JP2004210943A - シンジオタクティックプロピレン系重合体組成物 - Google Patents

シンジオタクティックプロピレン系重合体組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】従来の非架橋または部分架橋型熱可塑性エラストマーの性能を保持し、かつ耐摩耗性、柔軟性にも優れたシンジオタクティックプロピレン系重合体組成物を提供する。
【解決手段】非架橋または部分架橋されたオレフィン系熱可塑性エラストマー(A)100重量部に対して
実質的にシンジオタクティック構造であるプロピレン成分を99〜65モル%の量含み、αオレフィン成分(C3を除くC2〜C20)を1〜35モル%の量含むシンジオタクティック構造プロピレン−αオレフィン共重合体(B)10〜60重量部
(C)架橋剤0〜10重量部
から構成されている。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、シンジオタクティックプロピレン系重合体組成物に関し、さらには耐摩耗性、柔軟性、ゴム弾性に優れたシンジオタクティックプロピレン系重合体組成物に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマーは、省エネルギー、省資源タイプのエラストマーとして、特に天然ゴムの代替として自動車部品、工業機械部品、電子・電気機器部品、建材等に広く使用されている。
【0003】
架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマーは、A.Y.Coran らの文献(Rubber Chemistry and Technology、53巻 (1980年)、141ページ)に詳細に記されているように、広く知られている。
【0004】
一方で非架橋型あるいは非架橋または部分架橋型のオレフィン系熱可塑性エラストマーについては、たとえば、特公昭53−21021号公報、特公昭55−18448号公報、特公昭56−15741号公報、特公昭56−15742号公報、特公昭58−46138号公報、特公昭58−56575号公報、特公昭59−30376号公報、特公昭62−938号公報、特公昭62−59139号公報などに記載されている。
【0005】
しかしながら非架橋または部分架橋型熱可塑性エラストマーはゴム的性質(永久伸び、圧縮永久歪など)、耐熱性などに優れるものの、耐摩耗性、耐傷つき性に劣るために軟質塩ビを代替するには至っておらず、環境問題、廃棄処理問題等のない軟質塩ビを代替しうる耐摩耗性、耐傷つき性に優れたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の出現が望まれていた。
【0006】
【発明の目的】
本発明の目的は、従来の非架橋または部分架橋型熱可塑性エラストマーの性能を保持し、かつ耐摩耗性、柔軟性にも優れたシンジオタクティックプロピレン系重合体組成物を提供することにある。
【0007】
【発明の概要】
本発明に係るシンジオタクティックプロピレン系共重合体組成物は
非架橋または部分架橋されたオレフィン系熱可塑性エラストマー(A)100重量部に対して
実質的にシンジオタクティック構造であるプロピレン成分を99〜65モル%の量含み、αオレフィン成分(C3を除くC2〜C20)を1〜35モル%の量含むシンジオタクティック構造プロピレン−αオレフィン共重合体(B)10〜60重量部
(C)架橋剤0〜10重量部
から構成されている。
【0008】
本発明の好ましい態様については、シンジオタクティック構造プロピレン−αオレフィン共重合体(B)は、実質的にシンジオタクティック構造であるプロピレン成分を99〜65モル%の量含み、αオレフィン成分(C3を除くC2〜C20)を1〜35モル%の量含むことが好ましく、αオレフィンとしてはエチレン、ブテン、オクテンから選ばれることが望ましい。
【0009】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係わるシンジオタクティックプロピレン系共重合体組成物について具体的に説明する。
【0010】
<非架橋または部分的に架橋されたオレフィン系熱可塑性エラストマー
本発明で用いられる非架橋または部分架橋されたオレフィン系熱可塑性エラストマーはポリプロピレンと非共役ジエンを含有したエチレン・αオレフィンランダム共重合体を含有していることが望ましいが、これに限らず、例えばポリプロピレンとエチレン・αオレフィンランダム共重合体を含有する非架橋または部分架橋されたオレフィン系熱可塑性エラストマーであってもよく、αオレフィンとしては、プロピレン、ブテンであることが望ましい。
【0011】
本発明で用いられる非架橋または部分架橋されたオレフィン系熱可塑性エラストマーの230℃、10kg荷重で測定されるMFRが0.001〜100であることが好ましく、0.01〜80であることが更に好ましい。
【0012】
また本発明で用いられる非架橋または部分架橋されたオレフィン系熱可塑性エラストマーのDSCの吸熱曲線から求められる融点(Tm)が120〜165℃であることが好ましく、130℃〜160の範囲にあることが更に好ましい。
本発明に係るオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物は、非架橋の熱可塑性エラストマー組成物または部分的に架橋された熱可塑性エラストマー組成物であり、特定の結晶性ポリオレフィン樹脂(A−1)と、特定のα− オレフィン系共重合体ゴム(A−2)とから構成されてなる。
【0013】
結晶性ポリオレフィン樹脂(A−1)
本発明で用いられる結晶性ポリオレフィン樹脂(A−1)は、高圧法または低圧法の何れかによる1種またはそれ以上のモノオレフィンを重合して得られる結晶性の高分子量固体生成物からなる。このような樹脂としては、たとえばアイソタクチックおよびシンジオタクチックのモノオレフィン重合体樹脂が挙げられるが、これらの代表的な樹脂は商業的に入手できる。
【0014】
上記結晶性ポリオレフィン樹脂の適当な原料オレフィンとしては、具体例には、エチレン、プロピレン、1− ブテン、1− ペンテン、1− ヘキセン、2− メチル−1−プロペン、3− メチル−1−ペンテン、4− メチル−1−ペンテン、5− メチル−1−ヘキセン、1− オクテン、1− デセンおよびこれらのオレフィンを2種以上混合した混合オレフィンが挙げられる。
【0015】
重合様式はランダム型でもブロック型でも、樹脂状物が得られればどのような重合様式を採用しても差支えない。本発明で用いられる結晶性ポリオレフィン樹脂は、MFR(A−1STM A−4 1238−65T、230℃)が通常0.01〜100g/10分、特に0.05〜50g/10分の範囲にあることが好ましい。
【0016】
上記結晶性ポリオレフィン樹脂(A−1)は、組成物の流動性および耐熱性を向上させる役割を持っている。本発明においては、結晶性ポリオレフィン樹脂(A−1)は、結晶性ポリオレフィン樹脂(A−1)およびα− オレフィン系共重合体ゴム(A−2)の合計量100重量部に対し、10〜60重量部、好ましくは20〜55重量部の割合で用いられる。
【0017】
上記のような割合で結晶性ポリオレフィン樹脂(A−1)を用いると、ゴム弾性に優れるとともに、成形加工に優れたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物が得られる。
【0018】
α オレフィン系共重合体ゴム(A−2)
本発明で用いられるα− オレフィン系共重合体ゴム(A−2)は、炭素原子数2〜20、好ましくは炭素原子数2〜12のα− オレフィンと、非共役ジエンとを共重合して得られるゴムである。
【0019】
上記α− オレフィンとしては、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1− ヘキセン、4−メチル−1− ペンテン、1− ヘプテン、1− オクテン、1− ノネン、1− デセン、1− ウンデセン、1− ドデセン、1− トリデセン、1− テトラデセン、1− ペンタデセン、1− ヘキサデセン、1− ヘプタデセン、1− ノナデセン、1− エイコセン、9− メチル−1−デセン、11− メチル−1−ドデセン、12− エチル−1−テトラデセンなどが挙げられる。
【0020】
本発明においては、上記のようなα− オレフィンを単独で用いても良く、また2種以上の混合物として用いても良い。4−メチル−1− ペンテンと、他のα− オレフィンを混合物として用いる場合、4−メチル−1− ペンテンと、他のα− オレフィンとのモル比(他のα− オレフィン/4−メチル−1− ペンテン)は、10/90〜95/5の範囲内にあることが好ましい。
【0021】
上記α−オレフィンのうち、特にエチレン、プロピレン、1−ブテンが好ましく用いられる。
【0022】
非共役ジエンとしては、具体的には、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン
4−メチル−1,4− ヘキサジエン、5−メチル−1,4− ヘキサジエン、4−エチル−1,4− ヘキサジエン、5−メチル−1,4− ヘプタジエン、5−エチル−1,4− ヘプタジエン、5−メチル−1,5− ヘプタジエン、6−メチル−1,5− ヘプタジエン、5−エチル−1,5− ヘプタジエン、4−メチル−1,4− オクタジエン、5−メチル−1,4− オクタジエン、4−エチル−1,4− オクタジエン、5−エチル−1,4− オクタジエン、5−メチル−1,5− オクタジエン、6−メチル−1,5− オクタジエン、5−エチル−1,5− オクタジエン、6−エチル−1,5− オク
タジエン、6−メチル−1,6− オクタジエン、7−メチル−1,6− オクタジエン、6−エチル−1,6− オクタジエン、4−メチル−1,4− ノナジエン、5−メチル−1,4− ノナジエン、4−エチル−1,4− ノナジエン、5−エチル−1,4− ノナジエン、5−メチル−1,5− ノナジエン、6−メチル−1,5− ノナジエン、5−エチル−1,5− ノナジエン、6−エチル−1,5− ノナジエン、6−メチル−1,6− ノナジエン、7−メチル−1,6− ノナジエン、6−エチル−1,6− ノナジエン、7−エチル−1,6− ノナジエン、7−メチル−1,7− ノナジエン、8−メチル−1,7− ノナジエン、7−エチル−1,7− ノナジエン、5−メチル−1,4− デカジエン、5−エチル−1,4− デカジエン、5−メチル−1,5− デカジエン、6−メチル−1,5− デカジエン、5−エチル−1,5− デカジエン、6−エチル−1,5− デカジエン、6−メチル−1,6− デカジエン、7−メチル−1,6− デカジエン、6−エチル−1,6− デカジエン、7−エチル−1,6− デカジエン、7−メチル−1,7− デカジエン、8−メチル−1,7− デカジエン、7−エチル−1,7− デカジエン、8−エチル−1,7− デカジエン、8−メチル−1,8− デカジエン、9−メチル−1,8− デカジエン、8−エチル−1,8− デカジエン、9−メチル−1,8− ウンデカジエンなどが挙げられる。特に中でも5−エチリデン−2− ノルボルネン、5−ビニル−2− ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、4,8−ジメチル−1,4,8− デカトリエン(DMDT)、4− エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン(EMND)が望ましい。
本発明においては、上記のような非共役ジエンを単独で用いてもよく、また2種以上の混合物として用いてもよい。さらに、上記のような非共役ジエンの他に、他の共重合可能なモノマーを、本発明の目的を損なわない範囲で用いてもよい。
【0023】
本発明で用いられるα− オレフィン系共重合体ゴムを構成する非共役ジエンの含有量は、0.01〜30モル%、好ましくは0.1〜20モル%、特に好ましくは0.1〜10モル%の範囲内にある。
【0024】
本発明で用いられるα− オレフィン系共重合体ゴムの135℃デカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]は、1.0〜10.0A−4l/g、好ましくは1.5〜7A−4l/gの範囲にある。
【0025】
本発明においては、α− オレフィン系共重合体ゴム(A−2)は、結晶性ポリオレフィン樹脂(A−1)およびα− オレフィン系共重合体ゴム(A−2)の合計量100重量部に対し、90〜40重量部、好ましくは80〜45重量部の割合で用いられる。
【0026】
上記のようなα− オレフィン系共重合体ゴム(A−2)は、以下の方法で製造することができる。本発明で用いられるα− オレフィン系共重合体ゴム(A−2)は、オレフィン重合用触媒の存在下に、炭素原子数2〜20のα− オレフィンと、非共役ジエンとを共重合させることにより得られる。
【0027】
本発明に係るオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物には、結晶性ポリオレフィン樹脂(A−1)およびα− オレフィン系共重合体ゴム(A−2)の他に、軟化剤(A−3)および/または無機充填剤(A−4)を含めることができる。
【0028】
本発明で用いられる軟化剤(A−3)としては、通常ゴムに使用される軟化剤を用いることができ、具体的には、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系物質;コールタール、コールタールピッチ等のコールタール類;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油;トール油、蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸またはその金属塩;石油樹脂、クマロンインデン樹脂、アタクチックポリプロピレン等の合成高分子物質;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系可塑剤;その他マイクロクリスタリンワックス、サブ(ファクチス)、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、液状チオコールなどが挙げられる。
【0029】
本発明においては、軟化剤(A−3)は、結晶性ポリオレフィン樹脂(A−1)およびα− オレフィン系共重合体ゴム(A−2)の合計量100重量部に対し、200重量部以下、好ましくは2〜100重量部の割合で用いられる。本発明において、軟化剤(A−3)の使用量が200重量部を超えると、得られる熱可塑性エラストマー組成物の耐熱性、耐熱老化性が低下する傾向にある。
【0030】
本発明で用いられる無機充填剤(A−4)としては、具体的には、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、クレー、カリオン、タルク、シリカ、ケイソウ土、雲母粉、アスベスト、アルミナ、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、二硫化モリブデン、グラファイト、ガラス繊維、ガラス球、シラスバルーンなどが挙げられる。
【0031】
本発明においては、無機充填剤(A−4)は、結晶性ポリオレフィン樹脂(A−1)およびα− オレフィン系共重合体ゴム(A−2)の合計量100重量部に対して、100重量部以下、好ましくは2〜50重量部の割合で用いられる。本発明において、無機充填剤(A−4)の使用量が100重量部を超えると、得られる熱可塑性エラストマー組成物のゴム弾性、成形加工性が低下する傾向にある。
【0032】
また、本発明に係る部分的に架橋されたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物は、上述した結晶性ポリオレフィン樹脂(A−1)と、α− オレフィン系共重合体ゴム(A−2)と、必要に応じて配合される軟化剤(A−3)および/または無機充填剤(A−4)、さらには上記エチレン・α− オレフィン共重合体ゴム、エチレン・α− オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム等との混合物を、下記のような有機過酸化物の存在下に、動的に熱処理して部分的に架橋することによって得られる。
【0033】
ここに、「動的に熱処理する」とは、溶融状態で混練することをいう。有機過酸化物としては、具体的には、ジクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,5− ジメチル−2,5−ジ− (tert− ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5− ジメチル−2,5−ジ− (tert− ブチルパーオキシ)ヘキシン− 3、1,3− ビス(tert− ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1− ビス(tert− ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n− ブチル−4,4−ビス(tert− ブチルパーオキシ)バレレート、ベンゾイルパーオキサイド、p− クロロベンゾイルパーオキサイド、2,4− ジクロロベンゾイルパーオキサイド、tert− ブチルパーオキシベンゾエート、tert− ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert− ブチルクミルパーオキサイドなどが挙げられる。
【0034】
このような有機過酸化物は、被処理物全体、すなわち結晶性ポリオレフィン樹脂(A−1)およびα− オレフィン系共重合体ゴム(A−2)の合計量100重量部に対し0.02〜3重量部、好ましくは0.05〜1重量部となるような量で用いられる。この配合量が上記範囲よりも少ないと、得られる熱可塑性エラストマー組成物は、架橋度が低いため、耐熱性、引張特性、弾性回復および反発弾性等が十分でない。また、この配合量が上記範囲よりも多いと、得られる熱可塑性エラストマー組成物は、架橋度が高くなり過ぎて成形性の低下をもたらす場合がある。
【0035】
本発明においては、前記有機過酸化物による部分架橋処理に際し、硫黄、p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム、N− メチル− N,N’−m− フェニレンジマレイミド等のパーオキシ架橋助剤、あるいはジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アクリルメタクリレート等の多官能性メタクリレートモノマー、ビニルブチラートまたはビニルステアレート等の多官能性ビニルモノマーを配合してもよい。
【0036】
上記のような架橋助剤などの化合物を用いることにより、均一かつ温和な架橋反応が期待できる。このような架橋助剤あるいは多官能性ビニルモノマーなどの化合物は、上記被処理物全体100重量部に対し、通常2重量部以下、さらに好ましくは0.3〜1重量部となるような量で用いられる。
【0037】
また有機過酸化物の分解を促進するために、トリエチルアミン、トリブチルアミン、2,4,6− トリ(ジメチルアミノ)フェノール等の三級アミンや、アルミニウム、コバルト、バナジウム、銅、カルシウム、ジルコニウム、マンガン、マグネシウム、鉛、水銀等のナフテン酸塩などの分解促進剤を用いてもよい。
【0038】
本発明における動的な熱処理は、非開放型の装置中で行なうことが好ましく、また窒素、炭酸ガス等の不活性ガス雰囲気下で行なうことが好ましい。その温度は、結晶性ポリオレフィン樹脂(A−1)の融点から300℃の範囲であり、通常150〜250℃、好ましくは170℃〜225℃である。混練時間は、通常1〜20分間、好ましくは1〜10分間である。また、加えられる剪断力は、剪断速度として10〜100,000sec−1、好ましくは100〜50,000sec−1である。
【0039】
混練装置としては、ミキシングロール、インテンシブミキサー(たとえばバンバリーミキサー、ニーダー)、一軸または二軸押出機等を用い得るが、非開放型の装置が好ましい。
【0040】
本発明によれば、上述した動的な熱処理によって、結晶性ポリオレフィン樹脂(A−1)とα− オレフィン系共重合体ゴム(A−2)とからなる非架橋の、または部分的に架橋されたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物が得られる。
【0041】
なお、本発明において、熱可塑性エラストマー組成物が部分的に架橋されたとは、下記の方法で測定したゲル含量が20%以上、好ましくは20〜99.5%、特に好ましくは45〜98%の範囲内にある場合をいう。
ゲル含量の測定熱可塑性エラストマー組成物の試料を100mg秤取し、これを0.5mm×0.5mm×0.5mmの細片に裁断したものを、密閉容器中にて30mlのシクロヘキサンに、23℃で48時間浸漬した後、試料を濾紙上に取出し、室温で72時間以上、恒量となるまで乾燥する。
【0042】
この乾燥残渣の重量からポリマー成分以外のすべてのシクロヘキサン不溶性成分(繊維状フィラー、充填剤、顔料等)の重量、およびシクロヘキサン浸漬前の試料中の結晶性ポリオレフィン樹脂(A−1)の重量を減じたものを、「補正された最終重量(Y)」とする。
【0043】
一方、試料中のα− オレフィン系共重合体(A−2)を、「補正された初期重量(X)」とする。ここに、ゲル含量は、次の式で求められる。
【0044】
ゲル含量[重量%]=[補正された最終重量(Y)/補正された初期重量(X)]×100。
【0045】
<シンジオタクティック構造プロピレン−αオレフィン共重合体(B)>
本発明で用いられるシンジオタクティック構造プロピレン−αオレフィン共重合体(B)は実質的にシンジオタクティック構造であるプロピレン成分を99〜65モル%の量含み、αオレフィン成分(C3を除くC2〜C20)を1〜35モル%の量含むことが好ましく、αオレフィンとしてはエチレン、ブテン、オクテンから選ばれることが望ましい。中でもエチレンであることが特に好ましい。
【0046】
本発明で用いられるシンジオタクティック構造プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)は、プロピレンから導かれる繰返し単位を、99〜65モル%、好ましくは95〜65モル%、より好ましくは90〜65モル%、α−オレフィンから導かれる繰返し単位を1〜35モル%、好ましくは5〜35モル%、より好ましくは10〜35モル%の割合で含有している。
【0047】
このシンジオタクティック構造プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)は、非晶性であり、ヤングモジュラスが150MPa以下、好ましくは100MPa以下、より好ましくは50MPa以下である。
【0048】
このようなシンジオタクティック構造プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)は、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が、通常0.01〜10dl/g、好ましくは0.5〜10dl/g、さらに好ましくは1〜8dl/gの範囲にあることが望ましい。
【0049】
このシンジオタクティック構造プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)は、単一のガラス転移温度を有し、かつ示差走査熱量計(DSC)によって測定したガラス転移温度(Tg)が、通常−5℃以下、好ましくは−10℃以下、さらに好ましくは−20℃以下であることが望ましい。該シンジオタクティック構造プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)のガラス転移温度(Tg)が前記範囲内にあると、耐寒性、低温特性に優れる。またゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn、ポリスチレン換算、Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)は4.0以下であることが好ましく、特に3.5以下であることが好ましい。
【0050】
なお、本明細書において実質的にシンジオタクティック構造であるとは、プロピレンのtriad連鎖でみたシンジオタクティシティーが0.6以上であることを意味する。
【0051】
ここでプロピレンのtriad連鎖でみたシンジオタクティシティーについて説明する。このシンジオタクティック構造プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)のトリアドシンジオタクティシティ(以下「rr分率」ということがある。)は、該重合体(A)の13C−NMRスペクトルおよび下記式(1)により、頭−尾結合したプロピレン単位3連鎖部の第2単位目の側鎖メチル基の強度(面積)比として求められる。
【0052】
rr分率(%)=PPP(rr)/{PPP(mm)+PPP(mr)+PPP(rr)} …(1)
(式中、PPP(mm)、PPP(mr)、PPP(rr)は、それぞれ13C−NMRスペクトルの下記シフト領域で観察される頭−尾結合したプロピレン単位3連鎖部の第2単位目の側鎖メチル基の面積である。) このようなPPP(mm)、PPP(mr)、PPP(rr)は、それぞれ下記構造の頭−尾結合したプロピレン3単位連鎖を示す。 なおメチル炭素領域内(19〜23ppm)では、上記のような頭−尾結合プロピレン3連鎖中のプロピレン単位の側鎖メチル基以外にも、下記のような他の連鎖中のプロピレン単位の側鎖メチル基ピークが観測される。rr分率を求める際には、このようなプロピレン単位3連鎖に基づかないメチル基のピーク面積を下記のように補正する。なお、Pはプロピレンから導かれる繰返し単位を示し、Eはα−オレフィンから導かれる繰返し単位を示す。
【0053】
▲1▼第2領域内では、プロピレン同士が頭−尾結合したPPE3連鎖中の第2単位(プロピレン単位)目の側鎖メチル基に由来するピークが観測される。 このメチル基ピークの面積は、PPE連鎖中の第2単位(プロピレン単位)のメチン基(30.6ppm付近で共鳴)のピーク面積から求めることができる。
【0054】
▲2▼第3領域内では、EPE3連鎖中の第2単位(プロピレン単位)目の側鎖メチル基に由来するピークが観測される。このメチル基ピーク面積は、EPE連鎖中の第2単位(プロピレン単位)のメチン基(32.9ppm付近で共鳴)のピーク面積から求めることができる。
【0055】
▲3▼第2領域および第3領域内では、α−オレフィン・α−オレフィンランダム共重合体中に少量含まれる、下記部分構造(i)、(ii)および(iii)で示されるような位置不規則単位中のメチル基C〜E’に由来するピークが観察される。
【0056】
第2領域では、メチル基Cピーク、メチル基Dピークおよびメチル基D’ピークが観測され、 第3領域では、メチル基Eピークおよびメチル基E’ピークが観測される。なお位置不規則単位(i)〜(iii)中のメチル基中、メチル基Aピークおよびメチル基Bピークは、それぞれ17.3ppm、17.0ppmで観測され、第1〜3領域内では観測されない。
【0057】
メチル基Cのピーク面積は、隣接するメチン基(31.3ppm付近で共鳴)のピーク面積より求めることができる。 メチル基Dのピーク面積は、構造(ii)のαβメチレン炭素に基づくピーク(34.3ppm付近および34.5ppm付近)のピーク面積の和の1/2より求めることができる。
【0058】
メチル基D’のピーク面積は、構造(iii)のメチル基E’に隣接するメチン基に基づくピーク(33.3ppm付近)の面積より求めることができる。メチル基Eのピーク面積は、隣接するメチン炭素(33.7ppm付近)のピーク面積より求めることができる。 メチル基E’のピーク面積は、隣接するメチン炭素(33.3ppm付近)のピーク面積より求めることができる。
【0059】
したがってこれらのピーク面積を第2領域および第3領域の全ピーク面積より差し引くことにより、頭−尾結合したプロピレン単位3連鎖中の第2プロピレン単位の側鎖メチル基のピーク面積を求めることができる。なおスペクトル中の各炭素ピークは、文献(Polymer,30,1350(1989))を参考にして帰属することができる。
【0060】
シンジオタクティック構造プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)の製造
このようなシンジオタクティック構造プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)は、下記に示すメタロセン系触媒の存在下にプロピレンから導かれる繰り返し単位が99〜65モル%、α−オレフィンから導かれる繰り返し単位が1〜35モル%となるようにプロピレンとα−オレフィンを共重合させて得られる。
【0061】
このようなメタロセン系触媒としては、
(a)下記一般式(I)で表される遷移金属化合物と、
(b)(b−1)上記遷移金属化合物(a)中の遷移金属Mと反応してイオン性の錯体を形成する化合物、
(b−2)有機アルミニウムオキシ化合物、
(b−3)有機アルミニウム化合物
から選ばれる少なくとも1種の化合物とからなる少なくとも1つの触媒系が挙げられる。
【0062】
【化1】
Figure 2004210943
【0063】
本発明においては、上記シンジオタクティック構造プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)製造用の触媒としては、上記のようなメタロセン系触媒が好ましく用いられるが、場合によっては上記メタロセン系触媒以外の、従来より公知の▲1▼固体状チタン触媒成分と有機アルミニウム化合物とからなるチタン系触媒、▲2▼可溶性バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなるバナジウム系触媒を用いることもできる。
【0064】
本発明では、上記のようなメタロセン系触媒の存在下に、プロピレンとα−オレフィンを通常液相で共重合させる。この際、一般に炭化水素溶媒が用いられるが、プロピレンを溶媒として用いてもよい。共重合はバッチ法または連続法のいずれの方法でも行うことができる。
【0065】
メタロセン系触媒を用い、共重合をバッチ法で実施する場合には、重合系内の遷移金属化合物(a)は、重合容積1リットル当り、通常0.00005〜1ミリモル、好ましくは0.0001〜0.5ミリモルとなるような量で用いられる。
【0066】
イオン化イオン性化合物(b−1)は、遷移金属化合物(a)に対するイオン化イオン性化合物のモル比((b−1)/(a))で、0.5〜20、好ましくは1〜10となるような量で用いられる。
【0067】
有機アルミニウムオキシ化合物(b−2)は、遷移金属化合物(a)中の遷移金属原子(M)に対するアルミニウム原子(Al)のモル比(Al/M)で、1〜10000、好ましくは10〜5000となるような量で用いられる。 また有機アルミニウム化合物(b−3)は、重合容積1リットル当り、通常約0〜5ミリモル、好ましくは約0〜2ミリモルとなるような量で用いられる。
【0068】
共重合反応は、通常、温度が−20〜150℃、好ましくは0〜120℃、さらに好ましくは0〜100℃の範囲で、圧力が0を超えて〜80kg/cm2 、好ましくは0を超えて〜50kg/cm2の範囲の条件下に行なわれる。
【0069】
また反応時間(重合が連続法で実施される場合には平均滞留時間)は、触媒濃度、重合温度などの条件によっても異なるが、通常5分間〜3時間、好ましくは10分間〜1.5時間である。
【0070】
プロピレンとα−オレフィンは、上述のような特定組成のシンジオタクティック構造プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)が得られるような量でそれぞれ重合系に供給される。なお共重合に際しては、水素などの分子量調節剤を用いることもできる。
【0071】
上記のようにしてプロピレンとα−オレフィンを共重合させると、シンジオタクティック構造プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)は通常これを含む重合液として得られる。この重合液は常法により処理され、シンジオタクティック構造プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)が得られる。
【0072】
シンジオタクティック構造プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)は非架橋または部分架橋されたオレフィン系熱可塑性エラストマー(A)100重量部に対して10〜60重量部、好ましくは10〜50重量部、より好ましくは10〜40重量部含まれる。シンジオタクティック構造プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)がこの範囲にあるとシンジオタクティックプロピレン系共重合体組成物の耐熱性と耐磨耗性のバランスに優れる。
【0073】
<架橋剤(C)>
本発明に係わるシンジオタクティックプロピレン系重合体組成物において必要に応じて(C)架橋剤を添加しても良い。
(C)架橋剤としては、有機過酸化物であってもイオウまたはイオウ系化合物であってもどちらでも良い。
有機過酸化物である場合には、非架橋または部分架橋されたオレフィン系熱可塑性エラストマー(A)100重量部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.01〜1重量部の量で用いられ、イオウまたはイオウ系化合物あるときには、非架橋または部分架橋されたオレフィン系熱可塑性エラストマー(A)100重量部に対して1〜15重量部、好ましくは5〜10重量部の量で用いられる。
【0074】
本発明に係わるシンジオタクティックプロピレン系重合体組成物において必要に応じて
架橋助剤が含まれていても良い。
【0075】
架橋促進剤として具体的には、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBZ)、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,4−ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,6−ジエチル−4−モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系化合物;ジフェニルグアニジン(DPG)、トリフェニルグアニジン、ジオルソニトリルグアニジン、オルソニトリルバイグアナイド、ジフェニルグアニジンフタレート等のグアニジン化合物;アセトアルデヒド−アニリン反応物、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物、ヘキサメチレンテトラミン、アセトアルデヒドアンモニア等のアルデヒドアミンまたはアルデヒド−アンモニア系化合物;2−メルカプトイミダゾリン等のイミダゾリン系化合物;チオカルバニリド、ジエチルチオユリア、ジブチルチオユリア、トリメチルチオユリア、ジオルソトリルチオユリア等のチオユリア系化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系化合物;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ブチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジメチルジチオカルバミン酸テルル等のジチオ酸塩系化合物;ジブチルキサントゲン酸亜鉛等のザンテート系化合物;亜鉛華等の化合物などを挙げることができる。非架橋または部分架橋されたオレフィン系熱可塑性エラストマー(A)100重量部に対して、0.5〜10重量部の量で用いられる。
【0076】
本発明のシンジオタクティックプロピレン系共重合体組成物に架橋剤、架橋助剤が含まれている場合は、その他の共重合体として、非共役ジエンを含有したエチレン系重合体を更に少量ブレンドしても良く、加熱あるいは電子線によって、シンジオタクティックプロピレン系共重合体組成物の架橋物を得ることもできる。
【0077】
本発明のシンジオタクティックプロピレン系共重合体組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、軟化剤、粘着付与剤、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、顔料、染料、可塑剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、酸化防止剤等の添加剤が必要に応じて配合されていてもよい。また、本発明の趣旨を逸脱しない限りその他の共重合体を少量ブレンドすることができる。
【0078】
本発明に係るシンジオタクティックプロピレン系重合体組成物は、公知の任意の方法を採用して製造することができ、たとえば、非架橋または部分架橋されたオレフィン系熱可塑性エラストマー(A)100重量部に対してシンジオタクティック構造プロピレン−αオレフィン共重合体(B)10〜60重量部、必要に応じて(C)架橋剤0〜10重量部、および所望により添加される他成分を、押出機、ニーダー等を用いて一括で溶融混練することにより得られる。
【0079】
<成形体>
上記のような本発明に係るシンジオタクティックポリプロピレン組成物は、従来公知のポリオレフィン用途に広く用いることができるが、特にポリオレフィン組成物をたとえばシート、未延伸または延伸フィルム、ハ゜イフ゜、電線被覆、フィラメント、他の種々形状の成形体に成形して利用することができる。
【0080】
成形体としては具体的には、押出成形、射出成形、インフレーション成形、ブロー成形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、プレス成形、真空成形、カレンダー成形、発泡成形などの公知の熱成形方法により得られる成形体が挙げられる。以下に数例挙げて成形体を説明する。
【0081】
本発明に係る成形体がたとえば押出成形あるいは射出成形体である場合、その形状および製品種類は特に限定されないが、たとえばシート、フィルム(未延伸)、パイプ、ホース、電線被覆、フィラメントなどが挙げられ、特にシート、表皮材、自動車内外層材などが好ましい。
【0082】
シンジオタクティックポリプロピレン組成物を押出成形、射出成形する際には、従来公知の押出装置、射出装置および成形条件を採用することができる。また押し出し成形の際、電子線やγ線にて架橋処理を行うこともできる。
【0083】
【発明の効果】
本発明に係るシンジオタクティックプロピレン系共重合体組成物は、非架橋または部分架橋されたオレフィン系熱可塑性樹脂にシンジオタクティックプロピレン系共重合体を配合することにより、ゴム弾性を保持して、耐摩耗性、耐熱性とのバランスに優れたシンジオタクティックプロピレン系共重合体組成物が得られる。
【0084】
【実施例】
以下、本発明について実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はかかる実施例により何等限定されるものではない。
【0085】
以下、物性試験条件等を記す。
[引張試験]
1.引っ張り弾性率;
JIS K6301に準拠して、JIS3号ダンベルを用い、スパン間:30mm、
引っ張り速度:30mm/minで23℃にて測定した。
【0086】
2.針侵入温度:TMA(℃);
JIS K7196に準拠し、厚さ2mmの試験片を用いて、昇温速度5℃/min
で1.8mmφの平面圧子に2Kg/cm2の圧力をかけ、TMA曲線より、針
進入温度(℃)を求めた。
【0087】
3.耐摩耗性試験
東洋精機製、学振摩耗試験機を用いて、厚さ2mmの試験片を用いて、45R、SUS製の摩耗圧子470gの先端を綿帆布#10に覆い、これを23℃、往復回数100回、往復速度33回/min、ストローク100mmで試料を摩耗させ、その前後のグロス変化率ΔGlossを以下のようにして求めた。
【0088】
ΔGloss=(摩耗前のGloss−摩耗後のGloss)/摩耗前のGloss×100
4.JIS A硬度;
JIS K 6301に従って、JIS A硬度(HS )を測定した。
5.永久伸び:JIS K 6301に準拠して測定した。ただし、保持した長さは伸び100%に相当する長さとした。
【0089】
[融点(Tm)およびガラス転移温度(Tg)]
DSCの吸熱曲線を求め、最大ピーク位置の温度をTmとする。
【0090】
測定は、試料をアルミパンに詰め、100℃/分で200℃まで昇温し、200℃で5分間保持したのち、100℃/分で−150℃まで降温し、ついで10℃/分で昇温する際の吸熱曲線より求めた。
【0091】
なおDSC測定時の吸熱ピークから、単位重さ当たりの融解熱量を求め、これをポリエチレンの結晶の融解熱量70cal/gで除して求めることにより、結晶化度(%)を求めることができる。
【0092】
[極限粘度[η]]
135℃、デカリン中で測定した。
【0093】
[Mw/Mn]
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用い、オルトジクロロベンゼン溶媒で、140℃で測定した。
【0094】
【合成例1】
(シンジオタクティックプロピレン・エチレン共重合体の合成)
減圧乾燥および窒素置換してある1.5リットルのオートクレーブに、常温でヘプタンを750ml加え、続いてトリイソブチルアルミニウム(以下、TIBAと略す。)の1.0ミリモル/mlトルエン溶液をアルミニウム原子に換算してその量が0.3ミリモルとなるように0.3ml加え、撹拌下にプロピレンを50.7リットル(25℃、1気圧)挿入し、昇温を開始し30℃に到達させた。その後、系内をエチレンで5.5kg/cm2Gとなるように加圧し、公知の方法で合成したジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロリドのヘプタン溶液(0.0002mM/ml)を3.75ml、(トリフェニルカルベニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート)のトルエン溶液(0.002mM/ml)を2.0ml加え、プロピレンとエチレンの共重合を開始させた。この時の触媒濃度は、全系に対してジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロリドが0.001ミリモル/リットル、トリフェニルカルベニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートが0.004ミリモル/リットルであった。
【0095】
重合中、エチレンを連続的に供給することにより、内圧を5.5kg/cm2Gに保持した。重合を開始して30分後、重合反応をメチルアルコールを添加することにより停止した。脱圧後、ポリマー溶液を取り出し、このポリマー溶液に対して、「水1リットルに対して濃塩酸5mlを添加した水溶液」を1:1の割合で用いてこのポリマー溶液を洗浄し、触媒残渣を水相に移行させた。この触媒混合溶液を静置したのち、水相を分離除去しさらに蒸留水で2回洗浄し、重合液相を油水分離した。次いで、油水分離された重合液相を3倍量のアセトンと強撹拌下に接触させ、重合体を析出させたのち、アセトンで十分に洗浄し固体部(共重合体)を濾過により採取した。窒素流通下、130℃、350mmHgで12時間乾燥した。以上のようにして得られたプロピレン・エチレン共重合体の収量は50gであり、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]は2.4dl/gであり、ガラス転移温度Tgは−28℃であり、エチレン含量は24.0モル%であり、GPCにより測定した分子量分布(Mw/Mn)は2.9であった。
【0096】
また、前述のDSC測定条件では融解ピークは、実質的に観測されなかった。
【0097】
【実施例1】
非架橋または部分架橋されたオレフィン系熱可塑性エラストマー、三井化学(株)製、ミラストマー5030N100重量部に対して、上記合成例1で得られたシンジオタクチックプロピレン・エチレン共重合体(B−1)25重量部を添加し、溶融混連によりシンジオタックティックポリプロピレン組成物を得た。得られた組成物を200℃にて溶融プレス成形を行い、所望の試験形状にて物性評価を実施した。
【0098】
この組成物の引張り弾性率は7MPaであり、TMAは130℃、摩耗前後のグロス変化率Δglossは20、永久伸びは7、JIS A硬度は45であった。
【0099】
【実施例2】
上記実施例1で、合成例1で得られたシンジオタクチックプロピレン・エチレン共重合体(B−1)20重量部を50重量部に変えた以外は、実施例1と同様に行った。得られた組成物を200℃にて溶融プレス成形を行い、所望の試験形状にて物性評価を実施した。
【0100】
この組成物の引張り弾性率は7MPaであり、TMAは130℃、摩耗前後のグロス変化率Δglossは10、永久伸びは9、JIS A硬度は35であった。
【0101】
【比較例1】
非架橋または部分架橋されたオレフィン系熱可塑性エラストマー、三井化学(株)製、ミラストマー5030Nを200℃にて溶融プレス成形を行い、所望の試験形状にて物性評価を実施した。
【0102】
この組成物の引張り弾性率は3MPaであり、TMAは154℃、摩耗前後のグロス変化率Δglossは96、永久伸びは8、JIS A硬度は50であった。

Claims (3)

  1. 非架橋または部分架橋されたオレフィン系熱可塑性エラストマー(A)100重量部に対して
    実質的にシンジオタクティック構造であるプロピレン成分を99〜65モル%の量含み、αオレフィン成分(C3を除くC2〜C20)を1〜35モル%の量含む非晶性シンジオタクティック構造プロピレン−αオレフィン共重合体(B)10〜60重量部
    (C)架橋剤0〜10重量部
    を含有するシンジオタクティックプロピレン系共重合体組成物。
  2. 請求項1に記載の実質的にシンジオタクティック構造プロピレン−αオレフィン共重合体(B)のαオレフィンがエチレン、ブテン、オクテンから選ばれることを特徴とする請求項1に記載のシンジオタクティックプロピレン系重合体組成物。
  3. 請求項1ないし2に記載のシンジオタクティックプロピレン系重合体組成物からなる成形体。
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