JP2004189706A - 高度アルツハイマー型痴呆治療剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】高度アルツハイマー型痴呆に対する有効な治療剤を提供することを目的とする。
【解決手段】1−ベンジル−4−[(5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2−イル]メチルピペリジン又はその薬理学的に許容できる塩を有効成分として含有する治療剤により、上記課題は解決される。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルツハイマー型痴呆の治療剤に係り、より詳細には、ドネペジルを有効成分とする高度アルツハイマー型痴呆治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
日本国では、65歳以上の高齢者の4〜5%(約100万人)が痴呆性老人であり、85歳以上ではその割合が20%以上にも達すると報告されている(非特許文献1参照)。今後、高齢者人口が増大するにつれて、痴呆性老人も増大することが予想されている。そのため、日本国に限らず世界中で、高齢者人口の増大は医学的及び社会的にも重大な問題となってきている。
【0003】
老年期に発症する痴呆性疾患の代表的な痴呆としては、アルツハイマー型痴呆が知られている。このアルツハイマー型痴呆は、病理学的には全般性の脳萎縮及び大脳皮質の老人班並びにアルツハイマー神経原線維変化を特徴とする。また、この痴呆では、神経化学的研究からコリン作動性神経の異常が発見され、前脳を中心としたアセチルコリンの低下及びアセチルコリン合成酵素であるコリンアセチルトランスフェラーゼの活性低下が報告されている(非特許文献2参照)。
【0004】
このアルツハイマー型痴呆に対しては、周辺症状には向精神薬等がある程度有効であるものの、記憶、認知、判断力等の痴呆の中核症状に有効な薬剤が知られていないのが現状であった。
【0005】
しかし、最近、軽度及び中等度アルツハイマー型老年痴呆の治療剤として、下記式(I)で示されるドネペジル又はその薬理学的に許容できる塩が、老人性痴呆の治療・予防剤として有用であることが開示され(特許文献1参照)、実際の医薬として、塩酸ドネペジルが上市されている(商品名「アリセプト」:エーザイ株式会社)。
【0006】
【化2】
Figure 2004189706
【0007】
前述のとおり、今後、高齢化社会がますます進展していくにしたがい、軽度及び中等度アルツハイマー型痴呆にとどまらず、さらに痴呆症状が進行した高度アルツハイマー型痴呆の治療剤に対する要望が、特に増加しつつある。
【0008】
高度アルツハイマー型痴呆と、軽度及び中等度アルツハイマー型痴呆との相違点として、高度アルツハイマー型痴呆では、脳神経組織の脱落、脳体積の著しい減少及び脳の血流量の顕著な減少が認められる。そのため、高度アルツハイマー型痴呆の病態は、軽度及び中等度アルツハイマー型痴呆の病態とは全く異なるものであるといえる。
【0009】
【非特許文献1】
大塚俊男:老年期痴呆8(3):283−290, 1994
【0010】
【非特許文献2】
Perry P. K. et al., Lancet I 189; 1977
【0011】
【特許文献1】
特開平1−79151号
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、高度アルツハイマー型痴呆に対する有望な治療薬が存在しないのが現状である。
【0013】
高度アルツハイマー型痴呆の有効な治療剤の開発を妨げる理由の一つには、信頼性のある痴呆改善の評価方法がないことが挙げられる。従来からの軽度及び中等度アルツハイマー型痴呆に対する痴呆の改善評価方法には、アルツハイマー型痴呆の認知機能障害を評価する目的で開発されたADAS-cogが知られている。
【0014】
このADAS-cogとは、Alzheimer’s Disease Assessment Scale cognitive subscaleの略であり、記憶、見当識、言語及び理解などの領域での認知障害を評価するための11項目からなる尺度である。スコアは0〜70ポイントの範囲で、スコアが高いほど重度の認知障害であることを示す。
【0015】
なお、前記11項目とは、単語再生、口頭言語能力、言語の聴覚的理解、自発話における換語困難、口頭命令に従う、手指及び物品呼称、構成行為、観念運動、見当識、単語再認、テスト教示の再生能力である。
【0016】
そして、このADAS-cogが欧米の臨床評価ガイドラインにおいて、認知機能の評価方法の一つとして採用され、最も標準的な認知機能検査として広く利用されている。
【0017】
しかし、高度アルツハイマー型痴呆では痴呆症状が非常に激しく、前述のように軽度及び中等度アルツハイマー型痴呆とは病態が著しく相違することから、かかるADAS-cogでは高度アルツハイマー型痴呆の改善を評価すること自体が不可能であった。そのため、高度アルツハイマー型痴呆の有効な治療薬が開発されていないのが実情である。
【0018】
そこで、本発明者らは、上記事情に鑑み、軽度及び中等度アルツハイマー型痴呆に対する評価方法とは全く異なる評価方法に基づき、高度アルツハイマー型痴呆に対する有効な治療剤を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、下記式(I)の化合物1−ベンジル−4−[(5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2−イル]メチルピペリジン又はその薬理学的に許容できる塩を有効成分として含有する高度アルツハイマー型痴呆治療剤により達成される。
【0020】
【化3】
Figure 2004189706
【0021】
また、本発明の好ましい態様では、前記治療剤は投与単位当たり3.0〜10.0mgの前記化合物を含むことを特徴とする。
【0022】
なお、本発明で用いる用語「治療剤」とは、症状の進行抑制剤だけでなく、症状の改善剤をも意味する。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明の技術的範囲がこれらに限定されるものではない。
【0024】
本発明に用いられる化合物は、以下の式(I)で示される1−ベンジル−4−[(5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2−イル]メチルピペリジン又はその薬理学的に許容できる塩であり、高度アルツハイマー型痴呆の治療に有用であることを見出した。
【0025】
【化4】
Figure 2004189706
【0026】
本発明に利用される化合物の製造方法は、前述の特許文献1に記載された製造方法等の公知の方法に準じて、反応原料、反応試薬、反応条件などを適宜選択し、容易に製造できる。
【0027】
本発明における薬理学的に許容できる塩としては、たとえば、無機酸との塩、有機酸との塩、無機塩基との塩、有機塩基との塩、酸性又は塩基性アミノ酸との塩などが挙げられる。酸、塩基は、当該化合物1分子に対し、0.1〜5分子の適宜な比で塩を形成する。
【0028】
無機酸との塩の好ましい例としては、たとえば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などとの塩が挙げられ、有機酸との塩の好ましい例としては、たとえば、酢酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、ステアリン酸、安息香酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。
【0029】
無機塩基との塩の好ましい例としては、たとえば、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。また、有機塩基との塩の好ましい例としては、たとえば、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、メグルミン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。
【0030】
酸性アミノ酸との塩の好ましい例としては、たとえば、アスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられ、塩基性アミノ酸との塩の好ましい例としては、たとえば、アルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられる。
特に、本発明では、下記式(II)で表される塩酸塩である塩酸ドネペジルが、高度アルツハイマー型痴呆の治療に対して、特に有用である。
【0031】
【化5】
Figure 2004189706
【0032】
なお、本発明に利用される前記化合物は不斉炭素を有しており、光学活性体として存在する場合があるが、光学活性体又はジアステレオ異性体などの立体異性体の任意の混合物、又はラセミ体など、何れも本発明において使用することができる。
【0033】
本発明に用いられる化合物を医薬として使用する場合の投与経路は特に限定されず、経口投与若しくは非経口投与(たとえば、筋肉内投与、静脈内投与、皮下投与、腹腔内投与、経皮投与、鼻腔などへの粘膜投与、または吸入投与など)のいずれでもよい。
【0034】
本発明に利用する化合物を含む医薬の投与量は、症状の程度、患者の年齢、性別、体重、感受性差、投与方法、投与の時期、間隔、医薬製剤の性質、調剤などを総合的に勘案して適宜選択することができる。投与量は、特に限定されないが、通常成人1日あたり約0.1〜100mg、好ましくは約0.3〜50mgであり、より好ましくは0.5〜10mgである。これを、通例、1日1〜4回にわけて投与する。1日1回投与の場合の投与量合計が0.1mg以下では治療効果が得られず、1日4回投与での投与量合計が100mg以上では、薬剤の血中濃度が上昇し、嘔吐等を引き起こすおそれがある。
【0035】
なお、本発明に利用される化合物であるドネペジル類は、ラットにおける毒性試験を行ったところ、約100mg/kg以上の投与で重篤な毒性を示さなかった。
【0036】
本発明の医薬の形態は特に限定されず、経口投与のための製剤としては、たとえば、錠剤、カプセル剤、細粒剤、粉末剤、顆粒剤、口腔内崩壊錠、液剤、シロップ剤などが挙げられ、非経口投与のための製剤としては、たとえば、注射剤、点滴剤、坐薬、吸入剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤、点鼻剤、点耳剤などが挙げられる。なお、経口投与に関する好適な製剤としては、痴呆症患者によって錠剤が望ましい。
【0037】
式(II)で表される化合物が、高度アルツハイマー型痴呆に対する有用性を、次に示す試験方法により説明する。
【0038】
まず、痴呆患者のうち、高度アルツハイマー型痴呆を患っている患者を判別する方法について説明する。その判別するための基準は、アルツハイマー型痴呆の重症度のスケールとして、認知機能の障害の程度について客観的な基準であるMMSEを採用する。このMMSEとは、Mini-Mental State Examinationの略称であり、記憶に加えて、一部行為を含んだ簡易認知機能検査法である。MMSEは、国際的に広く使用されており、時間、場所、物品呼称など簡単な質問による検査法である。その検査法に基づく、30〜0点の得点により痴呆の重度が指標され、得点が30点に近い程、認知機能は正常であり、得点の値が0点に近い程、認知機能の重症度が高いことを示す。
【0039】
本発明では、前述のMMSEを利用して、得点が5〜9点の患者を高度アルツハイマー型痴呆の患者の対象とする。
【0040】
なお、中等度アルツハイマー型痴呆の患者のMMSE得点は、10〜17点である。
【0041】
次に、本発明で利用した高度アルツハイマー型痴呆の改善を評価する方法について説明する。高度に障害された認知機能を評価する方法として、SIB(severe impairment batteryの略称)を採用する。このSIBは、社会的相互行為、記憶、見当識、注意、実行、視空間能力、言語、構成、名前への志向の9項目から構成され、患者との面談によって合計得点100点で評価する。各課題は、高度障害レベルに相当する認知能力の最下部領域を評価できるような簡便な評価法である。本SIBによる得点が低いほど、認知機能障害が高いことを意味する。
【0042】
採点法は、各項目における質問に対して3段階で採点する。すなわち、正解は2点、部分的に正解(ほぼ一致する回答など)は1点、誤答は0点である。1点は、患者がジェスチャー又は助言によって正確に回答することができたかどうかを示す。
【0043】
詳細には、社会的相互作用の項目において、たとえば、「ここへお座り下さい」との質問に対し、自発的に椅子に座る場合は正解の2点であり、促された後に椅子に座る場合は1点とし、それ以外は誤答とする。また、見当識の項目では、「1週間の曜日を言ってください。」との質問に対して、正しく回答した場合は、正解の2点であり、助言を2回までとして促した後に正しく答える、又は1つか又は2つの曜日のみを間違えた場合は1点とする。そして、上記以外は0点とする。さらに、構成の項目において、「丸を描いて下さい」という質問に対し、自発的に進んで円、卵形又は楕円を描いた場合は正解の2点である。似たような円、たとえば少なくとも半円を描いた場合、又は助言の後に円を描いた場合は1点とする。それ以外の場合は誤答とする。
【0044】
これらの総合点として、SIBによる認知機能の評価を行う。そして、得点が増加すれば、認知機能が改善し、得点が減少すれば認知機能が減少したことを示す指標となる。
【0045】
また、本発明においてアルツハイマー型痴呆の改善を評価するために利用した、全般臨床症状の評価尺度であるCIBIC plus(これは、Clinician's Interview-Based Impression of Change plusの略称である。)を簡単に説明する。CIBIC plusは、介護者や家族と面談した後、患者本人と面談することにより、包括的な評価を行うものである。
【0046】
具体的な評価項目は、全般、認知、行動及び日常生活動作の4分野で、投与前の状態とを比較し、総合的評価としては、著明改善、改善、軽度改善、不変、軽度悪化、悪化、著明悪化の7段階で行う。
【0047】
前述のSIBにより高度アルツハイマー型痴呆と認定された患者に対し、プラセボと塩酸ドネペジルの錠剤を、1日1回、24週間投与する二重盲検比較試験を実施する。
【0048】
ここで、投与期間は、痴呆の治療剤は長期連用されることが予想されることに鑑み、プラセボ対照の24週間投与における治療剤の有効性評価が必要であるとの判断から、投与期間を設定した。また、二重盲検比較試験とは、医者及び患者の双方が塩酸ドネペジル含有錠剤若しくはプラセボ錠剤のどちらを投与されているかを知らされない状態における比較試験である。
【0049】
以下の実施により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲は、これらに何ら限定されるものではない。
【0050】
【実施例】
試験例1:SIB評価
前述のMMSEの得点が5〜9点であった、高度アルツハイマー型痴呆の患者に対し、次述するように、プラセボと塩酸ドネペジル(以下「E2020」という)。を含む薬剤を投与した。すなわち、E2020を含有しない錠剤(以下「プラセボ錠」という。)と、10mgのE2020を含有する錠剤(以下「E2020錠」という。)を、1日1回、24週間継続して、経口投与した。ただし、E2020錠剤については、最初の4週間は5mgのE2020の錠剤を投与した。
【0051】
図1は、本発明の試験に供された患者背景を示す図である。図1に示すように、E2020錠及びプラセボ錠を投与される患者の年齢、性別の割合、性別による体重における差異は、ほとんど認められない。
【0052】
痴呆症の改善評価の方法として、軽度及び中等度アルツハイマー型痴呆症状の評価として従来から用いられたADAS−cogは、高度アルツハイマー型痴呆の患者には用いることができなかった。これは、ADAS−cogの質問事項は内容が複雑でるため、痴呆患者には理解できないからである。
【0053】
図2は、MMSEが5〜9点の高度アルツハイマー型痴呆の患者に対して、E2020錠及びプラセボ錠を投与し、SIB評価による結果を示す図である。図2の横軸は投与週を表し、図2の縦軸は投与前のSIB値と投与後のSIB値の平均変化量を示す。図2の縦軸において、0以上の平均変化量は痴呆症状が改善傾向を示し、逆に、0以下の平均変化量は痴呆症状の悪化傾向を示す。
【0054】
なお、評価時期の「最終」とは、24週間投与継続した後に投与を中止し、その中止後4週の時期を意味するものと、12週間又は18週間投与継続した後に投与を中止し、その後16週と10週の時期を経過したものを意味するものを含む。
【0055】
図2から明らかように、E2020錠投与開始から4週間後には、改善傾向が認められ、投与開始後12週目には、今回試験した期間中で最大の改善を示した。
【0056】
具体的には、E2020錠の投与では、24週及び最終の評価時期にて、平均変化量はそれぞれ+4ポイントと+1ポイントであり、改善傾向を示した。
【0057】
一方、プラセボ錠を投与した場合には、投与開始後24週の期間中では改善傾向は認められなかった。プラセボ錠の投与では、24週及び最終の評価時期にて,平均変化量は双方とも−6ポイントであり、悪化傾向を示した。
【0058】
以上のSIB結果から、E2020錠の投与とプラセボ錠の投与との対比では、4、12、14週での評価時期にて有意な差が認められた。E2020錠の投与により高度アルツハイマー型痴呆の症状が改善された。したがって、E2020錠は高度アルツハイマー型痴呆の有用な治療剤であることが判明した。
【0059】
SIB評価法の結果からでも、E2020が高度アルツハイマー型痴呆の治療に有用な化合物であることが分かるが、以下の評価法によるE2020の高度アルツハイマー型痴呆に対する治療効果の結果を示す。
【0060】
試験例2:CIBIC plus評価
図3は、MMSEが5〜9点の高度アルツハイマー型痴呆の患者に対して、E2020錠及びプラセボ錠を投与し、CIBIC plus評価による結果を示す図である。なお、図3中の評価項目は、前記7段階の総合評価の結果であり、カッコ内の数字は、各評価対象全体の例数に対する各評価区分での割合(%)を示す値である。評価時期は、SIB評価と同様に、4週、8週、12週、18週、24週及び最終とした。
【0061】
図3の最右欄には、各評価時期における不変、軽度改善、改善及び著明改善(以下「不変以上」という。)の合計数と、該合計数の各投与群の合計数に対する割合(カッコ書)を示す。各評価時期におけるE2020投与群では、プラセボ投与群と比して不変以上の割合は、かなり高い値を示し、E2020投与群では高度アルツハイマー型痴呆の症状が改善している結果が得られた。
【0062】
特に、評価時期として、4週、8週及び18週では、E2020投与群とプラセボ錠投与群とでは有意な差が確認された。具体的には、評価時期4週ではE2020投与群の不変以上の割合は92%であるのに対し、プラセボ投与群の不変以上の割合は60%であった。また、評価時期8週ではE2020投与群の不変以上の割合は86%であるのに対し、プラセボ投与群の不変以上の割合は47%であった。さらに、評価時期18週ではE2020投与群の不変以上の割合は73%であるのに対し、プラセボ投与群の不変以上の割合は38%であった。
【0063】
E2020投与群についてみると、評価時期4週、8週、12週、18週及び24週での不変以上の割合は、それぞれ、92%、86%、85%、73%、49%と変化した。一方、プラセボ投与群では、評価時期4週、8週、12週、18週及び24週での不変以上の割合は、それぞれ、60%、47%、52%、38%、36%と変化し、ほぼ一貫した減少傾向を示した。
【0064】
なお、図2及び図3の評価時期において合計数に若干のばらつきがあるのは、各試験例にて評価の対象とならなかった患者が存在するためである。
【0065】
以上の解析から、E2020投与群では高度アルツハイマー型痴呆の改善が確認された。
【0066】
前述の試験結果から、本発明で利用した塩酸ドネペジルは高度アルツハイマー型痴呆の治療に有効であることが確認された。
【0067】
【発明の効果】
本発明によれば、塩酸ドネペジルが高度アルツハイマー型痴呆に対して有用な治療剤であることが判明し、塩酸ドネペジルを有効成分とする高度アルツハイマー型痴呆治療剤を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の試験に供した患者背景を示す図である。
【図2】高度アルツハイマー型痴呆の患者(MMSE<10)に対する、本発明に利用されたSIB評価法による結果を示す図である。なお、本評価法における解析には、Fisherの両側最小有意差法を利用し、p<0.05にて、有意な差が観測された。
【図3】高度アルツハイマー型痴呆の患者(MMSE<10)に対する、本発明に利用されたCIBIC plus評価法による結果を示す図である。なお、本評価法の解析では、Cochran-Mantel-Haensze検定法を利用した。

Claims (2)

  1. 下記式(I)の化合物1−ベンジル−4−[(5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2−イル]メチルピペリジン又はその薬理学的に許容できる塩を有効成分として含有する高度アルツハイマー型痴呆治療剤。
    Figure 2004189706
  2. 前記治療剤は投与単位当たり3.0〜10.0mgの前記化合物を含む、請求項1記載の治療剤。
JP2002363139A 2002-12-13 2002-12-13 高度アルツハイマー型痴呆治療剤 Abandoned JP2004189706A (ja)

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