JP2004205302A - 蒸気乾燥器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】蒸気乾燥器に備えられた蒸気流路形成部材6間の蒸気流路27の幅寸法21a〜21hを水分除去機構7の蒸気流路形成部材6間の間隔に占める割合を上流側に比較して下流側で相対的に少なくすることで蒸気流路27の幅を上流側に比較して下流側において拡大する構成を採用した。そのため、各蒸気流路形成部材6の各波板32の間隔を上流から下流にかけて一定にした上で蒸気流路27の幅を蒸気流路27の流路に沿って次第に大きくする構成が採用できた。
【効果】蒸気乾燥器の蒸気流路形成部材間の蒸気流路下流の流路幅を広げて、上流よりも下流の蒸気流速を低下させ、且つ流路全体で必要な水分除去機構を装備できたから、蒸気流速の増大に伴う液滴の最飛散を蒸気乾燥器の大型化を抑制しつつ達成できる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、蒸気から水分を除去する蒸気乾燥器に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、沸騰水型原子炉(以下、単に原子炉という。)の気水分離システムは、原子炉炉心で発生した水と蒸気の混合流から、蒸気と水を分離する気水分離器と、気水分離器で分離された湿り蒸気から液滴を除去する蒸気乾燥器とからなる。
【0003】
このような気水分離システムで水分を除去された蒸気は、沸騰水型原子炉内から管路を通して沸騰水型原子炉外に輸送されて、蒸気タービンやその他の装置において利用される。
【0004】
気水分離器から放出された液滴を含む湿り蒸気は、フードプレートにより蒸気乾燥器の入口に誘導されて、その入口に存在する多孔板を通過して複数の波板式ベーン(以下、波板という。)間の屈曲した蒸気流路へと導かれ、個々で質量の大きい液滴を波板上に衝突させて液滴が蒸気流から分離される。
【0005】
分離された液滴は、波板上を液膜状となって、重力と蒸気からのせん断力によって斜め下方向に流れて波板の水分除去機構に入り、水分除去機構を下方に流下して蒸気流路から除去される。そしてこの液膜は蒸気流路真下のドレンといによって収集され、ドレンダクトへ排出されてドレンダクトから原子炉のダウンカマへと導かれる。この種の従来技術は、例えば特許文献1で参照できる。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−222190号公報(全頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
原子炉における従来の蒸気乾燥器では、一般に、蒸気流速や、蒸気乾燥器の入口に流入する蒸気の含有する水分量(以下、入口湿分と称する。)が大きい場合には、分離された液滴が、再び蒸気流に飛散(以下、再飛散と称する。)し、蒸気乾燥器の出口から出てくる蒸気の含有する水分量(以下、出口湿分と称する。)が急増してしまう現象が知られており、この現象が起こると出口湿分が蒸気タービンからの要求を満たすことができなくなる。
【0008】
蒸気乾燥器では、出口湿分が急増する境界は、一般に図8に示すような蒸気乾燥器制限曲線11で示される。図8は、蒸気乾燥器制限曲線11を境界に、蒸気乾燥器制限曲線11よりも左側の運転可能領域12と同じく右側の運転不可能領域13に分けることができる。
【0009】
原子炉の出力を増加させる場合、蒸気流量の増大を伴う。このことは、原子炉の出力を増加させる場合は、従来の蒸気乾燥器を用いたままで、入口面積を現状のままとした場合、蒸気流速が増大することを意味する。従って、現行の原子炉で許容されていた図8中運転点14が蒸気流速の増大によって図8中運転点15にシフトする可能性があり、この場合、気水分離システムとして成立しなくなる可能性がある。
【0010】
従来の技術を用いた波板を有する蒸気乾燥器を用いて、気水分離システムを成立させるためには、蒸気乾燥器における蒸気流速を低下させるために、図6の蒸気乾燥器エレメント16の員数の増加や、蒸気乾燥器エレメント高さ17の増大が必要となり、この場合、図4の原子炉圧力容器18の大きさも増大し、建設コストが大幅に上昇してしまう。
【0011】
前記特許文献1における蒸気乾燥器では、液滴の捕獲量を増大することを目的としているが、下流に行くほど蒸気流速が増大するので、蒸気流速の増大による液滴の再飛散を抑制する手段としては不十分であり、それを克服しようとすると蒸気乾燥器が大型化し、原子炉圧力容器も大型化するという懸念があった。
【0012】
本発明の目的は、蒸気流速の増大に対して液滴の再飛散を抑制できる蒸気乾燥器を提供することに有る。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、蒸気乾燥器の蒸気流路に沿って、その蒸気流路の幅を蒸気の流れの上流に比較して下流において相対的に増大させた構成を採用して、その蒸気流路を流れる蒸気流速を上流に比較して下流において低下させる作用を得ることで達成された。
【0014】
【発明の実施の形態】
主に原子力発電所で採用されている沸騰水型原子炉(以下、単に原子炉という。)は、図4のように、原子炉圧力容器18内の炉水を原子炉炉心1とダウンカマ10との間でインターナルポンプで循環させている。その循環途中で、炉水が原子炉炉心1で加熱され、水と蒸気との混合流体となる。その混合流体は原子炉炉心1の真上に配備されている気水分離器2に入る。その混合流体は気水分離器2内に入って上方へ通過する。
【0015】
その混合流体が気水分離器2内を通過する途中で、その混合流体は水と蒸気とに遠心分離される。気水分離器2で分離された蒸気は気水分離器2の上方に配備された蒸気乾燥器3へ向かい、気水分離器2で分離された水は気水分離器2の途中から気水分離器2外へ排出される。気水分離器2外へ排出された水は降下してダウンカマ10へ戻され、再度原子炉炉心1へ循環させられる炉水として用いられる。
【0016】
気水分離器2で分離された蒸気は、まだ蒸気タービンが受け入れることのできない過剰な液適量を含む湿り蒸気のままであるから、その湿り蒸気を蒸気乾燥器3にかけて蒸気タービンが受け入れることのできる湿分量にする必要性がある。その必要性を満たせるようになるために、気水分離器2で分離された蒸気は、図6に見られる点線で表示した矢印(蒸気流れ)に沿って蒸気乾燥器3のフードプレート4(以下、フード4と称する。)の内側に入り、上向きから水平寄りに向きを変えて蒸気乾燥器3の入口を形成する多孔板5の孔内を通過する。
【0017】
多孔板5を通過した蒸気は蒸気乾燥器3の複数の蒸気流路形成部材6間の蒸気流路27を図6に見られる点線で表示した矢印(蒸気流れ)に沿ってほぼ水平に通過する。その蒸気流路27を蒸気流が通過することで蒸気中にまだ残存する水滴が液膜となって波板6に捕獲され、蒸気の湿分が低下する。
【0018】
このように蒸気乾燥器3を通過することで湿分が低下した蒸気は、乾燥蒸気として蒸気乾燥器3から出て蒸気乾燥器3の上側などに抜ける。蒸気乾燥器3から抜けたその乾燥蒸気は、図4に示す主蒸気ノズル28から、図示していないが主蒸気ノズル28に接続されている主蒸気配管を通過して発電機を駆動するための蒸気タービンへ、蒸気タービンの駆動エネルギーとして供給される。
【0019】
蒸気乾燥器3の蒸気乾燥器エレメント16は、複数の蒸気流路形成部材6と、蒸気流路形成部材6の上方を覆う天板29と、蒸気流路形成部材6の下方を覆うドレンとい8と、蒸気流路形成部材6間への蒸気流れの入口側を塞ぐ配置で天板29とドレンとい8に設けられた多孔板5と、蒸気流れを多孔板5方向に誘導するように湾曲部を上部に有して天板29等に設けたフード4とを有する。尚、9はドレンとい8に設けられてドレンとい8の排水穴から排出された水を受けて蒸気乾燥器3の外側にその水を誘導するドレンダクトである。
【0020】
このような、蒸気乾燥器エレメント16は、図4や図5に見られるように、6エレメント6列構成で蒸気乾燥器3の構成として備えられる。蒸気乾燥器3はそれらの蒸気乾燥器エレメント16と、蒸気乾燥器エレメント16を搭載した水平な隔離壁30と、隔離壁30を搭載した円筒状のスカート31とからなり、フード4の下端開口部分がスカート31内側に連通している。蒸気乾燥器3のスカート31と隔離壁30は気水分離器2群の上方と水平方向周囲を覆い気水分離器2から出てきた蒸気を効率よくフード4内に導くことができる。
【0021】
蒸気乾燥器エレメント16の複数の蒸気流路形成部材6は、図6で見られるように垂直に立てられ、且つ図6中の矢印A方向に間隔を置いて配置されている。その複数の蒸気流路形成部材6の隣接しあう二枚の蒸気流路形成部材6の関係を水平面で眺めた状態を示すと、図1のようになる。
【0022】
図1のように、蒸気流路形成部材6は波板32と液滴捕集板33(液滴捕集手段)とで構成されている。その波板32は非屈曲区間の寸法22a,22b,22c,22d,22e,22fをあけながら波板32の厚さ方向に互い違いに折り曲げられた多段に屈曲された形状を有する。一方、液滴捕集板33も液滴捕集板33の厚さ方向に互い違いに2箇所折り曲げられている。波板32の折り曲げ個所には液滴捕集板33の一方の折り曲げ個所があてがわれて波板32に固定されている。液滴捕集板33の一方の折り曲げ個所の一部分と、液滴捕集板33のもう一方の折り曲げ個所は、波板32間の空間に突き出されている。これによって、波板32と液滴捕集板33とでドレンポケット34と称する液滴や液膜の捕獲空間を形成している。また、図1に示すように、隣接して配置された蒸気流路形成部材6の相互間に蒸気が流れて複数に曲折した蒸気流路27が形成される。
【0023】
波板32間にドレンポケット34を形成する液滴捕集板33は、液滴や液膜をドレンポケット34に捕獲することから水分除去機構7と称せられ、蒸気流路27沿いに波板32に複数設けられている。その液滴捕集板33による水分捕集機能を説明すると次のようになる。即ち、図7において、上流側から湿り蒸気が矢印Bの方向へ流れてくると、液滴捕集板33に蒸気中の液滴が付着して液膜になる。その液膜は蒸気の流力と地球の重力とを受けて図7中のC矢印のように斜め下方に進み、隣接する各液滴捕集板33間に設けたドレンポケット34の入口35からドレンポケット34内に入る。ドレンポケット34内に入った液膜は下方に降下してドレンとい8へ入り、ドレンとい8からドレンダクト9へ流れて蒸気乾燥器3の外へ出され、ダウンカマ10へ至り、炉水として用いられる。
【0024】
図1のように、蒸気流路形成部材6の波板32は各非屈曲区間の寸法22a,22b,22c,22d,22e,22fが22a>22b>22c>22d>22e>22fという大小関係を有している。そのため、各ドレンポケット34の幅寸法23a,23b,23c,23d,23e,23f,23gが23a>23b>23c>23d>23e>23f>23gという大小関係を有している。そのために、蒸気流路27の幅寸法21a,21b,21c,21d,21e,21f,21g,21hが21a<21b<21c<21d<21e<21f<21g<21hというように蒸気流路27の屈曲毎に大きくなるという大小関係を有している。
【0025】
このような大小関係は、蒸気流路27の幅が蒸気流の図1に示す上流側から下流側に行くに従って拡大されている構造を各蒸気流路形成部材6の間に付与することとなる。いいかえれば、各蒸気流路形成部材6の高さ寸法17は同じであるから、蒸気流路形成部材6の蒸気流路27の流路面積が蒸気流の図1に示す上流側から下流側に行くに従って拡大されている構造を各蒸気流路形成部材6の間に付与することとなる。また、各ドレンポケット34の幅寸法23a,23b,23c,23d,23e,23f,23gが23a>23b>23c>23d>23e>23f>23gという大小関係を有していることは、蒸気流路27の上流側のドレンポケットが下流側のドレンポケットよりも相対的に捕獲容量が大きくて、水分除去機構7の液体捕獲容量もその大小関係と同じ関係となっている。
【0026】
従って、蒸気流の上流側のドレンポケットが、下流側のドレンポケットよりも相対的に捕獲容量が大きくて、下流側のドレンポケットよりも多量の液体を捕獲してもその捕獲液体の蒸気流路側への溢れ出しの懸念がない。そのため、蒸気乾燥器へ入って来たばかりの湿り蒸気の蒸気流から上流側のドレンポケットで多量の液体を捕獲して蒸気流路側へ逃さないようにし、下流側へ行くに従ってドレンポケットで液体を捕獲する負担を軽減している。そのため、下流側へ行くに従ってドレンポケットの幅が狭くても良い。
【0027】
図1の蒸気流路形成部材6を図2の蒸気流路形成部材6の構造に置き換えて蒸気乾燥器3に適用しても良い。図2で示す蒸気流路形成部材6の構造は、波板32の各非屈曲区間の寸法22a,22b,22c,22d,22e,22fが22a=22b=22c>22d=22e=22fという大小関係を有している。そのため、各ドレンポケット34の幅寸法23a,23b,23c,23d,23e,23f,23gが23a=23b=23c>23d=23e=23f=23gという大小関係を有している。そのために、蒸気流路27の幅寸法24a,24b,24c,24d,24e,24f,24g,24hが24a=24b=24c=24d<24e=24f=24g=24hという大小関係を有している。
【0028】
このような大小関係は、蒸気流路27の幅が蒸気流の図2に示す上流側から蒸気流路27の三折れ目までの蒸気流路27の流路幅が四折れ目以降の下流側の蒸気流路27の幅に比較して拡大されている構造を各蒸気流路形成部材6の間に付与することとなる。いいかえれば、各蒸気流路形成部材6の高さ寸法17は同じであるから、蒸気流路形成部材6の蒸気流路27の流路面積が蒸気流路27の図1に示す上流側から下流側に行く途中で、その途中以降で拡大される構造を各蒸気流路形成部材6の間に付与することとなる。その他の構成は、図1の蒸気流路形成部材6と同じである。
【0029】
このような図2の蒸気流路形成部材6を採用すると、各ドレンポケット34の幅寸法23a,23b,23cが大きいままであるから蒸気流路の上流側における蒸気からの液体の捕獲が強化されて、蒸気流路に入って来たばかりで最も湿った蒸気に対しての液体捕獲に対応できる。
【0030】
蒸気流路形成部材6の構造は更に簡単な構造であっても良い。その簡単な構造は、図3に見られるように、波板32を厚さ方向へ連続して互い違いに折り曲げて図1,図2に示した波板32が持っている各非屈曲区間の寸法22a,22b,22c,22d,22e,22fを零にして無くしている。そして、各液滴捕集板33を一箇所折りにして折り目が波板32間の蒸気流路27へ突き出るように波板32に固定する。これにより、波板32と液滴捕集板33との間にドレンポケット34を形成する。これら波板32と液滴捕集板33とドレンポケット34とで水分除去機構7を蒸気流路27に沿って複数個構成する。
【0031】
この際、図3のように、各ドレンポケット34の幅寸法26a,26b,26c,26d,26e,26f,26gが26a>26b>26c>26d>26e>26f>26gという大小関係を有するように波板32に対する液滴捕集板33の取り付け関係を調整しておく。このようにすることで、蒸気流路27の幅寸法25a,25b,25c,25d,25e,25fが25a<25b<25c<25d<25e<25fというように蒸気流路27の屈曲毎に大きくなるという大小関係を有することになる。
【0032】
このような図3の蒸気流路形成部材6を採用すると、波板32や液滴捕集板33の曲げ状態が単純で構造が簡単となる。
【0033】
いずれの蒸気流路形成部材6の構造であろうとも、蒸気乾燥器3の多孔板5の孔を通過した蒸気は、図1,図2,図3に表示した入口湿分を持って蒸気流路27の上流端から入って下流側から出口湿分を持って出て行く。そして、蒸気が蒸気流路27を流れていく過程で各水分除去機構7によって蒸気から水分が除去されてドレンポケット34に除去された水分が水となって捕獲される。
【0034】
そのために蒸気流路27の下流側へ行くに従って、蒸気流路27中を流れる蒸気中の湿分が低下して乾燥し、除去すべき水分が少なくなる。そのため、水分除去機構7のドレンポケット34の幅も蒸気流路27の下流に行くに従って狭小化しても差支えがない。それどころか、蒸気流路27の幅あるいは流路断面積が、相対的に上流側よりも下流側で拡大されているので、下流側の蒸気流速が上流側の蒸気流速に比べて低下しているから、波板32や液滴捕集板33に付着していた液膜や液滴が蒸気流路27内の蒸気流れに巻き込まれてその液滴や液膜が再飛散することを抑制できる。そのために、蒸気乾燥器3から出てくる蒸気には再飛散した液滴や液膜分を含みにくく、蒸気乾燥器3を大型化せずに良好且つ確実に蒸気を乾燥させることができる。図1,図2,図3の蒸気流路形成部材6は、蒸気流路形成部材6の間隔を広げることなく蒸気流路27の幅あるいは流路断面積を、相対的に上流側よりも下流側で拡大できるので、その間隔方向への大形化も防止できる。
【0035】
以上のように本発明の各実施例による蒸気流路形成部材6は、蒸気乾燥器エレメント16の中に平行に多数設置される。そして原子炉炉心1にて発生した蒸気と水の混合流は、気水分離器2にて蒸気を分離され、液滴を含む湿り蒸気が、蒸気乾燥器3に設けられたフード4を通り、蒸気乾燥器エレメント16に導かれる。
【0036】
液滴を含む湿り蒸気は、多数の蒸気流路形成部材6により形成される蒸気流路17に流入し、液滴は蒸気流路形成部材6において、蒸気流が蒸気流路27の屈曲に沿って方向変換する際に遠心力によって波板32や液滴捕集板33などの板に衝突して蒸気から分離される。分離された液滴は、水分除去機構7に入り、蒸気流路27から除去される。この水分除去機構7は、液膜を蒸気流から隔離し、液膜から液滴が蒸気へ再飛散することを防ぐために、重要な役割を果たしている。水分除去機構7のドレンポケット34に入った液膜は、重力によって下方へ流下し、ドレンとい8及びドレンダクト9を通って、ダウンカマ10へ排出される。
【0037】
蒸気乾燥器3は、湿り気を含んだ蒸気から液滴を除去し、蒸気タービンから要求される湿分条件を満たす、十分に乾いた蒸気を発生することを目的とする、気水分離システムの最終段階となる構造物であるから、蒸気乾燥器エレメント16の出口湿分を制限することは、気水分離システムの本質的な目的である。
【0038】
蒸気乾燥器3の出口湿分は、主に蒸気乾燥器エレメント16の入口湿分と、入口蒸気流速に支配される。ある一定の入口湿分を与え、入口蒸気流速を次第に増加せしめるような運転を行った場合、蒸気乾燥器エレメント16の出口湿分は、図8中の曲線19のような振る舞いを示す。曲線19において、出口湿分が急激に増加するのは、蒸気流速の増加によって、蒸気からのせん断力が増加し、蒸気流路形成部材6を構成する各板上の液膜から、液滴が、蒸気中に飛散することが主要原因であることが実験によって分かってきた。
【0039】
出口湿分が蒸気タービンからの要求値を満たさなくなれば、蒸気タービンのブレードにおいて、エロージョンなどを引き起こすことになる。本発明が実施される例として予想される増出力型の沸騰水型原子炉においては、増出力化前よりも蒸気流量が増大しているため、従来の技術を用いた蒸気乾燥器で、入口面積を増大しない場合には、定格運転条件においても、蒸気流速が増大し、入口湿分と入口蒸気流速の組合せが図8中の運転不可能領域13に入る可能性がある。図8に示される制限曲線11は、蒸気流路形成部材の種類によって若干異なるが、これまで原子炉に採用された実績のある蒸気流路形成部材では、大きな性能の向上が得られていなかった。ここで性能の向上とは、図9中曲線20に示すように、蒸気乾燥器の制限曲線が、より高い入口蒸気流速,より高い入口湿分に対応できるようになることをいう。
【0040】
蒸気乾燥器3に用いられる蒸気流路形成部材の性能を、増出力化した沸騰水型原子炉に見合い蒸気タービンの要求に見合うように向上させるためには、蒸気流路形成部材6部における蒸気流速の増加を抑制することが不可欠である。本発明の実施例では、蒸気乾燥器3の入口面積を現状とほぼ同等にしつつ、蒸気流路27の流路断面積を上流側に比較して下流側で拡大させて蒸気流速を下流側で低下させている。
【0041】
加えて注目すべき点は、従来の技術を用いた蒸気流路形成部材構造が、ほぼ同一構造,同一寸法の繰り返しからなるために、流路幅と除去機構の大きさの比は全体として一定であるのに対し、本発明の各実施例では、前記の比を可変に取り得ることである。もし従来の技術の蒸気流路形成部材構造において、蒸気乾燥器エレメント入口面積を変えずに、蒸気流路形成部材部の蒸気流速の増大を抑制しようとするならば、蒸気流路全体にわたって、水分除去機構の大きさを縮小することになる。その結果として、蒸気流路において、液滴を捕獲・除去できる総量が著しく減少することになる。したがって、蒸気流速の増加を抑制することに成功しても、液膜去機構から液滴があふれ出し、除去しきれない液滴が蒸気乾燥器の出口へ達して、結局は蒸気タービンからの湿分に関する要求値を満たさなくなる可能性が生じる。
【0042】
これに対し、本発明の各実施例では、蒸気流路27の上流において相対的に大きな水分除去機構7を有し、原子炉仕様の必要に応じた水分除去機構の大きさを確保しつつ、下流においては、再飛散を抑制するのに十分な蒸気流速の低下を実現せしめる。このように、上流において水分除去機構7を下流側のそれよりも相対的に大きくし、下流において水分除去機構7を小さくする構造を採用しても蒸気乾燥器3の蒸気の出口湿分を蒸気タービンからの要求に応じて低下させることができる。その上、水分除去機構7の大きさ、即ちドレンポケットの幅寸法23a〜23gを蒸気流路27の下流側で上流側よりも相対的に小さくして下流側の蒸気流路27の幅寸法21a〜21hを上流側よりも相対的に大きくしてあるので、隣接する蒸気流路形成部材6の間隔を広げて蒸気流路27の幅を拡大するのに比べて、蒸気乾燥器の大形化を抑制できる。
【0043】
蒸気中に含まれる液滴の、蒸気流路27中を流れる蒸気から捕獲される液滴の捕獲量は蒸気流路27の上流側と下流側で、一定ではなく、上流側のほうが下流側よりも液滴の捕獲量は大きいということが、我々の実験結果で明らかとなった。
【0044】
このことは、その実験結果を得たからこそ、下流に設けられている水分除去機構7を上流側のそれよりも小さくした場合でも出口湿分を十分抑制できる見解に至った。すなわち、上流において、水分除去機構7を相対的に大きく、下流において、水分除去機構7を相対的に小さくしても、蒸気流路27中の全水分除去機構7全体としては蒸気タービンが要求する湿分に蒸気を乾燥させるに必要十分な機能を確保することができるのである。従って、本発明の各実施例では、図9の蒸気乾燥器の制限曲線20が、より高い入口蒸気流速,より高い入口湿分に対応できる方向にシフトする傾向を示して、例えばその制限曲線20が二点鎖線から実線表示曲線へとシフトすることで拡大された運転可能領域分の性能が向上する。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、蒸気流速の増大に伴う液滴の再飛散を抑制できる蒸気乾燥器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例による蒸気流路形成部材の隣接する2枚間の組合せ構造を示す平面図である。
【図2】本発明の第2実施例による蒸気流路形成部材の隣接する2枚間の組合せ構造を示す平面図である。
【図3】本発明の第3実施例による蒸気流路形成部材の隣接する2枚間の組合せ構造を示す平面図である。
【図4】本発明の蒸気乾燥器が組み込まれた沸騰水型原子炉の原子炉炉内構造を示す縦断面図である。
【図5】図4に示した蒸気乾燥器の一部断面表示による斜視図である。
【図6】図5に示された蒸気乾燥器に組み込まれた蒸気乾燥器エレメントの一部断面表示による斜視図である。
【図7】図6に示した蒸気乾燥器エレメントの蒸気流路形成部材に組み込まれた水分除去機構の拡大斜視図である。
【図8】蒸気乾燥器の制限曲線を示すグラフ図である。
【図9】蒸気乾燥器の制限曲線のシフト状況を示すグラフ図である。
【符号の説明】
3…蒸気乾燥器、4…フードプレート(フード)、5…多孔板、6…蒸気流路形成部材、7…水分除去機構、16…蒸気乾燥器エレメント、18…原子炉圧力容器、21a〜21h…蒸気流路の幅寸法、22a〜22f…波板の各非屈曲区間の寸法、23a〜23g…ドレンポケットの幅寸法、27…蒸気流路、32…波板、33…液滴捕集板、34…ドレンポケット。
Claims (4)
- 供給された蒸気中の液滴を捕集する複数の捕集手段を設けており、少なくとも一部が曲折した蒸気流路を相互間に形成する複数の蒸気流路形成部材を備えた蒸気乾燥器において、
前記蒸気流路の幅が、前記蒸気流路の上流側に比して下流側で相対的に拡大されていることを特徴とする蒸気乾燥器。 - 請求項1において、前記捕集手段によって形成されるドレンポケットの幅が前記上流側に位置する前記捕集手段よりも前記下流側に位置する前記捕集手段において相対的に狭くなっていることを特徴とする蒸気乾燥器。
- 請求項1又は請求項2において、前記蒸気流路の幅は曲折回数が増すごとに拡大されていることを特徴とする蒸気乾燥器。
- 請求項1又は請求項2において、前記蒸気流路の複数の連続した曲折部間で前記蒸気流路の幅が同じとされている蒸気乾燥器。
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