JP2004210857A - 有機・無機ハイブリットの製造方法および電子写真方式の複写機またはプリンター用ロール部材およびベルト部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】両末端または片末端に金属アルコキシドと反応可能な官能基を有する有機ケイ素化合物溶液を加熱処理して水分および低分子量成分を除去すること、加熱処理した有機ケイ素化合物溶液に金属アルコキシドを添加して有機・無機ハイブリットゾル液を調製すること、該ゾル液を加熱ゲル化すること、以上からなる有機・無機ハイブリット材料を提供する。上記有機・無機ハイブリット材料を基材に塗布等をすることにより表面平滑性、離型性に優れ、低硬度で耐熱性を有する弾性材料が製造される。該弾性材料は電子写真方式の複写機やプリンターのロール部材やベルト部材の材料として有用である。
【選択図】 なし
Description
【産業上の利用分野】
本発明は例えば電子写真方式の複写機あるいはプリンターに使用される定着ローラの弾性層や表面被覆材、中間転写ベルトあるいは定着ベルトの表面被覆材等として用いられる有機・無機ハイブリットの製造方法および有機・無機ハイブリットを用いた電子写真方式の複写機やプリンタに使用されるロール部材またはベルト部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
両末端または片末端に金属アルコキシドと反応可能な官能基を有する有機ケイ素化合物と金属アルコキシドとからゾルゲル法によって合成される有機・無機ハイブリットは、200℃以上の耐熱特性と低硬度を有し、有機成分の疎水基による撥水効果にも優れている。この材料は例えば電子写真方式の複写機、プリンタ用の定着ローラの弾性層や表面被覆材、あるいは中間転写ベルトおよび定着ベルト等の表面被覆材として有用である。
上記有機・無機ハイブリット材料は、該有機ケイ素化合物の溶液に金属アルコキシドを反応させ有機・無機ハイブリットゾル液を調製し、該ゾル液を加熱処理する方法によって製造されるのが一般的である(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−222176号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記ゾルゲル法によるハイブリット合成方法では、該有機ケイ素化合物の溶液中に金属アルコキシドを滴下して反応させるが、この際原液のまゝでは相溶性が悪いため、一般に該有機ケイ素化合物と金属アルコキシドとの双方に相溶性を有する共溶媒が添加される。しかしこの共溶媒を使用しても、用いる有機ケイ素化合物によっては、微量に存在する水分等によって液に濁りが生じ均質な反応が出来なくなる。また、該反応液中に水分が存在すると、該水分によって金属アルコキシドが加水分解・重縮合反応し、金属成分の析出が起り、該金属成分は反応活性を有するので有機・無機ハイブリット合成反応に干渉し、有機・無機ハイブリットの順調な生成を妨害する。
一般的には該金属成分の反応活性を押さえるためエステル化合物等による化学修飾によって金属アルコキシドを前処理することが行われる。しかし、このような副原料の使用は、水分等の混入を招き、長期の保存を困難とするだけでなく、ハイブリット膜等の均質性を下げる原因となってくる。また前記したように、金属アルコキシドと有機ケイ素化合物の相溶性が悪いので、合成時の金属アルコキシドの滴下速度を充分遅くする必要がある。しかし滴下速度を充分遅くすれば合成に要する時間がかゝり、反応中にゲル化の進行が起こることからスケールアップによる量産化の障害となっていた。
更に有機ケイ素化合物には低分子量成分が含まれており、合成された有機・無機ハイブリットにこのような低分子量成分が残存していると、有機・無機ハイブリットからなる材料からブリードアウトやべたつきが発生したり、弾性層の機械的性質に悪影響が出たりする上、使用時に低分子成分がガスとして発散するという問題もある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、両末端または片末端に金属アルコキシドと反応可能な官能基を有する有機ケイ素化合物溶液を加熱処理して水分および低分子量成分を除去すること、そして所望なれば該有機ケイ素化合物溶液の加熱処理を酸および/または塩基の存在下にて行うことによって該有機ケイ素化合物を変性して金属アルコキシドとの相溶性を向上させ、更に水分および低分子量成分を除去することによって金属アルコキシドの加水分解・重縮合による析出を抑制することにより、配合条件の自由度を大きくして円滑な有機・無機ハイブリットの合成を可能にし、スケールアップによる量産性を可能としたゾルゲル法による有機・無機ハイブリットの製造方法を提供し、あわせて上記有機・無機ハイブリットゾル液を金属シャフト、または樹脂ベルト等の基材上に塗布し、加熱処理することによって得られる有機・無機ハイブリットからなる弾性層または被膜を形成した電子写真方式の複写機、プリンタに使用されるロール部材あるいはベルト部材が提供される。
【0006】
【作用】
両末端または片末端に金属アルコキシドと反応可能な官能基を有する有機ケイ素化合物溶液を加熱処理して水分および低分子量成分を除去すれば、金属アルコキシドを該溶液中に滴下した場合、該金属アルコキシドが水分等によって分解・重縮合反応してゾル中に析出し白濁することが抑制出来る。したがって金属アルコキシドの滴下速度を従来のゾルゲル法に比べ早くすることが出来る。
更に上記加熱処理の際、該有機ケイ素化合物に酸および/または塩基を存在させることによって、該有機ケイ素化合物を変性して金属アルコキシドとの相溶性を向上せしめれば、更に金属アルコキシドの分解・重縮合反応を抑制することが出来、金属アルコキシドの添加速度を更に早くすること(従来のゾルゲル法に比べて略20倍)が出来る。
また得られた有機・無機ハイブリットからなる材料には低分子量成分が殆ど含まれていないので、ブリードの発生も抑制され、またべたつきも少ない上、機械的性質も向上する。また、化学修飾剤や共溶媒を使用する場合も使用量を減らすことが出来、収縮率が低くなることから、成形性、形状安定性も向上する。またゾルの保存においても、反応性の成分比率が低いため長期保存が可能となる。
本発明を以下に詳細に説明する。
【0007】
【発明の実施の形態】
〔金属のアルコキシド〕
本発明で使用される金属アルコキシドの金属の種類としては、ホウ素、アルミニウム、ケイ素、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、ランタン、セリウム、カドミウム、タンタル、タングステン等のアルコキシドを形成し得る金属が挙げられるが、特に望ましい金属はチタン、ジルコニウム、ケイ素、アルミニウムである。
またアルコキシドの種類としては特に限定されることなく、例えばメトキシド、エトキシド、プロポキシド、ブトキシド等が挙げられる。
上記金属アルコキシドはアセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸イソプロピル等のアセト酢酸エステル等の化学修飾剤によって化学修飾されることが望ましい。
【0008】
〔有機ケイ素化合物〕
本発明の両末端または片末端に金属アルコキシドと反応可能な官能基を有する有機ケイ素化合物としては、例えば、ジアルキルジアルコキシシラン、望ましくは両末端または片末端シラノールポリジメチルシロキサンのようなポリオルガノシロキサン等を使用することが出来る。
該ジアルキルジアルコキシシランとしては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジプロポキシシラン、ジエチルジブトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジプロピルジプロポキシシラン、ジプロピルジブトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジプロポキシシラン、ジフェニルジブトキシシラン等が挙げられる。
上記ポリオルガノシロキサンは、一般に重量平均分子量が400〜20000の範囲にあるが、耐熱性およびゲル化容易性の点からみて重量平均分子量は5000〜10000の範囲であるのものが好ましい。
また該ポリオルガノシロキサンは両末端または片末端に水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基等の官能基を有することが望ましい。このような官能基を有するポリオルガノシロキサンは、金属アルコキシドと円滑に反応し易い。
上記有機ケイ素化合物は、例えばメタノール、エタノール等の各種アルコールの他、ヘキサン、アセトン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン等の溶液として提供される。
【0009】
〔有機・無機ハイブリットゾル液の調製〕
上記有機・無機ハイブリットゾル液の調製するには、所望の金属アルコキシドと、上記両末端または片末端に金属アルコキシドと反応可能な官能基を有する有機ケイ素化合物とを反応させ、有機・無機ハイブリットゾル液を調製する。
具体的には、上記有機ケイ素化合物溶液中に上記金属アルコキシドあるいは所望なれば上記化学修飾剤によって修飾された金属アルコキシドを滴下するが、本発明にあっては上記有機ケイ素化合物溶液を、水分や低分子量成分を除去するために加熱処理する。水分除去を行えば、有機ケイ素化合物溶液中に金属アルコキシドを添加した場合、該金属アルコキシドの残存水分による加水分解・重縮合が防止出来、金属アルコキシドの添加速度を早めて有機・無機ハイブリット合成を短時間に行うことが出来、また低分子量成分残存による有機・無機ハイブリットのべたつき、機械的強度の劣化等の不具合を効果的に解消することが出来る。
【0010】
上記加熱処理において、該有機ケイ素化合物溶液には塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸等を添加して酸処理、あるいはアンモニア等を添加して塩基処理されることが望ましい。該酸または塩基は、通常、有機ケイ素化合物溶液のpHが1〜12の範囲になるように有機ケイ素化合物溶液に添加される。上記酸または塩基処理によって該有機ケイ素化合物は変性され、該金属アルコキシドとの相溶性が向上し、金属アルコキシドの分解・重縮合反応を更に抑制出来、金属アルコキシドの添加速度を更に早くすることが出来る。
【0011】
有機ケイ素化合物溶液に添加される金属アルコキシドを化学修飾剤によって化学修飾する場合、本発明では該有機ケイ素化合物溶液は加熱処理によって水分を除去されているので、該化学修飾剤の添加量は従来よりも少なくすることが出来、該化学修飾剤は金属アルコキシド1モルに対して1.5モル以下の量、望ましくは0.5モル以上の量で使用される。
【0012】
上記金属アルコキシドの該有機ケイ素化合物に対する添加量は、通常質量比率で3:90〜70:30の範囲とする。また該金属アルコキシドに対して該有機ケイ素化合物は80体積%程度であることが望ましい。上記比率よりも金属成分が多いと該金属成分が粒塊を形成して、得られる有機・無機ハイブリット材料にうねりや気孔が形成され、また有機ケイ素化合物が多いと該材料の表面にタックを生じる恐れがある。
【0013】
上記有機・無機ハイブリットゾル液には、所望により、例えば、アルミナ、酸化チタン、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、シリカ等の良熱伝導粉末、およびグラファイト、カーボンブラック等の導電性粉末が添加されてもよい。該良熱伝導材粉末の粒度は通常50nm〜30μm程度である。上記粉末は有機・無機ハイブリットゾル液に添加され、通常添加量は上記有機・無機ハイブリット材料に対して5〜95質量%程度添加される。このように良熱伝導材が添加された有機・無機ハイブリットからなる材料は放熱性が良好で電子機器や電子写真方式複写機、プリンターの絶縁、放熱部材の材料として好適である。更に上記ゾル液に酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、粘度調節剤等の充填剤がされてもよい。
以上のようにして得られる有機・無機ハイブリットゾル液は、白濁化することなく、かつポットライフの長いゾル液となる。
【0014】
上記ゾル液は、所望の基材表面に塗布され、その後、加熱処理されて有機・無機ハイブリット弾性層や被膜とされる。あるいは、金型等によりシート状、もしくは一定膜厚の弾性層に成形することも可能である。
該有機−無機ハイブリットの弾性層や被膜は、表面平滑性に優れ、電子写真方式の複写機やプリンター用のロール部材やベルト部材に応用した場合、光沢を有する高画質画像が得られる。かつ有機成分の疎水性基の特徴により、トナーの離型性に優れる。従って該弾性層や被膜は、電子写真方式の複写機、プリンター等の画像形成装置の定着システムに使用される定着部材の表面層として有用である。
該定着システムとは、上記画像形成装置において、紙等の画像支持体に転写された未定着のトナー画像を加熱、加圧により該画像支持体に定着させるシステムのことであり、また該定着部材とは該定着システムに使用される定着ベルト(1,11)および定着ローラ(21)である。
【0015】
ここで、上記定着ベルト(1,11)および定着ローラ(21)を使用する定着システムについて説明する。
図1に定着ベルト(1) を使用した定着システムを示す。該定着ベルト(1) は加熱ローラ(2) および剥離ローラ(4) に懸架され、加圧ローラ(3) が該加熱ローラ(2) に対向して配置し該定着ベルト(1) に当接する。
未定着のトナー画像が形成された紙P等の画像支持体は、送りコンベア(7) より定着ベルト(1) と加圧ローラ(3) との間に搬送され、その間で加熱押圧されトナー画像が画像支持体に定着される。該画像支持体は引続きフィン付冷却部(5) により冷却され、冷却された画像支持体は、定着ベルト(1) の曲率が大きくなる剥離ローラ(4) の箇所において定着ベルト(1) から剥離される。なお加熱ローラ(2) とフィン付冷却部(5) との間には断熱部(6) が設けられており、加熱ローラ(2) による加熱およびフィン付冷却部(5) の冷却の双方が効率よく実施される。
【0016】
図2に定着ベルト(11)を使用した他の定着システムを示す。該定着ベルト(11)は駆動ロール(12)、被駆動ロール(13)、およびテンションロール(14)に懸架され、加熱ローラ(15)が圧接する。該定着ベルト(11)と加熱ローラ(15)とは等速回動してその間には送りロール(16)からトナー画像を転写した紙P等の画像支持体が送込まれ、トナー画像の定着が行なわれる。定着後、加熱ローラ(15)に付着したトナーはクリーニングロール(17)によって除去される。
【0017】
図3に定着ローラ(21)を使用した定着システムを示す。該定着ローラ(21)は加熱ローラ(22)と、加熱ローラ(22)に圧接する加圧ローラ(23)とからなり、送りコンベア(24)から等速回転する加熱ローラ(22)および加圧ローラ(23)間に送込まれた紙P等の画像支持体に転写されているトナー画像を構成するトナーを溶融して該トナー画像を画像支持体に定着する。定着後加熱ローラ(22)に付着したトナーはクリーニングロール(25)によって除去する。
【0018】
上記定着システムの定着部材に使用される基材としては、定着ローラの場合は円筒状の芯金あるいは該芯金を内挿した樹脂基材、定着ベルトの場合には樹脂基材が使用される。該樹脂基材を構成する原料樹脂としては、例えば、ポリアミドイミド樹脂(PAI)、ポリエーテルイミド樹脂(PEI)、ポリイミド樹脂(PI)等の公知の耐熱性樹脂が挙げられ、それぞれ単独でまたは混合して用いられ、あるいはポリマーアロイとして使用される。
【0019】
なお上記ゾル液を基材表面に塗布する方法としては、例えば、ディップコート、スプレーコート、ロールコート、フローコート等の公知の塗布方法が適用される。塗布工程は、1回のみ行っても複数回行っても良く、また該有機・無機ハイブリット被膜は1コートからなるものであってもよいし、複数コートからなるものであってもよい。
【0020】
加熱処理の条件は、80〜200℃×30分〜6時間であることが望ましい。焼成においては、100〜150℃の間で、一旦昇温を止め、一定温度で放置して溶剤の揮発や脱水縮合反応を進めることが望ましい。
【0021】
上記定着部材の基材上に形成される有機・無機ハイブリットゾル被膜の厚さは、定着ローラ(21)のように芯金上あるいは芯金を内挿した樹脂基材上に該被膜が直接弾性層として形成される場合には、通常、0.2〜40mmとされ、また定着ベルト(1,11)のように樹脂基材上に該被膜が薄膜として形成される場合には、通常、0.05〜100μmとされる。
【0022】
本発明のゾル液より得られる有機・無機ハイブリットゾル被膜は、上記画像形成装置の定着部材の表面層以外に、例えば、該画像形成装置の転写部材あるいは転写定着部材の表面層として使用されてもよい。該転写部材とは、該画像形成装置の感光体状に形成されたトナー画像を紙等の画像支持体に転写するために使用される中間転写ベルトまたは中間転写ドラムのことであり、該転写定着部材とは、転写と定着の両方を行う転写定着ベルトのことである。
【0023】
本発明の有機・無機ハイブリットゾル被膜の基材に対する密着性を向上せしめるために、該基材表面に、酸、アルカリ等の化学薬品による処理、プラズマ化して活性化した酸素やアルゴン等の活性ガスによる処理、プライマー処理等の処理を施してもよい。
【0024】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお本発明は実施例により限定されるものではない。
【0025】
〔実施例1〕
両末端シラノールポリジメチルシロキサン0.35モル、無水エタノール2.5モルの溶液に塩酸0.08モルを添加して、加熱攪拌し水分および低分子量成分を除去してA液とした。該A液のpHは2.5であった。
Tiイソプロポキシド1モル酢酸エチル1.5モルの溶液を調製しB液とした。
上記A液を攪拌しつゝB液を一気に投入してゾル液を調製した。
【0026】
ポリイミド樹脂およびカーボンブラックからなる導電性の樹脂ベルト基材(直径:300mm,長さ:330mm)を十分に洗浄した後、フローコートマシーンにセットし、該フローコートマシーンの吐出部を0.15mm/sec.の速さでトラバースさせ、該樹脂ベルト上に上記ゾル液を塗布した。その後、空気雰囲気下、200℃で0.5時間、300℃で0.2時間加熱し、厚さ80μmの有機・無機ハイブリット被膜を形成された中間転写ベルトを得た。
【0027】
このようにして得られた中間転写ベルトの表面の接触角、電気抵抗値(表面抵抗値、体積抵抗値)、表面硬度を測定した。結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
また、得られた中間転写ベルトの表面に粘着テープ(住友3M社製,スコッチテープNo.600)を貼着した後、該粘着テープを瞬時に剥がしたところ、上記有機・無機ハイブリット皮膜の剥離は発生せず、該有機・無機ハイブリット皮膜の密着性は良好であった。
さらに、得られた中間転写ベルトを電子写真式複写機(富士ゼロックス社製)に組み込んだところ、オフセットやフィルミングの問題がなく、転写精度の高い高画質な画像が普通紙に形成された。
【0030】
〔比較例1〕
実施例1のA液を加熱処理により水分や低分子量成分を除去することなく金属アルコキシドを滴下した。滴下速度は、初期が0.05ml/分とする必要があった。それ以上の速度では、液に濁りが発生し、金属生成物を析出させてしまう。金属アルコキシドの滴下速度を遅くした結果、4時間にわたって滴下する必要があった。実施例1と同様にして、厚さ80μmの有機・無機ハイブリット被膜を形成した。
この被膜は実施例1の被膜に比べてトナー離型性に劣り、合成装置のスケールも大きく出来ないという課題を生じた。
【0031】
〔実施例2〕
両末端シラノールポリジメチルシロキサン(重量平均分子量6000、GE東芝シリコーン製YF3800)0.20モルと無溶剤アルコキシシラン(GE東芝シリコーン製XR31−0270)0.15モルを、無水エタノール2.0モル溶液に、更に氷酢酸0.03モルを添加し、加熱攪拌して水分および低分子量成分を除去しつゝ両末端シラノールポリジメチルシロキサン溶液を調製した。溶液のpHは3であった。
一方、チタンテトライソプロポキシド1モルとアセト酢酸エチル0.5モルとを窒素雰囲気下で反応させて、アセト酢酸エチルで化学修飾されたチタンテトライソプロポキシドを調製し、該チタンテトライソプロポキシドを上記両末端シラノールポリジメチルシロキサン溶液に滴下し、攪拌してゾル液を調製した。上記ゾル液に平均粒径50nmの窒化ホウ素粉末を添加した。添加量は該ゾル液中の有機・無機ハイブリットに対して10質量%とした。
得られたゾル液を、金属ロール基材上にフローコーターで塗布した。塗布後、空気雰囲気下、80℃で30分、120℃で30分、200℃で30分加熱し、ゾル液を加熱ゲル化処理させて厚さ0.6mmの有機−無機ハイブリット被膜が形成された定着ロールを得た。
得られた定着ロールの性能を評価した結果を表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】
〔実施例3〕
両末端カルビトールポリジメチルシロキサン(重量平均分子量1500、信越化学製)0.25モル、無水エタノール2.0モルの溶液に、更に塩酸0.03モルを添加し、加熱攪拌してエタノールを還流させ、水分および低分子量成分を除去しつゝ両末端カルビトールポリジメチルシロキサン溶液を調製した。溶液のpHは2.0であった。
一方、ジルコニアブトキサイド1モルとアセト酢酸エチル0.5モルとを窒素雰囲気下で反応させて、アセト酢酸エチルで化学修飾されジルコニアブトキサイドを調製し、該ジルコニアブトキサイドを上記両末端カルビトールポリジメチルシロキサン溶液に滴下し、攪拌してゾル液を調製した。上記ゾル液に平均粒径2μmと50nmの窒化ホウ素粉末2種類を混合した後70質量%添加し、3本ロールミルを用いて混練りした。
得られたゾル液を、PFA製のシャーレに入れ、脱泡処理の後空気雰囲気下、80℃で30分、120℃で30分、250℃で30分加熱し、5mm厚の有機・無機ハイブリットシートを得た。上記ハイブリットシートは実施例1、実施例2と同様な性能を示した。
【0034】
【発明の効果】
本発明にあっては、ゾルゲル法を用いた有機・無機ハイブリット合成を量産可能な実用的手法に引き上げるとともに、電子写真印刷における高画質化対応を可能とする表面平滑性、表面離型性に優れた低硬度耐熱弾性材料を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】定着ベルトによる定着システムの説明図
【図2】定着ベルトによる定着システムの説明図
【図3】定着ローラによる定着システムの説明図
【符号の説明】
1,11 定着ベルト
21 定着ローラ
Claims (5)
- 両末端または片末端に金属アルコキシドと反応可能な官能基を有する有機ケイ素化合物溶液を加熱処理して水分および低分子量成分を除去すること、
加熱処理した該有機ケイ素化合物溶液に金属アルコキシドを滴下して有機・無機ハイブリットゾル液を調製すること、
該ゾル液を加熱ゲル化すること、
以上からなる有機・無機ハイブリットの製造方法。 - 該有機ケイ素化合物は酸および/または塩基の存在下に加熱処理される請求項1に記載の有機・無機ハイブリットの製造方法。
- 該金属アルコキシド1モルに対してアセト酢酸エステルを1.5モル以下の量で添加することによって該金属アルコキシドが化学修飾されている請求項1または2に記載の有機・無機ハイブリットの製造方法。
- 該請求項1〜3に記載のゾル液を金属シャフト上に塗布し、加熱処理することによって有機・無機ハイブリットからなる弾性層を形成したことを特徴とする電子写真方式の複写機またはプリンター用ロール部材。
- 該請求項1〜3に記載のゾル液を樹脂ベルト基材に塗布し、加熱処理することによって有機・無機ハイブリットからなる被膜を形成したことを特徴とする電子写真方式の複写機またはプリンター用ベルト部材。
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