JP2004218697A - バランスシャフト付き内燃機関 - Google Patents
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Abstract
【課題】バランスシャフトのオンオフ動作によるトルクショックを防止する。
【解決手段】クランクシャフト10に平行に配置した、カウンタウェイトを有するバランスシャフト1を回転させて機関の不釣り合い慣性力を打ち消しで振動を低減する際に、例えば、車速が所定値以上になったときにバランスシャフトの回転を停止してバランスシャフト駆動に要するエネルギー消費を低減する。バランスシャフトをクランクシャフトから駆動するのではなく、電動モータ20によりクランクシャフトから独立して駆動することにより、バランスシャフトのオンオフ動作により機関出力トルクが変動することが防止される。
【選択図】 図7
【解決手段】クランクシャフト10に平行に配置した、カウンタウェイトを有するバランスシャフト1を回転させて機関の不釣り合い慣性力を打ち消しで振動を低減する際に、例えば、車速が所定値以上になったときにバランスシャフトの回転を停止してバランスシャフト駆動に要するエネルギー消費を低減する。バランスシャフトをクランクシャフトから駆動するのではなく、電動モータ20によりクランクシャフトから独立して駆動することにより、バランスシャフトのオンオフ動作により機関出力トルクが変動することが防止される。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バランスシャフト付き内燃機関に関し、詳細には機関回転中にバランスシャフトの回転をオン・オフ可能なバランスシャフト付き内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関においては、ピストンの往復運動による慣性力により振動が生じる。この振動のうち、一部の振動成分についてはバランスをとることが可能であるが、例えば上記振動のうち回転数の2次成分の振動等が不釣り合いとして残り、例えば特定の回転数領域で機関の大きな振動が生じる場合がある。
【0003】
この2次成分の振動を打ち消す手段として、機関クランクシャフト両側に平行に配置した1対のバランスシャフトを設ける方法が知られている。
これらのバランスシャフトに、カウンタウェイト等のアンバランスを設け、クランクシャフトの2倍の回転数でクランクシャフトからギヤ、プーリー等を介して回転駆動することにより、ピストン往復動により生じるアンバランス慣性力と逆位相の2次成分慣性力が生成されるため、ピストン往復動による慣性力とバランスシャフトの回転により生じる慣性力とが互いに打ち消し合うようになる。
【0004】
ところが、上記のようなバランスシャフト付き内燃機関では、バランスシャフトを駆動するための駆動力が必要となり、常時バランスシャフトを回転させていると内燃機関の燃料消費量が増大してしまう問題がある。
このため、例えば特許文献1、特許文献2等のように、クランクシャフトからバランスシャフトへの回転伝達経路に回転数によりオンオフするクラッチを設けることが提案されている。
【0005】
すなわち、特許文献1及び特許文献2の装置では、予め定めた回転数以下ではクラッチがオフとなるため、振動が比較的小さい機関低回転領域ではバランスシャフトの駆動が停止され、バランスシャフトの駆動により生じる機関の燃料消費量増大が防止される。
【0006】
【特許文献1】
実開平5−14699号公報
【特許文献2】
特開平10−280973号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1及び2の装置では、機関回転数に応じて自動的に機関の運転中にクラッチのオン・オフが行われるため問題が生じる場合がある。
【0008】
例えば、バランスシャフトの回転でピストン往復動による慣性力のアンバランス成分を打ち消すためには、バランスシャフトをクランクシャフトに対して特定の位相に固定して回転させる必要がある。
従って、機関運転中にバランスシャフトのクラッチをオンする場合には、クラッチをすべらせながら徐々につなぐような操作を行うことはできず、クランクシャフトが特定の回転位置になった瞬間にバランスシャフトとクランクシャフトとを連結して回転位相を特定の位置に維持する必要がある。ところが、機関の回転中に特定位置でクラッチを接続することは困難でありこれを実現するためには複雑な同期機構を付加する必要が生じる場合がある。また、仮に特定位置でクラッチを接続できたとしても、静止したバランスシャフトを回転するクランクシャフトに急激に連結するため機関に大きなトルク変動が発生する場合がある。
【0009】
また、同様に機関運転中にバランスシャフトのクラッチをオフすると急激な負荷の減少により機関に大きなトルク変動が発生する。
このため、上記特許文献1及び2では、バランスシャフトのクラッチのオン・オフにより機関の大きなトルク変動が繰り返される問題がある。
【0010】
更に、機関回転中にはクラッチ機構にも回転による遠心力が作用するため、特に機関高回転領域で遠心力の影響によりクラッチのオン・オフ動作が不確実になる場合がある。
本発明は、上記問題の1つまたはそれ以上を解決する手段を備えたバランスシャフト付き内燃機関を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、機関クランクシャフトに平行に配置されたバランスシャフトと、前記クランクシャフトの回転を伝達し前記バランスシャフトを駆動する伝達機構とを備えたバランスシャフト付き内燃機関において、前記伝達機構は、前記バランスシャフト周囲に回転可能に嵌装され前記クランクシャフトから回転駆動される円板状回転部材と、前記バランスシャフト外周面と前記回転部材内周面とにそれぞれ設けられた受承孔と前記回転部材側の受承孔に収納された連結ピンと、前記回転部材側の受承孔内部に配置され前記連結ピンをバランスシャフト中心軸に向けて付勢するばね手段と、前記バランスシャフト側の受承孔底部に連通する油圧供給路とを備え、前記油圧供給路に圧力油を供給し、油圧により前記ばね部材の付勢力に抗して前記連結ピンを前記回転部材側受承孔内に保持することにより、前記回転部材を前記バランスシャフト廻りに空転させてバランスシャフトを停止させ、前記油圧供給路の圧力油を排出することにより前記ばね手段の付勢力により前記連結ピンを前記バランスシャフト側の受承孔に進入させ、前記回転部材とバランスシャフトとを係合させて前記バランスシャフトを前記クランクシャフトに同期して回転させる、バランスシャフト付き内燃機関が提供される。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、機関クランクシャフトに平行に配置されたバランスシャフトと、前記クランクシャフトの回転を伝達し前記バランスシャフトを駆動する伝達機構とを備えたバランスシャフト付き内燃機関において、前記伝達機構は、前記クランクシャフト周囲に回転可能に嵌装され前記バランスシャフトに係合して回転を伝達するる円板状回転部材と、前記クランクシャフト外周面と前記回転部材内周面とにそれぞれ設けられた受承孔と前記回転部材側の受承孔に収納された連結ピンと、前記回転部材側の受承孔内部に配置され前記連結ピンをクランクシャフト中心軸に向けて付勢するばね手段と、前記クランクシャフト側の受承孔底部に連通する油圧供給路とを備え、前記油圧供給路に圧力油を供給し、油圧により前記ばね部材の付勢力に抗して前記連結ピンを前記回転部材側受承孔内に保持することにより、前記回転部材を前記クランクシャフト廻りに空転させてバランスシャフトを停止させ、前記油圧供給路の圧力油を排出することにより前記ばね手段の付勢力により前記連結ピンを前記クランクシャフト側の受承孔に進入させ、前記回転部材とクランクシャフトとを係合させて前記回転部材により前記バランスシャフトを回転駆動する、バランスシャフト付き内燃機関が提供される。
【0013】
すなわち、請求項1と請求項2の発明では連結ピンと受承孔との係合によりクランクシャフトの回転がバランスシャフトに伝達されるため、すべりのない強固な連結が行われ、クランクシャフトとバランスシャフトとの相対位相が確実に維持される。
【0014】
また、連結ピンは常時回転部材側からシャフト(クランクシャフトまたはバランスシャフト)中心側に向けてばね手段により付勢されており、シャフト側から油圧で連結ピンを押動することによりシャフト側の受承孔から離脱し、クランクシャフトからバランスシャフトへの駆動力伝達が停止される。バランスシャフト駆動中には連結ピンには大きな負荷がかかっており、連結ピンが受承孔から抜けにくくなっているが、このように、油圧を用いて連結ピンを押動することにより、確実にピンを離脱させてバランスシャフトを停止させることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、複数の前記受承孔と連結ピンとの組が、シャフト軸線を中心とする互いに異なる円周上にシャフト軸線方向に離間して配置され、前記回転部材と前記シャフトとが所定の相対回転位置にある場合にのみ全部の回転部材側の受承孔とシャフト側の受承孔との位置が整合し各連結ピンが回転部材側とシャフト側の両方の受承孔に進入可能となり、前記所定の相対回転位置以外の回転位置では回転部材側とシャフト側の受承孔が不整合位置にある請求項1または2に記載のバランスシャフト付き内燃機関が提供される。
【0016】
すなわち、請求項3の発明では複数の受承孔と連結ピンとの係合によりバランスシャフト駆動時の駆動力が伝達されるため、大きな駆動力を伝達することが可能となる。また、複数の受承孔と連結ピンとを用いる場合、シャフト外周に沿って同一円周上に配置する場合には、所定の回転位相位置でのみ全部の連結ピンと受承孔とが係合するように受承孔を円周上に不等間隔で設ける必要があるが、不等間隔で受承孔を配置した場合であっても、所定の回転位相以外の位置で一部の受承孔が整合位置になり連結ピンが受承孔と係合してしまい、クランクシャフトとバランスシャフトとの回転位置が本来必要な位相からずれた位置で回転する誤連結が生じる場合があり得る。
【0017】
本発明では、複数の連結ピンと受承孔とを設ける場合に、これらを軸線方向に互いに離間した位置に配置したことにより、クランクシャフトとバランスシャフトとが所定の相対位相になっている場合以外には各連結ピンと受承孔とが係合することができない。このため、誤連結が生じることが確実に防止される。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、機関クランクシャフトに平行に配置されたバランスシャフトと、前記クランクシャフトの回転を伝達し前記バランスシャフトを駆動する伝達機構とを備えたバランスシャフト付き内燃機関において、前記伝達機構は、前記バランスシャフト周囲に回転可能に嵌装され前記クランクシャフトから回転駆動される円板状回転部材と、前記バランスシャフト周囲に配置され、前記バランスシャフトに対して回転方向に固定された連結部材とを備え、前記連結部材、若しくは前記バランスシャフトと前記連結部材とを一体に、バランスシャフト軸線方向に移動させ前記連結部材を前記回転部材にバランスシャフト軸線方向に押圧することにより前記クランクシャフトから前記回転部材を介して前記バランスシャフトを回転駆動し、前記連結部材、若しくは前記バランスシャフトと前記連結部材とを一体に、バランスシャフト軸線方向に移動させ前記連結部材を前記回転部材からバランスシャフト軸線方向に離間させることにより前記バランスシャフトを停止させる、バランスシャフト付き内燃機関が提供される。
【0019】
すなわち、請求項4の発明では、例えばバランスシャフト外周にスプラインなどにより係合しバランスシャフトに対して軸線方向に移動可能な連結部材を設け、この連結部材とクランクシャフトから回転駆動される回転部材とを軸線方向に当接させてクランクシャフトからバランスシャフトに駆動力を伝達する。このように、バランスシャフト軸線方向の当接により駆動力の伝達をオンオフすることにより、シャフトの回転による遠心力に影響されることなく駆動力のオンオフを行うことが可能となる。この場合、連結部材を軸線方向に移動させる代わりに、連結部材をバランスシャフトと一体に形成し、バランスシャフト自体を連結部材とともに軸線方向に移動させて回転部材と連結部材とを当接させるようにすることも可能である。
【0020】
また、回転部材と連結部材とを、例えば当接面に所定位相でのみ噛み合う凹凸を設けたドッグクラッチ等として構成することにより、確実にクランクシャフトとバランスシャフトとの相対回転位相を保持することが可能となる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、機関クランクシャフトに平行に配置され、前記クランクシャフトに駆動されて回転するバランスシャフトと、前記クランクシャフトからバランスシャフトへの駆動力伝達経路に設けられ、前記駆動力の伝達を機関運転中にオン、オフ可能なクラッチ機構とを備えたバランスシャフト付き内燃機関において、前記クラッチ機構のオフ状態からオン状態への切り換えを機関停止中に実行するバランスシャフト付き内燃機関が提供される。
【0022】
すなわち、請求項5の発明ではクランクシャフトからの駆動力をバランスシャフトに伝達するクラッチ機構のオフからオンへの切り換え、すなわちバランスシャフトの停止から回転への切り換えを機関停止時に実行する。
バランスシャフトを停止した状態での走行中にバランスシャフトを回転させる条件が成立したような場合等に、走行中に直ちにクラッチ機構をオフからオンに切り換えると大きな機関トルク変動が生じる。
【0023】
例えば、走行中車両が停止した状態でアイドル運転が所定時間連続した場合にエンジンを停止するアイドルストップ機構を備えた内燃機関などでは、走行中の信号待ち等の車両停止時に機関が停止される場合がある。
本発明では、走行中にバランスシャフトの起動(クラッチオン)条件が成立した場合であっても直ちにクラッチをオンすることなく、車両が停止してアイドルストップ機構により機関が停止されている間にクラッチをオンに切り換える。これにより、走行中にバランスシャフトをオンにすることによるトルク変動が生じることが防止される。
【0024】
請求項6に記載の発明によれば、機関クランクシャフトに平行に配置され、前記クランクシャフトに駆動されて回転するバランスシャフトと、前記クランクシャフトからバランスシャフトへの駆動力伝達経路に設けられ、前記駆動力の伝達を機関運転中にオン、オフ可能なクラッチ機構とを備えたバランスシャフト付き内燃機関において、前記クラッチ機構のオフ状態からオン状態への切り換えを機関始動動作時に実行するバランスシャフト付き内燃機関が提供される。
【0025】
すなわち、請求項6の発明では、クランクシャフトからの駆動力をバランスシャフトに伝達するクラッチ機構のオフからオンへの切り換えを機関始動操作時(例えばクランクランキング中)に行う。
これにより、例えばアイドルストップ機構を備えた内燃機関では、車両走行中の一時停止時等にアイドルストップ機構の作動により機関が停止された場合にも機関運転開始直前の始動操作時にクラッチのオン操作が行われるため、例えばクラッチのオン状態保持のために電力を消費するクラッチ機構(例えば電磁アクチュエータを使用する場合)等においては、クラッチのオン状態保持による機関停止中の電力消費を抑制しつつクラッチのオン操作による機関出力トルク変動の発生を防止することが可能となる。
【0026】
請求項7に記載の発明によれば、機関クランクシャフトに平行に配置され、前記クランクシャフトに駆動されて回転するバランスシャフトと、前記クランクシャフトからバランスシャフトへの駆動力伝達経路に設けられ、前記駆動力の伝達を機関運転中にオン、オフ可能なクラッチ機構とを備えたバランスシャフト付き内燃機関において、前記クラッチ機構のオン状態からオフ状態への切り換えを、機関減速開始時に実行するバランスシャフト付き内燃機関が提供される。
【0027】
すなわち、請求項7の発明では、走行中にクランクシャフトからの駆動力をバランスシャフトに伝達するクラッチ機構のオンからオフへの切り換え条件が成立した場合にも直ちに切り換えを行わず、次に機関の減速が開始された時に切り換えを行う。クラッチ機構のオンからオフへの切り換え時には、バランスシャフトが切り離されるため、今までバランスシャフトの駆動に要していた機関トルクが急激に減少する。このため、走行中にクラッチのオンからオフへの切り換えを行うと機関出力トルクの急激な増大が生じ、運転者に違和感を生じさせる。
【0028】
本発明では、クラッチ機構のオンからオフへの切り換えは、機関減速開始時、例えば走行中に運転者がアクセルペダルをある速度以上で戻した時(または機関スロットル弁開度がある速度以上で減少した時)に行う。これにより、機関減速による出力トルクの減少とクラッチオフによる出力トルクの増大とが同時に生じることとなり、運転者に違和感を生じさせることを防止できる。
【0029】
請求項8に記載の発明によれば、機関クランクシャフトに平行に配置され、前記クランクシャフトに駆動されて回転するバランスシャフトと、前記クランクシャフトからバランスシャフトへの駆動力伝達経路に設けられ、前記駆動力の伝達を機関運転中にオン、オフ可能なクラッチ機構とを備えたバランスシャフト付き内燃機関において、前記クラッチ機構のオン状態からオフ状態への切り換えを、機関変速機シフト操作中に実行するバランスシャフト付き内燃機関が提供される。
【0030】
すなわち、請求項8の発明では、走行中にクランクシャフトからの駆動力をバランスシャフトに伝達するクラッチ機構のオンからオフへの切り換え条件が成立した場合にも直ちに切り換えを行わず、次に変速機のシフト操作が実行されたときに行う。シフト操作時には、ギヤがニュートラル位置を通過するときには機関が駆動系から切り離される期間が存在し、この期間内は多少機関出力トルクが変動しても実際に車両にはショックとして伝わらない。従って、この機関にバランスシャフトのオフ操作を行うことにより、機関出力トルク変化により車両の走行が影響を受けることが防止される
更に運転者は変速機シフトに伴って車両駆動トルクが変動することを予期している。このため、シフト操作時にクラッチ機構のオフ操作が行われ、機関出力トルクの変動による駆動トルクの変動が生じても運転者は違和感を生じない。これにより、機関運転中に、運転者に違和感を生じさせることなくバランスシャフトの停止を行うことが可能となる。
【0031】
請求項9に記載の発明によれば、機関クランクシャフトに平行に配置され、前記クランクシャフトに駆動されて回転するバランスシャフトと、前記バランスシャフトを回転駆動する、機関とは独立して制御可能なモータと前記クランクシャフトとバランスシャフトとの回転位相を検出する位相検出手段とを備え、予め定めた条件が成立したときに、前記モータにより前記バランスシャフトを前記クランクシャフトに対して予め定めた回転位相で回転駆動する、バランスシャフト付き内燃機関が提供される。
【0032】
すなわち、請求項9の発明ではバランスシャフトはクランクシャフトから駆動されるのではなく、機関とは独立して起動、停止等の動作を制御可能なモータにより駆動される。
また、モータは位相検出手段により検出されたバランスシャフトとクランクシャフトとの相対回転位相が予め定めた値になるようにバランスシャフトの回転位相、回転速度を制御する。
【0033】
これにより、機関運転中も機関出力トルクに変動を生じることなくバランスシャフトの回転と停止とを行うことができるとともに、バランスシャフト起動時の回転位相制御が容易になる。
【0034】
請求項10に記載の発明によれば、前記内燃機関は車両駆動用内燃機関であり、車両走行速度が予め定めた速度以上になったときに、前記モータによる前記バランスシャフトの回転駆動を停止する、請求項9に記載のバランスシャフト付き内燃機関が提供される。
【0035】
すなわち、請求項10の発明では車両走行速度が予め定め速度以上になったときにバランスシャフトの駆動が停止される。車両走行時には、一般に車速増大とともに機関回転数も高くなり振動も大きくなるが、車両走行に伴う車体の振動も車速とともに大きくなるため、運転者が体感する機関の振動は相対的に小さくなり、バランスシャフトを停止しても運転者は機関の振動が増大したことを意識しない。
【0036】
そこで、本発明では車両走行速度を検出し、速度が予め定めた適宜な値より大きくなった場合にはモータを停止してバランスシャフトの回転を停止する。これによりバランスシャフト駆動モータのエネルギ消費を低減することができ、全体として車両の走行燃費が向上するようになる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
【0038】
図1は、バランスシャフトの配置の一例を示す図である。
図1において、10は内燃機関のクランクシャフト、1はバランスシャフトを示す。
バランスシャフト1は、図1に示すように偏心したウェイト部1aを備えており、クランクシャフト10に平行に配置され、図示しない軸受により回転自在に支持されている。バランスシャフト1の本数は、気筒数、点火順序等によっても異なるが、図1のように4気筒機関の場合には一般にクランクシャフトの両側に1本ずつバランスシャフトを配置し、それぞれ逆方向にクランクシャフト回転数の2倍の速度で回転させることにより、ピストンの往復動の慣性力の不釣り合いによる振動を打ち消す。
【0039】
バランスシャフト1は、図1の例ではクランクシャフト10から歯付きベルト(タイミングベルト)5aとプーリー5b、5cを介して駆動されているが、他にチェーンとスプロケット、或いはギヤを介してクランクシャフトから駆動する場合もある。また、図1では、一方のバランスシャフトのみを図示しているが、他方のバランスシャフトについても同様な構成とされている。
【0040】
図1に示すように、通常、バランスシャフトはクランクシャフトから機械的に駆動されるため、機関の動力を消費し、常時バランスシャフトを駆動していると機関の燃料消費量の増大を生じる。このため、本実施形態では、機関の振動が比較的小さくなるような運転領域ではクランクシャフトからバランスシャフトを切り離して機関の燃料消費量の増大を防止するために、クラッチ機構が設けられている。
【0041】
図2は、バランスシャフトのクラッチ機構構成例を模式的に示す図である。
図2の例では、バランスシャフト1とクランクシャフト10とは互いに噛合するギヤ11、101により連結されている。ここで、ギヤ11はバランスシャフト1周りに一体に形成されているが、ギヤ11と噛合するクランクシャフト側のギヤ101はクランクシャフト10のジャーナル部101a周りに嵌装され、ジャーナル部101a周りに回転可能となっている。
【0042】
また、クランクシャフト10のジャーナル部101aには半径方向に受承孔101bが設けられており、ギヤ101の内周面にはクランクシャフトの受承孔101bに対応する位置に半径方向受承孔101cが設けられている。
受承孔101bと101cとは、クランクシャフト10とバランスシャフト1とが予め定めた回転位相にある時にのみ互いに整合する位置に設けられており、ギヤ101側の受承孔101c内には、受承孔内を摺動可能な連結ピン101dと、連結ピン101dをクランクシャフト10軸線方向に付勢するスプリング101eが配置されている。
【0043】
一方、クランクシャフト側の受承孔101bには、クランクシャフト10内に穿設された油圧通路101fが接続されている。油圧通路101fは、電磁遮断弁15を介して油圧源(例えば内燃機関の潤滑油ポンプなど)に接続されている。
本実施形態では、ギヤ101側受承孔101c内の連結ピン101dはスプリング101eにより付勢され、クランクシャフトのジャーナル部101a外周面に押圧されている。この状態でクランクシャフト10が回転すると、ギヤ101はジャーナル部101aのまわりに空転し、ギヤ101側の受承孔101cとクランクシャフト側受承孔101bとの位置が一致したときに連結ピン101dがスプリング101eに押されてクランクシャフト側受承孔101b内に進入し、ギヤ101とクランクシャフト10とを連結する。これにより、ギヤ101はクランクシャフトと一体に回転するようになり、ギヤ101と噛合するバランスシャフト側のギヤ11及びバランスシャフト1はクランクシャフトに対して所定の回転位相で回転するようになり、バランスシャフト1が回転駆動される。
【0044】
一方、バランスシャフト駆動中に電磁遮断弁15がオンにされると油圧通路101fは油圧源に接続され、クランクシャフト側の受承孔101b内には作動油(潤滑油)が流入し、受承孔101b内に進入している連結ピン101dを受承孔101bから押し出す。これにより、受承孔101bと連結ピン101dとの係合が解除され、ギヤ101はクランクシャフト10のジャーナル部101a周囲を空転するようになり、ギヤ101にギヤ11を介して連結されたバランスシャフト1は停止する。
【0045】
また、バランスシャフト停止中に電磁遮断弁15がオフにされると油圧通路101fは油圧源から遮断され、受承孔101b内の作動油は、ギヤ101とジャーナル101aとの摺動部のクリアランスから外部に流出し受承孔101b内の油圧が低下する。これにより、連結ピン101dが受承孔101b内に進入可能となり、バランスシャフト1の回転が開始される。
【0046】
本実施形態のように、回転するシャフトの半径方向に移動する連結ピンを用いてギヤとシャフトとを連結する場合には、バランスシャフト駆動中に比較的大きな円周方向の力が連結ピンに加わるため、例えば連結ピンに作用する遠心力のみで連結ピンがシャフト側の受承孔から離脱させることは困難な場合がある。
本実施形態では、油圧通路101fに供給する油圧により連結ピン101dを受承孔101b外に押し出す構成としたことにより、必要な時に確実に連結ピン101dと受承孔101bとの係合を解除することができ、バランスシャフトの作動と停止とを確実に行うことができる。
【0047】
なお、図2の例では連結ピンと受承孔、油圧通路等からなる連結機構をクランクシャフト10側に設けているが、図3に示すように連結ピン、受承孔、油圧通路等の連結機構をバランスシャフト側に設けることも可能である。
また、図2、図3の例では連結ピン、受承孔の組を1つだけ設けているため、ギヤとシャフトとは必ず特定の位置で結合され、バランスシャフトとクランクシャフトとの相対的な回転位相が特定の値に維持される。しかし、バランスシャフト駆動トルクが比較的大きく、強度上複数の連結ピンが必要とされるような場合がある。ところが、このような場合に連結ピンと受承孔との組をジャーナル部の同一円周上に配置すると問題が生じる。
【0048】
例えば、複数の受承孔をジャーナル部に等間隔に設けると、ギヤ側の受承孔とシャフト側の受承孔とが一致する位置が複数存在することになり、連結時にバランスシャフトとクランクシャフトとが常に一つの相対回転位置で連結されるとは限らなくなり、バランスシャフトとクランクシャフトとの回転位相が所定位相以外になる状態での連結、すなわち誤連結が生じる場合がある。
【0049】
また、同一円周上に複数の受承孔を不等間隔で配置した場合も、複数の連結ピンのうち一部のみがシャフト側の受承孔に係合する場合を考えるとやはりバランスシャフトとクランクシャフトとが常に一つの相対回転位置で連結されるとは限らなくなり、誤連結が生じる可能性がある。
本実施形態では、複数の受承孔と連結ピンとの組が必要な場合には、図4に示すように複数の受承孔(図4は2つの受承孔A、Bを設けた場合を示す)軸線方向に離間した位置に配置し、ジャーナル部の同一円周上には受承孔は常に1つだけ配置されるようにしている。
【0050】
これにより、ギヤとシャフトとは常に所定の位置で全部の連結ピンを用いて係合するようになる。これにより、複数の連結ピンと受承孔とを用いる場合にも誤連結が生じることが防止される。
なお、図2から図4の例では半径方向に作動する連結ピンによりギヤとシャフトとの連結を行っている。このため、連結ピンに作用する遠心力により連結、離脱動作が多少とも影響を受ける場合がある。このため、シャフトの軸線方向の動作により連結、離脱を行う機構を用いて連結、離脱動作に遠心力の影響が生じることを防止することもできる。
【0051】
図5は軸線方向の動作により連結、離脱を行う機構の例を示している。
図5において、ギヤ101はクランクシャフト10と一体に形成されており、バランスシャフト1には、ギヤ101と常時噛合するギヤ11が設けられている。ギヤ11は、バランスシャフト1周りに回転可能だがクランクシャフト10に対しては軸線方向に移動しないようにバランスシャフトからは独立して図示しない軸受により支持されている。また、バランスシャフト1周囲にはギヤ11の側面に係合可能なドッグクラッチ13が一体に形成されており、バランスシャフト1の一端にはドッグクラッチ13がギヤ11側面に押圧される方向バランスシャフトを移動させる油圧機構14が、他端にはドッグクラッチ13をギヤ11側面から離間させる方向にバランスシャフトを付勢するスプリング17が、それぞれ設けられている。
【0052】
油圧機構14は、電磁遮断弁15を介して油圧源に接続されており、電磁遮断弁15をオンすることにより、油圧機構14に作動油が供給され、バランスシャフト1全体が図5左方向に移動する。
これにより、バランスシャフト1に一体に形成されたドッグクラッチ13がギヤ11側面に当接し、ギヤ11の回転がバランスシャフト1に伝達される。
【0053】
ドッグクラッチ13はギヤ11側面と当接する部分に、ギヤ11側面に設けられた凹部と係合する凸部が設けられており、ギヤ11とバランスシャフト1とが特定の回転位置関係になったときにのみ噛合するようにされている。このため、バランスシャフト1全体が軸線方向に移動してドッグクラッチ13とギヤ11とが噛合すると、バランスシャフト1はクランクシャフト10と特定の相対的位相関係を維持したまま回転するようになる。
【0054】
電磁遮断弁15がオフされると油圧機構14内の油圧が低下し、バランスシャフト1全体がスプリング17により図5右方向に押動され、ドッグクラッチ13がギヤ11側面から離脱する。これにより、バランスシャフトの回転は停止する。
図6は連結部の軸線方向の動作により連結、離脱を行う機構の別の例を示している。
【0055】
図6において、図5と同一の参照符号は図5のものと同様な要素を示している。図5の実施形態では、ドッグクラッチ13はバランスシャフト1と一体に形成されており、バランスシャフト1全体を軸線方向に移動させることによりギヤ11との連結、離脱を行っていたのに対して、図6の実施形態ではドッグクラッチ13はバランスシャフト1とは別体に形成されており、バランスシャフト1の外周に設けられたスプライン13aを介してバランスシャフト1に取り付けられている。
【0056】
また、ドッグクラッチ13aは、リンク機構13bを介してソレノイド等のアクチュエータ13cにより、バランスシャフト1の軸線方向にスプライン13aに沿って移動可能となっている。
すなわち、本実施形態ではアクチュエータ13cによりドッグクラッチ13をバランスシャフト上に軸線方向に移動させることにより、ギヤ11と噛合させてバランスシャフトの駆動、停止を行う。本実施形態では、ソレノイド等の電動アクチュエータを使用しているため、機関停止中などで油圧が得られない場合にもバランスシャフトの駆動、停止を変更することができる。
【0057】
図2から図6を用いてクランクシャフトの回転をバランスシャフトに伝達する伝達機構に設けられ、バランスシャフトの回転をオン、オフするクラッチ機構について説明した。上記各実施形態ではクランクシャフトからギヤを介してバランスシャフトに回転を伝達する場合を例にとって説明したが、ベルトとプーリーを用いる場合やチェーンとスプロケットを用いる場合も同様な構成とすることができることは言うまでもない。
【0058】
次に、バランスシャフト作動(オン)と停止(オフ)を行うタイミングについて説明する。
前述の図2から図6の実施形態に限らず、機関運転中にバランスシャフトのオンオフ動作を行うことができるクラッチ機構では、バランスシャフトのオンオフ動作に伴う機関出力トルク変動が問題になる。
【0059】
すなわち、機関運転中にバランスシャフトをオンする場合には、今まで停止していたバランスシャフトが回転を開始するために駆動側のクランクシャフトには大きなバランスシャフト起動抵抗が加わり、機関出力トルクが一時的に大きく低下するトルク変動が生じる。また、機関運転中にバランスシャフトをオフする場合には、今までクランクシャフトに加わっていたバランスシャフト駆動抵抗が無くなるため、一時的に機関出力トルクが増大するトルク変動が生じる。特に自動車用機関などでは、車両走行中に出力トルク変動が生じると運転者に不快感を与える。
【0060】
そこで、以下の実施形態ではバランスシャフトをオン・オフするタイミングを適切に選択することにより、機関出力トルク変動により運転者に不快感を与えることを防止する。
以下の実施形態では、バランスシャフトをオフにする条件として、例えば機関回転数が比較的高い場合(例えば3000rpm以上)、または車両走行速度が比較的高い場合(例えば50km/h以上)が選択されている。例えば、機関回転数がある程度高い場合、或いは車両走行速度がある程度高い場合には、ピストン慣性力の不釣り合いによる振動以外の車両走行に伴う振動や騒音が大きくなるため、バランスシャフトをオフにしても運転者が体感する振動や騒音はほとんど増大しない。また、機関回転数が高い領域では、バランスシャフト駆動に消費される動力も大きくなるため、バランスシャフトを停止することによる燃費向上効果が大きくなる。
【0061】
このため、以下の実施形態では機関回転数が所定値以上、または車両走行速度が所定値以上のときにバランスシャフトをオフにして、その他の場合にはバランスシャフトをオンにするようにしている。
以下、バランスシャフトのオン・オフ操作のタイミングの設定例について説明する。
【0062】
(1)バランスシャフトオン操作。
本実施形態では、機関停止中にバランスシャフトのオン操作を実行する。
上述のように、本実施形態では機関回転数が所定値以上、或いは車両走行速度が所定値以上の運転状態でバランスシャフトがオフにされる。そして、走行中に回転数か走行速度のいずれか一方または両方が所定値以下になるとバランスシャフトをオンにする条件が成立する。
【0063】
しかし、本実施形態ではバランスシャフトオン条件が成立しても機関運転中には直ちにバランスシャフトをオンにせず、機関が停止するまで待ってからバランスシャフトをオンにする。機関停止中にバランスシャフトをオンにすることにより機関出力トルクが変動することが防止され、運転者に不快感を与えることが防止される。
【0064】
このように、バランスシャフトオン操作を機関停止中に行うことは、アイドルストップ機構を備えた機関で特に効果的である。
アイドルストップ機構を備えた機関では、例えば機関がアイドル状態にあり、車両が停止状態にある時間が所定時間以上続くと機関が停止され、車両発進動作(ギヤシフト操作、アクセルペダル操作など)を行うと機関が始動される。
【0065】
また、バランスシャフトのオン条件が成立する運転条件(機関回転数と車両走行速度とが比較的低い運転条件)では、信号待ち等の車両の停止に伴うアイドルストップ機構の作動が比較的頻繁に行われると考えられる。このため、アイドルストップ機構が作動して機関が停止されたときにバランスシャフトのオン操作を行うことにより、運転者にトルク変動を体感させることなくバランスシャフトを作動させ機関振動を低減することが可能となる。
【0066】
なお、上記の場合に機関停止中にバランスシャフトのオン操作を行う代わりに、機関始動操作中(クランキング中)にバランスシャフトのオン操作を行うようにすることも可能である。例えば、図6に示したクラッチ機構の例では、バランスシャフトのオン状態を保持するためには、ソレノイドアクチュエータ13cに電力を供給し続ける必要がある。このように、バランスシャフトのオン状態保持のために電力を消費する形式の装置では、機関停止中にバランスシャフトをオンにすると、その後は機関停止中であるにもかかわらず不要に電力が消費されることになる。そこで、このような場合には、機関停止中にはバランスシャフトオン操作を行わず、機関の始動操作中にオン操作を実施することにより電力消費を低減することができる。
【0067】
(2)バランスシャフトオフ操作。
本実施形態では、バランスシャフトオフ操作を、機関減速開始時に実行する。
機関減速開始時、すなわち運転者がアクセルペダルをある速度以上で戻した時(または機関スロットル弁開度がある速度以上で減少したとき)には機関出力トルクは低下する。一方、バランスシャフトオフ操作を行うとバランスシャフト駆動負荷の減少により機関出力トルクは増大する。
【0068】
従って、走行中にバランスシャフトオフ条件が成立したときに、直ちにはバランスシャフトオフ操作を行わず、次に機関減速が行われたときにオフ操作を実行することにより、減速による機関出力トルクの減少とバランスシャフトオフによる機関出力トルクの増大とが相互に打ち消しあい、出力トルク変動により運転者に不快感を与えることが防止できる。
【0069】
なお、機関減速開始時に代えて、若しくは機関減速開始時に加えて機関のシフト操作時にバランスシャフトのオフ操作を行うようにしてもよい。
シフト操作時には機関出力軸が駆動系から切り離される期間(ニュートラル期間)が必ず存在する。このニュートラル期間では機関出力トルクが変動しても駆動系にはトルク変動が伝達されないため、トルク変動が生じても運転者に不快感を与えるには至らない。また、仮に多少のトルク変動が運転者に体感されたとしても、運転者はシフト操作に伴って変速ショックが生じることを予期しているため違和感を覚えず、不快に感じることはない。
従って、機関減速開始時に代えて、或いは機関減速開始時に加えてシフト操作時にバランスシャフトのオフ操作を行うことにより、出力とるく変動により運転者に不快感を生じさせることが防止できる。
【0070】
次に、本発明の別の実施形態について図7を用いて説明する。
図7は、バランスシャフトをクランクシャフトから駆動するのではなく、例えば電動モータなどの独立した駆動機を用いて駆動する例を示している。
すなわち、図7のバランスシャフト1は、電動モータ20により回転駆動され、クランクシャフト10からは完全に独立している。
【0071】
本実施形態では、電動モータ20としてロータリーエンコーダを内蔵し自己の回転位相に対応したパルス信号を発生可能なものが使用されている。
また、図7の例では、カムシャフト30にはカム回転角を検出するカム角センサ41が設けられている。カム角センサ41はクランクシャフト10が特定の回転位置(例えば第1気筒の圧縮上死点)になった時に基準位置パルス信号を発生する。
【0072】
また、図7に43で示すのはクランク角センサである。クランク角センサはクランクシャフトの一定回転角毎(例えば15°毎)に回転角パルス信号を発生する。
更に、図7に45で示すのは車両の被駆動輪47に設けられた車速センサである。車速センサ45は、車輪の一定回転角毎(例えば15°毎)に車速パルス信号を発生する。
【0073】
カム角センサ30からの基準位置パルス信号、クランク角センサ43からの回転角パルス信号、車速センサ45からの車速パルス信号、及び電動モータ20からの回転位相パルス信号は、機関の電子制御ユニット(ECU)40に入力される。
ECU40は、公知のマイクロコンピュータとして構成され、機関の燃料噴射制御や点火時期制御などの基本制御を行うほか、本実施形態では以下に説明する電動モータのオン、オフによるバランスシャフトのオン・オフ制御を行う。
【0074】
これらの制御のため、ECU40はカム角センサ30から入力する基準位置パルス信号とクランク角センサ43からの回転角パルス信号とに基づいてクランクシャフトの回転位相を、また、回転角パルス信号の周波数からクランクシャフトの回転数を、車速センサ45からの車速パルス信号の周波数から車速を、それぞれ算出するとともに、電動モータ20からの回転位相パルス信号からバランスシャフトの回転位相と回転速度とを算出する。
【0075】
本実施形態では、前述の実施形態と同様に、例えば機関回転数が所定値(例えば3000rpm)以上、または車両走行速度が所定値(例えば50km/h)以上でバランスシャフトがオフにされ、それ以外の条件ではバランスシャフトがオンにされる。
本実施形態では、バランスシャフトがクランクシャフトから独立した電動モータ20により駆動されているため、バランスシャフトのオンオフ操作は機関出力トルクに影響を与えることがなく、機関運転中に自由に行うことができる。このため、例えばバランスシャフトオフ条件が成立した場合には、直ちに電動モータ20を停止することにより、バランスシャフトを停止することができる。
【0076】
また、例えばバランスシャフトオン条件が成立したとき(例えば車速が所定値より低くなったとき)には、ECU40は直ちに、クランクシャフト回転数に対応した速度(例えばクランクシャフト回転数の2倍の速度)で電動モータ20(バランスシャフト1)を回転させるとともに、クランクシャフトの回転位相と電動モータ20(バランスシャフト1)の回転位相とが予め定めた関係になるように電動モータ20の回転位相を調整する。これにより、バランスシャフトオン条件が成立した場合には直ちに、バランスシャフトが回転を開始して機関振動が低減される。
【0077】
【発明の効果】
請求項1から4に記載の発明によれば、機関運転中にバランスシャフトのオンオフを行う場合に、回転による遠心力の影響を受けずに確実にオンオフ操作を行うことが可能となる。
【0078】
また、請求項5から10に記載の発明によれば、バランスシャフトのオンオフ操作による機関出力トルクの変動により運転者に不快感を与えることを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】バランスシャフト配置構成の一例を示す図である。
【図2】バランスシャフトのクラッチ機構の構成の一例を示す図である。
【図3】バランスシャフトのクラッチ機構の構成の一例を示す図である。
【図4】バランスシャフトのクラッチ機構の構成の一例を示す図である。
【図5】バランスシャフトのクラッチ機構の構成の一例を示す図である。
【図6】バランスシャフトのクラッチ機構の構成の一例を示す図である。
【図7】バランスシャフトの配置構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
1…バランスシャフト
10…クランクシャフト
11…バランスシャフト側ギヤ
20…電動モータ
101…クランクシャフト側ギヤ
101b、101c…受承孔
101d…連結ピン
101e…スプリング
101f…油圧通路
【発明の属する技術分野】
本発明は、バランスシャフト付き内燃機関に関し、詳細には機関回転中にバランスシャフトの回転をオン・オフ可能なバランスシャフト付き内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関においては、ピストンの往復運動による慣性力により振動が生じる。この振動のうち、一部の振動成分についてはバランスをとることが可能であるが、例えば上記振動のうち回転数の2次成分の振動等が不釣り合いとして残り、例えば特定の回転数領域で機関の大きな振動が生じる場合がある。
【0003】
この2次成分の振動を打ち消す手段として、機関クランクシャフト両側に平行に配置した1対のバランスシャフトを設ける方法が知られている。
これらのバランスシャフトに、カウンタウェイト等のアンバランスを設け、クランクシャフトの2倍の回転数でクランクシャフトからギヤ、プーリー等を介して回転駆動することにより、ピストン往復動により生じるアンバランス慣性力と逆位相の2次成分慣性力が生成されるため、ピストン往復動による慣性力とバランスシャフトの回転により生じる慣性力とが互いに打ち消し合うようになる。
【0004】
ところが、上記のようなバランスシャフト付き内燃機関では、バランスシャフトを駆動するための駆動力が必要となり、常時バランスシャフトを回転させていると内燃機関の燃料消費量が増大してしまう問題がある。
このため、例えば特許文献1、特許文献2等のように、クランクシャフトからバランスシャフトへの回転伝達経路に回転数によりオンオフするクラッチを設けることが提案されている。
【0005】
すなわち、特許文献1及び特許文献2の装置では、予め定めた回転数以下ではクラッチがオフとなるため、振動が比較的小さい機関低回転領域ではバランスシャフトの駆動が停止され、バランスシャフトの駆動により生じる機関の燃料消費量増大が防止される。
【0006】
【特許文献1】
実開平5−14699号公報
【特許文献2】
特開平10−280973号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1及び2の装置では、機関回転数に応じて自動的に機関の運転中にクラッチのオン・オフが行われるため問題が生じる場合がある。
【0008】
例えば、バランスシャフトの回転でピストン往復動による慣性力のアンバランス成分を打ち消すためには、バランスシャフトをクランクシャフトに対して特定の位相に固定して回転させる必要がある。
従って、機関運転中にバランスシャフトのクラッチをオンする場合には、クラッチをすべらせながら徐々につなぐような操作を行うことはできず、クランクシャフトが特定の回転位置になった瞬間にバランスシャフトとクランクシャフトとを連結して回転位相を特定の位置に維持する必要がある。ところが、機関の回転中に特定位置でクラッチを接続することは困難でありこれを実現するためには複雑な同期機構を付加する必要が生じる場合がある。また、仮に特定位置でクラッチを接続できたとしても、静止したバランスシャフトを回転するクランクシャフトに急激に連結するため機関に大きなトルク変動が発生する場合がある。
【0009】
また、同様に機関運転中にバランスシャフトのクラッチをオフすると急激な負荷の減少により機関に大きなトルク変動が発生する。
このため、上記特許文献1及び2では、バランスシャフトのクラッチのオン・オフにより機関の大きなトルク変動が繰り返される問題がある。
【0010】
更に、機関回転中にはクラッチ機構にも回転による遠心力が作用するため、特に機関高回転領域で遠心力の影響によりクラッチのオン・オフ動作が不確実になる場合がある。
本発明は、上記問題の1つまたはそれ以上を解決する手段を備えたバランスシャフト付き内燃機関を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、機関クランクシャフトに平行に配置されたバランスシャフトと、前記クランクシャフトの回転を伝達し前記バランスシャフトを駆動する伝達機構とを備えたバランスシャフト付き内燃機関において、前記伝達機構は、前記バランスシャフト周囲に回転可能に嵌装され前記クランクシャフトから回転駆動される円板状回転部材と、前記バランスシャフト外周面と前記回転部材内周面とにそれぞれ設けられた受承孔と前記回転部材側の受承孔に収納された連結ピンと、前記回転部材側の受承孔内部に配置され前記連結ピンをバランスシャフト中心軸に向けて付勢するばね手段と、前記バランスシャフト側の受承孔底部に連通する油圧供給路とを備え、前記油圧供給路に圧力油を供給し、油圧により前記ばね部材の付勢力に抗して前記連結ピンを前記回転部材側受承孔内に保持することにより、前記回転部材を前記バランスシャフト廻りに空転させてバランスシャフトを停止させ、前記油圧供給路の圧力油を排出することにより前記ばね手段の付勢力により前記連結ピンを前記バランスシャフト側の受承孔に進入させ、前記回転部材とバランスシャフトとを係合させて前記バランスシャフトを前記クランクシャフトに同期して回転させる、バランスシャフト付き内燃機関が提供される。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、機関クランクシャフトに平行に配置されたバランスシャフトと、前記クランクシャフトの回転を伝達し前記バランスシャフトを駆動する伝達機構とを備えたバランスシャフト付き内燃機関において、前記伝達機構は、前記クランクシャフト周囲に回転可能に嵌装され前記バランスシャフトに係合して回転を伝達するる円板状回転部材と、前記クランクシャフト外周面と前記回転部材内周面とにそれぞれ設けられた受承孔と前記回転部材側の受承孔に収納された連結ピンと、前記回転部材側の受承孔内部に配置され前記連結ピンをクランクシャフト中心軸に向けて付勢するばね手段と、前記クランクシャフト側の受承孔底部に連通する油圧供給路とを備え、前記油圧供給路に圧力油を供給し、油圧により前記ばね部材の付勢力に抗して前記連結ピンを前記回転部材側受承孔内に保持することにより、前記回転部材を前記クランクシャフト廻りに空転させてバランスシャフトを停止させ、前記油圧供給路の圧力油を排出することにより前記ばね手段の付勢力により前記連結ピンを前記クランクシャフト側の受承孔に進入させ、前記回転部材とクランクシャフトとを係合させて前記回転部材により前記バランスシャフトを回転駆動する、バランスシャフト付き内燃機関が提供される。
【0013】
すなわち、請求項1と請求項2の発明では連結ピンと受承孔との係合によりクランクシャフトの回転がバランスシャフトに伝達されるため、すべりのない強固な連結が行われ、クランクシャフトとバランスシャフトとの相対位相が確実に維持される。
【0014】
また、連結ピンは常時回転部材側からシャフト(クランクシャフトまたはバランスシャフト)中心側に向けてばね手段により付勢されており、シャフト側から油圧で連結ピンを押動することによりシャフト側の受承孔から離脱し、クランクシャフトからバランスシャフトへの駆動力伝達が停止される。バランスシャフト駆動中には連結ピンには大きな負荷がかかっており、連結ピンが受承孔から抜けにくくなっているが、このように、油圧を用いて連結ピンを押動することにより、確実にピンを離脱させてバランスシャフトを停止させることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、複数の前記受承孔と連結ピンとの組が、シャフト軸線を中心とする互いに異なる円周上にシャフト軸線方向に離間して配置され、前記回転部材と前記シャフトとが所定の相対回転位置にある場合にのみ全部の回転部材側の受承孔とシャフト側の受承孔との位置が整合し各連結ピンが回転部材側とシャフト側の両方の受承孔に進入可能となり、前記所定の相対回転位置以外の回転位置では回転部材側とシャフト側の受承孔が不整合位置にある請求項1または2に記載のバランスシャフト付き内燃機関が提供される。
【0016】
すなわち、請求項3の発明では複数の受承孔と連結ピンとの係合によりバランスシャフト駆動時の駆動力が伝達されるため、大きな駆動力を伝達することが可能となる。また、複数の受承孔と連結ピンとを用いる場合、シャフト外周に沿って同一円周上に配置する場合には、所定の回転位相位置でのみ全部の連結ピンと受承孔とが係合するように受承孔を円周上に不等間隔で設ける必要があるが、不等間隔で受承孔を配置した場合であっても、所定の回転位相以外の位置で一部の受承孔が整合位置になり連結ピンが受承孔と係合してしまい、クランクシャフトとバランスシャフトとの回転位置が本来必要な位相からずれた位置で回転する誤連結が生じる場合があり得る。
【0017】
本発明では、複数の連結ピンと受承孔とを設ける場合に、これらを軸線方向に互いに離間した位置に配置したことにより、クランクシャフトとバランスシャフトとが所定の相対位相になっている場合以外には各連結ピンと受承孔とが係合することができない。このため、誤連結が生じることが確実に防止される。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、機関クランクシャフトに平行に配置されたバランスシャフトと、前記クランクシャフトの回転を伝達し前記バランスシャフトを駆動する伝達機構とを備えたバランスシャフト付き内燃機関において、前記伝達機構は、前記バランスシャフト周囲に回転可能に嵌装され前記クランクシャフトから回転駆動される円板状回転部材と、前記バランスシャフト周囲に配置され、前記バランスシャフトに対して回転方向に固定された連結部材とを備え、前記連結部材、若しくは前記バランスシャフトと前記連結部材とを一体に、バランスシャフト軸線方向に移動させ前記連結部材を前記回転部材にバランスシャフト軸線方向に押圧することにより前記クランクシャフトから前記回転部材を介して前記バランスシャフトを回転駆動し、前記連結部材、若しくは前記バランスシャフトと前記連結部材とを一体に、バランスシャフト軸線方向に移動させ前記連結部材を前記回転部材からバランスシャフト軸線方向に離間させることにより前記バランスシャフトを停止させる、バランスシャフト付き内燃機関が提供される。
【0019】
すなわち、請求項4の発明では、例えばバランスシャフト外周にスプラインなどにより係合しバランスシャフトに対して軸線方向に移動可能な連結部材を設け、この連結部材とクランクシャフトから回転駆動される回転部材とを軸線方向に当接させてクランクシャフトからバランスシャフトに駆動力を伝達する。このように、バランスシャフト軸線方向の当接により駆動力の伝達をオンオフすることにより、シャフトの回転による遠心力に影響されることなく駆動力のオンオフを行うことが可能となる。この場合、連結部材を軸線方向に移動させる代わりに、連結部材をバランスシャフトと一体に形成し、バランスシャフト自体を連結部材とともに軸線方向に移動させて回転部材と連結部材とを当接させるようにすることも可能である。
【0020】
また、回転部材と連結部材とを、例えば当接面に所定位相でのみ噛み合う凹凸を設けたドッグクラッチ等として構成することにより、確実にクランクシャフトとバランスシャフトとの相対回転位相を保持することが可能となる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、機関クランクシャフトに平行に配置され、前記クランクシャフトに駆動されて回転するバランスシャフトと、前記クランクシャフトからバランスシャフトへの駆動力伝達経路に設けられ、前記駆動力の伝達を機関運転中にオン、オフ可能なクラッチ機構とを備えたバランスシャフト付き内燃機関において、前記クラッチ機構のオフ状態からオン状態への切り換えを機関停止中に実行するバランスシャフト付き内燃機関が提供される。
【0022】
すなわち、請求項5の発明ではクランクシャフトからの駆動力をバランスシャフトに伝達するクラッチ機構のオフからオンへの切り換え、すなわちバランスシャフトの停止から回転への切り換えを機関停止時に実行する。
バランスシャフトを停止した状態での走行中にバランスシャフトを回転させる条件が成立したような場合等に、走行中に直ちにクラッチ機構をオフからオンに切り換えると大きな機関トルク変動が生じる。
【0023】
例えば、走行中車両が停止した状態でアイドル運転が所定時間連続した場合にエンジンを停止するアイドルストップ機構を備えた内燃機関などでは、走行中の信号待ち等の車両停止時に機関が停止される場合がある。
本発明では、走行中にバランスシャフトの起動(クラッチオン)条件が成立した場合であっても直ちにクラッチをオンすることなく、車両が停止してアイドルストップ機構により機関が停止されている間にクラッチをオンに切り換える。これにより、走行中にバランスシャフトをオンにすることによるトルク変動が生じることが防止される。
【0024】
請求項6に記載の発明によれば、機関クランクシャフトに平行に配置され、前記クランクシャフトに駆動されて回転するバランスシャフトと、前記クランクシャフトからバランスシャフトへの駆動力伝達経路に設けられ、前記駆動力の伝達を機関運転中にオン、オフ可能なクラッチ機構とを備えたバランスシャフト付き内燃機関において、前記クラッチ機構のオフ状態からオン状態への切り換えを機関始動動作時に実行するバランスシャフト付き内燃機関が提供される。
【0025】
すなわち、請求項6の発明では、クランクシャフトからの駆動力をバランスシャフトに伝達するクラッチ機構のオフからオンへの切り換えを機関始動操作時(例えばクランクランキング中)に行う。
これにより、例えばアイドルストップ機構を備えた内燃機関では、車両走行中の一時停止時等にアイドルストップ機構の作動により機関が停止された場合にも機関運転開始直前の始動操作時にクラッチのオン操作が行われるため、例えばクラッチのオン状態保持のために電力を消費するクラッチ機構(例えば電磁アクチュエータを使用する場合)等においては、クラッチのオン状態保持による機関停止中の電力消費を抑制しつつクラッチのオン操作による機関出力トルク変動の発生を防止することが可能となる。
【0026】
請求項7に記載の発明によれば、機関クランクシャフトに平行に配置され、前記クランクシャフトに駆動されて回転するバランスシャフトと、前記クランクシャフトからバランスシャフトへの駆動力伝達経路に設けられ、前記駆動力の伝達を機関運転中にオン、オフ可能なクラッチ機構とを備えたバランスシャフト付き内燃機関において、前記クラッチ機構のオン状態からオフ状態への切り換えを、機関減速開始時に実行するバランスシャフト付き内燃機関が提供される。
【0027】
すなわち、請求項7の発明では、走行中にクランクシャフトからの駆動力をバランスシャフトに伝達するクラッチ機構のオンからオフへの切り換え条件が成立した場合にも直ちに切り換えを行わず、次に機関の減速が開始された時に切り換えを行う。クラッチ機構のオンからオフへの切り換え時には、バランスシャフトが切り離されるため、今までバランスシャフトの駆動に要していた機関トルクが急激に減少する。このため、走行中にクラッチのオンからオフへの切り換えを行うと機関出力トルクの急激な増大が生じ、運転者に違和感を生じさせる。
【0028】
本発明では、クラッチ機構のオンからオフへの切り換えは、機関減速開始時、例えば走行中に運転者がアクセルペダルをある速度以上で戻した時(または機関スロットル弁開度がある速度以上で減少した時)に行う。これにより、機関減速による出力トルクの減少とクラッチオフによる出力トルクの増大とが同時に生じることとなり、運転者に違和感を生じさせることを防止できる。
【0029】
請求項8に記載の発明によれば、機関クランクシャフトに平行に配置され、前記クランクシャフトに駆動されて回転するバランスシャフトと、前記クランクシャフトからバランスシャフトへの駆動力伝達経路に設けられ、前記駆動力の伝達を機関運転中にオン、オフ可能なクラッチ機構とを備えたバランスシャフト付き内燃機関において、前記クラッチ機構のオン状態からオフ状態への切り換えを、機関変速機シフト操作中に実行するバランスシャフト付き内燃機関が提供される。
【0030】
すなわち、請求項8の発明では、走行中にクランクシャフトからの駆動力をバランスシャフトに伝達するクラッチ機構のオンからオフへの切り換え条件が成立した場合にも直ちに切り換えを行わず、次に変速機のシフト操作が実行されたときに行う。シフト操作時には、ギヤがニュートラル位置を通過するときには機関が駆動系から切り離される期間が存在し、この期間内は多少機関出力トルクが変動しても実際に車両にはショックとして伝わらない。従って、この機関にバランスシャフトのオフ操作を行うことにより、機関出力トルク変化により車両の走行が影響を受けることが防止される
更に運転者は変速機シフトに伴って車両駆動トルクが変動することを予期している。このため、シフト操作時にクラッチ機構のオフ操作が行われ、機関出力トルクの変動による駆動トルクの変動が生じても運転者は違和感を生じない。これにより、機関運転中に、運転者に違和感を生じさせることなくバランスシャフトの停止を行うことが可能となる。
【0031】
請求項9に記載の発明によれば、機関クランクシャフトに平行に配置され、前記クランクシャフトに駆動されて回転するバランスシャフトと、前記バランスシャフトを回転駆動する、機関とは独立して制御可能なモータと前記クランクシャフトとバランスシャフトとの回転位相を検出する位相検出手段とを備え、予め定めた条件が成立したときに、前記モータにより前記バランスシャフトを前記クランクシャフトに対して予め定めた回転位相で回転駆動する、バランスシャフト付き内燃機関が提供される。
【0032】
すなわち、請求項9の発明ではバランスシャフトはクランクシャフトから駆動されるのではなく、機関とは独立して起動、停止等の動作を制御可能なモータにより駆動される。
また、モータは位相検出手段により検出されたバランスシャフトとクランクシャフトとの相対回転位相が予め定めた値になるようにバランスシャフトの回転位相、回転速度を制御する。
【0033】
これにより、機関運転中も機関出力トルクに変動を生じることなくバランスシャフトの回転と停止とを行うことができるとともに、バランスシャフト起動時の回転位相制御が容易になる。
【0034】
請求項10に記載の発明によれば、前記内燃機関は車両駆動用内燃機関であり、車両走行速度が予め定めた速度以上になったときに、前記モータによる前記バランスシャフトの回転駆動を停止する、請求項9に記載のバランスシャフト付き内燃機関が提供される。
【0035】
すなわち、請求項10の発明では車両走行速度が予め定め速度以上になったときにバランスシャフトの駆動が停止される。車両走行時には、一般に車速増大とともに機関回転数も高くなり振動も大きくなるが、車両走行に伴う車体の振動も車速とともに大きくなるため、運転者が体感する機関の振動は相対的に小さくなり、バランスシャフトを停止しても運転者は機関の振動が増大したことを意識しない。
【0036】
そこで、本発明では車両走行速度を検出し、速度が予め定めた適宜な値より大きくなった場合にはモータを停止してバランスシャフトの回転を停止する。これによりバランスシャフト駆動モータのエネルギ消費を低減することができ、全体として車両の走行燃費が向上するようになる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
【0038】
図1は、バランスシャフトの配置の一例を示す図である。
図1において、10は内燃機関のクランクシャフト、1はバランスシャフトを示す。
バランスシャフト1は、図1に示すように偏心したウェイト部1aを備えており、クランクシャフト10に平行に配置され、図示しない軸受により回転自在に支持されている。バランスシャフト1の本数は、気筒数、点火順序等によっても異なるが、図1のように4気筒機関の場合には一般にクランクシャフトの両側に1本ずつバランスシャフトを配置し、それぞれ逆方向にクランクシャフト回転数の2倍の速度で回転させることにより、ピストンの往復動の慣性力の不釣り合いによる振動を打ち消す。
【0039】
バランスシャフト1は、図1の例ではクランクシャフト10から歯付きベルト(タイミングベルト)5aとプーリー5b、5cを介して駆動されているが、他にチェーンとスプロケット、或いはギヤを介してクランクシャフトから駆動する場合もある。また、図1では、一方のバランスシャフトのみを図示しているが、他方のバランスシャフトについても同様な構成とされている。
【0040】
図1に示すように、通常、バランスシャフトはクランクシャフトから機械的に駆動されるため、機関の動力を消費し、常時バランスシャフトを駆動していると機関の燃料消費量の増大を生じる。このため、本実施形態では、機関の振動が比較的小さくなるような運転領域ではクランクシャフトからバランスシャフトを切り離して機関の燃料消費量の増大を防止するために、クラッチ機構が設けられている。
【0041】
図2は、バランスシャフトのクラッチ機構構成例を模式的に示す図である。
図2の例では、バランスシャフト1とクランクシャフト10とは互いに噛合するギヤ11、101により連結されている。ここで、ギヤ11はバランスシャフト1周りに一体に形成されているが、ギヤ11と噛合するクランクシャフト側のギヤ101はクランクシャフト10のジャーナル部101a周りに嵌装され、ジャーナル部101a周りに回転可能となっている。
【0042】
また、クランクシャフト10のジャーナル部101aには半径方向に受承孔101bが設けられており、ギヤ101の内周面にはクランクシャフトの受承孔101bに対応する位置に半径方向受承孔101cが設けられている。
受承孔101bと101cとは、クランクシャフト10とバランスシャフト1とが予め定めた回転位相にある時にのみ互いに整合する位置に設けられており、ギヤ101側の受承孔101c内には、受承孔内を摺動可能な連結ピン101dと、連結ピン101dをクランクシャフト10軸線方向に付勢するスプリング101eが配置されている。
【0043】
一方、クランクシャフト側の受承孔101bには、クランクシャフト10内に穿設された油圧通路101fが接続されている。油圧通路101fは、電磁遮断弁15を介して油圧源(例えば内燃機関の潤滑油ポンプなど)に接続されている。
本実施形態では、ギヤ101側受承孔101c内の連結ピン101dはスプリング101eにより付勢され、クランクシャフトのジャーナル部101a外周面に押圧されている。この状態でクランクシャフト10が回転すると、ギヤ101はジャーナル部101aのまわりに空転し、ギヤ101側の受承孔101cとクランクシャフト側受承孔101bとの位置が一致したときに連結ピン101dがスプリング101eに押されてクランクシャフト側受承孔101b内に進入し、ギヤ101とクランクシャフト10とを連結する。これにより、ギヤ101はクランクシャフトと一体に回転するようになり、ギヤ101と噛合するバランスシャフト側のギヤ11及びバランスシャフト1はクランクシャフトに対して所定の回転位相で回転するようになり、バランスシャフト1が回転駆動される。
【0044】
一方、バランスシャフト駆動中に電磁遮断弁15がオンにされると油圧通路101fは油圧源に接続され、クランクシャフト側の受承孔101b内には作動油(潤滑油)が流入し、受承孔101b内に進入している連結ピン101dを受承孔101bから押し出す。これにより、受承孔101bと連結ピン101dとの係合が解除され、ギヤ101はクランクシャフト10のジャーナル部101a周囲を空転するようになり、ギヤ101にギヤ11を介して連結されたバランスシャフト1は停止する。
【0045】
また、バランスシャフト停止中に電磁遮断弁15がオフにされると油圧通路101fは油圧源から遮断され、受承孔101b内の作動油は、ギヤ101とジャーナル101aとの摺動部のクリアランスから外部に流出し受承孔101b内の油圧が低下する。これにより、連結ピン101dが受承孔101b内に進入可能となり、バランスシャフト1の回転が開始される。
【0046】
本実施形態のように、回転するシャフトの半径方向に移動する連結ピンを用いてギヤとシャフトとを連結する場合には、バランスシャフト駆動中に比較的大きな円周方向の力が連結ピンに加わるため、例えば連結ピンに作用する遠心力のみで連結ピンがシャフト側の受承孔から離脱させることは困難な場合がある。
本実施形態では、油圧通路101fに供給する油圧により連結ピン101dを受承孔101b外に押し出す構成としたことにより、必要な時に確実に連結ピン101dと受承孔101bとの係合を解除することができ、バランスシャフトの作動と停止とを確実に行うことができる。
【0047】
なお、図2の例では連結ピンと受承孔、油圧通路等からなる連結機構をクランクシャフト10側に設けているが、図3に示すように連結ピン、受承孔、油圧通路等の連結機構をバランスシャフト側に設けることも可能である。
また、図2、図3の例では連結ピン、受承孔の組を1つだけ設けているため、ギヤとシャフトとは必ず特定の位置で結合され、バランスシャフトとクランクシャフトとの相対的な回転位相が特定の値に維持される。しかし、バランスシャフト駆動トルクが比較的大きく、強度上複数の連結ピンが必要とされるような場合がある。ところが、このような場合に連結ピンと受承孔との組をジャーナル部の同一円周上に配置すると問題が生じる。
【0048】
例えば、複数の受承孔をジャーナル部に等間隔に設けると、ギヤ側の受承孔とシャフト側の受承孔とが一致する位置が複数存在することになり、連結時にバランスシャフトとクランクシャフトとが常に一つの相対回転位置で連結されるとは限らなくなり、バランスシャフトとクランクシャフトとの回転位相が所定位相以外になる状態での連結、すなわち誤連結が生じる場合がある。
【0049】
また、同一円周上に複数の受承孔を不等間隔で配置した場合も、複数の連結ピンのうち一部のみがシャフト側の受承孔に係合する場合を考えるとやはりバランスシャフトとクランクシャフトとが常に一つの相対回転位置で連結されるとは限らなくなり、誤連結が生じる可能性がある。
本実施形態では、複数の受承孔と連結ピンとの組が必要な場合には、図4に示すように複数の受承孔(図4は2つの受承孔A、Bを設けた場合を示す)軸線方向に離間した位置に配置し、ジャーナル部の同一円周上には受承孔は常に1つだけ配置されるようにしている。
【0050】
これにより、ギヤとシャフトとは常に所定の位置で全部の連結ピンを用いて係合するようになる。これにより、複数の連結ピンと受承孔とを用いる場合にも誤連結が生じることが防止される。
なお、図2から図4の例では半径方向に作動する連結ピンによりギヤとシャフトとの連結を行っている。このため、連結ピンに作用する遠心力により連結、離脱動作が多少とも影響を受ける場合がある。このため、シャフトの軸線方向の動作により連結、離脱を行う機構を用いて連結、離脱動作に遠心力の影響が生じることを防止することもできる。
【0051】
図5は軸線方向の動作により連結、離脱を行う機構の例を示している。
図5において、ギヤ101はクランクシャフト10と一体に形成されており、バランスシャフト1には、ギヤ101と常時噛合するギヤ11が設けられている。ギヤ11は、バランスシャフト1周りに回転可能だがクランクシャフト10に対しては軸線方向に移動しないようにバランスシャフトからは独立して図示しない軸受により支持されている。また、バランスシャフト1周囲にはギヤ11の側面に係合可能なドッグクラッチ13が一体に形成されており、バランスシャフト1の一端にはドッグクラッチ13がギヤ11側面に押圧される方向バランスシャフトを移動させる油圧機構14が、他端にはドッグクラッチ13をギヤ11側面から離間させる方向にバランスシャフトを付勢するスプリング17が、それぞれ設けられている。
【0052】
油圧機構14は、電磁遮断弁15を介して油圧源に接続されており、電磁遮断弁15をオンすることにより、油圧機構14に作動油が供給され、バランスシャフト1全体が図5左方向に移動する。
これにより、バランスシャフト1に一体に形成されたドッグクラッチ13がギヤ11側面に当接し、ギヤ11の回転がバランスシャフト1に伝達される。
【0053】
ドッグクラッチ13はギヤ11側面と当接する部分に、ギヤ11側面に設けられた凹部と係合する凸部が設けられており、ギヤ11とバランスシャフト1とが特定の回転位置関係になったときにのみ噛合するようにされている。このため、バランスシャフト1全体が軸線方向に移動してドッグクラッチ13とギヤ11とが噛合すると、バランスシャフト1はクランクシャフト10と特定の相対的位相関係を維持したまま回転するようになる。
【0054】
電磁遮断弁15がオフされると油圧機構14内の油圧が低下し、バランスシャフト1全体がスプリング17により図5右方向に押動され、ドッグクラッチ13がギヤ11側面から離脱する。これにより、バランスシャフトの回転は停止する。
図6は連結部の軸線方向の動作により連結、離脱を行う機構の別の例を示している。
【0055】
図6において、図5と同一の参照符号は図5のものと同様な要素を示している。図5の実施形態では、ドッグクラッチ13はバランスシャフト1と一体に形成されており、バランスシャフト1全体を軸線方向に移動させることによりギヤ11との連結、離脱を行っていたのに対して、図6の実施形態ではドッグクラッチ13はバランスシャフト1とは別体に形成されており、バランスシャフト1の外周に設けられたスプライン13aを介してバランスシャフト1に取り付けられている。
【0056】
また、ドッグクラッチ13aは、リンク機構13bを介してソレノイド等のアクチュエータ13cにより、バランスシャフト1の軸線方向にスプライン13aに沿って移動可能となっている。
すなわち、本実施形態ではアクチュエータ13cによりドッグクラッチ13をバランスシャフト上に軸線方向に移動させることにより、ギヤ11と噛合させてバランスシャフトの駆動、停止を行う。本実施形態では、ソレノイド等の電動アクチュエータを使用しているため、機関停止中などで油圧が得られない場合にもバランスシャフトの駆動、停止を変更することができる。
【0057】
図2から図6を用いてクランクシャフトの回転をバランスシャフトに伝達する伝達機構に設けられ、バランスシャフトの回転をオン、オフするクラッチ機構について説明した。上記各実施形態ではクランクシャフトからギヤを介してバランスシャフトに回転を伝達する場合を例にとって説明したが、ベルトとプーリーを用いる場合やチェーンとスプロケットを用いる場合も同様な構成とすることができることは言うまでもない。
【0058】
次に、バランスシャフト作動(オン)と停止(オフ)を行うタイミングについて説明する。
前述の図2から図6の実施形態に限らず、機関運転中にバランスシャフトのオンオフ動作を行うことができるクラッチ機構では、バランスシャフトのオンオフ動作に伴う機関出力トルク変動が問題になる。
【0059】
すなわち、機関運転中にバランスシャフトをオンする場合には、今まで停止していたバランスシャフトが回転を開始するために駆動側のクランクシャフトには大きなバランスシャフト起動抵抗が加わり、機関出力トルクが一時的に大きく低下するトルク変動が生じる。また、機関運転中にバランスシャフトをオフする場合には、今までクランクシャフトに加わっていたバランスシャフト駆動抵抗が無くなるため、一時的に機関出力トルクが増大するトルク変動が生じる。特に自動車用機関などでは、車両走行中に出力トルク変動が生じると運転者に不快感を与える。
【0060】
そこで、以下の実施形態ではバランスシャフトをオン・オフするタイミングを適切に選択することにより、機関出力トルク変動により運転者に不快感を与えることを防止する。
以下の実施形態では、バランスシャフトをオフにする条件として、例えば機関回転数が比較的高い場合(例えば3000rpm以上)、または車両走行速度が比較的高い場合(例えば50km/h以上)が選択されている。例えば、機関回転数がある程度高い場合、或いは車両走行速度がある程度高い場合には、ピストン慣性力の不釣り合いによる振動以外の車両走行に伴う振動や騒音が大きくなるため、バランスシャフトをオフにしても運転者が体感する振動や騒音はほとんど増大しない。また、機関回転数が高い領域では、バランスシャフト駆動に消費される動力も大きくなるため、バランスシャフトを停止することによる燃費向上効果が大きくなる。
【0061】
このため、以下の実施形態では機関回転数が所定値以上、または車両走行速度が所定値以上のときにバランスシャフトをオフにして、その他の場合にはバランスシャフトをオンにするようにしている。
以下、バランスシャフトのオン・オフ操作のタイミングの設定例について説明する。
【0062】
(1)バランスシャフトオン操作。
本実施形態では、機関停止中にバランスシャフトのオン操作を実行する。
上述のように、本実施形態では機関回転数が所定値以上、或いは車両走行速度が所定値以上の運転状態でバランスシャフトがオフにされる。そして、走行中に回転数か走行速度のいずれか一方または両方が所定値以下になるとバランスシャフトをオンにする条件が成立する。
【0063】
しかし、本実施形態ではバランスシャフトオン条件が成立しても機関運転中には直ちにバランスシャフトをオンにせず、機関が停止するまで待ってからバランスシャフトをオンにする。機関停止中にバランスシャフトをオンにすることにより機関出力トルクが変動することが防止され、運転者に不快感を与えることが防止される。
【0064】
このように、バランスシャフトオン操作を機関停止中に行うことは、アイドルストップ機構を備えた機関で特に効果的である。
アイドルストップ機構を備えた機関では、例えば機関がアイドル状態にあり、車両が停止状態にある時間が所定時間以上続くと機関が停止され、車両発進動作(ギヤシフト操作、アクセルペダル操作など)を行うと機関が始動される。
【0065】
また、バランスシャフトのオン条件が成立する運転条件(機関回転数と車両走行速度とが比較的低い運転条件)では、信号待ち等の車両の停止に伴うアイドルストップ機構の作動が比較的頻繁に行われると考えられる。このため、アイドルストップ機構が作動して機関が停止されたときにバランスシャフトのオン操作を行うことにより、運転者にトルク変動を体感させることなくバランスシャフトを作動させ機関振動を低減することが可能となる。
【0066】
なお、上記の場合に機関停止中にバランスシャフトのオン操作を行う代わりに、機関始動操作中(クランキング中)にバランスシャフトのオン操作を行うようにすることも可能である。例えば、図6に示したクラッチ機構の例では、バランスシャフトのオン状態を保持するためには、ソレノイドアクチュエータ13cに電力を供給し続ける必要がある。このように、バランスシャフトのオン状態保持のために電力を消費する形式の装置では、機関停止中にバランスシャフトをオンにすると、その後は機関停止中であるにもかかわらず不要に電力が消費されることになる。そこで、このような場合には、機関停止中にはバランスシャフトオン操作を行わず、機関の始動操作中にオン操作を実施することにより電力消費を低減することができる。
【0067】
(2)バランスシャフトオフ操作。
本実施形態では、バランスシャフトオフ操作を、機関減速開始時に実行する。
機関減速開始時、すなわち運転者がアクセルペダルをある速度以上で戻した時(または機関スロットル弁開度がある速度以上で減少したとき)には機関出力トルクは低下する。一方、バランスシャフトオフ操作を行うとバランスシャフト駆動負荷の減少により機関出力トルクは増大する。
【0068】
従って、走行中にバランスシャフトオフ条件が成立したときに、直ちにはバランスシャフトオフ操作を行わず、次に機関減速が行われたときにオフ操作を実行することにより、減速による機関出力トルクの減少とバランスシャフトオフによる機関出力トルクの増大とが相互に打ち消しあい、出力トルク変動により運転者に不快感を与えることが防止できる。
【0069】
なお、機関減速開始時に代えて、若しくは機関減速開始時に加えて機関のシフト操作時にバランスシャフトのオフ操作を行うようにしてもよい。
シフト操作時には機関出力軸が駆動系から切り離される期間(ニュートラル期間)が必ず存在する。このニュートラル期間では機関出力トルクが変動しても駆動系にはトルク変動が伝達されないため、トルク変動が生じても運転者に不快感を与えるには至らない。また、仮に多少のトルク変動が運転者に体感されたとしても、運転者はシフト操作に伴って変速ショックが生じることを予期しているため違和感を覚えず、不快に感じることはない。
従って、機関減速開始時に代えて、或いは機関減速開始時に加えてシフト操作時にバランスシャフトのオフ操作を行うことにより、出力とるく変動により運転者に不快感を生じさせることが防止できる。
【0070】
次に、本発明の別の実施形態について図7を用いて説明する。
図7は、バランスシャフトをクランクシャフトから駆動するのではなく、例えば電動モータなどの独立した駆動機を用いて駆動する例を示している。
すなわち、図7のバランスシャフト1は、電動モータ20により回転駆動され、クランクシャフト10からは完全に独立している。
【0071】
本実施形態では、電動モータ20としてロータリーエンコーダを内蔵し自己の回転位相に対応したパルス信号を発生可能なものが使用されている。
また、図7の例では、カムシャフト30にはカム回転角を検出するカム角センサ41が設けられている。カム角センサ41はクランクシャフト10が特定の回転位置(例えば第1気筒の圧縮上死点)になった時に基準位置パルス信号を発生する。
【0072】
また、図7に43で示すのはクランク角センサである。クランク角センサはクランクシャフトの一定回転角毎(例えば15°毎)に回転角パルス信号を発生する。
更に、図7に45で示すのは車両の被駆動輪47に設けられた車速センサである。車速センサ45は、車輪の一定回転角毎(例えば15°毎)に車速パルス信号を発生する。
【0073】
カム角センサ30からの基準位置パルス信号、クランク角センサ43からの回転角パルス信号、車速センサ45からの車速パルス信号、及び電動モータ20からの回転位相パルス信号は、機関の電子制御ユニット(ECU)40に入力される。
ECU40は、公知のマイクロコンピュータとして構成され、機関の燃料噴射制御や点火時期制御などの基本制御を行うほか、本実施形態では以下に説明する電動モータのオン、オフによるバランスシャフトのオン・オフ制御を行う。
【0074】
これらの制御のため、ECU40はカム角センサ30から入力する基準位置パルス信号とクランク角センサ43からの回転角パルス信号とに基づいてクランクシャフトの回転位相を、また、回転角パルス信号の周波数からクランクシャフトの回転数を、車速センサ45からの車速パルス信号の周波数から車速を、それぞれ算出するとともに、電動モータ20からの回転位相パルス信号からバランスシャフトの回転位相と回転速度とを算出する。
【0075】
本実施形態では、前述の実施形態と同様に、例えば機関回転数が所定値(例えば3000rpm)以上、または車両走行速度が所定値(例えば50km/h)以上でバランスシャフトがオフにされ、それ以外の条件ではバランスシャフトがオンにされる。
本実施形態では、バランスシャフトがクランクシャフトから独立した電動モータ20により駆動されているため、バランスシャフトのオンオフ操作は機関出力トルクに影響を与えることがなく、機関運転中に自由に行うことができる。このため、例えばバランスシャフトオフ条件が成立した場合には、直ちに電動モータ20を停止することにより、バランスシャフトを停止することができる。
【0076】
また、例えばバランスシャフトオン条件が成立したとき(例えば車速が所定値より低くなったとき)には、ECU40は直ちに、クランクシャフト回転数に対応した速度(例えばクランクシャフト回転数の2倍の速度)で電動モータ20(バランスシャフト1)を回転させるとともに、クランクシャフトの回転位相と電動モータ20(バランスシャフト1)の回転位相とが予め定めた関係になるように電動モータ20の回転位相を調整する。これにより、バランスシャフトオン条件が成立した場合には直ちに、バランスシャフトが回転を開始して機関振動が低減される。
【0077】
【発明の効果】
請求項1から4に記載の発明によれば、機関運転中にバランスシャフトのオンオフを行う場合に、回転による遠心力の影響を受けずに確実にオンオフ操作を行うことが可能となる。
【0078】
また、請求項5から10に記載の発明によれば、バランスシャフトのオンオフ操作による機関出力トルクの変動により運転者に不快感を与えることを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】バランスシャフト配置構成の一例を示す図である。
【図2】バランスシャフトのクラッチ機構の構成の一例を示す図である。
【図3】バランスシャフトのクラッチ機構の構成の一例を示す図である。
【図4】バランスシャフトのクラッチ機構の構成の一例を示す図である。
【図5】バランスシャフトのクラッチ機構の構成の一例を示す図である。
【図6】バランスシャフトのクラッチ機構の構成の一例を示す図である。
【図7】バランスシャフトの配置構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
1…バランスシャフト
10…クランクシャフト
11…バランスシャフト側ギヤ
20…電動モータ
101…クランクシャフト側ギヤ
101b、101c…受承孔
101d…連結ピン
101e…スプリング
101f…油圧通路
Claims (10)
- 機関クランクシャフトに平行に配置されたバランスシャフトと、前記クランクシャフトの回転を伝達し前記バランスシャフトを駆動する伝達機構とを備えたバランスシャフト付き内燃機関において、
前記伝達機構は、前記バランスシャフト周囲に回転可能に嵌装され前記クランクシャフトから回転駆動される円板状回転部材と、前記バランスシャフト外周面と前記回転部材内周面とにそれぞれ設けられた受承孔と前記回転部材側の受承孔に収納された連結ピンと、前記回転部材側の受承孔内部に配置され前記連結ピンをバランスシャフト中心軸に向けて付勢するばね手段と、前記バランスシャフト側の受承孔底部に連通する油圧供給路とを備え、
前記油圧供給路に圧力油を供給し、油圧により前記ばね部材の付勢力に抗して前記連結ピンを前記回転部材側受承孔内に保持することにより、前記回転部材を前記バランスシャフト廻りに空転させてバランスシャフトを停止させ、
前記油圧供給路の圧力油を排出することにより前記ばね手段の付勢力により前記連結ピンを前記バランスシャフト側の受承孔に進入させ、前記回転部材とバランスシャフトとを係合させて前記バランスシャフトを前記クランクシャフトに同期して回転させる、
バランスシャフト付き内燃機関。 - 機関クランクシャフトに平行に配置されたバランスシャフトと、前記クランクシャフトの回転を伝達し前記バランスシャフトを駆動する伝達機構とを備えたバランスシャフト付き内燃機関において、
前記伝達機構は、前記クランクシャフト周囲に回転可能に嵌装され前記バランスシャフトに係合して回転を伝達するる円板状回転部材と、前記クランクシャフト外周面と前記回転部材内周面とにそれぞれ設けられた受承孔と前記回転部材側の受承孔に収納された連結ピンと、前記回転部材側の受承孔内部に配置され前記連結ピンをクランクシャフト中心軸に向けて付勢するばね手段と、前記クランクシャフト側の受承孔底部に連通する油圧供給路とを備え、
前記油圧供給路に圧力油を供給し、油圧により前記ばね部材の付勢力に抗して前記連結ピンを前記回転部材側受承孔内に保持することにより、前記回転部材を前記クランクシャフト廻りに空転させてバランスシャフトを停止させ、
前記油圧供給路の圧力油を排出することにより前記ばね手段の付勢力により前記連結ピンを前記クランクシャフト側の受承孔に進入させ、前記回転部材とクランクシャフトとを係合させて前記回転部材により前記バランスシャフトを回転駆動する、
バランスシャフト付き内燃機関。 - 複数の前記受承孔と連結ピンとの組が、シャフト軸線を中心とする互いに異なる円周上にシャフト軸線方向に離間して配置され、前記回転部材と前記シャフトとが所定の相対回転位置にある場合にのみ全部の回転部材側の受承孔とシャフト側の受承孔との位置が整合し各連結ピンが回転部材側とシャフト側の両方の受承孔に進入可能となり、前記所定の相対回転位置以外の回転位置では回転部材側とシャフト側の受承孔が不整合位置にある請求項1または2に記載のバランスシャフト付き内燃機関。
- 機関クランクシャフトに平行に配置されたバランスシャフトと、前記クランクシャフトの回転を伝達し前記バランスシャフトを駆動する伝達機構とを備えたバランスシャフト付き内燃機関において、
前記伝達機構は、前記バランスシャフト周囲に回転可能に嵌装され前記クランクシャフトから回転駆動される円板状回転部材と、前記バランスシャフト周囲に配置され、前記バランスシャフトに対して回転方向に固定された連結部材とを備え、
前記連結部材、若しくは前記バランスシャフトと前記連結部材とを一体に、バランスシャフト軸線方向に移動させ前記連結部材を前記回転部材にバランスシャフト軸線方向に押圧することにより前記クランクシャフトから前記回転部材を介して前記バランスシャフトを回転駆動し、
前記連結部材、若しくは前記バランスシャフトと前記連結部材とを一体に、バランスシャフト軸線方向に移動させ前記連結部材を前記回転部材からバランスシャフト軸線方向に離間させることにより前記バランスシャフトを停止させる、
バランスシャフト付き内燃機関。 - 機関クランクシャフトに平行に配置され、前記クランクシャフトに駆動されて回転するバランスシャフトと、前記クランクシャフトからバランスシャフトへの駆動力伝達経路に設けられ、前記駆動力の伝達を機関運転中にオン、オフ可能なクラッチ機構とを備えたバランスシャフト付き内燃機関において、
前記クラッチ機構のオフ状態からオン状態への切り換えを機関始動動作時に実行するバランスシャフト付き内燃機関。 - 機関クランクシャフトに平行に配置され、前記クランクシャフトに駆動されて回転するバランスシャフトと、前記クランクシャフトからバランスシャフトへの駆動力伝達経路に設けられ、前記駆動力の伝達を機関運転中にオン、オフ可能なクラッチ機構とを備えたバランスシャフト付き内燃機関において、
前記クラッチ機構のオフ状態からオン状態への切り換えを機関停止中に実行するバランスシャフト付き内燃機関。 - 機関クランクシャフトに平行に配置され、前記クランクシャフトに駆動されて回転するバランスシャフトと、前記クランクシャフトからバランスシャフトへの駆動力伝達経路に設けられ、前記駆動力の伝達を機関運転中にオン、オフ可能なクラッチ機構とを備えたバランスシャフト付き内燃機関において、
前記クラッチ機構のオン状態からオフ状態への切り換えを、機関減速開始時に実行するバランスシャフト付き内燃機関。 - 機関クランクシャフトに平行に配置され、前記クランクシャフトに駆動されて回転するバランスシャフトと、前記クランクシャフトからバランスシャフトへの駆動力伝達経路に設けられ、前記駆動力の伝達を機関運転中にオン、オフ可能なクラッチ機構とを備えたバランスシャフト付き内燃機関において、
前記クラッチ機構のオン状態からオフ状態への切り換えを、機関変速機シフト操作中に実行するバランスシャフト付き内燃機関。 - 機関クランクシャフトに平行に配置され、前記クランクシャフトに駆動されて回転するバランスシャフトと、
前記バランスシャフトを回転駆動する、機関とは独立して制御可能なモータと前記クランクシャフトとバランスシャフトとの回転位相を検出する位相検出手段とを備え、
予め定めた条件が成立したときに、前記モータにより前記バランスシャフトを前記クランクシャフトに対して予め定めた回転位相で回転駆動する、バランスシャフト付き内燃機関。 - 前記内燃機関は車両駆動用内燃機関であり、車両走行速度が予め定めた速度以上になったときに、前記モータによる前記バランスシャフトの回転駆動を停止する、請求項9に記載のバランスシャフト付き内燃機関。
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