JP2004216261A - ガスインジェクタ、揚液装置、攪拌装置及び気泡発生方法 - Google Patents

ガスインジェクタ、揚液装置、攪拌装置及び気泡発生方法 Download PDF

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Yoshiaki Takeishi
芳明 武石
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Abstract

【課題】メンテナンス性、環境保全性に優れ、均一な気泡を安定して発生することができるガスインジェクタを提供する。
【解決手段】内部を液体13が略鉛直上方へ流れる管体11と、管体11の周囲に環状のガス供給室17を形成するガスヘッダ18と、このガス供給室17へガスを供給するガス供給系19とを有し、略鉛直上方へ流れるこの液体13へ向けた、略水平方向への略平面状のガス流れを形成するためのガス噴出機構12とを備えるガスインジェクタである。管体11が上下方向に離間して配置された第1の管14及び第2の管15を有し、第1の管14及び第2の管15の間に形成される環状のスリット16が、ガス供給室17を臨む位置に配置される。さらに、環状のスリット16の水平方向の管内壁に沿った長さ (L) 及び鉛直方向の長さ (B) の比(L/B)が3以上である
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスインジェクタ、揚液装置、攪拌装置及び気泡発生方法に関する。具体的には、本発明は、例えばガス(エア)リフトポンプや化学反応槽等において、外径が20mm以下の均一な気泡を発生するためのガスインジェクタ、とりわけガスリフト効果を利用して海水を揚水するとともに COガスを海水に溶解させるための、いわゆる GLAD システムにおいて好適に用いることができるガスインジェクタと、このガスインジェクタを利用した揚液装置及び攪拌装置と、気泡発生方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、近年、化石燃料の消費に伴う様々な問題の解決が世界的な規模で求められている。これらの問題のうち人為的な産業活動に伴って大量に排出される炭酸ガスが奏する温室効果に起因した地球の温暖化は、最近の50年間に極めて急速に進行している。このため、排出される炭酸ガスを如何に処理して地球の温暖化を抑止するかは、緊急かつ重要な課題である。
【0003】
ところで、排出された COガスの約45%は大気中に残留するが、約28%は海洋に吸収され、さらに残りは植物に固定されるという報告がある。また、海洋へのCOガスの吸収速度は低いものの、その量的吸収能力は、可採埋蔵量の全量を消費し尽くたと仮定しても海水が COガスで飽和することはない程に、桁外れに大きい。
【0004】
このため、海洋のこのような COガスの吸収能力に着目し、例えば火力発電所等から放出される COガスを海洋に効率よく固定するシステム (GLADシステム;Gas Lift Advanced Dissolution System for CO)が既に提案されている。
【0005】
図10は、公知のGLADシステム1の一例を模式的に示す説明図である。図10に示すように、このGLADシステム1では、海面下 200〜400mに配置されたガスインジェクタ2から、例えば火力発電所等(図示しない)から放出された COガスあるいは CO混合ガスを揚水管3に吹き込み、揚水管3の内部を気泡4が浮上することによるガスリフト効果により周囲の新海水5を吸引するとともに気泡中の COガスを海水に溶解させる。そして、ドレイン管6により COガス溶解海水7を海面下1000〜3000m の深海に送り込む。このGLADシステム1では、 COガスの溶解による海水の酸性化で海水pHが6.5 以下に低下して海棲生物の生息環境を破壊しないように、 COガスの溶解が制御される。このGLADシステム1は、緊急避難的かつ繋ぎの処置ではあるものの、 COガスの実現可能な処理策として有効である。なお、図10における符合8は、ガス分離器である。
【0006】
このように、GLADシステム1ではガスインジェクタ2はいわばシステム全体の心臓部であるため、ガスインジェクタ2には、海水のガスリフト効率の向上や、COガスの溶解制御性及び定常性の確保を図るために、液中に適正な大きさの気泡4を安定的に発生することが要求される。
【0007】
具体的には、ガスインジェクタ2には、海水の揚水を確実に行うとともに COガスを海水中に溶解させて海底に効率よく固定するため、5〜20mmの径の均一な気泡4を安定的かつ均一に形成することが求められる。また、このガスインジェクタ2は海面下 200〜400mの海中に設置されることから、できるだけメンテナンスフリー化が図れる簡素な構造であることも重要である。
【0008】
さらに、設置される海中の海棲生物、特に音に敏感な海棲哺乳動物の生息環境を保全するために、低騒音であることも要求される。
公知のガスインジェクタによる気泡の発生方法を表1にまとめて示す。表1に示すように、細孔からガスを吹込む方法(非特許文献1、2)、液体エジェクタによるガス吸込方法(非特許文献3、4)、超音波印加による方法(非特許文献5)、さらには高電圧印加による方法(非特許文献6〜8)等があり、それぞれについて研究開発が行われている。また、表1にはこれらを応用した特許文献1〜4も併せて示す。
【0009】
【表1】
Figure 2004216261
【0010】
これらの気泡の発生方法のうちで細孔からガスを吹込む方法は、孔形状により、オリフィス、ドリルホール、細管または多孔体を用いた方法に分類することができ、さらにガス吹き込みと突起とによる気泡分散を利用するエアレータ(非特許文献9)がある。
【0011】
【非特許文献1】
高橋照男、宮原敏郎:単一円孔より形成される気泡容積−蓄気質容積の影響−,化学工学論文集、第5巻第5号(1979), 453.
【非特許文献2】
Pamperin,O. and Rath,H.J. :INFLUENCE of BUOYANCY ON BUBBLE FORMATION AT SUBMERGED ORIFICE,Chemical Engineering Science vol Vol.50 No.19(1995), 3009.
【非特許文献3】
大竹伝雄、東稔節治、久保井亮一、高橋保夫、中尾勝実:液体エジェクターによるガスの分散、化学工学論文集、第5巻第4号(1979,366.)
【非特許文献4】
大成博文、前田邦男、松尾克美、蔵重裕二、石川並木、津田朗宏:海水マイクロバブル発生技術について,土木学会第54回年次学術公演 会、VII −74(平成11年9月),148 .
【非特許文献5】
実吉純一、菊池喜充、能本乙彦:超音波技術便覧(新訂版)、日刊工業新聞社、昭和59年12月,1651 .
【非特許文献6】
佐藤正之、黒田正和、佐賀井武:気泡生成に対する高電圧印加の効果、化学工学論文集,第5巻第4号(1979),380.
【非特許文献7】
Ogata,S.,Tan,K.,Nishijima,K. and Chang,J.S.:Development ofImproved Bubble Disruption and Dispersion Technique by an Applied Electric Field Method, AlChE Journal,Vol.31 No.1(1985),62.
【非特許文献8】
Tsouris,C.,Shin,W.T. and Yiacoumi,S.:Pumping,Spraying and Mixing of Fluids by Electric Fields, Canadian J. of ChemicalEngineering,Vol.76(1998),589.
【非特許文献9】
西華産業株式会社:完全メンテフリー省エネ型排水設備用散気装置 (OHR型エアレータ)、カタログ.
【特許文献1】
特開平8−100210号公報
【特許文献2】
特開平6−339768号公報
【特許文献3】
特開2002−191949号公報
【特許文献4】
特開2002−113340号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
オリフィス、ドリルホール又は細管を用いて気泡を発生する方法は、確かにメンテナンスフリーであるものの、形成した孔径によって、ガス吹き込み量及び気泡径の制御範囲が圧力により著しく制限され、制御の幅が狭い。
【0013】
すなわち、小径気泡を発生させるためには、孔径を小さくする必要があり、また、ガスリフトに必要なガスを吹き込むためには、吹き込み圧力を高くしなければならない。その結果、吹き込み騒音が大きくなる。吹き込み圧力を低下して、多量のガスを吹き込むには、小径の孔を多く設ければよいが、孔加工コストの増加や小径孔の管理が必要となる。
【0014】
また、多孔体を用いて気泡を発生する方法は、特に多孔体の目詰まりが問題となり、吹き込みガスのフィルタリング及び多孔体の清掃(逆洗あるいは交換)等の管理を充分に行う必要がある。また、多孔体から高圧ガスを吹き込む際には、騒音が大きくなり、騒音対策 (音環境保全対策) を確実に行う必要も生じる。
【0015】
また、エアレータ方式により気泡を発生する方法は、ガス吹き込み時の騒音は比較的小さいものの、衝突板の管理(付着対策や摩耗対策)が必要となる。
液体エジェクタによるガス吸込方式は、液体吹き込み量により吸込ガス量及び気泡径をある程度制御することはできるものの、液体加圧装置及びエジェクタの管理(摩耗交換等)が必要になってしまいコストが嵩む。また、運転時の騒音も大きい。
【0016】
さらに、超音波あるいは高電圧を印加する方式では、電流や電圧を制御すれば気泡径を制御することはできるものの、超音波発振器や電圧印加電極の設置及びこれらの定期管理が必要となり、コストが嵩む。また、超音波や高電圧の印加は海棲生物、特に海棲哺乳類に対する影響も大きい。
【0017】
このように、気泡を発生する技術はこれまでにも多数の研究が行われ、多数の発明が提案されてはいるものの、公知の発明では、気泡発生の安定性およびメンテナンス性をいずれも高レベルで満足することはできなかった。
【0018】
また、公知の発明では、さらに環境保全性をも高レベルで満足することは不可能であった。
本発明の目的は、公知のガスインジェクタと少なくとも同等程度の COガスの溶解制御性及び気泡発生性を有するとともに良好なメンテナンス性を有し、均一な気泡を安定して発生することができる、 COガスの高効率海底固定システム用もしくは、一般のガス(エア)リフトポンプあるいは化学反応槽等における均一気泡発生装置用として好適なガスインジェクタと、このガスインジェクタを備えた揚液装置及び攪拌装置、さらには気泡発生方法を提供することである。
【0019】
さらに、本発明の目的は、公知のガスインジェクタと少なくとも同等程度の COガスの溶解制御性及び気泡発生性を有するとともに良好なメンテナンス性を有し、さらに作動時の騒音も小さく環境保全性も良好なガスインジェクタと、このガスインジェクタを備えた揚液装置及び攪拌装置、さらには気泡発生方法を提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明は、内部を液体が略鉛直上方へ流れる管体と、略鉛直上方へ流れるこの液体へ向けた、略水平方向への略平面状のガス流れを形成するためのガス噴出機構とを備えることを特徴とするガスインジェクタである。
【0021】
この本発明に係るガスインジェクタでは、ガス噴出機構が、管体の周囲に環状のガス供給室を形成するガスヘッダと、このガス供給室へガスを供給するガス供給系とを有することが、例示される。
【0022】
この場合、管体には、ガス供給室と管体の内部とを連通するための複数の矩形のスリットが断続的に設けられることが望ましい。
また、この態様とは異なり、管体が上下方向に離間して配置された第1の管及び第2の管を有してもよく、この場合には、第1の管と第2の管との間に形成される環状の隙間が、ガス供給室を臨む位置に配置されていればよい。
【0023】
これらの本発明に係るガスインジェクタでは、矩形のスリット又は環状の隙間の水平方向の管内壁に沿った長さ (L) 及び鉛直方向の長さ (B) の比(L/B)が3以上であることが望ましい。
【0024】
これらの本発明に係るガスインジェクタでは、管体又は第1の管が下方へ向けて開放され、管体又は第2の管が上方へ向けて開放されることが例示される。
この場合に、第1の管が下方に向かうにつれて内径が増加する形状を有し、第1の管の軸方向への長さが、第1の管の内径の最小値の1〜5倍であることが例示される。
【0025】
これらの場合に、第2の管の軸方向への長さが、第2の管の内径の3〜10倍であることが望ましい。
別の観点からは、本発明は、上下方向へ向けて配置されるとともに少なくとも下端部に開口を有する揚液管と、この揚液管の内部に1又は2以上設けられた上述した本発明に係るガスインジェクタとを備え、揚液管が、ガスインジェクタによるガスリフト作用により下端部から液体を内部に流入させることによって、液体を上昇させることを特徴とする揚液装置である。
【0026】
別の観点から、本発明は、液体を収容するための容器と、この容器の内部に1又は2以上設けられた上述した本発明に係るガスインジェクタとを備えることを特徴とする攪拌装置である。
【0027】
さらに別の観点からは、本発明は、管体の内部を上方へ流れる液体へ向けて、略水平方向への平面状のガス流れを噴出して、このガス流れに対して作用する液体の剪断力を利用してガス流れを分断して分散することによって、気泡を発生することを特徴とする気泡発生方法である。
【0028】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明に係るガスインジェクタ、揚液装置、攪拌装置さらには気泡発生方法の実施の形態を、添付図面を参照しながら順次詳細に説明する。
【0029】
図1は、この第1の実施の形態に係るガスインジェクタ10の構造を示す縦断面図である。
図1に示すように、本実施の形態のガスインジェクタ10は、管体11とガス噴出機構12とを備える。そこで、ガスインジェクタ10のこれらの構成要素を、順次説明する。
【0030】
[管体11]
管体11は、その内部を液体13が略鉛直上方へ向けて流れるものである。本実施の形態では、管体11は、略鉛直方向に所定の距離Bだけ離間して配置された第1の管14と略同径の第2の管15とを有する。これら第1の管14及び第2の管15の間に形成される環状の隙間16は、後述するガス噴出機構12におけるガス供給室17を臨む位置に配置される。これにより、ガス供給室17と管体11の内部とが連通されるため、隙間16は、ガスを管体11の内部に噴出する矩形のスリットとして機能する。
【0031】
管体11を構成する第1の管14は、略鉛直下方へ向けて開放される。一方、管体11を構成する第2の管15は、略鉛直上方へ向けて開放される。
まず、管体11の内部へのガス吹込み口となるスリット16の形状について説明する。音環境保全すなわち騒音低下の観点からは、ガス吹込み口の断面積を大きくすることが望ましい。しかし、ガス吹込み口の形状がドリルホールのような円形であるとその径が大きくなってしまうために、このガス吹込み口から噴出されるガス流は柱状の太い三次元の流れとなる。このため、上方への液体13の流れによる剪断力では噴出されたガス流れを充分に分散することは難しい。
【0032】
これに対し、本実施の形態では、ガス吹込み口を矩形のスリットとして機能する環状の隙間16とするため、この隙間16から、略鉛直上方へ流れるこの液体13へ向けて、略水平方向への二次元のガス流(ガス膜)、換言すれば略平面状のガス流れを噴出することができる。このため、鉛直上方への液体13の流れはこの二次元ガス流に垂直に衝突することとなり、ガス流は液体13の流れによって充分に分断・分散される。このため、本実施の形態では、ガス吹込み口の形状は、矩形のスリットとして機能する環状の隙間16とした。
【0033】
本実施の形態では、この矩形のスリット16は、第1の管14及び第2の管15を鉛直方向に距離Bだけ離間して配置するだけで形成できるため、円孔に比較して複雑な加工を伴わない分だけ加工コストの上昇も抑制され、またメンテナンスも容易である。このように、ガスを吹き込むためのスリット16の形状は、メンテナンス性の面からもシンプルである程望ましい。
【0034】
また、本実施の形態によれば、液体13中にガスを吹き込むためのガス吹き込み口を矩形のスリット16としてその開口面積 (断面積) を大きく確保することにより、ガス吹込み速度の低減を図ることができ、これにより、ガス吹き込みにより発生する騒音を小さくすることができる。このため、環境保全対策、特にガスの高圧吹込みを行った場合のガスジェットの騒音 (音環境) 対策を充分に図ることができる。
【0035】
なお、このスリット16の開口面積を大きく設定すると、液体13中に発生する気泡が大きくなるとともに不均一になり易いのではとも一見考えられる。しかし、本実施の形態では、ガスリフト効果により第1の管14に生じる略鉛直上方への液体13の流れに対してガスを略平面状に略水平方向へ吹き込むため、液体13中に吹き込まれたガスが液体13の流れによって充分に分断され、均一な気泡を発生することができる。
【0036】
本発明者らが行った実験の結果によれば、均一な小気泡を安定的に発生するためには、スリット16の水平方向の管内壁に沿った長さ (以下、「幅」ともいう) L及び鉛直方向の長さB (以下、「ギャップ」ともいう) の比(L/B)は3以上であることが好ましく、より好ましくは比(L/B)は5以上である。
【0037】
この条件が満たされない場合には、略鉛直上方へ流れる液体13の壁面剪断力に対して、ガスの吹込み慣性力が相対的に大きくなるために吹込まれたガスの分断が難しくなり、20mm超の大気泡が発生するおそれがある。
【0038】
また、ギャップBは、スリット16の長さ方向に一定であることが望ましいが、±40%以下、好ましくは±20%以下の範囲であれば、変動してもよい。このため、ギャップBの変動量が上述した範囲内であれば、スリット16の長辺は直線である必要はなく、波状や鋸歯状であってもよい。ギャップBがこの範囲を逸脱して変動すると、略鉛直上方へ流れる液体13の壁面剪断力は略一定であるのに対し、ガスの吹込み慣性力が管体11の周方向で変化するため、吹込まれたガスの分断が不均一になり、これにより、発生した気泡が場所的及び時間的に不均一になり、20mm超の大気泡が発生する可能性がある。
【0039】
第1の管14は、下方に向かうにつれて外径が増加するベルマウス型の形状を有し、この第1の管14の軸方向への長さl14 は第1の管14の内径d14 の最小値の1倍以上5倍以下であることが望ましい。長さl14 が内径d14 の最小値の1倍未満では、液体13の流動変動により、吹き込みガスが第1の管14の下端より吹き出すことがあり、これにより、ガスリフト効率が低下し、さらに、流速が小さくなり、気泡の大径化と不均一化とを招くことになる。一方、5倍超では流動抵抗が増加して流速が低下し、剪断力が小さくなるため気泡の分断及び均一化が不充分となることがある。
【0040】
さらに、第2の管15の軸方向への長さl15 は、第2の管15の内径d15 の2倍以上10倍以下であることが望ましい。長さl15 が内径d15 の2倍未満では、気泡の生成が不安定となって気泡の均一化が不充分となることがあり、また、10倍超では流速が低下してしまい、気泡の分断及び均一化が不充分となることがあるからである。
【0041】
本実施の形態では、第1の管14及び第2の管15を鉛直方向に距離Bだけ離間して配置することにより矩形のスリット16を、第2の管15の円周上に連続的かつ均一に形成した。しかし、加工上あるいは構造上の制約がある場合には、以上説明した本実施の形態とは異なり、図2に例示するような矩形のスリット16を、第1の管14又は第2の管15に適宜断続的に設けるようにしてもよい。
【0042】
図2は、管体11の他の構成例を示す説明図である。すなわち、管体11には、ガス供給室17と管体11の内部とを連通するための複数の矩形のスリット16が断続的に並設されるようにしてもよい。この場合も、矩形のスリット16の水平方向の管内壁に沿った長さL及び鉛直方向の長さBの比(L/B)が3以上であることが望ましい。また、幅Lと連続壁幅lとの比(L/l)は5以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましい。
【0043】
本発明者は、上述した条件を満足した各種のガスインジェクタを試作し、その気泡の発生状況を観察した結果、第2の管15の内径d15 が20mm以上500mm 以下、長さl15 が30mm以下2000mm以下さらにギャップBが0.5mm 以上20mm以下の範囲であれば、20mm以下の均一な小気泡を確実に発生できることを確認した。
【0044】
本実施の形態では、管体11は以上のように構成される。
[ガス噴出機構12]
ガス噴出機構12は、管体11の内部を略鉛直上方へ向けて流れる液体13へ向けた、略水平方向への略平面状のガス流れを形成するためのものである。
【0045】
本実施の形態では、ガス噴出機構12が、管体11の外周面の周囲に封止された環状のガス供給室17を形成するガスヘッダ18と、このガス供給室17へガスを供給するガス供給系19とを有する。
【0046】
管体11の内部で発生する気泡を微細化するには、気液界面張力に打ち勝つ力を付与する必要がある。本実施の形態では、このような力として、攪拌等の機械的力ではなく、流れに伴って液体13が奏する剪断力を利用する。しかし、上述した液体エジェクタ方式では、液体の加圧装置が必要になり、システムの設備費及び運転コストの高騰を招く。
【0047】
そこで、本実施の形態では、上述したように、ガスリフト効果により液体13 (海水) を揚水するために発生する液体13 (海水) の流れを有効に利用する。すなわち、第1の管14及び第2の管15を上下方向へ離間して並設するため、これらの管14、15の内部に略鉛直上方への液体13の流れを発生することができる。このため、管壁に液体13 (海水) による剪断力が作用する。これにより、液体13が略鉛直上方に流れる部分にガスを略平面状 (二次元状) に吹き込めば、吹き込まれたガスは液体13の剪断力によって分断及び分散され、均一な気泡を安定的に発生することができる。
【0048】
本実施の形態のガスインジェクタ10は以上のように構成される。次に、このガスインジェクタ10の動作を説明する。
第1の管14及び第2の管15を備える管体11の内部を略鉛直上方へ向けて流れる液体13へ向けて、ガス噴出機構12から略水平方向への略平面状のガス流れを噴出することにより、このガス流れに対して作用する液体13の剪断力を利用してガス流れを分断して分散する。これにより、気泡を発生する。
【0049】
図3はこのガスインジェクタ10を組み込まれた揚液装置20の構造を示す縦断面図である。
同図に示すように、この揚液装置20は、上下方向へ向けて配置されるとともに少なくとも下端部に開口21a を有する揚液管21と、この揚液管21の内部に1又は2以上 (図示例では2基) 設けられたガスインジェクタ10とを備えている。
【0050】
揚液管21は、ガスインジェクタ10によるガスリフト作用により下端部の開口21a から液体22を揚液管21の内部に流入させることによって、液体22を上昇させる。これにより、従来と同程度の揚液効率を維持し、かつ、騒音を著しく低下させることができる。
【0051】
このガスインジェクタ10は、図1に示す構造で、第1の管14の最小内径d14 が82.2mmと54.0mmで、長さl14 がそれぞれ83.0mmと75.0mmであり、スリット16のギャップBが1mm、3mm及び6mmであり、第2の管の内径d15 が第1の管14の最小内径と同じであり、長さl15 が165mm のものを用いた。また、揚液管21は、内径260mm 及び高さ6m の透明管である。使用した液体13は水道水であり、吹き込むガスは圧縮空気である。
【0052】
図4は、従来の管壁からのガス吹込み法によるガスインジェクタ23を模式的に示す説明図である。このガスインジェクタ23は、揚液管24の壁面にガスを吹き込むための内径1.45mmの細管25が16本取付けられており、これらの細管25から揚液管24の内部にガスを吹き込むことにより、揚液管24の下方付近に存在する液体26を上昇させる。
【0053】
これらのガスインジェクタ10、23を用いた場合の発生気泡径、ガスリフトポンプの揚水特性、発生音圧及び周波数特性を、それぞれ調べた。
吹込みガス量及び揚水量は、それぞれ渦流量計及び電磁流量計を用いて測定した。発生気泡径は、揚水管21、23内を上昇する気泡を写真撮影し、画像解析により各気泡の短径 d( 上昇方向) と長径 d( 上昇方向に直角方向) とを計測し、上昇気泡を回転楕円体として、次式により等価球形 dとして求めた。
【0054】
[数1]
=(d 1/3 ・・・・・・・(1)
また、音圧は水中マイクロホンを用いて測定し、周波数分析を行った。
【0055】
図5〜8は、試験結果を示すグラフであり、図5はガスインジェクタ10による発生気泡径をガスインジェクタ23による発生気泡径と比較したものであり、図6は図5と同じ条件におけるガスリフトポンプの揚水特性を比較したものであり、図7は、試験結果を示すグラフであって発生音圧を比較したものであり、図8(a) はガスインジェクタ10の音圧の周波数特性を示すとともに図8(b) はガスインジェクタ23の音圧の周波数特性を示す。
【0056】
図5にグラフで示すように、ガス吹込み量が少ない範囲ではガスインジェクタ10による発生気泡径は、ガスインジェクタ23による発生気泡径に比較して僅かに大きいものの、吹込み量が増加すると略同等となり、20mm以下の均一気泡の生成が可能であることがわかる。
【0057】
図6にグラフで示すように、ガスインジェクタ10を用いた場合の揚水特性は、ガスインジェクタ23に比較して僅かに小さいが、その差は数%であり、殆ど問題ない。
【0058】
図7にグラフで示すように、ガスインジェクタ23では発生音圧はガス吹込み量の増加とともに大きくなるが、ガスインジェクタ10では、ガスインジェクタ23の1/10以下のレベルであり、ガス吹込みしない時のレベル、すなわち暗騒音レベルよりも僅かに大きい程度である。また、ガス吹込み量を増加しても音圧は殆ど変わらないこともわかる。
【0059】
図8にグラフで示すように、ガスインジェクタ23では1〜3kHz の周波数が卓越するとともにこれ以上の高周波成分も含まれているのに対し、ガスインジェクタ10では、卓越周波数は数十〜数百Hzであり、そのレベルも低く1kHz 以上の高周波成分は殆どなく、非常に静粛であることがわかる。
【0060】
以上述べたように、本実施の形態のガスインジェクタ10は、シンプルな構造で20mm以下の均一気泡を静粛に安定的に発生できるとともにガスリフトポンプへの適用に当たっても、その揚水特性の大きな低下をきたさない。特に、ガスリフト効果を利用した COガスの高効率海底固定システム用ガスインジェクタとして、メンテナンスフリーであるとともに静粛であるため環境保全性に優れている。
【0061】
(第2の実施の形態)
次に、上述した本発明に係るガスインジェクタを攪拌装置に適用した例を説明する。なお、以降の説明では、上述した説明と相違する部分を説明し、共通する部分については同一の図中符合を付すことにより、重複する説明を省略する。
【0062】
図9は、本発明に係るガスインジェクタ10を装着された攪拌装置27を模式的に示す説明図である。
同図に示すように、この攪拌装置27は、液体28を収容するための反応容器29と、この反応容器29の内部の底部に1又は2以上 (本例では2基) 設けられたガスインジェクタ10とを備えるものである。
【0063】
この反応容器29には液体28が満たされており、この液体28中にガスインジェクタ10を用いて反応させるガスを吹き込むと、反応容器29内の液体28は、図中矢印で示す方向に循環しながら攪拌され、液体の攪拌効率が向上し、効率よく化学反応が促進される。
【0064】
(変形形態)
以上の説明は、気体−液体反応の場合を例にとったが、液体に固体を混合したスラリーを用いれば固体−気体−液体の反応の促進も可能である。また、化学反応のみでなく、汚泥等の微生物生育環境にガスインジェクタ10を設置してこれから空気等酸素含有ガスを吹き込めば、微生物の活性化を促進することも可能である。
【0065】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、従来のガスインジェクタと同等の COガスの溶解制御性及び気泡発生性を有し、さらに、メンテナンス性に優れ、かつ騒音が小さく環境保全性に優れ、均一な気泡を安定して発生することができる、 COガスの高効率海底固定システム用として好適な、ガスインジェクタと、このガスインジェクタを用いた揚液装置及び攪拌装置と、気泡発生方法とを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係るガスインジェクタの構造を示す縦断面図である。
【図2】管体の他の構成例を示す説明図である。
【図3】第1の実施の形態に係るガスインジェクタを組み込まれた揚液装置の構造を示す縦断面図である。
【図4】従来の管壁からのガス吹込み法によるガスインジェクタを模式的に示す説明図である。
【図5】試験結果を示すグラフであり、ガスインジェクタによる発生気泡径をガスインジェクタによる発生気泡径と比較したものである。
【図6】試験結果を示すグラフであり、図5と同じ条件におけるガスリフトポンプの揚水特性を比較したものである。
【図7】試験結果を示すグラフであり、発生音圧を比較したものである。
【図8】試験結果を示すグラフであり、図8(a) はガスインジェクタ10の音圧の周波数特性を示し、図8(b) はガスインジェクタ23の音圧の周波数特性を示す。
【図9】本発明に係るガスインジェクタを装着された攪拌装置を模式的に示す説明図である。
【図10】COガスの高効率海底固定システムの一例を示す説明図である。
【符号の説明】
11 管体
12 ガス噴出機構
13 液体
14 第1の管
15 第2の管
16 隙間(スリット)
17 ガス供給室
18 ガスヘッダ
19 ガス供給系

Claims (8)

  1. 内部を液体が略鉛直上方へ流れる管体と、略鉛直上方へ流れる該液体へ向けた、略水平方向への略平面状のガス流れを形成するためのガス噴出機構とを備えることを特徴とするガスインジェクタ。
  2. 前記ガス噴出機構は、前記管体の周囲に環状のガス供給室を形成するガスヘッダと、該ガス供給室へガスを供給するガス供給系とを有する請求項1に記載されたガスインジェクタ。
  3. 前記管体には、前記ガス供給室と前記管体の内部とを連通するための複数の矩形のスリットが断続的に設けられる請求項2に記載されたガスインジェクタ。
  4. 前記管体は、上下方向に離間して配置された第1の管及び第2の管を有し、該第1の管と該第2の管との間に形成される環状の隙間は、前記ガス供給室を臨む位置に配置される請求項2に記載されたガスインジェクタ。
  5. 前記矩形のスリット又は前記環状の隙間の水平方向の管内壁に沿った長さ (L) 及び鉛直方向の長さ (B) の比(L/B)は3以上である請求項3又は請求項4に記載されたガスインジェクタ。
  6. 上下方向へ向けて配置されるとともに少なくとも下端部に開口を有する揚液管と、該揚液管の内部に1又は2以上設けられた請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載されたガスインジェクタとを備え、前記揚液管は、該ガスインジェクタによるガスリフト作用により前記下端部から液体を内部に流入させることによって、液体を上昇させることを特徴とする揚液装置。
  7. 液体を収容するための容器と、該容器の内部に1又は2以上設けられた請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載されたガスインジェクタとを備えることを特徴とする攪拌装置。
  8. 管体の内部を上方へ流れる液体へ向けて、略水平方向への平面状のガス流れを噴出して、該ガス流れに対して作用する前記液体の剪断力を利用して前記ガス流れを分断して分散することによって、気泡を発生することを特徴とする気泡発生方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2010035890A1 (ja) * 2008-09-24 2010-04-01 Itoh Jotaro 二酸化炭素を駆動流体とする滞留水の湧昇方法および装置
KR101236216B1 (ko) 2011-04-22 2013-02-22 한국미니맥스 주식회사 용존산소 증가장치 및 이를 구비한 하천 구조물
JP2017185457A (ja) * 2016-04-06 2017-10-12 住友金属鉱山株式会社 気体供給装置

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