JP2004209364A - 環境浄化方法、窒素除去方法および集積培養方法 - Google Patents

環境浄化方法、窒素除去方法および集積培養方法 Download PDF

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明 平石
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正浩 江口
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Abstract

【課題】水環境あるいは土壌から窒素除去を効果的に行う。
【解決手段】活性汚泥などをPCLを含む無機培地(PCLN)培地で、脱窒条件下で培養する。これによって、生分解性プラスチックを電子供与体として脱窒条件下で生育可能な複合微生物群集が集積培養される。そして、培養された複合微生物群集を生分解性プラスチック粉末あるいは成形固形物とともに、水溶液、廃水、水環境、土壌に添加することにより、対象環境の窒素除去を行う。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生分解性プラスチック、生分解性プラスチックを利用する環境浄化に関する。
【0002】
【従来の技術】
水環境中の窒素は、リンとともに富栄養化の原因となる物質であり、廃水処理において如何に効率的に窒素を除去できるかが重要な課題となっている。また、多量の窒素化合物を含む土壌は、地下水や周辺水環境への硝酸塩汚染の原因となっている。
【0003】
窒素除去法としては、物理化学的方法と生物学的方法とがあるが、コストや2次処理の面から後者が一般的に用いられている。生物学的窒素除去の原理は、窒素の主体物質である硝酸塩を微生物の脱窒作用により窒素まで還元し、空中に排出することである。この生化学反応においては、順に硝酸還元酵素、亜硝酸還元酵素、一酸化還元酵素、亜酸化窒素還元酵素が作用し、それぞれが基質からの電子を用いて窒素化合物を還元することにより脱窒までに至る。
【0004】
現行の廃水処理過程では有機物(BOD源)除去が行われた後、窒素除去工程に至るため、窒素除去に必要な有機物、すなわち電子供給源が不足しやすい。それ故、微生物が利用しやすい電子供与体を如何に確保するかが、窒素除去における効率上昇の鍵である。
【0005】
現在窒素除去過程においては、廃水の前処理で得られた懸濁浮遊物(SS)を電子供与体として用いるか、または系外からメタノール、酢酸などの低分子有機物を電子供与体として添加している。しかし、これらの方法ではメタノール、酢酸などを用意しなければならず、労力や時間的に余分な工程が必要となり、また有機物添加による2次有機汚濁の懸念される等の欠点がある。
【0006】
上記の問題を克服する手段の一つとして、固形有機物を電子供与体として用いるいわゆる固相脱窒法が考えられる。既に、木片等の固体担体を水中に浸して窒素除去を行うことが経験的に知られている。しかし、これらの方法については、生物学的原理も技術的基盤も十分構築されておらず、安定した処理を行うことは難しい。
【0007】
また、固形担体として生分解性プラスチックを添加する廃水処理について、いくつかの報告がある。例えば、生分解性プラスチックの材料の一つであるポリβ−ヒドロキシ酪酸(PHB)を活性汚泥や廃水中に添加することによる窒素除去を試みた報告がある(非特許文献1)。生分解性プラスチックの材料としてPHBがあり、その生分解特性はよく研究されている(非特許文献2)。また、PHBの3−ヒドロキシ酪酸(HB)ユニットの中にヒドロキシ吉草酸(HV)ユニットを任意に共重合化した生分解性プラスチック(PHBV)は、バイオポールの名で商業生産されている。その分解菌は土壌、海水、下水等のさまざまな環境から見つかっており(非特許文献3)、PHBV分解性の脱窒細菌も報告されている(非特許文献4)。さらに、生物分解性プラスチックを利用する脱窒処理プロセスについての提案もある(特開2000−153293号公報)。
【0008】
【非特許文献1】
田代ら、「水環境学会年会講演要旨集」(2−E−14−1) 、1998年、、p312
【非特許文献2】
斎藤、「生分解性プラスチックハンドブック」 生分解性プラスチック研究会編、エヌ・ティーエス、1995、p.444〜453
【非特許文献3】
山下、「生分解性プラスチックハンドブック」 生分解性プラスチック研究会編、エヌ・ティーエス、1995、pp.593〜600
【非特許文献4】
J.Biedermann et al.,Can.J.Microbiol.,43,561〜568[1997]
【特許文献1】
特開2000−153293号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このように、生分解性プラスチックを利用した窒素除去について、いくつかの報告があるが、具体的にどの種類の生分解性プラスチックが窒素除去に特に有効であるか知られておらず、またこれら生分解性プラスチックを用いて安定した窒素除去を行うための技術もほとんど確立されていない。また、PHBVは、その生産コストが高いという問題もある。
【0010】
本発明は、生分解性プラスチックを利用した効率的な環境浄化、特に窒素除去を行う方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
生分解性プラスチックとして、ポリカプロラクトン(PCL)があり、土壌中で分解することが知られている。このPCLについては、化学合成により商業生産されている(例えば、ダイセル化学工業製セルグリーンPH)。なお、この誘導体としては、ポリカプロラクトンジオール、ポリカーボネートジオール、ポリカプロラクトンポリオール、ラクトン変性(メタ)アクリレート、ラクトン変性アクリル樹脂、ラクトン変性エポキシ樹脂などがあり、これらも商業生産されている。
【0012】
本発明は、これらPCLおよびPCL誘導体、PCL混合物を利用することにより、効率的に低コストで環境浄化を行うものである。
【0013】
本発明では、電子供与体が生分解性プラスチックという固形担体であるため、有機物流出などの2次汚染が解決できる。また、生分解性プラスチックを微生物の固定化材として利用できる。
【0014】
具体的には、生分解性プラスチックPCLを投入することにより、脱窒機能を有する複合微生物群集を増殖させ、安価で効率的な窒素除去を行う。さらに、溶存酸素濃度およびpHを制御することにより、安定した固相窒素除去を行う。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0016】
ここで、生分解性プラスチックPCLを分解して脱窒反応を行うとされる具体的な微生物種は報告されていない。そこで、既存微生物保存施設より生分解性プラスチック分解菌を入手し、PCLを唯一の電子供与体とする脱窒活性を試験した。また、活性汚泥、河川水、土壌から生分解プラスチック分解菌を分離し、同様に脱窒活性を試験した。その結果、いずれの微生物株においてもPCLを用いる脱窒活性は認められなかった。
【0017】
一方、いくつかの都市下水処理場から活性汚泥を入手し、粉末PCLを混入させ、脱窒条件下(通気なし、撹拌条件)で培養を行った。そして、この過程でPCL分解性脱窒菌を集積し、かつ窒素除去率の変化をモニタリングした。その結果、PCL投入後急激に窒素除去率が上昇し、培養1カ月以降に最大の窒素除去速度が得られることがわかった。また、これらのPCL集積培養物からPCL分解性脱窒細菌を分離し、PCL集積培養物と同様の窒素除去特性を有することを見いだした。
【0018】
これについて、図面に基づいて説明すると、図1(a)に示すように、都市下水活性汚泥、生物膜、あるいは類似の水処理系混液を用意する。また、硝酸および各種無機塩を含有する培地にPCLを添加したPCLN培地を用意し、これを用意した微生物を添加する。そして、脱窒条件下で集積培養する。この際、定期的に上清を培地(PCLN培地からPCLを除いたもの)と入れ替える。これにより、再現性よく容易に窒素除去活性を有するPCL集積複合微生物を得ることができる。
【0019】
そして、得られた集積複合微生物を固相脱窒リアクター内のPCLで製作した担体に固着または付着保持し、ここに硝酸または亜硝酸含有水を流通する。ここで、担体は、PCLを成形し、接触ろ材のような形状としてもよいし、また粉末としてもよい。粉末の場合には、攪拌して浮遊させて利用することが好適である。
【0020】
このようにして、集積複合微生物によって、脱窒処理が行われ、水中の窒素除去が行える。なお、最初に培養した集積複合微生物を投入すれば、その後は基本的に培養微生物の投入は必要ない。また、PCLを電子供与体として、脱窒処理を行うと、メタノールなどを電子供与体として利用した場合に比べ、汚泥生成量が少なくなる傾向が見られる。これは、PCLが微生物が通常体内に蓄積しようとする有機物と類似するため、微生物が体内に蓄積しようとする有機物量が少なくなるためではないかと推察される。
【0021】
なお、培養物から、PCL分解性脱窒菌を分離することも可能であるが、単一のPCL分解性脱窒菌を用いるよりもむしろ集積複合微生物を利用することで高い窒素除去活性を得ることができることが確認されている。
【0022】
また、図1(b)に示すように、窒素除去を行いたい処理系(例えば、廃水槽)にPCLを添加し、特定脱窒条件下で一カ月以上馴致する。これにより、図1(a)において培養した場合と同様に、PCLを電子供与体として脱窒処理を行う集積複合微生物を得ることができる。そこで、これをPCL担体に保持する固相脱窒リアクターによって、同様な処理を行うことができる。
【0023】
さらに、図1(a)、図1(b)においては、処理対象を水としたが、同様の処理効果は土壌系でも達成できる。
【0024】
この場合、処理対象となる土壌中に、集積複合微生物を保持したPCL担体を適当な密度で散布または埋設すればよい。
【0025】
次に、上記複合微生物の集積法、およびその集積培養物を水中の窒素除去法について、さらに具体的に説明する。
【0026】
まず、活性汚泥または廃水処理系生物膜および生育に適するPCL入りの無機塩培地(PCLN培地)を培養槽に入れ、3〜4日を一回分とする連続回分(sequencing batch)培養を行う。培養時は、菌体およびプラスチックが分散するように撹拌するが、通気は行わない。一回分ごとに上清の半分量を新しい無機塩培地と交換する。培養期間内は培養液のpHは通常6.5〜8.5の間に保たれているが、このpH範囲を越える場合には回分毎に適宜希硫酸および希カセイソーダを用いてpH調整する。馴致には約一カ月を要し、この培養期間以降の馴致複合微生物を窒素除去のための種菌として利用する。
【0027】
得られた菌体含有培養液は生分解性プラスチックとともにそのまま廃水に添加してもよいが、培養液を遠心分離または膜分離して得られる菌体を散布してもよい。また、得られた菌体を乾燥して用いることも可能である。水中の窒素濃度に応じて、複合微生物菌体および生分解性プラスチックの添加量は変える。菌体の添加は通常一度のみでよいが、生分解性プラスチックは完全に分解される前に適宜補充添加する。
【0028】
上記複合微生物の集積法、およびその集積培養物を土壌中の窒素除去に用いる方法は以下の通りである。まず、コンポスト、活性汚泥、あるいは廃水処理系生物膜の一定量と培養土(市販の園芸土で代用できる)を培養槽に入れる。培養槽は植木鉢等で代用してもかまわない。次に、PCL入りの無機塩培地(PCLN培地)を培養槽に入れ、3〜4日を一回分とする連続回分(sequencing batch)静置培養を行う。一回分ごとに培養槽全体をかき混ぜ、新しい無機塩培地を添加する。培養期間内は土壌のpHは通常6.5〜8.5の間に保たれているが、このpH範囲を越える場合には回分毎に適宜希硫酸および希カセイソーダを用いてpH調整する。また、培養槽内の含水率は40%前後に保つようにする。
【0029】
馴致には約一カ月を要し、この培養期間以降の馴致複合微生物を窒素除去のための種菌として利用する。得られた複合微生物含有土壌は生分解性プラスチックとともにそのまま処理対象となるに土壌系に添加する。得られた菌体含有土壌を乾燥して用いることも可能である。土壌中の窒素濃度に応じて、複合微生物含有土壌および生分解性プラスチックの添加量は変える。菌体含有土壌の添加は通常一度のみでよいが、生分解性プラスチックは完全に分解される前に適宜補充添加する。
【0030】
処理対象となる水環境中あるいは土壌環境中にPCLを投入し、脱窒条件下で集積培養することにより、馴致された複合微生物群集に変えることができる。この条件下で集積される複合微生物群集には主としてアルカリゲネス科、コマモナス科(family Comamonadaceae)の菌属およびシュードモナス属が含まれる。アルカリゲネス科に該当する属としてアルカリゲネス(Alcaligenes)、アクロモバクター(Achromobacter)がある。また、コマモナス科に該当する属としてアシドボラックス(Acidovorax)、アクアバクテリウム(Aquabacterium)、ブラキモナス(Brachymonas)、コマモナス(Comamonas)、デルフティア(Delftia)、ヒドロゲノファーガ(Hydrogenophaga)、イデオネラ(Ideonella)、レプトスリックス(Leptothrix)、ポーラロモナス(Polaromonas)、ロドフェラックス(Rhodoferax)、ロゼアテレス(Roseateles)、ルブリビバックス(Rubrivivax)、スフェロティルス(Sphaerotilus)、バリオボラックス(Variovorax)などがある。
【0031】
PCL集積複合微生物の利用形態としては、生分解性プラスチックに固定化する方法も可能である。この場合、生分解性プラスチック担体に付着や、吸着固定化して添加する方法、生分解性プラスチックのカプセルに包埋して添加する方法のいずれでもよい。
【0032】
窒素除去に用いる電子供与体としての生分解性プラスチックは主としてPCL系の固形物である。可塑剤、混合物の投入量は窒素除去に大きな影響を及ぼさない。形態は、粉末、ペレット、フィルム、フィラメント、その他成形固形物のいずれでもよい。
【0033】
PCL集積培養物とPCL系生分解性プラスチックを用いる窒素除去技術の対象環境としては、種々の有機廃水、無機廃水、し尿、上水用原水、水棲生物用飼育水、地下水、河川、湖などの水環境、および土壌などいずれの環境でもよい。
【0034】
PCL集積複合微生物は、PCLを唯一の電子供与体として効率的に脱窒反応を行うことができる。PCLを添加した人工廃水中の窒素除去においては、最大15mg硝酸塩−N/h/g(菌体乾燥重量)の除去速度を達成できる。
【0035】
窒素除去処理の運転形態として、生分解性プラスチックを添加した水系処理槽では撹拌のみで無曝気とするか、あるいは溶存酸素2ppm以下を維持する通気量とする。代替法として、嫌気(撹拌、無曝気)−好気処理(溶存酸素4ppm以下)も可能である。溶存酸素濃度4ppm以上でも処理は可能であるが、処理効率は低下する。なお、嫌気工程における溶存酸素濃度は例えば0.5ppm以下である。嫌気−好気サイクルの時間配分は、通常1:1とするが、アンモニア濃度、硝酸塩濃度、窒素除去速度に応じて変えることが好適である。
【0036】
上記処理槽内でアンモニア態窒素濃度が硝酸態窒素(硝酸+亜硝酸)濃度を越えて存在する場合には一槽内で嫌気−好気処理を行うと除去効果を上げることができる。嫌気−好気サイクルの時間配分は1:1とし、嫌気条件は無通気、撹拌のみで溶存酸素を基本的に0.5ppm以下に維持し、好気条件では溶存酸素を2〜4ppmに維持する。また、嫌気槽と好気槽を別々に設け、直列につなぐこともできる。この場合、嫌気槽は常時撹拌、無通気とし、好気槽は常時溶存酸素濃度2〜4ppmに維持する。
【0037】
上記水系処理槽ではpH制御によって高い窒素除去率を維持できる。処理槽内の溶存酸素が2ppm以下であれば通常pHが大きく変化することはないが、pH6.5〜8.5を越えた場合には、希硫酸あるいは希カセイソーダを添加して、または他の手段を用いてpH7.5±0.5に調整する。
【0038】
【実施例】
以下、実施例に基づいて、本発明を詳述する。
【0039】
実施例1
都市下水活性汚泥にPCLを添加し、脱窒条件下で集積培養し、窒素除去能の高い集積複合微生物が得られた。
培養のための培地としてPCLN培地を用いた。
PCLN培地は以下のように調製した。
KNO:2g、(NHSO:1g、KHPO:1g、MgCl・2HO:0.2g、CaCl・2HO:0.05g、微量元素溶液SL8(表1参照):1mlを1000mlの蒸留水に溶解し(pH7.0とする)、オートクレーブする。
培地は1L容フラスコに分注し、この培地にPCL粉末(ダイセル化学工業製)10gを添加して使用した。
【表1】
Figure 2004209364
【0040】
都市下水活性汚泥を遠心分離で集め、滅菌した50mMリン酸緩衝液(pH7.0)で洗浄した後再沈し、少量の同緩衝液に懸濁した。この汚泥懸濁液を、上記1Lフラスコに最終濃度500〜2000mg乾重量/Lになるように添加し、マグネティックスターラーで撹拌しながら25℃で培養を開始した。3〜4日毎に培養上清500mlを新しいPCLN(PCLを抜いたもの)と交換し、3カ月間培養を続けた。
【0041】
1週間毎に上記培養フラスコから一定量の汚泥混液を採取し、PCLN培地10mlとダーラム管を含む20ml容試験管4本に懸濁し、余白を同液体培地で満たした後25℃で培養した。12時間毎にダーラム管中のガス発生を観察すると同時に、培養液上清中の硝酸イオンおよび亜硝酸イオンをイオンクロマトグラフィー(日立製作所製イオンクロマトグラフL7300)で定量し、窒素除去速度を算出した。また発生するガスをガスクロマトグラフィー(ジーエルサイエンス社製)で分析した。
【0042】
上記の馴致期間内における窒素除去速度を測定した結果を図2に示す。この図2は、3つの異なる活性汚泥をPCLN培地で培養したときの窒素除去活性の変化を示している。このように、馴致一カ月までに除去速度は急激に上昇し、その後定常状態になる。定常状態における平均窒素除去速度は約11mg硝酸塩−N/h/g(菌体乾燥重量)であり、最大で15mg硝酸塩−N/h/gの除去速度が得られた。また、発生するガスは窒素ガスであることを確認した。
【0043】
実施例2
都市下水活性汚泥および硝酸含有下水を用いてPCL添加および集積複合微生物添加の影響を調べ、窒素除去に積極的効果があることを確認した。
【0044】
窒素除去リアクターとして、定量ポンプおよびマグネティックスターラーを備えた2L容三角フラスコを8基用意し、それぞれに0.2%KNOを加えた濾過都市下水500mlを入れた。これらのフラスコに活性汚泥混液500ml、あるいは活性汚泥と上記集積複合微生物を乾燥重量比で1:1に混合した汚泥混液500mlを添加した。このとき、汚泥菌体初期濃度は全てのリアクターにおいて1000mg/1になるように調製した。試験区にはさらにPCL粉末100gを添加した。これらのリアクターはすべて25℃、撹拌速度120rpm/分での条件で運転を行った。一部のリアクターは、さらに溶存酸素2ppmになるように通気を行ない、好気条件下に置いた。これらの添加物の有無および運転条件の違いによって、下記の2対照区(A1、A2)および6試験区(B1〜C3)に分けた。
【0045】
A1:PCL,集積複合微生物添加ともになし。好気培養。
A2:PCL,集積複合微生物添加ともになし。好気(12時間)−嫌気(12時間)培養。
B1:PCL添加,集積複合微生物無添加。好気培養。
B2:PCL添加,集積複合微生物無添加。好気(12時間)−嫌気(12時間)培養。
B3:PCL添加,集積複合微生物無添加。嫌気培養。
C1:PCL添加,集積複合微生物添加。好気培養。
C2:PCL添加,集積複合微生物添加。好気(12時間)−嫌気(12時間)培養。
C3:PCL添加,集積複合微生物添加。嫌気培養。
【0046】
上記リアクターは3〜4日毎に上清500mlをポンプで引き抜き、新しい0.2%KNO含有下水を500mlを添加した。この回分処理を2カ月間続けた。適宜上清を採取し、硝酸イオンおよび亜硝酸イオンをイオンクロマトグラフィーで定量して窒素除去速度を算出した。
【0047】
表2に示すように、リアクターの起ち上げ3日目ではリアクターC2、C3(PCL添加、集積複合微生物添加区)において顕著な窒素除去効果を認めた。培養30日後においては、さらにPCL添加、集積複合微生物無添加区(リアクターB系列)でも同様な効果があることが認められた。
【表2】
Figure 2004209364
【0048】
土壌中の硝酸塩除去に、生分解性プラスチックおよび集積複合微生物の添加が効果があるかどうか試験した。
【0049】
市販の園芸培養土と、豊橋技術科学大学構内の園芸土を等量混合した土100gに、硝酸カリウム200mg/50mlを添加し、よく混合した後200ml容ポリエチレンカップに入れた。この容器に集積複合微生物菌体70mg、およびPCL粉末あるいはPCLペレット200mgを添加し、1週間25℃で保温した。対照として水50mlのみを添加したものを用いた。
【0050】
表3に示すように、3日後および1週間後に残存硝酸、亜硝酸濃度を測定した結果、集積複合微生物とPCL粉末の添加区においても最も除去効果が大きく、添加した硝酸塩がほとんど除去された。同様な効果は菌体とPCLペレットの添加でも認められた。またこれらの添加区では、亜硝酸塩の蓄積は認められなかった。
【表3】
Figure 2004209364
【0051】
実施例4
上記した集積複合微生物の窒素除去速度に及ぼすpHの影響を試験し、pH制御による窒素除去効率の向上を検討した。
【0052】
集積複合微生物および異なるpHに調製したPCLN培地を用いて、実施例1に示した方法で窒素除去速度を調べた。その結果を図3に示す。このように、窒素除去はpH6.5〜8.5の範囲で効率的に起こり、特にpH7.5付近で最大になることが明らかになった。この結果より、処理系のpHが極端に酸性側あるいはアルカリ側に傾いた場合においても、pHを7.5±0.5に調整することにより、処理活性を維持することが可能となった。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明により、硝酸、亜硝酸を含有している溶液、廃水、し尿、水環境、土壌等から効率的にこれらの窒素化合物を除去することが可能である。特に、本発明の集積複合微生物と生分解性プラスチックの併用は、硝酸塩除去に極めて有効であり、高濃度に硝酸塩を含む無機廃水の効率的処理にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】集積複合微生物および生分解性プラスチックを添加する窒素除去法および生分解性プラスチックのみを添加する窒素除去法の概略を示している。
【図2】都市下水活性汚泥に生分解性プラスチックを添加し、脱窒条件下で連続回分培養したときの複合微生物の馴致集積に伴う窒素除去速度の変化を示している。
【図3】集積複合微生物の窒素除去速度に及ぼすpHの影響を示した図である。

Claims (9)

  1. 生分解性プラスチックであるポリカプロラクトン(以下PCLという)、PCL誘導体またはこれらの混合物を微生物の電子供与体として利用し、環境汚染物質を除去することを特徴とする環境浄化方法。
  2. 生分解性プラスチックであるPCL、PCL誘導体、またはこれらの混合物を脱窒微生物の電子供与体として利用して土壌又は水中の窒素除去を行うことを特徴とする窒素除去方法。
  3. 生分解性プラスチックであるPCL、PCL誘導体またはこれらの混合物を被処理対象に添加し、添加したPCL、PCL誘導体またはこれらの混合物を脱窒微生物の電子供与体として利用して窒素除去を行うことを特徴とする窒素除去方法。
  4. 生分解性プラスチックであるPCL、PCL誘導体またはこれらの混合物を担体として窒素含有水中に投入して、PCL、PCL誘導体またはこれらの混合物を電子供与体として利用する脱窒微生物を集積培養することを特徴とする脱窒微生物の集積培養方法。
  5. 請求項4の集積培養によって得られた脱窒微生物を利用して水中の窒素を除去することを特徴とする窒素除去方法。
  6. 生分解性プラスチックであるPCL、PCL誘導体またはこれらの混合物を担体として窒素含有土壌中に投入して、PCL、PCL誘導体またはこれらの混合物を電子供与体として利用する脱窒微生物を集積培養することを特徴とする脱窒微生物の集積培養方法。
  7. 請求項6の集積培養によって得られた脱窒微生物を利用して土壌の窒素を除去することを特徴とする窒素除去方法。
  8. 生分解性プラスチックであるPCL、PCL誘導体またはこれらの混合物を担体として窒素含有水中に投入して、PCL、PCL誘導体またはこれらの混合物を電子供与体として利用する脱窒微生物を生育させるとともに、この担体を投入した窒素含有水への溶存酸素濃度を制御して水中の窒素を除去することを特徴とする窒素除去方法。
  9. 生分解性プラスチックであるPCL、PCL誘導体またはこれらの混合物を担体として窒素含有水中に投入して、PCL、PCL誘導体またはこれらの混合物を電子供与体として利用する脱窒微生物を生育させるとともに、この担体を投入した窒素含有水のpHを制御して水中の窒素を除去することを特徴とする窒素除去方法。
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