JP2004217608A - (1s,2s)−2−フルオロシクロプロパンカルボン酸誘導体の製造方法 - Google Patents

(1s,2s)−2−フルオロシクロプロパンカルボン酸誘導体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【目的】抗菌薬の製造中間体として有用な光学活性化合物について簡便な選択的製造方法を提供する。
【構成】下記の製造工程にしたがい製造する。
【化1】
Figure 2004217608

(式中、RおよびRは、炭素数1から6のアルキル基であるが、RおよびRは同一か、またはRの方がRよりも炭素数の多いアルキル基である。)
式(I)の化合物での2個のエステルは、塩素原子の結合した炭素原子上のエステルがより水解され易く、また、2個のエステルがトランスであるものがより容易に水解されるのでことを利用して選択的な製造を可能とした。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、優れた活性と安全性を備えるキノロン系合成抗菌薬の製造中間体として有用な化合物の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
(1R,2S)−2−フルオロシクロプロピル基を1位の置換基として有するキノロン系合成抗菌薬は強い抗菌活性と高い安全性を兼ね備えており、優れた合成抗菌薬として期待されている(特許文献1参照)。この(1R,2S)−2−フルオロシクロプロピル基の構築には(1S,2S)−2−フルオロシクロプロパンカルボン酸から誘導したフルオロシクロプロピルアミンを使用している。このカルボン酸化合物は、例えば、フルオロエチレン誘導体とジアゾ酢酸エステルを反応させて2−フルオロシクロプロパンカルボン酸誘導体を合成し(特許文献2参照)、生成した4種の立体異性体を蒸留によってジアステレオマーのペアに分割し、さらに光学活性アミンを用いてエナンチオマーの分割を行うことで望みの立体を有する光学活性体を取得する方法等によって製造されることが知られている。
しかしながらこの製法では、原料であるフルオロエチレンが高価であり、またジアステレオマー分割、およびエナンチオンマー分割工程が(1S,2S)−2−フルオロシクロプロパンカルボン酸の製造工程の後半部分にあるため、コスト面での負荷が大きく、経済的観点からはなお改善の余地があった。
一方、1−ハロゲノ−1,2−シクロプロパンジカルボン酸のジエステル体(特許文献3参照)が安価な原料から1工程で合成できることが知られているが、このジエステル化合物を各々の光学異性体に分離する方法については知られていない。
【0003】
【特許文献1】
特開平2−231475号公報
【特許文献2】
特開2000−247929号公報
【特許文献3】
特開平6−192179号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来法よりもさらに経済的に有利な(1S,2S)−2−フルオロシクロプロパンカルボン酸誘導体の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このような状況の下、本発明者らは(1S,2S)−2−フルオロシクロプロパンカルボン酸誘導体の経済的により有利な製造法を見出すべく、鋭意検討を行った。その結果、1−ハロゲノ−1,2−シクロプロパンジカルボン酸のジエステル体がジアステレオ選択的に加水分解できる反応条件を見出すに至った。この選択的加水分解条件を用いることで2個のカルボン酸エステルのうち、ハロゲン原子の結合した炭素原子に結合したカルボン酸エステルであって、もう一方のカルボン酸エステルとはトランスの位置関係のカルボン酸エステルが加水分解され易く、かつ他方のカルボン酸エステルは加水分解されることないままの、モノカルボン酸エステル化合物を得ることができることを見出したのである。
そして、このようにして得られたモノエステルカルボン酸化合物をキラルアミンによる光学分割を行うことによって光学活性な1−ハロゲノ−1,2−シクロプロパンジカルボン酸のモノエステル体が得られること;さらにこの光学活性な1−ハロゲノ−1,2−シクロプロパンジカルボン酸のモノエステル体に対して安価なフッ素ガスを用いた脱炭酸的フッ素化反応を行うことでフッ素原子を高立体選択的に導入できることも見出したのである。
これらの変換工程を利用することによって、目的とする(1S,2S)−2−フルオロシクロプロパンカルボン酸誘導体を短工程で、かつ簡便に合成する手法を確立し、本発明を完成したのである。
【0006】
すなわち本願発明は、式(I)
【0007】
【化9】
Figure 2004217608
(式中、RおよびRは、同一または異なって、炭素数1から6のアルキル基を表す。)
で表される化合物を塩基性条件下に処理し、式(II)
【0008】
【化10】
Figure 2004217608
(式中、Rは、炭素数1から6のアルキル基を表す。)
で表される化合物のうちの、COOHとCOORとがトランス配置である化合物を得、これを光学活性アミンとの塩に導いて光学分割した後に遊離体に導いて式(II−R−R)
【0009】
【化11】
Figure 2004217608
(式中、Rは、炭素数1から6のアルキル基を表す。)
で表される化合物を得、この化合物またはその塩を分子状フッ素でフッ素化して式(III−R−RS)
【0010】
【化12】
Figure 2004217608
(式中、Rは、炭素数1から6のアルキル基を表す。)
で表される化合物を得、この化合物を蒸留してCOORと塩素原子とがシス配置である式(III−R−S)
【0011】
【化13】
Figure 2004217608
で表される化合物を得、この化合物を塩基存在下にラセミ化させて式(III−RS−R)
【0012】
【化14】
Figure 2004217608
で表される化合物を得、この化合物を不斉加水分解して式(IV−S−S)
【0013】
【化15】
Figure 2004217608
で表される化合物を得、この化合物を塩基存在下に金属触媒の存在下に接触水素添加反応を実施することを特徴とする式(V−S−S)
【0014】
【化16】
Figure 2004217608
で表される化合物の製造方法に関するものである。
【0015】
さらに本願発明は以下の各々にも関するものである。
とRとが同一のアルキル基である上記の製造方法;
とRとが異なるアルキル基である上記の製造方法;
のアルキル基が、Rのアルキル基よりも1以上多い炭素数のアルキル基である上記の製造方法;
がメチル基であり、Rがエチル基である上記の製造方法;
式(I)で表される化合物から式(II)で表される化合物を得る反応が、含水溶媒中において金属塩を用いる反応である上記の製造方法;
金属塩が、アルカリ金属原子またはアルカリ土類金属原子の塩である上記の製造方法;
金属塩が、水酸化物、炭酸塩、または炭酸水素塩である上記の製造方法;
金属塩が、アルカリ金属の水酸化物である上記の製造方法;
光学分割工程において使用する光学活性アミンが、(R)−または(S)−の配位である、1−フェニルエチルアミン、1−フェニルプロピルアミン、1−(p−トリル)エチルアミン、1−フェニル−2−(p−トリル)エチルアミン、1−ナフチルエチルアミン、1−(4−メトキシフェニル)エチルアミン、1−(4−クロロフェニル)エチルアミン、1−(4−ニトロフェニル)エチルアミン、N−ベンジル−1−フェニルエチルアミン、2−アミノ−1−フェニルエタノール、2−アミノ−2−フェニルエタノール、アミノインダン;
(1R,2S)−または(1S,2R)−の配位である、2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノール、アミノインダン−2−オール;
から選ばれるアミンである上記の製造方法;
光学分割工程において使用する光学活性アミンが、(R)−フェニルグリシノールである上記の製造方法;
フッ素化工程が、式(II−R−R)の化合物のカリウム塩を使用して実施される工程である上記の製造方法;
加水分解工程が、アルスロバクター属、アスペルギルス属、アルカリゲネス属、アクロモバクター属、クロモバクテリウム属、リゾプス属、キャンディダ属、ムコール属、ノカルディア属、コリネバクテリウム属、ペディオコッカス属、エンテロバクター属、シュードモナス属、ミクロコッカス属、バシルス属、ラクトバシルス属、トリコデルマ属、サッカロミセス属、ロドトルラ属、クリプトコッカス属、トルロプシス属、ピヒア属、ペニシリウム属、オーレオバシディウム属、アクチノムコール属、ストレプトミセス属およびハンゼヌラ属からなる群から選ばれる微生物、その培養物、培養濾液、菌体、菌体懸濁液、菌体抽出物、あるいはそれらの処理物により実施される工程である上記の製造方法;
微生物が、アルスロバクター属、アスペルギルス属、アルカリゲネス属、アクロモバクター属、クロモバクテリウム属、リゾプス属、キャンディダ属、ムコール属、ノカルディア属、ブレビバクテリウム属、ペディオコッカス属、シュードモナス属およびバシルス属からなる群から選ばれる微生物である上記の製造方法;塩素原子の除去が、アミン存在下に行われる工程である上記の製造方法;
アミンがエチレンジアミンである上記の製造方法;
等である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の製造工程は次の図に示した通りであり、以下にこれらの各工程について説明する。
【0017】
【化17】
Figure 2004217608
【0018】
化合物(I)の製造工程
式(I)で表される化合物[以下、化合物(I)と略す。また他の番号で表される式の化合物についても同様に省略する。]には2個のカルボン酸エステル部分が存在するが、これらのエステルを形成するRおよびRについて述べる。これらは好ましくはアルキル基であるが、アルキル基に限定されることはなく、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基などであってもよい。しかしながら、製造コストや入手のし易さを考えるとアルキル基が最も好ましい。アルキル基としては炭素数1から6のものでよく、直鎖状でも,分枝鎖状でもいずれでもよい。メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等を挙げることができる。RおよびRは同一であっても異なっていてもよい。これらが異なるアルキル基であるとき、Rの炭素数がRの炭素数より少ないものであるほうが好ましい。例えば、Rがメチル基であり、Rがエチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基等を例示することができる。また、Rがエチル基であれば、Rが、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基等である。Rがメチル基であり、Rがエチル基である場合が最も好ましい。
【0019】
化合物(I)は、アクリル酸エステル類および2,2−ジクロロ酢酸エステル類とを塩基性条件下で反応させることによって得ることができる。
この反応は、通常は溶媒中で実施するが溶媒は使用しなくともよい。溶媒は反応を阻害しないものであれば特に限定はない。使用できる溶媒としては例えば、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のN−アルキルアミド類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド類;等を挙げることができる。この他、アルコール類も使用することができる。
【0020】
化合物(I)を得る反応は、塩基性条件下に実施すればよいのであるが、具体的には塩基存在下に実施するか、あるいは塩基と相間移動触媒の共存下において実施すればよい。
塩基としては無機塩基および有機塩基のいずれもが使用できる。無機塩基の例としてはリチウム、ナトリウム、またはカリウム等のアルカリ金属の水酸化物、炭酸水素塩、または炭酸塩等を挙げることができる。また、水素化ナトリウムまたは水素化カルシウム等の金属水素化物等も使用できる。
また、第三級ブトキシカリウム、あるいはナトリウムメトキサイド、ナトリウムエトキサイド類等のアルコキサイド類;また、N−ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド等も使用することもできる。
塩基の使用量は、アクリル酸エステル誘導体に対して1から2倍当量を使用すればよいが、通常は等当量から小過剰量でよい。
アクリル酸エステル誘導体は、ジクロロ酢酸エステル誘導体に対して等当量を使用して反応させればよいが、小過剰量であってもよい。
反応温度は約零下10℃から約150℃の範囲でよいが、反応条件によっても変化する。例えば、N,N−ジメチルホルムアミド中、水素化ナトリウムを塩基として使用するときは、通常、約零下10℃から約50℃程度の範囲で行なえばよい。N,N−ジメチルホルムアミド中で炭酸塩類を塩基として用いて反応させるときは室温から約100℃の範囲で行えばよい。
【0021】
化合物(I)を得る反応は、塩基および相間移動触媒の共存下に行なってもよい。
相間移動触媒としては四級アンモニウム型またはホスホニウム型のものを使用することができる。また、クラウンエーテルや三級アミン類(特に、高級脂肪族三級アミン類)を使用してもよい。四級アンモニウム型の触媒の例としてはテトラn−ブチルアンモニウムブロミド、硫酸水素テトラn−ブチルアンモニウム、トリn−オクチルメチルアンモニウムクロリド、トリn−オクチルメチルアンモニウムブロミド、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド、トリエチルベンジルアンモニウムブロミド等を挙げることができる。ホスホニウム型のものとしてはテトラフェニルホスホニウムクロリド、テトラホスホニウムブロミド、テトラn−ブチルホスホニウムクロリド、テトラn−ブチルホスホニウムブロミド、トリフェニルメチルホスホニウムブロミド、トリn−オクチルホスホニウムブロミド等を挙げることができる。
相間移動触媒の使用量はアクリル酸エステル誘導体に対して重量割合で1%から30%程度でよいが、通常は5%程度を使用すればよい。
相間移動触媒を用いるときに使用する塩基は、二相反応によって反応を実施する場合、アルカリ金属水酸化物等の無機塩の水溶液を使用するのが一般的である。具体的には水酸化カリウム、水酸化ナトリウムの水溶液を使用すればよい。塩基水溶液の濃度は通常は3規定程度でよい。塩基水溶液の使用量はアクリル酸エステル誘導体に対して通常は5倍量程度(体積/重量比。例えば、アクリル酸エステル化合物1gに対して5mlの割合で使用するときが5倍である。)でよい。なお二相反応によって反応を実施するときには、通常は水と混和しない溶媒を選択する。
相間移動触媒を使用する場合は、二相反応でなくとも反応を実施することができる。この場合、触媒は上に示した相間移動触媒から選択すればよく、その使用量は上記と同様でよい。また、塩基は上記のアルカリ金属水酸化物の他、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩または炭酸水素塩を使用することもできる。例えば、炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム等である。使用する塩基の量は、1から5倍当量程度でよいが、好ましくは1.2倍当量程度である。また溶媒は、通常はアミド系の溶媒を使用すればよく、例えばジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。
反応の実際の操作は通常知られた相間移動触媒の反応に準じて実施すればよい。すなわち、原料化合物を反応溶媒に混合し、ここに相間移動触媒および塩基を加え適当な温度で充分に攪拌しながら実施すればよい。
【0022】
化合物(II)の製造工程
化合物(II)は、化合物(I)に対して塩基を作用させ、2つのエステルのうちCOOR(塩素原子が結合した炭素原子上置換している方のエステルである。)のみが高位置選択的に、さらに2種類の立体異性体のうちエステルがトランス配置のエステルのみが高立体選択的に加水分解されることで得ることができる。
塩基としては、無機塩基または有機塩基のいずれも使用することができる。無機塩基の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含有する、水酸化物、炭酸塩および炭酸水素塩等の他、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属水素化物等を挙げることができる。好ましくは、アルカリ金属の水酸化物である。使用する塩基の量は通常、化合物(I)のモル数と同程度用いればよく、好ましくは、化合物(I)のエステルがトランス配置のもののモル数に対して0.9から1倍の範囲である。
本反応には溶媒を用いるのが好ましく、反応を阻害することがないものであれば特に制限はない。塩基としてアルカリ金属の水酸化物を用いる場合は、塩基を溶解させる水、および水と混合する有機溶媒との混合溶媒が好ましい。水と混合する有機溶媒としては、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒;アセトン、アセトニトリル等を挙げることができる。
反応温度は、使用する塩基や溶媒の種類により異なるが、−78℃から溶媒の沸点の範囲で行えばよく、好ましくは0℃から室温の範囲である。
【0023】
化合物(II−R−R)の製造工程
化合物(II−R−R)は、化合物(II)に対して、
工程1:光学活性なアミンを作用させ、2種類の光学異性体のうち望みとする(R,R)の立体配座を有するもののみを塩として析出させる工程
工程2:析出させた塩を酸処理して遊離体とする工程
の2工程の方法によって得ることができる。これによって、化合物(II)に含まれる不要な立体異性体を除去することができる。
【0024】
先ず第一工程について説明するが、この塩の析出工程において使用する光学活性なアミンとしては、分子内に不斉炭素を一個あるいはそれ以上有する一級アミンおよび二級アミンを使用することができる。光学活性なアミンの例としては、(R)−または(S)−1−フェニルエチルアミン、(R)−または(S)−1−フェニルプロピルアミン、(R)−または(S)−1−(p−トリル)エチルアミン、(R)−または(S)−1−フェニル−2−(p−トリル)エチルアミン、(R)−または(S)−1−ナフチルエチルアミン、(R)−または(S)−1−(4−メトキシフェニル)エチルアミン、(R)−または(S)−1−(4−クロロフェニル)エチルアミン、(R)−または(S)−1−(4−ニトロフェニル)エチルアミン、(R)−または(S)−N−ベンジル−1−フェニルエチルアミン、(R)−または(S)−2−アミノ−1−フェニルエタノール、(R)−または(S)−2−アミノ−2−フェニルエタノール、(1R,2S)−または(1S,2R)−2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノール、(R)−または(S)−アミノインダン、(1R,2S)−または(1S,2R)−アミノインダン−2−オール等を挙げることができる。
これらの光学活性アミンの使用量は通常、化合物(II)のモル数に対して0.5から2倍の範囲で用いればよく、好ましくは、化合物(II)のモル数に対して0.5から1倍の範囲である。
本反応には溶媒を用いるのが好ましく、本工程を阻害しないものであれば特に制限はない。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;アセトニトリル等の含窒素系溶媒;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒;ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒;等を挙げることができる。また、これらの溶媒は混合溶媒としてもよく、水と混和するものであれば含水溶媒であってもよい。
化合物(II−R−R)と光学活性塩基との塩を晶析させるための温度は−78℃から溶媒の沸点の範囲で行えばよく、好ましくは0℃から溶媒の沸点の範囲である。
【0025】
本工程で得られた化合物(II−R−R)の塩の光学純度が低い場合は、スラリー精製を行うことで光学純度を向上させることが可能である。スラリー精製の際に用いる溶媒は処理を阻害しないものであれば特に制限はない。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;アセトニトリル等の含窒素系溶媒;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒;ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒;等を挙げることができる。また、これらの溶媒は混合溶媒としてもよく、含水溶媒としてもよい。
スラリー処理する際の温度は−78℃から溶媒の沸点の範囲であればよく、好ましくは0℃から溶媒の沸点の範囲である。
【0026】
次いで第二工程であるが、本工程は得られた化合物(II−R−R)と光学活性塩基との塩に酸を作用させ、弱酸である本願の化合物を遊離させることにより実施することができる。
本工程において使用する酸としては、化合物(II−R−R)よりも強い酸であればよく、無機酸または有機酸のいずれも使用することができる。無機酸の例としては、塩酸、硫酸等を挙げることができる。有機酸の例としては、酢酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸類、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸類等を挙げることができる。酸としては、無機酸が好ましく、塩酸、硫酸が好ましい。使用する酸の量は通常、化合物(III)のモル数に対して1から100倍の範囲で用いればよい。
本反応には溶媒を用いるのが好ましく、反応を阻害することのないものであれば特に制限はない。酸として塩酸、硫酸等の無機酸を用いる場合は、水、あるいいは水とアルコール系溶媒等の親水性溶媒との混合溶媒が好ましい。
反応温度は、使用する酸や溶媒の種類により異なるが、−78℃から溶媒の沸点の範囲で行えばよく、好ましくは0℃から室温の範囲である。
酸処理のあと、通常の有機溶媒を使用する抽出方法によって遊離体の化合物(II−R−R)を単離することができる。
【0027】
化合物(III−R−RS)の製造工程
化合物(III−R−RS)は化合物(II−R−R)をフッ素化することによって得ることができる。このフッ素化は、化合物(II−R−R)のカルボキシル基をそのまま、あるいは金属原子または有機塩基性化合物を用いてカルボキシル基の塩に変換した後、分子状のフッ素(フッ素ガス)を反応させることで実施すればよい。
化合物(II−R−R)のカルボキシル基の塩について述べるが、この様な塩を形成させるイオン源は金属原子、特にアルカリ金属原子、とするかあるいは有機塩基性化合物とすればよい。
これらは、無機塩基か、または有機塩基で供給させればよい。無機塩基は例えばアルカリ金属の塩を用いればよいが、アルカリ金属としてはリチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等を挙げることができる。これらは、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩として使用すればよい。また、アルコキシドとして供されてもよい。有機塩基としては有機塩基性化合物を用いればよく、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン等のアミン類か、含窒素複素環化合物等を挙げることができる。また、アンモニアも使用できる。このようなカルボキシル基の塩は、カルボン酸を上記の無機塩基もしくは有機塩基と処理するか、またはカルボキシルエステルを水酸化アルカリやアルコキシド等で処理して切断することにより得ることができる。
【0028】
化合物(II−R−R)またはその塩のカルボキシル基部分をフッ素原子(F)と置換する反応は、溶媒中で分子状フッ素(フッ素ガス)を導入しながら、冷却下(例えば−50℃〜0℃)または常温下で、あるいは条件によっては加温下(例えば30〜100℃)で行えばよい。反応温度は特に限定するものではないが、望ましくは−20℃から50℃の反応温度である。
このフッ素化反応に用いる分子状フッ素は希釈しないで使用することもできるが、通常は窒素、ヘリウム等の不活性気体で希釈して使用する。この場合のフッ素濃度は1容量%以上、好ましくは2〜20容量%である。その供給流量は任意であってよいが、通常は10〜1000ml/分としてよい。
フッ素化反応に使用する反応溶媒としては、例えば、水、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロフルオロメタン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロメタン等の一般的なフッ素化反応に使用できる溶媒の中から、任意に選ばれた単独もしくは混合系の溶媒であればよいが、これらに限定されるものではない。
このフッ素化反応中に発生するフッ化水素の影響を防ぐため、フッ化水素を除去する除酸剤を併用して反応を行ってもよい。この様な除酸剤としては、通常はNaFを用いればよいが、その他の例として、カリウムフルオライド、セシウムフルオライド等のアルカリ金属フッ化物;水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物;酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の金属酸化物;トリエチルアミン、テトラブチルアンモニウムフルオライド等のアミン及びその塩;等を挙げることができる。この除酸剤の添加量は出発原料100重量部当たり50〜500重量部であるのがよい。
【0029】
フッ素化反応後には反応溶液を中和するために、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム等の中和剤を反応液に添加するのがよい。
フッ素化による反応生成物である化合物(III−R−RS)は、トリクロロフルオロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、ジクロロメタン、四塩化炭素、エチルエーテル等の抽出溶媒で抽出し、有機層として分離することができる。
【0030】
化合物(III−R−S)の製造工程
化合物(III−R−S)は、化合物(III−R−RS)のうちのフッ素とエステル基がトランス配置の化合物(以後、トランス体と称する)を分留によりとりだすことで得ることができる。
化合物(III−R−S)は、通常、沸点が高いため、減圧下での分留が好ましい。減圧度は5から50mmHgの範囲で行えばよい。
化合物(III−R−RS)はシス体およびトランス体の沸点差が非常に少ないことがあり、その場合には精密分留装置等を用いて理論段数および還留比を向上させて行うのが好ましい。
【0031】
化合物(III−RS−S)の製造工程
化合物(III−RS−S)は化合物(III−R−S)に塩基を作用させてCOOR基(カルボン酸エステル)の結合した炭素上で、ラセミ化(エピメリゼーション)を起こさせればよい。
本工程において、化合物(III−R−S)に塩基を作用させる方法としては、例えば、この化合物と塩基とを単に混合すればよい。その混合順序は特に制限されず、化合物(III−R−S)に塩基を加えてもよいし、塩基に化合物(III−R−S)を加えてもよい。また、化合物(III−R−S)は予め後述する溶媒に溶かして溶液として用いてもよい。
塩基としては、例えばアルカリ金属アルコキシド類、有機塩基、無機塩基等を挙げることができるが、なかでもアルカリ金属アルコキシド類を好ましく用いることができる。アルカリ金属アルコキシド類としては、炭素数1〜10、好ましくは1〜4のもの、例えばナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムn−プロポキシド、ナトリウムi−プロポキシド、ナトリウムn−ブトキシド、ナトリウムsec−ブトキシド、ナトリウムt−ブトキシド等のナトリウムアルコキシド類、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムn−プロポキシド、カリウムi−プロポキシド、カリウムn−ブトキシド、カリウムsec−ブトキシド、カリウムt−ブトキシド等のカリウムアルコキシド類等を挙げることができるが、好ましくはナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドである。
かかる塩基はそのまま用いてもよいし、後述する溶媒に溶かして溶液として用いてもよい。
塩基の使用量は、化合物(III−R−S)に対して、通常0.0001〜10モル倍、好ましくは0.001〜1モル倍、さらに好ましくは0.005〜0.95モル倍である。
【0032】
この異性化反応は、溶媒の存在下で化合物(III−R−S)に塩基を作用させてもよい。かかる溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール類;ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;等を挙げることができる。その使用量は、化合物(III−R−S)に対して、通常100重量倍以下、特に1〜50重量倍程度とすればよい。塩基を作用させる温度については、温度が低くなれば立体異性化反応が進行しにくくなり、高くなれば化合物(III−R−S)が分解しやすくなるため、通常−50〜100℃、好ましくは−20〜60℃の範囲で実施すればよい。
また、必要ならば、ルイス酸の共存下に塩基を作用させることもできる。これにより、副反応を抑制することができ、さらに収率よく立体異性化反応を実施することができる。かかるルイス酸としては、例えばチタンテトラエトキシド、チタンテトラi−プロポキシド等のチタンテトラアルコキシド類;特にチタンテトラ(C1−C4アルコキシド)、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、トリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウム等の希土類金属トリフルオロメタンスルホン酸塩等が挙げられ、好ましくはチタンテトラエトキシド、チタンテトラi−プロポキシド等のチタンテトラアルコキシド類、特にチタンテトラ(C1−C4アルコキシド)が用いられる。ルイス酸の使用量は、化合物(III−R−S)に対して、通常0.0001〜10モル倍、好ましくは0.001〜1モル倍である。
立体異性化反応後に得られる該カルボン酸誘導体は、通常反応マスに塩酸等の鉱酸を加えて、使用した塩基を分解し、必要に応じて有機溶媒を加えて抽出処理することにより、該カルボン酸誘導体を含む油層として得られ、該油層について濃縮、晶析等の処理を施すことにより取り出すことができる。
【0033】
化合物(IV−S−S)の製造工程
化合物(III−RS−S)は、カルボキシル基に関して異なる立体配置の異性体の混合物であるが、不斉加水分解によって一方の異性体のカルボン酸エステル部分のみを加水分解でき、化合物(IV−S−S)を得ることができる。不斉加水分解はエステラーゼを用いて実施すればよい。この様なエステラーゼは、2−ハロ−2−フルオロシクロプロパンカルボン酸エステル類、特に2−クロロ−2−フルオロシクロプロパンカルボン酸エステルに対して不斉加水分解能を有するものであれば特に制限されず、現在公知もしくは将来使用され得る微生物起源のエステラーゼ、動植物起源のエステラーゼ等を広く挙げることができる。
具体的には、微生物起源のエステラーゼとしては、例えばアルスロバクター属、アスペルギルス属、アルカリゲネス属、アクロモバクター属、クロモバクテリウム属、リゾプス属、キャンディダ属、ムコール属、ノカルディア属、コリネバクテリウム属、ペディオコッカス属、エンテロバクター属、シュードモナス属、ミクロコッカス属、バシルス属、ラクトバシルス属、トリコデルマ属、サッカロミセス属、ロドトルラ属、クリプトコッカス属、トルロプシス属、ピヒア属、ペニシリウム属、オーレオバシディウム属、アクチノムコール属、ストレプトミセス属、またはハンゼヌラ属等に属する微生物に由来するエステラーゼ、またはこれらの微生物が有するエステラーゼ遺伝子が導入されることによって形質転換された組換え微生物が産生するエステラーゼ等を挙げることができる。
これらの中でも一般的には、アルスロバクター属、アスペルギルス属、アルカリゲネス属、アクロモバクター属、クロモバクテリウム属、リゾプス属、キャンディダ属、ムコール属、ノカルディア属、ブレビバクテリウム属、ペディオコッカス属、シュードモナス属、またはバシルス属に属する微生物が生産するエステラーゼが適し、好ましくは、アルスロバクター属、クロモバクテリウム属、キャンディダ属、ノカルディア属、コリネバクテリウム属、ペディオコッカス属、シュードモナス属、またはバシルス属に属する微生物が生産するエステラーゼが適する。
これらの微生物はいずれも通常の方法、例えば滅菌した液体培地に該微生物を接種し、20〜40℃で往復振とう培養する方法等によって容易に液体培養することができる。また、必要に応じて固体培養してもよい。
動植物起源のエステラーゼとしては、例えばステアプシン、パンクレアチン、ブタ肝臓エステラーゼ、小麦胚芽(Wheat Germ)エステラーゼ等を挙げることができる。
これらのエステラーゼは、市販品であってもよい。例えば、微生物起源のエステラーゼの市販品としてはシュードモナス・セパシアのリパーゼ(リパーゼPS、天野製薬社製)、アスペルギルス属のリパーゼ(リパーゼAP、天野製薬社製)、ムコール属のリパーゼ(リパーゼM、天野製薬社製)、キャンディダ・シリンドラッセのリパーゼ(リパーゼMY、名糖産業社製)、アクロモバクター属のリパーゼ(リパーゼAL、名糖産業社製)、アルスロバクター属のリパーゼ(リパーゼAU、住友化学社製)、クロモバクテリウム・ビスコサムのリパーゼ(リパーゼ、東洋醸造社製)、リゾプス・デレマのリパーゼ(タリパーゼ、田辺製薬社製)、リゾプス属のリパーゼ(リパーゼサイケン、大阪細菌研究所製)、キャンディダ・アンタークティカのエステラーゼ(ノボイザム435、ノボルディスク社製)等を挙げることができる。また動植物起源のエステラーゼの市販品としては、小麦胚芽エステラーゼ(リパーゼ タイプ1、シグマ社製)等を挙げることができる。
【0034】
本工程において使用されるエステラーゼは、その純度により制限されるものではなく精製エステラーゼ、粗製エステラーゼのいずれをも使用することができる。したがって、前述の微生物等を培養して得た培養物、培養濾液、菌体、菌体懸濁液、菌体抽出物等のエステラーゼ含有物あるいはそれらの処理物、例えば該エステラーゼ含有物を通常の方法によって樹脂等に固定化したもの等をそのまま用いることもできる。
エステラーゼは、化合物(IV−S−S)の生成に応じて適宜選択される。また、エステラーゼの使用量は反応時間の遅延や選択性の低下が起こらないように適宜選択され、例えばエステラーゼとして上記したような市販品を用いる場合には、化合物(III−RS−S)100重量部に対して通常0.1〜10重量部の範囲である。
【0035】
不斉加水分解に際しては、化合物(III−RS−S)とエステラーゼが適当な条件下で共存する状態であればよく、例えば簡便には、溶媒中で化合物(III−RS−S)およびエステラーゼを混合する方法を挙げることができるが、エステラーゼを樹脂等に固定化して用いることもできる。
ここで溶媒としては、無機酸塩または有機酸塩類の緩衝溶液が広く使用することができる。具体的には、リン酸ナトリウム水溶液、リン酸カリウム水溶液等の無機塩類の緩衝溶液、酢酸ナトリウム水溶液、クエン酸ナトリウム水溶液等の有機酸塩類の緩衝溶液等が例示される。その濃度は特に制限されないが、通常0.01〜2M、好ましくは0.05〜0.5Mの範囲である。かかる溶媒の使用量は2−クロロ−2−フルオロシクロプロパンカルボン酸エステル類に対して通常1〜100重量倍の範囲であることが好ましい。
また、反応に際して反応系内に非エステル系有機溶媒や、非エステル系界面活性剤等が添加されていてもよい。
反応温度は、低すぎると反応速度が低下し、高すぎるとエステラーゼの活性が低下する傾向にあるため、通常10〜65℃、好ましくは20〜50℃の範囲である。
反応系内のpHは、それが低すぎるとエステラーゼの活性の低下や目的とする光学活性体の収率が低下し、またそれが高すぎると目的とする光学活性体の収率が低下するため、通常はpH4〜9の範囲、好ましくは各エステラーゼの反応最適pHの付近である。
【0036】
化合物(V−S−S)の製造工程
化合物(IV−S−S)は、塩基存在下の接触水素化条件において処理することで脱ハロゲン化(フッ素原子を除く)が進行して化合物(V−S−S)に変換することができる。この工程において使用される触媒としては、通常の接触水素化反応で使用される金属触媒でよい。これらのうちで好ましい触媒としては、パラジウム−炭素あるいはパラジウム黒といったパラジウム触媒やラネーニッケル等を挙げることができる。
接触水素化分解反応は塩基存在下に実施することが特徴であるが、使用する塩基としては無機塩基あるいは有機塩基のいずれであってもよい。このうち無機塩基としては例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウム等の水酸化アルカリ金属類や炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩類を挙げることができる。一方、有機塩基としてはメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアルキルアミン類、エタノールアミン等のアルカノールアミン類、1,2−ジアミノエタン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキレンジアミン類、ベンジルアミン等のアラルキルアミン類、ジシアンジアミド等、そしてピリジン、ピペリジン等の飽和もしくは芳香族複素環化合物等を例示することができる。これらの塩基のうちでは有機塩基が好ましく、特に1,2−ジアミノエタンが好ましい。
本工程の方法は、通常、原料化合物を溶液状態として実施するが、使用できる希釈剤または溶媒は反応を阻害しないものであれば如何なるものも使用できる。例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、第三級ブチルアルコール等のアルコール類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;トルエン、ヘキサンまたはシクロヘキサン等の炭化水素類;そして水;を挙げることができる。これらのものを単独または混合溶媒として使用すればよい。
【0037】
本工程の方法は水素ガス雰囲気下において実施するが、水素圧は、通常、1気圧から100気圧(bar)の範囲の圧力から選ばれる。そしてより好ましくは1気圧から50気圧(bar)の範囲から選ばれる水素ガス圧で実施するのがよい。
本工程の方法を実施する温度は、通常、0℃から80℃の範囲から選ばれるが、より好ましくは5℃から50℃の範囲から選ばれる温度である。
本反応を実施するには、1モルの化合物(IV−S−S)に対して、塩基は0.55から11モルの範囲で使用し(反応の進行に伴い生成する酸性成分を除去するのに必要な塩基分を含む。)、必要十分量の触媒の存在下で、常圧の水素ガスまたは加圧した水素ガス雰囲気下において、数時間から数十時間に亙って、先に示した反応温度で水素化反応を実施すればよい。なお反応に際し、これらの条件を適宜組み合わせることによって、化合物(IV−S−S)の立体は保持したまま、しかも収率よく化合物(V−S−S)を得ることができる。
【0038】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0039】
参考例1:メチル 1−クロロ−2−エトキシカルボニル−1−シクロプロパン カルボキシレート
アクリル酸エチル(203g,2.03mol)およびジクロロ酢酸メチル(286g,2.00mol)のジメチルホルムアミド(1L)溶液にトリエチルベンジルアンモニウムクロリド(23.0g,101mmol)および炭酸カリウム(322g,2.33mol)を加え、55℃で22時間加熱撹拌した。反応液を室温に冷却した後に水(1L)を加え、トルエン(3L)で抽出した。水層をさらにトルエン(3L)で抽出して有機層を合わせ、これを1.2規定塩酸(2L)および水(2L)で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。濾去後、溶媒を減圧留去した後に蒸留(減圧度=48〜58mmHg、留出温度=148〜160℃)を行い、表題化合物(334.7g,82%)を無色油状物質として得た。H−NMRスペクトルを分析した結果、シス体とトランス体の生成比(この場合、エステル基同士がシス配置のものをシス体と称する)は、26:74であった。
トランス体;H−NMR(CDOD)δ:4.21(dq,2H,J=7.1,1.8Hz),3.79(s,3H),2.70(dd,1H,J=9.4,7.9Hz),1.96(dd,1H,J=9.4,5.9Hz),1.86(dd,1H,J=7.9,5.9Hz),1.28(t,3H,J=7.1Hz)
シス体;H−NMR(CDOD)δ:4.14(dq,2H,J=7.1,2.6Hz),3.74(s,3H),2.53(dd,1H,J=9.9,7.9Hz),2.07(dd,1H,J=7.9,6.6Hz),1.73(dd,1H,J=9.9,6.6Hz),1.24(t,3H,J=7.1Hz)
【0040】
実施例1:シス−1−クロロ−2−エトキシカルボニル−1−シクロプロパンカルボン酸
メチル 1−クロロ−2−エトキシカルボニル−1−シクロプロパンカルボキシレート(335g,1.64mol)のアセトン(2.6L)溶液に水(1.6L)を加え0℃に冷却した。これに1規定水酸化ナトリウム水溶液(982mL,982mmol)を、pH12以下、内温10℃以下を保ちながら加え、30分間攪拌した。アセトン(2L)を減圧留去した後に酢酸エチル(3.3L)で洗浄した。5規定塩酸を加えてpH=2に調整した後に酢酸エチル(5.3L)で抽出して硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、表題化合物(170g,54%)を無色油状物質として得た。H−NMR分析の結果、シス体とトランス体の生成比(この場合、エステル基とカルボニル基がシス配置のものをシス体と称する)は、7:93であった。
H−NMR(CDOD):δ=4.21(2H,dq,J=7.1,1.8Hz),2.68(1H,dd,J=9.3,7.8Hz),1.94(1H,dd,J=9.3,5.8Hz),1.84(1H,dd,J=7.8,5.8Hz),1.29(3H,t,J=7.1Hz)
【0041】
実施例2:(1R,2R)−1−クロロ−2−エトキシカルボニル−1−シクロプロパンカルボン酸(R)−フェニルグリシノール塩
シス−1−クロロ−2−エトキシカルボニル−1−シクロプロパンカルボン酸(170g,883mmol)のイソプロピルエーテル(3.4L)溶液に(R)−フェニルグリシノール(60.6g,442mmol)を加え、室温で24時間撹拌した。不溶物を濾取し、減圧乾燥した後にこれをテトラヒドロフラン(2.3L)に懸濁させ、室温で19時間撹拌した。不溶物を濾取し、減圧乾燥した後にさらにこれをテトラヒドロフラン(1.4L)に懸濁させ、室温で2.5日間撹拌した。不溶物を濾取し、減圧乾燥した後にさらにこれをテトラヒドロフラン(1.2L)に懸濁させ、室温で18時間撹拌した。不溶物を濾取して減圧乾燥し、表題化合物(50.0g,17%)を白色結晶として得た。
【0042】
実施例3:(1R,2R)−1−クロロ−2−エトキシカルボニル−1−シクロプロパンカルボン酸
(1R,2R)−1−クロロ−2−エトキシカルボニル−1−シクロプロパンカルボン酸(R)−フェニルグリシノール塩(50.0g,152mmol)の水(1L)溶液に、撹拌しながら5規定塩酸をpH=2になるまで加えた。酢酸エチル(1L)で抽出し、水(500mL)で洗浄した後に硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、表題化合物(23.0g,79%)を無色結晶として得た。このうち少量を(S)−フェネチルアミド化して液体クロマトグラフィー分析を行った結果、98%d.e.であった。この結果より、得られた表題化合物の光学純度を98%e.e.と決定した。
H−NMR:実施例1と同様
【0043】
参考例2:エチル (1R)−2−クロロ−2−フルオロシクロプロパンカルボキシレート
(1R,2R)−1−クロロ−2−エトキシカルボニル−1−シクロプロパンカルボン酸(8.21g,42.6mmol)および水(42mL)の混合物を0℃に冷却し、これに炭酸カリウム(2.96g,21.4mmol)およびフッ化カリウム(2.47g,42.5mmol)を加えた。5%F/Nガス(50mL/min,7h28min,50.0mmol)を反応系内にバブリングさせた後に、窒素ガス(50mL/min,20min)を反応系内にバブリングさせた。反応液をジクロロメタン(160mL)で抽出し、水層をジクロロメタン(80mL)で再抽出して有機層を合わせた。有機層を水で洗浄して水層を合わせ、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。水層に5規定塩酸をpH=2になるまで加え、酢酸エチルで抽出して水で洗浄した後に硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、原料(2.87g,35%)を回収した。有機層の溶媒を減圧留去し、濃縮残渣にエタノール(0.9g)および炭酸カリウム(0.43g,3.1mmol)を加え、室温で14時間撹拌した。ジクロロメタンを加え、水で2回洗浄した後に硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去したのちに蒸留精製(減圧度=8mmHg、留出温度=58℃)を行い、表題化合物(1.45g,20%)を無色油状物質として得た。ガスクロマトグラフィー分析の結果、(1R,2R)体(トランス体。ここではエステルとフッ素がトランス配置のもの。以後同様)と、(1R,2S)体(シス体。ここではエステルとフッ素がシス配置のもの。以後同様)の比率は、85/15であった。また、エステル部位の立体が異性化した(1S)体の生成は確認されなかった。
トランス体;H−NMR(CDOD)δ:4.21(2H,dq,J=7.1,1.3Hz),2.66(1H,ddd,J=16.5,10.8,8.2Hz),1.99(1H,ddd,J=15.6,10.8,7.8Hz),1.82(1H,ddd,J=8.9,8.2,7.8Hz),1.28(3H,t,J=7.1Hz)
シス体;H−NMR(CDOD)δ:4.20(2H,q,J=7.1Hz),2.49(1H,ddd,J=10.2,7.8,1.0Hz),2.16(1H,ddd,J=8.6,7.8,7.8Hz),1.79(1H,ddd,J=10.2,7.8,7.8Hz),1.28(3H,t,J=7.1Hz)
【0044】
実施例4:エチル シス−2−クロロ−2−フルオロシクロプロパンカルボキシレート
エチル 2−クロロ−2−フルオロシクロプロパンカルボキシレート(30g,トランス体/シス体=87/13)を、減圧度=3kPa、還留比=20、理論段数=50で蒸留を行った。その結果、トランス体/シス体=96/4のものを2.26g、トランス体/シス体=95/5のものを5.97g、トランス体/シス体=93/7のものを4.91g、トランス体/シス体=90/10のものを4.03g得た。
H−NMR:参考例2と同様
【0045】
参考例4:エチル (2R)−2−クロロ−2−フルオロシクロプロパンカルボキシレート
(1R,2S)体を含むエチル (1R,2R)−2−クロロ−2−フルオロシクロプロパンカルボキシレート((1R,2R)体/(1R,2S)体=85/15,1.42g,8.52mmol)のエタノール(8mL)溶液に1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセ−7−エン(1.30g,8.54mmol)のエタノール(1.5mL)溶液を加え、室温で42時間撹拌した。水を加えてジエチルエーテルで抽出し、水および1規定塩酸で洗浄した後に硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた2−クロロ−2−フルオロシクロプロパンカルボキシレート(1.17g,83%)をガスクロマトグラフィーで分析した結果、(1S,2R)体/(1R,2R)体/(1S,2S)体/(1R,2S)体=35/51/8/6であった。
H−NMR:参考例2と同様
【0046】
参考例5:(1S,2R)−2−クロロ−2−フルオロシクロプロパンカルボン酸
2−クロロ−2−フルオロシクロプロパンカルボキシレート((1S,2R)体/(1R,2R)体/(1S,2S)体/(1R,2S)体=35/51/8/6,1.10g,6.63mmol)および0.1規定リン酸緩衝溶液(pH=7,22mL)の混合物を40℃に加熱し、これに土壌から単離したバチルスSPの凍結乾燥菌体(280mg)を加え、適宜1規定水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH=7に調整しながら4時間撹拌した。酢酸エチルで洗浄した後に5規定塩酸を加えてpH=2に調整し、酢酸エチル(20mL)を加えた。セライトろ過を行った後に有機層と水層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出して有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、表題化合物(271mg,30%)を黄色油状物質として得た。ガスクロマトグラフィーによる分析を行ったところ、光学純度は95%e.e.,シス体/トランス体=90.5/9.5であった。また、酢酸エチル洗浄層を硫酸ナトリウムで乾燥した後に溶媒を減圧留去し、原料(552mg,50%)を回収した。ガスクロマトグラフィーによる分析を行ったところ、(1S,2R)体/(1R,2R)体/(1S,2S)体/(1R,2S)体=8/70/11/11であった。
H−NMR(CDOD):δ=2.43(1H,ddd,J=10.2,7.8,1.0Hz),2.13(1H,ddd,J=16.4,7.8,7.8Hz),1.76(1H,ddd,J=10.2,7.8,7.8Hz)
【0047】
参考例6:(1S,2S)−2−フルオロシクロプロパンカルボン酸
(1S,2R)−2−クロロ−2−フルオロシクロプロパンカルボン酸(純度=81%,シス体/トランス体=93/7,光学純度=92.6%e.e.,10.0g,58.5mmol)のエタノール(40mL)溶液に活性炭(0.5g)を加え、室温で20分間撹拌した。エタノール(20mL)で洗いこみながら活性炭をろ過し、ろ液にエチレンジアミン(45.0g,748mmol)およびラネーニッケル(15mL)のエタノール(75mL)懸濁液を加え、水素雰囲気下、23kg/cm,50℃で24時間撹拌した。水(30mL)を加えた後に不溶物を濾去し、溶媒を減圧留去した。6規定塩酸を加えてpH=2に調整した後にメチルt−ブチルエーテル(400mL)で3回抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、表題化合物(5.17g,85%)を白色結晶として得た。ガスクロマトグラフィーによる分析を行ったところ、光学純度は92.6%e.e.,シス体/トランス体=91/9であった。
H−NMR(CDOD):δ=4.80(1H,m),1.80(1H,m),1.61(1H,m),1.15(1H,m)

Claims (16)

  1. 式(I)
    Figure 2004217608
    (式中、RおよびRは、同一または異なって、炭素数1から6のアルキル基を表す。)
    で表される化合物を塩基性条件下に処理し、式(II)
    Figure 2004217608
    (式中、Rは、炭素数1から6のアルキル基を表す。)
    で表される化合物のうちの、COOHとCOORとがトランス配置である化合物を得、これを光学活性アミンとの塩に導いて光学分割した後に遊離体に導いて式(II−R−R)
    Figure 2004217608
    (式中、Rは、炭素数1から6のアルキル基を表す。)
    で表される化合物を得、この化合物またはその塩を分子状フッ素でフッ素化して式(III−R−RS)
    Figure 2004217608
    (式中、Rは、炭素数1から6のアルキル基を表す。)
    で表される化合物を得、この化合物を蒸留してCOORと塩素原子とがシス配置である式(III−R−S)
    Figure 2004217608
    で表される化合物を得、この化合物を塩基存在下にラセミ化させて式(III−RS−R)
    Figure 2004217608
    で表される化合物を得、この化合物を不斉加水分解して式(IV−S−S)
    Figure 2004217608
    で表される化合物を得、この化合物を塩基存在下に金属触媒の存在下に接触水素添加反応を実施することを特徴とする式(V−S−S)
    Figure 2004217608
    で表される化合物の製造方法。
  2. とRとが同一のアルキル基である請求項1に記載の製造方法。
  3. とRとが異なるアルキル基である請求項1に記載の製造方法。
  4. のアルキル基が、Rのアルキル基よりも1以上多い炭素数のアルキル基である請求項3に記載の製造方法。
  5. がメチル基であり、Rがエチル基である請求項1、3または4に記載の製造方法。
  6. 式(I)で表される化合物から式(II)で表される化合物を得る反応が、含水溶媒中において金属塩を用いる反応である請求項1から5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 金属塩が、アルカリ金属原子またはアルカリ土類金属原子の塩である請求項6に記載の製造方法。
  8. 金属塩が、水酸化物、炭酸塩、または炭酸水素塩である請求項6または7に記載の製造方法。
  9. 金属塩が、アルカリ金属の水酸化物である請求項6または7に記載の製造方法。
  10. 光学分割工程において使用する光学活性アミンが、(R)−または(S)−の配位である、1−フェニルエチルアミン、1−フェニルプロピルアミン、1−(p−トリル)エチルアミン、1−フェニル−2−(p−トリル)エチルアミン、1−ナフチルエチルアミン、1−(4−メトキシフェニル)エチルアミン、1−(4−クロロフェニル)エチルアミン、1−(4−ニトロフェニル)エチルアミン、N−ベンジル−1−フェニルエチルアミン、2−アミノ−1−フェニルエタノール、2−アミノ−2−フェニルエタノール、アミノインダン;
    (1R,2S)−または(1S,2R)−の配位である、2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノール、アミノインダン−2−オール;
    から選ばれるアミンである請求項1から9のいずれか一項に記載の製造方法。
  11. 光学分割工程において使用する光学活性アミンが、(R)−フェニルグリシノールである請求項1から9のいずれか一項に記載の製造方法。
  12. フッ素化工程が、式(II−R−R)の化合物のカリウム塩を使用して実施される工程である、請求項1から11のいずれか一項に記載の製造方法
  13. 加水分解工程が、アルスロバクター属、アスペルギルス属、アルカリゲネス属、アクロモバクター属、クロモバクテリウム属、リゾプス属、キャンディダ属、ムコール属、ノカルディア属、コリネバクテリウム属、ペディオコッカス属、エンテロバクター属、シュードモナス属、ミクロコッカス属、バシルス属、ラクトバシルス属、トリコデルマ属、サッカロミセス属、ロドトルラ属、クリプトコッカス属、トルロプシス属、ピヒア属、ペニシリウム属、オーレオバシディウム属、アクチノムコール属、ストレプトミセス属およびハンゼヌラ属からなる群から選ばれる微生物、その培養物、培養濾液、菌体、菌体懸濁液、菌体抽出物、あるいはそれらの処理物により実施される工程である請求項1から12のいずれか一項に記載の製造方法。
  14. 微生物が、アルスロバクター属、アスペルギルス属、アルカリゲネス属、アクロモバクター属、クロモバクテリウム属、リゾプス属、キャンディダ属、ムコール属、ノカルディア属、ブレビバクテリウム属、ペディオコッカス属、シュードモナス属およびバシルス属からなる群から選ばれる微生物である請求項13に記載の製造方法。
  15. 塩素原子の除去が、アミン存在下に行われる工程である請求項1から14のいずれか一項に記載の製造方法。
  16. アミンがエチレンジアミンである請求項15に記載の製造方法。
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