JP2004186334A - 太陽電池、および太陽電池用集光素子とその製造方法 - Google Patents

太陽電池、および太陽電池用集光素子とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】太陽光等の外部光を効率よく太陽電池素子に入射させることで、太陽電池における光の利用効率を向上が可能な太陽電池を提供する。
【解決手段】光電変換層2を有する太陽電池素子と、シリンドリカル状集光曲面群4と、該シリンドリカル状集光曲面群4により集光された太陽光8が上記太陽電池素子に入射可能なように光通過可能な直線状光通過孔群7とを有する集光素子3とを備える。上記集光素子3には、さらに、該集光素子3内で光を反射し、該反射光を上記直線状光通過孔群7に導く第1光反射傾斜面5と第2光反射傾斜面6が該直線状光通過孔群7と組をなして設けられている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、太陽電池、および太陽電池用集光素子とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の太陽電池は、図19に示すように、pn接合による光電変換を行う多結晶Si太陽電池(例えば、特許文献2参照)や、図20に示すように、pin接合による光電変換を行う非晶質Si太陽電池である(例えば、特許文献1参照)。また、図示しないが、単結晶Si基板上に、pn接合を形成した単結晶Si太陽電池がある。
【0003】
図19に示す多結晶Si太陽電池においては、支持体を兼ねた基板191上に、光反射効果を有する電極金属層192、電極金属層192と多結晶Si半導体層194との電気的接触を良好にするために設けたn型不純物およびp型不純物の一方を高濃度にドーピングした多結晶Si半導体層193、多結晶Si半導体層193と同じ伝導型不純物をわずかにドーピングした多結晶Si半導体層194、多結晶Si半導体層193、194と反対の伝導型不純物を高濃度にドーピングした多結晶Si半導体層195、電流を取り出すための集電電極196、効率的に光を取り込むための反射防止層197とから構成されている。
【0004】
また、図20に示す非晶質Si太陽電池においては、支持体を兼ねた基板201上に、光反射効果を有する電極金属層202、非晶質Si半導体からなりn型不純物がドーピングされたn層203、非晶質Si半導体からなり真性半導体であるi層204、非晶質Si半導体からなりp型不純物がドーピングされたp層205、電流を取り出すための集電電極206、効率的に光を取り込むための反射防止層207とから構成されている。
【0005】
また、発電効率を上げるため、図19に示す多結晶半導体で構成したpn接合と、図20に示す非晶質半導体で構成したpin接合とを積層したタンデム構造太陽電池が提案されている。
【0006】
これらの太陽電池以外に、基板側から光を入射させる図21に示すような太陽電池が提案されている。この太陽電池は、光入射側から順に、透明基板211、透明基板211上に、効率的に光を取り込むための反射防止層212、電流を取り出すための集電電極213、非晶質Si半導体からなりp型不純物がドーピングされたp層214、非晶質Si半導体からなり真性半導体であるi層215、非晶質Si半導体からなりn型不純物がドーピングされたn層216、光反射効果を有する電極金属層217とから構成されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−48127号公報 (1993年2月26日公開)
【0008】
【特許文献2】
特開平11−214717号公報 (1999年8月6日公開)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の構成では、以下に記す種々の要因により、発電効率が低いという問題を有している。
【0010】
第1の要因は、反射防止層197、207、212にある。すなわち、表面反射を極力抑えることを目的として、光入射面もしくは光入射面の近傍に導電性透明膜からなる反射防止層197、207、212を設けているが、表面反射を完全に零とすることは困難であり、入射光の一部が反射されるという問題が生じる。また、上記反射防止層197、207、212は、一般に、波長依存性を有しており、設計波長中心から光波長がずれることにより、表面反射が増大してしまうという問題も生じる。特に、比較的広い波長の光を光電変換に利用するタンデム構造太陽電池においては、その悪影響は、さらに大きなものとなる。
【0011】
第2の要因は、集電電極196、206、213にある。すなわち、電流を取り出すため、光入射側に設けられた集電電極196、206、213は、入射光を完全に反射してしまうため、確実に発電効率の低下をもたらすことになる。
【0012】
ところで、光を吸収して電荷を発生させ、発電を行う多結晶Si半導体層194、非晶質Si半導体層204、215は、入射した光を吸収するために十分な膜厚が必要なので、発電効率を上げる目的で、その膜厚を厚くすることが考えられる。しかし、半導体層の膜厚が、あまり厚くなると、電荷の走行距離が増大するため、外部に取り出すことのできる電流が減少するという問題が生じる。また、半導体層の膜厚増加は、製造時間の増加、および、材料使用量の増加につながるため、コスト増加につながるという問題を生じる。
【0013】
したがって、前述のような半導体層等を含む光電変換層の入射光吸収率を改善するためには、半導体層の膜厚自体を増加させることなく、光電変換層への入射光量を如何に増大させるかが、最大の課題であるといえる。これはまた、太陽光などの外部光を無駄なく利用することで、外部出力電流を減少させることなく、半導体層の膜厚を薄くできるようにするには、どうすればよいか、という課題に換言できる。
【0014】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、その目的は、太陽光等の外部光を効率よく太陽電池素子に入射させることで、太陽電池における光の利用効率を向上させることが可能で、太陽電池からの表面反射による光損失を低減し、さらに、太陽光の中のより広範囲な波長の光を、有効に光電変換に利用して、高い発電効率を実現することが可能な太陽電池を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決する本発明の太陽電池は以下のようなものである。
【0016】
本発明に係る太陽電池は、上記の課題を解決するために、光電変換層を有する太陽電池素子と、集光領域と、該集光領域により集光された入射光を、上記太陽電池素子側に通過させる光通過領域とを有する集光素子とを備え、上記集光素子には、さらに、該集光素子内で光を反射し、該反射光の少なくとも一部を上記光通過領域に導く第1光反射面が該光通過領域と組をなして設けられていることを特徴としている。
【0017】
上記の構成により、集光素子に入射した光は、集光領域により集光され、光通過領域を通過して、太陽電池素子に照射される。この場合、集光領域と光通過領域とは、それぞれ複数設けてもよい。また、複数の集光領域のそれぞれの集光位置に1つないし複数の光通過領域を配置してもよい。また、光通過領域には、空隙が形成されていてもよいし、透明材が存在していてもよい。
【0018】
さらに、集光素子には、該集光素子内で光を反射し、該反射光の少なくとも一部を上記光通過領域に導く光反射面が、該光通過領域と組をなして設けられているので、集光領域により集光された入射光のうち、光通過領域に直接入射されない光の少なくとも一部を上記第1光反射面によって反射して該光通過領域に導くことができる。
【0019】
これにより、季節変化や時間変化に伴い太陽光等の光の入射角が変化した場合、すなわち、集光領域により集光された光の全てが、直接、光通過領域を通過できないような場合において、集光領域により集光された光を光通過領域に直接通過させることに加えて、直接、光通過領域に入射されない光の少なくとも一部を第1光反射面により反射した後、光通過領域に通過させることが可能となる。この結果、光通過領域を通過して太陽電池素子の光電変換層に照射される光量を増大させることが可能となる。
【0020】
従って、光の入射角が変化した場合においても、光を効率良く光通過領域を通過させることが可能となり、季節変化や時間変化に係わり無く、太陽電池の発電効率(光の利用効率)を高くすることができる。
【0021】
また、集光領域で集光された入射光の全てが光通過領域に入射されない理由としては、上記のように、光の入射角が変化する場合が考えられるが、この他に、集光領域によって光が集光する位置と、光通過領域とがずれている場合にも、集光領域で集光された入射光の全てが光通過領域に入射されない。
【0022】
従って、従来は、光の入射角が変化しない場合であっても、集光領域による光が集光する位置と、光通過領域とがずれないように、集光領域と光通過領域との位置関係を設定する必要がある。例えば、集光素子の小型化に伴って光通過領域を小さくした場合には、集光領域による光が集光する位置の領域も小さくする必要があるので、集光領域と光通過領域との位置関係を高精度に設定する必要がある。
【0023】
しかしながら、本発明によれば、このような場合においても、上記の集光素子内に設けられた第1光反射面によって、光通過領域に直接、入射されない光の少なくとも一部を反射して該光通過領域に導くことができる。
【0024】
従って、上記の構成では、集光領域により光が集光する位置と、光通過領域との位置合わせを従来程、高精度に行なう必要がないので、製造精度が緩和される。このため、集光素子を高精度に製造するための高価な装置を必要とせず、また、集光素子の歩留りも向上するので、光の利用効率の高い太陽電池を安価に製造することが可能となる。
【0025】
本発明に係る太陽電池は、上記の課題を解決するために、上記の構成に加えて、上記第1光反射面は、集光領域側から光通過領域側に向けて先細る形状を有していることを特徴としている。
【0026】
これにより、第1光反射面における反射光を光通過領域へ導き易くすることができる。すなわち、第1光反射面で一度反射された反射光を、より光通過領域に近い位置へと導くことができ、そのような反射を重ねる内に、最終的には光通過領域へ導き入れることができる。
【0027】
そのような第1光反射面として、すり鉢状、樋状等を採用することができる。
【0028】
本発明に係る太陽電池は、上記の課題を解決するために、上記の構成に加えて、上記集光素子の第1光反射面の裏面が、太陽電池素子からの反射光を再度、該太陽電池素子に入射させるように反射する第2光反射面となっていることを特徴としている。
【0029】
上記の構成により、上記の効果に加えて、集光素子の光通過領域を通過した光は、太陽電池素子に照射され、一部が光電変換層に吸収されるが、一部は太陽電池素子の表面または内部で反射され反射光となる。この反射光の少なくとも一部は、第2反射面にて反射され、太陽電池素子の方へ戻される。すなわち、太陽電池素子と第2光反射面との間では、反射光が多重反射されることにより、光電変換層に照射される光量が増大するため、太陽電池の発電効率(光の利用効率)をさらに高くすることが可能となる。
【0030】
また、集光素子の第1反射面の裏面が第2反射面となっていることにより、集光素子に光反射性材料の層を1層設けるだけで、その両面を反射面として利用する形態を採用することができる。これにより、集光素子と太陽電池素子との間に、太陽電池素子からの反射光を反射するための光反射層を別途設ける必要がなくなるので、太陽電池の構成を簡素化し、コストを下げることにも役立つ。
【0031】
なお、本発明として記載した構成を、前記発明として記載した各構成と、必要に応じて任意に組み合わせてもよい。
【0032】
本発明に係る太陽電池は、上記の課題を解決するために、上記の構成に加えて、上記光通過領域と上記太陽電池素子との間に配置された平板状の透明基板が、少なくとも上記集光素子に対し密着固定されていることを特徴としている。
【0033】
本発明に係る太陽電池において、上記光通過領域と上記光電変換層とを離間して固定配置する場合、光通過領域と上記光電変換層との間が空洞となるため、外圧や温度変化にともない、上記光通過領域や上記集光領域を有する集光素子にゆがみを発生することになる。この集光素子のゆがみにともない、上記光通過領域が、上記光電変換層に近づいた場合、上記光通過領域近傍の上記光電変換層のみに、集光された光が照射されることになる。その結果、上記光電変換層には、上記光通過領域に対応した不均一な強度分布の光が照射され、発電効率の低下を招く原因となる。
【0034】
これに対して、上記構成のように、上記光通過領域と上記太陽電池素子との間に配置された平板状の透明基板が、少なくとも上記集光素子に対し密着固定されていることにより、上記光通過領域と上記光電変換層との間隔が常に一定に保たれ、その結果、上記光電変換層に照射される光の強度分布が均一なものとなり、常に高い発電効率を維持することが可能となる。
【0035】
なお、上記透明基板は、集光素子に加えて太陽電池素子に対して密着固定されていてもよい。これにより、集光素子のゆがみ防止効果を高めると共に、太陽電池の機械的強度を高めることができる。
【0036】
なお、本発明として記載した構成を、前記発明として記載した各構成と、必要に応じて任意に組み合わせてもよい。
【0037】
本発明に係る太陽電池は、上記の課題を解決するために、上記の構成に加えて、上記透明基板の光入射面において、上記光通過領域に対向する対向領域以外の領域に、太陽電池素子からの反射光を再度、該太陽電池素子に入射させるように反射する第2光反射面を設けたことを特徴としている。
【0038】
ここで、本発明に係る太陽電池において、上記第1光反射面として、集光領域側から光通過領域側に向けて先細る形状を持たせ、その裏面を第2光反射面とし、かつ、そのような第1光反射面と光通過領域との組を複数隣接させた場合、第2光反射面は、第1光反射面と反対向きに先細る形状を持つ。
【0039】
このような第2光反射面によって上記光電変換層からの反射光が反射された場合、反射光は、第2光反射面の先細り形状の先端方向へ反射されるため、第2光反射面内で複数回の反射を起こす可能性が高い。
【0040】
反射光の強度は、光反射傾斜面の反射率に従って減衰されるため、上記第2光反射面での反射回数が、できるだけ少ない状態で、太陽電池素子に戻されることが望ましい。
【0041】
そこで、上記構成のように、透明基板の光入射面において、上記光通過領域に対向する対向領域以外の領域に、太陽電池素子からの反射光を再度、該太陽電池素子に入射させるように反射する第2光反射面を設けた場合、そのような第2光反射面は、透明基板が平板状ゆえに、太陽電池素子に対面する平面となる。
【0042】
従って、太陽電池素子(光電変換層)からの反射光は、平面状の第2光反射面によって1度反射されるだけで、上記光電変換層を再照射することができる。すなわち、多重反射の反射回数を最小とすることが可能となり、太陽電池の発電効率(光の利用効率)を高くすることができる。
【0043】
本発明に係る太陽電池は、上記の課題を解決するために、上記の構成に加えて、上記光通過領域と上記光電変換層との間に、上記光電変換層の光電変換に寄与する波長の蛍光を発する蛍光材料が設けられていることを特徴としている。
【0044】
上記の構成により、上記蛍光材料は、上記光電変換層の光電変換に寄与しない波長の光を吸収し、上記光電変換層の光電変換に寄与する波長の光を蛍光として発生する。この発生した蛍光は、上記光電変換層に照射される。
【0045】
従って、光電変換に寄与する波長の光の光量が増大し、太陽電池の発電効率を一層高くすることが可能となる。
【0046】
なお、本発明として記載した構成を、前記発明として記載した各構成と、必要に応じて任意に組み合わせてもよい。
【0047】
本発明に係る太陽電池は、上記の課題を解決するために、上記の構成に加えて、上記集光領域が、シリンドリカル状集光曲面であり、上記光通過領域が直線スリット状の光通過領域であり、該シリンドリカル状集光曲面の円筒軸の方向と、上記光通過領域の延伸方向とが平行に配置されていることを特徴としている。
【0048】
上記の構成により、上記の効果に加えて、シリンドリカル状集光曲面は、線状の集光状態を作り出すので、光通過領域として、その延伸方向がシリンドリカル状集光曲面の円筒軸と平行に配置された直線スリット状の光通過領域を採用することによって、線状に集光された光は直線スリット状光通過孔へと効率良く集光される。
【0049】
また、集光素子に入射される入射光として、例えば太陽光の入射角度が変化した場合においても、太陽光は、シリンドリカル状集光曲面により集光され、直接光通過領域を通過するか、もしくは、該光通過領域と組をなして設けられた第1光反射面によって反射された後、効率的に光通過領域へと集光することが可能となり、高い発電効率を維持することができる。
【0050】
また、シリンドリカル状集光曲面は細長い集光領域をカバーすることができるので、その細長い集光領域を横に並べれば、大きな集光素子を作製することができる。すなわち、より短小な形状の集光領域と比較して、少ない数の集光領域で集光素子を構成することができるため、集光素子の構成を簡素化し、コストを下げることにも役立つ。
【0051】
なお、本発明として記載した構成を、前記発明として記載した各構成と、必要に応じて任意に組み合わせてもよい。
【0052】
本発明に係る太陽電池は、上記の課題を解決するために、上記の構成に加えて、上記シリンドリカル状集光曲面を構成する材料の屈折率よりも小さな屈折率を有する透明屈折層が、上記シリンドリカル状集光曲面の光入射側に設けられていることを特徴としている。
【0053】
上記の構成により、上記の効果に加えて、入射光が、より小さな屈折率を有する上記透明屈折層に屈折された後、上記シリンドリカル状集光曲面へと入射されることになる。従って、シリンドリカル状集光曲面への光入射角度が実質的に小さくなり、入射光が大きな入射角度で入射した場合においても、効率良く光通過領域へと集光することが可能となり、高い発電効率を維持することができる。
【0054】
本発明に係る太陽電池は、上記の課題を解決するために、上記の構成に加えて、上記シリンドリカル状集光曲面の円筒軸方向を含み、かつ、集光素子に垂直な平面が、東西方向を向くように設置されていることを特徴としている。
【0055】
上記の構成により、上記の効果に加えて、朝方および夕方において、太陽光が東西方向の斜め上からシリンドリカル状集光曲面に入射する場合において、光軸を含みかつ円筒軸を含む平面と、集光素子が設けられた平面とが成す角度を常に一定とすることができ、シリンドリカル状集光曲面により直線状に集光される光は、常に、光軸を含みかつ円筒軸を含む平面上に集光されることになる。
【0056】
また、前述の構成によれば、シリンドリカル状集光曲面の円筒軸の方向と、該直線スリット状光透過領域の延伸方向とが平行に配置されているから、上記直線スリット状光透過領域は、光軸を含みかつ円筒軸を含む平面上に配置されている。
【0057】
従って、1日の太陽光の入射角度変化に対応して、該シリンドリカル状集光曲面と該直線スリット状光透過領域とを相対的に移動させることなく、太陽光を効率良く直線スリット状光透過領域へと集光することが可能となる。
【0058】
なお、本発明として記載した構成を、前記発明として記載した各構成と、必要に応じて任意に組み合わせてもよい。
【0059】
本発明に係る太陽電池は、上記の課題を解決するために、上記の構成に加えて、春分または秋分の南中時に、太陽電池に対する太陽光入射角度が0°となるように、太陽電池の設置角度が設定されていることを特徴としている。
【0060】
ここで、本発明の太陽電池の設置角度を、夏至の南中時に、太陽電池に対する入射角度が0°となるように設置した場合、冬至の南中時には、入射角度が地軸傾きの2倍の大きさ(46.8°)となり、入射角度が増大することにより、光通過領域に隣接して設けられた光反射面により反射された光が、該光通過領域とは逆の方向へ反射され、冬場の発電効率が低下してしまう。
【0061】
これに対して、上記の構成によれば、本発明の太陽電池への太陽光入射角度が最大となる夏至および冬至において、太陽光入射角度を地軸傾きと同じ大きさ(23.4°)とすることが可能であり、季節変化にともなう入射角度変化の低減により、季節変化にともなう発電効率の変化を低減することが可能となる。
【0062】
なお、本発明に記載した構成を、前記発明に記載した各構成と、必要に応じて任意に組み合わせてもよい。
【0063】
本発明に係る太陽電池素子用集光素子は、上記の課題を解決するために、入射した光を集光する複数の集光領域と、該集光領域によって集光された光を通過させる複数の光通過領域であって、上記集光領域に対応して備えられた光通過領域と、上記集光領域と光通過領域との間に形成され、集光領域によって集光された光の少なくとも一部を反射して、上記光通過領域に導く光反射面であって、上記光通過領域と組をなして形成された光反射面とを備えていることを特徴としている。
【0064】
上記の構成によれば、太陽電池素子用集光素子に入射した光は、個々の集光領域により集光され、集光領域に対応する光通過領域を通過する。この場合、光通過領域の数は全体としては複数であるが、複数の集光領域のそれぞれの集光位置に配置する光通過領域の数は、1つを含んで任意である。
【0065】
さらに、集光素子には、集光領域によって集光された光の少なくとも一部を反射して、上記光通過領域に導く光反射面が、該光通過領域と組をなして設けられているので、集光領域により集光された入射光のうち、光通過領域に直接入射されない光の少なくとも一部を上記第1光反射面によって反射して該光通過領域に導くことができる。
【0066】
これにより、既に説明したとおり、光通過領域を通過して太陽電池素子の光電変換層に照射される光量を、季節変化や時間変化に係わり無く、増大させることが可能な太陽電池素子用集光素子を提供することができる。
【0067】
また、本発明によれば、光反射面によって、光通過領域に直接、入射されない光の少なくとも一部を反射して該光通過領域に導くことができるので、集光領域により光が集光する位置と、光通過領域との位置合わせを従来程、高精度に行なう必要性がなくなる。この結果、太陽電池素子用集光素子を高精度に製造するための高価な装置を必要とせず、また、太陽電池素子用集光素子の歩留りも向上するので、光の利用効率の高い太陽電池の製造コストを下げることが可能となる。
【0068】
本発明の太陽電池素子用集光素子の製造方法は、上記の課題を解決するために、上記太陽電池素子用集光素子の製造方法であって、上記集光領域、光反射面および光通過領域を有する単位集光素子を製造した後で、単位集光素子を複数接続して太陽電池素子用集光素子を得ることを特徴としている。
【0069】
これにより、上記単位集光素子を個々に製造した後で、太陽電池素子用集光素子の必要な大きさに合わせて、必要な個数だけ、単位集光素子を接続することができる。この結果、大きさの自由度が高い太陽電池素子用集光素子を製造することができる。
【0070】
また、単位集光素子を小型の製造装置で製造することができるので、製造装置のコストが安くなるため、太陽電池における光の利用効率を向上させることが可能な太陽電池素子用集光素子、およびそれを用いた太陽電池を低コストで提供することができる。
【0071】
本発明の太陽電池素子用集光素子の製造方法は、上記の課題を解決するために、上記太陽電池素子用集光素子の製造方法であって、上記光反射面および光通過領域を有する単位集光素子と、上記集光領域と集光領域に対向する平面とを有する集光曲面素子構成要素とを製造した後で、複数の単位集光素子を集光曲面素子構成要素の平面上に順次接着して太陽電池素子用集光素子を得ることを特徴としている。
【0072】
上記の方法によっても、単位集光素子を小型の製造装置で製造することができるので、製造装置のコストが安くなるため、太陽電池における光の利用効率を向上させることが可能な太陽電池素子用集光素子、およびそれを用いた太陽電池を低コストで提供することができる。
【0073】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の太陽電池を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0074】
〔第1の実施の形態〕
本発明の太陽電池の第1の実施の形態について図1ないし図2に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0075】
本発明の第1の実施の形態の太陽電池は、図1に示すように、支持体を兼ねた基板1上に光電変換層2を設けた太陽電池素子と、入射光(太陽光)8を複数の線状に集光することが可能なシリンドリカル状集光曲面群4、シリンドリカル状集光曲面群4により線状に集光された光が通過可能な光通過領域としての直線状光通過孔群7、および、直線状光通過孔群7を構成する個々の直線状光通過孔の両側に、直線状光通過孔に対して対称な傾きを有する第1光反射面としての第1光反射傾斜面5と第2光反射傾斜面6を有する集光素子3とが、適切な間隔を保って、平行に固定配置されている。
【0076】
なお、第1光反射傾斜面5と第2光反射傾斜面6とは、その間の直線状光通過孔から、その直線状光通過孔に対向するシリンドリカル状集光曲面群4の一つに向かって、拡開するような開き角を持っている。
【0077】
また、第1光反射傾斜面5と第2光反射傾斜面6とが、その間の直線状光通過孔に対して持つ傾斜角は、必ずしも対称的である必要は無く、集光素子3に対する太陽光8の入射角が日内変化または年内変化しても、直線状光通過孔に効率よく太陽光8を導入させ得る最適な傾斜角に、それぞれ設定すればよい。
【0078】
上記太陽電池に対して、太陽光8が垂直真上から入射すると、太陽光8は、シリンドリカル状集光曲面群4により線状に集光され、直線状光通過孔群7を通過する。一方、太陽光8が斜め上から入射すると、集光状態が変化することにより、全ての太陽光8が、直接、直線状光通過孔群7へと集光されなくなる。しかしながら、本発明の太陽電池においては、第1光反射傾斜面5又は第2光反射傾斜面6の表面に照射される太陽光8の一部が、第1光反射傾斜面5又は第2光反射傾斜面6によって集光素子3内で反射された後、直線状光通過孔群7を通過する。
【0079】
このように、本発明の太陽電池においては、太陽光8が垂直真上から入射する場合においても、太陽光8が斜め上から入射する場合においても、太陽光8を、効率良く直線状光通過孔群7へと導くことが可能である。
【0080】
従って、太陽光8を効率良く光通過領域である直線状光通過孔群7へと導くためには、少なくとも、以下のような構成にするのが、好ましい。
【0081】
すなわち、本発明の太陽電池は、少なくとも、光電変換層2を有する太陽電池素子と、集光領域(シリンドリカル状集光曲面群4)と、該集光領域により集光された入射光が上記太陽電池素子に入射可能なように光通過可能な光通過領域(直線状光通過孔群7)とを有する集光素子3とを備え、上記集光素子3には、さらに、該集光素子3内で光を反射し、該反射光を上記光通過領域に導く第1光反射面(第1光反射傾斜面5、第2光反射傾斜面6)が該光通過領域と組をなして、望ましくは光通過領域に隣接して形成されていればよい。
【0082】
上記の構成により、集光素子3に入射した光は、集光領域により集光され、光通過領域を通過して、太陽電池素子に照射される。この場合、集光領域と光通過領域とは、それぞれ複数設けてもよい。また、複数の集光領域のそれぞれの集光位置に1つないし複数の光通過領域を配置してもよい。また、光通過領域は、貫通孔であってもよいし、透明基板であってもよい。
【0083】
さらに、集光素子3には、該集光素子3内で光を反射し、該反射光を上記光通過領域に導く第1光反射面が該光通過領域と組をなして設けられているので、集光領域により集光された入射光のうち、光通過領域に直接入射されない光を上記第1光反射面によって反射して該光通過領域に導くことができる。
【0084】
これにより、季節変化や時間変化に伴い太陽光等の光の入射角が変化した場合、すなわち、集光領域により集光された光の全てが、直接、光通過領域を通過できないような場合において、集光領域により集光された光を光通過領域に直接通過させることに加えて、直接、光通過領域に入射されない光を第1光反射面により反射した後、光通過領域に通過させることが可能となるので、光通過領域を通過して太陽電池素子の光電変換層に照射される光量を増大させることが可能となる。
【0085】
従って、光の入射角が変化した場合においても、光を効率良く光通過領域を通過させることが可能となり、季節変化や時間変化に係わり無く、太陽電池の発電効率(光の利用効率)を高くすることができる。
【0086】
以上のことから、集光領域としては、シリンドリカル状集光曲面群4に限定する必要はなく、また、光通過領域としては、直線状光通過孔群7に限定する必要はなく、さらに、第1光反射面として第1光反射傾斜面5および第2光反射傾斜面6のように、必ずしも2つ設ける必要はないことが分かる。
【0087】
しかしながら、上述のように、太陽電池において、上記の集光領域として、シリンドリカル状集光曲面群4を使用し、また、光通過領域として、直線状光通過孔群7を使用し、さらに、第1光反射面として第1光反射傾斜面5および第2光反射傾斜面6のように2つ使用することにより、集光素子3に入射した光を効率よく太陽電池素子の光電変換層2に照射することができる。
【0088】
さらに、1つの光通過領域の両側に、第1光反射面が拡開するように立ち上がる構成(言い換えれば、第1光反射面を、集光領域側から光通過領域側に向けて先細る形状に構成する)、あるいは1つの光通過領域に対して、第1光反射面が拡開するように取り囲む構成(上記のように言い換えた構成)とすることで、集光素子3に入射した光を一層効率良く、光通過領域に導くことができる。
【0089】
次に、以上のようにして、直線状光通過孔群7を通過した太陽光8は、太陽電池素子上に形成された光電変換層2に照射される。そして、光電変換層2からの反射光は、光電変換層2に対向する第2光反射面により反射され、再度、光電変換層2へと入射する。ここでは、該第2光反射面は、上記第1光反射面の裏面、すなわち、第1光反射傾斜面5の裏面および第2光反射傾斜面6の裏面からなる光反射面である。なお、後述の他の実施の形態に記載しているように、第2光反射面は、集光素子3とは別途設けられた光反射層に設けてもよい。
【0090】
このように、直線状光通過孔群7へ集光されて、集光素子3と太陽電池素子との間に導入された光が、光電変換層2と第2光反射面(第1光反射傾斜面5および第2光反射傾斜面6の各裏面)との間で多重反射することにより、入射した太陽光を有効に利用することができ、太陽電池素子の発電効率を高めることが可能となる。
【0091】
次に、図2は、本発明に係る太陽電池に用いることが可能な太陽電池素子の一実施例である。図2に示す太陽電池素子は、多結晶Si半導体を用いた太陽電池素子であり、支持体を兼ねた基板1上に、光反射効果を有する電極金属層9、電極金属層9と多結晶Si半導体層11との電気的接触を良好にするために設けたn型不純物およびp型不純物の一方を高濃度にドーピングした多結晶Si半導体層10、多結晶Si半導体層10と同じ伝導型不純物をわずかにドーピングした多結晶Si半導体層11、多結晶Si半導体層10、11と反対の伝導型不純物を高濃度にドーピングした多結晶Si半導体層12、電流を取り出すためのくし型集電電極13、効率的に光を取り込むための反射防止層14とから構成されている。
【0092】
上記光電変換層2としては、多結晶Si半導体を用いた光電変換層の他に、非晶質Si太陽電池、タンデム構造の太陽電池等の光電変換層を用いることが可能である。また、他に、単結晶Si太陽電池や、CuInSe、Cu(In,Ga)(S,Se)、CuGaSeなどのCIS系太陽電池等に用いられている光電変換層を用いることも可能である。
【0093】
次に、上記集光素子3の製造方法を図3ないし図5に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0094】
図3(a),(b),(c)は、複数のシリンドリカル状集光曲面群4、第1光反射傾斜面5、第2光反射傾斜面6と直線状光通過孔群7を一括形成する方法である。
【0095】
まず、図3(a)に示すように、それぞれの形状に対応するポリカーボネート樹脂からなる集光素子3の本体を押し出し成形法により形成する。ここで、第1光反射傾斜面5と第2光反射傾斜面6に対応する面は、直線状光通過孔群7を構成する個々の直線状光通過孔に対して拡開する対称な傾きを有しており、シリンドリカル状集光曲面群4を構成する個々のシリンドリカル状集光曲面の中心面15に対して対称となっている。
【0096】
次に、図3(b)に示すように、第1光反射傾斜面5、第2光反射傾斜面6と直線状光通過孔群7に対応する面に、Al反射膜からなる光反射性材料をスパッタリング法により形成する。これにより、上記第1光反射面および第2光反射面を一度に(同時に)形成することができる。
【0097】
次に、図3(c)に示すように、直線状光通過孔群7に対応する面に形成された光反射性材料を研磨除去することにより、直線状光通過孔群7を形成することができ、本発明の集光素子3が完成する。
【0098】
ここで、集光素子3として押し出し成形法により作製したポリカーボネート製の集光素子3を用いたが、これに限られるものではない。その他の樹脂材料として、スチレン系透明樹脂、オレフィン系透明樹脂、エチレン系透明樹脂、アクリル系透明樹脂等を用いることが可能であり、また、作製方法も押し出し成形法に限られるものでなく、キャスティング法や射出成形法等を用いることが可能である。さらに、モールド法やロール成形法により作製したガラス製の集光素子3を用いることも可能である。集光素子3をガラス製とすることにより、耐環境性が著しく改善され、長期使用に対しても安定して高い発電効率を維持することが可能である。
【0099】
また、第1・第2光反射面を形成する光反射層として、スパッタリング法により形成したAl反射膜を用いたが、真空蒸着法により形成することも可能である。さらに、光反射層の材料としては、光反射率が高いことが望ましく、Al反射膜以外に、Ti,Co,Ni等の金属反射膜、および、AlTi合金、AlNi合金等の合金反射膜を用いることが可能である。
【0100】
ここで、合金反射膜を用いることにより、光反射層の耐環境性が高められ、太陽電池の長寿命化を実現することができる。さらに、電鋳法により光反射性材料を形成することも可能である。この場合、高価な真空装置を用いることなく光反射層を形成することが可能であり、太陽電池素子の低コスト化を実現できる。
【0101】
また、光反射性材料の研磨除去により、直線状光通過孔群7を形成したが、光反射性材料を切削除去してもよい。また、フォトレジスト等のマスク材料を用いてパターニングすることにより、より高精度な直線状光通過孔群7を形成することが可能である。また、光反射層形成時に、直線状光通過孔群7上に遮蔽板を配置した状態で光反射層を形成してもよく、この場合、形成プロセスの簡略化により、太陽電池の低コスト化を実現することが可能となる。
【0102】
次に、図4(a),(b),(c),(d)は、集光素子3の別の形成方法を示している。
【0103】
この方法においては、上記集光素子の一単位を個々に製造した後で、必要な大きさに合わせて、必要な個数を接続することにより、大きさの自由度が高い集光素子3を形成できるようになっている。
【0104】
まず、図4(a)に示すように、シリンドリカル状集光曲面群4を構成する1つのシリンドリカル状集光曲面、第1光反射傾斜面5、第2光反射傾斜面6と直線状光通過孔群7を構成する1つの直線状光通過孔とを有するポリカーボネート樹脂製の棒状の集光素子構成要素16(単位集光素子)が、射出成形法により形成される。
【0105】
次に、図4(b),(c)に示すように、上記集光素子構成要素16に対して、図3と同様にして、光反射膜が成膜され、第1光反射傾斜面5、第2光反射傾斜面6と直線状光通過孔とが形成される。
【0106】
最後に、図4(d)に示すように、上記集光素子構成要素16を接着剤等により横方向に連続的に貼り合わせることにより、本発明に係る集光素子3が形成される。
【0107】
この方法に従って集光素子3を形成した場合、棒状の集光素子構成要素16上に、第1光反射傾斜面5および第2光反射傾斜面6となる光反射膜を形成すればよく、例えば、棒状の集光素子構成要素16を収容可能な小型のスパッタリング装置等により、光反射膜の形成が可能となり、太陽電池の低コスト化を実現することができる。
【0108】
次に、図5(a),(b),(c)は、集光素子3の別の形成方法を示している。
【0109】
この方法においては、まず、図5(a)に示すように、第1光反射傾斜面5、第2光反射傾斜面6と直線状光通過孔群7とを有するポリカーボネート樹脂製の断面が台形である棒状の集光素子構成要素17(単位集光素子)が、射出成形法により形成される。
【0110】
次に、図5(b)に示すように、上記集光素子構成要素17に対して、図3と同様にして、光反射膜が成膜され、第1光反射傾斜面5、第2光反射傾斜面6と直線状光通過孔群7が形成される。
【0111】
最後に、図5(c)に示すように、片面にシリンドリカル状集光曲面群4を有し、他方の面が平面である集光曲面素子構成要素18を別途射出成形等により形成する。そして、上記集光素子構成要素17を上記集光曲面素子構成要素18の平面上に、接着剤等により必要数を順次貼り付けることにより、本発明に係る集光素子3が形成される。
【0112】
この方法に従って集光素子3を形成した場合、棒状の集光素子構成要素17上に、第1光反射傾斜面5および第2光反射傾斜面6となる光反射膜を形成すればよく、例えば、集光素子構成要素17を収容可能な小型のスパッタリング装置等により、光反射膜の形成が可能となり、太陽電池の低コスト化を実現することができる。
【0113】
次に、本発明の太陽電池の設置方法について、図6ないし図7に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0114】
太陽光を光源とする太陽電池においては、太陽光の入射角によらず、効率の良い発電を行う必要がある。例えば、図7に示すように、朝8時には、太陽光は東斜め上から太陽電池へと入射し、正午12時には、太陽光は垂直上方から太陽電池へと入射し、夕方16時には、太陽光は西斜め上から太陽電池へと入射する。効率の良い発電を行うためには、このように入射角が日内変化する太陽光を、シリンドリカル状集光曲面群4で集光し、効率良く、直線状光通過孔群7へと入射させることが必要となる。
【0115】
また、23.4°の地軸の傾きが存在するため、季節によっても、太陽光の入射角が変化する。例えば、春分および秋分の日の南中時に太陽光が垂直入射するように、本発明の太陽電池を設置すると、夏至や冬至の日の南中時には、太陽光が入射角±23.4°で入射することになる。
【0116】
ここで、図6に示すように、本明細書においては、シリンドリカル状集光曲面群4の円筒軸に平行な方向を縦方向19とし、該縦方向19に垂直な方向(シリンドリカル状集光曲面の反復方向)を横方向20とする。すなわち、シリンドリカル状集光曲面群4の横方向20の斜め上から入射角Rで太陽光8が入射する場合、太陽光8の光軸を含みかつシリンドリカル状集光曲面群4の円筒軸を含む平面も入射角Rに対応して傾くため、シリンドリカル状集光曲面群4により線状に集光される位置は、横方向20に沿って移動する。
【0117】
上記入射角Rが大きくなると、太陽光8は、第2光反射傾斜面6上に集光され、第2光反射傾斜面6からの反射光が、第1光反射傾斜面5に照射され、第1光反射傾斜面5からの反射光が、シリンドリカル状集光曲面群4の方向へと反射されることになる。この場合、太陽光8が、直線状光通過孔群7を通過しないため、発電効率は極めて低いものとなってしまう。
【0118】
従って、本発明の太陽電池の縦方向19を南北方向に一致させた場合、横方向20に対する入射角Rが±90°の範囲で日内変化することになるため、入射角Rが大きくなる朝方および夕方において、太陽光8が、直線状光通過孔群7を通過しなくなり、発電効率が大きく低下することになる。
【0119】
これに対して、シリンドリカル状集光曲面群4の縦方向19の斜め上から入射角Qで太陽光8が入射する場合、光軸を含みかつ円筒軸を含む平面の傾きは、入射角Qに依存せず一定であり、シリンドリカル状集光曲面群4により線状に集光される位置は、該平面上に存在する。そのため、太陽光8は直線状光通過孔群7へと集光され、高い発電効率を維持することが可能である。
【0120】
従って、本発明の太陽電池は、図7に示すように、集光素子3のシリンドリカル状集光曲面群4を、該シリンドリカル状集光曲面群4の縦方向19が、太陽の日周運動の進行方向、すなわち、東西方向と一致するように設置することにより、太陽光が斜め上から入射する朝方および夕方においても、高い発電効率を実現することが可能である。
【0121】
さらに、本発明の太陽電池の設置方法として、春分の日もしくは秋分の日の南中時に、太陽光8が、太陽電池に対して、入射角Q,R共に0°で垂直入射するように設置されていることが望ましい。
【0122】
上記のように、本発明の太陽電池の縦方向19が東西方向に一致するように設置した場合においても、地軸の傾きが存在するため、季節によって、太陽光8の入射角Rが変化してしまう。地軸の傾きは、およそ23.4°であり、夏至の南中時における太陽光8の入射角Rと、冬至の南中時における太陽光8の入射角Rとは、およそ46.8°の差が発生することになる。
【0123】
本発明の太陽電池においては、横方向20に対する入射角Rが大きくなると、発電効率が低下するため、入射角Rは、できるだけ小さいことが望ましいが、夏至の南中時に入射角Rが0°となるように、本発明の太陽電池を設置した場合、冬至の南中時の入射角Rは、46.8°と極めて大きな入射角Rとなり、冬至における発電効率が著しく低下することになる。
【0124】
これに対して、春分の日もしくは秋分の日の南中時に、入射角が0°となるように、本発明の太陽電池を設置することにより、太陽光8の入射角Rが最も大きくなる夏至もしくは冬至の南中時においても、太陽光8の入射角Rは、地軸の角度に対応する±23.4°の傾きとなり、これ以上の入射角Rとはならないことになる。従って、相対的に入射角Rが小さくなることにより、夏至もしくは冬至の両方において、相対的に高い発電効率を維持することが可能となる。
【0125】
なお、日照時間は、夏場より冬場の方が短くなるため、発電量は、夏場より冬場の方が減少する。そこで、冬場の発電量を高めるために、冬至の南中時における太陽光8の入射角Rを、夏至の南中時より小さくなるように太陽電池を設置してもよい。
【0126】
次に、本発明の太陽電池の縦方向19を東西方向に一致させ、春分および秋分の日の南中時に太陽光8の入射角Rが0°となるように、本発明の太陽電池を設置した場合について、シリンドリカル状集光曲面群4の縦方向19に対する入射角Qを変化させ、太陽光の集光状態を計算した結果を、図8(a)、(b)、(c)に示す。なお、図8(a)、(b)、(c)に記された数値は、シリンドリカル状集光曲面群4の中央を原点としたときの原点からの距離(単位mm)を示している。
【0127】
ここで、集光状態の計算は、空気の屈折率n1を1.0とし、集光素子3の屈折率n2を1.5とし、曲率半径10mmのシリンドリカル状集光曲面群4が、幅12mmの間隔(繰り返しピッチ)で並んでいる場合について行った。
【0128】
但し、シリンドリカル状集光曲面群4の各シリンドリカル状集光曲面の焦点距離Fは、図10(a)に示すように、28mmとする。ここで、焦点距離Fとは、シリンドリカル状集光曲面群4に太陽光が垂直に入射した際のシリンドリカル状集光曲面の最表面(原点)から集光位置までの距離である。
【0129】
なお、太陽光8は、集光素子3を透過し、直線状光通過孔群7を通過する際、集光素子3の屈折率と集光素子3と太陽電池素子との間の空間の屈折率とが異なることにより、直線状光通過孔群7の位置で屈折することになる。しかし、直線状光通過孔群7を通過した太陽光8は、全て、光電変換層2に照射され、光電変換に利用されるため、屈折の有無により発電効率が変化することはない。したがって、説明の便宜上、直線状光通過孔群7において、太陽光8は直進するものとして示している。
【0130】
また、直線状光通過孔群7は、シリンドリカル状集光曲面群4の最表面(原点)から13mm離れた位置に、3mmの幅で設けた。また、第1光反射傾斜面5と第2光反射傾斜面6とは、直線状光通過孔群7に対して対称な傾きを有するように設けられており、第1光反射傾斜面5と第2光反射傾斜面6のシリンドリカル状集光曲面側の端部における両者の間隔が、シリンドリカル状集光曲面の幅と同じく12mmであり、該端部の位置が、シリンドリカル状集光曲面群4の最表面(原点)から6mm離れた位置として計算を行った。
【0131】
また、入射角Qが変わった場合、太陽光8は、集光素子3の中を斜めに進行することになるが、シリンドリカル状集光曲面群4の円筒軸に垂直な平面上に投影した形で、太陽光8の集光状態を示している。
【0132】
入射角Qが0°の場合、図8(a)に示すように、シリンドリカル状集光曲面群4の外縁領域に入射した太陽光8は、第1光反射傾斜面5もしくは第2光反射傾斜面6に反射された後、直線状光通過孔群7を通過し、また、シリンドリカル状集光曲面群4の中心領域に入射した太陽光8は、直接、直線状光通過孔群7を通過することがわかる。
【0133】
次に、入射角Qが40°の場合、図8(b)に示すように、入射角Qが0°の場合とほぼ同様であることがわかる。
【0134】
次に、入射角Qが80°の場合、図8(c)に示すように、入射角Qの増大に伴って、太陽光8が集光される位置が、相対的にシリンドリカル状集光曲面側に近づくため、直線状光通過孔群7の手前で一度集光され、第1光反射傾斜面5もしくは第2光反射傾斜面6に反射されることなく、直線状光通過孔群7を通過することがわかる。
【0135】
以上のように、本発明に係る太陽電池においては、シリンドリカル状集光曲面群4の縦方向19に対する入射角Qが変化した場合においても、シリンドリカル状集光曲面群4により集光された光、および、第1光反射傾斜面5または第2光反射傾斜面6により反射された光が、効率良く直線状光通過孔群7を通過することが可能となる。その結果、光電変換層2と第2光反射面(第1光反射傾斜面5および第2光反射傾斜面6の各裏面)との間で多重反射する太陽光8の光量が増大し、高い発電効率を得ることが可能となる。
【0136】
次に、図9(a),(b)は、図8(a)〜(c)に比較して、直線状光通過孔群7を、シリンドリカル状集光曲面群4に近づけて設けた場合の計算結果を示している。この計算結果は、直線状光通過孔群7とシリンドリカル状集光曲面群4の最表面との距離を9mmとし、直線状光通過孔群7の幅を6mmとした場合の結果である。
【0137】
この結果も、入射角Qが0°と80°の場合において、全ての太陽光8を直線状光通過孔群7へと導くことが可能であることを示している。このように、直線状光通過孔群7とシリンドリカル状集光曲面群4の最表面との距離を短くすることにより、集光素子3を薄くすることが可能となり、太陽電池の薄型化および軽量化を実現することができる。
【0138】
次に、図10(a),(b)は、図8(a)〜(c)と同一形状の第1光反射傾斜面5と第2光反射傾斜面6とを、直線状光通過孔群7の位置が、シリンドリカル状集光曲面群4の焦点距離F(28mm)だけ、シリンドリカル状集光曲面群4から離れた位置に設けた場合の集光状態を示している。
【0139】
図10(a)に示すように、入射角Qが0°の場合、全ての太陽光8が直線状光通過孔群7の位置で直線状に集光され、直線状光通過孔群7を通過するが、図10(b)に示すように、入射角Qが80°の場合、太陽光8の集光位置が、シリンドリカル状集光曲面側に移動するため、入射してくるほとんどの太陽光8は、第1光反射傾斜面5および第2光反射傾斜面6の一方により反射された後、第1光反射傾斜面5および第2光反射傾斜面6の他方によって再度反射され、シリンドリカル状集光曲面群4側へと逆進する。この結果、僅かな太陽光8のみが直線状光通過孔群7を通過することになるので、発電効率が著しく低減することになる。
【0140】
以上のことより、本発明の太陽電池においては、図8(a)〜(c)もしくは図9(a)(b)に示すように、直線状光通過孔群7の位置を、シリンドリカル状集光曲面群4の最表面から、シリンドリカル状集光曲面群4の焦点距離だけ離れた位置よりも、シリンドリカル状集光曲面群4に近い位置とし、かつ、第1光反射傾斜面5および第2光反射傾斜面6の開き角を調節することにより、入射角Qが変化した場合においても、高い発電効率を維持することが可能となることがわかる。
【0141】
なお、図8(a)〜(c)と図9(a)(b)との比較によって判るように、直線状光通過孔群7の位置を、シリンドリカル状集光曲面群4の最表面に近づけるに従って、第1光反射傾斜面5および第2光反射傾斜面6の開き角を大きくするように調節することが好ましい。
【0142】
また、終日にわたり高い発電効率を得ることを優先する場合、直線状光通過孔群7の幅を狭くすることが望ましい。そのためには、図8(a)〜(c)に示すように、第1光反射傾斜面5および第2光傾斜反射面6の開き角を、入射角Qが0°の場合の太陽光の集光角度よりも大きくし、入射角Qが80°の場合の太陽光の集光角度よりも小さくし、かつ、直線状光通過孔群7の位置を、入射角Qが0°の場合の太陽光の集光位置よりもシリンドリカル状集光曲面群4に近い位置とし、入射角Qが80°の場合の太陽光の集光位置よりもシリンドリカル状集光曲面群4から遠い位置とし、さらに、直線状光通過孔群7の幅を、全ての入射角Qに対して最大の発電効率が得られる幅とすることが望ましい。
【0143】
一方、太陽電池の薄さを優先する場合、第1光反射傾斜面5および第2光反射傾斜面6の開き角をできるだけ大きくし、かつ、第1光反射傾斜面5および第2光反射傾斜面6をできるだけシリンドリカル状集光曲面群4に近づけることが望ましい。
【0144】
ここで、太陽光の入射角度Qが0°の場合、太陽光の集光角度は、シリンドリカル状集光曲面群4の形状と集光素子3の屈折率により決定されるものであり、太陽光の入射角度Qが0°の場合において、良好な集光特性を得るためには、上記開き角は、少なくとも90°よりも小さくすることが望ましい。また、この場合、集光素子3の機械的強度が保てる範囲で、第1光反射傾斜面5および第2光反射傾斜面6をシリンドリカル状集光曲面群4に近づけ、さらに、直線状光通過孔群7の幅を、全ての入射角Qに対して最大の発電効率が得られる幅とすることが望ましい。
【0145】
次に、図11(a),(b)は、それぞれ、本発明の太陽電池の横方向20に対する入射角Rが、23.4°の場合と46.8°の場合について、その集光状態を計算した結果を示している。ここで、この計算結果は、直線状光通過孔群7とシリンドリカル状集光曲面群4の最表面との距離を12mmとし、直線状光通過孔群7の幅を4mmとした場合の結果である。
【0146】
シリンドリカル状集光曲面を頂部において半分に分け、第1光反射傾斜面5側の半分領域と第2光反射傾斜面6側の半分領域とを考えたとき、図11(a)に示すように、入射角Rが23.4°の場合、第2光反射傾斜面6側の半分領域に入射した太陽光8は、ほぼ直進し、直線状光通過孔群7を通過する。
【0147】
これに対し、第1光反射傾斜面5側の半分領域に入射した太陽光8は、シリンドリカル状集光曲面により屈折され、第1光反射傾斜面5により反射された後、直線状光通過孔群7を通過することになる。
【0148】
従って、図11に示す構成の集光素子3を用いた場合、太陽光8の入射角Rが23.4°存在する場合においても、良好な集光状態が得られ、高い発電効率を実現することが可能である。
【0149】
これに対して、図11(b)に示すように、入射角Rが46.8°になると、シリンドリカル状集光曲面に入射した全ての太陽光8が第1光反射傾斜面5により反射され、さらに、第1光反射傾斜面5により反射された太陽光8が第2光反射傾斜面6により反射され、第2光反射傾斜面6からの反射光は、シリンドリカル状集光曲面群4の方向へと逆進する。従って、ほとんど全ての太陽光8が、直線状光通過孔群7を通過しないことになり、発電効率が著しく低減してしまうことになる。
【0150】
この計算結果から、本発明の太陽電池においては、太陽電池の設置角度が、春分または秋分の南中時に、太陽電池に対する太陽光8の入射角QおよびRが共に0°となるように設置し、太陽光8の入射角Rが最大となる夏至および冬至における太陽光の入射角Rを、できるだけ小さくすることにより、季節変化に関係することなく高い発電効率を維持することが可能となる。
【0151】
〔第2の実施の形態〕
本発明の太陽電池の第2の実施の形態について、図12ないし図14(a)〜(c)に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0152】
本発明の第2の実施の形態の太陽電池は、図12に示すように、図1に示す第1の実施の形態の太陽電池における、シリンドリカル状集光曲面群4の光入射側に、該シリンドリカル状集光曲面群4を構成する集光素子3の屈折率よりも小さな屈折率を有する透明屈折層21が設けられた構成となっている。
【0153】
上記の構成においては、図13に示すように、入射角Q1で透明屈折層21に入射した太陽光8は、透明屈折層21の屈折率n1が、光が入射してくる大気の屈折率n0より大きいため、透明屈折層21の光入射面において、法線方向に近づくように屈折される。
【0154】
従って、入射側第1透明体である透明屈折層21と集光側第2透明体である集光素子3との界面に設けられたシリンドリカル状集光曲面群4に対する太陽光8の入射角Q2は、Q1よりも小さくなる。すなわち、透明屈折層21を設けることにより、透明屈折層21を設けない場合と比較して、シリンドリカル状集光曲面群4への太陽光の入射角を小さくすることが可能となる。
【0155】
ここで、入射角Q2は、入射角Q1、および、屈折率n0とn1から、屈折の法則(n0sinQ1=n1sinQ2)を満足すべく決定される。例えば、n0=1.0,n1=1.4とすると、Q1が80°の傾きを持って太陽光8が、透明屈折層21に対して入射する場合、Q2は、約45°となり、集光素子3への実質的な太陽光8の入射角の変化が低減される。
【0156】
このように、上記透明屈折層21を設け、実質的な太陽光8の入射角の変化を低減することにより、集光素子3における太陽光8の集光状態の変化も低減される。その結果、太陽光8の入射角の日内変化、もしくは、季節変化により、太陽光8の入射角が変化した場合においても、より幅の狭い直線状光通過孔群7へと太陽光を導くことが可能となる。該直線状光通過孔群7の幅が狭くできると、光電変換層2により反射された太陽光8が、該直線状光通過孔群7を逆方向に通過して、多重反射に寄与しなくなる割合が減少するので、本発明の太陽電池の発電効率を高くすることが可能となる。
【0157】
図14(a)〜(c)は、図12に示す構成の太陽電池における太陽光8の集光状態を計算した結果を示している。ここで、大気の屈折率n0を1.0とし、透明屈折層21の屈折率n1を1.4とし、集光素子3の屈折率n2を1.9とした。
【0158】
直線状光通過孔群7は、シリンドリカル状集光曲面群4の最表面(原点)から27mm離れた位置に、2mmの幅で設けた。また、第1光反射傾斜面5と第2光反射傾斜面6とは、直線状光通過孔群7に対して対称な傾きを有するように設けられており、第1光反射傾斜面5と第2光反射傾斜面6のシリンドリカル状集光曲面側の端部における両者の間隔が、シリンドリカル状集光曲面の幅と同じく12mmであり、該端部の位置が、シリンドリカル状集光曲面群4の最表面(原点)から5mm離れた位置として計算を行った。
【0159】
図14(a),(b),(c)は、図12に示す構成の太陽電池において、シリンドリカル状集光曲面群4の縦方向19に対する入射角Q1が、0°,40°,80°の場合の計算結果であり、集光素子3への実質的な入射角Q2は、上記と同様の計算により、それぞれ、0°,27°,45°となる。
【0160】
第1の実施の形態のように、透明屈折層21を設けていない図8(a)〜(c)の場合においては、太陽光の入射角Qが0°の場合におけるシリンドリカル状集光曲面群4の焦点距離が28mmであり、入射角Qが80°となることにより、該集光位置は、シリンドリカル状集光曲面群4の最表面から12mm離れた位置に移動する。このように集光位置が大きく変動することにより、集光素子3内での太陽光8の集光状態が大きく変化することに合わせるため、直線状光通過孔群7の幅を適度に広くする必要があった。
【0161】
これに対して、図14(a)〜(c)に示す第2の実施の形態においては、太陽光の入射角Q1が0°の場合におけるシリンドリカル状集光曲面群4の焦点距離が35mmであり、入射角Q1が80°における該集光位置は、シリンドリカル状集光曲面群4の最表面から24mm離れた位置に移動する程度であり、第1の実施の形態に比べて、集光位置の移動の割合(集光位置の移動量/焦点距離)が小さくなる。
【0162】
従って、集光素子3内における太陽光8の集光状態の変化も小さくなることにより、直線状光通過孔群7の幅を狭くすることが可能となり、より幅の狭い直線状光通過孔群7へと効率良く太陽光を導くことができる。該直線状光通過孔群7の幅が狭くできると、光電変換層2により反射された太陽光8が、該直線状光通過孔群7を逆方向に通過して、多重反射に寄与しなくなる割合が減少し、本発明の太陽電池の発電効率を高くすることが可能となる。
【0163】
ここで、図14(a)〜(c)の場合においても、入射角Q1の増大に伴い、集光位置がシリンドリカル状集光曲面群4の方向へと移動するため、全ての入射角Q1に対して、良好な集光状態を実現するためには、直線状光通過孔群7の位置を、シリンドリカル状集光曲面の焦点距離(図14(a)〜(c)の場合35mm)よりも、シリンドリカル状集光曲面に近い位置に設け、かつ、第1光反射傾斜面5および第2光反射傾斜面6の開き角を調節することが望ましい。
【0164】
例えば、入射角Q1が80°となる図14(c)において、直線状光通過孔群7の位置を上記焦点距離の位置(シリンドリカル状集光曲面から35mm離れた位置)に設けた場合、集光位置が24mmの位置に存在するため、発散した太陽光8が、直線状光通過孔群7へと照射されることになる。従って、ほとんどの太陽光8は、第1光反射傾斜面5と第2光反射傾斜面6との間で反射を繰り返した後、シリンドリカル状集光曲面群4側へと逆進して放出され、発電効率が著しく低減することになる。
【0165】
〔第3の実施の形態〕
上記第1の実施の形態、および、上記第2の実施の形態においては、集光素子3の直線状光通過孔群7と太陽電池素子の光電変換層2とを離間して固定配置した構成について説明した。この構成は、上記直線状光通過孔群7の外縁部と上記光電変換層2の外縁部との間にスペーサを配置し、両者を固定することにより実現される。
【0166】
しかしながら、この場合、上記直線状光通過孔群7と上記光電変換層2との間が空洞となるため、上記直線状光通過孔群7や上記集光領域を有する集光素子3にゆがみが発生する原因となる。この集光素子3のゆがみにともない、上記直線状光通過孔群7が、上記光電変換層2に近づいた場合、上記直線状光通過孔群7近傍の上記光電変換層2のみに、集光された光が照射されることになる。その結果、上記光電変換層2には、上記直線状光通過孔群7に対応した不均一な強度分布の光が照射され、局所的な発電電圧の変動が発生することになる。このような電圧変動は、光電変換層2及び集電電極13の中で電流の流れを発生することになる。従って、集電電極13により外部に取り出すことができる電流量が減少し、発電効率の低下を招く原因となる。
【0167】
図15は、上記問題点を解決することが可能な太陽電池の構成を示している。図15に示す本発明の太陽電池は、本発明に係る集光素子3と光電変換層2を有する太陽電池素子との間に、透明基板22を配置して、上記集光素子3を上記太陽電池素子に押さえつけて固定するか、もしくは、透明接着剤により接着固定するものである。
【0168】
ここで、上記太陽電池において、機械的強度を高めるためには、上記集光素子3と透明基板22とは、透明接着剤により接着固定されていることが望ましい。さらに、上記透明基板22を太陽電池素子に対して、接着剤により接着固定することにより、さらに、高い機械的強度を実現することができる。
【0169】
このように、透明基板22を設けた場合、集光素子3のゆがみが発生することが無くなり、直線状光通過孔群7と光電変換層2との間隔が一定に保たれることにより、光電変換層に対して、常に均一な強度の太陽光が照射されることになり、安定して高い発電効率を得ることが可能な太陽電池を形成することができる。
【0170】
図15においては、図1に示す第1の実施の形態の太陽電池に対して、透明基板22を設けた構成について説明したが、図12に示す第2の実施の形態の太陽電池に対して、同様な透明基板22を用いた場合においても、同様な効果を得ることが可能である。
【0171】
〔第4の実施の形態〕
本実施の形態では、図16は、図15の構成の太陽電池において、上記透明基板22が上記直線状光通過孔群7に接する面であり、且つ、該直線状光通過孔群7以外の領域に平面状光反射面23(第2光反射面)が設けられた構成となっている。
【0172】
この場合、太陽光8は、直線状光通過孔群7を通過した後、透明基板22を透過し、光電変換層2に照射され、光電変換層2からの反射光が、平面状光反射面23に反射され、再度、光電変換層2へと照射されることになる。
【0173】
従って、太陽光8が、光電変換層2と平面状光反射面23との間で多重反射し、入射した太陽光8を効率良く利用することが可能となり、高い発電効率を実現することができる。
【0174】
図1および図15に示す太陽電池においては、第1光反射傾斜面5の裏面と第2光反射傾斜面6の裏面とを第2光反射面として用いている。従って、光電変換層2からの反射光は、第1光反射傾斜面5(第2光反射傾斜面6)の裏面で反射され、次に、第2光反射傾斜面6(第1光反射傾斜面5)の裏面で反射された後、再度、光電変換層2へと照射されることになる。
【0175】
これに対して、図16に示す構成においては、光電変換層2からの反射光は、第1光反射傾斜面5および第2光反射傾斜面6とは別途設けられた平面状光反射面23によって反射された後、再度、光電変換層2へと照射される。すなわち、図16に示す構成の太陽電池においては、入射光の多重反射の際、光反射面での反射回数を少なくして光電変換層2に受光させることが可能となる。
【0176】
ここで、光反射面の反射率は可能な限り高いものとすることが望ましいが、100%の反射率を実現することはできないため、光電変換層2が再受光または再々受光等するまでの光反射面での反射回数を少なくすることにより、光反射面における反射光量の減少が抑制されることになる。従って、図16に示す太陽電池は、光反射面での反射回数が少なくなることにより、反射光量が増大する結果、図15に示す太陽電池に比べて、より高い発電効率を実現することが可能となる。
【0177】
〔第5の実施の形態〕
図17は、太陽電池素子の基板として、図18に示す太陽電池素子を構成する太陽電池素子用透明基板24を用いた本発明の実施の形態を示している。図17において、太陽電池素子の光電変換層2としては、例えば、従来技術において説明した図21に示す構成の光電変換層2を用いることが可能である。
【0178】
すなわち、太陽電池素子としては、例えば図18に示すように、光の入射側から、太陽電池素子用透明基板24、透明導電膜25、くし型集電電極26を含むp層27、i層28、n層29、電極金属層30、保護膜31が順に積層された構成となっている。
【0179】
さらに、上記太陽電池素子用透明基板24の光入射面に集光素子3を密着固定する。
【0180】
図17に示す構成においては、シリンドリカル状集光曲面群4により集光された太陽光8、および、第1光反射傾斜面5または第2光反射傾斜面6により反射された太陽光8が、直線状光通過孔群7を通過した後、太陽電池素子用透明基板24を透過し、その後、光電変換層2に入射する。
【0181】
次に、該光電変換層2からの反射光は、第1光反射傾斜面5の裏面および第2光反射傾斜面6の裏面からなる第2光反射面により反射され、再度、光電変換層2へと照射される。従って、太陽光8が光電変換層2と第2光反射面との間で多重反射されることにより、入射した太陽光8を効率良く利用することが可能となり、高い発電効率を実現することができる。
【0182】
図15に示す構成の太陽電池においては、透明基板22を設けることにより、集光素子3の直線状光通過孔群7と光電変換層2との間隔を一定に保ち、安定して高い発電効率を得ることが可能な太陽電池とすることができた。
【0183】
これに対して、図17に示す構成の太陽電池においては、太陽電池素子用透明基板24が、直線状光通過孔群7と光電変換層2との間に存在する構成となっており、集光素子3を太陽電池素子用透明基板24の光入射面に密着固定している。
【0184】
従って、太陽電池素子用透明基板24が透明基板22と同等の機能を持つので、別途、透明基板22を設けなくても、直線状光通過孔群7と光電変換層2との間隔を一定に保つことが可能となる、これにより、安定して高い発電効率を得ることが可能になるとともに、太陽電池の薄型化および軽量化を実現することができる。
【0185】
また、図17に示す太陽電池においても、図16に示す太陽電池と同様に、太陽電池素子用透明基板24が直線状光通過孔群7に接する面において、該直線状光通過孔群7以外の領域に平面状光反射面23を設けることができる。これにより、光反射面での反射回数を少なくし、より高い発電効率を実現することが可能となる。
【0186】
ここで、図17においては、図1に示す第1の実施の形態における集光素子3に対して、太陽電池素子用透明基板24を用いた構成について説明したが、図12に示す第2の実施の形態における透明屈折層21を有する集光素子3に対して、同様な太陽電池素子用透明基板24を用いた場合においても、同様な効果を得ることが可能である。
【0187】
〔第6の実施の形態〕
第6の実施の形態に係る太陽電池は、直線状光通過孔群7と光電変換層2との間に、光電変換層2の光電変換に寄与する波長の蛍光を発する材料が設けられることにより発電効率を高めるものである。
【0188】
例えば、図15および図16に示す構成の太陽電池において、直線状光通過孔群7と光電変換層2との間に設けられた透明基板22として、粒径5μmのYS:Eu,Mg,Tiの蛍光粒子を、15体積%含有させた透明基板22を用いることにより、発電効率を高めることができる。
【0189】
この蛍光粒子は、光電変換層2の光電変換に利用されない波長400nm近傍の光を、光電変換に利用される波長600nm近傍の光に変換する。このため、蛍光粒子から発生する波長600nm近傍の蛍光も、第2光反射面と光電変換層2との間で多重反射し、光電変換に利用される波長の光が増大され、太陽電池の発電効率をさらに高くすることが可能となる。
【0190】
また、図17に示す太陽電池の太陽電池素子用透明基板24として、同様に、粒径5μmのYS:Eu,Mg,Tiの蛍光粒子を含有させた場合においても、同様に、太陽電池の発電効率をさらに高くすることが可能である。
【0191】
また、図15および図16において、集光素子3および透明基板22および太陽電池素子を透明接着剤で接着固定する場合と、図17において、集光素子3と太陽電池素子用透明基板24とを透明接着剤で接着固定する場合とにおいて、該透明接着剤に、粒径5μmのYS:Eu,Mg,Tiの蛍光粒子を含有させることによっても、同様に、光電変換に利用される波長の光が増大され、太陽電池の発電効率を高くすることが可能となる。
【0192】
ここで、上記透明基板22または上記太陽電池素子用透明基板24と、上記透明接着剤の両方に粒径5μmのYS:Eu,Mg,Tiの蛍光粒子を含有させることにより、光電変換に利用される波長の光がさらに増大され、太陽電池の発電効率をさらに高くすることが可能となる。
【0193】
また、図1および図12に示す構成の太陽電池において、太陽電池素子の集光素子3に対向する面と、集光素子3の太陽電池素子に対向する面との、どちらか一方の面上、もしくは、両方の面上に、粒径5μmのYS:Eu,Mg,Tiの蛍光粒子を含有した透明樹脂層を設けることにより、同様に、光電変換に利用される波長の光が増大され、太陽電池の発電効率を高くすることが可能となる。
【0194】
以上の説明においては、蛍光粒子として、粒径5μmのYS:Eu,Mg,Tiの蛍光粒子を用いたが、これに限られるものではない。例えば、蛍光粒子として、粒径2〜20μmのYS:Eu,Mg,Tiの蛍光粒子を使用することにより、200〜450nmの波長の光を吸収し、625nmの波長の光を放射させることが可能である。
【0195】
また、Er3+イオンを含有した酸化フッ化物系結晶化ガラスを用いることにより、800nm近傍の波長の光を吸収し、550〜660nmの波長の光を放射させることが可能である。
【0196】
これら以外の蛍光材料として、酸化ストロンチウムと酸化アルミニウムからなる化合物に希土類元素のユウロピウム(Eu)とジスプロシウム(Dy)を添加したSrAl:Eu,Dyや、SrAl1425:Eu,Dyや、CaAl:Eu,Dyや、ZnS:Cu等の蛍光材料を用いることも可能である。
【0197】
また、シアニン系色素、ピリジン系色素、ローダミン系色素等の有機色素を含有させることによっても、同様に、短波長の光を長波長の光に変換することが可能であり、発電効率を高くすることが可能である。
【0198】
さらに、これらの蛍光材料を任意の組み合わせで複数同時に用いることにより、より高い発電効率を得ることが可能である。
【0199】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0200】
【実施例】
〔実施例1〕
本発明の実施例1として、図1に示す構成の太陽電池を作製した。
【0201】
基板1と光電変換層2とからなる太陽電池素子として、以下のようにして、図2に示す太陽電池素子を形成した。
【0202】
支持体を兼ねたステンレス製の基板1上に、光反射効果を有する膜厚100nmのAl0.95Ti0.05合金からなる電極金属層9をスパッタリングにより形成した後、電極金属層9と半導体層との電気的接触を良好にするために設けたn型の不純物を高濃度にドーピングした多結晶Si半導体層10、多結晶Si半導体層10と同じn型の不純物をわずかにドーピングした多結晶Si半導体層11、多結晶Si半導体層10、11と反対のp型の不純物を高濃度にドーピングした多結晶Si半導体層12をプラズマCVD装置により順次形成した。
【0203】
多結晶Si半導体層10は、基板温度250℃の条件で、SiHガス、Hガス、PHガスの混合比を最適化した混合ガスをCVD装置に導入し、ガス圧20Paとして、100Wの高周波電力を投入することにより形成した。こうして、電極金属層9上には、Pが高濃度にドープされた膜厚30nmの多結晶Si半導体層10を堆積した。
【0204】
次に、多結晶Si半導体層11は、基板温度550℃の条件で、SiHガス、Hガス、PHガスの混合比を最適化した混合ガスをCVD装置に導入し、ガス圧50Paとして、350Wの高周波電力を投入することにより形成した。こうして、多結晶Si半導体層10上には、Pがわずかにドーピングされた膜厚300nmの多結晶Si半導体層11を堆積した。
【0205】
従来の太陽電池においては、多結晶Si半導体層11は、光を吸収し、電荷を発生させ、発電を行う層であり、十分に光を吸収させるため、通常その厚さが5000nm以上50000nm以下に設定される。しかしながら、本発明においては、直線状光通過孔群7を通過した光が、光電変換層2と第1光反射傾斜面5および第2光反射傾斜面6との間で多重反射するため、効率的に光を吸収させることができる。
【0206】
従って、多結晶Si半導体層11を従来より薄くすることが可能であり、その膜厚が100nm以上3000nm以下と薄い場合においても高い発電効率を得ることができる。この結果、多結晶Si半導体層11の形成時間を大幅に短縮することが可能となり、太陽電池の低コスト化を実現することができる。
【0207】
次に、多結晶Si半導体層12は、基板温度350℃の条件で、SiHガス、Hガス、BFガスの混合比を最適化した混合ガスをCVD装置に導入し、ガス圧50Paとして、100Wの高周波電力を投入することにより形成した。こうして、多結晶Si半導体層11上には、Bがドーピングされた膜厚15nmのp型の多結晶Si半導体層12を堆積した。
【0208】
次に、多結晶Si半導体層10〜12で構成されるpn接合を形成した基板1をスパッタリング装置に取り付け、くし型集電電極13の形状に対応した遮蔽マスクを基板1の多結晶Si半導体層12の表面に装着した状態で、AlTi合金ターゲットを用いて膜厚100nmのAl0.95Ti0.05合金膜からなる幅0.1mm、間隔5mmのくし型集電電極13を形成した。
【0209】
最後に、Inターゲットを用い、酸素雰囲気中で反応性スパッタリングを行うことにより、多結晶Si半導体層12およびくし型集電電極13上に、膜厚65nmの反射防止層14となる導電性透明膜を形成した。
【0210】
一方、集光素子3は、図3に示す方法に従って作製した。すなわち、押し出し成形法により、ポリカーボネート樹脂製の集光素子3の本体を作製し(a)、次に、光反射効果を有する膜厚100nmのAl0.95Ti0.05合金からなる光反射層を、第1光反射傾斜面5と第2光反射傾斜面6と直線状光通過孔群7の上に形成し(b)、最後に、直線状光通過孔群7上に形成された光反射層を研磨除去することにより、実施例1の集光素子3とした(c)。
【0211】
ここで、シリンドリカル状集光曲面群4は、焦点距離Fが28mmであり、曲率半径が10mmであるシリンドリカル状集光曲面が、幅12mmの間隔で並んだ構成とした。また、直線状光通過孔群7を設ける位置、すなわち、直線状光通過孔群7とシリンドリカル状集光曲面群4の最表面(原点)との間隔dが13mmとなり、直線状光通過孔の幅が3mmとなるように設けた。
【0212】
また、第1光反射傾斜面5と第2光反射傾斜面6のシリンドリカル状集光曲面側の端部における両者の間隔が、シリンドリカル状集光曲面の幅と同じく12mmであり、該端部の位置が、シリンドリカル状集光曲面群4の最表面(原点)から6mm離れた位置となるように形成した。
【0213】
これにより、図8(b)に示すように、第1光反射傾斜面5が直線状光通過孔の幅方向(図6に示す横方向20と同じ)に対してなす角度θについて、
tanθ=(13−6)/{(12−3)/2}=7/4.5=14/9
となる。第2光反射傾斜面6については、tan(π−θ)の絶対値が14/9となる。
【0214】
以上のようにして作製した上記基板1と上記光電変換層2とからなる太陽電池素子と、集光素子3とを、それぞれ、図1に示すように固定配置し、実施例1aの太陽電池とした。また、集光素子3を設けていない太陽電池素子のみの太陽電池を比較例1の太陽電池とした。
【0215】
実施例1aの太陽電池の発電効率と、比較例1の太陽電池の発電効率を、光源として太陽光シミュレーターを用いて調査した。100mW/cmの光の縦方向19に対する入射角Qを変えて照射することにより、それぞれの開放電圧Vおよび短絡電流Iの大きさを調査した。
【0216】
【表1】
Figure 2004186334
【0217】
表1は、入射角Qが、0°、40°、80の場合における測定結果を示しており、それぞれの入射角Qにおける、実施例1aの太陽電池の開放電圧Vと短絡電流Iを、比較例1の開放電圧Vと短絡電流Iを100%として求めたものである。
【0218】
実施例1aの太陽電池においては、入射角Qに係らず、開放電圧Vが113%〜115%と大きくなり、短絡電流Iが135%〜142%と大きくなっており、本発明の集光素子3を持たない太陽電池より高い発電効率が得られている。
【0219】
次に、表1において、実施例1bから実施例1eは、第1光反射傾斜面5と第2光反射傾斜面6の傾斜角度を変えずに、直線状光通過孔群7とシリンドリカル状集光曲面群4の最表面(原点)との間隔dを変えて形成した太陽電池の開放電圧Vと短絡電流Iを示している。
【0220】
間隔dをシリンドリカル状集光曲面群4の焦点距離と同じく28mmとした場合(図10参照)、実施例1bに示すように、Q=0°においては、開放電圧と短絡電流の増加が確認されたが、Q=80°においては、開放電圧と短絡電流が共に著しく減少した。この結果は、図10において説明したように、入射角Qの増大により、集光位置がシリンドリカル状集光曲面側へと近づき、太陽光が直線状光通過孔群7を通過しなくなったことによるものである。
【0221】
次に、実施例1cは、d=22mmの場合の結果を示しており、d=28mmに比べて、Q=80°における開放電圧と短絡電流が相対的に大きくなっているが、比較例1の太陽電池と比較すると、開放電圧と短絡電流が減少することが確認された。
【0222】
次に、実施例1dは、d=17mmの場合の結果を示しており、実施例1aと同様に、全ての入射角Qにおいて、比較例1よりも大きな開放電圧と短絡電流が得られている。
【0223】
次に、実施例1eは、d=11mmの場合の結果を示しており、この場合も同様に、全ての入射角Qにおいて、比較例1よりも大きな開放電圧と短絡電流が得られている。
【0224】
本実施例においては、前述のように、第1光反射傾斜面5と第2光反射傾斜面6とが、直線状光通過孔の幅方向に対してなす角度θについて、tanθまたはtan(π−θ)の絶対値が14/9となるように設定した場合において、距離dを11mm以上17mm以下とすることにより、全ての入射角Qにおいて、比較例1よりも大きな開放電圧と短絡電流が得られたが、これに限られるものではない。
【0225】
第1光反射傾斜面5および第2光反射傾斜面6の傾き角度や、直線状光通過孔の幅を変えた場合には、太陽光の集光状態が変化するため、最適な距離dも変化する。それぞれの場合について、集光状態を計算し、最大の発電効率(光利用効率)が得られるように設計することが望ましい。
【0226】
次に、実施例1の太陽電池の光電変換層2上に、粒径5μmのYS:Eu,Mg,Tiの蛍光粒子を、15体積%含有させた紫外線硬化樹脂層(層厚20μm)を設けた太陽電池を作製した。この蛍光粒子は、光電変換に利用されない波長400nm近傍の光を、光電変換に利用される波長600nm近傍の光に変換する。このため、蛍光粒子から発生する波長600nm近傍の光も、第1光反射傾斜面5と光電変換層2との間で多重反射することにより、太陽電池の発電効率をさらに高くすることが可能となる。
【0227】
ここでは、蛍光粒子を含有した紫外線硬化樹脂層を用いたが、蛍光粒子を含有した透明フィルムを接着固定しても良い。
【0228】
蛍光粒子を含有した紫外線硬化樹脂層を設けていない太陽電池と、蛍光粒子を含有した紫外線硬化樹脂層を設けた上記太陽電池に対して、太陽光シミュレーターを用い、100mW/cmの光の入射角Qを変えて照射して、両者の開放電圧Vと短絡電流Iを比較した結果、蛍光粒子を含有した紫外線硬化樹脂層を設けたことにより、全ての入射角Qにおいて、開放電圧Vが3〜5%大きくなり、短絡電流Iが10〜12%大きくなることが確認された。
【0229】
〔実施例2〕
次に、本発明の実施例2として、図12に示す構成の太陽電池を作製した。実施例2の太陽電池は、図1に示す実施例1の太陽電池において、集光素子3の光入射面側に、透明屈折層21を設けた構成である。
【0230】
光電変換層2を有する太陽電池素子としては、実施例1と同じものを使用した。
【0231】
次に、集光素子3は、次のようにして作製した。
【0232】
まず、ロール成形法により、片面にシリンドリカル状集光曲面群4を有し、もう一方の面に、第1光反射傾斜面5の形状と第2光反射傾斜面6の形状とに対応した構造を有する鉛ガラスからなる集光素子3の本体を形成した。次に、光反射効果を有する膜厚100nmのAl0.95Ti0.05合金からなる光反射層を、第1光反射傾斜面5と第2光反射傾斜面6と直線状光通過孔群7の上に形成し、最後に、直線状光通過孔群7上に形成された光反射層を研磨除去することにより、実施例1と同じ集光素子3を得た。
【0233】
次に、上記集光素子3のシリンドリカル状集光曲面群4上に、フルオロビニルエーテルを使用した透明フッ素樹脂を溶融状態でコーティングし、光入射面側を平らに成形した後、冷却固化させることにより、透明屈折層21を形成した。
【0234】
上記集光素子3の屈折率は1.9であり、該シリンドリカル状集光曲面群4は、曲率半径10mmのシリンドリカル状集光曲面群4が、幅12mmの間隔で並んだ構成とし、シリンドリカル状集光曲面群4の焦点距離Fは、35mmであった。
【0235】
また、直線状光通過孔群7を設ける位置、すなわち、直線状光通過孔群7とシリンドリカル状集光曲面群4の最表面(原点)との間隔dが26mmとなり、直線状光通過孔の幅が2mmとなるように設けた。また、第1光反射傾斜面5と第2光反射傾斜面6のシリンドリカル状集光曲面側の端部における両者の間隔が、シリンドリカル状集光曲面の幅と同じく12mmであり、該端部の位置が、シリンドリカル状集光曲面群4の最表面(原点)から12mm離れた位置となるように形成した。
これにより、図8(b)に示す角度θに関する実施例1のtanθの計算に、上記の場合を当てはめると、
tanθ=(26−12)/{(12−2)/2}=14/5
となる。第2光反射傾斜面6については、tan(π−θ)の絶対値が14/5となる。
【0236】
以上のようにして作製した上記基板1と上記光電変換層2とからなる太陽電池素子と、透明屈折層21を有する集光素子3とを、それぞれ、図12に示すように固定配置し、実施例2aの太陽電池とした。また、透明屈折層21を有する集光素子3を設けていない太陽電池素子のみの太陽電池を比較例2の太陽電池とした。
【0237】
実施例2aの太陽電池の発電効率と、比較例2の太陽電池の発電効率を、光源として太陽光シミュレーターを用いて調査した。100mW/cmの光の縦方向19に対する入射角Qを変えて照射することにより、それぞれの開放電圧Vおよび短絡電流Iの大きさを調査した。
【0238】
【表2】
Figure 2004186334
【0239】
表2は、入射角Qが、0°、40°、80の場合における測定結果を示しており、それぞれの入射角Qにおける、実施例2aの太陽電池の開放電圧Vと短絡電流Iを、比較例2の開放電圧Vと短絡電流Iを100%として求めたものである。
【0240】
実施例2aの太陽電池においては、入射角Qに係らず、開放電圧Vが112%〜114%と大きくなり、短絡電流Iが152%〜155%と大きくなっており、比較例2の太陽電池より高い発電効率が得られている。また、ここで、実施例1aの太陽電池と比較すると、実施例1aの太陽電池における短絡電流が135%〜142%に増大しているのに対して、実施例2aの太陽電池においては、短絡電流Iが152%〜155%にまで増大しており、実施例2aにおいては、実施例1aよりもさらに高い発電効率が実現されている。
【0241】
この結果は、直線状光通過孔群7の幅が、実施例1aにおいては3mmであったのに対して、実施例2aにおいては2mmと狭くすることができたことに起因している。実施例1aにおいては、入射角Qが0°から80°に変化することにより、太陽光の集光位置は、シリンドリカル状集光曲面群4の最表面(原点)からの距離が、28mmの位置から12mmの位置へと大きく移動する。これに対して、実施例2aにおいては、35mmの位置から24mmの位置へと移動するのみである。
【0242】
従って、実施例2aにおいては、入射角Qの変化に伴う集光状態の変化が小さいことにより、直線状光通過孔群7の幅をより狭くすることが可能である。
【0243】
以上のように、直線状光通過孔群7の幅を狭くすることにより、光電変換層2で反射された光が、直線状光通過孔群7を逆方向に通過して、シリンドリカル状集光曲面群4側へと漏れ出す光量が減少するので、入射光の利用効率を高くすることができる。
【0244】
次に、表2において、実施例2bから実施例2eは、実施例2の構成の太陽電池において、第1光反射傾斜面5と第2光反射傾斜面6の傾斜角度を変えずに、直線状光通過孔群7とシリンドリカル状集光曲面群4の最表面(原点)との間隔dを変えて形成した太陽電池の開放電圧Vと短絡電流Iを示している。
【0245】
間隔dをシリンドリカル状集光曲面群4の焦点距離と同じく35mmとした場合、実施例2bに示すように、Q=0°においては、開放電圧と短絡電流の増加が確認されたが、Q=80°においては、開放電圧と短絡電流が共に著しく減少した。この結果は、入射角Qの増大により、集光位置がシリンドリカル状集光曲面側へと近づき、太陽光が直線状光通過孔群を通過しなくなったことによるものである。
【0246】
次に、実施例2cは、d=30mmの場合の結果を示しており、Q=80°における開放電圧と短絡電流が相対的に大きくなり、比較例2の太陽電池と比較しても、開放電圧と短絡電流が増大することが確認された。
【0247】
次に、実施例2dは、d=22mmの場合の結果を示しており、実施例2cの場合と逆に、Q=0°の場合の開放電圧と短絡電流が相対的に小さくなっているが、依然として全ての入射角Qにおいて、比較例2の太陽電池と比較して、開放電圧と短絡電流が増大することが確認された。
【0248】
次に、実施例2eは、d=20mmの場合の結果を示しており、Q=0°およびQ=40°の場合に、開放電圧と短絡電流が比較例2より小さくなることが確認された。この結果は、焦点距離が35mmであるのに対して、第1光反射傾斜面5および第2光反射傾斜面6をシリンドリカル状集光曲面群4に近づけすぎたため、入射光が、第1光反射傾斜面5と第2光反射傾斜面6との間で反射され、直線状光通過孔群7を通過せず、シリンドリカル状集光曲面群4側へ反射されたことによる結果である。
【0249】
本実施例においては、前述のように、第1光反射傾斜面5と第2光反射傾斜面6とが、直線状光通過孔の幅方向に対してなす角度θについて、tanθまたはtan(π−θ)の絶対値が14/5となるように設定した場合において、距離dを22mm以上30mm以下とすることにより、全ての入射角Qにおいて、比較例2よりも大きな開放電圧と短絡電流が得られたが、これに限られるものではない。
【0250】
第1光反射傾斜面5および第2光反射傾斜面6の傾き角度や、直線状光通過孔群7の幅を変えた場合や、集光素子3および透明屈折層21の屈折率を変えた場合には、太陽光の集光状態が変化するため、最適な距離dも変化する。それぞれの場合について、集光状態を計算し、最大の発電効率(光利用効率)が得られるように設計することが望ましい。
【0251】
次に、実施例1の場合と同様にして、実施例2の太陽電池の光電変換層2上に、粒径5μmのYS:Eu,Mg,Tiの蛍光粒子を、15体積%含有させた紫外線硬化樹脂層(層厚20μm)を設けた太陽電池を作製した。
【0252】
蛍光粒子を含有した紫外線硬化樹脂層を設けていない太陽電池と、蛍光粒子を含有した紫外線硬化樹脂層を設けた上記太陽電池に対して、太陽光シミュレーターを用い、100mW/cmの光の入射角Qを変えて照射して、両者の開放電圧Vと短絡電流Iを比較した結果、蛍光粒子を含有した紫外線硬化樹脂層を設けたことにより、全ての入射角Qにおいて、開放電圧Vが5〜8%大きくなり、短絡電流Iが13〜15%大きくなることが確認された。
【0253】
実施例2においても、実施例1と同様に、光電変換層2と直線状光通過孔群7との間に、上記光電変換層2の光電変換に寄与する波長の蛍光を発する材料を設けることにより、発電効率を高めることが可能である。
【0254】
〔実施例3〕
本発明の実施例3として、図16に示す構成の太陽電池を作製した。
【0255】
実施例3の太陽電池は、実施例1に記載のシリンドリカル状集光曲面群4を有する集光素子3と、光電変換層2を有する太陽電池素子との間に、平面状の透明基板22を配置し、該透明基板22の集光素子3側の面であり、かつ、直線状光通過孔群7と対向しない領域に、平面状光反射面23が設けられた構成となっている。
【0256】
本実施例においては、ポリカーボネート製の透明基板22上に、光反射効果を有する膜厚100nmのAl0.95Ti0.05合金からなる平面状光反射面23を設けて、集光素子3と透明基板22と太陽電池素子とを、紫外線硬化樹脂からなる透明接着剤により接着固定することにより、図16に示す実施例3の太陽電池を形成した。
【0257】
上記構成よれば、集光素子3にゆがみを発生させることなく、上記透明基板22を介して、集光素子3を太陽電池素子へ接着固定するため、上記光電変換層2には、均一な強度分布の光が照射され、高い発電効率が維持される。
【0258】
上記実施例3の太陽電池に対して、太陽光シミュレーターを用い、100mW/cmの光の入射角Qを変えて照射して、実施例1の太陽電池と、その開放電圧Vと短絡電流Iを比較した結果、全ての入射角Qにおいて、実施例3の太陽電池の開放電圧Vが6%大きくなり、短絡電流Iが10%大きくなることが確認された。この結果は、平面状光反射面23を設けることにより、光反射面における太陽光の反射回数が低減され、入射光の利用効率が良くなったことに起因している。
【0259】
次に、実施例3の太陽電池において、上記透明基板22として、粒径5μmのYS:Eu,Mg,Tiの蛍光粒子を、15体積%含有させたガラス基板を用いた太陽電池を作製した。この蛍光粒子は、光電変換に利用されない波長400nm近傍の光を、光電変換に利用される波長600nm近傍の光に変換することが可能であり、さらに、蛍光粒子から発生する波長600nm近傍の光が、集光素子3と太陽電池素子との間で多重反射することにより、太陽電池の発電効率を一層高くすることが可能となる。
【0260】
蛍光粒子を含有しない透明基板22を用いた実施例3の太陽電池と、蛍光粒子を含有した透明基板22を用いた実施例3の太陽電池に対して、太陽光シミュレーターを用い、100mW/cmの光の入射角を変えて照射して、両者の開放電圧Vと短絡電流Iを測定した結果、蛍光粒子を含有した透明基板22を用いることにより、全ての入射角において、開放電圧Vが5〜7%大きくなり、短絡電流Iが11〜14%大きくなることが確認された。
【0261】
また、実施例3の太陽電池において、集光素子3と透明基板22と太陽電池素子とを接着固定するための透明接着剤に、同様な蛍光粒子を含有させることによっても、同様に、開放電圧Vおよび短絡電流Iを大きくすること、すなわち、発電効率を高めることが可能である。
【0262】
また、上記透明基板22と上記透明接着剤の両方に、同様な蛍光粒子を含有させることにより、さらに大きな開放電圧Vおよび短絡電流Iを得ることができる。
【0263】
〔実施例4〕
本発明の実施例4として、図17に示す構成の太陽電池を作製した。
【0264】
実施例4の太陽電池は、実施例1に記載の太陽電池において、実施例1と同一のシリンドリカル状集光曲面群4を有する集光素子3と、光電変換層2を形成した太陽電池素子用透明基板24とを、太陽電池素子用透明基板24の光入射面が集光素子3の直線状光通過孔群7に対向するように、配置した構成となっている。
【0265】
本実施例においては、図18に示すように、板厚3mmのガラス基板からなる太陽電池素子用透明基板24上に、膜厚30nmのSnOからなる透明導電膜25を反応性スパッタリングにより形成した後、遮蔽マスクを太陽電池素子用透明基板24上に形成した透明導電膜25表面に装着した状態で、AlTi合金ターゲットを用いたスパッタリングにより、膜厚100nmのAl0.95Ti0.05合金からなる、幅0.1mm、間隔5mmのくし型集電電極26を形成した。
【0266】
次に、p型不純物ドープ半導体層であるp層27、真性半導体であるi層28、n型不純物ドープ層であるn層29がこの順に積層された非晶質Si半導体からなる光電変換層をプラズマCVD装置による気相成長法で形成した。各半導体層は、それぞれ、SiHガス・Hガス・CHガス・Bガスの混合ガスを用いて気相成長した膜厚15nmのa−SiC:Hのp層27、SiHガス・Hガスの混合ガスを用いて気相成長した膜厚100nmのa−Si:Hのi層28、SiHガス・Hガス・PHガスの混合ガスを用いて気相成長した膜厚15nmのa−Si:Hのn層29とした。
【0267】
上記光電変換層2を形成した後、膜厚100nmのAlからなる光反射効果を有する電極金属層30をスパッタリングにより形成し、紫外線硬化樹脂を電極金属層30上に塗布した後、硬化させ、電極金属層30の保護膜31とした。
【0268】
上記太陽電池素子用透明基板24と上記光電変換層2からなる太陽電池素子に対して、実施例1aに記載の集光素子3を、直線状光通過孔群7と太陽電池素子用透明基板24とが対向するように接着固定することで、図17に示す実施例4の太陽電池を作製した。また、上記太陽電池素子のみからなる太陽電池を比較例4の太陽電池とした。
【0269】
上記実施例4の太陽電池と比較例4の太陽電池に対して、実施例1と同様に、太陽光シミュレーターを用い、100mW/cmの光の入射角を変えて照射して、両者の開放電圧Vと短絡電流Iを測定した結果、全ての入射角において、実施例4の太陽電池の開放電圧Vが比較例4の太陽電池より5〜7%大きくなり、実施例4の太陽電池の短絡電流Iが比較例4の太陽電池より11〜14%大きくなることが確認された。
【0270】
このように、実施例4の太陽電池においても、実施例1の太陽電池の場合と同様に、光電変換層2と第1光反射傾斜面5および第2光反射傾斜面6との間で、入射光の多重反射が実現し、太陽光の利用効率を高めることができ、より高い発電効率を得ることができた。
【0271】
実施例4の太陽電池に対して、実施例2において記載した透明屈折層21を設けることにより、同様に、シリンドリカル状集光曲面群4への太陽光の実質的な入射角を低減することが可能となり、さらに高い発電効率を実現することができる。
【0272】
また、実施例4において、太陽電池素子用透明基板24として、実施例3と同様に、蛍光粒子を含有した太陽電池素子用透明基板24を用いることにより、光電変換層2と直線状光通過孔群7との間に、上記光電変換層2の光電変換に寄与する波長の蛍光を発する材料が設けられることになり、開放電圧Vおよび短絡電流Iを大きくすること、すなわち、太陽電池の発電効率を高めることが可能である。
【0273】
また、集光素子3と太陽電池素子用透明基板24とを接着固定するための透明接着剤に、同様な蛍光粒子を含有させることによっても、同様に、開放電圧Vおよび短絡電流Iを大きくすること、すなわち、発電効率を高めることが可能である。
【0274】
本発明によれば、入射した光は、各集光領域により集光され、直接直線状光通過孔群を通過するか、または、第1光反射傾斜面または第2光反射傾斜面により反射され直線状光通過孔群を通過する。上記直線光通過孔群を通過した光は、太陽電池素子に設けられた光電変換層を照射する。続いて、太陽電池素子を照射した光の一部は、太陽電池素子の表面または内部で反射され反射光となる。その一方で、該反射光の少なくとも一部は、光反射面における直線状光通過孔群以外の領域で反射され、太陽電池素子の方へ戻される。すなわち、太陽電池素子と光反射面との間では、反射光が多重反射されることにより、光電変換層に照射される光量が増大するため、太陽電池の発電効率(光の利用効率)を高くすることが可能になる。
【0275】
また、本発明によれば、入射した光は、各集光領域により集光され、直接直線状光通過孔群を通過するか、または、第1光反射傾斜面または第2光反射傾斜面により反射され直線状光通過孔群を通過する。上記直線状光通過孔群を通過した光は、太陽電池素子に設けられた光電変換層を照射する。続いて、太陽電池素子を照射した光の一部は、太陽電池素子の表面または内部で反射され反射光となる。その一方で、該反射光の少なくとも一部は、直線状光通過孔群以外の領域、すなわち、第1光反射傾斜面の裏面または第2光反射傾斜面の裏面で反射され、太陽電池素子の方へ戻される。すなわち、太陽電池素子と第1光反射傾斜面の裏面または第2光反射傾斜面の裏面との間では、反射光が多重反射されることにより、光電変換層に照射される光量が増大するため、太陽電池の発電効率(光の利用効率)を高くすることが可能になる。
【0276】
なお、本発明に係る太陽電池の上記第1光反射面を、上記光通過領域の両側の長手方向に沿って延設し、該光通過領域に対して任意の角度で傾斜した第1光反射傾斜面と第2光反射傾斜面からなるようにしてもよい。
【0277】
上記の構成により、集光領域により光が集光する位置が線状の光通過領域からずれていても、第1光反射面が該光通過領域の両側の長手方向に沿って延設された第1光反射傾斜面と第2光反射傾斜面により集光素子内で反射することができるので、光通過領域に効率的に光を通過させることができる。
【0278】
従って、集光素子に入射される光の入射角が異なっても、また、集光領域により集光する位置と光通過領域とがずれていても、光通過領域の通過光量を多くすることができ、この結果、多くの光が太陽電池素子の光電変換層に入射されるので、太陽電池の発電効率を高くすることができる。
【0279】
【発明の効果】
本発明に係る太陽電池は、以上のように、光電変換層を有する太陽電池素子と、集光領域と、該集光領域により集光された入射光を、上記太陽電池素子側に通過させる光通過領域とを有する集光素子とを備え、上記集光素子には、さらに、該集光素子内で光を反射し、該反射光の少なくとも一部を上記光通過領域に導く第1光反射面が該光通過領域と組をなして設けられていることを特徴としている。
【0280】
それゆえ、季節変化や時間変化に伴い太陽光等の光の入射角が変化した場合、すなわち、集光領域により集光された光の全てが、直接、光通過領域を通過できないような場合において、集光領域により集光された光を光通過領域に直接通過させることに加えて、直接、光通過領域に入射されない光の少なくとも一部を第1光反射面により反射した後、光通過領域に通過させることが可能となる。この結果、光通過領域を通過して太陽電池素子の光電変換層に照射される光量を増大させることが可能となる。
【0281】
従って、光の入射角が変化した場合においても、光を効率良く光通過領域を通過させることが可能となり、季節変化や時間変化に係わり無く、太陽電池の発電効率(光の利用効率)を高くすることができる。
【0282】
また、上記の構成では、光通過領域に入射されない光の少なくとも一部を第1光反射面により反射した後、光通過領域に通過させることが可能となるので、集光領域により光が集光する位置と、光通過領域との位置合わせを従来程、高精度に行なう必要がない。この結果、集光素子を高精度に製造するための高価な装置を必要とせず、また、集光素子の歩留りも向上するので、光の利用効率の高い太陽電池を安価に製造することが可能となるという効果を併せて奏する。
【0283】
本発明に係る太陽電池は、以上のように、上記の構成に加えて、上記第1光反射面は、集光領域側から光通過領域側に向けて先細る形状を有していることを特徴としている。
【0284】
それゆえ、第1光反射面における反射光を光通過領域へ導き易くすることができるという効果をさらに奏する。
【0285】
本発明に係る太陽電池は、以上のように、上記の構成に加えて、上記集光素子の第1光反射面の裏面が、太陽電池素子からの反射光を再度、該太陽電池素子に入射させるように反射する第2光反射面となっていることを特徴としている。
【0286】
それゆえ、太陽電池素子の表面または内部で反射された反射光の少なくとも一部は、第2反射面にて反射され、太陽電池素子の方へ戻される。すなわち、太陽電池素子と第2光反射面との間では、反射光が多重反射されることにより、光電変換層に照射される光量が増大するため、太陽電池の発電効率(光の利用効率)をさらに高くすることが可能となる。
【0287】
また、集光素子の第1反射面の裏面が第2反射面となっていることにより、集光素子に光反射性材料の層を1層設けるだけで、その両面を反射面として利用する形態を採用することができる。これにより、太陽電池の構成を簡素化し、コストを下げることにも役立つという効果をさらに奏する。
【0288】
本発明に係る太陽電池は、以上のように、上記の構成に加えて、上記光通過領域と上記太陽電池素子との間に配置された平板状の透明基板が、少なくとも上記集光素子に対し密着固定されていることを特徴としている。
【0289】
それゆえ、上記集光素子に平板状の透明基板を密着固定することにより、集光素子にゆがみが発生しにくくなるので、上記光通過領域と上記光電変換層との間隔が常に一定に保たれる。その結果、上記光電変換層に照射される光の強度分布が均一なものとなり、常に高い発電効率を維持することが可能となるという効果をさらに奏する。
【0290】
本発明に係る太陽電池は、以上のように、上記の構成に加えて、上記透明基板の光入射面において、上記光通過領域に対向する対向領域以外の領域に、太陽電池素子からの反射光を再度、該太陽電池素子に入射させるように反射する第2光反射面を設けたことを特徴としている。
【0291】
それゆえ、上記透明基板の光入射面に第2光反射面を設けた場合、第2光反射面は、透明基板が平板状ゆえに、太陽電池素子に対面する平面となる。従って、太陽電池素子(光電変換層)からの反射光は、平面状の第2光反射面によって1度反射されるだけで、上記光電変換層を再照射することができる。すなわち、多重反射の反射回数を最小として、反射光の減衰を抑えることが可能となり、太陽電池の発電効率(光の利用効率)を一層高くすることができるという効果をさらに奏する。
【0292】
本発明に係る太陽電池は、以上のように、上記の構成に加えて、上記光通過領域と上記光電変換層との間に、上記光電変換層の光電変換に寄与する波長の蛍光を発する蛍光材料が設けられていることを特徴としている。
【0293】
それゆえ、蛍光材料が発生した蛍光は、上記光電変換層に照射されるので、光電変換に寄与する波長の光の光量が増大し、太陽電池の発電効率を一層高くすることが可能となるという効果をさらに奏する。
【0294】
本発明に係る太陽電池は、以上のように、上記の構成に加えて、上記集光領域が、シリンドリカル状集光曲面であり、上記光通過領域が直線スリット状の光通過領域であり、該シリンドリカル状集光曲面の円筒軸の方向と、上記光通過領域の延伸方向とが平行に配置されていることを特徴としている。
【0295】
それゆえ、シリンドリカル状集光曲面によって、線状に集光された光は直線スリット状光通過孔へと効率良く集光される。また、例えば太陽光の入射角度が変化した場合においても、太陽光は、シリンドリカル状集光曲面により集光され、直接光通過領域を通過するか、もしくは、該光通過領域と組をなして設けられた第1光反射面によって反射された後、効率的に光通過領域へと集光することが可能となり、高い発電効率を維持することができる。
【0296】
また、シリンドリカル状集光曲面は、より短小な形状の集光領域と比較して、少ない数の集光領域で集光素子を構成することができるため、集光素子の構成を簡素化し、コストを下げることにも役立つという効果をさらに奏する。
【0297】
本発明に係る太陽電池は、以上のように、上記の構成に加えて、上記シリンドリカル状集光曲面を構成する材料の屈折率よりも小さな屈折率を有する透明屈折層が、上記シリンドリカル状集光曲面の光入射側に設けられていることを特徴としている。
【0298】
それゆえ、上記の構成により、上記の効果に加えて、入射光が、透明屈折層で屈折された後、上記シリンドリカル状集光曲面へと入射されることにより、シリンドリカル状集光曲面への光入射角度が実質的に小さくなる。従って、入射光が大きな入射角度で入射した場合においても、効率良く光通過領域へと集光することが可能となり、高い発電効率を維持することができるという効果をさらに奏する。
【0299】
本発明に係る太陽電池は、以上のように、上記の構成に加えて、上記シリンドリカル状集光曲面の円筒軸方向を含み、かつ、集光素子に垂直な平面が、東西方向を向くように設置されていることを特徴としている。
【0300】
それゆえ、朝方および夕方において、太陽光が東西方向の斜め上からシリンドリカル状集光曲面に入射する場合において、シリンドリカル状集光曲面により直線状に集光される光は、常に、光軸を含みかつ円筒軸を含む平面上に集光されるので、結局は、同平面上に配置された直線スリット状光透過領域に集光される。
【0301】
従って、1日の太陽光の入射角度変化に対応して、該シリンドリカル状集光曲面と該直線スリット状光透過領域とを相対的に移動させることなく、太陽光を効率良く直線スリット状光透過領域へと集光することが可能となるという効果をさらに奏する。
【0302】
本発明に係る太陽電池は、以上のように、上記の構成に加えて、春分または秋分の南中時に、太陽電池に対する太陽光入射角度が0°となるように、太陽電池の設置角度が設定されていることを特徴としている。
【0303】
それゆえ、本発明の太陽電池への太陽光入射角度が最大となる夏至および冬至において、太陽光入射角度を地軸傾きと同じ大きさ(23.4°)とすることが可能であり、季節変化にともなう入射角度変化の低減により、季節変化にともなう発電効率の変化を低減することが可能となるという効果をさらに奏する。
【0304】
本発明に係る太陽電池素子用集光素子は、以上のように、入射した光を集光する複数の集光領域と、該集光領域によって集光された光を通過させる複数の光通過領域であって、上記集光領域に対応して備えられた光通過領域と、上記集光領域と光通過領域との間に形成され、集光領域によって集光された光の少なくとも一部を反射して、上記光通過領域に導く光反射面であって、上記光通過領域と組をなして形成された光反射面とを備えていることを特徴としている。
【0305】
それゆえ、既に説明したとおり、光通過領域を通過して太陽電池素子の光電変換層に照射される光量を、季節変化や時間変化に係わり無く、増大させることが可能な太陽電池素子用集光素子を提供することができる。
【0306】
また、光反射面によって、光通過領域に直接入射されない光の少なくとも一部を反射して該光通過領域に導くことができるので、集光位置と光通過領域との位置合わせを従来程、高精度に行なう必要性がなくなる。この結果、太陽電池素子用集光素子を高精度に製造するための高価な装置を必要とせず、また、太陽電池素子用集光素子の歩留りも向上するので、光の利用効率の高い太陽電池の製造コストを下げることが可能となるという効果を併せて奏する。
【0307】
本発明の太陽電池素子用集光素子の製造方法は、以上のように、上記太陽電池素子用集光素子の製造方法であって、上記集光領域、光反射面および光通過領域を有する単位集光素子を製造した後で、単位集光素子を複数接続して太陽電池素子用集光素子を得ることを特徴としている。
【0308】
それゆえ、太陽電池素子用集光素子の必要な大きさに合わせて、必要な個数だけ、単位集光素子を接続することができるので、大きさの自由度が高い太陽電池素子用集光素子を製造することができる。
【0309】
また、単位集光素子を小型の製造装置で製造することができるので、製造装置のコストが安くなるため、太陽電池における光の利用効率を向上させることが可能な太陽電池素子用集光素子、およびそれを用いた太陽電池を低コストで提供することができるという効果を併せて奏する。
【0310】
本発明の太陽電池素子用集光素子の製造方法は、以上のように、上記太陽電池素子用集光素子の製造方法であって、上記光反射面および光通過領域を有する単位集光素子と、上記集光領域と集光領域に対向する平面とを有する集光曲面素子構成要素とを製造した後で、複数の単位集光素子を集光曲面素子構成要素の平面上に順次接着して太陽電池素子用集光素子を得ることを特徴としている。
【0311】
それゆえ、上記の方法によっても、単位集光素子を小型の製造装置で製造することができるので、製造装置のコストが安くなるため、太陽電池における光の利用効率を向上させることが可能な太陽電池素子用集光素子、およびそれを用いた太陽電池を低コストで提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の太陽電池において、垂直入射する太陽光の集光状態を説明する断面斜視図である。
【図2】本発明の太陽電池素子の断面図である。
【図3】(a)〜(c)は、本発明の集光素子の製造方法を説明する断面斜視図である。
【図4】(a)〜(d)は、本発明の集光素子の製造方法を説明する断面斜視図である。
【図5】(a)〜(c)は、本発明の集光素子の製造方法を説明する断面斜視図である。
【図6】本発明の太陽電池において、太陽光の入射角が異なる際の集光状態を説明する断面斜視図である。
【図7】本発明の太陽電池の設置方法を説明する図面である。
【図8】(a)〜(c)は、本発明の太陽電池において、入射光の集光状態を、入射角度を変えて計算した結果を示す説明図である。
【図9】(a)と(b)は、本発明の太陽電池において、入射光の集光状態を、入射角度を変えて計算した結果を示す説明図である。
【図10】(a)と(b)は、本発明の太陽電池において、入射光の集光状態を、入射角度を変えて計算した結果を示す説明図である。
【図11】(a)と(b)は、本発明の太陽電池において、縦方向斜め上から入射する光の集光状態を計算した結果を示す説明図である。
【図12】本発明の太陽電池の別構成を示す断面斜視図である。
【図13】本発明の太陽電池の断面図である。
【図14】(a)〜(c)は、本発明の太陽電池において、入射光の集光状態を、入射角度を変えて計算した結果を示す説明図である。
【図15】本発明の太陽電池のさらに別構成を示す断面斜視図である。
【図16】本発明の太陽電池のさらに別構成を示す断面斜視図である。
【図17】本発明の太陽電池のさらに別構成を示す断面斜視図である。
【図18】本発明の太陽電池素子の断面図である。
【図19】従来の太陽電池素子の断面図である。
【図20】従来の太陽電池素子の断面図である。
【図21】従来の太陽電池素子の断面図である。
【符号の説明】
1 基板(太陽電池素子)
2 光電変換層
3 集光素子
4 シリンドリカル状集光曲面群(集光領域の集まり)
5 第1光反射傾斜面(第1光反射面、第2光反射面)
6 第2光反射傾斜面(第1光反射面、第2光反射面)
7 直線状光通過孔群(光通過領域)
8 太陽光
9 電極金属層
10 多結晶Si半導体層
11 多結晶Si半導体層
12 多結晶Si半導体層
13 型集電電極
14 反射防止層
15 中心面
16 棒状集光素子構成要素(単位集光素子)
17 棒状集光素子構成要素(単位集光素子)
18 集光曲面素子構成要素
19 縦方向
20 横方向
21 透明屈折層
22 透明基板
23 平面状光反射面(第2光反射面)
24 太陽電池素子用透明基板
25 透明導電膜
26 くし型集電電極
30 電極金属層
31 保護膜
F 焦点距離
I 短絡電流
Q 入射角
Q1 入射角
Q2 入射角
R 入射角

Claims (13)

  1. 光電変換層を有する太陽電池素子と、
    集光領域と、該集光領域により集光された入射光を、上記太陽電池素子側に通過させる光通過領域とを有する集光素子とを備え、
    上記集光素子には、さらに、該集光素子内で光を反射し、該反射光の少なくとも一部を上記光通過領域に導く第1光反射面が該光通過領域と組をなして設けられていることを特徴とする太陽電池。
  2. 上記第1光反射面は、集光領域側から光通過領域側に向けて先細る形状を有していることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
  3. 上記集光素子の第1光反射面の裏面が、太陽電池素子からの反射光を再度、該太陽電池素子に入射させるように反射する第2光反射面となっていることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
  4. 上記光通過領域と上記太陽電池素子との間に配置された平板状の透明基板が、少なくとも上記集光素子に対し密着固定されていることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
  5. 上記透明基板の光入射面において、上記光通過領域に対向する対向領域以外の領域に、太陽電池素子からの反射光を再度、該太陽電池素子に入射させるように反射する第2光反射面を設けたことを特徴とする請求項4に記載の太陽電池。
  6. 上記光通過領域と上記光電変換層との間に、上記光電変換層の光電変換に寄与する波長の蛍光を発する蛍光材料が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
  7. 上記集光領域が、シリンドリカル状集光曲面であり、上記光通過領域が直線スリット状の光通過領域であり、該シリンドリカル状集光曲面の円筒軸の方向と、上記光通過領域の延伸方向とが平行に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
  8. 上記シリンドリカル状集光曲面を構成する材料の屈折率よりも小さな屈折率を有する透明屈折層が、上記シリンドリカル状集光曲面の光入射側に設けられていることを特徴とする請求項7に記載の太陽電池。
  9. 上記シリンドリカル状集光曲面の円筒軸方向を含み、かつ、集光素子に垂直な平面が、東西方向を向くように設置されていることを特徴とする請求項7に記載の太陽電池。
  10. 春分または秋分の南中時に、太陽電池に対する太陽光入射角度が0°となるように、太陽電池の設置角度が設定されていることを特徴とする請求項9に記載の太陽電池。
  11. 入射した光を集光する複数の集光領域と、
    該集光領域によって集光された光を通過させる複数の光通過領域であって、上記集光領域に対応して備えられた光通過領域と、
    上記集光領域と光通過領域との間に形成され、集光領域によって集光された光の少なくとも一部を反射して、上記光通過領域に導く光反射面であって、上記光通過領域と組をなして形成された光反射面とを備えていることを特徴とする太陽電池素子用集光素子。
  12. 請求項11に記載の太陽電池素子用集光素子の製造方法であって、
    上記集光領域、光反射面および光通過領域を有する単位集光素子を製造した後で、単位集光素子を複数接続して太陽電池素子用集光素子を得ることを特徴とする太陽電池素子用集光素子の製造方法。
  13. 請求項11に記載の太陽電池素子用集光素子の製造方法であって、
    上記光反射面および光通過領域を有する単位集光素子と、上記集光領域と集光領域に対向する平面とを有する集光曲面素子構成要素とを製造した後で、複数の単位集光素子を集光曲面素子構成要素の平面上に順次接着して太陽電池素子用集光素子を得ることを特徴とする太陽電池素子用集光素子の製造方法。
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