JP2004202622A - ボールエンドミル - Google Patents

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Seiichiro Kitaura
精一郎 北浦
Taichi Aoki
太一 青木
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Abstract

【課題】切刃の逃げ面に与えられる逃げ量を十分に確保しつつも、適正な切刃強度を維持し、異常摩耗や折損、チッピングなどを抑制する。
【解決手段】円弧刃16に直交する断面で見たときに、円弧刃16に連なる第1逃げ面17の幅tを、円弧刃16の半径Rと円弧刃16の第1逃げ角αとに対する関係で、0.35cosαsinα×R〜0.75cosαsinα×Rの範囲に設定し、第1逃げ面17に連なる第2逃げ面18の幅tを、円弧刃16の半径Rと円弧刃16の第1逃げ角α及び第2逃げ角αと第1逃げ面17の幅tとに対する関係で、0.8(t +(R−t×tanα1/2×sin(α−tan−1(t/(R−t×tanα)))×cosα〜1.2(t +(R−t×tanα1/2×sin(α−tan−1(t/(R−t×tanα)))×cosαの範囲に設定する。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フライス盤やマシニングセンターなどの工作機械に取り付けられて、ワークを切削するために用いられるボールエンドミル、例えば、軟質材や粘性のある材料、耐熱合金などを切削するために用いられる小径のボールエンドミルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ワークの切削加工においては、ソリッドタイプのボールエンドミルがよく用いられている。
その一例としては、特許文献1に開示されているようなものがあり、これは、軸線回りに回転される工具本体の先端部に、軸線回りの回転軌跡が略半球状をなす略円弧状の切刃(円弧刃)が形成されていて、この円弧刃に直交する断面での円弧刃の逃げ角が、工具本体の先端部外周から工具本体先端の回転中心に向かうにしたがい漸次増大し、かつ、工具本体先端の回転中心では、15゜〜30゜の範囲に設定されるとともに、工具本体の先端部外周では、12゜〜20゜の範囲に設定されたものである。
また、他の一例としては、特許文献2に開示されているようなものがあり、これは、工具本体の先端部に形成された円弧刃に直交する断面での円弧刃の逃げ角が、工具本体の先端部外周から工具本体先端の回転中心に向かうにしたがい漸次増大し、かつ、工具本体の外周に形成された外周刃の逃げ角よりも2゜〜5゜の範囲で大きくなるように設定されたものである。
【0003】
【特許文献1】
特許第3288780号公報
【特許文献2】
特開平10−263913号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のようなボールエンドミルの円弧刃の逃げ面は、円弧刃に直交する断面で見たときに、凹曲線状あるいは直線状をなすように形成されている。そのため、円弧刃のバックメタル強度を確保しようとして、逃げ面の幅を大きく設定した場合には、摩耗による切刃の後退や切削加工中における振動、工具本体の撓みなどの現象が生じることによって、逃げ面とワークの加工面との間の実質的なクリアランスが小さくなりすぎるので、この逃げ面がワークの加工面に接触する、いわゆる逃げ面当たりが発生してしまったり、逃げ面への切屑の溶着が発生してしまうおそれがある。とくに、摩耗によって切刃が後退したときには、逃げ面における切刃のすぐ工具回転方向後方側の部分とワークの加工面との間のクリアランスが非常に小さくなって、逃げ面当たりが生じやすくなるので、ひどい場合には異常摩耗や折損に至るのであった。
その一方で、逃げ面の幅を小さく設定した場合には、円弧刃のバックメタル強度が不足して、チッピングなどの発生を促してしまうのであり、たとえ、円弧刃の逃げ角を小さくすることによって切刃強度を維持しようとしても、切れ味の低下を招いてしまうことは否めず、効果的な解決手段とはなり得ない。
【0005】
これらの問題を解決するため、特許文献1や特許文献2に記載のボールエンドミルでは、円弧刃の逃げ角などに関する工夫が試みられているが、上記のような逃げ面当たりの要因となる逃げ面の幅については、何ら考慮されていないものであり、十分な逃げ量の確保と適正な切刃強度の維持とを両立することは困難であった。
本発明は、切刃に連なる逃げ面に与えられる逃げ量を十分に確保しつつも、適正な切刃強度を維持することによって、異常摩耗や折損、チッピングの発生を抑制することができるボールエンドミルを提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討を続けた結果、逃げ面当たりの要因となる逃げ面の幅を、この逃げ面によって切刃に与えられる逃げ角に基づいて適正な値に設定してやれば、上記のような課題を解決できることを見出した。すなわち、本発明は、軸線回りに回転される工具本体の先端部に、前記軸線回りの回転軌跡が略半球状をなす略円弧状の切刃が形成されたボールエンドミルにおいて、前記切刃に直交する断面で見たときに、前記切刃に連なる第1逃げ面の幅tが、前記切刃の回転軌跡がなす略半球の半径Rと前記切刃の第1逃げ角αとに対する関係で、0.35cosαsinα×R〜0.75cosαsinα×Rの範囲に設定されていることを特徴とするものである。
このように、切刃に連なる第1逃げ面の幅tが、第1逃げ量(クリアランス)が最大となるポイントであるcosαsinα×Rに対して、75%以下となるように設定されていることから、切刃のバックメタル強度を維持しようとして第1逃げ面の幅tを大きくしても、逃げ面とワークの加工面との間のクリアランスが小さくなりすぎるという事態がなくなって、十分なクリアランスを確保することができるので、逃げ面当たりや逃げ面への切屑の溶着が発生するのを抑制することができる。ここで、第1逃げ面の幅tを、第1逃げ量が最大となるポイントであるcosαsinα×Rに対して、これ以下に設定していないのは、工具本体に与えられる軸線Oに交差する横方向への送り量を考慮したときに、実際のクリアランスが小さくなってしまうという知見に基づいている。さらに、この第1逃げ面の幅tは、第1逃げ量が最大となるポイントであるcosαsinα×Rに対して、35%以上となるように設定されていることから、切刃のバックメタル強度を不用意に低めてしまうようなこともない。
なお、この第1逃げ面によって切刃に与えられる第1逃げ角αは、切刃強度と、逃げ面とワークの加工面との間にできるクリアランスとのバランスを考慮して設定されるものであるが、具体的には、17゜〜23゜の範囲に設定されていることが好ましく、このような範囲に設定することによって、とくに小径のボールエンドミルの長寿命化を図ることができる。
【0007】
また、上記のように、第1逃げ面の幅を適正な値に規定するだけでも十分な効果を得ることができるのであるが、さらに本発明では、前記切刃に直交する断面で見たときに、前記第1逃げ面に連なる第2逃げ面の幅tが、前記切刃の回転軌跡がなす略半球の半径Rと前記切刃の第1逃げ角α及び第2逃げ角αと前記第1逃げ面の幅tとに対する関係で、0.8(t +(R−t×tanα1/2×sin(α−tan−1(t/(R−t×tanα)))×cosα〜1.2(t +(R−t×tanα1/2×sin(α−tan−1(t/(R−t×tanα)))×cosαの範囲に設定されていることが好ましい。
このように、第1逃げ面に連なる第2逃げ面の幅tが、第2逃げ量(クリアランス)が最大となるポイントである(t +(R−t×tanα1/2×sin(α−tan−1(t/(R−t×tanα)))×cosαに対して、±20%以内に収まるように設定されていることから、切刃のバックメタル強度のさらなる適正化を図ることが可能となる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付した図面を参照しながら説明する。
本実施形態によるボールエンドミルは、図1〜図3に示すように、例えば超硬合金等の硬質材料から構成されて、軸線O回りに回転される略円柱状の工具本体10を有しており、この工具本体10の先端部10Aが、軸線O上の一点OAを中心として、軸線O方向の先端側に凸となるように膨らむ略半球状を呈している。
【0009】
工具本体10の先端部10Aを除く外周には、周方向で等間隔に、例えば二つの切屑排出溝11,11が、工具本体10の外周面に開口するように形成されており、これら切屑排出溝11,11の工具回転方向T前方側を向く壁面が外周すくい面11A,11Aとされている。
そして、外周すくい面11Aの外周側稜線部、すなわち、外周すくい面11Aと、この外周すくい面11Aに交差して工具本体外周側を向く外周逃げ面12との交差稜線部にそれぞれ外周刃13が形成されていて、いわゆる二枚刃となっている。
【0010】
また、二つの切屑排出溝11,11は、工具本体10の先端側から後端側に向かうにしたがい工具回転方向T後方側に向けて、所定のねじれ角で軸線Oを中心として螺旋状にねじれるように形成されており、これにともなって二枚の外周刃13,13も同様に螺旋状にねじれるように形成されている。
【0011】
略半球状を呈する工具本体10の先端部10Aには、周方向で等間隔に、例えば二つのギャッシュ14,14が、先端部10Aの外周面に開口して先端部10Aを複数に分割するとともに、切屑排出溝11,11とそれぞれ連続するように形成されており、これらギャッシュ14,14の工具回転方向T前方側を向く壁面が先端すくい面14A,14Aとされている。
そして、先端すくい面14Aの外周側稜線部、すなわち、先端すくい面14Aと、この先端すくい面14Aに交差して工具本体外周側及び軸線O方向の先端側を向く先端逃げ面15との交差稜線部にそれぞれ、軸線O回りの回転軌跡が略半球状を呈するような略1/4円弧状の円弧刃16が形成されている。
【0012】
二つの円弧刃16,16は、それぞれの先端を工具本体先端の軸線O上の回転中心C付近に位置させるとともに、そこから工具本体後端外周側に向かって延びており、これら円弧刃16,16の後端は、ギャッシュ14,14と切屑排出溝11,11とが連続しているために、工具本体10の先端部外周付近に位置して外周刃13,13の先端とそれぞれ連続するようになっている。
なお、円弧刃16,16は、軸線O方向の先端側から見て、工具本体先端の回転中心Cを中心に対称とされ、それぞれ工具回転方向T前方側に凸となるような緩やかな凸曲線状を呈している。
【0013】
また、先端すくい面14Aとの交差稜線部に円弧刃16が形成されている先端逃げ面15は、それぞれ円弧刃16のすぐ工具回転方向T後方側に連なる第1逃げ面17と、この第1逃げ面17のすぐ工具回転方向T後方側に連なる第2逃げ面18とから構成されている。
これら第1逃げ面17,17及び第2逃げ面18,18は、それぞれ略全長に亘って略同一幅で形成されているとともに、軸線O方向の先端側から見たときには、円弧刃16,16と同様に、工具本体先端の回転中心Cを中心に対称とされ、それぞれ工具回転方向T前方側に凸となるような緩やかな凸状をなしている。
【0014】
ここで、円弧刃16の軸線O回りの回転軌跡がなす略半球の中心(軸線O上の一点OA)を通って、円弧刃16に直交する断面で見たとき(例えば、図4に示すような軸線Oとの傾斜角度が45゜の場合のZ−Z線断面で見たとき)の概略図は、図5に示すようになる。
【0015】
この円弧刃16に直交する断面において、円弧刃16のすぐ工具回転方向T後方側に連なる第1逃げ面17と、この第1逃げ面17のすぐ回転方向T後方側に連なる第2逃げ面18とは、ともに略直線状をなしている。
そして、第1逃げ面17によって円弧刃16に与えられる第1逃げ角αが、17゜〜23゜の範囲に設定されているとともに、第2逃げ面18によって円弧刃16に与えられる第2逃げ角αよりも小さく(α<α)に設定されている。
なお、第1逃げ角α及び第2逃げ角αとは、円弧刃16に直交する断面で見たときに、上記の円弧刃16の中心(軸線O上の一点OA)と円弧刃16とを結ぶ直線Mに、円弧刃16において直交して交差する直線Nに対して、第1逃げ面17及び第2逃げ面18のそれぞれがなす傾斜角度のことを示す(工具回転方向T後方側に向かうにしたがい一点OA側に向かうような傾斜方向を正とする)。
【0016】
同じく、円弧刃16に直交する断面において、第1逃げ面17の幅tは、円弧刃16の軸線O回りの回転軌跡がなす略半球の半径Rと第1逃げ角αとに対する関係で、0.35cosαsinα×R〜0.75cosαsinα×Rの範囲に設定され、かつ、第2逃げ面18の幅tは、上記の円弧刃16の半径Rと第1逃げ角α及び第2逃げ角αと第1逃げ面17の幅tとに対する関係で、0.8(t +(R−t×tanα1/2×sin(α−tan−1(t/(R−t×tanα)))×cosα〜1.2(t +(R−t×tanα1/2×sin(α−tan−1(t/(R−t×tanα)))×cosαの範囲に設定されている。
なお、第1逃げ面17の幅tとは、円弧刃16に直交する断面で見たときに、第1逃げ面17の工具回転方向T前方側の端点である円弧刃16から工具回転方向T後方側の端点である第2逃げ面18との交差稜線部までの上記の直線N方向に沿った長さのことを示し、第2逃げ面17の幅tとは、工具回転方向T前方側の端点である第1逃げ面17との交差稜線部から工具回転方向T後方側の端点までの上記の直線N方向に沿った長さのことを示す。
【0017】
ここで、図5に示すように、第1逃げ面17の幅tの範囲をその35%〜75%の範囲に収めているcosαsinα×Rとは、この第1逃げ面17における工具回転方向T後方側の端点と、円弧刃16の軸線O回りの回転軌跡である仮想の円Sとの間の距離が最大になる(第1逃げ面17の第1逃げ量(クリアランス)が最大値mをとる)とき(軸線O上の一点OAと第1逃げ面17における工具回転方向T後方側の端点とを結ぶ直線が、この端点において第1逃げ面17に直交するとき)の幅である。
【0018】
また、第2逃げ面18の幅tの範囲をその±20%以内に収めている(t +(R−t×tanα1/2×sin(α−tan−1(t/(R−t×tanα)))×cosαとは、この第2逃げ面18における工具回転方向T後方側の端点と、円弧刃16の回転軌跡をなす仮想の円Sとの間の距離が最大になる(第2逃げ面17の第2逃げ量(クリアランス)が最大値mをとる)とき(軸線O上の一点OAと第2逃げ面18における工具回転方向T後方側の端点とを結ぶ直線が、この端点において第2逃げ面18に直交するとき)の幅である。
【0019】
上記のような構成とされた本実施形態によるボールエンドミルによれば、円弧刃16に連なる第1逃げ面17の幅tを、第1逃げ量が最大となるポイントであるcosαsinα×Rに対し、75%以下となるように設定していることから、円弧刃16のバックメタル強度を維持するため、第1逃げ面の幅tを大きくしようとするときに、この第1逃げ面17とワークの加工面との間にできるクリアランスが小さくなりすぎるという事態をなくすことができる。
【0020】
ここで、この第1逃げ面17の幅tについては、第1逃げ量が最大となるポイントであるcosαsinα×Rに対して、これ以下(cosαsinα×R以下)に設定すればよいように思えるが、上記のようなボールエンドミルを用いた切削加工では、工具本体10に対して軸線Oに交差する横方向へも送りが与えられるために、実際の第1逃げ面量が小さくなりがちとなるので、0.75cosαsinα×R以下に設定しているのである。
すなわち、第1逃げ面17の幅tを、1.0cosαsinα×R以下に設定したとしても、0.75cosαsinα×Rより大きくなっているのであれば、第1逃げ面17とワークの加工面との間にできるクリアランスを十分に確保できなくなってしまうおそれが生じ、とくに高送り切削になると、逃げ面当たりが生じる可能性を否定できなくなってしまう。そのため、いわゆるエキセントリック逃げ面のように、刃幅の増加とともに、クリアランスを大きくするような構成を採用することも有効である。
【0021】
さらに、この第1逃げ面17の幅tを、第1逃げ量が最大となるポイントであるcosαsinα×Rに対して、35%以上に設定していることから、円弧刃16のバックメタル強度を不用意に低めてしまうようなこともない。
【0022】
このようにして、第1逃げ面17とワークの加工面との間のクリアランスを十分に確保することができるとともに、切れ味を低下させずに円弧刃16のバックメタル強度を高い状態に維持することができるから、たとえ、摩耗による円弧刃16の後退や切削加工中の振動、工具本体10の撓みなどが生じたとしても、逃げ面当たりや切屑の溶着といった不具合を生じさせないのに加えて、円弧刃16のチッピングなどが生じるおそれをなくすことができる。
したがって、とくに小径のボールエンドミルを用いた耐熱合金などの重切削においても、異常摩耗や工具本体10の折損、円弧刃16のチッピングなどが発生することなく、長寿命化を達成して、安定した切削加工を長時間に亘って継続していくことができるのである。
なお、第1逃げ面17の幅tについては、上記のような効果をより確実なものとするため、0.45cosαsinα×R〜0.65cosαsinα×Rの範囲に設定されていることが好ましい。
【0023】
また、第1逃げ面17によって円弧刃16に与えられる第1逃げ角αを、17゜〜23゜の範囲に設定していることから、円弧刃16の切刃強度と、第1逃げ面17とワークの加工面との間にできるクリアランスとをバランス良く設定できるとともに、とくに小径のボールエンドミルの長寿命化を図ることが可能となっている。
なお、第1逃げ角αについては、上記のような効果をより確実なものとするため、18゜〜22゜の範囲に設定されていることが好ましい。
【0024】
しかも、本実施形態では、第1逃げ面17に連なる第2逃げ面18の幅tを、第2逃げ量が最大となるポイントである(t +(R−t×tanα1/2×sin(α−tan−1(t/(R−t×tanα)))×cosαに対し、±20%以内に収まるように設定していることから、円弧刃16のバックメタル強度のさらなる適正化を図ることができ、上述のように第1逃げ面17の幅tと第1逃げ角αとを適正な値に規定したことによって得られる効果とも相俟って、さらなる効果の増大を狙うことが可能となっている。なお、第1逃げ面18の幅tについては、上記のような効果をより確実なものとするため、0.9(t +(R−t×tanα1/2×sin(α−tan−1(t/(R−t×tanα)))×cosα〜1.1(t +(R−t×tanα1/2×sin(α−tan−1(t/(R−t×tanα)))×cosαの範囲に設定されていることが好ましい。
【0025】
【実施例】
以下、本発明の一例であるボールエンドミルを実施例とし、円弧刃16に連なる第1逃げ面17の幅tが本発明の範囲から外れたボールエンドミルを従来例として、これらを比較するための切削試験を行った。
【0026】
〈ボールエンドミル仕様〉
・共通
表面処理:(Al,Ti)Nコーティング
母材:超微粒子超硬合金
ボール半径R:0.6mm
刃長:1.8mm
・実施例
第1逃げ面の幅t:0.1mm
第1逃げ角α:20゜
第2逃げ面の幅t:0.18mm
第2逃げ角α:30゜
・従来例
第1逃げ面の幅t:0.16mm
第1逃げ角α:16゜
第2逃げ面の幅t:0.15mm
第2逃げ角α:30゜
【0027】
〈切削条件〉
被削材:耐熱合金
回転速度:26000min−1
送り速度:1500mm/min
軸線方向の切込み深さ:0.20mm(横削り)
切削油剤:不水溶性
【0028】
〈結果〉
従来例によるボールエンドミルでは、切削初期(切削長1m)あるいは切削長5mで折損してしまったのに対し、本発明の一例である実施例によるボールエンドミルでは、切削長20.6mまで折損することなく、安定した切削加工を継続することができ、従来例よりも格段に優れていることが分かった。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、逃げ面当たりの要因となる逃げ面の幅について、この逃げ面によって切刃に与えられる逃げ角に基づき、適正な値に設定したことによって、十分な逃げ量を確保しつつも、切刃強度を維持することができるので、とくに小径のボールエンドミルを用いた耐熱合金などの重切削においても、異常摩耗や折損、チッピングなどが生じることなく、安定した切削加工を長時間に亘って継続していくことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態によるボールエンドミルの先端部を示す側面図である。
【図2】図1におけるX方向矢視図である。
【図3】図1におけるY方向矢視図である。
【図4】本発明の実施形態によるボールエンドミルの先端部を示す説明図である。
【図5】図4におけるZ−Z線断面を示す概略図である。
【符号の説明】
10 工具本体
10A 先端部
15 先端逃げ面
16 円弧刃
17 第1逃げ面
18 第2逃げ面
O 軸線
OA 軸線上の一点
R 円弧刃の半径
T 工具回転方向
第1逃げ面の幅
第2逃げ面の幅
α 第1逃げ角
α 第2逃げ角

Claims (3)

  1. 軸線回りに回転される工具本体の先端部に、前記軸線回りの回転軌跡が略半球状をなす略円弧状の切刃が形成されたボールエンドミルにおいて、
    前記切刃に直交する断面で見たときに、
    前記切刃に連なる第1逃げ面の幅tが、前記切刃の回転軌跡がなす略半球の半径Rと前記切刃の第1逃げ角αとに対する関係で、
    0.35cosαsinα×R〜0.75cosαsinα×Rの範囲に設定されていることを特徴とするボールエンドミル。
  2. 請求項1に記載のボールエンドミルにおいて、
    前記切刃の第1逃げ角αが、17゜〜23゜の範囲に設定されていることを特徴とするボールエンドミル。
  3. 請求項1または請求項2に記載のボールエンドミルにおいて、
    前記切刃に直交する断面で見たときに、
    前記第1逃げ面に連なる第2逃げ面の幅tが、前記切刃の回転軌跡がなす略半球の半径Rと前記切刃の第1逃げ角α及び第2逃げ角αと前記第1逃げ面の幅tとに対する関係で、
    0.8(t +(R−t×tanα1/2×sin(α−tan−1(t/(R−t×tanα)))×cosα〜1.2(t +(R−t×tanα1/2×sin(α−tan−1(t/(R−t×tanα)))×cosαの範囲に設定されていることを特徴とするボールエンドミル。
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