JP2004195031A - 内視鏡用測長具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の内視鏡用測長具1は、内視鏡に挿通して使用されるものであり、シース2と、シース2の基端に設けられたハブ3と、ハブ3およびシース2に挿通された操作用ワイヤ4と、操作用ワイヤ4の基端に設けられた把持部5とを有している。シース2は、本体部21と、この本体部21の先端部に設けられ、外表面の長手方向に沿って、体腔内の所定部位(患部等)の寸法を計測することができる目盛り221が形成された測長部22とを有し、これらが一体的に形成されている。測長部22は、その少なくとも外表面付近の一部に、レーザ光の照射により発色する発色剤として、TiNxOy(ただし、0.1≦x≦1.0、0≦y≦1.9)を含有し、目盛り221は、発色剤の発色による発色部で構成されている。
【選択図】 図1
Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、内視鏡用測長具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
体腔内の患部等の長さを計測する際には、経内視鏡的に使用される内視鏡用測長具が用いられる。これまで、この内視鏡用測長具として、各種のタイプのものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
従来の内視鏡用測長具では、その測長部に付される目盛りは、インクを用いた印刷や、レーザ加工により形成されるのが一般的である。
【0004】
ところが、印刷による方法では、曲面への目盛りの形成が困難であること、インクの乾燥に時間を要すること、使用中にインク層が剥離して体腔内に流入してしまうおそれがあること等の欠点がある。
【0005】
一方、レーザ加工による方法では、一般に、形成された凹部を目盛りとするため、インクによる目盛りに比べてコントラストが不十分であり、視認し難いという問題がある。また、内視鏡の消毒、滅菌処理に際して、この凹部内に薬液が残存し易く、かかる部分からの劣化が懸念される。
【0006】
【特許文献1】
特表2001−275932号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、視認性に優れるとともに、剥離、消失、退色等が生じ難い発色部を備える内視鏡用測長具を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(8)の本発明により達成される。
【0009】
(1) 内視鏡に挿通して使用され、長尺部と該長尺部の先端部に設けられた測長部とを備える内視鏡用測長具であって、
前記測長部は、その少なくとも外表面付近の一部に、レーザ光の照射により発色する発色剤として、TiNxOy(ただし、0.1≦x≦1.0、0≦y≦1.9)を含有し、
前記測長部の外表面に、前記発色剤の発色による発色部で構成される目盛りが設けられていることを特徴とする内視鏡用測長具。
【0010】
本発明によれば、視認性に優れるとともに、剥離、消失、退色等が生じ難い発色部を備える内視鏡用測長具を提供することができる。
【0011】
(2) 前記測長部の少なくとも外表面付近は、主として樹脂材料で構成されている上記(1)に記載の内視鏡用測長具。
【0012】
(3) 前記発色剤は、粒子状のものである上記(1)または(2)に記載の内視鏡用測長具。
【0013】
これにより、発色剤を外表面付近へより均一に混合(分散)させることができる。
【0014】
(4) 前記粒子状の発色剤は、その平均粒径が10μm以下である上記(3)に記載の内視鏡用測長具。
【0015】
これにより、発色剤の外表面付近への分散状態をより均一なものとすることができる。
【0016】
(5) 前記発色剤を含有する部分における前記発色剤の含有量は、0.01〜10重量%である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の内視鏡用測長具。
【0017】
これにより、外表面付近への十分な混合が可能であるとともに、発色部を明瞭なものとすることができる。
【0018】
(6) レーザ光を照射する前の前記外表面の色彩は、黒色または暗色である上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の内視鏡用測長具。
【0019】
(7) 前記発色部の色彩は、白色または明色である上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の内視鏡用測長具。
【0020】
(8) 前記発色部の白色度(L値)は、50%以上である上記(7)に記載の内視鏡用測長具。
白色度が小さ過ぎると、発色部の良好な視認性が得られない。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の内視鏡用測長具を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明の内視鏡用測長具の実施形態を示す部分断面斜視図、図2は、図1に示す内視鏡用測長具の先端部の部分縦断面図(測長部を開いた状態を示す)、図3は、図1に示す内視鏡用測長具の先端部の側面図(測長部を閉じた状態を示す)である。図4〜図6は、それぞれ、図1に示す内視鏡用測長具の使用方法を説明するための図である。なお、以下では、図1〜図3中、上側を「基端」、下側を「先端」と言う。
【0023】
図1に示す内視鏡用測長具(内視鏡用メジャー)1は、内視鏡に挿通して使用されるものであり、内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿通されるシース2と、シース2の基端に設けられたハブ3と、ハブ3およびシース2に挿通された操作用ワイヤ4と、操作用ワイヤ4の基端に設けられた把持部5とを有している。
【0024】
シース2は、可撓性を有する長尺の部材(チューブ)で構成され、内視鏡内への挿通時には、内視鏡の湾曲状態に応じて湾曲する。
【0025】
このシース2は、その外径が、好ましくは1.5〜3.0mm程度、より好ましくは1.7〜2.5mm程度とされ、その内径が、好ましくは1.4〜2.9mm程度とされる。
【0026】
また、シース2の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR、1,2−BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等のブタジエン系ゴム、クロロプレンゴム(CR)、ブタジエン−アクリロニトリルゴム(NBR)等のジエン系特殊ゴム、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM、EPDM)、アクリル系ゴム(ACM、ANM)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)等のオレフィン系ゴム、ウレタンゴム(AU、EU)等のウレタン系ゴム、ヒドリンゴム(CO、ECO、GCO、EGCO)等のエーテル系ゴム、多硫化ゴム(T)等のポリスルフィド系ゴム、シリコーンゴム(Q)、フッ素ゴム(FKM、FZ)、塩素化ポリエチレン(CM)等の各種ゴムまたはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0027】
これらの中でも、シース2の構成材料としては、特に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等であるのが好ましい。これらのものは、耐薬品性に優れるため、内視鏡用測長具1へ繰り返し施される洗浄、消毒、滅菌処理に対する耐久性を向上させることができる。
【0028】
このシース2は、本体部(長尺部)21と、この本体部21の先端部に設けられ、外表面の長手方向に沿って目盛り221が形成された測長部22とを有し、これらが一体的に形成されている。目盛り221により、径内視鏡的に、体腔内の所定部位(患部等)の寸法を計測することができる。
【0029】
また、測長部22の先端側には、図3に示すように、シース2の長手方向とほぼ平行に、複数(本実施形態では、4本)の切り込み(溝)222が形成されている。各切り込み222は、ほぼ等しい長さとされ、シース2の周方向に沿ってほぼ90°で等間隔に設けられている。これにより、各切り込み222同士の間には、それぞれ、短冊片223が複数(4つ)形成されている。
【0030】
各短冊片223の先端および基端には、それぞれ、谷折りの折り目223a、223bが形成され、また、折り目223aおよび折り目223bとの中間部には、山折りの折り目223cが形成されている。これにより、各短冊片223は、その長手方向の中央部が、中心軸から離間する方向に変形し得るように、すなわち、シース2の外周面より外側に突出するようになっている。
【0031】
そして、折り目223cと折り目223aとの間(先端側短冊片225)の長さ(図3中、長さB)より、折り目223cと折り目223bとの間(基端側短冊片224)の長さ(図3中、長さA)の方が長く設定されている。
【0032】
シース2内には、可撓性(柔軟性)を有する操作用ワイヤ4が、シース2の長手方向(軸線方向)に進退自在に挿通配置されている。そして、図2に示すように、操作用ワイヤ4の先端に取り付けられた係合チップ41が、シース2の先端に取り付けられた係合部材23に係合し、これにより、操作用ワイヤ4の先端がシース2の先端に固定されている。
【0033】
シース2の基端には、ハブ3が固着(固定)されており、操作用ワイヤ4の基端に取り付けられた把持部5が、ハブ3に対して係脱自在となっている。
【0034】
この把持部5をハブ3に係合させた状態、すなわち、操作用ワイヤ4をシース2に対して最も押し込んだ状態では、各短冊片223は縮径し、シース2は、その全体において外径がほぼ一定となっている。一方、把持部5のハブ3に対する係合状態を解除し、操作用ワイヤ4をシース2に対して手元(基端)側に牽引すると、各短冊片223がシース2の外周面より外側に突出する。なお、前述のように先端側短冊片225の長さBより基端側短冊片224の長さAの方が長いので、操作用ワイヤ4をシース2に対して手元側へ牽引すると、図2に示すように、各短冊片223は、シース2の中心軸に対するほぼ垂直な方向より前方に向かって反った状態で、シース2の外周面より外側に突出する。
【0035】
また、本実施形態では、操作用ワイヤ4をシース2に対して最も基端側に牽引すると、各短冊片223の突出端(折り目223c付近)がシース2の先端より、先端側またはほぼ同面に位置するように、基端側短冊片224と先端側短冊片225の長さが設定されている。
【0036】
なお、本実施形態では、測長部22と本体部21とが一体的に形成されているが、これらは、別体を接続(接合)するようにしてもよい。
【0037】
シース2は、発色剤を含有しており、その外表面の所定部位には、この発色剤の発色による発色部で構成される目盛り(視認マーカ)221が設けられている。
【0038】
本実施形態では、図1に示すように、幅が1〜10mmの目盛り221が、シース2の長手方向に沿って、1cm間隔(ピッチ)で設けられている。なお、目盛り221の間隔は、任意に設定可能である。
【0039】
本発明では、発色剤として、TiNxOy(ただし、0.1≦x≦1.0、0≦y≦1.9)が用いられる。ここで、TiNxOyにおいて、xが0.1未満のものは、発色が良好に起こらないおそれがあり、1.0を超えるNを含有することは困難である。一方、TiNxOyにおいて、yが1.9を超えるものは、良好な色調が得られない。
【0040】
また、TiNxOyにおいて、O/N重量比は0.2〜8程度であるのが好ましく、0.3〜7程度であるのがより好ましい。
【0041】
この発色剤は、例えば、粒子状、顆粒状、ペレット状、鱗片状等のいかなるものであってもよいが、特に、粒子状のものであるのが好ましい。これにより、発色剤をシース2(シース2の構成材料)中へより均一に混合(分散)させることができる。
【0042】
粒子状の発色剤を用いる場合、その平均粒径は、特に限定されないが、例えば、10μm以下であるのが好ましく、1μm以下であるのがより好ましく、0.1〜1μm程度であるのがさらに好ましい。これにより、発色剤のシース2中への分散状態をより均一なものとすることができる。
【0043】
また、シース2中の発色剤の含有量は、樹脂材料の組成や特性(特に色調等)にもよるが、過不足なく良好な発色を生じるためには、シース2全体に対して0.01〜10重量%程度であるのが好ましく、0.01〜1重量%程度であるのがより好ましい。発色剤の含有量が少な過ぎると、発色部(目盛り221)の白色度が低くなり、不明瞭となる場合がある。一方、発色剤の含有量を前記上限値を超えて多くしても、それ以上の効果の増大が見られないばかりか、シース2(シース2の構成材料)中への混合が困難となる場合がある。本発明では、このような発色剤の含有量により、レーザ光の照射後の色調や発色強度を調整することができる。
【0044】
シース2中における発色剤は、均一に分散されているのが好ましいが、例えば、シース2の外表面側に偏在(すなわち、外表面付近に存在)していてもよく、また、測長部22、特に、発色部(目盛り221)を設ける部分およびその近傍にのみ存在するようにしてもよい。
【0045】
また、他の構成材料の組成(含有成分の配合比)も、シース2全体にわたって、均一なものであってもよいし、各部位で異なるものであってもよい。例えば、含有成分の配合比が厚さ方向に順次変化するもの(傾斜材料)等であってもよい。
【0046】
なお、シース2の構成材料中には、必要に応じて、着色剤が添加(混合)されていてもよい。
【0047】
着色剤としては、例えば、ニトロソ染料、ニトロ染料、アゾ顔料、スチルベンアゾ顔料、ケトイミン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、アクリジン染料、キノリン染料、メチン染料、チアゾール染料、インダミン染料、アジン染料、オキサジン染料、チアジン染料、硫化染料、アミノケトン染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、キノフタロン、アンスラピリドンのような各種染料、アゾ系、ジスアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ペリレン系、ペリノン系、ジオキサジン系、アンスラキノン系、イソインドリノン系のような各種有機顔料、硫酸鉛、チタンイエロー、酸化鉄系顔料、群青、コバルトブルー、酸化クロムグリーン、スピネルグリーン、ジンクイエロー、クロムバーミリオン、クロムイエロー、クロムグリーン、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、炭素粉末、酸化亜鉛、酸化チタンのような無機顔料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0048】
シース2の構成材料中に着色剤を添加する場合、その添加量(含有量)は、特に限定されないが、樹脂材料100重量部に対して、0.001〜1重量部であるのが好ましく、0.01〜0.1重量部であるのがより好ましい。着色剤の添加量が少な過ぎると、着色剤の種類等によっては、着色剤の添加による効果が発揮されない場合があり、一方、着色剤の添加量が多過ぎると、樹脂材料の種類等によっては、レーザ光の照射によりシース2が蝕刻される場合がある。
【0049】
さらに、シース2の構成材料中には、必要に応じて、その他の添加剤が添加(混合)されていてもよい。
【0050】
この添加剤としては、例えば、無機充填材、滑剤、可塑剤、各種安定剤(酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤)、離型剤、難燃剤、カップリング剤、X線造影剤等が挙げられる。
【0051】
無機充填材としては、例えば、二酸化珪素、雲母類、カオリン類、高炉スラグ、珪砂、珪醸土、タルク等の珪素化合物、炭酸カルシウム、アルミナ、ガラス繊維、ワラストナイト、ガラスフレーク、ミルドファイバー、硬化亜鉛ウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー等が挙げられる。
【0052】
滑剤としては、例えば、スチアリン酸、ベヘン酸またはそれらのエステルや塩、カルナウバワックス、ポリエチレンワックス等のワックス類、各種界面活性剤等が挙げられる。
【0053】
また、可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル、リン酸エステル、セパシン酸エステル等が挙げられる。
【0054】
また、目盛り221に代わり、または、目盛り221と組み合わせて、他の形状の視認マーカ(発色部)を設けることもできる。他の形状(パターン)の視認マーカとしては、例えは、水玉模様、格子模様、網目模様、数字、文字、記号等の視認できるものであればいかなるものでもよい。これらは、異なるパターンを2種類以上組み合わせるようにしてもよい。
【0055】
次に、目盛り(発色部)221の形成方法について説明する。
目盛り221は、発色剤を含有するシース2の外表面の所定部位にレーザ光を照射し、そのエネルギによって発色剤が発色することにより形成される。
【0056】
照射するレーザ光は、例えば炭酸ガスレーザ、He−Neレーザ、ルビーレーザ、半導体レーザ、アルゴンレーザ、エキシマレーザ、YAGレーザが挙げられる。
【0057】
これらの中でも、YAGレーザは、波長が1.06μmであり、シース2の主材料である樹脂材料にエネルギが実質的に吸収されない。このため、樹脂材料の燃焼や気化が起こり難く、蝕刻を生じ難いので好ましい。
【0058】
レーザ照射装置は、特に限定されず、公知のいずれのものを用いてもよく、例えばスキャニングタイプ、ドットタイプ、マスクタイプのものを用いることができる。
【0059】
また、レーザ光の発振形態は、連続発振であっても、パルス発振のいずれであってもよい。
【0060】
このようなレーザ光を照射する前には、シース2の外表面の色彩は、TiNxOy(黒色)により黒色または暗色を呈している。レーザ光をシース2の外表面に照射すると、TiNxOy(黒色)が高温酸化反応によりTiO2(白色)に変化する。これにより、目盛り221(発色部)の色彩は、白色または明色を呈する。このように、発色剤としてTiNxOyを用いることにより、測長部22において、目盛り221(発色部)とそれ以外の部分との間に、極めて高い明度の差(コントラスト)を得ることができる。
【0061】
この目盛り221(発色部)の白色度(L値)は、50%以上であるのが好ましく、60%以上であるのがより好ましい。白色度が小さ過ぎると、目盛り221の良好な視認性が得られない。
【0062】
また、シース2の構成材料中に、前述したような着色剤を添加(混合)しておくことにより、シース2(測長部22)において、目盛り221とそれ以外の部分とのコントラストをより高めることができる。
【0063】
以上説明したように、目盛り221は、レーザ光の照射により発色剤が発色して形成されたものであるため、それ自体、剥離、消失、退色等が生じ難い。また、形成される目盛り221は、シース2(測長部22)の外表面において凹状とならないため、内視鏡用測長具1の消毒や滅菌処理等に際して、薬液が目盛り221の部分に残存し難く、シース2(測長部22)の劣化を防止または抑制することができる。
【0064】
また、本発明によれば、目盛り221を印刷によりシース2の外表面に形成する場合に必要となるインクの乾燥工程が不要であり、目盛り221を短時間に形成することができるという利点も有する。
【0065】
また、目盛り221を構成するTiO2は、X線を透過しない性質を有しており、内視鏡用測長具1のX線透視下での操作性も向上する。
【0066】
なお、本実施形態では、シース2は、単層のものであったが、本発明では、シース2は、その長手方向の一部または全部が、複数の層の積層体で構成されるものであってもよい。この場合、少なくとも最外層を、本実施形態のシース2と同様の構成とすればよい。
【0067】
次に、内視鏡用測長具1の使用方法(作用)の一例について説明する。
内視鏡の処置具挿通チャンネルに、内視鏡用測長具1を挿入する際には、把持部5をハブ3に係合させ、各短冊片223が縮径した状態となるようにしておく。これにより、内視鏡用測長具1を内視鏡50の処置具挿通チャンネル51内に容易に挿入することができる。
【0068】
そして、体腔内の所定部位(患部等)の測定を行う際には、各短冊片223が内視鏡50の先端から突出した状態から、把持部5をハブ3から取り外して、シース2に対して手元(基端)側へ牽引する。これにより、図1に示すように、各短冊片223がほぼ十字状に、シース2の外周面より外側に突出する。
【0069】
図4は、内視鏡50の処置具挿通チャンネル51から突出した各短冊片223を、体腔内の患部100に押し当てている状態を示している。この状態では、各短冊片223の突出端(折り目223c付近)がシース2の先端より、先端側またはほぼ同面に位置するので、各短冊片223の突出端を、患部100から浮き上がらないように患部100の粘膜面に密着させることができる。
【0070】
したがって、内視鏡50の観察窓52からの観察により、基端側短冊片224に形成された目盛り221と患部100との間に視差が発生せず(または、発生しても極めて小さく)、患部100の寸法を正確に計測することができる。なお、各短冊片223の突出端が、シース2の先端より先端側に位置すれば、患部100が斜面にある場合等でも同様の効果が得られる。
【0071】
また、図5に示すように、測長部22の基端側を患部100に沿わせることにより、患部100の測長を行うこともでき、図6に示すように、各短冊片223を縮径した状態では、測長部22全体を用いて患部100の測長を行うこともできる。
【0072】
以上、本発明の内視鏡用測長具を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0073】
また、測長部の少なくとも外表面付近は、アルコキシシランまたはその加水分解物のようなシリコン化合物中に発色剤を含む材料で構成することもできる。
【0074】
【実施例】
次に、具体的実施例について説明する。
【0075】
(実施例1)
TiN0.3O1.3(発色剤)を含有するポリテトラフルオロエチレン(ダイキン工業(株)社製)を用いて、チューブ(平均厚さ0.4mm、全長2000mm)を作製した。
【0076】
なお、TiN0.3O1.3には、平均粒径0.4μmの粒子を用いた。また、チューブにおけるTiN0.3O1.3の含有量は、0.1重量%とした。
【0077】
次に、チューブの先端部に、その周方向に沿って90°間隔で、長さ5mmの溝を4本形成した。
【0078】
次に、YAGレーザを照射して、目盛りを形成した。これにより、測長部を形成し、図1に示すようなシースを得た。このシースを用いて、内視鏡用測長具を製造した。
【0079】
(実施例2〜6)
発色剤の条件、シースの構成材料の種類を、表1に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にして内視鏡用測長具を製造した。
【0080】
(比較例1)
発色剤を含有しないポリテトラフルオロエチレン(ダイキン工業(株)社製)を用いて、チューブ(平均厚さ0.4mm、全長2000mm)を作製した。
【0081】
次に、チューブの先端部に、その周方向に沿って90°間隔で、長さ5mmの溝を4本形成した。
【0082】
次に、チューブの外表面にフッ素系塗料(インク)を印刷することにより目盛りを形成した。これにより、測長部を形成し、シースを得た。このシースを用いて、内視鏡用測長具を製造した。
【0083】
(比較例2)
発色剤を含有しないポリテトラフルオロエチレン(ダイキン工業(株)社製)を用いて、チューブ(平均厚さ0.4mm、全長2000mm)を作製した。
【0084】
次に、チューブの先端部に、その周方向に沿って90°間隔で、長さ5mmの溝を4本形成した。
【0085】
次に、チューブの外表面にYAGレーザを用いてレーザ加工することにより凹部による目盛りを形成した。これにより、測長部を形成し、シースを得た。このシースを用いて、内視鏡用測長具を製造した。
【0086】
[評価]
各実施例1〜6および比較例1、2で製造した内視鏡用測長具に対して、それぞれ、以下の評価試験I〜IIIを行った。
【0087】
[評価試験I(白色度評価)]
各実施例1〜6および比較例1、2で製造した内視鏡用測長具について、それぞれ、目盛り部分の白色度(L値)を、白色度計(日本電色工業(株)社製、NW−1)により測定し、以下の2段階の基準に従って評価した。
【0088】
○:50%以上
×:50%未満
【0089】
[評価試験II(視認性評価)]
各実施例1〜6および比較例1、2で製造した内視鏡用測長具について、それぞれ、目盛りを目視にて確認し、その視認性を以下の4段階の基準に従って評価した。
【0090】
◎:極めて良好
○:良好
△:やや不良
×:不良
【0091】
[評価試験III(耐久性評価)]
各実施例1〜6および比較例1、2で製造した内視鏡用測長具を、それぞれ、酵素系洗浄剤で洗浄後、高圧蒸気滅菌(条件:132℃/5分)を行う処理を50サイクル行った。50サイクル終了後、目盛り付近を目視にて確認し、以下の4段階の基準に従って評価した。
【0092】
◎:目盛りは鮮明な状態を保ち、測長部の劣化も認められず
○:目盛りが若干不鮮明となるが、測長部の劣化は認められず
△:目盛りが不鮮明となり、目盛り付近の測長部に荒れが認められる
×:目盛りが全く確認できず、目盛り付近の測長部の荒れが目立つ
【0093】
これらの評価試験I〜IIIの結果を、発色剤の条件およびシースの構成材料の種類とともに、表1に示す。
【0094】
【表1】
【0095】
表1に示すように、各実施例1〜6で製造した内視鏡用測長具では、いずれも、目盛りの白色度(L値)が高く、視認性も極めて良好であり、かつ、評価試験IIIにおいて50サイクル終了後においても、目盛りの鮮明な状態が維持されていた。
【0096】
これに対し、比較例1で製造した内視鏡用測長具では、製造直後では、目盛りの白色度(L値)が高く、視認性も極めて良好であったが、耐久性に劣り、評価試験IIIにおいて50サイクル終了後には、目盛りが剥離してしまった。
【0097】
また、比較例2で製造した内視鏡用測長具では、目盛りの白色度(L値)が低く、視認性も不良であり、また、耐久性に劣り、評価試験IIIにおいて50サイクル終了後には、目盛り付近の外皮に荒れが目立った。
【0098】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、発色部とそれ以外の部分との間に極めて高い明度の差が得られ、視認性に優れる。また、発色部の剥離、消失、退色等や、その形成に起因した外表面の発色部付近の劣化が生じ難い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の内視鏡用測長具の実施形態を示す部分断面側面図である。
【図2】図1に示す内視鏡用測長具の先端部の部分縦断面図(測長部を開いた状態を示す)である。
【図3】図1に示す内視鏡用測長具の先端部の側面図(測長部を閉じた状態を示す)である。
【図4】図1に示す内視鏡用測長具の使用方法を説明するための図である。
【図5】図1に示す内視鏡用測長具の使用方法を説明するための図である。
【図6】図1に示す内視鏡用測長具の使用方法を説明するための図である。
【符号の説明】
1 内視鏡用測長具
2 シース
21 本体部
22 測長部
221 目盛り
222 切り込み
223 短冊片
223a 折り目
223b 折り目
223c 折り目
224 基端側短冊片
225 先端側短冊片
23 係合部材
3 ハブ
4 操作用ワイヤ
41 係合チップ
5 把持部
50 内視鏡
51 処置具挿通チャンネル
52 観察窓
100 患部
Claims (8)
- 内視鏡に挿通して使用され、長尺部と該長尺部の先端部に設けられた測長部とを備える内視鏡用測長具であって、
前記測長部は、その少なくとも外表面付近の一部に、レーザ光の照射により発色する発色剤として、TiNxOy(ただし、0.1≦x≦1.0、0≦y≦1.9)を含有し、
前記測長部の外表面に、前記発色剤の発色による発色部で構成される目盛りが設けられていることを特徴とする内視鏡用測長具。 - 前記測長部の少なくとも外表面付近は、主として樹脂材料で構成されている請求項1に記載の内視鏡用測長具。
- 前記発色剤は、粒子状のものである請求項1または2に記載の内視鏡用測長具。
- 前記粒子状の発色剤は、その平均粒径が10μm以下である請求項3に記載の内視鏡用測長具。
- 前記発色剤を含有する部分における前記発色剤の含有量は、0.01〜10重量%である請求項1ないし4のいずれかに記載の内視鏡用測長具。
- レーザ光を照射する前の前記外表面の色彩は、黒色または暗色である請求項1ないし5のいずれかに記載の内視鏡用測長具。
- 前記発色部の色彩は、白色または明色である請求項1ないし6のいずれかに記載の内視鏡用測長具。
- 前記発色部の白色度(L値)は、50%以上である請求項7に記載の内視鏡用測長具。
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