JP2004215658A - プロモーターdna断片 - Google Patents

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Abstract

【課題】 浸透圧ストレスの調節により、遺伝子発現を特異的に制御するためのプロモーターDNA断片、該DNA断片の塩基配列を含む発現ベクター、該ベクターが導入された形質転換微生物又は植物細胞、及び該形質転換植物細胞を含む植物体の提供。
【解決手段】 ユーカリ由来の特定の配列を有するプロモーターDNA断片、及び該プロモーターDNAの1又は数個の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列からなり、かつ、該DNA断片からなるプロモーターと実質的に同一のプロモーターとしての機能を有する塩基配列、又は該DNA断片からなるプロモーターと実質的に同一のプロモーターとしての機能を有する塩基配列。
【選択図】 図1

Description

本発明は、植物、特にユーカリなどの樹木の根組織における遺伝子発現及びその制御のためのDNA配列とその利用等に関する。さらに具体的には、浸透圧ストレスを与えたときに、植物の根組織における遺伝子発現を特異的に制御するためのDNA配列、そのDNA配列を含むプラスミド、そのプラスミドにより形質転換されてなる植物細胞、植物体及び微生物に関する。
世界の木材消費量は毎年増加傾向にあり、用途別にみると、薪炭用材の消費が過半数を占め、開発途上地域では今でも増加傾向を示している。製材、製紙用の木材チップなどの産業用材も、先進地域の消費量は若干の減少に転じたものの、開発途上国地域における消費量は増加している。先進地域では文明の発達とともに、森林の農地への転用や資材としての利用等により森林を大きく減少させてきたが、最近植林活動によってわずかながら増加している。しかし、開発途上地域では、かつては先進国の商業伐採により、近年は人口増加にともなって、生活燃料や農地の需要が拡大し、世界全体における森林面積が急激に減少しつづけている。こうしたことから、二酸化炭素固定化能の低下による地球温暖化などの問題が挙げられるようにもなってきた。これらの問題を解決しつつ、産業的に製材、製紙用木材チップの安定供給などを目指した植林事業が世界各地で盛んに行われている。
しかしながら、一方において、塩害、砂漠化などにより引き起こされる土壌劣化は急速に進んでおり、世界的に大きな問題となっている。植物が塩・乾燥ストレスにさらされると、高濃度の塩や乾燥によって細胞外の水ポテンシャルが低下し、細胞の脱水が誘導される。また、細胞内の自由水が凍結するような低温状態に植物が置かれた時も同様に脱水が誘導される。この水分恒常性の崩壊は、浸透圧ストレスと呼ばれており、植物が受ける塩・乾燥・低温ストレスに共通な主要因子となっている。この浸透圧ストレスによる細胞の脱水により、植物細胞が膨圧を失って原形質分離を引き起こした後、脱水のしきい値を越えた時点で、不可逆的な細胞膜や細胞内タンパク質の変性が起こり、細胞は致命的な損傷を受ける。このような致死的損傷をさける為、植物は浸透圧ストレスによる細胞の膨圧変化を引き金として、浸透圧ストレス応答のシグナル伝達経路を活性化し、浸透圧ストレスを回避する為の適応応答を行っている。そのうち、高等植物、藻類、酵母、微生物に共通して機能し得る基本的な浸透圧ストレス防御蛋白質の一つとして、デハイドリン蛋白質と称されるLEA(late embryogenesis abundant)蛋白質(例えば、非特許文献1及び2)や、大麦で最初に発見され現在では、穀物、線虫、人、ネズミ、酵母を含む真核生物でも見つかっている浸透圧ストレス状況下で発現するHVA22遺伝子(例えば、非特許文献11)、同じく浸透圧ストレス下で発現し、疎水性蛋白質をコードしている保存された領域をもつRCI2遺伝子(例えば、非特許文献12)等が注目されてきている。そこで、これらの種々の浸透圧ストレスへの適応応答に関する遺伝子に着目し、遺伝子組換えを行った樹木を得ることができれば、乾燥や塩害により植物が生育できなくなってしまった土地に植林できる可能性がある。
遺伝子組換えによる形質転換植物には、ある種のプロモーター配列の下流に植物で発現可能な蛋白質をコードする遺伝子を結合したDNAを導入して、その目的蛋白質を発現させる方法が知られており、その代表的なプロモーターとしては、目的蛋白質を植物の組織非特異的に発現させることができるカリフラワーモザイクウイルス(CaMV)35Sプロモーターやノパリン合成酵素遺伝子プロモーター(例えば、非特許文献3参照)、タバコモザイクウィルスの35Sプロモーター(例えば、非特許文献4参照)、イネ由来アクチン遺伝子プロモーター(例えば、非特許文献5参照)がある。しかしながら、これらのプロモーターは遺伝子導入後の植物の生育時期や植物部位に関係なく常に目的蛋白質の遺伝子を発現させるものであった。一方、実際の植物育種の面から見ると、絶えず目的蛋白質の遺伝子を発現させている必要はなく、逆に、このことが不都合な場合も多い。そこで、プロモーターによって目的蛋白質の遺伝子の発現を所望の条件に対応して制御することが可能であれば、実際の植物育種の面で大変好都合なものとなる。すなわち、前記のような誘導可能であるプロモーターが存在すれば、下流に連結した目的蛋白質の遺伝子の発現を人為的に制御することが可能となり、必要なときにのみ必要な機能の遺伝子を発現させることができる。
これまで、誘導可能な遺伝子プロモーターとしては、テトラサイクリンにより誘導可能なTn10 Tetリプレッサーを利用した系(例えば、非特許文献6参照)やステロイドホルモンにより誘導可能なラットグルココルチコイドレセプターを利用した系(例えば、非特許文献7参照)なども報告されているが、これらのプロモーターは、いずれも誘導剤としての外来の化学物質を添加されることにより初めて誘導されるものであり、それらの物質を散布する必要がある。
一方、ストレス応答性のプロモーターとしては、水ストレス応答性のあるΔ1-ピロリン-5-カルボン酸合成酵素遺伝子プロモーター(例えば、特許文献1参照)、強光ストレス応答性のあるEarly Light Inducible protein遺伝子プロモーター(例えば、特許文献2参照)、種々の環境的ストレスに対する応答を仲介する植物ホルモンであるアブシジン酸の応答要素を持つ調節遺伝子プロモーター領域(例えば、特許文献3参照)、乾燥ストレス応答エレメント(例えば、特許文献4参照)、デハイドリン遺伝子プロモーター領域(例えば、非特許文献8〜10参照)などがモデル植物として広く研究されているシロイヌナズナから数件の報告しかなされていない。また、以上のプロモーターは組織非特異的であり、組織特異的、特に根特異的なものではない。
根は植物の発育に重要な役割を果たしている組織にもかかわらず、根における遺伝子発現の調節に関する研究は比較的少なく、タバコ(例えば、特許文献5参照)、アブラナ属(例えば、特許文献6参照)、トウモロコシ(例えば、特許文献7参照)、オオムギ(例えば、特許文献8参照)などの報告があるが、これらはいずれも根における、菌類病又は害虫病に羅病しやすい植物に菌類病又は害虫病に対する免疫又は抵抗性を一般的に付与する為の目的のものである。また、植物の根組織に特異的に遺伝子の発現を制御するプロモーターの報告があるが(特許文献9参照)、該プロモーターは、酸性土壌環境下で根からのリン酸吸収が阻害される植物体に対し、根におけるリン酸吸収能を強化するものである。さらには、リン酸濃度に依存して誘導的に根組織特異的に目的蛋白質を産生させるものである。
従って、乾燥、塩、低温ストレスなどの浸透圧ストレスに応答するプロモーターはこれまで全く報告されておらず、また、浸透圧ストレスの条件に依存して、特定の組織、とりわけ根組織に特異的に目的蛋白質を産生させることについても全く開示されていない。このため、塩害、砂漠化等が認められる浸透圧ストレスのある土壌環境下において育種可能な形質転換植物、さらには、前記土壌環境下において、目的とする蛋白質を産生することができる形質転換植物の開発が求められている。
特開2001-54384号公報(第3-4頁) 特開2002-176983号公報(第2-6頁) 特開2001-128676号公報(第3-9頁) 特開2000-116260号公報(第3-8頁) 特表平11-510056号公報(第1、7頁) 特表平8-501923号公報(第5-9頁) 特開平7-184664号公報(第3-8頁) 特開平8-51983号公報(第2-3頁) 特開2002-142766号公報(第3-6頁) 宇梶徳史他、第52回日本材木学会大会研究発表要旨集(2002) pp33 大江田憲治、「植物の環境応答」(秀潤社) pp81-85 Sanders P. R., et al. Nucleic Acid Res, 15 (1987) pp1543 Guilley, H., et al. Cell 30 (1982) pp763 McElroy, D., et al. The Plant Cell, 2(1990) pp163 The Plant J. 2 (1992) pp397 The Plant J. 11(1997) pp605 FEBS Letters 381(1996) pp252 Plant Physiol. 118(1998) pp1181 Planta 204(1998) pp459 Plant Molecular Biology 49(2002) pp663 Plant Physiol. 125(2001) pp1655
本発明は、上記現状に鑑み、浸透圧ストレスを与えたときに、植物、特に樹木の根において特異的に目的とする遺伝子の発現を制御することができるプロモーター、そのプロモーター配列を含むプラスミド、そのプラスミドにより形質転換されてなる植物細胞、微生物又は植物体、及び該プロモーターの制御下にある遺伝子の発現量を植物細胞、微生物又は植物体中で調節する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、ユーカリ由来デハイドリン遺伝子、ユーカリ由来HVA遺伝子、ユーカリ由来RCI遺伝子が浸透圧ストレスをかけたときに根組織において特異的に高発現していることを見いだし、さらに、ユーカリ由来デハイドリン遺伝子、ユーカリ由来RCI遺伝子をコードしている上流域に、根組織特異的発現に関与するプロモーター配列を特定し、植物体で部位特異的発現に機能することを見いだし、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(7)を提供する。
(1) 以下の(a)〜(c)のいずれかの塩基配列からなる、プロモーターDNA断片:
(a)配列番号1に示す塩基配列の第1番目〜第907番目の塩基配列、
配列番号2に示す塩基配列の第1番目〜第1833番目の塩基配列、若しくは
配列番号3に示す塩基配列の第1番目〜第1463番目の塩基配列、
(b)(a)の塩基配列において、1又は数個の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列からなり、かつ、(a)のDNA断片からなるプロモーターと実質的に同一のプロモーターとしての機能を有する塩基配列、
(c)(a)の塩基配列の一部を含み、かつ、(a)のDNA断片からなるプロモーターと実質的に同一のプロモーターとしての機能を有する塩基配列。
(2) さらに、植物の根組織に特異的発現に関与する転写因子を認識する塩基配列を機能的に結合させた、(1)に記載のプロモーターDNA断片。
(3) (1)又は(2)に記載のプロモーターDNA断片の塩基配列を含む、発現ベクター。
(4) さらに、(1)又は(2)に記載のプロモーターDNA断片に機能的に連結する遺伝子であって、その発現が該プロモーターDNA断片の制御下にある遺伝子を有する、(3)に記載の発現ベクター。
(5) (3)又は(4)に記載の発現ベクターが導入された形質転換微生物又は形質転換植物細胞。
(6) (5)に記載の形質転換植物細胞を含む、形質転換植物体。
(7) (5)に記載の形質転換微生物又は細胞、又は(6)に記載の形質転換体におけるプロモーターDNA断片の制御下にある遺伝子の発現を制御する方法であって、前記形質転換微生物若しくは細胞、又は形質転換体の培養又は栽培条件下での浸透圧ストレスを調節することによって該遺伝子の発現を制御する、遺伝子発現の制御方法。
本発明のプローブDNA断片の塩基配列を利用することにより、植物の根組織において、目的蛋白質を特異的に発現させることが可能になった。
本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明のプロモーターDNA断片は、以下の(a)〜(c)のいずれかの塩基配列からなるものである。
(a)配列番号1に示す塩基配列の第1番目〜第907番目の塩基配列、
配列番号2に示す塩基配列の第1番目〜第1833番目の塩基配列、若しくは
配列番号3に示す塩基配列の第1番目〜第1463番目の塩基配列、
(b)(a)の塩基配列において、1又は数個の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列からなり、かつ、(a)のDNA断片からなるプロモーターと実質的に同一のプロモーターとしての機能を有する塩基配列、
(c)(a)の塩基配列の一部を含み、かつ、(a)のDNA断片からなるプロモーターと実質的に同一のプロモーターとしての機能を有する塩基配列。
本発明において、「プロモーター」とは、RNAポリメラーゼが特異的に結合してmRNAの転写をはじめるDNA上の領域を意味する。なお、プロモーターには、自然界に存在するDNA、遺伝子操作等によって人工的に作成されたDNAが含まれる。また、「プロモーターとしての機能を有する塩基配列」とは、該塩基配列に機能的に連結する塩基配列の転写を誘導する活性がある塩基配列を意味する。
上記(b)及び(c)の配列において、「(a)のDNA断片からなるプロモーターと実質的に同一のプロモーターとしての機能を有する」とは、(a)のDNA断片からなるプロモーターの機能の70%〜130%、好ましくは80%〜120%、さらに好ましくは90%〜110%を示すことを意味する。
また、上記(b)の配列において、「(a)の塩基配列において、1又は数個の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列」とは、欠失、置換又は付加された塩基数が50個以下、好ましくは10個以下、さらに好ましくは1個であることを意味する。かかる塩基配列は、(a)の塩基配列と比較した場合、相同性が50%以上、好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上である。
ユーカリ由来デハイドリン遺伝子プロモーターとしての機能の著しい低下を回避するために、塩基の欠失、置換又は付加は、配列番号1に示す塩基配列の第309番目〜第313番目、第405番目〜第409番目、第411番目〜第415番目の領域(以上、G−ボックスのシス配列領域)、第804番目〜第854番目の領域(シスエレメント配列ATATT領域)には生じていないことが好ましい。
ユーカリ由来HVA遺伝子プロモーターとしての機能の著しい低下を回避する為に、塩基の欠失、置換又は、付加は、配列番号2に示す塩基配列の第1621番目〜第1626番目(Myb配列領域)、第1463番目〜第1468番目、第1616番目〜第1621番目、第1628番目〜第1633番目、第1694番目〜第1699番目(以上、DRE配列領域)、第1456番目〜第1461番目、第1622番目〜第1627番目(以上、ABRE配列領域)には生じていないことが好ましい。
ユーカリ由来RCI遺伝子プロモーターとしての機能の著しい低下を回避する為に、塩基の欠失、置換又は、付加は、配列番号3に示す塩基配列の第1258番目〜第1263番目(Myb配列領域)、第56番目〜第60番目、第61番目〜第65番目、第330番目〜第334番目、第360番目〜第364番目、第369番目〜第373番目、第408番目〜第412番目、第445番目〜第449番目、第523番目〜第527番目(以上、シスエレメント配列ATATT領域)には生じていないことが好ましい。
上記(c)において、「(a)の塩基配列の一部を含み」とは、(a)のDNA断片からなるプロモーターと実質的に同一のプロモーターとしての機能を有する限りにおいて、(a)の塩基配列の一部分を含むものであってよく、その長さとしては30bp以上、好ましくは50bp以上、さらに好ましくは100bp以上である。ただし、この場合、配列番号1に示す塩基配列の第309番目〜第313番目、第405番目〜第409番目、第411番目〜第415番目、第804番目〜第854番目の塩基配列を含むことが好ましい。
配列番号2に示す塩基配列の第1621番目〜第1626番目、第1463番目〜第1468番目、第1616番目〜第1621番目、第1628番目〜第1633番目、第1694番目〜第1699番目、第1456番目〜第1461番目、第1622番目〜第1627番目の塩基配列を含むことが好ましい。
配列番号3に示す塩基配列の第1258番目〜第1263番目、第56番目〜第60番目、第61番目〜第65番目、第330番目〜第334番目、第360番目〜第364番目、第369番目〜第373番目、第408番目〜第412番目、第445番目〜第449番目、第523番目〜第527番目の塩基配列を含むことが好ましい。
本発明の上記の塩基配列は、例えば、以下のようにしてユーカリ植物由来デハイドリン遺伝子、ユーカリ植物由来HVA遺伝子、ユーカリ植物由来RCI遺伝子から得ることができる。なお、実験手法に関しては、例えば、「Molecular Cloning(Sambrookら(1989), Cold Spring Harbor Laboratory Press)」などに基づいて実施することができる。
まず、ユーカリ植物の組織からDNAを抽出し、精製する。DNAの抽出、精製に関しては、特開平8-80191号公報等の方法を用いることができる。なお、ISOPLANTキット(ニッポンジーン社製)などの市販のキットを使用することもできる。
抽出・精製したDNAから、本発明者らが既に単離に成功しているユーカリの根由来の浸透圧ストレス環境下で誘導的に発現するデハイドリン遺伝子、HVA遺伝子、RCI遺伝子をコードするゲノムDNAを得る。該当遺伝子の塩基配列を基に作成したオリゴヌクレオチドプライマーを利用するPCR法(例えば、Inverse-PCR法、アンカーPCR法・TAIL-PCR法)、あるいは該遺伝子のDNA配列をプローブに用いたハイブリダイゼーション法を実施することにより、該当遺伝子上流域のDNA配列を単離して本発明のプロモーターを得ることができる。
また、前記のようにして抽出したユーカリ由来のDNAをλDNA由来のコスミドベクター、TACベクターなどを含む各種クローニングベクターに挿入し、大腸菌を形質転換して得られるゲノムDNAライブラリーについて、本発明者らが既に単離している、ユーカリの根由来のデハイドリン遺伝子cDNAの配列をプローブとしてあるいは、ユーカリゲノムDNAを鋳型にしてPCR法により増幅した配列をプローブとして、スクリーニング(ハイブリダイゼーション技術等)を行い、該当遺伝子と相同なDNA配列が含まれるクローンを単離する。単離されたクローンについて、制限酵素切断地図の作成、塩基配列の決定等を行ってクローン化されたDNAの構造を解明し、該当遺伝子上流域のDNA配列を決定する。この上流域のDNA配列を適当な制限酵素(例えば、SalI)等によって切り出し、必要に応じて他のプラスミドベクター等にサブクローニングする。なお、この上流域のDNA配列には、TATAボックス配列が含まれているのが好ましい。また、大きさとしては、少なくとも数百bp以上のものであることが好ましい。
得られた上記の上流域のDNA配列のプロモーター活性の確認は、以下のようにして行うことができる。例えば、レポーター遺伝子などを含むベクター(例えば、レポーター遺伝子として、大腸菌のβ−グルクロニダーゼ(GUS)が使用されているpBI101ベクター)を用い、該レポーター遺伝子の上流に上記の該当遺伝子上流域のDNA配列を連結するようにサブクローニングする。なお、レポーター遺伝子としては、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子、ルシフェラーゼ遺伝子、グリーンフルオロセインプロテイン遺伝子等の通常当該技術分野において利用されている遺伝子が利用可能である。得られた遺伝子産物について、遺伝子発現を確認する。例えば、上記のpBI101ベクターを用いた場合、基質として5-bromo-4-chloro-3-β-D-glucronic acid(X-gluc)を使用すると、生じる青色の沈澱物(indigotin)によって遺伝子発現を確認することができる。また、基質として4-methyl-umbelliferyl-β-D-glucronide(4MUG)を用いると、生じる蛍光によって遺伝子発現を定量することができる。
上記のようにして得られる本発明のプロモーターの塩基配列には、機能特性として、浸透圧ストレスの変化によって誘導的に遺伝子の発現を制御し、植物の根組織において特異的に遺伝子を発現する幾つかのシスエレメント配列(例えば、DRE(TACCGACAT)、ABRE(PyACGTGGC)、MYCRS(CANNTG)、MYBRS(PyAACPyPu)、rootmotief APOX1 (ATATT)など)を含む。従って、他のプロモーターに本発明のプロモーターに含まれるシスエレメント配列を含む一部分を挿入、連結して、そのプロモーターの機能を改変して利用することも本発明に含まれる。
さらに、本発明のプロモーターDNA断片は、植物の根組織における特異的発現を制御するプロモーターとして機能させることができる。本発明のプロモーターDNA断片にかかる機能を付与するには、プロモーターの前記塩基配列に、植物の根組織に特異的発現に関与する転写因子を認識する塩基配列を結合させることによって達成することができる。それによって、本発明のプロモーターDNA断片は、植物の根組織に特異的発現が制御され得る。具体的には、本発明のプロモーターDNA断片を含む発現ベクターが導入された形質転換植物細胞又は植物体の培養又は栽培環境に該転写因子を投与することによって、目的遺伝子の根組織における発現等を任意に調節することが可能となる。なお、転写因子としては、例えば、核蛋白質、GATAボックス結合蛋白質、I−ボックス結合蛋白質、G−ボックス結合蛋白質等を挙げることができる。
また、本発明のプロモーターに他の発現制御配列、例えば、エンハンサー配列やレプレッサー配列、インスレーター配列などを連結することによって、本発明のプロモーターの機能を改変してもよい。例えば、特定の薬剤が存在する場合に抑制が解除されるレプレッサー配列を本発明のプロモーター上流に連結させ、下流に目的遺伝子を連結した遺伝子を植物に導入し、形質転換植物体を得る。浸透圧ストレス下、かつ特定の薬剤が存在しない場合、この形質転換植物において目的遺伝子の発現が抑制されている。しかしながら、薬剤を添加すると、目的遺伝子が根組織において浸透圧ストレス誘導的に発現する。さらに、浸透圧ストレスを解除した場合に、再度、目的遺伝子の発現を抑制することができる。このように、薬剤の添加と浸透圧ストレスという全く異なった刺激によって目的遺伝子の発現を制御することが可能になる。
本発明において、「発現ベクター」とは、前記プロモーターDNA断片の塩基配列を含むベクターである。これは、ベクターの所定の部分に前記プロモーターDNA断片を結合又は挿入することによって得ることができる。さらに、本発明の発現ベクターには、前記プロモーターDNA断片の塩基配列と、前記プロモーターDNA断片に機能的に連結する遺伝子であって、その発現が該プロモーターDNA断片の制御下にある遺伝子とを含むベクターをも含まれる。このベクターは、例えば、前記プロモーターDNA断片に所望の遺伝子を結合させることによって得ることができる。なお、プロモーターと所望の遺伝子を結合させる方法、また、それらの配列をベクターに挿入する方法は、当該技術分野において用いられている常法によって行うことができる。
プロモーターDNA断片に機能的に連結する遺伝子としては、該プローモーターの制御下で発現可能なものであれば特に限定されないが、浸透圧ストレス誘導的に発現させることに意義のある遺伝子、又は根で特異的に発現させることに意義のある遺伝子が適当であり、具体的には、浸透圧ストレス関連遺伝子(例えば、旱魃耐性遺伝子)、耐病原菌性遺伝子、耐虫性遺伝子、栄養吸収関連遺伝子、産業上有用なタンパク質の遺伝子等が挙げられる。
前記発現ベクターのベクター部分を構成するベクターは、大腸菌で増幅可能なベクター(pUC誘導体等)、大腸菌とアグロバクテリウムの双方で増幅可能なシャトルベクター(pBI101(クロンテック社)等)、植物ウイルス(例えば、カリフラワーモザイクウイルス等)を利用することができ、宿主細胞に応じて選択すればよい。
発現ベクターに本発明のプロモーターの活性があるか否かについては、例えば、アグロバクテリウムを介して植物(シロイヌナズナ、タバコ等)に導入して確認することができる。一例としては、pBI101をベクターとして用いた発現ベクターを、アグロバクテリウム・ツメファシエンスのMP90株にエレクトロポレーション法を用いて導入する。得られた形質転換菌を、常法に従って、シロイヌナズナに感染させる。感染処理したシロヌイナズナから得られた種子を、カナマイシンなどの薬剤を含む培地に播種し、薬剤耐性を示す形質転換植物体を得る。この形質転換植物体について、レポーターGUS遺伝子の発現について調べる。発現ベクターにプロモーター活性が存在する場合は、GUS活性が、植物組織において浸透圧ストレス環境下で特異的に検出されると考えられる。
本発明は、また、前記発現ベクターが導入された形質転換微生物又は形質転換植物細胞を提供する。本発明において、「形質転換微生物」とは、前記発現ベクターを宿主細胞としての微生物に導入して得られた微生物である。宿主微生物としては、例えば、アグロバクテリウムなどが挙げられる。
また、本発明の「形質転換細胞」とは、前記発現ベクターを宿主細胞としての植物由来細胞に導入して得られた形質転換細胞である。宿主植物細胞としては例えば、イネ科植物(イネ、トウモロコシ、コムギ、オオムギ、ライムギ等)、畑作植物(ジャガイモ、タバコ、サトウダイコン、サトウキビ、ナタネ、ダイズ、トマト、ハクサイ、キャベツ、ダイコン、ニンジン、カボチャ、キュウリ、ワタ、パセリ等)、果樹(オレンジ、ブドウ、モモ、ナシ、リンゴ、メロン等)、花卉植物(ラン、キク、ユリ、ヒマワリ、サフラン等)、樹木(ユーカリ、マツ、アカシヤ、ポプラ、スギ、ヒノキ、タケ、イチイ等)の植物細胞が挙げられるが、このうち、多年生であり、その生涯において環境の著しい変化が起こる可能性がある点から特に樹木由来の植物細胞が好ましい。また、植物細胞の組織としては、種子、塊茎、切穂などの繁殖媒体が好ましい。
上記発現ベクターを宿主微生物又は植物細胞中に導入する方法としては、当該技術分野における常法を用いることができるが、例えば、プロトプラスト法(エレクトロポレーション法、マイクロインジェクション法、ポリエチレングリコール法等)、パーティクルガン法、あるいは、形質転換因子としてアグロバクテリウム(Agrobacterium)属菌(例えば、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)等)を用いたT-DNAによる植物細胞の形質転換方法を実施することができる。
なお、プロトプラスト法、パーティクルガン法、形質転換因子としてアグロバクテリウム(Agrobacterium)属菌を用いる方法については、例えば、植物代謝工学ハンドブック(NTS(株)社)に基づいて実施することができる。
また、本発明においては、ベクターとして植物ウイルス(カリフラワーモザイクウイルス等)を用いることによって形質転換植物細胞を得ることができる。すなわち、まず、植物ウイルスゲノムを大腸菌由来のベクターなどに挿入して組換え体を調製した後、植物ウイルスゲノム中に、導入する遺伝子を挿入する。このように調製された植物ウイルスゲノムを制限酵素によって該組換え体から切り出し、植物細胞に接種することによって、これらの遺伝子を導入することができる。なお、方法の詳細については、Hohnらの方法(Molecular Biology of Plant Tumors(Academic Press、New York)1982、pp549)、米国特許第4,407,956号明細書等を参考にすることができる。
また、本発明は、前記形質転換植物細胞を含む形質転換植物体を提供する。本発明の「形質転換植物体」とは、前記形質転換植物細胞を有する植物体であれば特に制限されないが、例えば、前記形質転換細胞から再生された形質転換植物体が挙げられる。形質転換植物細胞から植物体を再生する方法は、例えば、ユーカリでは土肥らの方法(特願平11-127025号公報)、イネではFujimuraらの方法(Fujimuraら(1995), Plant Tissue Culture Lett., vol.2:p74-)、トウモロコシではShillitoらの方法(Shillitoら(1989), Bio/Technology, vol.7:p581-)、ジャガイモではVisserらの方法(Visserら(1989), Theor. Appl. Genet., vol.78:p589-)、シロイヌナズナではAkamaらの方法(Akamaら(1992), Plant Cell Rep., vol.12:p7-)を参照することができる。また、本発明の形質転換植物体には、該形質転換植物体から得られる種子、及び該種子から得られる植物体をも含む。
本発明の形質転換植物体から種子を得る方法としては、例えば、形質転換植物体を適当な培地において発根させ、その発根体を水分含有の土を入れたポットに移植する。適当な栽培条件下で生育させ、最終的に種子を形成させて、該種子を得る。また、種子から植物体を得る方法としては、例えば、前記のようにして得られた形質転換植物体由来の種子を、水分含有の土に播種し、適当な栽培条件下で生育させることにより植物体を得ることができる。
本発明は、また、前記形質転換微生物若しくは細胞、又は形質転換体の培養又は栽培条件下での浸透圧ストレスを調節することによって、前記プロモーターDNA断片の制御下にある遺伝子の発現を制御する方法を提供する。本発明において「発現を制御する」とは、発現を増加させる、発現を低下させる、発現を停止させること等を意味する。また、「浸透圧ストレスを調節する」とは、培養(又は栽培)基に塩化ナトリウムを添加する方法、培養又は栽培温度を調節する方法、培養又は栽培湿度を調節する方法等が挙げられる。例えば、浸透圧ストレスを高める方法には、形質転換細胞の培養においては、最終濃度が50〜600mMになるように塩化ナトリウムを培地に添加するか、15℃以下で培養する等の低温処理がある。また、形質転換植物体においては、一時的に乾燥状態に暴露することが挙げられる。
本発明のかかる遺伝子発現の制御方法を利用することによって、例えば、浸透圧ストレスを与えない限り目的遺伝子を発現させずに細胞を生育させることができ、浸透圧ストレスを与えれば目的遺伝子を発現させて所望の遺伝子産物を生産することが可能となる。
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明のプロモーターは、以下のようにして製造し、利用した。なお、実験手法に関しては、特に記載のない限り、「Molecular Cloning(Sambrookら(1989), Cold Spring Harbor Laboratory Press)」等の当該技術分野において公知の実験書に基づいて実施した。
(実施例1)ユーカリからの浸透圧ストレス応答性cDNA遺伝子の取得
(1)根totalRNAの抽出
2ヶ月間生育したユーカリ・カマルドレンシス(Eucalyptus camaldulensis)幼植物体を水耕培養槽に移植した。水耕栽培はHoagland-Arnonらの培養液を用いて行った。水耕培養液の組成は、5.0mM KNO3、3.0mM Ca(NO3)2、2.0mM NH4H2PO4、2.0mM MgSO4、47μM H3BO3、9.0μM MnCl2、36μM FeSO4、3.1μM ZnSO4、0.16μM CuSO4、75nM (NH4)6Mo7O24であり、脱塩水を用いて調製し、pHは毎日0.1MのNaOHあるいはKOHで6.0に調整した。更に、1週間毎に培養液すべてを交換した。ストレス処理を行う場合は、この培養液に栽培1日目以降4日目まで最終濃度が順次50,100,200,300mMになるようにNaClを添加した培養液を浸透圧ストレス処理区、NaCl無添加培養液を非浸透圧ストレス処理区とした。4日目に根10gを小片にし、液体窒素中で磨砕した。これを50ml遠心チューブ(NUNC社製)に移し、ガラスビーズを10g加えた後、ホモジナイザーで5分間摩砕した。これにジチオスレイトール(1mg/ml)を含むメタノール溶液を用いて上清に着色が認められなくなるまで(3回程度)摩砕試料の溶媒抽出を繰り返した。抽出終了後、試料を凍結乾燥させた。この凍結乾燥試料を25mlのpH9 100mM CHES 緩衝液(使用直前に20ミリグラムのジチオスレイトール、10mMバナジルリボヌクレオシド化合物溶液を添加)と混合し65℃で30分間保温した。保温終了後の試料溶液中に、5M塩化ナトリウム溶液及び10%CTAB溶液を添加した。この際、添加後の試料溶液中における塩化ナトリウム濃度は1.4M、CTAB濃度は1%(w/v)となるようにした。試料溶液をよく混合した後65℃で10分間保温した後、等量のクロロホルム:イソアミルアルコール(=24:1)溶液を添加し、緩やかに、かつ充分に混合した。混合後、遠心操作により上清を回収した。上清に対し、55%容のイソプロパノールを添加し、1時間氷冷した。遠心操作により沈殿を得、これを水に溶解させた後、フェノール抽出を行った。フェノール抽出後の上清に10%容の3M酢酸ナトリウム溶液及び60%容のイソプロパノールを添加し、よく混合した後、遠心操作により沈殿を回収した。沈殿を滅菌水を用いて溶解した後、終濃度3Mとなるように12M 塩化リチウム溶液を添加し、よく混合した後、1時間氷冷した。遠心操作によりRNA沈殿を回収し、洗浄、乾燥を経て、最終的に水100μlに溶解させ、totalRNA画分を得た。この結果、浸透圧ストレス処理区の根、非浸透圧ストレス処理区の根から、それぞれ610ugのtotalRNAを得ることが出来た。
(2)totalRNA画分からのストレス応答性mRNAのスクリーニング
totalRNA画分からのmRNAの精製はPolyATtract mRNA Isolation SystemIII &IVキット(Cat.# Z5300& Z5310 プロメガ社製 USA)を用いた。この結果、610μgのtotalRNAから浸透圧ストレス処理区サンプルからは1.3μg、非浸透圧ストレス処理区サンプルからは1.8μgのmRNAを得た。これら二つのサンプルをPCR-Select cDNA Subtraction Kit(Cat.# K1804-1 CLONTECH社製 USA)を用いて、それぞれcDNAに変換した後に、浸透圧ストレス処理区の根に特異的に発現しているcDNAであるSUB53を得た。続いてこのSUB53断片を挿入したpCR2.1-TOPOベクターを導入したクローンをTOPO TA Cloning Kit(Cat.# K4560-01 Invitrogen社製 USA)を用いて得た。挿入断片のDNAシークエンスはDNA sequencer(model 4000L;LI-COR,Inc.社製 USA)により、Thermo Sequenase Cycle Sequencing kit(Cat.#APUS-78500アマシャムファルマシアバイオテク社製 USA)を用いて行った。
その結果、配列番号4で示される325bpのSUB53の塩基配列を決定した。さらに、合成オリゴヌクレオチドプライマー5'-ATCAGTCCTTCTCCCTTGGCC-3'(SUB53Fプライマー、配列番号6)及び5'-CCAGGGAAGGGGAAGTAGACA-3'(SUB53Rプライマー、配列番号7)を作成し、このSUB53を鋳型にしてプローブ53(配列番号8)を作成した。さらに、実施例1と同様の方法により、ストレスを負荷したサンプルと負荷してないサンプルの葉、茎、根からそれぞれmRNAを調製しノーザン解析を行ったところ、SUB53に対応するmRNAはストレスを負荷したときの根茎部、特に根組織に強く発現していることが確認できた(図1参照)。プローブDNAの標識とハイブリダイゼーションの検出は、DIG Nucleic Acid Detection Kit(ロシュ・ダイアグノスティックス社)の方法に従い、ハイブリダイゼーションと洗浄は55℃で実施した。
(実施例2)ストレス応答性cDNA遺伝子の該当ゲノムDNAの取得
(1)ゲノムDNAの抽出
ユーカリ(Eucalyptus camaldulensis)の凍結した葉約5gを液体窒素中で乳棒乳鉢を用いて粉砕し、25mlのcold extraction緩衝液(50mM Tris pH8.0、35mMソルビトール、5mM EDTA、10%(w/v)PEG4000、5%(w/v)ポリビニルピロリドン、2%(w/v)メルカプトエタノール、0.1%(w/v)スペルミン、0.1%(w/v)スペルミジン、0.1%(w/v)ウシ血清アルブミン)を添加した後、ホモジナイザーで2分間摩砕した。この溶液を2重にしたガーゼにより濾過した後、4℃、10分間20380Gという条件で遠心操作により沈殿を得た。これを5mlのice cold wash緩衝液(50mM Tris pH8.0、35mMソルビトール、25mM EDTA、4%(w/v)メルカプトエタノール)に溶解した後に、600μlの10%サルコシル、800μlの5M NaCl、650μlの8.6% CTAB-0.7M NaClを順次添加し、試料溶液をよく混合した後、65℃で20分間保温した。この溶液に10mlのクロロホルム:イソアミルアルコール(=24:1)溶液を添加し、緩やかに、かつ充分に混合した。混合後、遠心操作により上清を回収した。上清に対し、67%容のイソプロパノールを添加し、1時間氷冷した。遠心操作により沈殿を得、これを70%エタノールでリンスした後、室温10分間20380Gという条件で遠心して生じたゲノムDNA沈澱を回収した。風乾したDNAを1mlのTEバッファーに溶解し、ゲノムDNA試料として用いた。この結果、157μgのゲノムDNAを得た。
(2)ゲノムDNAライブラリーの構築
(1)で得たユーカリのゲノムDNAを、制限酵素Sau3AIを用いて部分分解し、塩化ナトリウム密度勾配超遠心法により、5〜10kb長に分解されたゲノムDNA断片を回収し、制限酵素BamHIで切断したλDASH IIクローニングベクターに連結した。これをGigapack Gold III(Stratagene社)でpackaging反応を行わせ、ファージ粒子を形成させた。こうして作成されたゲノムDNAライブラリーは、1×107の独立のクローンからなるものであった。
(3)ゲノムDNAライブラリーのスクリーニング
ゲノムDNAライブラリーのスクリーニングは、プラークハイブリダイゼーション法により実施した。プローブDNAには、実施例1で得たプローブ53を用いた。プローブDNAの標識とハイブリダイゼーションの検出は、DIG Nucleic Acid Detection Kit(ロシュ・ダイアグノスティックス社)の方法に従い、ハイブリダイゼーションと洗浄は55℃で実施した。スクリーニングの結果、1つの陽性プラークが単離された。単離されたプラークを基に精製した組換えファージDNAの制限酵素切断点地図を作成し、構造解析を行った結果、約6.0kb長のユーカリゲノムDNAが組換えファージDNAに挿入されていることが判明した。更に、挿入断片を数種の制限酵素によって切断し、プラスミドベクターにサブクロ−ニングして塩基配列を解析することにより、SUB53のコード域全配列に対応するゲノムDNA配列が見出された。本発明者らの解析により、SUB53は、アミノ酸配列の比較においてシロイヌナズナデハイドリンと61%の相同性を有していた。なお、デハイドリンは浸透圧ストレス下で根から誘導的に分泌されるタンパク質であることが知られている(植物の環境応答(秀潤社)p81-85等)。鋭意詳細なる解析を継続した結果、SUB53遺伝子の転写域の全てならびに転写を制御すると考えられる上流域の配列を包含する全遺伝子構造3030bpの塩基配列の解明に至った。この塩基配列を配列番号1に示す。
(4)全長cDNAの取得
単離した遺伝子のプロモーター配列を用いてその遺伝子の発現解析を行う場合、元来の遺伝子の転写開始点にできるだけ近い位置に活性測定が容易に実施できるレポーター遺伝子を連結した融合遺伝子を作製することが望ましい。そこでデハイドリンcDNA遺伝子の5'末端を単離し、転写開始点を決定した。
実施例1と同様の方法で、浸透圧ストレス下で発現するmRNAを得た後、SMART cDNA Library Construction Kit(Cat.# PT3000-1 CLONTECH社製 USA)を用いてcDNAライブラリーを作成した。こうして作成されたcDNAライブラリーは2.3×105の独立したクローンであった。
SUB53の5'末端を含むcDNA配列をPCRにより増幅取得した。実施例1で得たSUB53の内部配列である合成オリゴヌクレオチドプライマー5'-CCAGGGAAGGGGAAGTAGACA-3'(SUB53Rプライマー、配列番号9)を作成し、このプライマーと、SMART cDNA Library Construction Kitで用いているλtriplEx2ベクター上のλ5'LDinsertプライマー5'-CTCGGGAAGCGCGCCATTGTGTTGGT-3'(配列番号10)を用いて、先述のSUB53を含むcDNAライブラリーを鋳型にして、PCR反応を耐熱性ポリメラーゼZ-Taq(タカラ社製)にて実施した。反応液をアガロースゲル電気泳動に供し、目的の増幅DNAをゲルより切り出し精製した。続いてこの断片を挿入したpCR2.1-TOPOベクターを導入したクローンをTOPO TA Cloning Kit(Cat.# K4560-01 Invitrogen社製 USA)を用いて得た。挿入断片のDNAシークエンスはDNA sequencer(model 4000L;LI-COR,Inc.社製 USA)により、Thermo Sequenase Cycle Sequencing kit(Cat.#APUS-78500アマシャムファルマシアバイオテク社製 USA)を用いて行った。その結果、配列番号5で示される約637bpの全長デハイドリンcDNA遺伝子(Edhn1)の塩基配列を決定した。
配列番号1に示す配列中には、Edhn1との比較により、以下に示すような特徴的な配列を確認することができた。Edhn1遺伝子がコードするデハイドリンの翻訳開始コドンと考えられるATG配列(配列番号1の1044番目から1046番目までの配列)、1個のイントロン挿入により2個に分断されたエキソンが判明した。更には、Edhn1の5'末端が配列番号1の951番目に相当しており、それより上流には配列番号1の907番目から910番目にはTATA boxが存在することから、完全長のコード配列が取得解明されていることが再確認された。従って、遺伝子発現を制御するプロモーターは、Edhn1の5'末端である配列番号1の1044番目より上流に存在する1043bpであることが明確となり、本発明のプロモーターの構造を特定し、単離成功に至った。
このほかに、モデル植物であるシロイヌナズナにおいては、浸透圧ストレスで誘導される遺伝子群のプロモーターに共通に含まれるシスエレメントが知られている。これまでに浸透圧ストレス応答時の転写制御に重要なシス配列として、dehydration responsive element(DRE)、や浸透圧ストレス誘導的に生合成される植物ホルモンのアブシジン酸(ABA)responsive element(ABRE) (Busk and Pages, 1998で概説されている)などの共通したシス配列が報告されている。ABREの1つのクラスには、PyACGTGGC(PyはC又はTを示す)コンセンサス配列を共に有する要素を含め、これは「G−ボックス」として知られている大きなグループのシス−要素のサブセットであると考えることができる (Menkens et al., 1995)。本発明におけるプロモーターにも、このシス配列が、翻訳開始コドンの上流189-240bp(配列番号1の804番目から854番目まで)に少なくとも2箇所存在した。
更に、土壌細菌Agrobacterium rhizogenesのrolD遺伝子プロモーターにおいて見出された根特異的発現をもたらすシスエレメント配列ATATT(Elmayan & Tepfer(1995), Transgenic Res., vol.4:p388-)がEdhn1のプロモーターには3箇所(配列番号1の309番目から313番目まで、405番目から409番目まで、411番目から415番目まで)含まれていた。これらシスエレメント配列がEdhn1プロモーターの根における発現の制御を担っている可能性が考えられる。
以上の結果から、単離したプロモーターがその機能において十分な活性を有することが確認された。
(実施例3)Edhn1プロモーター遺伝子を導入した形質転換シロイヌナズナの作成
(1)単離プロモーターを挿入した発現ベクターの作成
発現ベクターの作成配列番号1に示すEdhn1遺伝子のプロモーターならびにEdhn1をコードする全配列3030bpをPCRにより増幅取得した。合成オリゴヌクレオチドプライマー5'-TTCAAAAGAAGGGAGAAAGAAGCGG-3'(Edhn1Fプライマー、配列番号11)及び5'-TATTTAAAACTGCAAAGGATCTCAG-3'(Edhn1Rプライマー、配列番号12)を作成し、これらプライマーを用いて、上述のEdhn1遺伝子を含むゲノムDNAクローンを鋳型とするPCR反応を耐熱性DNAポリメラーゼZ-TaqTM(タカラ社)にて実施した。反応液をアガロースゲル電気泳動に供し、目的の増幅DNAをゲルより切り出し精製した。この増幅DNAの末端を平滑化ならびにリン酸化処理を施した後に、制限酵素SmaIでの切断ならびにアルカリフォスファターゼ処理したpBI101.3(クロンテック社)と連結し、大腸菌DH5α株を形質転換した。コロニーハイブリダイゼーション法により、上流配列をインサートとして含む組換えプラスミドを保有するクローン3個を選別取得した。これらクローンよりプラスミドDNAを調製し、インサート内部の塩基配列を解析することにより、Edhn1遺伝子の全配列が誤りなく挿入されていることが確認されたクローン1個を選択し、発現ベクターとした。
(2) Edhn1遺伝子を導入した形質転換シロイヌナズナ植物の作成
実施例3(1)で作成したEdhn1遺伝子の全配列を含む発現ベクターをアグロバクテリウム・ツメファシエンス菌MP90株にエレクトロポレーション法を用いて移行させた。10%グリセロール溶液に懸濁したアグロバクテリウム・ツメファシエンスMP90株菌体と発現ベクターDNAを混合し、1mm幅のキュベット電極中で、25μF・600Ω・1.8kV設定にて電気パルスを印可した後、25μg/mlのカナマイシンと50μg/mlのリファンピシンを添加したLB寒天培地(1%バクトトリプトン,0.5%酵母抽出物,0.5%塩化ナトリウム,1.2%バクトアガー)上で、28℃,2日間培養し、pBI101.3ベクター上のカナマイシン耐性遺伝子に起因するカナマイシン耐性を示す菌体のコロニーを選抜した。次いで、この発現ベクターを有するアグロバクテリウム・ツメファシエンス菌を50μg/mlのリファンピシンと25μg/mlのカナマイシンを添加したLB液体培地(1%バクトトリプトン,0.5%酵母抽出物,0.5%塩化ナトリウム)で、28℃,16時間培養した培養液を用意した。培養液を遠心してアグロバクテリウム・ツメファシエンス菌の菌体を回収し、感染用培地(1/2 B5培地、1%シュークロース、1/1000ハイポネックス、0.044μMベンジルアミノプリン、0.02% Tween20、pH5.7)でアグロバクテリウム・ツメファシエンス菌体をOD600=1になるように再懸濁した。
シロイヌナズナの種子を500倍希釈したハイポネックスで湿らせたロックウールに播種し、18℃、24時間明期の条件で4週間栽培した。花茎がほぼ出そろった時点で最初の花茎の先端部を切除し、裏返した状態でアグロバクテリウム・ツメファシエンス菌の懸濁液に漬けこんだ後、18℃、2日間暗所で共培養して感染させた。その後、18℃、24時間明期の条件で4週間栽培し、採種した。
採種した種子は、除菌のために70%エタノールで2分間、2%次亜塩素酸、0.05%Tween20で、6分間攪拌し、その後、滅菌水で5回振とう洗浄した。この種子を滅菌したスクリーニング用培地(1/2 B5培地、1%シュークロース、1/1000ハイポネックス、0.8%寒天、50μg/mlカナマイシン、250μg/mlクラフォラン、pH5.7)に播種した。7日後、抗生物質耐性のある形質転換シロイヌナズナ植物体を得た。
(3)導入Edhn1遺伝子の誘導発現性の評価
形質転換シロイヌナズナ植物体を塩浸透圧ストレス処理区、非浸透圧ストレス処理区のそれぞれに移植し、6日間の水耕栽培を行なった後、根組織を採取した。それぞれの処理区から採取した根の切片を試料にして、導入遺伝子の発現を調査した。各々の根試料からRNeasy Plant Kit(キアゲン社)を用いて抽出した全RNAをOligotexTM-dT30 mRNA purification kit(タカラ社)によって精製し、mRNAを調製した。次いでmRNA各1μgをゲル電気泳動に供し、ハイブリダイゼーション用メンブレンにブロッティングして、ノーザンハイブリダイゼーション法により遺伝子転写物の検出を実施した。プローブDNAには、実施例1で得たプローブ53を用いた。プローブDNAの標識とハイブリダイゼーションの検出は、DIG Nucleic Acid Detection Kit(ロシュ・ダイアグノスティックス社)の方法に従い、ハイブリダイゼーションと洗浄は55℃で実施した。その結果、非浸透圧ストレス処理区で栽培した形質転換植物体の根由来試料には、遺伝子転写物の強いシグナルが検出されたのに対して、浸透圧ストレス処理区で栽培した形質転換植物体の根由来試料には、シグナルがほとんど認められなかった。このことは、浸透圧ストレス環境下の根において、導入したEdhn1遺伝子が誘導的に発現していることを示しており、単離したプロモーターが所与の遺伝子発現制御をもたらすに機能的に十分であることが裏付けられた。
(実施例4)プロモーター活性の解析
(1)Edhn1プロモーター遺伝子−GUSキメラ遺伝子の作成
上記のEdhn1遺伝子の翻訳開始コドンより上流の配列907bp(配列番号1の1番目から907番目)のみをPCRにより増幅取得するために、合成オリゴヌクレオチドプライマー5'-TTCAAAAGAAGGGAGAAAGAAGCGG-3'(Edhn1Fプライマー、配列番号13)及び5'-GGGAGCCCCGCAAGGCAGCGGGAG-3'(Edhn1R2プライマー、配列番号14)を作成した。これらプライマーを用いて、上述のEdhn1プロモーター遺伝子を含むゲノムDNAクローンを鋳型とするPCR反応を耐熱性DNAポリメラーゼZ-TaqTM(タカラ社)にて実施して、目的の上流配列DNAを増幅し、アガロースゲル電気泳動後、増幅DNAをゲルより切り出し精製した。この増幅DNAの末端を平滑化ならびにリン酸化処理を施した後に、制限酵素SmaIでの切断ならびにアルカリフォスファターゼ処理をしたpBI101.3(クロンテック社)と連結し、大腸菌DH5α株を形質転換した。コロニーハイブリダイゼーション法により、上流配列をインサートとして含む組換えプラスミドを保有するクローン5個を選別取得した。これらクローンよりプラスミドDNAを調製し、インサート内部ならびに挿入領域周辺の塩基配列を解析することにより、Edhn1プロモーターがGUSコード配列に対して順方向に挿入され、かつ、GUSコード配列の読み枠が翻訳開始コドンから連続する、いわゆるtranslational fusionの形になっていることが確認されたキメラ遺伝子クローン1個を選択し、発現ベクターとした。
(2)キメラ遺伝子の植物体への導入及び解析
実施例4(1)で作成したキメラ遺伝子を含む発現ベクターをアグロバクテリウム・ツメファシエンス菌MP90株に移行させ、実施例3(2)に記載した方法により、シロイヌナズナ植物に導入した。
(3)GUS発現解析によるプロモーター活性の評価
形質転換植物体を浸透圧ストレス処理区、非浸透圧ストレス処理区のそれぞれに移植し、16日間の水耕栽培を行った後、根組織を採取した。それぞれの処理区から採取した根の切片を固定液(0.3%ホルムアルデヒド、10mM MES(pH5.6)、0.3M マニトール)に浸漬し、真空ポンプで1分間吸引処理後、室温で1時間放置した。切片を50mMリン酸緩衝液(pH7.0)で数回洗浄し、1mMのX-gluc(5-bromo-4-chloro-3-indolyl-β-D-glucronic acid)を含む50mMリン酸緩衝液(pH7.0)に浸漬し、真空ポンプで1分間吸引処理後、37℃で一晩インキュベートした。その結果、非浸透圧ストレス処理区で栽培した形質転換植物体の根全体にX-glucの分解によって生ずる青色着色細胞が観察された。浸透圧ストレス処理区で栽培した形質転換植物体の根では、比較的弱い青色着色が認められた。この結果により、単離したプロモーターが所与の様式で目的遺伝子の発現制御をもたらすに機能的に十分であることが実証された。
(実施例5)Edhn1プロモーターを導入した形質転換ユーカリ植物の作成
〈供試植物〉ユーカリ属植物としてユーカリ・カマルドレンシス(Eucalyptus camaldulensis)を使用した。
(1)早生分枝の作出
屋外に生育している5年生のユーカリ・カマルドレンシスの茎頂を含む組織を70%アルコールで30秒、10倍に希釈したアンチホルミンで1分間殺菌した後、更に滅菌水よる洗浄を3回行い、ピンセットとナイフを用いて無菌的に茎頂を含む組織を切り出した。得られた茎頂を含む組織をB5基本培地に対して1%ショ糖を含有する液体培地に移植し、竪型回転培養にて早生分枝を誘導し、これを実験材料とした。
(2)早生分枝の感染誘導処理
安定的に増殖する早生分枝の茎頂を含む組織片を20〜50mmの長さにナイフで切り取り、B5基本培地に対して0.02mg/l NAA、1%ショ糖と0.2%ゲランガムを含有する感染誘導培地に植え付ける。培養は遮光条件下、温度26〜28℃の条件で7〜14日間培養した。
(3)アグロバクテリウム菌の調製
アグロバクテリウム菌は、そのTiプラスミドを無毒化したEHA101株〔Hood et al. J. Bacteriology 168:1291-1301(1986)〕を使用した。選抜マーカー遺伝子となるハイグロマイシン抵抗性遺伝子とカナマイシン抵抗性遺伝子を有し、更に導入遺伝子としてヒマのカタラーゼ遺伝子の第1イントロンを含むβ−グルクロニダーゼ(イントロンGUS)遺伝子の上流に本発明で得られたEdhn1プロモーターを接続した遺伝子配列をT-DNA領域に有するバイナリーベクターpIG121-Hm〔中村ら、植物バイオテクノロジーII、pp.123-132、現代化学増刊、(1991)〕をアグロバクテリウム菌に形質転換して使用した。上記のイントロンGUS遺伝子を保有するアグロバクテリウム菌EHA101/pIG121-Hmをカナマイシンを50mg/l、ハイグロマイシンを50mg/lの濃度で含有するLB液体培地にて、一晩30℃で培養して調製した。
(4)アグロバクテリウム菌のユーカリ属植物組織への感染
感染誘導処理した早生分枝をナイフで2〜10mmの大きさに切断した後、前記の方法で調製したアグロバクテリウム菌EHA101/pIG121-Hmの培養液に浸けた。早生分枝に付着した培養液を濾紙で拭き取った後、早生分枝をB5基本培地に2mg/l NAA、0.2 mg/l 4-PU、10mMガラクトース、1μM アセトシリンゴン、3%ショ糖と0.2 %ゲランガムを含有する感染培地に置床し、26℃の温度、遮光条件下で2日間静置培養して、アグロバクテリウム菌を感染させた。
(5)アグロバクテリウム菌の除菌
アグロバクテリウム菌を感染させた組織片のアグロバクテリウム菌を殺菌するために、B5基本培地に対して2 mg/l NAA、0.2 mg/l の4-PUあるいは4CPPU、3%ショ糖、更にアグロバクテリウム菌を殺菌するための抗生物質である500 mg/lカルベニシリンを含有する除菌培地に移植した。これを26℃の温度、遮光条件下、2rpmの回転速度で7日間竪型回転培養して、アグロバクテリウム菌の除菌を行った。
(6)形質転換された苗条原基の形成
アグロバクテリウム菌を完全に除菌した組織片を、B5基本培地に 0.02 mg/l NAA、0.2 mg/l 4-PU、3%ショ糖、及び抗生物質ハイグロマイシンを10mg/lで含有する液体培地に、1本の試験管に対し5片の割合で植え付けた。26℃の温度、遮光条件下で7日間、更に下辺が2,000ルクス、上辺が20,000ルクスの光照射下、2rpmの回転速度で1か月間竪型回転培養することによって、組織片中に黄白色で2〜3mmの形質転換したカルス形成が認められた。得られたカルスを14〜40日間隔で新鮮培地へ継代して培養を継続した。光照射下で竪型回転培養をはじめてから40〜120日で形質転換された苗条原基が得られた。
(7)形質転換植物の再生
回転培養して得られた形質転換された苗条原基より、形質転換された苗条を再生させるためにB5基本培地に0.02 mg/l NAA、0.2 mg/l BA、1%ショ糖、0.2%ゲランガム及び 10 mg/l ハイグロマイシンを含有する苗化培地に5mm角程度の大きさにした苗条原基を移植した。そして、25℃の温度、照度4,000ルクス、16時間光照射下で培養した結果、移植後1か月後には苗条の再生が認められた。得られた苗条はB5基本培地に 0.01 mg/l NAA、1%ショ糖、0.35%寒天及び10mg/l ハイグロマイシンを含有する発根培地に移植することによって、1か月後には発根が認められ完全な植物体となった。すなわち、本方法の場合、組織片への感染から形質転換植物の作出まで5〜12か月を要した。
(8)形質転換植物における導入遺伝子の存在確認
抗生物質による選抜によって得られてきた4個体について、PCR法を用いて導入遺伝子の存在を確認したところ、全個体において導入遺伝子が確認された。このことより本方法によるユーカリ属植物の形質転換が有効であることが証明された。
(9)GUS発現解析によるプロモーター活性の評価
PCR法によって導入遺伝子の存在が確認された個体を浸透圧ストレス処理区、非浸透圧ストレス処理区のそれぞれに移植し、16日間の水耕栽培を行なった後、根組織を採取した。GUS遺伝子の発現を組織染色〔Kosugi et al. Plant Science 70:133-140(1990)〕によって調べたところ、浸透圧ストレス処理区に移植した形質転換植物の根全体において強いGUS遺伝子の発現が確認された。
(実施例6)ユーカリ形質転換植物の再生
屋外に生育している5年生のユーカリ・カマルドレンシスの茎頂を含む組織を実施例5と同様に殺菌処理を行い、無菌化した茎頂を含む組織を切り出した。得られた茎頂を含む組織をB5基本培地に、NAAを0.02mg/l及びBAを0.02mg/lの濃度で加え、ショ糖1%、ゲランガム0.2%を含有する固形培地に植え付け、照度5,000ルクス、温度26℃の条件で30日間培養することによって多芽体を得た。得られた多芽体に対して実施例1と同様の感染培地を用いてアグロバクテリウム菌EHA101/pIG121-Hmを感染させた後、実施例5と同様の方法によって形質転換カルスの選抜を行った。ここで得られた形質転換カルスは実施例5と同様の方法によって、形質転換植物の再生ができ、また導入したイントロンGUS遺伝子の発現が検出できた。
(実施例7)浸透圧ストレス応答性ESTクローンからのプロモーター領域の取得
(1)根全RNAの抽出
実施例1(1)と同様の方法で行った。
(2)mRNAの抽出及びcDNAライブラリーの構築
実施例2(4)と同様の方法で行った。
(3)浸透圧ストレス応答性EST解析からのクローンの取得
得られたcDNAクローン5670個のシーケンスを行い、Genbank、EMBL、DDJB等のデータベースを用いて、相同性検索を行った結果、発現頻度が高く、かつシロイヌナズナAtHVA22e(Chen et al. Plant Mol Biol 2002 49(6):633-644)と、また、シロイヌナズナRCI2(Nylander et al. Plant Mol Biol 2001 45(3):341-352)と高い相同性を示したクローンをそれぞれ特定した。
(4)ファージゲノムDNAライブラリーのスクリーニング
実施例2(3)と同様の方法で行った。EST情報を基に合成オリゴヌクレオチドプライマー5’-ATGAACTGCATCGACATCATCCTCGCCATC-3’(EUC-RCI2-FWプライマー、配列番号15)及び5’-CCAAAGAGCGTGAGCACCAAACAGATCCAG-3’(EUC-RCI2-RVプライマー、配列番号16)を作成し、ユーカリゲノムDNAを鋳型に用いてPCR法により増幅したDNA断片をプローブとした。同様に合成オリゴヌクレオチドプライマー5’-CGCACGAGTCTCTCGTACAGGAAAGCCGCG-3’(EUC-HVA22e-FWプライマ−、配列番号17)及び5’-CCGGTCCGACAAAGCAAATGGGTCATCTGT-3’(EUC-HVA22e-RVプライマー、配列番号18)を作成し、ユーカリゲノムDNAを用いてPCR法により増幅したDNA断片をプローブとした。
ハイブリダイゼーションと洗浄は50℃で行い、約30万ユーカリゲノムクローンからのスクリーニングを行い、それぞれ1個の陽性クローンを絞り込み、単離した。単離したゲノムクローンを精製し、組換えファージDNAの制限酵素切断点地図を作成した。次にゲノム断片を数種の制限酵素によって切断し、プラスミドベクター(pBlueScriptII SK、 STRATAGENE社)にサブクローニングして塩基配列を解析した。その結果、コーディング配列におけるアミノ酸配列の比較において、これらのユーカリゲノムクローンは、シロイヌナズナAtHVA22eと約71%、シロイヌナズナRCI2と約77%の相同性を示した。前者のクローンをユーカリHVA遺伝子(EucHVA)、後者のクローンをユーカリRCI遺伝子(EucRCI)と命名した。これら2つの遺伝子の塩基配列を配列番号2(EucHVA)、及び配列番号3(EucRCI)に示す。
(5)該当遺伝子のプロモーター領域の単離
相同性検索の結果をもとに、EucHVA遺伝子は配列番号2の1番目から1833番目まで、EucRCI遺伝子は配列番号3の1番目から1463番目までを解析した。その特徴を下記に示す。
EucHVAにおいて、浸透圧ストレス応答時の転写制御において重要な役割を担っていると報告されているMyb配列(CACGTG)が少なくとも1ヵ所(配列番号2の1621番目から1626番目まで)、DRE配列(G/ACCGAC)が少なくとも4ヵ所(配列番号2の1463番目から1468番目まで、1616番目から1621番目まで、1628番目から1633番目まで、1694番目から1699番目まで)、ABRE配列(ACGTGG/TC)が少なくとも2ヵ所(配列番号2の1456番目から1461番目までと1622番目から1627番目まで)に存在していた。
一方、EucRCIにおいてもMyb配列(CACGTG)が少なくとも1ヵ所(配列番号3の1258番目から1263番目まで)存在していた。さらに、根特異的発現をもたらすシス配列(ATATT)が少なくとも8箇所(配列番号3の56番目から60番目まで、61番目から65番目まで、330番目から334番目まで、360番目から364番目まで、369番目から373番目まで、408番目から412番目まで、445番目から449番目まで、523番目から527番目まで)存在しており、Edhn1同様にEucRCIにおいても根における発現の制御を担っている可能性が考えられる。以上のことにより上記領域がEucHVA、EucRCIの発現に関わる各々のプロモーター領域と考えられる。
(実施例8)プロモーター遺伝子−GUSキメラ遺伝子の作成
(1)EucHVAプロモーター遺伝子+GUSキメラ遺伝子の作成
実施例4(1)と同様の方法で行った。EucHVA遺伝子の上流の1690bpをPCRで増幅取得する為に、合成オリゴヌクレオチドプライマー5’-GCTCTAGACGCGGAATTAACCCTCAC-3’(EUC-HVA22e-1プライマー、配列番号19)及び5’-AGAAGGCCACGGGCGGGGGGAC-3’(EUC-HVA22e-2、配列番号20)を作成した。これらのプライマーを用いて、EucHVA遺伝子を含むゲノムクローンを鋳型に用いてPCRを行った。増幅されたDNAを制限酵素XbaIで処理した後、アガロースゲル電気泳動により分離し、さらに、増幅断片をゲルから切り出し精製した。一方、pBI101.3(クロンテック社)についても同様に制限酵素XbaIで処理し、分離、精製した後、脱リン酸化処理を行った。これに精製したプロモーターDNA断片を導入し、大腸菌DH10Bを形質転換した。複数のクローンのプラスミドDNAを調製し、インサート内部のならびに挿入領域周辺の塩基配列を解析することにより、EucHVAプロモーターがGUSコード配列に対して順方向に挿入され、かつGUSコード配列の読み枠が翻訳開始コドンか連続するキメラ遺伝子クローンを1個選択し、発現ベクターとした。
(2)EucRCIプロモーター遺伝子+GUSキメラ遺伝子の作成
実施例4(1)と同様の方法で行った。EucRCI遺伝子の上流の1439bpをPCRで増幅取得する為に、合成オリゴヌクレオチドプライマー5’-GCGTCGACCTAGTCCACCTTGTAACCTT-3’(EUC-RCI2-1プライマー、配列番号21)及び5’-ACGTCGACACCGAAGTGAAGGTGGAGC-3’(EUC-RCI2-2、配列番号22)を作成した。これらのプライマーを用いて、EucRCI遺伝子を含むゲノムクローンを鋳型にしてPCRを行った。増幅されたDNAを制限酵素SalIで処理した後、アガロースゲル電気泳動により分離し、さらに、増幅断片をゲルから切り出し精製した。一方、pBI101.3(クロンテック社)についても同様に制限酵素SalIで処理し、分離、精製した後、脱リン酸化処理を行った。これに精製したプロモーターDNA断片を導入し、大腸菌DH10Bを形質転換した。複数のクローンのプラスミドDNAを調製し、インサート内部のならびに挿入領域周辺の塩基配列を解析することにより、EucRCIプロモーターがGUSコード配列に対して順方向に挿入され、かつGUSコード配列の読み枠が翻訳開始コドンか連続するキメラ遺伝子クローンを1個選択し、発現ベクターとした。
(実施例9)キメラ遺伝子の植物体への導入
(1)早生分枝の作出
実施例5(1)と同様の方法で行った。
(2)早生分枝の感染誘導処理
実施例5(2)と同様の方法で行った。
(3)アグロバクテリム菌の調製
実施例5(3)と同様の方法で行った。Edhn1プロモーターが接続されている位置にEucHVAプロモーター又は、EucRCIプロモーターが挿入されている。
(4)アグロバクテリム菌のユーカリ属植物組織への感染
実施例5(4)と同様の方法で行った。
(5)アグロバクテリウム菌の除菌
実施例5(5)と同様の方法で行った。
(6)形質転換された苗条原基の形成
実施例5(6)と同様の方法で行った。
(7)形質転換植物の再生
実施例5(7)と同様の方法で行った。
(8)形質転換植物における導入遺伝子の存在確認
実施例5(8)と同様の方法で行った。
(実施例10)ユーカリ形質転換植物の再生
実施例6と同様の方法で行った。
(実施例11)プロモーター活性の解析評価
(1)EucHVAプロモーター遺伝子+GUSキメラ遺伝子が導入された苗条原基におけるGUS発現解析によるプロモーター活性の評価
EucHVAプロモーター遺伝子+GUSキメラ遺伝子が導入された苗条原基に対し、培地中のNaCl濃度を600mMに調製し、浸透圧ストレスを2時間、又は4時間与えた。浸透圧ストレスを与えなかったものではGUSの発現を確認できなかったが、浸透圧ストレスを与えた苗条原基ではGUSの発現を確認できた(図2参照)。このことから、導入したEucHVAプロモーターが浸透圧ストレスに応答することによって下流のGUS遺伝子が発現することがわかった。苗条原基は将来、根や茎などになる分化全能性を持った細胞塊である為、苗条原基から誘導された植物体が浸透圧ストレスに対して、十分機能することが考えられた。
(2)EucRCIプロモーター遺伝子+GUSキメラ遺伝子が導入された苗条原基におけるGUS発現解析によるプロモーター活性の評価
EucRCIプロモーター遺伝子+GUSキメラ遺伝子が導入された苗条原基に対し、培地中のNaCl濃度を600mMに調製し、浸透圧ストレスを2時間、又は4時間与えた。浸透圧ストレスを与えなかったものではGUSの発現を確認できなかったが、浸透圧ストレスを与えた苗条原基ではGUSの発現を確認できた。このことから、導入したEucRCIプロモーターが浸透圧ストレスに応答することによって下流のGUS遺伝子が発現することがわかった。苗条原基は将来、根や茎などになる分化全能性を持った細胞塊である為、苗条原基から誘導された植物体が浸透圧ストレスに対して、十分機能することが考えられた。
(実施例12)浸透圧ストレス応答性プロモータの発現様式
(1)全RNAの抽出
Hoagland−Arnon培養液(実施例1(1)と同様の方法)で水耕栽培しているユーカリ・カマルドレンシス(Eucalyptus camaldulensis)を用いて、最終濃度が300mM NaClになるように浸透圧ストレスをかけた。0時間、2時間、4時間、8時間、24時間ごとに植物体の根をサンプリングした。実施例1(1)と同様の方法で全RNA抽出を行った。
(2)ノーザンハイブリダイゼーション
「クローニングとシーケンス―植物バイオテクノロジー実験マニュアル―」渡辺格・監修、杉浦昌弘・編集(農村文化社)、及び「Hybondブロッティングメンブレン」(Amersham)の方法を参考にして、ノーザン用のメンブランを作製した。
実施例2(3)、実施例7(6)で記述したプローブを用いて、ノーザンハイブリダイゼーションを行った。ハイブリダイゼーションの検出には、DIG Nucleic Acid Detection Kit (ロシュ・ダイアグノスティック社)の方法に従い、ハイブリダイゼーションと洗浄は50℃で行った。
(3)発現解析
300mM NaClの浸透圧ストレス処理を行ったときのEdhn1遺伝子、EucHVA遺伝子、EucRCI遺伝子の発現についてストレス処理後の経時変化を調べた(図3参照)。
Edhn1遺伝子は浸透圧ストレス処理4時間後から弱い発現が検出され、8時間後で発現が最大になっていた。EucHVA遺伝子は4時間後のみに発現が強かった。EucRCI遺伝子は2時間後から弱い発現が検出され、4時間後、8時間後ともに同程度の強い発現がみられた。また、24時間目においては2時間目と同程度の弱い発現が見られた。
以上のことから、これら3つの遺伝子は、浸透圧ストレスにおいて、経時的な遺伝子発現パターンが異なっていることが明らかである。これらが浸透圧ストレスの条件に応じて独立又は相互関係を持ちながら作用している可能性も考えられる。
浸透圧ストレス処理区(S)と非浸透圧ストレス処理区(C)のそれぞれで水耕栽培したユーカリの葉(Leaf)、茎(Stem)、根(Root)から抽出したmRNAに対するノーザン解析結果を示す。 EucHVAプロモーター遺伝子+GUSキメラ遺伝子が導入された苗条原基に対し、培地中のNaCl濃度を600mMに調製し、浸透圧ストレスを2時間、又は4時間与えた結果を示す。 浸透圧ストレス処理区で水耕培養したユーカリ根における全RNAノーザンハイブリダイゼーションの結果を示す。1:ユーカリ由来RCI遺伝子、2:ユーカリ由来HVA遺伝子、3:ユーカリ由来Edhn1遺伝子

Claims (7)

  1. 以下の(a)〜(c)のいずれかの塩基配列からなる、プロモーターDNA断片:
    (a)配列番号1に示す塩基配列の第1番目〜第907番目の塩基配列、
    配列番号2に示す塩基配列の第1番目〜第1833番目の塩基配列、若しくは
    配列番号3に示す塩基配列の第1番目〜第1463番目の塩基配列、
    (b)(a)の塩基配列において、1又は数個の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列からなり、かつ、(a)のDNA断片からなるプロモーターと実質的に同一のプロモーターとしての機能を有する塩基配列、
    (c)(a)の塩基配列の一部を含み、かつ、(a)のDNA断片からなるプロモーターと実質的に同一のプロモーターとしての機能を有する塩基配列。
  2. さらに、植物の根組織に特異的発現に関与する転写因子を認識する塩基配列を機能的に結合させた、請求項1に記載のプロモーターDNA断片。
  3. 請求項1又は2に記載のプロモーターDNA断片の塩基配列を含む、発現ベクター。
  4. さらに、請求項1又は2に記載のプロモーターDNA断片に機能的に連結する遺伝子であって、その発現が該プロモーターDNA断片の制御下にある遺伝子を有する、請求項3に記載の発現ベクター。
  5. 請求項3又は請求項4に記載の発現ベクターが導入された形質転換微生物又は形質転換植物細胞。
  6. 請求項5に記載の形質転換植物細胞を含む、形質転換植物体。
  7. 請求項5に記載の形質転換微生物又は細胞、又は請求項6に記載の形質転換体におけるプロモーターDNA断片の制御下にある遺伝子の発現を制御する方法であって、前記形質転換微生物若しくは細胞、又は形質転換体の培養又は栽培条件下での浸透圧ストレスを調節することによって該遺伝子の発現を制御する、遺伝子発現の制御方法。
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