JP2004198673A - 感光性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】アルカリ水溶液を用いた現像で可能であり、また、低温での加工で十分な耐熱性及び柔軟性を発現する、感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(イ)アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するフェノールノボラック、(ロ)一分子中に少なくともアクリロイル基又はメタクリロイル基と、カルボキシル基を有するアクリル共重合樹脂、(ハ)一分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、(ニ)光官能基を有する多官能モノマー及び/又は光官能基と熱官能基を有する多官能モノマーからなる希釈剤、および、(ホ)光重合開始剤を必須成分として含有する感光性樹脂組成物。
【解決手段】(イ)アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するフェノールノボラック、(ロ)一分子中に少なくともアクリロイル基又はメタクリロイル基と、カルボキシル基を有するアクリル共重合樹脂、(ハ)一分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、(ニ)光官能基を有する多官能モノマー及び/又は光官能基と熱官能基を有する多官能モノマーからなる希釈剤、および、(ホ)光重合開始剤を必須成分として含有する感光性樹脂組成物。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低温加工可能で、高い耐熱性を実現し、柔軟性や基材との接着性をも兼ね備えた感光性樹脂組成物であり、具体的には、半導体パッケージやプリント配線板等の製造に応用が可能で、特に多層フレキシブルプリント配線板の絶縁樹脂シートに好適である感光性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の携帯化などによる軽薄短小化や高機能化が急速度で進展している。これに伴い、これら機器内の回路で使用される半導体集積回路にも、小型化、高集積化が進行している。そのため、従来のパッケージに比べて配線ピン数が増大するのに、実装面積やパッケージ面積は逆に小さくなるといったジレンマがあるため、従来のパッケージ方式とは異なる、BGA(Ball Grid Array),さらにはCSP(Chip Scale Package)とよばれる、新しい形の実装密度の高いパッケージ方式が提案されている。これらの半導体パッケージ方式では、従来型半導体パッケージのリードフレームの代わりに、サブストレートあるいはインターポーザーと呼ばれる、プラスチックやセラミックス等各種材料を使って構成される半導体チップ搭載用プリント配線板を使用して、半導体チップの電極とプリント配線板の電気的接続を行っている。この半導体チップ搭載用プリント配線板上に構成される回路は、小型化・高密度化した半導体内に導入されるものであり、一般的なプリント配線板に比べて非常に細線化・高密度化が求められる。その手法の一つとして、多層プリント基板の開発・実用化が進められている。
【0003】
この多層プリント基板では各層間の配線をビアホールで接続する方法が採られている。ビアホールの形成方法には、レーザーによる方法と感光性樹脂を用い露光・現像による方法の2つが主として行われる。
【0004】
このうち、感光性樹脂を用いたビアホール形成方法は、例えば特許文献1のように、露光・現像により、一括して穴あけが可能なことや既存設備を流用できることから、レーザーによるビア形成方法に比べ低コスト化が期待できる。
【0005】
現像方法としては、例えば特許文献2もしくは特許文献3のような溶剤現像、もしくは特許文献4のようなアルカリ現像の方法が取られているが、前者は有機溶剤を使用するため、作業環境を悪化させるため、後者のアルカリ現像の方法が好まれる。
【0006】
ところが、感光性樹脂が多層プリント配線板に使用される場合、半導体チップ実装工程に耐えうる高い耐熱性や、逆に半導体チップ搭載用プリント配線板等他の材料にダメージを与えない低温加工性など一般的なプリント配線板表面に使用される場合に比べて、要求される特性は高度のものとなる。さらに多層のフレキシブルプリント配線板の層間の絶縁層に適用される場合、柔軟性も要求される。
【0007】
現在、主として配線保護用の種々の感光性樹脂(感光性レジスト)が市販されているが、このようなフレキシブル多層配線板用途に使用できるだけの上記特性、即ち耐熱性、低温加工性、柔軟性を十分満たすものがあるとは言えない。例えば特許文献5のように、柔軟性を得るためにゴム成分を添加する方法があるが、耐熱性が低下してしまい、耐熱性、柔軟性を両立させるには至っていない。
【0008】
【特許文献1】
特開平9−219590号公報
【特許文献2】
特開平2−69754号公報
【特許文献3】
特開昭60−20862号公報
【特許文献4】
特開平11−1602号公報
【特許文献5】
特開平11−186718号公報
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
感光性樹脂の前記問題点に鑑み、本発明は、低温での加工が可能で十分な耐熱性及び柔軟性を発現し、さらにアルカリ現像が可能な多層フレキシブルプリント配線板に好適に用いられる感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
(1)(イ)アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するフェノールノボラック、(ロ)一分子中に少なくともアクリロイル基又はメタクリロイル基と、カルボキシル基を有するアクリル共重合樹脂、(ハ)一分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、(ニ)光官能基を有する多官能モノマー及び/又は光官能基と熱官能基を有する多官能モノマーからなる希釈剤、および、(ホ)光重合開始剤を必須成分として含有することを特徴とする感光性樹脂組成物、
(2)(イ)アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するフェノールノボラックが、分子中に1個又は2個のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物とホルムアルデヒドとを、酸性触媒下で縮合して得られる多官能フェノール化合物のフェノール性水酸基をアクリロイル基又はメタクリロイル基で置換してなる(1)記載の感光性樹脂組成物、
(3)前記多官能フェノール化合物とグリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートと反応させて、前記多官能フェノール化合物のフェノール性水酸基の30〜70%をアクリロイル基又はメタクリロイル基で置換してなる(2)記載の感光性樹脂組成物、
(4)(イ)少なくとも1個のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有するフェノールノボラックが、アルキルフェノールノボラックのフェノール性水酸基をアクリロイル基又はメタクリロイル基で置換してなる(1)記載の感光性樹脂組成物、
(5)(ホ)希釈剤が1分子中に2個以上のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する光多官能モノマーからなる(1)〜(4)いずれか記載の感光性樹脂組成物、
である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。本発明の最大の特徴は、感光性樹脂組成物中に、(ロ)一分子中に少なくともアクリロイル基又はメタクリロイル基と、カルボキシル基を有するアクリル共重合樹脂を希釈剤として添加することで、アルカリ現像液への可溶性が乏しい感光性樹脂組成物にアルカリ現像液への可溶性を付与させることが可能であることである。
【0012】
感光性樹脂組成物に柔軟性をもたせるには、(ハ)エポキシ樹脂として柔軟性な骨格を有するものを適用することが有効な手段であるが、エポキシ当量の高いエポキシ樹脂を使用する傾向にあり、フェノール当量との当量比をあわせるため、エポキシ成分が大量に存在することとなり、アルカリ現像液への可溶性が低下してしまう。
【0013】
このような柔軟性をもった硬化物であってもアルカリ現像液への可溶性がない樹脂系へ、(ロ)一分子中に少なくともアクリロイル基又はメタクリロイル基と、カルボキシル基を有するアクリル共重合樹脂を適用することで、アルカリ現像液に可溶であり、かつフレキシブルプリント配線板に必要な柔軟性をもった感光性樹脂組成物を得ることが可能となる。
【0014】
(イ)本発明に用いる1個のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有するフェノールノボラックは、分子中に1個又は2個のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物とホルムアルデヒドとを、酸性触媒下で縮合して得られる多官能フェノール化合物のフェノール性水酸基をアクリロイル基又はメタクリロイル基で置換したものを用いるのが好ましく、多官能フェノール化合物とグリシジル基を有するアクリレート又はメタクリレートとを反応させて得られる。
【0015】
光重合しアルカリ現像性に優れた、パターン精度の良い感光性樹脂組成物を得るためには、フェノールノボラックをグリシジル基を有するアクリレート又はメタクリレートを反応させフェノール性水酸基の30〜70%をアクリロイル基又はメタクリロイル基で置換してなることが適当である。30%未満では光重合が不十分になり、現像時の耐現像性が劣る。また、70%を超えるとアルカリ可溶性を示すフェノール性水酸基が不足し、アルカリ現像性が劣る。
【0016】
分子中に2個のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型またはビスフェノールS型等が挙げられる。また、アルキルフェノールノボラックからのノボラックも使用することができるが、その場合のアルキル基は、炭素数が1〜4程度が好ましく、例えばメチル基、エチル基,n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、さらにはアリル基等であり、炭素数がそれ以上の場合は、親油性が増し、アルカリ現像性のために好ましくない。
【0017】
グリシジル基を有するアクリレート又はメタクリレートは、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートが反応性、入手の容易さ等により好ましいものである。
【0018】
本発明に用いる(ロ)一分子中に少なくともアクリロイル基又はメタクリロイル基と、カルボキシル基を有するアクリル共重合樹脂としては、脂環構造の側鎖にアクリロイル基又はメタクリロイル基と、カルボキシル基を有するもの、クレゾールノボラック構造の側鎖にアクリロイル基又はメタクリロイル基と、カルボキシル基を有するもの、Bis−A型グリシジルエーテル構造の側鎖にアクリロイル基又はメタクリロイル基と、カルボキシル基を有するものが挙げられるが、アルカリ現像性および柔軟性において、脂環構造の側鎖にアクリロイル基又はメタクリロイル基と、カルボキシル基を有するものが好ましい。
【0019】
本発明において、(ロ)一分子中に少なくともアクリロイル基又はメタクリロイル基と、カルボキシル基を有するアクリル共重合樹脂の使用量としては、本発明の樹脂組成物中、0.1〜50重量%の範囲で用いられる。
【0020】
硬化物特性の制御のため、本発明の特長である耐熱性・柔軟性・光加工性を損なわない範囲でエポキシ基を有する成分として、一分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を併用する。用いられるエポキシ樹脂としてビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールF型のジグリシジルエーテル、ビスフェノールA−エピクロルヒドリン型エポキシ化合物、ジフェニルエーテル型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールネボラック型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物等が挙げられる。
【0021】
本発明に用いる(ニ)希釈剤としては、光官能基及び熱官能基を有する多官能モノマーである光重合及び熱反応性モノマーからなり、1分子中に少なくとも1個の水酸基を有するアクリレート又はメタクリレート化合物が挙げられる。例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ブタンジオールモノアクリレートグリセロールメタクリレート、フェノキシヒドロキシプロピルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、又はグリセロールジメタクリレート等である。
【0022】
また、光官能基を有する光多官能モノマーである光重合モノマーからなる希釈剤も用いられるが、1分子中に2個以上のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する光多官能モノマーが好ましい。例えば、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、グリコールメタクリレートアクリレート、グリセロールエポキシトリアクリレート、トリメチロプロパントリアクリレート、ペンタエリストールテトラアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロプロパントリメタクリレート等である。
【0023】
また、光官能基及び熱官能基を有する多官能モノマーと光官能基を有する光多官能モノマーとを併用することもできる。
【0024】
本発明において、(ニ)希釈剤の使用量としては、本発明の樹脂組成物中、0.1〜50重量%の範囲で用いられる。
【0025】
本発明に用いる(ホ)光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどのベンゾインアルキルエーテル類、4―フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノンなどのアセトフェノン類、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソンなどのチオキサンソン類、エチルアントラキノン、ブチルアントラキノンなどのアルキルアントラキノン類などを挙げることができる。これらは単独、あるいは2種以上の混合物として用いられる。この光重合開始剤の添加量は、本発明の樹脂組成物中、0.1〜10重量%の範囲で用いられる。
【0026】
その他、本発明の樹脂組成物には必要に応じて、保存安定性のために紫外線防止剤、熱重合防止剤、可塑剤、硬化促進剤などが添加できる。また、粘度調整のためにアクリレートモノマー、メタクリレートモノマー、ビニルモノマーなどを添加してもよい。
【0027】
これらの成分からなる本発明の樹脂組成物は、高解像度でアルカリ水溶液による現像性に優れる。特に、アルカリ水溶液に対する溶解性については、(イ)アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するフェノールノボラックの、フェノール性水酸基と、(ロ)一分子中に少なくともアクリロイル基又はメタクリロイル基と、カルボキシル基を有するアクリル共重合樹脂のカルボキシル基によるものである。そして前述のように、これらの官能基が残存する光硬化物は、耐アルカリ性、耐薬品性、電気特性等の悪いレジストとなるが、本発明の感光性樹脂組成物は、光硬化と、現像後の熱硬化反応が主体の樹脂組成物であり、後熱処理により、(ハ)エポキシ樹脂の有するグリシジル基が、(ロ)一分子中に少なくともアクリロイル基又はメタクリロイル基と、カルボキシル基を有するアクリル共重合樹脂の有するカルボキシル基、および(イ)フェノールノボラックの有するフェノール性水酸基と熱硬化反応し、要求諸特性に優れた主骨格を形成するものである。従って、耐熱性等に優れた感光性樹脂組成物の硬化物となる。
【0028】
本発明の感光性樹脂組成物を絶縁接着剤シートとして用いるには、感光性樹脂組成物のワニスを、金属箔、芳香族ポリイミド、ポリエチレン、ポリエステル等の基材フィルム上に、厚みを、例えば1〜100μmで塗布し、その塗布層を80℃〜200℃の温度で20秒〜30分間乾燥することで、溶媒が0.5重量%以下にまで除去して、未硬化状態あるいは半硬化の絶縁接着剤の薄膜を形成し、前述のようにして製造された未硬化あるいは半硬化の絶縁性接着剤の薄膜を、プリント配線板の回路が形成された面に真空ラミネータ、真空プレスなどを用いてラミネートする。ラミネートは、60℃〜200℃、特に70℃〜150℃の温度で行うことができる。この配線板に所定のパターンを載置して、高圧水銀灯露光装置を用い照射量100〜400mJ/cm2で露光し、次いで、アルカリ水溶液で現像してビアホールを形成する。水洗乾燥後、全面に1J/cm2の後露光をして、180℃、60分間熱処理することで強度、柔軟性が得られる。
【0029】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。
【0030】
(実施例1)
ビスフェノ−ルAノボラック(大日本インキ化学工業(株)製、フェノライトLF−4871)の不揮発分約70%メチルエチルケトン溶液685g(OH約4当量)を、2lのフラスコ中に投入し、これにハイドロキノン0.2gとグリシジルメタクリレート284g(2モル)加え、110℃に加温した。その中へ、トリブチルアミン1gを添加した後、110℃で5時間攪拌反応させることにより、不揮発分約80%メタクリロイル基含有フェノールノボラック(メタクリロイル基変性率50%)Aを得た。このメタクリロイル基含有フェノールノボラックA40gに、アクリロイル基とカルボキシル基を有するアクリル共重合樹脂(ダイセルUCB(株)製、サイクロマーP(ACA−200M)、樹脂含有量48%)12.6g、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(東都化成(株)製、YDF−2004(エポキシ当量950))45g、光開始剤として ベンジルジメチルケタール(チバ・ガイギー社製、イルガキュア651)1.5gと熱硬化促進剤として イミダゾール(四国化成工業(株)製、2E4MZ−CN) 0.2g、溶剤としてMEK50gを添加して、樹脂ワニスとした。
この樹脂ワニスを38μm厚のポリエステルフィルム(PET)(王子製紙(株)社製、商品名:RL−07)上に、ロールコーターで、厚みが25μmになるように塗布し、80℃で8分乾燥を行い、離型フィルムのついた感光性絶縁接着剤シートを得た。
この感光性絶縁接着剤シートに所定の円型パターン(φ50um)を載置して、高圧水銀灯露光装置を用い照射量100mJ/cm2で露光した。次いで、水酸化ナトリウム水溶液により2Kg/m2のスプレー圧で現像した。この際現像残りもなく未露光部のパターンが現像液に溶解除去され、円型パターンに相応するビアホールが形成された。
水洗乾燥後、全面に1J/cm2の後露光をして、180℃、60分間熱処理により硬化を行ったものを、300℃の熱盤上に60秒間置いたが、樹脂層に変化は見られなかった。また、硬化物の可とう性(180度折り曲げ試験)も56回で、柔軟性に優れた特性を持つ感光性絶縁接着シートであった。この硬化後の感光性絶縁接着シートを、熱重量測定装置中において、室温より1分間に10度の速度で昇温し、300度での熱重量減少率を測定したところ1.0%であった。
【0031】
(実施例2)
実施例1で得られたメタクリロイル基含有フェノールノボラックA40g、アクリロイル基とカルボキシル基を有するアクリル共重合樹脂(ダイセルUCB(株)製、サイクロマーP(ACA−200M)、樹脂含有量48%)12.5g、エポキシ樹脂(東都化成(株)製、ST−4000D(エポキシ当量700))33gを混合し、光開始剤としてベンジルジメチルケタール(チバ・ガイギー社製、イルガキュア651)3gと熱硬化促進剤としてイミダゾール(四国化成工業(株)製、2E4MZ−CN)0.2g、溶剤としてMEK50gを添加して、樹脂ワニスとした。
この樹脂ワニスを、実施例1と同様の方法で加工することにより、離型フィルムのついた感光性絶縁接着剤シートを作製した。
この感光性絶縁接着剤シートに所定の円型パターン(φ50um)を載置して、高圧水銀灯露光装置を用い照射量100mJ/cm2で露光した。次いで、水酸化ナトリウム水溶液により2Kg/m2のスプレー圧で現像した。この際現像残りもなく未露光部のパターンが現像液に溶解除去され、円型パターンに相応するビアホールが形成された。
水洗乾燥後、全面に1J/cm2の後露光をして、180℃、60分間熱処理により硬化を行ったものを、300℃の熱盤上に60秒間置いたが、樹脂層に変化は見られなかった。また、硬化物の可とう性(180度折り曲げ試験)も64回で、柔軟性に優れた特性を持つ感光性絶縁接着シートであった。この硬化後の感光性絶縁接着シートを、熱重量測定装置中において、室温より1分間に10度の速度で昇温し、300度での熱重量減少率を測定したところ0.8%であった。
【0032】
(実施例3)
実施例1で得られたメタクリロイル基含有フェノールノボラックA40g、アクリロイル基とカルボキシル基を有するアクリル共重合樹脂(ダイセルUCB(株)製、サイクロマーP(ACA−250)樹脂含有量50%)5g、エポキシ樹脂(東都化成(株)製、ST−4000D(エポキシ当量700))40gを混合し、光開始剤としてベンジルジメチルケタール(チバ・ガイギー社製、イルガキュア651)3gと熱硬化促進剤としてイミダゾール(四国化成工業(株)製、2E4MZ−CN)0.2g、溶剤としてMEK50gを添加して、樹脂ワニスとした。
この樹脂ワニスを、実施例1と同様の方法で加工することにより、離型フィルムのついた感光性絶縁接着剤シートを作製した。
この感光性絶縁接着剤シートに所定の円型パターン(φ50um)を載置して、高圧水銀灯露光装置を用い照射量100mJ/cm2で露光した。次いで、水酸化ナトリウム水溶液により2Kg/m2のスプレー圧で現像した。この際現像残りもなく未露光部のパターンが現像液に溶解除去され、円型パターンに相応するビアホールが形成された。
水洗乾燥後、全面に1J/cm2の後露光をして、180℃、60分間熱処理により硬化を行ったものを、300℃の熱盤上に60秒間置いたが、樹脂層に変化は見られなかった。また、硬化物の可とう性(180度折り曲げ試験)も52回で、柔軟性に優れた特性を持つ感光性絶縁接着シートであった。この硬化後の感光性絶縁接着シートを、熱重量測定装置中において、室温より1分間に10度の速度で昇温し、300度での熱重量減少率を測定したところ0.8%であった。
【0033】
(比較例1)
実施例1で得られたメタクリロイル基含有フェノールノボラックB48gに水添ビスフェノールA骨格を含むエポキシ樹脂(東都化成(株)製、ST5080(エポキシ当量600))40g、光開始剤として ベンジルジメチルケタール(チバ・ガイギー社製、イルガキュア651)1.5gと熱硬化促進剤として イミダゾール(四国化成工業(株)製、2E4MZ−CN)0.2g、溶剤としてMEK50gを添加して、樹脂ワニスとした。
この樹脂ワニスを、実施例1と同様の方法で加工することにより、離型フィルムのついた感光性絶縁接着剤シートを作製したが、この感光性絶縁接着剤シートに所定の円型パターン(φ50um)を載置して、高圧水銀灯露光装置を用い照射量100mJ/cm2で露光し、次いで、水酸化ナトリウム水溶液により2Kg/m2のスプレー圧で現像を試みたが、露光部、未露光部に関わらず、現像液に溶解せず、ビアホールを形成することは出来なかった。
【0034】
【発明の効果】
本発明の感光性樹脂組成物を用いれば、高解像度で、アルカリ水溶液による現像が容易であり、かつ低温での加工で、はんだ付け工程等の300℃前後までの温度にも耐える耐熱性、さらには柔軟性をも備えた多層フレキシブルプリント配線板用の絶縁樹脂シートを得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、低温加工可能で、高い耐熱性を実現し、柔軟性や基材との接着性をも兼ね備えた感光性樹脂組成物であり、具体的には、半導体パッケージやプリント配線板等の製造に応用が可能で、特に多層フレキシブルプリント配線板の絶縁樹脂シートに好適である感光性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の携帯化などによる軽薄短小化や高機能化が急速度で進展している。これに伴い、これら機器内の回路で使用される半導体集積回路にも、小型化、高集積化が進行している。そのため、従来のパッケージに比べて配線ピン数が増大するのに、実装面積やパッケージ面積は逆に小さくなるといったジレンマがあるため、従来のパッケージ方式とは異なる、BGA(Ball Grid Array),さらにはCSP(Chip Scale Package)とよばれる、新しい形の実装密度の高いパッケージ方式が提案されている。これらの半導体パッケージ方式では、従来型半導体パッケージのリードフレームの代わりに、サブストレートあるいはインターポーザーと呼ばれる、プラスチックやセラミックス等各種材料を使って構成される半導体チップ搭載用プリント配線板を使用して、半導体チップの電極とプリント配線板の電気的接続を行っている。この半導体チップ搭載用プリント配線板上に構成される回路は、小型化・高密度化した半導体内に導入されるものであり、一般的なプリント配線板に比べて非常に細線化・高密度化が求められる。その手法の一つとして、多層プリント基板の開発・実用化が進められている。
【0003】
この多層プリント基板では各層間の配線をビアホールで接続する方法が採られている。ビアホールの形成方法には、レーザーによる方法と感光性樹脂を用い露光・現像による方法の2つが主として行われる。
【0004】
このうち、感光性樹脂を用いたビアホール形成方法は、例えば特許文献1のように、露光・現像により、一括して穴あけが可能なことや既存設備を流用できることから、レーザーによるビア形成方法に比べ低コスト化が期待できる。
【0005】
現像方法としては、例えば特許文献2もしくは特許文献3のような溶剤現像、もしくは特許文献4のようなアルカリ現像の方法が取られているが、前者は有機溶剤を使用するため、作業環境を悪化させるため、後者のアルカリ現像の方法が好まれる。
【0006】
ところが、感光性樹脂が多層プリント配線板に使用される場合、半導体チップ実装工程に耐えうる高い耐熱性や、逆に半導体チップ搭載用プリント配線板等他の材料にダメージを与えない低温加工性など一般的なプリント配線板表面に使用される場合に比べて、要求される特性は高度のものとなる。さらに多層のフレキシブルプリント配線板の層間の絶縁層に適用される場合、柔軟性も要求される。
【0007】
現在、主として配線保護用の種々の感光性樹脂(感光性レジスト)が市販されているが、このようなフレキシブル多層配線板用途に使用できるだけの上記特性、即ち耐熱性、低温加工性、柔軟性を十分満たすものがあるとは言えない。例えば特許文献5のように、柔軟性を得るためにゴム成分を添加する方法があるが、耐熱性が低下してしまい、耐熱性、柔軟性を両立させるには至っていない。
【0008】
【特許文献1】
特開平9−219590号公報
【特許文献2】
特開平2−69754号公報
【特許文献3】
特開昭60−20862号公報
【特許文献4】
特開平11−1602号公報
【特許文献5】
特開平11−186718号公報
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
感光性樹脂の前記問題点に鑑み、本発明は、低温での加工が可能で十分な耐熱性及び柔軟性を発現し、さらにアルカリ現像が可能な多層フレキシブルプリント配線板に好適に用いられる感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
(1)(イ)アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するフェノールノボラック、(ロ)一分子中に少なくともアクリロイル基又はメタクリロイル基と、カルボキシル基を有するアクリル共重合樹脂、(ハ)一分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、(ニ)光官能基を有する多官能モノマー及び/又は光官能基と熱官能基を有する多官能モノマーからなる希釈剤、および、(ホ)光重合開始剤を必須成分として含有することを特徴とする感光性樹脂組成物、
(2)(イ)アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するフェノールノボラックが、分子中に1個又は2個のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物とホルムアルデヒドとを、酸性触媒下で縮合して得られる多官能フェノール化合物のフェノール性水酸基をアクリロイル基又はメタクリロイル基で置換してなる(1)記載の感光性樹脂組成物、
(3)前記多官能フェノール化合物とグリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートと反応させて、前記多官能フェノール化合物のフェノール性水酸基の30〜70%をアクリロイル基又はメタクリロイル基で置換してなる(2)記載の感光性樹脂組成物、
(4)(イ)少なくとも1個のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有するフェノールノボラックが、アルキルフェノールノボラックのフェノール性水酸基をアクリロイル基又はメタクリロイル基で置換してなる(1)記載の感光性樹脂組成物、
(5)(ホ)希釈剤が1分子中に2個以上のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する光多官能モノマーからなる(1)〜(4)いずれか記載の感光性樹脂組成物、
である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。本発明の最大の特徴は、感光性樹脂組成物中に、(ロ)一分子中に少なくともアクリロイル基又はメタクリロイル基と、カルボキシル基を有するアクリル共重合樹脂を希釈剤として添加することで、アルカリ現像液への可溶性が乏しい感光性樹脂組成物にアルカリ現像液への可溶性を付与させることが可能であることである。
【0012】
感光性樹脂組成物に柔軟性をもたせるには、(ハ)エポキシ樹脂として柔軟性な骨格を有するものを適用することが有効な手段であるが、エポキシ当量の高いエポキシ樹脂を使用する傾向にあり、フェノール当量との当量比をあわせるため、エポキシ成分が大量に存在することとなり、アルカリ現像液への可溶性が低下してしまう。
【0013】
このような柔軟性をもった硬化物であってもアルカリ現像液への可溶性がない樹脂系へ、(ロ)一分子中に少なくともアクリロイル基又はメタクリロイル基と、カルボキシル基を有するアクリル共重合樹脂を適用することで、アルカリ現像液に可溶であり、かつフレキシブルプリント配線板に必要な柔軟性をもった感光性樹脂組成物を得ることが可能となる。
【0014】
(イ)本発明に用いる1個のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有するフェノールノボラックは、分子中に1個又は2個のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物とホルムアルデヒドとを、酸性触媒下で縮合して得られる多官能フェノール化合物のフェノール性水酸基をアクリロイル基又はメタクリロイル基で置換したものを用いるのが好ましく、多官能フェノール化合物とグリシジル基を有するアクリレート又はメタクリレートとを反応させて得られる。
【0015】
光重合しアルカリ現像性に優れた、パターン精度の良い感光性樹脂組成物を得るためには、フェノールノボラックをグリシジル基を有するアクリレート又はメタクリレートを反応させフェノール性水酸基の30〜70%をアクリロイル基又はメタクリロイル基で置換してなることが適当である。30%未満では光重合が不十分になり、現像時の耐現像性が劣る。また、70%を超えるとアルカリ可溶性を示すフェノール性水酸基が不足し、アルカリ現像性が劣る。
【0016】
分子中に2個のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型またはビスフェノールS型等が挙げられる。また、アルキルフェノールノボラックからのノボラックも使用することができるが、その場合のアルキル基は、炭素数が1〜4程度が好ましく、例えばメチル基、エチル基,n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、さらにはアリル基等であり、炭素数がそれ以上の場合は、親油性が増し、アルカリ現像性のために好ましくない。
【0017】
グリシジル基を有するアクリレート又はメタクリレートは、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートが反応性、入手の容易さ等により好ましいものである。
【0018】
本発明に用いる(ロ)一分子中に少なくともアクリロイル基又はメタクリロイル基と、カルボキシル基を有するアクリル共重合樹脂としては、脂環構造の側鎖にアクリロイル基又はメタクリロイル基と、カルボキシル基を有するもの、クレゾールノボラック構造の側鎖にアクリロイル基又はメタクリロイル基と、カルボキシル基を有するもの、Bis−A型グリシジルエーテル構造の側鎖にアクリロイル基又はメタクリロイル基と、カルボキシル基を有するものが挙げられるが、アルカリ現像性および柔軟性において、脂環構造の側鎖にアクリロイル基又はメタクリロイル基と、カルボキシル基を有するものが好ましい。
【0019】
本発明において、(ロ)一分子中に少なくともアクリロイル基又はメタクリロイル基と、カルボキシル基を有するアクリル共重合樹脂の使用量としては、本発明の樹脂組成物中、0.1〜50重量%の範囲で用いられる。
【0020】
硬化物特性の制御のため、本発明の特長である耐熱性・柔軟性・光加工性を損なわない範囲でエポキシ基を有する成分として、一分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を併用する。用いられるエポキシ樹脂としてビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールF型のジグリシジルエーテル、ビスフェノールA−エピクロルヒドリン型エポキシ化合物、ジフェニルエーテル型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールネボラック型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物等が挙げられる。
【0021】
本発明に用いる(ニ)希釈剤としては、光官能基及び熱官能基を有する多官能モノマーである光重合及び熱反応性モノマーからなり、1分子中に少なくとも1個の水酸基を有するアクリレート又はメタクリレート化合物が挙げられる。例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ブタンジオールモノアクリレートグリセロールメタクリレート、フェノキシヒドロキシプロピルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、又はグリセロールジメタクリレート等である。
【0022】
また、光官能基を有する光多官能モノマーである光重合モノマーからなる希釈剤も用いられるが、1分子中に2個以上のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する光多官能モノマーが好ましい。例えば、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、グリコールメタクリレートアクリレート、グリセロールエポキシトリアクリレート、トリメチロプロパントリアクリレート、ペンタエリストールテトラアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロプロパントリメタクリレート等である。
【0023】
また、光官能基及び熱官能基を有する多官能モノマーと光官能基を有する光多官能モノマーとを併用することもできる。
【0024】
本発明において、(ニ)希釈剤の使用量としては、本発明の樹脂組成物中、0.1〜50重量%の範囲で用いられる。
【0025】
本発明に用いる(ホ)光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどのベンゾインアルキルエーテル類、4―フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノンなどのアセトフェノン類、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソンなどのチオキサンソン類、エチルアントラキノン、ブチルアントラキノンなどのアルキルアントラキノン類などを挙げることができる。これらは単独、あるいは2種以上の混合物として用いられる。この光重合開始剤の添加量は、本発明の樹脂組成物中、0.1〜10重量%の範囲で用いられる。
【0026】
その他、本発明の樹脂組成物には必要に応じて、保存安定性のために紫外線防止剤、熱重合防止剤、可塑剤、硬化促進剤などが添加できる。また、粘度調整のためにアクリレートモノマー、メタクリレートモノマー、ビニルモノマーなどを添加してもよい。
【0027】
これらの成分からなる本発明の樹脂組成物は、高解像度でアルカリ水溶液による現像性に優れる。特に、アルカリ水溶液に対する溶解性については、(イ)アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するフェノールノボラックの、フェノール性水酸基と、(ロ)一分子中に少なくともアクリロイル基又はメタクリロイル基と、カルボキシル基を有するアクリル共重合樹脂のカルボキシル基によるものである。そして前述のように、これらの官能基が残存する光硬化物は、耐アルカリ性、耐薬品性、電気特性等の悪いレジストとなるが、本発明の感光性樹脂組成物は、光硬化と、現像後の熱硬化反応が主体の樹脂組成物であり、後熱処理により、(ハ)エポキシ樹脂の有するグリシジル基が、(ロ)一分子中に少なくともアクリロイル基又はメタクリロイル基と、カルボキシル基を有するアクリル共重合樹脂の有するカルボキシル基、および(イ)フェノールノボラックの有するフェノール性水酸基と熱硬化反応し、要求諸特性に優れた主骨格を形成するものである。従って、耐熱性等に優れた感光性樹脂組成物の硬化物となる。
【0028】
本発明の感光性樹脂組成物を絶縁接着剤シートとして用いるには、感光性樹脂組成物のワニスを、金属箔、芳香族ポリイミド、ポリエチレン、ポリエステル等の基材フィルム上に、厚みを、例えば1〜100μmで塗布し、その塗布層を80℃〜200℃の温度で20秒〜30分間乾燥することで、溶媒が0.5重量%以下にまで除去して、未硬化状態あるいは半硬化の絶縁接着剤の薄膜を形成し、前述のようにして製造された未硬化あるいは半硬化の絶縁性接着剤の薄膜を、プリント配線板の回路が形成された面に真空ラミネータ、真空プレスなどを用いてラミネートする。ラミネートは、60℃〜200℃、特に70℃〜150℃の温度で行うことができる。この配線板に所定のパターンを載置して、高圧水銀灯露光装置を用い照射量100〜400mJ/cm2で露光し、次いで、アルカリ水溶液で現像してビアホールを形成する。水洗乾燥後、全面に1J/cm2の後露光をして、180℃、60分間熱処理することで強度、柔軟性が得られる。
【0029】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。
【0030】
(実施例1)
ビスフェノ−ルAノボラック(大日本インキ化学工業(株)製、フェノライトLF−4871)の不揮発分約70%メチルエチルケトン溶液685g(OH約4当量)を、2lのフラスコ中に投入し、これにハイドロキノン0.2gとグリシジルメタクリレート284g(2モル)加え、110℃に加温した。その中へ、トリブチルアミン1gを添加した後、110℃で5時間攪拌反応させることにより、不揮発分約80%メタクリロイル基含有フェノールノボラック(メタクリロイル基変性率50%)Aを得た。このメタクリロイル基含有フェノールノボラックA40gに、アクリロイル基とカルボキシル基を有するアクリル共重合樹脂(ダイセルUCB(株)製、サイクロマーP(ACA−200M)、樹脂含有量48%)12.6g、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(東都化成(株)製、YDF−2004(エポキシ当量950))45g、光開始剤として ベンジルジメチルケタール(チバ・ガイギー社製、イルガキュア651)1.5gと熱硬化促進剤として イミダゾール(四国化成工業(株)製、2E4MZ−CN) 0.2g、溶剤としてMEK50gを添加して、樹脂ワニスとした。
この樹脂ワニスを38μm厚のポリエステルフィルム(PET)(王子製紙(株)社製、商品名:RL−07)上に、ロールコーターで、厚みが25μmになるように塗布し、80℃で8分乾燥を行い、離型フィルムのついた感光性絶縁接着剤シートを得た。
この感光性絶縁接着剤シートに所定の円型パターン(φ50um)を載置して、高圧水銀灯露光装置を用い照射量100mJ/cm2で露光した。次いで、水酸化ナトリウム水溶液により2Kg/m2のスプレー圧で現像した。この際現像残りもなく未露光部のパターンが現像液に溶解除去され、円型パターンに相応するビアホールが形成された。
水洗乾燥後、全面に1J/cm2の後露光をして、180℃、60分間熱処理により硬化を行ったものを、300℃の熱盤上に60秒間置いたが、樹脂層に変化は見られなかった。また、硬化物の可とう性(180度折り曲げ試験)も56回で、柔軟性に優れた特性を持つ感光性絶縁接着シートであった。この硬化後の感光性絶縁接着シートを、熱重量測定装置中において、室温より1分間に10度の速度で昇温し、300度での熱重量減少率を測定したところ1.0%であった。
【0031】
(実施例2)
実施例1で得られたメタクリロイル基含有フェノールノボラックA40g、アクリロイル基とカルボキシル基を有するアクリル共重合樹脂(ダイセルUCB(株)製、サイクロマーP(ACA−200M)、樹脂含有量48%)12.5g、エポキシ樹脂(東都化成(株)製、ST−4000D(エポキシ当量700))33gを混合し、光開始剤としてベンジルジメチルケタール(チバ・ガイギー社製、イルガキュア651)3gと熱硬化促進剤としてイミダゾール(四国化成工業(株)製、2E4MZ−CN)0.2g、溶剤としてMEK50gを添加して、樹脂ワニスとした。
この樹脂ワニスを、実施例1と同様の方法で加工することにより、離型フィルムのついた感光性絶縁接着剤シートを作製した。
この感光性絶縁接着剤シートに所定の円型パターン(φ50um)を載置して、高圧水銀灯露光装置を用い照射量100mJ/cm2で露光した。次いで、水酸化ナトリウム水溶液により2Kg/m2のスプレー圧で現像した。この際現像残りもなく未露光部のパターンが現像液に溶解除去され、円型パターンに相応するビアホールが形成された。
水洗乾燥後、全面に1J/cm2の後露光をして、180℃、60分間熱処理により硬化を行ったものを、300℃の熱盤上に60秒間置いたが、樹脂層に変化は見られなかった。また、硬化物の可とう性(180度折り曲げ試験)も64回で、柔軟性に優れた特性を持つ感光性絶縁接着シートであった。この硬化後の感光性絶縁接着シートを、熱重量測定装置中において、室温より1分間に10度の速度で昇温し、300度での熱重量減少率を測定したところ0.8%であった。
【0032】
(実施例3)
実施例1で得られたメタクリロイル基含有フェノールノボラックA40g、アクリロイル基とカルボキシル基を有するアクリル共重合樹脂(ダイセルUCB(株)製、サイクロマーP(ACA−250)樹脂含有量50%)5g、エポキシ樹脂(東都化成(株)製、ST−4000D(エポキシ当量700))40gを混合し、光開始剤としてベンジルジメチルケタール(チバ・ガイギー社製、イルガキュア651)3gと熱硬化促進剤としてイミダゾール(四国化成工業(株)製、2E4MZ−CN)0.2g、溶剤としてMEK50gを添加して、樹脂ワニスとした。
この樹脂ワニスを、実施例1と同様の方法で加工することにより、離型フィルムのついた感光性絶縁接着剤シートを作製した。
この感光性絶縁接着剤シートに所定の円型パターン(φ50um)を載置して、高圧水銀灯露光装置を用い照射量100mJ/cm2で露光した。次いで、水酸化ナトリウム水溶液により2Kg/m2のスプレー圧で現像した。この際現像残りもなく未露光部のパターンが現像液に溶解除去され、円型パターンに相応するビアホールが形成された。
水洗乾燥後、全面に1J/cm2の後露光をして、180℃、60分間熱処理により硬化を行ったものを、300℃の熱盤上に60秒間置いたが、樹脂層に変化は見られなかった。また、硬化物の可とう性(180度折り曲げ試験)も52回で、柔軟性に優れた特性を持つ感光性絶縁接着シートであった。この硬化後の感光性絶縁接着シートを、熱重量測定装置中において、室温より1分間に10度の速度で昇温し、300度での熱重量減少率を測定したところ0.8%であった。
【0033】
(比較例1)
実施例1で得られたメタクリロイル基含有フェノールノボラックB48gに水添ビスフェノールA骨格を含むエポキシ樹脂(東都化成(株)製、ST5080(エポキシ当量600))40g、光開始剤として ベンジルジメチルケタール(チバ・ガイギー社製、イルガキュア651)1.5gと熱硬化促進剤として イミダゾール(四国化成工業(株)製、2E4MZ−CN)0.2g、溶剤としてMEK50gを添加して、樹脂ワニスとした。
この樹脂ワニスを、実施例1と同様の方法で加工することにより、離型フィルムのついた感光性絶縁接着剤シートを作製したが、この感光性絶縁接着剤シートに所定の円型パターン(φ50um)を載置して、高圧水銀灯露光装置を用い照射量100mJ/cm2で露光し、次いで、水酸化ナトリウム水溶液により2Kg/m2のスプレー圧で現像を試みたが、露光部、未露光部に関わらず、現像液に溶解せず、ビアホールを形成することは出来なかった。
【0034】
【発明の効果】
本発明の感光性樹脂組成物を用いれば、高解像度で、アルカリ水溶液による現像が容易であり、かつ低温での加工で、はんだ付け工程等の300℃前後までの温度にも耐える耐熱性、さらには柔軟性をも備えた多層フレキシブルプリント配線板用の絶縁樹脂シートを得ることができる。
Claims (5)
- (イ)アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するフェノールノボラック、(ロ)一分子中に少なくともアクリロイル基又はメタクリロイル基と、カルボキシル基を有するアクリル共重合樹脂、(ハ)一分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、(ニ)光官能基を有する多官能モノマー及び/又は光官能基と熱官能基を有する多官能モノマーからなる希釈剤、および、(ホ)光重合開始剤を必須成分として含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。
- (イ)アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するフェノールノボラックが、分子中に1個又は2個のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物とホルムアルデヒドとを、酸性触媒下で縮合して得られる多官能フェノール化合物のフェノール性水酸基をアクリロイル基又はメタクリロイル基で置換してなる請求項1記載の感光性樹脂組成物。
- 前記多官能フェノール化合物とグリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートと反応させて、前記多官能フェノール化合物のフェノール性水酸基の30〜70%をアクリロイル基又はメタクリロイル基で置換してなる請求項2記載の感光性樹脂組成物。
- (イ)少なくとも1個のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有するフェノールノボラックが、アルキルフェノールノボラックのフェノール性水酸基をアクリロイル基又はメタクリロイル基で置換してなる請求項1記載の感光性樹脂組成物。
- (ニ)希釈剤が、1分子中に2個以上のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する光多官能モノマーからなる請求項1〜4いずれか記載の感光性樹脂組成物。
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