JP2004202385A - プライマー防汚塗膜または複合防汚塗膜で被覆された水中構築構造物塗装体、および水中構築構造物の防汚方法 - Google Patents

プライマー防汚塗膜または複合防汚塗膜で被覆された水中構築構造物塗装体、および水中構築構造物の防汚方法 Download PDF

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Abstract

【解決手段】プライマー防汚塗膜で被覆された水中構築構造物塗装体であって、
上記プライマー防汚塗膜が、
(A)樹脂成分と(B)反応性官能基含有シランカップリング剤とを含有するプライマー防汚塗料組成物から形成されていることを特徴としている。
また、複合防汚塗膜で被覆された水中構築構造物塗装体は、
複合防汚塗膜が、上記プライマー防汚塗膜の表面上に、防汚塗膜が形成されていることを特徴としており、好ましい態様においては、防汚塗膜を形成する防汚塗膜組成物はポリシロキサン(D)を含有することを特徴としている。
【効果】本発明によれば、塗膜強度に優れ、水中構築構造物塗装体への一般的な水棲生物の通年の付着防止に有効であり、さらに基材と下塗り塗膜との密着性、または下塗り塗膜と上塗り塗膜との密着性に優れ、かつ防汚性能の持続性に優れたプライマー防汚塗膜または複合防汚塗膜で被覆された水中構築構造物塗装体、および水中構築構造物の防汚方法を提供することができる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、プライマー防汚塗膜または複合防汚塗膜で被覆された水中構築構造物塗装体、および水中構築構造物の防汚方法に関し、さらに詳しくは、一般的な水棲生物の通年の付着防止が有効に発現し得るようなプライマー防汚塗膜または複合防汚塗膜で被覆された水中構築構造物塗装体、および水中構築構造物の防汚方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
水中構築構造物の防汚塗料には、従来、防汚剤として有機スズ等の有機化合物が従来用いられていたが、近年では生体系への安全性の観点から、このような防汚剤の使用が再検討されている。
これに代わる防汚剤として、最近では有機錫不含の各種防汚塗料が提案されている。
【0003】
例えば、特開平5−230161号公報(特許文献1)には、ビニル系ポリマーからなる幹ポリマーと、該幹ポリマーにグラフトされたオルガノポリシロキサンからなる枝ポリマーおよびポリオキシアルキレンからなる枝ポリマーとからなるグラフト共重合体および該グラフト共重合体を主成分とする被覆組成物が開示され、該組成物は海中生物付着防止塗料として使用可能であり、該組成物からなる被膜は、耐候性、撥水性、防汚性、離型性、潤滑性等が良好である旨記載されている。
【0004】
しかしながら、該公報に記載の被覆組成物からなる被膜を、特に夏場の海中に浸漬した場合には、短期間にその表面にフジツボ等が付着し、生物汚損防汚塗膜としては充分でなく、また、塗膜の上に該被覆組成物を塗付して形成された複合被膜を浸漬した場合、短期間に下塗り塗膜と上塗り塗膜とが剥離を生じるとの問題点があった。
【0005】
また、特公平5−60503号公報(特許文献2)には、側鎖にポリジメチルシロキサン基、および/またはトリメチルシリル基を有する重合体を含む水中防汚塗膜の上に上塗り塗膜を設けることが記載され、
特公平7−108958号公報(特許文献3)には、防食塗膜(コールタール/塩化ビニル系樹脂をベースとした塗料組成物から形成される。)の上に、シリコーン含有アクリル単量体と、該単量体と共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体との共重合体よりなる非架橋型シリコーン含有アクリル樹脂を含む撥水型防汚塗料組成物を塗布することが記載されているが、いずれの防汚塗膜も上塗り塗膜または下塗り塗膜との密着性が充分でなく、剥離を生じるなどの問題点が依然として存在していた。
【0006】
また、特開平11―293183号公報(特許文献4)には、ビニル樹脂塗料組成物を塗装して下塗り塗膜を形成し、その上に、シリコーングラフトアクリル樹脂系防汚塗料組成物を塗装して上塗り塗膜を形成する複合防汚塗膜の記載があるが、海中に長期間浸漬していると、上塗り塗膜が下塗り塗膜から部分的に剥離を生じるとの問題点が存在しており、改良の余地があった。
【0007】
また、▲1▼特許第2661328号公報(特許文献5)には、a)オルガノポリシロキサン系グラフト共重合体エマルション、b)アミノファンクショナルシラン、c)コロイダルシリカ、d)硬化用触媒、e)無機充填剤を必須成分とする難燃性塗材を基材に塗布する旨記載され、▲2▼特開平10―88066号公報(特許文献6)には、a)メタクリル酸エステル単量体単位を主成分とし、かつ水酸基を有するビニル重合体からなる幹ポリマーと、ビニル重合体からなる枝ポリマーおよびシリコーンからなる枝ポリマーを有するグラフト共重合体、b)架橋剤からなる被覆用組成物が記載されているが、耐汚染性および耐候性を付与することをその目的としている。また、▲3▼特開平10―140075号公報(特許文献7)には、a)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート単量体単位、b)アクリル酸を幹ポリマーとする単量体単位を必須構成単位とする被覆用組成物が記載され、耐汚染性および耐候性を付与することをその目的としている。▲4▼特開平11―158232号公報(特許文献8)には、ケイ素原子結合水素原子をシロキサン鎖の末端のみに有するシリコーン含有ビニル系重合体が記載され、▲5▼特開平11―279241号公報(特許文献9)には、末端にケイ素原子結合水素原子を有するシロキサン鎖がグラフト結合したシロキサングラフト型ビニルポリマーが記載されている。
【0008】
しかし、これらの公報▲1▼〜▲5▼をいかに精査してみても、反応性官能基含有シランカップリング剤を配合したプライマー防汚塗料組成物から形成されたプライマー防汚塗膜で水中構築構造物を被覆するとの技術的思想、また該プライマー防汚塗膜表面上に防汚塗膜が形成された複合防汚塗膜で水中構築構造物を被覆するとの技術的思想については何ら記載も示唆もされていない。
【0009】
【特許文献1】
特開平5−230161号公報
【特許文献2】
特公平5−60503号公報
【特許文献3】
特公平7−108958号公報
【特許文献4】
特開平11―293183号公報
【特許文献5】
特許第2661328号公報
【特許文献6】
特開平10―88066号公報
【特許文献7】
特開平10―140075号公報
【特許文献8】
特開平11―158232号公報
【特許文献9】
特開平11―279241号公報
【0010】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、塗膜強度に優れ、一般的な水棲生物が通年にわたって付着し難く、さらに基材と下塗り塗膜との密着性、および下塗り塗膜と上塗り塗膜との密着性に優れ、かつ防汚性能の持続性に優れたプライマー防汚塗膜または複合防汚塗膜で被覆された水中構築構造物塗装体、および水中構築構造物の防汚方法を提供することを目的としている。
【0011】
【発明の概要】
本発明に係るプライマー防汚塗膜で被覆された水中構築構造物塗装体は、
上記プライマー防汚塗膜が、
(A)樹脂成分と(B)反応性官能基含有シランカップリング剤とを含有するプライマー防汚塗料組成物から形成され、
さらに、上記樹脂成分(A)が、
(A1)ビニール系重合体からなる幹ポリマーと、該幹ポリマーにグラフトされた枝ポリマーとからなるグラフト共重合体であって、
上記枝ポリマーとして、
(a1-1)オルガノポリシロキサン、または、
(a1-2)オルガノポリシロキサンおよびポリオキシアルキレン、
を含むグラフト共重合体
を含有するプライマー防汚塗料組成物から形成されていることを特徴としている。
【0012】
上記反応性官能基含有シランカップリング剤(B)が、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基またはグリシジル基から選ばれる1種または2種以上の反応性官能基を含有するシランカップリング剤であることが好ましい。
上記プライマー防汚塗料組成物が、さらに塩化ビニル共重合体を含有することも好ましい。
【0013】
上記プライマー防汚塗料組成物が、さらにエポキシ樹脂を含有することも望ましい。
本発明に係る複合防汚塗膜で被覆された水中構築構造物塗装体は、
上記複合防汚塗膜が、プライマー防汚塗膜の表面上に、防汚塗膜が形成された複合防汚塗膜であり、
さらに、上記防汚塗膜が、
(C)樹脂成分として、下記グラフト共重合体(C1)および/またはオルガノポリシロキサンチオブロックビニール共重合体(C2)を含有する防汚塗料組成物から形成されていることを特徴としている:
(C1)ビニール系重合体からなる幹ポリマーと、該幹ポリマーにグラフト された枝ポリマーとからなるグラフト共重合体であって、
上記枝ポリマーとして、
(c1-1)オルガノポリシロキサン、または、
(c1-2)オルガノポリシロキサンおよびポリオキシアルキレン、
を含むグラフト共重合体。
【0014】
(C2)(c2-1)ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロックと、
(c2-2)オルガノポリシロキサンチオブロックとから形成されるオルガノポリシロキサンチオブロックビニール共重合体。
上記樹脂成分(C)中の、グラフト共重合体(C1)および/またはオルガノポリシロキサンチオブロックビニール共重合体(C2)が、
ヒドロキシ基、カルボキシル基、イソシアネート基、エポキシ基、グリシジル基またはアルコキシシリル基から選ばれる1種または2種以上の反応性官能基を有する架橋型モノマー単位を含むことが好ましい。
【0015】
上記防汚塗膜を形成する防汚塗料組成物が、さらにポリシロキサン(D)を含有し、該ポリシロキサン(D)が、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、エポキシ基またはグリシジル基から選ばれた1種または2種以上の反応性官能基を有することも好ましい。
さらに、上記ポリシロキサン(D)が、
平均組成式:RXSiZy(4-x-y)/2・・・[1]
{式[1]中、Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、またはアラルキル基を示す。Zは、炭素数1〜10のアルキル基、または、R1−OR2[R1は、炭素数1〜10の2価脂肪族炭化水素基を示し、該2価脂肪族炭化水素基は、隣接するSi原子および/またはOR2に直接結合していてもよく、エーテル基、エステル基、または−NH−を介してSi原子および/またはOR2に結合していてもよく、また該2価脂肪族炭化水素基中の炭素−炭素結合間にエーテル基、エステル基、または−NH−が介在していてもよく、R2は、炭素数1〜6の低級アルキル基を示す。]、
1−R3[R1は、上記と同様であり、R3は、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、エポキシ基またはグリシジル基を示す。]を示す。
xおよびyは、それぞれ0.01≦x<4.0、0.01≦y<4.0でかつ0.02≦x+y<4である。}で表され、
数平均分子量が250〜30000の範囲にあり、
かつ、その分子末端に少なくとも1つのアルコキシ基を有する
ポリシロキサンであることが望ましい。
【0016】
上記防汚塗膜が、
前記樹脂成分(C)を10〜99重量%、および、前記ポリシロキサン(D)を1〜90重量%(ただし、樹脂成分(C)+ポリシロキサン(D)=100重量%)
の量で含有する防汚塗料組成物から形成されていることも望ましい。
本発明の複合防汚塗膜で被覆された水中構築構造物塗装体は、水中構築構造物の表面上に、上記プライマー防汚塗料組成物から形成されるプライマー防汚塗膜が形成され、さらに、その表面上に、上記防汚塗料組成物から形成される防汚塗膜が形成されていることを特徴としている。
【0017】
また、複合防汚塗膜で被覆された水中構築構造物塗装体において、水中構築構造物の表面上に、予め防食塗膜が形成されていることが好ましい。
本発明に係る水中構築構造物の防汚方法は、水中構築構造物の表面に、上記複合防汚塗膜を形成することを特徴としている。
【0018】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係るプライマー防汚塗膜または複合防汚塗膜で被覆された水中構築構造物塗装体、および水中構築構造物の防汚方法ついて説明する。
本発明に係るプライマー防汚塗膜または複合防汚塗膜で被覆された水中構築構造物塗装体は、
水中構築構造物表面にプライマー防汚塗料組成物から形成されるプライマー防汚塗膜(層)が形成されてなるもの、または、
水中構築構造物表面に該プライマー防汚塗膜(層)を形成し、さらに表面に防汚塗料組成物から形成される複合防汚塗膜(層)が形成されてなるものである。以下に、まず「プライマー防汚塗料組成物」、「防汚塗料組成物」について具体的に説明し、次に本発明の「プライマー防汚塗膜または複合防汚塗膜で被覆された水中構築構造物塗装体」について具体的に説明する。
【0019】
[プライマー防汚塗料組成物]
本発明に係るプライマー防汚塗料組成物の樹脂固形分は、(A)樹脂成分と(B)反応性官能基含有シランカップリング剤とを含有している。
樹脂固形分中に上記樹脂成分(A)は、プライマー防汚塗料組成物の樹脂固形分100重量%に対して、3〜98重量%、好ましくは10〜80重量%、さらに好ましくは40〜60重量%の量で添加されることが望ましく、反応性官能基含有シランカップリング剤(B)はプライマー防汚塗料組成物の樹脂固形分100重量%に対して、0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%の量で添加されることが望ましい。
【0020】
該組成物の樹脂成分(A)および該シランカップリング剤(B)が、上記プライマー防汚塗料組成物に上記の量で添加されていることにより、プライマー防汚塗膜と防汚塗膜との親和性に優れることとなり、接着性が向上し、さらに、プライマー防汚塗膜の塗膜強度を付与することができる。
このようなプライマー防汚塗料組成物は、従来より公知の方法を適宜利用することにより製造することができ、例えば、上記樹脂成分(A)と、反応性官能基含有シランカップリング剤(B)と、塩化ビニル共重合体および/またはエポキシ樹脂、さらに必要により用いられる下記の任意成分、例えば、タレ止め・沈降防止剤、顔料、充填剤、撥水剤、溶剤などを所定の割合で一度にあるいは任意の順序でそれぞれの成分を一度にあるいは少しずつ加えて攪拌・混合し、溶媒に分散あるいは溶解すればよい。
【0021】
上記のプライマー防汚塗料組成物に含まれる樹脂成分(A)について説明する。
<樹脂成分 ( )
本発明に用いられる樹脂成分(A)は、上記したように、反応性官能基含有シランカップリング剤(B)と共にプライマー防汚塗料組成物に含有されるが、
そのような樹脂成分(A)としては、
(A1)ビニール系重合体からなる幹ポリマーと、該幹ポリマーにグラフトされた枝ポリマーとからなるグラフト共重合体であって、上記枝ポリマーとして、(a1-1)オルガノポリシロキサン、または、(a1-2)オルガノポリシロキサンおよびポリオキシアルキレンを含むグラフト共重合体が挙げられる。
【0022】
本発明では、プライマー防汚塗料組成物が、上記グラフト共重合体(A1)を含有することにより、プライマー防汚塗料組成物から形成されるプライマー防汚塗膜と、その表面上に形成される防汚塗膜との親和性が増し、接着性が向上する。
また、上記プライマー防汚塗料組成物は、上記樹脂成分(A)として、さらに、塩化ビニル共重合体および/またはエポキシ樹脂を含有することができ、好ましくはエポキシ樹脂を含有することが望ましい。
【0023】
上記樹脂成分(A)として、さらに塩化ビニル共重合体を含む場合、樹脂成分(A) の樹脂固形分100重量%中に、塩化ビニル共重合体固形分を1〜99重量%、好ましくは30〜95重量%の量で含むことが望ましい。
上記樹脂成分(A)として、さらにエポキシ樹脂を含む場合、樹脂成分(A)の樹脂固形分100重量%中に、エポキシ樹脂固形分を1〜100重量%、好ましくは30〜95重量%の量で含んでいることが望ましい。
【0024】
また、上記樹脂成分(A)として、さらに塩化ビニル共重合体およびエポキシ樹脂の両者を含む場合、樹脂成分(A)の樹脂固形分100重量%中に、該(A)成分を5〜90重量%、好ましくは15〜70重量%の量で、塩化ビニル共重合体を5〜90重量%、好ましくは15〜70重量%の量で、エポキシ樹脂を5〜90重量%、好ましくは15〜70重量%の量で含んでいることが望ましい。プライマー防汚塗料組成物が、塩化ビニル共重合体および/またはエポキシ樹脂を上記量で含む樹脂成分(A)を含有することにより、該組成物から形成されるプライマー防汚塗膜の塗膜強度を付与することができる。
【0025】
まず、本発明に用いられる樹脂成分(A)に含有されるグラフト共重合体(A1)について説明する。
<グラフト共重合体 ( A1 )
本発明に用いられるグラフト共重合体(A1)は、上述のように、ビニール系重合体からなる幹ポリマーと、該幹ポリマーにグラフトされた枝ポリマーとからなるグラフト共重合体であって、
上記枝ポリマーとして、(a1-1)オルガノポリシロキサン、または、(a1-2)オルガノポリシロキサンおよびポリオキシアルキレンを含むグラフト共重合体である。
【0026】
上記枝ポリマーが、(a1-1)オルガノポリシロキサンである場合、このようなオルガノポリシロキサンからなる枝ポリマーを含む構成単位は、例えば、下記式[2]
【0027】
【化1】
Figure 2004202385
【0028】
[上記式[2]中、mは、0〜3の整数を示し、aは、平均重合度を表し、0〜5000の数であり、R1は、水素原子またはメチル基を示し、R2は、酸素原子を介して結合していてもよい炭素原子数1〜11の2価の炭化水素基を示し、
3はmが1のときR4またはR5のいずれかを示し、
3はmが2のとき、2つのR3はそれぞれR4およびR5のいずれか一方を示し、
3はmが3のとき、3つのR3はそれぞれR4、R5およびR8を示し、R4〜R8はいずれもアルキル基(炭素数1〜10)、アルコキシル基(炭素数1〜10)、フェニル基、置換フェニル基、フェノキシル基または置換フェノキシル基の中から選ばれた基であって、互いに同一の基であっても異なる基であってもよい。上記置換基としては、ハロゲン、アルキル基(炭素数1〜5)、アルコキシル基(炭素数1〜5)、アシル基(炭素数1〜5)などが挙げられる。]で表される。
【0029】
このような上記式[2]で表される構成単位としては、具体的に、例えば、下記式[3]
【0030】
【化2】
Figure 2004202385
【0031】
[上記式[3]中、m=2であり、a、R1、R2、R4〜R8は、式[2]と同様である。]で表される。
また、枝ポリマーは、(a1-1)オルガノポリシロキサンであり、そのようなオルガノポリシロキサンとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、炭素数2〜10のジアルキルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、メチルトリクロロプロピルポリシロキサン等が好ましく、これらの中ではジメチルポリシロキサンが望ましい。オルガノポリシロキサンが上記のものである場合、上記式[2]で表されるオルガノポリシロキサンからなる枝ポリマーを含む構成単位は、具体的には、下記式[4]
【0032】
【化3】
Figure 2004202385
【0033】
[式[4]中、R1は、水素原子またはメチル基を示し、R2は、酸素原子を介して結合していてもよい炭素原子数1〜11の2価の炭化水素基を示し、mは、0〜3の整数を示し、nは平均重合度を表し、0〜200の数である。]で表される。
本発明において、オルガノポリシロキサンからなる枝ポリマーを含む構成単位としては、上記式[3]または[4]で表される構成単位が用いられ、好ましくは上記式[4]で表される構成単位を用いられるのが望ましい。
【0034】
また、上記枝ポリマーが、(a1-2)オルガノポリシロキサンおよびポリオキシアルキレンである場合、オルガノポリシロキサンからなる枝ポリマーを含む構成単位は、上記式[4]のように表される。また、ポリオキシアルキレンとしては、例えば、エチレンオキサイドの単独重合体、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合体等が挙げられ、このようなポリオキシアルキレンからなる枝ポリマーを含む構成単位は、例えば、下記式[5]
【0035】
【化4】
Figure 2004202385
【0036】
[式[5]中、R3は、水素原子またはメチル基を示し、R4は、水素原子、炭素数1〜4の1価の炭化水素基またはアセチル基を示し、vは2≦v<3の数を示し、wは、平均重合度を表し、2〜50の数である。]で表される。
枝ポリマーを含まない構成単位は、枝ポリマーを有しないラジカル重合性モノマーを共重合した際に生ずるものであり、このような枝ポリマーを有しないラジカル重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸の各種誘導体;スチレンまたはその誘導体;フマル酸、マレイン酸またはこれらの誘導体;ラジカル重合性珪素化合物;その他、アクリルニトリル、ビニルピロリドン、酢酸ビニル、ビニルアルキルエーテル等が挙げられる。
【0037】
上記(メタ)アクリル酸の誘導体として、より具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル等のような、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル類;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等のような、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル類;アクリルアミド等の酸アミド類;(メタ)アクリル酸パーフロロブチルエチル、(メタ)アクリル酸パーフロロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸パーフロロオクチルエチル、(メタ)アクリル酸パーフロロデシルエチル等のような、(メタ)アクリル酸のパーフロロアルキルエステル類;等が挙げられる。
【0038】
ラジカル重合性珪素化合物として、より具体的には、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらのラジカル重合性モノマーは、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
ラジカル重合性モノマーとして、上記(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル類を用いる場合には、得られるグラフト共重合体(A1)は、ヒドロキシ基を含有し、架橋剤の多官能イソシアネート化合物と反応、硬化するので、このようなヒドロキシ基含有グラフト共重合体(A1)からは耐溶剤性に優れた塗膜を得ることができる。
【0039】
上記枝ポリマーが、(a1-1)オルガノポリシロキサンである場合、このような枝ポリマーを有するグラフト共重合体(A1)は、枝ポリマーを有しない構成単位を含まずに、式[3]または式[4]で表される枝ポリマーを有する構成単位、好ましくは式[4]で表される枝ポリマーを有する構成単位のみから構成されてもよい。該共重合体(A1)中の上記構成単位の比率は、得られる樹脂組成物の用途、機能などによって異なり、一概には決定されないが、通常構成単位[3]または[4]が10〜80重量%、好ましくは40〜60重量%の量である(但し、全構成単位量は100重量%)。
【0040】
上記枝ポリマーが、(a1-2)オルガノポリシロキサンおよびポリオキシアルキレンである場合、このグラフト共重合体(A1)は、枝ポリマーを有しない構成単位を含まずに、上記式[4]で表される枝ポリマーを有する構成単位および上記式[5]で表される枝ポリマーを有する構成単位から構成されてもよい。
該共重合体(A1)中の上記式[4]で表される構成単位および上記式[5]で表される構成単位の比率は、得られる樹脂組成物の用途、機能などによって異なり、一概には決定されないが、通常、上記式[4]で表される構成単位が5〜60重量%の量で、上記式[5]で表される構成単位が2〜50重量%の量であることが好ましく、さらには上記式[4]で表される構成単位が10〜50重量%の量で、上記式[5]で表される構成単位が5〜30重量%の量であることが好ましい(但し、共重合体中の全構成単位量は100重量%)。
【0041】
上記式[4]または[5]で表される構成単位が上記のような量で含まれていると、得られる塗膜は耐候性、撥水性、防汚性などに優れ、しかも防汚塗料組成物は造膜性にも優れる傾向がある。また、上記式[5]で表される構成単位が上記の量で含まれていると、親水成分と撥水成分からなる適度のミクロ相分離を有する塗膜表面が得られる傾向にある。
【0042】
グラフト共重合体 ( A1 ) の製造
このようなグラフト共重合体(A1)は、例えば、特開平5−230161号公報に記載されているように、ラジカル重合性基含有オルガノポリシロキサン化合物およびこれらと共重合可能な前記のラジカル重合性モノマー、または、ラジカル重合性基含有オルガノポリシロキサン化合物とラジカル重合性基含有ポリオキシアルキレン化合物およびこれらと共重合可能な前記のラジカル重合性モノマーを所定量配合して共重合することにより得られる。
【0043】
ラジカル重合性基含有オルガノポリシロキサン化合物中のラジカル重合性基としては、例えば、アクリル基;メタクリル基;ビニル基;アリル基等のアルケニル基;スチリル基等が挙げられる。ラジカル重合性基含有オルガノポリシロキサン化合物としては、好ましくは、式[6];
【0044】
【化5】
Figure 2004202385
【0045】
[式[6]中、R1、R2、mおよびnは前記式[4]と同様である。]で表される化合物が挙げられる。上記式[6]で表される化合物は、例えば、式[7];
【0046】
【化6】
Figure 2004202385
【0047】
[式[7]中、R1、R2およびmは前記式[4]と同様である。]で表されるアクリレートまたはメタクリレート置換クロロシラン化合物と、式[8];
【0048】
【化7】
Figure 2004202385
【0049】
[式[8]中、nは前記式[4]と同様である。]で表される末端水酸基置換ジメチルポリシロキサンとを、常法に従い脱塩酸反応させることにより得ることができる。上記式[6]で表される化合物としては、具体的には、例えば式[6]中、R1、R2、m、nがそれぞれ以下に示すものが挙げられる。
(1)R1:CH3、R2:(CH2)3、m:2、n:6
(2)R1:CH3、R2:(CH2)3、m:2、n:12
(3)R1:CH3、R2:(CH2)3、m:2、n:25
(4)R1:CH3、R2:(CH2)3、m:2、n:50
(5)R1:CH3、R2:(CH2)3、m:2、n:100
(6)R1:CH3、R2:(CH2)3、m:2、n:200
(7)R1:H、R2:(CH2)3、m:2、n:25
(8)R1:H、R2:(CH2)3、m:2、n:100
(9)R1:CH3、R2:(CH2)2O(CH2)3、m:2、n:50
(10)R1:CH3、R2:CH2、m:2、n:12
(11)R1:CH3、R2:(CH2)11、m:2、n:25
(12)R1:CH3、R2:(CH2)3、m:1、n:3
(13)R1:CH3、R2:(CH2)3、m:1、n:25
(14)R1:CH3、R2:(CH2)3、m:1、n:100
(15)R1:H、R2:(CH2)3、m:1、n:6
(16)R1:H、R2:(CH2)3、m:1、n:50
(17)R1:H、R2:(CH2)2O(CH2)3、m:1、n:12
(18)R1:CH3、R2:CH2、m:1、n:50
(19)R1:CH3、R2:(CH2)3、m:0、n:3
(20)R1:CH3、R2:(CH2)3、m:0、n:25
(21)R1:H、R2:(CH2)3、m:0、n:6
(22)R1:CH3、R2:CH2、m:0、n:25
(23)R1:CH3、R2:(CH2)2O(CH2)3、m:0、n:50
(24)R1:CH3、R2:(CH2)11、m:0、n:25
(25)R1:H、R2:(CH2)3、m:0、n:100
前記ラジカル重合性基含有ポリオキシアルキレン化合物中に含まれるラジカル重合性基としては、例えば、アクリル基;メタクリル基;ビニル基;アリル基等のアルケニル基;スチリル基等が挙げられる。
【0050】
ラジカル重合性基含有ポリオキシアルキレン化合物としては、好ましくは、式[9];
【0051】
【化8】
Figure 2004202385
【0052】
[式[9]中、R3、R4、vおよびwは前記式[5]と同様である。]で表される化合物である。上記式[9]で表される化合物としては、具体的には、例えば上記式[9]において、R3、v、wおよびR4がそれぞれ以下に示すものが挙げられる。
(1)R3:CH3、v:2、w:2、R4:H
(2)R3:H、v:2、w:2、R4:H
(3)R3:CH3、v:2、w:8、R4:H
(4)R3:CH3、v:2、w:8、R4:CH3
(5)R3:CH3、v:2.5、w:10、R4:H
(6)R3:CH3、v:2.5、w:10、R4:C(=O)CH3
(7)R3:H、v:2、w:20、R4:C49
(8)R3:CH3、v:2、w:20、R4:H
(9)R3:CH3、v:2.8、w:30、R4:H
(10)R3:H、v:2、w:50、R4:CH3
(11)R3:CH3、v:2、w:50、R4:H
(12)R3:CH3、v:2.5、w:50、R4:C(=O)CH3
上記グラフト共重合体(A1)は、前述のようにラジカル重合性基含有オルガノポリシロキサン化合物とラジカル重合性基含有ポリオキシアルキレン化合物およびこれらと共重合可能な前記のラジカル重合性モノマーを所定量配合して共重合することにより得られるが、この共重合反応は、通常、ラジカル重合開始剤の存在下に行われる。
【0053】
ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等の過酸化物類;アゾビスイソブチロニトリル等アゾ系化合物類;等が挙げられる。
このような共重合反応には、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法の何れの方法を適用してもよく、なかでも、溶液重合法は得られる共重合物の分子量を最適範囲に調整することが容易であり、特に好ましい。溶液重合法で用いられる溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸イソブチル等のエステル類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;等が挙げられる。これら溶剤は、一種または二種以上組み合わせて用いられる。またこの溶液重合法での共重合反応は、通常50〜180℃、好ましくは60〜120℃の温度で、通常5〜10時間程度行えばよい。
【0054】
グラフトされたビニール系共重合体(A1)としては、上市されているものでは、例えば、X−22−8009、X−22−8031、X−22−8101、X−24−798A(以上何れも信越化学工業(株)製、商品名)等が挙げられる。
なお、防汚塗料組成物中に含まれる上記グラフト共重合体(A1)がヒドロキシアルキルエステル類をその合成時の共重合成分として含み、該共重合体中にヒドロキシ基を有する場合には、このようなグラフト共重合体用の硬化剤として、多官能イソシアネート化合物を使用し、さらに必要により架橋促進剤を併用することにより、常温硬化型の防汚塗料組成物を得ることができる。
【0055】
多官能イソシアネート化合物としては、2官能以上であれば特に限定されず使用可能であり、例えば、ジイソシアネート類;ポリイソシアネート類が挙げられ、より具体的には、ジイソシアネート類としては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、ナフタリンジイソシアネート(NDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)等が挙げられる。また、ポリイソシアネート類としては、トリメチロールプロパン(TMP)、変性TDI、イソシアヌレート結合TDI、TMP変性HDI、イソシアヌレート結合HDI、ビューレット結合HDI、TMP変性IPDI、イソシアヌレート結合IPDI等が挙げられる。
【0056】
このような多官能イソシアネート化合物は、グラフト共重合体中の水酸基1当量に対して、0.5〜2.0当量、好ましくは0.8〜1.5当量の量で用いられる。また、必要により上記多官能イソシアネート化合物と併用される上記架橋促進剤としては、例えば、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジラウレート等の有機錫化合物が挙げられる
また、本発明に用いられる樹脂成分(A)としては、(A1)オルガノポリシロキサン分枝および/またはポリオキシアルキレン分枝を有するグラフト共重合体、または、このグラフト共重合体(A1)の他に、塩化ビニル系共重合体および/またはエポキシ樹脂を含有することも好ましい。以下に、本発明に用いられる塩化ビニル系共重合、エポキシ樹脂について説明する。
【0057】
<塩化ビニル共重合体>
上記塩化ビニル系共重合は、例えば、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合、塩化ビニル・酢酸ビニル・ビニルアルコール共重合、塩化ビニル・ビニルi−ブチルエーテル共重合、塩化ビニル・プロピオン酸ビニル共重合、エチレン・酢酸ビニル共重合体の塩素化物が挙げられ、好ましくは塩化ビニル・酢酸ビニル・ビニルアルコール共重合を用いることが望ましい
本発明においては、このような塩化ビニル系共重合は、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0058】
<エポキシ樹脂>
また、上記エポキシ樹脂は、例えば、エピクロルヒドリン−ビスフェノールAエポキシ樹脂;エピクロルヒドリンとビスフェノールF(4,4’-メチレンビスフェノール)とが反応した構造のエポキシノボラック樹脂;3,4-エポキシフェノキシ-3’,4’-エポキシフェニルカルボキシメタン等の脂環式エポキシ樹脂;エピクロルヒドリン−ビスフェノールAエポキシ樹脂中のベンゼン環に結合している水素原子の少なくとも1部が臭素置換された構造の臭素化エポキシ樹脂;エピクロルヒドリンと脂肪族2価アルコールとが反応した構造の脂肪族エポキシ樹脂;エピクロルヒドリンとトリ(ヒドロキシフェニル)メタンとが反応した構造の多官能性エポキシ樹脂などが挙げられ、好ましくはエピクロルヒドリン−ビスフェノールAエポキシ樹脂、エピクロルヒドリンとビスフェノールF(4,4’-メチレンビスフェノール)とが反応した構造のエポキシノボラック樹脂を用いることが望ましい。本発明においては、このようなエポキシ樹脂は、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0059】
<反応性官能基含有シランカップリング剤 ( )
プライマー防汚塗料組成物中に、上記樹脂成分(A)と共に含まれる反応性官能基含有シランカップリング剤(B)は、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基およびグリシジル基からなる群から選ばれた少なくとも1種の反応性官能基を含有してなり、好ましくはアミノ基、カルボキシル基、エポキシ基を含有し、さらに好ましくはアミノ基を含有することが望ましい。
【0060】
上記のシランカップリング剤(B)を含有するプライマー防汚塗料組成物から形成されるプライマー防汚塗膜の表面上に、下記の防汚塗膜を形成した場合、水中構築構造物とプライマー防汚塗膜、さらにプライマー防汚塗膜と防汚塗膜相互の接着性が向上し、長期間海水中に浸漬しても防汚塗膜の剥離が全く無く実用に耐えうる接着性が得られる。
【0061】
さらに、プライマー防汚塗膜の表面上に、防汚塗膜が形成された複合防汚塗膜において、プライマー防汚塗膜を形成するプライマー防汚塗料組成物にシランカップリング剤(B)を添加することにより著しく防汚性能の持続性が向上し、これらの効果は、アミノ基を含有するシランカップリング剤を添加した場合に顕著に表れる。
【0062】
また、本発明において、防汚塗膜としては、シランカップリング剤(B)を有するプライマー防汚塗膜の表面上に、反応性官能基含有ポリシロキサン(D)を含有する防汚塗膜が形成された複合防汚塗膜であることが望ましい。この場合、反応性官能基含有ポリシロキサン(D)が、後述の官能基を有することにより、防汚塗膜の防汚性能の持続性が向上する。
【0063】
このような反応性官能基含有シランカップリング剤(B)としては、具体的には、例えば、下記表1に示される、(1)〜(24)の化合物が挙げられ、これらのうちでは、好ましくは13〜17、21,22が用いられる。
【0064】
【表1】
Figure 2004202385
【0065】
【表2】
Figure 2004202385
【0066】
【表3】
Figure 2004202385
【0067】
【表4】
Figure 2004202385
【0068】
<その他の成分>
本発明に用いられるプライマー防汚塗料組成物には、樹脂成分(A)、反応性官能基含有シランカップリング剤(B)以外に配合可能なその他の成分として、以下に述べるような、例えば、溶出助剤、塩素化パラフィン等の可塑剤、脱水剤(安定剤)、顔料、タレ止め・沈降防止剤、充填剤、撥水剤、溶剤など、通常防汚塗料に配合されるような各種成分が挙げられる。
【0069】
溶出助剤
溶出助剤としては、配合する撥水剤の表面移行を補助するような、各種化合物を使用できる。例えばロジン、ナフテン酸等の一塩基酸、各種ポリアルキレン変性物等を必要により用いることができる。
可塑剤
可塑剤としては、塗膜に可撓性を付与し、耐ワレ性や密着性を向上するために正リン酸エステル、塩素化パラフィン、フタル酸エステル、アジピン酸エステル等、通常、塗料用に用いられる可塑剤を使用しても良い。
【0070】
本発明に用いられるプライマー防汚塗料組成物においては、これら可塑剤は、必要に応じ、上記プライマー防汚塗料組成物100重量部に対して、0〜50重量部の量で含まれていても良い。
脱水剤(安定剤)
脱水剤(安定剤)としては、具体的には、例えば無水石膏(CaSO4)、合成ゼオライト系吸着剤(商品名:モレキュラーシーブ等)、オルソギ酸メチル、オルソ酢酸メチル等のオルソエステル類、オルソホウ酸エステル、シリケート類やイソシアネート類(商品名:アディティブTI)等が挙げられる。
【0071】
本発明に用いられるプライマー防汚塗料組成物においては、この脱水剤は、必要に応じ、上記プライマー防汚塗料組成物100重量部に対して0.1〜10重量部の量で含まれていても良い。
顔料
顔料としては、従来公知の有機系、無機系の各種顔料を用いることができる。
【0072】
有機系顔料としては、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、紺青等が挙げられる。無機系顔料としては、例えば、チタン白、ベンガラ、バライト粉、白亜、マイカ、アルミ等のように中性で非反応性のもの;亜鉛華(ZnO、酸化亜鉛)、鉛白、鉛丹、亜鉛末、亜酸化鉛粉等のように塩基性で塗料中の酸性物質と反応性のもの(活性顔料)等が挙げられる。なお、染料等の各種着色剤も含まれていてもよい。このような各種顔料は、プライマー防汚塗料組成物中に、例えば、合計で0.5〜80重量%程度の量で配合される。
【0073】
タレ止め・沈降防止剤
タレ止め・沈降防止剤としては、有機粘度系Al、Ca、Znのステアレート塩、レシチン塩、アルキルスルホン酸塩などの塩類、ポリエチレンワックス、アミドワックス、水添ヒマシ油ワックス系、ポリアマイドワックス系および両者の混合物、合成微粉シリカ、酸化ポリエチレン系ワックス等が挙げられ、好ましくは、ポリアマイドワックス、合成微粉シリカ、酸化ポリエチレン系ワックス、有機粘度系が用いられる。このようなタレ止め・沈降防止剤としては、楠本化成(株)製の「ディスパロン305」、「ディスパロン4200-20」等の他、「ディスパロンA630-20X」等の商品名で上市されているものが挙げられる。
【0074】
このようなタレ止め・沈降防止剤は、プライマー防汚塗料組成物中に、例えば、2〜10重量%の量で配合される。
充填剤
充填剤としては、従来より公知の有機系、無機系充填剤を挙げることができ、無機系充填剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス粉、クレー、タルク、炭酸カルシウム、マイカ粉、二酸化チタン、ウォラストナイト、水酸化マグネシウム等が挙げられる。
【0075】
撥水剤
撥水剤としては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アルキル基変性オイル、フロロアルキル基変性シリコーンオイル等のシリコーンオイルや、塩素化パラフィン、固形パラフィン、流動パラフィン、ワセリンが挙げられる。
【0076】
溶剤
本発明に用いられるプライマー防汚塗料組成物では、上記のような各種成分は、溶剤に溶解若しくは分散している。ここで使用される溶剤としては、例えば、脂肪族系、芳香族系、ケトン系、エステル系、エーテル系、塩素系、アルコール系など、通常、防汚塗料に配合されるような各種溶剤が用いられる。上記脂肪族系溶剤としては、n−ヘキサン、n−オクタン、n−デカン等が挙げられ、芳香族系溶剤としては、例えば、ベンゼン、キシレン、トルエン等が挙げられ、ケトン系溶剤としては、例えば、メイルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサンノン等が挙げられ、エステル系溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられ、エーテル系溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMAC)等が挙げられ、塩素系溶剤としては、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等が挙げられ、アルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等が挙げられる。これらの溶剤は、1種または2種以上組み合わせて用いられる。
【0077】
防汚塗料組成物
本発明に用いられる防汚塗料組成物は、好ましくは、複合防汚塗膜(層)に用いられる。この複合防汚塗膜(層)は、上記プライマー防汚塗膜(層)の表面上に防汚塗膜(層)が形成されてなっている。また、防汚塗膜(層)は、以下に説明する防汚塗料組成物から形成される。本発明に用いられる防汚塗料組成物は、樹脂成分(C)を含有してなり、本発明の好ましい態様においては、さらにポリシロキサン(D)を含有することが望ましい。
【0078】
本発明に用いられる防汚塗料組成物は、樹脂成分(C)を含んでいるので、上述したようなプライマー防汚塗料組成物から形成されるプライマー防汚塗膜と、下記の防汚塗料組成物から形成される防汚塗膜とが親和性に優れることとなり、接着性を向上させることができる。
また、上記防汚塗料組成物が樹脂成分(C)と、さらにポリシロキサン(D)を含有することにより、防汚塗膜の防汚性能を付与することができる。
【0079】
本発明に用いられる防汚塗料組成物が、上記樹脂成分(C)を含有してなる場合は、樹脂成分(C)は防汚塗料組成物100重量%に対して、20〜95重量%、好ましくは30〜90重量%、さらに好ましくは40〜70重量%の量で含有されることが望ましい。
一方、本発明に用いられる防汚塗料組成物が、樹脂成分(C)とポリシロキサン(D)とを含有している場合、(樹脂成分(C)+ポリシロキサン(D)=100重量%)、樹脂成分(C)を10〜99重量%の量で、好ましくは20〜70重量%の量で、ポリシロキサン(D)を1〜90重量%の量で、好ましくは30〜80重量%の量で含むことが望ましい。
【0080】
樹脂成分(C)、または、樹脂成分(C)とポリシロキサン(D)が、上記防汚塗料組成物に上記の量で添加されていることにより、プライマー防汚塗膜と防汚塗膜との接着性が向上し、さらに、防汚塗膜の塗膜強度を付与することができる。
このような本発明に用いられる防汚塗料組成物は、前述のプライマー防汚塗料組成物と同様の方法により、同様の任意成分を必要により添加して、製造することができる。
【0081】
上記の防汚塗料組成物に含まれる、樹脂成分(C)についてまず説明する。
<樹脂成分 ( )
本発明に用いられる樹脂成分(C)は、
下記グラフト共重合体(C1)および/またはオルガノポリシロキサンチオブロックビニール共重合体(C2)を含有している。
【0082】
そのようなグラフト共重合体(C1)は、ビニール系重合体からなる幹ポリマーと、該幹ポリマーにグラフトされた枝ポリマーとからなるグラフト共重合体であって、
上記枝ポリマーとして、
(c1-1)オルガノポリシロキサン、または、
(c1-2)オルガノポリシロキサンおよびポリオキシアルキレン、
を含むグラフト共重合体である。
【0083】
また、オルガノポリシロキサンチオブロックビニール共重合体(C2)は、
(c2-1)ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロックと、
(c2-2)オルガノポリシロキサンチオブロックとから形成されるオルガノポリシロキサンチオブロックビニール共重合体である。
また、本発明においては、上記グラフト共重合体(C1)および/またはオルガノポリシロキサンチオブロックビニール共重合体(C2)が、架橋型モノマー単位を含有することが好ましい。
【0084】
したがって、本発明において、樹脂成分(C)は、
▲1▼非架橋型のグラフト共重合体(C1)、
▲2▼架橋型のグラフト共重合体(C1)、
▲3▼架橋型のオルガノポリシロキサンチオブロックビニール共重合体(C2)、
▲4▼上記▲1▼および▲3▼、
▲5▼上記▲2▼および▲3▼、
のいずれかを含有してなる。
【0085】
上記樹脂成分(C)は、樹脂成分(C)(100重量%)が上記▲4▼、すなわち、▲1▼非架橋型のグラフト共重合体(C1)と、▲3▼架橋型のオルガノポリシロキサンチオブロックビニール共重合体(C2)とからなるとき、▲1▼と▲3▼とは任意の割合で混合することができるが、▲1▼は10〜40重量%の量(ただし、▲1▼+▲3▼=100重量%)であることが好ましい。
【0086】
樹脂成分(C)(100重量%)が上記▲5▼、すなわち、▲2▼架橋型のグラフト共重合体(C1)と、▲3▼架橋型のオルガノポリシロキサンチオブロックビニール共重合体(C2)とからなるとき、▲2▼と▲3▼とは任意の割合で混合することができるが、▲2▼は10〜40重量%の量(ただし、▲2▼+▲3▼=100重量%)であることが好ましい
本発明において、防汚塗料組成物が、上記組成で樹脂成分を含有することにより、プライマー防汚塗料組成物から形成されるプライマー防汚塗膜と、該組成物から形成される防汚塗膜とが親和性に優れることとなり、接着性を向上させることができる。
【0087】
このように、樹脂成分(C)は、グラフト共重合体(C1)またはオルガノポリシロキサンチオブロックビニール共重合体(C2)を1種または2種以上含有してなるものである。
まず、グラフト共重合体(C1)について以下に説明する。
<グラフト共重合体 ( C1 )
本発明に用いられるグラフト共重合体(C1)は、上述のようのグラフト共重合体(A1)と同様のものを用いることができる。
【0088】
<オルガノポリシロキサンチオブロックビニール共重合体 ( C2 )
次に、上記樹脂成分(C)に含まれるオルガノポリシロキサンチオブロックビニール共重合体(C2)について説明する。
本発明に用いられるオルガノポリシロキサンチオブロックビニール共重合体(C2)は、ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック(c2-1)と、オルガノポリシロキサンチオブロック(c2-2)とから形成され、GPCで測定された重量平均分子量(Mw)が1,000〜200,000、好ましくは、2,000〜100,000であることが望ましい。重量平均分子量(Mw)が上記範囲にあると、得られる共重合体は、溶液または防汚塗料組成物として適当な濃度において、ハンドリングに適した粘度となり、該共重合体を含む防汚塗料組成物は、塗装に適した粘度となり、得られる塗膜(特に防汚塗膜)は適度な強度を有し、防汚持続性に優れる傾向がある。
【0089】
以下、オルガノポリシロキサンチオブロックビニール共重合体(C2)を形成するポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック(c2-1)、オルガノポリシロキサンチオブロック(c2-2)について説明する。
<ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック (c2-1)
上記ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック(c2-1)は、
(ア)下記式[10]で表され、ポリオキシアルキレン化合物が少なくともその片末端で重合性不飽和カルボン酸とエステルを形成してなるポリオキシアルキレン重合性不飽和カルボキシレートから誘導される成分単位(以下、「ポリオキシアルキレン重合性不飽和カルボキシレート成分単位」とも言う。)と、
(イ)上記(ア)成分以外の少なくとも1種の非架橋型重合性不飽和カルボン酸またはそのエステルから誘導される成分単位(非架橋型重合性不飽和カルボン酸系成分単位)と、
(ウ)架橋型重合性不飽和単量体から誘導される成分単位(架橋型重合性不飽和成分単位)と、
(エ)必要に応じて、その他の重合性不飽和単量体から誘導される成分単位と
から形成されている。
【0090】
まず初めにポリオキシアルキレン重合性不飽和カルボキシレート成分単位(ア)について説明する。
ポリオキシアルキレン重合性不飽和カルボキシレート成分単位 (ア)
上記ポリオキシアルキレン重合性不飽和カルボキシレート成分単位(ア)は、下記式[10]で表されるポリオキシアルキレン重合性不飽和カルボキシレートから誘導される成分単位である。
【0091】
式[10]: R4[ORlm[OR2n−OCOR3 ・・・・・[10]
式[10]中、R1およびR2は、互いに同一でも異なっていてもよい2価の炭化水素基を示し、脂肪族系、脂環族系、芳香族系が挙げられ、脂肪族系が好ましく、具体的には、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基(トリメチレン:−(CH2)3−、メチルジメチレン:−CH2CH(CH3)−)、ブチレン基(テトラメチレン)など、炭素数1〜10,好ましくは1〜5のポリ(メチレン)基が挙げられる。
【0092】
3は、重合性不飽和炭化水素基含有基を示し、例えば、ビニル基(CH2=CH−)、CH2=C(CH3)−、CH3−CH=CH−、CH3−CH=C(CH3)−、HOCOCH=CH−、CH3OCOCH=CH−など、総炭素数が2〜15,好ましくは2〜10であって、置換基を有していてもよい不飽和炭化水素基含有基が挙げられる。
【0093】
すなわち、式「R3COO−」としては、重合性不飽和カルボン酸残基を示し、R3COO−としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシ基[CH2=C(HまたはCH3)COO−]の他、2塩基性重合性不飽和カルボン酸から誘導されたマレイノイルオキシ基(HOOCCH=CHCOO−,sis)、フマロイルオキシ基(HOOCCH=CHCOO−,trans)等の基、及びそれらのエステルなど、その総炭素数が2〜16,好ましくは2〜11であって、置換基(例:−COOH)を有していてもよい重合性不飽和カルボン酸残基(重合性不飽和基含有カルボニルオキシ基)が挙げられる。
【0094】
4は、水素原子、重合性不飽和結合を有していてもよい1価の炭化水素基、重合性不飽和結合を有していてもよい有機カルボン酸残基「R5CO−(R5は、重合性不飽和結合を含有していてもよい有機基を示す。)」を示す。この有機カルボン酸残基は、1塩基性であっても2塩基性であってもよい。
4が、重合性不飽和結合を有していてもよい1価の炭化水素基である場合、このような炭化水素基としては、例えば、前記R3と同様な基である、CH2=CH−、CH2=C(CH3)−、CH3−CH=CH−、CH3−CH=C(CH3)−などの他に、
CH3−、C25−、C27−、C49−などの炭素数1〜10,好ましくは1〜5のアルキル基;
置換基を有していても良い炭素数6〜20のアリール基;
CH3CO−、C25CO−、C27CO−、C49CO−などの炭素数1〜10,好ましくは1〜5のアルキルカルボニル基;
などが挙げられ、これらのうちでは、水素原子、上記アルキル基が好ましい。
【0095】
上記アルキル基あるいはアルキルカルボニル基等に含まれるはアルキル基は、直鎖状、分岐状、脂環状などの何れでもよい。
上記式[10]中、mおよびnは正数を示し、好ましくは、それぞれ1〜50の数である。
このようなポリオキシアルキレン重合性不飽和カルボキシレート成分単位(ア)を誘導しうるポリオキシアルキレン重合性不飽和カルボキシレート[10]としては、特開平9−216922号公報[0009]段に記載のものなどを用いることができ、
具体的には、例えば、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(例:日本油脂(株)製ブレンマーPEシリーズ、PE−90 、PE−200、PE−350)、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(例:日本油脂(株)製ブレンマーPMEシリーズ、PME−100 、PME−200 、PME−400)、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(例:日本油脂(株)製ブレンマーPPシリーズ、PP−1000 、PP−500、PP−800)、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノメタクリレート(例:日本油脂(株)製ブレンマーPEP シリーズ、70PEP−370B)、ポリエチレングリコールポリテトラメチレングリコールモノメタクリレート(例:日本油脂(株)製ブレンマー55PET−800 )、ポリプロピレングリコールポリテトラメチレングリコールモノメタクリレート(例:日本油脂(株)製ブレンマーNKH−5050)、ポリプロピレングリコールモノアクリレート(例:日本油脂(株)製ブレンマーAP−400)、ポリエチレングリコールモノアクリレート(例:日本油脂(株)製ブレンマーAE−350)、さらには、
メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート:
[H3C−(OC24)m+n−OCO(CH)=CH2 ]、
エトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート:
[H52−(OC24)m+n−OCOC(CH3)=CH2 ]、
メチルカルボキシポリエチレングリコールモノメタクリレート:
[H3C−CO−(OC24)m+n−OCOC(CH3)=CH2 ]、
メチルカルボキシポリプロピレングリコールモノメタクリレート:
[H3C−CO−(OC26)m+n−OCORC(CH3)=CH2 ]、
メトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノメタクリレート:[H3C−(OC24)m(OC26)n−OCORC(CH3)=CH2 ]、
カルボキシメチレンカルボキシポリエチレングリコールモノメタクリレート:
[HOCO−CH2−CO(OC24)m+n−OCOC(CH3)=CH2 ]、
ヒドロキシマレイオイルポリエチレングリコールモノメタクリレート:
[HOOCCH=CHCO(OC24)m+n−OCOC(CH3)=CH2 ]、
ポリエチレングリコールジメタクリレート:
[CH2=CHCO−(OC24)m+n−OCOC(CH3)=CH2 ]、
ポリエチレングリコールジメタクリレート:
[CH2=C(CH3)CO−(OC24)m+n−OCOC(CH3)=CH2 ]、
フェノキシポリエチレングリコールモノメタクリレート:
【0096】
【化9】
Figure 2004202385
【0097】
等が挙げられる。これらは、1種または2種以上組み合わせて用いられる。
これらのポリオキシアルキレン重合性不飽和カルボキシレート[10]のうちでは、ポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート類[オキシアルキレン基の炭素数:1〜10]が好ましく、さらには、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート[エチレングリコールの繰り返し数:2〜100]が望ましい。
【0098】
非架橋型重合性不飽和カルボン酸系成分単位 (イ)
上記非架橋型重合性不飽和カルボン酸系成分単位(イ)は、上記成分ポリオキシアルキレン重合性不飽和カルボキシレート成分単位(ア)以外の、「少なくとも1種の非架橋型(非架橋性とも言う。)の重合性不飽和カルボン酸またはそのエステル」から誘導される成分単位である。
【0099】
このような(非架橋型の)重合性不飽和カルボン酸またはそのエステルとしては、特許第2939309号第13頁右欄後段〜14頁左欄上段、あるいは、特開平9−100445号公報第3頁左欄〜右欄[0007]段に記載の重合性ビニル単量体などを使用でき、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸およびその酸無水物;
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート等の炭素数が1〜30程度で、脂肪族、脂環族あるいは芳香族系の(メタ)アクリル酸エステル;
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有不飽和カルボン酸エステル;
(メタ)アクリロキシプロピルポリジメチルシロキサンなどのケイ素含有不飽和カルボン酸エステル;
2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレートなどのフッ素含有不飽和カルボン酸エステル;等が挙げられる。
【0100】
これらの重合性不飽和カルボン酸、酸無水物および重合性不飽和カルボン酸エステルは、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
これらの重合性不飽和カルボン酸、酸無水物および重合性不飽和カルボン酸エステルのうちでは、上記(メタ)アクリル酸およびそのエステルが好ましく、さらには、炭素数1〜30の脂肪族、脂環族系の上記(メタ)アクリル酸およびそのアルキルエステルが望ましい。
【0101】
架橋型重合性不飽和成分単位 (ウ)
上記架橋型重合性不飽和成分単位(ウ)としては、上記(ア)、(イ)以外の、架橋型重合性不飽和単量体から誘導される成分単位が挙げられる。
このような架橋型基(架橋性基とも言う。)を有する重合性不飽和成分単位(ウ)を誘導しうる架橋型重合性不飽和単量体としては、例えば必要により用いられる架橋剤と反応可能なヒドロキシ基を有する重合性不飽和単量体として、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(ポリ)カプロラクトン(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0102】
必要に応じて用いられる架橋剤と反応可能なカルボキシル基を有する重合性不飽和単量体として(メタ)アクリル酸、マレイン酸及びその誘導体、イタコン酸及びその誘導体等が挙げられる。
自己架橋可能な又は必要に応じて用いられる架橋剤と反応可能なイソシアネート基を有する重合性不飽和単量体として(メタ)アクロイルイソシアネート、2−(メタ)アクリロキシエチルイソシアネート等が挙げられる。
【0103】
必要に応じて用いられる架橋剤と反応可能なエポキシ基を有する重合性不飽和単量体として、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
必要に応じて用いられる架橋剤と反応可能なグリシジル基を有する重合性不飽和単量体として、グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0104】
また、自己架橋可能な加水分解性アルコキシシリル基含有重合性不飽和単量体として、
γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、p−トリメトキシシリルスチレン、p−トリエトキシシリルスチレン、p−トリメトキシシリル−α−メチルスチレン、p−トリエトキシシリル−α−メチルスチレン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−β(N−ビニルベンジルアミノエチル−γ−アミノプロピル)トリメトキシシラン・塩酸塩等が挙げられる。
【0105】
また上記架橋型重合性不飽和単量体から誘導される成分単位(ウ)は必要に応じて、ラジカル重合等による架橋型基である(メタ)アクリロキシ基やビニル基を有する成分単位(ウ)への誘導が可能であり、更に他の架橋系であるシラノール基やアミノ基を有する成分単位(ウ)への誘導も可能である。
これらの「架橋型重合性不飽和単量体」のうちでは、得られるオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体の造膜性、塗膜強度、耐熱性、耐油性などの観点からみて、該共重合体を含む塗料などから得られる塗膜中において、該共重合体が架橋構造を形成していることが望ましく、「架橋型重合性不飽和単量体」としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、イソシアネート基、エポキシ基、グリシジル基、アルコキシシリル基、アリーロキシシリル基、(メタ)アクリロキシ基、ビニル基、シラノール基、アミノ基等のうちの何れか1種以上の官能基、好ましくはヒドロキシ基、カルボキシル基、イソシアネート基、エポキシ基、グリシジル基、アルコキシシリル基のうちの何れか1種以上の官能基を有する架橋型重合性不飽和単量体を用いることが望ましい。
【0106】
これらの架橋型重合性不飽和単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3(又は2)−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4(又は2)−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、グリシジル(メタ)アクリレートを用いることが特に望ましい。
【0107】
これらの「架橋型重合性不飽和単量体」は、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
その他の重合性不飽和成分単位 (エ)
その他の重合性不飽和成分単位(エ)としては、上記(ア)、(イ)、(ウ)以外の必要により用いられる重合性不飽和単量体から誘導される成分単位が挙げられる。
【0108】
このような成分単位(エ)を誘導しうる重合性不飽和単量体としては、ビニル共重合体ブロック成分を形成しうるラジカル重合性不飽和単量体であれば公知のいずれをも使用することができる。
例えばスチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン類;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;
N,N−ジメチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリルアミドなどのアクリルアミド類;
エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;
イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸などのニ塩基性重合性単量体やそれらのエステル類;
アクリロニトリル等を挙げることができる。
【0109】
これらの「その他の重合性不飽和単量体」は必要に応じ、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明においては、ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック(c2-1)(100重量%)中に、上記ポリオキシアルキレン重合性不飽和カルボキシレート成分単位(ア)は通常、0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜30重量%、特に好ましくは1〜20重量%の量で、
上記重合性不飽和カルボン酸系成分単位(イ)は、通常、1〜99.9重量%、好ましくは5〜99.5重量%、特に好ましくは20〜99.0重量%の量で、
上記架橋型重合性不飽和成分単位(ウ)は、通常、0.1〜80重量%、好ましくは1〜70重量%、特に好ましくは3〜40重量%の量で含まれていることが望ましい。
【0110】
上記その他の重合性不飽和成分単位(エ)は、通常0〜80重量%、好ましくは0〜70重量%、特に好ましくは0〜50重量%の量で含まれていても良い。
このような量で各成分単位(ア)と(イ)と(ウ)と(エ)とがポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック(c2-1)中に含まれていると、得られるオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体(C2)(シリコーンブロックビニル共重合体とも言う。)は、適度な造膜性を有し、塗膜強度が良好で防汚性に優れる傾向がある。
【0111】
また、上記ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック(c2-1)あるいは対応するポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体のTgは、通常、−75℃以上、好ましくは−30℃以上であることが造膜性の点で望ましい。
またオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体100重量部中に含まれるポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック(c2-1)100重量部に対して、オルガノポリシロキサンチオブロック(c2-2)は通常、0.01〜900重量部、好ましくは0.1〜700重量部の量で存在していることが望ましい。
【0112】
このような量で各ブロック(c2-1)と(c2-2)とがオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体(C2)中に含まれていると、該オルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体(C2)は、難接着面を形成し防汚性が良好となる傾向がある。
なお、ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック(c2-1)中においては、上記モノマー(ポリオキシアルキレン重合性不飽和カルボキシレート[10])中の重合性不飽和結合(炭素−炭素二重結合)が開裂してなる成分単位(ア)と、同様に対応するモノマー中に含まれる重合性不飽和結合がそれぞれ開裂してなる成分単位(イ)と、成分単位(ウ)と、必要に応じて用いられる成分単位(エ)とが、ランダムにあるいはブロックに配列して連結して共重合体ブロックを形成しているものと思われる。
【0113】
<オルガノポリシロキサンチオブロック (c2-2)
上記ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック(c2-1)と一緒になってオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体(C2)を形成するオルガノポリシロキサンチオブロック(c2-2)は、下記式[11]で表される。
一般式[11]:
【0114】
【化10】
Figure 2004202385
【0115】
式[11]中、複数のR6は、炭素原子数1〜10の炭化水素基を示し、R6としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜10,好ましくは1〜5、特に1〜3のアルキル基;フェニル基;フルオロアルキル基等が挙げられ、好ましくは上記アルキル基、特にメチル基が望ましい。
7、R8およびR9は、それぞれ独立に、炭素原子数が1〜10の2価の有機基を示し、好ましくは該炭素数の2価チオ有機基(例:チオ炭化水素基)または前記R6と同様の基を示し、さらに好ましくは上記2価のチオ有機基が望ましい。
【0116】
2価のチオ有機基は、式:「−SX−」(X:置換基を有していてもよい2価有機基)で示される。
該チオ有機基としては、特許第2863562号公報第3頁に示されるような、チオメチレン基(−S−CH2−)、チオジメチレン基(−S−(CH2)2−)、チオトリメチレン基(−S−(CH2)3−)、チオプロピレン基「−S−CH(CH3)CH2−」、チオブチレン基「−S−CH2CH(CH3)CH2−」、チオジメチルメチレン基「−S−C(CH3)2−」、チオジメチルエチレン基「−S−CH2C(CH3)2−」、チオオクタメチレン基「−S−(CH2)8−」等のように、分岐を有することのある、炭素数が1〜10で鎖状の2価炭化水素基を有するチオ炭化水素基;
チオフェニレン基「−S−C64−」、チオフェニレンエチレン基「−S−C64−(CH2)2−」等のように、芳香族系2価炭化水素基を有するチオ炭化水素基;
また、特開平9−100445号公報に記載のような末端に、エポキシ基を有するポリジメチルシロキサン化合物に、HS−CH2COOH、HS−CH2CH2COOHを付加して得られるような構造に由来する2価有機基を有するチオ有機基;
等が挙げられる。
【0117】
これらのチオ有機基「−SX−」のうちでは、チオトリメチレン基等の炭素数1〜5の鎖状の2価炭化水素基(X)を有するチオ炭化水素基が好ましい。
上記mは、繰り返し単位[SiO(R6)2]の総数(正の数)を示し、nもこれと同様に、繰り返し単位[SiO(R6)(R9−)]の総数(正の数)を示し、各繰り返し単位[SiO(R6)2]と、[SiO(R6)(R9−)]とは、任意の順序で結合して各繰り返し単位の総個数がそれぞれm、nとなっていてもよい。例えば、各繰り返し単位が1個づつ交互に配列して結合していてもよく、それぞれが任意個数のブロックを形成して配列し、各繰り返し単位の総個数がそれぞれm、nとなっていてもよい。
【0118】
このようなオルガノポリシロキサンチオブロック(c2-2)には、式[11]中のR7、R8、R9の種類により、下記(1)〜(4)の4つのタイプがある。
(これら式[11−1]〜[11−4a]中、R10は、炭素数1〜10,好ましくは1〜5の二価有機基を示す。R6は、式[11]中のものと同じ。)
(1) 式[11]中、オルガノポリシロキサンの片末端基R7またはR8が、2価のチオ有機基を示し、かつR8およびR9が、前記R6と同様の基を示すもの(片末端型):
【0119】
【化11】
Figure 2004202385
【0120】
このようなオルガノポリシロキサンチオブロック[11−1]を誘導しうるメルカプト変性ポリオルガノシロキサン[11−1a]としては、例えば、下記のようなものが挙げられる。
【0121】
【化12】
Figure 2004202385
【0122】
(式[11−1]、[11−1a]中、R10はプロピレン基「−CH(CH3)CH2−」あるいはトリメチレン基「−(CH2)3−」、R6はメチル基、フェニル基、フルオロアルキル基を示す。m+n=2〜1,500の数。)
このようなメルカプト変性ポリオルガノシロキサン[11−1a]として、より具体的には、α−メルカプトプロピルポリジメチルシロキサン、エポキシ基含有ポリジメチルシロキサン(品名:「サイラプレーンFM−0511、FM−0521、FM−0525」、チッソ(株)製)への3−メルカプトプロピオン酸付加物などが挙げられる。
(2) 式[11]中、R7および R8が、何れも2価のチオ炭化水素基を示し、かつR9が、前記R6と同様の基を示すもの(両末端型):
【0123】
【化13】
Figure 2004202385
【0124】
このようなオルガノポリシロキサンチオブロック[11−2]を誘導しうるメルカプト変性ポリオルガノシロキサン[11−2a]としては、例えば、下記のようなものが挙げられる。
【0125】
【化14】
Figure 2004202385
【0126】
(式[11−2]、[11−2a]中、R10はプロピレン基「−CH(CH3)CH2−」あるいはトリメチレン基「−(CH2)3−」、R6はメチル基、フェニル基、フルオロアルキル基を示す。m+n=2〜1500の数。)
このようなメルカプト変性ポリオルガノシロキサン[11−2a]としてより具体的には、信越化学工業(株)製「X−22−167B」などが挙げられる。
(3) 式[11]中、R7およびR8の両者が、前記R6と同様の基を示し、複数(n個)のR9のうちの少なくとも1個(n−p個)が2価のチオ炭化水素基を示し、かつ残りのR9(p個)が、前記R6と同様の基を示すか、または複数のR9の全て(p=0、n個)が、2価のチオ炭化水素基を示すもの(側鎖型):
【0127】
【化15】
Figure 2004202385
【0128】
このようなオルガノポリシロキサンチオブロック[11−3]を誘導しうるメルカプト変性ポリオルガノシロキサン[11−3a]としては、例えば、下記のようなものが挙げられる。
【0129】
【化16】
Figure 2004202385
【0130】
(式[11−3]、[11−3a]中、R10はプロピレン基「−CH(CH3)CH2−」あるいはトリメチレン基「−(CH2)3−」、R6はメチル基を示す。m=1〜1500の数、n=1〜100の数、0≦p≦n(p:整数)。)
このようなメルカプト変性ポリオルガノシロキサン[11−3a]としてより具体的には、信越化学工業(株)製、商品名「KF−2001、KF−2004、KP−358」などが挙げられる。
(4) 式[11]中、R7およびR8の両者が、2価のチオ炭化水素基を示し、R9のうちの少なくとも1個(n−p個)が、2価のチオ炭化水素基を示し、かつその残り(p個)のR9が、前記R6と同様の基を示すか、またはR9の全て(p=0、n個)が2価のチオ炭化水素基を示すもの(側鎖両末端型):
【0131】
【化17】
Figure 2004202385
【0132】
(これら式[11−1]〜[11−4]中、R10は、炭素数1〜10,好ましくは1〜5の二価炭化水素基を示す。R6は、式[11]中のものと同じ。)
このようなオルガノポリシロキサンチオブロック[11−4]を誘導しうるメルカプト変性ポリオルガノシロキサン[11−4a]としては、例えば下記のようなものが挙げられる。
【0133】
【化18】
Figure 2004202385
【0134】
(式[11−4]、[11−4a]中、R10はプロピレン基「−CH(CH3)CH2−」あるいはトリメチレン基「−(CH2)3−」、R6はメチル基を示す。m=1〜1500の数、n=1〜100の数、0≦p≦n(p:整数)。)
このような種々のオルガノポリシロキサンチオブロック(c2-2)中におけるチオエーテル基「−S−」あるいは対応するメルカプト変性ポリオルガノシロキサン中におけるメルカプト基(−SH基)の個数は、例えば、特開平9−216922号公報(昭和電工(株))5頁[0015]欄にも示されるように、通常、1 ブロック(あるいは1分子)当たり、平均して1.0〜100個、好ましくは1.0〜50、さらに好ましくは1.0〜30が望ましい。
【0135】
また、上記オルガノポリシロキサンチオブロック(c2-2)あるいは対応するメルカプト変性ポリオルガノシロキサンの数平均分子量(Mn)は、300〜100,000、好ましくは500〜50,000であることが望ましい。
なお、オルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体(C2)中のオルガノポリシロキサンチオブロック(c2-2)が、ポリオルガノシロキサンの分子片末端にメルカプト基1個を有するメルカプト変性ポリオルガノシロキサン[9−1a]より誘導された上記片末端型[11−1]である場合には、ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック(c2-1)の片末端に、オルガノポリシロキサンチオブロック(c2-2)が付加(末端封止)したブロック共重合体((c2-1)・(c2-2)型)となり、また
オルガノポリシロキサンチオブロック(c2-2)が上記両末端型[11−2]である場合には、ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック(c2-1)が、オルガノポリシロキサンチオブロック(c2-2)の両末端に付加したブロック共重合体((c2-1)・(c2-2)・(c2-1)型など)となり、また
オルガノポリシロキサンチオブロック(c2-2)が上記側鎖型[11−3]である場合には、ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック(c2-1)が、オルガノポリシロキサンチオブロック(c2-2)の側鎖に付加したグラフト共重合体(櫛型共重合体)となり、また
上記オルガノポリシロキサンチオブロック(c2-2)が上記側鎖両末端型[11−4]である場合には、ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロックが、オルガノポリシロキサンチオブロック(c2-2)の両末端および側鎖に付加したスター型共重合体となると考えられる。但し、これらの反応はラジカルの複雑な停止反応により、この他のブロック構造の存在も推定し得る。
【0136】
上記オルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体(C2)(固形分)中に含まれる全成分単位の合計100重量%中に、
ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック(c2-1)を構成する前記ポリオキシアルキレン重合性不飽和カルボキシレート成分単位(ア)は、通常、0.01〜40重量%、好ましくは0.1〜25重量%、特に好ましくは0.5〜20重量%の量で、
前記重合性不飽和カルボン酸系成分単位(イ)は、通常、0.5〜95重量%、好ましくは1〜90重量%、特に好ましくは5〜80重量%の量で、
前記架橋型重合性不飽和成分単位(ウ)は、通常、0.05〜70重量%、好ましくは0.5〜60重量%、特に好ましくは1〜50重量%の量で含まれ、
前記その他の重合性不飽和成分単位(エ)は、通常0〜70%、好ましくは0〜60%、特に好ましくは0〜40%の量で含まれていても良い。
【0137】
また、オルガノポリシロキサンチオブロック(c2-2)は、通常、0.01〜90重量%、好ましくは0.1〜70重量%、特に好ましくは1〜50重量%の量で含まれていることが望ましい。(なお、ブロック(c2-1)含有量(重量%) =100−ブロック(c2-2)(重量%)=(ア)〜(エ)の合計(重量%))
このような量でポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック(c2-1)を構成する各成分単位(ア)と(イ)と(ウ)と(エ)と、オルガノポリシロキサンチオブロック(c2-2)とがオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体(C2)(シリコーンブロックビニル共重合体(C2)とも言う。)中に含まれていると、得られるオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体(C2)は、造膜性、塗膜強度、防汚性に優れる傾向がある。
【0138】
このようなオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体(C2)は、例えば、防汚塗料に配合すれば、環境への負荷や人体への影響が少なく、しかも防汚性およびその持続性に優れ、機械的強度に優れた防汚塗膜を形成可能である。
特に、上記オルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体(C2)とともに、シリコーンオイルや、パラフィン成分などが配合されていても上記機械的強度等の特性に優れた塗膜が形成でき、しかも、塗膜の脆弱化が効果的に抑制できる塗膜を形成できる防汚塗料等の塗料、離型剤などを調製可能である。
【0139】
オルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体(C2)の製造
このようなオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体(C2)を製造するには、例えば、上記(ア)ポリオキシアルキレン重合性不飽和カルボキシレート[10](例:メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、式[10]中、m+n=2〜100)と、
(イ)上記(ア)以外の少なくとも1種の非架橋型重合性不飽和カルボン酸またはそのエステル(例:メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート)と、
(ウ)架橋型基含有重合性不飽和単量体(例:α−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、4−ヒドロキシブチルアクリレート)と、
(エ)必要に応じて用いられるその他の重合性不飽和単量体(例:スチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル)と、
上記メルカプト変性ポリオルガノシロキサン[11](例:商品名「KF−2001、KP−358」、信越化学(株)製、メルカプト変性シリコーン)と
を、必要によりラジカル重合開始剤等のラジカル発生源の存在下に、通常の反応条件に従って、熱または光で重合させればよい。
【0140】
このような重合反応の際には、上記各モノマー(マクロモノマーを含む)は、前記オルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体(C2)中における各成分単位量に対応する量で用いればよく、具体的には、上記各モノマー(ア)、(イ)および(ウ)および(エ)の合計((ア)+(イ)+(ウ)+(エ))100重量部に対して、メルカプト変性ポリオルガノシロキサンモノマー[11]は、通常、0.01〜900重量部、好ましくは0.1〜700重量部の量で用いられる。
【0141】
また、上記ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロック(c2-1)形成用モノマーの合計((ア)+(イ)+(ウ)+(エ))100重量部に対して、
上記モノマー(ア)は、通常、0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜30重量部の量で、
上記モノマー(イ)は、通常、1〜99.9重量部、好ましくは5〜99.5重量部の量で、
上記モノマー(ウ)は、通常、0.1〜80重量部、好ましくは1〜70重量部の量で、上記モノマー(エ)は、通常0〜80重量部、好ましくは0〜70重量部の量で用いられる。
【0142】
このような量で各モノマーが含まれていると、得られるオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体(C2)は、造膜性、塗膜強度、防汚性に優れる傾向がある。
この重合は、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合など種々の重合方法で行うことができる。
【0143】
ラジカル重合開始剤を用いる場合には、上記(ア)〜(エ)の不飽和単量体(モノマー)の合計100重量部に対して、このラジカル重合開始剤は、通常、0.005〜20重量部の量で使用される。
このようなラジカル重合開始剤としては、一般にラジカル重合反応開始剤として使用されているものを広く使用でき、具体的には、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2'−アゾビスイソバレロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(商品名「ABN−E」、日本ヒドラジン製、アゾ化合物)、ポリジメチルシロキサン系高分子アゾ重合開始剤(商品名「VPS−0501、VPS−1001」、和光純薬工業(株)製、アゾ化合物)等のアゾ化合物;
過酸化ベンゾイル(BPO)、ヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサエート(商品名「カヤエステルO」、化薬アクゾ(株)製)等のペルオキシド;
などが挙げられる。これらラジカル重合開始剤は、1種または2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0144】
溶媒としては、常温で適度の揮発性を有し、用いられるモノマー(マクロモノマーを含む)および得られたオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体(C2)を溶解させうるものであれば特に制限はないが、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;
ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;
ジエチルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;
酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル類;
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン等のケトン類;
ジクロロメタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素;
メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等のアルコール類;
エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコール誘導体系溶媒;
等が挙げられる。これら溶媒(溶剤)は1種または2種以上適宜組合せて用いることができる。
【0145】
これらの溶媒は、重合用モノマー(含むマクロモノマー)(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)およびメルカプト変性ポリオルガノシロキサン[11]の合計100重量部に対して、任意量で使用できるが、例えば、10〜1000重量部、好ましくは20〜500重量部の量で用いられる。
本発明においては、重合方法として溶液重合を採用する場合には、重合反応によって得られたオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体(C2)を分別、精製することなく溶媒希釈のまま使用することも可能であり、好ましい。
【0146】
このようにして得られたオルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体(C2)は、GPCで測定された重量平均分子量(Mw)は、通常、1,000〜200,000、好ましくは2,000〜100,000であり、
粘度(cps/25℃)は、通常、50%溶液において50〜10万、好ましくは100〜2万であり、
外観は、通常、透明もしくは白濁の溶液である。
【0147】
<反応性官能基含有ポリシロキサン ( )
本発明で用いられる反応性官能基含有ポリシロキサン(D)は、上記樹脂成分(C)と共に防汚塗料組成物に含有される。そのような、反応性官能基含有ポリシロキサン(D)は、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、エポキシ基およびグリシジル基からなる群から選ばれた少なくとも1種の反応性官能基、好ましくはアミノ基、エポキシ基、さらに好ましくは、エポキシ基を有することが望ましい。
【0148】
上記反応性官能基含有ポリシロキサン(D)が、上記官能基を有することにより、防汚塗膜の防汚性能の持続性が向上する。その理由は、プライマー防汚塗膜に含まれる反応性官能基含有シランカップリング剤(B)と防汚塗膜に含まれる応性官能基含有ポリシロキサン(D)が反応することにより、該ポリシロキサン(D)の(海水中または防汚塗膜表面への)ブリードアウト速度が調整されるためと考えられる。
【0149】
そのような反応性官能基含有ポリシロキサン(D)は、
平均組成式:RXSiZy(4-x-y)/2・・・[1]
{式[1]中、Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、またはアラルキル基を示す。Zは、炭素数1〜10のアルキル基、または、
1−OR2[R1は、炭素数1〜10の2価脂肪族炭化水素基を示し、該2価脂肪族炭化水素基は、隣接するSi原子および/またはOR2に直接結合していてもよく、エーテル基、エステル基、または−NH−を介してSi原子および/またはOR2に結合していてもよく、また該2価脂肪族炭化水素基中の炭素−炭素結合間にエーテル基、エステル基、または−NH−が介在していてもよく、R2は、炭素数1〜6の低級アルキル基を示す。]、
1−R3[R1は、上記と同様であり、R3は、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、エポキシ基またはグリシジル基を示す。]を示す。
xおよびyは、それぞれ0.01≦x<4.0、0.01≦y<4.0でかつ0.02≦x+y<4である。}で表され、
数平均分子量が250〜30000、好ましくは1,000〜20,000の範囲にあり、
その分子末端に少なくとも1つのアルコキシ基をを有することが望ましい。
【0150】
上記式[1]で表されるポリシロキサン(D)は、数平均分子量が上記範囲にあると、乾燥性、防汚性共に優れた塗膜が得られるため好ましい。
また、このような式[1]で表されるポリシロキサン(D)は、シリコーンの一部にアミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、エポキシ基またはグリシジル基を含有しており、アミノ基を一部にもつ該ポリシロキサン(D)としては、X−22−3939A(信越化学工業(株)製、商品名)、BY16−893(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、商品名)等が挙げられ、カルボキシル基を一部にもつ該ポリシロキサン(D)としては、BY16−874(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、商品名)等が挙げられ、エポキシ基を一部にもつ該ポリシロキサン(D)としては、X−22−3667(信越化学工業(株)製、商品名)、SF8421(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、商品名)およびY−7499(日本ユニカー(株)製、商品名):
【0151】
【化19】
Figure 2004202385
【0152】
(式中、a,b,cはそれぞれ繰り返し単位数を示し、R1はアルキレン基、R2はアルキル基を示し、R3はメチル基または下記式のいずれかを示す。)等が挙げられる。
【0153】
【化20】
Figure 2004202385
【0154】
(式中、R4はアルキレン基を示し、上記R1と同一でもよく異なっていてもよい。)
これらのうちでは、X−22−3939A、X−22−3667(以上は何れも信越化学工業(株)製、商品名)が好ましく用いられる。
これらの反応性官能基含有ポリシロキサン(D)は、上記樹脂成分(C)(オルガノポリシロキサン(C1)、グラフト共重合体(C2)、または、オルガノポリシロキサンチオブロックビニール共重合体(C2)から選ばれる1種または2種以上の樹脂成分)が10〜99重量%、好ましくは20〜70重量%の量に対して、該ポリシロキサン(D)は1〜90重量%、好ましくは30〜80重量%の量(但し、上記樹脂成分(C)+ポリシロキサン(D)=100重量%)で配合され、得られた防汚塗料組成物を室温硬化、加熱硬化またはエネルギー線照射等によって硬化させた塗膜は、塗膜強度が高いため水中構築構造物の防汚用として使用可能であり、補修時の塗膜の除去の簡便性と、防汚塗膜表面への重ね塗り時の密着性とに優れる。
【0155】
またアルコキシ基含有シリコーン樹脂がこのような範囲で含まれている防汚塗料組成物からなる塗膜は、このように防汚性に優れ、しかも造膜性に優れ、耐久性、特に水中での耐久性に優れるため好ましい。
<その他の成分>
本発明に用いられる防汚塗料組成物に配合可能なその他の成分としては、これらの成分以外に上記プライマー防汚塗料組成物に添加される、溶出助剤、塩素化パラフィン等の可塑剤、脱水剤(安定剤)、顔料、タレ止め・沈降防止剤、充填剤、撥水剤、溶剤など、通常防汚塗料に配合されるような各種成分などが挙げられ、さらにグラフト共重合体以外の塗膜形成成分が挙げられる。また、架橋のための硬化剤や硬化触媒を塗料の使用時あるいは塗料調製時に配合することが可能である。以下、グラフト共重合体以外の塗膜形成成分、硬化剤・硬化触媒について説明する。
【0156】
グラフト共重合体 ( ) 以外の塗膜形成成分
上記塗膜形成成分としては、上記グラフト共重合体(C)以外の樹脂が造膜性向上、耐水性向上等の点から、本発明の目的に反しない範囲で含まれていてもよく、このような「その他の塗膜形成成分」としては、例えば、フェノール樹脂、アクリル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、ポリブテン樹脂、シリコーンゴム、ウレタン樹脂(ゴム)、ポリアミド樹脂、塩化ビニル系共重合樹脂、塩化ゴム(樹脂)、塩素化オレフィン樹脂、スチレン・ブタジエン共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル樹脂、アルキッド樹脂、クマロン樹脂、トリアルキルシリルアクリレート(共)重合体(シリル系樹脂)、石油樹脂等の難あるいは非水溶性樹脂(以下、難/非水溶性樹脂ともいう)が挙げられる。
【0157】
硬化剤・硬化触媒
本発明では、架橋型重合性不飽和単量体から誘導される成分単位(ウ)中の架橋型官能基を架橋させて、上記オルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体(C2)あるいは該共重合体を含む塗料組成物を塗布してなる塗膜を硬化させ、あるいは、自己架橋を含む架橋反応を促進させて上記オルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体(C2)あるいは該共重合体を含む塗料組成物を塗布してなる塗膜を硬化させるために、公知の硬化剤、硬化触媒を適宜使用することができる。
【0158】
具体的には、例えば上記(ウ)中にヒドロキシル基を含有する場合には、市販のイソシアネート系硬化剤やメラミン系硬化剤を使用することができ、また
上記(ウ)中にアルコキシシリル基やアリーロキシシリル基やシラノール基を含む場合には、アルキルシリケート類を硬化剤として使用することもでき、更に自己架橋を促進し、また硬化剤を用いた架橋反応を促進するために錫、アルミ、チタン系等の硬化触媒を用いることができ、また
上記(ウ)中にエポキシ基を含む場合には、市販の種種のアミン類、チオール類、カチオン系開始剤、エポキシ硬化剤を用いることができ、また
上記(ウ)中にイソシアネート基を含む場合には、アクリルポリオール等のポリオール成分やポリアミノ化合物を硬化剤として使用することもでき、更に湿気硬化などの自己架橋を促進し、また硬化剤を用いた架橋反応を促進するために錫、アルミ、チタン系等の硬化触媒を用いることができ、また
上記(ウ)中にカルボキシル基を含む場合には、ポリグリシジル系化合物や多価金属及びその塩等を硬化剤として用いることができ、また
上記(ウ)中に(メタ)アクリロキシ基やビニル基を含む場合には、ラジカル発生剤を硬化触媒として使用したり、ポリアミン、ポリメルカプト化合物を硬化剤として使用することができる。
[プライマー防汚塗膜または複合防汚塗膜で被覆された水中構築構造物塗装体]
本発明に係る水中構築構造物塗装体は、
水中構築構造物表面に上記プライマー防汚塗料組成物から形成されるプライマー防汚塗膜(層)が形成されてなるもの、または、
水中構築構造物表面に複合防汚塗膜(層)[該プライマー防汚塗膜(層)を形成し、さらにその表面に上記防汚塗料組成物から形成される防汚塗膜(層)が形成されてなる。]が形成されてなるものである。
【0159】
上記プライマー防汚塗膜で被覆された水中構築構造物塗装体である場合、プライマー防汚塗膜(層)の乾燥膜厚は特に限定されるものではないが、50〜800μm、好ましくは100〜400μmであることが望ましい。また、複合防汚塗膜(層)の膜厚構成は、プライマー防汚塗膜(層)の膜厚が、5〜200μm、好ましくは20〜100μmで、防汚塗膜(層)の膜厚が、40〜800μm、好ましくは70〜500μmであることが望ましい。プライマー防汚塗膜(層)または複合防汚塗膜(層)の膜厚が上記範囲であり、かつプライマー防汚塗膜と防汚塗膜が上記比率で構成されることにより、水中構築構造物塗装体への一般的な水棲生物の通年の付着防止に有効な防汚塗膜を形成でき、さらに密着性に優れた防汚塗膜を形成でき、しかも防汚性能の持続性に優れたプライマー防汚塗膜(層)または複合防汚塗膜を提供することができる。
【0160】
このようなプライマー防汚塗膜(層)または複合防汚塗膜(層)は、以下のように水中構築構造物に形成される。
プライマー防汚塗膜 ( ) または複合防汚塗膜の形成方法
上記プライマー防汚塗膜(層)の形成方法は、下記の水中構築構造物の表面上に、プライマー防汚塗膜(層)を形成するものであり、また複合防汚塗膜の形成方法は、該プライマー防汚塗膜(層)の表面上に、さらに、防汚塗膜(層)を形成するものである。
【0161】
水中構築構造物表面に上記プライマー防汚塗膜(層)が形成される場合、プライマー防汚塗膜(層)の形成方法は、具体的には、水中構築構造物の表面上に、エアレススプレー、はけまたはローラーなどにより、上記プライマー防汚塗料組成物を塗装し、該組成物が乾燥固化させて、プライマー防汚塗膜(層)を形成することにより行われる。
【0162】
また、水中構築構造物表面に複合防汚塗膜(層)が形成される場合、複合防汚塗膜(層)の形成方法は、具体的には、上記のようにプライマー防汚塗料組成物を塗装し、該組成物が乾燥固化した後(プライマー防汚塗膜が形成した後)、さらに、その表面上に、上述と同様の方法で防汚塗膜を形成することにより行われる。
水中構築構造物
上記のようなプライマー防汚塗膜(層)または複合防汚塗膜(層)で被覆される水中構築構造物としては、水棲生物が付着し生長すると種々の被害が発生する水中構築構造物が挙げられ、具体的には、火力発電所、原子力発電所またはその他の臨海プラントにおける海水を取水や放水を行う施設、海底パイプライン、海底油田掘削リグ、航路浮標、船舶係留用ブイなどであり、火力発電所、原子力発電所またはその他の臨海プラントにおける海水を取水や放水を行う施設において好ましく用いられる。
【0163】
[水中構築構造物の防汚方法]
本発明に係る水中構築構造物の防汚方法は、上記水中構築構造物を上記プライマー防汚塗膜(層)複合または防汚塗膜(層)で被覆することによるものである。該防汚方法によれば、水棲生物の付着による水中構築構造物の腐食等を効果的に防止することができるという効果が得られる。
【0164】
また、上記複合防汚塗膜で被覆された水中構築構造物塗装体は、複合防汚塗膜が剥離し難いので、複合防汚塗膜の修復作業等を軽減することが可能となる。
【0165】
【発明の効果】
本発明によれば、塗膜強度に優れ、水中構築構造物塗装体への一般的な水棲生物の通年の付着防止に有効であり、さらに基材と下塗り塗膜との密着性、または下塗り塗膜と上塗り塗膜との密着性に優れ、かつ防汚性能の持続性に優れたプライマー防汚塗膜または複合防汚塗膜で被覆された水中構築構造物塗装体、および水中構築構造物の防汚方法を提供することができる。
【0166】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
プライマー塗料組成物の製造方法
表1に示すA−1からA−17の配合成分の内、主剤成分(表2に示すNo.1〜17までの材料)を、所定の分散用タンクに仕込み、ガラスビーズをメディアとしたペイントシェーカー(製品名;ペイントシェーカーPC、浅田鉄工社製)で2時間振盪した後、100メッシュのフィルターでろ過して所望のプライマー塗料組成物の主剤を得た。
【0167】
硬化剤成分を必要とするA−3、A−4、A−8からA−16のプライマー塗料組成物の配合は、硬化剤成分(表1に示すNo.18〜23までの材料)を、所定の容器に仕込み、ハイスピードディスパー(製品名;TKホモディスパー、特殊機化工業(株)製)で上層と下層が対流する回転数で15分程度、攪拌・混合後、100メッシュのフィルターでろ過して所望のプライマー塗料組成物を得た。
【0168】
プライマー塗料組成物の塗装方法
(1)プライマー塗装前の試験片前処理(基材作成方法)
市販のサンドブラストした100mm×300mm×3.2mmの冷間圧延鋼板に、JIS K5552ジンクリッチプライマー2種に規定される品質の、エピコンジンクリッチプライマーB−2(中国塗料(株)製造、商品名)を乾燥膜厚が15μmになるようエアースプレーで塗装し、1週間以上室内で乾燥させる。
【0169】
次にエポキシ樹脂系防食塗料エコマックス HBを、乾燥膜厚が200μmになるように、上記と同様にしてエアースプレーで塗装し、1週間以上室内で乾燥させる。
なお、基材は一般的に広く用いられるエポキシ樹脂系塗膜を用いたが、エポキシ樹脂系塗膜に限定されるものではなく、タールエポキシ系、ウレタン系、ビニルエステル系などでも良い。
【0170】
また、3年を超えるような長期の防食効果を望まない場合は、鋼板に直接プライマー組成物を塗布しても良い。
(2)プライマー塗料組成物の塗装方法
硬化剤を必要とするプライマー塗料組成物A−3、A−4、A−8からA−16においては、塗装直前に主剤成分に、硬化剤成分を表2に示す割合で配合・混合して用いた。また、硬化剤を使用しない組成A−1、A−2、A−5からA−7、A−17は主剤のみで用いた。
【0171】
各プライマー塗料組成物は、上記前処理を行った試験片を水平に置き、乾燥膜厚が150μmになるように、上記と同様にしてエアースプレーで塗装し、3日間室内で乾燥させる。
防汚塗料組成物の製造方法
表3に示すB−1からB−9の配合成分のうちジブチル錫ジラウレートを除く材料を、所定の容器に仕込み、上記ハイスピードディスパーで上層と下層が対流する回転数で5分程度、攪拌・混合後、100メッシュのフィルターでろ過して所望の防汚塗料組成物を得た。
【0172】
防汚塗料組成物の塗装方法
防汚塗料組成物B−2からB−6は、前記混合液をそのまま用い、防汚塗料組成物B−1、B−7からB−9は、塗装直前にジブチル錫ジラウレートを除く材料を前記のように攪拌混合した液に、表3の組成になるようジブチル錫ジラウレートを計量・配合・混合し用いた。なお、表3に記載の共重合体イ、ロ(オルガノポリシロキサンチオブロックビニル共重合体)の製造方法、および物性を表4に示した。
【0173】
各防汚塗料組成物は、各プライマー組成物を塗装した試験片を水平に置き、乾燥膜厚が150μmになるように、上記と同様にしてエアースプレーで塗装し、1週間室内で乾燥させ試験片とした。
【0174】
【実施例1〜33、比較例1〜12】
上記プライマー組成物A−1からA−17と、上記防汚塗料組成物B−1からB−9とを、表5に示す組み合わせで上記塗装方法に従って塗り重ね、試験片を作成し、以下の評価方法に従い評価した。評価結果を表6に示す。
評価方法
試験片を、広島湾宮島沖に設置された筏より水深1mの位置に浸漬し、浸漬開始より20ヶ月後のフジツボ類、カンザシゴカイ類、コケムシ類などの大型海凄生物の付着防止効果の評価と、塗膜の剥離防止について評価した。
【0175】
<海中生物の付着面積評価基準>
海凄生物の付着防止効果の評価基準は、海生生物の付着状況を観察し、下記の評価基準に従い評価した。
5点・・・・海中生物の付着面積が0%。
4点・・・・海中生物の付着面積が0%を超え5%以下。
3点・・・・海中生物の付着面積が5%を超え10%以下。
2点・・・・海中生物の付着面積が10%を超え25%以下。
1点・・・・海中生物の付着面積が25%を超え50%以下。
0点・・・・海中生物の付着面積が50%を超える。
【0176】
<塗膜の剥離防止の評価基準>
塗膜の剥離防止の評価基準は、防汚塗膜の剥離状況を観察し、下記の評価基準に従い評価した。
なお、海凄生物が多く付着し、塗膜の剥離が観察できない試験片については付着した海凄生物を手とナイフで静かに取り除き、剥離状況を観察・評価した。
5点・・・・剥離面積が0%。
4点・・・・剥離面積が0%を超え5%以下。
3点・・・・剥離面積が5%を超え10%以下。
2点・・・・剥離面積が10%を超え25%以下。
1点・・・・剥離面積が25%を超え50%以下。
0点・・・・剥離面積が50%を超える。
【0177】
【表5】
Figure 2004202385
【0178】
【表6】
Figure 2004202385
【0179】
【表7】
Figure 2004202385
【0180】
【表8】
Figure 2004202385
【0181】
【表9】
Figure 2004202385
【0182】
表6に結果を示したように、防汚塗膜が剥離した個所には海生生物が付着するので、ある程度の防汚効果がある防汚塗料組成物を塗布した場合、海生生物の付着防止効果と剥離防止効果の評価は一致する。

Claims (12)

  1. プライマー防汚塗膜で被覆された水中構築構造物塗装体であって、
    上記プライマー防汚塗膜が、
    (A)樹脂成分と(B)反応性官能基含有シランカップリング剤とを含有するプライマー防汚塗料組成物から形成され、
    さらに、上記樹脂成分(A)が、
    (A1)ビニール系重合体からなる幹ポリマーと、該幹ポリマーにグラフトされた枝ポリマーとからなるグラフト共重合体であって、
    上記枝ポリマーとして、
    (a1-1)オルガノポリシロキサン、または、
    (a1-2)オルガノポリシロキサンおよびポリオキシアルキレン、
    を含むグラフト共重合体
    を含有するプライマー防汚塗料組成物から形成されていることを特徴とするプライマー防汚塗膜で被覆された水中構築構造物塗装体。
  2. 前記反応性官能基含有シランカップリング剤(B)が、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基またはグリシジル基から選ばれる1種または2種以上の反応性官能基を含有するシランカップリング剤であることを特徴とする請求項1に記載のプライマー防汚塗膜で被覆された水中構築構造物塗装体。
  3. 前記プライマー防汚塗料組成物が、さらに塩化ビニル共重合体を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のプライマー防汚塗膜で被覆された水中構築構造物塗装体。
  4. 前記プライマー防汚塗料組成物が、さらにエポキシ樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプライマー防汚塗膜で被覆された水中構築構造物塗装体。
  5. 複合防汚塗膜で被覆された水中構築構造物塗装体であって、
    上記複合防汚塗膜が、プライマー防汚塗膜の表面上に、防汚塗膜が形成された複合防汚塗膜であり、
    さらに、上記防汚塗膜が、
    (C)樹脂成分として、下記グラフト共重合体(C1)および/またはオルガノポリシロキサンチオブロックビニール共重合体(C2)を含有する防汚塗料組成物から形成されていることを特徴とする複合防汚塗膜で被覆された水中構築構造物塗装体:
    (C1)ビニール系重合体からなる幹ポリマーと、該幹ポリマーにグラフト された枝ポリマーとからなるグラフト共重合体であって、
    上記枝ポリマーとして、
    (c1-1)オルガノポリシロキサン、または、
    (c1-2)オルガノポリシロキサンおよびポリオキシアルキレン、
    を含むグラフト共重合体。
    (C2)(c2-1)ポリオキシアルキレン基含有ビニル共重合体ブロックと、
    (c2-2)オルガノポリシロキサンチオブロックとから形成されるオルガノポリシロキサンチオブロックビニール共重合体。
  6. 請求項5に記載の樹脂成分(C)中の、グラフト共重合体(C1)および/またはオルガノポリシロキサンチオブロックビニール共重合体(C2)が、
    ヒドロキシ基、カルボキシル基、イソシアネート基、エポキシ基、グリシジル基またはアルコキシシリル基から選ばれる1種または2種以上の反応性官能基を有する架橋型モノマー単位を含むことを特徴とする請求項5に記載の複合防汚塗膜で被覆された水中構築構造物塗装体。
  7. 前記防汚塗膜を形成する防汚塗料組成物が、さらにポリシロキサン(D)を含有し、該ポリシロキサン(D)が、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、エポキシ基またはグリシジル基から選ばれた1種または2種以上の反応性官能基を有することを特徴とする請求項5または6に記載の複合防汚塗膜で被覆された水中構築構造物塗装体。
  8. 前記ポリシロキサン(D)が、
    平均組成式:RXSiZy(4-x-y)/2・・・[1]
    {式[1]中、Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、またはアラルキル基を示す。Zは、炭素数1〜10のアルキル基、または、R1−OR2[R1は、炭素数1〜10の2価脂肪族炭化水素基を示し、該2価脂肪族炭化水素基は、隣接するSi原子および/またはOR2に直接結合していてもよく、エーテル基、エステル基、または−NH−を介してSi原子および/またはOR2に結合していてもよく、また該2価脂肪族炭化水素基中の炭素−炭素結合間にエーテル基、エステル基、または−NH−が介在していてもよく、R2は、炭素数1〜6の低級アルキル基を示す。]、
    1−R3[R1は、上記と同様であり、R3は、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、エポキシ基またはグリシジル基を示す。]を示す。
    xおよびyは、それぞれ0.01≦x<4.0、0.01≦y<4.0でかつ0.02≦x+y<4である。}で表され、
    数平均分子量が250〜30000の範囲にあり、
    かつ、その分子末端に少なくとも1つのアルコキシ基を有する
    ポリシロキサンであることを特徴とする請求項7に記載の複合防汚塗膜で被覆された水中構築構造物塗装体。
  9. 前記防汚塗膜が、
    前記樹脂成分(C)を10〜99重量%、および、前記ポリシロキサン(D)を1〜90重量%(ただし、樹脂成分(C)+ポリシロキサン(D)=100重量%)
    の量で含有する防汚塗料組成物から形成されていることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の複合防汚塗膜で被覆された水中構築構造物塗装体。
  10. 水中構築構造物の表面上に、請求項1〜4のいずれかに記載のプライマー防汚塗料組成物から形成されるプライマー防汚塗膜が形成され、さらに、その表面上に、請求項5〜9のいずれかに記載の防汚塗料組成物から形成される防汚塗膜が形成されていることを特徴とする複合防汚塗膜で被覆された水中構築構造物塗装体。
  11. 水中構築構造物の表面上に、予め防食塗膜が形成されていることを特徴とする請求項10に記載の複合防汚塗膜で被覆された水中構築構造物塗装体。
  12. 水中構築構造物の表面に、請求項1〜11のいずれかに記載の防汚塗膜を形成することを特徴とする水中構築構造物の防汚方法。
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