JP2004219290A - 超音波流量計 - Google Patents
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Abstract
【課題】反射型超音波流量計において、被検流体の組成が変化して超音波が屈折した場合に、測定精度の低下を抑制する。
【解決手段】超音波流量計1aにおいて、超音波反射面101を円弧状に湾曲させて形成する。曲率半径Rを設定し、測定管11の直管部における内壁間高さHの略2倍又は2倍以上の値とする。曲率中心は、超音波Stの通路への入射点A,Bから等しい距離にある点O1か、それよりも上流側にずれた位置に設定する。トランスデューサ21,22からの超音波の発射方向は、超音波伝搬線Atに沿わせる場合よりも入射点A,Bが上流側にずれる方向に設定する。
【選択図】 図1
【解決手段】超音波流量計1aにおいて、超音波反射面101を円弧状に湾曲させて形成する。曲率半径Rを設定し、測定管11の直管部における内壁間高さHの略2倍又は2倍以上の値とする。曲率中心は、超音波Stの通路への入射点A,Bから等しい距離にある点O1か、それよりも上流側にずれた位置に設定する。トランスデューサ21,22からの超音波の発射方向は、超音波伝搬線Atに沿わせる場合よりも入射点A,Bが上流側にずれる方向に設定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波流量計に関し、詳細には、超音波伝搬線が屈曲させて設定される伝搬時間型超音波流量計において、被検流体の組成が変化したときの測定精度を維持するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波流量計として、一対のトランスデューサを流れの方向にずらして設置し、上流側のトランスデューサから流れに対して順方向に超音波を発射して、下流側のトランスデューサまでの伝搬時間を検出するとともに、下流側のトランスデューサから流れに対して逆方向に超音波を発射して、上流側のトランスデューサまでの伝搬時間を検出し、検出された伝搬時間に基づいて流量を算出するものが知られている。
【0003】
このような超音波流量計は、伝搬時間型として知られているが、その一種として、超音波を測定管の内壁で反射させ、トランスデューサ同士の間を超音波が屈曲して伝搬するように構成された反射型超音波流量計が知られている。
【0004】
ここで、反射型超音波流量計の測定精度を向上させるための技術として、超音波反射面を除く測定管の内壁に流れの方向に延伸させて溝又は山を形成し、トランスデューサから発射された超音波の拡散成分をこの溝等で乱反射させて減衰させ、受信タイミングの正確な判別に必要な超音波受信波形のSN比が得られるようにすることが知られている(下記特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−237264号公報(段落番号0011)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、負荷変動が大きい自動車用燃料電池システムなど、被検流体の組成が変化する測定サイトで反射型超音波流量計を使用する場合は、次のことが問題となる。
【0007】
一般的にトランスデューサは、測定管の一部を被検流体の通路から外れる方向に張り出させて形成されたトランスデューサケースに収納された状態で設置される。トランスデューサが流れに対する障害とならないようにするためである。トランスデューサをトランスデューサケース内に設置することで、トランスデューサがトランスデューサケースの開口端よりも多少奥に引き込んだ状態となる。このため、超音波は、トランスデューサから発射された後、トランスデューサケース内に残された空間を通過して被検流体の通路に伝搬していくことになる。
【0008】
ここで、自動車用燃料電池システムに適用した場合を考える。燃料電池に供給される水素含有ガスの組成は、常に一定に保たれるわけではなく、そのときの状況に応じて変化する。水素含有ガスの水素ガス濃度が低下した場合を想定すると、トランスデューサがトランスデューサケースの開口端よりも引き込んだ状態で設置されているため、通路内の水素ガス濃度が低下した後もトランスデューサケース内には変化前の水素ガス濃度の高い水素含有ガスが残される。この残留ガスは、その後時間の経過とともに低濃度のものと入れ替わるが、水素ガス濃度が変化した直後において、トランスデューサケース内と通路内とで水素ガス濃度が異なり、音速が異なる流体が存在する状態が一時的に形成されることになる。ここで、トランスデューサからの超音波の発射方向は、超音波の送受信のために流れの方向に対して傾斜させて設定されるため、超音波は、トランスデューサケースの開口端で音速の違いにより屈折する。そして、これが原因で超音波が実際に伝搬する経路が設定上の超音波伝搬線からずれてしまい、超音波が受信側のトランスデューサに入射しなかったり、たとえ入射したとしても良好に入射しないことで、受信タイミングを正確に判別することができなくなってしまう。これと同じことは、水素含有ガスの水素ガス濃度が上昇する場合についてもいえ、この場合は、実際の伝搬経路が以上とは逆の方向にずれることになる。このような超音波の屈折による問題は、被検流体の流れを乱さないようにするためにトランスデューサケースの開口部を小さくするほど起こり易く、トランスデューサケースの容積を大きくするほど起こり易く、また被検流体の流れが遅いときほど起こり易い傾向にある。
【0009】
超音波の拡散成分を減衰させる上記の技術によると、拡散成分が流量測定に及ぼす悪影響を緩和することはできるが、上記の超音波の屈折による問題を解消することはできない。
【0010】
そこで、本発明は、超音波反射面の形状の改善によりこの反射面での超音波の反射方向を調整することで、被検流体の組成が変化し、超音波が超音波伝搬線からずれて伝搬する場合であっても、受信側のトランスデューサに良好に入射させ、受信タイミングを正確に判別することができるようにした超音波流量計を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明では、超音波伝搬線を屈曲させて設定するための超音波反射面を凹状に湾曲させて形成する。超音波反射面の曲率半径を設定し、これを被検流体に対するトランスデューサからの超音波の入射点から、超音波伝搬線の超音波反射面上の屈曲点までの距離の略√2倍又は√2倍以上の値とする。超音波反射面は、被検流体を流すための測定管の内壁の一部として形成するとよい。この場合は、前記曲率半径を測定管の直管部における内壁間高さの略2倍又は2倍以上の値とするとよい。
【0012】
超音波反射面をこのように湾曲させて形成することで、被検流体の組成が変化して超音波が超音波伝搬線からずれたとしても、超音波反射面での超音波の反射方向を超音波伝搬線の方向に向かせることが可能となる。このため、受信側のトランスデューサに良好に入射させ、受信タイミングを正確に判別することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る超音波流量計1aの構成図である。本実施形態では、図示しない燃料電池を含んで自動車の駆動源を構成しており、超音波流量計1aは、燃料電池に供給される水素含有ガスの流量を測定するために使用される。
【0014】
測定管11は、被検流体である水素含有ガスを流すためのものであり、断面が矩形に形成されている。軸方向各端にフランジ部11a,11bが形成され、これらを介して隣接する燃料供給管51,52と接続されている。
【0015】
一点鎖線で示す超音波伝搬線Atは、測定用超音波の設定上の伝搬経路であり、測定管11の底部内壁の一部を超音波反射面101としてV字状に屈曲させて幾何学的に設定されている。測定管11の底部は、超音波反射部に相当する。一対のトランスデューサ21,22は、超音波の送受信器であり、超音波伝搬線Atの各端に形成された測定管11のトランスデューサケース12,13に収納された状態で設置されている。トランスデューサケース12,13は、超音波伝搬線Atを中心とする円筒状に測定管11を張り出させて形成されている。上流側のトランスデューサケース12に第1のトランスデューサ21が、下流側のトランスデューサケース13に第2のトランスデューサ22が収納されている。トランスデューサ21,22をトランスデューサケース12,13に収納し、水素含有ガスの通路から外れた位置に設置したことで、トランスデューサ21,22が流れに対する障害とならないようにしている。
【0016】
トランスデューサ21,22には、流量演算手段としての計測装置31が接続されている。計測装置31は、トランスデューサ21,22に超音波Stを発射させるための駆動信号を発生するとともに、発射された超音波Stを受けたトランスデューサから出力された受信信号を入力する。トランスデューサ21,22は、計測装置31からのトランスデューサ駆動信号により作動し、超音波伝搬線Atに沿わせる方向に超音波Stを発射する。計測装置31は、受信信号から超音波Stの受信タイミングを検出し、これに基づいて燃料系配管を流れる水素含有ガスの流量を算出する。
【0017】
ここで、超音波反射面101は、超音波Stを受信側のトランスデューサに良好に入射させるため、次のように所定の曲率半径Rを持つ円弧状に湾曲させて形成されている。本実施形態では、Rを測定管11の内壁間高さHの略2倍の値に設定している。
【0018】
図2は、超音波伝搬線Atと超音波Stが実際に伝搬する経路とを模式的に示したものである。図中符号Aは、上流側のトランスデューサケース12の開口端における超音波伝搬線At上の点であり、Bは、下流側のトランスデューサケース13の開口端における超音波伝搬線At上の点である。点A又はBが被検流体に対するトランスデューサ21,22からの超音波の入射点となる。C1は、超音波伝搬線Atの超音波反射面101上の屈曲点であり、点A及びC1の間の距離(点B及びC1の間の距離に等しい。)をLとする。C2は、超音波Stの実際の反射点である。O1は、角AC1Bの二等分線と角AC2Bの二等分線との交点であり、点C1及びO1の間の距離をRとする。水素含有ガスの水素ガス濃度が低下し、測定管11を流れる水素含有ガスとトランスデューサケース12,13内の残留ガスとの水素ガス濃度に差が生じた場合は、両者を媒体とする音速に差が生じる。このため、超音波Stは、点A及びBで屈折し、超音波伝搬線Atからずれた経路を伝搬することになる。ここで、超音波Stの屈折による伝搬方向のずれをΔθとし、点C1及びC2の間の距離をΔxとする。
【0019】
三角形AC1C2に着目すると、Δx/√2=L×Δθ・・・(1)である。また、角AC2O1=角O1C2Bであることから角C1O1C2=Δθとなるので、Δx=R×Δθ・・・(2)である。(1),(2)式からR=√2×L・・・(3)となる。ここで、超音波伝搬軸Atと流れとの間に形成される角ABC1=角BAC1は、45°に設定されるのが一般的である。従って、点C1及びD(点A及びBの中間点である。)の間の距離を測定管11の直管部における内壁間高さHと近似すれば、L≒√2×H・・・(4)であり、(3),(4)式からR≒2×Hとなる。なお、超音波反射面101の曲率中心は、点O1であり、点A及びBから等しい距離にある。
【0020】
次に、以上のように形成された超音波反射面101の作用を、計測装置31の動作とともに説明する。
超音波流量計1aは、自動車用燃料電池システムにおいて加湿用水蒸気を添加した後の水素含有ガス(以下「加湿燃料ガス」という。)の流量を測定するために使用される。
【0021】
ここで、図1を参照する。計測装置31は、送信側のトランスデューサ(上流側のトランスデューサ21とする。)から超音波Stを発射させる。加湿燃料ガスの組成が一定に保たれる定常時では、超音波Stは、超音波伝搬軸At上を伝搬し、超音波反射面101で反射されて受信側のトランスデューサ(下流側のトランスデューサ22である。)に入射する。計測装置31は、トランスデューサ21からトランスデューサ22までの超音波Stの伝搬時間Δt1を検出する。計測装置31は、続いてこれとは逆に下流側のトランスデューサ22から超音波Stを発射させ、超音波Stが超音波反射面101で反射されて上流側のトランスデューサ21に入射するまでの伝搬時間Δt2を検出する。計測装置31は、検出された伝搬時間Δt1,Δt2に基づいて加湿燃料ガスの流量を算出する。
【0022】
先にも述べたように、自動車用燃料電池システムでは、加湿燃料ガスの組成が常に一定に保たれるわけではない。ここで、過渡時として、加湿燃料ガスの湿度が上昇したり、あるいは窒素ガス等の水素ガス以外の成分の割合が増加するなどして加湿燃料ガスの水素ガス濃度が相対的に低下した場合を想定する。トランスデューサ21,22が通路から引き込んだ位置に設置されているため、トランスデューサケース12,13内には水素ガス濃度が低下した後も水素ガス濃度の高い水素含有ガスが残される。この残留ガスは、その後時間の経過とともに低濃度のものと入れ替わるが、水素ガス濃度が低下した直後は、一時的にトランスデューサケース12,13内と通路内とで水素ガス濃度の異なるガスが存在する状態となる。この状態のもとで送信側のトランスデューサ(上流側のトランスデューサ21とする。)から発射された超音波Stは、トランスデューサケース12の開口端にある点Aで音速の違いにより屈折する。このため、超音波Stが実際に伝搬する経路は、超音波伝搬軸Atからずれることになる。しかしながら、超音波反射面101が所定の曲率半径Rを持った円弧状に湾曲させて形成されているため、超音波Stは、超音波反射面101で超音波伝搬軸Atの方向に反射され、その後超音波伝搬線Atに近づきながら伝搬していく。そして、他方のトランスデューサケース13の開口端にある点B2で更に屈折し、受信側のトランスデューサ(下流側のトランスデューサ22である。)に良好に入射する。
【0023】
本実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
第1に、超音波反射面101を以上の通り所定の曲率半径Rを持った円弧状に湾曲させて形成した。平坦な超音波反射面によると、図3に示すように点Aで屈折した超音波Stが超音波反射面で超音波伝搬軸Atから離れる方向に反射され、受信側のトランスデューサに入射せず、超音波Stの受信タイミングを判別することができなくなる場合がある。本実施形態によれば、超音波Stの反射方向を超音波伝搬線Atの方向に向かせることができるので、超音波Stを受信側のトランスデューサに良好に入射させ、受信タイミングを正確に判別することができる。
【0024】
なお、本実施形態では、超音波反射面101の曲率半径Rを測定管11の直管部における内壁間高さHの略2倍の値に設定している。超音波Stの屈折が大きいときは、屈折の大きさに応じてHの2倍以上の値にRを設定することで、同様の効果を得ることが可能となる。
【0025】
第2に、超音波反射面101を円弧状に形成したことで、この反射面101を利用して超音波Stの拡散を抑制し、受信タイミングをより高い精度で判別することができる。円弧状の超音波反射面101によれば、図4に示すように送信側トランスデューサ(上流側のトランスデューサ21とする。)から発射された超音波Stの拡散成分を受信側のトランスデューサ(下流側のトランスデューサ22である。)に向けて反射させて集めることができるからである。ここで、超音波Stの各成分の伝搬経路長がおよそ等しくなるため、成分同士の干渉を防止し、受信波形を際出させることができる。このような効果が得られることで、過渡時ばかりでなく、屈折の生じない定常時の測定精度を向上させることができる。
【0026】
以上の効果は、下流側のトランスデューサ22を送信側とした場合にも得ることができる。トランスデューサケース13の開口端にある点Bで屈折した超音波Stの反射方向を超音波伝搬線Atの方向に向かせ、受信タイミングを正確に判別するとともに、超音波反射面101を利用して超音波Stの拡散成分を集め、定常時の測定精度を向上させることができる。
【0027】
なお、以上のように超音波反射面101を湾曲させて形成すると、加湿用水蒸気を添加した後の水素含有ガスを被検流体とする場合は、水蒸気が凝縮した水が超音波反射面101に溜まることが問題となる。この凝縮水は、測定管11を下流側が下になるように傾斜させて設置することにより排出することができる。
【0028】
また、図5に示すように測定管11自体を円弧状に湾曲させて曲がり部を形成し、曲がり部の外側の管壁内面に超音波反射面101を形成することとしてもよい。超音波反射面101の曲率半径Rを、直管部における内壁間高さHの略2倍又は2倍以上の値に設定することで、受信タイミングを正確に判別することが可能となるとともに、曲がり部における断面の形状を直管部に対して特に変化させることなく超音波反射面101を円弧状に湾曲させて形成することができるので、測定管11の製作が容易となる。
【0029】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。
図6,7は、第2の実施形態に係る超音波流量計1bの構成図である。
超音波流量計1bは、超音波反射面101の曲率半径の中心が、トランスデューサケース12,13の開口端にある点A及びBから等しい距離にある点O1よりも上流側にずれた点O2に設定されている。それ以外の超音波伝搬線At、超音波反射面101の曲率半径R、トランスデューサ21,22及びトランスデューサケース12,13等の構成は、第1の実施形態のものと同様である。
【0030】
本実施形態によれば、流量の増大に伴う超音波Stの超音波伝搬線Atからのずれを簡易に補うことができる。上流側のトランスデューサ21から超音波Stが発射される場合に、超音波Stが、図6に示すように流れの影響で超音波伝搬線Atよりも下流側にずれた経路を伝搬したとする。ここで、超音波反射面101の曲率中心O2が点O1よりも上流側にずらして設定されたことで、超音波Stの反射方向を超音波伝搬線Atの方向に向かせることができ、下流側のトランスデューサ22に良好に入射させることができる。
【0031】
一方、下流側のトランスデューサ22から超音波Stが発射される場合も同様であり、図7に示すように流れの影響で超音波伝搬線Atから下流側にずれて伝搬する超音波Stを、超音波反射面101により超音波伝搬線Atの方向に向けて反射させ、上流側のトランスデューサ21に良好に入射させることができる。
【0032】
図8,9は、第3の実施形態に係る超音波流量計1cの構成図である。
超音波流量計1cは、各トランスデューサ21,22の超音波Stの発射方向が、超音波伝搬線At1上に発射する方向から所定の角度(上流側のトランスデューサ21についてα、下流側のトランスデューサ22についてβとする。)だけずれた二点鎖線で示す軸At2上に発射する方向に設定されている。このため、各超音波Stの発射方向と流れの方向との間に形成される角度a2,b2が、超音波伝搬線At上に発射される場合に形成される角度a1,b1よりも増大している。それ以外の超音波反射面101の曲率半径R等の構成は、第1の実施形態のものと同様である。
【0033】
本実施形態によれば、流量の増大に伴う超音波Stの超音波伝搬線Atからのずれを簡易に補うことができる。上流側のトランスデューサ21から超音波Stが発射される場合に、超音波Stの発射方向が角度αだけずらして設定されたことで、図8に示すように流れを利用して超音波伝搬線Atの超音波反射面101上の屈曲点C1に近い位置で反射させ、下流側のトランスデューサ22に良好に入射させることができる。
【0034】
一方、下流側のトランスデューサ22から超音波Stが発射される場合も同様であり、図9に示すように流れを利用して超音波Stの実際の反射点を超音波伝搬線Atの屈曲点C1に近づけ、上流側のトランスデューサ21に良好に入射させることができる
以上では、超音波伝搬軸Atの屈曲点を1つだけ設定した場合を例に説明したが、本発明は、複数の超音波反射面101を形成し、複数の屈曲点を設定した超音波流量計に適用することも可能である。この場合は、各超音波反射面を同様の曲率半径を有する円弧状に形成し、超音波の屈折による測定精度の低下を防止することができる。
【0035】
また、以上では、加湿燃料ガスの水素ガス濃度が低下し、通路内の音速が低下する場合を例に説明した。しかしながら、水素ガス濃度が上昇する場合についても同様な効果を得ることができる。超音波Stは、水素ガス濃度が低下する場合とは逆の方向に屈折することになるが、円弧状の超音波反射面101により超音波Stの反射方向を超音波伝搬軸Atの方向に向かせ、受信側のトランスデューサに良好に入射させることができる。
【0036】
また、以上では、加湿燃料ガスを被検流体とする場合を例に説明した。しかしながら、本発明は、加湿用水蒸気を添加する前の水素含有ガスの流量を測定したり、あるいは燃料電池に供給される酸化剤ガス(例えば、空気)の流量を加湿前又は加湿後に測定するために使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に関する超音波流量計の構成
【図2】超音波反射面の曲率半径の設定
【図3】平坦な超音波反射面による場合の超音波の伝搬
【図4】超音波の拡散成分の伝搬
【図5】曲がり部に超音波反射面が形成された測定管
【図6】曲率中心をオフセットさせた超音波反射面による場合の超音波の順方向の伝搬
【図7】同上超音波反射面による場合の超音波の逆方向の伝搬
【図8】超音波の発射方向をずらして設定されたトランスデューサによる場合の超音波の順方向の伝搬
【図9】同上トランスデューサによる場合の超音波の逆方向の伝搬
【符号の説明】
1a,1b,1c…超音波流量計、11…測定管、12,13…トランスデューサケース、21…第1のトランスデューサ、22…第2のトランスデューサ、31…流量演算手段としての計測装置、101…超音波反射面、At…超音波伝搬軸、St…超音波の実際の伝搬経路、C1…超音波伝搬軸の屈曲点、C2…超音波の実際の反射点、O1,O2…曲率中心。
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波流量計に関し、詳細には、超音波伝搬線が屈曲させて設定される伝搬時間型超音波流量計において、被検流体の組成が変化したときの測定精度を維持するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波流量計として、一対のトランスデューサを流れの方向にずらして設置し、上流側のトランスデューサから流れに対して順方向に超音波を発射して、下流側のトランスデューサまでの伝搬時間を検出するとともに、下流側のトランスデューサから流れに対して逆方向に超音波を発射して、上流側のトランスデューサまでの伝搬時間を検出し、検出された伝搬時間に基づいて流量を算出するものが知られている。
【0003】
このような超音波流量計は、伝搬時間型として知られているが、その一種として、超音波を測定管の内壁で反射させ、トランスデューサ同士の間を超音波が屈曲して伝搬するように構成された反射型超音波流量計が知られている。
【0004】
ここで、反射型超音波流量計の測定精度を向上させるための技術として、超音波反射面を除く測定管の内壁に流れの方向に延伸させて溝又は山を形成し、トランスデューサから発射された超音波の拡散成分をこの溝等で乱反射させて減衰させ、受信タイミングの正確な判別に必要な超音波受信波形のSN比が得られるようにすることが知られている(下記特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−237264号公報(段落番号0011)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、負荷変動が大きい自動車用燃料電池システムなど、被検流体の組成が変化する測定サイトで反射型超音波流量計を使用する場合は、次のことが問題となる。
【0007】
一般的にトランスデューサは、測定管の一部を被検流体の通路から外れる方向に張り出させて形成されたトランスデューサケースに収納された状態で設置される。トランスデューサが流れに対する障害とならないようにするためである。トランスデューサをトランスデューサケース内に設置することで、トランスデューサがトランスデューサケースの開口端よりも多少奥に引き込んだ状態となる。このため、超音波は、トランスデューサから発射された後、トランスデューサケース内に残された空間を通過して被検流体の通路に伝搬していくことになる。
【0008】
ここで、自動車用燃料電池システムに適用した場合を考える。燃料電池に供給される水素含有ガスの組成は、常に一定に保たれるわけではなく、そのときの状況に応じて変化する。水素含有ガスの水素ガス濃度が低下した場合を想定すると、トランスデューサがトランスデューサケースの開口端よりも引き込んだ状態で設置されているため、通路内の水素ガス濃度が低下した後もトランスデューサケース内には変化前の水素ガス濃度の高い水素含有ガスが残される。この残留ガスは、その後時間の経過とともに低濃度のものと入れ替わるが、水素ガス濃度が変化した直後において、トランスデューサケース内と通路内とで水素ガス濃度が異なり、音速が異なる流体が存在する状態が一時的に形成されることになる。ここで、トランスデューサからの超音波の発射方向は、超音波の送受信のために流れの方向に対して傾斜させて設定されるため、超音波は、トランスデューサケースの開口端で音速の違いにより屈折する。そして、これが原因で超音波が実際に伝搬する経路が設定上の超音波伝搬線からずれてしまい、超音波が受信側のトランスデューサに入射しなかったり、たとえ入射したとしても良好に入射しないことで、受信タイミングを正確に判別することができなくなってしまう。これと同じことは、水素含有ガスの水素ガス濃度が上昇する場合についてもいえ、この場合は、実際の伝搬経路が以上とは逆の方向にずれることになる。このような超音波の屈折による問題は、被検流体の流れを乱さないようにするためにトランスデューサケースの開口部を小さくするほど起こり易く、トランスデューサケースの容積を大きくするほど起こり易く、また被検流体の流れが遅いときほど起こり易い傾向にある。
【0009】
超音波の拡散成分を減衰させる上記の技術によると、拡散成分が流量測定に及ぼす悪影響を緩和することはできるが、上記の超音波の屈折による問題を解消することはできない。
【0010】
そこで、本発明は、超音波反射面の形状の改善によりこの反射面での超音波の反射方向を調整することで、被検流体の組成が変化し、超音波が超音波伝搬線からずれて伝搬する場合であっても、受信側のトランスデューサに良好に入射させ、受信タイミングを正確に判別することができるようにした超音波流量計を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明では、超音波伝搬線を屈曲させて設定するための超音波反射面を凹状に湾曲させて形成する。超音波反射面の曲率半径を設定し、これを被検流体に対するトランスデューサからの超音波の入射点から、超音波伝搬線の超音波反射面上の屈曲点までの距離の略√2倍又は√2倍以上の値とする。超音波反射面は、被検流体を流すための測定管の内壁の一部として形成するとよい。この場合は、前記曲率半径を測定管の直管部における内壁間高さの略2倍又は2倍以上の値とするとよい。
【0012】
超音波反射面をこのように湾曲させて形成することで、被検流体の組成が変化して超音波が超音波伝搬線からずれたとしても、超音波反射面での超音波の反射方向を超音波伝搬線の方向に向かせることが可能となる。このため、受信側のトランスデューサに良好に入射させ、受信タイミングを正確に判別することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る超音波流量計1aの構成図である。本実施形態では、図示しない燃料電池を含んで自動車の駆動源を構成しており、超音波流量計1aは、燃料電池に供給される水素含有ガスの流量を測定するために使用される。
【0014】
測定管11は、被検流体である水素含有ガスを流すためのものであり、断面が矩形に形成されている。軸方向各端にフランジ部11a,11bが形成され、これらを介して隣接する燃料供給管51,52と接続されている。
【0015】
一点鎖線で示す超音波伝搬線Atは、測定用超音波の設定上の伝搬経路であり、測定管11の底部内壁の一部を超音波反射面101としてV字状に屈曲させて幾何学的に設定されている。測定管11の底部は、超音波反射部に相当する。一対のトランスデューサ21,22は、超音波の送受信器であり、超音波伝搬線Atの各端に形成された測定管11のトランスデューサケース12,13に収納された状態で設置されている。トランスデューサケース12,13は、超音波伝搬線Atを中心とする円筒状に測定管11を張り出させて形成されている。上流側のトランスデューサケース12に第1のトランスデューサ21が、下流側のトランスデューサケース13に第2のトランスデューサ22が収納されている。トランスデューサ21,22をトランスデューサケース12,13に収納し、水素含有ガスの通路から外れた位置に設置したことで、トランスデューサ21,22が流れに対する障害とならないようにしている。
【0016】
トランスデューサ21,22には、流量演算手段としての計測装置31が接続されている。計測装置31は、トランスデューサ21,22に超音波Stを発射させるための駆動信号を発生するとともに、発射された超音波Stを受けたトランスデューサから出力された受信信号を入力する。トランスデューサ21,22は、計測装置31からのトランスデューサ駆動信号により作動し、超音波伝搬線Atに沿わせる方向に超音波Stを発射する。計測装置31は、受信信号から超音波Stの受信タイミングを検出し、これに基づいて燃料系配管を流れる水素含有ガスの流量を算出する。
【0017】
ここで、超音波反射面101は、超音波Stを受信側のトランスデューサに良好に入射させるため、次のように所定の曲率半径Rを持つ円弧状に湾曲させて形成されている。本実施形態では、Rを測定管11の内壁間高さHの略2倍の値に設定している。
【0018】
図2は、超音波伝搬線Atと超音波Stが実際に伝搬する経路とを模式的に示したものである。図中符号Aは、上流側のトランスデューサケース12の開口端における超音波伝搬線At上の点であり、Bは、下流側のトランスデューサケース13の開口端における超音波伝搬線At上の点である。点A又はBが被検流体に対するトランスデューサ21,22からの超音波の入射点となる。C1は、超音波伝搬線Atの超音波反射面101上の屈曲点であり、点A及びC1の間の距離(点B及びC1の間の距離に等しい。)をLとする。C2は、超音波Stの実際の反射点である。O1は、角AC1Bの二等分線と角AC2Bの二等分線との交点であり、点C1及びO1の間の距離をRとする。水素含有ガスの水素ガス濃度が低下し、測定管11を流れる水素含有ガスとトランスデューサケース12,13内の残留ガスとの水素ガス濃度に差が生じた場合は、両者を媒体とする音速に差が生じる。このため、超音波Stは、点A及びBで屈折し、超音波伝搬線Atからずれた経路を伝搬することになる。ここで、超音波Stの屈折による伝搬方向のずれをΔθとし、点C1及びC2の間の距離をΔxとする。
【0019】
三角形AC1C2に着目すると、Δx/√2=L×Δθ・・・(1)である。また、角AC2O1=角O1C2Bであることから角C1O1C2=Δθとなるので、Δx=R×Δθ・・・(2)である。(1),(2)式からR=√2×L・・・(3)となる。ここで、超音波伝搬軸Atと流れとの間に形成される角ABC1=角BAC1は、45°に設定されるのが一般的である。従って、点C1及びD(点A及びBの中間点である。)の間の距離を測定管11の直管部における内壁間高さHと近似すれば、L≒√2×H・・・(4)であり、(3),(4)式からR≒2×Hとなる。なお、超音波反射面101の曲率中心は、点O1であり、点A及びBから等しい距離にある。
【0020】
次に、以上のように形成された超音波反射面101の作用を、計測装置31の動作とともに説明する。
超音波流量計1aは、自動車用燃料電池システムにおいて加湿用水蒸気を添加した後の水素含有ガス(以下「加湿燃料ガス」という。)の流量を測定するために使用される。
【0021】
ここで、図1を参照する。計測装置31は、送信側のトランスデューサ(上流側のトランスデューサ21とする。)から超音波Stを発射させる。加湿燃料ガスの組成が一定に保たれる定常時では、超音波Stは、超音波伝搬軸At上を伝搬し、超音波反射面101で反射されて受信側のトランスデューサ(下流側のトランスデューサ22である。)に入射する。計測装置31は、トランスデューサ21からトランスデューサ22までの超音波Stの伝搬時間Δt1を検出する。計測装置31は、続いてこれとは逆に下流側のトランスデューサ22から超音波Stを発射させ、超音波Stが超音波反射面101で反射されて上流側のトランスデューサ21に入射するまでの伝搬時間Δt2を検出する。計測装置31は、検出された伝搬時間Δt1,Δt2に基づいて加湿燃料ガスの流量を算出する。
【0022】
先にも述べたように、自動車用燃料電池システムでは、加湿燃料ガスの組成が常に一定に保たれるわけではない。ここで、過渡時として、加湿燃料ガスの湿度が上昇したり、あるいは窒素ガス等の水素ガス以外の成分の割合が増加するなどして加湿燃料ガスの水素ガス濃度が相対的に低下した場合を想定する。トランスデューサ21,22が通路から引き込んだ位置に設置されているため、トランスデューサケース12,13内には水素ガス濃度が低下した後も水素ガス濃度の高い水素含有ガスが残される。この残留ガスは、その後時間の経過とともに低濃度のものと入れ替わるが、水素ガス濃度が低下した直後は、一時的にトランスデューサケース12,13内と通路内とで水素ガス濃度の異なるガスが存在する状態となる。この状態のもとで送信側のトランスデューサ(上流側のトランスデューサ21とする。)から発射された超音波Stは、トランスデューサケース12の開口端にある点Aで音速の違いにより屈折する。このため、超音波Stが実際に伝搬する経路は、超音波伝搬軸Atからずれることになる。しかしながら、超音波反射面101が所定の曲率半径Rを持った円弧状に湾曲させて形成されているため、超音波Stは、超音波反射面101で超音波伝搬軸Atの方向に反射され、その後超音波伝搬線Atに近づきながら伝搬していく。そして、他方のトランスデューサケース13の開口端にある点B2で更に屈折し、受信側のトランスデューサ(下流側のトランスデューサ22である。)に良好に入射する。
【0023】
本実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
第1に、超音波反射面101を以上の通り所定の曲率半径Rを持った円弧状に湾曲させて形成した。平坦な超音波反射面によると、図3に示すように点Aで屈折した超音波Stが超音波反射面で超音波伝搬軸Atから離れる方向に反射され、受信側のトランスデューサに入射せず、超音波Stの受信タイミングを判別することができなくなる場合がある。本実施形態によれば、超音波Stの反射方向を超音波伝搬線Atの方向に向かせることができるので、超音波Stを受信側のトランスデューサに良好に入射させ、受信タイミングを正確に判別することができる。
【0024】
なお、本実施形態では、超音波反射面101の曲率半径Rを測定管11の直管部における内壁間高さHの略2倍の値に設定している。超音波Stの屈折が大きいときは、屈折の大きさに応じてHの2倍以上の値にRを設定することで、同様の効果を得ることが可能となる。
【0025】
第2に、超音波反射面101を円弧状に形成したことで、この反射面101を利用して超音波Stの拡散を抑制し、受信タイミングをより高い精度で判別することができる。円弧状の超音波反射面101によれば、図4に示すように送信側トランスデューサ(上流側のトランスデューサ21とする。)から発射された超音波Stの拡散成分を受信側のトランスデューサ(下流側のトランスデューサ22である。)に向けて反射させて集めることができるからである。ここで、超音波Stの各成分の伝搬経路長がおよそ等しくなるため、成分同士の干渉を防止し、受信波形を際出させることができる。このような効果が得られることで、過渡時ばかりでなく、屈折の生じない定常時の測定精度を向上させることができる。
【0026】
以上の効果は、下流側のトランスデューサ22を送信側とした場合にも得ることができる。トランスデューサケース13の開口端にある点Bで屈折した超音波Stの反射方向を超音波伝搬線Atの方向に向かせ、受信タイミングを正確に判別するとともに、超音波反射面101を利用して超音波Stの拡散成分を集め、定常時の測定精度を向上させることができる。
【0027】
なお、以上のように超音波反射面101を湾曲させて形成すると、加湿用水蒸気を添加した後の水素含有ガスを被検流体とする場合は、水蒸気が凝縮した水が超音波反射面101に溜まることが問題となる。この凝縮水は、測定管11を下流側が下になるように傾斜させて設置することにより排出することができる。
【0028】
また、図5に示すように測定管11自体を円弧状に湾曲させて曲がり部を形成し、曲がり部の外側の管壁内面に超音波反射面101を形成することとしてもよい。超音波反射面101の曲率半径Rを、直管部における内壁間高さHの略2倍又は2倍以上の値に設定することで、受信タイミングを正確に判別することが可能となるとともに、曲がり部における断面の形状を直管部に対して特に変化させることなく超音波反射面101を円弧状に湾曲させて形成することができるので、測定管11の製作が容易となる。
【0029】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。
図6,7は、第2の実施形態に係る超音波流量計1bの構成図である。
超音波流量計1bは、超音波反射面101の曲率半径の中心が、トランスデューサケース12,13の開口端にある点A及びBから等しい距離にある点O1よりも上流側にずれた点O2に設定されている。それ以外の超音波伝搬線At、超音波反射面101の曲率半径R、トランスデューサ21,22及びトランスデューサケース12,13等の構成は、第1の実施形態のものと同様である。
【0030】
本実施形態によれば、流量の増大に伴う超音波Stの超音波伝搬線Atからのずれを簡易に補うことができる。上流側のトランスデューサ21から超音波Stが発射される場合に、超音波Stが、図6に示すように流れの影響で超音波伝搬線Atよりも下流側にずれた経路を伝搬したとする。ここで、超音波反射面101の曲率中心O2が点O1よりも上流側にずらして設定されたことで、超音波Stの反射方向を超音波伝搬線Atの方向に向かせることができ、下流側のトランスデューサ22に良好に入射させることができる。
【0031】
一方、下流側のトランスデューサ22から超音波Stが発射される場合も同様であり、図7に示すように流れの影響で超音波伝搬線Atから下流側にずれて伝搬する超音波Stを、超音波反射面101により超音波伝搬線Atの方向に向けて反射させ、上流側のトランスデューサ21に良好に入射させることができる。
【0032】
図8,9は、第3の実施形態に係る超音波流量計1cの構成図である。
超音波流量計1cは、各トランスデューサ21,22の超音波Stの発射方向が、超音波伝搬線At1上に発射する方向から所定の角度(上流側のトランスデューサ21についてα、下流側のトランスデューサ22についてβとする。)だけずれた二点鎖線で示す軸At2上に発射する方向に設定されている。このため、各超音波Stの発射方向と流れの方向との間に形成される角度a2,b2が、超音波伝搬線At上に発射される場合に形成される角度a1,b1よりも増大している。それ以外の超音波反射面101の曲率半径R等の構成は、第1の実施形態のものと同様である。
【0033】
本実施形態によれば、流量の増大に伴う超音波Stの超音波伝搬線Atからのずれを簡易に補うことができる。上流側のトランスデューサ21から超音波Stが発射される場合に、超音波Stの発射方向が角度αだけずらして設定されたことで、図8に示すように流れを利用して超音波伝搬線Atの超音波反射面101上の屈曲点C1に近い位置で反射させ、下流側のトランスデューサ22に良好に入射させることができる。
【0034】
一方、下流側のトランスデューサ22から超音波Stが発射される場合も同様であり、図9に示すように流れを利用して超音波Stの実際の反射点を超音波伝搬線Atの屈曲点C1に近づけ、上流側のトランスデューサ21に良好に入射させることができる
以上では、超音波伝搬軸Atの屈曲点を1つだけ設定した場合を例に説明したが、本発明は、複数の超音波反射面101を形成し、複数の屈曲点を設定した超音波流量計に適用することも可能である。この場合は、各超音波反射面を同様の曲率半径を有する円弧状に形成し、超音波の屈折による測定精度の低下を防止することができる。
【0035】
また、以上では、加湿燃料ガスの水素ガス濃度が低下し、通路内の音速が低下する場合を例に説明した。しかしながら、水素ガス濃度が上昇する場合についても同様な効果を得ることができる。超音波Stは、水素ガス濃度が低下する場合とは逆の方向に屈折することになるが、円弧状の超音波反射面101により超音波Stの反射方向を超音波伝搬軸Atの方向に向かせ、受信側のトランスデューサに良好に入射させることができる。
【0036】
また、以上では、加湿燃料ガスを被検流体とする場合を例に説明した。しかしながら、本発明は、加湿用水蒸気を添加する前の水素含有ガスの流量を測定したり、あるいは燃料電池に供給される酸化剤ガス(例えば、空気)の流量を加湿前又は加湿後に測定するために使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に関する超音波流量計の構成
【図2】超音波反射面の曲率半径の設定
【図3】平坦な超音波反射面による場合の超音波の伝搬
【図4】超音波の拡散成分の伝搬
【図5】曲がり部に超音波反射面が形成された測定管
【図6】曲率中心をオフセットさせた超音波反射面による場合の超音波の順方向の伝搬
【図7】同上超音波反射面による場合の超音波の逆方向の伝搬
【図8】超音波の発射方向をずらして設定されたトランスデューサによる場合の超音波の順方向の伝搬
【図9】同上トランスデューサによる場合の超音波の逆方向の伝搬
【符号の説明】
1a,1b,1c…超音波流量計、11…測定管、12,13…トランスデューサケース、21…第1のトランスデューサ、22…第2のトランスデューサ、31…流量演算手段としての計測装置、101…超音波反射面、At…超音波伝搬軸、St…超音波の実際の伝搬経路、C1…超音波伝搬軸の屈曲点、C2…超音波の実際の反射点、O1,O2…曲率中心。
Claims (9)
- 被検流体の流量を測定するための装置であって、
超音波伝搬線を屈曲させて設定するための超音波反射面が形成された超音波反射部と、
超音波伝搬線上で超音波反射部の上流側に設置され、流れに対して順方向に超音波を発射する第1のトランスデューサと、
超音波伝搬線上で超音波反射部の下流側に設置され、流れに対して逆方向に超音波を発射する第2のトランスデューサと、
第1及び第2のトランスデューサから発射された超音波の、受信側のトランスデューサまでの各伝搬時間に基づいて流量を演算する流量演算手段と、を含んで構成され、
超音波反射部は、超音波反射面が凹状に湾曲させて形成され、その曲率半径が被検流体に対する第1又は第2のトランスデューサからの超音波の入射点から、超音波伝搬線の超音波反射面上の屈曲点までの距離の略√2倍又は√2倍以上の値に設定された超音波流量計。 - 被検流体の通路を形成する測定管と、
超音波伝搬線上に設置され、流れに対して順方向に超音波を発射する第1のトランスデューサと、
超音波伝搬線上で第1のトランスデューサよりも下流側に設置され、流れに対して逆方向に超音波を発射する第2のトランスデューサと、
第1及び第2のトランスデューサから発射された超音波の、受信側のトランスデューサまでの各伝搬時間に基づいて流量を演算する流量演算手段と、を含んで構成され、
超音波伝搬線は、測定管の内壁の一部として設けられた超音波反射面上で屈曲させて設定され、
超音波反射面は、凹状に湾曲させて形成され、曲率半径が超音波伝搬線のこの反射面上の屈曲点から対向する測定管の内壁までの高さの略2倍又は2倍以上の値に設定された超音波流量計。 - 測定管の直管部における内壁間高さを前記屈曲点から対向する測定管の内壁までの高さとして超音波反射面の曲率半径が設定された請求項2に記載の超音波流量計。
- 第1及び第2のトランスデューサが測定管に形成されたトランスデューサケースに収納され、被検流体の通路から外れた位置に設置された請求項2又は3に記載の超音波流量計。
- 測定管が湾曲させて形成され、超音波反射面がその曲がり部における外側の管壁内面に形成された請求項2〜4のいずれかに記載の超音波流量計。
- 超音波反射面の曲率中心が流れに対して前記屈曲点よりも上流側に設定された請求項1〜5のいずれかに記載の超音波流量計。
- 第1及び第2のトランスデューサからの超音波の発射方向のうち少なくとも一方が、超音波伝搬線上に発射される場合と比較して、流れの方向との間に形成される角度が増大するようにずらして設定された請求項1〜6のいずれかに記載の超音波流量計。
- 燃料電池の燃料ガス又は酸化剤ガスの通路に介装された請求項1〜7のいずれかに記載の超音波流量計。
- 前記燃料電池が自動車の駆動源を構成する請求項8に記載の超音波流量計。
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