JP2004195839A - 熱硬化性樹脂化粧板及びその製造方法 - Google Patents

熱硬化性樹脂化粧板及びその製造方法 Download PDF

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孝志 飯塚
Kazuhisa Kobayashi
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Abstract

【課題】熱硬化性樹脂化粧板が従来から持つ耐熱性、表面強度等を維持しつつ、三次元的な内部凹凸意匠感(ハイレリーフ感)を付与する。
【解決手段】熱硬化性樹脂を含浸した化粧紙1上に、熱硬化性樹脂を含浸した1又は2枚以上のオーバーレイ紙2を載置して、加熱・加圧して積層一体化して熱硬化性樹脂化粧板10を製造する際に、化粧紙上のオーバーレイ紙についてその化粧板内部となる面に硬化した電離放射線硬化性樹脂層3を設けたものを用いる。積層一体化後に離放射線硬化性樹脂層部分に内部凹凸意匠感が現れる。電離放射線硬化性樹脂層をパターン状に設ければ該パターンの凹凸模様による内部凹凸意匠感も得られる。また、通常は、化粧紙下側にはコア層となるコア紙4等を載置し積層一体化する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱硬化性樹脂化粧板とその製造方法に関する。特に、三次元的な内部凹凸意匠感(ハイレリーフ感)を有する熱硬化性樹脂化粧板とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、高圧メラミン化粧板等に代表される各種熱硬化性樹脂化粧板の意匠は、化粧板内部に積層するチタン紙等の化粧紙に設けた印刷模様、或いは、熱硬化性樹脂化粧板を熱プレスで製造時に金属製鏡面板の代わりに金属版や賦形シートのエンボス版を用いて化粧板表面に設けた凹凸模様等によっている(特許文献1)。
また、凹凸意匠感としては、上記の表面凹凸意匠の他に、内部凹凸意匠として、盛り上げ印刷等による凹凸模様を施した透明樹脂フィルムを、その凹凸模様が化粧板内部となる様な向きで化粧紙上に載置して積層一体化した熱硬化性樹脂化粧板等も提案されている(特許文献2)。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−276569号公報
【特許文献2】
特開平5−261882号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、化粧紙のみによる意匠では高意匠とするには限界があり、エンボス版による表面凹凸意匠では確かに高意匠となるが、内部凹凸意匠感までは表現できない。この点では、特許文献2による技術では内部凹凸意匠感を表現できるが、その為にポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルムを積層一体化しており、樹脂フィルムという熱可塑性樹脂の使用が、従来からの熱硬化性樹脂化粧板としての耐熱性や表面強度等の優れた物性を損なう事になってしまう。この為、特許文献2では更に最表面に、熱硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂によるハードコート層を設けることも開示しているが、これでは工程的、材料的にもコスト高となってしまう。
【0005】
すなわち、本発明の課題は、熱硬化性樹脂化粧板が従来から持つ耐熱性、表面強度等を維持しつつ、三次元的な内部凹凸意匠感(ハイレリーフ感)を付与する事である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明の熱硬化性樹脂化粧板の製造方法では、少なくとも、熱硬化性樹脂を含浸した化粧紙上に、熱硬化性樹脂を含浸した1枚又は2枚以上のオーバーレイ紙を載置して、加熱・加圧して積層一体化し熱硬化性樹脂化粧板を製造する方法において、上記オーバーレイ紙として、化粧板内部となる面に硬化した電離放射線硬化性樹脂層を設けたオーバーレイ紙を使用する様にした。
【0007】
また、本発明の熱硬化性樹脂化粧材は、上記製造方法で得られる熱硬化性樹脂化粧板であって、少なくとも、熱硬化性樹脂を含浸した化粧紙上に熱硬化性樹脂を含浸した1枚又は2枚以上のオーバーレイ紙が積層一体化されこれら熱硬化性樹脂が硬化しており、上記オーバーレイ紙の化粧板内部となる面に硬化した電離放射線硬化性樹脂層が設けてある構成とした。
【0008】
この様にすることで、熱硬化性樹脂化粧板表面は、従来と同様、オーバーレイ紙でその熱硬化性樹脂が硬化した層となるので、耐熱性、表面強度等は維持され、しかも、化粧紙上のオーバーレイ紙に設けた硬化した電離放射線硬化性樹脂層部分によって、三次元的な内部凹凸意匠感(ハイレリーフ感)を付与でき、高意匠な意匠表現が可能となる。更に、本発明では、理由は定かでは無いが、積層一体化前の硬化した電離放射線硬化性樹脂層の表面に意識的に三次元的凹凸模様を設けたり、電離放射線硬化性樹脂層を盛り上げ印刷の様にパターン状に形成してその形成パターン自体によって凹凸模様を形成したりしなくても、電離放射線硬化性樹脂層部分で、独特の三次元的な内部凹凸意匠感が得られる。なお、もちろんだが、電離放射線硬化性樹脂層はパターン状に設けられていても良く、電離放射線硬化性樹脂層部分の表面に凹凸模様があっても良く、これらの場合には、前記、独特の内部凹凸意匠感に加えて、積層前から実在する凹凸模様も内部凹凸模様に加わることによって、より高意匠な内部凹凸意匠感を付与できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について図面を参照しながら実施の形態を説明する。
先ず、図1は本発明による熱硬化性樹脂化粧材とその製造方法について、或る一形態で概念的に説明する断面図である。図1(A)は製造方法を示し、図1(B)は熱硬化性樹脂化粧板10を示す。
【0010】
図1(A)に例示する製造方法では、熱硬化性樹脂を含浸した化粧紙1の上側に、熱硬化性樹脂を含浸したオーバーレイ紙2を載置し、しかも化粧紙1上に載置するオーバーレイ紙2は、化粧板内部となる面、つまり同図の場合は下側(化粧紙1側)の面に硬化した電離放射線硬化性樹脂層3が設けられ、更に同図では該電離放射線硬化性樹脂層3はパターン状に設けられ該パターンによる凹凸模様を有する。
なお通常は、図示はしないが、意匠表現の為に化粧紙1はその上側に印刷等による装飾層を設けたものを熱硬化性樹脂を含浸して用いる。また、熱硬化性樹脂化粧板としての強度や、形状維持等の点で、化粧紙1の下側には、コア層として、1枚乃至複数枚のコア紙4を通常は載置し積層する。
なお、本発明では、「上側」とは熱硬化性樹脂化粧板に於いて、観察者側となる側を指し、図面でも上側である。
【0011】
また、図1(A)に例示の場合では、4枚のコア紙4に対して上下を挟む様に、化粧紙1の直下と、最下層にもオーバーレイ紙1を載置し積層する。こちらのオーバーレイ紙1は熱プレス時にコア紙4から熱硬化性樹脂を染み出すのをそこで食い止める為のもので、前記電離放射線硬化性樹脂層3は設けなくて良い。
【0012】
以下、化粧紙1、オーバーレイ紙2、電離放射線硬化性樹脂3の順に各構成要素について更に詳細に説明していく。
【0013】
〔化粧紙〕
化粧紙1には、熱硬化性樹脂化粧板に従来用いられてきたものを使用できるが、通常は紙としてチタン紙が用いら、更に化粧紙1の表側には通常、絵柄等を表現する絵柄層、或いは金属薄膜層等の装飾層を設ける。そして、この化粧紙に熱硬化性樹脂を含浸したもの使用する。なお、電離放射線硬化性樹脂層による特有の内部凹凸意匠感のみで意匠表現上足りる場合、装飾層無しの紙そのものの質感を活かす場合等では、装飾層を省略した紙そものを化粧紙1として使用しても良い。
なお、絵柄層は、公知のインキを用いてグラビア印刷等の公知の印刷方法で形成される。また、化粧紙に含浸させる熱硬化性樹脂としては、メラミン樹脂が代表的であるが、用途に応じて、この他、ジアリルフタレート(DAP)樹脂、フェノール樹脂、グアナミン樹脂、ポリエステル樹脂等でも良い。
【0014】
〔オーバーレイ紙〕
オーバーレイ紙2には、熱硬化性樹脂化粧板に従来用いられてきた一般的なものを使用でき、代表的には、透明性を備えた紙にメラミン樹脂を含浸したメラミン紙樹脂含浸紙を用いることができる。オーバーレイ紙2の含浸樹脂としては、メラミン樹脂の他、ジアリルフタレート(DAP)樹脂、フェノール樹脂、グアナミン樹脂、ポリエステル樹脂等でも良い。
【0015】
但し本発明では、化粧紙上に積層するオーバーレイ紙については、その化粧板内部となる面に、硬化した電離放射線硬化性樹脂層3を設けたオーバーレイ紙を使用する。また、この点で、電離放射線硬化性樹脂層を設けるオーバーレイ紙については、熱硬化性樹脂が含浸されたオーバーレイ紙に対して電離放射線硬化性樹脂を施してそれを硬化させる時に、オーバーレイ紙中に含浸してある熱硬化性樹脂も同時に硬化してしまうと、オーバーレイ紙としての機能を失い、その後の加熱・加圧で化粧紙等と積層一体化する際に密着性等の点で支障を来すので、電離放射線硬化性樹脂層の硬化時の電離放射線で硬化しない樹脂を用いる。なお、電離放射線硬化性樹脂の硬化の為の電離放射線についても同様であり、従って、電離放射線硬化性樹脂層硬化の為の電離放射線の種類と、オーバーレイ紙の熱硬化性樹脂の種類との夫々を、電離放射線硬化性樹脂は硬化するが熱硬化性樹脂は硬化しない様な組合せを選択する。例えば、熱硬化性樹脂にはメラミン樹脂を用いて、電離放射線には電子線を用いる等である。
【0016】
〔オーバーレイ紙:電離放射線硬化性樹脂層〕
電離放射線硬化性樹脂層3は、グラビアコート、バーコート、スクリーン印刷等の従来公知の塗工、印刷等の形成方法で、熱硬化性樹脂が含浸されているオーバーレイ紙に対して設ければ良い。本発明では、この電離放射線硬化性樹脂層によって、加熱加圧による積層一体化前のオーバーレイ紙上の電離放射線硬化性樹脂層の表面を意識的に凹凸面としてなくても、驚く事に内部凹凸意匠感が得られる。もちろん、該内部凹凸意匠感が呈する模様は、印刷で表現する任意形状の絵柄や任意形状の図形の様に自由な模様形状に出来る訳では無いが、熱硬化性樹脂化粧板の内部凹凸意匠感という意匠表現として高意匠化に寄与し十二分に商品価値の有るものであった。
【0017】
本発明による電離放射線硬化性樹脂層3は全面に設けた層でも良いが、スクリーン印刷、グラビア印刷等による公知の盛り上げ印刷等によって部分的にパターン状に設けたものでも良く、この場合では、該パターンによる自由な形状・模様の内部凹凸模様も表現できる。また、(積層一体化前の)電離放射線硬化性樹脂層の表面自体を凹凸面としても良く、それには、グラビア印刷、ロール凹版等を用いれば良い。なお、ロール凹版を用いる方法は、電離放射線硬化性樹脂液を、所望の凹凸模様を有するロール凹版の凹部に充填後、ロール凹版上の該樹脂液上に樹脂シート等からなる基材シートを供給して、樹脂液が基材シートとロール凹版間に保持されたままの状態で電離放射線を照射して樹脂液を硬化させ、その後、基材シートをロール凹版から剥離することで、基材シート上に電離放射線硬化性樹脂の硬化物からなる凹凸模様層を設ける方法である。
【0018】
ところで、従来、内部凹凸意匠感を付与する為に、前記した特許文献2等で電離放射線硬化性樹脂等で凹凸模様を設けた樹脂フィルムを積層一体化する場合には、樹脂フィルムが化粧板内部に取り込まれる為に、耐熱性、表面強度の低下が起きた。しかし、本発明では、この様な樹脂フィルムは構成材料として使用せずに、オーバーレイ紙を用いるので、耐熱性、表面強度等の従来の熱硬化性樹脂化粧板の優れた物性を維持したまま、内部凹凸意匠感を付与できることになる。
【0019】
なお、仮に、オーバーレイ紙に設ける電離放射線硬化性樹脂層が熱硬化性樹脂層であった場合には、オーバーレイ紙上で該熱硬化性樹脂層を硬化した層とするには、硬化メカニズム(熱エネルギー)が同じとなる為に、オーバーレイ紙に含浸してある熱硬化性樹脂も同時に硬化されてしまう為に都合が悪い。ところが、本発明では、内部凹凸意匠感付与の為の樹脂層を電離放射線硬化性樹脂層としてあるので、オーバーレイ紙中に含浸されている熱硬化性樹脂は硬化前の状態として、電離放射線硬化性樹脂層のみを硬化された状態に出来ることになる。
【0020】
電離放射線硬化性樹脂層を硬化した層とするのは、該電離放射線硬化性樹脂層が未硬化状態であると、オーバーレイ紙を化粧紙等と重ねて加熱・加圧して積層一体化する際の熱圧で、電離放射線硬化性樹脂層が流動変形して層としての形状が消失してしまい、所望の内部凹凸意匠感が得られないからである。但し、電離放射線硬化性樹脂層の硬化は、加熱・加圧時に層がある程度変形しても消失しない程度に硬化していれば、半硬化でも良い。
【0021】
なお、電離放射線硬化性樹脂層をパターン状に設ける際の該パターンによる凹凸模様は特に制限は無い。例えば、該凹凸模様は、図形、幾何学模様、文字、記号、抽象柄模様、木目年輪模様、等である。
【0022】
ところで、電離放射線硬化性樹脂層は、オーバーレイ紙の上下両面のうち、化粧板内部となる面上に設けるが、その面は、図1(A)に例示の如く、化粧紙上に載置するオーバーレイ紙が1枚である場合には、化粧板内部となる面は必然的に化粧紙側となる。また、仮に硬化した電離放射線硬化性樹脂層3が、図2の断面図で例示の如くオーバーレイ紙1の上側に設けてあると、熱硬化性樹脂化粧板表面の少なくとも一部が電離放射線硬化性樹脂層となるので、熱硬化性樹脂化粧板の表面物性が異なってくる他、熱圧による積層一体化時に、電離放射線硬化性樹脂層部分が鏡面板Mに密着して成形不良を来すこともあり、好ましくない。只、化粧紙上に載置するオーバーレイ紙が例えば2枚等と複数枚である場合には、化粧紙に近い側のオーバーレイ紙では表側面(化粧紙から遠い方の面)に電離放射線硬化性樹脂を設けても良い。
【0023】
なお、熱硬化性樹脂化粧板となった段階において、化粧紙とその上側のオーバーレイ紙間に電離放射線硬化性樹脂層が介在する点では、オーバーレイ紙側に電離放射線硬化性樹脂層を設ける代わりに、化粧紙側に電離放射線硬化性樹脂層を設けても、同じ様に内部凹凸意匠感が得られる様に感じられるが、実際には、そうはならない。それは、化粧紙に電離放射線硬化性樹脂層を設け様とすると、化粧紙の紙は浸透性がある為に電離放射線硬化性樹脂の塗液が染み込んでしまい、オーバーレイ紙上に設ける場合の様に厚い層を形成できないからである。
【0024】
なお、電離放射線硬化性樹脂層は、半透明等でも良いが透明性を高くすると、電離放射線硬化性樹脂層自体の厚みによって、奥行き感に基く三次元的立体感の意匠感も得られる。また、電離放射線硬化性樹脂層は着色(例えば透明着色)しても良い。
【0025】
なお、電離放射線硬化性樹脂層の厚さは、意匠感に応じて適宜厚さとすれば良く5〜30μm程度、より好ましくは7〜15μm程度である。厚さが薄すぎても、内部凹凸意匠感が十分に得られず、また厚すぎると、コスト高となって好ましくない。
【0026】
電離放射線硬化性樹脂層に用いる電離放射線硬化性樹脂としては、化粧材等に於いて従来公知の樹脂を用途に応じて適宜使用すれば良い。
具体的には、電離放射線硬化性樹脂としては、分子中にラジカル重合性不飽和結合又はカチオン重合性官能基を有する、プレポリマー(所謂オリゴマーも包含する)及び/又はモノマーを適宜混合した電離放射線により硬化可能な組成物が好ましくは用いられる。なお、ここで電離放射線とは、分子を架橋硬化反応させ得るエネルギーを有する電磁波又は荷電粒子を意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられる。
【0027】
上記プレポリマー又はモノマーは、具体的には、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキシ基等のカチオン重合性官能基等を有する化合物からなる。これらプレポリマー、モノマーは、単体で用いるか、或いは複数種混合して用いる。なお、ここで、例えば、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基の意味である。また、電離放射線硬化性樹脂としては、ポリエンとポリチオールとの組み合わせによるポリエン/チオール系のプレポリマーも好ましくは用いられる。
【0028】
分子中にラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーの例としては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等が使用できる。分子量としては、通常250〜100,000程度のものが用いられる。なお、(メタ)アクリレートとはアクリレート又はメタクリレートの意味である。
【0029】
分子中にラジカル重合性不飽和基を有するモノマーの例としては、単官能モノマーでは、例えば、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等がある。また、多官能モノマーでは、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等がある。
【0030】
分子中にカチオン重合性官能基を有するプレポリマーの例としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ化合物等のエポキシ系樹脂、脂肪酸系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂のプレポリマーがある。
チオールとしては、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等のポリチオールがある。また、ポリエンとしては、ジオールとジイソシアネートによるポリウレタンの両端にアリルアルコールを付加したもの等がある。
【0031】
なお、紫外線又は可視光線にて架橋硬化させる場合には、電離放射線硬化性樹脂に光重合開始剤を添加する。ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル類を単独又は混合して用いることができる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いることができる。
【0032】
なお、電離放射線の紫外線源としては、超高圧水銀燈、高圧水銀燈、低圧水銀燈、カーボンアーク燈、ブラックライト型螢光燈、メタルハライドランプ等の光源が使用される。また、電子線源としては、コッククロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、或いは、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用い、100〜1000keV、好ましくは、100〜300keVのエネルギーをもつ電子を照射するものが使用される。電子線の照射線量は、通常20〜150kGy程度である。
【0033】
また、電離放射線硬化性樹脂層中には、物性調整等の為に更に必要に応じ適宜、熱可塑性樹脂、その他公知の各種添加剤を添加しても良い。例えば、熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、セルロース系樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられ、添加剤としては、充填剤、分散安定剤、沈降防止剤、着色剤、滑剤、帯電防止剤等が挙げられる。また、充填剤としては、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。
【0034】
〔コア紙〕
コア紙4は、熱硬化性樹脂化粧板としての必要な強度、厚みを確保する為のコア層となるものであり、熱硬化性樹脂化粧板に従来用いられてきたものを使用でき、通常はフェノール樹脂を含浸させた樹脂含浸紙が用いられる。コア紙に含浸させる熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂の他、メラミン樹脂、ジアリルフタレート(DAP)樹脂、グアナミン樹脂、ポリエステル樹脂等も挙げられる。
なお、コア紙は必須ではないが、通常は複数枚使用する。また、コア紙の使用に際しては、図1(A)に例示の如く、コア紙からフェノール樹脂等の(未硬化の)熱硬化性樹脂が加熱・加圧時に染み出すのを受け止める為に、コア紙を上下から挟む様にオーバーレイ紙を重ねても良い。
【0035】
〔裏打ち基材〕
なお、図示はしないが、熱硬化性樹脂化粧板のコア層として、コア紙を使用する場合はコア紙の下側に、或いはコア紙を使用しない場合は化粧紙の下側に、木質基材、無機質基材、金属基材等を裏打ち基材として載置し積層しても良い。木質基材としては、単板、合板、パーティクルボード、繊維板、集成材等があり、金属基材としては、例えば、鉄、アルミニウム等の金属板等がある。
【0036】
〔加熱・加圧による積層一体化〕
化粧紙、オーバーレイ紙、コア紙、裏打ち基材等の必要な素材を重ねて加熱・加圧して積層一体化して熱硬化性樹脂化粧板とするには、従来から通常用いられている方法で良い。例えば、上下熱盤間に介在させた金属鏡面板の間に、上記の各素材を重ねて載置して、上下熱盤で挟んで加熱圧縮して熱プレス成形する。熱盤の温度、加圧圧力、加熱・加圧時間は、熱硬化性樹脂等の素材種類に応じて適宜決められる。例えば、140℃、14MPa(140kgf/cm2)、20分等である。
【0037】
なお、加熱・加圧時に鏡面板で挟まずに、熱硬化性樹脂化粧板の表面側の鏡面板に替えて、表面に梨地等の凹凸模様を設けた賦形シートや金属版等のエンボス版を用い、熱硬化性樹脂化粧板の表面に凹凸模様を付与しても良い。
【0038】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例によって、更に具体的に説明する。
【0039】
〔実施例1〕
図1(A)及び(B)の断面図の如き構成で、熱硬化性樹脂化粧板10を作製した。先ず、坪量80g/m2のチタン紙(ムンクショー・ペーパー・デコール社製、商品名「UG80S」)に、グラビア印刷で白色ベタ柄の絵柄層を形成したものを化粧紙1として、これにメラミン樹脂を含浸したものを用意した。
【0040】
また、オーバーレイ紙2としては、メラミン樹脂を含浸し透明となる樹脂含浸紙(太田産業株式会社製、商品名「OL−25」、樹脂分300%、揮発成分6%)を用意した。そして、上記化粧紙1の上に載せる1枚のオーバーレイ紙については、その化粧板内部とする側の面に、アクリレート系で電子線硬化タイプの電離放射線硬化性樹脂(大日精化工業株式会社製)83質量部に、シリカ16質量部、添加剤1質量部を配合した樹脂液(無溶剤)を塗布後、照射線量30kGy(3Mrad)の条件で電子線を照射して樹脂を硬化させて、ストライプ柄状で厚さ26μmの硬化した電離放射線硬化性樹脂層3を形成した。なお、上記塗布は、図3(A)の平面図で示す様なバーコート法にて行った。すなわち、オーバーレイ紙2の非塗布面を、厚さ26μmのポリエチレンテレフタレートフィルムをマスク兼スペーサ5として覆った状態で、50℃のオーブンで加熱溶融させた未硬化の電離放射線硬化性樹脂液3Aを端に垂らして、真鍮製のバー6を矢印方向に動かしてバーコートした後、上記マスク兼スペーサ5を剥がした。図3(B)は、オーバーレイ紙2上にストライプ柄状に電離放射線硬化性樹脂層3が設けらたれ状態を示す平面図である。
【0041】
そして、上記の樹脂含浸した化粧紙1、オーバーレイ紙を用いて、図1(A)の如く、上下熱盤間に、一対の金属製の鏡面板Mを介して、下から順に、2枚のオーバーレイ紙1、4枚のコア紙4(太田産業株式会社製フェノール樹脂含浸紙、樹脂分60%、揮発分7%)、1枚のオーバーレイ紙1、化粧紙1、下側に硬化した電離放射線硬化性樹脂層3を設けた1枚のオーバーレイ紙1を重ねて、加熱・加圧して積層一体化する熱プレス成形を行い、図1(B)の如き熱硬化性樹脂化粧板10を作製した。加熱・加圧条件は、145℃、昇温時間5分、冷却時間5分、圧力19.1MPa(195kgf/cm2)であった。
なお、図1(B)に於いては、複数枚重ね部分のコア紙4、オーバーレイ紙1等の複数枚の表示は省略してある。
【0042】
得られた熱硬化性樹脂化粧板10は、図1(B)の断面図で示す如く、下から順に、オーバーレイ紙2、コア紙4、オーバーレイ紙2、化粧紙1、パターン状に部分的に形成された電離放射線硬化性樹脂層3、オーバーレイ紙2が積層一体化した構成である。そして、該熱硬化性樹脂化粧板10の外観は、全体が化粧紙に基く白色を呈し、そして透明なオーバーレイ紙1を介して透明な電離放射線硬化性樹脂層3の部分に於いて内部凹凸意匠感が得られた。また、電離放射線硬化性樹脂層3が形成されていない部分では、該内部凹凸意匠感は無かった。その結果、熱硬化性樹脂化粧板には、化粧紙による白ベタの意匠感に加えて、前記内部凹凸意匠感(ハイレリーフ感)と、更にパターン状に設けた電離放射線硬化性樹脂層の該パターンによる内部凹凸模様の(内部凹凸)意匠感とによって、高意匠な意匠表現ができた。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、熱硬化性樹脂化粧板としての耐熱性、表面強度を維持したまま、三次元的な内部凹凸意匠感(ハイレリーフ感)が得られ、高意匠な意匠表現が可能となる。しかも、製造時に、化粧板内部となる電離放射線硬化性樹脂層の表面がオーバーレイ紙上の段階で平坦であっても、熱硬化性樹脂化粧板となった後の段階では、電離放射線硬化性樹脂層形成部分に内部凹凸意匠感が現れる。もちろん、電離放射線硬化性樹脂層をパターン状に形成したり、電離放射線硬化性樹脂層部分の表面に実際に凹凸模様を設けておけば、これらによる内部凹凸意匠感も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による熱硬化性樹脂化粧材とその製造方法をその一形態で説明する断面図。
【図2】オーバーレイ紙の上側に電離放射線硬化性樹脂層を設けた場合を説明する断面図。
【図3】オーバーレイ紙に電離放射線硬化性樹脂層を設ける一例を説明する平面図。
【符号の説明】
1 化粧紙
2 オーバーレイ紙
3 電離放射線硬化性樹脂層
3A 未硬化の電離放射線硬化性樹脂液
4 コア紙
5 マスク兼スペーサ
6 バー
10 熱硬化性樹脂化粧材
M 鏡面板

Claims (2)

  1. 少なくとも、熱硬化性樹脂を含浸した化粧紙上に、熱硬化性樹脂を含浸した1枚又は2枚以上のオーバーレイ紙を載置して、加熱・加圧して積層一体化し熱硬化性樹脂化粧板を製造する方法において、
    上記オーバーレイ紙として、化粧板内部となる面に硬化した電離放射線硬化性樹脂層を設けたオーバーレイ紙を使用する、熱硬化性樹脂化粧板の製造方法。
  2. 請求項1記載の製造方法で得られる熱硬化性樹脂化粧板であって、少なくとも、熱硬化性樹脂を含浸した化粧紙上に熱硬化性樹脂を含浸した1枚又は2枚以上のオーバーレイ紙が積層一体化されこれら熱硬化性樹脂が硬化しており、上記オーバーレイ紙の化粧板内部となる面に硬化した電離放射線硬化性樹脂層が設けてある、熱硬化性樹脂化粧板。
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