、Rは、炭素数10以下の一価の有機基、R1は、水素原子または炭素数10以下の一価の有機基、mは、3以上の整数である。
Xは、4価の有機基、Yは、2価の有機基、nは、1以上の整数である〕
【選択図】なし
【解決手段】単一層からなる定着ベルトを、式(1)で表される構成単位を有するポリシロキサン成分、及び式(2)で表されるポリアミック酸成分、または該ポリアミック酸を加熱して脱水閉環して得られるポリイミド樹脂成分を含有しているポリイミドシリコーン樹脂前駆体組成物から得られるポリイミドシリコーン樹脂を使用して製造する。
〔式中、Rは、炭素数10以下の一価の有機基、R1は、水素原子または炭素数10以下の一価の有機基、mは、3以上の整数である。
Xは、4価の有機基、Yは、2価の有機基、nは、1以上の整数である〕
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式の複写機、プリンタ等の画像形成装置において、紙等の画像支持体に転写された未定着のトナー画像を加熱、加圧により該画像支持体に定着させる定着システムに使用される定着ベルトに関する。
【0002】
【発明の背景】
電子写真方式の画像形成装置においては、一般的に、帯電させた感光体の表面に、画像読取装置で得られた画像に対応する静電潜像を形成し、該静電潜像を現像機器によってトナー画像とした後、該トナー画像を中間転写ベルトに静電転写(一次転写)し、そして該中間転写ベルトから紙等の画像支持体に再度転写(二次転写)して最終的なトナー画像を形成する。
上記のようにして画像支持体に転写された未定着トナー画像は次いで定着システムにおいて加圧ローラと定着ベルト等の定着用部材との間に挟持加熱され、該画像支持体に永久像として定着される。
【0003】
【従来の技術】
上記定着システムの定着ベルトには、低硬度、離型性、耐熱性、耐磨耗性等が要求されている。これらの特性を満たす定着ベルトとしては、定着ベルトは、耐熱性樹脂のシームレスベルト上に、離型特性を目的にフッ素系樹脂を設けたものや、耐熱性基材の表面に、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の弾性体が使用されており、更に該弾性体の表面にフッ素ゴムやフッ素樹脂層を設けているものが多い(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−169394号公報
【0005】
上記のようにシリコーンゴムを弾性体層とし、表面層にフッ素樹脂層を設けた定着ベルトは、高画質で熱応答性が良く、かつ連続通紙時の定着性がよく、しかも耐久性を備えているため多用されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
近時の画像形成装置には更なる高画質化が望まれており、その一環としてトナーの微小化が図られている。このトナーの微小化に伴って、定着ベルトにはトナー画像を紙、透明フィルム等の画像支持体に平滑に定着するための平滑性および低硬度が要求されている。
上記したフッ素樹脂層を表面層として有する定着ベルトでは、微小トナーからなるトナー画像を平滑に定着することが出来ず問題となっていた。
また、従来から提供されている定着ベルトは、上記したようにを弾性体層上に更に表面層を形成したもの等、一般的に多層構造である。表面に形成される離型層は一般的に基材との密着性が悪く、従って表面層を弾性体層上に形成するためには、通常、該弾性体層表面をプライマー処理する等の表面処理、あるいは接着層を設ける等の別途の処理を施す必要があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、単一層からなる定着ベルトであって、該単一層は主としてポリイミドシリコーン樹脂からなる定着ベルト(1,11)を提供する。
【0008】
上記定着ベルトに使用されるポリイミドシリコーン樹脂としては、
(A)下記一般式(1):
【化11】
〔式中、Rは、炭素数10以下の一価の有機基、R1は、水素原子または炭素数10以下の一価の有機基、mは、3以上の整数である、〕で表される構成単位を有するポリシロキサン成分、及び、
(B)下記一般式(2):
【化12】
〔式中、Xは、4価の有機基、Yは、2価の有機基、nは、1以上の整数である、〕で表されるポリアミック酸成分、または該ポリアミック酸を加熱して脱水閉環して得られるポリイミド樹脂成分、を含有しているポリイミドシリコーン樹脂前駆体組成物から得られるポリイミドシリコーン樹脂がある。
【0009】
また、該ポリイミドシリコーン樹脂としては、
少なくとも、下記構造式(3):
【化13】
〔式中、Xは4価の有機基であり、Xが複数存在する場合にはそれらは同一でも異なってもよい。Yは2価の有機基であり、Yが複数存在する場合にはそれらは同一でも異なってもよい。nは1以上の整数である。〕で表される構成単位と、下記一般式(4):
【化14】
〔式中、R1は、炭素原子数1〜6の1価の有機基であり、R1が複数存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。mは2〜8の整数であり、aは0〜2の整数である。〕で表される構成単位とを有するポリイミドシリコーンがある。
【0010】
また更に該ポリイミドシリコーン樹脂としては、下記一般式(a)で表される繰り返し単位および一般式(b)で表される繰り返し単位を有するポリイミドシリコーンがある。
【化15】
式中Xは式(5)、式(6)および式(7):
【化16】
で表される4価の有機基から選ばれる少なくとも1種の有機基であり、式中Yは一般式(8):
【化17】
で表される2価の有機基(式中Bは式(9)、式(10)および式(11):
【化18】
で表される有機基から選ばれる少なくとも1種の有機基である)および一般式(12):
【化19】
で表される2価の有機基(Dは単結合、−CH2−、−(CH3)2C−、−SO2−および−(CF3)2C−から選ばれる2価の有機基)であり、式中Zは一般式(13):
【化20】
で表される2価のシロキサン残基(Rはメチル基またはフェニル基、bは1〜120の整数)である。
【0011】
本発明の定着ベルトに使用されるポリイミドシリコーン樹脂には、1分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂が添加されてもよい。
【0012】
該定着ベルトの25℃における貯蔵弾性率は、10MPa〜30GPaであることが望ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
〔定着ベルト〕
初めに本発明の定着システムに使用される定着ベルト(1) について説明する。図1に定着ベルト(1) を使用した定着システムを示す。該定着ベルト(1) は加熱ローラ(2) および剥離ローラ(4) に懸架され、加圧ローラ(3) が該加熱ローラ(2) に対向して配置し該定着ベルト(1) に当接する。
未定着のトナー画像が形成された紙P等の画像支持体は、送りコンベア(7) より定着ベルト(1) と加圧ローラ(3) との間に搬送され、その間で加熱押圧されトナー画像が画像支持体に定着される。該画像支持体は引き続きフィン付冷却部(5) により冷却され、冷却された画像支持体は、定着ベルト(1) の曲率が大きくなる剥離ローラ(4) の箇所において定着ベルト(1) から剥離される。なお加熱ローラ(2) とフィン付冷却部(5) との間には断熱部(6) が設けられており、加熱ローラ(2) による加熱およびフィン付冷却部(5) の冷却の双方が効率よく実施される。
【0014】
図2に定着ベルト(11)を使用した他の定着システムを示す。該定着ベルト(11)は駆動ロール(12)、被駆動ロール(13)、およびテンションロール(14)に懸架され、加熱ローラ(15)が圧接する。該定着ベルト(11)と加熱ローラ(15)とは等速回動してその間には送りロール(16)からトナー画像を転写した紙P等の画像支持体が送込まれ、トナー画像の定着が行なわれる。定着後、加熱ローラ(15)に付着したトナーはクリーニングロールに(17)よって除去される。
【0015】
本発明の定着ベルト(1,11)は、単一のポリイミドシリコーン樹脂からなる層からなるものである。以下、本発明で使用されるポリイミドシリコーン樹脂について説明する。
【0016】
本発明の定着ベルトに使用されるポリイミドシリコーン樹脂としては、下記の樹脂がある。
【0017】
例えば、該ポリイミドシリコーン樹脂は、
(A)下記一般式(1):
【化21】
〔式中、Rは、炭素数10以下の一価の有機基、R1は、水素原子または炭素数10以下の一価の有機基、mは、3以上の整数である、〕で表される構成単位を有するポリシロキサン成分、及び、
(B)下記一般式(2):
【化22】
〔式中、Xは、4価の有機基、Yは、2価の有機基、nは、1以上の整数である、〕で表されるポリアミック酸成分、または該ポリアミック酸を加熱して脱水閉環して得られるポリイミド樹脂成分、を含有しているポリイミドシリコーン樹脂前駆体組成物(特開平6−279680号)から得られるポリイミドシリコーン樹脂がある。
【0018】
更に、本発明で使用されるポリイミドシリコーン樹脂としては、少なくとも、下記構造式(3):
【化23】
〔式中、Xは4価の有機基であり、Xが複数存在する場合にはそれらは同一でも異なってもよい。Yは2価の有機基であり、Yが複数存在する場合にはそれらは同一でも異なってもよい。nは1以上の整数である。〕で表される構成単位と、下記一般式(4):
【化24】
〔式中、R1は、炭素原子数1〜6の1価の有機基であり、R1が複数存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。mは2〜8の整数であり、aは0〜2の整数である。〕で表される構成単位とを有するポリイミドシリコーン(特開平8−41200号)がある。
【0019】
更に、本発明で使用されるポリイミドシリコーン樹脂としては、ケイ素原子数10以下の環状シロキサンオリゴマーの含有量が300ppmであり、かつガラス転移点が250℃以下で有機溶媒に可溶であるポリイミドシリコーン樹脂(特開2002−12666号)、具体的には、下記一般式(a)で表される繰り返し単位および一般式(b)で表される繰り返し単位を有するポリイミドシリコーン(特開2002−12666号)がある。
【化25】
式中Xは式(5)、式(6)および式(7):
【化26】
で表される4価の有機基から選ばれる少なくとも1種の有機基であり、式中Yは一般式(8):
【化27】
で表される2価の有機基(式中Bは式(9)、式(10)および式(11)):
【化28】
で表される有機基から選ばれる少なくとも1種の有機基である)および一般式(12):
【化29】
で表される2価の有機基(Dは単結合、−CH2−、−(CH3)2C−、−SO2−および−(CF3)2C−から選ばれる2価の有機基)であり、式中Zは一般式(13):
【化30】
で表される2価のシロキサン残基(Rはメチル基またはフェニル基、bは1〜120の整数)である。
【0020】
本発明のポリイミドシリコーン樹脂は、通常、溶媒に溶解されてポリイミドシリコーン樹脂溶液組成物として提供される。該溶媒としては、ポリイミドシリコーン樹脂を溶解することが可能であれば何でもよく、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、N−メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)等の非プロトン性極性溶媒、メタノール、エタノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、t−ブタノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒、2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸アミル等のエステル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンの芳香族系溶媒等が使用される。これらの溶媒は単独でまたは2種以上混合して用いられる。
【0021】
本発明のポリイミドシリコーン樹脂には、1分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂が添加されても良い。該エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジグリシジルビスフェノールA等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ジグリシジルビスフェノールF等のビスフェノールF型エポキシ樹脂、トリフェニロールプロパントリグリシジルエーテル等のトリフェニルメタン型エポキシ樹脂、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等の環状脂肪族エポキシ樹脂、ジグリシジルフタレート、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、ジメチルグリシジルフタレート等のグリシジルエステル系樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン、テトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサン等のグリシジルアミン系樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、1種を単独でまたは2種以上併用して用いることが出来る。更に、本発明のポリイミドシリコーン樹脂には、所望により1分子中にエポキシ基を1個含む単官能性エポキシ化合物が添加されても良い。
【0022】
エポキシ樹脂の添加量は、ポリイミドシリコーン樹脂100質量部に対して、40質量部以下が好ましく、更に20質量部以下であることが好ましい。該添加量が40質量部を超えると、得られる定着ベルトの強度等を低下させる恐れがある。
【0023】
上記エポキシ樹脂の反応を促進させる目的で、各種硬化促進剤を使用しても良い。使用される硬化促進剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等の有機ホスフィン化合物、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエタノールアミン等のアミノ化合物、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール化合物等がある。該硬化促進剤の添加量は、ポリイミドシリコーン樹脂およびエポキシ樹脂の総量100質量部に対して10質量部以下であることが好ましい。該添加量が10質量部を超えると、ポリイミドシリコーン樹脂等のポットライフが悪くなる場合がある。
【0024】
ポリイミドシリコーン樹脂は、公知の製造方法によって製造することが可能である。
【0025】
上記ポリイミドシリコーン樹脂を使用すれば、単一層からなる定着ベルト(1,11)を提供することが出来る。
該ポリイミドシリコーン樹脂を使用して定着ベルト(1,11)を製造する方法としては公知の製造方法が適用される。
【0026】
定着ベルトの一製造方法として、例えば、ポリイミドシリコーン樹脂を円筒金型表面にフローコータを用いて塗布し、該円筒金型を回転させながら昇温し、一旦脱型して他の円筒金型を挿着し、さらに昇温することによって製造する方法がある。
【0027】
本発明の、主としてポリイミドシリコーン樹脂からなる定着ベルト(1,11)の25℃における貯蔵弾性率は、10MPa〜30GPa、特に100MPa〜10GPaであることが好ましい。該貯蔵弾性率が10MPaより小さいと、定着ベルトのトナー離型性が悪くなり、また30MPaを超えると、定着ベルトの微細なトナーに対応可能な平滑性が損なわれる場合がある。
【0028】
なお本発明のポリイミドシリコーン樹脂からなる定着ベルト(1,11)は、例えば、ゴム、熱可塑性エラストマー、あるいは滑剤、可塑剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、防炎剤、酸化防止剤、離型剤、相溶化剤等の添加剤等を通常使用される量で含有してもよい。また導電性付与を目的として、該定着ベルト(1,11)に各種導電材が添加されてもよい。
【0029】
以上のようにして得られる本発明の定着ベルト(1,11)は、耐熱性、耐久性、および微細なトナーに対応可能な平滑性、トナー離型性を有するものである。
なお本発明の定着ベルト(1,11)がトナー離型性に優れたものであるために、該定着ベルト(1,11)表面の水に対する接触角は、60〜130°、表面粗度Rz≦15μmであることが好ましい。
【0030】
本発明のポリイミドシリコーン樹脂からなる層は、上記したように耐熱性、耐久性、および微細なトナーに対応可能な平滑性、トナー離型性に優れるので、本発明はポリイミドシリコーン樹脂層を少なくとも表面層として有する定着ベルト、定着ロール等の定着部材を提供することも可能である。
【0031】
以下、本発明の定着ベルトに使用されるポリイミドシリコーン樹脂溶液組成物の合成方法の一例を示す。
〔合成例1〕
攪拌機、温度計および窒素置換装置を備えたフラスコ内に、3,3´,4,4´−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物35.8g(0.1モル)およびシクロヘキサノン300gを仕込んだ。次いで、ジアミノシロキサン(一般式(14)のnの平均が64のもの)47.4g(0.01モル)、4,4´,−(3,3´−ジヒドロキシ)ジアミノビフェニル8.7g(0.04モル)および2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン20.5g(0.05モル)をシクロヘキサノン100gに溶解した溶液を反応系の温度が50℃を超えないように調節しながら、上記フラスコ内に滴下した。滴下終了後、さらに室温で10時間攪拌した。つぎに、該フラスコに水分受容器付き還流冷却器を取り付けた後、キシレン100gを加え、150℃に昇温して、その温度を6時間保持し、シリコーンを含有するポリイミド樹脂溶液を得た。この溶液に、該溶液中の固形分100gに対してテトラグリシジルアミノジフェニルメタン14gを添加し、シクロヘキサノンで固形分20%になるように調整し、ポリイミドシリコーン樹脂溶液組成物(I)を得た。該ポリイミドシリコーン樹脂溶液組成物(I)は、以下に示される実施例に供した。
【0032】
【化31】
【0033】
〔合成例2〕
攪拌機、温度計および窒素置換装置を備えたフラスコ内に4,4´−ヘキサフルオロプロピリデンビスフタル酸二無水物44.4g(0.1モル)およびシクロヘキサノン200gを仕込んだ。次いで、ジアミノシロキサン(一般式(14)のnの平均が8のもの)16.4g(0.02モル)、4,4´,−(3,3´−ジヒドロキシ)ジアミノビフェニル10.5g(0.05モル)および2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン12.3g(0.03モル)をシクロヘキサノン100gに溶解した溶液を反応系の温度が50℃を超えないように調節しながら、上記フラスコ内に滴下した。滴下終了後、さらに室温で10時間攪拌した。次に、該フラスコに水分受容器付き還流冷却器を取り付けた後、キシレン80gを加え、150℃に昇温して、その温度を6時間保持し、冷却後、メタノール中に投入し、固形物を乾燥することによりポリイミドシリコーン樹脂を得た。
このポリイミドシリコーン樹脂に、該ポリイミドシリコーン樹脂50gに対してトリグリシジル−p−アミノフェノール9gを添加し、メチルエチルケトンで固形分20%になるように調整し、ポリイミドシリコーン樹脂溶液組成物(II)を得た。該ポリイミドシリコーン樹脂溶液組成物(II)は、以下に示される実施例に供した。
【0034】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
上記合成例1において得られたポリイミドシリコーン樹脂溶液組成物(I)を円筒金型表面上にフローコータを用いて塗布した。その後、円筒金型を回転させながら100℃まで昇温して溶媒を除去し、膜を形成した。ここで一旦円筒金型から該膜を脱型して他の円筒金型に挿着して該膜の形状を整え、更に180℃で養生することによってポリイミドシリコーン樹脂からなるシームレスな定着ベルト(1) (厚み100μm、φ165mm、長さ:330mm)を得た。
【0035】
このようにして得られた定着ベルト(1) の、水に対する接触角は、105°であり、表面粗度Rz =0.1μmであった。
【0036】
得られた定着ベルト(1) を図1に示す定着システムを有する電子写真式画像形成装置(Color Laser Wind 3320PS(富士ゼロックス社製))に組み込んで普通紙上にトナー画像の定着を行ったところ、該定着ベルトにはトナーオフセットが生じることなく良好に稼動した。またトナー画像が定着された紙の該定着ベルト(1) からの剥離も良好に行われた。
【0037】
〔実施例2〕
上記合成例2において得られたポリイミドシリコーン樹脂溶液組成物(II)を円筒金型表面上にフローコータを用いて塗布した。その後、円筒金型を回転させながら100℃まで昇温して溶媒を除去し、膜を形成した。ここで一旦円筒金型から該膜を脱型して他の円筒金型に挿着して該膜の形状を整え、更に180℃で養生することによってポリイミドシリコーン樹脂からなるシームレスな定着ベルト(11)(厚み100μm、φ165mm、長さ:330mm)を得た。
【0038】
このようにして得られた定着ベルト(11)の、水に対する接触角は、105°であり、表面粗度Rz=0.1μmであった。
【0039】
得られた定着ベルト(11)を図2に示す定着システムを有する電子写真式画像形成装置(Color Laser Wind 3320PS(富士ゼロックス社製))に組み込んで普通紙上にトナー画像の定着を行ったところ、該定着ベルト(11)にはトナーオフセットが生じることなく良好に稼動した。
【0040】
〔実施例3〕
SUS製円筒管の表面に、上記合成例1において得られたポリイミドシリコーン樹脂溶液組成物(I)をディップコートによって塗布した。その後、漸次180℃まで昇温して溶媒の除去を行い、SUS製円筒管の表面にポリイミドシリコーン樹脂からなる表面層(膜厚は500μm)を形成して定着ローラ(21)を得た。
【0041】
上記定着ローラ(21)を、図3に示す定着システムを有する電子写真式画像形成装置(Color Laser Wind 3320PS(富士ゼロックス社製))に組み込んだ。
ここで該定着システムとは、該定着ローラ(21)は加熱ローラ(22)と、加熱ローラ(22)に圧接する加圧ローラ(23)とからなり、送りコンベア(24)から等速回転する加熱ローラ(22)および加圧ローラ(23)間に送込まれた紙P等の画像支持体に転写されているトナー画像を構成するトナーを溶融して該トナー画像を画像支持体に定着するものである。なお定着後加熱ローラ(22)に付着したトナーはクリーニングロール(25)によって除去される。
上記定着システムにおいて普通紙上にトナー画像の定着を行ったところ、該定着ローラ(21)にはトナーオフセットが生じることなく良好に稼動した。
【0042】
【発明の効果】
本発明のポリイミドシリコーン樹脂からなる層は、トナーの離型性に優れるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】定着ベルトによる定着システムの説明図
【図2】定着ベルトによる他の定着システムの説明図
【図3】定着ローラによる定着システムの説明図
【符号の説明】
1 、11 定着ベルト
21 定着ローラ
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式の複写機、プリンタ等の画像形成装置において、紙等の画像支持体に転写された未定着のトナー画像を加熱、加圧により該画像支持体に定着させる定着システムに使用される定着ベルトに関する。
【0002】
【発明の背景】
電子写真方式の画像形成装置においては、一般的に、帯電させた感光体の表面に、画像読取装置で得られた画像に対応する静電潜像を形成し、該静電潜像を現像機器によってトナー画像とした後、該トナー画像を中間転写ベルトに静電転写(一次転写)し、そして該中間転写ベルトから紙等の画像支持体に再度転写(二次転写)して最終的なトナー画像を形成する。
上記のようにして画像支持体に転写された未定着トナー画像は次いで定着システムにおいて加圧ローラと定着ベルト等の定着用部材との間に挟持加熱され、該画像支持体に永久像として定着される。
【0003】
【従来の技術】
上記定着システムの定着ベルトには、低硬度、離型性、耐熱性、耐磨耗性等が要求されている。これらの特性を満たす定着ベルトとしては、定着ベルトは、耐熱性樹脂のシームレスベルト上に、離型特性を目的にフッ素系樹脂を設けたものや、耐熱性基材の表面に、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の弾性体が使用されており、更に該弾性体の表面にフッ素ゴムやフッ素樹脂層を設けているものが多い(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−169394号公報
【0005】
上記のようにシリコーンゴムを弾性体層とし、表面層にフッ素樹脂層を設けた定着ベルトは、高画質で熱応答性が良く、かつ連続通紙時の定着性がよく、しかも耐久性を備えているため多用されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
近時の画像形成装置には更なる高画質化が望まれており、その一環としてトナーの微小化が図られている。このトナーの微小化に伴って、定着ベルトにはトナー画像を紙、透明フィルム等の画像支持体に平滑に定着するための平滑性および低硬度が要求されている。
上記したフッ素樹脂層を表面層として有する定着ベルトでは、微小トナーからなるトナー画像を平滑に定着することが出来ず問題となっていた。
また、従来から提供されている定着ベルトは、上記したようにを弾性体層上に更に表面層を形成したもの等、一般的に多層構造である。表面に形成される離型層は一般的に基材との密着性が悪く、従って表面層を弾性体層上に形成するためには、通常、該弾性体層表面をプライマー処理する等の表面処理、あるいは接着層を設ける等の別途の処理を施す必要があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、単一層からなる定着ベルトであって、該単一層は主としてポリイミドシリコーン樹脂からなる定着ベルト(1,11)を提供する。
【0008】
上記定着ベルトに使用されるポリイミドシリコーン樹脂としては、
(A)下記一般式(1):
【化11】
〔式中、Rは、炭素数10以下の一価の有機基、R1は、水素原子または炭素数10以下の一価の有機基、mは、3以上の整数である、〕で表される構成単位を有するポリシロキサン成分、及び、
(B)下記一般式(2):
【化12】
〔式中、Xは、4価の有機基、Yは、2価の有機基、nは、1以上の整数である、〕で表されるポリアミック酸成分、または該ポリアミック酸を加熱して脱水閉環して得られるポリイミド樹脂成分、を含有しているポリイミドシリコーン樹脂前駆体組成物から得られるポリイミドシリコーン樹脂がある。
【0009】
また、該ポリイミドシリコーン樹脂としては、
少なくとも、下記構造式(3):
【化13】
〔式中、Xは4価の有機基であり、Xが複数存在する場合にはそれらは同一でも異なってもよい。Yは2価の有機基であり、Yが複数存在する場合にはそれらは同一でも異なってもよい。nは1以上の整数である。〕で表される構成単位と、下記一般式(4):
【化14】
〔式中、R1は、炭素原子数1〜6の1価の有機基であり、R1が複数存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。mは2〜8の整数であり、aは0〜2の整数である。〕で表される構成単位とを有するポリイミドシリコーンがある。
【0010】
また更に該ポリイミドシリコーン樹脂としては、下記一般式(a)で表される繰り返し単位および一般式(b)で表される繰り返し単位を有するポリイミドシリコーンがある。
【化15】
式中Xは式(5)、式(6)および式(7):
【化16】
で表される4価の有機基から選ばれる少なくとも1種の有機基であり、式中Yは一般式(8):
【化17】
で表される2価の有機基(式中Bは式(9)、式(10)および式(11):
【化18】
で表される有機基から選ばれる少なくとも1種の有機基である)および一般式(12):
【化19】
で表される2価の有機基(Dは単結合、−CH2−、−(CH3)2C−、−SO2−および−(CF3)2C−から選ばれる2価の有機基)であり、式中Zは一般式(13):
【化20】
で表される2価のシロキサン残基(Rはメチル基またはフェニル基、bは1〜120の整数)である。
【0011】
本発明の定着ベルトに使用されるポリイミドシリコーン樹脂には、1分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂が添加されてもよい。
【0012】
該定着ベルトの25℃における貯蔵弾性率は、10MPa〜30GPaであることが望ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
〔定着ベルト〕
初めに本発明の定着システムに使用される定着ベルト(1) について説明する。図1に定着ベルト(1) を使用した定着システムを示す。該定着ベルト(1) は加熱ローラ(2) および剥離ローラ(4) に懸架され、加圧ローラ(3) が該加熱ローラ(2) に対向して配置し該定着ベルト(1) に当接する。
未定着のトナー画像が形成された紙P等の画像支持体は、送りコンベア(7) より定着ベルト(1) と加圧ローラ(3) との間に搬送され、その間で加熱押圧されトナー画像が画像支持体に定着される。該画像支持体は引き続きフィン付冷却部(5) により冷却され、冷却された画像支持体は、定着ベルト(1) の曲率が大きくなる剥離ローラ(4) の箇所において定着ベルト(1) から剥離される。なお加熱ローラ(2) とフィン付冷却部(5) との間には断熱部(6) が設けられており、加熱ローラ(2) による加熱およびフィン付冷却部(5) の冷却の双方が効率よく実施される。
【0014】
図2に定着ベルト(11)を使用した他の定着システムを示す。該定着ベルト(11)は駆動ロール(12)、被駆動ロール(13)、およびテンションロール(14)に懸架され、加熱ローラ(15)が圧接する。該定着ベルト(11)と加熱ローラ(15)とは等速回動してその間には送りロール(16)からトナー画像を転写した紙P等の画像支持体が送込まれ、トナー画像の定着が行なわれる。定着後、加熱ローラ(15)に付着したトナーはクリーニングロールに(17)よって除去される。
【0015】
本発明の定着ベルト(1,11)は、単一のポリイミドシリコーン樹脂からなる層からなるものである。以下、本発明で使用されるポリイミドシリコーン樹脂について説明する。
【0016】
本発明の定着ベルトに使用されるポリイミドシリコーン樹脂としては、下記の樹脂がある。
【0017】
例えば、該ポリイミドシリコーン樹脂は、
(A)下記一般式(1):
【化21】
〔式中、Rは、炭素数10以下の一価の有機基、R1は、水素原子または炭素数10以下の一価の有機基、mは、3以上の整数である、〕で表される構成単位を有するポリシロキサン成分、及び、
(B)下記一般式(2):
【化22】
〔式中、Xは、4価の有機基、Yは、2価の有機基、nは、1以上の整数である、〕で表されるポリアミック酸成分、または該ポリアミック酸を加熱して脱水閉環して得られるポリイミド樹脂成分、を含有しているポリイミドシリコーン樹脂前駆体組成物(特開平6−279680号)から得られるポリイミドシリコーン樹脂がある。
【0018】
更に、本発明で使用されるポリイミドシリコーン樹脂としては、少なくとも、下記構造式(3):
【化23】
〔式中、Xは4価の有機基であり、Xが複数存在する場合にはそれらは同一でも異なってもよい。Yは2価の有機基であり、Yが複数存在する場合にはそれらは同一でも異なってもよい。nは1以上の整数である。〕で表される構成単位と、下記一般式(4):
【化24】
〔式中、R1は、炭素原子数1〜6の1価の有機基であり、R1が複数存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。mは2〜8の整数であり、aは0〜2の整数である。〕で表される構成単位とを有するポリイミドシリコーン(特開平8−41200号)がある。
【0019】
更に、本発明で使用されるポリイミドシリコーン樹脂としては、ケイ素原子数10以下の環状シロキサンオリゴマーの含有量が300ppmであり、かつガラス転移点が250℃以下で有機溶媒に可溶であるポリイミドシリコーン樹脂(特開2002−12666号)、具体的には、下記一般式(a)で表される繰り返し単位および一般式(b)で表される繰り返し単位を有するポリイミドシリコーン(特開2002−12666号)がある。
【化25】
式中Xは式(5)、式(6)および式(7):
【化26】
で表される4価の有機基から選ばれる少なくとも1種の有機基であり、式中Yは一般式(8):
【化27】
で表される2価の有機基(式中Bは式(9)、式(10)および式(11)):
【化28】
で表される有機基から選ばれる少なくとも1種の有機基である)および一般式(12):
【化29】
で表される2価の有機基(Dは単結合、−CH2−、−(CH3)2C−、−SO2−および−(CF3)2C−から選ばれる2価の有機基)であり、式中Zは一般式(13):
【化30】
で表される2価のシロキサン残基(Rはメチル基またはフェニル基、bは1〜120の整数)である。
【0020】
本発明のポリイミドシリコーン樹脂は、通常、溶媒に溶解されてポリイミドシリコーン樹脂溶液組成物として提供される。該溶媒としては、ポリイミドシリコーン樹脂を溶解することが可能であれば何でもよく、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、N−メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)等の非プロトン性極性溶媒、メタノール、エタノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、t−ブタノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒、2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸アミル等のエステル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンの芳香族系溶媒等が使用される。これらの溶媒は単独でまたは2種以上混合して用いられる。
【0021】
本発明のポリイミドシリコーン樹脂には、1分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂が添加されても良い。該エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジグリシジルビスフェノールA等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ジグリシジルビスフェノールF等のビスフェノールF型エポキシ樹脂、トリフェニロールプロパントリグリシジルエーテル等のトリフェニルメタン型エポキシ樹脂、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等の環状脂肪族エポキシ樹脂、ジグリシジルフタレート、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、ジメチルグリシジルフタレート等のグリシジルエステル系樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン、テトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサン等のグリシジルアミン系樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、1種を単独でまたは2種以上併用して用いることが出来る。更に、本発明のポリイミドシリコーン樹脂には、所望により1分子中にエポキシ基を1個含む単官能性エポキシ化合物が添加されても良い。
【0022】
エポキシ樹脂の添加量は、ポリイミドシリコーン樹脂100質量部に対して、40質量部以下が好ましく、更に20質量部以下であることが好ましい。該添加量が40質量部を超えると、得られる定着ベルトの強度等を低下させる恐れがある。
【0023】
上記エポキシ樹脂の反応を促進させる目的で、各種硬化促進剤を使用しても良い。使用される硬化促進剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等の有機ホスフィン化合物、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエタノールアミン等のアミノ化合物、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール化合物等がある。該硬化促進剤の添加量は、ポリイミドシリコーン樹脂およびエポキシ樹脂の総量100質量部に対して10質量部以下であることが好ましい。該添加量が10質量部を超えると、ポリイミドシリコーン樹脂等のポットライフが悪くなる場合がある。
【0024】
ポリイミドシリコーン樹脂は、公知の製造方法によって製造することが可能である。
【0025】
上記ポリイミドシリコーン樹脂を使用すれば、単一層からなる定着ベルト(1,11)を提供することが出来る。
該ポリイミドシリコーン樹脂を使用して定着ベルト(1,11)を製造する方法としては公知の製造方法が適用される。
【0026】
定着ベルトの一製造方法として、例えば、ポリイミドシリコーン樹脂を円筒金型表面にフローコータを用いて塗布し、該円筒金型を回転させながら昇温し、一旦脱型して他の円筒金型を挿着し、さらに昇温することによって製造する方法がある。
【0027】
本発明の、主としてポリイミドシリコーン樹脂からなる定着ベルト(1,11)の25℃における貯蔵弾性率は、10MPa〜30GPa、特に100MPa〜10GPaであることが好ましい。該貯蔵弾性率が10MPaより小さいと、定着ベルトのトナー離型性が悪くなり、また30MPaを超えると、定着ベルトの微細なトナーに対応可能な平滑性が損なわれる場合がある。
【0028】
なお本発明のポリイミドシリコーン樹脂からなる定着ベルト(1,11)は、例えば、ゴム、熱可塑性エラストマー、あるいは滑剤、可塑剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、防炎剤、酸化防止剤、離型剤、相溶化剤等の添加剤等を通常使用される量で含有してもよい。また導電性付与を目的として、該定着ベルト(1,11)に各種導電材が添加されてもよい。
【0029】
以上のようにして得られる本発明の定着ベルト(1,11)は、耐熱性、耐久性、および微細なトナーに対応可能な平滑性、トナー離型性を有するものである。
なお本発明の定着ベルト(1,11)がトナー離型性に優れたものであるために、該定着ベルト(1,11)表面の水に対する接触角は、60〜130°、表面粗度Rz≦15μmであることが好ましい。
【0030】
本発明のポリイミドシリコーン樹脂からなる層は、上記したように耐熱性、耐久性、および微細なトナーに対応可能な平滑性、トナー離型性に優れるので、本発明はポリイミドシリコーン樹脂層を少なくとも表面層として有する定着ベルト、定着ロール等の定着部材を提供することも可能である。
【0031】
以下、本発明の定着ベルトに使用されるポリイミドシリコーン樹脂溶液組成物の合成方法の一例を示す。
〔合成例1〕
攪拌機、温度計および窒素置換装置を備えたフラスコ内に、3,3´,4,4´−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物35.8g(0.1モル)およびシクロヘキサノン300gを仕込んだ。次いで、ジアミノシロキサン(一般式(14)のnの平均が64のもの)47.4g(0.01モル)、4,4´,−(3,3´−ジヒドロキシ)ジアミノビフェニル8.7g(0.04モル)および2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン20.5g(0.05モル)をシクロヘキサノン100gに溶解した溶液を反応系の温度が50℃を超えないように調節しながら、上記フラスコ内に滴下した。滴下終了後、さらに室温で10時間攪拌した。つぎに、該フラスコに水分受容器付き還流冷却器を取り付けた後、キシレン100gを加え、150℃に昇温して、その温度を6時間保持し、シリコーンを含有するポリイミド樹脂溶液を得た。この溶液に、該溶液中の固形分100gに対してテトラグリシジルアミノジフェニルメタン14gを添加し、シクロヘキサノンで固形分20%になるように調整し、ポリイミドシリコーン樹脂溶液組成物(I)を得た。該ポリイミドシリコーン樹脂溶液組成物(I)は、以下に示される実施例に供した。
【0032】
【化31】
【0033】
〔合成例2〕
攪拌機、温度計および窒素置換装置を備えたフラスコ内に4,4´−ヘキサフルオロプロピリデンビスフタル酸二無水物44.4g(0.1モル)およびシクロヘキサノン200gを仕込んだ。次いで、ジアミノシロキサン(一般式(14)のnの平均が8のもの)16.4g(0.02モル)、4,4´,−(3,3´−ジヒドロキシ)ジアミノビフェニル10.5g(0.05モル)および2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン12.3g(0.03モル)をシクロヘキサノン100gに溶解した溶液を反応系の温度が50℃を超えないように調節しながら、上記フラスコ内に滴下した。滴下終了後、さらに室温で10時間攪拌した。次に、該フラスコに水分受容器付き還流冷却器を取り付けた後、キシレン80gを加え、150℃に昇温して、その温度を6時間保持し、冷却後、メタノール中に投入し、固形物を乾燥することによりポリイミドシリコーン樹脂を得た。
このポリイミドシリコーン樹脂に、該ポリイミドシリコーン樹脂50gに対してトリグリシジル−p−アミノフェノール9gを添加し、メチルエチルケトンで固形分20%になるように調整し、ポリイミドシリコーン樹脂溶液組成物(II)を得た。該ポリイミドシリコーン樹脂溶液組成物(II)は、以下に示される実施例に供した。
【0034】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
上記合成例1において得られたポリイミドシリコーン樹脂溶液組成物(I)を円筒金型表面上にフローコータを用いて塗布した。その後、円筒金型を回転させながら100℃まで昇温して溶媒を除去し、膜を形成した。ここで一旦円筒金型から該膜を脱型して他の円筒金型に挿着して該膜の形状を整え、更に180℃で養生することによってポリイミドシリコーン樹脂からなるシームレスな定着ベルト(1) (厚み100μm、φ165mm、長さ:330mm)を得た。
【0035】
このようにして得られた定着ベルト(1) の、水に対する接触角は、105°であり、表面粗度Rz =0.1μmであった。
【0036】
得られた定着ベルト(1) を図1に示す定着システムを有する電子写真式画像形成装置(Color Laser Wind 3320PS(富士ゼロックス社製))に組み込んで普通紙上にトナー画像の定着を行ったところ、該定着ベルトにはトナーオフセットが生じることなく良好に稼動した。またトナー画像が定着された紙の該定着ベルト(1) からの剥離も良好に行われた。
【0037】
〔実施例2〕
上記合成例2において得られたポリイミドシリコーン樹脂溶液組成物(II)を円筒金型表面上にフローコータを用いて塗布した。その後、円筒金型を回転させながら100℃まで昇温して溶媒を除去し、膜を形成した。ここで一旦円筒金型から該膜を脱型して他の円筒金型に挿着して該膜の形状を整え、更に180℃で養生することによってポリイミドシリコーン樹脂からなるシームレスな定着ベルト(11)(厚み100μm、φ165mm、長さ:330mm)を得た。
【0038】
このようにして得られた定着ベルト(11)の、水に対する接触角は、105°であり、表面粗度Rz=0.1μmであった。
【0039】
得られた定着ベルト(11)を図2に示す定着システムを有する電子写真式画像形成装置(Color Laser Wind 3320PS(富士ゼロックス社製))に組み込んで普通紙上にトナー画像の定着を行ったところ、該定着ベルト(11)にはトナーオフセットが生じることなく良好に稼動した。
【0040】
〔実施例3〕
SUS製円筒管の表面に、上記合成例1において得られたポリイミドシリコーン樹脂溶液組成物(I)をディップコートによって塗布した。その後、漸次180℃まで昇温して溶媒の除去を行い、SUS製円筒管の表面にポリイミドシリコーン樹脂からなる表面層(膜厚は500μm)を形成して定着ローラ(21)を得た。
【0041】
上記定着ローラ(21)を、図3に示す定着システムを有する電子写真式画像形成装置(Color Laser Wind 3320PS(富士ゼロックス社製))に組み込んだ。
ここで該定着システムとは、該定着ローラ(21)は加熱ローラ(22)と、加熱ローラ(22)に圧接する加圧ローラ(23)とからなり、送りコンベア(24)から等速回転する加熱ローラ(22)および加圧ローラ(23)間に送込まれた紙P等の画像支持体に転写されているトナー画像を構成するトナーを溶融して該トナー画像を画像支持体に定着するものである。なお定着後加熱ローラ(22)に付着したトナーはクリーニングロール(25)によって除去される。
上記定着システムにおいて普通紙上にトナー画像の定着を行ったところ、該定着ローラ(21)にはトナーオフセットが生じることなく良好に稼動した。
【0042】
【発明の効果】
本発明のポリイミドシリコーン樹脂からなる層は、トナーの離型性に優れるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】定着ベルトによる定着システムの説明図
【図2】定着ベルトによる他の定着システムの説明図
【図3】定着ローラによる定着システムの説明図
【符号の説明】
1 、11 定着ベルト
21 定着ローラ
Claims (6)
- 単一層からなる定着ベルトであって、該単一層は主としてポリイミドシリコーン樹脂からなることを特徴とする定着ベルト
- 該ポリイミドシリコーン樹脂は、一般式(a)で表される繰り返し単位および一般式(b)で表される繰り返し単位を有するポリイミドシリコーンからなる請求項1に記載の定着ベルト
- 該ポリイミドシリコーン樹脂に、1分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂を添加してなる請求項1に記載の定着ベルト
- 該定着ベルトの25℃における貯蔵弾性率は10MPa〜30GPaである請求項1に記載の定着ベルト
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