JP2004218059A - 溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】後工程において使用される処理液、加工液等が発泡を起こさない溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法を提供する。
【解決手段】めっき後に調質圧延し、さらに化成処理する溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法において、めっき後の鋼板を、界面活性剤を含む加工液を使用して調質圧延し、次いでアルカリ水溶液で洗浄し、その後水洗し、さらにその後化成処理する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
溶融亜鉛系めっき鋼板が産業上の様々な分野で使用されるようになり、表面性状に対してより厳格な品質を要求する用途が増加している。特に自動車部品や家庭用電化製品の用途で、塗装下地に使用されて消費者の目に触れる部品に使用される場合には、特に様々な要求がなされる。あるいは、金型によるプレス加工を受ける用途では、型によるカジリや割れが発生しないようにプレス油等の塑性加工油を潤滑剤として使用するが、複雑な形状を形成する場合や、深絞り加工の場合には単に加工油を塗布したのみでは対応できない場合がある。このような場合に対応する方法のひとつとして、調質圧延で下地のめっき鋼板の表面粗さを大とする方法が行われている。
【0003】
鋼板の表面粗さを大とした場合、プレス等塑性加工時に、鋼板表面に形成された凹凸と金型表面との間に、上記加工油が封じ込まれて、いわゆる潤滑剤のミクロプールが形成される。これにより、鋼板が金型から圧力を受けて塑性変形する際に、鋼板表面と金型表面との間に、上記ミクロプールより潤滑剤たる加工油が供給されて、鋼板表面と金型表面との焼きつきが防止される。
【0004】
このような働きを持つミクロプールが塑性加工時に形成されるためには、鋼板表面を所定粗さに調製する必要がある。そのために、ワークロールを所定の表面粗さに調製した調質圧延機で調質圧延(以下において「スキンパス」という。)を行って、ワークロール表面の凹凸をめっき鋼板の表面に圧延転写する。
【0005】
ワークロール表面の凹凸を効率よく鋼板表面に転写するためには、圧延荷重を増して圧下率を高くすることが簡便かつ有効な方法である。しかし、このように単に圧下を大きくとるだけすると、鋼板表面のめっき粉が焼付きや巻き付きにより、ワークロール表面へ転着しやすくなり、めっき鋼板の表面品質が低下する。これにより頻繁なワークロール交換が必要となって、歩留が低下する。
【0006】
上記現象は、溶融めっき鋼板でしばしば発生する。このため、ワークロールの表面粗さを鋼板表面に十分に転写する目的を持って調質圧延における圧下率を高める場合、専用の調質圧延液を使用する技術が提唱されている。例えば、特許文献1には、脂肪酸、界面活性剤、キレート材(アミン)を含有する水溶性調質圧延用加工液が開示されている。この脂肪酸は、潤滑性を向上させるためのもので、圧下率コントロール性を向上させるために含有されている。また、界面活性剤は該水溶性調質圧延用加工液のワークロールへの濡れ性を向上させ、洗浄性を向上させるために添加されている。また、キレート材であるアミン系添加剤は、圧延後の鋼板の防錆性を高めるものである。
【0007】
また、特許文献2および3には、調質圧延機のワークロール粗さの高いロールと調質圧延用加工液を使用し、めっき鋼板表面の粗さを調整する技術が開示されている。これら特許文献においても、調質圧延には、界面活性剤、キレート材(アミン)を含有する調質圧延用加工液が使用されている。
【0008】
上記各特許文献に開示されているように、粗さの大きなワークロールでスキンパスすると、所望の表面粗さを備えた溶融亜鉛系めっき鋼板が得られ、かつ調質圧延用加工液をスプレーしながら圧延することによって、ワークロールへの亜鉛のピックアップが抑制されて、効率的に製造することが可能になる。
【特許文献1】
特開2000−87073号公報
【特許文献2】
特開2001−276905号公報
【特許文献3】
特開2002−11501号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、圧延後のめっき鋼板表面には調質圧延用加工液成分が少なからず残存し、これが後工程において様々な悪影響を及ぼすことがある。特に調質圧延において、上記したごとく後工程の潤滑性を上げるためにワークロール表面を所定の粗さに調製してスキンパスした場合、そのロール表面粗さが鋼板表面に転写されて、鋼板表面には微細な凹凸が形成され、その凹部に調質圧延用加工液成分が残存しやすい。
【0010】
該調質圧延用加工液成分の中でも、界面活性剤はその性質から、単独であるいは他の薬剤と混合されることによって、微量でも発泡を引き起こすことがある。例えば後工程において使用される薬液にこのような発泡が生じた場合、薬液の劣化や、タンクの液面高さ制御系に悪影響を及ぼす。すなわち、薬液タンクの液面高さを検出するために超音波等の非接触型センサーを使用しているような場合、泡により高さ測定が不可能になり、濃度調整や液の補給等に支障をきたす。また、後工程に、鋼板表面にスプレーを施す工程がある場合、スプレー液のラインタンク内で発泡すると、泡が鋼板に接触しムラ等の問題が生ずることがある。
【0011】
また、溶融亜鉛系メッキラインではスキンパス以後何の処理をしなかった場合であっても、その鋼板の受入れ先で同様な問題が生じる懸念がある。例えば、自動車部品のプレス加工工程では、プレス油を使用した後脱脂を行うが、この脱脂剤に上記の調質圧延用加工液の残存成分が混入して発泡することがある。あるいは、溶融亜鉛系めっき鋼板を塗装鋼板の母材とした場合、塗装下地の化成処理工程で同様の懸念が生じる。
【0012】
このように、溶融亜鉛系めっき装置にて製造された鋼板を、界面活性剤を含む加工液を使用して所定のワークロール粗さのもとスキンパスを行った場合に、後工程において上記発泡問題が発生しているが、特許文献1〜3にはこれらに関する解決手段についてはおろか、問題の存在にすら言及がない。
【0013】
そこで本発明は、後工程において使用される処理液、加工液等が発泡を起こさない溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法を提供することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、これら界面活性剤を含有する調質圧延用加工液を使用して、所定粗さのワークロールにより調質圧延をした後に、所定の表面粗さに調整された鋼板表面に残存する界面活性剤をどのようにして効果的に洗浄除去することができるかについて、種々の検討を行なった。
【0015】
まず、最初に検討したのは水溶性の調質圧延用加工液を水で洗い流す方法である。水をスプレーできる洗浄槽に調質圧延後の溶融亜鉛系めっき鋼板を通過させてみたが、結果的には完全に洗浄できず後工程の処理液で泡が発生した。これは、鋼板表面のめっき皮膜に多数の微細な凹みが圧延時に転写されているため、この凹み部分に調質圧延用加工液が残存し、軽度のスプレーや水浸漬では簡単に除去できないためであると推定される。
【0016】
さらに水温を40℃に加温して、温水洗浄を行ったがやはり界面活性剤を完全に洗浄できず、後工程の処理液で泡が発生し、上記の場合と同様の結果に終わった。また、水による高圧洗浄を検討したが、設備が大きくなりすぎ、設備投資が大きな負担になることが判明したため検討から除外した。
【0017】
次に有機溶剤等の軽質炭化水素油による洗浄を検討した。ノルマルパラフィンやイソパラフィン等の脂肪族炭化水素油は、毒性は低いものの、洗浄能力の点で十分な性能が得られず、後工程において発泡が認められ、採用不可であった。また、芳香族系炭化水素油は、洗浄力は十分あるものの、蒸発成分の吸引毒性が指摘されている。その対策として洗浄装置全体を閉鎖系にしなければならず、設備が大掛かりになって、コスト負担が極めて大きなものとなり、採用できない。また、これら軽質炭化水素油は、常に火災発生の危険をはらむものであり、その点においても採用には慎重にならざるを得ない。
【0018】
次に薬液による洗浄を検討した。酸系の薬液、特にリン酸やクロム酸といった薬液は、洗浄の対象となるのが溶融亜鉛系めっき鋼板であるため、後の化成処理工程に影響を与えることが判明し、採用不可とした。
【0019】
そこでアルカリ系の洗浄剤を種々検討した。その中で最も一般工業界において広く使用されており、価格も低廉な水酸化ナトリウム水溶液に注目した。そして水酸化ナトリウム水溶液を所定の条件で使用すれば、所定の表面粗さに調整された鋼板表面に残存する界面活性剤を十分に洗浄除去して、後工程における泡立ちの発生を抑制、防止可能であることを見出した。
【0020】
以下に本発明を具体的に説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0021】
本発明の第一の観点にかかる態様は、めっき後に調質圧延する溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法において、めっき後の鋼板(S)を、界面活性剤を含む加工液を使用して調質圧延し、次いでアルカリ水溶液で洗浄し、さらに水洗することを特徴とする溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法を提供するものである。
【0022】
このように構成すれば、調質圧延加工液に含まれる界面活性剤がアルカリ洗浄により鋼板表面から除去されるので、後工程において界面活性剤の存在により発泡するという事態を回避することができる。
【0023】
さらに本発明の第二の観点にかかる態様は、めっき後に調質圧延し、さらに化成処理する溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法において、めっき後の鋼板(S)を、界面活性剤を含む加工液を使用して調質圧延し、次いでアルカリ水溶液で洗浄し、その後水洗し、さらにその後化成処理することを特徴とする溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法を提供するものである。
【0024】
このように構成すれば、調質圧延加工液に含まれる界面活性剤がアルカリ洗浄により鋼板表面から除去されるので、後工程の化成処理において界面活性剤の存在により化成処理液が発泡するという事態を回避することができる。
【0025】
上記第一の観点にかかる態様においては、めっき、調質圧延、アルカリ水溶液洗浄、および水洗の各工程は連続して行われることが好ましい。また上記第二の観点にかかる態様においても、めっき、調質圧延、アルカリ水溶液洗浄、水洗、および化成処理の各工程は連続して行われることが好ましい。このように各工程を連続して行えば、換言すれば各工程を1ライン上に配置すれば、鋼板のペイオフリール、および巻き取りリールをラインの両端に配置するのみで済むので、装置ごとに鋼板のペイオフリール、および巻き取りリールを備える場合と比べ、工場内のスペースをより有効に活用することができる。また、調質圧延直後にアルカリ洗浄が行われるので、鋼板表面に残留する調質圧延加工液の経時変化(例えば水分の蒸発による、濃縮化、高粘度化、添加剤同士の化学反応による変質等)に起因するアルカリ洗浄に対する悪影響(洗浄が困難になること。)が発生する余地を排除することができる。
【0026】
ここに本発明における溶融亜鉛系めっき鋼板とは、Znを主体とする溶融亜鉛めっき鋼板(例えば、JIS G3302に規定される溶融亜鉛めっき鋼板。めっき皮膜中には、Alを0.5%程度以下の微小量含んでいてもよい。また、合金化処理されている物を含む。)のほか、相当量の合金元素を含んでいてもよい。例えば、JIS G3317、G3321に規定される溶融5%アルミニウム−亜鉛めっき鋼板、溶融55%アルミニウム−亜鉛めっき鋼板も本発明の溶融亜鉛系めっき鋼板に含まれる。
【0027】
本発明における「界面活性剤」とは、界面活性を示す物質のことをいい、界面活性を示すとは、ある物質が界面にはたらいて、界面張力の低下に代表されるような、界面の性質の変化をもたらすことをいう。一般に界面活性を示す物質は、ひとつの分子中に、水によくなじむ部分、つまり親水基と、油によくなじむ部分、つまり親油基(疎水基)をあわせもっている。
【0028】
本発明における加工液中の界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが単独で、あるいは2種以上を併用して使用できる。カチオン性界面活性剤としては、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム、アルキル・トリメチルアンモニウム、アルキル・ピリジウムなどを使用することができる。アニオン性界面活性剤としては、例えば高級アルコールの硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、ポリエチレングリコールアルキルエーテルの硫酸エステルなどを使用することができる。また、ノニオン界面活性剤としては、通常のポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルエーテル型、アルキルフェニルエーテル型などを使用することができる。両性界面活性剤としては、アニオン部分としてカルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、燐酸エステル塩を、カチオン部分としてはアミン塩、第4級アンモニウム塩を持つものが挙げられ、具体的には、ラウリルベタイン、ステアリルベタインなどのベタイン類;ラウリル−β−アラニン、ステアリル−β−アラニン、ラウリルジ(アミノエチル)グリシン、オクチルジ(アミノエチル)グリシンなどのアミノ酸タイプのものなどを使用することができる。
【0029】
本発明における調質圧延後の洗浄における洗浄液として、アルカリ水溶液を使用することは必須である。酸系の薬液、特にリン酸やクロム酸といった薬液は、洗浄の対象となるのが亜鉛めっき鋼板であるため、後の化成処理工程に影響を与えるため洗浄液としては好ましくない。
【0030】
アルカリ水溶液のアルカリ分としては特に限定されるものではなく、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、およびアンモニア、カルシウムやバリウムの水酸化物、並びに炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウムなど水に溶けてアルカリ性を示すものをも広く使用することが可能である。これらの中でも、工業的に各分野において広く使用されており、入手が容易で、価格的にも魅力ある水酸化ナトリウム(NaOH:カセイソーダ)を使用することが好ましい。
【0031】
また、上記アルカリ水溶液の濃度は、1〜10容量%であることが好ましく、さらに2〜7容量%であることがより好ましい。ここに容量%は、25℃における容量を基準として決定される。アルカリ水溶液の濃度が1容量%未満であると、洗浄能力が不足して、鋼板表面に界面活性剤が残留することがあるので好ましくない。一方アルカリ水溶液の濃度が10容量%を超えると、鋼板表面の亜鉛めっき層が一部溶解して、鋼板表面にムラ模様が生じるため好ましくない。
【0032】
また、本発明において、調質圧延に使用される界面活性剤を含む加工液には、さらにキレート剤、および/または脂肪酸が含有されることが好ましい。加工液にキレート剤を添加することにより、加工液の防錆能力を高めることができる。また、油性剤である脂肪酸を添加することにより、加工液の潤滑性を向上させることができ、調質圧延において、圧下を自由にコントロールすることが可能となる。また、鋼板表面を被覆する亜鉛めっき膜のワークロール表面への転着を抑制・防止することが可能となる。
【0033】
本発明において調質圧延における圧下率や、ワークロール(5a、5b)の表面粗さについて特に限定されるものではないが、圧延される溶融亜鉛メッキ鋼板の表面に、後工程における塑性加工において潤滑剤の供給源として働くミクロプールを形成するだけの凹凸を形成できるような、圧下率や、ワークロールの表面粗さが選定されることが好ましい。たとえばワークロール表面粗さとして、Ra=1.5〜4.0μm、圧下率として2〜5%の条件でスキンパスすることができる。ワークロールの表面加工方法は、ショットダル、放電加工のいずれでもよい。
【0034】
本発明のこのような作用及び利得は、次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【0035】
【発明の実施の形態】
図1は、溶融亜鉛系めっき鋼板製造ライン100の模式図である。この溶融亜鉛系めっき鋼板製造ライン100には、上流側から連続焼鈍炉1、溶融亜鉛めっき装置2、ガスワイピング装置3、調質圧延機5、レベラー6、アルカリ洗浄装置7、水洗浄装置8、及び、化成処理装置9の順に配置されている。さらに化成処理装置9の下流側には、不図示の巻き取り装置が設けられ、コイル状に巻き取られた鋼板はその後、次工程あるいは客先へと送られる。
【0036】
母材である冷延鋼板または熱延鋼板は、連続焼鈍炉1で焼鈍され所定の温度まで冷却された後、溶融亜鉛めっき装置2へと送られる。鋼板Sは、溶融亜鉛めっき装置2内の溶融亜鉛が満たされためっき浴2aを通過し、この過程で鋼板表面に亜鉛めっき層が形成される。めっき浴2aを通過した鋼板Sは、ドライブロール4にて巻き上げられて、溶融亜鉛めっき装置2の直上に設置されたガスワイピング装置3により、表面のめっき付着量が所定の厚さとなるように調整される。
【0037】
鋼板Sは、この後冷却過程を経て調質圧延機(スキンパスミル)5へと送られる。調質圧延機5では、鋼板Sは圧下率2〜5%の範囲で調質圧延される。ここに圧下率は
((圧延前板厚)−(圧延後板厚))×100/(圧延前板厚)
で表される。通常の圧延においては、生産性を高めるため1パスあたりの圧下率は、鋼板表面性状が劣化しない範囲で、すなわち圧延潤滑が良好に保たれる範囲内で高いほど好ましく、圧下率は場合により20%を上回ることもある。しかし、調質圧延は、板厚の微調整、および鋼板表面性状の調整を主目的とする圧延であり、上記のような圧下率が採用される。
【0038】
調質圧延においては、加工液を圧延機5の入側から鋼板Sの表裏面、または上下のワークロール5a、5bにスプレー等で噴射する(図中の符号AおよびB参照)。調質圧延機5では、ワークロール5a、5bの表面粗さと圧下率(圧延荷重・伸び率)により鋼板Sの表面粗さが調整される。圧延機5の入り側でスプレーされた加工液の大半は鋼板Sがロールバイト部を通過する際に、圧延機オイルパンに落下するが、一部はロールバイト部を鋼板Sとともに通過し、圧延機5の出側において鋼板S表面に微量に存在する。
【0039】
次いで鋼板Sは、レベラー6においてその平坦度が修正される。レベラー6において平坦度が修正された鋼板Sは、アルカリ洗浄装置7へと送られる。
【0040】
アルカリ洗浄装置7は、上下のシャワー洗浄装置7a、および7bと、これらのシャワー洗浄装置7a、7bにアルカリ洗浄液を供給するアルカリ洗浄液供給手段7sとを備えている。アルカリ洗浄液供給手段7sは、アルカリ液供給タンク7tと、該液をアルカリ液供給タンク7tからシャワー洗浄装置7a、7bに送るポンプ7p、およびアルカリ液供給タンク7tとシャワー洗浄装置7a、7bとを結ぶ配管群とを備えている。さらに必要に応じてアルカリ液供給手段7sには、液加温装置、冷却装置、ろ過装置等を適宜設けることができる。また、アルカリ洗浄液の性状および量を自動的に監視して、適宜新液を供給するための、phセンサー、温度計、新液サブタンク等を付設してもよい。
【0041】
アルカリ洗浄装置7において、鋼板Sは、上下からシャワー洗浄装置7a、7bにより、アルカリ洗浄液の噴射をそれぞれ表面、裏面に受ける。当該アルカリ洗浄装置7によるアルカリ洗浄によって、鋼板S表面に残留する加工液中の界面活性剤が洗浄除去される。鋼板S表面に残留する加工液中の界面活性剤は、平坦部にも若干付着するが、上記したように、主に直前に行われた調質圧延により形成された鋼板表面の凹部に入り込んでいるので、シャワー洗浄装置7a、7bから噴射されるアルカリ洗浄液には、凹部内の界面活性剤を洗浄除去するのに十分な噴射圧力を与えることが望ましい。アルカリ洗浄装置7は、鋼板Sをアルカリ洗浄浴内に通過させる構成をとることも可能であるが、上記観点からシャワー洗浄装置として構成することが好ましい。
【0042】
アルカリ洗浄を終えた鋼板Sは、次いで水洗浄装置8へと送られる。水洗浄装置8は、上下のシャワー洗浄装置8a、および8bと、これらのシャワー洗浄装置8a、8bに洗浄液としての水を供給する洗浄水供給手段8sとを備えている。なお、水洗浄装置8において使用される洗浄水は、純水、あるいはイオン交換水のような高純度のものである必要はなく、上水または工業用水で足りる。洗浄水供給手段8sは、洗浄水供給タンク8tと、該水を洗浄水供給タンク8tからシャワー洗浄装置8a、8bに送るポンプ8p、および洗浄水供給タンク8tとシャワー洗浄装置8a、8bとを結ぶ配管群とを備えている。さらに必要に応じて洗浄水供給手段8sにも、液加温装置、冷却装置、ろ過装置等を適宜設けることができる。
【0043】
当該水洗浄装置8によって、アルカリ洗浄により鋼板表面に残留するアルカリ液が洗浄除去される。ここでもアルカリ液は鋼板表面の凹部に入り込んでいる可能性があるので、シャワー洗浄装置8a、8bからは洗浄水を所定圧力で噴射することが好ましい。また、洗浄効果を高めるために洗浄水を所定温度に加温しても良い。
【0044】
水洗浄を終えた鋼板Sは、必要に応じ化成処理装置9において防錆皮膜形成、潤滑皮膜形成等の化成処理が施される。このとき、前記アルカリ洗浄の効果によって、化成処理時の発泡が抑制される。化成処理を施された鋼板Sはその後製品としてコイルに巻き取られ、出荷される。なお、化成処理を施さない鋼板については、そのまま巻き取られる。
【0045】
上記のように、本実施形態にかかる溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法によれば、調質圧延の直後にアルカリ洗浄によって調質圧延の加工液中に含まれる界面活性剤が洗浄除去されるので、後工程である化成処理や、客先での加工工程等において、処理液、加工液にあわ立ちが発生することが抑制・防止される。
【実施例】
以下に実施例によりさらに具体的に本発明を開示する。但し本発明は実施例に限定されるものではない。ここでは実施例として実際の溶融メッキラインを含む実機ベースの溶融亜鉛系めっき鋼板製造装置を構成した。各設備の構成および配置は図1に示すものと同一である。以下に詳細な仕様を示す。
【0046】
<1> 実施例における仕様
(鋼板)
品種:GI(0.2%A1−Znめっき鋼板)、及びGF(5%A1−Znめっき鋼板)
サイズ:板厚0.35〜4.5mm/板幅610〜1250mm
(調質圧延)
圧延種類:スキンパス
ワークロール粗さ:Ra1.5〜3.0μm
加工液:市販調質圧延油を水で所定倍率(20倍、30倍、70倍)に希釈して使用した。調質圧延における加工液はワークロールへの巻き付き防止等の目的があり、成分として界面活性剤、キレート剤、脂肪酸等の潤滑防錆成分を含んだものを使用した。市販加工液は、通常水に希釈された加工液コンセントレーション(濃縮液)として流通されており、これを相当濃度に希釈して使用する場合が多い。本発明例に使用した加工液も、希釈して上記濃度にて使用した。希釈の下限は、界面活性剤を0.01重量%以上含有する程度が実用的である。濃度を上げすぎた場合は、加工液としての効果は大きく変化せず経済的に不利となるため上限を20倍希釈とした。
(アルカリ洗浄)
アルカリ洗浄液:水酸化ナトリウム水溶液(濃度レベル(容量%):なし、1%、3%、5%、10%)
アルカリ洗浄液温度:40℃
スプレー圧:0.2MPa(2kgf/cm
流量:5m/Hr(図1における上側の面の流量:下側の面の流量=およそ1:3)
アルカリ洗浄装置におけるアルカリ洗浄液のスプレーゾーンを通過する時間は、ラインスピードにより変化するが、およそ2〜10秒程度である。アルカリについては、一般的に入手可能な濃度40%程度の水酸化ナトリウム(NaOH)を希釈して使用した。このとき、アルカリ濃度を濃くしていくとめっきが一部溶解してムラ状の模様となるため10%を超える濃度では評価を行っていない。
(水洗浄)
スプレー圧:0.2MPa(2kgf/cm
流量:10m/Hr
上水を使用した。
(化成処理)
クロム酸イオン含有水溶液を鋼板にスプレーしてクロメート処理を行った。
【0047】
<2> 評価方法
発泡性の確認は、クロメート処理タンク内での発泡状況により評価した。
【0048】
<3> 評価結果
評価結果を表1(実施例)及び表2(比較例)に示す。
【表1】
Figure 2004218059
【表2】
Figure 2004218059
【0049】
<4> 結論
調質圧延後に鋼板表面を水酸化ナトリウム水溶液でアルカリ洗浄をした後、水洗浄を行った場合、後工程の化成処理液で発泡が起きなかった。一方、調質圧延後に鋼板表面をアルカリ洗浄せず、水洗浄のみ行った場合は、後工程の化成処理液が発泡した。
【0050】
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【0051】
【発明の効果】
以上に説明したように、界面活性剤やキレート剤を含有した調質圧延加工液を使用して調質圧延した溶融亜鉛系めっき鋼板を、アルカリで洗浄することにより、後工程で発生する発泡の問題を解決した。これにより後処理、特に化成処理工程で発泡による品質・設備不具合がなくなった。また、客先での同様な発泡のトラブルもなくなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶融亜鉛系めっき鋼板の製造ラインを示す概略図である。
【符号の説明】
S 鋼板
1 連続焼鈍炉
2 溶融亜鉛めっき装置
3 ガスワイピング装置
5 調質圧延機
5a、5b ワークロール
6 レベラー
7 アルカリ洗浄装置
8 水洗浄装置
9 化成処理装置
100 溶融亜鉛めっきライン

Claims (6)

  1. めっき後に調質圧延する溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法において、
    めっき後の鋼板を、界面活性剤を含む加工液を使用して調質圧延し、次いでアルカリ水溶液で洗浄し、さらに水洗することを特徴とする溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
  2. 前記めっき、調質圧延、アルカリ水溶液洗浄、および水洗の各工程は連続して行われることを特徴とする請求項1に記載の溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
  3. めっき後に調質圧延し、さらに化成処理する溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法において、
    めっき後の鋼板を、界面活性剤を含む加工液を使用して調質圧延し、次いでアルカリ水溶液で洗浄し、その後水洗し、さらにその後化成処理することを特徴とする溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
  4. 前記めっき、調質圧延、アルカリ水溶液洗浄、水洗、および化成処理の各工程は連続して行われることを特徴とする請求項3に記載の溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
  5. 前記アルカリ水溶液は、1〜10容量%水酸化ナトリウム水溶液であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
  6. 前記加工液は、さらにキレート剤、および/または脂肪酸を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
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