JP2004208236A - 圧電デバイスとその製造方法ならびに圧電デバイスを利用した携帯電話装置および圧電デバイスを利用した電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】小型に形成でき、外部とケース内部に収容した圧電振動片との電気的接続を確実に行うことができる圧電デバイスとその製造方法、ならびに圧電デバイスを利用した携帯電話と電子機器を提供すること。
【解決手段】枠体51と、この枠体の内側に、前記枠体と一体に設けられ、駆動用の励振電極が形成された圧電振動片52と、前記枠体を挟み込むようにして固定される上ケース31及び下ケース41と前記上ケースの上面に開口する貫通孔36,37から前記上ケース及び前記下ケースの側面に延長されたケース側電極部32,33と、このケース側電極部と接続され前記上ケース及び下ケースの側面に設けられた側面電極部34,35と、この側面電極部と接続され下ケース底面に設けられた実装電極部42,43とを備えており、前記貫通孔と、前記圧電振動片に設けられ、前記励振電極と接続された引き出し電極57,58とが導電体64により接続されている。
【選択図】 図4
【解決手段】枠体51と、この枠体の内側に、前記枠体と一体に設けられ、駆動用の励振電極が形成された圧電振動片52と、前記枠体を挟み込むようにして固定される上ケース31及び下ケース41と前記上ケースの上面に開口する貫通孔36,37から前記上ケース及び前記下ケースの側面に延長されたケース側電極部32,33と、このケース側電極部と接続され前記上ケース及び下ケースの側面に設けられた側面電極部34,35と、この側面電極部と接続され下ケース底面に設けられた実装電極部42,43とを備えており、前記貫通孔と、前記圧電振動片に設けられ、前記励振電極と接続された引き出し電極57,58とが導電体64により接続されている。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電振動片を気密に収容した圧電デバイスとその製造方法、ならびに、圧電デバイスを利用した携帯電話と電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
HDD(ハード・ディスク・ドライブ)、モバイルコンピュータ、あるいはICカード等の小型の情報機器や、携帯電話、自動車電話、またはページングシステム等の移動体通信機器において、パッケージ内に圧電振動片を収容した圧電振動子や圧電発振器等の圧電デバイスが広く使用されている。
図12は、従来の圧電デバイスの構成例を示す概略断面図である(特許文献1参照)。
図において、圧電デバイス1は、上ケース2及び下ケース3の間に枠体4を挟み込み、固定している。この枠体4は、図13に示すように、矩形の枠部5の内側に、所謂音叉型の圧電振動片6を一体に形成したものである。
これにより、上ケース2及び下ケース3の各内側を合わせたことで形成される内部空間S1内に枠体4と一体になった圧電振動片6を収容している。
【0003】
図13に示すように、枠体4の枠部5の端面には、電極部5aが形成されており、図13の紙面の裏側の構成も同様とされている。この電極部5aは、圧電振動片6の図示しない励振電極と接続されている。
これにより、例えば、図12に示すように、各電極部5a,5a,5a,5aの端面を下ケース3の底面に形成した実装電極(図示せず)に接続させれば、この実装電極と圧電振動片6とを電気的に接続することができ、外部から圧電振動片6に駆動電圧を印加することができる。
【0004】
【特許文献1】特開昭57−124914号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような構造の圧電デバイス1では、図13に示されているように、枠体4の枠部5の端面の全体に電極部5aが形成されていることから、電気的に容量が過大となり、この結果、圧電デバイス1のCI値(クリスタルインピーダンス値)を増大させてしまう。
【0006】
そこで、図14、図15に示すような構造も考えられる。
図14において、圧電デバイス10は、上ケース2及び下ケース3の間に枠体4を挟み込み、固定している。この枠体4は、図13の場合と同様に、矩形の枠部5の内側に、所謂音叉型の圧電振動片6を一体に形成したものであるが、電極部5aは形成されていない。
【0007】
図15に示すように、下ケース3の底面の一端部には、幅方向の両端に実装電極部7,7が設けられている。下ケース3には、上記実装電極部7,7にそれぞれ開口する貫通孔8,8が設けられている。この貫通孔8,8を利用して、図14に示すように、導電体8aを貫通孔8に充填して、圧電振動片6に接続することにより、外部と圧電振動片6との電気的接続を形成するようにしている。これにより、従来の構造と比べると電極面積が小さい分、容量の過大を生じることなく、圧電デバイス10のCI値を増大させることがない。
【0008】
ところが、このような構造の場合には、次のような問題がある。
すなわち、図15において、下ケース3の幅W1は、例えば1.2mm程度と小さく、さらに、下ケース3の幅方向に分離した実装電極部7,7の間隔W2はきわめて小さくなってしまう。
このため、このような実装電極部7,7を用いて、図示しない実装基板に半田等を適用して実装しようとすると、実装に使用する半田が間隔W2しかない実装電極部7,7をショートさせてしまうおそれがある。
【0009】
本発明は、小型に形成でき、外部とケース内部に収容した圧電振動片との電気的接続を確実に行うことができる圧電デバイスとその製造方法、ならびに圧電デバイスを利用した携帯電話と電子機器を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述の目的は、第1の発明によれば、上端と下端とが開放された枠体と、この枠体の内側に、前記枠体と一体に設けられ、駆動用の励振電極が形成された圧電振動片と、前記枠体を挟み込むようにして固定される上ケース及び下ケースと前記上ケースの上面に開口する貫通孔から前記上ケース及び前記下ケースの側面に延長されたケース側電極部と、このケース側電極部と接続され前記上ケース及び前記下ケースの側面に設けられた側面電極部と、この側面電極部と接続され下ケース底面に設けられた実装電極部とを備えており、前記貫通孔と、前記圧電振動片に設けられ、前記励振電極と接続された引き出し電極とが導電体により接続されている、圧電デバイスにより、達成される。
【0011】
第1の発明の構成によれば、上ケースの上面に開口した貫通孔から、ケース側電極部、側面電極部、実装電極と順次電気的接続がなされて、下ケースの底面の実装電極部は、上ケースの上面に開口した貫通孔と電気的に接続されている。
したがって、前記貫通孔と、前記圧電振動片の引き出し電極とが導電体により接続されていることから、実装電極部から印加される駆動電圧は確実に圧電振動片に伝えられる。また、このようにすることで、各電極部は、上ケースと下ケースの外側を通り、圧電振動片から距離的に離れること、及び広い電極面とならないことから、電気的に容量が過大となることがなく、CI値の上昇を回避しながら確実な導通構造を得ることができる。
このように、本発明の効果として、小型に形成でき、外部とケース内部に収容した圧電振動片との電気的接続を確実に行うことができる圧電デバイスを提供することができるものである。
尚、この発明で、「上ケース」と表現した場合の「上」は、圧電デバイスを実装基板等に実装した状態で基板側と反対の側を意味し、「下ケース」と表現した場合の「下」は、圧電デバイスを実装基板等に実装した状態の基板側を意味する。
【0012】
第2の発明は、第1の発明の構成において、前記枠体の端面を前記側面電極部に対して絶縁する構造としたことを特徴とする。
第2の発明の構成によれば、側面電極部と圧電振動片の基部側が絶縁されるので、側面電極が圧電振動片の振動特性に悪影響を与えることがない。
【0013】
第3の発明は、第1または第2の発明のいずれかの構成において、前記圧電振動片の前記引き出し電極に設けたバンプを利用して、前記上ケースの貫通孔と前記引き出し電極とが導電体により接続されていることを特徴とする。
第3の発明の構成によれば、前記圧電振動片の前記引き出し電極にバンプを設けることで、圧電振動片の引き出し電極と貫通孔との距離をバンプの分だけ近くすることができ、充填すべき導電体の量を減らして、導通を容易にすることができる。
【0014】
上記目的は、第4の発明によれば、前工程として、上端と下端とが開放された枠体の内側にこの枠体と一体に設けられ、駆動用の励振電極及び励振電極と接続された引き出し電極を備える圧電振動片と、上面に開口した貫通孔を備え、この貫通孔から側面電極部にかけてケース側電極部が設けられた上ケースと、底面部に実装電極部が設けられ、この実装電極部と接続された側面電極部を備える下ケースとを予め用意し、この前工程に続いて後工程として、前記上ケースと前記下ケースとで前記枠体を挟み込むようにして、互いに接合する接合工程と、前記上ケースの前記貫通孔を通して導電体を充填し、前記圧電振動片の前記引き出し電極と接続させる導通工程とを有する、圧電デバイスの製造方法により、達成される。
【0015】
第4の発明の構成によれば、前工程で準備された上ケース及び下ケースと枠体とを用いて、後工程が進められる。この場合、接合工程では、前記上ケースと前記下ケースとで前記枠体を挟み込むようにして、互いに接合するようにしているので、枠体を用いない圧電振動片の製造工程のように、パッケージ内に圧電振動片をマウント(接合)する工程と、パッケージに蓋体を固定する蓋封止の工程を別々に行うことが不要で、その分製造工程が簡単である。また、圧電振動片を実装電極部と導通させるための導通工程は、上ケースの上面に開口した貫通孔から、例えば、溶融させた導電体を流し込むだけで行えるので、作業が容易である。
【0016】
第5の発明は、第4の発明の構成において、前記前工程において、前記圧電振動片の前記引き出し電極上にバンプを形成することを特徴とする。
第5の発明の構成によれば、前記圧電振動片の前記引き出し電極にバンプを形成することで、圧電振動片の引き出し電極と貫通孔との距離をバンプの分だけ近くすることができ、貫通孔に流し込む導電体の量を減らせるので、導通工程をより容易にすることができる。
【0017】
第6の発明は、第4または第5の発明のいずれかの構成において、前記接合工程の後で、前記上ケース及び前記下ケース内のガスを前記貫通孔を介して排出した後、前記貫通孔の上に導電体を載置し、この導電体に光ビームを照射することによって導電体を溶融させて前記貫通孔内に充填し、前記圧電振動片の前記引き出し電極と接続させる導通工程を行うことを特徴とする。
第6の発明の構成によれば、接合工程の際に、例えば、接合に用いる封止材の硬化の際に、内部で発生するガス成分等が、後で圧電振動片に付着すると、振動性能に悪影響が出る。このため、前記貫通孔を利用して、このガス成分を排出してから、貫通孔を塞ぐ孔封止を行えば、後でガス成分が圧電振動片に付着することがなく、振動性能に悪影響が出ることが有効に防止される。しかも、この孔封止にあたり、前記貫通孔の上に導電体を載置し、この導電体に光ビームを照射することによって導電体を溶融させて前記貫通孔内に充填する手法を用いると、導電体の充填がきわめて容易である。
【0018】
第7の発明は、第4ないし第6の発明のいずれかの構成において、少なくとも前記上ケースを光が透過する材料で形成し、前記導通工程後に前記上ケースを透過させて光ビームを前記圧電振動片の表面に形成した周波数調整用の金属被覆部に照射することで、周波数調整を行うことを特徴とする。
第7の発明の構成によれば、孔封止後において、ケース内が密閉された後で周波数調整をすることができ、工程の最後で圧電振動片の振動周波数を精密に合わせることができる。
【0019】
また、上記目的は、第8の発明によれば、内部に圧電振動片を気密に収容する構成とした圧電デバイスを利用した携帯電話装置であって、上端と下端とが開放された枠体と、この枠体の内側に、前記枠体と一体に設けられ、駆動用の励振電極が形成された圧電振動片と、前記枠体を挟み込むようにして固定される上ケース及び下ケースと前記上ケースの上面に開口する貫通孔から前記上ケース及び前記下ケースの側面に延長されたケース側電極部と、このケース側電極部と接続され前記上ケース及び前記下ケースの側面に設けられた側面電極部と、この側面電極部と接続され下ケース底面に設けられた実装電極部とを備えており、前記貫通孔と、前記圧電振動片に設けられ、前記励振電極と接続された引き出し電極とが導電体により接続されている圧電デバイスにより、制御用のクロック信号を得るようにした、携帯電話装置により、達成される。
【0020】
さらに、上記目的は、第9の発明によれば、内部に圧電振動片を気密に収容する構成とした圧電デバイスを利用した電子機器であって、上端と下端とが開放された枠体と、この枠体の内側に、前記枠体と一体に設けられ、駆動用の励振電極が形成された圧電振動片と、前記枠体を挟み込むようにして固定される上ケース及び下ケースと前記上ケースの上面に開口する貫通孔から前記上ケース及び前記下ケースの側面に延長されたケース側電極部と、このケース側電極部と接続され前記上ケース及び前記下ケースの側面に設けられた側面電極部と、この側面電極部と接続され下ケース底面に設けられた実装電極部とを備えており、前記貫通孔と、前記圧電振動片に設けられ、前記励振電極と接続された引き出し電極とが導電体により接続されている圧電デバイスにより、制御用のクロック信号を得るようにした、電子機器により、達成される。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1ないし図4は、本発明の圧電デバイスの第1の実施の形態を示しており、図1はその概略斜視図、図2は図1の圧電デバイスの電極部の表示を省略した概略分解斜視図、図3は図1の圧電デバイスの概略底面図、図4は図1のA−A線概略断面図である。
図1において、圧電デバイス30は、圧電振動子を構成した例を示している。この圧電デバイス30は、図2に示すように、枠体51の上下の開口を、それぞれ上ケース31と下ケース41とで塞ぐように固定して形成されている。
【0022】
上ケース31と下ケース41は、圧電振動片(後述)を収容するためのケースもしくはパッケージを構成するものである。上ケース31が蓋側であり、リッドである。下ケース41がベースとなる。
上ケース31と下ケース41は、本実施形態では、同じ寸法及び形状とされおり、かつ上ケース31と下ケース41の各外形は、枠体51の外形と一致するように形成されている。この実施形態では、上ケース31と下ケース41及び枠体51の外形は同一形状の矩形であるが、図示以外の幾何学形状または楕円形状等製品に求められる外形形状に適合させて選択することができる。
【0023】
上ケース31と下ケース41は、図4に示されているように、凹部31a,41aを有し、これらの上ケース31と下ケース41は、互いの凹部31a,41aを対向させることで、内側に深さL1の内部空間S2を形成するようにされている。
上ケース31と下ケース41は、後述するように、セラミックスや光透過性の材料、例えばガラスを用いて形成されている。上ケース31は、光ビームによる周波数調整を考慮して、光透過性の材料で形成することが好ましい。この実施形態では、下ケース41を後述するセラミックスで、上ケース31をホウ珪酸ガラス等で形成している。
【0024】
また、上ケース31と下ケース41は、それぞれ凹部31a,41aを設けることで、深さL1の内部空間S2を形成するようにされているが、内部空間S2は、後述する導通工程を考慮すると、できるだけ深さL1が小さいことが好ましく、例えば、リッド側である上ケース31及び/またはベース側である下ケース41について、凹部を形成せずに、平板な板体で形成してもよい。この場合、必要とする内部空間S2に所定の深さL1のギャップを形成するためには、上ケース31と下ケース41を枠体51に接合するための図4に示すロウ材もしくは封止材61(後述)に、所定のフィラー等を混入することでスペーサとして機能させることで実現できる。
あるいは、枠体51の枠部59に対して、その内側の圧電振動片52の厚みを薄く形成することでも実現できる。このためには、後述する製造工程において、枠体51をエッチングにより形成する際に、枠体51の外形をエッチングした後で、圧電振動片52の部分をハーフエッチングすること等により実現できる。
【0025】
枠体51は、図2に示されているように、上端と下端とが開放され、周囲を囲む枠部59を有する矩形形状に形成されている。枠体51は、開放された上端と下端とに、図4に示されているように上ケース31と下ケース41とを固定することで、内部空間S2が密閉された空間となるようにされている。
この枠体51は、特に、内部に圧電振動片52を形成するために、圧電材料が使用されている。使用される圧電材料としては、例えば、本実施形態のように水晶が適しており、水晶以外にもタンタル酸リチウム,ニオブ酸リチウム等の圧電材料を利用することができる。枠体51は、本実施形態の場合、水晶の薄板をフッ酸液等を用いてエッチングすることにより、内部空間S2と圧電振動片52の外形を形成している。
【0026】
圧電振動片52は、枠体51と同じ材料により一体に細くされた接続部56を介して枠体51と一体に形成されており、本実施形態の場合、圧電振動片52は、小型に形成して必要な性能を得るために、特に図示する形状とされている。
すなわち、圧電振動片52は、図2において、枠体51の一端部の内側と一体とされている基部53と、この基部53を基端として、先端に向かって二股に別れて平行に延びる一対の振動腕54,55を備えており、全体が音叉のような形状とされた、所謂、音叉型圧電振動片とされている。
【0027】
この圧電振動片52の表面には、図示しない励振電極が形成されており、各振動腕54,55を構成する材料について、駆動電圧に基づいて適切な電界を形成して振動させるようになっている。また、図2に示すように、圧電振動片52の基部53の幅方向の両端部に引き出し電極57,58が形成されている。各引き出し電極57,58は、上述の2系統に区分された励振電極とそれぞれ電気的に接続されている。
【0028】
このような構造でなる枠体51は、図4に示すように、その枠部59の上面及び下面が、それぞれロウ材もしくは封止材61,61を介して、上ケース31及び下ケース41と接合されることで、内部空間S2内に圧電振動片52が気密に密閉されている。
さらに、図1及び図2に示すように、上ケース31には、その上面に開口するように貫通孔36,37が設けられている。各貫通孔36,37は、図4に示すように、枠体51と重ねられた状態で、図2の各引き出し電極57,58の上に位置するように設けられている。
ここで、図2に示す貫通孔36,37の間隔W3は、圧電振動片52の各引き出し電極57,58の領域からはずれない範囲で、できるだけ広くとるように設けることが好ましい。
【0029】
さらに、上ケース31の上面には、図1及び図4に示すように、一方の側面、すなわち図1に示すように、上ケース31の手前側の側面に向かって延びるケース側電極部32(一方のケース側電極部)が形成されている。ケース側電極部32は、一方の貫通孔36の周縁を基端として、一方の側面に延びて側面電極部34と一体に接続されている。そして、この側面電極部34は、図3に示す下ケース41の底面の長さ方向の両端部にそれぞれ設けた実装電極部42,43のうちの一方の実装電極部42と一体に接続されている。ここで、上ケース31のケース側電極部32は、貫通孔36の内周面の電極部32aとも一体とされている。
【0030】
また、図1に示すように、上ケース31には、その上面に開口する他方の貫通孔37の周縁を基端として、他方の側面(図1において奥側)に延びるケース側電極部33(他方のケース側電極部)が形成されている。このケース側電極部33は、上述した(一方の)ケース側電極部32と同様に、(他方の)側面電極部35及び下ケース41底面の実装電極部43と一体に接続されている。
そして、好ましくは、枠体51の圧電振動片52が形成された側の端面には、側面電極部34との間に絶縁体62が設けられており、側面電極部34を通る駆動電圧が圧電振動片52側に悪影響を与えないようになっている。
そして、上ケース31及び下ケース41を接合する符号61の材料がロウ材のような導電性材料である場合には、枠体51の圧電振動片52が形成された側の端面には、側面電極部34との間に絶縁体62が設けられており、側面電極部34とロウ材61とを絶縁している。同様にして、枠体51の圧電振動片52が形成された側と反対の端面にも、絶縁体66が設けられており、側面電極部35とロウ材61とを絶縁している。また、封止材61が低融点ガラスのような絶縁材料である場合には、このような絶縁処理は不要である。
【0031】
ここで、上述したケース側電極部32,33、側面電極部34,35は、図示した形態に限らず、電極部での容量の増大を防止する点を重視する場合には、容易に断線しない程度で、できるだけ小さな面積となるように形成することが好ましい。
また、図1において、側面電極部34は、上ケース31、枠体51、下ケース41の積層状態に対応して、鎖線YL1,YL2で区分される領域34a,34b,34cの各領域毎に、後述する製造工程にしたがって形成される。尚、図示しないが、この点は、奥側の側面電極部35も同様である。
【0032】
さらに、図4の特に拡大した部分で示すように、圧電振動片52の引き出し電極57上で、上ケース31の貫通孔36の直下の箇所には、半田バンプやAuスタッドバンプのようなバンプ63が形成されている。貫通孔36に充填された導電体64とバンプ63により、貫通孔36の内周面の電極部32a及びケース側電極部32と、圧電振動片52の引き出し電極57とが電気的に接続されている。
したがって、圧電振動片52の引き出し電極57は、下ケース41の底面の実装電極部42と電気的に接続されている。これにより、圧電デバイス30が、図示しない実装基板等に、実装電極部42を利用して実装されることで、この実装基板からの駆動電圧が圧電振動片52に印加されるようになっている。
【0033】
本実施形態は以上のように構成されており、各電極部は、上ケース31と下ケース41の外側を通り、圧電振動片52から距離的に離れること、及び広い電極面とならないことから、電気的に容量が過大となることがなく、CI値の上昇を回避しながら確実な導通構造を得ることができる。
したがって、本発明の圧電デバイス30は、小型に形成しても、電気的接続構造が短絡を生じるおそれがなく、外部とケース内部に収容した圧電振動片52との電気的接続を確実に行うことができる。
【0034】
次に、図5ないし図9を参照しながら、本実施形態の圧電デバイス30の製造方法の一例について説明する。
図5は圧電デバイス30の製造方法の一例を示すフローチャート、図6は圧電デバイス30の製造工程における前工程について、上ケース31側を工程順に示す図、図7は圧電デバイス30の製造工程における前工程について、下ケース41側を工程順に示す図、図8は圧電デバイス30の製造工程における前工程について、圧電振動片側を工程順に示す図、図9は、圧電デバイス30の製造工程における後工程を工程順に示す概略断面図である。
この製造方法では、図5において、鎖線PLより以前のステップを含む前工程で準備された上ケース31及び下ケース41と枠体51とを用いて、鎖線PLより以降のステップを含む後工程が進められる。
【0035】
(前工程)
圧電デバイス30の製造工程における前工程は、図2で説明した上端と下端とが開放された枠体51の内側にこの枠体と一体に設けられ、駆動用の励振電極及び励振電極と接続された引き出し電極57,58を備える圧電振動片52と、上面に開口した貫通孔36,37を備え、この貫通孔から側面電極部34a,35aにかけてケース側電極部32,33が設けられた上ケース31と、底面部に実装電極部42,43が設けられ、この実装電極部と接続された側面電極部34c,35cを備える下ケース41とを個別に予め用意する工程である。
【0036】
(上ケースを形成するための前工程)
図6は上ケース31を形成する工程を順次に示しており、図6(a)は左側に上ケース31の平面図、右側に左側の図のB−B線切断端面図、図6(b)は左側に上ケース31の平面図、右側に左側の図のC−C線切断端面図、図6(c)は左側に上ケース31の底面図、右側に左側の図のD−D線切断端面図を示している。
【0037】
先ず、図6(a)に示すように、セラミックスや光透過性の材料、例えば、水晶やガラス、サファイア等を用いて、凹部31aを備える一方が開口した浅い箱状に上ケース31を形成する。上述したように、上ケース31は、光ビームによる周波数調整を考慮して、光透過性の材料で形成することが好ましく、本実施形態では、例えばホウ珪酸ガラス等で形成している。
この上ケース31には、上述した位置に貫通孔36,37を形成する。貫通孔36,37は、ウエットエッチングやサンドブラスト加工、あるいは所定の波長のレーザビーム等を用いて形成することができる(ST11)。
【0038】
次に、図6(b)に示すように、各貫通孔36,37をそれぞれ基端として、長手方向の端部側面に向かうように、ケース側電極部32,33を形成し、これとともに、さらに、上ケース31の長手方向の各側面に回り込む側面電極部34a,35aを形成する。各側面電極部34a,35aは、図1の鎖線YL1よりも上の部分である(ST12)。
この場合、各電極部は、スパッタリングや金属蒸着の手法とフォトリソグラフィー工程により、下地層をクロム(Cr)として、その上に金(Au)のメッキを施すことにより形成される。
【0039】
続いて、図6(c)に示すように、上ケース31の枠体に対する接合面に、ロウ材もしくは封止材61を適用する。封止材61としては、上ケース31と、図4の枠体51に対して、濡れ性のよい封止材を選択することが好ましい。この実施形態では、上ケース31として、ガラス材料を使用していることから、低融点ガラスを用いることが好ましい。低融点ガラスは、300度ないし700度程度で溶融・軟化するガラスである。
【0040】
この実施形態では、後述する製造工程に適するように、低融点ガラスとして、例えば、酸化亜鉛(PbO)に、B2 O3 、Bi2 O3 、ZnO、PbF2 、CuO、TiO2 、Nb2 O3 、Fe2 O3 、CaO等を微量含有する低融点ガラスが使用されている。本実施形態では、これらの組成からなる母ガラスに、例えば、チタン酸鉛系のフィラーを混入したガラスペーストを使用して印刷により行っている(ST13)。
この実施形態では、酸化亜鉛(PbO)系の低融点ガラスを使用するようにしている。また、鉛を含まない環境に対する悪影響が少ない低融点ガラスとしては、例えば、Cu2 O−CuO−P2 O5 系の低融点ガラス、SiO−SnO−P2 O5 等の低融点ガラスを使用することもできる。
【0041】
(下ケースを形成するための前工程)
図7は下ケース41を形成する工程を順次に示しており、図7(a)は左側に下ケース41の底面図、右側に左側の図のE−E線切断端面図、図7(b)は左側に下ケース41の平面図、右側に左側の図のF−F線切断端面図を示している。
【0042】
先ず、図7(a)に示すように、セラミックスや光透過性の材料を用いて凹部41aを備える一方が開口した浅い箱状に下ケース41を形成する。本実施形態では、下ケース41は、上ケース31と同じ形状としている。
下ケース41を形成するための材料としては、窒化アルミニウム質焼結体、炭化珪素質焼結体、窒化珪素質焼結体、ムライト質焼結体、ガラスセラミックス質焼結体等から選択されたセラミックグリーンシートを成形して形成される。あるいは、上ケース31と同じ材料として、水晶やホウ珪酸ガラス、サファイア等を用いて形成してもよい。
【0043】
そして、下ケース41の長さ方向の両端部には、実装電極部42,43を形成し、これとともに、さらに、下ケース41の長手方向の各側面に回り込む側面電極部34c,35cを形成する(ST21)。
この場合、各電極部は、次のように形成される。すなわち、下ケース41の図7(a)に示す箇所に、タングステンメタライズ上にニッケルメッキ及び金メッキで形成する。あるいは、タングステンやモリブデン、銀、銅等の金属粉末を適当な有機バインダや溶剤等に含有させた金属ペーストを上述したグリーンシートに印刷塗布し、グリーンシートとともに焼成して形成してもよい。
次いで、図7(b)に示すように、下ケース41の枠体に対する接合面に、ロウ材もしくは封止材61を適用する。この封止材61の適用は、上ケース31の場合と同じである(ST22)。
【0044】
(圧電振動片を形成するための前工程)
図8は圧電振動片52を備える枠体51に電極を形成する工程を順次示しており、図8(a)は枠体51の平面図、右側に左側の図のG−G線切断端面図、図8(b)は枠体51に引き出し電極を形成した状態の平面図、右側に左側の図のH−H線切断端面図、図8(c)は枠体51の側面に絶縁体を形成した状態の平面図、右側に左側の図のI−I線切断端面図を示している。
【0045】
先ず、図8(a)に示すように、例えば、水晶材料のウエハから、エッチングにより枠体51の枠部59と圧電振動片52の部分を形成する。そして、基部53の図示の部分に引き出し電極57,58を形成する。この場合、例えば、タングステンメタライズ上にニッケルメッキ及び金メッキで形成する(ST31)。
次いで、図8(b)に示すように、圧電振動片52の各引き出し電極57,58の上に半田バンプやAuスタッドバンプのようなバンプ63,63を形成する(ST32)。このバンプ63,63は、図4で説明したように、上ケース31の各貫通孔36,37に対応した箇所である。
【0046】
(後工程)
図9は、圧電デバイス30の製造方法の後工程を順次示す概略断面図である。後工程では、図9(a)に示すように、先ず、上述の各前工程によって形成した下ケース41の上に枠体51を載置し、枠体51の上に上ケース31を載置して、封止材61を加熱溶融して、これらを接合する(接合工程)。
この場合、例えば、所定のキャビティ(図示せず)内にN2 を導入し、封止材61を加熱溶融することにより行う(ST44)。
【0047】
(アニール処理)
次いで、キャビティ内を大気圧または真空として、ST44の加熱により、封止材61から脱離したガス成分や、ケース内の吸着水の気化成分等を上ケース31の各貫通孔36,37を利用して排出する(ST45)。これにより、これらのガス成分等が、以降の工程において、圧電振動片52に付着することで、その振動性能に悪影響を与えることを有効に防止することができる。
【0048】
(導通工程)
次に、図9(b)に示すように、貫通孔36の上縁部に、例えば球状の導電体64aを載置する(図9では表れない貫通孔37についても同様)。
この球状の導電体64aとしては、例えば、半田ボールを使用することができるが、鉛を含有しない半田ボールが好ましく、例えば、Au/Sn合金、Au/Ge合金等の金属ボール等を使用することができる。
そして、球状の導電体64aに対して、例えば、レーザによる光ビームLBを照射して球状の導電体64aを溶融させる(ST46)。次に、図9(c)に示すように、流れた導電体は、貫通孔36から流れ込んで、その下のバンプ63と一体となって貫通孔36内に充填されるとともに、圧電振動片52の引き出し電極57と接続される(ST48)。したがって、この工程は、上ケース31の貫通孔を通して導電体を充填し、圧電振動片52の引き出し電極と接続させる導通工程であるとともに、ガス成分を排気した後の孔封止工程を兼ねることになる。
【0049】
また、符号61,66の材料として導電性のロウ材を使用する場合は、側面シール工程(ST47)として、一度枠体左右側面にSiO2 等の絶縁材をスパッタリングあるいは蒸着により形成する。尚、符号61,66の材料が非導電性の材料、例えば低融点ガラス等であれば、この工程は不要である。次に、導通工程の一部として、上述の孔封止に前後して、図示するように、絶縁部62に重ねるようにして、側面電極部の一部34bをスパッタリングもしくは蒸着により形成する。同様に、絶縁部66に重ねるようにして、側面電極部35についても、その一部35bを形成する。これにより、上ケース31側の側面電極部34a,35aと下ケース41側の側面電極部34c,35cが、電極部34b,35bにより導通されることで、圧電デバイス30の各側面電極34,35が完成する。
【0050】
(周波数調整工程)
次いで、図9(c)に示すように、上ケース31を透過させてレーザ光等の光ビームを圧電振動片52の表面に形成した周波数調整用の金属被覆部(図示せず)に照射することで、質量削減方式により周波数調整を行う(ST49)。
これにより、孔封止後において、ケース内が密閉された後で周波数調整をすることができ、工程の最後で圧電振動片52の振動周波数を精密に合わせることができる。尚、この場合、圧電振動片52の表面に形成した周波数調整用の金属被覆部として、励振電極の一部を利用してもよい。
その後、必要な検査を行い、圧電デバイス30が完成される。
【0051】
本実施形態によれば、この製造方法では、前工程で準備された上ケース31及び下ケース41と枠体51とを用いて、後工程が進められる。この場合、接合工程(ST44)では、上ケース31と下ケース41とで枠体51を挟み込むようにして、互いに接合するようにしているので、枠体を用いない圧電振動片の製造工程のように、パッケージ内に圧電振動片をマウント(接合)する工程と、パッケージに蓋体を固定する蓋封止の工程を別々に行うことが不要となるから、その分製造工程が簡単である。
また、圧電振動片52を実装電極部42,43と導通させるための導通工程(ST47)は、上ケース31の上面に開口した貫通孔36から、例えば、溶融させた導電体64を流し込むだけで行えるので、作業が容易である。
【0052】
しかも、接合工程(ST44)において、低融点ガラス61,61が硬化する際、内部で発生するガス成分等が、後で圧電振動片52に付着すると、振動性能に悪影響が出る。このため、貫通孔36を利用して、このガス成分を排出してから、貫通孔36を塞ぐ孔封止を行えば、後で圧電振動片52にガス成分が付着することなく、振動性能に悪影響が出ることが有効に防止される。しかも、この孔封止にあたり、貫通孔36の上に導電体64aを載置し、この導電体64aに光ビームLBを照射することによって導電体64aを溶融させて貫通孔36内に充填する手法を用いると、導電体64の充填がきわめて容易である。
【0053】
図10は、本発明の圧電デバイスの第2の実施形態を示す概略斜視図である。
図10において、図1と同じ符号を付した箇所は共通する構成であるから、重複した説明は省略し、以下相違点を中心に説明する。
図10の圧電デバイス70においては、上ケース31、枠体51、下ケース41の外形がほぼ矩形であり、その角隅部が面取り部とされることで、圧電デバイス70の各角隅部が面取り部71,72,73,74となっている。
【0054】
すなわち、上ケース31、枠体51、下ケース41を、それぞれ製造する際に、これらを複数個合わせた形状の基板やウエハから、個々の上ケース31、枠体51、下ケース41を切除する際に、各角隅部となる箇所に円形の貫通孔を形成して、各貫通孔の中心を通る直交した切断線により基板もしくはウエハを切断すると、この各角隅部には、図示のような1/4円でなる面取り部もしくはキャスタレーション部が形成される。
圧電デバイス70では、側面電極部34,35がキャスタレーション部である面取り部72,74に沿って形成されている。これにより、図1の圧電デバイス30と比較すると、側面電極部の面積を小さく形成することが容易である。 それ以外の作用効果は第1の実施形態と共通する。
【0055】
図11は、本発明の上述した実施形態に係る圧電デバイスを利用した電子機器の一例としてのデジタル式携帯電話装置300の概略構成を示す図である。
図において、マイクロフォン308により電気信号に変換された送信者の音声は、デモジュレータ,コーデック部でデジタル変調され、送信部307においてRF(Radio Frequency)帯に周波数変換後、アンテナを通して基地局(図示せず)に送信される。また、基地局からのRF信号は受信部306において周波数変換後、デモジュレータ,コーデック部において音声信号に変換され、スピーカー309から出力される。また、CPU(Central Processing Unit)301は液晶表示装置及びキーボードからなる入出力部302をはじめ、デジタル式携帯電話装置300の全体の動作を制御している。メモリ303はCPU301により制御される、RAM,ROMからなる情報記憶手段であり、これらの中にはデジタル式携帯電話装置300の制御プログラムや電話帳などの情報が格納されている。
【0056】
本発明の実施形態に係る圧電デバイスが応用されるものとして、CPU(コントローラ)の基本クロック、タイマーや計時機能の基本クロックとして形態電話装置等の電子機器に広く利用されている。そして、近年の携帯電話装置の小型化に伴い、小型化への要求が高くなってきており、本発明の実施形態に係る構造による圧電デバイスは極めて有用である。
【0057】
このように、デジタル式携帯電話装置300のような電子機器に、上述した実施形態に係る圧電デバイス30,70を利用することにより、製造工程において区分されるべき電極が短絡されて故障の原因となることを有効に防止でき、高い信頼性を備えるデジタル式携帯電話装置300を得ることができる。
【0058】
本発明は上述の実施形態に限定されない。各実施形態の各構成はこれらを適宜組み合わせたり、省略し、図示しない他の構成と組み合わせることができる。
また、この発明は、パッケージ内に圧電振動片を収容するものであれば、圧電振動子、圧電発振器等の名称にかかわらず、全ての圧電デバイスに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の圧電デバイスの第1の実施形態を示す概略斜視図。
【図2】図1の圧電デバイスの概略分解斜視図。
【図3】図1の圧電デバイスの概略底面図。
【図4】図1のA−A線概略断面図。
【図5】図1の圧電デバイスの製造方法の一例を示すフローチャート。
【図6】図1の圧電デバイスの製造工程における前工程について、上ケース側を工程順に示す図。
【図7】図1の圧電デバイスの製造工程における前工程について、下ケース側を工程順に示す図。
【図8】図1の圧電デバイスの製造工程における前工程について、圧電振動片側を工程順に示す図。
【図9】図1の圧電デバイスの製造工程における後工程を工程順に示す概略断面図。
【図10】本発明の圧電デバイスの第2の実施形態を示す概略斜視図。
【図11】本発明の実施形態に係る圧電デバイスを利用した電子機器の一例としてのデジタル式携帯電話装置の概略構成を示す図。
【図12】従来の圧電デバイスの一例を示す概略断面図。
【図13】図12の圧電デバイスの圧電振動片(枠体)を示す概略平面図。
【図14】圧電デバイスの他の構成例を示す概略断面図。
【図15】図14の圧電デバイスの概略底面図。
【符号の説明】
30,70・・・圧電デバイス、31・・・上ケース、32,33・・・ケース側電極部、34,35・・・側面電極部、36,37・・・貫通孔、42,43・・・実装電極部、51・・・枠体、52・・・圧電振動片、57,58・・・引き出し電極、64・・・導電体。
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電振動片を気密に収容した圧電デバイスとその製造方法、ならびに、圧電デバイスを利用した携帯電話と電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
HDD(ハード・ディスク・ドライブ)、モバイルコンピュータ、あるいはICカード等の小型の情報機器や、携帯電話、自動車電話、またはページングシステム等の移動体通信機器において、パッケージ内に圧電振動片を収容した圧電振動子や圧電発振器等の圧電デバイスが広く使用されている。
図12は、従来の圧電デバイスの構成例を示す概略断面図である(特許文献1参照)。
図において、圧電デバイス1は、上ケース2及び下ケース3の間に枠体4を挟み込み、固定している。この枠体4は、図13に示すように、矩形の枠部5の内側に、所謂音叉型の圧電振動片6を一体に形成したものである。
これにより、上ケース2及び下ケース3の各内側を合わせたことで形成される内部空間S1内に枠体4と一体になった圧電振動片6を収容している。
【0003】
図13に示すように、枠体4の枠部5の端面には、電極部5aが形成されており、図13の紙面の裏側の構成も同様とされている。この電極部5aは、圧電振動片6の図示しない励振電極と接続されている。
これにより、例えば、図12に示すように、各電極部5a,5a,5a,5aの端面を下ケース3の底面に形成した実装電極(図示せず)に接続させれば、この実装電極と圧電振動片6とを電気的に接続することができ、外部から圧電振動片6に駆動電圧を印加することができる。
【0004】
【特許文献1】特開昭57−124914号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような構造の圧電デバイス1では、図13に示されているように、枠体4の枠部5の端面の全体に電極部5aが形成されていることから、電気的に容量が過大となり、この結果、圧電デバイス1のCI値(クリスタルインピーダンス値)を増大させてしまう。
【0006】
そこで、図14、図15に示すような構造も考えられる。
図14において、圧電デバイス10は、上ケース2及び下ケース3の間に枠体4を挟み込み、固定している。この枠体4は、図13の場合と同様に、矩形の枠部5の内側に、所謂音叉型の圧電振動片6を一体に形成したものであるが、電極部5aは形成されていない。
【0007】
図15に示すように、下ケース3の底面の一端部には、幅方向の両端に実装電極部7,7が設けられている。下ケース3には、上記実装電極部7,7にそれぞれ開口する貫通孔8,8が設けられている。この貫通孔8,8を利用して、図14に示すように、導電体8aを貫通孔8に充填して、圧電振動片6に接続することにより、外部と圧電振動片6との電気的接続を形成するようにしている。これにより、従来の構造と比べると電極面積が小さい分、容量の過大を生じることなく、圧電デバイス10のCI値を増大させることがない。
【0008】
ところが、このような構造の場合には、次のような問題がある。
すなわち、図15において、下ケース3の幅W1は、例えば1.2mm程度と小さく、さらに、下ケース3の幅方向に分離した実装電極部7,7の間隔W2はきわめて小さくなってしまう。
このため、このような実装電極部7,7を用いて、図示しない実装基板に半田等を適用して実装しようとすると、実装に使用する半田が間隔W2しかない実装電極部7,7をショートさせてしまうおそれがある。
【0009】
本発明は、小型に形成でき、外部とケース内部に収容した圧電振動片との電気的接続を確実に行うことができる圧電デバイスとその製造方法、ならびに圧電デバイスを利用した携帯電話と電子機器を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述の目的は、第1の発明によれば、上端と下端とが開放された枠体と、この枠体の内側に、前記枠体と一体に設けられ、駆動用の励振電極が形成された圧電振動片と、前記枠体を挟み込むようにして固定される上ケース及び下ケースと前記上ケースの上面に開口する貫通孔から前記上ケース及び前記下ケースの側面に延長されたケース側電極部と、このケース側電極部と接続され前記上ケース及び前記下ケースの側面に設けられた側面電極部と、この側面電極部と接続され下ケース底面に設けられた実装電極部とを備えており、前記貫通孔と、前記圧電振動片に設けられ、前記励振電極と接続された引き出し電極とが導電体により接続されている、圧電デバイスにより、達成される。
【0011】
第1の発明の構成によれば、上ケースの上面に開口した貫通孔から、ケース側電極部、側面電極部、実装電極と順次電気的接続がなされて、下ケースの底面の実装電極部は、上ケースの上面に開口した貫通孔と電気的に接続されている。
したがって、前記貫通孔と、前記圧電振動片の引き出し電極とが導電体により接続されていることから、実装電極部から印加される駆動電圧は確実に圧電振動片に伝えられる。また、このようにすることで、各電極部は、上ケースと下ケースの外側を通り、圧電振動片から距離的に離れること、及び広い電極面とならないことから、電気的に容量が過大となることがなく、CI値の上昇を回避しながら確実な導通構造を得ることができる。
このように、本発明の効果として、小型に形成でき、外部とケース内部に収容した圧電振動片との電気的接続を確実に行うことができる圧電デバイスを提供することができるものである。
尚、この発明で、「上ケース」と表現した場合の「上」は、圧電デバイスを実装基板等に実装した状態で基板側と反対の側を意味し、「下ケース」と表現した場合の「下」は、圧電デバイスを実装基板等に実装した状態の基板側を意味する。
【0012】
第2の発明は、第1の発明の構成において、前記枠体の端面を前記側面電極部に対して絶縁する構造としたことを特徴とする。
第2の発明の構成によれば、側面電極部と圧電振動片の基部側が絶縁されるので、側面電極が圧電振動片の振動特性に悪影響を与えることがない。
【0013】
第3の発明は、第1または第2の発明のいずれかの構成において、前記圧電振動片の前記引き出し電極に設けたバンプを利用して、前記上ケースの貫通孔と前記引き出し電極とが導電体により接続されていることを特徴とする。
第3の発明の構成によれば、前記圧電振動片の前記引き出し電極にバンプを設けることで、圧電振動片の引き出し電極と貫通孔との距離をバンプの分だけ近くすることができ、充填すべき導電体の量を減らして、導通を容易にすることができる。
【0014】
上記目的は、第4の発明によれば、前工程として、上端と下端とが開放された枠体の内側にこの枠体と一体に設けられ、駆動用の励振電極及び励振電極と接続された引き出し電極を備える圧電振動片と、上面に開口した貫通孔を備え、この貫通孔から側面電極部にかけてケース側電極部が設けられた上ケースと、底面部に実装電極部が設けられ、この実装電極部と接続された側面電極部を備える下ケースとを予め用意し、この前工程に続いて後工程として、前記上ケースと前記下ケースとで前記枠体を挟み込むようにして、互いに接合する接合工程と、前記上ケースの前記貫通孔を通して導電体を充填し、前記圧電振動片の前記引き出し電極と接続させる導通工程とを有する、圧電デバイスの製造方法により、達成される。
【0015】
第4の発明の構成によれば、前工程で準備された上ケース及び下ケースと枠体とを用いて、後工程が進められる。この場合、接合工程では、前記上ケースと前記下ケースとで前記枠体を挟み込むようにして、互いに接合するようにしているので、枠体を用いない圧電振動片の製造工程のように、パッケージ内に圧電振動片をマウント(接合)する工程と、パッケージに蓋体を固定する蓋封止の工程を別々に行うことが不要で、その分製造工程が簡単である。また、圧電振動片を実装電極部と導通させるための導通工程は、上ケースの上面に開口した貫通孔から、例えば、溶融させた導電体を流し込むだけで行えるので、作業が容易である。
【0016】
第5の発明は、第4の発明の構成において、前記前工程において、前記圧電振動片の前記引き出し電極上にバンプを形成することを特徴とする。
第5の発明の構成によれば、前記圧電振動片の前記引き出し電極にバンプを形成することで、圧電振動片の引き出し電極と貫通孔との距離をバンプの分だけ近くすることができ、貫通孔に流し込む導電体の量を減らせるので、導通工程をより容易にすることができる。
【0017】
第6の発明は、第4または第5の発明のいずれかの構成において、前記接合工程の後で、前記上ケース及び前記下ケース内のガスを前記貫通孔を介して排出した後、前記貫通孔の上に導電体を載置し、この導電体に光ビームを照射することによって導電体を溶融させて前記貫通孔内に充填し、前記圧電振動片の前記引き出し電極と接続させる導通工程を行うことを特徴とする。
第6の発明の構成によれば、接合工程の際に、例えば、接合に用いる封止材の硬化の際に、内部で発生するガス成分等が、後で圧電振動片に付着すると、振動性能に悪影響が出る。このため、前記貫通孔を利用して、このガス成分を排出してから、貫通孔を塞ぐ孔封止を行えば、後でガス成分が圧電振動片に付着することがなく、振動性能に悪影響が出ることが有効に防止される。しかも、この孔封止にあたり、前記貫通孔の上に導電体を載置し、この導電体に光ビームを照射することによって導電体を溶融させて前記貫通孔内に充填する手法を用いると、導電体の充填がきわめて容易である。
【0018】
第7の発明は、第4ないし第6の発明のいずれかの構成において、少なくとも前記上ケースを光が透過する材料で形成し、前記導通工程後に前記上ケースを透過させて光ビームを前記圧電振動片の表面に形成した周波数調整用の金属被覆部に照射することで、周波数調整を行うことを特徴とする。
第7の発明の構成によれば、孔封止後において、ケース内が密閉された後で周波数調整をすることができ、工程の最後で圧電振動片の振動周波数を精密に合わせることができる。
【0019】
また、上記目的は、第8の発明によれば、内部に圧電振動片を気密に収容する構成とした圧電デバイスを利用した携帯電話装置であって、上端と下端とが開放された枠体と、この枠体の内側に、前記枠体と一体に設けられ、駆動用の励振電極が形成された圧電振動片と、前記枠体を挟み込むようにして固定される上ケース及び下ケースと前記上ケースの上面に開口する貫通孔から前記上ケース及び前記下ケースの側面に延長されたケース側電極部と、このケース側電極部と接続され前記上ケース及び前記下ケースの側面に設けられた側面電極部と、この側面電極部と接続され下ケース底面に設けられた実装電極部とを備えており、前記貫通孔と、前記圧電振動片に設けられ、前記励振電極と接続された引き出し電極とが導電体により接続されている圧電デバイスにより、制御用のクロック信号を得るようにした、携帯電話装置により、達成される。
【0020】
さらに、上記目的は、第9の発明によれば、内部に圧電振動片を気密に収容する構成とした圧電デバイスを利用した電子機器であって、上端と下端とが開放された枠体と、この枠体の内側に、前記枠体と一体に設けられ、駆動用の励振電極が形成された圧電振動片と、前記枠体を挟み込むようにして固定される上ケース及び下ケースと前記上ケースの上面に開口する貫通孔から前記上ケース及び前記下ケースの側面に延長されたケース側電極部と、このケース側電極部と接続され前記上ケース及び前記下ケースの側面に設けられた側面電極部と、この側面電極部と接続され下ケース底面に設けられた実装電極部とを備えており、前記貫通孔と、前記圧電振動片に設けられ、前記励振電極と接続された引き出し電極とが導電体により接続されている圧電デバイスにより、制御用のクロック信号を得るようにした、電子機器により、達成される。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1ないし図4は、本発明の圧電デバイスの第1の実施の形態を示しており、図1はその概略斜視図、図2は図1の圧電デバイスの電極部の表示を省略した概略分解斜視図、図3は図1の圧電デバイスの概略底面図、図4は図1のA−A線概略断面図である。
図1において、圧電デバイス30は、圧電振動子を構成した例を示している。この圧電デバイス30は、図2に示すように、枠体51の上下の開口を、それぞれ上ケース31と下ケース41とで塞ぐように固定して形成されている。
【0022】
上ケース31と下ケース41は、圧電振動片(後述)を収容するためのケースもしくはパッケージを構成するものである。上ケース31が蓋側であり、リッドである。下ケース41がベースとなる。
上ケース31と下ケース41は、本実施形態では、同じ寸法及び形状とされおり、かつ上ケース31と下ケース41の各外形は、枠体51の外形と一致するように形成されている。この実施形態では、上ケース31と下ケース41及び枠体51の外形は同一形状の矩形であるが、図示以外の幾何学形状または楕円形状等製品に求められる外形形状に適合させて選択することができる。
【0023】
上ケース31と下ケース41は、図4に示されているように、凹部31a,41aを有し、これらの上ケース31と下ケース41は、互いの凹部31a,41aを対向させることで、内側に深さL1の内部空間S2を形成するようにされている。
上ケース31と下ケース41は、後述するように、セラミックスや光透過性の材料、例えばガラスを用いて形成されている。上ケース31は、光ビームによる周波数調整を考慮して、光透過性の材料で形成することが好ましい。この実施形態では、下ケース41を後述するセラミックスで、上ケース31をホウ珪酸ガラス等で形成している。
【0024】
また、上ケース31と下ケース41は、それぞれ凹部31a,41aを設けることで、深さL1の内部空間S2を形成するようにされているが、内部空間S2は、後述する導通工程を考慮すると、できるだけ深さL1が小さいことが好ましく、例えば、リッド側である上ケース31及び/またはベース側である下ケース41について、凹部を形成せずに、平板な板体で形成してもよい。この場合、必要とする内部空間S2に所定の深さL1のギャップを形成するためには、上ケース31と下ケース41を枠体51に接合するための図4に示すロウ材もしくは封止材61(後述)に、所定のフィラー等を混入することでスペーサとして機能させることで実現できる。
あるいは、枠体51の枠部59に対して、その内側の圧電振動片52の厚みを薄く形成することでも実現できる。このためには、後述する製造工程において、枠体51をエッチングにより形成する際に、枠体51の外形をエッチングした後で、圧電振動片52の部分をハーフエッチングすること等により実現できる。
【0025】
枠体51は、図2に示されているように、上端と下端とが開放され、周囲を囲む枠部59を有する矩形形状に形成されている。枠体51は、開放された上端と下端とに、図4に示されているように上ケース31と下ケース41とを固定することで、内部空間S2が密閉された空間となるようにされている。
この枠体51は、特に、内部に圧電振動片52を形成するために、圧電材料が使用されている。使用される圧電材料としては、例えば、本実施形態のように水晶が適しており、水晶以外にもタンタル酸リチウム,ニオブ酸リチウム等の圧電材料を利用することができる。枠体51は、本実施形態の場合、水晶の薄板をフッ酸液等を用いてエッチングすることにより、内部空間S2と圧電振動片52の外形を形成している。
【0026】
圧電振動片52は、枠体51と同じ材料により一体に細くされた接続部56を介して枠体51と一体に形成されており、本実施形態の場合、圧電振動片52は、小型に形成して必要な性能を得るために、特に図示する形状とされている。
すなわち、圧電振動片52は、図2において、枠体51の一端部の内側と一体とされている基部53と、この基部53を基端として、先端に向かって二股に別れて平行に延びる一対の振動腕54,55を備えており、全体が音叉のような形状とされた、所謂、音叉型圧電振動片とされている。
【0027】
この圧電振動片52の表面には、図示しない励振電極が形成されており、各振動腕54,55を構成する材料について、駆動電圧に基づいて適切な電界を形成して振動させるようになっている。また、図2に示すように、圧電振動片52の基部53の幅方向の両端部に引き出し電極57,58が形成されている。各引き出し電極57,58は、上述の2系統に区分された励振電極とそれぞれ電気的に接続されている。
【0028】
このような構造でなる枠体51は、図4に示すように、その枠部59の上面及び下面が、それぞれロウ材もしくは封止材61,61を介して、上ケース31及び下ケース41と接合されることで、内部空間S2内に圧電振動片52が気密に密閉されている。
さらに、図1及び図2に示すように、上ケース31には、その上面に開口するように貫通孔36,37が設けられている。各貫通孔36,37は、図4に示すように、枠体51と重ねられた状態で、図2の各引き出し電極57,58の上に位置するように設けられている。
ここで、図2に示す貫通孔36,37の間隔W3は、圧電振動片52の各引き出し電極57,58の領域からはずれない範囲で、できるだけ広くとるように設けることが好ましい。
【0029】
さらに、上ケース31の上面には、図1及び図4に示すように、一方の側面、すなわち図1に示すように、上ケース31の手前側の側面に向かって延びるケース側電極部32(一方のケース側電極部)が形成されている。ケース側電極部32は、一方の貫通孔36の周縁を基端として、一方の側面に延びて側面電極部34と一体に接続されている。そして、この側面電極部34は、図3に示す下ケース41の底面の長さ方向の両端部にそれぞれ設けた実装電極部42,43のうちの一方の実装電極部42と一体に接続されている。ここで、上ケース31のケース側電極部32は、貫通孔36の内周面の電極部32aとも一体とされている。
【0030】
また、図1に示すように、上ケース31には、その上面に開口する他方の貫通孔37の周縁を基端として、他方の側面(図1において奥側)に延びるケース側電極部33(他方のケース側電極部)が形成されている。このケース側電極部33は、上述した(一方の)ケース側電極部32と同様に、(他方の)側面電極部35及び下ケース41底面の実装電極部43と一体に接続されている。
そして、好ましくは、枠体51の圧電振動片52が形成された側の端面には、側面電極部34との間に絶縁体62が設けられており、側面電極部34を通る駆動電圧が圧電振動片52側に悪影響を与えないようになっている。
そして、上ケース31及び下ケース41を接合する符号61の材料がロウ材のような導電性材料である場合には、枠体51の圧電振動片52が形成された側の端面には、側面電極部34との間に絶縁体62が設けられており、側面電極部34とロウ材61とを絶縁している。同様にして、枠体51の圧電振動片52が形成された側と反対の端面にも、絶縁体66が設けられており、側面電極部35とロウ材61とを絶縁している。また、封止材61が低融点ガラスのような絶縁材料である場合には、このような絶縁処理は不要である。
【0031】
ここで、上述したケース側電極部32,33、側面電極部34,35は、図示した形態に限らず、電極部での容量の増大を防止する点を重視する場合には、容易に断線しない程度で、できるだけ小さな面積となるように形成することが好ましい。
また、図1において、側面電極部34は、上ケース31、枠体51、下ケース41の積層状態に対応して、鎖線YL1,YL2で区分される領域34a,34b,34cの各領域毎に、後述する製造工程にしたがって形成される。尚、図示しないが、この点は、奥側の側面電極部35も同様である。
【0032】
さらに、図4の特に拡大した部分で示すように、圧電振動片52の引き出し電極57上で、上ケース31の貫通孔36の直下の箇所には、半田バンプやAuスタッドバンプのようなバンプ63が形成されている。貫通孔36に充填された導電体64とバンプ63により、貫通孔36の内周面の電極部32a及びケース側電極部32と、圧電振動片52の引き出し電極57とが電気的に接続されている。
したがって、圧電振動片52の引き出し電極57は、下ケース41の底面の実装電極部42と電気的に接続されている。これにより、圧電デバイス30が、図示しない実装基板等に、実装電極部42を利用して実装されることで、この実装基板からの駆動電圧が圧電振動片52に印加されるようになっている。
【0033】
本実施形態は以上のように構成されており、各電極部は、上ケース31と下ケース41の外側を通り、圧電振動片52から距離的に離れること、及び広い電極面とならないことから、電気的に容量が過大となることがなく、CI値の上昇を回避しながら確実な導通構造を得ることができる。
したがって、本発明の圧電デバイス30は、小型に形成しても、電気的接続構造が短絡を生じるおそれがなく、外部とケース内部に収容した圧電振動片52との電気的接続を確実に行うことができる。
【0034】
次に、図5ないし図9を参照しながら、本実施形態の圧電デバイス30の製造方法の一例について説明する。
図5は圧電デバイス30の製造方法の一例を示すフローチャート、図6は圧電デバイス30の製造工程における前工程について、上ケース31側を工程順に示す図、図7は圧電デバイス30の製造工程における前工程について、下ケース41側を工程順に示す図、図8は圧電デバイス30の製造工程における前工程について、圧電振動片側を工程順に示す図、図9は、圧電デバイス30の製造工程における後工程を工程順に示す概略断面図である。
この製造方法では、図5において、鎖線PLより以前のステップを含む前工程で準備された上ケース31及び下ケース41と枠体51とを用いて、鎖線PLより以降のステップを含む後工程が進められる。
【0035】
(前工程)
圧電デバイス30の製造工程における前工程は、図2で説明した上端と下端とが開放された枠体51の内側にこの枠体と一体に設けられ、駆動用の励振電極及び励振電極と接続された引き出し電極57,58を備える圧電振動片52と、上面に開口した貫通孔36,37を備え、この貫通孔から側面電極部34a,35aにかけてケース側電極部32,33が設けられた上ケース31と、底面部に実装電極部42,43が設けられ、この実装電極部と接続された側面電極部34c,35cを備える下ケース41とを個別に予め用意する工程である。
【0036】
(上ケースを形成するための前工程)
図6は上ケース31を形成する工程を順次に示しており、図6(a)は左側に上ケース31の平面図、右側に左側の図のB−B線切断端面図、図6(b)は左側に上ケース31の平面図、右側に左側の図のC−C線切断端面図、図6(c)は左側に上ケース31の底面図、右側に左側の図のD−D線切断端面図を示している。
【0037】
先ず、図6(a)に示すように、セラミックスや光透過性の材料、例えば、水晶やガラス、サファイア等を用いて、凹部31aを備える一方が開口した浅い箱状に上ケース31を形成する。上述したように、上ケース31は、光ビームによる周波数調整を考慮して、光透過性の材料で形成することが好ましく、本実施形態では、例えばホウ珪酸ガラス等で形成している。
この上ケース31には、上述した位置に貫通孔36,37を形成する。貫通孔36,37は、ウエットエッチングやサンドブラスト加工、あるいは所定の波長のレーザビーム等を用いて形成することができる(ST11)。
【0038】
次に、図6(b)に示すように、各貫通孔36,37をそれぞれ基端として、長手方向の端部側面に向かうように、ケース側電極部32,33を形成し、これとともに、さらに、上ケース31の長手方向の各側面に回り込む側面電極部34a,35aを形成する。各側面電極部34a,35aは、図1の鎖線YL1よりも上の部分である(ST12)。
この場合、各電極部は、スパッタリングや金属蒸着の手法とフォトリソグラフィー工程により、下地層をクロム(Cr)として、その上に金(Au)のメッキを施すことにより形成される。
【0039】
続いて、図6(c)に示すように、上ケース31の枠体に対する接合面に、ロウ材もしくは封止材61を適用する。封止材61としては、上ケース31と、図4の枠体51に対して、濡れ性のよい封止材を選択することが好ましい。この実施形態では、上ケース31として、ガラス材料を使用していることから、低融点ガラスを用いることが好ましい。低融点ガラスは、300度ないし700度程度で溶融・軟化するガラスである。
【0040】
この実施形態では、後述する製造工程に適するように、低融点ガラスとして、例えば、酸化亜鉛(PbO)に、B2 O3 、Bi2 O3 、ZnO、PbF2 、CuO、TiO2 、Nb2 O3 、Fe2 O3 、CaO等を微量含有する低融点ガラスが使用されている。本実施形態では、これらの組成からなる母ガラスに、例えば、チタン酸鉛系のフィラーを混入したガラスペーストを使用して印刷により行っている(ST13)。
この実施形態では、酸化亜鉛(PbO)系の低融点ガラスを使用するようにしている。また、鉛を含まない環境に対する悪影響が少ない低融点ガラスとしては、例えば、Cu2 O−CuO−P2 O5 系の低融点ガラス、SiO−SnO−P2 O5 等の低融点ガラスを使用することもできる。
【0041】
(下ケースを形成するための前工程)
図7は下ケース41を形成する工程を順次に示しており、図7(a)は左側に下ケース41の底面図、右側に左側の図のE−E線切断端面図、図7(b)は左側に下ケース41の平面図、右側に左側の図のF−F線切断端面図を示している。
【0042】
先ず、図7(a)に示すように、セラミックスや光透過性の材料を用いて凹部41aを備える一方が開口した浅い箱状に下ケース41を形成する。本実施形態では、下ケース41は、上ケース31と同じ形状としている。
下ケース41を形成するための材料としては、窒化アルミニウム質焼結体、炭化珪素質焼結体、窒化珪素質焼結体、ムライト質焼結体、ガラスセラミックス質焼結体等から選択されたセラミックグリーンシートを成形して形成される。あるいは、上ケース31と同じ材料として、水晶やホウ珪酸ガラス、サファイア等を用いて形成してもよい。
【0043】
そして、下ケース41の長さ方向の両端部には、実装電極部42,43を形成し、これとともに、さらに、下ケース41の長手方向の各側面に回り込む側面電極部34c,35cを形成する(ST21)。
この場合、各電極部は、次のように形成される。すなわち、下ケース41の図7(a)に示す箇所に、タングステンメタライズ上にニッケルメッキ及び金メッキで形成する。あるいは、タングステンやモリブデン、銀、銅等の金属粉末を適当な有機バインダや溶剤等に含有させた金属ペーストを上述したグリーンシートに印刷塗布し、グリーンシートとともに焼成して形成してもよい。
次いで、図7(b)に示すように、下ケース41の枠体に対する接合面に、ロウ材もしくは封止材61を適用する。この封止材61の適用は、上ケース31の場合と同じである(ST22)。
【0044】
(圧電振動片を形成するための前工程)
図8は圧電振動片52を備える枠体51に電極を形成する工程を順次示しており、図8(a)は枠体51の平面図、右側に左側の図のG−G線切断端面図、図8(b)は枠体51に引き出し電極を形成した状態の平面図、右側に左側の図のH−H線切断端面図、図8(c)は枠体51の側面に絶縁体を形成した状態の平面図、右側に左側の図のI−I線切断端面図を示している。
【0045】
先ず、図8(a)に示すように、例えば、水晶材料のウエハから、エッチングにより枠体51の枠部59と圧電振動片52の部分を形成する。そして、基部53の図示の部分に引き出し電極57,58を形成する。この場合、例えば、タングステンメタライズ上にニッケルメッキ及び金メッキで形成する(ST31)。
次いで、図8(b)に示すように、圧電振動片52の各引き出し電極57,58の上に半田バンプやAuスタッドバンプのようなバンプ63,63を形成する(ST32)。このバンプ63,63は、図4で説明したように、上ケース31の各貫通孔36,37に対応した箇所である。
【0046】
(後工程)
図9は、圧電デバイス30の製造方法の後工程を順次示す概略断面図である。後工程では、図9(a)に示すように、先ず、上述の各前工程によって形成した下ケース41の上に枠体51を載置し、枠体51の上に上ケース31を載置して、封止材61を加熱溶融して、これらを接合する(接合工程)。
この場合、例えば、所定のキャビティ(図示せず)内にN2 を導入し、封止材61を加熱溶融することにより行う(ST44)。
【0047】
(アニール処理)
次いで、キャビティ内を大気圧または真空として、ST44の加熱により、封止材61から脱離したガス成分や、ケース内の吸着水の気化成分等を上ケース31の各貫通孔36,37を利用して排出する(ST45)。これにより、これらのガス成分等が、以降の工程において、圧電振動片52に付着することで、その振動性能に悪影響を与えることを有効に防止することができる。
【0048】
(導通工程)
次に、図9(b)に示すように、貫通孔36の上縁部に、例えば球状の導電体64aを載置する(図9では表れない貫通孔37についても同様)。
この球状の導電体64aとしては、例えば、半田ボールを使用することができるが、鉛を含有しない半田ボールが好ましく、例えば、Au/Sn合金、Au/Ge合金等の金属ボール等を使用することができる。
そして、球状の導電体64aに対して、例えば、レーザによる光ビームLBを照射して球状の導電体64aを溶融させる(ST46)。次に、図9(c)に示すように、流れた導電体は、貫通孔36から流れ込んで、その下のバンプ63と一体となって貫通孔36内に充填されるとともに、圧電振動片52の引き出し電極57と接続される(ST48)。したがって、この工程は、上ケース31の貫通孔を通して導電体を充填し、圧電振動片52の引き出し電極と接続させる導通工程であるとともに、ガス成分を排気した後の孔封止工程を兼ねることになる。
【0049】
また、符号61,66の材料として導電性のロウ材を使用する場合は、側面シール工程(ST47)として、一度枠体左右側面にSiO2 等の絶縁材をスパッタリングあるいは蒸着により形成する。尚、符号61,66の材料が非導電性の材料、例えば低融点ガラス等であれば、この工程は不要である。次に、導通工程の一部として、上述の孔封止に前後して、図示するように、絶縁部62に重ねるようにして、側面電極部の一部34bをスパッタリングもしくは蒸着により形成する。同様に、絶縁部66に重ねるようにして、側面電極部35についても、その一部35bを形成する。これにより、上ケース31側の側面電極部34a,35aと下ケース41側の側面電極部34c,35cが、電極部34b,35bにより導通されることで、圧電デバイス30の各側面電極34,35が完成する。
【0050】
(周波数調整工程)
次いで、図9(c)に示すように、上ケース31を透過させてレーザ光等の光ビームを圧電振動片52の表面に形成した周波数調整用の金属被覆部(図示せず)に照射することで、質量削減方式により周波数調整を行う(ST49)。
これにより、孔封止後において、ケース内が密閉された後で周波数調整をすることができ、工程の最後で圧電振動片52の振動周波数を精密に合わせることができる。尚、この場合、圧電振動片52の表面に形成した周波数調整用の金属被覆部として、励振電極の一部を利用してもよい。
その後、必要な検査を行い、圧電デバイス30が完成される。
【0051】
本実施形態によれば、この製造方法では、前工程で準備された上ケース31及び下ケース41と枠体51とを用いて、後工程が進められる。この場合、接合工程(ST44)では、上ケース31と下ケース41とで枠体51を挟み込むようにして、互いに接合するようにしているので、枠体を用いない圧電振動片の製造工程のように、パッケージ内に圧電振動片をマウント(接合)する工程と、パッケージに蓋体を固定する蓋封止の工程を別々に行うことが不要となるから、その分製造工程が簡単である。
また、圧電振動片52を実装電極部42,43と導通させるための導通工程(ST47)は、上ケース31の上面に開口した貫通孔36から、例えば、溶融させた導電体64を流し込むだけで行えるので、作業が容易である。
【0052】
しかも、接合工程(ST44)において、低融点ガラス61,61が硬化する際、内部で発生するガス成分等が、後で圧電振動片52に付着すると、振動性能に悪影響が出る。このため、貫通孔36を利用して、このガス成分を排出してから、貫通孔36を塞ぐ孔封止を行えば、後で圧電振動片52にガス成分が付着することなく、振動性能に悪影響が出ることが有効に防止される。しかも、この孔封止にあたり、貫通孔36の上に導電体64aを載置し、この導電体64aに光ビームLBを照射することによって導電体64aを溶融させて貫通孔36内に充填する手法を用いると、導電体64の充填がきわめて容易である。
【0053】
図10は、本発明の圧電デバイスの第2の実施形態を示す概略斜視図である。
図10において、図1と同じ符号を付した箇所は共通する構成であるから、重複した説明は省略し、以下相違点を中心に説明する。
図10の圧電デバイス70においては、上ケース31、枠体51、下ケース41の外形がほぼ矩形であり、その角隅部が面取り部とされることで、圧電デバイス70の各角隅部が面取り部71,72,73,74となっている。
【0054】
すなわち、上ケース31、枠体51、下ケース41を、それぞれ製造する際に、これらを複数個合わせた形状の基板やウエハから、個々の上ケース31、枠体51、下ケース41を切除する際に、各角隅部となる箇所に円形の貫通孔を形成して、各貫通孔の中心を通る直交した切断線により基板もしくはウエハを切断すると、この各角隅部には、図示のような1/4円でなる面取り部もしくはキャスタレーション部が形成される。
圧電デバイス70では、側面電極部34,35がキャスタレーション部である面取り部72,74に沿って形成されている。これにより、図1の圧電デバイス30と比較すると、側面電極部の面積を小さく形成することが容易である。 それ以外の作用効果は第1の実施形態と共通する。
【0055】
図11は、本発明の上述した実施形態に係る圧電デバイスを利用した電子機器の一例としてのデジタル式携帯電話装置300の概略構成を示す図である。
図において、マイクロフォン308により電気信号に変換された送信者の音声は、デモジュレータ,コーデック部でデジタル変調され、送信部307においてRF(Radio Frequency)帯に周波数変換後、アンテナを通して基地局(図示せず)に送信される。また、基地局からのRF信号は受信部306において周波数変換後、デモジュレータ,コーデック部において音声信号に変換され、スピーカー309から出力される。また、CPU(Central Processing Unit)301は液晶表示装置及びキーボードからなる入出力部302をはじめ、デジタル式携帯電話装置300の全体の動作を制御している。メモリ303はCPU301により制御される、RAM,ROMからなる情報記憶手段であり、これらの中にはデジタル式携帯電話装置300の制御プログラムや電話帳などの情報が格納されている。
【0056】
本発明の実施形態に係る圧電デバイスが応用されるものとして、CPU(コントローラ)の基本クロック、タイマーや計時機能の基本クロックとして形態電話装置等の電子機器に広く利用されている。そして、近年の携帯電話装置の小型化に伴い、小型化への要求が高くなってきており、本発明の実施形態に係る構造による圧電デバイスは極めて有用である。
【0057】
このように、デジタル式携帯電話装置300のような電子機器に、上述した実施形態に係る圧電デバイス30,70を利用することにより、製造工程において区分されるべき電極が短絡されて故障の原因となることを有効に防止でき、高い信頼性を備えるデジタル式携帯電話装置300を得ることができる。
【0058】
本発明は上述の実施形態に限定されない。各実施形態の各構成はこれらを適宜組み合わせたり、省略し、図示しない他の構成と組み合わせることができる。
また、この発明は、パッケージ内に圧電振動片を収容するものであれば、圧電振動子、圧電発振器等の名称にかかわらず、全ての圧電デバイスに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の圧電デバイスの第1の実施形態を示す概略斜視図。
【図2】図1の圧電デバイスの概略分解斜視図。
【図3】図1の圧電デバイスの概略底面図。
【図4】図1のA−A線概略断面図。
【図5】図1の圧電デバイスの製造方法の一例を示すフローチャート。
【図6】図1の圧電デバイスの製造工程における前工程について、上ケース側を工程順に示す図。
【図7】図1の圧電デバイスの製造工程における前工程について、下ケース側を工程順に示す図。
【図8】図1の圧電デバイスの製造工程における前工程について、圧電振動片側を工程順に示す図。
【図9】図1の圧電デバイスの製造工程における後工程を工程順に示す概略断面図。
【図10】本発明の圧電デバイスの第2の実施形態を示す概略斜視図。
【図11】本発明の実施形態に係る圧電デバイスを利用した電子機器の一例としてのデジタル式携帯電話装置の概略構成を示す図。
【図12】従来の圧電デバイスの一例を示す概略断面図。
【図13】図12の圧電デバイスの圧電振動片(枠体)を示す概略平面図。
【図14】圧電デバイスの他の構成例を示す概略断面図。
【図15】図14の圧電デバイスの概略底面図。
【符号の説明】
30,70・・・圧電デバイス、31・・・上ケース、32,33・・・ケース側電極部、34,35・・・側面電極部、36,37・・・貫通孔、42,43・・・実装電極部、51・・・枠体、52・・・圧電振動片、57,58・・・引き出し電極、64・・・導電体。
Claims (9)
- 上端と下端とが開放された枠体と、
この枠体の内側に、前記枠体と一体に設けられ、駆動用の励振電極が形成された圧電振動片と、
前記枠体を挟み込むようにして固定される上ケース及び下ケースと
前記上ケースの上面に開口する貫通孔から前記上ケース及び前記下ケースの側面に延長されたケース側電極部と、
このケース側電極部と接続され前記上ケース及び前記下ケースの側面に設けられ側面電極部と、
この側面電極部と接続され前記下ケース底面に設けられた実装電極部と
を備えており、
前記貫通孔と、前記圧電振動片に設けられ、前記励振電極と接続された引き出し電極とが導電体により接続されている
ことを特徴とする、圧電デバイス。 - 前記枠体の端面を前記側面電極部に対して絶縁する構造としたことを特徴とする請求項1に記載の圧電デバイス。
- 前記圧電振動片の前記引き出し電極に設けたバンプを利用して、前記上ケースの貫通孔と前記引き出し電極とが導電体により接続されていることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の圧電デバイス。
- 前工程として、上端と下端とが開放された枠体の内側にこの枠体と一体に設けられ、駆動用の励振電極及びこの励振電極と接続された引き出し電極を備える圧電振動片と、上面に開口した貫通孔を備え、この貫通孔から側面電極部にかけてケース側電極部が設けられた上ケースと、底面部に実装電極部が設けられ、この実装電極部と接続された側面電極部を備える下ケースとを予め用意し、
この前工程に続いて後工程として、
前記上ケースと前記下ケースとで前記枠体を挟み込むようにして、互いに接合する接合工程と、
前記上ケースの前記貫通孔を通して導電体を充填し、前記圧電振動片の前記引き出し電極と接続させる導通工程と
を有することを特徴とする、圧電デバイスの製造方法。 - 前記前工程において、前記圧電振動片の前記引き出し電極上にバンプを形成することを特徴とする請求項4に記載の圧電デバイスの製造方法。
- 前記接合工程の後で、前記上ケース及び前記下ケース内のガスを前記貫通孔を介して排出した後、前記貫通孔の上に導電体を載置し、この導電体に光ビームを照射することによって導電体を溶融させて前記貫通孔内に充填し、前記圧電振動片の前記引き出し電極と接続させる導通工程を行うことを特徴とする請求項4または5のいずれかに記載の圧電デバイスの製造方法。
- 少なくとも前記上ケースを光が透過する材料で形成し、前記導通工程後に前記上ケースを透過させて光ビームを前記圧電振動片の表面に形成した周波数調整用の金属被覆部に照射することで、周波数調整を行うことを特徴とする請求項4ないし6のいずれかに記載の圧電デバイスの製造方法。
- 内部に圧電振動片を気密に収容する構成とした圧電デバイスを利用した携帯電話装置であって、
上端と下端とが開放された枠体と、
この枠体の内側に、前記枠体と一体に設けられ、駆動用の励振電極が形成された圧電振動片と、
前記枠体を挟み込むようにして固定される上ケース及び下ケースと
前記上ケースの上面に開口する貫通孔から前記上ケース及び前記下ケースの側面に延長されたケース側電極部と、
このケース側電極部と接続され前記上ケース及び前記下ケースの側面に設けられた側面電極部と、
この側面電極部と接続され前記下ケース底面に設けられた実装電極部と
を備えており、
前記貫通孔と、前記圧電振動片に設けられ、前記励振電極と接続された引き出し電極とが導電体により接続されている圧電デバイスにより、制御用のクロック信号を得るようにしたことを特徴とする、携帯電話装置。 - 内部に圧電振動片を気密に収容する構成とした圧電デバイスを利用した電子機器であって、
上端と下端とが開放された枠体と、
この枠体の内側に、前記枠体と一体に設けられ、駆動用の励振電極が形成された圧電振動片と、
前記枠体を挟み込むようにして固定される上ケース及び下ケースと
前記上ケースの上面に開口する貫通孔から前記上ケース及び前記下ケースの側面に延長されたケース側電極部と、
このケース側電極部と接続され前記上ケース及び前記下ケースの側面に設けられた側面電極部と、
この側面電極部と接続され前記下ケース底面に設けられた実装電極部と
を備えており、
前記貫通孔と、前記圧電振動片に設けられ、前記励振電極と接続された引き出し電極とが導電体により接続されている圧電デバイスにより、制御用のクロック信号を得るようにしたことを特徴とする、電子機器。
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