JP2004190089A - 無機ナノ粒子融合又は融着構造体の製造方法及びその融合又は融着構造体 - Google Patents

無機ナノ粒子融合又は融着構造体の製造方法及びその融合又は融着構造体 Download PDF

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Abstract

【課題】ナノサイズの無機化合物材料から無機ナノ粒子融合構造体又は融着構造体を生成する製造方法の提供及びこの製造方法により得られる無機ナノ粒子融合構造体又は融着構造体の提供。
【解決手段】表面が有機被膜で被覆された複数の無機ナノ粒子をプラズマ処理することにより前記有機被膜を分解、除去し、前記無機ナノ粒子同士を融合又は融着させて無機ナノ粒子融合若しくは融着構造体を生成し、又は幅長に対する全長の比が3以上である線状構造を有する無機ナノ粒子融合又は融着構造体。
【選択図】 図16

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無機ナノ粒子融合又は融着構造体の製造方法及びその製造方法により得られる無機ナノ粒子融合又は融着構造体に関する。より詳しくは、本発明は、ナノサイズの幅、厚さ及び大きさ等を有する線状又は薄膜状の無機ナノ粒子融合又は融着構造体の製造方法並びにその製造方法により得られる無機ナノ粒子融合又は融着構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ナノメートルサイズ(以下「ナノサイズ」という)で厚み、形状等が制御された無機化合物材料は、表面の化学的、力学的及び光学的特性を大きく改善し得ることが報告されている。それ以来、蛍光材料、磁性材料、各種センサーの製造、高密度の電子デバイスなどの各種の分野においてナノテクノロジーに関する研究が盛んに行われている。
【0003】
従来、ナノサイズに制御した無機化合物からなる構造物を作製するためには、CVD法、スパッタリング法、蒸着法、電着法、電析法、浸漬法、スピンコーティング法、金型成型、レーザーアブレーションなどの各種の方法が用いられていた。
例えば、金属酸化物の薄膜を作製する場合には、一般にスピンコーティング法が用いられてきた(例えば、特許文献1参照)。この方法は、複数の金属アルコキシド化合物の混合溶液に必要に応じて水や触媒を添加し、基板表面にスピンコーティングする方法であり、コーティング溶液の濃度や粘度を制御することにより100nm程度の薄膜を製造することも可能である。しかしながら、スピンコーティング法では、膜厚をコーティング溶液の粘度と回転速度で制御しており、100nm以下の均一な厚みの超薄膜を得ることが困難であり、特に大面積の基板を用いた場合、得られる薄膜の膜厚が中心部と周辺部とで異なってしまうという問題があった。さらに、しばしば微小な相分離構造が生じてしまうという問題もあった。
【0004】
また、圧力、基板温度、原料となるガスやターゲットの選択範囲が広く、かつ膜厚や化合物の組成を制御しながら均一な薄膜を製造できるとの理由から、ナノサイズの無機薄膜、無機パターンの製造には、MOCVD法(CVD法)、イオンビームによるスパッタリング法、レーザーアブレーション法などが用いられてきた(例えば、特許文献2、3参照)。しかしながら、これらの方法では、一部の複合金属酸化物又は複合金属を除き、エピタキシャル成長させることが難しく、ナノレベルで組成や膜厚の制御が困難であるという問題があった。さらに、エピタキシャル成長の条件設定の範囲が狭く、実用的な薄膜製造技術とはなっていなかった。
【0005】
また、ナノサイズで無機化合物のパターン化、配線化を実現させる方法としては、X線、EB(電子線)によるリソグラフィー法が知られている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、リソグラフィー法では、ダウンサイジングを行う場合、基本的にはマスクのサイズに大きく依存してしまうという大きな問題があった。さらに、リソグラフィー装置を使用する必要があり、この装置では高度の真空系を維持しなければならない点と、その装置の使用及び維持には高額の費用を要するという問題もあった。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−84474号公報(請求項1、第2頁[0009]〜第4頁[0019])
【特許文献2】
特開2000−169297号公報(請求項1,2、第3頁[0017]〜[0019])
【特許文献3】
特開平9−309798号公報(請求項1、第2頁[0009]〜[0011]、第4頁[0017]〜第6頁[0031])
【特許文献4】
特開2000−58490号公報(請求項1〜4、第2頁段落[0005]〜[0007])
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の第一の目的は、ナノサイズの無機化合物材料から無機ナノ粒子融合又は融着構造体を生成する製造方法を提供することにある。さらに、本発明の第二の目的は、この製造方法により得られる無機ナノ粒子融合又は融着構造体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、無機化合物材料からナノサイズの径、形状、厚さ、大きさ等を有する構造体を生成するための手段を鋭意検討した。その結果、本発明者らは、室温において、表面が有機被膜で被覆された無機ナノ粒子(以下、「有機被覆無機ナノ粒子」ともいう)をプラズマ処理することにより、所望の形状等を有する無機ナノ粒子からなる構造体の作製に成功し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の第一の目的は、以下の融合又は融着構造体の製造方法により達成される。
(1)表面が有機被膜で被覆された複数の無機ナノ粒子をプラズマ処理することにより前記有機被膜を分解、除去し、前記無機ナノ粒子同士を融合又は融着させて無機ナノ粒子融合又は融着構造体を生成することを特徴とする融合又は融着構造体の製造方法。
(2)表面が有機被膜で被覆された複数の無機ナノ粒子を有機又は無機のテンプレート若しくはパターン上に付着させた後、プラズマ処理することにより前記有機被膜及び有機のテンプレート又はパターンを分解、除去し、前記無機ナノ粒子同士を融合又は融着させて無機ナノ粒子融合又は融着構造体を生成することを特徴とする無機ナノ粒子の融合又は融着構造体の製造方法。
(3)前記表面が有機被膜で被覆された無機ナノ粒子の平均粒径が1〜50nmである(1)又は(2)に記載の製造方法。
(4)前記有機被膜が無機ナノ粒子を安定化し得る、硫黄原子、窒素原子又は酸素原子を含む有機化合物からなる(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法。
(5)前記無機ナノ粒子がAu、Ag、Pd、Pt、Cu、Ni、Co、Fe、Mn、Ru、Rh、Os及びIrから選ばれる少なくとも一種の金属ナノ粒子、MαSeβ又はMαβ表される少なくとも一種の金属カルコゲナイド化合物ナノ粒子(但し、Mは1価〜3価の金属元素、αは1又は2、βは1〜3の整数である。)、又はMで表される少なくとも一種の金属酸化物ナノ粒子(但し、Mは1〜3価の金属元素、xは1又は2、yは1〜3の整数である。)である(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法。
(6)前記無機ナノ粒子の平均粒径が1〜20nmである(1)〜(5)のいずれかに記載の製造方法。
【0010】
本発明の製造方法では、有機被膜で被覆されて安定化した無機ナノ粒子を一次元(線状)、二次元(平面状)又は三次元(立体状)に配置した後、低温(室温)でプラズマ処理することにより、有機被膜を分解、除去して無機ナノ粒子同士を融合又は融着させる。有機被膜で被覆された無機ナノ粒子のプラズマ処理を行うと、先ず無機ナノ粒子表面の有機被膜が分解、除去される。この状態でさらにプラズマ処理を継続すると、無機ナノ粒子は、非常に高いエネルギーを示すようになり、無機ナノ粒子同士が準安定な状態をとるために互いに移動して融合又は融着するようになる。本発明者らは、この性質を利用して室温程度の低温条件下で無機ナノ粒子融合又は融着構造体を生成することに初めて成功した。
なお、本明細書において「融合構造体」とは、構成される複数の無機ナノ粒子がその原形を止めない状態で一つの連続体を形成したものを意味する。また、本明細書において「融着構造体」とは、構成される複数の無機ナノ粒子が相互に接続されて又は一部原形を止めた状態で一つの連続体を形成したものを意味する。
【0011】
本発明の製造方法であれば、従来の方法では制御が困難とされてきたナノサイズ(数nm)の細線状又は薄膜状の無機ナノ粒子融合又は融着構造体を低温で容易に作製することができる。また、本発明の製造方法では、種々の無機ナノ粒子が使用できるため、無機粒子に依処した各種の機能をもつ無機ナノ粒子融合又は融着構造体を生成することができる。また、本発明の製造方法では、ナノサイズレベルでの無機ナノ粒子の配置制御が可能であるため、生成される無機ナノ粒子融合又は融着構造体の構造(例えば、相分離構造や完全相溶構造など)を制御できる。
【0012】
さらに本発明の製造方法では、複数の有機被覆無機ナノ粒子を有機又は無機のテンプレートやパターン上に付着させた状態でプラズマ処理して無機ナノ粒子融合又は融着構造体を作製することもできる。この方法では所定のテンプレート又はパターンを適宜選択することにより、所望の長さ、大きさ及び形を有する無機ナノ粒子融合又は融着体を作製することができる。その上、この方法では、使用した有機テンプレート又はパターンがプラズマ処理により完全に有機被膜と共に分解、除去されるため、プラズマ処理による清浄効果により生成された無機ナノ粒子融合又は融着構造体中に有機化合物が残留することもない。
【0013】
また、本発明の第二の目的は、以下の無機ナノ粒子融合又は融着構造体により達成される。
(1)前記製造方法により得られる無機ナノ粒子融合又は融着構造体。
(2)幅長が2〜10nmであり、かつ幅長に対する全長の比が3以上である線状構造を有する無機ナノ粒子融合又は融着構造体。
(3)前記無機ナノ粒子がAu、Ag、Pd、Pt、Cu、Ni、Co、Fe、Mn、Ru、Rh、Os及びIrから選ばれる少なくとも一種の金属ナノ粒子、MαSeβ又はMαβ表される少なくとも一種の金属カルコゲナイド化合物ナノ粒子(但し、Mは1価〜3価の金属元素、αは1又は2、βは1〜3の整数である。)、又はMで表される少なくとも一種の金属酸化物ナノ粒子(但し、Mは1〜3価の金属元素、xは1又は2、yは1〜3の整数である。)である(1)又は(2)に記載の構造体。
(4)幅長が2〜10nmであり、かつ幅長に対する全長の比が3以上である線状構造を有する(1)に記載の構造体。
(5)多粒子層からなる薄膜構造を有する(1)に記載の構造体。
【0014】
本発明の構造体は、幅長が2〜10nmであり、かつ幅長に対する全長の比が3以上の線状構造体である。したがって、本発明の構造体であれば、これまで作製が困難とされていた集積回路の配線等として利用することができる。また本発明の構造体は、本発明の製造方法により形状等を目的や用途に応じて自由に生成できるため、例えば、細線状、薄状等の構造を有することができる。また、本発明の構造体は、量子サイズ効果などの無機ナノ粒子の有する特性をある程度維持させることができる。さらに、本発明の構造体は、無機ナノ粒子が有する特性(例えば、伝導特性、光吸収特性など)を大きく変化させることもできる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の製造方法及び構造体についてさらに詳細に説明する。
[無機ナノ粒子融合又は融着構造体の製造方法]
<有機被覆無機ナノ粒子>
本発明の製造方法では、有機被覆無機ナノ粒子が原料として使用される。有機被覆無機ナノ粒子は、核となる無機ナノ粒子の表面を有機被膜で被覆された構造を有する。
【0016】
本発明において、「無機ナノ粒子」とは、ナノサイズの大きさを有する粒子状の無機化合物を意味し、例えば、金属粒子、金属カルコゲナイド化合物、金属酸化物及びこれらの合金類などを挙げることができる。
金属粒子の具体例としては、例えば、Au、Ag、Pd、Pt、Cu、Ni、Co、Fe、Mn、Ru、Rh、Os、Irなどを挙げることができる。中でも高い化学的安定性を有するAu又はPtであることが好ましい。
金属カルコゲナイド化合物は、一般式MαSeβ又はMαβで表すことができる。但し、Mは1価〜3価の金属元素であり、αは1又は2、βは1〜3の整数である。具体的には、例えば、CdS、CdSe、HgS、HgSe、PbS、PdSe、CuS、CuSe、In、InSe、ZnS、ZnSeなどを挙げることができ、中でも有機被膜として好適に用いられるCdS又はCdSeであることが好ましい。
金属酸化物は、一般式Mで表すことができる。但し、Mは1〜3価の金属元素であり、xは1又は2、yは1〜3の整数である。具体的には、例えば、Fe、AgO、TiO、SiOなどを挙げることができ、中でも有機被膜として好適に用いられるFe、TiO、SiOであることが好ましい。
金属粒子、金属酸化物又は金属硫化物の合金類としては、例えばAu/Pt、Au/Ag、Pt/Pd、Au/TiO、Ag/SiO、ZnS/ZnSeなどを挙げることができ、中でも化学的安定性に優れたAuやPtが含まれる合金であることが好ましい。
【0017】
無機ナノ粒子の粒径(大きさ)は、ナノサイズであれば特に限定されず、生成すべき融合又は融着構造体に応じて適宜決定することができる。例えば、無機ナノ粒子の粒径としては、1〜50nmであることが適当であり、1〜20nmであることが好ましく、2〜10nmであることがさらに好ましい。
【0018】
上記無機ナノ粒子の表面は、有機化合物からなる有機被膜によって被覆される。これにより無機ナノ粒子は、安定した状態で存在することができる。
なお、本明細書において「安定」とは、余剰の有機化合物や助剤、その他の還元剤及びその分解物等が存在しない状態で有機化合物により覆われた無機ナノ粒子が粉末として採取でき、適切な溶媒に再分散してもその形状、サイズ等が変化せず、又は長期に亘って(例えば半年以上)保存できることをいう。
【0019】
上記有機化合物は、無機ナノ粒子表面を被覆でき、かつ無機ナノ粒子を安定化させ得るものであれば特に限定されない。好ましくは無機ナノ粒子と高い親和性を示す官能基を含む有機化合物であり、より好ましくは無機ナノ粒子を安定化させることのできる、硫黄原子(例えば、チオール、スルフィド、ジスルフィド、ジチオカルバメートなど)窒素原子(例えば、アミン、ニトリル、イソニトリル、ニトロソ化合物、ピリジン系化合物など)、酸素原子(例えば、ピロリドンなど)を含む有機化合物である。無機ナノ粒子と高い親和性を示す官能基を有する有機化合物は、その官能基を介して無機ナノ粒子表面に共有結合又は配位結合を形成することができる。本発明の製造方法では、このような化学結合により、上記官能基を有する有機化合物を自己組織化させて、無機ナノ粒子表面上に有機化合物の有機被覆層を形成することができる。
【0020】
上記有機化合物の具体例としては、例えば、アルカンチオール、アルキルアミン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジンなどを挙げることができる。特に有機被覆無機ナノ粒子の調製又は精製の後においても変化しない化合物であることが好ましい。さらに、高分子量の化合物よりも低分子量の被覆剤(例えば、数量体の化合物、オリゴマーなど)の方が好ましい。
より具体的には、ビス(11−トリメチルアンモニオウンデカノイルアミノエチル)ジスルフィドジブロミド、N−ジメチルジオレイルアンモニウムブロミド、ドデカンチオール、11−トリメチルアンモニオウンデカノイルアミノエチルチオールブロミドなどを挙げることができる。
【0021】
有機被覆無機ナノ粒子の調製時における無機ナノ粒子の原料となる金属塩又は有機金属化合物と有機被膜を形成する有機化合物との配合量の比は、好ましくは1: 5〜1:0.1であり、さらに好ましくは1:5〜1:0.5である。調製時の無機ナノ粒子(金属塩)と有機化合物の配合量の比を上記の範囲内で調整することにより、有機被覆無機ナノ粒子の大きさを平均粒径で1〜50nm、好ましくは1〜20nm、さらに好ましくは1〜5nmの範囲に制御できる。また、より大きな粒径の有機被覆無機ナノ粒子を得るためには、より小さな無機ナノ粒子を核として成長させるシード法などを利用することができる。これらは同様なプロセスによって大きな粒径を有する有機被覆無機ナノ粒子を調製できる。
【0022】
有機被覆無機ナノ粒子の調製は、同一形状の有機被覆無機ナノ粒子が得られる方法であれば特に限定されず、例えば、液相又は気相のいずれで調製してもよい。例えば、有機被覆無機ナノ粒子を液相で調製する場合、無機ナノ粒子の原料となる金属塩又は有機金属化合物を溶媒中に混入し、これに被覆する有機化合物を加え、還元することによって調製することができる。有機被覆無機ナノ粒子の調製に用いられる溶媒は、有機被膜、無機ナノ粒子の原料となる金属塩又は有機金属化合物を溶解又は混合し得る溶媒であれば、特に限定されない。また調製できる条件であれば、調製に用いられる溶媒は、必ずしも作製した有機被覆無機ナノ粒子を分散させる溶媒である必要はない。例えば、溶媒として水、トルエン、THF、メタノール、エタノール、クロロホルム、ヘキサンなどを用いることできる。
【0023】
また、有機被覆無機ナノ粒子調製時の金属塩溶液及び有機被膜の濃度は、使用する溶媒によって異なるが、好ましくは0.1〜50mM、さらに好ましくは1〜40mM、最も好ましくは1〜10mMである。いずれの溶媒を用いた場合であっても、精製後の有機被覆無機ナノ粒子の粉末が適切な分散媒に安定して再分散できるように、有機被覆無機ナノ粒子の濃度が決定される。
【0024】
有機被覆無機ナノ粒子の調製時には適宜還元剤を用いることができる。そのような還元剤としては、例えば、水素化ホウ素ナトリウムなどのアルカリ金属水素化ホウ素酸塩類、アンモニウム水素化ホウ素酸塩類、ヒドラジン系化合物、ジメチルアミノエタノール、ジメチルエチルアミンなどの2級、3級アミン化合物が挙げられる。さらに調製には水素又はジボランなどガスを用いて行うこともできる。さらに調製時に紫外線照射分解法により光還元を行うことも可能である。
【0025】
<プラズマ処理>
本発明の製造方法では、前記の有機被覆無機ナノ粒子をプラズマ処理することにより前記有機被膜を分解、除去し、前記無機ナノ粒子同士を融合又は融着させて融合又は融着構造体を生成する。
【0026】
本発明の製造方法で用いられるプラズマは、低温プラズマである。本発明の製造方法では、有機被覆無機ナノ粒子を低温プラズマ処理することにより、例えば以下のような利点を得ることができる。
(1)低温プラズマ処理では、これまで高温でなければ起こり得なかった反応も低温下で容易に促進させることができる。また低温プラズマ処理により、不活性分子(例えば、窒素分子)を容易に原子又はイオン化状態に変化させることができる。
(2)低温プラズマ処理により、熱に弱い有機化合物に対しても堆積、エッチング、表面処理など様々な加工プロセスが可能である。特に、熱処理における膜剥離の原因となっていた膨張、収縮、変形、クラッキングなどを低温プラズマ処理により解消できるため、エレクトロニクス分野では有意義である。
(3)低温プラズマ処理により、有機化合物を原料として、無機化合物やセラミックスを合成したり、絶縁性の有機金属化合物を金属的性質や超伝導を示す物質に変えたりすることができる。これらの原理を使えば、プラズマ出力、真空度、基板温度などプラズマ条件を連続的に変化させることにより、絶縁体から金属まで膜厚方向に電導度を連続的に又は断続的に変化させ、いわゆる傾斜材料や積層材料を合成することができる。
(4)低温プラズマ処理は、閉じた系であるため、有毒なガスを使用又は発生させてもトラップにより容易に回収処理することが可能である。これに対し、湿式コーティング法による金属鍍金の場合のような廃液処理の問題もない。また乾燥工程のような後処理を必要としないので省エネルギー型のプロセスである。
【0027】
本発明の製造方法において、プラズマ処理に用いられるプラズマ源は、特に制限されず、各種のプラズマ源を用いることができる。好ましくは酸素(O)又は水素(H)プラズマである。また、プラズマ処理時間及びプラズマ出力は、プラズマ処理する有機被覆無機ナノ粒子の種類、大きさ、プラズマ源などに応じて適宜決定することができる。例えば、低温プラズマ処理のプラズマ出力については、処理時間が45分未満の場合には、10〜200Wであることが好ましく、10〜50Wであることがさらに好ましい。また、処理時間が45分以上である場合には、1〜50Wであることが好ましく、1〜40Wであることがさらに好ましい。低温プラズマの処理温度は、低温であり、好ましくは−30〜300℃であり、さらに好ましくは0〜100℃であり、最も好ましくは室温(5〜40℃)である。
【0028】
プラズマ処理に用いるプラズマ装置は、特に限定されず、例えば、サウスベイ社製(South Bay Technology,USA)のPE−2000 プラズマエッキャー(Plasma etcher)などを用いることができる。
【0029】
本発明の製造方法では、複数の有機被覆無機ナノ粒子を有機又は無機のテンプレート若しくはパターン上に付着させた後、プラズマ処理することにより有機被膜及び有機テンプレート又は有機パターンを分解、除去し、無機ナノ粒子同士を融合又は融着させて無機ナノ粒子融合又は融着構造体を生成することができる。
【0030】
有機テンプレートとしてDNAを使用し、化学還元法を用いて線状の無機ナノ粒子の連続構造体を生成した例はこれまでにいくつか報告されている(例えば、Jan Richterら、Nanoscale Palladium metallization of DNA, advanced Materials, 2000,12,No.7 p507−509)。しかし、化学還元法ではDNAを完全に取り除くことは不可能であるため、生成される連続構造体は無機ナノ粒子とDNA残渣の混合体となっている。本発明の製造方法は、有機テンプレート又は有機パターンを使用してもプラズマ処理により有機テンプレート又は有機パターンを完全に分解、除去できるため、生成される連続構造体は純粋な無機ナノ粒子の融合又は混合構造体である。本発明の製造方法であれば、所定の有機テンプレート又は有機パターンを使用することにより所望の径、形状、厚さ、大きさ等を有する無機ナノ粒子融合又は融着構造体を簡単に作製できる。
【0031】
本発明の製造方法で使用可能な有機テンプレート又は有機パターンは、特に限定されず、プラズマ処理により分解、除去可能な種々の有機化合物からなるテンプレート又はパターンを用いることができる。そのような有機化合物としては、例えば、DNA、カーボンナノチューブ、TMV(タバコモザイクウィルス)など軸比の大きな高分子、分子集合体からなるテンプレートなどが挙げられる。
一方、本発明の製造方法で使用可能な無機テンプレート又はパターンで用いられる無機化合物としては、例えば、ガラス(ケイ酸塩)、TiO、金、銀などが挙げられる。
【0032】
プラズマ処理され、有機被膜が分解、除去された無機ナノ粒子同士は、準安定化状態をとるために、相互に融合又は融着し、無機ナノ粒子融合又は融着構造体を形成する。形成された無機ナノ粒子融合又は融着構造体は、紫外可視吸収分光測定(Shimadzu UV−3100PC UV−VIS−NIR spectrophotometer)及び透過型電子顕微鏡(JEOL JEM2000−EX )などの観察により融合挙動を評価することができる。
【0033】
[無機ナノ粒子融合又は融着構造体]
本発明の構造体は、本発明の製造方法で得られる場合には、線状(一次元)、平面状(二次元)及び立体状(三次元)のいずれの構造体であることができ、線状構造又は薄膜構造を有する構造体であることが好ましい。
【0034】
本発明の構造体が直線構造を有する場合、幅長は2〜200nmの範囲内であり、好ましくは2〜20nmであり、さらに好ましくは2〜10nmである。また幅長に対する全長の比(線状連続構造体の長さ/幅)、すなわち軸比は、3以上であり、好ましくは10以上であり、さらに好ましくは1000以上であり、最も好ましくは10000以上である。
【0035】
無機ナノ粒子の線状連続構造体としては、これまでに電子線照射法により得られた連続構造体が知られている。しかし、この連続構造体の幅は、せいぜい30nm程度までが限界であり、それ以下の幅の構造体は得られていない(Manfred T. Reetzら、J. American Chemical Society 1997, 119, 4539−4540)。一方、上述したDNAなどの有機テンプレート上に無機ナノ粒子を付着させ、化学還元法により直線状の構造体を得ることもできる。しかし、化学還元法では有機テンプレート物質を完全には分解、除去できないため、得られた直線状の連続構造体は、純粋な無機ナノ粒子からなるものではなく、無機ナノ粒子と有機物質との混合体である。
これに対し、本発明の構造体は、幅長と軸比とを適宜調整できるため、例えば、幅長を2〜20nmとし、さらに幅長に対する全長の比を3以上とすることにより、従来の構造体よりも遥かに細幅の直線状の連続構造体を得ることができる。また、本発明の構造体は、純粋な無機ナノ粒子だけで構成される直線状の連続構造体であり、構造体中には有機テンプレート物質は一切含有しない。
【0036】
本発明の構造体が薄膜構造体である場合、多粒子層からなることが適当であり、膜厚は2〜20nmであることが好ましく、2〜50nmであることがさらに好ましい。
【0037】
本発明の構造体を構成する無機ナノ粒子は、特に限定されるものではなく、種々の無機ナノ粒子を用いることができる。好ましくは、本発明の製造方法で列記された金属粒子、金属酸化物、金属カルコゲナイド化合物及びこれらの合金類を用いることである。また、本発明の構造体が直線状の連続構造体である場合には、幅長よりも小さい径の無機ナノ粒子から構成されることが好ましい。
【0038】
本発明は、組成や組織構造が異なる広範囲の複合又は単独の金属、金属酸化物、金属カルコゲナイド化合物等からなる無機ナノ材料を提供することができる。この無機ナノ材料は、従来の材料とは異なる物理化学的特性や電子特性を有する材料となり得るため、例えば、金属イオンの組み合わせや融合された構造を有することにより、絶縁体から導電体までの幅広い電気物性を示し、導電材料や絶縁材料、誘電体などとしての応用が可能である。特に、半導体材料からなる無機ナノ粒子融合又は融着構造体では量子サイズ効果が期待できる。特に、ドット状、(二次)粒子状、細線状のナノ材料においては、この効果が著しいものとなる可能性がある。
【0039】
また、磁気特性又は感光特性を示す無機ナノ粒子を用いれば、次世代の磁気記憶材料又は光記憶材料としての応用が期待できる。さらに、無機ナノ粒子の屈折率を制御すれば、新しい光学特性を有する薄膜材料を作製することができる。さらに、無機ナノ粒子からなる無機ナノ粒子融合又は融着構造体は、新しい発光材料としての開発が期待できる。さらに、紫外・可視光を吸収する無機ナノ粒子からなる薄膜材料では、光エネルギーの捕捉や光電変換材料としての利用が期待できる。
【0040】
また、遷移金属イオンからなるナノ粒子を用いると、高効率な触媒材料の開発が可能となる。一方、本発明で使用する無機ナノ粒子は、さらなる修飾や逐次融合が可能である。さらに、本発明の融合又は融着構造体は、優れた力学特性や熱安定性、化学安定性を示し、この特性を用いれば材料表面のコーティング剤としての利用にも有用である。さらに、材料表面のぬれ性や分子吸着特性を本発明の融合又は融着構造体により制御することも可能となる。
【0041】
また、本発明の融合又は融着構造体は、プラズマ処理により穏和(室温)な条件下で簡単に得られるため、あらゆる形状の表面、パターン及び大面積を有する基板としての応用が可能であり、特にデバイス基材として好適に用いることができる。
【0042】
【実施例】
以下に、本発明の無機ナノ粒子融合又は融着構造体及びその製造方法の好適な実施例について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、形状、種類、サイズ等は、本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。
【0043】
1.有機被覆無機ナノ粒子の調製
(1)7.8nmカチオン性金ナノ粒子の調製(I)
500mlの三角フラスコに5mMの塩化金酸四水和物(HAuCl・(HO))(Mw:411.85)水溶液を90ml加えた。さらにこれに3mlの酢酸を加えた。次いで、撹拌下、ビス(11−トリメチルアンモニオウンデカノイルアミノエチル)ジスルフィドジブロミド(有機被膜分子)を塩化金酸に対して硫黄原子換算で有機被膜分子/金属塩=2:1になるように加えた。次いで激しく撹拌させながら、0.4Mの水素化ホウ素ナトリウム(Mw:37.83)水溶液15mlをペリスタルティックポンプを用いて滴下速度1ml/minで滴下した。反応容器内は次第に黒茶色に変化した。この状態でさらに数分間撹拌を続けた。反応終了後、ゆっくりと攪拌しながら、これに約3倍量のアセトンをゆっくりと加えていき、生成した超微粒子を沈殿させた。この沈殿物を直ちにメンブランフィルター(ADVANTECH 0.1μmPTFE製)で濾取し、イオン交換水に再分散させ、限外濾過処理し、凍結乾燥させて黒色粉末を得た。得られた黒色粉末を透過型電子顕微鏡観察から無機核部分の平均粒径を求めた。
金ナノ粒子(I)平均金属核径=7.8nm(SD=3.4)
【0044】
(2)有機溶媒分散型カチオン性界面活性剤被覆金ナノ粒子の調製( II
200mlの三角フラスコに5mMの塩化金酸四水和物(HAuCl・(HO))(Mw:411.85)水溶液を15ml加えた。次いで、50mlのトルエンを加え、撹拌下、N−ジメチルジオレイルリアンモニウムブロミド(有機被膜分子)を塩化金酸に対して有機被膜分子/金属塩=2:1になるように加えた。塩化金酸はトルエン相に相転移した。70℃に加熱し、激しく撹拌させながら、0.4Mの水素化ホウ素ナトリウム(Mw:37.83)水溶液15mlをペリスタルティックポンプを用いて滴下速度5ml/minで滴下した。反応容器内は次第に黒赤色に変化した。この状態でさらに数分間撹拌を続けた。反応終了後、ゆっくりと攪拌しながらこれを室温まで冷却した。トルエン相を分取して、これに約300mlのエタノールをゆっくりと加えていき、生成した超微粒子を沈殿させた。すぐにこの沈殿をメンブランフィルター(ADVANTECH 0.1μmPTFE製)で濾取した。この操作を3回繰り返した。最終的に金属光沢を持つ粉末を得た。得られた金属光沢色粉末を透過型電子顕微鏡観察から無機核部分の平均粒径を求めた。
金ナノ粒子(II)平均金属核径=6.2nm(SD=0.7)
【0045】
(3)2.4nmドデカンチオール(C 12 25 SH)付金ナノ粒子の調製( III
500mlの三角フラスコに40mM塩化金酸四水和物(HAuCl・(HO))(Mw:411.85)水溶液を50ml加えた。次いで8mmolのテトラオクチルアンモニウムブロミドを含む200mlのトルエンを加え、撹拌し、塩化金酸イオンをトルエン層へ層転移させた。さらに撹拌しながら、ドデカンチオール(有機被膜分子)を塩化金酸に対して有機被膜分子/金属塩=2:1になるように加えた。激しく撹拌させながら、0.4Mの水素化ホウ素ナトリウム(Mw:37.83)水溶液20mlを一気に加えた。反応容器内は直ちに黒茶色に変化した。この状態でさらに3時間撹拌を続けた。反応終了後、トルエン層を分取して、約20mlになるまでトルエンを減圧留去した。これに約300mlのエタノールをゆっくりと加えて、温度−30℃で静置し、生成したナノ粒子を沈殿させた。この沈殿をメンブランフィルター(ADVANTECH 0.1μmPTFE製)で濾取した。この操作を3回繰り返した。最終的にワックス状の固体を得た。得られた固体を透過型電子顕微鏡観察から無機核部分の平均粒径を求めた。
金ナノ粒子(III)平均金属核径=2.4nm(SD=0.6)
【0046】
(4)4.6nmカチオン性金ナノ粒子の調製( IV
300mlの三口丸底フラスコに10mMの塩化金酸四水和物(HAuCl・(HO))(Mw:411.85)水溶液を80ml加えた。次いで撹拌下、(11−トリメチルアンモニオウンデカノイルアミノエチル)ジスルフィドジブロミド(有機被膜分子)を塩化金酸に対して硫黄原子換算で有機被膜分子(硫黄換算)/塩化金酸=1:1になるように加えた。加えた後、直ちに激しく撹拌しながら、0.4Mの水素化ホウ素ナトリウム(Mw:37.83)水溶液20mlをペリスタルティックポンプを用いて滴下速度10ml/minで滴下した。反応容器内は、次第に黒茶色〜黒赤色に変化した。滴下終了後、さらに数分間撹拌を続けた。反応終了後、ゆっくりと攪拌しながら、これに約等量のアセトンをゆっくりと加えていき、生成した金ナノ粒子のみを沈殿させた。この沈殿をメンブランフィルター(ADVANTECH 0.1μmPTFE製)で濾取した。続いてメタノールに分散させ、再びメンブランフィルター(ADVANTECH 0.1μmPTFE製)を通し、溶媒を留去した。イオン交換水にて再分散させ、透析処理し、凍結乾燥により、黒色粉末を得た。得られた黒色粉末を透過型電子顕微鏡観察から無機核部分の平均粒径を求めた。
金ナノ粒子(IV)平均金属核径=4.6nm(SD=0.9)
【0047】
(5)4.6nmカチオン性銀ナノ粒子の調製(V)
500mlの三口丸底フラスコに10mMの硝酸銀(AgNO)(Mw:168)水溶液を80ml加えた。続いて、撹拌下、11−トリメチルアンモニオウンデカノイルアミノエチルチオールブロミド(有機被膜分子)を硝酸銀に対して硫黄原子換算で有機被膜分子(硫黄換算)/硝酸銀=1:1になるように加えた。加えた後、直ちに激しく撹拌しながら、0.4Mの水素化ホウ素ナトリウム(Mw:37.83)水溶液20mlをペリスタルティックポンプを用いて滴下速度1ml/minで滴下した。反応容器内は、黒茶色から黒黄色に変化した。滴下終了後、さらに数分間撹拌を続けた。反応終了後、ゆっくりと攪拌しながら、これに約等量のアセトン(又はテトラヒドロフラン)をゆっくりと加えていき、生成した銀ナノ粒子のみを沈殿させた。この沈殿をメンブランフィルター(ADVANTECH 0.1μmPTFE製)で濾取し、黒色粉末を得た。精製法は前記(4)と同じ処理を行った後、さらに遠心分離機により生成を行った。得られた黒色粉末を透過型電子顕微鏡観察から無機核部分の平均粒径を求めた。
銀ナノ粒子(V)平均金属核径=4.6nm(SD=1.3)
【0048】
(実施例1)
固体基板として石英版と透過型電子顕微鏡(JEOL JEM2000−EX)の観察用にシリコンモノオキサイド薄膜をコートした銅グリッド(Silicon Monoxide Type−A, Ted Pella, USA)を使用した。
石英版(1cm×3cm, 1mm厚)を硫酸中で24時間浸漬し、よく洗浄した。次に50℃に加熱した1wt%KOHエタノール水溶液(EtOH:HO=3:2)に石英板を浸漬して2分間の超音波処理を施した。次いで調製した金ナノ粒子(I)の金濃度[Au]=12mMとなるように水分散液を調製した。これに前処理済みの石英板を20分間浸漬し、イオン交換水にて1分間の洗浄を行った。次いで窒素ガスを吹き付けて乾燥させた。
このように処理して得られた石英板について、酸素プラズマ処理(PE−2000 Plasma etcher、サウスベイテクノロジー社製, USA)をそれぞれ2.5分、 30分及び90分間(但し、時間はプラズマ処理の累計時間を示す)行い、金ナノ粒子(I)の融合構造体を作製した。なお、酸素プラズマ出力は、2.5分の場合は10W(180mTorr)、30分及び90分の場合は40W(180mTorr)で行った。また、プラズマ処理前後の試料の紫外可視吸収分光測定(島津製作所製 UV−3100PC UV−VIS−NIR spectrophotometer)を行った。図1に石英基板上に集積された金ナノ粒子(I)に対して紫外可視吸収分光スペクトル(以下、「UV−Visスペクトル」という)を示し、プラズマ処理に伴うプラズモン共鳴吸収波長の変化その測定値を表1に示す。
【0049】
【表1】
Figure 2004190089
【0050】
図1及び表1に示されるように、プラズマ処理時間が増加するにつれ、金ナノ粒子に特有なプラズモン共鳴極大吸収波長が長波長側へ大きくシフトし、かつ非常に大きなブロード化が観察された。
プラズモン共鳴極大吸収波長が長波長側にシフトしたことにより、粒径の極度の増加やアスペクト比の大きな形状に変形したことが分かる。特に800〜1000nmの長波長側の散乱吸収が増大しているため、金ナノ粒子(I)同士が融合を起こしていることが分かる。さらに、表面原子のプラズモン振動に由来する吸収があまり減少しないことから、少なくとも金ナノ粒子(I)の金属核表面が酸素プラズマ処理により酸化されていないことが分かる。これより極度の酸化的条件においても、金が非常に安定であることが分かる。
【0051】
次に、プラズマ処理に伴うUV−Visスペクトルの変化を確認するために、透過型電子顕微鏡により金ナノ粒子(I)の形態変化を観察した。
高濃度のナノ粒子分散液を基板上にキャストすることにより密に集積した二次元構造体を得るために、金濃度[Au]=12mMの金ナノ粒子(I)のメタノール分散液をシリコンモノオキサイド薄膜コートされた透過型電子顕微鏡用の銅グリッド(Silicon Monoxide Type−A, Ted Pella, USA)上に一滴滴下し、乾燥させ、観察を行った。観察結果を図2に示す。
【0052】
図2は、それぞれ酸素プラズマ処理前(a)、30分間の酸素プラズマ処理後(b)、90分間の酸素プラズマ処理後(c)のカチオン性金ナノ粒子(I)の二次元集積化構造の写真を示す。図2の処理前(a)は、完全に個々に独立した粒子であり、ナノ粒子分散液のキャストによって密に集積されたことが分かる。また酸素プラズマ処理後の写真から明らかなように、粒子がより密に存在し、近接した粒子と融合し、形状を変化させていることが分かる(30分間の酸素プラズマ処理後(b))。さらに90分間の酸素プラズマ処理後においては、より大きなドメインを形成していることから、金ナノ粒子同士がかなり融合したことが分かる。このことから酸素プラズマ処理時間を長くすると、プラズマの持つ高エネルギーによって金ナノ粒子の相互拡散が活発化し、融合が促進され、融合構造体が生成されやすくなることが分かる。
【0053】
(実施例2)
実施例1の酸素プラズマを水素プラズマに変更した以外は、実施例1と同様の方法によりプラズマ処理、紫外可視吸収分光測定及び透過型電子顕微鏡観察により挙動を観察した。図3に水素プラズマ時間90分(40W)の場合における透過型電子顕微鏡写真を示す。
図3に示されるように、水素プラズマ処理を行った場合にも金ナノ粒子(I)同士が融合していることが分かる。
【0054】
(実施例3)
金ナノ粒子(I)を基板上に直線状に並べてプラズマ処理を行った以外は、実施例1と同様の方法により金ナノ粒子の融合体を作製し、紫外線可視吸収分光測定、及び透過型電子顕微鏡観察を行った。図4に透過型電子顕微鏡写真を示す。図4に示されるように、本発明の製造方法によれば、少なくとも直径が10〜20nm程度、長さが50nm程度の直線状(分岐状)の金ナノ粒子(I)の融合体が得られることが分かる。これにより、本発明の製造方法は、テンプレートをうまく利用すれば、電子回路の分岐部分を簡単に作製できる可能性があることが分かる。
【0055】
(実施例4)
実施例1で用いた金ナノ粒子(I)を金ナノ粒子(II)に変更し、石英基板上に塗布する金ナノ粒子(II)の濃度[Au]を12mMから5mMへ変更し、かつ酸素プラズマ処理時間を2.5分間、 15分間、 30分間、 45分間、60分間及び90分間、酸素プラズマ出力は一律に10W(180mTorr)に変更した以外は、実施例1と同様の方法により金ナノ粒子(II)の融合構造体を作製した。
図5に石英基板上に集積された金ナノ粒子(II)のUV−Visスペクトル変化を示し、図6〜図10には、それぞれ酸素プラズマ処理前の金ナノ粒子(II)(図6)、2.5分間の酸素プラズマ処理後の金ナノ粒子(II)(図7)、15分間の酸素プラズマ処理後の金ナノ粒子(II)(図8)、45分間の酸素プラズマ処理後の金ナノ粒子(II)(図9及び図10)の透過型電子顕微鏡による観察結果を示した。
【0056】
図5に示されるように、実施例1と同様、プラズマ処理の時間が増加するにつれ、金ナノ粒子に特有なプラズモン共鳴極大吸収波長が大きく長波長側へシフトし、かつ非常に大きなブロード化が観察された。プラズマ処理時間45分までの変化が大きく、それ以降は大きな変化は認められなかった。また、800〜2000nmの長波長側の散乱吸収が増大しているため、金ナノ粒子(II)同士の融合が起きていることが分かる。
【0057】
図6に示されるように、プラズマ処理前の金ナノ粒子(II)の二次元集積構造体においては、金ナノ粒子(II)が単分散粒子であり(平均粒径=6.2nm、標準偏差SD=0.7nm)、比較的よく広範囲に亘り規則的に配列した単粒子層からなることが分かる。また、プラズマ処理前は、完全に個々に独立した粒子であり、金ナノ粒子核の外周には有機被膜が形成され、金ナノ粒子分散液のキャストによって有機被覆金ナノ粒子が密に集積していることが分かる。
【0058】
図7に示されるように、2.5分間の酸素プラズマ処理後には、2〜5個の粒子がそれぞれ融合したことが観察された。金ナノ粒子同士の融合は、金ナノ粒子を被覆していた有機被膜がプラズマ処理により分解、除去され、融合がより大きな領域から一部に収縮しながら形成されることが分かる。そのため一部の領域に隙間が生じたものと解される。
【0059】
図8及び9に示されるように、15分間及び45分間の酸素プラズマ処理後には、それぞれ金ナノ粒子(II)同士の融合が促進されたことが分かる。15分間の酸素プラズマ処理では非常に大きな融合体が観察され始め、さらに45分間の酸素プラズマ処理では極めて連続した融合構造体が形成されたことが分かる。また、図10に示されるように、部分的には数百nm四方の大きな単一結晶性の薄膜も形成されていた。これより、酸素プラズマ処理時間に比例して、有機被膜物質が分解、除去された後に、金ナノ粒子(II)同士が融合して金ナノ粒子(II)の融合構造体が生成されることが分かる。
【0060】
一方、酸素プラズマ処理後に金ナノ粒子が酸化されることがないかどうかを確認するために、45分間の酸素プラズマ処理を施した粒子(図11)の電子線回折により細部に至るまで0価の金であるかどうかを確認した。
図11に示されるように、酸素プラズマ処理後の金ナノ粒の電子線回折の結果、金粒子の格子距離に相当したFCC構造由来の(111)、(200)、(220)、(311)/(222)、(400)が観察された。これより、実施例1と同様、プラズマ処理後であっても金ナノ粒子(II)は酸化していないことが分かる。
【0061】
さらに90分の酸素プラズマ処理時間後における金ナノ粒子(II)融合構造体の表面層が酸化されているかどうかにつき、さらに厳格に評価するために、XPSを用いてそのスペクトルを観察した。
図12に、XPSスペクトル観察の結果を示す。図12から明らかなように、0価の金に由来したAu4f5/2(84.0 eV)、Au4f7/2(87.7 eV)の二つのピークのみが観察され、酸化金に帰属されるピークは表れなかった。これより、本発明の構造体では、比較的長い時間(90分間)酸素プラズマ処理を行っても金属ナノ粒子(II)の表面層は全く酸化されていないことが分かった。
【0062】
(実施例5)
小さい径の金ナノ粒子同士を融合させた場合に、単粒子層における変化を観察した。有機被覆無機ナノ粒子として、2.4nmドデカンチオール(C1225SH)有機被覆金ナノ粒子(III)を用いた。単粒子層は以下のようにして作成した。[Au]=5mMの金ナノ粒子(III)のトルエン分散液を調製した。次いで透過型電子顕微鏡の観察用にシリコンモノオキサイド薄膜をコートした銅グリッド(Silicon Monoxide Type−A, Ted Pella, USA)に滴下し、よく乾燥させた後に、観察した。酸素プラズマ処理を60分間施した時点で観察を行った。酸素プラズマ出力は、10W(180mTorr)で行った。図13に酸素プラズマ処理前後の透過型電子顕微鏡観察を示す。
【0063】
図13に示されるように、図13(a)のプラズマ処理前では、金属核を表す黒色の点が重なることなく一面に二次元膜を形成していることが分かる。図13(b)に示されるように、2.5分間の酸素プラズマ処理後においては、金ナノ粒子同士が面内方向にて融合し、大きな二次粒子へと成長していることが分かる。図13(c)に示されるように、さらにプラズマ処理を続けると(酸素プラズマ処理時間60分)、より大きな連続体へと変化していることが分かる。
小さい径の金ナノ粒子からなる単粒子層は、層中の金含有量も少ないため、プラズマ処理により金ナノ粒子同士の融合が開始されると、金ナノ粒子を被覆していた有機被膜(ドデカンチオール)が次第に分解、除去されていくため、金ナノ粒子間の隙間が次第に大きくなっていくが、本発明の方法であれば、小さい径の金ナノ粒子を用いても金ナノ粒子間で融合ができることが分かる。
【0064】
(実施例6)
DNAをテンプレートとした金属ナノ粒子の線状構造(一次元化)を検討した。
本実施例では、4.6nmカチオン性金ナノ粒子(IV)を無機ナノ粒子として使用した。金ナノ粒子を分子サイズ幅で一次元配列化するためのアニオン性テンプレートとして、分子的に剛直なDNAを採用し、その中でも長く、直線性の高いDNAとして代表的なλ−DNA(日本ジーン(株)、48502 bps、Mw = 3.15 × 10、Tris Buffer pH 7.9)をそのまま用いた。
金ナノ粒子(IV)とDNAの最終濃度が、それぞれ[金ナノ粒子(IV)] = 20μg dm−3、[λ−DNA] = 21.6 μgdm−3の濃度になるように混合した後、直ちに冷却しながら数秒間超音波照射した。電子顕微鏡観察には、JEOL JEM 2000−EX(加速電圧100KV)を用いた。試料は、透過型電子顕微鏡の観察用にシリコンモノオキサイド薄膜をコートした銅グリッド(Silicon Monoxide Type−A, Ted Pella, USA)に滴下し、よく乾燥させた後に、観察した。透過型電子顕微鏡による観察結果を図14に示す。
【0065】
図14より、写真中で黒く見える球が、金ナノ粒子(IV)の金属核部分である。図14(a)では、金ナノ粒子(V)が一定の粒子間隔(二つの金属核間の距離)を空けながら一次元的に並んでおり、剛直な径2nmのアニオン性ワイヤーとみなせるDNAに沿って金ナノ粒子(V)の一次元的配列が形成されていることが分かる。図14(b)は、10W(180mTorr)で60分間プラズマ処理後の状態を示す。中心部には金ナノ粒子(V)が融合して細線化していることが分かる(長さは数μm)。なお、図14には示されていないが、DNA有機テンプレートのみを10Wで15分間処理すると、DNA有機テンプレートは完全に分解、除去されていることが確認された。
これより、本発明では有機テンプレート上に予め金ナノ粒子(V)を配列した後に60分間程度プラズマ処理することにより、有機テンプレートが分解、除去され、直接、所定の幅及び長さを有する金ナノ粒子を線状構造体が得られることが明らかとなった。
【0066】
(実施例7)
実施例6と同様にDNAを用いてナノ粒子のパターン化・融合体の作成を行った。本実施例では先にDNAを基板上に固定化させ、様々に異なる幅を持つDNA束を作成し、カチオン性金ナノ粒子(IV)を固定化させた。固体基板上には、透過型電子顕微鏡の観察用にシリコンモノオキサイド薄膜をコートした銅グリッド(Silicon Monoxide Type−A, Ted Pella, USA)を用いた。
先ず、[λ−DNA] =360μgdm−3、36μgdm−3及び0.36μgdm−3となるようにDNAの溶液をそれぞれ調製し、この溶液にシリコンモノオキサイド薄膜をゆっくりと付着させ、DNA固定化基板とした。これに[金ナノ粒子(IV)]=20μgdm−3となるように調製したナノ粒子分散液を滴下し、よく乾燥させた後に、酸素プラズマ処理を45分間行った。なお、酸素プラズマ出力は10W(180 mTorr)で行った。
【0067】
図15は、[λ−DNA]=36μgdm−3の溶液から吸着させて固定化されたDNAの束上に集積された粒子の透過型電子顕微鏡の写真を示した。数μmの長さと25〜50nm程度の幅を有する細線状の長い連続構造体の形成が観察された。この場合においても、有機テンプレート上に予め金ナノ粒子(V)を配列した後に60分間程度プラズマ処理を行うことにより、有機テンプレートが分解、除去され、直接、所定の幅及び長さを有する金ナノ粒子を線状構造体が得られることが明らかとなった。
【0068】
また図16は、それぞれ濃度が異なるDNA溶液を用いてDNA上に金ナノ粒子を固定化したプラズマ処理後の金ナノ粒子融合構造体を示す。図16(a)及び(b)では約10〜20nm、図16(c)では50nm、図16(d)では約150nmの幅を有する金ナノ粒子融合細線が形成されていることが分かる。これより、本発明の製造方法では、予め設置された、様々な線幅を持つパターン状に有機被覆無機ナノ粒子を集積し、プラズマ処理によって融合させることで有機物を含まない無機ナノ粒子からなる連続構造体を自由に作製できることが分かる。
【0069】
(実施例8)
本実施例では、多粒子層からなる無機ナノ粒子融合又は融着構造体を作製してその性質を検討した。
有機被覆無機ナノ粒子として、2.4nmドデカンチオール(C1225SH)有機被膜付金ナノ粒子(III)を用いた。多粒子層は以下のようにして作成した。
[Au]=60mMの金ナノ粒子(III)のトルエン分散液を調製した。透過型電子顕微鏡の観察用にシリコンモノオキサイド薄膜をコートした銅グリッド(Silicon Monoxide Type−A, Ted Pella, USA)に滴下し、よく乾燥させた後に、観察した。酸素プラズマ処理を60分間施した時点で観察を行った。酸素プラズマ出力は、10W(180mTorr)で行った。
【0070】
図17に多粒子層の場合の酸素プラズマ処理前後の透過型電子顕微鏡観察を示す。図17(a)はプラズマ照射前、図17(b)はプラズマ照射後の変化をそれぞれ示す。図17(a)に示されるように有機被覆金ナノ粒子は各々独立しながら3層から5層ほどの積層体を形成していることが分かる。一方、図17(b)に示されるように、酸素プラズマ処理後(60分、10W)においてもほとんど大きな欠陥は見られず、連続した融合構造体として存在していた。図17から分かるように、金ナノ粒子の融合連続構造体の薄膜を得るためには、多粒子層から作製することが有効であることが分かる。
【0071】
(実施例9)
平均金属核径4.6nmの銀ナノ粒子(V)を用いた。基板処理などは実施例1と同様の方法で行った。銀ナノ粒子(V)濃度[Ag]=5mMのメタノール分散液に石英基板を浸漬した後、乾燥させて銀ナノ粒子を塗布した基板を作製した。またシリコンモノオキサイド薄膜コートされた透過型電子顕微鏡用の銅グリッド上にキャストして乾燥させ、ナノ粒子の集積体を作製した。実施例1と同様に、それぞれの基板を用いてUV−Visスペクトル測定と透過型電子顕微鏡観察を行った。
酸素プラズマ処理をそれぞれ累計処理時間15分間、30分間、又はその後30分間、60分間水素プラズマ処理を施した時点でのUV−Visスペクトルを測定した。酸素プラズマ出力は、10W(180mTorr)で行った(なお、時間はプラズマ処理の累計時間を示す)。
【0072】
図18に石英基板上に集積されたカチオン性銀ナノ粒子のUV−Visスペクトルの酸素プラズマ−水素プラズマ処理時間の依存性(22℃)を示す。実施例1と同様、プラズマ処理前には銀ナノ粒子に特有なプラズモン吸収が観測された。420nm付近にシャープな吸収が観測されたため、粒子同士が融合していないと考えられる。また、図19(a)に示されるように、プラズマ処理前においては、わずかに欠陥を有するものの比較的よく広範囲に亘り規則的に配列した単粒子層が形成されていることが分かる。また、実施例1と同様、処理前には完全に個々に独立した粒子であり、それぞれ銀粒子と銀粒子の間は有機被膜であるため、ナノ粒子分散液のキャストによって密に集積されていることが分かる。15分間の酸素プラズマ処理後は、図18に示されるようにプラズモン共鳴極大吸収波長が完全に消失し、黄色であった基板の色も完全に消失した。
【0073】
さらに15分間(累積時間計30分)のプラズマ処理により、図18に示されるように極短波長の吸収が増大し、石英基板上の外観も白く変化した。より大きな構造体形成されたために、散乱に由来する吸収が観測されたものと考えられる。また、図19(b)に示されるように30分間の酸素プラズマ処理により非常に大きな、かつコントラストがやや薄い銀ナノ粒子融合構造体が観測された。
【0074】
実施例1〜8までの金ナノ粒子の場合と異なり、銀の場合は面内方向への融合よりも、ランダムな、かつより大きな三次元集合体と変化していることが分かる。これは酸化銀の表面が非常に活性であり、プラズマエネルギーにより融合が促進されたものと考えられる。
【0075】
30分間の酸素プラズマ処理後、さらに水素プラズマ処理を30分間行った結果を図19(c)に示す。図19(c)に示されるように、酸化銀となった融合構造体が比較的その形態を保ちながら水素プラズマによって0価の銀に還元されたものと考えられる。
【0076】
図18のUV−Visスペクトルに示されるように、水素プラズマ処理後においては、プラズマ由来の吸収が再び現れ、大きなブロード化が観察され、特に400〜1500nmの長波長側の散乱吸収が増大していた。この点及び図19の透過型電子顕微鏡観察に示される酸化銀のコントラスト及び形状に鑑みれば、金ナノ粒子の場合とは異なり、プラズマ処理により無機ナノ粒子から有機被膜を分解、除去するという観点とは別に、プラズマ処理に基づく化学反応(金属⇔金属酸化物)を促進すること、及び酸化物表面の活性化と融合を促進することが考えられる。
【0077】
図20に、水素プラズマ処理のみを施した場合のUV−Visスペクトルを測定した結果を示す。水素プラズマ処理を行った場合、処理時間に比例して徐々にプラズモン共鳴極大吸収波長が大きくなっていることが分かる。これは銀ナノ粒子の粒径が大きくなったことと、有機被膜分子が除去されたことの二つの因子によるものであり、45分程度の比較的長い時間をかけて有機被膜の分解、除去と近接銀ナノ粒子との融合が行われたためであると考えられる。
【0078】
一方、水素プラズマ処理をさらに続けると、プラズモン共鳴極大吸収波長は減少し、ブロード化が観測された。これは銀ナノ粒子融合構造体が大きくなっていき、連続した構造体へと変化したことを示すものである。但し、金や酸化銀の場合と比べてスペクトルの変化は小さかった。これは水素プラズマの融合促進力の弱さを示すものである。これより水素プラズマ処理を行うと有機被膜の分解、除去時の急激な変化は伴わないため、銀の表面は酸化銀に比べて安定であると考えられる。
以上の水素プラズマ処理における銀ナノ粒子の融合状態を示す模式図を図21に示す。
【0079】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明の製造方法では、複数の有機被覆無機ナノ粒子をプラズマ処理することにより有機被膜を分解、除去し、無機ナノ粒子同士を融合又は融着させて無機ナノ粒子融合又は融着構造体を生成する。これにより本発明の製造方法であれば、従来の方法では制御が困難とされてきたナノサイズ(数nm)の細線状又は薄膜状の無機ナノ粒子融合又は融着構造体を低温で容易に作製することができる。さらに本発明の製造方法では、種々の無機ナノ粒子が使用できるため、無機粒子に依処した各種の機能をもつ無機ナノ粒子融合又は融着構造体を生成することができる。
【0080】
さらに本発明の製造方法では、複数の有機被覆無機ナノ粒子を有機又は無機のテンプレート又はパターン上に付着させた状態でプラズマ処理して無機ナノ粒子融合又は融着構造体を作製することもできるため、所定の有機テンプレート又は有機パターンを適宜選択することにより、所望の径、形状、大きさ等を有する無機ナノ粒子融合又は融着体を作製することができる。その上、本発明の製造方法では、使用した有機テンプレート又はパターンがプラズマ処理により完全に有機被膜と共に分解、除去されるため、プラズマ処理による清浄効果により生成された無機ナノ粒子融合又は融着構造体中に有機化合物が残留することもない。
【0081】
本発明の構造体は、幅長に対する全長の比が3以上である線状構造を有する無機ナノ粒子融合又は融着構造体である。したがって、本発明の構造体であれば、これまで作製が困難とされていた集積回路の配線等としても利用が可能である。また本発明の構造体は、本発明の製造方法により形状等を目的や用途に応じて自由に生成できるため、例えば、細線状、薄状等の構造を有することができる。さらに本発明の構造体は、無機ナノ粒子が有する特性(例えば、伝導特性、光吸収特性など)を大きく変化させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】石英基板上に集積化されたカチオン性金ナノ粒子のUV−Visスペクトルの酸素プラズマ処理時間の依存性(22℃)を示す説明図である。
【図2】基板(シリコンモノオキサイド薄膜)上に集積化されたカチオン性金ナノ粒子の透過型電子顕微鏡写真である。
(a)未処理のカチオン性金ナノ粒子を示す写真である。
(b)プラズマ処理後(30分、40W)のカチオン性金ナノ粒子を示す写真である。
(c)プラズマ処理後(90分、40W)のカチオン性金ナノ粒子を示す写真である。
【図3】基板(シリコンモノオキサイド薄膜)上に集積化されたカチオン性金ナノ粒子の透過型電子顕微鏡写真である。
(a)水素プラズマ処理(30分、40W)のカチオン性金ナノ粒子を示す写真である。
(b)水素プラズマ処理(90分、40W)のカチオン性金ナノ粒子を示す写真である。
【図4】酸素プラズマ処理後(90分、40W)の線状(分岐)金ナノ粒子融合体の透過型電子顕微鏡写真である。
【図5】石英基板上に集積化された有機溶媒分散型金ナノ粒子のUV−Visスペクトルの酸素プラズマ処理時間依存性(22℃)とプラズマ吸収の極大吸収波長の長波長シフトを示す説明図である。
【図6】(a)酸素プラズマ処理前の有機溶媒分散型金ナノ粒子の二次元集積構造を示す透過型電子顕微鏡写真である。
(b)(a)の拡大写真である。
【図7】2.5分間の酸素プラズマ処理後の有機溶媒分散型金ナノ粒子の二次元集積構造の透過型電子顕微鏡写真である。
【図8】15分間の酸素プラズマ処理後の有機溶媒分散型金ナノ粒子の二次元集積構造の透過型電子顕微鏡写真である。
【図9】45分間の酸素プラズマ処理後の有機溶媒分散型金ナノ粒子の二次元集積構造の透過型電子顕微鏡写真である。
【図10】45分間の酸素プラズマ処理後の有機溶媒分散型金ナノ粒子の二次元集積構造における大きな単一結晶性の薄膜構造を示す透過型電子顕微鏡写真である。
【図11】45分間の酸素プラズマ処理後の有機溶媒分散型金ナノ粒子の二次元集積構造の電子線回折像である。
【図12】90分間の酸素プラズマ処理後の有機溶媒分散型金ナノ粒子の二次元融合構造体のXPSスペクトルを表す図である。
【図13】ドデカンチオール被膜付金ナノ粒子(2.4nm)の二次元集積構造(単粒子膜)の透過型電子顕微鏡写真である。
(a)プラズマ処理前の透過型電子顕微鏡写真である。
(b)10W、2.5分間の酸素プラズマ処理後の透過型電子顕微鏡写真である。
(c)10W、60分間の酸素プラズマ処理後の透過型電子顕微鏡写真である。
【図14】DNA上に配列された金ナノ粒子の一次元集積構造の透過型電子顕微鏡写真である。
(a)酸素プラズマ処理前の金ナノ粒子の一次元集積構造を示す透過型電子顕微鏡写真である。
(b)酸素プラズマ処理後(60分、10W)の金ナノ粒子の一次元集積構造を示す透過型電子顕微鏡写真である。
【図15】DNA上に配列された金ナノ粒子の酸素プラズマ処理後(45分、10W)の一次元融合構造の透過型電子顕微鏡写真である。
【図16】固定化DNA上に集積された金ナノ粒子の酸素プラズマ処理後(45分、10W)の一次元構造の透過型電子顕微鏡写真である。
【図17】ドデカンチオール保護金ナノ粒子(2.4nm)の三次元集積構造(多層膜)の透過型電子顕微鏡写真である。
(a)プラズマ処理前の透過型電子顕微鏡写真である。
(b)10W、60分間の酸素プラズマ処理後の透過型電子顕微鏡写真である。
【図18】石英基板上に集積化されたカチオン性銀ナノ粒子のUV−Visスペクトルの酸素プラズマ−水素プラズマ処理時間依存性(22℃)を表す説明図である。
【図19】カチオン性銀ナノ粒子の二次元集積構造(単粒子膜)の透過型電子顕微鏡写真である。
(a)酸素プラズマ処理前の透過型電子顕微鏡写真である。
(b)10W、30分間の酸素プラズマ処理後の透過型電子顕微鏡写真である。
(c)10W、30分間の水素プラズマ処理後の透過型電子顕微鏡写真である。
【図20】石英基板上に集積化されたカチオン性銀ナノ粒子のUV−Visスペクトルの水素プラズマ処理時間依存性(22℃)を示す説明図である。
【図21】銀ナノ粒子の融合挙動の模式図である。

Claims (11)

  1. 表面が有機被膜で被覆された複数の無機ナノ粒子をプラズマ処理することにより前記有機被膜を分解、除去し、前記無機ナノ粒子同士を融合又は融着させて無機ナノ粒子融合又は融着構造体を生成することを特徴とする無機ナノ粒子融合又は融着構造体の製造方法。
  2. 表面が有機被膜で被覆された複数の無機ナノ粒子を有機又は無機のテンプレート若しくはパターン上に付着させた後、プラズマ処理することにより前記有機被膜及び有機のテンプレート又はパターンを分解、除去し、前記無機ナノ粒子同士を融合又は融着させて無機ナノ粒子融合又は融着構造体を生成することを特徴とする無機ナノ粒子の融合又は融着構造体の製造方法。
  3. 前記表面が有機被膜で被覆された無機ナノ粒子の平均粒径が1〜50nmである請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記有機被膜が無機ナノ粒子を安定化し得る、硫黄原子、窒素原子又は酸素原子を含む有機化合物からなる請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 前記無機ナノ粒子の平均粒径が1〜20nmである請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法により得られる無機ナノ粒子融合又は融着構造体。
  8. 幅長が2〜20nmであり、かつ幅長に対する全長の比が3以上である線状構造を有する無機ナノ粒子融合又は融着構造体。
  9. 前記無機ナノ粒子がAu、Ag、Pd、Pt、Cu、Ni、Co、Fe、Mn、Ru、Rh、Os及びIrから選ばれる少なくとも一種の金属ナノ粒子、MαSeβ又はMαβ表される少なくとも一種の金属カルコゲナイド化合物ナノ粒子(但し、Mは1価〜3価の金属元素、αは1又は2、βは1〜3の整数である。)、又はMで表される少なくとも一種の金属酸化物ナノ粒子(但し、Mは1〜3価の金属元素、xは1又は2、yは1〜3の整数である。)である請求項7又は8に記載の構造体。
  10. 幅長が2〜20nmであり、かつ幅長に対する全長の比が3以上である線状構造を有する請求項7に記載の構造体。
  11. 多粒子層からなる薄膜構造を有する請求項7に記載の構造体。
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