JP2004191630A - 撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】マイクロレンズパワーの設定において、好ましい画像信号を得つつ良好な位相差信号を得ることができるようにする。
【解決手段】撮影レンズと、撮影レンズの予定結像面に配置される固体撮像素子とを備え、固体撮像素子は、2つの光電変換部に分割された画素305,306とその前方に配置されたマイクロレンズ301とを各々備える複数の光電変換セルを有し、マイクロレンズの曲率半径rを、画素の受光面と撮影レンズの射出瞳312が互いに共役関係になるときのマイクロレンズの曲率半径をr0、画素の分割された境界線と直交する辺を撮影レンズの射出瞳面に曲率半径rを有するマイクロレンズを介して投影したときの射出瞳面上での長さをZ、射出瞳面の半径をRとした場合に、
{(R/Z)×r0}×0.95<r<{(R/Z)×r0}×1.05
で表されるように設定した。
【選択図】 図5
【解決手段】撮影レンズと、撮影レンズの予定結像面に配置される固体撮像素子とを備え、固体撮像素子は、2つの光電変換部に分割された画素305,306とその前方に配置されたマイクロレンズ301とを各々備える複数の光電変換セルを有し、マイクロレンズの曲率半径rを、画素の受光面と撮影レンズの射出瞳312が互いに共役関係になるときのマイクロレンズの曲率半径をr0、画素の分割された境界線と直交する辺を撮影レンズの射出瞳面に曲率半径rを有するマイクロレンズを介して投影したときの射出瞳面上での長さをZ、射出瞳面の半径をRとした場合に、
{(R/Z)×r0}×0.95<r<{(R/Z)×r0}×1.05
で表されるように設定した。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被写体の撮像と位相差方式の焦点検出とを行なう固体撮像素子を有する撮像装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
被写体像の撮像と、位相差方式による被写体像の焦点検出を同一固体撮像素子上で行うための構成が特開2000−156823号公報(特許文献1)に開示されている。この焦点検出のための構成によれば、別途焦点検出系の機構を配設する構造に比較して、撮像装置の小型化、コストの抑制、誤差要因の低減が図れると共に、山登り方式の焦点合わせ方法に比較して短時間で焦点検出を行なうことができる。
【0003】
具体的には、光学系により結像された光学像を電気信号に変換する光電変換セルが2次元的に配列された固体撮像素子において、該光電変換セル群のうちの少なくとも一部が焦点検出のための信号を出力するように構成されており、この焦点検出のための信号を出力する光電変換セルは、光電変換部上に配置されたマイクロレンズと、該マイクロレンズと光電変換部との間に配置された特定の開口部を有する遮光膜層とを有し、前記光電変換セルは、該遮光膜層の開口がマイクロレンズの光学中心に対して偏りをもつ第1の光電変換セルと、該遮光膜層の開口がマイクロレンズの光軸中心に対して第1の光電変換セルと逆方向に偏りをもつ第2の光電変換セルとに分類され、第1の光電変換セルを含む基本的な配列の並ぶ第1の行と、該第1の行に隣接する第2の光電変換セルを含む基本的な配列の並ぶ第2の行とからなる配列を前記撮像領域の少なくともひとつの領域に有する。このように構成することにより、前記第1の光電変換セルのつながりにより出力される信号と前記第2の光電変換セルのつながりにより出力される信号との位相差から撮像素子に被写体像を結ぶための光学系のフォーカスを調整することができる。
【0004】
また、これとは別に特開平3−28777号公報(特許文献2)に開示されている固体撮像素子においては、特開2000−156823号公報に開示されている固体撮像素子が遮光膜層の開口部に偏りを持たせるのに対し、隣り合う光電変換セルにおいてそれぞれの光電変換部とマイクロレンズの配置関係によって入射光がそれぞれの光電変換部の相対的に異なる部分に入射するように構成されている。具体的には、光電変換部の中心軸とマイクロレンズの中心軸を互いに隣り合う光電変換セル同士で相対的に反対方向に偏りを持たせたり、あるいはマイクロレンズ光軸を入射光に対して相対的に反対側に同角度傾けたりして、それぞれのマイクロレンズに入射する光束が光電変換部においては相対的に異なった部分に到達するように構成されている。
【0005】
一方、複数光電変換部の光電変換信号の加算を画像部で行い、さらに光電変換信号の加算と非加算を任意に行える固体撮像装置が特開平9−46596号公報(特許文献3)に開示されている。被写体輝度が明るい場合は画素信号を非加算出力して高解像度の撮像を行い、被写体輝度が暗い場合は画素信号を加算出力して高感度の撮像を行っている。
【0006】
さらに、一つの光電変換セル内に一つのマイクロレンズ、カラーフィルターおよび二つの光電変換部に分割されたひとつの画素をもつ光電変換セル群よりなる固体撮像素子において、各光電変換部の出力をそれぞれ独立して読み出しを行う第1の読み出しモード(非加算モード)と、同一画素内の2つの光電変換部の出力を加算して読み出しを行う第2の読み出しモード(加算モード)とを有し、第1の読み出しモードによって焦点検出用の位相差信号の読み出しを行い、第2の読み出しモードによって画像信号の読み出しを行うようにした発明が特開2001−124984号公報(特許文献4)に開示されている。このように構成した撮像素子においては、一つの光電変換セルが焦点検出のための位相差信号も画像を形成する画像信号も出力することができるので、焦点検出および画像生成において共に有効である。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−156823号公報
【特許文献2】
特開平3−28777号公報
【特許文献3】
特開平9−46596号公報
【特許文献4】
特開2001−124984号公報
【発明が解決しようとする課題】
このように、一つの光電変換セル内に一つのマイクロレンズ、カラーフィルターおよび二つの光電変換部に分割されたひとつの画素をもつ光電変換セルより、画像を形成する画像信号も焦点検出のための位相差信号も出力することができるようにすると、マイクロレンズの形状において相反する2つの要求がなされることになる。
【0008】
まず、画像を形成するための画像信号出力については、ふたつに分割された光電変換部の両方を足し合わせて読み出しを行う(加算モード)。
【0009】
画像信号の出力によって形成される被写体画像については、撮影レンズの絞り値と撮像素子に到達する入射光量の関係がAPEX(Additive System of Photographic Exposure)に従うことが望ましい。つまり、設定絞り値によって変化する撮影レンズの射出瞳の面積と撮像素子受光部(ふたつに分割された光電変換部の両方)への入射光量が比例関係にあるようにすれば、銀塩カメラと同様に被写体輝度、撮像素子の感度、シャッター速度および絞り値の各パラメータが一義に設定可能となる。この関係を満たすには、理想的には、撮像素子の受光部と撮影レンズの射出瞳が互いに共役関係になるように、つまり射出瞳から射出される光束が撮像素子の受光部面で結像するようにマイクロレンズのパワーが設定され、さらに撮影レンズの射出瞳が最大となる絞り値(開放絞り値)をとっても、受光部をマイクロレンズを介して射出瞳に投影した投影像が射出瞳よりも大きくなるように受光部の面積および投影倍率が設定されればよい。
【0010】
しかし実際には、各セルには受光部の他にアンプ回路や転送部等が配設されているので、近年の高画素化に伴い、1セルあたりの受光部面積比率は減少の傾向にある。そのため、実際には受光部は充分な面積を占めることができず、射出瞳に投影した投影像は射出瞳よりも小さく、すなわち開放絞り値における射出瞳を投影像が内包する関係を実現できなくなっている。換言すると、射出瞳から射出した光線が、射出した位置によっては受光部には届かず光電変換されないことになる。
【0011】
そこで、射出瞳から射出する光束のうちできるかぎり広い光束が受光部に到達するように、マイクロレンズのパワーを、結像状態を実現するパワーから虚像状態を形成するパワーにシフトした状態、つまりマイクロレンズによる結像面は実際の受光部面より後方に位置するようにパワーを設定する手法がとられるようになってきている。このようにマイクロレンズのパワーが設定された撮像素子においては、充分な受光部面積がとれない場合でも、結像状態を実現するマイクロレンズパワーをもつ撮像素子に比較して、射出瞳の面積と受光部への入射光量の比例関係は改善される。したがって、画像信号のみを出力する撮像素子においては、この方向にのみ注目してマイクロレンズのパワーを設定すればよいことになる。
【0012】
一方、焦点検出を行うための位相差信号出力については、ふたつに分割された光電変換部のそれぞれから独立に読み出しを行う(非加算モード)。
【0013】
従来のAFユニットを別途もつ一般的な、位相差方式による焦点検出に関しては、デフォーカス量Dは、像ずれ量Pと比例定数Kを用いて、
D≒KP …(1)
で表されるが、比例定数KはAFユニット部品のひとつである二次結像レンズの前に置かれるAF絞りの開口間距離であるところの基線長Lの逆数に比例する。
【0014】
非加算モードにより焦点検出信号を得て焦点検出を行うこの方式においても、(1)式は成立する。ただし、この場合の比例定数Kにかかる基線長Lは、ふたつに分割された光電変換部の受光面のそれぞれをα面およびβ面とすると、α面およびβ面それぞれをマイクロレンズを介して射出瞳に投影した投影像のうち、射出瞳に囲まれた部分が形成する像の重心間距離に相当する。
【0015】
この重心間距離は、マイクロレンズのパワーを虚像状態を形成するように設定した場合、射出瞳への投影像は強度分布を示す、つまり射出瞳から射出する光線は射出瞳上の位置によって受光部に到達するときの強度が変わる(以下「瞳強度分布」という)ので、分布が均一である結像状態を実現するマイクロレンズパワーの場合に比較して、短くなる。
【0016】
基線長が短くなると、上記(1)式より像ずれ量Pの敏感度が高くなる、すなわちPの小さな誤差も算出値であるデフォーカス量Dへ大きな影響を与えることになる。従って、基線長が短いと焦点検出誤差が大きくなってしまうので、基線長は長い方が望ましいことになる。するとマイクロレンズについては、強度分布を生じない結像状態を実現するパワーに設定することが望ましいということが導ける。
【0017】
以上のように、マイクロレンズのパワー設定においては、好ましい画像信号を得るためには虚像状態を形成するように、良好な位相差信号を得るためには結像状態を実現するようにという、互いに反する要求が存在することになる。
【0018】
従って、本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、マイクロレンズパワーの設定において、好ましい画像信号を得つつ良好な位相差信号を得ることができるようにすることである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係わる撮像装置は、撮影レンズと、該撮影レンズの予定結像面に配置される固体撮像素子とを備え、該固体撮像素子は、2つの光電変換部に分割された画素とその前方に配置されたマイクロレンズとを各々備える複数の光電変換セルを有し、前記マイクロレンズの曲率半径rを、前記画素の受光面と前記撮影レンズの射出瞳が互いに共役関係になるときの前記マイクロレンズの曲率半径をr0、前記画素の分割された境界線と直交する辺を前記撮影レンズの射出瞳面に曲率半径rを有する前記マイクロレンズを介して投影したときの前記射出瞳面上での長さをZ、前記射出瞳面の半径をRとした場合に、
{(R/Z)×r0}×0.95<r<{(R/Z)×r0}×1.05
で表されるように設定したことを特徴としている。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をデジタルスチルカメラに適用した場合の一実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
図1は、本実施形態におけるデジタルスチルカメラの要部の概略を示す断面図である。
【0022】
図1において、3は固体撮像素子で、デジタルスチルカメラ1の撮影レンズ2(便宜上2枚のレンズで示したが、実際には多数のレンズから構成されている)の予定結像面に配置されている。デジタルスチルカメラ1は、カメラ全体を制御するCPU10、固体撮像素子3を駆動制御する撮像素子制御回路11、固体撮像素子3にて撮像した画像信号を画像処理する画像処理回路14、撮像された画像を表示するための液晶表示素子5とそれを駆動する液晶表示素子駆動回路15、液晶表示素子5に表示された被写体像を観察するための接眼レンズ4、固体撮像素子3にて撮像された画像を記録するメモリ回路12、画像処理回路14にて画像処理された画像を外部に出力するためのインターフェース回路13とを備えて構成されている。メモリ回路12には、撮影レンズ固有情報も記録されている。
【0023】
撮影レンズ2は、CPU10から送られてくる焦点調節情報に基づいて撮影レンズ駆動機構16によって合焦状態に調節される。CPU10は焦点検出手段を兼ねている。また20は絞り装置で、絞り駆動機構17によって所定の絞り値に絞り込まれるようになっている。
【0024】
次に本実施形態で用いる固体撮像素子3について説明する。
【0025】
従来より、固体撮像素子は、光電変換を可能とする金属と酸化物と半導体からなるMOS構造を有しており、光キャリアの移動方式によりFET型とCCD型とに分けられる。本実施形態においては、このような増幅型固体撮像素子のひとつである、CMOSコンパチブルセンサ(以降「CMOSセンサ」という)を用いることとする。
【0026】
本実施形態におけるCMOSセンサでは、1画素に2つの光電変換部を構成し、従来各光電変換部毎に設けていたフローティングディフュージョン領域(以降、FD領域)とソースフォロワアンプを、2つの光電変換部について1個だけ形成し、2つの光電変換領域を転送用MOSトランジスタスイッチを介してそのFD領域に接続している。したがって、2つの光電変換部の電荷を同時、または、別々にフローティングディフュージョン部へ転送でき、FD領域に接続した転送MOSトランジスタのタイミングだけで、2つの光電変換部の信号電荷の加算、非加算を簡単に行うことができる。この構造を利用して、撮影レンズの射出瞳全体からの光束による光電変換出力を行う第1の出力モードと、撮像レンズの射出瞳の一部からの光束による光電変換出力を行う第2の出力モードとを切り替え可能としている。画素レベルで信号の加算を行う第1の出力モードでは、信号を読み出した後で加算する方式に比べてノイズの少ない信号を得ることができる。
【0027】
図2は、撮像素子3内のエリアセンサ部の回路構成図である。同図は、2列×2行画素の2次元エリアセンサを示したものであるが、実際は列方向行方向ともに画素数を多くし、実用的な解像度を得る。
【0028】
図2において、101および201はMOSトランジスタゲートとゲート下の空乏層からなるフォトダイオード的な第1光電変換部(以下「α部」という)および第2光電変換部(以下「β部」という)、102および202は図上キャパシタの記号を付したフォトゲート、103および203はα部101およびβ部201の光電変換による電荷を転送する転送スイッチMOSトランジスタ、104はフローティングディフュージョン部FDの電荷をリセットするリセット用MOSトランジスタ、105はフローティングディフュージョン部FDの電荷をソースフォロワ型で電圧変換して増幅するソースフォロワアンプMOSトランジスタ、106は水平走査部116からのパルスφS0で画素選択する垂直選択スイッチMOSトランジスタ、107はソースフォロワ型で増幅するソースフォロワアンプMOSトランジスタ105の負荷となる負荷MOSトランジスタ、108はフローティングディフュージョン部FDの暗時電荷を転送する暗出力転送MOSトランジスタ、109はフローティングディフュージョン部FDの撮像時の蓄積電荷を明出力とする明出力転送MOSトランジスタ、110は暗出力転送MOSトランジスタ108のオンにより暗出力を蓄積する暗出力蓄積容量CTN、111は明出力転送MOSトランジスタ109のオンにより明出力を蓄積する明出力蓄積容量CTS、112および204は垂直走査部115からの制御パルスによってオン/オフする垂直転送MOSトランジスタ、113および205は垂直出力線をリセットする垂直出力線リセットMOSトランジスタ、114は明出力と暗出力との差を出力する差動出力アンプ、115は垂直転送MOSトランジスタ112,204を制御するパルスを出力する垂直走査部、116はα部101およびβ部201の電荷を読み出す転送パルス、リセットパルス、トリガパルス、選択パルスを出力する水平走査部である。
【0029】
図3は一画素分の受光部の回路構成を示す断面図である。
【0030】
図3において、117はP型ウェル、118,208はゲート酸化膜、119,209は一層目ポリSi、120,220は二層目ポリSi、121はn+フローティングディフュージョン領域である。また、図2と同一部分には同一番号を付している。例えば、α部101、β部201、フォトゲート102,202、リセット用MOSトランジスタ104、ソースフォロワアンプMOSトランジスタ105、垂直選択スイッチMOSトランジスタ106、負荷MOSトランジスタ107である。
【0031】
FD領域121は転送MOSトランジスタ103,203を介してα部101およびβ部201と接続される。なお、図3では、α部101とβ部201を離して描いたが、実際にはその境界部は極めて小さく、実用上はα部101とβ部201は接しているとみなして良い。また、上述の受光面とは、ゲート酸化膜118,208と受光部であるα部101およびβ部201との境界面であるところの、実際に光子を受けうる有効面をいう。以下この有効面のうちα部101に対応する受光面をα面、β部201に対応する受光面をβ面という。
【0032】
図4は、撮像素子3のうち受光面よりマイクロレンズ側について、1画素分の物理的構造を模式的に示した斜視図である。
【0033】
図4において、300はこの画素の中心軸、301はマイクロレンズ部であり、この高さをAとし、曲率半径をrとする。302〜304はそれぞれ屈折率の異なる層を表しており、それぞれの高さをB,C,Dとする。これらの層は、フィルター層や配線層を包含するため等の層である。305,306はそれぞれα面、β面であり、図のように中心軸を中心に互いに隣接しており、大きさは共にk1×k2で表されている。また、マイクロレンズ高さAおよび各層の高さB,C,Dの総和をhとおく。
【0034】
図5は、図4における1画素と撮影レンズの射出瞳との関係を表す模式図である。すなわち、図4においてα面305とβ面306を分割する境界線(長さk1)に直交する辺(α面、β面のうち長さk2の辺)を臨むように、撮影レンズ光軸300を側方から捉えた図である。図は説明のため相対的な大きさおよび距離の関係は無視して描かれている。また、300から306は図4における同一番号と同一部分を表す。
【0035】
図5において、310はマイクロレンズ頂点平面であり、マイクロレンズ頂点331を含み撮影レンズ光軸300に直交する平面である。311は受光面(α面305およびβ面306を含む平面)に対する換算受光面であり、マイクロレンズ頂点331からの距離Sは、アッベの零不変量より以下の式(2)により表される。
【0036】
1/S=(1−νA)/r+1/(A/νA+B/νB+C/νC+D/νD)…(2)
ここでνA、νB、νC、νDはそれぞれマイクロレンズ301および層302〜304の各屈折率を表し、rはマイクロレンズの曲率半径を表す。
【0037】
312は撮影レンズの射出瞳面であり、マイクロレンズ頂点331からHの距離に配設されている。このとき射出瞳の半径をRとする。
【0038】
次に、α面305の端点330(像高k2)から射出瞳面312に向けて発せられる光線のうち、マイクロレンズ頂点331を通過する光線が射出瞳面に到達する点を射出瞳上端点332と定義する。換言すると、被写体側から入射される光線のうち、射出瞳上端点332およびマイクロレンズ頂点331を通過する光線は、マイクロレンズ頂点および各層の境界面で屈折し、α面305の端点330に到達することを意味する。
【0039】
このとき、射出瞳上端点332の撮影レンズ光軸300からの距離Z(322)は、以下によって求められる。まず、α面の端点330(像高k2)は、換算受光面上では、
y=k2・S/(A/νA+B/νB+C/νC+D/νD) …(3)
で表される像高yの点333に相当する。次に、この点からマイクロレンズ頂点331を介して、射出瞳面312へ直線を引く。この直線と射出瞳面312との交点が射出瞳上端点332であるので、撮影レンズ光軸300からの距離Zは
Z=y(H/S) …(4)
で表されることとなる。
【0040】
さて、ここでもしマイクロレンズによって屈折した光線が受光面において結像するなら、そのときのマイクロレンズの曲率半径をr0とすると、
1/H=(1−νA)/r0+1/(A/νA+B/νB+C/νC+D/νD)…(5)
の関係式からr0を求めることが可能である。
【0041】
そこで、マイクロレンズの曲率半径rは、上記R,Zおよびr0を用いて
{(R/Z)×r0}×0.95<r<{(R/Z)×r0}×1.05…(6)
を満たすように設定することとする。
【0042】
たとえば、図6のように諸値を設定する。単位は全てμmで表している。このとき撮影レンズはF1.0の開放絞りを有することとするとR=40000となり、上記(2)式から(5)式を用いることにより、Z=26910,r0=3.50を得る。このときのrは上記(6)式を満たしていることが確認できる。
【0043】
この適用例を実施した場合のF値に対する基線長の推移と、F値に対する光量比例性の推移を、上記(6)式を満たさない適用範囲外の曲率半径を持つ場合と比較して行ったシミュレーションの結果を、図7および図8に示す(シミュレーションはF1.0からF8.0の範囲で行っている)。
【0044】
図7においては、横軸はF値の推移を対数表示で表し、縦軸は基線長を表している。上記適用例のほうが各F値において長い基線長が確保されていることがわかる。すなわち撮影レンズの絞りを絞ったとしても、適用範囲外のマイクロレンズを有する場合よりも精度の高い位相差方式のAFが可能であることを示している。
【0045】
図8においては、横軸はF値の推移を対数表示で表し、縦軸はF1.8を基準としたときの各F値の段数差を表している。理想的にAPEXに従う場合には全てのF値において0を示すはずであるが、実際には絞りと受光光量の関係が正確には比例関係に従わず、例えば1段絞っても0.7段分しか光量が落ちない場合は基準絞り値に対して+0.3段ということになる。この適用例では、適用範囲外に比較して、各F値において0に近い側で推移していることがわかる。したがって光量比例性においても、より好ましい結果が得られているといえる。
【0046】
以上説明したように、上記の実施形態によれば、マイクロレンズパワーの設定において、好ましい画像信号を得つつ良好な位相差信号を得ることができる平衡領域にパワーを設定した撮像素子を提供することができる。すなわち、好ましい画像信号とはAPEXにより近い光量比例関係を維持することであり、良好な位相差信号とは比例定数の敏感度が小さい信号のことである。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、マイクロレンズパワーの設定において、好ましい画像信号を得つつ良好な位相差信号を得ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係わるデジタルスチルカメラの要部の概略を示す断面図である。
【図2】撮像素子の回路構成図である。
【図3】一画素分の受光部の回路構成を示す断面図である。
【図4】1画素分の物理的構造を模式的に示した斜視図である。
【図5】画素と撮影レンズの射出瞳との関係を表す模式図である。
【図6】本発明の一実施形態における諸設定値を示す図である。
【図7】一実施形態におけるF値に対する基線長の推移を示す図である。
【図8】一実施形態におけるF値に対する光量比例性の推移を示す図である。
【符号の説明】
1 デジタルスチルカメラ
2 撮影レンズ
3 固体撮像素子
4 接眼レンズ
5 液晶表示素子
10 CPU
11 撮像素子制御回路
12 メモリ回路
13 インターフェース回路
14 画像処理回路
15 液晶表示素子駆動回路
16 撮影レンズ駆動機構16
17 絞り駆動機構
20 絞り装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、被写体の撮像と位相差方式の焦点検出とを行なう固体撮像素子を有する撮像装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
被写体像の撮像と、位相差方式による被写体像の焦点検出を同一固体撮像素子上で行うための構成が特開2000−156823号公報(特許文献1)に開示されている。この焦点検出のための構成によれば、別途焦点検出系の機構を配設する構造に比較して、撮像装置の小型化、コストの抑制、誤差要因の低減が図れると共に、山登り方式の焦点合わせ方法に比較して短時間で焦点検出を行なうことができる。
【0003】
具体的には、光学系により結像された光学像を電気信号に変換する光電変換セルが2次元的に配列された固体撮像素子において、該光電変換セル群のうちの少なくとも一部が焦点検出のための信号を出力するように構成されており、この焦点検出のための信号を出力する光電変換セルは、光電変換部上に配置されたマイクロレンズと、該マイクロレンズと光電変換部との間に配置された特定の開口部を有する遮光膜層とを有し、前記光電変換セルは、該遮光膜層の開口がマイクロレンズの光学中心に対して偏りをもつ第1の光電変換セルと、該遮光膜層の開口がマイクロレンズの光軸中心に対して第1の光電変換セルと逆方向に偏りをもつ第2の光電変換セルとに分類され、第1の光電変換セルを含む基本的な配列の並ぶ第1の行と、該第1の行に隣接する第2の光電変換セルを含む基本的な配列の並ぶ第2の行とからなる配列を前記撮像領域の少なくともひとつの領域に有する。このように構成することにより、前記第1の光電変換セルのつながりにより出力される信号と前記第2の光電変換セルのつながりにより出力される信号との位相差から撮像素子に被写体像を結ぶための光学系のフォーカスを調整することができる。
【0004】
また、これとは別に特開平3−28777号公報(特許文献2)に開示されている固体撮像素子においては、特開2000−156823号公報に開示されている固体撮像素子が遮光膜層の開口部に偏りを持たせるのに対し、隣り合う光電変換セルにおいてそれぞれの光電変換部とマイクロレンズの配置関係によって入射光がそれぞれの光電変換部の相対的に異なる部分に入射するように構成されている。具体的には、光電変換部の中心軸とマイクロレンズの中心軸を互いに隣り合う光電変換セル同士で相対的に反対方向に偏りを持たせたり、あるいはマイクロレンズ光軸を入射光に対して相対的に反対側に同角度傾けたりして、それぞれのマイクロレンズに入射する光束が光電変換部においては相対的に異なった部分に到達するように構成されている。
【0005】
一方、複数光電変換部の光電変換信号の加算を画像部で行い、さらに光電変換信号の加算と非加算を任意に行える固体撮像装置が特開平9−46596号公報(特許文献3)に開示されている。被写体輝度が明るい場合は画素信号を非加算出力して高解像度の撮像を行い、被写体輝度が暗い場合は画素信号を加算出力して高感度の撮像を行っている。
【0006】
さらに、一つの光電変換セル内に一つのマイクロレンズ、カラーフィルターおよび二つの光電変換部に分割されたひとつの画素をもつ光電変換セル群よりなる固体撮像素子において、各光電変換部の出力をそれぞれ独立して読み出しを行う第1の読み出しモード(非加算モード)と、同一画素内の2つの光電変換部の出力を加算して読み出しを行う第2の読み出しモード(加算モード)とを有し、第1の読み出しモードによって焦点検出用の位相差信号の読み出しを行い、第2の読み出しモードによって画像信号の読み出しを行うようにした発明が特開2001−124984号公報(特許文献4)に開示されている。このように構成した撮像素子においては、一つの光電変換セルが焦点検出のための位相差信号も画像を形成する画像信号も出力することができるので、焦点検出および画像生成において共に有効である。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−156823号公報
【特許文献2】
特開平3−28777号公報
【特許文献3】
特開平9−46596号公報
【特許文献4】
特開2001−124984号公報
【発明が解決しようとする課題】
このように、一つの光電変換セル内に一つのマイクロレンズ、カラーフィルターおよび二つの光電変換部に分割されたひとつの画素をもつ光電変換セルより、画像を形成する画像信号も焦点検出のための位相差信号も出力することができるようにすると、マイクロレンズの形状において相反する2つの要求がなされることになる。
【0008】
まず、画像を形成するための画像信号出力については、ふたつに分割された光電変換部の両方を足し合わせて読み出しを行う(加算モード)。
【0009】
画像信号の出力によって形成される被写体画像については、撮影レンズの絞り値と撮像素子に到達する入射光量の関係がAPEX(Additive System of Photographic Exposure)に従うことが望ましい。つまり、設定絞り値によって変化する撮影レンズの射出瞳の面積と撮像素子受光部(ふたつに分割された光電変換部の両方)への入射光量が比例関係にあるようにすれば、銀塩カメラと同様に被写体輝度、撮像素子の感度、シャッター速度および絞り値の各パラメータが一義に設定可能となる。この関係を満たすには、理想的には、撮像素子の受光部と撮影レンズの射出瞳が互いに共役関係になるように、つまり射出瞳から射出される光束が撮像素子の受光部面で結像するようにマイクロレンズのパワーが設定され、さらに撮影レンズの射出瞳が最大となる絞り値(開放絞り値)をとっても、受光部をマイクロレンズを介して射出瞳に投影した投影像が射出瞳よりも大きくなるように受光部の面積および投影倍率が設定されればよい。
【0010】
しかし実際には、各セルには受光部の他にアンプ回路や転送部等が配設されているので、近年の高画素化に伴い、1セルあたりの受光部面積比率は減少の傾向にある。そのため、実際には受光部は充分な面積を占めることができず、射出瞳に投影した投影像は射出瞳よりも小さく、すなわち開放絞り値における射出瞳を投影像が内包する関係を実現できなくなっている。換言すると、射出瞳から射出した光線が、射出した位置によっては受光部には届かず光電変換されないことになる。
【0011】
そこで、射出瞳から射出する光束のうちできるかぎり広い光束が受光部に到達するように、マイクロレンズのパワーを、結像状態を実現するパワーから虚像状態を形成するパワーにシフトした状態、つまりマイクロレンズによる結像面は実際の受光部面より後方に位置するようにパワーを設定する手法がとられるようになってきている。このようにマイクロレンズのパワーが設定された撮像素子においては、充分な受光部面積がとれない場合でも、結像状態を実現するマイクロレンズパワーをもつ撮像素子に比較して、射出瞳の面積と受光部への入射光量の比例関係は改善される。したがって、画像信号のみを出力する撮像素子においては、この方向にのみ注目してマイクロレンズのパワーを設定すればよいことになる。
【0012】
一方、焦点検出を行うための位相差信号出力については、ふたつに分割された光電変換部のそれぞれから独立に読み出しを行う(非加算モード)。
【0013】
従来のAFユニットを別途もつ一般的な、位相差方式による焦点検出に関しては、デフォーカス量Dは、像ずれ量Pと比例定数Kを用いて、
D≒KP …(1)
で表されるが、比例定数KはAFユニット部品のひとつである二次結像レンズの前に置かれるAF絞りの開口間距離であるところの基線長Lの逆数に比例する。
【0014】
非加算モードにより焦点検出信号を得て焦点検出を行うこの方式においても、(1)式は成立する。ただし、この場合の比例定数Kにかかる基線長Lは、ふたつに分割された光電変換部の受光面のそれぞれをα面およびβ面とすると、α面およびβ面それぞれをマイクロレンズを介して射出瞳に投影した投影像のうち、射出瞳に囲まれた部分が形成する像の重心間距離に相当する。
【0015】
この重心間距離は、マイクロレンズのパワーを虚像状態を形成するように設定した場合、射出瞳への投影像は強度分布を示す、つまり射出瞳から射出する光線は射出瞳上の位置によって受光部に到達するときの強度が変わる(以下「瞳強度分布」という)ので、分布が均一である結像状態を実現するマイクロレンズパワーの場合に比較して、短くなる。
【0016】
基線長が短くなると、上記(1)式より像ずれ量Pの敏感度が高くなる、すなわちPの小さな誤差も算出値であるデフォーカス量Dへ大きな影響を与えることになる。従って、基線長が短いと焦点検出誤差が大きくなってしまうので、基線長は長い方が望ましいことになる。するとマイクロレンズについては、強度分布を生じない結像状態を実現するパワーに設定することが望ましいということが導ける。
【0017】
以上のように、マイクロレンズのパワー設定においては、好ましい画像信号を得るためには虚像状態を形成するように、良好な位相差信号を得るためには結像状態を実現するようにという、互いに反する要求が存在することになる。
【0018】
従って、本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、マイクロレンズパワーの設定において、好ましい画像信号を得つつ良好な位相差信号を得ることができるようにすることである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係わる撮像装置は、撮影レンズと、該撮影レンズの予定結像面に配置される固体撮像素子とを備え、該固体撮像素子は、2つの光電変換部に分割された画素とその前方に配置されたマイクロレンズとを各々備える複数の光電変換セルを有し、前記マイクロレンズの曲率半径rを、前記画素の受光面と前記撮影レンズの射出瞳が互いに共役関係になるときの前記マイクロレンズの曲率半径をr0、前記画素の分割された境界線と直交する辺を前記撮影レンズの射出瞳面に曲率半径rを有する前記マイクロレンズを介して投影したときの前記射出瞳面上での長さをZ、前記射出瞳面の半径をRとした場合に、
{(R/Z)×r0}×0.95<r<{(R/Z)×r0}×1.05
で表されるように設定したことを特徴としている。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をデジタルスチルカメラに適用した場合の一実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
図1は、本実施形態におけるデジタルスチルカメラの要部の概略を示す断面図である。
【0022】
図1において、3は固体撮像素子で、デジタルスチルカメラ1の撮影レンズ2(便宜上2枚のレンズで示したが、実際には多数のレンズから構成されている)の予定結像面に配置されている。デジタルスチルカメラ1は、カメラ全体を制御するCPU10、固体撮像素子3を駆動制御する撮像素子制御回路11、固体撮像素子3にて撮像した画像信号を画像処理する画像処理回路14、撮像された画像を表示するための液晶表示素子5とそれを駆動する液晶表示素子駆動回路15、液晶表示素子5に表示された被写体像を観察するための接眼レンズ4、固体撮像素子3にて撮像された画像を記録するメモリ回路12、画像処理回路14にて画像処理された画像を外部に出力するためのインターフェース回路13とを備えて構成されている。メモリ回路12には、撮影レンズ固有情報も記録されている。
【0023】
撮影レンズ2は、CPU10から送られてくる焦点調節情報に基づいて撮影レンズ駆動機構16によって合焦状態に調節される。CPU10は焦点検出手段を兼ねている。また20は絞り装置で、絞り駆動機構17によって所定の絞り値に絞り込まれるようになっている。
【0024】
次に本実施形態で用いる固体撮像素子3について説明する。
【0025】
従来より、固体撮像素子は、光電変換を可能とする金属と酸化物と半導体からなるMOS構造を有しており、光キャリアの移動方式によりFET型とCCD型とに分けられる。本実施形態においては、このような増幅型固体撮像素子のひとつである、CMOSコンパチブルセンサ(以降「CMOSセンサ」という)を用いることとする。
【0026】
本実施形態におけるCMOSセンサでは、1画素に2つの光電変換部を構成し、従来各光電変換部毎に設けていたフローティングディフュージョン領域(以降、FD領域)とソースフォロワアンプを、2つの光電変換部について1個だけ形成し、2つの光電変換領域を転送用MOSトランジスタスイッチを介してそのFD領域に接続している。したがって、2つの光電変換部の電荷を同時、または、別々にフローティングディフュージョン部へ転送でき、FD領域に接続した転送MOSトランジスタのタイミングだけで、2つの光電変換部の信号電荷の加算、非加算を簡単に行うことができる。この構造を利用して、撮影レンズの射出瞳全体からの光束による光電変換出力を行う第1の出力モードと、撮像レンズの射出瞳の一部からの光束による光電変換出力を行う第2の出力モードとを切り替え可能としている。画素レベルで信号の加算を行う第1の出力モードでは、信号を読み出した後で加算する方式に比べてノイズの少ない信号を得ることができる。
【0027】
図2は、撮像素子3内のエリアセンサ部の回路構成図である。同図は、2列×2行画素の2次元エリアセンサを示したものであるが、実際は列方向行方向ともに画素数を多くし、実用的な解像度を得る。
【0028】
図2において、101および201はMOSトランジスタゲートとゲート下の空乏層からなるフォトダイオード的な第1光電変換部(以下「α部」という)および第2光電変換部(以下「β部」という)、102および202は図上キャパシタの記号を付したフォトゲート、103および203はα部101およびβ部201の光電変換による電荷を転送する転送スイッチMOSトランジスタ、104はフローティングディフュージョン部FDの電荷をリセットするリセット用MOSトランジスタ、105はフローティングディフュージョン部FDの電荷をソースフォロワ型で電圧変換して増幅するソースフォロワアンプMOSトランジスタ、106は水平走査部116からのパルスφS0で画素選択する垂直選択スイッチMOSトランジスタ、107はソースフォロワ型で増幅するソースフォロワアンプMOSトランジスタ105の負荷となる負荷MOSトランジスタ、108はフローティングディフュージョン部FDの暗時電荷を転送する暗出力転送MOSトランジスタ、109はフローティングディフュージョン部FDの撮像時の蓄積電荷を明出力とする明出力転送MOSトランジスタ、110は暗出力転送MOSトランジスタ108のオンにより暗出力を蓄積する暗出力蓄積容量CTN、111は明出力転送MOSトランジスタ109のオンにより明出力を蓄積する明出力蓄積容量CTS、112および204は垂直走査部115からの制御パルスによってオン/オフする垂直転送MOSトランジスタ、113および205は垂直出力線をリセットする垂直出力線リセットMOSトランジスタ、114は明出力と暗出力との差を出力する差動出力アンプ、115は垂直転送MOSトランジスタ112,204を制御するパルスを出力する垂直走査部、116はα部101およびβ部201の電荷を読み出す転送パルス、リセットパルス、トリガパルス、選択パルスを出力する水平走査部である。
【0029】
図3は一画素分の受光部の回路構成を示す断面図である。
【0030】
図3において、117はP型ウェル、118,208はゲート酸化膜、119,209は一層目ポリSi、120,220は二層目ポリSi、121はn+フローティングディフュージョン領域である。また、図2と同一部分には同一番号を付している。例えば、α部101、β部201、フォトゲート102,202、リセット用MOSトランジスタ104、ソースフォロワアンプMOSトランジスタ105、垂直選択スイッチMOSトランジスタ106、負荷MOSトランジスタ107である。
【0031】
FD領域121は転送MOSトランジスタ103,203を介してα部101およびβ部201と接続される。なお、図3では、α部101とβ部201を離して描いたが、実際にはその境界部は極めて小さく、実用上はα部101とβ部201は接しているとみなして良い。また、上述の受光面とは、ゲート酸化膜118,208と受光部であるα部101およびβ部201との境界面であるところの、実際に光子を受けうる有効面をいう。以下この有効面のうちα部101に対応する受光面をα面、β部201に対応する受光面をβ面という。
【0032】
図4は、撮像素子3のうち受光面よりマイクロレンズ側について、1画素分の物理的構造を模式的に示した斜視図である。
【0033】
図4において、300はこの画素の中心軸、301はマイクロレンズ部であり、この高さをAとし、曲率半径をrとする。302〜304はそれぞれ屈折率の異なる層を表しており、それぞれの高さをB,C,Dとする。これらの層は、フィルター層や配線層を包含するため等の層である。305,306はそれぞれα面、β面であり、図のように中心軸を中心に互いに隣接しており、大きさは共にk1×k2で表されている。また、マイクロレンズ高さAおよび各層の高さB,C,Dの総和をhとおく。
【0034】
図5は、図4における1画素と撮影レンズの射出瞳との関係を表す模式図である。すなわち、図4においてα面305とβ面306を分割する境界線(長さk1)に直交する辺(α面、β面のうち長さk2の辺)を臨むように、撮影レンズ光軸300を側方から捉えた図である。図は説明のため相対的な大きさおよび距離の関係は無視して描かれている。また、300から306は図4における同一番号と同一部分を表す。
【0035】
図5において、310はマイクロレンズ頂点平面であり、マイクロレンズ頂点331を含み撮影レンズ光軸300に直交する平面である。311は受光面(α面305およびβ面306を含む平面)に対する換算受光面であり、マイクロレンズ頂点331からの距離Sは、アッベの零不変量より以下の式(2)により表される。
【0036】
1/S=(1−νA)/r+1/(A/νA+B/νB+C/νC+D/νD)…(2)
ここでνA、νB、νC、νDはそれぞれマイクロレンズ301および層302〜304の各屈折率を表し、rはマイクロレンズの曲率半径を表す。
【0037】
312は撮影レンズの射出瞳面であり、マイクロレンズ頂点331からHの距離に配設されている。このとき射出瞳の半径をRとする。
【0038】
次に、α面305の端点330(像高k2)から射出瞳面312に向けて発せられる光線のうち、マイクロレンズ頂点331を通過する光線が射出瞳面に到達する点を射出瞳上端点332と定義する。換言すると、被写体側から入射される光線のうち、射出瞳上端点332およびマイクロレンズ頂点331を通過する光線は、マイクロレンズ頂点および各層の境界面で屈折し、α面305の端点330に到達することを意味する。
【0039】
このとき、射出瞳上端点332の撮影レンズ光軸300からの距離Z(322)は、以下によって求められる。まず、α面の端点330(像高k2)は、換算受光面上では、
y=k2・S/(A/νA+B/νB+C/νC+D/νD) …(3)
で表される像高yの点333に相当する。次に、この点からマイクロレンズ頂点331を介して、射出瞳面312へ直線を引く。この直線と射出瞳面312との交点が射出瞳上端点332であるので、撮影レンズ光軸300からの距離Zは
Z=y(H/S) …(4)
で表されることとなる。
【0040】
さて、ここでもしマイクロレンズによって屈折した光線が受光面において結像するなら、そのときのマイクロレンズの曲率半径をr0とすると、
1/H=(1−νA)/r0+1/(A/νA+B/νB+C/νC+D/νD)…(5)
の関係式からr0を求めることが可能である。
【0041】
そこで、マイクロレンズの曲率半径rは、上記R,Zおよびr0を用いて
{(R/Z)×r0}×0.95<r<{(R/Z)×r0}×1.05…(6)
を満たすように設定することとする。
【0042】
たとえば、図6のように諸値を設定する。単位は全てμmで表している。このとき撮影レンズはF1.0の開放絞りを有することとするとR=40000となり、上記(2)式から(5)式を用いることにより、Z=26910,r0=3.50を得る。このときのrは上記(6)式を満たしていることが確認できる。
【0043】
この適用例を実施した場合のF値に対する基線長の推移と、F値に対する光量比例性の推移を、上記(6)式を満たさない適用範囲外の曲率半径を持つ場合と比較して行ったシミュレーションの結果を、図7および図8に示す(シミュレーションはF1.0からF8.0の範囲で行っている)。
【0044】
図7においては、横軸はF値の推移を対数表示で表し、縦軸は基線長を表している。上記適用例のほうが各F値において長い基線長が確保されていることがわかる。すなわち撮影レンズの絞りを絞ったとしても、適用範囲外のマイクロレンズを有する場合よりも精度の高い位相差方式のAFが可能であることを示している。
【0045】
図8においては、横軸はF値の推移を対数表示で表し、縦軸はF1.8を基準としたときの各F値の段数差を表している。理想的にAPEXに従う場合には全てのF値において0を示すはずであるが、実際には絞りと受光光量の関係が正確には比例関係に従わず、例えば1段絞っても0.7段分しか光量が落ちない場合は基準絞り値に対して+0.3段ということになる。この適用例では、適用範囲外に比較して、各F値において0に近い側で推移していることがわかる。したがって光量比例性においても、より好ましい結果が得られているといえる。
【0046】
以上説明したように、上記の実施形態によれば、マイクロレンズパワーの設定において、好ましい画像信号を得つつ良好な位相差信号を得ることができる平衡領域にパワーを設定した撮像素子を提供することができる。すなわち、好ましい画像信号とはAPEXにより近い光量比例関係を維持することであり、良好な位相差信号とは比例定数の敏感度が小さい信号のことである。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、マイクロレンズパワーの設定において、好ましい画像信号を得つつ良好な位相差信号を得ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係わるデジタルスチルカメラの要部の概略を示す断面図である。
【図2】撮像素子の回路構成図である。
【図3】一画素分の受光部の回路構成を示す断面図である。
【図4】1画素分の物理的構造を模式的に示した斜視図である。
【図5】画素と撮影レンズの射出瞳との関係を表す模式図である。
【図6】本発明の一実施形態における諸設定値を示す図である。
【図7】一実施形態におけるF値に対する基線長の推移を示す図である。
【図8】一実施形態におけるF値に対する光量比例性の推移を示す図である。
【符号の説明】
1 デジタルスチルカメラ
2 撮影レンズ
3 固体撮像素子
4 接眼レンズ
5 液晶表示素子
10 CPU
11 撮像素子制御回路
12 メモリ回路
13 インターフェース回路
14 画像処理回路
15 液晶表示素子駆動回路
16 撮影レンズ駆動機構16
17 絞り駆動機構
20 絞り装置
Claims (1)
- 撮影レンズと、
該撮影レンズの予定結像面に配置される固体撮像素子とを備え、
該固体撮像素子は、2つの光電変換部に分割された画素とその前方に配置されたマイクロレンズとを各々備える複数の光電変換セルを有し、前記マイクロレンズの曲率半径rを、前記画素の受光面と前記撮影レンズの射出瞳が互いに共役関係になるときの前記マイクロレンズの曲率半径をr0、前記画素の分割された境界線と直交する辺を前記撮影レンズの射出瞳面に曲率半径rを有する前記マイクロレンズを介して投影したときの前記射出瞳面上での長さをZ、前記射出瞳面の半径をRとした場合に、
{(R/Z)×r0}×0.95<r<{(R/Z)×r0}×1.05
で表されるように設定したことを特徴とする撮像装置。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060307 |