JP2004209328A - 有害成分含有ガスの洗浄装置および洗浄方法 - Google Patents

有害成分含有ガスの洗浄装置および洗浄方法 Download PDF

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Abstract

【課題】排ガスに含まれる有害成分(特にダイオキシン類)を効果的に除去するとともに、洗浄および/または減湿排水中の有害成分の濃度を著しく低減し得るようにした、有害成分含有排ガスの洗浄装置、およびこの装置を用いた洗浄方法を提供する。
【解決手段】排ガス湿式洗浄塔に洗浄液循環ラインおよび/または減湿水循環ラインを設け、この各ラインに湿式酸化装置を組み込んで、循環する洗浄液および/または減湿水液中のダイオキシン類を処理する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有害成分含有ガスの洗浄装置および洗浄方法、更に詳しくは廃棄物焼却施設において集塵装置の後段側に設けて、排ガス中の有害成分、特にダイオキシン類を効率よく処理するに好適な洗浄装置および洗浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に排ガス湿式洗浄塔は、廃棄物焼却設備やボイラー、焼成設備などの燃焼排ガス中に含まれる塩化水素などの有害成分を除去するために設置されており、水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液を洗浄液として用いることにより、有害成分の中和処理などを行う。ここで、排ガス中に含まれているダイオキシン類は洗浄液中に移行するが、一部のダイオキシン類は排ガス中に残存する。この排ガスは、水分を凝縮させるために減湿水によって冷却されるが、この時排ガス中のダイオキシン類の一部は減湿水中に移行する。排ガス中に残存したダイオキシン類はそのまま排ガスとともに次工程または大気中へ排出されることが多い。
洗浄液は通常、排ガス湿式洗浄塔内で循環利用された後、後段の洗浄液処理設備に送られる。洗浄液処理設備では、排ガスから洗浄液に吸収された重金属類を処理するために、凝集沈殿処理やキレート吸着処理などが施され、重金属類は汚泥として排出される。ここで、排ガス中から洗浄液中に移行したダイオキシン類の大部分は、重金属類とともに汚泥として排出される。この洗浄液処理設備は、洗浄液中の重金属類を除去するために設置されたものであり、ダイオキシン類の処理を主目的としたものではないことが一般的である。ここで発生した汚泥は最終処分場に埋め立てられることが多く、最終処分場浸出水のダイオキシン類濃度を増加させる原因になっている。洗浄液中のダイオキシン類を処理する方法は、何通りか提案されてはいるものの、未だ技術的に未確立のものが多い。
減湿水も排ガス湿式洗浄塔内で循環利用され、循環液量が一定になるように一部が引き抜かれる。引き抜かれた減湿水は洗浄液と併せて処理されることが多いが、別途処理設備が設けられる場合もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、排ガス、特に廃棄物焼却施設から排出される排ガスに含まれる有害成分、特にダイオキシン類を効果的に除去するとともに、洗浄および/または減湿排水中の有害成分、特にダイオキシン類の濃度を著しく低減し得るようにした、有害成分含有排ガスの洗浄装置、およびこの装置を用いた有害成分含有排ガスの洗浄方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意研究した結果、排ガス湿式洗浄塔の洗浄液循環ラインおよび/または減湿水循環ラインに湿式酸化装置を組み込み、循環する洗浄液および/または減湿水中の有害成分を処理することにより、上記の課題が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は次のとおりのものである。
(1) 有害成分含有ガスの湿式洗浄塔に洗浄液および/または減湿水をそれぞれ循環させるための循環ラインを設けてなる洗浄装置であって、各循環ライン中に、循環する洗浄液および/または減湿水中の有害成分を処理するための湿式酸化装置を組み込んでなることを特徴とする有害成分含有ガスの洗浄装置。
(2) 有害成分がダイオキシン類である上記(1)の有害成分含有ガスの洗浄装置。
(3) 上記(1)の洗浄装置を用いて、有害成分含有ガスを洗浄することを特徴とする有害成分含有ガスの洗浄方法。
【0005】
なお、本発明において、洗浄液のみによる洗浄、または減湿水のみによる洗浄、もしくは洗浄液と減湿水とによる洗浄のいずれであってもよいが、なかでも、洗浄液循環ラインおよび減湿水循環ラインの2つの循環ラインを個別に設けて、洗浄液と減湿水とで洗浄するのが好ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明でいうダイオキシン類とは、ポリクロロジベンゾ−p−ジオキシン(PCDDs)、ポリクロロジベンゾフラン(PCDFs)、コプラナ−PCBなどのほかに、臭素化ダイオキシン類など、一般にダイオキシン類といわれているものを意味する。
本発明の「湿式洗浄塔」とは、廃棄物焼却設備やボイラー、焼成設備などから排出される燃焼排ガス中に含まれる塩化水素などの有害成分を除去するために一般に用いられている洗浄塔を意味する。ここでは、通常、水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液を洗浄液として用い、この洗浄液を排ガスと接触させて、排ガス中の有害成分を中和処理などにより除去する。ここでいう廃棄物焼却設備とは、都市ごみの処理を目的とした一般廃棄物焼却設備や、産業廃棄物の処理を目的とした産業廃棄物焼却設備を指す。
「湿式洗浄塔」の形式は、特に限定されるものではなく、充填塔、流動層スクラバー、スプレー塔、サイクロンスクラバー、ベンチュリースクラバー、濡れ壁塔、十字流接触装置、段塔、気泡塔、ジェットスクラバー、濡れ棚塔などの形式の排ガス湿式洗浄塔を適宜用いることができる。一般的に、燃焼排ガスは焼却炉から排出された後、ろ過式集塵器や電気集塵器などの集塵装置を経て排ガス湿式洗浄塔に供給されることが多い。特に電気集塵器の後段に設けられた湿式洗浄塔に供給される排ガス中に含まれるダイオキシン類濃度は高くなる場合が多いため、本発明は電気集塵器の後段に「湿式洗浄塔」が設けられている場合に特に有効である。
本発明の「洗浄液」とは、排ガス中に含まれる塩化水素などの有害成分を除去するにために、湿式洗浄塔に一般に用いられている洗浄液を意味する。洗浄液は、特に限定されるものではなく、通常、水酸化ナトリウムなどを含むアルカリ水溶液が好適に用いられる。
本発明の「減湿水」とは、有害ガス洗浄部分を通過してほぼ水分飽和状態である排ガスの温度を下げて、排ガス中の水蒸気を凝縮させることにより、排ガス中の水分を低減し、白煙の発生を抑制するために、湿式洗浄塔に一般に用いられている冷却水を意味する。減湿水は、特に限定されるものではないが、純水や、工業用水、水道水などが用いられる。なかでも、不純物含量が少ない純水が好適に用いられる。
【0007】
図1は、本発明の「洗浄装置」の一実施態様を示す概念図であり、図2は、本発明の「湿式酸化装置」の一実施態様を示す系統図である。以下、図1、2に基づき、また有害成分としてダイオキシン類を例に挙げて本発明を詳しく説明する。
【0008】
焼却炉または焼却炉後段の集塵装置から排出された燃焼排ガスはガス供給ライン2から排ガス湿式洗浄塔1の下部に供給され、有害ガス洗浄部分12を通過する際に洗浄液と接触し、排ガス中のダイオキシン類は洗浄液中に移行する。洗浄液と接触することによりダイオキシン類濃度が低減された排ガスは、有害ガス洗浄部分12の上部に設置された減湿部分22に導入され、排ガスより低温の減湿水と接触することにより冷却され、減湿される。この時、排ガス中に残存するダイオキシン類は減湿水中に移行する。減湿された実質的にダイオキシン類を含有しない排ガスは、ガス排出ライン3から次工程または大気中へ排出される。
洗浄液は洗浄液循環ポンプ4によって洗浄液ライン5を経て洗浄液ノズル6から噴霧され、ガス供給ライン2から供給された燃焼排ガスと向流接触しながら有害ガス洗浄部分12を通過し、塔底に貯まる。塔底に貯まった洗浄液は洗浄液循環ライン7から洗浄液循環ポンプ4により引き抜かれ、循環利用される。循環利用により洗浄能力の低下した洗浄液は、洗浄排水として調節バルブ10を経て洗浄排水引抜ライン11から洗浄排水処理工程へ供給される。洗浄排水の引き抜きに伴う洗浄液の減少分は、洗浄液追加供給ポンプ9により洗浄液供給タンク8から新たな洗浄液を供給することにより補われる。この際、洗浄排水の引き抜きおよび新たな洗浄液の補給はバッチ式、連続式のいずれの方式でもよい。
【0009】
燃焼排ガス中のダイオキシン類は、排ガス湿式洗浄塔1内部の洗浄ノズル6より下の部分において洗浄液と接触することにより処理される。このとき、燃焼排ガス中に含まれるダストの大部分は洗浄液と接触したときに洗浄液中に取り込まれる。排ガス中のダイオキシン類は、排ガス中のダストに付着した状態で存在しているものの比率が高いため、そのほとんどが洗浄液と接触したときに洗浄液中にダストとともに取り込まれる。洗浄液中に移行したダイオキシン類は、湿式酸化装置13において、酸化および/または分解処理される。ここでいう酸化および/または分解とは、酸化、脱塩素、低分子化など、種々の酸化反応、分解反応のことを指す。
減湿水は減湿水ライン15を経て減湿水ノズル16から噴霧され、有害ガス洗浄部分から排出された洗浄済排ガスと向流接触しながら減湿部分22を通過し、減湿水循環ライン17から減湿水循環ポンプ14により引き抜かれ、冷却器24によって冷却された後、循環利用される。循環利用された減湿水は、減湿排水として調節バルブ20を経て減湿排水引抜ライン21から引き抜かれる。減湿排水の引き抜きに伴う減湿水の減少分は、減湿水追加供給ポンプ19により減湿水供給タンク28から新たな減湿水を供給することにより補われる。この際、減湿排水の引き抜きおよび新たな減湿水の補給はバッチ式、連続式のいずれの方式でもよい。
【0010】
洗浄済排ガス中に残存しているダイオキシン類は、減湿水と接触することにより減湿水中に移行する。減湿水中に移行したダイオキシン類は、湿式酸化装置23において、酸化および/または分解処理される。
以下、図2を参照して本発明の洗浄液循環ラインおよび/または減湿水循環ラインに組み込むことのできる湿式酸化装置について例示的に説明するが、図面は本発明の実施態様の一例を示す概略図であり、本発明で用いることができる装置をこれに限定する趣旨ではない。
【0011】
液供給ライン25からダイオキシン類を含有する洗浄液および/または減湿水をフィードポンプ26により昇圧フィードする。一方、酸素源供給ライン28からは酸素源を導入し、コンプレッサー29で昇圧した後、液に混入させる。ここで得られる気液混合物は熱交換器30で加熱され、さらに加熱器31で加熱された後、湿式酸化反応器32に導入され、ここで湿式酸化処理される。
【0012】
洗浄液および/または減湿水に含まれるダイオキシン類が低濃度である場合には、本発明の湿式酸化装置の前段に濃縮工程を設けることにより、処理効率を向上させることもできる。濃縮工程におけるダイオキシン類の濃縮方法は特に限定されるものではなく、RO膜やNF膜、UF膜等の分離膜を用いて濃縮する方法や、グラファイトカーボンなどの吸着剤を用いて濃縮する方法等を適用することができる。
【0013】
フィードポンプ26で昇圧フィードする際の空間速度(LHSV)は特に限定されず、湿式酸化処理能力によって適宜決定すればよいが、通常、好ましくは0.1hr−1以上、より好ましくは0.5hr−1以上、さらに好ましくは1hr−1以上であり、好ましくは20hr−1以下、より好ましくは10hr−1以下、さらに好ましくは5hr−1以下となるように調整することが推奨される。空間速度が0.1hr−1未満の場合、湿式酸化処理量が低下して、過大な設備が必要となることがある。また逆に20hr−1を超える場合には、湿式酸化処理が十分行えない場合がある。
【0014】
本発明の湿式酸化処理は酸素源の存在下で行うことができる。酸素源としては、特に限定されるものではなく、純酸素、酸素富化ガス、空気、オゾン、過酸化水素などを用いることができ、また、他のプラントで生じた酸素含有ガスなどを利用することもできる。これらの中でも特に空気を用いることが経済的観点から推奨される。また、純酸素やオゾンは不活性ガスなどで希釈して用いることもできる。洗浄液および/または減湿水のCOD濃度が低く、かつ該水中にCOD成分を酸化するのに十分な量の酸素が溶存している場合には、酸素源を供給せずに該水中の溶存酸素を酸素源として用いることもできる。ここでいうCOD成分とは、液中に含まれるダイオキシン類をはじめとする被酸化性物質のことを指す。
【0015】
酸素源を供給する場合の供給量は特に限定されず、洗浄液および/または減湿水中のCOD成分を分解処理するのに必要な量を供給すればよい。酸素源の供給量として好ましくは洗浄液および/または減湿水の理論酸素要求量の0.5倍以上、より好ましくは1倍以上であり、好ましくは100倍以下、より好ましくは10倍以下の酸素量であることが推奨される。酸素源の供給量が理論酸素要求量の0.5倍未満の場合は、洗浄液および/または減湿水中のダイオキシン類が十分に分解されない場合が多く、また100倍を超えて供給しても設備が大型化するだけで処理性能が向上しない場合が多い。ただし、洗浄液および/または減湿水中のCOD濃度が低く、上記範囲では酸素源の供給量が少ない場合、系内の圧力を保持できなくなることがある。この場合には、系内の圧力を保持できる量の酸素源を供給する必要がある。
【0016】
洗浄液および/または減湿水に酸素源を混入させた気液混合物は、熱交換器30に送られて予備加熱された後、さらに加熱器31で加熱されて湿式酸化反応器32に供給されるが、加熱方法は特に限定されるものではなく、熱交換器30および/または加熱器31によって加熱してもよく、さらに湿式酸化反応器32にヒーター(図示せず)などの加熱手段を設けて加熱してもよい。これらの加熱手段は単独で用いてもよく、あるいは任意に組み合わせて用いることもできる。
【0017】
また、熱交換器30に供給された洗浄液および/または減湿水は、湿式酸化反応器32で処理され排出された高温の処理液によって熱交換されてもよく、あるいは他のプラントから排出された高温の液体によって熱交換されてもよく、洗浄液および/または減湿水を加熱するための熱媒体については特に限定されない。
【0018】
気液混合物を湿式酸化反応器32に供給する方法としては、気液上向並流、気液下向並流、気液向流など種々の形態を用いることができ、特に限定されない。
【0019】
湿式酸化反応の反応温度は他の条件にも影響されるが、370℃を超えると洗浄液および/または減湿水を液相状態に保持できず、かつ設備が大型化したりランニングコストが上昇したりすることがあるので、加熱温度は370℃以下とすることが望ましい。また、触媒に炭素成分など可燃性の成分が含まれている場合には、加熱温度は触媒が燃焼しない温度にする必要があり、好ましくは200℃以下、より好ましくは170℃以下とすることが望ましい。一方、50℃未満では湿式酸化反応を効率的に行うことが困難になるので、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上とすることが望ましい。洗浄液および/または減湿水水が元々高温である場合には加熱する必要がないこともある。
【0020】
本発明の湿式酸化反応では、洗浄液および/または減湿水が液相を保持できるように圧力を適宜調節することが望ましい。
【0021】
本発明で用いる湿式酸化反応器の種類、形状などは特に限定されない。湿式酸化反応器は単管式、多管式のいずれの型式であってもよく、これらを複数組み合わせて用いることもできる。
【0022】
本発明では、湿式酸化反応器内に触媒を充填してダイオキシン類の酸化および/または分解能力を向上させることができる。本発明で湿式酸化反応器内に充填することのできる触媒としては、湿式酸化処理におけるダイオキシン類を酸化および/または分解する能力が高い触媒であればいずれも用いることができる。触媒は、固体触媒、均一系触媒のいずれであってもよく、両者を組み合わせて用いることもできる。
【0023】
固体触媒としては、湿式酸化処理に一般に用いられている固体触媒を用いることができる。具体的には、液相酸化の条件下で活性と耐久性とを兼ね備えた触媒であれば、いずれも使用することができる。例えば、チタン、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、セリウム、タングステン、銅、銀、金、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムおよびイリジウムから選ばれる少なくとも1種の元素、および/または炭素化合物を含有する触媒を挙げることができる。ここでいう炭素化合物とは、活性炭、活性コークス、グラファイトカーボン、活性炭素繊維から選ばれる少なくとも1種のことを指す。なかでも特に、次の触媒A成分と触媒B成分とを含有する固体触媒が好適に用いられる。ここで触媒A成分とは、鉄、チタン、ケイ素、アルミニウムおよびジルコニウムから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物、または炭素化合物であり、また触媒B成分とは、マンガン、コバルト、ニッケル、セリウム、タングステン、銅、銀、金、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムおよびイリジウムから選ばれる少なくとも1種の元素の金属および/または化合物である。
【0024】
触媒A成分の具体例としては、チタン酸化物、鉄酸化物、ジルコニウム酸化物などの金属酸化物、チタン酸化物−ジルコニウム酸化物、チタン酸化物−鉄酸化物などの2元または多元系酸化物(複合酸化物も含む)の他に、炭素化合物、もしくは金属酸化物と炭素化合物の混合物などを挙げることができる。触媒A成分の固体触媒に占める割合は、30〜99.95重量%の範囲が好ましく、触媒A成分を30重量%以上の割合で用いることにより、固体触媒の耐久性が向上する。
【0025】
触媒B成分の具体例としては、前記元素の金属、酸化物および複合酸化物を挙げることができる。固体触媒中の触媒B成分の割合は0.05〜70重量%とするのが好ましく、その割合を0.05重量%とすることにより、洗浄液および/または減湿水中のダイオキシン類を十分に酸化および/または分解処理することが可能となる。なお、前記元素のうち、銀、金、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムおよびイリジウム(以下、「B−1成分」という)の場合には、その金属および/または化合物の割合(合計量)は固体触媒の0.05〜10重量%とするのがよい。10重量%を超える割合で使用しても、それに相応した処理性能の向上は認められず、かえって高価な原料であるがために、固体触媒のコストアップとなって経済的に不利となる。その他の、マンガン、コバルト、ニッケル、セリウム、タングステンおよび銅(以下、「B−2成分」という)の場合には、その金属および/または化合物の割合(合計量)は固体触媒の0.05〜70重量%とするのがよい。もちろん、合計量が0.05〜70重量%の範囲において、B−1成分とB−2成分とをそれぞれ0.05%〜10重量%および0.05〜70重量%の範囲で組み合わせて用いることもできる。
【0026】
固体触媒は、触媒B成分として、B−1成分を含有している場合が特に触媒活性が高く、効果的である。特に、B−1成分の中でも、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムおよびイリジウムから選ばれる少なくとも1種の元素の金属および/または化合物を含有している場合は触媒活性が高く好ましい。B−2成分の中では、マンガン、コバルト、ニッケルおよび銅が好適に用いられる。
【0027】
触媒の形状については特に制限はなく、例えば粒状、球状、ペレット状およびリング状のいずれでもよく、またハニカム状などの一体構造体でもよい。懸濁物を含む洗浄液および/または減湿水を処理する場合には、固形物や沈殿物などにより触媒層での閉塞が起こる可能性があるので、ハニカム状のものが好適に用いられる。
【0028】
また、均一系触媒を用いる場合には、湿式酸化処理に一般に用いられている均一系触媒を用いることができる。具体的には、液相酸化の条件下で活性のある金属イオンであれば、いずれも均一系触媒として使用することができる。例えば、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、ジルコニウム、ランタン、セリウム、タングステン、銅、銀、金、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムおよびイリジウムから選ばれる少なくとも1種の元素を含有する金属イオンを挙げることができる。
【0029】
金属イオンの濃度としては、合計で5〜5000mg/リットルであればよいが、10〜3000mg/リットルであることが好ましく、50〜2000mg/リットルであることがさらに好ましい。金属イオンの濃度が合計で5mg/リットルより低い場合には、触媒作用が十分に得られない場合が多く、また5000mg/リットルを超える場合には必要以上に金属イオンを添加することになり経済的でない。
【0030】
金属イオンは、通常、塩の形で添加することが多く、例えば、硝酸塩、塩化物、硫酸塩などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。また、錯イオンの形のものも使用することができる。
【0031】
また、本発明で使用する洗浄液および/または減湿水中には金属イオンがもとから含まれていることが多い。このような場合には該金属イオンを利用して処理することができるため、洗浄液および/または減湿水中に添加する金属イオン量を軽減することができる。この場合、もとから洗浄液および/または減湿水中に含まれていた金属イオンと添加する金属イオンの合計量は5〜5000mg/リットルであればよいが、10〜3000mg/リットルであることが好ましく、50〜2000mg/リットルであることがさらに好ましい。金属イオンの濃度が合計で5mg/リットルより低い場合には、触媒作用が十分に得られない場合が多く、また5000mg/リットルを超える場合には必要以上に金属イオンを添加することになり経済的でない。
【0032】
湿式酸化処理の対象となる循環洗浄液および/または循環減湿水のpHは、特に限定されるものではない。均一系触媒を用いる場合、洗浄液および/または減湿水が中性〜弱アルカリ性であれば、金属イオンは水酸化物として沈殿するため、アンモニウムイオンなどを共存させて錯イオンとして溶解させることが好ましい。
【0033】
また、湿式酸化反応器内にはこれらの触媒以外にも、気液の攪拌・接触効率の向上、気液の偏流低減などを目的として、種々の充填物、内作物などを組み込んでもよい。これらの充填物や内作物の材質・形状については特に限定されず、金属製あるいはセラミックス製のものを用いることができる。
【0034】
湿式酸化反応器32で処理された処理液は必要に応じて熱交換器30や冷却器34で適宜冷却された後、気液分離器35によって気体と液体に分離される。この際、熱交換器30と冷却器34は単独であるいは組み合わせて用いることができる。
【0035】
気液分離器35では液面コントローラーLCを用いて液面を検出し、液面制御弁37によって気液分離器35内の液面が一定となるように制御することが望ましい。なお、ここで「一定」とは、液面が一定値あるいは一定の範囲内であることを意味する。
【0036】
なお、処理水を冷却した後、圧力調節弁(図示せず)を介して排出した後、気液分離器35によって気体と液体に分離してもよい。
【0037】
気液分離器35で分離された液体は、処理液排出ライン36を通して、洗浄液ラインおよび/または減湿水ラインに送液される。
【0038】
また、圧力は圧力コントローラーPCにより圧力を検出して圧力制御弁38を作動させて圧力を所定値に維持することが望ましい。気液分離器35で分離された気体は排ガス排出ライン39を通じて大気中に放出してもよく、あるいはさらに公知の方法に供して処理してもよい。
【0039】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
実施例1
図1に示す洗浄装置を用いて排ガスの洗浄を行った。
【0040】
焼却炉から排出された燃焼排ガスをガス供給ライン2から排ガス湿式洗浄塔1の下部に800Nリットル/minの流量で供給した。燃焼排ガスには1.1ng−TEQ/Nmのダイオキシン類が含まれていた。燃焼排ガスの温度は230℃であった。一方、洗浄液は洗浄液循環ポンプ4によって2リットル/minの流量で洗浄液ライン5を経て洗浄液ノズル6から噴霧し、ガス供給ライン2から供給された燃焼排ガスと向流接触しながら有害ガス洗浄部分12を通過し、塔底に貯まるようにした。塔底に貯まった洗浄液は洗浄液循環ライン7から洗浄液循環ポンプ4により引き抜き、循環利用した。洗浄液は洗浄液ライン5の途中に設けた湿式酸化装置13において湿式酸化処理した。
【0041】
湿式酸化装置13としては図2に示す装置を用いた。洗浄液循環ライン7を通じて排ガス湿式洗浄塔から引き抜かれた洗浄液は液供給ライン25からフィードポンプ26により2リットル/minの流量で昇圧フィードした。一方、酸化剤供給ライン28からの空気をコンプレッサー29で昇圧した後、10Nリットル/minの流量で液中に混入させた。この気液混合物をライン27を経て、熱交換器30で加熱し、さらに加熱器31で加熱した後、触媒を充填した湿式酸化反応器32に導入し、処理温度120℃で湿式酸化処理し、被処理液は処理液ライン33を経て、熱交換器30および冷却器34により冷却した後、気液分離器35に導入した。気液分離器35では、液面コントローラ(LC)により液面を検出して液面制御弁37を作動させて一定の液面を保持するとともに、圧力コントローラ(PC)により圧力を検出して圧力制御弁38を作動させて0.4MPa(Gauge)の圧力を保持するように操作した。処理液は処理液排出ライン13から洗浄液ライン5に戻した。なお、触媒はチタン、活性炭および白金からなる触媒(Ptとして0.3質量%)を120リットル使用した。処理液中のダイオキシン類濃度は9pg−TEQ/リットルであった。
【0042】
有害ガス洗浄部分12にて洗浄された排ガスは、減湿部分22にて減湿した。減湿水を減湿水循環ポンプ14によって2リットル/minの流量で減湿水ライン15を経て減湿水ノズル16から噴霧し、排ガスと向流接触しながら減湿部分22を通過させ、減湿水循環ライン17から減湿水循環ポンプ14により引き抜き、循環させた。減湿水は減湿水ライン15の途中に設けた湿式酸化装置23において湿式酸化処理した。
【0043】
湿式酸化装置23では、洗浄液ライン中に組み込んだ湿式酸化装置13と同様の処理を行った。その結果、処理液中のダイオキシン類濃度は0.4pg−TEQ/リットルであった。
【0044】
減湿された排ガスは、ガス排出ライン3から排出した。減湿後の排ガス中に含まれるダイオキシン類濃度は、0.23ng−TEQ/Nmであった。
実施例2
減湿水循環ラインでの湿式酸化処理を行わないこと以外は実施例1と同様の排ガス湿式洗浄を行った。
実施例3
洗浄液循環ラインでの湿式酸化処理を行わないこと以外は実施例1と同様の排ガス湿式洗浄を行った。
比較例
洗浄液循環ラインおよび減湿水循環ラインでの湿式酸化処理を共に行わず、それ以外は実施例1と同様の排ガス湿式洗浄を行った。
【0045】
上記実施例1〜3および比較例の結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
Figure 2004209328
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、燃焼排ガス中に含まれるダイオキシン類を、二次的に有害物質を生成することなく効率よく酸化および/または分解処理し、無害化することが可能である。
【0048】
また、洗浄液および減湿水中に含有されるダイオキシン類を、二次的に有害物質を生成することなく無害化することが可能である。
【0049】
また、ダイオキシン類を含む燃焼排ガス中のダイオキシン類を効率よく除去でき、また湿式洗浄塔から排出される洗浄および/または減湿排水中のダイオキシン類の濃度を環境上問題がない程度まで低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の洗浄装置の一実施態様を示す概念図である。
【図2】本発明の湿式酸化装置の一実施態様を示す系統図である。
【符号の説明】
1.排ガス湿式洗浄塔
2.ガス供給ライン
3.ガス排出ライン
4.洗浄液循環ポンプ
5.洗浄液ライン
6.洗浄液ノズル
7.洗浄液循環ライン
8.洗浄液供給タンク
9.洗浄液追加供給ポンプ
10.調節バルブ
11.洗浄排水引抜ライン
12.有害ガス洗浄部分
13.湿式酸化装置
14.減湿水循環ポンプ
15.減湿水ライン
16.減湿水ノズル
17.減湿水循環ライン
18.減湿水供給タンク
19.減湿水追加供給ポンプ
20.調節バルブ
21.減湿排水引抜ライン
22.減湿部分
23.湿式酸化装置
24.冷却器
25.液供給ライン
26.フィードポンプ
27.ライン
28.酸化剤供給ライン
29.コンプレッサー
30.熱交換器
31.加熱器
32.湿式酸化反応器
33.処理液ライン
34.冷却器
35.気液分離器
36.処理液排出ライン
37.液面制御弁
38.圧力制御弁
39.排ガス排出ライン

Claims (3)

  1. 有害成分含有ガスの湿式洗浄塔に洗浄液および/または減湿水をそれぞれ循環させるための循環ラインを設けてなる洗浄装置であって、各循環ライン中に、循環する洗浄液および/または減湿水中の有害成分を処理するための湿式酸化装置を組み込んでなることを特徴とする有害成分含有ガスの洗浄装置。
  2. 有害成分がダイオキシン類である請求項1記載の有害成分含有ガスの洗浄装置。
  3. 請求項1の洗浄装置を用いて、有害成分含有ガスを洗浄することを特徴とする有害成分含有ガスの洗浄方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105413430A (zh) * 2015-12-14 2016-03-23 山东大学 一种带有深度除湿功能的湿法烟气脱硫塔及除湿工艺
CN107486000A (zh) * 2017-10-19 2017-12-19 广东佳德环保科技有限公司 一种烟气中二噁英去除装置及工艺
CN113244744A (zh) * 2021-06-03 2021-08-13 广东美霖环境科技有限公司 一种利用化学氧化法去除VOCs和恶臭的净化***

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